JP5239615B2 - 耐食性と耐延性破壊特性に優れた原油油槽用溶接継手 - Google Patents
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Description
しかしながら、非特許文献1に記載の技術では、施エコストがかかるという経済的な問題点に加え、防食層の施工時におけるミクロな欠陥や、経年劣化で腐食が不可避的に進展する。このため、塗装、ライニングを施しても、定期的な検査と補修とが不可欠になるという問題があった。一方、非特許文献1では、鋼材の特性によって鋼の防食とスラッジの低減の両方を同時に図る技術については提案されていない。
先ず、耐食性について、常時、気相部となる原油油槽デッキ裏での鋼の耐食性に及ぼす、鋼化学成分の影響を調査した。この結果、一般的な溶接構造用鋼の化学組成を基本として、Crを実質的に無添加とし、特定量のMo、Wのいずれか、または両方とCuとを複合添加し、不純物であるP、Sの添加量を限定することにより、当該環境での耐食性を向上させることが可能となり、併せて、スラッジの生成を大幅に低減できるとの知見を得た。
さらに、本発明者等は、当該鋼材同士を溶接するに際して、溶接継手の耐食性が鋼材と同等となるために必要な溶接金属、並びに鋼材の化学組成や金属組織に関する要件を詳細に研究した。この結果、溶接金属と鋼材との間のCu、Mo、Wの含有量の比が特定範囲とされることで、原油環境及びバラスト環境の両方において、鋼材と溶接金属を含む溶接継手とが、良好な耐食性を同等に発現することを知見するに至った。
本発明は以上の知見に基づいてなされたものであり、その要旨とするところは下記の通りである。
0.15≦[Cu]W/[Cu]B≦3.00 ・・・ (1)
0.15≦([Mo]W+[W]W)/([Mo]B+[W]B)≦3.00 ・・・ (2)
−0.30≦([Cu]W−[Cu]B)≦0.50 ・・・ (3)
{但し、上記(1)〜(3)式において、[Cu]W、[Cu]B、[Mo]W、[Mo]B、[W]W、[W]Bは、それぞれ、下記に示す溶接金属または鋼材中におけるCu、Mo、Wの各含有量を質量%で表すものである}
[Cu]W:溶接金属のCu含有量
[Cu]B:鋼材のCu含有量
[Mo]W:溶接金属のMo含有量
[Mo]B:鋼材のMo含有量
[W]W :溶接金属のW含有量
[W]B :鋼材のW含有量
0.30≦[Cu]W/[Cu]B ≦1.50 ・・・ (4)
0.30≦([Mo]W+[W]W)/([Mo]B+[W]B)≦1.50 ・・・ (5)
{但し、上記(4)、(5)式において、[Cu]W、[Cu]B、[Mo]W、[Mo]B、[W]W、[W]Bは、それぞれ、下記に示す溶接金属または鋼材中におけるCu、Mo、Wの各含有量を質量%で表すものである}
[Cu]W:溶接金属のCu含有量
[Cu]B:鋼材のCu含有量
[Mo]W:溶接金属のMo含有量
[Mo]B:鋼材のMo含有量
[W]W :溶接金属のW含有量
[W]B :鋼材のW含有量
[4] 前記鋼材が、さらに、質量%で、Sb:0.01〜0.30%、Sn:0.01〜0.30%、Pb:0.01〜0.30%、As:0.01〜0.30%、Bi:0.01〜0.30%、Se:0.01〜0.30%の内の1種または2種以上を含有することを特徴とする、上記[1]〜[3]のいずれか1項に記載の耐食性と耐延性破壊特性に優れた原油油槽用溶接継手。
[5] 前記鋼材が、さらに、質量%で、Ti:0.002〜0.20%、B:0.0002〜0.0050%の内の1種または2種を含有することを特徴とする、上記[1]〜[4]のいずれか1項に記載の耐食性と耐延性破壊特性に優れた原油油槽用溶接継手。
0.15≦[Cu]W/[Cu]B≦3.00 ・・・ (1)
0.15≦([Mo]W+[W]W)/([Mo]B+[W]B)≦3.00 ・・・ (2)
−0.30≦([Cu]W−[Cu]B)≦0.50 ・・・ (3)
但し、上記(1)〜(3)式において、[Cu]W、[Cu]B、[Mo]W、[Mo]B、[W]W、[W]Bは、それぞれ、次に示す溶接金属または鋼材中におけるCu、Mo、Wの各含有量を質量%で表すものである。
[Cu]W:溶接金属のCu含有量
[Cu]B:鋼材のCu含有量
[Mo]W:溶接金属のMo含有量
[Mo]B:鋼材のMo含有量
[W]W :溶接金属のW含有量
[W]B :鋼材のW含有量
以下に、本発明における鋼材の化学成分組成の限定理由を説明する。
また、以下の説明において、化学成分組成における各成分の含有量を示す「%」は、特に指定の無い限り「質量%」を示す。
Cは、鋼材中における含有量を0.001%未満に低減することは、工業的な面で経済性を著しく阻害するため、0.001%以上を含有させるが、Cを強化元素として用いる場合には、0.002%以上の含有量とすることが好ましい。一方、Cを、0.20%を超えて過剰に含有させると、溶接性や継手靭性の劣化等が生じ、また、耐延性破壊特性も劣化する。このため、本発明においては、Cの含有量を0.001〜0.20%の範囲に限定した。
Siは、脱酸元素として必要であり、脱酸効果を発揮するためには、0.01%以上の添加が必要である。Siが0.01%未満で脱酸が不十分であると、鋼材中のO(酸素)量が過大となったり、欠陥を生じるために、鋼材の延性や靭性が劣化する場合がある。また、Siは耐全面腐食性向上に効果があり、さらに、耐局部腐食性向上にもわずかながら効果を有する元素であり、このような効果を発現させるためには0.1%以上含有させることが好ましい。一方、Siを過度に含有させると、熱延スケールの固着(スケール剥離性の低下)を招き、スケールに起因する疵が増加するため、本発明においては上限を2.50%とする。特に、耐食性とともに溶接性や母材及び継手靭性への要求が厳しい鋼の場合は、Siの上限を0.50%とすることが好ましい。
Mnは、鋼の強度確保のためには0.1%以上の添加が必要である。Mnが0.1%未満であると、組織が粗大化したり、粒界セメンタイトが粗大化して,靭性も劣化する。一方、2.0%超になると、溶接性の劣化や、粒界脆化感受性を高めて好ましくないため、本発明においては、Mnの含有量を0.1〜2.0%の範囲に限定する。
Pは、不純物元素であり、0.03%を超えると溶接性を劣化させるため、本発明においては、0.03%以下の含有量に限定する。特に、Pの含有量を0.015%以下にした場合に、耐食性及び溶接性に良好な影響を及ぼす点から好ましい。
Sも、不純物元素であり、含有量が0.02%を超えると、スラッジの生成量を増加させる傾向があり、さらに、機械的性質、特に延性を著しく劣化させるため、本発明においては、0.02%を上限とする。また、Sの含有量は、耐食性や機械的性質の向上の点から少ないほど好ましく、0.007%以下が特に好ましい。
Cuは、詳細を後述するMo、Wとともに0.01%以上含有させると、原油環境及びバラスト環境の両環境における耐食性向上に有効であり、さらに、固体S(鋼表面に生じる大量の固体の硫黄分)の生成抑制にも効果がある。しかしながら、1.50%を超えてCuを含有させても、上記効果はほぼ飽和し、逆に、鋼片の表面割れの助長、継手靭性の劣化、耐延性破壊特性の劣化等の問題も顕在化する虞があるため、本発明では、上限を1.50%とする。また、Cuの含有量は、耐食性、スラッジ生成抑制効果と鋼片の健全性確保とのバランスから、0.01〜0.50%の範囲であることがより好ましい。
Alは、脱酸に有用な元素であり、また、AlNとなることにより、母材の加熱オーステナイト粒径微細化に有効な元素である。さらに、固体Sを含む腐食生成物の生成抑制効果も有し、有益な元素である。但し、これらの効果を発揮するためには、Alを0.001%以上で含有する必要がある。一方、Alを、0.30%を超えて過剰に含有すると、粗大な酸化物を形成して延性や靱性を劣化させるため、本発明においては、0.001%〜0.30%の範囲の含有量に限定する必要がある。
Nは、固溶状態では延性及び靭性に悪影響を及ぼすため、好ましくないが、V、AlやTiと結びついてオーステナイト粒微細化や析出強化に有効に働くため、微量であれば機械的特性の向上に有効である。また、工業的に鋼中のNを完全に除去することは不可能であり、必要以上に低減することは、製造工程に過大な負荷をかけるため好ましくない。このため、延性、靭性への悪影響が許容できる範囲で、かつ、工業的に制御が可能で、製造工程への負荷が許容できる範囲として、N含有量の下限を0.001%とする。また、Nを過剰に含有すると、固溶Nが増加し、延性や靭性に悪影響を及ぼす可能性があるため、許容できる範囲として上限を0.010%とする。
「W:タングステン」0.01〜0.30質量%
Mo、Wは、原油環境での耐食性および固体Sの析出抑制に対して、また、バラスト環境における耐食性に対してCuと同様の効果を有する重要な元素であり、0.01%以上のCuと共に含有させることが必要である。また、MoとWとは、ほぼ同等の効果を有し、Moは0.01〜0.20%、Wは0.01〜30%の範囲で、各々単独あるいは両方を含有させる必要がある。Mo、Wは、ともに0.01%以上含有させると、耐食性および固体Sの析出抑制に明確な効果を生じる。一方、Moは0.20%、Wは0.30%を超えて含有させても、耐食性および固体Sの析出抑制の向上効果は飽和しはじめる一方で、溶接性や靭性を劣化させ、また、特に、耐延性破壊特性を劣化させる。このため、Moは0.01〜0.20%、Wは0.01〜30%の範囲に含有量を限定する。なお、耐延性破壊特性を確実に向上させるためには、Mo、Wの上限を各々、0.10%未満、0.20%未満とすることがより好ましい。
「Co:コバルト」0.10〜3.0質量%
さらに、Ni、Coは、原油環境およびバラスト環境での耐食性と耐延性破壊特性とを両立させるために、少なくともいずれかが必須であり、これらを含有させない場合には、耐食性と耐延性破壊特性のいずれか、あるいは両方が劣る結果となる。また、Ni、Coともに適正量を添加することにより、耐スラッジ性についても好ましい効果が得られる。
Ni、Coは、両元素とも0.10%以上含有させることにより、初めて、一様伸び、靭性並びに耐食性向上効果が明確に発現する。一方、両元素とも3.0%を超えて過剰に含有させることは、両元素とも高価な元素であることから経済的に不適当であり、溶接性の劣化も招く。このため、本発明においては、機械的性質、特に一様伸びと耐食性とを同時に向上させるため、Ni、Coともに含有量を0.10〜3.0%の範囲に限定する。
Sb、Sn、Pb、As、Bi、Seは、各々、0.01%以上で含有させることにより、鋼材の耐食性、特に液相部における局部腐食の進行をさらに抑制する効果を有する。このため、これらの元素を、必要に応じて選択的に含有させる場合の下限は0.01%とする。一方、これらの元素を、各々、0.30%を超えて過剰に含有させても、効果が飽和するだけでなく、他の特性への影響の虞もあり、また、経済性も考慮して上限を0.30%とする。なお、耐食性に対する効果をより発揮させるためには、いずれの元素も0.005%以上含有させることがより好ましい。また、より良好な耐延性破壊特性を得るためには、いずれの元素も含有量の上限を0.080%に限定することがより好ましい。
Tiは、TiNを形成してオーステナイト粒径を微細化する作用により、組織の微細化に有効であり、この作用によって強度、靱性を向上させる効果がある。このような効果を発揮させるためには、Tiを0.002%以上含有させる必要がある。一方、Tiを、0.20%を超えて過剰に含有させると、粗大な析出物を形成して靱性や耐延性破壊特性を劣化させるため、好ましくない。従って、Tiを含有させる場合には、その含有量を0.01〜0.20%の範囲とする。
Bは、微量で鋼材の強度を高めるのに有効な元素であり、主に強度調整のために、必要に応じて含有させる。このような強度向上効果を発揮させるためには、Bを0.0002%以上として含有させる必要がある。一方、Bを、0.0050%を超えて過剰に含有させると、溶接性や靱性を阻害するため、本発明においては、Bを含有させる場合には、0.0002〜0.0050%の範囲に限定する。
本発明においては、Nbと、これと類似の特性を有するV、Ta、Zr等の析出強化元素を含有させることは、耐食性を向上させない上に、耐延性破壊特性を劣化させるため、極力低減することが好ましい。但し、上記各元素を不純物として含むことは避けられないが、その場合でも、Nb、V、Ta、Zrの合計含有量を0.010%未満にすることがより好ましい。
Crは、強化元素であり、強度調整のために必要に応じて添加することは可能であるが、Crは局部腐食進展速度を最も加速する元素であるため、0.1%以上含有させると、原油環境における耐局部腐食性を劣化させ、かつ、固体Sの生成をやや促進させる。このため、本発明においては、Crを0.1%以上含有させることは好ましくなく、また、バラスト環境における耐食性の点でも好ましくない。従って、本発明においては、Crを意図的には含有させないか、含有させる場合でも0.1%未満に低減することが好ましい。
本発明においては、上記各理由によって化学成分組成並びに組織を規定した鋼材同士を溶接して溶接継手を形成するにあたり、該溶接継手の溶接金属におけるCu、Mo、Wの含有量を、以下に説明するように規定する。
まず、溶接継手及び母材全体での均一腐食性を高め、溶接金属、鋼材各々の耐食性を有効に発現させて溶接継手全体の耐食性を向上させるためには、溶接金属と鋼材の化学成分組成のバランスが重要である。特に、耐食性の発現に必須のCu、Mo、Wの各含有量が、溶接継手の溶接金属と鋼材との比で、まず、下記(1)、(2)式で表される関係をそれぞれ満足する必要がある。
0.15≦[Cu]W/[Cu]B≦3.00 ・・・ (1)
0.15≦([Mo]W+[W]W)/([Mo]B+[W]B)≦3.00 ・・・ (2)
但し、上記各式中、[Cu]W、[Cu]B、[Mo]W、[Mo]B、[W]W、[W]Bは、それぞれ、下記に示す溶接金属または鋼材中におけるCu、Mo、Wの各含有量を質量%で表すものである。
[Cu]W:溶接金属のCu含有量
[Cu]B:鋼材のCu含有量
[Mo]W:溶接金属のMo含有量
[Mo]B:鋼材のMo含有量
[W]W :溶接金属のW含有量
[W]B :鋼材のW含有量
ここで、Cu含有量、及び、MoとWの合計含有量については、{各々の溶接金属中の含有量/鋼材中の含有量}の関係が1に近い数値である方が、溶接金属あるいは鋼材のどちらかが選択的に腐食される可能性が小さい。このため、上記(1)、(2)式における数値は、1.50〜0.30の範囲内であることが好ましい。
−0.30≦([Cu]W−[Cu]B)≦0.50 ・・・ (3)
但し、上記(3)式中、[Cu]W、[Cu]Bについては、上記(1)、(2)式における説明と同様である。
1) 母材および溶接金属の各々の腐食電位の差が起動力となり、電池を形成して異種金属接触腐食を生じること、
2) 腐食電位の差が一定値以下の場合、異種金属接触腐食はほとんど無視できること、
3) 腐食電位の差は、溶接金属中のCuと、母材中のCuに支配的に依存すること、
が明らかとなった。
0.30≦[Cu]W/[Cu]B ≦1.50 ・・・ (4)
0.30≦([Mo]W+[W]W)/([Mo]B+[W]B)≦1.50 ・・・ (5)
但し、上記(4)、(5)式において、[Cu]W、[Cu]B、[Mo]W、[Mo]B、[W]W、[W]Bは、上記(1)、(2)式における説明と同様である。
本発明では、溶接金属の化学成分組成において、Cu、Mo、Wの各含有量が、母材との比や差が適正範囲内となる関係とされていれば、溶接材料については特に限定する必要はない。但し、本発明で規定する上記要件を達成するうえで、また、溶接金属の機械的性質を確保するうえでは、溶接材料の化学成分組成を、少なくとも、C:0.01〜0.15%、Si:0.01〜1.5%、Mn:0.3〜3.0%、P:0.2%以下、S:0.02%以下、Cu:0.005〜2%とし、かつ、Mo:0.01〜1.5%、W:0.01〜1.5%の範囲で、Mo,Wのいずれか一方、または両方を含有し、さらに必要に応じて、脱酸剤、スラグ形成剤を適正量含有し、残部が鉄および不可避不純物からなる組成とすることが好ましい。
また、溶接金属の強度、靭性、耐割れ性の調整のために、Al:0.001〜2%、Ti:0.001〜1.5%、Ni:0.01〜10%、Co:0.01〜3%、Cr:0.002〜0.5%、Nb:0.001〜0.3%、V:0.002〜1%、Ta:0.002〜1%、Zr:0.01〜0.5%、B:0.0001〜0.02%、Ca:0.001〜0.5%、REM:0.01〜0.5%、Mg:0.0005〜0.5%の1種または2種以上を溶接材料に含有させることも問題ない。
なお、上記説明における溶接材料の化学成分組成とは、SMAW溶接用では手棒全体での化学成分組成を意味し、また、サブマージアーク溶接用では、フラックスをJIS Z 3352相当とした際のCuめっきを含む溶接ワイヤ全体の化学成分組成を意味する。
本実施例においては、真空溶解または転炉によって溶製したインゴットまたは鋼片を、通常の熱間圧延(R)、あるいは水冷型の加工熱処理(TMCP)、あるいは熱間圧延後の焼きならし(N)、あるいは熱間圧延後の再加熱焼入・焼戻し(QT)により所定の強度・靭性に調整した板厚15〜50mmに製造した厚鋼板を用いた。下記表1に、本実施例で用いた鋼板の化学組成を示す。
まず、表4に示す溶接方法で作成された溶接継手から試験片を採取して、原油油槽環境を模擬した環境での継手の腐食試験を行った。この際、図1の模式図を示すように、溶接金属(WM)、溶接熱影響部(HAZ)、母材(BM)の各々を含むように、長さ80mm、幅40mm、厚さ4mmの試験片を溶接継手における鋼板表面1mmの位置から採取した。次いで、試験片全面を機械研削し、600番の湿式研磨処理の後、80mm×40mmの表の一面のみを残して端面、裏面を塗料で被覆した。そして、この試験片を、pHが0.2とされ、20mass%NaClを溶解した1体積%HCl水溶液からなる腐食液中に浸漬した。この際の浸漬条件としては、液温30℃、浸漬時間24hで実施し、溶接金属(WM)、溶接熱影響部(HAZ)、母材(BM)の各位置における最大腐食深さを測定し、腐食速度に換算(mm/年)して評価した。なお、上述した腐食液の組成は、実際の鋼構造物で局部腐食が発生する際の環境の条件を模擬したものであり、この腐食試験での腐食速度の低減に応じて、実環境で局部腐食の進展速度が低減される。
上記表2に示す鋼板から、長さ40mm、幅40mm、厚さ4mmの試験片を、鋼板の板厚1/4位置が試験片の厚さ中心になるように採取した。そして、試験片全面を機械研削し、600番の湿式研磨処理の後、40mm×40mmの表面を残して裏面と端面を塗料で被覆した。試作鋼の腐食速度、及び、固体Sを主体とするスラッジの生成速度は、図2に示すような試験装置10を用いて評価した。
下記表8に、腐食試験で使用したガスの組成を示す。
腐食試験においては、原油環境での耐食性試験と同様、上記表4に示す溶接方法で作製した溶接継手から、溶接部を中心に100mm幅×100mm長さ×原厚の腐食試験片を採取した。次いで、最終溶接ビード側のビード余盛り面を機械研削し、さらに湿式研磨を施して、継手表面を平面としたものを試験片とし、上記研削面を試験面として、それ以外の位置を樹脂でシールした。そして、試験面を下向きのまま、40℃人工海水中浸漬1週間−40℃湿度100%雰囲気保持1週間の試験を1サイクルとして、12サイクルの試験を実施した後、除錆処理を施し、選択腐食の程度を、板厚計測および目視観察で評価した。
本実施例においては、まず、機械的性質に関しては、上記表1、2に示すように、本発明の要件を満足している鋼板番号A2、A4、A8、A10の鋼板は、全て溶接構造用鋼として充分な母材特性を有していることが明らかである。
一方、鋼板組成が本発明の要件を満足していない鋼板番号B1〜B19の鋼板は、鋼板あるいは溶接継手としての特性が本発明に比べて劣っている。
鋼板番号B2は、Ni、Coのいずれもが鋼板中に実質的に含有されていないため、強度レベルの割には一様伸びがやや劣る。また、後述するように、耐食性を発現するために、少なくともいずれかが適正量で含有されている必要がある、Ni、Coのいずれもが実質的に含有されていないため、鋼板および継手の耐食性が劣り、好ましくない結果となっている。
鋼板番号B3は、耐食性を発現するために少なくともいずれかが適正量で含有されている必要がある、MoとWのいずれもが実質的に含有されていないため、後述するように、鋼板および継手の耐食性が劣る。
鋼板番号B4は、鋼板及び継手の耐食性確保のために必要なCuが実質的に含有されていないため、後述するように、鋼板および継手の耐食性が本発明の要件を満足している鋼板、溶接継手に比べてやや劣る。
鋼板番号B5は、鋼板B2と同様、Ni、Coのいずれもが実質的に含有されていないため、強度レベルの割には一様伸びがやや劣り、また、鋼板および継手の耐食性が劣り、好ましくない結果となっている。
鋼板番号B7は、C含有量が過大であるため、鋼板の靭性が本発明例に比べて著しく劣り、また、一様伸びも標準的なレベルに比べて劣っているため、本発明が目的とする、良好な耐延性破壊特性を有する構造物用としては好ましくない結果となっている。
鋼板番号B8は、Si含有量が本発明の限定範囲を超えて過大であるため、鋼板の靭性が本発明例に比べて著しく劣る。
鋼板番号B9は、Mn含有量が過大であるため、鋼板の靭性が本発明例に比べて著しく劣り、また、一様伸びも標準的なレベルに比べて劣っているため、本発明が目的とする、良好な耐延性破壊特性を有する構造物用としては好ましくない結果となっている。
鋼板番号B10は、Mo含有量が過大であるため、鋼板の靭性が劣り、また、一様伸びも強度の割に低めとなるため、鋼板として好ましくない結果となっている。また、後述するように、継手として、溶接金属と鋼板におけるMoとWに関わる含有量比を、本発明範囲内とすることが難しくなるため、この点でも好ましくない結果となっている。
鋼板番号B11は、W含有量が過大であるため、鋼板の靭性が劣り、また、一様伸びも強度の割に低めとなるため、鋼板として好ましくない結果となっている。また、後述するように、継手として、溶接金属と鋼板におけるMoとWに関わる含有量比を、本発明範囲内とすることが難しくなるため、この点でも好ましくない結果となっている。
鋼板番号B13は、S含有量が過大であるため、鋼板の靭性がやや劣り、一様伸びも劣る。加えて、後述するように、鋼板や継手の耐食性が劣り、特に、スラッジの生成が著しく増加して好ましくない結果となっている。
鋼板番号B15は、Mn含有量が過小であるため、組織が粗大化し、粒界セメンタイトも粗大化して、靭性が劣化している。
鋼板番号B16は、不純物であるPが過大に含有されているため、鋼板の靭性が劣化している。また、後述するように、耐食性もやや劣る。
鋼板番号B17は、Al含有量が過大であるため、粗大な酸化物が多く、鋼板の靭性が劣り、また一様伸びも強度の割には低く、鋼板として好ましくない結果となっている。
鋼板番号B18は、逆にAl含有量が過小であるため、焼きならしで製造された鋼板において組織が粗大となり、また、脱酸不足により、O量が多く、欠陥も生じるため、鋼板の靭性が劣り、また一様伸びも強度の割には低く、鋼板として好ましくない結果となっている。また、耐スラッジ性もやや劣る。
鋼板B19は、N含有量が過大であるため、鋼板の靭性の劣化が大きく、鋼板として好ましくない結果となっている。
一方、比較例の継手番号WB1〜WB24の溶接継手の場合は、下記に示すように、本発明の要件を満足していないために、上述したように、鋼板機械的性質が本発明例に比べて劣っているか、および/または、局部的に腐食速度が著しく大きくなっていて原油環境中における溶接継手全体としての耐食性が、本発明例に比べて著しく劣ることがわかる。
継手WB2は、鋼板、溶接金属ともに、Ni、Coが実質的に含有されていないため、Cu、Mo、Wに関わる鋼板と溶接金属との成分比、成分差の要件は満足しているにも関わらず、継手の耐食性は、溶接金属、溶接熱影響部、母材、いずれの位置でも本発明例に比べて著しく劣る。
継手WB3は、鋼板にMo、Wが実質的に含有されておらず、また、次式([Mo]W+[W]W)/([Mo]B+[W]B)で表される数値が本発明の範囲を逸脱して過大となっているため、継手において、母材、溶接熱影響部の腐食速度が極めて大きくなり、耐食性が劣る。
継手WB4は、鋼板にCuが実質的に含有されておらず、また、次式([Cu]W/[Cu]B)で表される数値が本発明の範囲を逸脱して過大となっているため、継手において、母材、溶接熱影響部の腐食速度が極めて大きくなり、耐食性が劣る。
継手WB6は、CuとMo、Wとが鋼板に実質的に含有されておらず、また、次式([Mo]W+[W]W)/([Mo]B+[W]B)と、([Cu]W/[Cu]B)で表される数値の何れもが本発明の規定範囲よりも過大であるため、継手の耐食性が、特に母材、溶接熱影響部において本発明例に比べて著しく劣る。
継手WB8も、継手B7と同様、耐食性に関わる元素の鋼板中含有量、溶接金属/鋼板成分比、成分差については本発明の要件を満足しているため、耐食性は継手の位置によらず良好である。しかしながら、鋼板のSi含有量が過大であるため、鋼板の靭性が本発明例に比べて劣り、継手としても、良好な耐延性破壊特性を有する構造物用としては好ましくない結果となっている。
継手WB9も、耐食性に関わる元素の鋼板中含有量、溶接金属/鋼板成分比、成分差については本発明の要件を満足しているため、耐食性は継手の位置によらず良好であるが、鋼板のMn含有量が過大であるため、鋼板の靭性が本発明に比べて著しく劣る。また、一様伸びも標準的なレベルに比べて劣っているため、継手としても、本発明が目的とする、良好な耐延性破壊特性を有する構造物用としては好ましくない結果となっている。
継手WB11も、耐食性に関わる元素の鋼板中含有量、溶接金属/鋼板成分比、成分差については本発明の要件を満足しているため、耐食性は継手の位置によらず良好であるが、鋼板のW含有量が過大であるため、鋼板の靭性や一様伸びが本発明例の鋼板に比べて著しく劣り、好ましくない結果となっている。
継手WB12は、鋼板のCu含有量が過大であるため、鋼板の靭性や一様伸びが劣るのに加えて、鋼板のCu含有量が溶接金属のCu含有量に比べて過大であるため、溶接金属の局部腐食が顕著に生じており、継手の耐食性にも問題が生じた例である。
継手WB13は、鋼板のS含有量が過大であるため、鋼板の靭性がやや劣り、一様伸びも劣る。また、継手のうちの母材と溶接熱影響部の腐食速度がやや大きく、継手の耐食性も劣り、好ましくない結果となっている。
継手WB15も、鋼板の組成は本発明の要件を満足しているものの、次式([Cu]W−[Cu]B)で表される数値が本発明の範囲を逸脱し、鋼板Cuが過大側にあるため、継手において、母材と溶接熱影響部の耐食性は問題ないにも関わらず、溶接金属の腐食速度が顕著に大きく、著しい選択腐食が生じ、好ましくない結果となっている。
継手WB16は、溶接材料にMo、Wが含有されていないため、溶接金属のMo+W量が鋼板のMo+W量に比べて過小となった例である。このため、次式([Mo]W+[W]W)/([Mo]B+[W]B)で表される数値が過小であり、かつ、溶接金属のCu含有量も鋼板中Cu含有量に比べて少ないため、次式([Cu]W−[Cu]B)で表される数値も過小である。この結果、継手B15と同様、継手において、母材と溶接熱影響部の耐食性は問題ないにも関わらず、溶接金属の腐食速度が顕著に大きく、著しい選択腐食が生じており、好ましくない結果となっている。
継手WB18は、鋼板中において、鋼板として必要な量のMoは含有されているもの、溶接金属中の含有量に比べて少ないため、次式([Mo]W+[W]W)/([Mo]B+[W]B)で表される数値が過大であるため、選択腐食が顕著で、溶接熱影響部の腐食速度が非常に大きい。従って、継手の耐食性としては良好とは言い難い結果となっている。
一方、比較例のうち、鋼板番号B1〜B6、並びにB13は、以下に述べるように、耐全面腐食性と耐スラッジ性に必要な要件を満足していないため、耐全面腐食性と耐スラッジ性が本発明例の鋼板に比べて著しく劣ることが、上記表6からも明らかである。
鋼板B2は、Ni、Coのいずれもが鋼板中に含有されていないため、耐全面腐食性と耐スラッジ性が本発明例の鋼板に比べて劣る。
鋼板B3は、Mo、Wのいずれもが鋼板中に実質的に含有されていないため、耐全面腐食性と耐スラッジ性が本発明例の鋼板に比べて劣る。
鋼板B4は、Cuが鋼板中に実質的に含有されていないため、耐全面腐食性と耐スラッジ性が本発明例の鋼板に比べて劣る。
鋼板B5は、Ni、Coのいずれもが鋼板中に含有されていないため、耐全面腐食性と耐スラッジ性が本発明例の鋼板に比べて劣る。
鋼板B6は、Mo、W、Cuが鋼板中に実質的に含有されていないため、耐全面腐食性と耐スラッジ性が本発明例の鋼板に比べて劣る。
鋼板B13は、鋼板中のS含有量が過大であるため、特に耐スラッジ性の劣化が顕著であり、また、耐全面腐食性もやや劣る。
鋼板B18は、鋼板のAl含有量が過小であるため、他の耐スラッジ性に関わる要件が本発明を逸脱している場合よりは、劣化は小さいものの、本発明の実施例の鋼板に比べて耐スラッジ性が劣る。
鋼材の化学組成、及び、溶接金属と鋼材との化学組成比が本発明の要件を満足している継手番号WA1〜WA18の溶接継手においては、バラスト環境を再現した腐食試験においても、溶接方法や入熱によらず、WM、HAZ、BMにわたってほぼ均一に腐食が生じている。また、その腐食速度も、耐食性発現に重要な役割を果たすCu、Mo、W、Ni、Coのいずれをも実質的に含まない比較例の継手番号WB1の母材部に比べ、確実に50%以下に低減されている。これにより、継手番号WA1〜WA18の溶接継手は、バラスト環境において優れた耐食性を示すことがわかる。従って、本発明により、バラスト環境において、継手全体として良好な耐食性が得られることが明らかである。
一方、継手番号WB1〜WB6、WB12〜WB18の継手は、バラスト環境での継手の耐食性に対して本発明の要件を満足していないために、バラスト環境における継手としての耐食性が劣っている例である。
継手WB2は、鋼板、溶接金属ともに、Ni、Coが実質的に含有されていないため、Cu、Mo、Wに関わる鋼板と溶接金属との成分比、成分差の要件は満足しているにも関わらず、継手のバラスト環境における耐食性は溶接金属、溶接熱影響部、母材、いずれの位置でも本発明例に比べて著しく劣る。
継手WB4は、鋼板にCuが実質的に含有されておらず、また、次式([Cu]W/[Cu]B)で表される数値が本発明の範囲を逸脱して過大となっているため、継手において、母材、溶接熱影響部の腐食速度が極めて大きくなり、継手のバラスト環境における耐食性が劣る。
継手WB5は、鋼板にNi、Coが実質的に含有されていないため、Cu、Mo、Wに関わる鋼板と溶接金属との成分比、成分差の要件は満足しているにも関わらず、継手のバラスト環境における耐食性は、特に母材、溶接熱影響部で本発明例に比べて著しく劣る。
継手WB6は、CuとMo、Wとが鋼板に実質的に含有されておらず、また、次式([Mo]W+[W]W)/([Mo]B+[W]B)、[Cu]W/[Cu]B)で表される数値がともに本発明の範囲よりも過大であるため、継手のバラスト環境における耐食性は、特に母材、溶接熱影響部で本発明例に比べて著しく劣る。
継手WB13は、鋼板のS含有量が過大であるため、継手のうちの母材と溶接熱影響部の腐食速度がやや大きく、継手のバラスト環境における耐食性も劣り、好ましくない結果となっている。
継手WB14は、鋼板の組成は本発明の要件を満足しているものの、耐食性に関わる元素の、溶接金属/鋼板成分比、成分差、すなわち、溶接金属の、次式([Mo]W+[W]W)/([Mo]B+[W]B)、[Cu]W/[Cu]B、([Cu]W−[Cu]B)で表される数値のいずれもが、本発明の範囲を逸脱している。このため、母材と溶接金属の腐食速度は本発明例と同等であるが、溶接熱影響部の選択腐食が著しいため、継手のバラスト環境における耐食性としては劣る。
継手WB15も、鋼板の組成は本発明の要件を満足しているものの、次式([Cu]W−[Cu]B)で表される数値が本発明の範囲を逸脱し、鋼板Cuが過大側にあるため、継手において、母材と溶接熱影響部の耐食性は問題ないにも関わらず、溶接金属の腐食速度が顕著に大きく著しい選択腐食が生じ、バラスト環境での使用は好ましくない結果となっている。
継手WB17は、鋼板及び溶接金属ともに耐食性発現に必要な元素は含有されているが、溶接金属のMo+W量が、鋼板のMo+W量に比べて充分でないため、次式([Mo]W+[W]W)/([Mo]B+[W]B)で表される数値が過小である。この結果、継手WB16と同様、継手において、母材と溶接熱影響部の耐食性は問題ないにも関わらず、溶接金属の腐食速度が顕著に大きく、著しい選択腐食が生じ、好ましくない結果となっている。
継手WB18は、鋼板中において、鋼板として必要な量のMoは含有されているもの、溶接金属中の含有量に比べて少ないため、次式([Mo]W+[W]W)/([Mo]B+[W]B)で表される数値が過大である。このため、選択腐食が顕著で、溶接熱影響部の腐食速度が非常に大きいことから、継手のバラスト環境における耐食性としては良好とは言い難い結果となっている。
なお、継手WB19、WB21は、各々、鋼板のSi量が過小、または、P量が過大であるため、鋼板とHAZの選択腐食がやや進行しており、バラスト環境の腐食試験においても、耐局部腐食特性は本発明の実施例の鋼板に比べてやや劣る結果となっている。
Claims (5)
- 質量%で、
C :0.001〜0.20%、
Si:0.01〜2.50%、
Mn:0.1〜2.0%、
P :0.03%以下、
S :0.02%以下、
Cu:0.01〜0.314%、
Al:0.001〜0.30%、
N :0.001〜0.010%
をそれぞれ含有し、
かつ、Nb、V、Ta、Zrの合計含有量を0.010%未満にし、
さらに、
Mo:0.01〜0.20%、
W :0.01〜0.30%
の内の1種または2種を含有し、さらに、
Co:0.10〜3.0%
を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼材同士が溶接されて形成され、原油油槽をなす原油油槽用溶接継手であって、
当該原油油槽用溶接継手の溶接金属におけるCu、Mo、Wの各含有量が、それぞれ下記(1)〜(3)式で表される関係を満足することを特徴とする、耐食性と耐延性破壊特性に優れた原油油槽用溶接継手。
0.15≦[Cu]W/[Cu]B≦3.00 ・・・ (1)
0.15≦([Mo]W+[W]W)/([Mo]B+[W]B)≦3.00 ・・・ (2)
−0.30≦([Cu]W−[Cu]B)≦0.50 ・・・ (3)
{但し、上記(1)〜(3)式において、[Cu]W、[Cu]B、[Mo]W、[Mo]B、[W]W、[W]Bは、それぞれ、下記に示す溶接金属または鋼材中におけるCu、Mo、Wの各含有量を質量%で表すものである}
[Cu]W:溶接金属のCu含有量
[Cu]B:鋼材のCu含有量
[Mo]W:溶接金属のMo含有量
[Mo]B:鋼材のMo含有量
[W]W :溶接金属のW含有量
[W]B :鋼材のW含有量 - さらに、前記溶接金属におけるCu、Mo、Wの各含有量が、それぞれ下記(4)、(5)式で表される関係を満足することを特徴とする、請求項1に記載の耐食性と耐延性破壊特性に優れた原油油槽用溶接継手。
0.30≦[Cu]W/[Cu]B ≦1.50 ・・・ (4)
0.30≦([Mo]W+[W]W)/([Mo]B+[W]B)≦1.50 ・・・ (5)
{但し、上記(4)、(5)式において、[Cu]W、[Cu]B、[Mo]W、[Mo]B、[W]W、[W]Bは、それぞれ、下記に示す溶接金属または鋼材中におけるCu、Mo、Wの各含有量を質量%で表すものである}
[Cu]W:溶接金属のCu含有量
[Cu]B:鋼材のCu含有量
[Mo]W:溶接金属のMo含有量
[Mo]B:鋼材のMo含有量
[W]W :溶接金属のW含有量
[W]B :鋼材のW含有量 - 前記鋼材が、さらに、質量%で、
Ni:0.10〜3.0%
を含有することを特徴とする、請求項1または2に記載の耐食性と耐延性破壊特性に優れた原油油槽用溶接継手。 - 前記鋼材が、さらに、質量%で、
Sb:0.01〜0.30%、
Sn:0.01〜0.30%、
Pb:0.01〜0.30%、
As:0.01〜0.30%、
Bi:0.01〜0.30%、
Se:0.01〜0.30%
の内の1種または2種以上を含有することを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の耐食性と耐延性破壊特性に優れた原油油槽用溶接継手。 - 前記鋼材が、さらに、質量%で、
Ti:0.002〜0.20%、
B:0.0002〜0.0050%
の内の1種または2種を含有することを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の耐食性と耐延性破壊特性に優れた原油油槽用溶接継手。
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