JP4506244B2 - 原油タンク底板用鋼材 - Google Patents

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本発明は、オイルタンカーの油倉、原油を輸送するためタンクまたは原油を貯蔵するためのタンク(以下、まとめて「原油タンク」と総称する)の底板(以下「原油タンク底板」と総称する)に好適な原油タンク底板用鋼材、特にプライマー塗布状態で使用した場合に、原油タンク底板で発生する局部腐食を低減することができる「原油タンク底板用鋼材」に関する。なお、本発明でいう原油タンク底板用鋼材とは、厚鋼板、薄鋼板、形鋼を含むものである。
従来、原油そのものの腐食抑制作用や原油タンクの内面に生成される保護的なフィルム(以下「原油保護フィルム」と称す)の腐食抑制作用により、原油タンクの底板に使用される鋼材に腐食は生じないと考えられていた。ところが、最近、タンク底板において鋼材にお椀型の局部腐食が発生することが明らかになった。かかる局部腐食の原因として、
(1)過剰な洗浄による原油保護フィルムの離脱、(2)原油中の硫化物の高濃度化、
(3)原油タンク内に防爆用に封入されるイナートガス(O2約5vol%、CO2約13vol%、SO2約0.01vol%、残部N2を代表組成とするエンジンの排ガス)中の、O2、CO2、SO2の高濃度化、(4)微生物の関与などの項目が挙げられているが、いずれも推定の域を出ず、未だ明確な原因は判明していない。
腐食を抑制する最も有効な方法は、鋼材表面に重塗装を施し、鋼材を腐食環境から遮断する方法であるが、原油タンクヘの塗装はその塗布面積が膨大であり、また約10年に1度は塗り替えが必要となるため、多大な初期費用および補修費用がかかること、また、重塗装では塗膜損傷部分でかえって腐食が助長されるという問題があった。
一方、鋼材側からの対策としては、船舶外板、バラストタンク、カーゴオイルタンク、鉱炭船カーゴホールド等の使用環境で耐食性を有する造船用耐食鋼が提案されている。該造船用耐食鋼は、重量%で、C:0.01〜0.25%と、Si、Mn、P、Sを適正量に調整した上で、さらにCu:0.01〜2.00%、Al:0.005〜0.10%、Mg:0.0002〜0.0150%を含有するものであって、鋼材の耐食性および耐局部腐食性が向上するとしている(例えば、特許文献1参照)。
特開2000−17381号公報(3−4頁、表1)
しかしながら、前記造船用耐食鋼は原油タンク底板に使用された場合、局部腐食に対する抵抗性(以下「耐局部腐食性」と称す)が、安定して十分に発揮されないという問題があった。このため、原油タンク底板に使用される場合であっても、耐局部腐食性が更に向上した鋼材の開発が要望されている。
本発明は上記課題を解決するためのものであり、プライマー塗布状態で使用した場合、優れた耐局部腐食性を有する、原油タンク底板用鋼材を提供することを目的とする。
本発明者等は、前記課題を達成するため、まず、原油タンク底板の局部腐食に関与する因子の抽出を行い、それらの因子の組み合わせによる実験室レベルの腐食試験を行った。その結果、実際の原油タンク底板で生じるものと同じ形態の局部腐食の再現に成功し、原油タンク底板で生じる局部腐食の支配因子および腐食機構を明確にした。
すなわち、実際の原油タンク底板で発生するお椀型の局部腐食は、液中に含まれるO2およびH2Sが特に局部腐食の支配因子として働くことが明らかになった。
具体的には、酸素(O2)とH2S(硫化水素)とが共存し、且つ、O2分圧およびH2S分圧の両方が低い環境下(O2分圧2〜8%のO2ガスと、H2S分圧5〜20%のH2Sガスとを含む水溶液中)で生じることが明らかになった。つまり、低O2分圧および低H2S分圧の環境下で、まず鋼材表面に強固な腐食生成皮膜が形成され、この腐食生成皮膜がクロール(Cl)の存在下で部分的に破壊されて、局部腐食が発生するのである。
一方、O2とH2Sとが共存し、試験液中の両者の含有量が高い場合は大きな全面腐食が発生するものの、局部腐食は発生しない。
また、O2またはH2Sの一方のみ含む試験液、たとえば、O2を含みH2Sを含まない試験液(O2分圧約21%のガスのみを含んだ水溶液)、もしくはO2を含まないでH2Sを含んだ試験液(H2S分圧100%のガスのみを含んだ水溶液)中では、局部腐食は発生しない。
そこで、本発明者等は、前記低O2分圧および低H2S分圧の環境下で局部腐食の発生に及ぼす各種合金元素の影響を、鋭意実験を重ねて調べ、その結果、プライマー塗布状態で使用した場合、主にCu、NiおよびMoの含有量を適正化することにより、耐局部腐食性に優れた原油タンク底板用鋼材が得られることを見出した。
本発明は、前記知見に基づき、さらに検討を加えて完成されたものである。すなわち、
(1)本発明の原油タンク底板用鋼材は、プライマー塗布状態で使用する原油タンク底板用鋼材において、mass%で、C:0.001〜0.16%、Si:0.01〜1.5%、Mn:0.1〜2.5%、P:0.05%以下、S:0.01%以下、Cu:0.15〜1.4%、Al:0.005〜0.5%、W:0.001〜0.5%、を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成を有し、
下記の式(1)で表されるPcmの値が0.24以下であることを特徴とする、原油の輸送タンクまたは原油の貯蔵タンクの底板に用いられる、母材および溶接部に優れた耐局部腐食性を有する原油タンク底板用鋼材。
Pcm=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60+Cr/20+Mo/15+V/10+5B ・・・式(1)
ただし、元素記号はそれぞれの元素のmass%を示す。
(2)また、前記化学成分に加えて、mass%で、Ni:0.01〜0.7%(ただし、Ni:0.1%以上は除く)、Mo:0.001〜0.5%のうちのいずれか1種または2種を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成を有し、
下記の式(1)で表されるPcmの値が0.24以下であることを特徴とする、原油の輸送タンクまたは原油の貯蔵タンクの底板に用いられる、母材および溶接部に優れた耐局部腐食性を有する原油タンク底板用鋼材。
Pcm=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60+Cr/20+Mo/15+V/10+5B ・・・式(1)
ただし、元素記号はそれぞれの元素のmass%を示す。
(3)また、更に前記(1)または(2)の化学成分に加えて、さらに、mass%で、Sn:0.005〜0.3%、Sb:0.005〜0.3%、Nb:0.005〜0.1%、V:0.005〜0.1%、Ti:0.005〜0.1%、B:0.01%以下のうち、いずれか1種または2種以上を含むことを特徴とする原油タンク底板用鋼材。
(4)また、前記化学成分(1)、(2)乃至(3)の何れかの鋼材に、さらに、塗布するジンクプライマーの厚さが15μ以上であることを特徴とする原油タンク底板用鋼材。
本発明の原油タンク底板用鋼材の化学組成限定理由について説明する。なお、以下、mass%は、単に%と記す。
[C:0.001〜0.16%]
Cは、鋼材の強度を増加させる元素であり、本発明では所望の強度を得るために、0.001%以上の含有を必要とする。一方、0.16%を超える含有は、溶接性および溶接熱影響部の靭性を劣化させる。このため、Cは0.001〜0.16%の範囲に限定した。なお、強度、靭性の観点から好ましくは0.01〜0.15%である。
[Si:0.01〜1.5%]
Siは、脱酸剤として作用するとともに、強度を増加させる元素であり、本発明では0.01%以上の含有を必要とするが、1.5%を超える含有は、鋼の靭性を劣化させる。このため、Siは0.01〜1.5%の範囲に限定した.
[Mn:0.1〜2.5%]
Mnは、鋼材の強度を増加させる元素であり、本発明では所望の強度を得るために、0.1%以上の含有を必要とする。一方、2.5%を超えるような含有は、鋼の靭性および溶接性を低下させる。このため、Mnは0.1〜2.5%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.5〜1.5%、より好ましくは0.8〜1.2%である。
[P:0.05%以下]
Pは、粒界に偏析して鋼の靭性を低下させる有害な元素であり、できるだけ低減するのが好ましいが、0.05%を超えて含有すると靭性が顆著に低下する。このため、Pは0.05%以下に限定した。なお、0.005%未満の低減は製造コストの増大を招くので、Pは0.005〜0.05%とするのが好ましい。
[S:0.01%以下]
Sは、非金属介在物のMnSを形成して局部腐食の起点になって耐局部腐食性を低下させる有害な元素であり、できるだけ低減するのが好ましいが、0.01%を越える含有は耐局部腐食性の顕著な低下を招く。このため、Sは0.01%以下に限定した。なお、0.003%未満の低減は製造コストの増大を招くので、Sは0.003〜0.01%とするのが好ましい。
[Cu:0.15〜1.4%]
Cuは局部腐食の成長を抑制するとともに、プライマー併用時に局部腐食の発生を抑制する作用があり、添加が必須な元素である。なお、0.15%よりも少ないと効果がなく、1.4%を越えると効果が飽和するので、Cuは0.15〜1.4%の範囲に限定した。
[Ni:0.01〜0.7%]
Niは、低温靭性を向上させるとともに、プライマー併用時に鋼材表面に形成される腐食生成物を緻密化して保護性を強化する作用があり、必要に応じて添加することができる。0.01%以上含まれると酸性環境における腐食量低減効果が期待できるが、0.7%を超えるとその効果が飽和するとともにコスト上昇となるため、Niは0.01〜0.7%の範囲に限定した。
[Mo:0.001〜0.5%]
Moは、CuおよびNiと共に添加して耐局部腐食性を向上させるとともに、プライマー併用時に鋼材表面に形成される腐食生成物を緻密化して保護性を強化する作用があり、必要に応じて添加することができる。0.001%以上含まれると酸性環境における腐食量低減効果が期待できるが、0.5%を超えるとその効果が飽和するため、
Moは0.001〜0.5%の範囲に限定した。
[Al:0.005〜0.5%]
Alは、脱酸剤として作用する元素であり、本発明では0.005%以上の含有を必要とする.一方、0.5%を超えて含有すると、鋼の靭性が低下する.このため、Alは0.005〜0.5%の範囲に限定した.なお、好ましくは、0.01〜0.05%である。
[Sn:0.005〜0.3%]
Snの添加は、耐食性の向上に有効である.しかし、0.005%以下の添加では効果がなく、0.3%以上の添加では効果が飽和するので、Snは、0.005〜0.3%に限定した。
[Sb:0.005〜0.3%]
Sbの添加は、耐食性の向上に有効である.しかし、0.005%以下の添加では効果がなく、0.3%以上の添加では加工性が劣化するため、Sbは、0.005〜0.3%に限定した。
[Nb:0.005〜0.1%]
Nbは、必要に応じて、強度向上を目的に添加する元素であるが、0.005%以下では強度向上への効果がなく、0.1%以上では靭性が劣化するため、Nbは、0.005〜0.1%に限定した。
[V:0.005〜0.1%]
Vは、必要に応じて、強度向上を目的に添加する元素であるが、0.005%以下では強度向上への効果がなく、0.1%以上では靭性が劣化するため、Vは、0.005〜0.1%に限定した。
[Ti:0.005〜0.1%]
Tiは、必要に応じて、強度および靭性の向上を目的に添加する元素であるが、0.005%以下では効果がなく、0.1%以上では効果が飽和するため、Tiは、0.005〜0.1%に限定した。
[W:0.001〜0.5%]
Wは、耐局部腐食性を向上させる作用があり、必要に応じて添加することができる.0.001%以上含まれると酸性環境における腐食量低減効果が期待できるが、0.5%を超えるとその効果が飽和するため、Wは0.001〜0.5%の範囲に限定した。
[B:0.01%以下]
Bは、必要に応じて、強度向上を目的に添加する元素であるが、0.01%以上では靭性が劣化するため、Bは、0.01%以下に限定した.
本発明の鋼材では、上記した成分以外の残部はFeおよび不可避的不純物である。なお、不可避的不純物としては、Cr:0.05%以下、N:0.007%以下、0:0.008%以下が許容できる。
[Pcm値:0.24以下]
以上の各元素に対する制限を設けたうえで、
Pcm=C+Si/30+Mn/20+Cr/20+Cu/20+Ni/60+Mo/15+V/10+5B・・・式(1)
で表されるPcm値について、0.24以下と規定する。これは溶接割れ感受性を示す特性値であり、この値が0.24を超えると溶接時の低温割れ発生率が著しく高くなるため、0.24以下に保持することが必要である。
本発明における化学成分の内、上記の化学成分以外の残部が実質的にFeである。ここで、「残部が実質的にFeである」とは、本発明の作用効果を無くさない限り、不可避的不純物をはじめ、他の微量元素を含有するものが本発明の範囲に含まれ得ることを意味する。たとえば、不可避的不純物として、Cr:0.05%以下、N:0.007%以下、0:0.008%以下が許容できる。
上記の化学成分の鋼は、通常の鋼と同様の方法で製造できる。例えば、鋼の溶製では、転炉等で主要5元素C,Si,Mn,P,Sを発明の範囲に調節するとともに、必要に応じてその他の合金元素を添加する。
その後、連続鋳造等により得られた鋳片をそのままあるいは冷却後、圧延を行う。圧延条件については、耐食鋼としては特に条件を問わないが、機械的特性の観点からは適切な圧下比を確保する必要がある。
圧延の際、熱間圧延後の冷却速度を制御すると、引張強さ490N/mm2級以上の高強度鋼材とすることができる。例えば、熱間圧延の仕上げ温度を750℃以上とし、その後2℃/sec以上の冷却速度で600℃以下まで冷却する。仕上げ温度が750℃未満では変形抵抗が大きくなり形状不良が発生しやすくなるため好ましくない。冷却速度が2℃/sec未満もしくは冷却停止温度が600℃を超える場合には、490N/mm2級以上の引張強さが得られない。
ジンクプライマーを塗布することにより耐孔食性が向上する。塗布量を15μm以上にすると耐孔食性が格段に向上するので好ましい。耐孔食性の点からは上限は設けないが、ジンクプライマーが厚くなると効果が飽和するとともに、切断性や経済性が悪くなるため上限は100μmの範囲が好ましい。
[腐食試験]
図1は、本発明の実施形態に係る原油タンク底板用鋼材の耐局部腐食性を確認するために用いた腐食試験装置の構成図である。図1において、腐食試験装置は、腐食試験槽2、恒温槽3の二重型の装置であって、腐食試験槽2には実際の原油タンク底板で生じる局部腐食と同様の局部腐食を発生することが可能な試験液が注入されている(以下「試験液6」と称す)。
試験液6は、ASTMDl141に規定される人工海水を試験母液とし、該試験母液に5%O2+10%H2Sの分圧比に調整した混合ガスを導入したものを使用した。混合ガスのバランス調整用の不活性ガスとして、N2ガスを用いた。該不活性ガスによって調整された前記混合ガスを導入ガス4と称す。
また、試験液6の温度は、恒温槽3に入れた水7の温度を調整することにより50℃に保持した。
表1に示す化学成分を有する溶鋼1〜47を転炉で溶製し、連続鋳造法により厚さ200mmのスラブとした。これらスラブを、1200℃に加熱し、仕上げ圧延終了温度800℃の熱間圧延を施し、15mm厚の鋼板とした。溶鋼1〜47に対応した鋼板を、それぞれ鋼板1〜47と称す。
そして、鋼板1〜47(それぞれの化学成分を有する)から試験片1〜47(15mm厚×50mm幅×50mm長さ)を切り出した。切り出した試験片1〜47について溶接性の評価を行った。その結果を表1に合わせて示す。鋼板の成分が、Pcm値0.24以下のものは溶接時に割れが生じずに溶接性が良好である。
Figure 0004506244
また、溶接性の評価に用いた試験片No.1〜47からPcmの式を満足する(0.24以下)試験片である鋼板No.2、7、16、21、23、28、34、37、39および43の試験片表面に対し、無機系ジンクプライマーを塗布しないものと、無機系ジンクプライマーの厚さを3種類に変更して塗布したものを作成した。
そして、これらの試験片を腐食試験装置の試験液6中に1ヶ月間浸漬する腐食試験を行った。このとき、導入ガス4が連続して供給されるから、試験液6は静止していない。そして、試験後、試験片表面に生成した錆を除去し、腐食形態を目視で観察するとともにディップメーターで局部腐食深さを測定した。それらの結果を表2に示す。
表2において、局部腐食の発生状況を孔食発生なしを◎、孔食が発生するが、孔食深さが0.5mm未満のものを○、孔食深さが1mm以上を×として、評価した。
すなわち、Pcmの式を満足する(0.24以下)試験片である原油タンク底板用鋼材で無機系ジンクプライマーを塗布したものは耐孔食性評価が○以上で良好である。また、15μ以上塗布をしたものは耐孔食性評価が◎で格段向上する。それに比較して、無機系ジンクプライマーを塗布していないものは×で耐孔食性に劣る。よって、本発明鋼(鋼板No.34)は、無機系ジンクプライマーの塗布により良好な耐局部腐食性を具備することが確認されている。
一方、さらに、比較鋼である鋼板成分(試験片の化学成分に同じ)としてCuを含まれない鋼板No.37、39および43は無機系ジンクプライマーを塗布しているにもかかわらず、×で耐孔食性が劣ることから、無機系ジンクプライマーの塗布による耐局部腐食性が認められていない。
Figure 0004506244
以上から、本発明の原油タンク底板用鋼材に無機系ジンクプライマーを塗布したものには優れた耐局部腐食性が認められ、局部腐食が発生する場合であってもその深さは最高0.5mm以下に抑えれていることがわかる。一方、無機系ジンクプラ-マーを塗布しないものは、1mm以上の深さの局部腐食発生が見られる。よって、本発明の原油タンク底板用鋼材は、無機系ジンクプライマーとの併用によって耐局部腐食性が向上していると言える。
以上のように本発明によれば、オイルタンカーの油倉、原油を輸送するためタンクまたは原油を貯蔵するためのタンク等を構成する各種容器の底板(プライマーを併用している)として、広く安価に利用することができる。
原油タンク底板用鋼材の耐局部腐食性を確認するために用いた腐食試験装置の構成図である。
符号の説明
1:試験片
2:腐食試験槽
3:恒温槽
4:導入ガス
5:排出ガス
6:試験液
7:水

Claims (4)

  1. プライマー塗布状態で使用する原油タンク底板用鋼材において、化学成分として、mass%で、C:0.001〜0.16%、Si:0.01〜1.5%、Mn:0.1〜2.5%、P:0.05%以下、S:0.01%以下、Cu:0.15〜1.4%、Al:0.005〜0.5%、W:0.001〜0.5%、を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成を有し、
    下記の式(1)で表されるPcmの値が0.24以下であることを特徴とする、原油の輸送タンクまたは原油の貯蔵タンクの底板に用いられる、母材および溶接部に優れた耐局部腐食性を有する原油タンク底板用鋼材。
    Pcm=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60+Cr/20+Mo/15+V/10+5B ・・・式(1)
    ただし、元素記号はそれぞれの元素のmass%を示す。
  2. 請求項1の記載の化学成分に加えて、mass%で、Ni:0.01〜0.7%(ただし、Ni:0.1%以上は除く)、Mo:0.001〜0.5%のうちのいずれか1種または2種を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成を有し、
    下記の式(1)で表されるPcmの値が0.24以下であることを特徴とする、原油の輸送タンクまたは原油の貯蔵タンクの底板に用いられる、母材および溶接部に優れた耐局部腐食性を有する原油タンク底板用鋼材。
    Pcm=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60+Cr/20+Mo/15+V/10+5B ・・・式(1)
    ただし、元素記号はそれぞれの元素のmass%を示す。
  3. 請求項1又は2の記載の化学成分に加えて、さらに、mass%で、Sn:0.005〜0.3%、Sb:0.005〜0.3%、Nb:0.005〜0.1%、V:0.005〜0.1%、Ti:0.005〜0.1%、B:0.01%以下のうち、いずれか1種または2種以上を含むことを特徴とする原油タンク底板用鋼材。
  4. さらに塗布するジンクプライマーの厚さ15μm以上であることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の原油タンク底板用鋼材。
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