JP2010229526A - 高耐食性塗装鋼材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】質量%で、C:0.01〜0.25%、Si:0.05〜0.50%、Mn:0.1〜2.0%、P:0.035%以下、S:0.01%以下、Al:0.10%以下、Ti:0.005〜0.030%、N:0.0010〜0.0070%を含有し、さらに、W:0.01〜0.5%、Mo:0.02〜0.5%の中から選ばれる1種または2種を含有し、さらに、Sn:0.001〜0.2%、Sb:0.01〜0.2%の中から選ばれる1種または2種を含有し、且つCu、Ni、CrおよびCoの混入量を、それぞれ0.20%未満とし、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼材の表面に、付着量でZnを5〜30g/m2、Wを0.05〜10g/m2含むジンクプライマー塗膜を形成したことを特徴とする耐食性に優れるジンクプライマー塗布耐食鋼材。
【選択図】なし
Description
本発明は上記の知見に基づき、さらに検討を加えてなされたもので、その要旨は以下のとおりである。
はじめに、本発明の鋼材の化学成分を規定した理由について説明する。なお、成分%は、全て質量%を意味する。
Cは、鋼材強度を上昇させるのに有効な元素であり、本発明では所望の強度を得るために0.01%以上の含有を必要とする。一方、0.25%を超える含有は、溶接熱影響部の靭性を低下させる。よって、C量は0.01〜0.25%の範囲とする。なお、好ましくは、0.03〜0.20%の範囲であり、さらに好ましくは、0.05〜0.16%の範囲である。
Siは、脱酸剤として、また、鋼材の強度を高めるために添加される元素であり、本発明では、0.05%以上を含有させる。しかしながら、0.50%を超える添加は、鋼の靭性を劣化させるので、Si量の上限は0.50%とする。
Mnは、熱間脆性を防止し、鋼材の強度を高める効果がある元素であり、0.1%以上添加する。しかしながら、2.0%を超えるMnの添加は、鋼の靭性および溶接性を低下させるため、Mn量は0.1〜2.0%の範囲とする。好ましくは、0.9〜1.6%の範囲である。
Pは、鋼の母材靭性、さらに溶接性および溶接部靭性を劣化させる有害な元素であり、できるだけ低減するのが好ましい。特に、Pの含有量が0.035%以下を超えると、母材靭性および溶接部靭性の低下が大きくなる。よって、P量は0.035%以下以下とする。好ましくは、0.025%以下である。
Sは、鋼の靭性および溶接性を劣化させる有害元素であるので極力低減することが望ましい。特に、Sの含有量が0.01%を超えると、母材靭性および溶接部靭性の低下が大きくなる。よって、S量は0.01%以下とする。好ましくは、0.006%以下である。
Alは、脱酸剤として添加するが、0.10%を超える含有は、溶接部靭性に悪影響を及ぼすので、Al量は0.10%以下に制限した。
Tiは、Nとの親和力が強くTiNとして析出して、溶接熱影響部でのオーステナイト粒の粗大化を抑制し、あるいはフェライト生成核として溶接熱影響部の高靭性化に寄与する。このような効果は、0.005%以上の含有で認められるが、0.030%を超えて含有するとTiN粒子が粗大化して前記効果が期待できなくなる。このため、Ti量は0.005〜0.030%の範囲とする。
Nは、Tiと結合してTiNとして析出して,溶接熱影響部でのオーステナイト粒の粗大化を抑制し、あるいはフェライト生成核として溶接熱影響部の高靭化に寄与する。このような効果を有するTiNの必要量確保するためにはN量は0.0010%以上含有する必要がある。一方、0.0070%を超えて含有すると、溶接熱によってTiNが溶解する温度まで加熱される領域では固溶N量が増加し、靭性の著しい低下を招く。このため、N量は0.0010〜0.0070%の範囲とする。
Wは、本発明の鋼材においては、最も重要な耐食性向上元素の1つである。上記効果は、W量が0.01%以上の含有で発現する。しかし、0.5%を超えると、鋼の靭性に悪影響を及ぼす。よって、W量は0.01〜0.5%の範囲とする。
Sn、Sbは、耐食性を向上させる効果がある。Sn、Sbの本効果は、鋼板表面のアノード部など、pHが下がった部位での腐食を抑制するためである。この効果は、Snで0.001%以上の含有で、Sbで0.01%以上の含有で発現するが、0.2%超えでは、母材靭性およびHAZ部靭性を劣化させるため、Sn量は0.001〜0.2%、Sb量は0.01〜0.2%の範囲が好ましい。
Cu、Ni、Cr、Coは長期塗装耐食性を劣化させるため、これらの含有量をできるだけ低減するのが好ましい。しかしながら、スクラップ等を使用した場合の不可避的不純物としての混入が避けられない元素である。そこで、本発明者らは、これらの元素の許容範囲について検討したところ、Cu、Ni、Cr、Co量はいずれも0.20%未満であれば、塗装耐食性に対する悪影響がほとんどなく、許容できることが判明した。より好ましくは、いずれも0.15%以下、さらに好ましくは0.10%以下である。
Nb、Zr、Vは、いずれも、鋼材強度を高める元素であり、必要とする強度に応じて選択して含有することができる。このような効果を得るためには、Nb、Zrはそれぞれ0.001%以上、Vは0.002%以上含有することが好ましい。しかし、Nb、Zrは0.1%、Vは0.2%を超えて添加すると、靭性が低下するため、 Nb、Zr、Vは、上記値を上限として添加するのが好ましい。
Caは、硫化物の形態を制御して鋼の溶接部靭性向上に寄与する元素である。このような効果を発揮させるためには、少なくとも0.0005%含有することが必要である。一方、0.0030%を超えて含有しても、その効果は飽和する。このため、Ca量は0.0005〜0.0030%の範囲とする。
Bは、鋼材の強度を高める元素であり、必要に応じて含有することができる。上記効果を得るためには、0.0002%以上含有することが好ましいが、0.003%を超えて添加すると、靭性が劣化する。よって、B量は0.0002〜0.003%の範囲とするのが好ましい。
REM、Mg、Yは、いずれも、溶接熱影響部の靭性向上に効果のある元素であり、必要に応じて選択して含有することができる。この効果は、REM:0.0001%以上、Mg:0.0001%以上、Y:0.0001%以上の含有で得られるが、REM:0.015%を超えて、Mg:0.01%を超えて、Y:0.1%を超えてそれぞれ含有させると、却って靭性の低下を招くので、REM、Mg、Yの量は、それぞれ上記の値を上限とするのが好ましい。
本発明の鋼材において、上記以外の成分は、Feおよび不可避的不純物である。但し、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、上記以外の成分の含有を拒むものではない。
次に,本発明鋼材の製造方法について説明する。
上記した好適成分組成になる溶鋼を、転炉、電気炉等の公知の方法で溶製し、連続鋳造法や造塊法等の公知の方法でスラブやビレット等の鋳素材とする。なお、溶製に際して、真空脱ガス精錬等を実施してもよい。溶鋼の成分調整方法は、公知の鋼精錬方法に従えばよい。
なお、熱間圧延では、強度を確保するために、熱間仕上圧延終了温度および熱間仕上圧延終了後の冷却速度、冷却停止温度を適正化することが好ましく、熱間仕上圧延終了温度を700℃以上、熱間仕上圧延終了後の冷却は、空冷または冷却速度150℃/s以下の加速冷却を行うことが好ましい。加速冷却する場合の冷却停止温度は300〜600℃の範囲とすることが好ましい。なお、冷却後、再加熱処理を施してもよい。
次に,上記鋼材の表面に形成するジンクプライマーについて説明する。
Znは、犠牲防食により塗布した鋼板の耐食性を著しく改善する元素である。この効果を得るためには、鋼材の表面に形成した塗膜中に含まれるZnは5g/m2以上であることが必要である。一方、Znの含有量は,犠牲防食による耐食性改善の観点からは、多ければ多いほど好ましいが、30g/m2より多くなると,溶接性や溶断性などの基本特性が劣化するため、上限は30g/m2とする必要がある。
Wは、上記したように、溶解によりWO4 2−を生成し、このWO4 2−の存在によって、塩化物イオンが鋼板表面に侵入するのが抑制され、さらに、難溶性のFeWO4が生成し、このFeWO4の存在によっても、塩化物イオンの鋼板表面への侵入が抑制され、塩化物イオンの鋼板表面への侵入が抑制されることによって、鋼板の腐食を効果的に抑制する元素である。鋼へのW添加は、多すぎると鋼靭性への悪影響があるため、その上限は制限される。そこで、ジンクプライマー中に添加することとした。ジンクプライマー中への添加下限は0.05g/m2としたが、これは、ジンクプライマー中でWを均一に分散させるための最低限必要な量である。一方、ジンクプライマー中に10g/m2を超えて含有させると、ジンクプライマー膜の鋼板への密着性が低下する。そこで、上限を10g/m2とした。
Claims (6)
- 質量%で、C:0.01〜0.25%、Si:0.05〜0.50%、Mn:0.1〜2.0%、P:0.035%以下、S:0.01%以下、Al:0.10%以下、Ti:0.005〜0.030%、N:0.0010〜0.0070%を含有し、さらに、W:0.01〜0.5%、Mo:0.02〜0.5%の中から選ばれる1種または2種を含有し、さらに、Sn:0.001〜0.2%、Sb:0.01〜0.2%の中から選ばれる1種または2種を含有し、且つCu、Ni、CrおよびCoの混入量を、それぞれ0.20%未満とし、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼材の表面に、付着量でZnを5〜30g/m2、Wを0.05〜10g/m2含むジンクプライマー塗膜を形成したことを特徴とする耐食性に優れるジンクプライマー塗布耐食鋼材。
- 前記鋼材成分に、さらに、質量%で、Nb:0.001〜0.1%、Zr:0.001〜0.1%、V:0.002〜0.2%の中から選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1記載の耐食性に優れるジンクプライマー塗布耐食鋼材。
- 前記鋼材成分に、さらに、質量%で、Ca:0.0005〜0.0030%を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の耐食性に優れるジンクプライマー塗布耐食鋼材。
- 前記鋼材成分に、さらに、質量%で、B:0.0002〜0.003%を含有することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の耐食性に優れるジンクプライマー塗布耐食鋼材。
- 前記鋼材成分に、さらに、質量%で、REM:0.0001〜0.015%、Mg:0.0001〜0.01%、Y:0.0001〜0.1%の中から選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の耐食性に優れるジンクプライマー塗布耐食鋼材。
- 前記ジンクプライマー塗布鋼材の表面に、さらにエポキシ樹脂塗膜を形成することを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の耐食性に優れるジンクプライマー塗布耐食鋼材。
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