JPWO2012004875A1 - ラン科植物から分離した新規物質、これを含む抽出物、抗酸化剤、抗菌剤、抗癌剤及び抗炎症剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】副作用を起こすことなく、有効な抗酸化作用を有する抗酸化剤を提供する。【解決手段】下記式(1)で示される新規物質。
Description
本発明は、ラン科植物から分離した新規物質、これを含む抽出物、抗酸化剤、抗菌剤、抗癌剤及び抗炎症剤に関する。
一重項酸素、過酸化水素、スーパーオキシドアニオン、ヒドロキシラジカル等の活性酸素は、化学反応がおこりやすい酸素であり、通常の酸素と比べて非常に強い酸化力を示す。活性酸素は日常生活の中で発生しており、例えば息をすることによって空気中から取り入れた酸素が体内で変質することにより生成される。活性酸素は、体内の酵素反応を促進させたり、強力な力で殺菌して病気を予防したりと、体にとって大切な作用を持っている。
しかしながら、紫外線、ストレス、喫煙、激しい運動等の要因によって、活性酸素が体内で過度に発生すると、過剰な活性酸素は細胞に損傷を与え、脂質、たんぱく質、DNAなどに影響し、皮膚のしわやシミ、白内障、網膜炎、認知症等の老化促進、癌、動脈硬化等の生活習慣病の原因になるといわれている。
この過剰な活性酸素の酸化反応を抑制する抗酸化剤に関して、従来より種々の研究・開発がなされている。合成化合物の抗酸化剤として、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)やブチルヒドロキシアニソール(BHA)などが知られているが、このような合成化合物は発がん性があり好ましくない。
そこで、天然由来の抗酸化剤として、脂溶性のトコフェロール(ビタミンE)、カロチノイド、水溶性のアスコルビン酸(ビタミンC)などが知られている。このような天然由来の抗酸化剤は身体に安全であるため、開発が盛んに行われている(例えば特許文献1及び特許文献2参照)。
しかしながら、従来の天然由来の抗酸化剤は、身体への安全性はあっても抗酸化作用の効果が十分でない点で課題がある。
本発明は、上記に鑑み、副作用を起こすことなく、有効な抗酸化作用を有する抗酸化剤を提供することを目的とする。
本発明者は上記目的を達成するため鋭意研究の結果、ラン科植物の抽出物に、下記式(1)で示される新規フェナントレン化合物が含まれていることを発見し、その新規化合物は、有効な抗酸化作用を有し、副作用を起こすおそれが少ないとの知見を得、本発明を完成するに至ったものである。さらに、この新規化合物は、抗菌作用、抗癌作用、抗炎症作用に優れていることも見出された。
本発明は、式(1)で示される新規物質を含有する抗酸化剤、抗菌剤、抗癌剤又は抗炎症剤として提供することができる。また、本発明は、式(1)で示される新規物質を含有した、抗酸化作用、抗菌作用、抗癌作用又は抗炎症作用を目的とした医薬品組成物、医薬部外品組成物、化粧品組成物及び食品添加物としても提供することができる。また、本発明の式(1)で示される新規物質は赤色色素を有しているので、食品添加物の中でも着色料として提供することもできる。
本発明の上記式(1)で示される新規物質は、ラン科植物の抽出物に含まれており、該抽出物から単離することにより製造することができるが、化学的に合成してもよい。
ラン科植物としては、限定されるものでないが、シンビジウム属植物、カトレア属植物、デンドロビウム属植物、ファレノプシス属植物、ミルトニア属植物、バニラ属植物、エビネ属植物、ネジバナ属植物、トキソウ属植物等が挙げられ、中でも特にシンビジウム属植物は、式(1)で示される新規物質が多く含まれているため好ましい。
シンビジウム属植物は主にアジアの温帯から熱帯地域に分布自生するラン科の単子葉植物であり、特徴的な偽球茎を有し、その種類は約70種ある。またシンビジウム属植物は品種改良が行われ、種苗法のもとに品種登録されたものが多数存在する。自生種も含めて代表的なものは春蘭(cym.goeringii)、寒蘭(cym.kanran)、ホウサイラン、(cym.sinense)スルガラン(cym.ensifolium)、キンリョウヘン(cym.pumilum)、グレートフラワー・マリーローランサン(Cym.Great Flower‘Marylaurencin’)、ローズワイン・新世紀(Cym Rose Wine‘Shinseiki’)グレートフラワー・バレリーナ(Cym.Great Flower‘Ballerina’)、ラッキーフラワー・あんみつ姫(Cym.Lucky Flower‘Anmitsuhime’)グレートキャティ・まりこ(Cym.Great Katy‘Mariko’)、ラッキーグロリア・あぐり(Cym.Lucky Gloria‘Aguri’)ラッキーグロリア・福の神(Cym.Lucky Gloria‘Fukunokami’)、シーサイド・サーヤ(Seaside‘Saya’)、サテンドール・ゴールデンイエロー(Cym.Satin Doll‘Golden Yellow’)、グレートキャティ・リトルローランサン(Cym.Great Katy‘Little Laurencin‘)、アンジェリコ・福娘(Angelico‘Fukumusume’)等が知られている。自生種の中には、中国、東南アジア、オーストラリアなどで、薬用、食用として、用いられるものもある。
このように、ラン科シンビジウム属の植物としては極めて多数存在するが、中でも、種苗法による品種登録名、グレートフラワー・マリーローランサン(品種登録第2841号)が、式(1)の化合物を多く含有しており、この化合物を多く含む抽出物は抗酸化作用、抗菌作用、抗癌作用、抗炎症作用に優れているので好ましい。
ラン科植物の抽出物は、抽出原料としてラン科植物のどの部位から抽出したものでもよく、ラン科植物の根、茎、葉、花、種子、偽球茎あるいは全草を、そのまま或いは適当な大きさに切断若しくは粉砕したものを使用することができるが、特に、根の抽出物が式(1)の化合物を多く含有しており、抗酸化作用、抗菌作用、抗癌作用、抗炎症作用に優れているので好ましい。
ラン科植物の抽出物の調整は、ラン科植物の一部又は全草を、そのまま或いは適当な大きさに切断若しくは粉砕機で粉砕したものを圧搾する物理的抽出法、溶媒抽出法、真空蒸留抽出法のいずれも採用可能である。抽出溶媒としては、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、アセトン等の親水性の溶媒が挙げられ、これらを2種以上混合させて用いてもよい。また、調整される抽出物は液体でも固体でもよい。
例えば、メタノール又はエタノール抽出法の場合、ラン科植物の一部又は全草を、そのまま或いは適当な大きさに切断若しくは粉砕機で粉砕したものを、メタノール又はエタノール水溶液に浸漬して、時々攪拌しながら抽出操作を行い、濾過により不純物を除去し、減圧下、減圧留去により、ラン科植物の抽出物を製造する方法が採用できる。また、熱水抽出法の場合、上記と同様にして得た粉砕物5gに、精製水100mlを加え、沸騰水浴上で約2時間加熱抽出した後、等量の95%エタノールを加え、静置後、濾紙で不純物を除去すれば、ラン科植物の抽出物を製造できる。
このラン科植物の抽出物は、応用する形態にしたがって、乾燥、濃縮、或いは希釈、他成分との混合など任意に調整し、これを含む抗酸化剤、抗菌剤、抗癌剤、抗炎症剤、医薬品組成物、医薬部外品組成物、化粧品組成物又は食品添加物としてもよいし、さらに式(1)で示される新規物質を単離して、この新規物質を有効成分として含む抗酸化剤、抗菌剤、抗癌剤、抗炎症剤、医薬品組成物、医薬部外品組成物、化粧品組成物又は食品添加物としてもよい。
式(1)で示される新規物質の単離方法は、上記ラン科植物の抽出物から、さらに適当な分離精製手段、好ましくは薄層クロマトグラフ法、カラムクロマトグラフ法、高速液体クロマトグラフ法または再結晶等を繰り返し行うことにより行われる。
本発明によると、式(1)で示される新規物質は、天然由来の成分で安全性が高く、抗酸化作用、抗菌作用、抗癌作用、抗炎症作用を有している。したがって、この新規物質を有効成分として配合した医薬品組成物、医薬部外品組成物、化粧品組成物又は食品添加物として利用することができる。
本発明の下記式(1)で示される新規物質は、ラン科植物を溶剤により抽出した抽出物から、通常用いられる分離、精製手段によって単離することができる。
上記式(1)で示される新規物質には、抗酸化作用、抗菌作用、抗癌作用又は抗炎症作用を有することが各種試験により見出された。したがって、式(1)で示される新規物質は、経口又は非経口のいずれかを問わず、抗酸化剤、抗菌剤、抗癌剤又は抗炎症剤の有効成分として用いることができる。
この式(1)で示される新規物質は、上記いずれか又は全ての作用効果を得る目的で、そのままの状態で配合して医薬品、医薬部外品、化粧品、食品とすることもできるし、または適当な媒体で希釈して、あるいは医薬品、医薬部外品、化粧品及び食品の製造分野において公知の方法により、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤または液材等の種々の医薬品、医薬部外品、化粧品、食品の形態で使用することができる。
具体的な用途としては、例えば、医薬品又は医薬部外品の場合、通常の医薬品又は医薬部外品に広く使用することができ、内服液、錠剤、軟膏、トローチ、肝油ドロップ、口中清涼剤、口中香剤、うがい剤、ハップ、マグネシウム補給剤、ミネラル強化剤、各種ドリンク剤、皮膚外用剤、発毛剤、育毛剤、養毛剤、薬用石鹸、薬用歯磨き等を挙げることができる。
化粧品の場合、化粧水、美白剤、美容液、乳液、クリーム、ヘアトニック、ヘアクリーム、シャンプー、リンス、トリートメント、ボディソープ、洗顔料、石鹸、歯磨き、浴用剤、芳香製品、口紅、リップクリーム、白粉、アイシャドウ、ヘアカラー等を挙げることができる。
食品の場合、チューインガム、キャンディー、アルコール飲料、青汁、その他の飲料、菓子、冷菓、米飯類、即席麺類、調理冷凍食品、食用油、バター、マーガリン、マヨネーズ、ドレッシング、乳製品、おかず、嗜好品(たばこ等)を挙げることができる。また、式(1)で示される新規物質は、赤色の色素を有しているため、着色料のような食品添加物にも適用することができる。
式(1)で示される新規物質は、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、保湿剤、界面活性剤、色素、香料、酵素類、ホルモン類、ビタミン類、紫外線吸収剤、紫外線遮蔽剤、溶剤、安定剤、可塑剤、滑沢剤、可溶化剤、還元剤、緩衝剤、甘味剤、基剤、揮散補助剤、吸着剤、矯味剤、共力剤、結合剤、懸濁剤、抗酸化剤、光沢化剤、コーティング剤、湿潤剤、清涼化剤、軟化剤、乳化剤、賦形剤、防腐剤、保存剤などを通常の方法にしたがって添加して用いることができる。
<ラン科植物の抽出物の調整>
図1に示すように、シンビジウム属植物であるグレートフラワー・マリーローランサン(品種登録第2841号)の新鮮根8.0Kgを粉砕し、これに36Lのメタノールを加えて漬け込み、室温下で3カ月間抽出する。そして、ろ過により根を取り除いてできたメタノール抽出液を減圧下で、溶媒を留去することにより、ラン科植物の抽出物を得た。
図1に示すように、シンビジウム属植物であるグレートフラワー・マリーローランサン(品種登録第2841号)の新鮮根8.0Kgを粉砕し、これに36Lのメタノールを加えて漬け込み、室温下で3カ月間抽出する。そして、ろ過により根を取り除いてできたメタノール抽出液を減圧下で、溶媒を留去することにより、ラン科植物の抽出物を得た。
<ラン科植物の抽出物の精製>
前記ラン科植物の前記抽出物を精製して、複数の化合物を単離する。抽出物に対し酢酸エチル9Lと水9Lの混液で抽出を行い、酢酸エチル可溶部と水可溶部とに分画した。それぞれにつき減圧下で溶媒を留去し、酢酸エチル可溶部粉末(42g)と水可溶部粉末(130g)を得た。得られた酢酸エチル可溶部粉末をシリカゲルカラムクロマトグラフィー
に付し、ヘキサン−酢酸エチル(10:1)の混液で溶出を行い、順次酢酸エチルの量を増やしてカラムクロマトグラフィーを行い、8つの分画(フラクション1〜8)を得た。
前記ラン科植物の前記抽出物を精製して、複数の化合物を単離する。抽出物に対し酢酸エチル9Lと水9Lの混液で抽出を行い、酢酸エチル可溶部と水可溶部とに分画した。それぞれにつき減圧下で溶媒を留去し、酢酸エチル可溶部粉末(42g)と水可溶部粉末(130g)を得た。得られた酢酸エチル可溶部粉末をシリカゲルカラムクロマトグラフィー
に付し、ヘキサン−酢酸エチル(10:1)の混液で溶出を行い、順次酢酸エチルの量を増やしてカラムクロマトグラフィーを行い、8つの分画(フラクション1〜8)を得た。
次に、重量の多いフラクション3(5.69g)とフラクション4(4.49g)について、それぞれカラムクロマトグラフィーを行った。フラクション3をヘキサン−酢酸エチル(7:3)の溶出溶媒で、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを行い、5つの分画(フラクション3−1〜3−5)を得た。そのうちのフラクション3−3を高速液体クロマトグラフィー(ODS)にて60%含水メタノールにて精製を行い、化合物2(390mg)及び化合物5(117mg)を得た。また、フラクション4をヘキサン−酢酸エチル(6:4)の溶出溶媒で、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを行い、6つの分画(フラクション4−1〜4−6)を得た。そのうちのフラクション4−2に対し再結晶を行い、化合物1(80mg)を得た。また、フラクション4−3を高速液体クロマトグラフィー(ODS)にて60%含水メタノールにて精製を行い、化合物3(80mg)及び化合物4(70mg)を得た。
<新規物質の物理化学的性質>
上記のようにして得られた化合物1〜5の物理化学的性質を調べた結果、化合物1は前記式(1)で示される化学構造を有しており、化合物2は下記式(2)で示される化学構造を有しており、化合物1及び化合物2は新規のフェナントレン化合物であることが分かった。また、化合物3は下記式(3)、化合物4は下記式(4)、化合物5は下記式(5)で示される化学構造を有しており、既知のフェナントレン化合物であることが分かった。
上記のようにして得られた化合物1〜5の物理化学的性質を調べた結果、化合物1は前記式(1)で示される化学構造を有しており、化合物2は下記式(2)で示される化学構造を有しており、化合物1及び化合物2は新規のフェナントレン化合物であることが分かった。また、化合物3は下記式(3)、化合物4は下記式(4)、化合物5は下記式(5)で示される化学構造を有しており、既知のフェナントレン化合物であることが分かった。
化合物1及び化合物2の物理化学的性質は以下のとおりである。
・化合物1
(1)分子式:C15H12O4
(2)融点:148〜150℃
(3)高分解能EIマススペクトル(HREIMS) m/z(M+):実測値 256.0709、理論値 256.0736
(4)FT−IR(フィルム法)cm−1:3063、2993、1670、1639、1595、1452、1246
(5)UVλmax(MeOH):217.6(3.67)、223.4(3.67)、242(3.46)、276.2(3.38)、321.2(3.38)
・化合物1
(1)分子式:C15H12O4
(2)融点:148〜150℃
(3)高分解能EIマススペクトル(HREIMS) m/z(M+):実測値 256.0709、理論値 256.0736
(4)FT−IR(フィルム法)cm−1:3063、2993、1670、1639、1595、1452、1246
(5)UVλmax(MeOH):217.6(3.67)、223.4(3.67)、242(3.46)、276.2(3.38)、321.2(3.38)
・化合物2
(1)分子式:C16H16O4
(2)融点:179〜180.5℃
(3)高分解能EIマススペクトル(HREIMS) m/z(M+):実測値 272.1040、理論値 272.1049
(4)FT−IR(フィルム法)cm−1:3348、3215、1616、1582、1501、1452、1329、1236、1094
(5)UVλmax(MeOH):225.4(3.89)、273.4(3.80)、306.2(3.81)
(1)分子式:C16H16O4
(2)融点:179〜180.5℃
(3)高分解能EIマススペクトル(HREIMS) m/z(M+):実測値 272.1040、理論値 272.1049
(4)FT−IR(フィルム法)cm−1:3348、3215、1616、1582、1501、1452、1329、1236、1094
(5)UVλmax(MeOH):225.4(3.89)、273.4(3.80)、306.2(3.81)
また、化合物1についてX線結晶解析を行った結果、化合物1の結晶は図2及び下記に示すような特性を持つことがわかった。
結晶系:斜方晶(orthorhombic)
空間群:P212121
a=7.062Å
b=8.229Å
c=19.953Å
Z=4
V=1159Å3
finalR=0.077
結晶系:斜方晶(orthorhombic)
空間群:P212121
a=7.062Å
b=8.229Å
c=19.953Å
Z=4
V=1159Å3
finalR=0.077
以下、化合物1〜5について、試験例で具体的に説明する。
<試験例1:抗酸化活性>
上記実施例により得られた化合物1〜5について、SOD(superoxide dismutase)様活性測定法によって抗酸化作用を試験した。
上記実施例により得られた化合物1〜5について、SOD(superoxide dismutase)様活性測定法によって抗酸化作用を試験した。
SOD様活性測定にはSOD Assay Kit−WST(株式会社同仁化学研究所製)のアッセイキットを用いた。キサンチンにキサンチンオキシダーゼ(酵素)を作用させることによりスーパーオキサイド(O2−)が生成される。このスーパーオキサイドは、テトラゾリウム塩(WST−1)を還元して高水溶性ホルマザンを生成する。このスーパーオキサイドが化合物によってどれぐらい消去されたかをWST−1の発色により調べ、消去能をSOD活性とする。
まず、上記化合物1〜5のそれぞれを0.024g/mL(2.4w/v%)のDMSO溶液に調整した後、化合物2〜4については試料最終濃度を100μg/mL、30μg/mL、10μg/mL、3μg/mL、1μg/mLとして計5doseで実施した。化合物1と化合物5については、試料最終濃度を10μg/mL、3μg/mL、1μg/mL、0.3μg/mL、0.1μg/mLとして合計5doseで実施した。
96穴wellプレートを用いて、各wellに各化合物の調整溶液を20μL加え、順次、WST試薬溶液200μL、バッファー溶液20μL、酵素溶液20μLを加え、37℃で20分間インキュベーションを行った後、プレートレーダーで450nmの波長で吸光度を測定した(MICROPLATE READER Model550、バイオ・ラッド ラボラトリーズ社製)。SOD活性値(阻害率%)は下記計算式(6)より求めた。なお、ポジティブコントロールとしてアスコルビン酸(ナカライテスク社製)を用いた。
SOD活性値(阻害率%)=(1−(Sample−BLK2)/(BLK1−BLK3))×100・・・(6)
なお、上記式(6)中、
Sample:化合物添加・酵素溶液添加時の吸光度、
BLK1:化合物無添加・酵素溶液添加時の吸光度、
BLK2:化合物添加・酵素溶液無添加時の吸光度、
BLK3:化合物無添加・酵素溶液無添加時の吸光度である。
SOD活性値(阻害率%)=(1−(Sample−BLK2)/(BLK1−BLK3))×100・・・(6)
なお、上記式(6)中、
Sample:化合物添加・酵素溶液添加時の吸光度、
BLK1:化合物無添加・酵素溶液添加時の吸光度、
BLK2:化合物添加・酵素溶液無添加時の吸光度、
BLK3:化合物無添加・酵素溶液無添加時の吸光度である。
上記試験を3回繰り返し、再現性を確認した。そして、各濃度におけるSOD活性値から各化合物の50%SOD様活性値を示すIC50の値(μM)を算出し、それを下記表1に示す。
以上の結果から、化合物1、3、4及び5にはアスコルビン酸よりも高い抗酸化作用があり、特に化合物1には高い抗酸化作用があることが分かった。また、化合物2は、アスコルビン酸よりは劣るが抗酸化作用があることが分かった。これらのことから、化合物1〜5、特に化合物1は抗酸化剤として有効であることが分かる。
<試験例2:抗菌作用>
上記実施例により得られた化合物1、3〜5について、抗菌液体培地での段階希釈法によって抗菌作用を試験した。すなわち、段階的に希釈した一連の化合物の溶液及び一定量の試験菌液を栄養培地に添加し、一定時間培養する。菌が発育すると液が濁り、添加した色素の色が変わる。これにより、菌の発育がまったく認められない化合物の最小濃度(MIC)を測定する方法が液体希釈法である。
上記実施例により得られた化合物1、3〜5について、抗菌液体培地での段階希釈法によって抗菌作用を試験した。すなわち、段階的に希釈した一連の化合物の溶液及び一定量の試験菌液を栄養培地に添加し、一定時間培養する。菌が発育すると液が濁り、添加した色素の色が変わる。これにより、菌の発育がまったく認められない化合物の最小濃度(MIC)を測定する方法が液体希釈法である。
試験菌液を添加した栄養培地(栄養培地99μLに対して試験菌液1μL)に、上記化合物1〜5のそれぞれを0.01g/mL(1w/v%)のDMSO溶液に調整した試料を添加する。試料濃度は、培地上濃度で最大100μg/Lからはじめ、段階希釈を行い、50μg/mL、25μg/mL、12.5μg/mL、6.25μg/mL、3.125μg/mLの計6doseで実施した。化合物1については、50μg/mL、25μg/mL、12.5μg/mL、6.25μg/mL、3.125μg/mLに加えて、10μg/mL、5μg/mL、2.5μg/mL、1.25μg/mL、0.3125μg/mLの計12doseで実施した。
これらの試料を96穴丸底wellプレートに添加して、24時間静置後、培地の変化を確認し、液の濁りの無/有により活性の有/無を判定し、最小発育濃度(MIC)を求めた。これらの試験を3回繰り返し、再現性を確認した。各化合物についてMICの平均値を算出し、その結果を下記表2に示す。
なお、試験菌液としては、枯草菌(Bacillus subtilis)及びカンジダ・アルビカンス
(Candida albicans)を使用した。
枯草菌:栄養培地はYP培地を用い、Positive controlにはアンピシリンを使用した。培養は、37℃で24時間静置培養した。
カンジダ・アルビカンス:栄養培地はサブロー培地を用い、ポジティブコントロールにはシクロヘキシミドを使用した。培養は、27℃で24時間静置培養した。
(Candida albicans)を使用した。
枯草菌:栄養培地はYP培地を用い、Positive controlにはアンピシリンを使用した。培養は、37℃で24時間静置培養した。
カンジダ・アルビカンス:栄養培地はサブロー培地を用い、ポジティブコントロールにはシクロヘキシミドを使用した。培養は、27℃で24時間静置培養した。
以上の結果から、化合物1、3、4及び5は枯草菌に対して抗菌活性を示し、試料1、3及び4はカンジダ・アルビカンスに対して抗菌活性を示すことが分かった。これらのことから、化合物1、3、4及び5、特に化合物1は、抗菌剤として有効であることが分かる。
<試験例3:抗癌作用>
上記実施例により得られた化合物1の腫瘍細胞の増殖に対する影響について、比色法のひとつであるMTTアッセイを用いて試験した。このアッセイは、MTT(テトラゾリウム塩)が細胞内に取り込まれると脱水素によってホルマザンに変化するが、これをDMSOなどの有機溶媒で溶解させると赤紫色の溶液となるので、この溶液の570nmにおける吸光度を測定すれば、その吸光度が培養物中の生存細胞の数に比例するという性質を利用したものである。
上記実施例により得られた化合物1の腫瘍細胞の増殖に対する影響について、比色法のひとつであるMTTアッセイを用いて試験した。このアッセイは、MTT(テトラゾリウム塩)が細胞内に取り込まれると脱水素によってホルマザンに変化するが、これをDMSOなどの有機溶媒で溶解させると赤紫色の溶液となるので、この溶液の570nmにおける吸光度を測定すれば、その吸光度が培養物中の生存細胞の数に比例するという性質を利用したものである。
試験に用いる腫瘍細胞は大日本製薬から購入した、HL60(blood premyelocytic leukemia)、MCF7(breast adenocarcinoma)、HCT116(colon cancer)、NC
I−H226(Non−small cell lung carcinoma)、A549(Lung carcinoma Human lung adenocarcinoma epithelial cell line)を用いた。各腫瘍細胞は、10%牛胎児血清(FBS)並びにペニシリン/ストレプトマイシンを含むRPMI−1640培地(シグマ アルドリッチ ジャパン社製)で、37℃、5%CO2インキュベーター内で培養後、細胞数を調整し実験に用いた。
I−H226(Non−small cell lung carcinoma)、A549(Lung carcinoma Human lung adenocarcinoma epithelial cell line)を用いた。各腫瘍細胞は、10%牛胎児血清(FBS)並びにペニシリン/ストレプトマイシンを含むRPMI−1640培地(シグマ アルドリッチ ジャパン社製)で、37℃、5%CO2インキュベーター内で培養後、細胞数を調整し実験に用いた。
96wellプレートに、培地200μL、5×105cell/wellの細胞懸
濁液を90μL、化合物1を0.01g/mL(1w/v%)のDMSO溶液に調整したものを10μL加え、37℃、5%CO2インキュベーター内で24時間静置培養した。その後、MTT試薬を入れ、4時間後に酸性イソプロパノールを添加し、ホルマザンの結晶を溶かして570nmの波長で吸光度を測定して、生細胞数の指標とした。(Benc
hmark Plus microplate spectrometer、バイオ・ラッド ラボラトリーズ社製)。なお、化合物1は、100μg/mL、50μg/mL、25μg/mL、12.5μg/mL、6.3μg/mL、3.1μg/mLの計6doseで実施した。また、下記式(7)で示すように、細胞生存率はコントロールの値を100%とし、コントロールに対する割合で求めた。各サンプルは3回実験を行いに再現性を求めた。
細胞生存率(%)=(Sample/コントロール)×100・・・(7)
なお、上記式(7)中、
Sample:化合物添加での吸光度、
コントロール:化合物無添加での吸光度を示す。
濁液を90μL、化合物1を0.01g/mL(1w/v%)のDMSO溶液に調整したものを10μL加え、37℃、5%CO2インキュベーター内で24時間静置培養した。その後、MTT試薬を入れ、4時間後に酸性イソプロパノールを添加し、ホルマザンの結晶を溶かして570nmの波長で吸光度を測定して、生細胞数の指標とした。(Benc
hmark Plus microplate spectrometer、バイオ・ラッド ラボラトリーズ社製)。なお、化合物1は、100μg/mL、50μg/mL、25μg/mL、12.5μg/mL、6.3μg/mL、3.1μg/mLの計6doseで実施した。また、下記式(7)で示すように、細胞生存率はコントロールの値を100%とし、コントロールに対する割合で求めた。各サンプルは3回実験を行いに再現性を求めた。
細胞生存率(%)=(Sample/コントロール)×100・・・(7)
なお、上記式(7)中、
Sample:化合物添加での吸光度、
コントロール:化合物無添加での吸光度を示す。
そして、上記細胞生存率から、化合物1について、各腫瘍細胞の増殖を50%抑制する濃度(IC50値)を求めた。その結果を下記表3に示す。
以上の結果から、化合物1は、各腫瘍細胞に対して細胞増殖抑制効果を示した。特に、化合物1は、NCI−H226(非小細胞肺癌)に対して感受性が高いことを示した。このことから、化合物1は抗癌剤として有効であることが分かる。
<試験例4:抗炎症作用>
上記実施例により得られた化合物1、4及び5について、抗炎症作用を評価する試験を行った。
上記実施例により得られた化合物1、4及び5について、抗炎症作用を評価する試験を行った。
体内では、マクロファージは、炎症性刺激に応答してiNOS(一酸化窒素合成酵素)の合成を高め、NOやO2−を産生しながら細菌や癌細胞を攻撃する。しかしながら、過剰に生成されたNOはO2−と合体して障害性の強いラジカル(ONOO−:ベルオキシニトライト)となり、周辺の血管や組織を破壊して炎症や発熱を生じてしまう。そこで、本試験では、LPS(リポ多糖)によってマクロファージによるiNOS発現を誘導させた状態において、化合物1、4及び5による一酸化窒素産生抑制作用をみることにより、抗炎症作用を評価した。
マウスマクロファージ様細胞J774.1細胞は理研BRCより提供された。細胞は10%牛胎児血清(FBS)並びにペニシリン/ストレプトマイシンを含むRPMI−1640培地(シグマ アルドリッチ ジャパン社製)で、37℃、5%CO2インキュベーター内で培養後、細胞数を調整し実験に用いた。
96wellプレートに1×105cell/wellの細胞懸濁液を100μL播
種し、37℃、5%CO2インキュベーター内で12時間静置培養した。次に培養細胞をリン酸バッファーで洗浄後、化合物1、2及び5をそれぞれ加えて各濃度に調整したLPS5μg/mLを含む培地で、細胞を24時間静置培養した。なお、化合物1については、50μg/mL、25μg/mL、12.5μg/mL、6.3μg/mL、3.1μg/mLの計5doseで実施した。また、化合物4及び5については、50μg/mL、25μg/mL、12.5μg/mL、6.3μg/mLの計4doseで実施した。
種し、37℃、5%CO2インキュベーター内で12時間静置培養した。次に培養細胞をリン酸バッファーで洗浄後、化合物1、2及び5をそれぞれ加えて各濃度に調整したLPS5μg/mLを含む培地で、細胞を24時間静置培養した。なお、化合物1については、50μg/mL、25μg/mL、12.5μg/mL、6.3μg/mL、3.1μg/mLの計5doseで実施した。また、化合物4及び5については、50μg/mL、25μg/mL、12.5μg/mL、6.3μg/mLの計4doseで実施した。
一酸化窒素産生能は、Griess assay法により測定した。24時間培養した各上清100μLを96wellプレートにそれぞれ移し変え、そこにGriess試薬(1% sulfanilamide、0.1% N−1−naphtylethelenediamine dihydrochloride in 2.5% H3PO4)を100μL加えた。室温で15分インキュベーション後、540nmと620nmの試
験波長で吸光度を測定した(Benchmark Plus microplate spectometer、バイオ・ラッドラボラトリーズ社製)。
験波長で吸光度を測定した(Benchmark Plus microplate spectometer、バイオ・ラッドラボラトリーズ社製)。
一酸化窒素産生阻害率は、下記の計算式(8)により求めた。なお、各サンプルは3回実験を行いに再現性を求めた。ポジティブコントロールとして、NG−monomethel−L−arginine sulfanilamide(LNMMA、シグマ アル
ドリッチ ジャパン社製)を用いた。このLNMMAのIC50は88.4μMであった。
阻害率(%)=((A−B)/(A−C))×100・・・(8)
なお、上記式(8)中、
A:LPS(+)、化合物(−)の場合の吸光度
B:LPS(+)、化合物(+)の場合の吸光度
C:LPS(−)、化合物(−)の場合の吸光度
(A−C:NO2 −濃度(μM)に対応)を示す。
ドリッチ ジャパン社製)を用いた。このLNMMAのIC50は88.4μMであった。
阻害率(%)=((A−B)/(A−C))×100・・・(8)
なお、上記式(8)中、
A:LPS(+)、化合物(−)の場合の吸光度
B:LPS(+)、化合物(+)の場合の吸光度
C:LPS(−)、化合物(−)の場合の吸光度
(A−C:NO2 −濃度(μM)に対応)を示す。
さらに、マイクロプレートに付着した細胞をMTTアッセイ法により、細胞障害及び誘導がないことを確認し、細胞生存度(Cell Viability)として図3〜図5
のグラフ中に表した。
のグラフ中に表した。
各化合物の一酸化窒素産生阻害率及び細胞生存度を図3〜5に示す。化合物1、4及び5はいずれも正常細胞に対して毒性もなく、濃度依存的にNOの生成を抑制することが分かる。
また、炎症時の過剰な一酸化窒素の産生は炎症その他の様々な障害をもたらすことから、一酸化窒素の生成を抑制できる化合物1、4及び5は、ヒトへの応用が期待できる植物成分である。例えば、機能性食品への応用や、種々の要因により過剰なNOの発現を抑制することにより、一酸化窒素産生抑制を必要とする疾病の治療および予防に有効である。したがって、化合物1、4及び5、特に化合物1は、一酸化窒素産生抑制剤や抗炎症剤の有効成分としての使用が期待できる。
本発明の式(1)で示される新規物質は、天然由来の成分で安全性が高く、抗酸化作用、抗菌作用、抗癌作用、抗炎症作用を有しているため、この新規物質を有効成分として配合した医薬品組成物、医薬部外品組成物、化粧品組成物又は食品添加物として利用することができる。
Claims (9)
- ラン科植物から抽出される抽出物であって、請求項1記載の式(1)で示される新規物質を含有することを特徴とする抽出物。
- 前記ラン科植物はシンビジウム属の植物であることを特徴とする請求項2に記載の抽出物。
- 前記シンビジウム属の植物はグレートフラワー・マリーローランサンであることを特徴とする請求項3に記載の抽出物。
- ラン科植物の根から抽出されることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の抽出物。
- 請求項1記載の式(1)で示される新規物質を含有することを特徴とする抗酸化剤。
- 請求項1記載の式(1)で示される新規物質を含有することを特徴とする抗菌剤。
- 請求項1記載の式(1)で示される新規物質を含有することを特徴とする抗癌剤。
- 請求項1記載の式(1)で示される新規物質を含有することを特徴とする抗炎症剤。
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-
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