JPWO2011125727A1 - 雌型端子 - Google Patents

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Abstract

雄型端子の挿入タブの嵌合手段への挿入力の増大を抑制しながら、確実に導電できる雌型端子を提供することを目的とする。雄型端子における挿入タブ(300)の挿入を許容するボックス部(2)を備えた雌型圧着端子(1)であって、ボックス部(2)に、挿入された挿入タブ(300)に対して弾性的に接触する弾性接触片(21)と、弾性接触片(21)に対向するとともに、挿入された挿入タブ(300)を弾性接触片(21)とで挟み込んで嵌合する内側天井部(22b)とを備え、内側天井部(22b)に、弾性接触片(21)に向かって突出する半球状凸部(81)を形成し、後方半球状凸部(81a)に対して前方半球状凸部(81b)を、挿入タブ(300)の挿入方向(X)に対して交差する位置に配置するとともに、両端に半球状凸部(81)を形成した斜めビード(80)を、内側天井部(22b)の面内において幅方向(Y)に対して交差するよう配置した。

Description

例えば、自動車用ワイヤーハーネスの接続を担うコネクタ等に装着される雌型端子に関する。
従来より、自動車には、多数のワイヤーハーネスが配索され、それらワイヤーハーネスは、コネクタによって接続されている。このようなコネクタには、ワイヤーハーネスを構成する被覆電線のそれぞれに対して圧着固定された圧着端子が内在されている。
このような圧着端子は、平板状の挿入タブを備えた雄型端子と、挿入タブの挿入を許容するボックス部を備えた雌型端子とが一対となり、それぞれを被覆電線に接続した状態でコネクタ内部に装着している。
なお、雌型端子のボックス部は、挿入された挿入タブに対して弾性的に接触する弾性接触部と、該弾性接触部に対向する固定接触部とで、挿入された挿入タブを挟み込んで、電気的かつ物理的に接続して嵌合する構成である。
近年では、自動車における回路構成の複雑化等に伴いコネクタにおける端子数が増える傾向にある。このようにして端子数が増加すると、上述のような端子を内在させたコネクタ同士の嵌合接続には大きな挿入力が必要となる。よって、コネクタの嵌合作業を容易化するために、雌型端子への雄型端子の挿入力を低減させることが強く望まれている。
しかし、コネクタ嵌合作業の容易化を重視して接触荷重の低減を図ると、嵌合状態における接続信頼性の低下を招くという問題がある。詳しくは、接触荷重が低いと端子表面の酸化や微摺動摩擦の発生、熱あるいは振動等の影響によって両端子の接触抵抗の増大や、瞬間的に通電状態が切断されるといった事態を引き起こしてしまう。
このような問題に対し、弾性接触部に形成するディンプルを多点化する雌型端子が提案されている(特許文献1)。
この雌型端子では、ボックス部に挿入された挿入タブに対して、固定接触部とともに、挿入タブを挟み込んで嵌合する弾性接触部に形成するディンプルとなる凸部を幅方向の異なる位置に複数備えるとともに、固定接触部に形成するビードとなる凸部を幅方向の異なる位置に複数備える構成である。
この構成により、特許文献1の雌型端子は、ボックス部に備えた複数の凸部によって、挿入された挿入タブが回転しにくく、耐振動特性が向上する。したがって、弾性接触部のバネ性能を向上させて、凸部と挿入タブとの接触荷重を増大させる必要がなくなり、雌型端子のボックス部への挿入タブの挿入力が増大せずに、確実な嵌合状態を実現できるとされている。
しかし、昨今の自動車は、省エネ化に伴う軽量化が求められており、ワイヤーハーネスの細線化とともに、端子の小型化が進んでいる。このように、端子の小型化が進むと、先行文献1のように、幅方向の異なる位置に複数の凸部を形成することはスペース的に困難となる。
また、幅方向の異なる位置に複数の凸部が形成できた場合であっても、自動車における回路構成の複雑化や高電流化等に対応する接触面積を確保するだけの凸部をすべて幅方向の異なる位置に配置することは困難である。そのため、挿入タブの雌型端子のボックス部への挿入方向の異なる位置に凸部を配置する必要がある。
しかし、単に挿入方向に添って凸部を配置した場合、挿入方向前側の凸部は、挿入タブにおいて挿入方向後側の凸部が既に摺動した箇所を摺動することとなる。このように、他の凸部が既に摺動した箇所を凸部がさらに摺動すると、挿入タブにおける凸部の摺動抵抗が増すため、挿入力が高くなるといった問題がある。
特開2009−37741号公報
この発明は、雄型端子の挿入タブの嵌合手段への挿入力の増大を抑制しながら、確実に導電できる雌型端子を提供することを目的とする。
この発明は、雄型端子における挿入タブの挿入を許容する嵌合手段を備えた雌型端子であって、前記嵌合手段に、挿入された前記挿入タブに対して弾性的に接触する弾性接触部と、該弾性接触部に対向するとともに、挿入された前記挿入タブを前記弾性接触部とで挟み込んで嵌合する対向接触部とを備え、該対向接触部に、前記弾性接触部側に向かって突出する2つ以上の凸部を形成し、2つ以上の凸部のうち一の凸部に対して他の凸部を、前記挿入タブの前記嵌合手段への挿入方向に対して交差する位置に配置するとともに、前記凸部のうち2つを凸部組とした際に、少なくとも1つの凸部組が、前記対向接触部面内において前記挿入方向に対して直交する幅方向に対して交差するよう配置したことを特徴とする。
前記嵌合手段はいわゆるボックス部とよばれ、雄型端子の挿入タブの挿入を許容し、電気的かつ物理的に接続して嵌合することができる手段である。また、嵌合手段を備えた前記雌型端子は、ワイヤーハーネスを構成する被覆電線の露出する露出電線部分と被覆部分を圧着する圧着部を備えた圧着端子とすることができる。なお、圧着部は、オープンバレル形式あるいはクローズバレル形式等のいずれの形式による圧着部であってもよく、さらには、例えば超音波溶接等で電気的かつ物理的に接続する構成であってもよい。
前記対向接触部は、雌型端子のボックス部等の嵌合手段における一部の固定部分や、固定部分に備えられた可動部分とすることができる。
前記凸部は、ビードと称する略半円断面棒状や略矩形断面棒状のように、挿入方向に長さを有する形状の一部に形成された凸部や、それぞれが独立して形成された凸部とすることができる。
前記2つ以上の凸部のうち一の凸部に対して他の凸部を、前記挿入タブの前記嵌合手段への挿入方向に対して交差する位置に配置するということは、2つの凸部の中心を対向接触部上で結んだ方向線が挿入方向と交差する位置に配置することである。
前記凸部のうち2つを凸部組とした際に、少なくとも1つの凸部組が、前記対向接触部面内において前記挿入方向に対して直交する幅方向に対して交差するよう配置するということは、例えば、3つの凸部を有する場合3つの凸部組を構成することができ、そのうちのひとつの凸部組の配置方向が幅方向に対して交差するため、少なくとも3つの凸部のうち、2つの凸部が挿入方向に対して異なる位置に配置することである。
したがって、2つ以上の凸部のうち一の凸部に対して他の凸部を、前記挿入タブの前記嵌合手段への挿入方向に対して交差する位置に配置するとともに、前記凸部のうち2つを凸部組とした際に、少なくとも1つの凸部組が、前記対向接触部面内において前記挿入方向に対して直交する幅方向に対して交差するよう配置するということは、例えば、挿入方向に対する斜め方向に配置した2つの凸部、或いは、挿入方向に対するV字状、逆V字状または幅方向に対するへの字状に配置した3つの凸部、さらには、挿入方向に対する斜体N字状、ハの字状、または逆ハの字状に配置した4つの凸部とすることができる。
この発明により、雄型端子の挿入タブの嵌合手段への挿入力の増大を抑制しながら、確実に導電することができる。
詳しくは、2つ以上の凸部を対向接触部に形成し、対向接触部と弾性接触部とで挿入タブを挟み込んで嵌合するため、接触面積を確保し、確実な導電性を実現することができる。
また、2つ以上の凸部のうち一の凸部に対して他の凸部を、前記挿入タブの前記嵌合手段への挿入方向に対して交差する位置に配置するとともに、前記凸部のうち2つを凸部組とした際に、少なくとも1つの凸部組が、前記対向接触部面内において前記挿入方向に対して直交する幅方向に対して交差するよう配置したため、挿入方向の異なる位置に配置した凸部は幅方向位置も異なり、挿入方向前側の凸部は挿入方向の後ろ側の凸部が挿入タブに摺動した箇所と異なる、挿入タブにおける平滑な未摺動箇所を摺動することになる。したがって、既に摺動した箇所をさらに摺動することによって摺動抵抗が増す場合と比較して、挿入力の増加を防止することができる。
このような上記構成により、挿入力が増加しないため、接触荷重を最大限大きく設計することができ、例えば、自動車走行中の振動に起因する微摺動摩耗に対しても優れた雌型端子を構成することができる。よって、回路構成の複雑化等に伴って端子数が増えたコネクタであっても、確実に両端子を嵌合接続し、安定した接続状態を確保することができる。
この発明の態様として、前記幅方向における各凸部の位置である幅方向位置を、各凸部における幅方向中心同士の幅方向間隔が、前記凸部と前記挿入タブとが接触する接触幅の半分以上となるように設定することができる。
前記幅方向中心は、凸部における幅方向の最外両側に対する中心とすることができる。
前記幅方向中心同士の幅方向間隔は、各凸部の幅方向中心同士の幅方向における距離とすることができる。
この発明により、各凸部が摺動した箇所による軌跡が幅方向にずれるため、挿入方向において異なる位置に配置した凸部であっても、既に他の凸部が摺動した箇所を再度摺動することで挿入力が増加するという不具合が生じることを防止することができる。
詳しくは、各凸部の幅方向位置を幅方向間隔が接触幅の半分以下となるようにした場合、挿入方向前側の凸部の軌跡と、挿入方向後側の凸部の軌跡とが半分以上重なる。
このように、既に、挿入方向後側の凸部が既に摺動した箇所に重なるようにして、挿入方向前側の凸部が再度摺動することで挿入力が増加する。さらには、幅方向間隔が接触幅の半分以下で狭い場合、挿入方向後側の凸部が既に摺動した箇所に挿入方向前側の凸部は誘導されるため、摺動抵抗が増し、挿入力が高まる。
しかし、幅方向中心同士の幅方向間隔が接触幅の半分以上となるように、凸部の幅方向位置を設定するため、各凸部による軌跡が幅方向にずれて、摺動抵抗が増すことによる挿入力の増加を防止することができる。
また、この発明の態様として、前記対向接触部に、前記挿入方向に対して交差する方向に長く、前記弾性接触部側に向かって突出するとともに、所定長さ分の凹部を少なくとも中間部に有する張出部を備え、前記凸部を、前記張出部上における前記凹部の両外側で構成することができる。
この発明により、張出部を形成することによって、中間部分に形成された凹部の両側に凸部を形成することができ、形状安定性の高い凸部を形成することができる。
詳しくは、中間部分に形成された凹部の両側に形成された凸部は張出部に一体的に形成されているため、小型化された雌型端子の対向接触部にそれぞれを独立した凸部を形成する場合と比較して、強度が高く、例えば挿入タブに確実に接触するための高さを有する凸部を確実に形成することができる。したがって、確実な導電性能を確保することができる。
また、この発明の態様として、前記対向接触部を、対向する前記弾性接触部方向の弾性を有する弾性対向接触部で構成し、挿入された前記挿入タブに対して、前記弾性接触部と前記弾性対向接触部とが互いに対向方向に付勢しながら挟み込んで嵌合する構成とすることができる。
前記弾性対向接触部は、弾性接触部と同構造で、挿入される挿入タブに対して、対称配置した接触部とすることができる。
この発明により、挿入された挿入タブに対して、弾性接触部と弾性対向接触部とが互いに対向方向に付勢しながら挟み込んで嵌合するため、上述の効果に加えて、より確実な導電性能を確保することができる。また、弾性接触部と弾性対向接触部とで互いに対向方向に付勢しながら挟み込んで嵌合するため、所望の付勢力で付勢して嵌合することができる。
また、この発明の態様として、複数備えた前記凸部のうち半数以下の前記凸部に対して、前記挿入タブによる前記挿入方向上の前側位置に配置した前位置凸部を備えることができる。
上記前位置凸部は、上記凸部と同形状の凸部、あるいは異形状の凸部とすることができる。
また、上述の凸部に対して、前記挿入タブによる前記挿入方向上の前側位置に配置した前位置凸部は、凸部に対して幅方向位置が一致する前側位置に配置した前位置凸部、あるいは凸部における幅方向中心同士の幅方向間隔が、前記凸部と前記挿入タブとが接触する接触幅の半分以下である前側位置に配置した前位置凸部、あるいは、前側位置に配置した前位置凸部とすることができる。
この発明により、雄型端子の挿入タブの嵌合手段への挿入力の増大抑制効果を有しながら、凸部の配置についての自由度を向上することができる。
詳しくは、例えば、必要通電量増大のため、接触面積のさらなる増加が必要となる場合であっても、複数備えた前記凸部のうち半数以下の前記凸部に対して、前記挿入タブによる前記挿入方向上の前側位置に前位置凸部を配置することにより、挿入タブの前記嵌合手段への挿入方向に対して交差する位置に配置した2つ以上の凸部による挿入力の増大抑制効果を最低限確保しながら、配置についての自由度が高い前位置凸部により接触面積を増大することができる。
また、この発明の態様として、挿入される前記挿入タブの先端付近に接触する先端位置、且つ前記凸部に対して前記挿入方向上に配置した先端位置凸部を備えることができる。
上記先端位置凸部は、上記凸部と同形状の凸部、あるいは異形状の凸部とすることができる。
また、上述の凸部に対して、前記挿入タブによる前記挿入方向の先端位置に配置した先端位置凸部は、凸部に対して幅方向位置が一致する先端位置に配置した先端位置凸部、あるいは凸部における幅方向中心同士の幅方向間隔が、前記凸部と前記挿入タブとが接触する接触幅の半分以下である先端位置に配置した先端位置凸部、あるいは、先端位置に配置した先端位置凸部とすることができる。
この発明により、雄型端子の挿入タブの嵌合手段への挿入力の増大抑制効果を有しながら、凸部の配置についての自由度を向上することができる。
詳しくは、例えば、必要通電量増大のため、接触面積のさらなる増加が必要となる場合であっても、前記挿入タブによる前記挿入方向の先端位置において、前記凸部に対する挿入方向に先端位置凸部を配置することにより、挿入タブの前記嵌合手段への挿入方向に対して交差する位置に配置した2つ以上の凸部による挿入力の増大抑制効果を最低限確保しながら、配置についての自由度が高い先端位置凸部により接触面積を増大することができる。
また、この発明は、上述の雌型端子を、電線導体の外周を絶縁性の被覆体で被覆した被覆電線における前記被覆体の先端より所定長さ露出させた前記電線導体の露出部分を圧着する圧着部と、前記嵌合手段とで構成し、
前記圧着部によって、前記被覆電線と前記雌型端子とを接続した接続構造体であることを特徴とする。
この発明により、雄型端子における挿入タブを容易に挿入し、確実、且つ安定した電気的接続を実現することができる。
さらにまた、この発明は、上述の接続構造体における雌型端子を少なくともひとつコネクタハウジング内に配置したコネクタであることを特徴とする。
上述の雌型端子を少なくともひとつコネクタハウジング内に配置したコネクタは、コネクタに装着する複数の雌型端子のうち全てを上述の接続構造体における雌型端子とする、複数の雌型端子のうち一部を上述の接続構造体における雌型端子とする、あるいは、コネクタに上述の接続構造体における雌型端子をひとつだけ装着するということを含む概念である。
この発明により、圧着端子と電線導体を、安定した導電性を確保した嵌合状態を構成することができる。
この発明によれば、雄型端子の挿入タブの嵌合手段への挿入力の増大を抑制しながら、確実に導電できる雌型端子を提供することができる。
雌型端子についての説明図。 雌型端子についての説明図。 ビードの軌跡についての説明図。 ビードの幅方向位置における軌跡についての説明図。 ビードパターンについての説明図。 独立ビードパターンについての説明図。 別のビードについての説明図。 二重弾性接触片タイプの雌型端子の縦断面図。 前位置凸部についての説明図。 先端凸部についての説明図。 コネクタについての説明斜視図。
この発明の一実施形態を以下図面とともに説明する。
なお、図1および図2は雄型圧着端子1についての説明図を示している。ここで、図1(a)は幅方向Yの中央で分断した雌型圧着端子1の断面斜視図を示し、図1(b)は組立途中状態の雌型圧着端子1の斜視図を示し、図1(c)はワイヤーバレル部4に被覆電線200を圧着した状態の雌型圧着端子1の斜視図を示している。
また、図2(a)は雌型圧着端子1の側面図を示し、図2(b)は幅方向Yの中央における雌型圧着端子1の断面図を示し、図2(c)は図1(b)に示す組立前状態の雌型圧着端子1の平面図を示している。さらに、図2(d)は雌型圧着端子1の正面図を示し、図2(e)は図2(c)で示すz−z断面における正面側からの断面図を示している。
図3は斜めビード80の軌跡についての説明図を示し、図4は斜めビード80の幅方向位置における軌跡についての説明図を示している。なお、図3(a)は直行ビード180と斜めビード80のそれぞれの軌跡についての概略図を示し、図3(b)はそれぞれの静摩擦力の比較グラフを示している。
また、図4(a),(b)は斜めビード80における幅方向位置による軌跡についての概略図を示し、図4(c)は直行ビード180の軌跡についての概略図を示し、図4(d)は半球状凸部81と挿入タブ300との接触幅aについての概略図を示している。
図5は斜めビード80のビードパターンについての一部平面図と正面図による説明図を示し、図6は独立半球状凸部91(独立フラット凸部93)のビードパターンについての一部平面図と正面図による説明図を示している。
まずは、雌型圧着端子1について説明する。雌型圧着端子1は、挿入方向Xの後方から前方に向かって、雄型コネクタ400b(図11参照)における雄型圧着端子(図示省略)の挿入タブの挿入を許容するボックス部2と、ボックス部2の前方で、所定の長さの第1トランジション3を介して配置されたワイヤーバレル部4と、ワイヤーバレル部4の前方で所定の長さの第2トランジション5を介して配置されたインシュレーションバレル部6とを一体に構成している。なお、挿入方向Xとは、挿入タブ300(図2)のボックス部2への挿入方向であり、雌型圧着端子1の長手方向と一致する方向である。
雌型圧着端子1に圧着接続する被覆電線200は、銅電線を束ねた芯線202を、絶縁樹脂で構成する絶縁被覆201で被覆して構成している。
雌型圧着端子1は、表面がおよそ0.001mmの厚みで錫メッキ(Snメッキ)された、およそ0.2mmの厚みの黄銅等の銅合金条に、形状加工及び折曲加工を施して立体構成したオープンバレル型端子である。
なお、表面に施されたSnメッキは、ハンダの溶着性の向上及び、挿入タブ300の挿入による摺動性の向上のために施している。また、雌型圧着端子1は、オープンバレル形式に限定されず、クローズバレル形式であってもよい。
さらには、被覆電線200の芯線202と雌型圧着端子1とを、例えば、超音波溶接のような溶接によって、電気的かつ物理的に接続する構成であってもよい。また、雌型圧着端子1は、アルミ合金条に加工を施して立体構成したものであってもよい。
圧着前のワイヤーバレル部4は、図1(b)に示すように、バレル底部7の幅方向Yの両側から斜め外側上方に延出し、側面視長方形のワイヤーバレル片41を備え、前方視略U型に形成している。
また、圧着前のインシュレーションバレル部6も、バレル底部7の幅方向Yの両側から斜め外側上方に延出するインシュレーションバレル片61を備え、前方視略U型に形成している。
このように構成したワイヤーバレル部4は、被覆電線200の芯線202をかしめて圧着し、インシュレーションバレル部6は被覆電線200の絶縁被覆201をかしめて圧着して、雌型圧着端子1と被覆電線200とを、電気的且つ物理的に接続することができる。
ボックス部2は、倒位の中空四角柱体で構成され、内部に、挿入方向Xの前方に向かって折り曲げられ、挿入される雄型圧着端子の挿入タブ300(図2参照)に接触するディンプル21aを有する弾性接触片21を備えている。
中空四角柱体であるボックス部2の天井部22(22a,22b)は、側面部分23(23a,23b)の延長部分を重なるように折り曲げて構成している。
詳しくは、正面視右側の右側面23bの延長部分である上半部分を左側面23aの方向に略直角に折り曲げて内側天井部22bを構成し、その内側天井部22bの上側に重なるように、左側面23aの延長部分である上半部分を右側面23b側に略直角に折り曲げて外側天井部22aを構成し、この外側天井部22aと内側天井部22bとで天井部22を構成している。
そして、内側天井部22bには、幅方向Yに平行な2本の斜めビード80を形成している。
斜めビード80は、挿入方向Xに長く、挿入方向Xに対して交差する方向に配置され、その挿入方向Xの両端に半球状凸部81を形成している。
詳しくは、斜めビード80は、図1(b)に示すように、折曲状態の内側天井部22bにおいて、弾性接触片21側へ突出するように形成された半円断面棒状であり、その中間部分を上方向にへこませて中間凹部82を形成している。そして、その中間凹部82の両端部分を半球状に下方へ突出させて半球状凸部81を形成している。
さらに、2本の斜めビード80は、各半球状凸部81の幅方向位置が重ならないように、挿入方向Xに対して交差する方向及び位置で配置している。
なお、上記幅方向位置とは、内側天井部22bにおける半球状凸部81の幅方向Yの位置である。
また、およそ0.1mm以上の半径で半球状凸部81を形成し、0.01mm以上内側天井部22bの厚み以下でへこませて中間凹部82を形成している。
そして、図2(d),(e)に示すように、各半球状凸部81の幅方向位置が重ならないように配置した2本の斜めビード80は、挿入方向Xに対して5度正面視右側に交差する配置方向Sで配置している。この配置方向Sについて以下で詳述する。
図4(a)に示すように、挿入方向Xの後方である後方半球状凸部81aの中心と、挿入方向Xの前方である前方半球状凸部81bの中心を結ぶ配置方向Sの挿入方向Xに対する交差角度をθとし、後方半球状凸部81aと前方半球状凸部81bの中心間距離をビード長bとする。
また、図4(d)に示すように、半球状凸部81と挿入タブ300とが接触する接触部分における幅方向Yの幅を接触幅aとする。
したがって、後方半球状凸部81aに対する前方半球状凸部81bの幅方向間隔cは、ビード長bと交差角度θとを用いて表すと、c=b×sinθとなる。
ここで幅方向間隔cが接触幅a以上であれば、図4(a)に示すように、挿入タブ300に対する後方半球状凸部81aの摺動軌跡R1と、前方半球状凸部81bの摺動軌跡R2とが幅方向Yにおいて重ならず、その間に異軌道間隔T1が形成される。
これに対し、幅方向間隔cが接触幅aより短く接触幅aの半分以上であれば、図4(b)に示すように、後方半球状凸部81aの摺動軌跡R1と、前方半球状凸部81bの摺動軌跡R2とが幅方向Yにおいて重なり、接触幅aの半分以下の幅の軌道重複部T2が形成される。
なお、上述の説明において、半球状凸部81が摺動して形成される摺動軌跡R(R1,R2)は、ボックス部2の正面側から挿入される挿入タブ300に形成される軌跡である。そして、挿入方向Xの後方である後方半球状凸部81aが前方半球状凸部81bより先に挿入タブ300に接触して摺動し、前方半球状凸部81b位置までの挿入タブ300が挿入されてから前方半球状凸部81bによる挿入タブ300への摺動が始まることとなる。
また、挿入タブ300と半球状凸部81との摺動により、挿入タブ300及び半球状凸部81の表面に施されたSnメッキは変形もしくは剥がれ、摺動軌跡Rにおける半球状凸部81と挿入タブ300との摺動性が低下することになる。
さらには、半球状凸部81の幅方向間隔cは、同じ斜めビード80上の後方半球状凸部81aと前方半球状凸部81bだけでなく、異なる斜めビード80の後方半球状凸部81aと前方半球状凸部81bとの幅方向位置についても同様の範囲とする必要がある。
このように、上記範囲で後方半球状凸部81aと前方半球状凸部81bとの幅方向位置をずらして斜めビード80を配置したことにより、ボックス部2への挿入タブ300の挿入力を低減することができる。詳しくは、模式図で表した図3(a)に示すように、挿入方向Xに平行な直行ビード180の場合、挿入タブ300の挿入により、挿入タブ300に対して当初位置Aから移動後位置Bまで相対移動する直行ビード180の前方半球状凸部181bは、既に後方半球状凸部181aが摺動した摺動軌跡R’上を移動することになる。
このように、前方半球状凸部181bが、後方半球状凸部181aの摺動軌跡R’上を移動するため、半球状凸部181と挿入タブ300との摺動性はますます低下し、ボックス部2への挿入タブ300の挿入力が高まることとなる。
これに対し、挿入方向Xに対して交差する配置方向Sに配置した斜めビード80の場合、挿入タブ300に対して当初位置Aから移動後位置Bまで相対移動する斜めビード80は、前方半球状凸部81bが後方半球状凸部81aの摺動軌跡R1上を移動しないため、半球状凸部81と挿入タブ300との摺動性が低下することなく、ボックス部2への挿入タブ300の挿入力が変化しない。
例えば、この実施例において、1本ビードの模擬サンプルを用いて測定した図3(b)に示すように、挿入力が3.6Nであった直行ビード180(グラフ中0度で表示)に対して、斜めビード80(グラフ中10度で表示)は2.9Nとなり、およそ挿入力、すなわち摩擦力をおよそ20%低減することができる。
なお、ここでは角度θを10度に設定して実施したが、仮に5度に設定した場合であっても、上述のようにビード長3mm、接触径0.14mmであれば異軌道となるので角度θが5度と10度とでは実質的な差異はないと考える。
また、斜めビード80における半球状凸部81及び中間凹部82を備えていない通常の半円断面棒状のビードを挿入方向Xに対して単に斜めに配置した場合は、挿入方向Xに対して直交する幅方向Yにおける摺動幅が広がるため、半球状凸部81や中間凹部82を備えた斜めビード80に比べて、挿入力が増大することは明らかである。
なお、斜めビード80は、上述のように、半円断面棒状に形成するとともに、中間部分に中間凹部82を形成して、その両側に半球状凸部81を備えたが、図5(a)に示すように、略平板状に下方へ突出させ、その中間部分に中間凹部82を形成し、その両側に、フラット凸部83を形成してもよい。
また、上述の説明では、挿入方向Xに対して同じ方向に交差させた配置方向Sで配置した2本の80を平行配置したが、斜めビード80を、挿入方向Xに対してハの字状(図5(b))、或いは逆ハの字状(図5(c))に配置してもよい。さらには、挿入タブ300と雌型圧着端子1との必要な導電性能を満足すれば、1本の斜めビード80で構成してもよい(図5(d))。なお、ハの字状、逆ハの字状或いは1本の斜めビード80も、図5(a)に示すような略平板状に形成して、フラット凸部83を構成してもよい。
また、半円断面棒状あるいは略平板状の斜めビード80における中間凹部82の両側に半球状凸部81やフラット凸部83を形成したが、図6に示すように、それぞれが独立した独立半球状凸部91や独立フラット凸部93を形成してもよい。
例えば、図6(a)に示すように、上述の斜めビード80(図2参照)に形成した半球状凸部81と同じ位置に独立半球状凸部91(独立フラット凸部93)を形成している。もちろん、同様に、図5(b)〜(d)に示す配置の斜めビード80の半球状凸部81と同じ位置に独立半球状凸部91を形成してもよい。
なお、独立半球状凸部91も、半球状凸部81と同様におよそ0.1mm以上の半径で形成すればよい。
また、図6(b)に示すように、挿入方向Xに対して逆V字状に独立半球状凸部91(独立フラット凸部93)を配してもよく、さらに図6(c)に示すように、挿入方向Xに対してV字状に独立半球状凸部91(独立フラット凸部93)を配してもよい。
さらには、図6(d)に示すように、幅方向Yに対してへの字状に独立半球状凸部91(独立フラット凸部93)を配置してもよい。
このように、斜めビード80や独立半球状凸部91(独立フラット凸部93)の配置パターンはさまざまなパターンが考えられるが、少なくとも、幅方向Yにおいて隣り合う半球状凸部81(フラット凸部83)或いは独立半球状凸部91(独立フラット凸部93)の幅方向間隔cが、半球状凸部81(フラット凸部83)や独立半球状凸部91(独立フラット凸部93)と挿入タブ300との接触する接触幅aの半分以上とすることにより、直行ビード180のように挿入方向Xに沿った半球状凸部181の配置に比べて、挿入力の低減効果を得ることができる。
次に、このような斜めビード80や独立半球状凸部91(独立フラット凸部93)による挿入タブ300の挿入力の低減効果に関する効果確認試験を行った結果について説明する。
なお、この効果確認試験において、斜めビード80の配置パターン(ビード配置タイプ)について、図1,2に示すように、2本の斜めビード80を平行に配置したパターンを配置タイプAとし、挿入方向Xに対してハの字状に配置したパターン(図5(b))を配置タイプB、挿入方向Xに対して逆ハの字状に配置したパターン(図5(c))を配置タイプC、1本の斜めビード80を配置したパターン(図5(d))を配置タイプDとしている。
また、独立半球状凸部91(独立フラット凸部93)の配置パターン(ビード配置タイプ)について、挿入方向Xに対して逆V字状に3個配置したパターン(図6(b))を配置タイプEとし、挿入方向Xに対してV字状に配置したパターン(図6(c))を配置タイプFとしている。
さらに、2本の直行ビード180を配置したパターンを配置タイプX、及び幅方向Yの中央に1本の直行ビード180を配置したパターンを配置タイプYとしている。
まずは、2本の斜めビード80について配置パターンA,B,Cと、直行ビード180とを、半球状凸部81及びフラット凸部83についてそれぞれ比較し、さらには、幅方向位置についてθをパラメータとして試験を行った。その結果を表1に示す。
Figure 2011125727
この表1から、幅方向間隔cが接触幅aの半分以上となるように配置することにより、半球状凸部81及びフラット凸部83の両方ともに(発明例1〜14)、直行ビード180(比較例1,3)に比べて挿入力の低減効果を確認できた。逆に、幅方向間隔cが接触幅aの半分より狭い場合(比較例2,4)は、直行ビード180に比べて挿入力が低減されないことを確認した。
次に、1本の斜めビード80(配置パターンD)と1本の直行ビード180(配置パターンY)とを、半球状凸部81及びフラット凸部83についてそれぞれ比較し、さらには、幅方向位置についてθをパラメータとして試験を行った。その結果を表2に示す。
Figure 2011125727
この表2から、幅方向間隔cが接触幅aの半分以上となるように配置することにより、半球状凸部81及びフラット凸部83の両方ともに(発明例15〜18)、直行ビード180(比較例5,7)に比べて挿入力の低減効果を確認できた。逆に、幅方向間隔cが接触幅aの半分より狭い場合(比較例6,8)は、直行ビード180に比べて挿入力がわずかにしか低減されないことを確認した。
さらに、1本の斜めビード80(配置パターンD)と1本の直行ビード180(配置パターンY)との比較において、接触幅aを増加させた場合についてそれぞれ比較し、その結果を表3に示す。
Figure 2011125727
この表3から、幅方向間隔cが接触幅aの半分以上となるように配置することにより、フラット凸部83(発明例19,20)よりも半球状凸部81(発明例21,22)の直行ビード180(比較例9,11)に対する低減効果が高いことが確認できた。また、幅方向間隔cが接触幅aの半分より狭い場合(比較例10,12)は、直行ビード180に比べてほとんど挿入力が低減されないことを確認した。
このように、半球状凸部81やフラット凸部83を、幅方向間隔cが接触幅aの半分以上に設定することにより、直行ビード180に比べて、挿入タブ300の挿入力が低減することを確認した。
このような雄型端子における挿入タブ300の嵌合入口部からの挿入を許容するボックス部2を備えた雌型圧着端子1において、ボックス部2に、挿入された挿入タブ300に対して弾性的に接触する弾性接触片21と、弾性接触片21に対向するとともに、挿入された挿入タブ300を弾性接触片21とで挟み込んで嵌合する内側天井部22bとを備え、内側天井部22bに、弾性接触片21側に向かって突出する2つ以上の半球状凸部81を形成し、後方半球状凸部81aに対して前方半球状凸部81bを、挿入タブ300のボックス部2への挿入方向Xに対して交差する位置に配置するとともに、2つの半球状凸部81を形成した斜めビード80を、内側天井部22bの面内において幅方向Yに対して交差するよう配置したことにより、雄型端子の挿入タブ300のボックス部2への挿入力の増大を抑制しながら、確実に導電することができる。
詳しくは、2つ以上の半球状凸部81を内側天井部22bに形成し、内側天井部22bと弾性接触片21とで挿入タブ300を挟み込んで嵌合するため、接触面積を確保し、確実な導電性を実現することができる。
また、後方半球状凸部81aに対して前方半球状凸部81bを、挿入タブ300のボックス部2への挿入方向Xに対して交差する位置に配置するとともに、2つの半球状凸部81を形成した斜めビード80を、内側天井部22b面内において挿入方向Xに対して直交する幅方向Yに対して交差するよう配置したため、挿入方向Xの異なる位置に配置した半球状凸部81は幅方向位置も異なる。
したがって、前方半球状凸部81bは後方半球状凸部81aが挿入タブ300に摺動した箇所と異なる、挿入タブ300において平滑な未摺動箇所を摺動することになる。よって、既に摺動した箇所をさらに摺動することによって摺動抵抗が増す場合と比較して、挿入力の増加を防止することができる。
このようにして、挿入力が増加することなく、接触荷重を最大限大きく設計することができ、例えば、自動車走行中の振動に起因する微摺動摩耗に対しても優れた雌型圧着端子1を構成することができる。
このような雌型圧着端子1は、図1(c)に示すように、ワイヤーバレル部4に被覆電線200を圧着して接続し、圧着接続構造体500aを構成し、圧着接続構造体500aの雌型圧着端子1を雌型コネクタハウジング401aに装着することによって、挿入力の増大を抑制しつつ、確実な導電性を有する雌型コネクタ400aを構成することができる。
なお、図示省略する雄型圧着端子に被覆電線200を接続して圧着接続構造体500bを構成するとともに、圧着接続構造体500bの雄型圧着端子を雄型コネクタハウジング401bに装着して雄型コネクタ400bを構成する。
そして、図11に示すように、雌型コネクタ400aと雄型コネクタ400bとを嵌合させることで、雌型圧着端子1に接続された被覆電線200と、雄型圧着端子に接続した被覆電線200aとを導通可能に接続するコネクタ400を構成することができる。
なお、雌型コネクタハウジング401aに装着する雌型圧着端子1を上述の構成で構成したため、回路構成の複雑化等に伴って端子数が増えたコネクタ400(400a,400b)であっても、挿入力の増大を抑制しつつ、確実に嵌合接続し、安定した接続状態を確保することができる。
また、雌型コネクタハウジング401aに複数の雌型圧着端子を装着するが、全ての雌型圧着端子を本発明の雌型圧着端子1とせず、少なくともひとつを雌型圧着端子1で構成することで、挿入力の増大を抑制することができる。
また、幅方向Yにおける各半球状凸部81の位置である幅方向位置を、各半球状凸部81における幅方向中心同士の幅方向間隔cが、半球状凸部81と挿入タブ300とが接触する接触幅aの半分以上となるように設定することにより、各半球状凸部81が摺動した箇所による摺動軌跡Rがずれるため、既に後方半球状凸部81aが摺動した摺動軌跡R1を前方半球状凸部81bが再度摺動することで挿入力が増加するという不具合が生じることを防止できる。
詳しくは、各半球状凸部81の幅方向位置を幅方向間隔cが接触幅aの半分以下となるように設定した場合、前方半球状凸部81bの摺動軌跡R2と、後方半球状凸部81aの摺動軌跡R1とが半分以上重なる。このように、既に、後方半球状凸部81aが既に摺動した摺動軌跡R1に重なるようにして、前方半球状凸部81bが再度摺動することで挿入力が増加する。
さらには、幅方向間隔cが接触幅aの半分以下で狭い場合、後方半球状凸部81aが既に摺動した摺動軌跡R1に前方半球状凸部81bは誘導されるため、摺動抵抗が増し、挿入力が高まる。しかし、幅方向中心同士の幅方向間隔cが接触幅aの半分以上となるように、半球状凸部81の幅方向位置を設定することにより、各半球状凸部81による摺動軌跡Rが幅方向Yにずれて、摺動抵抗が増すことによる挿入力の増加を防止することができる。
また、内側天井部22bに、挿入方向Xに対して交差する方向に長く、弾性接触片21側に向かって突出するとともに、所定長さ分の中間凹部82を少なくとも中間部に有する斜めビード80を形成し、半球状凸部81を、斜めビード80上における中間凹部82の両外側で構成することにより、形状安定性の高い半球状凸部81を形成することができる。
詳しくは、中間部分における中間凹部82の両側に形成された半球状凸部81は斜めビード80に一体的に形成されているため、小型化された雌型圧着端子1の内側天井部22bにそれぞれを独立した半球状凸部81を形成する場合と比較して、強度が高く、例えば挿入タブ300に確実に接触するための高さを有する半球状凸部81を確実に形成することができる。したがって、確実な導電性能を確保することができる。
次に、3つの独立半球状凸部91を逆V字状に配置した配置タイプE、V字状に配置した配置タイプFと、中央に1本の直行ビード180を配置した配置タイプYを比較し、さらには、独立半球状凸部91の点間長さをパラメータとして試験を行った。その結果を表4に示す。
Figure 2011125727
この表4から、幅方向間隔cが接触幅aの半分以上となるように配置することにより、独立半球状凸部91(発明例23,24)は、内側天井部22bに形成した直行ビード180(比較例9,11)に対して挿入力の低減効果が確認できた。
なお、上述の説明においては、半球状凸部81は、斜めビード80における中間凹部82の両側において0.1mm以上の半径で半球状に形成したが、別の斜めビード80’についての説明図である図7(a)に示すように、半球状凸部81(フラット凸部83)及び中間凹部82を挿入方向Xの滑らかな曲線で連続的に形成してもよい。この場合も、前方半球状凸部81bの挿入方向Xの後方における中間凹部82との連続部分、及び後方半球状凸部81aの挿入方向Xの後方における内側天井部22bとの連続部分をおよそ0.1mm以上の半径で形成すればよい。
このように、斜めビード80’を形成することによって、上述の斜めビード80による効果に加えて、ボックス部2に挿入される挿入タブ300が斜めビード80’における半球状凸部81(フラット凸部83)の挿入方向Xの後方部分に引っ掛かって挿入力が増大するという問題の発生を防止することができる。
また、斜めビード80’を挿入方向Xにおいて非対称に形成してもよい。詳しくは、前方半球状凸部81bの挿入方向Xの後方における中間凹部82との連続部分、及び後方半球状凸部81aの挿入方向Xの後方における内側天井部22bとの連続部分を半径0.1mm以上の滑らかな曲線で形成し、前方半球状凸部81bの挿入方向Xの前方における内側天井部22bとの連続部分、及び後方半球状凸部81aの挿入方向Xの前方における中間凹部82との連続部分を半径0.1mm以下の曲線で形成してもよい。これによっても、上記効果と同様の効果を得ることができる。
また、上述の説明において、半球状凸部81やフラット凸部83を有する斜めビード80や、独立半球状凸部91(独立フラット凸部93)は、ボックス部2の天井部22を構成する内側天井部22bに形成したが、内側天井部22bに、弾性接触片21と同様にバネ特性を有する天井側弾性接触片24を備え、半球状凸部81やフラット凸部83を有する斜めビード80や、独立半球状凸部91(独立フラット凸部93)を天井側弾性接触片24に形成した二重弾性接触片タイプの雌型圧着端子1であってもよい(図8参照)。
これにより、二重弾性接触片タイプの雌型圧着端子1は、弾性接触片21と天井側弾性接触片24とで、ボックス部2に挿入される挿入タブ300に対して、弾性接触片21と天井側弾性接触片24のそれぞれの付勢力を対向する方向に作用させて、挿入タブ300を挟み込んで電気的且つ物理的に接続することができる。
そして、天井側弾性接触片24に形成する半球状凸部81やフラット凸部83を有する斜めビード80や、独立半球状凸部91(独立フラット凸部93)を、幅方向間隔cが接触幅aの半分以上となるように配置することで、天井側弾性接触片24に直行ビード180を形成する場合と比較して挿入力を低減することができる。以下において、天井側弾性接触片24に斜めビード80や独立半球状凸部91(独立フラット凸部93)を形成した場合についての効果確認試験の結果を表5に示す。
なお、この効果確認試験では、天井側弾性接触片24において、上述の配置タイプDで斜めビード80を配置し(発明例25)、独立半球状凸部91(独立フラット凸部93)を上述の配置タイプE,Fで配置し(発明例26,27)、さらには、直行ビード180を上述の配置タイプYで配置して行った(比較例13,14)。
Figure 2011125727
この表5から、斜めビード80における半球状凸部81、または独立半球状凸部91(独立フラット凸部93)の幅方向間隔cが接触幅aの半分以上となるように配置することにより、斜めビード80や独立半球状凸部91(発明例25〜27)は、天井側弾性接触片24に形成した直行ビード180(比較例13,14)に対して挿入力の低減効果が確認できた。
このように、天井側弾性接触片24に斜めビード80や独立半球状凸部91を形成した場合であっても、幅方向間隔cを接触幅aの半分以上とすることにより、天井側弾性接触片24に形成した直行ビード180に比べて、挿入タブ300の挿入力が低減することが確認できた。
この二重弾性接触片タイプの雌型圧着端子1は、上述したように、挿入タブ300の挿入力の増加抑制効果に加え、対向する弾性接触片21方向の弾性を有する天井側弾性接触片24で構成し、挿入された挿入タブ300に対して、弾性接触片21と天井側弾性接触片24とが互いに対向方向に付勢しながら挟み込んで嵌合する。
したがって、挿入された挿入タブ300に対して、弾性接触片21と天井側弾性接触片24とが互いに対向方向に付勢しながら挟み込んで嵌合し、より確実な導電性能を確保することができる。また、弾性接触片21と天井側弾性接触片24とで互いに対向方向に付勢しながら挟み込んで嵌合するため、所望の付勢力で付勢して嵌合することができる。
なお、上述の構成に加え、凸部(81,83,91,93)に対して挿入方向X方向上に配置する付加凸部を内側天井部22bに備えてもよく、この場合も上述の効果を最低限確保しながら、挿入タブ300と雌型圧着端子1との接触面積を拡大することができる。詳しくは、付加凸部である前位置凸部101及び先端位置凸部102について、それぞれについての一部平面図と正面図による説明図である図9及び図10とともに説明する。
接続対象の増加に伴い、挿入される雄型コネクタ400bに装着された雄型圧着端子の挿入タブ300と雌型圧着端子1との電気的接続性の安定が望まれ、接触面積の増大が必要となっている。しかし、端子自体の小型化も進み、凸部(81,83,91,93)の配置が困難となっている。
そこで、凸部(81,83,91,93)を上述のように挿入方向Xの前方と後方とで幅方向位置をずらして配置することによる挿入タブ300の挿入力の増大抑制効果を最小限確保しながら、前位置凸部101を凸部(81,83,91,93)の挿入方向X上に配置してもよい。
なお、図9,10において前位置凸部101,先端位置凸部102は四角形で図示しているが、これは前位置凸部101,先端位置凸部102の位置を示しているに過ぎず、独立半球状凸部91や独立フラット凸部93と同形状で構成してもよく、異なる形状で形成してもよい。ただ、前位置凸部101は、複数の凸部(81,83,91,93)のうち半数以下の凸部(81,83,91,93)に対して配置することができる。
例えば、独立半球状凸部91(93)を4つ配置した図9(a)では2つの前位置凸部101を、挿入方向X後方の独立半球状凸部91(93)に対して、挿入方向X上の挿入方向X前方に配置している。また、独立半球状凸部91(93)を3つ配置した図9(b),(c),(d)では半数以下の1つの前位置凸部101を、挿入方向X後方の独立半球状凸部91(93)に対して、挿入方向X上の挿入方向X前方に配置している。
これにより、独立半球状凸部91(93)の挿入方向Xにおいてずらした配置による挿入タブ300の挿入力の増大抑制効果を最小限確保しながら、前位置凸部101による接触面積増大効果を得ることができる。
また、前位置凸部101の代わりに、挿入された挿入タブ300の先端付近となる位置に先端位置凸部102を配置してもよい。
なお、先端位置凸部102を配置する挿入タブ300の先端付近となる位置は、挿入タブ300の先端に係る位置であり、先端から挿入タブ300の長さの1/5程度までの位置であればよい。
この場合、先端位置凸部102と挿入タブ300とは、挿入タブ300の挿入完了直前に、挿入タブ300と先端位置凸部102とが接触するため、挿入方向Xの挿入力に与える影響は少なく、独立半球状凸部91(93)の挿入方向Xにおいてずらした配置による挿入タブ300の挿入力の増大抑制効果を最小限確保しながら、先端位置凸部102による接触面積増大効果を得ることができる。したがって、図10(b),(d)に示すように、3つの凸部(81,83,91,93)対して半数以上である2つの先端位置凸部102を配置しても挿入タブ300の挿入力の増大抑制効果を最小限確保することができる。なお、前位置凸部101と先端位置凸部102とを併設してもよい。
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、この発明の嵌合手段は、ボックス部2に対応し、
以下同様に、
雌型端子は、雌型圧着端子1に対応し、
弾性接触部は、弾性接触片21に対応し、
対向接触部は、内側天井部22bに対応し、
凸部は、半球状凸部81、後方半球状凸部81a、前方半球状凸部81b、フラット凸部83、独立半球状凸部91及び独立フラット凸部93対応し、
凸部組は、斜めビード80に対応し、
幅方向間隔は、c=b×sinθに対応し、
凹部は、中間凹部82に対応し、
張出部は、斜めビード80に対応し、
弾性対向接触部は、天井側弾性接触片24に対応し、
圧着部はワイヤーバレル部4に対応し、
電線導体は、芯線202に対応し、
被覆体は、絶縁被覆201に対応し、
被覆電線は、被覆電線200に対応し、
接続構造体は、圧着接続構造体500aに対応し、
コネクタハウジングは、雌型コネクタハウジング401aに対応し、
コネクタは、雌型コネクタ400aに対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
1…雌型圧着端子
2…ボックス部
4…ワイヤーバレル部
21…弾性接触片
22b…内側天井部
24…天井側弾性接触片
80…斜めビード
81…半球状凸部
81a…後方半球状凸部
81b…前方半球状凸部
82…中間凹部
83…フラット凸部
91…独立半球状凸部
93…独立フラット凸部
100…付加凸部
101…前位置凸部
102…先端位置凸部
300…挿入タブ
201…絶縁被覆
200…被覆電線
202…芯線
400a…雌型コネクタ
401a…雌型コネクタハウジング
500a…圧着接続構造体
a…接触幅
c…幅方向間隔
X…挿入方向
Y…幅方向

Claims (8)

  1. 雄型端子における挿入タブの挿入を許容する嵌合手段を備えた雌型端子であって、
    前記嵌合手段に、挿入された前記挿入タブに対して弾性的に接触する弾性接触部と、該弾性接触部に対向するとともに、挿入された前記挿入タブを前記弾性接触部とで挟み込んで嵌合する対向接触部とを備え、
    該対向接触部に、前記弾性接触部側に向かって突出する2つ以上の凸部を形成し、
    2つ以上の凸部のうち一の凸部に対して他の凸部を、前記挿入タブの前記嵌合手段への挿入方向に対して交差する位置に配置するとともに、
    前記凸部のうち2つを凸部組とした際に、少なくとも1つの凸部組が、前記対向接触部面内において前記挿入方向に対して直交する幅方向に対して交差するよう配置した
    雌型端子。
  2. 前記幅方向における各凸部の位置である幅方向位置を、
    各凸部における幅方向中心同士の幅方向間隔が、前記凸部と前記挿入タブとが接触する接触幅の半分以上となるように設定した
    請求項1に記載の雌型端子。
  3. 前記対向接触部に、
    前記挿入方向に対して交差する方向に長く、前記弾性接触部側に向かって突出するとともに、所定長さ分の凹部を少なくとも中間部に有する張出部を備え、
    前記凸部を、前記張出部上における前記凹部の両外側で構成した
    請求項1又は2に記載の雌型端子。
  4. 前記対向接触部を、
    対向する前記弾性接触部方向の弾性を有する弾性対向接触部で構成し、
    挿入された前記挿入タブに対して、前記弾性接触部と前記弾性対向接触部とが互いに対向方向に付勢しながら挟み込んで嵌合する構成とした
    請求項1乃至3のうちいずれかに記載の雌型端子。
  5. 複数備えた前記凸部のうち半数以下の前記凸部に対して、前記挿入タブによる前記挿入方向上の前側位置に配置した前位置凸部を備えた
    請求項1乃至4のうちいずれかに記載の雌型端子。
  6. 挿入される前記挿入タブの先端付近に接触する先端位置、且つ前記凸部に対して前記挿入方向上に配置した先端位置凸部を備えた
    請求項1乃至5のうちいずれかに記載の雌型端子。
  7. 請求項1乃至6のうちいずれかに記載の雌型端子を、
    電線導体の外周を絶縁性の被覆体で被覆した被覆電線における前記被覆体の先端より所定長さ露出させた前記電線導体の露出部分を圧着する圧着部と、前記嵌合手段とで構成し、
    前記圧着部によって、前記被覆電線と前記雌型端子とを接続した
    接続構造体。
  8. 請求項7に記載の接続構造体における雌型端子を少なくともひとつコネクタハウジング内に配置した
    コネクタ。
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