JPWO2011111780A1 - ビス(フルオロスルホニル)イミドの製造方法 - Google Patents

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Abstract

炭酸ガスの発生と反応熱を制御しつつ、連続的な生産が可能なビス(フルオロスルホニル)イミドの製造方法を提供する。フルオロ硫酸に尿素を反応させることなく混合して、未反応混合液を調製する調製工程と、加熱している反応容器に未反応混合液を供給して、少なくともビス(フルオロスルホニル)イミドを含む反応液を生成する生成工程と、反応容器から反応液を回収する回収工程と、を備えることを特徴とするビス(フルオロスルホニル)イミドの製造方法を採用する。

Description

本発明は、ビス(フルオロスルホニル)イミドの製造方法に関するものである。
本願は、2010年3月11日に日本に出願された特願2010−054511号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
ビス(フルオロスルホニル)イミド((FSONH)は、イオン導電材料やイオン液体のアニオン源として有用な物質であることが知られている。そして、ビス(フルオロスルホニル)イミドの製造方法としては、下記の特許文献1及び特許文献2、並びに非特許文献1及び非特許文献2が知られている。
非特許文献1には、尿素(CO(NH)とフルオロ硫酸(FSOH)とを混合した後に加熱して反応させる方法が開示されている。この方法では、下記反応式(1)に示すような化学反応が生じ、ビス(フルオロスルホニル)イミド、硫酸水素アンモニウム(NHHSO)、フッ化水素(HF)及び炭酸ガス(CO)が生成される。生成したビス(フルオロスルホニル)イミド及び過剰に投入されたフルオロ硫酸は減圧蒸留で回収することができる。
3FSOH+CO(NH
(FSONH+NHHSO+HF+CO 式(1)
また、非特許文献2には、ビス(クロロスルホニル)イミド((ClSONH)と三フッ化ヒ素(AsF)とを反応させる方法が開示されている。この方法では、下記反応式(2)に示すような化学反応が生じ、ビス(フルオロスルホニル)イミド及び三塩化ヒ素(AsCl)が生成される。
3(ClSONH+2AsF
3(FSONH+2AsCl 式(2)
さらに、特許文献1及び特許文献2には、ビス(クロロスルホニル)イミドとフッ化カリウム(KF)とを反応させる方法が開示されている。これらの方法では、下記反応式(3)に示すような化学反応が生じ、ビス(フルオロスルホニル)イミドと塩化カリウム(KCl)とが生成される。特許文献1に記載の方法では、ニトロメタン溶媒中でビス(クロロスルホニル)イミドをフッ化カリウムでフッ素化する。一方、特許文献2に記載の方法では、有機溶媒中で塩基性触媒の存在下で、ビス(クロロスルホニル)イミドをフッ化カリウムでフッ素化する。
(ClSONH+2KF →
(FSONH+2KCl 式(3)
特表2004−522681号公報 特開2007−182410号公報
Chem.Ber.95,246〜8(1962) アッペル及びアイゼンハウアー(Appel &Eisenhauer) Inorg.Synth.11,138〜43(1968)
ビス(フルオロスルホニル)イミドの製造方法として、尿素とフルオロ硫酸とを用いる方法は、反応工程が短く、原料も安価であるため工業的に有利である。しかしながら、非特許文献1に開示されている尿素とフルオロ硫酸とを用いるビス(フルオロスルホニル)イミドの製造方法では、反応初期には炭酸ガスが発生せず(これを「反応の蓄積」という)、反応途中から急激な炭酸ガスの発生と、激しい発熱とを伴う反応が起きる。そのため、非特許文献1に開示されている尿素とフルオロ硫酸とを用いるビス(フルオロスルホニル)イミドの製造方法では、原料間での化学反応が暴走的に進行してしまうという問題があった。したがって、非特許文献1に記載の方法は、工業的に実施することが困難であった。
また、非特許文献2、特許文献1及び特許文献2に開示されているビス(フルオロスルホニル)イミドの製造方法では、原料であるビス(クロロスルホニル)イミドの工業的な入手が困難であるという問題があった。さらに、非特許文献2に開示されているビス(フルオロスルホニル)イミドの製造方法では、原料である三フッ化ヒ素が高価であり、毒性が強いために取り扱いが困難であるという問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、炭酸ガスの発生と反応熱を制御しつつ、連続的な生産が可能なビス(フルオロスルホニル)イミドの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様であるビス(フルオロスルホニル)イミドの製造方法は、フルオロ硫酸に尿素を反応させることなく混合して、未反応混合液を調製する調製工程と、加熱している反応容器に前記未反応混合液を供給して、少なくともビス(フルオロスルホニル)イミドを含む反応液を生成する生成工程と、前記反応容器から前記反応液を回収する回収工程と、を備えることを特徴とするビス(フルオロスルホニル)イミドの製造方法である。
ここで言う、フルオロ硫酸に尿素を反応させることなく混合するとは、反応により消費される尿素の質量が、投入された尿素の全質量の5%以下である状態で、フルオロ硫酸と尿素とを混合することを意味している。
本発明の一態様であるビス(フルオロスルホニル)イミドの製造方法では、前記生成工程において、前記反応容器中の前記フルオロ硫酸と前記尿素との反応温度が、100〜170℃の範囲内であってもよい。
また、前記生成工程において、前記反応容器中の前記反応液の温度が、100〜170℃の範囲内であってもよい。
また、前記生成工程において、前記反応容器への前記未反応混合液の供給速度は、前記未反応混合液中の尿素の1時間当たりの供給量が、前記反応容器に含まれる反応液の重量の15%以下となるように制御されてもよい。
また、前記調製工程において、前記未反応混合液中の前記フルオロ硫酸の量が、前記未反応混合液中に溶解している前記尿素の質量部に対して2〜10倍の範囲内であってもよい。
また、前記生成工程によって生成される前記反応液が、さらにフルオロ硫酸アンモニウムを含み、スラリー状であってもよい。
本発明のビス(フルオロスルホニル)イミドの製造方法によれば、予め尿素をフルオロ硫酸と反応させることなく常温で混合して未反応混合液を調製し、別に加熱している反応容器にこの未反応混合液を供給して、少なくともビス(フルオロスルホニル)イミドを含む反応液を生成するという構成を有している。これにより、炭酸ガスの発生と反応熱を制御しながらビス(フルオロスルホニル)イミドを製造することができる。
そして、反応容器から反応液を回収する工程を備えることにより、ビス(フルオロスルホニル)イミドを連続的に製造することができる。
以下、本発明のビス(フルオロスルホニル)イミドの製造方法の実施形態について詳細に説明する。
本実施形態は、フルオロ硫酸に尿素を反応させることなく混合して、未反応混合液を調製する工程(調製工程)と、加熱している反応容器に上記未反応混合液を供給して、少なくともビス(フルオロスルホニル)イミドを含む反応液を生成する工程(生成工程)と、上記反応容器から上記反応液を回収する工程(回収工程)と、を備えて概略構成されている。以下、各工程について具体的に説明する。
(調製工程)
先ず、フルオロ硫酸に尿素を反応させることなく混合して、尿素とフルオロ硫酸との未反応混合液(以下、未反応混合液という)を調製する。未反応混合液の調製は、例えば、氷浴を用いて0〜30℃に冷却しているフルオロ硫酸に、尿素を少量ずつ添加することで容易に調製することができる。ここで、フルオロ硫酸の温度が100℃よりも高いと添加した尿素とフルオロ硫酸との反応が進行してしまう。したがって、本発明の調製工程では、尿素とフルオロ硫酸とを反応させずに混合して、フルオロ硫酸に尿素を溶解させることが重要である。
フルオロ硫酸に尿素を反応させることなく混合するとは、反応により消費される尿素の質量が、投入された尿素の全質量の5%以下である状態で、フルオロ硫酸と尿素とを混合することを意味する。
尿素を溶解させるフルオロ硫酸の量は、添加する尿素の質量部に対して2〜10倍の範囲内とすることが好ましく、3〜5倍の範囲内とすることがより好ましい。フルオロ硫酸の量が添加する尿素の質量部に対して2倍未満であると、尿素がフルオロ硫酸に溶解せずに析出してしまうため、好ましくない。一方、フルオロ硫酸の量が添加する尿素の質量部に対して10倍を超えると経済的に無駄である。
このようにして調製された未反応混合液は、常温で安定性も良く、取り扱いも非常に容易である。
(生成工程)
次に、加熱している反応容器に上記未反応混合液を供給して、少なくともビス(フルオロスルホニル)イミドを含む反応液を生成させる。本実施形態では、上記調製工程によって尿素を予めフルオロ硫酸に溶解している。そして、フルオロ硫酸に溶解した尿素を、反応容器中に供給し、高温のフルオロ硫酸又はビス(フルオロスルホニル)イミドと接触させることにより、尿素とフルオロ硫酸との反応が速やかに進行する。このように、フルオロ硫酸に溶解した尿素を加熱している反応容器に供給しながら順次反応させることによって、炭酸ガスの発生と反応熱を制御することができる。したがって、本実施形態では、急激な炭酸ガスの発生および激しい発熱を伴って、反応が暴走的に進行することがない。
本発明のビス(フルオロスルホニル)イミドの製造方法における反応機構は、基本的には非特許文献1で説明した上記式(1)に示した反応機構と同様であると考えられていた。しかしながら、本発明のビス(フルオロスルホニル)イミドの製造方法によって、ビス(フルオロスルホニル)イミドを製造した場合、上記式(1)で生成する硫酸水素アンモニウム及びフッ化水素の生成量が微量であることが確認されており、上記式(1)に示した反応機構と異なっていると考えられる。すなわち、本発明のビス(フルオロスルホニル)イミドの製造方法では、下記式(4)示すような化学反応によって、ビス(フルオロスルホニル)イミド、フルオロスルホン酸アンモニウム及び二酸化炭素が生成していると推測される。
5FSOH+2CO(NH
(FSONH+3NHSOF+2CO 式(4)
上記の式(4)でビス(フルオロスルホニル)イミドが生成される場合、2モル等量の尿素から、1モル等量のビス(フルオロスルホニル)イミドが生成される。よって、式(1)の反応式では尿素基準でのビス(フルオロスルホニル)イミドの収率の理論上最大値は100%であるが、式(4)の反応式で反応が進行した場合は、尿素基準でのビス(フルオロスルホニル)イミドの収率の理論上最大値は50%である。
この場合、加熱している反応容器中には、供給された未反応混合液中の尿素が速やかにフルオロ硫酸と反応して生成された、ビス(フルオロスルホニル)イミドを含む反応液が存在することになる。
結果として、上記反応液は、上記式(4)に示すように、生成したビス(フルオロスルホニル)イミドと、副生したフルオロスルホン酸アンモニウムと、未反応のフルオロ硫酸と、からなるスラリー状の混合液となる。したがって、反応容器内を撹拌しながら反応させることが好ましい。
なお、反応開始時には、反応容器を予めフルオロ硫酸又はビス(フルオロスルホニル)イミド、あるいは尿素とフルオロ硫酸が反応して生成したビス(フルオロスルホニル)イミドを含む反応液で満たし、所定の温度に加熱しておくことが好ましい。
反応容器へ上記未反応混合液を供給している間の、当該反応容器中のフルオロ硫酸と尿素との反応温度(すなわち、反応容器中に生成している反応液の温度)は、100〜170℃の範囲内であることが好ましく、120〜150℃の範囲内であることがより好ましい。ここで、反応温度が100℃以下であると、反応の蓄積が起こりやすくなるために好ましくなく、170℃以上であるとフルオロ硫酸の沸点を超え、フルオロ硫酸が蒸発するため、経済的に無駄である。
反応容器への上記未反応混合液の供給速度は、前記未反応混合液中の尿素の1時間当たりの供給量が、反応容器に含まれる反応液の重量に対して15%以下となるように制御することが好ましい。上記供給速度は、1%〜15%の範囲内に制御することがより好ましい。また、上記供給速度を5%〜12.5%の範囲内に制御することが、さらにより好ましい。
尿素の1時間当たりの供給量が、反応液の重量に対して15%を超えると、未反応の原料が系外に排出され、収率が低下するため好ましくない。これに対して、供給速度が15%以下であると、供給された未反応混合液が反応容器に滞留している間に反応が完結する。そのため、未反応の原料が系外に排出されることがなくなり、ビス(フルオロスルホニル)イミドの収量が向上する。
上記供給量が1%以下であると、生成工程が長くなり、ビス(フルオロスルホニル)イミドの製造コストが高くなる。
反応容器への上記未反応混合液の供給方法は、特に限定されるものではなく、上記供給速度に応じて適宜選択することができる。具体的には、例えば、定量ポンプによる滴下、タンクなどからの滴下、圧送等が挙げられる。
本実施形態で用いる反応容器としては、特に限定されるものではなく、ビス(フルオロスルホニル)イミドの生産規模に応じて適宜選択することができる。
(回収工程)
次に、前記生成工程が開始され、反応容器内の反応液が所定量に達した後、前記反応容器から前記反応液を回収する。反応容器からの反応液の回収方法は、反応容器から反応液を定量的に抜き出せる方法であれば、限定されるものではない。抜き出し方法としては、例えば、反応容器に排出管を設けたオーバーフロー方式、定量ポンプによる抜き出し等が挙げられる。
このように、反応容器への未反応混合液の供給により生成した、ビス(フルオロスルホニル)イミドと、副生したフルオロ硫酸のアンモニウム塩と、未反応のフルオロ硫酸とを含むスラリー状の反応液を連続的に排出させることにより、長時間安定して反応を続けることが可能となる。
また、本実施形態のビス(フルオロスルホニル)イミドの製造方法では、回収工程により、反応容器中の反応液を連続的に系外に排出するため、従来のバッチ式の製造方法と比較して小型の反応容器を用いることができる。これにより、反応装置全体の小型化が可能となるため、経済性においても優れる。
本明細書において反応の蓄積とは、上述した非特許文献1に開示されているビス(フルオロスルホニル)イミドの製造方法で見られる、反応初期には炭酸ガスが発生しない現象をいう。この反応の蓄積が確認されると、その後、反応途中から急激な炭酸ガスの発生と激しい発熱とを伴って、暴走的に反応が進行してしまうため、安全面の問題が生じる。
また、本実施形態において、加熱している反応容器中に予めフルオロ硫酸を投入しておく場合は、予め添加剤を反応容器中に添加しておくことが好ましい。上述したように、反応容器に未反応混合液を供給して尿素とフルオロ硫酸とを反応させることで、概ね炭酸ガスの発生と発熱とを制御することが可能である。さらに、加熱している反応容器中に投入するフルオロ硫酸に予め添加剤を添加することで、滴下初期に起こりやすい反応の蓄積を防止することができる。
添加剤としては、本発明の製造方法の生成物であるビス(フルオロスルホニル)イミド又は下記式(5)で表されるビス(フルオロスルホニル)イミド塩を用いても良い。また、これらの一種又は二種以上を含む混合物を用いても良い。
(FSON・M 式(5)
上記式(5)において、Mは、Na、K、Li、アンモニウムからなる群から選ばれた陽イオンのいずれか一種を示す。すなわち、上記式(5)で表されるビス(フルオロスルホニル)イミド塩としては、ビス(フルオロスルホニル)イミドナトリウム塩((FSON・Na)、ビス(フルオロスルホニル)イミドカリウム塩((FSON・K)、ビス(フルオロスルホニル)イミドリチウム塩((FSON・Li)、ビス(フルオロスルホニル)イミドアンモニウム塩((FSON・NH)が挙げられる。
添加剤の添加量は、予め反応容器中に投入しておくフルオロ硫酸の質量部に対して0.01〜1.0倍の範囲内とすることが好ましく、0.02〜0.1倍の範囲内とすることがより好ましい。
添加剤の添加量が0.01倍未満であると、反応の蓄積を防止する効果が得られないために好ましくない。一方、添加剤の添加量が1.0倍を超えると、効果に変化がなく経済的に無駄である。
また、ビス(フルオロスルホニル)イミドは、本発明の製造方法の生成物であることから、添加剤として本発明の製造方法で生成されたビス(フルオロスルホニル)イミドを含む反応終了液を、次回の製造時の反応前の反応容器へフルオロ硫酸とともに予め添加しても良い。
上記反応終了液を添加剤として用いる場合には、反応終了液中のビス(フルオロスルホニル)イミドの濃度にもよるが、反応容器中のフルオロ硫酸の質量部に対して0.05〜1.0倍の範囲内とすることが好ましく、0.1〜0.5倍の範囲内とすることがより好ましい。添加剤である反応終了液の添加量が0.05倍未満であると、反応の蓄積を防止する効果が得られないために好ましくない。また、反応終了液の添加量が1.0倍を超えると、効果に変化がなく経済的に無駄である。
一方、フルオロ硫酸の代わりに、反応容器中にビス(フルオロスルホニル)イミドを加熱して反応させる場合には、フルオロ硫酸に添加剤を加えた場合と同様の効果が得られるために、新たに添加剤を添加する必要はない。
以上説明したように、本実施形態のビス(フルオロスルホニル)イミドの製造方法によれば、予め尿素をフルオロ硫酸と反応させることなく混合して未反応混合液を調製し、未反応混合液とは別に加熱している反応容器にこの未反応混合液を供給して、少なくともビス(フルオロスルホニル)イミドを含む反応液を生成するとともに、反応容器から上記反応液を回収するという構成を有している。これにより、炭酸ガスの発生と反応熱を制御しつつ、ビス(フルオロスルホニル)イミドを連続的に製造することができる。
また、本実施形態のビス(フルオロスルホニル)イミドの製造方法によれば、反応容器を予め加熱して反応容器中での反応温度を所定の温度範囲内となるように制御するとともに、反応容器に未反応混合液の供給速度を所定の範囲に制御することにより、供給された未反応混合液が反応容器に滞留している間に反応が完結する。これにより、未反応の原料が系外に排出されて収率が低下を防ぐことができる。
また、加熱する反応容器中に予めフルオロ硫酸を投入し、さらに、添加剤としてビス(フルオロスルホニル)イミド又はイミド塩をフルオロ硫酸に予め添加することにより、供給初期に起こる反応の蓄積を防止することができる。したがって、イオン導電材料及びイオン液体のアニオン源として有用な物質であるビス(フルオロスルホニル)イミドを安全かつ容易に製造することができる。
以下に、本発明の実施例を詳細に説明する。なお、本発明は実施例によって、なんら限定されるものではない。
(実施例1)
攪拌機、温度計を備えた5Lのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製の反応器に、フルオロ硫酸2.8kgを仕込み、冷却しながら尿素400gを少量ずつ添加し、尿素のフルオロ硫酸溶液を調製した。
攪拌機、温度計、ガス流量計を備えた100mLのガラス製フラスコを140℃で加熱しているところへ、尿素のフルオロ硫酸溶液を50g/Hrの速度で滴下した。なお、上記滴下速度は、尿素のフルオロ硫酸溶液に含まれる尿素の1時間当たりの供給量が、反応器に含まれる反応液の重量の6.25%となるように制御された。
尿素のフルオロ硫酸溶液を約100g滴下した時点から、反応器に備え付けられた排出管から反応液の排出が確認され、その後は定量的に反応液が排出され続けた。滴下中の反応器中の反応温度は、130〜140℃を保っていた。滴下には計64時間を要した。反応液を室温まで冷却後、水に溶解し、19F−NMRにて分析を行った。その結果、ビス(フルオロスルホニル)イミドの存在を示す52.1ppmにピークが確認された。定量測定値を基に、内部標準添加法により算出されたビス(フルオロスルホニル)イミドの尿素基準の収率は43%(519g)であった。式(4)から分かる通り、ビス(フルオロスルホニル)イミドの尿素基準の収率の理論上の最大値は50%であり、収率43%は理論上の最大値の86%に相当する。
本実施例1の結果から、安価な原料を用いて、容易にかつ安全に、連続的にビス(フルオロスルホニル)イミドが高収率で製造されたことが分かる。
(実施例2)
攪拌機、温度計、ガス流量計を備えた2Lのガラス製の反応器を150℃で加熱しているところへ、実施例1と同様の方法にて調製した尿素のフルオロ硫酸溶液を3.25kg/Hrの速度で滴下した。なお、上記滴下速度は、尿素のフルオロ硫酸溶液に含まれる尿素の1時間当たりの供給量が、反応器に含まれる反応液の重量の15%となるように制御された。
尿素のフルオロ硫酸溶液を2.7kg滴下した頃から反応器に備え付けられた排出管から反応液の排出が確認され、その後は定量的に反応液を排出し続けた。滴下中の反応器中の反応温度は、140〜150℃を保っていた。尿素のフルオロ硫酸溶液の滴下は90時間続けて行い、合計293kg(尿素37kg)を滴下した。反応液を室温まで冷却後、水に溶解し、19F−NMRにて分析を行った。その結果、ビス(フルオロスルホニル)イミドの存在を示す52.1ppmにピークが確認された。定量測定値を基に、内部標準添加法により算出されたビス(フルオロスルホニル)イミドの尿素基準の収率は42%(46kg)であった。収率42%は理論上の最大値の84%に相当する。
本実施例2の結果から、安価な原料を用いて、容易にかつ安全に、連続的にビス(フルオロスルホニル)イミドが高収率で製造されたことが分かる。
(比較例1)
攪拌機、温度計、ガス流量計を備えた2Lのガラス製の反応器を150℃で加熱しているところへ、実施例1と同様の方法にて調製した尿素のフルオロ硫酸溶液を3.75kg/Hrの速度で滴下した。なお、上記滴下速度は、反応器に含まれる反応液の重量の17%であった。
尿素のフルオロ硫酸溶液を約2.7kg滴下した時点から反応器に備え付けられた排出管から反応液の排出が確認され、その後は定量的に反応液が排出され続けた。滴下中の反応器中の反応温度は、140〜150℃を保っていた。尿素のフルオロ硫酸溶液の滴下は20時間続けて行い、合計75kg(尿素9.4kg)を滴下した。反応液を室温まで冷却後、水に溶解し、19F−NMRにて分析を行った。その結果、ビス(フルオロスルホニル)イミドの存在を示す52.1ppmにピークが確認された。定量測定値を基に、内部標準添加法により算出されたビス(フルオロスルホニル)イミドの尿素基準の収率は30%(8.5kg)であった。収率30%は理論上の最大値の60%に相当する。
比較例1においては、反応容器への尿素のフルオロ硫酸溶液の供給速度が、反応器に含まれる反応液の重量の17%であったために、排出管から原料の一部が未反応のまま排出され、結果として、実施例1および実施例2と比較して収率が低下したと考えられる。
(比較例2)
攪拌機、温度計を備えた1Lのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製の反応器にフルオロ硫酸600gを仕込み、冷却しながら尿素100gを少量ずつ添加し、尿素のフルオロ硫酸溶液を調製した。この反応液を115℃のオイルバスで加熱したところ、反応液の温度が110℃付近から炭酸ガスの発生が確認され、その後炭酸ガスの激しい噴出とともに反応液の温度が20分で172℃まで上昇した後、発熱と炭酸ガスの発生が収まり、反応が終了した。
その後、反応液から減圧蒸留にてビス(フルオロスルホニル)イミドとフルオロ硫酸の混合物を260g抜き出した。抜き出し後の残渣はフルオロ硫酸のアンモニウム塩であった。抜き出した成分について19F−NMRにて分析を行い、定量測定値を基に、内部標準添加法により算出されたビス(フルオロスルホニル)イミドの尿素基準の収率は40%であった。収率40%は理論上の最大値の80%に相当する。
比較例2では、原料の化学反応の進行が制御されず、原料の全てがほぼ同時期に化学反応したために、反応の蓄積が起こり、結果として、急激な炭酸ガスの発生と、激しい発熱とを伴う暴走的な化学反応が進行したと考えられる。
比較例2の結果から、比較例2の条件でのビス(フルオロスルホニル)イミドの製造は、安全性に問題があり、工業的に実施することが困難であることが分かる。
本発明のビス(フルオロスルホニル)イミドの製造方法によれば、安価な原料を用いた短い反応工程から、安全かつ容易に、高い収率でビス(フルオロスルホニル)イミドを製造することができる。

Claims (6)

  1. フルオロ硫酸に尿素を反応させることなく混合して、未反応混合液を調製する調製工程と、
    加熱している反応容器に前記未反応混合液を供給して、少なくともビス(フルオロスルホニル)イミドを含む反応液を生成する生成工程と、
    前記反応容器から前記反応液を回収する回収工程と、を備えることを特徴とするビス(フルオロスルホニル)イミドの製造方法。
  2. 前記生成工程において、前記反応容器中の前記フルオロ硫酸と前記尿素との反応温度が、100〜170℃の範囲内である請求項1に記載のビス(フルオロスルホニル)イミドの製造方法。
  3. 前記生成工程において、前記反応容器中の前記反応液の温度が、100〜170℃の範囲内である請求項1又は2に記載のビス(フルオロスルホニル)イミドの製造方法。
  4. 前記生成工程において、前記反応容器への前記未反応混合液の供給速度は、前記未反応混合液中の尿素の1時間当たりの供給量が、前記反応容器に含まれる反応液の重量の15%以下となるように制御される請求項1から3のいずれか一項に記載のビス(フルオロスルホニル)イミドの製造方法。
  5. 前記調製工程において、前記未反応混合液中の前記フルオロ硫酸の量が、前記未反応混合液中に溶解している前記尿素の質量部に対して2〜10倍の範囲内である請求項1から4のいずれか一項に記載のビス(フルオロスルホニル)イミドの製造方法。
  6. 前記生成工程によって生成される前記反応液が、さらにフルオロ硫酸アンモニウムを含み、スラリー状である請求項1から4のいずれか一項に記載のビス(フルオロスルホニル)イミドの製造方法。
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