JP2016124735A - フルオロスルホニルイミド化合物の製造方法 - Google Patents

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康則 奥村
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正幸 岡島
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Abstract

【課題】製造コストの上昇を抑制し、HF,HCl等の腐食性物質の反応系外への流出を抑制し、安全且つ継続的で効率のよいフルオロスルホニルイミド化合物製造方法の提供。【解決手段】式(1)で表される化合物の製造方法で、式(2)で表される化合物と、式(3):NH4F(HF)p(式中、pは0〜10の整数)で表される化合物とを、アンモニア、又は直鎖状のアルキル基を有する1〜3級アルキルアミンの存在下で反応させるフルオロスルホニルイミド化合物の製造方法。(R1はF又はC1〜6のフルオロアルキル基;R6はハロゲン又はC1〜6のフルオロアルキル基;Cat1+はR2R3R4R5N+で表される1カチオン;Cat2+は水素イオン、又はR2R3R4R5N+の1価のカチオン;R2〜R5は同一又は異なり、H又はC1〜6のアルキル基;R7は同一又は異なり、H又は直鎖状のアルキル基)【選択図】なし

Description

本発明はフルオロスルホニルイミド化合物の製造方法に関する。
ビス(フルオロスルホニル)イミド化合物、N−(フルオロスルホニル)−N−(フルオロアルキルスルホニル)イミド化合物といったフルオロスルホニルイミド化合物類はN(SO2F)基を有する化合物の中間体として有用であり、また、電解質、燃料電池の電
解液への添加物、選択的求電子フッ素化剤、光酸発生剤、熱酸発生剤、近赤外線吸収色素等として使用されるなど、様々な用途において有用な化合物である。
オニウムをカチオンとするフルオロスルホニルイミドオニウム塩はイオン液体として優れた性質を有することから、電気化学デバイスの電解液用途を中心として様々な検討がなされている。従来フルオロスルホニルイミドオニウム塩の製造方法としては、クロロスルホニルイミドをアルカリ金属フッ化物等と反応させて得られるフルオロスルホニルイミドの金属塩をカチオン交換して、所望のフルオロスルホニルイミドオニウム塩を合成するといった手法が採用されてきた。しかしながら、斯かる手法では一旦フルオロスルホニルイミドの金属塩を経由するため、生成物であるフルオロスルホニルイミドオニウム塩には不純物として金属塩が含まれてしまうといった問題があった。
生成物への金属不純物の混入を抑制する技術として、特許文献1、2には、フッ化水素(HF)やフッ化アンモニウム(NH4F)によりクロロスルホニルイミド化合物をフッ素化する方法が開示されている。
国際公開第2012/108284号 国際公開第2012/117961号
このようにフッ素化剤としてフッ化水素やフッ化アンモニウムを使用すれば金属不純物の混入は抑制できる。しかしながら、この場合フッ素化剤の使用量が非常に多くなる傾向があり、原料自体が安価であっても結果的にコストが上昇してしまう不利益がある。また十分に反応を進行させるには比較的高い反応温度を採用する必要があり、未反応原料から腐食性の高いHFが発生し易くなる。さらにこのHFは、副生成物として生成するHClと共にフッ素化反応の反応系外へと流出してしまう。したがって、工業的にフッ素化反応を実施する場合には、腐食性物質の排出量が増加することで周辺環境を悪化させたり、製造設備を劣化させてしまうといった問題があった。
本発明は上記の様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、製造コストの上昇を抑制でき、また腐食性物質の反応系外への流出を抑制して、安全且つ継続的で、効率のよいフルオロスルホニルイミド化合物の製造方法を提供することにある。
上記目的を達成し得た本発明の製造方法とは、下記一般式(1)で表されるフルオロスルホニルイミド化合物の製造方法であって、
(一般式(1)中、R1はF、又は炭素数1〜6のフルオロアルキル基を表し、Cat1+はR2345+で表される1価のカチオンを表し、R2〜R5は同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す)
一般式(2)で表される化合物と、
(一般式(2)中、R6はハロゲン、又は炭素数1〜6のフルオロアルキル基を表し、Cat2+は水素イオン、又はR2345+で表される1価のカチオンを表し、R2〜R5は一般式(1)と同一である)
一般式(3):NH4F(HF)p(一般式(3)中、pは0〜10の整数を表す)で表される化合物とを、アンモニア、又は直鎖状のアルキル基を有する1〜3級アルキルアミンの存在下で反応させる工程を含むところに特徴を有する。
上記アンモニア、又は直鎖状のアルキル基を有する1〜3級アルキルアミンは、一般式(2)で表される化合物1molに対して1mol〜40mol用いるのが好ましい。
本発明には、上記製法により得られた一般式(1)で表される化合物とアルカリ金属化合物との反応により下記一般式(5)で表されるフルオロスルホニルイミド化合物を製造する方法も含まれる。
(一般式(5)中、R1はF、又は炭素数1〜6のフルオロアルキル基を表し、M+はアルカリ金属を表す)
本発明によれば、腐食性の強いHFやHClの反応系外への流出が抑制されるため、反応設備の劣化を防いで、安全且つ継続的にフルオロスルホニルイミド化合物が製造できるのみならず、副生したHFを反応系内で原料として再生できるため、製造コストの上昇を抑え、効率よくフルオロスルホニルイミド化合物を製造することができる。
本発明の製造方法とは、一般式(1)で表されるフルオロスルホニルイミド化合物の製造方法であって、一般式(2)で表される化合物と、一般式(3):NH4F(HF)p(一般式(3)中、pは0〜10の整数を表す)で表される化合物とを、アンモニア、又は直鎖状のアルキル基を有する1〜3級アルキルアミンの存在下で反応させるところに特徴を有している。
(一般式(1)中、R1はF、又は炭素数1〜6のフルオロアルキル基を表し、Cat1+はR2345+で表される1価のカチオンを表し、Cat2+は水素イオン又はR2345+で表される1価のカチオンを表し、R2〜R5は同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、R6はハロゲン、又は炭素数1〜6のフルオロアルキル基を表し、R7は同一又は異なって、水素原子又は直鎖状のアルキル基を表す。)
本発明において「フルオロスルホニルイミド」との文言には、フルオロスルホニル基を2つ有するビス(フルオロスルホニル)イミド、フルオロスルホニル基とフルオロアルキルスルホニル基を有するN−(フルオロスルホニル)−N−(フルオロアルキルスルホニル)イミドが含まれる。また、同様に、「クロロスルホニルイミド」との文言には、ビス(クロロスルホニル)イミド、N−(クロロスルホニル)−N−(フルオロアルキルスルホニル)イミドが含まれる。
本発明者らは、反応設備の劣化を防いで、安全且つ経済的で、効率のよいフルオロスルホニルイミド化合物の製造方法を提供すべく検討を重ねていたところ、アンモニア又は直鎖状のアルキル基を有する1〜3級アルキルアミン(以下「アンモニア等」と称する場合がある)の存在下でクロロスルホニルイミドとフッ素化剤とを反応させれば、上記問題を解決できることを見出して本発明を完成した。
後述する一般式(4)で表されるクロロスルホニルイミドと、フッ素化剤(一般式(3):NH4F(HF)p)とを反応させる場合には、当該反応の進行に伴ってHF及びHClが副生成物として生成してしまう。しかしながら、反応系内にアンモニア等が存在している場合には、生成したHFがアンモニア等に捕捉されて反応系内で原料として再生されるため(NH3+HF→NH4F;一般式(3)においてp=0の化合物)、反応系外へのHFの流出が抑制されるのである。また、副生したHFが再び原料であるフッ素化剤(NH4F)となって反応系内にとどまるため、フッ素化剤量の低下が抑制されて、反応系内に十分なフッ素化剤が存在することとなる結果、目的物であるフルオロスルホニルイミド化合物が収率よく得られるものと考えられる。なお、上述の通り、一般式(4)で表されるクロロスルホニルイミドと、一般式(3)で表されるフッ素化剤との反応では、HFと同時にHClも副生するが、HClとアンモニア等とで塩が形成されるため、反応系外へのHClの流出が抑制されるものと考えられる。以下、本発明の製造方法について説明する。
本発明では一般式(2)で表される化合物(以下、化合物(2)又はクロロスルホニルイミド化合物(2)と称する場合がある)を出発原料として用いる。
一般式(2)中、R6はハロゲン、又は炭素数1〜6のフルオロアルキル基を表す。ハロゲンとしてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等が挙げられる。好ましくはフッ素原子又は塩素原子である。
フルオロアルキル基の炭素数は好ましくは1〜4であり、より好ましくは1〜2である。具体的なフルオロアルキル基としては、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、フルオロエチル基、ジフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、ペルフルオロ−n−プロピル基、フルオロプロピル基、ペルフルオロイソプロピル基、フルオロブチル基、3,3,4,4,4−ペンタフルオロブチル基、ペルフルオロ−n−ブチル基、ペルフルオロイソブチル基、ペルフルオロ−t−ブチル基、ペルフルオロ−sec−ブチル基、フルオロペンチル基、ペルフルオロ−n−ペンチル基、ペルフルオロヘキシル基、ペルフルオロ−n−ヘキシル基、ペンタフルオロイソヘキシル基等が挙げられる。
6としては、フッ素原子、塩素原子、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基が好ましく、より好ましくは塩素原子、トリフルオロメチル基である。
化合物(2)を構成するカチオン:Cat2+は、水素イオン(H+)、又はR2345+である。ここでカチオンR2345+を構成するR2〜R5は、同一又は異なって、水素原子、又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。アルキル基の炭素数は1〜4であるのが好ましく、より好ましくは1〜2である。アルキル基は、直鎖状、分枝鎖状、環状、又はこれらの内2以上の構造を有するものであってもよい。好ましくは直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基であり、直鎖状のアルキル基がより好ましい。炭素数1〜6のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基が挙げられる。
一般式:R2345+で表されるカチオンCat2+の具体例としては、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、テトラヘプチルアンモニウム、テトラヘキシルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウム等の第4級アンモニウム類;トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、トリブチルアンモニウム、ジエチルメチルアンモニウム、ジメチルエチルアンモニウム、ジブチルメチルアンモニウム等の第3級アンモニウム類;ジメチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、ジブチルアンモニウム等の第2級アンモニウム類;メチルアンモニウム、エチルアンモニウム、ブチルアンモニウム、ヘキシルアンモニウム等の第1級アンモニウム類;及びNH4 +で表されるアンモニウム等が挙げられる。
化合物(2)のカチオンCat2+がR2345+である場合には、後述するフッ素化反応の際に化合物(2)から遊離のプロトンが生成しないため、この遊離のプロトンとフッ素化剤との反応によるHFの生成を抑制することができる。なお、本発明ではアンモニア等の存在下で反応を行うので、化合物(2)のカチオンCat2+が水素イオンである場合、フッ素化反応時にカチオン交換反応が起こっても、化合物(2)から生じる遊離のプロトンと、フッ素化反応により生成するClは、アンモニア等と塩を形成するので、HFやHClの生成や反応系外への流出を抑制することができる。
化合物(2)には、一種のカチオンCat2+が含まれていてもよく、2種以上のカチオンCat2+が含まれていてもよい。カチオンCat2+は、好ましくは水素イオン、4級アンモニウム類、第3級アンモニウム類、又はアンモニウムであり、より好ましくは水素イオン、テトラエチルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、トリブチルアンモニウム、又はアンモニウムであり、さらに好ましくは水素イオン、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、トリブチルアンモニウム、又はアンモニウムである。特に、カチオンCat2+が、水素イオン、トリエチルアンモニウム、又はアンモニウムである場合にはより高い転化率で反応を進行させることができるので好ましい。またカチオンCat2+が水素イオンである場合は、化合物(2)のカチオン交換反応と、化合物(2)と化合物(3)との反応を同時に行うことができるため、効率が良く好ましい。
カチオンCat2+がR2345+である化合物(2)は、下記一般式(4)で表されるクロロスルホニルイミド化合物(以下、クロロスルホニルイミド(4)と称する場合がある)とアンモニウム化合物との反応により得られる(カチオン交換反応1)。
(一般式(4)中、R6は一般式(2)と同様、ハロゲン、又は炭素数1〜6のフルオロアルキル基を表す)
クロロスルホニルイミド(4)は、市販の物を用いてもよく、また従来公知の方法で合成したものであってもよい。なお、クロロスルホニルイミド(4)は、例えば、塩化シアンと無水硫酸との反応により得られたクロロスルホニルイソシアネートと、クロロスルホン酸との反応(ビス(クロロスルホニル)イミドの製法);クロロスルホニルイソシアネートとフッ化アルキルスルホン酸との反応、フッ化アルキルスルホニルイソシアネートとクロロスルホン酸との反応(N−(クロスルホニル)−N−(フルオロアルキルスルホニル)イミドの製法);により得られる。
アンモニウム化合物としては、上述した化合物(2)を構成するカチオン:Cat2+(R2345+で表される構造であって、R2〜R5は、同一又は異なって、水素原子、又は炭素数1〜6のアルキル基)に対応するアミン化合物またはそのハロゲン化物を用いることができ、例えば、アンモニア(NH3);エチルアミン、ブチルアミン等の炭素数1〜6のアルキル基を有する第一級アミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン等の炭素数1〜6のアルキル基を有する第二級アミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、エチルジイソプロピルアミン等の炭素数1〜6のアルキル基を有する第三級アミンといったアミン類;フッ化アンモニウム、塩化アンモニウム、臭化アンモニウム等のハロゲン化アンモニウム、トリエチルアンモニウムクロリド、トリブチルアンモニウムクロリド等の第三級アンモニウム化合物、テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムクロリド、トリエチルメチルアンモニウムクロリド等の第四級アンモニウム化合物といったアンモニウム塩類;等が挙げられる。好ましくはアンモニア、第三級アミン、ハロゲン化アンモニウム、第三級アンモニウム化合物、第四級アンモニウム化合物であり、より好ましくは、アンモニア、第三級アミン、ハロゲン化アンモニウム、第三級アンモニウム化合物であり、さらに好ましくはアンモニア、トリエチルアミン、塩化アンモニウム、トリエチルアンモニウムクロリドである。
アンモニウム化合物の使用量は、1.0molのクロロスルホニルイミド(4)に対して1.0mol〜5.0molとするのが好ましい。より好ましくは1.0mol〜2.5molである。
クロロスルホニルイミド(4)とアンモニウム化合物の反応は、無溶媒下で行ってもよく、あるいは後述するクロロスルホニルイミド化合物(2)と化合物(3)との反応に用いられる溶媒下で行ってもよい。クロロスルホニルイミド(4)とアンモニウム化合物の反応に溶媒を使用する場合は、バレロニトリル、イソブチロニトリル、アセトニトリル等の鎖状ニトリル溶媒、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル等のエステル溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素溶媒が好ましく、より好ましくはトルエン、アセトニトリル、イソブチロニトリル、バレロニトリルである。
クロロスルホニルイミド(4)とアンモニウム化合物の反応条件は特に限定されず、原料であるクロロスルホニルイミド(4)及びアンモニウム化合物の使用量、反応の進行状態に応じて適宜調整すればよい。たとえば、反応温度は−10℃〜100℃とするのが好ましく、0〜90℃がより好ましく、10℃〜80℃がさらに好ましい。反応時間は例えば10分〜1時間とするのが好ましい。
本発明では、上記一般式(2)で表される化合物と、一般式(3):NH4F(HF)pで表される化合物(以下、化合物(3)と称する場合がある)とを、アンモニア、又は直鎖状のアルキル基を有する1〜3級アルキルアミンの存在下で反応させる(フッ素化反応)。一般式(3)中、pは0〜10の整数を表す。特にNH4F(p=0)、又はNH4FHF(p=1)が好ましい。
化合物(3)は、クロロスルホニルイミド化合物(2)1molに対し、化学量論量で1当量以上、4当量以下の範囲内で使用することが好ましい。より好ましくは2.5当量以下であり、さらに好ましくは1.5当量以下である。クロロスルホニルイミド化合物(2)は化合物(3)と反応し得る基を1乃至2有する。したがって、フッ素化剤として一般式(3)においてpが0である化合物(すなわち、NH4F)を使用する場合、「化合物(3)の使用量がクロロスルホニルイミド化合物(2)1molに対し、化学量論量で1当量以上、4当量以下の範囲内」とは、例えばR6がフッ素原子又はフルオロアルキル基のときは化合物(3)と反応し得る官能基は1つであるので、クロロスルホニルイミド化合物(2)1molに対して化合物(3)を1mol〜4molの範囲内で使用することを意味する。この場合、化合物(3)の使用量は、より好ましくは1mol〜2.5molであり、さらに好ましくは1mol〜1.5molである。一方、R6がフッ素原子以外のハロゲン原子である場合は化合物(3)と反応し得る官能基は2つであるので、クロロスルホニルイミド化合物(2)1molに対して化合物(3)を1mol〜8molの範囲内で使用するのが好ましく、より好ましくは1mol〜4.0molであり、さらに好ましくは1mol〜2.5molである。なお、一般式(3)においてpが1(すなわちNH4F・HF)を使用する場合は、フッ素原子が化合物(3)(p=0)の倍になるので、フッ素化剤である化合物(3)の使用量は上述の範囲の半分にすればよい。化合物(3)の使用量が多すぎると製造コストの増加を招き、さらには化合物(3)が分解してHFが多量に発生する虞があり、一方少なすぎるとフッ素化反応が円滑に進行せず反応が停止してしまう虞がある。
本発明では、アンモニア、又は直鎖状のアルキル基を有する1〜3級アルキルアミンの存在下で、クロロスルホニルイミド化合物(2)と化合物(3)とを反応させる。アンモニア等が反応系内に存在することで、フッ素化剤から副生したHFを原料(フッ素化剤)として再生させることができる。これにより、腐食性のHFの反応系外への流出が抑制され、同時に反応溶液中のフッ素化剤濃度の低下も抑制されるため、結果としてフルオロスルホニルイミドの収率を向上させることができる。上記アルキル基の炭素数としては1〜4であるのが好ましく、より好ましくは1〜2である。アルキルアミンが2以上のアルキル基を有する場合は、各アルキル基の炭素数は同一であってもよく、又は異なっていてもよい。直鎖状のアルキル基を有する1〜3級アルキルアミン(以下、単に「アルキルアミン」と称する場合がある)としては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミンといった炭素数1〜4のアルキル基を有する第一級アルキルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミンといった炭素数1〜4のアルキル基を有する第二級アルキルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミンといった炭素数1〜4のアルキル基を有する第三級アルキルアミン等のアルキルアミン類が挙げられる。これらの中でも汎用性や取扱い性の点からは、アンモニア、トリエチルアミン等の3級アルキルアミン、ジエチルアミン等の2級アルキルアミンが好ましく、アンモニア、トリエチルアミンがより好ましく、アンモニアがさらに好ましい。
アンモニア又はアルキルアミンの反応系内への供給方法は特に限定されない。例えば、アンモニア又はアルキルアミンが気体の場合には、反応容器内に気体(アンモニア等)を流通させて反応溶液に溶解させる方法、気体を反応溶液に流通させてバブリングにより反応系内に供給する方法、気体のアンモニア等を予め溶媒に溶解させ溶液(液体)として反応系内に全量を一括で若しくは連続的に、又は全量を数回に分割して断続的に添加する方法;アンモニア又はアルキルアミンが液体(アンモニア等の溶液を含む)である場合は、最初にアンモニア等の全量を他の原料と混合する方法、最初にアンモニア等の溶液の一部を他の原料と混合し、残りを連続フィード添加する方法、又は断続的にパルス添加する方法、或いはこれらを組み合わせた方法;が挙げられる。なおアンモニア又はアルキルアミンが過剰に反応系内に存在すると目的物が分解してしまう虞があるため、アンモニア又はアルキルアミンは連続的、又は全量を数回に分割して断続的に反応系内に添加することが好ましい。具体的には、気体のアンモニア等を反応容器内に流通させる方法、気体のアンモニア等を反応溶液にバブリングする方法、アンモニア等を溶媒に溶解させて反応溶液に滴下する方法、液体のアルキルアミンを反応溶液に滴下する方法が好ましい。なお、アンモニア等の供給は、クロロスルホニルイミド化合物(2)と化合物(3)とを混合した後に開始するのが好ましく、また反応溶液の温度を上昇する前に開始するのがより好ましい。
アンモニア又はアルキルアミンは、クロロスルホニルイミド化合物(2)1molに対して、1mol〜40molの範囲内で使用するのが好ましい。より好ましくは1mol〜25molであり、さらに好ましくは5mol〜20molである。また、反応系内への単位時間当たりのアンモニア又はアルキルアミンの供給量は、原料として使用したクロロスルホニルイミド化合物(2)の総量に対する化学量論量で、0.3当量/時〜10当量/時の範囲内とするのが好ましい。より好ましくは0.3当量/時〜7当量/時であり、さらに好ましくは1当量/時〜6当量/時である。
クロロスルホニルイミド化合物(2)と化合物(3)との反応は溶媒の存在下で行ってもよいし、無溶媒下で行ってもよい。この反応に使用できる溶媒としては、例えば、アセトニトリル、イソブチロニトリル、バレロニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類;ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等の鎖状炭酸エステル類;エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の環状炭酸エステル類;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル類;ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソピロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル等のカルボン酸エステル類;ジメトキシメタン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキサン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、シクロペンチルメチルエーテル等の鎖状又は環状エーテル類;ジメチルスルホキシド、スルホラン、3−メチルスルホラン等の鎖状又は環状スルボン類;ニトロメタン、ニトロベンゼン等のニトロ化合物類;N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルオキサゾリジノン等の窒素含有化合物類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素化合物類;が挙げられる。上記反応を円滑に進行させる観点からはアセトニトリル、イソブチロニトリル、バレロニトリル、酢酸エチル、酢酸イソピロピル、酢酸ブチル、トルエン又はこれらの混合溶媒の存在下、又は無溶媒下で反応を行うのが好ましく、アセトニトリル、イソブチロニトリル、バレロニトリル、トルエンの存在下、又は無溶媒下で反応を行うのがより好ましい。
溶媒の量はクロロスルホニルイミド化合物(2)に対して0質量倍〜10質量倍の範囲内とすることが好ましい。より好ましくは0質量倍〜8質量倍であり、さらに好ましくは0質量倍〜4質量倍である。溶媒の使用量が多すぎるとコストが高くなるため好ましくない。
反応条件は特に限定されず、出発原料である化合物(2)及び(3)の使用量や、反応の進行状況に従って適宜調節すればよい。例えば、反応温度としては20℃〜100℃が好ましく、より好ましくは25℃〜90℃であり、さらに好ましくは40℃〜75℃である。反応時間は、例えば、19F−NMR等で確認することができる。すなわち、反応の進行によりフッ素に由来するケミカルシフトにピークが出現し、さらに、そのピークの相対強度(積分値)が増大する。したがって、19F−NMRにより反応の進行状態を追跡しながら、フッ素化反応の終了を確認すればよい。なお、反応時間が長すぎる場合には、副生物の生成が顕著となるので、目的物のピークの相対強度が最大となる時点(例えば、反応の開始から0.5時間〜24時間程度)でフッ素化反応を終了するのが好ましい。反応時間は、より好ましくは1時間以上であり、10時間以下であるのがより好ましく、さらに好ましくは6時間以下である。
反応終了後、生成物を単離して精製してもよく、また反応溶液をそのまま他の反応の出発原料として使用してもよい。精製方法は特に限定されず従来公知の精製方法、例えば、再沈殿法、分液抽出法、再結晶法、晶析法及びクロマトグラフィーによる精製法等が採用できる。これらの精製方法は1種を単独で実施してもよく、2種以上を組み合わせて実施してもよい。
上記本発明の製造方法により得られる一般式(1)で表されるフルオロスルホニルイミド化合物(オニウム塩)が得られる。一般式(1)中、R1はF、又は炭素数1〜6のフルオロアルキル基を表し、Cat1+はR2345+で表される1価のカチオンを表す(化合物(2)の場合と同様)。フルオロアルキル基としてはR6と同様のものが挙げられる。本発明に係るフルオロスルホニルイミド化合物の具体例としては、ビス(フルオロスルホニル)イミドアンモニウム塩、ビス(フルオロスルホニル)イミドトリエチルアンモニウム塩、(フルオロスルホニル)(トリフルオロメチルスルホニル)イミドアンモニウム塩、(フルオロスルホニル)(トリフルオロメチルスルホニル)イミドトリエチルアンモニウム塩、(フルオロスルホニル)(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミドアンモニウム塩、(フルオロスルホニル)(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミドトリエチルアンモニウム塩等が挙げられる。好ましくは、ビス(フルオロスルホニル)イミドアンモニウム塩、ビス(フルオロスルホニル)イミドトリエチルアンモニウム塩、(フルオロスルホニル)(トリフルオロメチルスルホニル)イミドアンモニウム塩、(フルオロスルホニル)(トリフルオロメチルスルホニル)イミドトリエチルアンモニウム塩が挙げられる。
一般式(1)で表される上記フルオロスルホニルイミド化合物(1)は、アルカリ金属化合物と反応させることで、アルカリ金属カチオンを有する一般式(5)で表されるフルオロスルホニルイミド化合物(アルカリ金属塩)が得られる(カチオン交換反応2)。
一般式(5)中、R1は一般式(1)と同一であり、M+はアルカリ金属を表す。アルカリ金属としては、Li、Na、K、Rb及びCsが好ましく、より好ましくはLi、Na及びKであり、さらに好ましくはLiである。
化合物(1)と反応させるアルカリ金属化合物としては、LiOH、NaOH、KOH、RbOH、CsOH等の水酸化物;Li2CO3、Na2CO3、K2CO3、Rb2CO3、Cs2CO3等の炭酸塩;LiHCO3、NaHCO3、KHCO3、RbHCO3、CsHCO3等の炭酸水素化物;LiCl、NaCl、KCl、RbCl、CsCl等の塩化物;LiF、NaF、KF、RbF、CsF等のフッ化物;MeOLi、EtOLi等のアルコキシド化合物;EtLi、BuLi等のアルキルリチウム化合物;等が挙げられる(Meはメチル基、Etはエチル基、Buはブチル基を示す)。これらの中でもアルカリ金属としてリチウム、ナトリウム又はカリウムを含有する化合物が好ましく、より具体的にはLiOH、NaOH、KOH、Li2CO3、Na2CO3、K2CO3、LiCl、NaCl、KCl、LiF、NaF、KFが好ましく、より好ましくはLiOH、NaOH、KOH、Li2CO3、Na2CO3、K2CO3であり、さらに好ましくはLiOH、NaOH、KOHである。
上記アルカリ金属化合物は、フルオロスルホニルイミド化合物(1)1molに対して1mol〜10molの範囲で使用するのが好ましい。より好ましくは1mol〜5molであり、さらに好ましくは1mol〜2molである。
フルオロスルホニルイミド化合物(1)と上記アルカリ金属化合物との反応は溶媒の存在下で行うのが好ましい。溶媒としては、クロロスルホニルイミド化合物(2)の合成反応で使用した溶媒又は水が使用出来る。上記反応を円滑に進行させる観点からはアセトニトリル、イソブチロニトリル、バレロニトリル、酢酸エチル、酢酸イソピロピル、酢酸ブチル、又は水が好ましい。溶媒は使用するアルカリ金属化合物に応じて選択すればよい。また溶媒は1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
フルオロスルホニルイミド化合物(1)とアルカリ金属化合物との反応条件は特に限定されず、出発原料であるフルオロスルホニルイミド化合物(1)とアルカリ金属化合物の使用量や、反応の進行状況に従って適宜調節すればよい。例えば、反応温度としては0℃〜100℃が好ましく、より好ましくは10℃〜80℃であり、さらに好ましくは15℃〜40℃である。反応時間は0.1時間〜24時間であるのが好ましく、より好ましくは0.3時間〜10時間であり、さらに好ましくは0.5時間〜5時間である。
反応終了後は、純度を高めるべく生成物を精製してもよい。精製方法は特に限定されず従来公知の精製方法、例えば、再沈殿法、分液抽出法、再結晶法、晶析法及びクロマトグラフィーによる精製法等が使用できる。これらの精製方法は1種を単独で実施してもよく、2種以上を組み合わせて実施してもよい。
上記製造方法により得られる一般式(5)で表されるフルオロスルホニルイミド化合物としては、例えば、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド、ナトリウムビス(フルオロスルホニル)イミド、カリウムビス(フルオロスルホニル)イミド、リチウム(フルオロスルホニル)(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、カリウム(フルオロスルホニル)(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、リチウム(フルオロスルホニル)(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド、カリウム(フルオロスルホニル)(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド等が挙げられ、好ましくはリチウムビス(フルオロスルホニル)イミド、リチウム(フルオロスルホニル)(トリフルオロメチルスルホニル)イミドである。
本発明の製造方法により得られるフルオロスルホニルイミド化合物(1)(オニウム塩)及びフルオロスルホニルイミド化合物(5)(アルカリ金属塩)は、一次電池、リチウムイオン二次電池、燃料電池等の充電/放電機構を有する電池、電解コンデンサ、電気二重層キャパシタ、太陽電池、エレクトロクロミック表示素子等の電気化学デバイスを構成するイオン伝導体の材料として好適に用いられる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、以下においては、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味する。
[NMR測定]
19F−NMRの測定は、Varian社製の「Unity Plus−400」を使用して行った(内部標準物質:トリフルオロメチルベンゼン、溶媒:重アセトニトリル、積算回数:16回)。
なお、フルオロスルホニルイミドの転化率は、19F-NMR測定で得られたチャートにおいて、内部標準物質として加えたトリフルオロメチルベンゼンの量、及びこれに由来するピークの積分値と、目的生成物に由来するピークの積分値との比較から、有機層に含まれる反応生成物であるフルオロスルホニルイミド化合物(1)の粗収量を求め、原料として用いたクロロスルホニルイミド化合物(2)に対する生成物粗収量の割合を転化率とした。
転化率(%)=100×{化合物(1)の粗収量(mol)/化合物(2)の仕込み量(mol)}
実施例1 アンモニウムビス(フルオロスルホニル)イミドの製造
攪拌装置を備えた容量100mLのPFA(四フッ化エチレンとパーフルオロアルコキシエチレンとの共重合体、以下同様)製反応容器内で、ビス(クロロスルホニル)イミド2.14g(10mmol)とトルエン5mLとを混合し、2.0mol/Lのビス(クロロスルホニル)イミド溶液を調製した。ここに、塩化アンモニウム0.57g(10.5mmol、1.05当量)を加えて、室温(25℃)で0.5時間攪拌した。
次いで、ビス(クロロスルホニル)イミド溶液に酸性フッ化アンモニウムNH4F・HFを0.69g(12mmol)加えた後、反応容器にテフロン(登録商標。以下同様。)製冷却器とガラス製連結管を取り付け、反応溶液へのアンモニアガスの流通(バブリング)を開始した。次いで、反応溶液にアンモニアガスをバブリングさせながら(2.7当量/時間。使用したビス(クロロスルホニル)イミドに対する単位時間当たりの供給量(化学量論量)。以下同様。)、反応溶液の温度を60℃まで昇温し、この温度で3時間攪拌を続けた。なお、このとき使用したアンモニアガスの使用量は、ビス(クロロスルホニル)イミドに対して8.2当量(化学量論量。以下同様。)であった。
反応終了後、反応溶液を室温まで冷却してから、反応容器に酢酸イソプロピル10mLを加え、固形分を濾過により除去した。得られた有機層を試料として、19F-NMR(溶媒:重アセトニトリル)測定を行った。得られたチャートにおいて、内部標準物質として加えたトリフルオロメチルベンゼンの量、及びこれに由来するピークの積分値と、目的生成物に由来するピークの積分値との比較から、有機層に含まれるアンモニウムビス(フルオロスルホニル)イミドの粗収量を求めた(8mmol、転化率80%)。また使用した反応容器等を目視で確認したが、ガラス製連結管の腐食は確認できなかった。
19F−NMR(溶媒:重アセトニトリル):δ56.0
実施例2〜5 アンモニウムビス(フルオロスルホニル)イミドの製造
各種条件を表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、アンモニウムビス(フルオロスルホニル)イミドの製造を行った。原料の使用量、反応条件及びフルオロスルホニルイミドへの転化率を表1に示す。
実施例6 アンモニウムビス(フルオロスルホニル)イミドの製造
攪拌装置を備えた容量100mLのPFA製反応容器内で、ビス(クロロスルホニル)イミド1.07g(5mmol)とアセトニトリル0.5mLとを混合し、10mol/Lのビス(クロロスルホニル)イミド溶液を調製した。ここに、塩化アンモニウム0.27g(5.25mmol、1.05当量)を加えて、室温(25℃)で0.5時間攪拌した。
次いで、ビス(クロロスルホニル)イミド溶液に酸性フッ化アンモニウムNH4F・HFを0.34g(6mmol)加えた後、反応容器にテフロン製冷却器とガラス製連結管を取り付け、反応溶液へのアンモニアガスのバブリングを開始した。次いで、反応溶液にアンモニアガスをバブリングさせながら(8.8当量/時間)、反応溶液の温度を60℃まで昇温し、この温度で4時間攪拌を続けた。このとき使用したアンモニアガスの使用量は、ビス(クロロスルホニル)イミドに対して35当量であった。なお、使用した反応容器等を目視で確認したが、ガラス製連結管の腐食は確認できなかった。反応条件及びフルオロスルホニルイミドへの転化率を表1に示す。
実施例7 アンモニウムビス(フルオロスルホニル)イミドの製造
攪拌装置を備えた容量100mLのPFA製反応容器内で、ビス(クロロスルホニル)イミド1.07g(5mmol)とトルエン5mLとを混合し、1mol/Lのビス(クロロスルホニル)イミド溶液を調製した。
次いで、ビス(クロロスルホニル)イミド溶液に酸性フッ化アンモニウムNH4F・HFを0.34g(6mmol)加えた後、反応容器にテフロン製冷却器とガラス製連結管を取り付け、反応溶液へのアンモニアガスのバブリングを開始した。次いで、反応溶液にアンモニアガスをバブリングさせながら(7当量/時間)、反応溶液の温度を60℃まで昇温し、この温度で3時間攪拌を続けた。このとき使用したアンモニアガスの使用量は、ビス(クロロスルホニル)イミドに対して21当量であった。なお、使用した反応容器等を目視で確認したが、ガラス製連結管の腐食は確認できなかった。反応条件及びフルオロスルホニルイミドの転化率を表1に示す。
比較例1 アンモニウムビス(フルオロスルホニル)イミドの製造
攪拌装置を備えた容量100mLのPFA製反応容器内で、ビス(クロロスルホニル)イミド3.21g(15mmol)とトルエン0.5mLとを混合し、2mol/Lのビス(クロロスルホニル)イミド溶液を調製した。ここに、塩化アンモニウム0.81g(15.75mmol、1.05当量)を加えて、室温(25℃)で0.5時間攪拌した。
次いで、ビス(クロロスルホニル)イミド溶液に酸性フッ化アンモニウムNH4F・HFを1.03g(18mmol)加えた後、反応容器にテフロン製冷却器とガラス製連結管を取り付け、反応溶液への窒素ガスの流通バブリングを開始した。次いで、反応溶液に窒素ガスをバブリングさせながら(1.8当量/時間)、反応溶液の温度を60℃まで昇温し、この温度で3時間攪拌を続けた。このとき使用した窒素ガスの使用量は、ビス(クロロスルホニル)イミドに対して5.4当量であった。なお、使用した反応容器等を目視で確認したところ、ガラス製連結管のつやが失われており腐食が確認された。反応条件及びフルオロスルホニルイミドの転化率を表1に示す。
比較例2 アンモニウムビス(フルオロスルホニル)イミドの製造
攪拌装置を備えた容量100mLのPFA製反応容器内で、ビス(クロロスルホニル)イミド1.07g(5mmol)とトルエン5mLとを混合し、1mol/Lのビス(クロロスルホニル)イミド溶液を調製した。
次いで、ビス(クロロスルホニル)イミド溶液に酸性フッ化アンモニウムNH4F・HFを0.34g(6mmol)加えた後、反応容器にテフロン製冷却器とガラス製連結管を取り付け、反応溶液への窒素ガスの流通バブリングを開始した。次いで、反応溶液に窒素ガスをバブリングさせながら(8当量/時間)、反応溶液の温度を60℃まで昇温し、この温度で3時間攪拌を続けた。このとき使用した窒素ガスの使用量は、ビス(クロロスルホニル)イミドに対して24当量であった。なお、使用した反応容器等を目視で確認したところ、ガラス製連結管のつやが失われており腐食が確認された。反応条件及びフルオロスルホニルイミドの転化率を表1に示す。
表1中「質量比」とは、化合物(1)に対する溶媒の使用量(溶媒/化合物(1))を意味する。また、比較例1、2ではアンモニアガスに変えて窒素ガスを使用した。
アンモニアガスをバブリングさせながら反応を行った実施例1〜5では、アンモニアガスを使用しなかった比較例1に比べて転化率(収率)の向上が確認された。これは、反応系内で発生したHFがNH3(アンモニア)と反応して再びフッ化アンモニウムNH4Fが生成し(NH3+HF→NH4F)、反応系内のNH4F量(フッ素化剤)の低下が抑制されたため、効率的にフッ素化が進行したものと予想される。また同時に反応系外へのHFやHClの流出も抑制される結果、実施例1〜5では目視できる反応容器等の劣化も確認されなかった。
実施例6の結果から、本発明法によれば溶媒量を減らしても良好な収率でフルオロスルホニルイミドが得られることが分かる。さらに、実施例7と比較例2との対比より、アンモニア等の存在下で反応を行う本発明法によれば、クロロスルホニルイミド化合物(2)のカチオンが水素イオン(H+)の場合でも、良好な転化率(収率)でフルオロスルホニルイミドが得られることが分かる。加えて、実施例7で使用した反応容器等には目視できる劣化は確認できなかったのに対して、比較例2で使用した冷却管には腐食が確認された。

Claims (3)

  1. 下記一般式(1)で表されるフルオロスルホニルイミド化合物の製造方法であって、

    (一般式(1)中、R1はF、又は炭素数1〜6のフルオロアルキル基を表し、Cat1+はR2345+で表される1価のカチオンを表し、R2〜R5は同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す)
    一般式(2)で表される化合物と、

    (一般式(2)中、R6はハロゲン、又は炭素数1〜6のフルオロアルキル基を表し、Cat2+は水素イオン、又はR2345+で表される1価のカチオンを表し、R2〜R5は一般式(1)と同一である)
    一般式(3):NH4F(HF)p(一般式(3)中、pは0〜10の整数を表す)で表される化合物とを、アンモニア、又は直鎖状のアルキル基を有する1〜3級アルキルアミンの存在下で反応させることを特徴とするフルオロスルホニルイミド化合物の製造方法。
  2. 一般式(2)で表される化合物1molに対して、アンモニア、又は直鎖状のアルキル基を有する1〜3級アルキルアミンを1mol〜40mol用いる請求項1に記載のフルオロスルホニルイミド化合物の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の方法で得られた一般式(1)で表される化合物とアルカリ金属化合物とを反応させることを特徴とする下記一般式(5)で表されるフルオロスルホニルイミド化合物の製造方法。

    (一般式(5)中、R1はF、又は炭素数1〜6のフルオロアルキル基を表し、M+はアルカリ金属を表す)
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