以下、本発明の実施の形態について、図1〜図15を参照しながら説明する。
<実施例1> 実施例1のESD保護装置10について、図1〜図3、及び図9を参照しながら説明する。
図1は、ESD保護装置10の内部構造を模式的に示す概略図である。図2は、ESD保護装置10の断面図である。図3は、図2の線A−Aに沿って切断した要部断面図である。
図1〜図3に示すように、ESD保護装置10は、セラミック材料からなる第1乃至第4の絶縁層41〜43が積層されたセラミック多層基板12の内部に、混合部20と、第1乃至第3の面内接続導体14,16,17と、第1及び第2の層間接続導体15a,15xが形成されている。
混合部20と第2及び第3の面内接続導体16,17とは、隣接する第2及び第3の絶縁層42,43の間に、第2及び第3の絶縁層42,43の対向する主面に沿って形成されている。
図3に示すように、混合部20は、外周20sが円形に形成されている。第3の面内接続導体17は、混合部20の外周20sを取り囲むように形成され、混合部20の外周20sの全周に接続されている。第3の接続導体17は、第2の面内接続導体16と接続されている。第3の面内接続導体17は、第2の接続導体である。
図2に示すように、第2及び第3の絶縁層42,43には、それぞれ、第2及び第3の絶縁層42,43の主面間を貫通する第1及び第2のビアホール(貫通孔)42p,43pが、混合部20と同心に形成されている。第1及び第2のビアホール42p,43p内には、第1及び第2の層間接続導体15a,15xが形成されている。
層間接続導体15a,15xは、絶縁層41〜44の積層方向(図2において上下方向)の互いに対向する端面同士が接続されている。すなわち、図3に示すように、混合部20の中心に開口20pが形成されており、この開口20pを層間接続導体15a,15xが貫通している。層間接続導体15a,15xの外周は、混合部20の開口20pの内周に接続されている。第1の層間接続導体15aは、第1の接続導体である。
図2に示すように、第1の面内接続導体14は、隣接する第1及び第2の絶縁層41,42の間に、第1及び第2の絶縁層41,42の互いに対向する主面に沿って形成されている。第1の層間接続導体15aは、第1の面内接続導体14に接続されている。
第1及び第2の面内接続導体14,16は、セラミック多層基板12の側面まで延在し、それぞれ、第1及び第2の外部端子14x,16xに接続されている。
第1乃至第3の面内接続導体14,16,17と、第1及び第2の層間接続導体15a,15xと、第1及び第2の外部端子14x,16xとは、導電性を有する。
混合部20は、(i)金属と半導体、(ii)金属とセラミック、(iii)金属と半導体とセラミック、(iv)半導体とセラミック、(v)半導体、(vi)無機材料によりコートされた金属、(vii)無機材料によりコートされた金属と半導体、(viii)無機材料によりコートされた金属とセラミック、(ix)無機材料によりコートされた金属と半導体とセラミック、のうち少なくとも一つを含む材料が分散しており、全体としては、絶縁性を有している。
例えば図9の模式図に組織を模式的に示すように、混合部20は、絶縁性を有する無機材料82により被覆(コート)された金属材料80と、半導体材料84と、空隙88とが分散している。例えば、金属材料80は直径2〜3μmのCu粒子であり、無機材料82は直径1μm以下のAl2O3粒子であり、半導体材料84は、炭化ケイ素、酸化亜鉛などのいずれかである。
無機材料と半導体材料は、焼成時に反応し、焼成後には変質する可能性がある。また、半導体材料とセラミック多層基板を構成するセラミック粉末も、焼成時に反応し、焼成後には変質する可能性がある。
金属材料が無機材料によりコートされていない場合には、焼成前の状態ですでに金属材料同士が接している可能性があり、金属材料同士がつながってショートが発生する可能性がある。これに対し、金属材料が無機材料によりコートされていると、焼成前に金属材料同士が接する可能性がない。また、焼成後にたとえ無機材料が変質したとしても、金属材料同士が離間している状態が保持される。そのため、金属材料が無機材料にコートされていることによって、金属材料同士がつながってショートが発生する可能性が低下する。
なお、無機材料によりコートされた金属材料に代えて、金属材料と、半導体やセラミック又はそれらの組み合わせにより、混合部となる材料を構成してもよい。また、金属材料を用いず半導体だけ、又は半導体とセラミックだけ、さらに無機材料によりコートされた金属材料だけ、で混合部となる材料を構成してもよい。
図1〜図3に示したESD保護装置10は、外部端子14x,16xから所定値以上の電圧が印加されると、対向する第3の面内接続導体17と第1及び第2の層間接続導体15a,15xとの間において、混合部20を介して放電が発生する。
放電開始電圧は、混合部20を介して第3の接続導体17と第1及び第2の層間接続導体15a,15xとがそれぞれ対向する部分の周方向の長さ(すなわち、放電幅)や、混合部20を介して対向する第3の接続導体17と第1及び第2の層間接続導体15a,15xとの径方向の間隔(すなわち、放電ギャップ)や、混合部20の厚みや、混合部20に含まれる材料の量や種類などを調整することにより、所望の値に設定することができる。
混合部20の円形の外周20s全体に第3の面内接続導体17を接続し、放電に円周を使うことによって、放電幅が広くなり、放電し易くなる。混合部20を同心円状に形成し、放電電極となる第3の接続導体17と第1及び第2の層間接続導体15a,15xとを同心に配置することで、限られたエリアで最大限のESD放電部を形成することができる。
混合部20は、第1乃至第3の面内接続導体14,16,17と同様に、厚膜の印刷工法にて形成することができるため、容易に形成でき、厚みの調整も容易である。混合部20は、セラミック多層基板の任意の絶縁層の主面に沿って形成できるため、混合部20の配置設計の自由度が上がる。
混合部20には、金属材料のみならず、半導体材料が含有されているので、金属材料の含有量が少なくても、所望とするESD応答性を得ることができる。そして、金属材料同士が接触することによるショート発生を抑制することができる。
混合部20に含まれる材料の成分中に、セラミック多層基板12を構成する材料の一部又は全部と同じものが含まれてもよい。同じものが含まれると、焼成時の混合部20の収縮挙動等をセラミック多層基板12に合わせることが容易になり、混合部20のセラミック多層基板12への密着性が向上し、焼成時における混合部20の剥離が発生しにくくなる。また、ESD繰り返し耐性も向上する。また、使用する材料の種類を少なくすることができる。
混合部20に含まれる金属材料は、第1乃至第3の面内接続導体14,16,17と同じものであっても、異なるものであってもよい。同じものにすれば、混合部20の収縮挙動等を第1乃至第3の面内接続導体14,16,17に合わせることが容易になり、使用する材料の種類を少なくすることができる。
また、混合部20と第3の接続導体17の一方主面に接するように空洞部を設けてもよい。この場合、空洞部を形成することで気中放電を発生させることができ、ESD特性をさらに向上させることができる。
次に、ESD保護装置10の製造方法を説明する。
(1)材料の準備
まず、第1乃至第4の絶縁層41〜44になる厚さ50μmのセラミックグリーンシートを準備する。
セラミック多層基板12の材料となるセラミック材料には、Ba、Al、Siを中心とした組成からなる材料を用いる。各素材を所定の組成になるよう調合、混合し、800−1000℃で仮焼する。得られた仮焼粉末をジルコニアボールミルで12時間粉砕し、セラミック粉末を得る。このセラミック粉末に、トルエン・エキネンなどの有機溶媒を加え混合する。さらにバインダー、可塑剤を加え混合し、スラリーを得る。このようにして得られたスラリーをドクターブレード法により成形し、第1乃至第4の絶縁層41〜44になる厚さ50μmのセラミックグリーンシートを得る。
また、第1乃至第3の面内接続導体14,16,17と第1及び第2の層間接続導体15a,15xとを形成するための電極ペーストを準備する。平均粒径約1.5μmのCu粉80wt%とエチルセルロース等からなるバインダー樹脂に溶剤を添加し、ロールで攪拌、混合することで電極ペーストを得る。
また、混合部20を形成するための混合ペーストを準備する。混合ペーストは、平均粒径約2μmのAl2O3コートCu粉と、半導体材料として平均粒径1μmの炭化ケイ素(SiC)を所定の割合で調合し、バインダー樹脂と溶剤を添加し、ロールで攪拌、混合することで得る。混合ペーストは、バインダー樹脂と溶剤を20wt%とし、残りの80wt%をAl2O3コートCu粉と炭化ケイ素とする。
(2)スクリーン印刷による混合ペースト、電極ペーストの塗布
第2及び第3の絶縁層42,43になるセラミックグリーンシートに、レーザや金型を用いてビアホール42p,43pを形成した後、スクリーン印刷により、ビアホール42p,43pに電極ペーストを充填して、第1及び第2の層間接続導体15a,15xになる部分を形成する。
次いで、第3の絶縁層43になるセラミックグリーンシートの上に、混合ペーストをスクリーン印刷にて塗布して、混合部20になる部分を形成する。混合部20になる部分は、第2の絶縁層42になるセラミックグリーンシートの上に形成してもよい。
次いで、第2及び第3の絶縁層42,43になるセラミックグリーンシートの上に、電極ペーストをスクリーン印刷にて塗布して、第1乃至第3の面内接続導体14,16,17になる部分を形成する。第1の面内接続導体14になる部分は、第1の絶縁層41になるセラミックグリーンシート上に形成してもよい。第2及び第3の面内接続導体16,17になる部分は、第2の絶縁層42になるセラミックグリーンシート上に形成してもよい。
第1乃至第3の面内接続導体14,16,17になる部分を形成した後に、混合部20になる部分を形成してもよい。
混合部20と第3の接続導体17の一方主面に接するように空洞部を設ける場合は、先に形成した混合部20になる部分と面内接続導体17になる部分の上に消失性の樹脂ペースト(例えばアクリルペースト、カーボンペーストなど)を第1又は第2の層間接続導体15a,15xになる部分が露出するようにスクリーン印刷にて形成する。
(3)積層、圧着
通常のセラミック多層基板と同様に、セラミックグリーンシートを積層し、圧着する。
(4)カット、端面電極塗布
LCフィルタのようなチップタイプの電子部品と同様に、マイクロカッタでカットして、各チップに分ける。その後、端面に電極ペーストを塗布し、外部端子を形成する。
(5)焼成
次いで、通常のセラミック多層基板と同様に、N2雰囲気中で焼成する。酸化しない電極材料(Agなど)の場合には、大気雰囲気でも構わない。焼成により、セラミックグリーンシート中の有機溶剤や、混合ペースト中のバインダー樹脂及び溶剤が消失する。これにより、Al2O3コートCuと、SiCと、空隙とが分散した混合部20が形成される。
(6)めっき
LCフィルタのようなチップタイプの電子部品と同様に、外部端子上に電解Ni−Snメッキを行う。
以上により、断面が図2のように構成されたESD保護装置10が完成する。
なお、半導体材料は、特に上記の材料に限定されるものではない。例えば、シリコン、ゲルマニウム等の金属半導体、炭化ケイ素、炭化チタン、炭化ジルコニウム、炭化モリブデン、炭化タングステン等の炭化物、窒化チタン、窒化ジルコニウム、窒化クロム、窒化バナジウム、窒化タンタル等の窒化物、ケイ化チタン、ケイ化ジルコニウム、ケイ化タングステン、ケイ化モリブデン、ケイ化クロム、ケイ化クロム等のケイ化物、ホウ化チタン、ホウ化ジルコニウム、ホウ化クロム、ホウ化ランタン、ホウ化モリブデン、ホウ化タングステン等のホウ化物、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム等の酸化物を用いることができる。特に、比較的安価で、かつ、各種粒径のバリエーションが市販されていることから、炭化ケイ素や酸化亜鉛が特に好ましい。これらの半導体材料は、適宜、単独又は2種類以上を混合して使用してもよい。また、半導体材料は、適宜、アルミナやBAS材等の抵抗材料と混合して使用してもよい。
金属材料は、特に上記の材料に限定されるものではない。Cu、Ag、Pd、Pt、Al、Ni、W、Moや、これらの合金、これらの組合せでもよい。
実施例1では、ESD保護装置10が、ESD保護機能のみを有する単体の部品(ESD保護デバイス)である場合を例示したが、ESD保護装置は、ESD保護機能とそれ以外の機能と有する複合部品(モジュール)等であってもよい。ESD保護装置が複合部品(モジュール)等である場合には、少なくとも、混合部20と、混合部20に接続される第3の面内接続導体17及び第1の層間接続導体15aとを備えていればよい。
<変形例1> 変形例1のESD保護装置10aについて、図4及び図5を参照しながら説明する。
図4は、変形例1のESD保護装置10aの断面図である。図4に示すように、変形例1のESD保護装置10aは、実施例1のESD保護装置10と略同様に構成されている。以下では、実施例1と同じ構成部分には同じ符号を用い、実施例1との相違点を中心に説明する。
図4に示すように、変形例1のESD保護装置10aは、実施例1の構成に加え、混合部20と、セラミック多層基板12aの第2及び第3の絶縁層42,43との間に、シール層22,24が形成されている。シール層22,24は、セラミック多層基板12中のガラス成分が混合部20に浸透することを防止する。シール層22,24は、絶縁性を有する。
シール層22,24は、図5(a)〜(d)の断面図に示すように、第1乃至第4の絶縁層41〜44になるセラミックグリーンシートを形成し、積層、圧着、焼成することによって作製することができる。
すなわち、図5(a)及び(d)に示すように、第1及び第4の絶縁層41,44になるセラミックグリーンシートを準備する。
また、図5(b)及び(c)に示すように、第2及び第3の絶縁層42,43になるセラミックグリーンシートにビアホール42p,43pを形成し、ビアホール42p,43p内に電極ペーストを充填して、第1及び第2の層間接続導体15a,15xになる部分を形成する。
次いで、第2及び第3の絶縁層42,43になるセラミックグリーンシートの互いに対向する面42t,43sに、シール層形成用ペーストをスクリーン印刷することにより、開口22p,24pを有するシール層22,24を形成した後、シール層22,24を乾燥させる。シール層22,24は、シール層22,24の開口22p,24pから、第1及び第2の層間接続導体15a,15xになる部分を露出させるように形成する。
次いで、第3の絶縁層43になるセラミックグリーンシートのシール層24の上に、混合ペーストを用いて、開口20pを有する混合部20を形成する。混合部20は、混合部20の開口20pから第2の層間接続導体15xになる部分が露出するように形成する。さらに、第3の絶縁層43になるセラミックグリーンシートに、電極ペーストを用いて、第2及び第3の面内接続導体16,17になる部分を形成する。第3の絶縁層43になるセラミックグリーンシートに、第2及び第3の面内接続導体16,17になる部分を形成した後、混合部20になる部分を形成してもよい。
シール層22は、第3の絶縁層43になるセラミックグリーンシートに形成しても構わない。すなわち、第3の絶縁層43になるセラミックグリーンシートに、シール層24と、混合部20になる部分と、第2及び第3の面内接続導体16,17になる部分とを形成した後、シール層22を形成しても構わない。これとは逆に、第2の絶縁層42になるセラミックグリーンシートに、シール層22と、第2及び第3の面内接続導体16,17になる部分と、混合部20になる部分とを形成した後、シール層24を形成しても構わない。
シール層22,24を形成するためのシール層形成用ペーストは、電極ペーストと同様の手法で作製する。例えば、平均粒径約1μmのAl2O3粉80wt%とエチルセルロース等からなるバインダー樹脂に溶剤を添加し、ロールで攪拌、混合することで、シール層形成用ペースト(アルミナペースト)を得る。シール層形成用ペーストの固形成分には、セラミック多層基板の材料よりも焼結温度が高い材料、例えばアルミナ、ジルコニア、マグネシア、ムライト、石英などを選定する。
なお、混合部20と第3の面内接続導体17に接するように空洞部を形成する場合は、第3の絶縁層43になるセラミックグリーンシートに形成された第3の面内接続導体17と混合部20の上に消失性の樹脂ペースト(例えばアクリルペースト、カーボンペーストなど)を第2の層間接続導体15xになる部分が露出するように形成する。空洞部を形成することで気中放電を生じさせることができ、ESD特性をより向上させることが可能となる。
<変形例2> 変形例2のESD保護装置10bについて、図6を参照しながら説明する。
図6は、変形例2のESD保護装置10bの要部断面図である。図6に示すように、変形例2のESD保護装置10bは、実施例1と同様に、セラミック多層基板12bの内部に、第1乃至第3の面内接続導体14,16,17と、第1の面内接続導体14に接続された層間接続導体15bと、混合部20bとを備える。混合部20bの円形の外周20sに、第3の面内接続導体17が接続されている。
実施例1とは異なり、混合部20bの中心に開口が形成されておらず、層間接続導体15bは、混合部20bを貫通していない。層間接続導体15bは、その積層方向の端面15sが、混合部20bの上面20tに接し、混合部20bの中心部に接続されている。
なお、混合部20bの上面20t側に、混合部20b、第3の面内接続導体17の主面及び層間接続導体15bの側面に接するように空洞部を設けてもよい。空洞部を形成することで気中放電を発生させることができ、ESD特性をさらに向上させることができる。
<変形例3> 変形例3のESD保護装置10cについて、図7を参照しながら説明する。
図7は、変形例3のESD保護装置10cの要部断面図である。図7に示すように、変形例3のESD保護装置10cは、実施例1と略同様に構成されている。
変形例3のESD保護装置10cは、実施例1と異なり、セラミック多層基板12cの表面12sに、混合部20と、混合部20の外周20sに接続された第3の面内接続導体17と、第3の面内接続導体17に接続された第2の面内接続導体16とが形成されている。混合部20の中心部の開口20pの内周には、最も外側の絶縁層51のビアホール51pに形成された層間接続導体15cの積層方向一端側の外周が接続されている。層間接続導体15cの積層方向他端側は、隣接する絶縁層51,52の間に形成された第1の面内接続導体14に接続されている。
第1及び第2の面内接続導体14,16を介して、層間接続導体15cと第3の面内接続導体17との間に所定の値を超える電圧が印加されると、層間接続導体15cと第3の面内接続導体17との間で、混合部20を介して放電が発生する。
混合部20や第2及び第3の面内接続導体16,17は、セラミック多層基板12cの表面12sに形成されているので、絶縁性を有するカバー層13で被覆することが好ましい。カバー層13の代わりに、混合部20や第2及び第3の面内接続導体16,17を、間隔を設けて覆う蓋状の部材を、セラミック多層基板12cに設けてもよい。
なお、図7において、混合部20と第3の面内接続導体17の絶縁層51側の主面12s又は、カバー層13側の主面に接するように空洞部を形成してもよい。空洞部を形成することで気中放電を発生させることができ、ESD特性をさらに向上させることができる。
<変形例4> 変形例4のESD保護装置10dについて、図8を参照しながら説明する。
図8(a)は、変形例4のESD保護装置10dの要部断面図である。図8(b)は、図8(a)の線B−Bに沿って切断した断面図である。図8(a)及び(b)に示すように、変形例4のESD保護装置10dは、実施例1と同様に、セラミック多層基板12dの隣接する絶縁層の間に、円形の外周20sを有する混合部20dと、混合部20dの外周20sに接続された第3の面内接続導体17と、第3の面内接続導体17に接続された第2の面内接続導体16とが形成されている。
変形例4のESD保護装置10dは、実施例1と異なり、混合部20dの中心部に形成された開口20q内に、第4の面内接続導体18が形成されている。第4の面内接続導体18の外周は、混合部20の開口20qの内周に接続されている。第4の面内接続導体18の上面18sと、層間接続導体15dの積層方向一端側の端面15tとが接続されている。層間接続導体15dの積層方向他端側は、第1の面内接続導体14に接続されている。層間接続導体15dは第1の接続導体であり、第4の面内接続導体18は第3の接続導体である。
第1及び第2の面内接続導体14,16を介して、第3及び第4の面内接続導体17,18の間に所定の値を超える電圧が印加されると、第3及び第4の面内接続導体17,18の間で、混合部20dを介して放電が発生する。
ESD保護装置10dは、第3及び第4の面内接続導体17,18の混合部20dを介して互いに対向する部分の周方向の寸法(放電幅)を確保しつつ、径方向の間隔(放電ギャップ)を小さくすることができる。
この場合、混合部20d、第3及び第4の面内接続導体17,18の一方主面に接するように空洞部を形成してもよい。空洞部を形成することで気中放電を生じさせることができ、ESD特性をさらに向上させることができる。
<実施例2> 実施例2のESD保護装置110xについて、図10を参照しながら説明する。
図10は、ESD保護装置110xの断面図である。図10に示すように、ESD保護装置110xは、セラミック材料からなる第1乃至第4の絶縁層131〜134が積層されたセラミック多層基板112の内部に、混合部120xと、第1及び第2の面内接続導体114x,116xと、第1及び第2の層間接続導体117a,117bとが形成されている。
第2及び第3の絶縁層132,133には、それぞれの上下の主面間を貫通するビアホール(貫通孔)132p,133pが形成されている。ビアホール132p,133p内には、それぞれ、第1及び第2の層間接続導体117a,117bが形成されている。第1及び第2の層間接続導体117a,117bは、互いに対向する端面同士が接続されている。
混合部120xは、第1の層間接続導体117aが形成された第2の絶縁層132の上の主面に沿って形成され、第1の層間接続導体117aに接続されている。第1の層間接続導体117aは、第1の接続導体である。
第1の面内接続導体114xは、第1の層間接続導体117aが形成された第2の絶縁層132の上の主面に沿って形成されている。第1の面内接続導体114xは、混合部120xに接続されている。第1の面内接続導体114xは、第2の接続導体である。第1の面内接続導体114xは、セラミック多層基板112の一方の側面112qまで形成されている。
図示していないが、混合部120xに接続される第2の接続導体は、第1の面内接続導体114xではなく、第1又は第2の絶縁層131,132の主面間を貫通するように形成された層間接続導体に接続されてもよい。また、後述する図12と同様に、混合部120xの端部が、第1の層間接続導体117aの端面や第1の面内接続導体114xの端部に重なるように接続されてもよい。
第2の面内接続導体116xは、第3及び第4の絶縁層133,134の間に、第3及び第4の絶縁層133,134の互いに対向する主面に沿って形成されている。第2の面内接続導体116xは、第2の層間接続導体117bに接続されている。第2の面内接続導体116xは、セラミック多層基板112の他方の側面112pまで形成されている。
セラミック多層基板112の側面112p,112qには、それぞれ、外部端子116s,114sが形成されている。一方の外部端子116sは、第2の面内接続導体116xに接続されている。他方の外部端子114sは、第1の面内接続導体114xに接続されている。
第1及び第2の面内接続導体114x,116xと、第1及び第2の層間接続導体117a,117bと、第1及び第2の外部端子114s,116sとは、導電性を有する。
混合部120xは、(i)金属と半導体、(ii)金属とセラミック、(iii)金属と半導体とセラミック、(iv)半導体とセラミック、(v)半導体、(vi)無機材料によりコートされた金属、(vii)無機材料によりコートされた金属と半導体、(viii)無機材料によりコートされた金属とセラミック、(ix)無機材料によりコートされた金属と半導体とセラミック、のうち少なくとも一つを含む材料が分散しており、全体としては、絶縁性を有している。
ESD保護装置110xは、混合部120xを介して配置された放電電極114x,117aの少なくとも一方117aを層間接続導体とすることで、静電気印加時に発生する熱を、面内接続導体よりも熱伝導効率の良い層間接続導体を介して放熱させることができ、繰り返し放電による温度上昇を抑制し、放電電極が溶けることを防止することができる。この場合、層間接続導体117a側の外部端子116sをグランドに接続することにより、放熱性を上げることができる。さらに、層間接続導体に対して積層方向に任意の位置に混合部を設けられるため、設計の自由度を上げることができる。
<実施例3> 実施例3のESD保護装置110について、図11〜図13を参照しながら説明する。
図11は、ESD保護装置110の断面図である。図11に示すように、ESD保護装置110は、セラミック材料からなる第1乃至第4の絶縁層131〜134が積層されたセラミック多層基板112の内部に、混合部120a,120bと、第1乃至第3の面内接続導体114a,114b,116と、第1及び第2の層間接続導体117a,117bとが形成されている。
第2及び第3の絶縁層132,133には、それぞれの上下の主面間を貫通するビアホール(貫通孔)132p,133pが形成されている。ビアホール132p,133p内には、それぞれ、第1及び第2の層間接続導体117a,117bが形成されている。第1及び第2の層間接続導体117a,117bは、互いに対向する端面同士が接続されている。
第1及び第2の混合部120a,120bは、それぞれ、第1の層間接続導体117aが形成された第2の絶縁層132の上下の主面に沿って形成され、第1の層間接続導体117aに接続されている。第1の層間接続導体117aは、第1の接続導体である。
第1及び第2の面内接続導体114a,114bは、それぞれ、第1の層間接続導体117aが形成された第2の絶縁層132の上下の主面に沿って形成されている。第1及び第2の面内接続導体114a,114bは、それぞれ、第1及び第2の混合部120a,120bに接続されている。第1及び第2の面内接続導体114a,114bは、第2の接続導体である。第1及び第2の面内接続導体114a,114bは、それぞれ、セラミック多層基板112の一方の側面112qまで形成されている。
図示していないが、第1の混合部120aに接続される第2の接続導体は、第1の面内接続導体114aではなく、第1又は第2の絶縁層131,132の主面間を貫通するように形成された層間接続導体に接続されてもよい。第2の混合部120bに接続される第2の接続導体は、第2の面内接続導体114bではなく、第2又は第3の絶縁層132,133の主面間を貫通するように形成された層間接続導体に接続されてもよい。
第3の面内接続導体116は、第3及び第4の絶縁層133,134の間に、第3及び第4の絶縁層133,134の互いに対向する主面に沿って形成されている。第3の面内接続導体116は、第2の層間接続導体117bに接続されている。第3の面内接続導体116は、セラミック多層基板112の他方の側面112pまで形成されている。
セラミック多層基板112の側面112p,112qには、それぞれ、外部端子114s,116sが形成されている。一方の外部端子116sは、第3の面内接続導体116に接続されている。他方の外部端子114sは、第1及び第2の面内接続導体114a,114bに接続されている。
図11では、第1及び第2の混合部120a,120bの両端が、第1の層間接続導体117aの外周と第1及び第2の面内接続導体114a,114bの端縁とに接するように接続されている場合を例示しているが、図12の透視図に示すように、第1及び第2の混合部120a,120bの端部が、第1の層間接続導体117aの端面や第1及び第2の面内接続導体114a,114bの端部に重なるように接続されてもよい。
第1乃至第3の面内接続導体114a,114b,116と、第1及び第2の層間接続導体117a,117bと、第1及び第2の外部端子114s,116sとは、導電性を有する。
混合部120a,120bは、(i)金属と半導体、(ii)金属とセラミック、(iii)金属と半導体とセラミック、(iv)半導体とセラミック、(v)半導体、(vi)無機材料によりコートされた金属、(vii)無機材料によりコートされた金属と半導体、(viii)無機材料によりコートされた金属とセラミック、(ix)無機材料によりコートされた金属と半導体とセラミック、のうち少なくとも一つを含む材料が分散しており、全体としては、絶縁性を有している。
例えば図13の模式図に組織を模式的に示すように、混合部120a,120bは、絶縁性を有する無機材料182により被覆(コート)された金属材料180と、半導体材料184と、空隙188とが分散している。例えば、金属材料180は直径2〜3μmのCu粒子であり、無機材料182は直径1μm以下のAl2O3粒子であり、半導体材料184は、炭化ケイ素、酸化亜鉛などのいずれかである。
無機材料と半導体材料は、焼成時に反応し、焼成後には変質する可能性がある。また、半導体材料とセラミック多層基板を構成するセラミック粉末も、焼成時に反応し、焼成後には変質する可能性がある。
金属材料が無機材料によりコートされていない場合には、焼成前の状態ですでに金属材料同士が接している可能性があり、金属材料同士がつながってショートが発生する可能性がある。これに対し、金属材料が無機材料によりコートされていると、焼成前に金属材料同士が接する可能性がない。また、焼成後にたとえ無機材料が変質したとしても、金属材料同士が離間している状態が保持される。そのため、金属材料が無機材料にコートされていることによって、金属材料同士がつながってショートが発生する可能性が低下する。
なお、無機材料によりコートされた金属材料に代えて、金属材料と、半導体やセラミック又はその組み合わせにより、混合部となる材料を構成してもよい。また、金属材料を用いず、半導体だけ、又は半導体とセラミックだけ、さらに無機材料によりコートされた金属材料だけで、混合部となる材料を構成してもよい。
図11に示したESD保護装置110は、外部端子114s,116sから所定値以上の電圧が印加されると、層間接続導体117aと、第1及び第2の面内接続導体114a,114bとの間において、混合部120a,120bを介して放電が発生する。
放電開始電圧は、第1及び第2の混合部120a,120bを介して第1の層間接続導体117aと第1及び第2の面内接続導体114a,114bとがそれぞれ対向する部分の長さ(すなわち、放電幅)や、混合部120a,120bを介して対向する層間接続導体117aと、第1及び第2の面内接続導体114a,114bとの間隔(すなわち、放電ギャップ)や、混合部120a,120bの厚みや、混合部120a,120bに含まれる材料の量や種類などを調整することにより、所望の値に設定することができる。
第1及び第2の混合部120a,120bは、第1及び第2の面内接続導体114a,114bと第1の層間接続導体117aとの間に並列に接続されているため、一方が故障しても、他方は機能する。そのため、ESD保護機能の信頼性を向上することができる。
また、混合部120a,120bと第1及び第2の面内接続導体114a,114bの一方主面、及び第1の層間接続導体117aの外周又は端面に接するように空洞を設けてもよい。空洞を形成することで気中放電を発生させることができ、ESD特性をさらに向上させることができる。
第1及び第2の混合部120a,120bは、面内接続導体114a,114b,116と同様に、厚膜の印刷工法にて形成することができるため、容易に形成でき、厚みの調整も容易である。第1及び第2の混合部120a,120bは、セラミック多層基板の任意の絶縁層の主面に沿って形成できるため、混合部120a,120bの配置設計の自由度が上がる。
第1及び第2の混合部120a,120bは、金属材料のみならず、半導体材料が含有されているので、金属材料の含有量が少なくても、所望とするESD応答性を得ることができる。そして、金属材料同士が接触することによるショート発生を抑制することができる。
第1及び第2の混合部120a,120bに含まれる材料の成分中に、セラミック多層基板112を構成する材料の一部又は全部と同じものが含まれてもよい。同じものが含まれると、焼成時の第1及び第2の混合部120a,120bの収縮挙動等をセラミック多層基板112に合わせることが容易になり、第1及び第2の混合部120a,120bのセラミック多層基板112への密着性が向上し、焼成時における第1及び第2の混合部120a,120bの剥離が発生しにくくなる。また、ESD繰り返し耐性も向上する。また、使用する材料の種類を少なくすることができる。
第1及び第2の混合部120a,120bに含まれる金属材料は、第1乃至第3の面内接続導体114a,114b,116と同じものであっても、異なるものであってもよい。同じものにすれば、第1及び第2の混合部120a,120bの収縮挙動等を第1乃至第3の面内接続導体114a,114b,116に合わせることが容易になり、使用する材料の種類を少なくすることができる。
次に、ESD保護装置110の製造方法を説明する。
(1)材料の準備
セラミック多層基板112の第1乃至第4の絶縁層131〜134になるセラミックグリーンシートを準備する。セラミック多層基板112の材料となるセラミック材料には、Ba、Al、Siを中心とした組成からなる材料を用いる。各素材を所定の組成になるよう調合、混合し、800−1000℃で仮焼する。得られた仮焼粉末をジルコニアボールミルで12時間粉砕し、セラミック粉末を得る。このセラミック粉末に、トルエン・エキネンなどの有機溶媒を加え混合する。さらにバインダー、可塑剤を加え混合し、スラリーを得る。このようにして得られたスラリーをドクターブレード法により成形し、第1乃至第4の絶縁層131〜134になる厚さ50μmのセラミックグリーンシートを得る。
また、第1乃至第3の面内接続導体114a,114b,116や第1及び第2の層間接続導体117a,117bを形成するための電極ペーストを準備する。平均粒径約1.5μmのCu粉80wt%とエチルセルロース等からなるバインダー樹脂に溶剤を添加し、ロールで攪拌、混合することで電極ペーストを得る。
また、第1及び第2の混合部120a,120bを形成するための混合ペーストを準備する。混合ペーストは、平均粒径約2μmのAl2O3コートCu粉と、半導体材料として平均粒径1μmの炭化ケイ素(SiC)を所定の割合で調合し、バインダー樹脂と溶剤を添加し、ロールで攪拌、混合することで得る。混合ペーストは、バインダー樹脂と溶剤を20wt%とし、残りの80wt%をAl2O3コートCu粉と炭化ケイ素とする。
(2)スクリーン印刷による混合ペースト、電極ペーストの塗布
第2及び第3の絶縁層132,133になるセラミックグリーンシートに、レーザや金型を用いて、主面間を貫通するビアホールを形成した後、ビアホール内に、スクリーン印刷により混合ペーストを充填して、第1及び第2の層間接続導体117a,117bになる部分を形成する。
次いで、第2及び第3の絶縁層132,133になるセラミックグリーンシートの上に、それぞれ、混合ペーストをスクリーン印刷にて塗布して、第1及び第2の混合部120a,120bになる部分を形成する。第1の混合部120aになる部分を、第1の絶縁層131になるセラミックグリーンシートの上に形成してもよい。第2の混合部120bになる部分を、第2の絶縁層132になるセラミックグリーンシートの上に形成してもよい。
次いで、第2乃至第4の絶縁層132,133,134になるセラミックグリーンシートの上に、電極ペーストをスクリーン印刷にて塗布して、第1乃至第3の面内接続導体114a,114b,116になる部分を形成する。第1の面内接続導体114aになる部分を、第1の絶縁層131になるセラミックグリーンシート上に形成してもよい。第2の面内接続導体114bになる部分を、第2の絶縁層132になるセラミックグリーンシート上に形成してもよい。第3の面内接続導体116になる部分を、第3の絶縁層133になるセラミックグリーンシート上に形成してもよい。
第1乃至第3の面内接続導体114a,114a,116になる部分を形成した後に、第1及び第2の混合部120a,120bになる部分を形成してもよい。
混合部120a,120bと第1及び第2の面内接続導体114a,114bの一方主面、及び第1の層間接続導体117aの外周又は端面に接するように空洞を設ける場合は、先に形成した混合部120a,120bになる部分、面内接続導体114a,114bになる部分の上に消失性の樹脂ペースト(例えばアクリルペースト、カーボンペーストなど)をスクリーン印刷にて形成する。
(3)積層、圧着
通常のセラミック多層基板と同様に、セラミックグリーンシートを積層し、圧着する。
(4)カット、端面電極塗布
LCフィルタのようなチップタイプの電子部品と同様に、マイクロカッタでカットして、各チップに分ける。その後、端面に電極ペーストを塗布し、外部端子を形成する。
(5)焼成
次いで、通常のセラミック多層基板と同様に、N2雰囲気中で焼成する。酸化しない電極材料(Agなど)の場合には、大気雰囲気でも構わない。焼成により、セラミックグリーンシート中の有機溶剤や、混合ペースト中のバインダー樹脂及び溶剤が消失する。これにより、Al2O3コートCuと、SiCと、空隙とが分散した第1及び第2の混合部120a,120bが形成される。
(6)めっき
LCフィルタのようなチップタイプの電子部品と同様に、外部端子上に電解Ni−Snメッキを行う。
以上により、断面が図11のように構成されたESD保護デバイス110が完成する。
なお、半導体材料は、特に上記の材料に限定されるものではない。例えば、シリコン、ゲルマニウム等の金属半導体、炭化ケイ素、炭化チタン、炭化ジルコニウム、炭化モリブデン、炭化タングステン等の炭化物、窒化チタン、窒化ジルコニウム、窒化クロム、窒化バナジウム、窒化タンタル等の窒化物、ケイ化チタン、ケイ化ジルコニウム、ケイ化タングステン、ケイ化モリブデン、ケイ化クロム、ケイ化クロム等のケイ化物、ホウ化チタン、ホウ化ジルコニウム、ホウ化クロム、ホウ化ランタン、ホウ化モリブデン、ホウ化タングステン等のホウ化物、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム等の酸化物を用いることができる。特に、比較的安価で、かつ、各種粒径のバリエーションが市販されていることから、炭化ケイ素や酸化亜鉛が特に好ましい。これらの半導体材料は、適宜、単独又は2種類以上を混合して使用してもよい。また、半導体材料は、適宜、アルミナやBAS材等の絶縁性材料と混合して使用してもよい。
金属材料は、特に上記の材料に限定されるものではない。Cu、Ag、Pd、Pt、Al、Ni、W、Moや、これらの合金、これらの組合せでもよい。
<実施例4> 実施例4のESD保護装置110aについて、図14及び図15を参照しながら説明する。
図14は、実施例4のESD保護装置110aの断面図である。図14に示すように、実施例4のESD保護装置10aは、実施例3のESD保護装置110と略同様に構成されている。以下では、実施例3と同じ構成部分には同じ符号を用い、実施例3との相違点を中心に説明する。
図14に示すように、実施例4のESD保護装置110aは、実施例3の構成に加え、第1の混合部120aと第1及び第2の絶縁層131,132との間とにシール層1212,124が形成され、第2の混合部120bと第2及び第3の絶縁層132,133との間とにシール層126,128が形成されている。シール層1212,124,126,128は、セラミック多層基板112中のガラス成分が第1及び第2の混合部120a,120bに浸透することを防止する。シール層1212,124,126,128は、絶縁性を有する。
このような構成は、図15(a)〜(d)の断面図に示すように、第1乃至第4の絶縁層131〜134になるセラミックグリーンシートを形成し、積層、圧着、焼成することによって作製することができる。
すなわち、図15(b)及び(c)に示すように、第2及び第3の絶縁層132,133になるセラミックグリーンシートにビアホール132p,133pを形成し、ビアホール132p,133pに電極ペーストを充填して、第1及び第2の層間接続導体117a,117bになる部分を形成する。
次いで、図15(a)〜(c)に示すように、シール層形成用ペーストをスクリーン印刷した後、乾燥させることにより、第1乃至第3の絶縁層131〜133になるセラミックグリーンシートの互いに対向する面131t,132s,132t,133sに、シール層1212,124,126,128を形成する。
次いで、図15(b)及び(c)に示すように、第2及び第3の絶縁層132,133になるセラミックグリーンシートのシール層124,128の上に、混合ペーストを用いてスクリーン印刷することにより、第1及び第2の混合部120a,120bになる部分を形成する。
次いで、図15(b)〜(d)に示すように、第2乃至第4の絶縁層132〜134になるセラミックグリーンシートに、電極ペーストを用いて第1乃至第3の面内接続導体114a,114b,116を形成する。
なお、第1及び第2の混合部120a,120bになる部分や、第1乃至第3の面内接続導体114a,114b,116になる部分は、反対側の第1乃至第3の絶縁層131〜133になるセラミックグリーンシートに形成してもよい。
第1乃至第3の面内接続導体114a,114b,116になる部分を形成した後に、第1及び第2の混合部120a,120bになる部分を形成してもよい。
シール層1212,124,126,128を形成するためのシール層形成用ペーストは、電極ペーストと同様の手法で作製する。例えば、平均粒径約1μmのAl2O3粉80wt%とエチルセルロース等からなるバインダー樹脂に溶剤を添加し、ロールで攪拌、混合することで、シール層形成用ペースト(アルミナペースト)を得る。シール層形成用ペーストの固形成分には、セラミック多層基板の材料よりも焼結温度が高い材料、例えばアルミナ、ジルコニア、マグネシア、ムライト、石英などを選定する。
<まとめ> 以上のように、放電電極の少なくとも一方を層間接続導体とすることで、ESD保護機能の信頼性を向上することができる。また、所望のESD応答性を実現しやすい。
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変更を加えて実施することが可能である。
例えば、ESD保護装置が、ESD保護機能のみを有する単体の部品(ESD保護デバイス)である場合を例示したが、ESD保護装置は、ESD保護機能とそれ以外の機能と有する複合部品(モジュール)等であってもよい。ESD保護装置が複合部品(モジュール)等である場合には、少なくとも、層間接続導体と、層間接続導体にそれぞれ接続された第1及び第2の混合部と、第1及び第2の混合部に接続された他の接続導体(面内接続導体又は他の層間接続導体)とを備えていればよい。
また、セラミック多層基板の表面に、混合部や接続導体が形成されても構わない。この場合、セラミック多層基板の表面に露出する混合部や接続導体は、絶縁性を有するカバー層で被覆したり、蓋状の部材で間隔を設けて覆ったりすることが好ましい。