JPWO2011074546A1 - 液晶配向処理剤及びそれを用いた液晶表示素子 - Google Patents
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Abstract
Description
液晶配向膜は、液晶の配向状態を制御するだけではなく液晶表示素子の特性にも影響する。とりわけ、ラビング処理時における膜剥がれ、削れの問題や、液晶表示素子の高精細化に伴い、液晶表示素子のコントラスト低下の抑制や残像現象の低減といった特性が重要になっている。
ポリイミド系の液晶配向膜において、直流電圧によって発生した残像が消えるまでの時間が短いものとして、ポリアミック酸やイミド基含有ポリアミック酸に加えて特定構造の3級アミンを含有する液晶配向処理剤を使用したもの(例えば特許文献1参照)や、ピリジン骨格などを有する特定ジアミンを原料に使用した可溶性ポリイミドを含有する液晶配向処理剤を使用したもの(例えば特許文献2参照)などが知られている。
また、ポリイミド系の液晶配向膜において、電圧保持率が高く、かつ直流電圧によって発生した残像が消えるまでの時間が短いものとして、ポリアミック酸やそのイミド化重合体などに加えて、分子内に1個のカルボン酸基を含有する化合物、分子内に1個のカルボン酸無水物基を含有する化合物及び分子内に1個の3級アミノ基を含有する化合物から選ばれる化合物を極く少量含有する液晶配向処理剤を使用したもの(例えば、特許文献3参照)が知られている。
(1)下記式[1]で表わされるジアミン化合物を含むジアミン成分と、テトラカルボン酸二無水物成分とを反応させて得られるポリアミック酸、及び該ポリアミック酸をイミド化して得られるポリイミドからなる群から選ばれる少なくとも一種の重合体を含有することを特徴とする液晶配向処理剤。
(2)式[1]のArが、六員環の同素環芳香族化合物又は六員環の窒素原子含有複素環芳香族化合物である上記(1)に記載の液晶配向処理剤。
(3)式[1]の Arが、五員環の窒素原子含有複素環芳香族化合物である上記(1)に記載の液晶配向処理剤。
(4)式[1]の Arが、ベンゼン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン又はトリアジンである上記(1)に記載の液晶配向処理剤。
(5)式[1]の Arが、オキサゾール、オキサジアゾール、チアゾール、チアジアゾール、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、又はトリアゾールである上記(1)に記載の液晶配向処理剤。
(6)式[1]で表わされるジアミン化合物が、下記一般式[4]から式[6]で表されるいずれかの化合物(Arは上記と同じ意味である。)である上記(1)に記載の液晶配向処理剤。
H2N−Ar’−R1−NH−R2 [3]
(式中、Ar’はフェニレン基、ナフチレン基を表し、R1はCが1〜5のアルキレン基を表し、R2はCが1〜5のアルキル基を表す)
(9)テトラカルボン酸二無水物成分が、脂環式構造又は脂肪族構造を有するテトラカルボン酸二無水物を含む上記(1)〜(8)のいずれかに記載の液晶配向処理剤。
(10)上記(1)〜(9)のいずれかに記載の液晶配向処理剤を電極付き基板上に塗布、焼成してなる液晶配向膜。
(11)上記(10)に記載の液晶配向膜を具備する液晶表示素子。
(12)下記式[1]で表されるジアミン化合物。
(13)式[1]のArが、六員環の同素環芳香族化合物又は六員環の窒素原子含有複素環芳香族化合物である上記(12)に記載のジアミン化合物。
(14)式[1]の Arが、五員環の窒素原子含有複素環芳香族化合物である上記(12)に記載のジアミン化合物。
(15)式[1]の Arが、ベンゼン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン又はトリアジンである上記(12)に記載のジアミン化合物。
(16)式[1]の Arが、オキサゾール、オキサジアゾール、チアゾール、チアジアゾール、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、又はトリアゾールである上記(12)に記載のジアミン化合物。
(17)式[1]で表わされるジアミン化合物が、下記一般式[4]から式[6]で表されるいずれかの化合物である上記(12)に記載のジアミン化合物。
また、本発明によれば、液晶配向処理剤であるポリアミック酸、及びポリイミドの原料などとして有用な新規なジアミン化合物が提供される。
上記式[1]において、Arは同素環芳香族化合物、又は窒素原子含有複素環芳香族化合物であり、このArは、電荷の授受に関与する部位となるため、電気的に活性な構造であることが好ましく、なかでも、窒素原子含有複素環芳香族化合物であるのが好ましい。
Arは、同素環芳香族化合物又は窒素原子含有複素環芳香族化合物であれば特に限定されないが、嵩高い構造あるいは分子量の大きな環を導入すると液晶配向性を乱す可能性があるため、比較的分子量が低いものが望ましい。
なお、Arは、1価の基を構成するため、本明細書では、上記のように、便宜上、同素環芳香族化合物、又は窒素原子含有複素環芳香族化合物などと記載されるが、Arは、1価の基を構成するため、厳密に表現すると、同素環芳香族化合物の場合は、同素環芳香族化合物の水素原子を1個取り去った残基であり、また、窒素原子含有複素環芳香族化合物の場合は、窒素原子含有複素環芳香族化合物の水素原子を1個取り去った残基を意味する。Arが、ベンゼン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、オキサゾール、オキサジアゾール、チアゾール、チアジアゾール、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、又はトリアゾールの場合も同じであり、これらの化合物の水素原子を1個取り去ったそれぞれの残基を意味する。
五員環の同素環芳香族化合物又は窒素原子含有複素環芳香族化合物は、六員環のそれらに比べて環自体の反応性が高いことが知られている。そのため、液晶配向膜の形成時に行う高温での焼成過程で環が反応して架橋がおこるため、ラビング耐性の観点では好ましい。一方、液晶配向膜の電気特性の点では、構造安定性に富む六員環の同素環芳香族化合物又は窒素原子含有複素環芳香族化合物が好ましい。
また、式[1]におけるArは、ビフェニレン、ビピリジンのように同一の環が連結していてもよく、フェニルピリジンやフェニルチオフェンのように異種の環同士が連結していてもよい。またキノリンやベンゾイミダゾールのように縮環構造をとっていてもよい。
また、上記の窒素原子含有複素環芳香族化合物の具体例としては、ピロール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、テトラジン、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、イソキサゾール、オキサジアゾール、チアゾール、イソチアゾール、チアジアゾールトリアゾール、テトラゾール、インドール、インダゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイソチアゾール、キノリン、イソキノリン、チノリン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン、ナフチリジン、プテリジン、プリン、クマリン、イソクマリン、カルバゾール、アクリジン、フェナントロリン、チエノピリジン、フロピリジン、インドリジン、キノリジン、カルボリン等が挙げられる。また、ピロール、ピラゾール、イミダゾールなどにおけるN―H部位は、そのままでも又はメチル化などアルキル化されていてもよい。
一方、液晶配向膜としたときの液晶配向性やラビング耐性、また合成のし易さなどの観点からは無置換、又はメチル基やエチル基などの比較的小さな置換基で置換された同素環芳香族化合物又は窒素原子含有複素環芳香族化合物が好ましい。
一般式[1]で表されるジアミンの好ましい具体例としては、下記の式[2]、式[4]、式[5]又は式[6]の化合物が挙げられる。
一般式[1]で表されるジアミンの合成法は特に限定されるものではないが、例えば、下記一般式[7]で表されるジニトロ化合物を合成し、さらに通常の方法でニトロ基を還元してアミノ基に変換する方法で合成することができる。
なお、ジニトロベンジルアルコールとしては、2,4−ジニトロベンジルアルコール、3,5−ジニトロベンジルアルコール、2,5−ジニトロベンジルアルコール等が挙げられる。
上記式[1]で表されるジアミンは、テトラカルボン酸二無水物と反応させることで、ポリアミック酸を得ることができる。本発明において、ポリアミック酸を合成する際に用いるジアミン成分は、式[1]で表されるジアミンのみであってもよく、その他のジアミンから選ばれる1種又は2種以上を組み合わせてもよい。
ジアミン成分として、式[1]で表されるジアミンを含有させることで、得られるポリアミック酸及びこのポリアミック酸をイミド化したポリイミドの有機溶媒への溶解性を高めることができる。更には、このポリアミック酸又はポリイミドを含有する液晶配向処理剤から得られた液晶配向膜は、ラビング耐性に優れ、電圧保持率が高く、かつ、液晶セルに直流電圧が印加されても初期の電荷蓄積が起こり難くなる。このような特性を得るために、式[1]で表されるジアミンは、ポリアミック酸の合成に使用するジアミン成分全体の5〜100mol%であることが好ましく、より好ましくは10〜80mol%であり、特に好ましくは20〜50mol%である。
上記のジアミン成分において、式[1]で表されるジアミンと組み合わせて使用するジアミンは、特に限定されない。このようなジアミンの具体例を以下に示す。
芳香族−脂肪族ジアミンの例としては、式[3]で表されるジアミンが挙げられる。
H2N−Ar’−R1−NH−R2 [3]
ここで、式中のAr’はフェニレン又はナフチレン、R1は炭素数1〜5、好ましくは1〜3のアルキレン基であり、R2は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基であり、好ましくは水素原子又はメチル基である。
式[3]で表されるジアミンの具体例としては、3−アミノベンジルアミン、4―アミノベンジルアミン、3−アミノ−N−メチルベンジルアミン、4−アミノ−N−メチルベンジルアミン、3−アミノフェネチルアミン、4−アミノフェネチルアミン、3−アミノ−N−メチルフェネチルアミン、4−アミノ−N−メチルフェネチルアミン、3−(3−アミノプロピル)アニリン、4−(3−アミノプロピル)アニリン、3−(3−メチルアミノプロピル)アニリン、4−(3−メチルアミノプロピル)アニリン、3−(4−アミノブチル)アニリン、4−(4−アミノブチル)アニリン、3−(4−メチルアミノブチル)アニリン、4−(4−メチルアミノブチル)アニリン、3−(5−アミノペンチル)アニリン、4−(5−アミノペンチル)アニリン、3−(5−メチルアミノペンチル)アニリン、4−(5−メチルアミノペンチル)アニリン、2−(6−アミノナフチル)メチルアミン、3−(6−アミノナフチル)メチルアミン、2−(6−アミノナフチル)エチルアミン、3−(6−アミノナフチル)エチルアミンなどが挙げられる。
式[3]で表されるジアミンの好ましい含有量は、ジアミン成分全体の10〜80mol%、好ましくは20〜70mol%である。
以下に、チルトジアミンの具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下に例示する、式[12]〜式[38]において、jは5〜20の整数を表し、kは1〜20の整数を表す。
例えば、TN液晶用配向膜(プレチルト角が3〜5°)では、式[12]のジアミンの含有量はジアミン成分全体の10〜30mol%が好ましく、OCB用配向膜、あるいはVA用配向膜(プレチルト角が10〜90°)では、式[19]〜式[26]のジアミンの含有量はジアミン成分全体の5〜40mol%が好ましい。
本発明の液晶配向処理剤に使用されるポリアミック酸もしくはポリイミドの溶解性、液晶の配向性、チルト角、電圧保持率、蓄積電荷などの各特性のバランスを考慮すると、例えば式[1]、式[3]、及び式[12]で表されるジアミン成分を用いる場合、それぞれのジアミン成分の好ましい比率は、モル比で、10〜50%(式[1])/20〜80%(式[3])/10〜30%(式[12])が好ましく、さらに好ましくは20〜40%(式[1])/30〜50%(式[3])/10〜30%(式[12])である。
本発明の液晶配向処理剤に必要なポリアミック酸又はポリイミドにおいて、上記したジアミン成分と反応させるテトラカルボン酸二無水物成分は、特に限定されない。すなわち、1種類のテトラカルボン酸二無水物であってもよく、2種類以上のテトラカルボン酸二無水物を併用してもよい。
本発明の液晶配向処理剤においては、液晶セルの電圧保持率を更に向上できる点などから、前記のジアミン成分と反応させるテトラカルボン酸二無水物として、脂環式構造又は脂肪族構造を有するテトラカルボン酸二無水物を用いることが好ましい。
脂環式構造又は脂肪族構造を有するテトラカルボン酸二無水物としては、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−テトラメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、3,4−ジカルボキシ−1−シクロヘキシルコハク酸二無水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物、〔4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸無水物〕、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[3,3,0]オクタン−2,4,6,8−テトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、シス−3,7−ジブチルシクロオクタ−1,5−ジエン−1,2,5,6−テトラカルボン酸二無水物、トリシクロ[4.2.1.02,5]ノナン−3,4,7,8−テトラカルボン酸−3,4:7,8−二無水物、ヘキサシクロ[6.6.0.12,7.03,6.19,14.010,13]ヘキサデカン−4,5,11,12−テトラカルボン酸−4,5:11,12−二無水物などが挙げられる。この中で、特に1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物を用いると液晶配向性に優れた配向膜が得られるために好ましい。
得られたポリアミック酸もしくはポリイミドの溶解性、液晶の配向性、電圧保持率、蓄積電荷などの各特性のバランスを考慮するならば、脂環式構造又は脂肪族構造を有するテトラカルボン酸二無水物と、芳香族テトラカルボン酸二無水物との使用比率は、前者/後者のモル比で90/10〜50/50が好ましく、より好ましくは80/20〜60/40である。
本発明において、テトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分の重合反応方法は特に限定されない。一般的には、有機溶媒中で混合することにより重合反応してポリアミック酸とすることができ、このポリアミック酸を脱水閉環させることによりポリイミドとすることができる。
テトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分とを有機溶媒中で混合させる方法としては、ジアミン成分を有機溶媒に分散あるいは溶解させた溶液を攪拌させ、テトラカルボン酸二無水物成分をそのまま、又は有機溶媒に分散あるいは溶解させて添加する方法、逆にテトラカルボン酸二無水物成分を有機溶媒に分散あるいは溶解させた溶液にジアミン成分を添加する方法、テトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分とを交互に添加する方法などが挙げられる。また、テトラカルボン酸二無水物成分又はジアミン成分が複数種の化合物からなる場合は、これら複数種の成分をあらかじめ混合した状態で重合反応させてもよく、個別に順次重合反応させてもよい。
テトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分を有機溶剤中で重合反応させる際の温度は、通常0〜150℃、好ましくは5〜100℃、より好ましくは10〜80℃である。温度が高い方が重合反応は早く終了するが、高すぎると高分子量の重合体が得られない場合がある。
また、重合反応は任意の濃度で行うことができるが、テトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分との合計濃度が低すぎると高分子量の重合体を得ることが難しくなり、濃度が高すぎると反応液の粘性が高くなり過ぎて均一な攪拌が困難となるので、合計濃度は好ましくは1〜50質量%、より好ましくは5〜30質量%である。重合反応初期は高濃度で行い、その後、有機溶媒を追加してもよい。
本発明のポリアミック酸又はポリイミドの分子量は特に限定されないが、液晶配向処理剤に含有させる場合には、得られる塗膜の強度と液晶配向処理剤としての取り扱いのし易さの観点から、重量平均分子量で2,000〜200,000が好ましく、より好ましくは5,000〜50,000である。
本発明の液晶配向処理剤に使用されるポリイミドは、上記したポリアミック酸をイミド化したポリイミドである。ポリアミック酸のイミド化は、有機溶媒中において、塩基性触媒と酸無水物の存在下で、1〜100時間攪拌することにより可能である。
塩基性触媒としてはピリジン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン等を挙げることができる。中でもピリジンは、反応を進行させるのに適度な塩基性を持つので好ましい。
また、酸無水物としては無水酢酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸などを挙げることができる。中でも無水酢酸は、イミド化終了後に、得られたポリイミドの精製が容易となるので好ましい。
有機溶媒としては前述したポリアミック酸重合反応時に用いる溶媒を使用することができる。
ポリイミドのイミド化率は、触媒量、反応温度、反応時間などを調節することにより制御することができる。このときの塩基性触媒の量は、アミック酸基の0.2〜10倍モルが好ましく、より好ましくは0.5〜5倍モルである。また、酸無水物の量は、アミック酸基の1〜30倍モルが好ましく、より好ましくは1〜10倍モルである。反応温度は−20〜250℃が好ましく、より好ましくは0〜180℃である。
本発明の液晶配向処理剤に使用されるポリイミドのイミド化率は特に限定されないが、より高い電圧保持率の液晶配向膜が得られるという理由から、イミド化率が40%以上であることが好ましく、60%以上がより好ましく、特に好ましくは80%以上である。
ポリイミドの回収は、貧溶媒の撹拌下にイミド化後の溶液を投入し、ポリイミドを析出させた後にろ過することで可能となる。このときの貧溶媒としてはメタノール、アセトン、ヘキサン、ブチルセロソルブ、ヘプタン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エタノール、トルエン、ベンゼンなどを挙げることができる。回収したポリイミドの洗浄も、この貧溶媒で行うことができる。このようにして回収・洗浄したポリイミドは、常圧あるいは減圧下で、常温あるいは加熱乾燥して粉末とすることができる。
このような操作は、前記のポリアミック酸に対しても行うことができる。例えば、ポリアミック酸の重合に用いた溶媒を液晶配向処理剤中に含有させたくない場合や、反応溶液中の未反応のモノマー成分や不純物を除きたい場合には、上記の沈殿回収及び精製を行えばよい。
本発明の液晶配向処理剤は、上記のようにして得られたポリアミック酸及びポリイミドのうちの少なくとも一種の重合体を含有する塗布液である。
その製造例を挙げると、前記したポリアミック酸又はポリイミドの反応溶液をそのまま、又は希釈したものでもよく、反応液から沈殿回収したものを有機溶媒に再溶解してもよい。また、希釈や再溶解の工程においては、基板への塗布性を制御するための溶媒組成の調整や、塗膜の特性を改善するための添加物の追加などを行うことができる。更には、上記とは異なる構造のポリイミドの溶液や、ポリアミック酸の溶液と混合したり、他の樹脂成分を添加してもよい。
上記の希釈や再溶解の工程に使用する有機溶媒としては、含有される重合体を溶解させるものであれば特に限定されない。その具体例を挙げると、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタム、2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−ビニルピロリドン、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ジメチルスルホン、ヘキサメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、1,3−ジメチル−イミダゾリジノンなどである。なかでも、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、γ−ブチロラクトンは好適に用いられる。これらは1種又は2種以上を混合して用いてもよい。
以上のようにして得られた液晶配向処理剤は、基板に塗布する前に濾過することが好ましい。
本発明の液晶配向処理剤は、基板に塗布し、乾燥、焼成することで塗膜とすることができ、この塗膜面をラビング処理することにより、ラビング用の液晶配向膜として使用される。またラビング処理をしないVA用(垂直配向用)液晶配向膜、光配向膜としても使用される。
この際、用いる基板としては透明性の高い基板であれば特に限定されず、ガラス基板、アクリル基板若しくはポリカーボネート基板などのプラスチック基板などを用いることができ、液晶駆動のためのITO電極などが形成された基板を用いることがプロセスの簡素化の観点から好ましい。また、反射型の液晶表示素子では片側の基板のみにならばシリコンウエハー等の不透明な物でも使用でき、この場合の電極はアルミ等の光を反射する材料も使用できる。
液晶配向処理剤の塗布方法としては、スピンコート法、印刷法、インクジェット法などが挙げられるが、生産性の面から工業的にはフレキソ印刷法が広く用いられており、本発明の液晶配向処理剤においても好適に用いられる。
液晶配向処理剤を塗布した後の乾燥の工程は、必ずしも必要とされないが、塗布後から焼成までの時間が基板ごとに一定していない場合や、塗布後直ちに焼成されない場合には、乾燥工程を含むのが好ましい。乾燥は、基板の搬送等により塗膜形状が変形しない程度に溶媒が蒸発していればよく、その乾燥手段については特に限定されない。例えば、50〜150℃、好ましくは80〜120℃のホットプレート上で、0.5〜30分、好ましくは1〜5分乾燥させる方法が挙げられる。
焼成後の塗膜の厚みは、厚すぎると液晶表示素子の消費電力の面で不利となり、薄すぎると液晶表示素子の信頼性が低下する場合があるので、好ましくは10〜200nm、より好ましくは50〜100nmである。
上記のようにして基板上に形成された塗膜面のラビング処理は、既存のラビング装置を使用することができる。この際のラビング布の材質としては、コットン、レーヨン、ナイロンなどが挙げられる。
上記した手法により得られた液晶配向膜付き基板は、公知の方法で液晶セルを作製し、液晶表示素子とすることができる。液晶セル作製の一例を挙げるならば、液晶配向膜の形成された1対の基板を、好ましくは1〜30μm、より好ましくは2〜10μmのスペーサーを挟んで、ラビング方向が0〜270°の任意の角度となるように設置して周囲をシール剤で固定し、液晶を注入して封止する方法が一般的である。液晶封入の方法については特に制限されず、作製した液晶セル内を減圧にした後液晶を注入する真空法、液晶を滴下した後封止を行う滴下(ODF)法などが例示できる。
このようにして得られた液晶表示素子は、TN液晶表示素子、STN液晶表示素子、TFT液晶表示素子、OCB液晶表示素子、更には、横電界型(IPS)液晶表示素子、VA液晶表示素子など、種々の方式による表示素子に好適に用いられる。
(合成例1)
3,5−ジアミノベンジルベンゾエートの合成
500mL四口フラスコに、3,5−ジニトロベンジルアルコール20.0g、ベンゾイルクロリド14.9g、テトラヒドロフラン150mLの溶液に、ピリジン8.8gを滴下して、室温で30時間攪拌した。反応終了後、純水50mLを加え1時間攪拌した。酢酸エチルを加えて有機層を抽出し、有機層を1N塩酸、飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄した。有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて脱水乾燥、濾過した後に、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒留去を行った。残渣を酢酸エチルを用いて再結晶を行い、24.9gの下記のNMR特性を有するジニトロ化合物を合成した(収率82%)。
1H NMR (400 MHz,CDCl3):δ9.03 (t, 1H), 8.65 (d, 2H), 8.12-8.07 (m, 2H), 7.63 (tt, 1H), 7.53-7.47 (m, 2H), 5.55 (s, 2H)
この薄茶色固体をNMRで測定した結果を以下に示す。その結果から、得られた薄茶色固体が目的とするジアミン化合物であることを確認した。
1H NMR (400 MHz,DMSO-d6):δ8.01-7.99 (m, 2H), 7.69-7.64 (m, 1H), 7.57-7.51 (m, 2H), 5.87 (d, 2H), 5.79 (t, 1H), 5.06 (s, 2H), 4.80 (br, 4H)
3,5−ジアミノベンジルニコチネートの合成
500mL三口フラスコに、1,3−ジニトロベンジルアルコール25.0g、ピコリン酸クロリド塩酸塩24.6g、N,N−ジメチルアミノピリジン1.4g、テトラヒドロフラン300mLを加えた。トリエチルアミン52.8mLを滴下し、室温で18時間攪拌した。反応終了後、純水50mLを加え1時間攪拌した。酢酸エチルを加えて有機層を抽出し、有機層を1N塩酸、飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄した。有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて脱水乾燥、濾過した後に、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒留去を行った。残渣をテトラヒドロフラン/ヘキサン=1/4を用いて再結晶を行い、36.0gの下記のNMR特性を有するジニトロ化合物を合成した(収率94%)。
1H NMR (400 MHz,CDCl3):δ9.04 (t, 1H), 8.83-8.79 (m, 1H), 8.71-8.65 (m, 2H), 8.19 (dt, 1H), 7.91 (d, 1H), 7.59-7.54 (m, 1H), 5.64 (d, 2H)
この薄茶色固体をNMRで測定した結果を以下に示す。その結果から、得られた薄茶色固体が、目的とするジアミン化合物であることを確認した。
1H NMR (400 MHz,CDCl3):δ8.80-8.76 (m, 1H), 8.14 (dt, 1H), 7.83 (dt, 1H), 7.50-7.45 (m, 1H), 6.23 (d, 2H), 6.00 (t, 1H), 5.28 (s, 2H), 3.1 (br, 4H)
3,5−ジアミノベンジル−1,3,4−トリメチルピラゾール−5−カルボキシレートの合成
500mL四口フラスコに1,3,4−トリメチル−1H−ピラゾール−5−カルボン酸17.1g、ジクロロメタン250mLを加え、温度0度に冷却した。二塩化オキラリル10.2mL、DMF0.8gを加え、室温で2時間攪拌した。攪拌後、3,5−ジニトロベンジルアルコール22.0g、ピリジン9.7gを加え、室温で41時間攪拌した。反応終了後、純水50mLを加え1時間攪拌した。酢酸エチルを加えて有機層を抽出し、有機層を1N塩酸、飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄した。有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて脱水乾燥、ろ過した後に、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒留去を行った。イソプロピルアルコールを用いて残渣の再結晶を行い、18.1gの下記のNMR特性を有するジニトロ化合物を得た。(収率71%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3):δ9.04 (t, 1H), 8.64 (dt, 2H), 5.54 (t, 2H), 4.08 (s, 3H), 2.24 (s, 3H), 2.21 (s, 3H)
この薄茶色固体をNMRで測定した結果を以下に示す。この結果から、得られた薄茶色固体が、目的とするジアミン化合物であることを確認した。
1H NMR (400 MHz, CDCl3):δ6.15 (d, 2H), 5.98 (t, 1H), 5.15 (s, 2H), 4.06 (s, 3H), 3.58 (br, 4H), 2.18 (s, 6H)
1HNMR(400MHz,DMSO-d6):δ9.76(t,1H)9.09-9.02(m,2H),8.99-8.93(m,1H),8.50(m,1H),7.64-7.60(m,1H),7.36-7.32(m,1H),4.57(s,2H),3.35(s,2H)
1HNMR(400MHz,DMSO-d6):δ8.64(t,1H),8.44(d,1H),7.67(d,1H),7.34(q,1H),6.23(d,2H),5.94(s,1H),4.87(b,4H),4.39(d,2H),3.38(s,2H)
下記する実施例1〜10及び比較例1〜4において、液晶配向処理剤の製造例を記載するが、ポリアミック酸及びポリイミドの合成で使用された略号の説明は下記するとおりであり、また、<分子量の測定>、<イミド化率の測定>、<ラビング耐性の評価>、<液晶セルの作製>、<プレチルト角の評価>、<電圧保持率の測定方法>、及び<蓄積電荷(RDC)の評価>についての方法は、下記のとおりである。
なお、これらの実施例及び比較例の各液晶配向処理剤の物性(特性)は、後記する表1及び表2にまとめて示される。
<テトラカルボン酸二無水物>
CBDA:1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物
<ジアミン>
DABPh:3,5−ジアミノベンジルベンゾエート
DABPy:3,5−ジアミノベンジルニコチネート
DABTMPz:3,5−ジアミノベンジル−1,3,4−トリメチル−1H−ピラゾール−5−カルボキシレート
RefDA:2−(ピリジン−2−イル)エチル 3,5−ジアミノベンゾエート
C14DAB:4−テトラデシルオキシ−1,3−ジアミノベンゼン
3−ABA:3−アミノベンジルアミン
<有機溶媒>
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
γBL:γ−ブチロラクトン
BC:ブチルセロソルブ
DPM:ジプロピレングリコールモノメチルエーテル
<分子量の測定>
ポリアミック酸及びポリイミドの分子量は、該ポリイミドを下記のGPC(常温ゲル浸透クロマトグラフィー)装置によって測定し、ポリエチレングリコール及びポリエチレンオキシド換算値として、それぞれ、数平均分子量及び重量平均分子量を算出した。
GPC装置:Shodex社製 (GPC-101)
カラム:Shodex社製 (KD803、KD805の直列)
カラム温度:50℃
溶離液:N,N-ジメチルホルムアミド(添加剤として、臭化リチウム−水和物(LiBr・H2O)が30mmol/L、リン酸・無水結晶(o-リン酸)が30mmol/L、テトラヒドロフラン(THF)が10ml/L)
流速:1.0ml/分
検量線作成用標準サンプル:東ソー社製 TSK 標準ポリエチレンオキサイド(数平均分子量 約900,000、150,000、100,000、30,000)、及び、ポリマーラボラトリー社製 ポリエチレングリコール(重量平均分子量 約12,000、4,000、1,000)。
ポリイミドのイミド化率は、該ポリイミドをd6−DMSO(ジメチルスルホキシド−d6)に溶解させ、1H−NMRを測定し、イミド化せずに残存しているアミド酸基の比率をプロトンピークの積算値の比から求め算出した。
<ラビング耐性の評価>
各液晶配向処理剤を透明電極付きガラス基板にスピンコートし、80℃のホットプレート上で5分間乾燥させた後、210℃のホットプレート上で10分間焼成を行い、膜厚70nmの塗膜を形成させた。この塗膜面をロール径120mmのラビング装置(飯沼ゲージ製作所製 RS01−2型)でレーヨン布を用いて、ロール回転数1000rpm、ロール進行速度50mm/sec、押し込み量0.5mmの条件でラビングし、液晶配向膜付き基板を得た。液晶配向膜表面を共焦点レーザー顕微鏡にて観察した。評価は以下の基準に従って示した。
○:削れカスやラビング傷が観察されない。
△:削れカスやラビング傷が観察される。
×:膜が剥離する又は目視でラビング傷が観察される。
<液晶セルの作製>
各液晶配向処理剤を用いて、以下のようにして液晶セルを作製した。
液晶配向処理剤を透明電極付きガラス基板にスピンコートし、80℃のホットプレート上で5分間乾燥させた後、210℃のホットプレート上で10分間焼成を行い、膜厚70nmの塗膜を形成させた。この塗膜面をロール径120mmのラビング装置でレーヨン布を用いて、ロール回転数1000rpm、ロール進行速度50mm/sec、押し込み量0.3mmの条件でラビングし、液晶配向膜付き基板を得た。液晶配向膜付き基板を2枚用意し、その1枚の液晶配向膜面上に6μmのスペーサーを散布した後、その上からシール剤を印刷し、もう1枚の基板を液晶配向膜面が向き合いラビング方向が直交するようにして張り合わせた後、シール剤を硬化させて空セルを作製した。この空セルに減圧注入法によって、液晶MLC−2003(メルク・ジャパン社製)を注入し、注入口を封止して、ツイストネマティック液晶セルを得た。
上記<液晶セル作製>に記載方法で作製したツイストネマティック液晶セルを105℃で5分間加熱した後、プレチルト角の測定と電圧保持率の測定を行った。プレチルト角はクリスタルローテーション法を用いて測定した。
<電圧保持率の測定>
上記<液晶セル作製>に記載方法で作製したツイストネマティック液晶セルに、90℃の温度下で4Vの電圧を60μs間印加し、16.67ms後の電圧を測定し、電圧がどのくらい保持できているかを電圧保持率として求めた。なお、電圧保持率の測定には電圧保持率測定装置(東陽テクニカ社製、VHR−1)を使用した。
<蓄積電荷(RDC)の評価>
上記<液晶セル作製>に記載方法で作製したツイストネマティック液晶セルに、23℃の温度下で直流電圧を0Vから0.1V間隔で1.0Vまで印加し、各電圧でのフリッカー振幅レベルを測定し、検量線を作成した。次いで、5分間アースした後、交流電圧3.0V、直流電圧5.0Vを印加し、1時間後のフリッカー振幅レベルを測定し、予め作製した検量線と照らし合わせることによりRDCを評価した。このRDCの評価方法は、フリッカー参照法と呼ばれる。
テトラカルボン酸二無水物成分として、CBDAを5.00g(25mmol)、ジアミン成分として、DABPhを6.30g(26mmol)を用い、NMP45.18g中、室温で16時間反応させ20質量%のポリアミック酸溶液(PAA−1)を得た。
このポリアミック酸溶液(PAA−1) 10.0gを、NMP13.3g及びBC10.0gを用いて希釈し、固形分を6質量%、NMPを64質量%、及びBCを30質量%含有する溶液からなる液晶配向処理剤を得た。
実施例1で得られたポリアミック酸溶液(PAA−1濃度20質量%)40gに、NMPを93.33g加えて希釈し、次いで、無水酢酸5.64g及びピリジン2.33gを加え、40℃で3時間反応させてイミド化した。この反応溶液を室温程度まで冷却後、メタノール500ml中に投入し、沈殿した固形物を回収した。さらに、この固形物をメタノールで数回洗浄した後、100℃で減圧乾燥して、ポリイミド(SPI−1)の白色粉末を得た。このポリイミドは、数平均分子量が14,630、重量平均分子量が32,160であり、また、イミド化率は82%であった。
得られたポリイミド(SPI−1)2.00gに、γ−BL18.0gを加え、50℃で20時間攪拌した。攪拌終了時点でポリイミドは完全に溶解していた。さらにこの溶液にγ−BL8.0g、BC6.00g、及びDPM6.00gを加え、50℃で20時間攪拌し、ポリイミド(SPI−1)を5質量%、γ−BLを65質量%、DPMを15質量%、及びBCを15質量%が含有する溶液からなる液晶配向処理剤を得た。
テトラカルボン酸二無水物成分として、CBDAを5.00g(25mmol)、ジアミン成分として、DABPyを6.32g(26mmol)を用い、NMP45.29g中、室温で16時間反応させ、20質量%のポリアミック酸溶液(PAA−2)を得た。
ポリアミック酸溶液(PAA−2) 10.0gを、NMP13.3g及びBC10.0gを用いて希釈し、固形分を6質量%、NMPを64質量%、及びBCを30質量%含有する溶液からなる液晶配向処理剤を得た。
実施例3で得られたポリアミック酸溶液(PAA−2濃度20質量%)40gに、NMPを93.33g加えて希釈し、無水酢酸5.77gとピリジン2.39gを加え、40℃で3時間反応させてイミド化した。この反応溶液を室温程度まで冷却後、メタノール500ml中に投入し、沈殿した固形物を回収した。さらに、この固形物をメタノールで数回洗浄した後、100℃で減圧乾燥して、ポリイミド(SPI−2)の白色粉末を得た。このポリイミドの数平均分子量は13,204、重量平均分子量は30,700であった。また、イミド化率は87%であった。
得られたポリイミド(SPI−2)2.00gに、γ−BL18.0gを加え、50℃で20時間攪拌した。攪拌終了時点でポリイミドは完全に溶解していた。さらにこの溶液にγ−BL8.0g、BC6.00g、及びDPM6.00gを加え、50℃で20時間攪拌し、ポリイミド(SPI−2)を5質量%、γ−BLを65質量%、DPMを15質量%、及びBCを15質量%含有する溶液からなる液晶配向処理剤を得た。
テトラカルボン酸二無水物成分として、CBDAを5.30g(27mmol)、ジアミン成分として、DABPhを2.00g(8mmol)、3−ABAを1.35g(11mmol)、及びC14DABを2.65g(8mmol)用い、NMP45.25g中、室温で16時間反応させ20質量%のポリアミック酸溶液(PAA−3)を得た。
ポリアミック酸溶液(PAA−3) 10.0gをNMP13.3g、及びBC10.0gを用いて希釈し、固形分を6質量%、NMPを64質量%、及びBCを30質量%含有する溶液からなる液晶配向処理剤を得た。
実施例5で得られたポリアミック酸溶液(PAA−3濃度20質量%)40gに、NMPを93.33g加えて希釈し、無水酢酸5.97gとピリジン2.47gを加え、60℃で3時間反応させてイミド化した。この反応溶液を室温程度まで冷却後、メタノール500ml中に投入し、沈殿した固形物を回収した。さらに、この固形物をメタノールで数回洗浄した後、100℃で減圧乾燥して、ポリイミド(SPI−3)の乳白色粉末を得た。このポリイミドの数平均分子量は14,785、重量平均分子量は37,483であった。また、イミド化率は88%であった。
ポリイミド(SPI−3)2.00gに、γ−BL18.0gを加え、50℃で20時間攪拌した。攪拌終了時点でポリイミドは完全に溶解していた。さらに、この溶液にγ−BL8.0g、BC6.00g、及びDPM6.00gを加え、50℃で20時間攪拌し、ポリイミド(SPI−3)を5質量%、γ−BLを65質量%、DPMを15質量%、及びBCを15質量%含有する溶液からなる液晶配向処理剤を得た。
テトラカルボン酸二無水物成分として、CBDAを5.27g(27mmol)、ジアミン成分として、DABPyを2.00g(8mmol)、3−ABAを1.34g(11mmol)、及びC14DABを2.63g(8mmol)用い、NMP44.96g中、室温で16時間反応させ20質量%のポリアミック酸溶液(PAA−4)を得た。
ポリアミック酸溶液(PAA−4) 10.0gをNMP13.3g、及びBC10.0gを用いて希釈し、固形分を6質量%、NMPを64質量%、及びBCを30質量%含有する溶液からなる液晶配向処理剤を得た。
実施例7で得られたポリアミック酸溶液(PAA−4濃度20質量%)40gに、NMPを93.33g加えて希釈し、無水酢酸5.97gとピリジン2.47gを加え、60℃で3時間反応させてイミド化した。この反応溶液を室温程度まで冷却後、メタノール500ml中に投入し、沈殿した固形物を回収した。さらに、この固形物をメタノールで数回洗浄した後、100℃で減圧乾燥して、ポリイミド(SPI−4)の乳白色粉末を得た。このポリイミドの数平均分子量は15,594、重量平均分子量は42,320であった。また、イミド化率は87%であった。
ポリイミド(SPI−4)2.00gに、γ−BL18.0gを加え、50℃で20時間攪拌した。攪拌終了時点でポリイミドは完全に溶解していた。さらに、この溶液にγ−BL8.0g、BC6.00g、及びDPM6.00gを加え、50℃で20時間攪拌し、ポリイミド(SPI−4)を5質量%、γ−BLを65質量%、DPMを15質量%、及びBCを15質量%含有する溶液からなる液晶配向処理剤を得た。
テトラカルボン酸二無水物成分として、CBDAを5.57g(29mmol)、ジアミン成分として、DABTMPzを2.38g(9mmol)、3−ABAを1.42g(12mmol)、及びC14DABを2.79g(9mmol)用い、NMP46.7g中、室温で16時間反応させポリアミック酸(PAA−5)の濃度20質量%の溶液を得た。
このポリアミック酸(PAA−5)溶液10.0gを、NMP13.3g及びBC10.0gを用いて希釈し、ポリアミック酸(PAA−5)を6質量%、NMPを64質量%、及びBCが30質量%含有する溶液からなる液晶配向処理剤を得た。
実施例9と同様にして得られたポリアミック酸(PAA−5)溶液(PAA−5濃度20質量%)40.0gに、NMPを93.3g加えて希釈し、無水酢酸6.06gとピリジン2.53gを加え、60℃で3時間反応させてイミド化した。この反応溶液を室温程度まで冷却後、メタノール500ml中に投入し、沈殿した固形物を回収した。さらに、この固形物をメタノールで2回洗浄した後、100℃で減圧乾燥して、ポリイミド(SPI−5)の白茶色粉末を得た。このポリイミドの数平均分子量は14,222、重量平均分子量は33,154であった。また、イミド化率は88%であった。
ポリイミド(SPI−5)2.00gに、γ−BL18.0gを加え、50℃で20時間攪拌した。攪拌終了時点でポリイミドは完全に溶解していた。さらに、この溶液にγ−BL8.00g、BC6.00g、及びDPM6.00gを加え、50℃で20時間攪拌し、ポリイミド(SPI−5)を5質量%、γ−BLを65質量%、DPMを15質量%、及びBCを15質量%含有する溶液からなる液晶配向処理剤を得た。
テトラカルボン酸二無水物成分として、CBDAを12.5g(64mmol)、ジアミン成分として、3−ABAを5.56g(46mmol)、及びC14DABを6.25g(20mmol)用い、NMP97.20g中、室温で16時間反応させ20質量%のポリアミック酸溶液を得た(PAA−6)。
ポリアミック酸(PAA−6) 10.0gをNMP13.3g、及びBC10.0gを用いて希釈し、固形分を6質量%、NMPを64質量%、及びBCを30質量%含有する溶液からなる液晶配向処理剤を得た。
比較例1で得られたポリアミック酸溶液(PAA−6)50gに、NMP116.67g加えて希釈し、無水酢酸7.39gとピリジン3.15gを加え、70℃で3時間反応させてイミド化を行ったが、反応中にゲル化してしまった。
再度、ポリアミック酸溶液(PAA−6)50gに、NMP116.67g加えて希釈し、無水酢酸7.39gとピリジン3.15gを加え、イミド化の反応温度を50℃にして行った。
この反応溶液を室温程度まで冷却後、メタノール600ml中に投入し、沈殿した固形物を回収した。さらに、この固形物をメタノールで数回洗浄した後、100℃で減圧乾燥して、ポリイミド(SPI−6)の白色粉末を得た。このポリイミドの数平均分子量は16,338、重量平均分子量は39,865であった。またイミド化率は80%であった。
ポリイミド(SPI−6)1.00gに、γBL9gを加え、50℃で20時間攪拌した。攪拌終了時点でポリイミドは完全に溶解していた。さらに、この溶液にγ-BL4.0g、BC3.0g、及びDPM3.0gを加え、50℃で20時間攪拌し、ポリイミドを5質量%、γ-BLを65質量%、DPMを15質量%、及びBCを15質量%含有する溶液からなる液晶配向処理剤を得た。
テトラカルボン酸二無水物成分として、CBDAを5.76g(29mmol)、ジアミン成分として、RefDAを2,31g(9mmol)、3−ABAを1.46g(12mmol)、及びC14DABを2.88g(9mmol)用い、NMP56.84g中、室温で16時間反応させ20質量%のポリアミック酸溶液を得た(PAA−7)。
ポリアミック酸(PAA−7) 10.0gをNMP13.3g、及びBC10.0gを用いて希釈し、固形分を6質量%、NMPを64質量%、及びBCを30質量%含有する溶液からなる液晶配向処理剤を得た。
比較例3で得られたポリアミック酸溶液(PAA−7)50gに、NMPを116.67g加えて希釈し、無水酢酸7.39gとピリジン3.06gを加え、70℃で3時間反応させてイミド化を行った。
この反応溶液を室温程度まで冷却後、メタノール600ml中に投入し、沈殿した固形物を回収した。さらに、この固形物をメタノールで数回洗浄した後、100℃で減圧乾燥して、ポリイミド(SPI−7)の薄茶色粉末を得た。このポリイミドの数平均分子量は18,668、重量平均分子量は41,256であった。またイミド化率は89%であった。
ポリイミド(SPI−7)1.00gに、γBL9gを加え、50℃で20時間攪拌した。攪拌終了時点でポリイミドは完全に溶解していた。さらに、この溶液にγ-BL4.0g、BC3.0g、及びDPM3.0gを加え、50℃で20時間攪拌し、ポリイミドを5質量%、γ-BLを65質量%、DPMを15質量%、及びBCを15質量%含有する溶液からなる液晶配向処理剤を得た。
Claims (19)
- 式[1]のArが、六員環の同素環芳香族化合物又は六員環の窒素原子含有複素環芳香族化合物である請求項1に記載の液晶配向処理剤。
- 式[1]のArが、五員環の窒素原子含有複素環芳香族化合物である請求項1に記載の液晶配向処理剤。
- 式[1]のArが、ベンゼン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン又はトリアジンである請求項1に記載の液晶配向処理剤。
- 式[1]のArが、オキサゾール、オキサジアゾール、チアゾール、チアジアゾール、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、又はトリアゾールである請求項1に記載の液晶配向処理剤。
- ジアミン成分として、下記式[3]で表されるジアミン化合物を少なくとも10mol%以上含む請求項1〜7のいずれかに記載の液晶配向処理剤。
H2N−Ar’−R1−NH−R2 [3]
(式中、Ar'はフェニレン基又はナフチレン基を表し、R1炭素数が1〜5のアルキレン基を表し、R2は炭素数が1〜5のアルキル基を表す) - テトラカルボン酸二無水物成分が、脂環式構造又は脂肪族構造を有するテトラカルボン酸二無水物を含む請求項1〜8のいずれかに記載の液晶配向処理剤。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の液晶配向処理剤を電極付き基板上に塗布、焼成してなる液晶配向膜。
- 請求項10に記載の液晶配向膜を具備する液晶表示素子。
- 式[1]のArが、六員環の同素環芳香族化合物又は六員環の窒素原子含有複素環芳香族化合物である請求項12に記載のジアミン化合物。
- 式[1]のArが、五員環の窒素原子含有複素環芳香族化合物である請求項12に記載のジアミン化合物。
- 式[1]のArが、ベンゼン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン又はトリアジンである請求項12に記載のジアミン化合物。
- 式[1]のArが、オキサゾール、オキサジアゾール、チアゾール、チアジアゾール、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、又はトリアゾールである請求項12に記載のジアミン化合物。
- 請求項12〜18のいずれかに記載のジアミン化合物を含有するジアミン成分と、テトラカルボン酸二無水物成分とを反応させて得られるポリアミック酸、又は該ポリアミック酸をイミド化して得られるポリイミド。
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