JP4168442B2 - ジアミン化合物、ポリアミック酸、イミド化重合体、液晶配向剤、および液晶表示素子 - Google Patents

ジアミン化合物、ポリアミック酸、イミド化重合体、液晶配向剤、および液晶表示素子 Download PDF

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Description

本発明は、ジアミン化合物、ポリアミック酸、イミド化重合体、これらの少なくとも一方を含有する液晶配向剤およびこのような液晶配向剤から形成される液晶配向膜を備える液晶表示素子に関する。
従来、正の誘電異方性を有するネマチック型液晶を、液晶配向膜を有する透明電極付き基板でサンドイッチ構造にし、液晶分子の長軸が基板間で90度以上連続的に捻れるようにしてなるTN(Twisted Nematic)型、または、STN(Super Twisted Nematic)型液晶セルを有する液晶表示素子が知られている。これらの液晶表示素子における液晶の配向は、通常、重合体より構成される被膜の表面にラビング処理などの配向処理を施すことによって形成される液晶配向膜により制御されている。ここで、上記被膜を構成する重合体としては、ポリアミック酸およびポリイミドが知られており、これらの重合体を溶媒に溶解してなる液晶配向剤が一般的に使用されている。
また、上記とは別の液晶表示素子として、負の誘電異方性を有する液晶分子を基板に垂直に配向させてなる垂直配向(Vertical Alignment)型液晶セルを有する液晶表示素子が知られている。このような液晶表示素子においても、液晶の配向制御は、通常、ポリアミック酸、ポリイミドなどの重合体を含有する液晶配向剤により形成された液晶配向膜によりなされている。
しかしながら、従来の液晶配向剤により形成された液晶配向膜を備えた液晶表示素子においては、画像表示時(電圧印加時)に発生するイオン性電荷が液晶配向膜に吸着され、画像消去後(電圧印加の解除後)においても液晶配向膜から脱着されにくいため、電圧解除後における液晶配向膜に電圧が残留蓄積され、この残留電圧に起因して、電圧印加の解除後における表示画像に残像が生じるという問題がある。
さらに、当該液晶表示素子を長時間使用すると、白いシミ状の表示欠陥が発生することがあり、これにより液晶表示素子としての信頼性が損なわれるという問題がある。最近は、液晶テレビ用途に代表されるように、このような液晶表示素子を長時間使用し続けることが必然となっており、さらに信頼性を高める必要性
が増してきた。
本発明の第1の目的は、新規なジアミン化合物を提供することにある。
本発明の第2の目的は、液晶配向剤として有用な新規なポリアミック酸を提供することにある。
本発明の第3の目的は、液晶配向剤として有用な新規なイミド化重合体を提供することにある。
本発明の第4の目的は、良好な配向特性を発現できるとともに、液晶表示素子において電圧の印加を解除してから残像が消去されるまでの時間(以下、「残像消去時間」という)の短い液晶配向膜を形成できる液晶配向剤を提供することにある。
本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説明から明らかになろう。
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、第1に、
リトコール酸メチル(3,5−ジアミノベンゾエート)、リトコール酸エチル(3,5−ジアミノベンゾエート)、リトコール酸プロピル(3,5−ジアミノベンゾエート)、リトコール酸ブチル(3,5−ジアミノベンゾエート)、リトコール酸ペンチル(3,5−ジアミノベンゾエート)、リトコール酸ヘキシル(3,5−ジアミノベンゾエート)、リトコール酸シクロヘキシル(3,5−ジアミノベンゾエート)、リトコール酸セチル(3,5−ジアミノベンゾエート)、リトコール酸ヘプタデシル(3,5−ジアミノベンゾエート)およびリトコール酸ステアリル(3,5−ジアミノベンゾエート)
りなる群から選ばれる少なくとも1種のジアミン化合物(以下、「特定ジアミン化合物」ともいう)により達成される。
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、第2に、
特定ジアミン化合物の少なくとも1種と、下記式(III)
Figure 0004168442
ここで、G4は4価の有機基である、
で表されるテトラカルボン酸二無水物の少なくとも1種の反応生成物であるポリアミック酸により達成される。
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、第3に、上記のポリアミック酸を脱水閉環して得られるイミド化重合体により達成される。
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、第4に、上記のポリアミック酸およびイミド化重合体よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有してなる液晶配向剤により達成される。
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、第5に、下記式(XI)〜(XII)
Figure 0004168442
ここで、Dは請求項1記載のジアミン化合物から2つのアミノ基を除去した残基である、
のそれぞれで表される繰り返し単位よりなる群から選ばれる少なくとも一種を有する重合体を含有してなる液晶配向剤。
また、本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、第6に、上記の液晶配向剤から形成される液晶配向膜を具備する液晶表示素子によって達成される。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の特定ジアミン化合物は、リトコール酸メチル(3,5−ジアミノベンゾエート)、リトコール酸エチル(3,5−ジアミノベンゾエート)、リトコール酸プロピル(3,5−ジアミノベンゾエート)、リトコール酸ブチル(3,5−ジアミノベンゾエート)、リトコール酸ペンチル(3,5−ジアミノベンゾエート)、リトコール酸ヘキシル(3,5−ジアミノベンゾエート)、リトコール酸シクロヘキシル(3,5−ジアミノベンゾエート)、リトコール酸セチル(3,5−ジアミノベンゾエート)、リトコール酸ヘプタデシル(3,5−ジアミノベンゾエート)、リトコール酸ステアリル(3,5−ジアミノベンゾエート)またはリトコール酸フェニル(3,5−ジアミノベンゾエート)である。
特定ジアミン化合物は、例えば、1個または2個の水酸基を有するコール酸誘導体から合成することができる。例えば、アルコールとカルボン酸とのエステル化反応あるいはハロゲン化アルキルとカルボン酸塩とのエステル化反応を用い、必要に応じて酸触媒または塩基触媒、ジシクロヘキシルカルボジイミドなどの脱水剤を併用することで、前駆体であるジニトロ化合物を得ることができ、これを還元することで目的のジアミンを得ることができる。具体的には、例えば、リトコール酸メチル(3,5−ジアミノベンゾエート)は、リトコール酸(1)から下記の反応式に従って合成することができる。
Figure 0004168442
なお、ポリアミック酸の合成反応に供されるジアミン化合物として、特定ジアミン化合物以外のジアミン化合物を本発明による効果が損なわれない範囲で併用することが可能である。ここで、合成反応に供されるジアミン化合物に占める特定ジアミン化合物の割合は0.1〜100モル%が好ましく、特に好ましい割合は、TN型およびSTN型液晶表示素子においては、0.5〜30モル%、垂直配向型液晶表示素子においては、10〜100モル%である。
併用できるジアミン化合物としては、例えばp−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,5−ジアミノナフタレン、3,3−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、5−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、6−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)−10−ヒドロアントラセン、2,7−ジアミノフルオレン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)、2,2’,5,5’−テトラクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジクロロ−4,4’−ジアミノ−5,5’−ジメトキシビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、1,4,4’−(p−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、2,2’−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、4,4’−ビス[(4−アミノ−2−トリフルオロメチル)フェノキシ]−オクタフルオロビフェニルなどの芳香族ジアミン;
1,1−メタキシリレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、4,4−ジアミノヘプタメチレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、テトラヒドロジシクロペンタジエニレンジアミン、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダニレンジメチレンジアミン、トリシクロ[6.2.1.02,7]−ウンデシレンジメチルジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)などの脂肪族および脂環式ジアミン;
2,3−ジアミノピリジン、2,6−ジアミノピリジン、3,4−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリミジン、5,6−ジアミノ−2,3−ジシアノピラジン、5,6−ジアミノ−2,4−ジヒドロキシピリミジン、2,4−ジアミノ−6−ジメチルアミノ−1,3,5−トリアジン、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン、2,4−ジアミノ−6−イソプロポキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メトキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−フェニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジン、4,6−ジアミノ−2−ビニル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−5−フェニルチアゾール、2,6−ジアミノプリン、5,6−ジアミノ−1,3−ジメチルウラシル、3,5−ジアミノ−1,2,4−トリアゾール、6,9−ジアミノ−2−エトキシアクリジンラクテート、3,8−ジアミノ−6−フェニルフェナントリジン、1,4−ジアミノピペラジン、3,6−ジアミノアクリジン、ビス(4−アミノフェニル)フェニルアミンおよび下記式(V)および(VI)のいずれかで表される化合物などの、分子内に2つの1級アミノ基および該1級アミノ基以外の窒素原子を有するジアミン;
Figure 0004168442
(式中、R5は、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、ピペリジンおよびピペラジンから選ばれる窒素原子を含む環構造を有する1価の有機基を示し、Xは2価の有機基を示す。)
Figure 0004168442
(式中、R6は、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、ピペリジンおよびピペラジンから選ばれる窒素原子を含む環構造を有する2価の有機基を示し、Xは2価の有機基を示し、複数存在するXは、同一でも異なっていてもよい。)
下記式(VII)で表されるモノ置換フェニレンジアミン類;下記式(VIII)で表されるジアミノオルガノシロキサン;
Figure 0004168442
(式中、R7は、−O−、−COO−、−OCO−、−NHCO−、−CONH−および−CO−から選ばれる2価の有機基を示しそしてR8は、ステロイド骨格、トリフルオロメチル基およびフルオロ基から選ばれる基を有する1価の有機基または炭素数6〜30のアルキル基を示す。)
Figure 0004168442
(式中、R9は炭素数1〜12の炭化水素基を示し、複数存在するR9は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、pは1〜3の整数でありそしてqは1〜20の整数である。)
下記式(2)〜(6)のそれぞれで表される化合物などを挙げることができる。これらのジアミン化合物は、単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
Figure 0004168442
(式中、yは2〜12の整数でありそしてzは1〜5の整数である。)
これらのうち、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、1,5−ジアミノナフタレン、2,7−ジアミノフルオレン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、1,4−シクロヘキサンジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、上記式(2)〜(6)のそれぞれで表される化合物、2,6−ジアミノピリジン、3,4−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリミジン、3,6−ジアミノアクリジン、上記式(V)で表される化合物のうち下記式(7)で表される化合物、上記式(VI)で表される化合物のうち下記式(8)で表される化合物、上記式(VII)で表される化合物のうち下記式(9)〜(18)のそれぞれで表される化合物および上記式(VIII)で表される化合物のうち下記式(19)で表される化合物が好ましい。
Figure 0004168442
〈テトラカルボン酸二無水物〉
本発明のポリアミック酸の合成に用いられることのできるテトラカルボン酸二無水物としては、脂肪族テトラカルボン酸二無水物、脂環式テトラカルボン酸二無水物および芳香族テトラカルボン酸二無水物を挙げることができる。これらの具体的化合物としては、例えば、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジクロロ−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−テトラメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,5,6−トリカルボキシノルボルナン−2−酢酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−メチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−エチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−7−メチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−7−エチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−エチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5,8−ジメチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、下記式(IX)および(X)のそれぞれで表される化合物などの脂肪族および脂環式テトラカルボン酸二無水物;
Figure 0004168442
(式中、R1およびR3は、芳香環を有する2価の有機基を示し、R2およびR4は、水素原子またはアルキル基を示し、複数存在するR2およびR4は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。)
ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルメタンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン二無水物、エチレングリコール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、プロピレングリコール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,4−ブタンジオール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,6−ヘキサンジオール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,8−オクタンジオール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン−ビス(アンヒドロトリメリテート)、2,3,4,5−ピリジンテトラカルボン酸二無水物、2,6−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ピリジン、下記式(20)〜(23)のそれぞれで表される化合物などの芳香族テトラカルボン酸二無水物を挙げることができる。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
Figure 0004168442
これらのうち、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5,8−ジメチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、ビシクロ[2,2,2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、上記式(IX)で表される化合物のうち下記式(24)〜(26)のそれぞれで表される化合物および上記式(X)で表される化合物のうち下記式(27)で表される化合物が、良好な液晶配向性を発現させることができる観点から好ましく、特に好ましいものとして、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、ピロメリット酸二無水物および下記式(24)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 0004168442
〈ポリアミック酸の合成〉
本発明のポリアミック酸の合成反応に供されるテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物の使用割合は、ジアミン化合物に含まれるアミノ基1当量に対して、テトラカルボン酸二無水物の酸無水物基が0.2〜2当量となる割合が好ましく、さらに好ましくは0.3〜1.2当量となる割合である。
ポリアミック酸の合成反応は、有機溶媒中において、好ましくは−20〜150℃、より好ましくは0〜100℃の温度条件下で行われる。ここで、有機溶媒としては、合成されるポリアミック酸を溶解できるものであれば特に制限はなく、例えばN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルトリアミドなどの非プロトン系極性溶媒;m−クレゾール、キシレノール、フェノール、ハロゲン化フェノールなどのフェノール系溶媒を例示することができる。また、有機溶媒の使用量(a)は、テトラカルボン酸二無水物およびジアミン化合物の総量(b)が、反応溶液の全量(a+b)に対して0.1〜30重量%になるような量であることが好ましい。
なお、上記有機溶媒には、ポリアミック酸の貧溶媒であるアルコール、ケトン、エステル、エーテル、ハロゲン化炭化水素および炭化水素類などを、生成するポリアミック酸が析出しない範囲で併用することができる。かかる貧溶媒の具体例としては、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチル、乳酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルメトキシプロピオネ−ト、エチルエトキシプロピオネ−ト、シュウ酸ジエチル、マロン酸ジエチル、ジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコール−i−プロピルエーテル、エチレングリコール−n−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,4−ジクロロブタン、トリクロロエタン、クロルベンゼン、o−ジクロルベンゼン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどを挙げることができる。
以上のようにして、ポリアミック酸を溶解してなる反応溶液が得られる。そして、この反応溶液を大量の貧溶媒中に注いで析出物を得、この析出物を減圧下乾燥することによりポリアミック酸を得ることができる。また、このポリアミック酸を再び有機溶媒に溶解させ、次いで貧溶媒で析出させる工程を1回または数回行うことにより、ポリアミック酸を精製することができる。
得られたポリアミック酸は、特定ジアミン化合物と前記式(III)で表されるテトラカルボン酸二無水物との反応で下記式(XI)で表される繰返し単位を有する。
Figure 0004168442
上記式中、の定義は前記のとおりである、
〈イミド化重合体〉
本発明のイミド化重合体は、上記ポリアミック酸を脱水閉環することにより調製することができる。ポリアミック酸の脱水閉環は、(i)ポリアミック酸を加熱する方法により、または(II)ポリアミック酸を有機溶媒に溶解し、この溶液中に脱水剤および脱水閉環触媒を添加し必要に応じて加熱する方法により行われる。
上記(i)のポリアミック酸を加熱する方法における反応温度は、好ましくは50〜200℃であり、より好ましくは60〜170℃である。反応温度が50℃未満では脱水閉環反応が十分に進行せず、反応温度が200℃を超えると得られるイミド化重合体の分子量が低下することがある。
一方、上記(II)のポリアミック酸の溶液中に脱水剤および脱水閉環触媒を添加する方法において、脱水剤としては、例えば無水酢酸、無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸などの酸無水物を用いることができる。脱水剤の使用量は、ポリアミック酸の繰り返し単位1モルに対して0.01〜20モルとするのが好ましい。また、脱水閉環触媒としては、例えばピリジン、コリジン、ルチジン、トリエチルアミンなどの3級アミンを用いることができる。しかし、これらに限定されるものではない。脱水閉環触媒の使用量は、使用する脱水剤1モルに対して0.01〜10モルとするのが好ましい。なお、脱水閉環反応に用いられる有機溶媒としては、ポリアミック酸の合成に用いられるものとして例示した有機溶媒を挙げることができる。そして、脱水閉環反応の反応温度は、好ましくは0〜180℃、より好ましくは10〜150℃である。また、このようにして得られる反応溶液に対し、ポリアミック酸の精製方法と同様の操作を行うことにより、イミド化重合体を精製することができる。
得られたイミド化重合体は、前記式(XI)で表されるアミック酸繰返し単位がイミド化された、下記式(XII)および(XIV)、
Figure 0004168442
上記式中、の定義は前記のとおりである、
表されるイミド化単位を有する。
本発明の液晶配向剤を構成する場合の、本発明のイミド化重合体における好ましいイミド化率は、10〜100%、さらに好ましくは30〜98%である。ここで、「イミド化率」とは、重合体における繰り返し単位の総数に対する、イミド環を形成してなる繰り返し単位の数の割合を%で表したものとする。このとき、イミド環の一部がイソイミド環であっても良い。イミド化率は、上記脱水閉環反応の反応条件を調節することにより制御することができる。
〈末端修飾型の重合体〉
本発明のポリアミック酸およびイミド化重合体は、分子量が調節された末端修飾型のものであってもよい。この末端修飾型の重合体を用いることにより、本発明の効果が損われることなく液晶配向剤の塗布特性などを改善することができる。このような末端修飾型のものは、ポリアミック酸を合成する際に、酸−無水物、モノアミン化合物、モノイソシアネート化合物などを反応系に添加することにより合成することができる。ここで、酸−無水物としては、例えば無水マレイン酸、無水フタル酸、無水イタコン酸、n−デシルサクシニック酸無水物、n−ドデシルサクシニック酸無水物、n−テトラデシルサクシニック酸無水物、n−ヘキサデシルサクシニック酸無水物などを挙げることができる。また、モノアミン化合物としては、例えばアニリン、シクロヘキシルアミン、n−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、n−ウンデシルアミン、n−ドデシルアミン、n−トリデシルアミン、n−テトラデシルアミン、n−ペンタデシルアミン、n−ヘキサデシルアミン、n−ヘプタデシルアミン、n−オクタデシルアミン、n−エイコシルアミンなどを挙げることができる。また、モノイソシアネート化合物としては、例えばフェニルイソシアネート、ナフチルイソシアネートなどを挙げることができる。
〈重合体の対数粘度〉
本発明のポリアミック酸およびイミド化重合体は、その対数粘度(ηln)の値が通常0.05〜10dl/g、好ましくは0.1〜5dl/gである。
本発明における対数粘度(ηln)の値は、N−メチル−2−ピロリドンを溶媒として用い、濃度が0.5g/100ミリリットルである溶液について30℃で粘度の測定を行い、下記式(i)によって求められるものである。
Figure 0004168442
〈液晶配向剤〉
本発明の液晶配向剤は、本発明のポリアミック酸および/またはイミド化重合体が、好ましくは、有機溶媒中に溶解含有されて構成される。すなわち、本発明の液晶配向剤は、上記式(XI)〜(XII)のそれぞれで表される繰り返し単位よりなる群から選ばれる少なくとも一種を有する重合体を含有してなる。
また、本発明の液晶配向剤は、さらに、上記式(XI)〜(XII)のそれぞれで表される繰り返し単位を有しないポリアミック酸および/またはイミド化重合体(以下、「その他の重合体」ともいう)を含有してもよい。その他の重合体は、上述した特定ジアミン化合物以外のジアミン化合物とテトラカルボン酸二無水物とを反応させて得られるポリアミック酸、および当該ポリアミック酸を脱水閉環して得られるイミド化重合体から選ばれる少なくとも一種である。好ましい重合体の組み合わせとしては、上記式(XII)で表される繰返し単位を有する重合体(本発明のイミド化重合体)と、上記式(XI)〜(XII)のいずれかで表される繰り返し単位を有しないポリアミック酸との組み合わせが挙げられる。このような重合体の組み合わせを含有する液晶配向剤は、長期信頼性に優れ、残像消去時間が特に短い液晶表示素子が得られることから特に好ましい。当該液晶配向剤における重合体の含有割合は、重合体全量に対して本発明のイミド化重合体が1〜99重量%、好ましくは2〜50重量%、特に好ましくは10〜30重量%である。

本発明の液晶配向剤を調製する際の温度は、好ましくは、0℃〜200℃、より好ましくは20℃〜60℃である。
本発明の液晶配向剤を構成する有機溶媒としては、ポリアミック酸の合成反応に用いられるものとして例示した溶媒を挙げることができる。また、ポリアミック酸の合成反応の際に併用することができるものとして例示した貧溶媒も適宜選択して併用することができる。
本発明の液晶配向剤における固形分濃度は、粘性、揮発性などを考慮して選択されるが、好ましくは1〜10重量%の範囲である。すなわち、本発明の液晶配向剤は、基板表面に塗布され、液晶配向膜となる塗膜を形成するが、固形分濃度が1重量%未満である場合には、この塗膜の膜厚が過小となって良好な液晶配向膜を得ることができない。また、固形分濃度が10重量%を超える場合には、塗膜の膜厚が過大となって良好な液晶配向膜を得ることができず、しかも、液晶配向剤の粘性が増大して塗布特性が劣るものとなる。
本発明の液晶配向剤には、基板表面に対する接着性を向上させる観点から、官能性シラン含有化合物またはエポキシ基含有化合物が含有されていてもよい。斯かる官能性シラン含有化合物としては、例えば3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N−トリメトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、10−トリエトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリエトキシシランなどを挙げることができる。
また、エポキシ基含有化合物としては、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、2,2−ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,3,5,6−テトラグリシジル−2,4−ヘキサンジオール、N,N,N’,N’,−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4、4’−ジアミノジフェニルメタンなどを好ましいものとして挙げることができる。これら官能性シラン含有化合物やエポキシ基含有化合物の配合割合は、重合体100重量部に対して、好ましくは40重量部以下、より好ましくは0.1〜30重量部である。
〈液晶表示素子〉
本発明の液晶表示素子は、例えば次の方法によって製造することができる。
(1)パターニングされた透明導電膜が設けられている基板の一面に、本発明の液晶配向剤を例えばロールコーター法、スピンナー法、印刷法などの方法によって塗布し、次いで、塗布面を加熱することにより塗膜を形成する。ここに、基板としては、例えばフロートガラス、ソーダガラスなどのガラス;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネートなどのプラスチックからなる透明基板を用いることができる。基板の一面に設けられる透明導電膜としては、酸化スズ(SnO2)からなるNESA膜(米国PPG社登録商標)、酸化インジウム−酸化スズ(In23−SnO2)からなるITO膜などを用いることができ、これらの透明導電膜のパターニングには、フォト・エッチング法や予めマスクを用いる方法が用いられる。液晶配向剤の塗布に際しては、基板表面および透明導電膜と塗膜との接着性をさらに良好にするために、基板の該表面に、官能性シラン含有化合物、官能性チタン含有化合物などを予め塗布することもできる。液晶配向剤塗布後の加熱温度は、好ましくは80〜300℃、より好ましくは120〜250℃である。なお、ポリアミック酸を含有する本発明の液晶配向剤は、塗布後に有機溶媒を除去することによって配向膜となる塗膜を形成するが、さらに加熱することによって脱水閉環を進行させ、よりイミド化された塗膜とすることもできる。形成される塗膜の膜厚は、好ましくは0.001〜1μmであり、より好ましくは0.005〜0.5μmである。
(2)形成された塗膜面を、例えばナイロン、レーヨン、コットンなどの繊維からなる布を巻き付けたロールで一定方向に擦るラビング処理を行う。これにより、塗膜に液晶配向能が付与される。
また、本発明の液晶配向剤により形成された液晶配向膜に、例えば特開平6−222366号公報や特開平6−281937号公報に示されているような、紫外線を部分的に照射することによってプレチルト角を変化させるような処理を行うことによって、あるいは特開平5−107544号公報に示されているような、ラビング処理を施した液晶配向膜表面にレジスト膜を部分的に形成し、先のラビング処理と異なる方向にラビング処理を行った後にレジスト膜を除去して、液晶配向膜の液晶配向能を変化させるような処理を行うことによって、液晶表示素子の視界特性を改善することが可能である。
また、場合によっては、ラビング法によらず、偏光または無偏光の紫外線、または、イオンビームなどを塗膜に照射することにより、液晶配向能の付与を行ってもよい。
一方、垂直配向型の液晶表示素子を製造する場合においては、前記ラビング処理を行うことを必ずしも要せず、上記塗膜をそのまま液晶配向膜として用いることもできる。
(3)上記のようにして液晶配向膜が形成された基板を2枚作製し、それぞれの液晶配向膜におけるラビング方向が所定の角度をなすように、2枚の基板を、間隙(セルギャップ)を介して対向配置し、2枚の基板の周辺部をシール剤を用いて貼り合わせ、基板表面およびシール剤により区画されたセルギャップ内に液晶を注入充填し、注入孔を封止して液晶セルを構成する。そして、液晶セルの外表面、すなわち、液晶セルを構成するそれぞれの基板の他面側に、偏光板を、その偏光方向が当該基板の一面に形成された液晶配向膜のラビング方向と一致または直交するように貼り合わせることにより、液晶表示素子が得られる。
ここに、シール剤としては、例えば硬化剤とスペーサーとしての酸化アルミニウム球を含有するエポキシ樹脂などを用いることができる。
液晶としては、例えばネマティック型液晶およびスメクティック型液晶を挙げることができる。その中でもネマティック型液晶が好ましく、例えばシッフベース系液晶、アゾキシ系液晶、ビフェニル系液晶、フェニルシクロヘキサン系液晶、エステル系液晶、ターフェニル系液晶、ビフェニルシクロヘキサン系液晶、ピリミジン系液晶、ジオキサン系液晶、ビシクロオクタン系液晶、キュバン系液晶などを用いることができる。また、これらの液晶に、例えばコレスチルクロライド、コレステリルノナエート、コレステリルカーボネートなどのコレステリック型液晶や商品名「C−15」「CB−15」(メルク社製)として販売されているようなカイラル剤などを添加して使用することもできる。さらに、p−デシロキシベンジリデン−p−アミノ−2−メチルブチルシンナメートなどの強誘電性液晶も使用することができる。
また、液晶セルの外表面に貼り合わされる偏光板としては、ポリビニルアルコールを延伸配向させながら、ヨウ素を吸収させたH膜と称される偏光膜を酢酸セルロース保護膜で挟んだ偏光板またはH膜そのものからなる偏光板を挙げることができる。
以下、本発明を実施例により、さらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。なお、以下の実施例および比較例における、重合体、液晶配向剤、および、液晶表示素子の評価方法は以下の通りである。
〈液晶表示素子の電圧保持率〉
液晶表示素子に5Vの電圧を60マイクロ秒の印加時間、167ミリ秒のスパンで印加した後、印加解除から167ミリ秒後の電圧保持率を測定した。測定装置は(株)東陽テクニカ製VHR−1を使用した。
〈残像消去時間〉
(1)液晶表示素子に、10Vの直流電圧を1時間印加した後、当該電圧の印加を解除し、表示画面を目視により観察して、電圧の印加を解除してから画面上の残像が消去されるまでの時間を測定した(実施例12〜15および比較例6〜8)。
(2)液晶表示素子に17Vの直流電圧を100℃の環境温度で20時間印加した後、当該電圧の印加を解除し、15分間室温環境下にて緩和させた後に、液晶セル内に残留した電圧をフリッカ−消去することにより残留DC電圧を求めた。残留DC電圧が少ないほど、残像消去時間の短い液晶表示素子である(実施例22〜26および比較例11〜12)。
〈液晶表示素子のプレチルト角〉
T.J.Scheffer,et.al.,J.Appl.Phys.,vol.19,2013(1980)に記載の方法に準拠し、He−Neレーザー光を用いる結晶回転法により測定した。
〈液晶表示素子の信頼性試験〉
70℃の恒温槽中に液晶表示素子を入れ、駆動波形発生装置「Function /arbitrary waveform generator」(Hewlett Packard社製)にて24hr連続駆動させた後、コントラストムラ、表示欠損の有無を確認した。
特定ジアミン化合物の合成実施例
合成実施例1
(1)リトコール酸メチルの合成
リトコール酸56.5g(0.15モル)および濃硫酸3mlを0.5Lのメタノールに加え、6時間加熱還流した。得られた溶液をロータリーエバポレータで1/2量まで濃縮した後、1Lの純水に加えて生成物を沈澱させ、さらに、吸引濾過により回収した。この粗生成物を、NaHCO3飽和水溶液で洗滌して、付着したH2SO4を中和すると共に、未反応のリトコール酸を溶解、除去した。これをさらに、水洗、真空乾燥の後、エタノールより再結晶して、リトコール酸メチル44gを得た。分析結果を以下に示す。
1H−NMR(DMSO−D6,δppm):0.6−2.1(34H,m),3.6(3H,s)。
(2)リトコール酸メチル(3,5−ジニトロベンゾエート)の合成
リトコール酸メチル19.6g(0.05モル)、ピリジン4.0g、および塩化メチレン0.15Lを混合し、室温で溶解した。この溶液を撹拌しつつ、3,5−ジニトロ塩化ベンゾイル11.5g(0.05モル)を固体のまま徐々に加え、さらに3時間室温で撹拌した。この混合物をロータリーエバポレータで蒸発乾固し、生成した固体残査を水で洗浄した後、真空乾燥して粗生成物を得た。これをさらにアセトンで再結晶して、リトコール酸メチル(3,5−ジニトロベンゾエート)25.5gを得た。分析結果を以下に示す。
1H−NMR(CDCl3,δppm):0.6−2.1(34H,m),3.6(3H,s),9.1−9.2(3H,d+t)。
(3)リトコール酸メチル(3,5−ジアミノベンゾエート)の合成
リトコール酸メチル(3,5−ジニトロベンゾエート)9.6gとパラジウム活性炭0.1gを100mlのエタノールに加え、加熱還流した。この混合物に、4mlのヒドラジン1水和物をゆっくり滴下し、さらに、加熱還流を2時間継続した。この反応溶液を熱時濾過して、パラジウム活性炭を除去し、さらに、1Lの水に加えて生成物を沈澱させた。この沈澱を、濾別、水洗、真空乾燥した後、エタノールより再結晶して、リトコール酸メチル(3,5−ジアミノベンゾエート)6.7gを得た。分析結果を以下に示す。
1H−NMR(DMSO−D6,δppm):0.6−2.1(34H,m),3.6(3H,s),4.9(4H,s),6.0(1H,t),6.4(2H,d)。
合成実施例2
(4)リトコール酸ブチルの合成
リトコール酸56.5g(0.15モル)および濃硫酸0.3mlを1−ブタノール44gとクロロホルム100mlの溶液に加え、6時間加熱還流した。得られた溶液をロータリーエバポレータで1/2量まで濃縮した後、1Lのクロロホルムと1Lの純水を加えて攪拌した。クロロホルム層を分液し、NaHCO3飽和水溶液で洗滌して、付着したH2SO4を中和すると共に、未反応のリトコール酸を溶解、除去した。これをさらに、水洗し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムを濾別し、溶液を濃縮してリトコール酸ブチル52gを得た。
(5)リトコール酸ブチル(3,5−ジニトロベンゾエート)の合成
リトコール酸ブチル21.4g(0.05モル)、ピリジン3.9g、塩化メチレン0.1L、3,5−ジニトロ塩化ベンゾイル11.4g(0.05モル)用いた以外は(2)と同様にして、リトコール酸ブチル(3,5−ジニトロベンゾエート)26gを得た。
(6)リトコール酸ブチル(3,5−ジアミノベンゾエート)の合成
リトコール酸ブチル(3,5−ジニトロベンゾエート)9.6gを用いた以外は(3)と同様にして、リトコール酸ブチル(3,5−ジアミノベンゾエート)7.0gを得た。分析結果を以下に示す。
1H−NMR(DMSO−d6,δppm):0.6−2.1(44H,m),4.0(2H,t),4.8(1H,m),4.9(4H,s),6.0(1H,s),6.4(2H,s)。
合成実施例3
(7)リトコール酸ペンチルの合成
1−ペンタノール39gを用いた以外は(4)と同様にしてリトコール酸ペンチル54gを得た。
(8)リトコール酸ペンチル(3,5−ジニトロベンゾエート)の合成
リトコール酸ペンチル22gを用いた以外は(2)と同様にして、リトコール酸ペンチル(3,5−ジニトロベンゾエート)26gを得た。
(9)リトコール酸ペンチル(3,5−ジアミノベンゾエート)の合成
リトコール酸ペンチル(3,5−ジニトロベンゾエート)9.6gを用いた以外は(3)と同様にして、リトコール酸ペンチル(3,5−ジアミノベンゾエート)6.9gを得た。分析結果を以下に示す。
1H−NMR(DMSO−d6,δppm):0.6−2.1(46H,m),4.0(2H,t),4.8(1H,m),4.9(4H,s),6.0(1H,s),6.4(2H,s)。
合成実施例4
(10)リトコール酸ヘプタデシルの合成
1−ヘプタデカノール59gを用いた以外は(4)と同様にして粗リトコール酸ペンチル92gを得た。これをカラムクロマトグラフィーにて精製することによりリトコール酸ヘプタデシルを83g得た。
(11)リトコール酸ヘプタデシル(3,5−ジニトロベンゾエート)の合成
リトコール酸ヘプタデシル31gを用いた以外は(2)と同様にして、リトコール酸ヘプタデシル(3,5−ジニトロベンゾエート)37gを得た。
(12)リトコール酸ヘプタデシル(3,5−ジアミノベンゾエート)の合成
リトコール酸ペンチル(3,5−ジニトロベンゾエート)9.6gを用いた以外は(3)と同様にして、リトコール酸ヘプタデシル(3,5−ジアミノベンゾエート)7.5gを得た。分析結果を以下に示す。
1H−NMR(CDCl3,δppm):0.6−2.4(70H,m),3.7(4H,s),4.0(2H,t),4.9(1H,m),6.2(1H,s),6.8(2H,s)。
合成実施例5
(13)リトコール酸ステアリルの合成
1−オクタデカノール61gを用いた以外は(10)と同様にしてリトコール酸ステアリル76gを得た。
(14)リトコール酸ステアリル(3,5−ジニトロベンゾエート)の合成
リトコール酸ステアリル32gを用いた以外は(2)と同様にして、リトコール酸ステアリル(3,5−ジニトロベンゾエート)33gを得た。
(15)リトコール酸ステアリル(3,5−ジアミノベンゾエート)の合成
リトコール酸ステアリル(3,5−ジニトロベンゾエート)9.6gを用いた以外は(3)と同様にして、リトコール酸ステアリル(3,5−ジアミノベンゾエート)7.6gを得た。分析結果を以下に示す。
1H−NMR(CDCl3,δppm):0.6−2.4(72H,m),3.7(4H,s),4.0(2H,t),4.9(1H,m),6.2(1H,s),6.8(2H,s)。
実施例1
ポリアミック酸の合成
リトコール酸メチル(3,5−ジアミノベンゾエート)7.02g、パラフェニレンジアミン13.0gおよび2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物30.0gを、N−メチル−2−ピロリドン450gに溶解し、60℃で6時間反応させた。次いで、反応溶液を大過剰のメタノールに注いで反応生成物を沈澱させた。その後、メタノールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させることにより、対数粘度が0.93dl/gである本発明のポリアミック酸〔これを「重合体(1a)」とする〕48.9gを得た。
実施例2
イミド化重合体の合成
重合体(1a)25.0gをN−メチル−2−ピロリドン450gに溶解し、この溶液にピリジン10.6gと無水酢酸13.6gとを添加し、115℃で4時間加熱することにより脱水閉環反応させた。次いで、反応生成液を大過剰のメタノールに注いで反応生成物を沈澱させた。その後、メタノールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させることにより、対数粘度が0.85dl/gである本発明のイミド化重合体〔これを「重合体(1b)」とする〕21.2gを得た。
実施例3
ポリアミック酸の合成
リトコール酸メチル(3,5−ジアミノベンゾエート)7.02g、パラフェニレンジアミン13.0gおよび2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物30.0gに代えて、リトコール酸ブチル(3,5−ジアミノベンゾエート)7.49g、パラフェニレンジアミン12.9gおよび2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物29.6gを用いた他は、実施例1と同様にして、対数粘度が0.84dl/gである本発明のポリアミック酸〔これを「重合体(2a)」とする〕47.6gを得た。
実施例4
イミド化重合体の合成
重合体(1a)25.0gに代えて重合体(2a)24.7gを用いた他は実施例2と同様にして、対数粘度が0.82dl/gである本発明のイミド化重合体〔これを「重合体(2b)」とする〕21.1gを得た。
実施例5
ポリアミック酸の合成
リトコール酸メチル(3,5−ジアミノベンゾエート)7.02g、パラフェニレンジアミン13.0g、および、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物30.0gに代えて、リトコール酸ペンチル(3,5−ジアミノベンゾエート)7.65g、パラフェニレンジアミン12.8gおよび2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物29.5gを用いた他は、実施例1と同様にして、対数粘度が0.88dl/gである本発明のポリアミック酸〔これを「重合体(3a)」とする〕49.8gを得た。
実施例6
イミド化重合体の合成
重合体(1a)25.0gに替えて重合体(3a)24.7gを用いた他は実施例2と同様にして、対数粘度が0.86dl/gである本発明のイミド化重合体〔これを「重合体(3b)」とする〕21.3gを得た。
実施例7
ポリアミック酸の合成
リトコール酸メチル(3,5−ジアミノベンゾエート)7.02g、パラフェニレンジアミン13.0gおよび2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物30.0gに代えて、リトコール酸ヘプタデシル(3,5−ジアミノベンゾエート)9.45g、パラフェニレンジアミン12.3gおよび2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物28.3gを用いた他は、実施例1と同様にして、対数粘度が0.79dl/gである本発明のポリアミック酸〔これを「重合体(4a)」とする〕49.9gを得た。
実施例8
イミド化重合体の合成
重合体(1a)25.0gに代えて重合体(4a)23.5gを用いた他は実施例2と同様にして、対数粘度が0.76dl/gである本発明のイミド化重合体〔これを「重合体(4b)」とする〕19.3gを得た。
実施例9
ポリアミック酸の合成
リトコール酸メチル(3,5−ジアミノベンゾエート)7.02g、パラフェニレンジアミン13.0gおよび2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物30.0gに代えて、リトコール酸ステアリル(3,5−ジアミノベンゾエート)9.59g、パラフェニレンジアミン12.2gおよび2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物28.2gを用いた他は、実施例1と同様にして、対数粘度が0.76dl/gである本発明のポリアミック酸〔これを「重合体(5a)」とする〕48.9gを得た。
実施例10
イミド化重合体の合成
重合体(1a)25.0gに代えて重合体(5a)23.5gを用いた他は実施例2と同様にして、対数粘度が0.73dl/gである本発明のイミド化重合体〔これを「重合体(5b)」とする〕19.8gを得た。
比較例1
ポリアミック酸の合成
リトコール酸メチル(3,5−ジアミノベンゾエート)7.02g、パラフェニレンジアミン13.0gおよび2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物30.0gに代えて、4,4−ジアミノジフェニルメタン19.8gおよび、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物22.4gを用いた他は、実施例1と同様にして、対数粘度が1.20dl/gであるポリアミック酸〔これを「重合体(Aa)」とする〕40.2gを得た。
比較例2
イミド化重合体の合成
重合体(1a)25.0gに代えて重合体(Aa)25.0gを用い、ピリジン10.6gと無水酢酸13.6gに代えて、ピリジン4.5gと無水酢酸5.8gを用いた他は実施例2と同様にして、対数粘度が1.20dl/gである本発明のイミド化重合体〔これを「重合体(Ab)」とする〕30.1gを得た。
比較例3
ポリアミック酸の合成
リトコール酸メチル(3,5−ジアミノベンゾエート)7.02g、パラフェニレンジアミン13.0gおよび2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物30.0gに代えて、p−フェニレンジアミン12.80gおよびピロメリト酸二無水物25.82gを使用したこと以外は実施例1と同様にして、対数粘度が1.10dl/gであるポリアミック酸〔これを「重合体(Ba)」とする。〕32.60gを得た。
比較例4
ポリアミック酸の合成
リトコール酸メチル(3,5−ジアミノベンゾエート)7.02g、パラフェニレンジアミン13.0gおよび2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物30.0gに代えて、上記式(10)で表されるジアミン5.20g、4,4−ジアミノジフェニルメタン17.8gおよび2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物22.4gを用いた他は、実施例1と同様にして、対数粘度が0.95dl/gであるポリアミック酸〔これを「重合体(Ca)」とする〕40.6gを得た。
比較例5
イミド化重合体の合成
重合体(1a)25.0gに代えて重合体(Ca)25.0gを用い、ピリジン10.6gと無水酢酸13.6gに代えて、ピリジン4.5gと無水酢酸5.8gを用いたほかは実施例2と同様にして、対数粘度が0.96dl/gであるイミド化重合体〔これを「重合体(Cb)」とする〕19.0gを得た。
実施例11
(1)液晶配向剤の調製:
実施例2で得られた重合体(1b)をγ−ブチロラクトンに溶解させて固形分濃度2.5重量%の溶液とし、この溶液を孔径1μmのフィルターで濾過して本発明の液晶配向剤を調製した。
(2)液晶表示素子の作製:
(1)厚さ1mmのガラス基板の一面に設けられたITO膜からなる透明導電膜上に、上記のようにして調製された本発明の液晶配向剤をスピンナーを用いて塗布し、180℃で1時間乾燥することにより乾燥膜厚800オングストロームの塗膜を形成した。
(2)形成された塗膜面を、ナイロン製の布を巻き付けたロールを有するラビングマシーンを用いてラビング処理を行うことにより、液晶配向膜を作製した。ここに、ラビング処理条件は、ロールの回転数500rpm、ステージの移動速度1cm/秒とした。
(3)上記のようにして液晶配向膜が形成された基板を2枚作製し、それぞれの基板の外縁部に、直径17μmの酸化アルミニウム球を含有するエポキシ樹脂系接着剤をスクリーン印刷法により塗布した後、それぞれの液晶配向膜におけるラビング方向が互いに平行となるように2枚の基板を間隙を介して対向配置し、外縁部同士を当接させて圧着して接着剤を硬化させた。
(4)基板の表面および外縁部の接着剤により区画されたセルギャップ内に、ネマティック型液晶「MLC−2001」(メルク社製)を注入充填し、次いで、注入孔をエポキシ系接着剤で封止して液晶セルを構成した。その後、液晶セルの外表面に、偏光方向が液晶配向膜のラビング方向と45度の角度をなし、かつ、互いに直交するように偏光板を貼り合わせることにより、液晶表示素子を作製した。
(5)上記のようにして作製された液晶表示素子は、液晶セルに電圧を印加および解除したときにおいて異常ドメインは認められず、液晶の配向性は良好であった。また、液晶のプレチルト角は1.5度であった。また、液晶表示素子の電圧保持率は99%であり、残像消去時間は0.4秒間ときわめて短いものであった。
実施例12〜15
重合体(1b)に代えて、重合体(2b)〜(5b)を使用したこと以外は実施例11と同様にして、液晶配向剤を調製し液晶表示素子を作製した。作製された液晶表示素子における、液晶の配向性、電圧保持率、および、残像消去時間を測定した。結果を表1に示す。
Figure 0004168442
比較例6
重合体(1b)に代えて、比較例2で得られたポリイミド(Ab)を使用したこと以外は実施例12と同様にして、液晶配向剤を調製し液晶表示素子を作製した。作製された液晶表示素子における、液晶の配向性、プレチルト角、電圧保持率、および、残像消去時間を測定した。結果を表2に示す。
比較例7
重合体(1b)に代えて、比較例3で得られた重合体(Ba)を使用したこと以外は実施例12と同様にして、液晶配向剤を調製し液晶表示素子を作製した。作製された液晶表示素子における、液晶の配向性、プレチルト角、電圧保持率、および残像消去時間を測定した。結果を表2に示す。
比較例8
重合体(1b)に代えて、比較例5で得られた重合体(Cb)を使用したこと以外は実施例12と同様にして、液晶配向剤を調製し液晶表示素子を作製した。作製された液晶表示素子における、液晶の配向性、プレチルト角、電圧保持率、および残像消去時間を測定した。結果を表2に示す。
Figure 0004168442
実施例16
ポリアミック酸の合成
テトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物112.09g(0.5モル)、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−C]フラン−1,3−ジオン157.15g(0.5モル)およびジアミン化合物としてリトコール酸メチル(3,5−ジアミノベンゾエート)52.47g(0.1モル)、パラフェニレンジアミン97.33g(0.9モル)を、N−メチル−2−ピロリドン4500gに溶解し、60℃で6時間反応させた。次いで、反応溶液を大過剰のメタノールに注いで反応生成物を沈澱させた。その後、メタノールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させることにより、対数粘度が0.64dl/g、イミド化率0%のポリアミック酸〔これを「ポリアミック酸(6a)」とする〕410gを得た。
実施例17
イミド化重合体の合成
実施例16で得られたポリアミック酸(6a)30.0gをN−メチル−2−ピロリドン570gに溶解し、この溶液にピリジン29.2gと無水酢酸30.2gとを添加し、110℃で4時間加熱することにより脱水閉環反応させた。次いで反応生成液を大過剰のメタノールに注いで反応生成物を沈澱させた。その後、メタノールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させることにより、対数粘度が0.24dl/g、イミド化率96%のイミド化重合体〔これを「イミド化重合体(6b)」とする〕28.8gを得た。
実施例18
イミド化重合体の合成
実施例16において、ジアミン化合物をリトコール酸ブチル(3,5−ジアミノベンゾエート)56.68g(0.1モル)、パラフェニレンジアミン97.33g(0.9モル)とした以外は、実施例16と同様にしてポリアミック酸〔これを「ポリアミック酸(7a)」とする〕を得、さらにこれを用いて実施例17と同様にしてイミド化反応を行い、対数粘度が0.27dl/g、イミド化率97%のイミド化重合体〔これを「イミド化重合体(7b)」とする〕27.6gを得た。
実施例19
イミド化重合体の合成
実施例16において、ジアミン化合物をリトコール酸ペンチル(3,5−ジアミノベンゾエート)58.09g(0.1モル)、パラフェニレンジアミン97.33g(0.9モル)とした以外は、実施例16と同様にしてポリアミック酸〔これを「ポリアミック酸(8a)」とする〕を得、さらにこれを用いて実施例17と同様にしてイミド化反応を行い、対数粘度が0.22dl/g、イミド化率95%のイミド化重合体〔これを「イミド化重合体(8b)」とする〕26.9gを得た。
実施例20
イミド化重合体の合成
実施例16において、ジアミン化合物をリトコール酸ヘプタデシル(3,5−ジアミノベンゾエート)74.92g(0.1モル)、パラフェニレンジアミン97.33g(0.9モル)とした以外は、実施例16と同様にしてポリアミック酸〔これを「ポリアミック酸(9a)」とする〕を得、さらにこれを用いて実施例17と同様にしてイミド化反応を行い、対数粘度が0.23dl/g、イミド化率98%のイミド化重合体〔これを「イミド化重合体(9b)」とする〕26.3gを得た。
実施例21
イミド化重合体の合成
実施例16において、ジアミン化合物をリトコール酸ステアリル(3,5−ジアミノベンゾエート)76.32g(0.1モル)、パラフェニレンジアミン97.33g(0.9モル)とした以外は、実施例16と同様にしてポリアミック酸〔これを「ポリアミック酸(10a)」とする〕を得、さらにこれを用いて実施例17と同様にしてイミド化反応を行い、対数粘度が0.24dl/g、イミド化率95%のイミド化重合体〔これを「イミド化重合体(10b)」とする〕28.1gを得た。
比較例9
イミド化重合体の合成
実施例16において、ジアミン化合物を上記式(10)で表されるジアミン41.66g(0.08モル)、パラフェニレンジアミン137.82g(0.92モル)とした以外は、実施例16と同様にしてポリアミック酸〔これを「ポリアミック酸(Da)」とする〕を得、さらにこれを用いて実施例17と同様にしてイミド化反応を行い、対数粘度が0.26dl/g、イミド化率96%のイミド化重合体〔これを「イミド化重合体(Db)」とする〕27.1gを得た。
比較例10
イミド化重合体の合成
実施例16において、ジアミン化合物をパラフェニレンジアミン108.14g(1.0モル)とした以外は、実施例16と同様にしてポリアミック酸〔これを「ポリアミック酸(Ea)」とする〕を得、さらにこれを用いて実施例17と同様にしてイミド化反応を行い、対数粘度が0.41dl/g、イミド化率97%のイミド化重合体〔これを「イミド化重合体(Eb)」とする〕26.7gを得た。
参考合成例
ポリアミック酸の合成
実施例16において、テトラカルボン酸二無水物をピロメリット酸無水物109.06g(0.5モル)およびシクロブタンテトラカルボン酸二無水物98.06g(0.5モル)とし、ジアミンを4,4−ジアミノジフェニルメタン198.27g(1.0モル)とした以外は、実施例16と同様にして対数粘度が2.41dl/g、イミド化率0%のポリアミック酸〔これを「ポリアミック酸(Za)」とする〕を得た。
実施例22
実施例17で得られたイミド化重合体(6b)と上記参考合成例で得られたポリアミック酸(Za)を、イミド化重合体:ポリアミック酸=1:4(重量比)となるような割合でN−メチル−2−ピロリドン/ブチルセロソルブ/γ−ブチロラクトン(1/1/8)混合溶媒に溶解させて固形分濃度4重量%の溶液とし、この溶液を孔径1μmのフィルターを用いて濾過し、液晶配向剤を調製した。上記液晶配向剤を、スピンナーを用いてITO膜からなる透明電極付きガラス基板の透明電極面に塗布し、200℃のホットプレート上で10分間乾燥し、乾燥平均膜厚600オングストロームの塗膜を形成した。この塗膜にレーヨン製の布を巻き付けたロールを有するラビングマシーンにより、ロールの回転数400rpm、ステージの移動速度3cm/秒、毛足押し込み長さ0.4mmでラビング処理を行った。上記配向膜塗布基板を、イソプロピルアルコール中に1分間浸漬した後、双方の基板を100℃のホットプレート上で5分間乾燥した。次に、一対のラビング処理された基板の液晶配向膜を有するそれぞれの外縁に、直径5.5μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤を塗布した後、液晶配向膜面が相対し、且つ、ラビング方向が90°ねじれた状態で重ね合わせて圧着し、接着剤を硬化させた。次いで、液晶注入口より一対の基板間に、ネマティック型液晶(メルク社製、MLC−6221−000(S010))を充填した後、アクリル系光硬化接着剤で液晶注入口を封止し、基板の外側の両面に偏光板を張り合わせ、液晶表示素子を作製した。残留DC電圧は400mVと低い値を示し、信頼性試験後、コントラストムラ、表示欠損は見られなかった。これらの結果を表3に示す。
実施例23〜26
実施例18〜21で得られたイミド化重合体を用いること以外は、実施例22と同様にして液晶表示素子を作製した。結果を表3に示す。
Figure 0004168442
比較例11〜12
比較例9、10で得られたイミド化重合体を用いること以外は、実施例22と同様にして液晶表示素子を作製した。結果を表4に示す。
Figure 0004168442
以上のように、本発明によれば、新規のジアミン化合物と、それから得られる、液晶配向剤に好ましく用いられるポリアミック酸およびイミド化重合体を提供することができる。
本発明の液晶配向剤により形成される液晶配向膜は、TN型液晶表示素子、STN型液晶表示素子、垂直配向型液晶表示素子など種々の液晶表示素子を構成するために好適に使用することができる。また、当該液晶配向膜を備えた液晶表示素子は、液晶の配向性および信頼性にも優れ、種々の装置に有効に使用することができ、例えば卓上計算機、腕時計、置時計、計数表示板、ワードプロセッサ、パーソナルコンピュータ、液晶テレビなどの表示装置として好適に用いることができる。

Claims (8)

  1. リトコール酸メチル(3,5−ジアミノベンゾエート)、リトコール酸エチル(3,5−ジアミノベンゾエート)、リトコール酸プロピル(3,5−ジアミノベンゾエート)、リトコール酸ブチル(3,5−ジアミノベンゾエート)、リトコール酸ペンチル(3,5−ジアミノベンゾエート)、リトコール酸ヘキシル(3,5−ジアミノベンゾエート)、リトコール酸シクロヘキシル(3,5−ジアミノベンゾエート)、リトコール酸セチル(3,5−ジアミノベンゾエート)、リトコール酸ヘプタデシル(3,5−ジアミノベンゾエート)およびリトコール酸ステアリル(3,5−ジアミノベンゾエート)よりなる群から選ばれる少なくとも1種のジアミン化合物。
  2. 請求項1記載のジアミン化合物の少なくとも1種と、下記式(III)
    Figure 0004168442
    ここで、Gは4価の有機基である、
    で表されるテトラカルボン酸二無水物の少なくとも1種の反応生成物であるポリアミック酸。
  3. 請求項記載のポリアミック酸を脱水閉環させて得られるイミド化重合体。
  4. 請求項記載のポリアミック酸および請求項記載のイミド化重合体よりなる群から選ばれる少なくとも一種を含有してなる液晶配向剤。
  5. 下記式(XI)〜(XII)
    Figure 0004168442
    ここで、Dは請求項1記載のジアミン化合物から2つのアミノ基を除去した残基である
    のそれぞれで表される繰り返し単位よりなる群から選ばれる少なくとも一種を有する重合体を含有してなる液晶配向剤。
  6. さらに、上記式(XI)〜(XII)のいずれかで表される繰り返し単位を有しないポリアミック酸および/またはイミド化重合体を含有する、請求項記載の液晶配向剤。
  7. 上記式(XII)で表される繰返し単位で表される繰り返し単位を有する重合体と、上記式(XI)〜(XII)のいずれかで表される繰り返し単位を有しないポリアミック酸とを含有する、請求項記載の液晶配向剤。
  8. 請求項乃至のいずれかに記載の液晶配向剤から形成された液晶配向膜を具備する液晶表示素子。
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