JPWO2011048883A1 - ステアリング装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】車両の衝突時に運転者の膝28を保護できる構造を、低コストで実現する。【解決手段】ステアリングコラム9の前端部に結合固定した、電動式パワーアシスト機構20を構成するハウジング21の下端部の後下方に、傾斜板30を配置する。車両の衝突時に、運転者の膝28に押されて前方に移動する車両装備品29を、傾斜板30の下面に衝突させる。これにより、衝突時に傾斜板30の弾性もしくは変形に基づいて衝突エネルギーを吸収するとともに、衝突後も、車両装備品29の傾斜板30の下面に沿う方向の移動を可能にする。【選択図】図1

Description

本発明は、車両の操舵輪に舵角を付与するために使用するステアリング装置、特に、車両の衝突時に運転者の膝を保護できる構造を備えるステアリング装置に関する。
自動車用のステアリング装置は、たとえば図9に示すように、ステアリングホイール1と、ステアリングホイール1の操作に基づいて回転するステアリングシャフト2と、この回転を伝達するための第一の自在継手3と中間シャフト4と第二の自在継手5と、これらを介して回転が伝達されるステアリングギヤユニット6とから基本的に構成される。ステアリングギヤユニット6は、前記回転が伝達される入力軸7と、入力軸7の回転に伴って押し引きされ、操舵輪に舵角を付与する、左右1対のタイロッド8とにより構成される。
図10〜13は、このような自動車用ステアリング装置のうち、コラムタイプの電動式パワーステアリング装置の従来構造の1例を示している。後端部にステアリングホイール1を装着したステアリングシャフト2は、ステアリングコラム9の内側に回転自在に支持されている。ステアリングコラム9の前端部は、横軸10により、車体11に対し揺動自在に支持されている。一方、ステアリングコラム9の中間部は、ダッシュボードの下側などにおいて、車体11に対し、クランプ機構12を介して支持されている。なお、本明細書における前後関係は、車両の進行方向における前後により定義される。すなわち、図1、2、4、7、8、10、および11における、左側が「前側」となり、右側が「後側」となる。
クランプ機構12は、車体11に支持した支持ブラケット13を構成する左右1対の挟持板部14と、ステアリングコラム9の中間部上面で、両挟持板部14に挟まれる部分に固定された昇降ブラケット15と、両挟持板部14に形成された上下方向に長い1対の長孔16および昇降ブラケット15に形成された1対の通孔17に挿通したチルトボルト18と、チルトボルト18の先端寄り部分にその基端部を連結したチルトレバー19とを備える。そして、チルトレバー19を操作することにより、ステアリングホイール1の高さ位置を調節自在としている。
すなわち、ステアリングホイール1の高さ位置を調節する場合には、チルトレバー19を所定方向に回動させることにより、両挟持板部14が昇降ブラケット15を挟持する力(クランプ力)を解除する。そして、この状態で、チルトボルト18を両長孔16に沿って移動させつつ、ステアリングコラム9を揺動させることに基づき、ステアリングホイール1を所望の高さ位置に移動させる。そして、この高さ位置で、チルトレバー19を前記所定方向と逆方向に回動させることにより、前記クランプ力を高める。これにより、ステアリングコラム9の揺動を不能にして、ステアリングホイール1を調節後の高さ位置に固定する。
また、ステアリングコラム9の前端部には、コラムタイプの電動式パワーアシスト機構20を組み付けている。電動式パワーアシスト機構20は、ステアリングコラム9の前端部に結合した、結合部材であるハウジング21を備える。また、ハウジング21の前部を構成する大径の主部22の上部側面に、電動モータ23を支持している。また、ハウジング21の主部22の内側に、電動モータ23の出力軸の回転を減速してステアリングシャフト2に伝達する、図示しないウォーム減速機を収納している。また、ハウジング21の後部を構成する小径の副部24の内側に、ステアリングホイール1からステアリングシャフト2に加えられるトルクの方向および大きさを検出する、図示しないトルクセンサを収納している。また、ハウジング21の副部24の下部に一体形成された大略矩形の筐部25の内側に、前記トルクセンサ用の図示しない回路基板を収納している。なお、筐部25の下面には、前記回路基板などを出し入れするための図示しない開口部が設けられているが、図示の状態でこの開口部は、筐部25の下面に固定した矩形平板状の蓋体26により塞いでいる。蓋体26は、筐部25の下面に対し、四隅をボルト27によりそれぞれ固定されている。また、電動式パワーアシスト機構20は、前記トルクセンサの検出信号と、車速を表す信号とに基づいて、電動モータ23への通電を制御する、図示しない制御器を備える。
操舵輪に舵角を付与するため、ステアリングホイール1の操作に基づいてステアリングシャフト2が回転すると、前記トルクセンサが、ステアリングホイール1からステアリングシャフト2に加えられたトルクの方向および大きさを検出し、その検出信号を前記制御器に送る。この検出信号に基づいて、制御器は、電動モータ23に通電して、前記ウォーム減速機を介してステアリングシャフト2を、ステアリングホイール1の操作に基づく回転方向と同方向に回転させる。この結果、ステアリングシャフト2は、ステアリングホイール1から加えられたトルクよりも大きなトルクで回転する。
ところで、自動車が衝突してしまったような場合に、運転者の身体は、慣性によって、図10に矢印Xで示すように前方に移動する。この際、運転者の膝28は、前方に配置されたヒューズボックスなどの車両装備品29に衝突し、この車両装備品29を、図11に矢印Yで示すように前方に押し出す可能性がある。ところが、図示したようなコラムタイプの電動式ステアリング装置の場合、車両装備品29の前方には、少しの距離を隔てて、電動式パワーアシスト機構20を構成するハウジング21の下端部が、ステアリングコラム9の前端部の下面よりも下方に突出した状態で存在する。このため、車両装備品29は、前記少しの距離だけ前方に移動した後、ハウジング21の下端部に衝突する可能性がある。この結果、車両装備品29の移動が突然停止し、運転者の膝28に大きな衝撃が加わるなどの、好ましくない事態を招く可能性がある。
これに対して、たとえば、特許文献1に記載されているように、運転者の膝の前方にエアバッグ装置を設置することにより、自動車の衝突時に膝を保護することが考えられる。ただし、この発明の場合には、エアバッグ装置が高価であるため、大幅なコストの上昇が避けられない。
特開2008−13148号公報
本発明は、上述のような事情に鑑み、ステアリング装置において、自動車の衝突時に運転者の膝を保護できる構造を、低コストに実現することを目的とするものである。
本発明のステアリング装置は、車体に支持されるステアリングコラムと、このステアリングコラムを車体に支持した状態で、このステアリングコラムの前端部に結合固定されて、その下端部をこのステアリングコラムの前端部の下面よりも下方に突出させている結合部材とを備える。
特に、本発明のステアリング装置においては、この結合部材の下端部で前記ステアリングコラムの前端部の下面よりも下方に突出した部分の後下方に、前方に向かう程下方に向かう方向に傾斜した傾斜板を、この突出した部分の少なくとも幅方向中央部を覆う状態で配置している。なお、幅方向とは、車両の幅方向を意味する。
前記傾斜板は、前記ステアリングコラムまたは前記結合部材に対して、直接または他の部材を介して結合固定された付属部品の一部により構成することができる。
また、前記付属部品を、鋼、ステンレス鋼、その他の合金鋼製の鋼板またはばね鋼板、合成樹脂板、ゴム板などからなる、弾性を有する1枚の板から構成することができる。
好ましくは、前記付属部品を、前記傾斜板の下面に押圧力を加えることによって、水平面に対するこの傾斜板の傾斜角度を所定量だけ減少させることができるように構成する。これにより、この傾斜角度を減少させつつ、前記傾斜板自身が変形することにより、前記押圧力のエネルギーを吸収することができる。
具体的には、たとえば、前記付属部品を、前記ステアリングコラムまたは前記結合部材に固定される固定部と、前記傾斜板と、これら固定部と傾斜板とを接続する断面円弧状の屈曲部とから構成することができる。
なお、前記付属部品の前記固定部に、前記ステアリングコラムまたは前記結合部材に形成された開口部を塞ぐ蓋としての機能をあわせ持たせることもできる。
また、好ましくは、前記傾斜板の上面と、前記結合部材の下端部で前記ステアリングコラムの前端部の下面よりも下方に突出した部分の下面との、互いに対向する両面同士の間隔のうち、最も間隔が小さくなった部分に、隙間が設けられるように、前記付属部品を構成する。
さらに、前記傾斜板の上面と、前記結合部材の下端部で前記ステアリングコラムの前端部の下面よりも下方に突出した部分の下面との、互いに対向する両面同士の間隔を、前記傾斜板の中間部分で最も小さくなるように、前記付属部品を構成することが、より好ましい。
なお、本発明は、ピニオンタイプおよびラックタイプを含む電動式パワーステアリング装置、その他のステアリング装置に対しても、ステアリングコラムの近傍においてステアリングシャフトの中心上に電子制御部品やセンサ類などが設けられている場合に広く適用されるが、特に、前記結合部材が電動式パワーアシスト機構を構成するハウジングとなる、コラムタイプの電動式パワーステアリング装置に好適に適用される。
上述のように構成する本発明のステアリング装置の場合、車両の衝突時、運転者の膝によって前方に押し出されたヒューズボックスなどの車両装備品は、この車両装備品の前方に存在する傾斜板の下面に衝突することにより、この傾斜板の下面に沿う方向(前方に向かう程下方に向かう方向)への移動を円滑に促される。また、この際に、衝突の前後で車両装備品の移動方向が変化することに基づいて、前記車両装備品から前記傾斜板の下面に加わった押圧力のエネルギーに等しい、膝への衝撃エネルギーが吸収される。このように本発明の場合には、車両装備品が傾斜板の下面に衝突することに伴って、膝への衝撃エネルギーが吸収されるとともに、この衝突によって車両装備品の移動が突然停止することがないため、この衝突に伴って運転者の膝に大きな衝撃が加わることはない。したがって、本例の場合には、車両の衝突時に膝を保護できる。
しかも、本発明の場合、このような効果を得るために使用する傾斜板は、膝用のエアバッグ装置に比べて十分に安価である。したがって、本発明の場合には、上述のような膝を保護できる構造を、低コストで実現できる。
また、前記傾斜板を備えた前記付属部品を、弾性を有する1枚の板から構成することにより、傾斜板自身の弾性変形によって、運転者の膝に加わる衝撃エネルギーを低減する効果を高める上で有利になるとともに、製造コストを抑えることができる。
さらに、前記付属部品を、前記傾斜板の下面に加わる押圧力のエネルギーを吸収できるものとすれば、運転者の膝に加わる衝撃エネルギーを低減する効果を高めることができる。特に、前記付属部品を、固定部と、傾斜板と、屈曲部とから構成すれば、傾斜板に加わった衝撃(押圧力のエネルギー)が固定部にまで伝達されることを有効に防止できて、この固定部を固定した部材(ステアリングコラムや結合部材)への影響を小さく抑えられる。
また、前記傾斜板の上面と前記結合部材の下面との間隔が最も小さくなった部分を当接させずに隙間を設ければ、この隙間を利用して傾斜板の傾斜角度を変化させることが可能になるなど、膝への衝撃エネルギーを低減する効果を高める上で有利である。
さらに、前記傾斜板の上面と前記結合部材の下面との間隔を、この傾斜板の中間部分で最も小さくすれば、この傾斜板のうちでこの中間部分よりも前側部分によって、前記結合部材の下端部をより全体的に覆えるため、前記車両装備品が前記結合部材に直接ぶつかることを有効に防止しつつ、この車両装備品を前記傾斜板の下面に沿ってスムースに移動させることができる。
なお、たとえばコラムタイプの電動パワースステアリング装置の場合、結合部材の一部である電動式パワーアシスト機構のハウジングのうち、前記筺部にトルクセンサ用の回路基板などが出し入れできるように開口部が設けられているが、その蓋の機能を前記付属部品の固定部にあわせ持たせることで、部品点数の削減による低コスト化も図れる。
図1は、本発明の実施の形態の第1例を示す側面図である。 図2は、図1の要部を拡大して示す図である。 図3は、図2のI−I拡大断面図である。 図4は、本発明の実施の形態の第2例を示す、図2と同様の図である。 図5は、一部を省略して示す、図4のII−II断面図である。 図6は、本発明の実施の形態の第3例を示す、図3と同様の図である。 図7は、本発明の実施の形態の第4例を示す、図2と同様の図である。 図8は、本発明の実施の形態の第5例を示す、図2と同様の図である。 図9は、ステアリング装置の基本構造を示す斜視図である。 図10は、本発明の対象となるステアリング装置の従来構造の1例を示す側面図である。 図11は、図10の要部を拡大して示す図である。 図12は、図11のIII−III断面図である。 図13は、図11のIV−IV断面図である。
[実施の形態の第1例]
図1〜3は、本発明をコラムタイプの電動式パワーステアリング装置に適用した場合の実施の形態の第1例を示している。なお、本例の特徴は、ステアリングコラム9の前端部に結合固定した、結合部材である、電動式パワーアシスト機構20を構成するハウジング21の下端部周辺部分の構造にある。その他の部分の構造および作用は、前述の図10〜13に示した従来構造の場合と同様であるため、同等部分には同一符号を付して重複する図示ならびに説明は省略もしくは簡略にし、以下、本例の特徴部分を中心に説明する。
前記ステアリングコラム9の前端部の下面よりも下方に突出した、前記ハウジング21の下端部の後下方(前方から見た状態での背後部分)に、前方に向かう程下方に向かう方向に傾斜した、矩形平板状で鋼板製の傾斜板30を配置している。この傾斜板30は、前記ハウジング21の筐部25の下面に設けた図示しない開口部を塞いでいる矩形平板状の蓋体26に対して、一体に形成している。すなわち、これら傾斜板30および蓋体26を含んで全体を一体に形成した付属部品31は、鋼板製で、この蓋体26の後端縁の幅方向(図3の左右方向)中間部に対して前記傾斜板30の後端縁を、幅方向に関して断面円弧形である湾曲板部32を介して連結している。すなわち、前記付属部品31は、弾性金属板である1枚の鋼板に曲げ加工などを施すことにより全体を一体に構成されており、前記ハウジング21の筐部25の下面に固定されて前記開口部を塞ぐ固定部である蓋体26と、傾斜板30と、これら蓋体26と傾斜板30との間部分に設けられた屈曲部である湾曲板部32とを備える。
また、図示の自由状態で、水平面に対する前記傾斜板30の傾斜角度を、同じく前記蓋体26(および前記ステアリングコラム9)の傾斜角度よりも大きくしている。このために図示の例では、この蓋体26に対する前記傾斜板30の傾斜角度θを、25度程度としている。なお、この傾斜角度θは、ハウジング21の形状、構成、ステアリングコラム9や車両装備品29などとの位置関係により任意に決定することができる。
また、同じ状態で、前記傾斜板30の上面と前記ハウジング21の下端部の下面との間隔を、この傾斜板30の前端縁部分で最も小さくしており、この部分に隙間を設けている。具体的には、この傾斜板30の前端縁は、この前端縁が対向する、前記ハウジング21の前部を構成する主部22の肩部34に当接させておらず、この肩部34に小さい隙間(間隔T)を介して近接対向させている。
上述のように構成する本例のステアリング装置を備えた自動車において、その衝突時には、運転者の身体は、慣性によって、図1に矢印Xで示すように前方に移動する。この際、運転者の膝28は、前方に配置されたヒューズボックスなどの車両装備品29に衝突し、この車両装備品29を、図2に矢印Yで示すように前方に押し出す可能性がある。車両装備品29が前方に押し出された場合、車両装備品29は、この車両装備品29の前方に存在する傾斜板30の下面に衝突することにより、図2に矢印Zで示す方向、すなわち、前記傾斜板30の下面に沿う方向への移動を円滑に促される。
なお、本例の場合には、上述のように車両装備品29が傾斜板30の下面に衝突すると、まず、この傾斜板30の前端縁がハウジング21の主部22の肩部34に当接するまでの間は、前記湾曲板部32が弾性変形(あるいは塑性変形)し、この傾斜板30の傾斜角度θが弾性的に(あるいは塑性変形により)減少することに基づいて、膝28への衝撃エネルギー(前記車両装備品29から前記傾斜板30の下面に加わった押圧力のエネルギーに等しい)が吸収される。また、前記傾斜板30の前端縁が前記ハウジング21の主部22の肩部34に当接した後も、この傾斜板30が少しだけ弾性的に(あるいは塑性変形により)湾曲することに基づいて、膝28への衝撃エネルギーが吸収される。また、これとほぼ同時に、前記車両装備品29の移動方向が、前記傾斜板30の下面に沿う方向に滑らかに変化することに基づいて、膝28への衝撃エネルギーが吸収される(膝28に加わる衝撃が緩和される)。
さらに、前記湾曲板部32が弾性変形(あるいは塑性変形)することによって、前記傾斜板30の下面に加わった衝撃(押圧力のエネルギー)が前記蓋体26にまで伝達されることを阻止できるため、この蓋体26が固定された前記ハウジング21が損傷することも有効に防止できる(ハウジング21への影響を小さく抑えることができる)。
なお、上述した第1例では、自由状態での、前記傾斜板30の前端縁と前記ハウジング21の主部22の肩部34との間隔T(図2)を小さくしたが、同じ状態での、前記傾斜板30の傾斜角度θを大きくすることによって前記間隔Tを大きくすれば、その分だけ、この傾斜板30の傾斜角度θを弾性的に減少させることに基づく、膝28に加わる衝撃エネルギーを吸収する効果を増大させることができる。また、上述の通り、この傾斜角度θは任意に決定されるものであるが、最大で60度程度まで、好ましくは30〜45度程度まで設定することができる。
また、付属部品31は、上述の鋼板製に限らず、たとえば、ステンレス鋼からなるばね鋼板などの弾性金属製とすることもできる。また、ステアリングコラムや結合部材への固定部と、傾斜板の傾斜角度を変化させうる屈曲部を備えている限り、弾性の有無によっては素材については限定されることはない。たとえば、下面に衝突した車両装備品の移動方向を、この下面に沿う方向に円滑に変えられるといった効果がさまたげられない限り、アルミニウム合金板などの他の金属板や、合成樹脂板などによって造ることもできる。ただし、アルミダイカストで前記付属部品を造ると、高価になるとともに、前記車両装備品が衝突した場合に変形せず、衝突のエネルギーを吸収する効果を得るのが難しくなるため、好ましくない。また、前記効果が得られやすくなるように、前記傾斜板の下面に、ポリアミド樹脂、ポリ四弗化エチレン樹脂のような低摩擦の合成樹脂をコーティングするなどの表面処理を施してもよい。さらに、これらの素材を用いた複数の部材を組み合わせた構成を採ることもできる。また、傾斜板30は、平板形状(平面状)のみならず、車両装備品との衝突による衝撃を吸収して、衝突時における運転者の膝の障害をより効果的に防止するようにしてもよい。
さらに、第1例では、前記結合部材として、電動式パワーアシスト機構20を構成するハウジング21を示したが、この他に、VGRS(ギヤ比可変ステアリング)などの操舵比可変装置の一部や、VSC(ビークル・スタビリティ・コントロール)などの姿勢制御装置の一部を採用することもできる。なお、筺部25の開口部を別の箇所に設け、固定部36に蓋としての機能を持たせることなく、結合部材に取り付けることもできる。また、傾斜板30を備えた付属部品31は、結合部材ではなく、ステアリングコラム9に直接取り付けることも可能である。なお、図示の例では、蓋部の機能を持たせているため、ボルト止めがなされているが、取り外す必要がない場合には、溶接などの他の取り付けおよび固定手段を用いて直接またはバンドなどの固定部材により間接的に固定することもできる。
[実施の形態の第2例]
図4〜5は、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合には、付属部品31aを構成する傾斜板30の中間部の幅方向(図5の左右方向)両側縁から1対の側板33を、それぞれ前記付属部品31aを構成する蓋体26に向け延出する状態で一体形成するとともに、これら両側板33の上端縁をこの蓋体26の下面に当接させている。そして、このような構成を採用することにより、傾斜板30の下面に車両装備品29が衝突する際の、この傾斜板30の変形抵抗を大きくしている。すなわち、この傾斜板30の下面に車両装備品29が衝突することによって生じる、傾斜板30の変形は、それが少量の弾性変形(あるいは塑性変形)に止まる分には、問題を生じることはなく、むしろ、膝28への衝撃エネルギーを吸収できる点で好ましいといえる。ただし、当該変形が過度に大きくなると、前方に移動した車両装備品が、たとえばハウジング21の主部22と筺部25との間に嵌り込み、衝突後の車両装備品29の移動が阻害され、膝28に大きな衝撃が加わる可能性がある。したがって、本例の場合には、このような可能性をより低く抑えるべく、上述のように傾斜板30の変形抵抗を大きくしている。
なお、本例の構造を実施する場合には、両側板33の形状(たとえば、平板形状、曲板形状、蛇腹形状などの別)、寸法(幅寸法、厚さ寸法)、および傾斜板30に対する傾斜角度などを変えることによって、この傾斜板30の変形抵抗を調整できる。さらには、両側板33を、V字型に形成したり、孔加工、リブを施して変形抵抗をチューニングすることもできる。
これにより、上述のような不具合の発生を防止しつつ、衝突時に少しだけ弾性変形もしくは塑性変形させて、衝撃エネルギーの吸収効果を適切に得られるようにすることができる。
また、本例の場合には、自由状態で、両側板33の上端縁を蓋体26の下面に当接させるとともに、傾斜板30の前端縁をハウジング21の主部22の下端縁(図示の例では肩部34)に当接させているが、これら各当接箇所には、それぞれ隙間を設けることもできる。このような隙間を設ければ、上述した第1例の場合と同様、当該隙間がなくなるまでの間は、前記傾斜板30の傾斜角度θを弾性的に(あるいは塑性変形により)減少させることに基づく、衝撃エネルギーの吸収効果を得られる。その他の構成および作用は、上述した第1例の場合と同様である。
なお、傾斜板30の変形抵抗を大きくする他の方法としては、この傾斜板30の厚さを増大させる方法がある。このような方法を採用すれば、上述した第1例の構造のように、前記1対の側板33を備えていない構造の場合でも、上述したように、傾斜板30が過度に変形する可能性を低くできる。
[実施の形態の第3例]
図6は、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例の場合には、付属部品31b全体(蓋体26a、傾斜板30a、湾曲板部32a)の幅寸法(図6の左右方向寸法)を広げることにより、図示の方向から見た場合に、前記傾斜板30aによって、ハウジング21の主部22の下端部全体を、後方から見た状態で覆い隠せるようにしている。これにより、車両装備品29(図1〜2参照)が前記主部22の下端部にぶつかることを確実に防止できるようにしている。その他の構成および作用は、前述の図1〜2に示した第1例の場合と同様である。
[実施の形態の第4例]
図7は、本発明の実施の形態の第4例を示している。本例の場合には、付属部品31cを構成する傾斜板30bの前端縁を、長さL分だけ前方に延長して、この傾斜板30bの前端部に延長部35を設けている。これにより、本例の場合には、この傾斜板30bの前端縁を、前記ハウジング21の前部を構成する主部22の肩部34よりも前方に位置させている。また、付属部品31cの自由状態で、傾斜板30bの上面とハウジング21の下端部の下面との間隔を、この傾斜板30bの中間部分で最も小さくして、当該部分に小さい隙間(間隔T)を設けている。
このような構成を有する本例の場合には、傾斜板30bの延長部35によって、ハウジング21の下端部のうち主部22の肩部34よりも前側部分を、全体的に覆うことができる。このため、車両装備品29(図1〜2参照)がハウジング21に直接ぶつかることを有効に防止しつつ、この車両装備品29を傾斜板30bの下面に沿ってスムースに移動させることができる。したがって、運転者の膝28(図1〜2参照)に大きな衝撃が加わることを有効に防止できる。その他の構成および作用は、前述の図1〜2に示した第1例の場合と同様である。
[実施の形態の第5例]
図8は、本発明の実施の形態の第5例を示している。本例の場合にも、付属部品31dを、弾性金属板である1枚の鋼板に曲げ加工などを施すことにより、全体を一体に構成している。このような付属部品31dは、ハウジング21の副部24の下面にボルト27aにより固定した固定部36と、傾斜板30cと、これら固定部36と傾斜板30cとの間部分に設けられた屈曲部37とを備える。特に本例の場合には、傾斜板30cの後端縁と固定部36の前端縁とを屈曲部37を介して連結しており、自由状態での固定部36に対する傾斜板30cの傾斜角度θを鈍角としている。このような本例の場合には、この傾斜板30cの下面に車両装備品29(図1〜2参照)が衝突した際に、前記傾斜角度θが増大する(反対に水平面に対する傾斜角度は減少する)。このように、屈曲部37の構造は、固定部36に対する傾斜板30cの傾斜角度を変化させるものであれば、任意のものが採用できる。また、たとえば、固定部36が取り付けられる相手部材がステアリングシャフトの軸に対して傾斜しているような場合で、固定部と傾斜板の間に角度を設ける必要がない場合には、この付属部品を1枚のたとえば弾性を有する板により構成することもできる。さらには、この構成においても、付属部品31dの固定部36を、ハウジング21の副部24の代わりにステアリングコラム9に固定することも可能である。
なお、本例における付属部品31dの固定部36は、開口部を塞ぐための蓋としての機能は有さず、単に付属部品31dをハウジング21に対して固定する機能のみを有する。したがって、このハウジング21に開口部が設けられる場合には、この開口部を塞ぐ蓋(蓋体)を別途設ける。また、本例の場合にも、付属部品31dの自由状態で、傾斜板30cの上面と前記ハウジング21の下面との間隔を、この傾斜板30cの前端縁部分で最も小さくしており、当該部分に隙間を設けている。具体的には、この傾斜板30cの前端縁を、前記ハウジング21の前部を構成する主部22の肩部34に、小さい隙間(間隔T)を介して近接対向させている。
以上のような構成を有する本例の場合にも、車両装備品29(図1〜2参照)が傾斜板30cの下面に衝突すると、まず、この傾斜板30cの前端縁が主部22の肩部34に当接するまでの間は、屈曲部37が弾性変形(あるいは塑性変形)し、傾斜板30cの傾斜角度θが弾性的に(あるいは塑性変形により)増大することに基づいて、膝28への衝撃エネルギーが吸収される。また、この傾斜板30cの前端縁が主部22の肩部34に当接した後も、この傾斜板30cが少しだけ弾性的に(あるいは塑性変形により)湾曲することに基づいて、膝28への衝撃エネルギーが吸収される。また、これとほぼ同時に、車両装備品29の移動方向が、前記傾斜板30cの下面に沿う方向に滑らかに変化することに基づいて、膝28への衝撃エネルギーが吸収される(膝28に加わる衝撃が緩和される)。
さらに、本例の場合には、固定部36と傾斜板30cとの傾斜角度θを鈍角としており、この固定部36がこの傾斜板30cによって覆われていないため、この固定部36を前記ハウジング21に固定する作業を容易に行えるという効果も有する。その他の構成および作用は、前述の図1〜3に示した第1例の場合と同様である。
なお、本発明を実施する場合に、ステアリングコラムの周辺に存在する部材のうち、前記傾斜板によって覆い切れない箇所で、かつ、前記車両装備品が衝突する可能性のある箇所には、滑らかな角度を付けることにより、当該箇所に前記車両装備品が衝突した場合にも、この車両装備品の前方への移動を妨げることがないようにすれば、パッケージング、コスト、および機能(安全性)の各面において、有利な効果を得られる。
また、上述した各実施の形態の構造の場合には、電動式パワーアシスト機構20を構成する電動モータ23と、クランプ機構12を構成する昇降ブラケット15とが、それぞれステアリングシャフト2よりも上方に位置しているため、車両の衝突時に、これら電動モータ23やクランプ機構12が、運転者の膝28がぶつかりにくくなっており、この膝28を保護する面から好ましい。このように、本発明を実施する場合には、ステアリングコラムの周辺に存在する部材の構成配置を好適なものとすることより、本発明の効果を最適なものとすることができる。
1 ステアリングホイール
2 ステアリングシャフト
3 第一の自在継手
4 中間シャフト
5 第二の自在継手
6 ステアリングギヤユニット
7 入力軸
8 タイロッド
9 ステアリングコラム
10 横軸
11 車体
12 クランプ機構
13 支持ブラケット
14 挟持板部
15 昇降ブラケット
16 長孔
17 通孔
18 チルトボルト
19 チルトレバー
20 電動式パワーアシスト機構
21 ハウジング
22 主部
23 電動モータ
24 副部
25 筐部
26、26a 蓋体
27 ボルト
28 膝
29 車両装備品
30、30a、30b、30c 傾斜板
31、31a、31b、31c、31d 付属部品
32、32a 湾曲板部
33 側板
34 肩部
35 延長部
36 固定部
37 屈曲部
本発明は、車両の操舵輪に舵角を付与するために使用するステアリング装置、特に、車両の衝突時に運転者の膝を保護できる構造を備えるステアリング装置に関する。
自動車用のステアリング装置は、たとえば図9に示すように、ステアリングホイール1と、ステアリングホイール1の操作に基づいて回転するステアリングシャフト2と、この回転を伝達するための第一の自在継手3と中間シャフト4と第二の自在継手5と、これらを介して回転が伝達されるステアリングギヤユニット6とから基本的に構成される。ステアリングギヤユニット6は、前記回転が伝達される入力軸7と、入力軸7の回転に伴って押し引きされ、操舵輪に舵角を付与する、左右1対のタイロッド8とにより構成される。
図10〜13は、このような自動車用ステアリング装置のうち、コラムタイプの電動式パワーステアリング装置の従来構造の1例を示している。後端部にステアリングホイール1を装着したステアリングシャフト2は、ステアリングコラム9の内側に回転自在に支持されている。ステアリングコラム9の前端部は、横軸10により、車体11に対し揺動自在に支持されている。一方、ステアリングコラム9の中間部は、ダッシュボードの下側などにおいて、車体11に対し、クランプ機構12を介して支持されている。なお、本明細書における前後関係は、車両の進行方向における前後により定義される。すなわち、図1、2、4、7、8、10、および11における、左側が「前側」となり、右側が「後側」となる。
クランプ機構12は、車体11に支持した支持ブラケット13を構成する左右1対の挟持板部14と、ステアリングコラム9の中間部上面で、両挟持板部14に挟まれる部分に固定された昇降ブラケット15と、両挟持板部14に形成された上下方向に長い1対の長孔16および昇降ブラケット15に形成された1対の通孔17に挿通したチルトボルト18と、チルトボルト18の先端寄り部分にその基端部を連結したチルトレバー19とを備える。そして、チルトレバー19を操作することにより、ステアリングホイール1の高さ位置を調節自在としている。
すなわち、ステアリングホイール1の高さ位置を調節する場合には、チルトレバー19を所定方向に回動させることにより、両挟持板部14が昇降ブラケット15を挟持する力(クランプ力)を解除する。そして、この状態で、チルトボルト18を両長孔16に沿って移動させつつ、ステアリングコラム9を揺動させることに基づき、ステアリングホイール1を所望の高さ位置に移動させる。そして、この高さ位置で、チルトレバー19を前記所定方向と逆方向に回動させることにより、前記クランプ力を高める。これにより、ステアリングコラム9の揺動を不能にして、ステアリングホイール1を調節後の高さ位置に固定する。
また、ステアリングコラム9の前端部には、コラムタイプの電動式パワーアシスト機構20を組み付けている。電動式パワーアシスト機構20は、ステアリングコラム9の前端部に結合した、結合部材であるハウジング21を備える。また、ハウジング21の前部を構成する大径の主部22の上部側面に、電動モータ23を支持している。また、ハウジング21の主部22の内側に、電動モータ23の出力軸の回転を減速してステアリングシャフト2に伝達する、図示しないウォーム減速機を収納している。また、ハウジング21の後部を構成する小径の副部24の内側に、ステアリングホイール1からステアリングシャフト2に加えられるトルクの方向および大きさを検出する、図示しないトルクセンサを収納している。また、ハウジング21の副部24の下部に一体形成された大略矩形の筐部25の内側に、前記トルクセンサ用の図示しない回路基板を収納している。なお、筐部25の下面には、前記回路基板などを出し入れするための図示しない開口部が設けられているが、図示の状態でこの開口部は、筐部25の下面に固定した矩形平板状の蓋体26により塞いでいる。蓋体26は、筐部25の下面に対し、四隅をボルト27によりそれぞれ固定されている。また、電動式パワーアシスト機構20は、前記トルクセンサの検出信号と、車速を表す信号とに基づいて、電動モータ23への通電を制御する、図示しない制御器を備える。
操舵輪に舵角を付与するため、ステアリングホイール1の操作に基づいてステアリングシャフト2が回転すると、前記トルクセンサが、ステアリングホイール1からステアリングシャフト2に加えられたトルクの方向および大きさを検出し、その検出信号を前記制御器に送る。この検出信号に基づいて、制御器は、電動モータ23に通電して、前記ウォーム減速機を介してステアリングシャフト2を、ステアリングホイール1の操作に基づく回転方向と同方向に回転させる。この結果、ステアリングシャフト2は、ステアリングホイール1から加えられたトルクよりも大きなトルクで回転する。
ところで、自動車が衝突してしまったような場合に、運転者の身体は、慣性によって、図10に矢印Xで示すように前方に移動する。この際、運転者の膝28は、前方に配置されたヒューズボックスなどの車両装備品29に衝突し、この車両装備品29を、図11に矢印Yで示すように前方に押し出す可能性がある。ところが、図示したようなコラムタイプの電動式ステアリング装置の場合、車両装備品29の前方には、少しの距離を隔てて、電動式パワーアシスト機構20を構成するハウジング21の下端部が、ステアリングコラム9の前端部の下面よりも下方に突出した状態で存在する。このため、車両装備品29は、前記少しの距離だけ前方に移動した後、ハウジング21の下端部に衝突する可能性がある。この結果、車両装備品29の移動が突然停止し、運転者の膝28に大きな衝撃が加わるなどの、好ましくない事態を招く可能性がある。
これに対して、たとえば、特許文献1に記載されているように、運転者の膝の前方にエアバッグ装置を設置することにより、自動車の衝突時に膝を保護することが考えられる。ただし、この発明の場合には、エアバッグ装置が高価であるため、大幅なコストの上昇が避けられない。
特開2008−13148号公報
本発明は、上述のような事情に鑑み、ステアリング装置において、自動車の衝突時に運転者の膝を保護できる構造を、低コストに実現することを目的とするものである。
本発明のステアリング装置は、車体に支持されるステアリングコラムと、このステアリングコラムを車体に支持した状態で、このステアリングコラムの前端部に結合固定されて、その下端部をこのステアリングコラムの前端部の下面よりも下方に突出させている結合部材とを備える。
特に、本発明のステアリング装置においては、この結合部材の下端部で前記ステアリングコラムの前端部の下面よりも下方に突出した部分の後下方に、前方に向かう程下方に向かう方向に傾斜した傾斜板を、この突出した部分の少なくとも幅方向中央部を覆う状態で配置している。なお、幅方向とは、車両の幅方向を意味する。
前記傾斜板は、前記ステアリングコラムまたは前記結合部材に対して、直接または他の部材を介して結合固定された付属部品の一部により構成することができる。
また、前記付属部品を、鋼、ステンレス鋼、その他の合金鋼製の鋼板またはばね鋼板、合成樹脂板、ゴム板などからなる、弾性を有する1枚の板から構成することができる。
好ましくは、前記付属部品を、前記傾斜板の下面に押圧力を加えることによって、水平面に対するこの傾斜板の傾斜角度を所定量だけ減少させることができるように構成する。これにより、この傾斜角度を減少させつつ、前記傾斜板自身が変形することにより、前記押圧力のエネルギーを吸収することができる。
具体的には、たとえば、前記付属部品を、前記ステアリングコラムまたは前記結合部材に固定される固定部と、前記傾斜板と、これら固定部と傾斜板とを接続する断面円弧状の屈曲部とから構成することができる。
なお、前記付属部品の前記固定部に、前記ステアリングコラムまたは前記結合部材に形成された開口部を塞ぐ蓋としての機能をあわせ持たせることもできる。
また、好ましくは、前記傾斜板の上面と、前記結合部材の下端部で前記ステアリングコラムの前端部の下面よりも下方に突出した部分の下面との、互いに対向する両面同士の間隔のうち、最も間隔が小さくなった部分に、隙間が設けられるように、前記付属部品を構成する。
さらに、前記傾斜板の上面と、前記結合部材の下端部で前記ステアリングコラムの前端部の下面よりも下方に突出した部分の下面との、互いに対向する両面同士の間隔を、前記傾斜板の中間部分で最も小さくなるように、前記付属部品を構成することが、より好ましい。
なお、本発明は、ピニオンタイプおよびラックタイプを含む電動式パワーステアリング装置、その他のステアリング装置に対しても、ステアリングコラムの近傍においてステアリングシャフトの中心上に電子制御部品やセンサ類などが設けられている場合に広く適用されるが、特に、前記結合部材が電動式パワーアシスト機構を構成するハウジングとなる、コラムタイプの電動式パワーステアリング装置に好適に適用される。
上述のように構成する本発明のステアリング装置の場合、車両の衝突時、運転者の膝によって前方に押し出されたヒューズボックスなどの車両装備品は、この車両装備品の前方に存在する傾斜板の下面に衝突することにより、この傾斜板の下面に沿う方向(前方に向かう程下方に向かう方向)への移動を円滑に促される。また、この際に、衝突の前後で車両装備品の移動方向が変化することに基づいて、前記車両装備品から前記傾斜板の下面に加わった押圧力のエネルギーに等しい、膝への衝撃エネルギーが吸収される。このように本発明の場合には、車両装備品が傾斜板の下面に衝突することに伴って、膝への衝撃エネルギーが吸収されるとともに、この衝突によって車両装備品の移動が突然停止することがないため、この衝突に伴って運転者の膝に大きな衝撃が加わることはない。したがって、本例の場合には、車両の衝突時に膝を保護できる。
しかも、本発明の場合、このような効果を得るために使用する傾斜板は、膝用のエアバッグ装置に比べて十分に安価である。したがって、本発明の場合には、上述のような膝を保護できる構造を、低コストで実現できる。
また、前記傾斜板を備えた前記付属部品を、弾性を有する1枚の板から構成することにより、傾斜板自身の弾性変形によって、運転者の膝に加わる衝撃エネルギーを低減する効果を高める上で有利になるとともに、製造コストを抑えることができる。
さらに、前記付属部品を、前記傾斜板の下面に加わる押圧力のエネルギーを吸収できるものとすれば、運転者の膝に加わる衝撃エネルギーを低減する効果を高めることができる。特に、前記付属部品を、固定部と、傾斜板と、屈曲部とから構成すれば、傾斜板に加わった衝撃(押圧力のエネルギー)が固定部にまで伝達されることを有効に防止できて、この固定部を固定した部材(ステアリングコラムや結合部材)への影響を小さく抑えられる。
また、前記傾斜板の上面と前記結合部材の下面との間隔が最も小さくなった部分を当接させずに隙間を設ければ、この隙間を利用して傾斜板の傾斜角度を変化させることが可能になるなど、膝への衝撃エネルギーを低減する効果を高める上で有利である。
さらに、前記傾斜板の上面と前記結合部材の下面との間隔を、この傾斜板の中間部分で最も小さくすれば、この傾斜板のうちでこの中間部分よりも前側部分によって、前記結合部材の下端部をより全体的に覆えるため、前記車両装備品が前記結合部材に直接ぶつかることを有効に防止しつつ、この車両装備品を前記傾斜板の下面に沿ってスムースに移動させることができる。
なお、たとえばコラムタイプの電動パワースステアリング装置の場合、結合部材の一部である電動式パワーアシスト機構のハウジングのうち、前記筺部にトルクセンサ用の回路基板などが出し入れできるように開口部が設けられているが、その蓋の機能を前記付属部品の固定部にあわせ持たせることで、部品点数の削減による低コスト化も図れる。
図1は、本発明の実施の形態の第1例を示す側面図である。 図2は、図1の要部を拡大して示す図である。 図3は、図2のI−I拡大断面図である。 図4は、本発明の実施の形態の第2例を示す、図2と同様の図である。 図5は、一部を省略して示す、図4のII−II断面図である。 図6は、本発明の実施の形態の第3例を示す、図3と同様の図である。 図7は、本発明の実施の形態の第4例を示す、図2と同様の図である。 図8は、本発明の実施の形態の第5例を示す、図2と同様の図である。 図9は、ステアリング装置の基本構造を示す斜視図である。 図10は、本発明の対象となるステアリング装置の従来構造の1例を示す側面図である。 図11は、図10の要部を拡大して示す図である。 図12は、図11のIII−III断面図である。 図13は、図11のIV−IV断面図である。
[実施の形態の第1例]
図1〜3は、本発明をコラムタイプの電動式パワーステアリング装置に適用した場合の実施の形態の第1例を示している。なお、本例の特徴は、ステアリングコラム9の前端部に結合固定した、結合部材である、電動式パワーアシスト機構20を構成するハウジング21の下端部周辺部分の構造にある。その他の部分の構造および作用は、前述の図10〜13に示した従来構造の場合と同様であるため、同等部分には同一符号を付して重複する図示ならびに説明は省略もしくは簡略にし、以下、本例の特徴部分を中心に説明する。
前記ステアリングコラム9の前端部の下面よりも下方に突出した、前記ハウジング21の下端部の後下方(前方から見た状態での背後部分)に、前方に向かう程下方に向かう方向に傾斜した、矩形平板状で鋼板製の傾斜板30を配置している。この傾斜板30は、前記ハウジング21の筐部25の下面に設けた図示しない開口部を塞いでいる矩形平板状の蓋体26に対して、一体に形成している。すなわち、これら傾斜板30および蓋体26を含んで全体を一体に形成した付属部品31は、鋼板製で、この蓋体26の後端縁の幅方向(図3の左右方向)中間部に対して前記傾斜板30の後端縁を、幅方向に関して断面円弧形である湾曲板部32を介して連結している。すなわち、前記付属部品31は、弾性金属板である1枚の鋼板に曲げ加工などを施すことにより全体を一体に構成されており、前記ハウジング21の筐部25の下面に固定されて前記開口部を塞ぐ固定部である蓋体26と、傾斜板30と、これら蓋体26と傾斜板30との間部分に設けられた屈曲部である湾曲板部32とを備える。
また、図示の自由状態で、水平面に対する前記傾斜板30の傾斜角度を、同じく前記蓋体26(および前記ステアリングコラム9)の傾斜角度よりも大きくしている。このために図示の例では、この蓋体26に対する前記傾斜板30の傾斜角度θを、25度程度としている。なお、この傾斜角度θは、ハウジング21の形状、構成、ステアリングコラム9や車両装備品29などとの位置関係により任意に決定することができる。
また、同じ状態で、前記傾斜板30の上面と前記ハウジング21の下端部の下面との間隔を、この傾斜板30の前端縁部分で最も小さくしており、この部分に隙間を設けている。具体的には、この傾斜板30の前端縁は、この前端縁が対向する、前記ハウジング21の前部を構成する主部22の肩部34に当接させておらず、この肩部34に小さい隙間(間隔T)を介して近接対向させている。
上述のように構成する本例のステアリング装置を備えた自動車において、その衝突時には、運転者の身体は、慣性によって、図1に矢印Xで示すように前方に移動する。この際、運転者の膝28は、前方に配置されたヒューズボックスなどの車両装備品29に衝突し、この車両装備品29を、図2に矢印Yで示すように前方に押し出す可能性がある。車両装備品29が前方に押し出された場合、車両装備品29は、この車両装備品29の前方に存在する傾斜板30の下面に衝突することにより、図2に矢印Zで示す方向、すなわち、前記傾斜板30の下面に沿う方向への移動を円滑に促される。
なお、本例の場合には、上述のように車両装備品29が傾斜板30の下面に衝突すると、まず、この傾斜板30の前端縁がハウジング21の主部22の肩部34に当接するまでの間は、前記湾曲板部32が弾性変形(あるいは塑性変形)し、この傾斜板30の傾斜角度θが弾性的に(あるいは塑性変形により)減少することに基づいて、膝28への衝撃エネルギー(前記車両装備品29から前記傾斜板30の下面に加わった押圧力のエネルギーに等しい)が吸収される。また、前記傾斜板30の前端縁が前記ハウジング21の主部22の肩部34に当接した後も、この傾斜板30が少しだけ弾性的に(あるいは塑性変形により)湾曲することに基づいて、膝28への衝撃エネルギーが吸収される。また、これとほぼ同時に、前記車両装備品29の移動方向が、前記傾斜板30の下面に沿う方向に滑らかに変化することに基づいて、膝28への衝撃エネルギーが吸収される(膝28に加わる衝撃が緩和される)。
さらに、前記湾曲板部32が弾性変形(あるいは塑性変形)することによって、前記傾斜板30の下面に加わった衝撃(押圧力のエネルギー)が前記蓋体26にまで伝達されることを阻止できるため、この蓋体26が固定された前記ハウジング21が損傷することも有効に防止できる(ハウジング21への影響を小さく抑えることができる)。
なお、上述した第1例では、自由状態での、前記傾斜板30の前端縁と前記ハウジング21の主部22の肩部34との間隔T(図2)を小さくしたが、同じ状態での、前記傾斜板30の傾斜角度θを大きくすることによって前記間隔Tを大きくすれば、その分だけ、この傾斜板30の傾斜角度θを弾性的に減少させることに基づく、膝28に加わる衝撃エネルギーを吸収する効果を増大させることができる。また、上述の通り、この傾斜角度θは任意に決定されるものであるが、最大で60度程度まで、好ましくは30〜45度程度まで設定することができる。
また、付属部品31は、上述の鋼板製に限らず、たとえば、ステンレス鋼からなるばね鋼板などの弾性金属製とすることもできる。また、ステアリングコラムや結合部材への固定部と、傾斜板の傾斜角度を変化させうる屈曲部を備えている限り、弾性の有無によっては素材については限定されることはない。たとえば、下面に衝突した車両装備品の移動方向を、この下面に沿う方向に円滑に変えられるといった効果がさまたげられない限り、アルミニウム合金板などの他の金属板や、合成樹脂板などによって造ることもできる。ただし、アルミダイカストで前記付属部品を造ると、高価になるとともに、前記車両装備品が衝突した場合に変形せず、衝突のエネルギーを吸収する効果を得るのが難しくなるため、好ましくない。また、前記効果が得られやすくなるように、前記傾斜板の下面に、ポリアミド樹脂、ポリ四弗化エチレン樹脂のような低摩擦の合成樹脂をコーティングするなどの表面処理を施してもよい。さらに、これらの素材を用いた複数の部材を組み合わせた構成を採ることもできる。また、傾斜板30は、平板形状(平面状)のみならず、車両装備品との衝突による衝撃を吸収して、衝突時における運転者の膝の障害をより効果的に防止するようにしてもよい。
さらに、第1例では、前記結合部材として、電動式パワーアシスト機構20を構成するハウジング21を示したが、この他に、VGRS(ギヤ比可変ステアリング)などの操舵比可変装置の一部や、VSC(ビークル・スタビリティ・コントロール)などの姿勢制御装置の一部を採用することもできる。なお、筺部25の開口部を別の箇所に設け、固定部36に蓋としての機能を持たせることなく、結合部材に取り付けることもできる。また、傾斜板30を備えた付属部品31は、結合部材ではなく、ステアリングコラム9に直接取り付けることも可能である。なお、図示の例では、蓋部の機能を持たせているため、ボルト止めがなされているが、取り外す必要がない場合には、溶接などの他の取り付けおよび固定手段を用いて直接またはバンドなどの固定部材により間接的に固定することもできる。
[実施の形態の第2例]
図4〜5は、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合には、付属部品31aを構成する傾斜板30の中間部の幅方向(図5の左右方向)両側縁から1対の側板33を、それぞれ前記付属部品31aを構成する蓋体26に向け延出する状態で一体形成するとともに、これら両側板33の上端縁をこの蓋体26の下面に当接させている。そして、このような構成を採用することにより、傾斜板30の下面に車両装備品29が衝突する際の、この傾斜板30の変形抵抗を大きくしている。すなわち、この傾斜板30の下面に車両装備品29が衝突することによって生じる、傾斜板30の変形は、それが少量の弾性変形(あるいは塑性変形)に止まる分には、問題を生じることはなく、むしろ、膝28への衝撃エネルギーを吸収できる点で好ましいといえる。ただし、当該変形が過度に大きくなると、前方に移動した車両装備品が、たとえばハウジング21の主部22と筺部25との間に嵌り込み、衝突後の車両装備品29の移動が阻害され、膝28に大きな衝撃が加わる可能性がある。したがって、本例の場合には、このような可能性をより低く抑えるべく、上述のように傾斜板30の変形抵抗を大きくしている。
なお、本例の構造を実施する場合には、両側板33の形状(たとえば、平板形状、曲板形状、蛇腹形状などの別)、寸法(幅寸法、厚さ寸法)、および傾斜板30に対する傾斜角度などを変えることによって、この傾斜板30の変形抵抗を調整できる。さらには、両側板33を、V字型に形成したり、孔加工、リブを施して変形抵抗をチューニングすることもできる。
これにより、上述のような不具合の発生を防止しつつ、衝突時に少しだけ弾性変形もしくは塑性変形させて、衝撃エネルギーの吸収効果を適切に得られるようにすることができる。
また、本例の場合には、自由状態で、両側板33の上端縁を蓋体26の下面に当接させるとともに、傾斜板30の前端縁をハウジング21の主部22の下端縁(図示の例では肩部34)に当接させているが、これら各当接箇所には、それぞれ隙間を設けることもできる。このような隙間を設ければ、上述した第1例の場合と同様、当該隙間がなくなるまでの間は、前記傾斜板30の傾斜角度θを弾性的に(あるいは塑性変形により)減少させることに基づく、衝撃エネルギーの吸収効果を得られる。その他の構成および作用は、上述した第1例の場合と同様である。
なお、傾斜板30の変形抵抗を大きくする他の方法としては、この傾斜板30の厚さを増大させる方法がある。このような方法を採用すれば、上述した第1例の構造のように、前記1対の側板33を備えていない構造の場合でも、上述したように、傾斜板30が過度に変形する可能性を低くできる。
[実施の形態の第3例]
図6は、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例の場合には、付属部品31b全体(蓋体26a、傾斜板30a、湾曲板部32a)の幅寸法(図6の左右方向寸法)を広げることにより、図示の方向から見た場合に、前記傾斜板30aによって、ハウジング21の主部22の下端部全体を、後方から見た状態で覆い隠せるようにしている。これにより、車両装備品29(図1〜2参照)が前記主部22の下端部にぶつかることを確実に防止できるようにしている。その他の構成および作用は、前述の図1〜2に示した第1例の場合と同様である。
[実施の形態の第4例]
図7は、本発明の実施の形態の第4例を示している。本例の場合には、付属部品31cを構成する傾斜板30bの前端縁を、長さL分だけ前方に延長して、この傾斜板30bの前端部に延長部35を設けている。これにより、本例の場合には、この傾斜板30bの前端縁を、前記ハウジング21の前部を構成する主部22の肩部34よりも前方に位置させている。また、付属部品31cの自由状態で、傾斜板30bの上面とハウジング21の下端部の下面との間隔を、この傾斜板30bの中間部分で最も小さくして、当該部分に小さい隙間(間隔T)を設けている。
このような構成を有する本例の場合には、傾斜板30bの延長部35によって、ハウジング21の下端部のうち主部22の肩部34よりも前側部分を、全体的に覆うことができる。このため、車両装備品29(図1〜2参照)がハウジング21に直接ぶつかることを有効に防止しつつ、この車両装備品29を傾斜板30bの下面に沿ってスムースに移動させることができる。したがって、運転者の膝28(図1〜2参照)に大きな衝撃が加わることを有効に防止できる。その他の構成および作用は、前述の図1〜2に示した第1例の場合と同様である。
[実施の形態の第5例]
図8は、本発明の実施の形態の第5例を示している。本例の場合にも、付属部品31dを、弾性金属板である1枚の鋼板に曲げ加工などを施すことにより、全体を一体に構成している。このような付属部品31dは、ハウジング21の副部24の下面にボルト27aにより固定した固定部36と、傾斜板30cと、これら固定部36と傾斜板30cとの間部分に設けられた屈曲部37とを備える。特に本例の場合には、傾斜板30cの後端縁と固定部36の前端縁とを屈曲部37を介して連結しており、自由状態での固定部36に対する傾斜板30cの傾斜角度θを鈍角としている。このような本例の場合には、この傾斜板30cの下面に車両装備品29(図1〜2参照)が衝突した際に、前記傾斜角度θが増大する(反対に水平面に対する傾斜角度は減少する)。このように、屈曲部37の構造は、固定部36に対する傾斜板30cの傾斜角度を変化させるものであれば、任意のものが採用できる。また、たとえば、固定部36が取り付けられる相手部材がステアリングシャフトの軸に対して傾斜しているような場合で、固定部と傾斜板の間に角度を設ける必要がない場合には、この付属部品を1枚のたとえば弾性を有する板により構成することもできる。さらには、この構成においても、付属部品31dの固定部36を、ハウジング21の副部24の代わりにステアリングコラム9に固定することも可能である。
なお、本例における付属部品31dの固定部36は、開口部を塞ぐための蓋としての機能は有さず、単に付属部品31dをハウジング21に対して固定する機能のみを有する。したがって、このハウジング21に開口部が設けられる場合には、この開口部を塞ぐ蓋(蓋体)を別途設ける。また、本例の場合にも、付属部品31dの自由状態で、傾斜板30cの上面と前記ハウジング21の下面との間隔を、この傾斜板30cの前端縁部分で最も小さくしており、当該部分に隙間を設けている。具体的には、この傾斜板30cの前端縁を、前記ハウジング21の前部を構成する主部22の肩部34に、小さい隙間(間隔T)を介して近接対向させている。
以上のような構成を有する本例の場合にも、車両装備品29(図1〜2参照)が傾斜板30cの下面に衝突すると、まず、この傾斜板30cの前端縁が主部22の肩部34に当接するまでの間は、屈曲部37が弾性変形(あるいは塑性変形)し、傾斜板30cの傾斜角度θが弾性的に(あるいは塑性変形により)増大することに基づいて、膝28への衝撃エネルギーが吸収される。また、この傾斜板30cの前端縁が主部22の肩部34に当接した後も、この傾斜板30cが少しだけ弾性的に(あるいは塑性変形により)湾曲することに基づいて、膝28への衝撃エネルギーが吸収される。また、これとほぼ同時に、車両装備品29の移動方向が、前記傾斜板30cの下面に沿う方向に滑らかに変化することに基づいて、膝28への衝撃エネルギーが吸収される(膝28に加わる衝撃が緩和される)。
さらに、本例の場合には、固定部36と傾斜板30cとの傾斜角度θを鈍角としており、この固定部36がこの傾斜板30cによって覆われていないため、この固定部36を前記ハウジング21に固定する作業を容易に行えるという効果も有する。その他の構成および作用は、前述の図1〜3に示した第1例の場合と同様である。
なお、本発明を実施する場合に、ステアリングコラムの周辺に存在する部材のうち、前記傾斜板によって覆い切れない箇所で、かつ、前記車両装備品が衝突する可能性のある箇所には、滑らかな角度を付けることにより、当該箇所に前記車両装備品が衝突した場合にも、この車両装備品の前方への移動を妨げることがないようにすれば、パッケージング、コスト、および機能(安全性)の各面において、有利な効果を得られる。
また、上述した各実施の形態の構造の場合には、電動式パワーアシスト機構20を構成する電動モータ23と、クランプ機構12を構成する昇降ブラケット15とが、それぞれステアリングシャフト2よりも上方に位置しているため、車両の衝突時に、これら電動モータ23やクランプ機構12が、運転者の膝28がぶつかりにくくなっており、この膝28を保護する面から好ましい。このように、本発明を実施する場合には、ステアリングコラムの周辺に存在する部材の構成配置を好適なものとすることより、本発明の効果を最適なものとすることができる。
1 ステアリングホイール
2 ステアリングシャフト
3 第一の自在継手
4 中間シャフト
5 第二の自在継手
6 ステアリングギヤユニット
7 入力軸
8 タイロッド
9 ステアリングコラム
10 横軸
11 車体
12 クランプ機構
13 支持ブラケット
14 挟持板部
15 昇降ブラケット
16 長孔
17 通孔
18 チルトボルト
19 チルトレバー
20 電動式パワーアシスト機構
21 ハウジング
22 主部
23 電動モータ
24 副部
25 筐部
26、26a 蓋体
27 ボルト
28 膝
29 車両装備品
30、30a、30b、30c 傾斜板
31、31a、31b、31c、31d 付属部品
32、32a 湾曲板部
33 側板
34 肩部
35 延長部
36 固定部
37 屈曲部

Claims (9)

  1. 車体に支持されるステアリングコラムと、このステアリングコラムを車体に支持した状態で、このステアリングコラムの前端部に結合固定されて、その下端部をこのステアリングコラムの前端部の下面よりも下方に突出させている結合部材とを備えたステアリング装置において、この結合部材の下端部で前記ステアリングコラムの前端部の下面よりも下方に突出した部分の後下方に、前方に向かう程下方に向かう方向に傾斜した傾斜板を、この突出した部分の少なくとも幅方向中央部を覆う状態で配置していることを特徴とするステアリング装置。
  2. 前記傾斜板は、前記ステアリングコラムまたは前記結合部材に対して、直接または他の部材を介して結合固定された付属部品の一部を構成するものである、請求項1に記載したステアリング装置。
  3. 前記付属部品は、弾性を有する1枚の板から構成されている、請求項2に記載したステアリング装置。
  4. 前記付属部品は、前記傾斜板の下面に押圧力を加えることによって、水平面に対するこの傾斜板の傾斜角度を所定量だけ減少させることが可能となっており、この傾斜角度を減少させつつ、前記傾斜板自身が変形することにより、前記押圧力のエネルギーを吸収する機能を有する、請求項2または3に記載したステアリング装置。
  5. 前記付属部品は、前記ステアリングコラムまたは前記結合部材に固定される固定部と、前記傾斜板と、これら固定部と傾斜板とを接続する断面円弧状の屈曲部とを備える、請求項2〜4のうちの何れか1項に記載したステアリング装置。
  6. 前記付属部品の前記固定部が、前記ステアリングコラムまたは前記結合部材に形成された開口部を塞ぐ蓋としての機能を有する、請求項5に記載したステアリング装置。
  7. 前記傾斜板の上面と、前記結合部材の下端部で前記ステアリングコラムの前端部の下面よりも下方に突出した部分の下面との、互いに対向する両面同士の間隔のうち、最も間隔が小さくなった部分に隙間が設けられている、請求項1〜6のうちの何れか1項に記載したステアリング装置。
  8. 前記傾斜板の上面と、前記結合部材の下端部で前記ステアリングコラムの前端部の下面よりも下方に突出した部分の下面との、互いに対向する両面同士の間隔が、前記傾斜板の中間部分で最も小さくなっている、請求項1〜7のうちの何れか1項に記載したステアリング装置。
  9. 前記結合部材が、電動式パワーアシスト機構を構成するハウジングである、請求項1〜8のうちの何れか1項に記載したステアリング装置。
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