JP4841260B2 - ステアリングホイールの芯金構造 - Google Patents

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本発明は、ステアリングホイールの芯金構造に関するものである。
車両のステアリングホイールは、強度部材である金属製の芯金を、表裏カバー又はパッド材により被覆した構造をしている。芯金は、垂直に対して所定の角度を有して配設されてなるコラムシャフトの上端に取付けられるボス部と、該ボス部の左右両端部同士を乗員側に回り込んだ状態で連結する板状の連結部と、前記ボス部よりもコラムシャフトの方向で上側に位置すると共に該コラムシャフトに面直なリング状のリム部と、外側端が該リム部の左右両側端部付近に結合され且つ内側端が前記ボス部に結合される一対の横スポーク部と、外側端が前記リム部の乗員側端部付近に結合され且つ内側端が連結部に結合される縦スポーク部と、を有する構造をしている。
このように、ボス部の乗員側にボス部の左右両端部同士を連結する連結部を形成し、その連結部に縦スポーク部の内側端を結合しているのは、縦スポーク部のボス部に対する左右方向での剛性を増すためと、その連結部をエアバッグモジュール等の取付部位として利用するためである。
連結部は、ボス部の左右両端部からそれぞれ上方に立ち上がるヒンジ部と、該ヒンジ部から所定の角度で縦スポーク部側へ斜めに延びる傾斜部と、該傾斜部の端部同士を左右方向で連結する直線状のストレート部とから構成され、縦スポーク部の内側端はストレート部の中央に結合される。
そして、車両衝突時に乗員腹部がリム部の乗員側端部に当たり、リム部の乗員側端部に対して略水平方向の衝撃が加わった際に、その衝撃が縦スポーク部を介して連結部に伝達され、連結部が変形することにより、衝撃を吸収して乗員を保護するようになっている。
リム部の垂直に対する角度は車種、或いは、コラムシャフトのチルト角度の調整等により変化する。従って、リム部に加わる衝撃の角度も変化する。リム部の対垂直角度が小さい場合(リム部を垂直に近づく方向へ傾けた場合)は、水平方向で加わる衝撃は、縦スポーク部を介して連結部に伝達され、該連結部を面外方向へ曲げるように作用する要素が大きい。リム部の対垂直角度が大きい場合(リム部を水平に近づく方向へ傾けた場合)は、水平方向で加わる衝撃は、縦スポーク部を介して連結部に伝達され、該連結部を面内方向で圧縮するように作用する要素が大きい(例えば、特許文献1参照。)。
特許第3399306号
しかしながら、このような従来の技術にあっては、ボス部に形成されている連結部が、ストレート部と傾斜部とからなる多角形状で、且つヒンジ部を介してボス部との間に高低差を設けているため、リム部の対垂直角度が大きくて衝撃が連結部を面内方向で圧縮するように作用すると、連結部が多角形状の角部やヒンジ部を起点として座屈し、連結部がZ状に折れ曲がるおそれがある。
ボス部に近い連結部がZ状に折れ曲がって、その折れ曲がり部が連結部の面外方向へ突出すると、周辺構造(エアバッグモジュールやコラムカバー)と干渉するおそれがある。連結部が周辺構造と干渉すると、リム部の乗員側部位が十分に変形せず、乗員腹部に対するダメージを緩和する効果が低下することになる。そのため、従来は、乗員保護のため、ステアリングホイール全体を傾けるような他の構造対策も付加しており、構造の複雑化及びコストの増大を招いている。
本発明は、このような従来の技術に着目してなされたものであり、リム部の対垂直角度が大きい場合でも、連結部が座屈変形しないステアリングホイールの芯金構造を提供するものである。
請求項1記載の発明は、垂直に対して所定の角度を有して配設されてなるコラムシャフトの上端に取付けられるボス部と、該ボス部の左右両端部同士を乗員側に回り込んだ状態で連結する板状の連結部と、前記ボス部よりもコラムシャフトの方向で上側に位置すると共に該コラムシャフトに面直なリング状のリム部と、外側端が該リム部の左右両側端部付近に結合され且つ内側端が前記ボス部に結合される一対の横スポーク部と、外側端が前記リム部の乗員側端部付近に結合され且つ内側端が連結部に結合される縦スポーク部と、を有するステアリングホイールの芯金構造であって、前記連結部がボス部と連続した平坦な表面を有し且つ角部のない湾曲形状をすると共に衝撃が前記連結部に加わると、該連結部が反乗員側へ向けて変形し、該連結部が面外方向に撓むだけで座屈せず、周辺に干渉しないことを特徴とする。
請求項2記載の発明は、リム部における横スポーク部の外側端よりも乗員側部位に、複数の貫通孔を形成したことを特徴とする。
請求項3記載の発明は、リム部における横スポーク部の外側端の近接部位及び縦スポーク部の外側端の近接部位に、それぞれ複数の貫通孔を形成したことを特徴とする。
請求項1記載の発明によれば、連結部がボス部と連続した平坦な表面を有し且つ角部のない湾曲形状をしているため、ボス部と連結部との間に高低差がなく且つ座屈の起点となる角部が存在しない。従って、リム部の対垂直角度が大きくて、衝撃が連結部を面内方向で圧縮するように作用しても、連結部は面外方向へ撓むだけで座屈せず、周辺構造と干渉しない。衝撃が連結部を面内方向で圧縮するように作用しても、連結部が反乗員側へ向けて変形すると共に、連結部は、面外方向へ撓むだけで座屈せず、周辺構造と干渉しない。従って、変形するのは、連結部と縦スポーク部とリム部とだけで、これらの変形により乗員に対するダメージを緩和することができる。縦スポーク部とリム部はボス部から離れているため、変形しても周辺構造と干渉するおそれはない。
請求項2記載の発明によれば、リム部における横スポーク部の外側端よりも乗員側部位に、複数の貫通孔を形成したため、リム部の乗員側部位が確実に変形して、乗員に対するダメージを緩和することができる。
請求項3記載の発明によれば、横スポーク部の外側端の近接部位と、縦スポーク部の外側端の近接部位に、それぞれ貫通孔を形成することにより、少ない数の貫通孔で、リム部の乗員側部位を効果的に変形させることができる。
本発明は、リム部の対垂直角度が大きい場合でも、連結部が座屈変形しないステアリングホイールの芯金構造を提供するという目的を、垂直に対して所定の角度を有して配設されてなるコラムシャフトの上端に取付けられるボス部と、該ボス部の左右両端部同士を乗員側に回り込んだ状態で連結する板状の連結部と、前記ボス部よりもコラムシャフトの方向で上側に位置すると共に該コラムシャフトに面直なリング状のリム部と、外側端が該リム部の左右両側端部付近に結合され且つ内側端が前記ボス部に結合される一対の横スポーク部と、外側端が前記リム部の乗員側端部付近に結合され且つ内側端が連結部に結合される縦スポーク部と、を有するステアリングホイールの芯金構造であって、前記連結部がボス部と連続した平坦な表面を有し且つ角部のない湾曲形状をすると共に衝撃が前記連結部に加わると、該連結部が反乗員側へ向けて変形し、該連結部が面外方向に撓むだけで座屈せず、周辺に干渉しないことで、実現した。以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1〜図5は、本発明の第1実施例を示す図である。以下の説明では、ステアリングホイールが操舵基準位置(直進操舵状態)として説明する。車両のステアリングホイールは、強度部材である金属製の芯金1を、図示せぬ表裏カバー又はパッド材により被覆した構造をしている。芯金1は、図示せぬインストルメントパネルから所定角度の斜め方向で車室内側に延びるコラムシャフト2の上端に取付けられる。コラムシャフト2はコラムカバー3により覆われている。
芯金1は、ボス部4、連結部5、リム部6、横スポーク部7、縦スポーク部8とから形成されている。ボス部4はコラムシャフト2の上端に固定され、コラムシャフト2と一体的に回転する。連結部5は、ボス部4の左右両端部同士を乗員側に回り込んだ状態で連結している。連結部5は板状で、ボス部4と連続した平坦な表面を有し、且つ角部のない概略U字形状(湾曲形状)をしている。連結部5の付根部には、固定部9が立設され、そこにはボス部4を覆う状態でエアバッグモジュール10が固定されている。
リム部6はリング状で、運転者が手でつかんで回転操作するところである。このリム部6も板形状で、コラムシャフト2の方向でボス部4よりも上方に位置している。このリム部6は、コラムシャフト2のチルト角度に応じて、垂直に対する角度θが大きく設定されている(約60度)。
コラムシャフト2の方向性で位置が異なるボス部4とリム部6を連結するのが、横スポーク部7と縦スポーク部8である。横スポーク部7は2本あり、それぞれ内側端7aがボス部4に結合され、左右両側に向けて立ち上がりながら、外側端7bがリム部6の左右両側端部に結合されている。
縦スポーク部8は、左右方向に長い断面を有する板状で、内側端8aが連結部5の中央に結合され、乗員側に向けて立ち上がりながら、外側端8bがリム部6の乗員側端部に結合されている。
また、リム部6における横スポーク部7の外側端7bよりも乗員側部位に、複数の貫通孔11が形成されている。具体的には、リム部6における横スポーク部7よりも乗員側で且つ外側端7bの近接部位と、縦スポーク部8の外側端8bの近接部位に、それぞれ一群の貫通孔11が形成されている。
この実施例のように、リム部6の対垂直角度θを大きく(約60度)した状態で車両の衝突が起こると、乗員腹部がリム部6の乗員側端部に対して水平に当たり、その衝撃Fが縦スポーク部8を介して連結部5を面内方向で圧縮するように作用し、本来ならばZ状に座屈して周辺構造(エアバッグモジュール10やコラムカバー3)と干渉するところであるが、この実施例では前述のように、連結部5がボス部4と連続した平坦な表面を有し且つ概略U字形状をしているため、ボス部4と連結部5との間に高低差がなく、且つ座屈の起点となる角部が存在しない。
従って、図3に示すように、衝撃Fが連結部5を面内方向で圧縮するように作用しても、連結部5が反乗員側へ向けて変形すると共に、連結部5は図5に示すように、面外方向へ撓むだけで座屈せず、周辺構造と干渉しない。従って、変形するのは、連結部5と縦スポーク部8とリム部6とだけで、これらの変形により乗員に対するダメージを緩和することができる。縦スポーク部8とリム部6はボス部4から離れているため、変形しても周辺構造と干渉するおそれはない。
更に、この実施例では、リム部6における横スポーク部7の外側端7bよりも乗員側部位に、複数の貫通孔11を形成したため、リム部6の乗員側部位が確実に変形して、乗員に対するダメージを緩和することができる。特に、貫通孔11は、リム部6における横スポーク部7よりも乗員側で且つ外側端7bの近接部位と、縦スポーク部8の外側端8bの近接部位を選んで部分的に形成しているため、少ない数の貫通孔11でも、リム部6の乗員側を効果的に変形させることができる。
図6は、本発明の第2実施例を示す図である。この実施例に係る芯金12では、連結部13とリム部6とを2本の縦スポーク部14で連結した構造を示す。この実施例によれば、リム部6が操舵基準位置から左右に多少回転された状態で衝突しても、縦スポーク部14が変形することによる衝撃緩和効果を得ることができる。
図7〜図10は、本発明の第3実施例を示す図である。この実施例に係る芯金15では、連結部16が角部を有する多角形状である。その連結部16の中央に縦スポーク部17が連結されているが、縦スポーク部17の連結部16に結合される側の部分を変形部18に変えた。変形部18は、縦スポーク部17の面外方向に長い断面を有する板部材を、縦スポーク部17の面内方向でS字状に蛇行させた構造を有する。従って、縦スポーク部17の面外方向では必要な剛性が得られ、衝突時に衝撃Fが加わった場合のみ、面内方向へ変形させて、衝撃Fを吸収することができる。
すなわち、リム部6の対垂直角度θが大きくて、衝撃Fが連結部16をその面内方向で圧縮するように作用する場合でも、衝撃Fを変形部18により吸収することができる。従って、連結部16は角部を有する多角形状でも座屈せず、周辺構造と干渉しない。
以上の各実施例では、ボス部4から左右両側へ真っ直ぐ延びる横スポーク部7を例にしたが、乗員側又は反乗員側に傾いた角度をもっていても良い。また、横スポーク部7も左右に2本づつあっても良い。また、貫通孔11の形状、大きさ、個数、配置位置は必要に応じて適宜設定して良い。
本発明の第1実施例に係るステアリングホイールの芯金構造を示す斜視図。 図1の芯金構造をコラムシャフトの方向性で上から見た正面図。 図2の芯金構造のリム部に衝撃を受けて、該リム部が変形した状態を示す図2相当正面図。 図1の芯金構造を示す側面図。 図3の芯金構造のリム部への衝撃による変形状態を示す側面図。 本発明の第2実施例に係る図2相当正面図。 本発明の第3実施例に係るステアリングホイールの芯金構造を示す斜視図。 図7の芯金構造の図2相当正面図。 図7の芯金構造を示す側面図。 図7の芯金構造のリム部への衝撃による変形状態を示す側面図。
符号の説明
1、12、15 芯金
2 コラムシャフト
3 コラムカバー(周辺構造)
4 ボス部
5、13、16 連結部
6 リム部
7 横スポーク部
7a 横スポーク部の内側端
7b 横スポーク部の外側端
8、14、17 縦スポーク部
8a 縦スポーク部の内側端
8b 縦スポーク部の外側端
10 エアバッグモジュール(周辺構造)
11 貫通孔
18 変形部
θ リム部の対水垂直角度
F 衝撃

Claims (3)

  1. 垂直に対して所定の角度を有して配設されてなるコラムシャフトの上端に取付けられるボス部と、該ボス部の左右両端部同士を乗員側に回り込んだ状態で連結する板状の連結部と、前記ボス部よりもコラムシャフトの方向で上側に位置すると共に該コラムシャフトに面直なリング状のリム部と、外側端が該リム部の左右両側端部付近に結合され且つ内側端が前記ボス部に結合される一対の横スポーク部と、外側端が前記リム部の乗員側端部付近に結合され且つ内側端が連結部に結合される縦スポーク部と、を有するステアリングホイールの芯金構造であって、
    前記連結部がボス部と連続した平坦な表面を有し且つ角部のない湾曲形状をすると共に衝撃が前記連結部に加わると、該連結部が反乗員側へ向けて変形し、該連結部が面外方向に撓むだけで座屈せず、周辺に干渉しないことを特徴とするステアリングホイールの芯金構造。
  2. 請求項1記載のステアリングホイールの芯金構造であって、
    リム部における横スポーク部の外側端よりも乗員側部位に、複数の貫通孔を形成したことを特徴とするステアリングホイールの芯金構造。
  3. 請求項2記載のステアリングホイールの芯金構造であって、
    リム部における横スポーク部の外側端の近接部位及び縦スポーク部の外側端の近接部位に、それぞれ複数の貫通孔を形成したことを特徴とするステアリングホイールの芯金構造。
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