JPWO2011043118A1 - 電動機システム - Google Patents

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Abstract

ステータ53の電機子磁極の数と第1ロータ51の磁極の数と第2ロータ52のコアの数との比が、1:m:(1+m)/2に設定されている電動機3と、トルク指令値Tr_cに応じてd軸電圧指令値Vd_c及びq軸電圧指令値Vq_cを生成し、該電圧指令値のベクトル和の大きさがバッテリ11の出力電圧V0に応じて設定された上限電圧Vulmtを超えるときに、第1ロータの磁極の磁束を減少させる界磁弱め電流を生じさせるように、該電圧指令値を補正するECU60を備える。

Description

本発明は、複数の可動子を有する電動機とその制御装置を備えた電動機システムに関する。
従来より、複数の可動子を有する電動機として、例えば、第1回転軸に連結された第1ロータと、第2回転軸に連結された第2ロータと、ステータとを備えた回転機が知られている(例えば、特開2008−67592号公報参照)。
特開2008−67592号公報に記載された電動機においては、第1回転軸と第2回転軸が同心状に配置されており、第1ロータ及び第2ロータとステータは、第1回転軸の径方向に内側からこの順で配置されている。そして、第1ロータは、周方向に並んだ複数の第1永久磁石及び第2永久磁石を有しており、第1永久磁石及び第2永久磁石は、第1ロータの軸線方向に並列して配置されている。
また、第2ロータは、各々が周方向に並んだ複数の第1コア及び第2コアを有している。第1コア及び第2コアは軟磁性体で構成されており、第1コアは第1ロータの第1永久磁石側の部分とステータの間に配置され、第2コアは第1ロータの第2永久磁石側の部分とステータの間に配置されている。
また、ステータは、周方向に回転する第1回転磁界及び第2回転磁界を生じさせるように構成され、第1回転磁界は第1ロータの第1永久磁石側の部分との間に発生し、第2回転磁界は第1ロータの第2永久磁石側の部分との間に発生する。第1永久磁石及び第2永久磁石の磁極の数と、第1回転磁界及び第2回転磁界の磁極の数と、第1コア及び第2コアの数とは、同一に設定されている。
そして、ステータへの電力供給による第1回転磁界及び第2回転磁界の発生に伴なって、第1回転磁界及び第2回転磁界の磁極と第1永久磁石及び第2永久磁石の磁極により、第1コア及び第2コアが磁化されることによって、これらの要素の間に磁力線が発生する。また、この磁力線の磁力による作用により、第1ロータ及び第2ロータが駆動されて、第1回転軸及び第2回転軸から動力が出力される。
特開2008−67592号公報に記載された電動機は、その構成上、複数の第1コアから成る第1軟磁性体列と複数の第2コアから成る第2軟磁性体列を備えることが必須であるため、電動機が大型化するという不都合があった。さらに、特許文献1に記載された電動機は、その構成上、第1回転磁界及び第2回転磁界の回転速度と第2ロータの回転速度との速度差と、第2ロータの回転速度と第1ロータの回転速度との速度差とが同じになる速度関係しか成立しないため、設計の自由度が低いという不都合があった。
本発明は、上記背景を鑑みてなされたものであり、小型化を図ることができると共に、設計の自由度を高めることができる電動機と、この電動機の運転可能範囲を拡大するための構成を備えた電動機システムを提供することを目的とする。
本発明は上記目的を達成するためになされたものであり、所定方向に並んだ複数の磁極で構成された磁極列を有する第1可動子と、前記所定方向に並んだ複数の電機子を有して、前記磁極列と対向して配置され、電力の供給に応じて前記複数の電機子に発生する電機子磁極により、前記所定方向に移動する移動磁界を前記磁極列との間に発生させる電機子列を有する固定子と、前記磁極列と前記電機子列との間に位置し、コア部と該コア部よりも透磁率が低い部分が前記所定方向に交互に配置された第2可動子とを備え、前記電機子磁極の数と前記磁極の数と前記コア部の数との比が、1:m:(1+m)/2(但し、m≠1.0)に設定されている電動機と、該電動機の作動を制御する構成とを備えた電動機システムに関する。
前記電動機においては、固定子の複数の電機子磁極による移動磁界が発生すると、第2可動子のコア部が電機子磁極と第1可動子の磁極によって磁化されて、磁極とコア部と電機子磁極を結ぶ磁力線が発生する。
この場合、前記電動機を例えば以下の条件(a)及び(b)の下で構成したときには、移動磁界、第1可動子、及び第2可動子間の速度と位置の関係は、次のように表される。また、電動機の等価回路は図9のように示される。
(a) 電動機が回転機であり、固定子100がU,V,Wの3相の電機子101,102,103を有する。
(b) 電機子磁極が2個、第1可動子110の磁極111の数が4、すなわち、電機子磁極のN極及びS極を1組とする極対数が1、第1可動子110の磁極111のN極及び及びS極を1組とする極対数が2、第2可動子120のコア部が3個(121,122,123)である。
なお、本明細書で用いる「極対」は、N極及びS極の1組を意味する。
この場合、3個のコア部のうちの第1コア121を通過する磁極の磁束Ψk1は、以下の式(1)で表される。
Figure 2011043118
但し、Ψf:磁極の磁束の最大値、θ1:U相コイルに対する磁極の回転角度位置、θ2:U相コイルに対する第1コア121の回転角度位置。
そのため、第1コア121を介してU相コイルを通過する磁極の磁束Ψu1は、上記式(1)にcosθ2を乗じた以下の式(2)で表すことができる。
Figure 2011043118
同様に、第2コア122を通過する磁極の磁束Ψk2は、次式(3)で表される。
Figure 2011043118
U相コイルに対する第2コア122の回転角度位置は、第1コア121に対して2π/3だけ進んでいるため、上記式(3)では、θ2に2π/3が加算されている。
したがって、第2コア122を介してU相コイルを通過する磁極の磁束Ψu2は、上記式(3)にcos(θ+2π/3)を乗じた以下の式(4)で表される。
Figure 2011043118
同様に、第3コア123のコア部123を介してU相コイルを通過する磁極の磁束Ψu3は、以下の式(5)で表される。
Figure 2011043118
図9に示した電動機では、コア部121,122,123を介してU相コイルを通過する磁極の磁束Ψuは、上記式(2),式(4),式(5)で表される磁束Ψu1,Ψu2,Ψu3を足し合わせた以下の式(6)で表される。
Figure 2011043118
また、上記式(6)を一般化すると、第2可動子120のコア部121,122,123を介してU相コイルを通過する磁極の磁束Ψuは、以下の式(7)で表される。
Figure 2011043118
但し、a:第1可動子の磁極の極対数、b:第2可動子のコア部の数、c:固定子の電機子磁極の極対数。
また、上記式(7)を変形すると、以下の式(8)が得られる。
Figure 2011043118
上記式(8)において、b=a+cとすると共に、cos(θ+2π)=cosθにより整理すると、以下の式(9)が得られる。
Figure 2011043118
上記式(9)をさらに整理すると以下の式(10)が得られる。
Figure 2011043118
上記式(10)の右辺の第2項の値は、a−c≠0を条件として整理すると、以下の式(11)に示したようにゼロとなる。
Figure 2011043118
また、上記式(10)の右辺の第3項の値も、a−c≠0を条件として整理すると、以下の式(12)に示したようにゼロとなる。
Figure 2011043118
以上により、a−c≠0のときには、第2移動子120のコア部121,122,123を介して固定子100のU相コイルを通過する磁極の磁束ΨUは、以下の式(13)で表される。
Figure 2011043118
また、上記式(13)において、a/c=αとすると、以下の式(14)が得られる。
Figure 2011043118
さらに、上記式(14)において、c・θ2=θe2とすると共に、c・θ1=θe1とすると、以下の式(15)が得られる。
Figure 2011043118
ここで、θe2は、U相コイルに対するコア部の回転角度位置θ2に、電機子磁極の極対数cを乗じていることから明らかなように、U相コイルに対するコア部の電気角度位置を表している。また、θe1は、U相コイルに対する第1可動子110の磁極の回転角度位置θ1に、電機子磁極の極対数cを乗じていることから明らかなように、U相コイルに対する磁極の電気角度位置を表している。
同様にして、コア部を介してV相コイルを通過する磁極の磁束Ψvは、V相コイルの電気角度位置がU相コイルに対して電気角2π/3だけ遅れていることから、以下の式(16)で表される。
Figure 2011043118
また、コア部を介してW相コイルを通過する磁極の磁束Ψwは、W相コイルの電気角度位置がU相コイルに対して電気角2π/3だけ進んでいることから、以下の式(17)で表される。
Figure 2011043118
また、上記式(15)〜式(17)で表される磁束Ψu,Ψv,Ψwを時間微分すると、以下の式(18)〜式(20)が得られる。
Figure 2011043118
Figure 2011043118
Figure 2011043118
但し、ωe1:θe1の時間微分値(固定子に対する第1可動子の角速度を電気角速度に変換した値)、ωe2:θe2の時間微分値(固定子に対する第2可動子の角速度を電気角速度に変換した値)。
ここで、コア部121,122,123を介さずにU相〜W相のコイルを直接通過する磁束は極めて小さく、その影響は無視できる。そのため、コア部121,122,123を介してU相〜W相のコイルをそれぞれ通過する磁極の磁束Ψu,Ψv,Ψw(上記式(18)〜式(20))の時間微分値dΨu/dt,dΨv/dt,dΨw/dtは、固定子100の電機子列に対して、第1可動子110の電極及び第2可動子120のコア部が回転(移動)するのに伴なって、U相〜W相のコイルに発生する逆起電圧(誘導起電圧)をそれぞれ表す。
このことから、U相のコイルに流れる電流Iu,V相のコイルに流す電流Iv,W相のコイルに流れる電流Iwは、以下の式(21),式(22),式(23)で表される。
Figure 2011043118
Figure 2011043118
Figure 2011043118
但し、I:U相〜W相のコイルを流れる電流の振幅(最大値)である。
また、上記式(21)〜式(23)により、U相コイルに対する移動磁界(回転磁界)のベクトルの電気角度位置θmfは以下の式(24)で表され、U相コイルに対する移動磁界の電気角速度ωmfは以下の式(25)で表される。
Figure 2011043118
Figure 2011043118
よって、U相のコイルに電流Iu、V相のコイルに電流Iv、W相のコイルに電流Iwが流れることによって、第1可動子及び第2可動子に出力される機械的出力(動力)Wは、リラクタンス分を除くと、以下の式(26)で表される。
Figure 2011043118
上記式(26)に、上記式(18)〜式(23)を代入して整理すると、以下の式(27)が得られる。
Figure 2011043118
さらに、この機械的出力Wと、磁極を介して第1可動子に伝達されるトルク(以下、第1トルクという)T1と、コア部を介して第2可動子に伝達されるトルク(以下、第2トルクという)T2と、第1可動子の電気角速度ωe1及び第2可動子の電気角速度ωe2との関係は、以下の式(28)で表される。
Figure 2011043118
上記式(27)と式(28)とを比較することにより、第1トルクT1と第2トルクT2は、以下の式(29),式(30)で表される。
Figure 2011043118
Figure 2011043118
また、電機子列に供給された電力及び移動磁界の電気角速度ωmfと等価のトルクを駆動用等価トルクTeとすると、電機子列に供給された電力と機械的出力Wは、損失を無視すれば等しくなるため、上記式(25)と式(27)の関係から、駆動用等価トルクTeは以下の式(31)で表される。
Figure 2011043118
さらに、上記式(29)〜式(31)より、以下の式(32)が得られる。
Figure 2011043118
上記式(32)で表されるトルクの関係、及び上記式(25)で表される電気角速度の関係は、遊星歯車装置のサンギヤ、リングギヤ及びキャリアにおける回転速度及びトルクの関係と全く同じである。
さらに、上述したように、b=a+c及びa−c≠0を条件として、上記式(25)の電気角速度の関係及び上記式(32)のトルクの関係が成立する。この条件b=a+cは、磁極の数をp、電気子磁極の数をqとすると、b=(p+q)/2、すなわち、b/q=(1+p/q)/2で表される。
ここで、p/q=mとすると、b/q=(1+m)/2となることから、上述したb=a+cという条件が成立していることは、電機子磁極の数と磁極の数とコア部の数との比が、1:m:(1+m)/2であることを示している。また、上述したa−c≠0という条件が成立していることは、m≠1.0であることを示している。
本発明の電動機においては、所定方向の所定区間で、電機子磁極の数と磁極の数とコア部の数との比が、1:m:(1+m)/2(m≠1.0)に設定されているので、上記式(25)に示した電気角速度の関係、及び上記式(32)に示したトルクの関係が成立し、電動機が適正に作動することがわかる。
また、上述した従来の場合と異なり、第2移動子が単一のコア部の列だけで構成されているため、電動機の小型化を図ることができる。さらに、上記式(25)及び式(32)から明らかなように、α=a/c、すなわち、電機子磁極の極対数に対する磁極の極対数の比を設定することによって、移動磁界、第1可動子、及び第2可動子間の電気角速度の関係と、固定子、第1可動子、及び第2可動子間のトルクの関係を任意に設定することができる。
したがって、電動機の設計の自由度を高めることができる。そして、これらの効果は、複数の電機子のコイルの相数が上述した3相以外の場合であっても同様に得ることができ、また、電動機が回転機ではなく直動機(リニアモータ)の場合にも同様に得ることができる。なお、直動機の場合は、トルクではなく推力の関係を任意に設定することができる。
[第1発明]
第1発明の電動機システムは、上述した電動機と、電源と、所定の要求運転状態に応じて、前記電機子のコイルに供給する電圧の指令値である電圧指令値を決定し、該電圧指令値が前記電源の出力電圧に応じて設定された上限電圧を超えるとき、又は前記移動磁界の速度が所定の上限速度を超えるときに、前記磁極の磁束を減少させる界磁弱め電流を生じさせるように、該電圧指令値を補正する制御装置と、前記電源の出力電力から前記電圧指令値に応じた駆動電圧を生成して、前記電機子のコイルに供給する駆動回路とを備えたことを特徴とする。
第1発明において、前記電圧指令値が前記上限電圧を超えると、前記電動機に供給する電流を増加させることができなくなって、前記電動機のトルクが頭打ちとなり、前記電動機の運転状態を前記要求運転状態に制御することが困難になる。
そこで、前記電圧指令値が前記上限電圧を超えるときに、前記制御装置により、前記磁極の磁束を減少させる界磁弱め電流を生じさせるように、該電圧指令値を補正することによって、前記電機子に生じる逆起電力を減少させて前記電動機に供給可能な電流量を増加させることができる。そして、これにより、前記電動機の制御可能範囲を拡大することができる。
また、第1発明において、前記移動磁界の速度が前記上限速度を超えると、前記電機子で生じる逆起電力が大きくなって前記電機子のコイルに供給可能な電流量が少なくなる。そのため、前記電動機のトルクが減少して、前記電動機の運転状態を前記要求運転状態に制御することが困難になる。
そこで、前記移動磁界の速度が前記上限速度を超えるときに、前記制御装置により、前記磁極の磁束を減少させる界磁弱め電流を生じさせるように、該電圧指令値を補正することによって、前記電機子に生じる逆起電力を減少させて前記電動機に供給可能な電流量を増加させることができる。そして、これにより、前記電動機の制御可能範囲を拡大することができる。
また、第1発明において、前記制御装置は、前記電圧指令値の補正を行って前記駆動回路により前記電機子のコイルに駆動電圧を供給している状態で、前記電圧指令値が前記上限電圧以下となったときには、前記電圧指令値の補正を中止することを特徴とする(第2発明)。
第2発明によれば、前記制御装置により、前記電圧指令値が前記上限電圧以下となったときには、前記電圧指令値の補正を中止することによって、前記補正分の通電電流に起因して生じる前記電動機の損失を回避することができる。
また、第1発明において、前記制御装置は、前記電圧指令値の補正を行って前記駆動回路により前記電機子のコイルに駆動電圧を供給している状態で、前記移動磁界の速度が前記上限速度以下となったときには、前記電圧指令値の補正を中止することを特徴とする(第3発明)。
第3発明によれば、前記制御装置により、前記電圧指令値が前記上限電圧以下となったときには、前記電圧指令値の補正を中止することによって、前記補正分の通電電流に起因して生じる前記電動機の損失を回避することができる。
[第4発明]
第4発明の電動機システムは、上述した電動機と、電源と、前記電源の出力電圧を昇圧する昇圧回路と、所定の要求運転状態に応じて、前記電機子のコイルに供給する電圧の指令値である電圧指令値を決定し、該電圧指令値が前記電源の出力電圧に応じて設定された上限電圧を超えるときに、前記昇圧回路により前記電源の出力電圧を昇圧させる制御装置と、前記電源の出力電力から前記電圧指令値に応じた駆動電圧を生成して、前記電機子のコイルに供給する駆動回路とを備えたことを特徴とする。
第4発明において、前記電圧指令値が前記上限電圧を超えると、前記電動機に供給する電流を増加させることができなくなって前記電動機のトルクが頭打ちとなり、前記電動機の運転状態を前記要求運転状態に制御することが困難になる。
そこで、前記電圧指令値が前記上限電圧を超えるときに、前記制御装置により、前記昇圧回路により前記電源の出力電圧を昇圧させることによって、前記電機子に供給可能な電圧を高くして前記電動機に供給可能な電流量を増加させることができる。そして、これにより、前記電動機の制御可能範囲を拡大することができる。
また、第4発明において、前記移動磁界の速度が前記上限速度を超えると、前記電機子で生じる逆起電力が大きくなって前記電機子のコイルに供給可能な電流量が少なくなる。そのため、前記電動機のトルクが減少して、前記電動機の運転状態を前記要求運転状態に制御することが困難になる。
そこで、前記移動磁界の速度が前記上限速度を超えるときに、前記制御装置により、前記昇圧回路により前記電源の出力電圧を昇圧させることによって、前記電機子に供給可能な電圧を高くして前記電動機に供給可能な電流量を増加させることができる。そして、これにより、前記電動機の制御可能範囲を拡大することができる。
また、第4発明において、前記制御装置は、前記電圧指令値が前記上限電圧を超えたことによる前記電圧値の補正を行って、前記駆動回路により前記電機子のコイルに駆動電圧を供給している状態で、前記電圧指令値が前記上限電圧以下となったときには、前記昇圧回路による前記電源の出力電圧の昇圧を中止することを特徴とする(第5発明)。
第5発明によれば、前記制御装置により、前記電圧指令値が前記上限電圧以下となったときには、前記昇圧回路による前記電源の出力電圧の昇圧を中止することによって、前記昇圧を行う際に前記昇圧回路で生じる損失を回避することができる。
また、第4発明において、前記制御装置は、前記移動磁界の速度が前記上限速度を超えたことにより、前記昇圧回路により前記電源の出力電圧を昇圧させて、前記駆動回路により前記電機子のコイルに駆動電圧を供給している状態で、前記移動磁界の速度が前記上限速度以下となったときには、前記昇圧回路による前記電源の出力電圧の昇圧を中止することを特徴とする(第6発明)。
第6発明によれば、前記制御装置により、前記移動時間の速度が前記上限速度以下となったときに、前記昇圧回路による前記電源の出力電圧の昇圧を補正することによって、前記昇圧を行う際に前記昇圧回路で生じる損失を回避することができる。
[第7発明]
第7発明の電動機システムは、上述した電動機と、電源と、前記電源の出力電圧を昇圧する昇圧回路と、所定の要求運転状態に応じて、前記電機子のコイルに供給する電圧の指令値である電圧指令値を決定し、該電圧指令値が前記電源の出力電圧に応じて設定された上限電圧を超えるときに、前記磁極の磁束を減少させる界磁弱め電流を生じさせるように該電圧指令値を補正する第1処理を行うことにより生じる第1損失と、前記昇圧回路により前記電源の出力電圧を昇圧させる第2処理を行うことにより生じる第2損失とを推定し、第1損失と第2損失の推定結果に基づいて、前記補正のレベルと前記昇圧のレベルを決定する制御装置と、前記電源の出力電力から前記電圧指令値に応じた駆動電圧を生成して、前記電機子のコイルに供給する駆動回路とを備えたことを特徴とする。
第7発明の発明において、前記電圧指令値が前記上限電圧を超えると、前記電動機に供給する電流を増加させることができなくなって、前記電動機のトルクが頭打ちとなり、前記電動機の運転状態を前記要求運転状態に制御することが困難になる。
そこで、前記電圧指令値が前記上限電圧を超えるときに、前記磁極の磁束を減少させる界磁弱め電流を生じさせるように該電圧指令値を補正する第1処理と、前記昇圧回路により前記電源の出力電圧を昇圧させる第2処理とを行うことで、前記電動機に供給可能な電流量を増加させて、前記電動機の制御可能範囲を拡大することができる。そして、前記第1処理を行うことにより生じる第1損失と、前記第2処理を行うことにより生じる第2損失の推定結果に基づくことで、損失を抑制して、前記補正のレベルと前記昇圧のレベルを適切に設定することができる。
また、第7発明において、前記制御装置は、前記第1処理と前記第2処理とのうち、損失が小さくなる方の処理を優先して行うことを特徴とする(第8発明)。
第8発明によれば、前記第1処理と第2処理のうち、損失の推定値が小さくなる方を優先して行うことで、損失をより抑制して、前記電動機の制御可能範囲を拡大することができる。
また、第7発明において、前記制御装置は、前記第1損失と前記第2損失の合算値が最小となるように、前記第1処理による補正のレベルと、前記第2処理による前記電源の出力電圧の昇圧のレベルを決定することを特徴とする(第9発明)。
第9発明によれば、前記第1処理を行うことにより生じる前記第1損失の推定値と、前記第2処理を行うことにより生じる前記第2損失との合算値が最小となるように、前記補正のレベルと前記昇圧のレベルを決定することにより、損失をより抑制して前記電動機の制御可能範囲を拡大することができる。
[第10発明]
第10発明は、上述した電動機と、電源と、所定の要求運転状態に応じて、前記電機子のコイルに供給する電圧の指令値である電圧指前記電源の出力電圧から前記電圧指令値に応じた駆動電圧を生成して、前記電機子のコイルに供給し、該駆動電圧の生成態様を、前記電圧指令値が前記電源の出力電圧に応じて設定された上限電圧以下であるか否か、又は前記移動磁界の速度が所定の上限速度以下であるか否かにより切替える令値を決定する制御装置と、駆動回路とを備えたことを特徴とする。
第10発明によれば、前記電圧指令値に応じた駆動電圧の生成態様を、前記電圧指令値が前記電源の出力電圧に応じて設定された上限電圧以下であるか否か、又は前記移動磁界の速度が所定の上限速度以下であるか否かによって切替えることにより、前記電動機の制御可能範囲を拡大することができる。
また、前記駆動回路は、前記電圧指令値が前記上限電圧以下であるときは、正弦波通電により前記電圧指令値に応じた駆動電圧を生成し、前記電圧指令値が前記上限電圧を超えているときには、矩形波通電により前記電圧指令値に応じた駆動電圧を生成することを特徴とする(第11発明)。
第11発明において、前記電圧指令値が前記上限電圧を超えると、前記電動機に供給する電流を増加させることができなくなって、前記電動機のトルクが頭打ちとなり、前記電動機の運転状態を前記要求運転状態に制御することが困難になる。
そこで、前記電圧指令値が前記上限電圧を超えるときに、前記駆動回路によって、矩形波通電により前記電源の出力電力から前記電圧指令値に応じた駆動電圧を生成することによって、前記駆動電圧の最大値を減少させて、前記電動機に供給可能な電流量を増加させることができる。そして、これにより、前記電動機の制御可能範囲を拡大することができる。
また、第10発明において、前記駆動回路は、前記電圧指令値が前記上限電圧以下であるときは、前記3相全ての電機子のコイルの印加電圧を変化させる3相変調により、前記電圧指令値に応じた駆動電圧を生成し、前記電圧指令値が前記上限電圧を超えるときには、前記3相のうち2相の電機子のコイルの印加電圧のみを変化させる2相変調により、前記電圧指令値に応じた駆動電圧を生成することを特徴とする(第12発明)。
第12発明によれば、前記電圧指令値が前記上限電圧を超えるときは、2相変調により前記電圧指令値に応じた駆動電圧を生成することによって、PWM制御によるスイッチング回数を減少させてスイッチングによる損失を低減することができる。そして、これにより、スイッチングによる損失が所定レベルを超えない範囲での前記電動機の制御可能範囲を拡大することができる。
また、第10発明において、前記駆動回路は、前記移動磁界の速度が前記上限速度以下であるときは、正弦波通電により前記電圧指令値に応じた駆動電圧を生成し、前記移動磁界の速度が前記上限速度を超えるときには、矩形波通電により前記電圧指令値に応じた駆動電圧を生成することを特徴とする(第13発明)。
第13発明によれば、前記移動磁界の速度が前記上限速度を超えるときに、矩形波通電により前記電圧指令値に応じた駆動電圧を生成することによって、前記駆動電圧の最大電圧を低下させることができる。そして、これにより、前記電動機に電流を供給し得る回転域が高速側に広げて、前記電動機の制御可能範囲を拡大することができる。
また、第10発明において、前記駆動回路は、前記移動磁界の速度が前記上限速度以下であるときは、前記3相の全ての電機子のコイルの印加電圧を変化させる3相変調により、前記前記電圧指令値に応じた駆動電圧を生成し、前記移動磁界の速度が前記上限速度を超えるときには、前記3相のうち2相の電機子のコイルの印加電圧のみを変化させる2相変調により、前記電圧指令値に応じた駆動電圧を生成することを特徴とする(第14発明)。
第14発明によれば、前記移動磁界の速度が前記上限速度を超えるときは、2相変調により前記電圧指令値に応じた駆動電圧を生成することによって、PWM制御によるスイッチング回数を減少させてスイッチングによる損失を低減することができる。そして、これにより、スイッチングによる損失が所定レベルを超えない範囲での前記電動機の制御可能範囲を拡大することができる。
回転機の概略構造を縦断面により示した図。 図3に示した回転機に備えられたステータ、第1ロータ、及び第2ロータを、これらの周方向に展開して示した図。 回転機とその制御装置を備えた電動機システムの構成図。 所定の回転速度における界磁弱め電流の通電による損失及び昇圧回路の損失と、トルクとの相関マップ。 界磁弱め電流の通電による損失及び昇圧回路の損失の和と、昇圧回路の昇圧比との相関マップ。 3相変調と2相変調とを比較した説明図。 3相変調による場合の相関電圧と、2相変調による場合の相関電圧とを比較した説明図。 2相変調による駆動電圧の生成方法の説明図。 電動機の等価回路を示した図。
本発明の実施形態について、図1〜図8を参照して説明する。図1を参照して、本実施形態の電動機システムは、回転機3(本発明の電動機に相当する)と、回転機3の動作制御を行うECU(Electronic Control Unit,本発明の制御装置に相当する)60と、インバータ回路を含む駆動回路であるPDU(Power Drive Unit)10と、バッテリ11(本発明の電源に相当する)と、昇圧回路13とを備えている。
ECU60は、CPU,RAM,ROM,インターフェース回路等を含む電子回路ユニットであり、予め実装された回転機3の制御用プログラムをCPUで実行することによって、回転機3の動作制御を行う。
回転機3は、そのハウジング6内に回転自在に支承された第1ロータ51(本発明の第1可動子に相当する)、及び第2ロータ(本発明の第2可動子に相当する)を同軸心に備えている。また、回転機3のハウジング6内に、ステータ53(本発明の固定子に相当する)が固定されている。
この場合、ステータ53は、第1ロータ51に対向して第1ロータ51の周囲に配置されている。また、第2ロータ52は、第1ロータ51とステータ53との間に、これらと非接触状態で回転するように配置されている。そのため、第1ロータ51、第2ロータ52、及びステータ53は、同心円状に配置されている。
なお、以下では、特に断らない限り、「周方向」は回転機3の軸心部(第1ロータ51の軸心部)から延在している第1回転軸25の軸心周り方向を意味し、「軸心方向」は第1回転軸25の軸心方向を意味するものとする。
ステータ53は、その内側の第1ロータ51及び第2ロータ52に対して作用させる回転磁界を発生する複数の電機子533を有し、複数の鋼板を積層して円筒状に形成された鉄芯(電機子鉄芯)531と、この鉄芯531の内周面部に装着された3相(U,V,W相)分のコイル(電機子巻線)532とを備えている。鉄芯531は第1回転軸25と同軸心に外挿されて、ハウジング6に固定されている。
U,V,Wの各相のコイル532は、各コイル532と鉄芯531とにより個々の電機子533を構成している。これらのU,V,Wの3相分のコイル532は、周方向に並ぶようにして鉄芯531に装着されている(図2参照)。これにより、複数(3の倍数個)の電機子533を周方向に並べた電機子列が構成されている。
この電機子列の3相分のコイル532は、3相の交流電流を通電したときに、鉄芯531の内周面部に、周方向に等間隔で並び、且つ周方向に回転する複数(偶数)の電機子磁極が発生するように配列されている。この電機子磁極の列は、周方向で、N極及びS極が交互に並ぶ配列(互いに隣り合う任意の2つの電機子磁極が異なる極性となる配列)である。ステータ53は、この電機子磁極列の回転によって、鉄芯531の内側に回転磁界を発生するものである。
3相分のコイル532は、PDU10及び昇圧回路13を介してバッテリ11に接続され、PDU10を介してコイル532とバッテリ11との間の電力の授受(コイル532に対する電気エネルギーの入出力)が行われる。そして、ECU60により、PDU10を介してコイル532の通電を制御することによって、回転磁界の発生形態(回転磁界の回転速度や磁束強度)を制御することができる。
図2に示したように、第1ロータ51は、軟磁性体から成る円筒状の基体511と、基体511の外周面に固着された複数(偶数)の永久磁石512(磁石磁極,本発明の磁極に相当する)とを備えている。基体511は、例えば鉄板又は鋼板を積層して形成されている。そして、この基体511がステータ53の鉄芯531の内側で第1回転軸25に外挿され、第1回転軸25と一体に回転するように第1回転軸25に固定されている。
また、第1ロータ51の複数の永久磁石512は、周方向に等間隔で配列されている。この永久磁石512の配列によって、第1ロータ51の外周面部に、ステータ53の鉄芯531の内周面部に対向して周方向に並ぶ複数の磁極からなる磁極列が構成されている。この場合、図2中の(N),(S)で示したように、周方向で互いに隣り合う2つの永久磁石512,512の外表面部(ステータ53の鉄芯531の内周面部に対応する面部)の磁極は、互いに異なる磁性の磁極となっている。すなわち、第1ロータ51の複数の永久磁石512の配列によって、第1ロータ51の外周面部に形成される磁極列は、N極及びS極が交互に並ぶ配列となっている。
なお、第1ロータ51の基体511及び永久磁石512の長さ(第1回転軸25の軸心方向の長さ)は、ステータ53の鉄芯531の軸心方向の長さと同程度とされている。
第2ロータ52は、軟磁性体から成る複数のコア521(本発明のコア部に相当する)を、ステータ53と第1ロータ51との間に、これらと非接触状態で配列して構成された軟磁性体列を備えている。この軟磁性体列を構成する複数のコア521は、コア521よりも透磁率が低い部分522を挟んで周方向に等間隔で配列されている。
各コア521は、例えば複数の鋼板を積層して形成されている。そして、これらのコア521から成る軟磁性体列は、第2回転軸33の端部に形成された環状のフランジ33aに固定されている。これにより、第2ロータ52は、第2回転軸33と一体に回転するようになっている。
なお、上記軟磁性体列を構成する各コア521の長さ(第1回転軸25の軸心方向の長さ)は、ステータ53の鉄芯531の軸心方向の長さと同程度とされている。
また、回転機3のステータ53の電機子磁極の個数をp、第1ロータ51の磁極の個数(永久磁石512の個数)をq、第2ロータ52の軟磁性体のコア521の個数をrとしたときに、これらのp,q,rは、以下の式(33)の関係を満たすように設定されている。
Figure 2011043118
但し、m≠1。なお、p,qは偶数であり、mは正の有理数である。
この場合、例えば、p=4、q=8、r=6、m=2に設定すれば、上記式(33)の関係が満たされる。
以上のように回転機3のステータ53の電機子磁極の個数pと、第2ロータ52のコア521の個数qと、第1ロータ51の磁極の個数(永久磁石512の個数)rとが、上記式(33)の関係を満たすように構成された回転機3では、第1ロータ51及び第2ロータ52の両方又は一方の回転時に、第1ロータ51の磁極から第2ロータ52のコア521を経由してステータ53の各相のコイル532に作用する磁束(鎖交磁束)の時間的変化率dΨu/dt,dΨv/dt,dΨw/dt(但し、ΨuはU相、ΨvはV相、ΨwはW相の各コイルに作用する鎖交磁束)は、以下の式(34)、式(35)、式(36)により表される。
Figure 2011043118
Figure 2011043118
Figure 2011043118
但し、Ψf:第1ロータ51の磁極の磁束の最大値、θe2:ステータ53の3相コイル532のうちの1つの基準コイル(例えば、U相のコイル)に対する第2ロータ52の電気角度位置、ωe2:第2ロータ52の電気角速度、θe1:上記基準コイルに対する第1ロータ51の電気角度位置、ωe1:第1ロータ51の電気角速度。
なお、上記式(34)〜式(36)では、第1ロータ51の1つの磁極が上記基準コイルに対向する状態でのθe1の値を“0”とし、第2ロータ52の1つのコア521が上記基準コイルに対応する状態でのθe2の値を“0”としている。また、上記“電気角度”は、機械角に電機子磁極の極対数(N極及びS極の対の個数(=p/2))を乗じた角度を意味する。
この場合、第1ロータ51の磁極から、第2ロータ52のコア521を経由せずに直接的に各コイル532に作用する磁束は、コア521を経由する磁束に対して微小であるので、上記式(34)〜式(36)のdΨu/dt,dΨv/dt,dΨw/dtは、ステータ53に対する第1ロータ51や第2ロータ52の回転に伴なって、各相のコイル532に発生する逆起電力(誘起電圧)を表すものとなる。
そこで、本実施形態では、ステータ53のコイル532の通電によって発生する回転磁界の磁束ベクトルの回転角度位置θmf(電気角での回転角度位置)と、その時間的変化率(微分値)である角速度ωmf(電気角速度)とが、それぞれ、以下の式(37),式(38)の関係を満たすように、ステータ53のコイル532の通電電流をECU60によりPDU10を介して制御する。
Figure 2011043118
但し、θmf:回転磁界の磁束ベクトルの回転角度位置、θe2:第2ロータ52の電気角度位置、θe1:第1ロータ51の電気角度位置、c:電機子磁極の対極数、θ2:第2ロータ52の機械角度位置、θ1:第1ロータ51の機械角度位置。
Figure 2011043118
但し、ωmf:回転磁界の磁束ベクトルの角速度、ωe2:第2ロータ52の電気角速度、ωe1:第1ロータ51の電気角速度、c:電機子磁極の対極数、ω2:第2ロータ52の機械角速度、ω1:第1ロータ51の機械角速度。
上記のように、ステータ53に回転磁界を発生させることにより、回転機3の運転を適切に行なって、第1ロータ51及び第2ロータ52にトルクを発生させることができる。このとき、ステータ53のコイル532への供給電力(入力電力)又はコイル532からの出力電力を、回転磁界の電気角での角速度ωmfで除したものを、この回転磁界の等価トルクTmf(以下、回転界磁等価トルクTmfという)と定義し、第1ロータ51に発生するトルクをT1、第2ロータ52に発生するトルクをT2としたときに、Tmf,T1,T2の間には、以下の式(39)の関係が成立する。なお、ここでは、銅損、鉄損等によるエネルギー損失は無視し得る程度に微小であるとする。
Figure 2011043118
上記式(38)により示される角速度の相互関係、及び上記式(39)により示されるトルクの相互関係は、シングルピニオン型の遊星歯車装置のサンギヤ,リングギヤ,キャリアの回転速度の相互関係、及びトルクの相互関係と同じ関係となる。すなわち、電機子磁極及び第1ロータ51の一方がサンギヤ、他方がリングギヤに対応し、第2ロータ52がキャリアに対応する。
したがって、回転機3は、遊星歯車装置としての機能(より一般的には、差動装置としての機能)を持つことになり、電機子磁極と第1ロータ51と第2ロータ52の回転が、式(38)で示される共線関係を保って行われる。
そして、この場合、回転機3は、一般の遊星歯車機構と同様にエネルギーの分配・合成機能を持つ。すなわち、ステータ53と第2ロータ52のコア521(軟磁性体)と第1ロータ51の永久磁石512との間で形成される磁気回路を介して、ステータ53のコイル532と第2ロータ52と第1ロータ51との間でのエネルギーの分配・合成が可能となる。
例えば、第1ロータ51及び第2ロータ52に負荷を与えた状態で、ステータ53のコイル532に電力(電気エネルギー)を供給して回転磁界を発生させることにより、コイル532に供給した電気エネルギーを、上記磁気回路を介して第1ロータ51及び第2ロータ52の回転運動エネルギーに変換して、第1ロータ51及び第2ロータ52を回転駆動する(第1ロータ51及び第2ロータ52にトルクを発生させる)ことができる。この場合、コイル532に入力される電気エネルギーは、第1ロータ51及び第2ロータ52に分配される。
また、例えば、第1ロータ51を外部から回転駆動する(第1ロータ51に外部から回転運動エネルギーを与える)と共に、第2ロータ52に負荷を与えた状態で、ステータ53のコイル532から電気エネルギーを出力させる(コイル532による発電を行う)ように回転磁界を発生させることにより、上記磁気回路を介して第2ロータ52の回転運動エネルギーとコイル532の発電エネルギーとに変換し、第2ロータを回転駆動すると共に、コイル532による発電を行うことができる。この場合、第1ロータ51に入力されるエネルギーが、第2ロータ52とコイル532とに分配される。
さらに、例えば、第1ロータ51を外部から回転駆動する(第1ロータ51に外部から回転運動エネルギーを与える)と共に、第2ロータ52に負荷を与えた状態で、ステータ53のコイル532に電気エネルギーを供給して回転磁界を発生させることにより、第1ロータ51に供給した回転運動エネルギーとコイル532に供給した電気エネルギーとを、上記磁気回路を介して第2ロータの回転運動エネルギーに変換し、第2ロータ52を回転駆動することができる。この場合、第1ロータ51に入力されるエネルギーとコイル532に供給されるエネルギーとが合成されて、第2ロータ52に伝達される。
このように、回転機3においては、第1ロータ51及び第2ロータ52の各回転運動エネルギーと、コイル532の電気エネルギーとの間の相互変換を行いつつ、第1ロータ51、第2ロータ52、及びコイル532との間で、エネルギーの分配と合成を行うことが可能である。
次に、図3〜図8を参照して、ECU60及びPDU10の構成と動作について説明する。図3を参照して、ECU60は、いわゆるd−qベクトル制御により回転機3のステータ53の各相のコイルの通電電流(相電流)を制御する。すなわち、ECU60は、回転機3のステータ53の3相分のコイルを、2相直流の回転座標であるd−q座標系での等価回路に変換して取り扱う。
ステータ53に対応する等価回路は、d軸上の電機子(以下、d軸電機子という)と、q軸上の電機子(以下、q軸電機子という)とを有する。そして、d−q座標系は、3相コイルのうちの基準コイルに対するd軸の位相を、上記式(39)により算出される回転角度位置θmfとし、d軸と直交する方向をq軸として、第1ロータ51及び第2ロータ52と共に回転する回転座標系となる。
ECU60は、位置センサ70(レゾルバ、エンコーダ等)により検出される第1ロータ51の機械角度位置θ1と、位置センサ71により検出される第2ロータ52の機械角度位置θ2とにより、上記式(39)により、回転角度位置θmfを算出する電気角変換器67と、相電流センサ72,73により検出されるU相電流検出値iu_sとW相電流検出値iw_sを、回転角度位置θmfに基づいて、d軸電機子のコイルに流れる電流(以下、d軸電流という)の検出値であるd軸電流検出値id_s、及びq軸電機子のコイルに流れる電流(以下、q軸電流という)の検出値であるq軸電流検出値iq_sに変換する3相/dq変換器65と、回転角度位置θmfを微分して電気角速度ωmfを算出する電気角速度算出器66とを備えている。
さらに、ECU60は、外部から与えられるトルク指令値Tr_c(本発明の要求運転状態に相当する)に応じて、d軸電流(界磁電流)の指令値であるd軸電流指令値id_c及びq軸電流(トルク電流)の指令値でるq軸電流指令値iq_cを生成する電流指令生成器68と、第1ロータ51及び第2ロータ52の回転により、ステータ53の電機子コイルに生じる逆起電圧を減少させるための電流(界磁弱め電流)を、d軸電機子に供給する補正を行ったd軸電流指令値id_ca及びq軸電流指令値iq_caを生成する界磁電流制御器69と、d軸電流指令値id_cとd軸電流検出値id_sとの差Δidを求める減算器61と、q軸電流指令値iq_cとq軸電流検出値iq_sとの差Δiqを求める減算器62と、Δidを減少させるようにd軸電機子のコイルの端子間電圧の指令値であるd軸電圧指令値Vd_c(本発明の電圧指令値に相当する)、及びΔiqを減少させるようにq軸電機子のコイルの端子間電圧の指令値であるq軸電圧指令値Vq_c(本発明の電圧指令値に相当する)を決定する電流制御器63と、d軸電圧指令値Vd_c及びq軸電圧指令値Vq_cを、回転角度位置θmfに基づいて、3相電圧の指令値であるU相電圧指令値Vu_c,V相電圧指令値Vv_c,W相電圧指令値Vw_cに変換するdq/3相変換器64とを備えている。
界磁電流制御器69は、d軸電圧指令値Vd_cとq軸電圧指令値Vq_cのベクトル和の大きさ(√(Vd_c2+Vq_c2))が、バッテリ11の出力電圧V0に応じて、V0よりも若干低く設定された上限電圧Vulmtを超えるときに、界磁弱め電流を通電させる補正を行って、d軸電流指令値id_ca及びq軸電流指令値iq_caを生成する。
なお、このように、d軸電流指令値id_cとq軸電流指令値iq_cを補正することによって、d軸電圧指令値Vd_cとq軸電流指令値Vq_cも補正される。
また、PDU10は、Vu_c,Vv_c,Vw_cに応じて、インバータを構成するスイッチング素子(トランジスタ等)をPWM制御によりスイッチングすることにより、昇圧回路13を介してバッテリ11から供給される電力から、回転機3のステータ53の3相コイルの通電制御を実行する。昇圧回路13におけるバッテリ11の出力電圧の昇圧比は、昇圧比制御器75により、トルク指令値Tr_cと電気角速度ωmfに基づいて決定される。
ここで、回転機3の電気角速度ωmfが上昇するに従って、ステータ53の電機子コイルに生じる逆起電圧が高くなる。そして、この逆起電圧がバッテリ11の出力電圧V0を超えた状態になると、PDU10から回転機3に通電することができなくなって、回転機3のトルク制御が不能となる。
そこで、ECU60は、(1)界磁電流制御器69により、界磁弱め電流を流すための補正を行ってd軸電流指令値id_ca及びq軸電流指令値iq_caを生成する第1処理(界磁弱め処理)と、(2)昇圧比制御器75により、昇圧回路13によるバッテリ11の出力電圧V0の昇圧比を1よりも大きくして、PDU10に供給する電圧VpをV0よりも高くする第2処理(昇圧処理)とのうちの、少なくともいずれか一方の処理を行って、回転機3のトルク制御が可能な範囲を拡大している。以下、第1処理及び第2処理について説明する。
[第1実施形態]
先ず、ECU60により実行される第1処理及び第2処理の第1実施形態について説明する。第1実施形態では、昇圧比制御器75が、図4に示したトルク−損失の相関マップに従って、第1処理と第2処理のどちらを優先して実行するかを決定する。
図4に示した相関マップは、縦軸を損失(Loss)に設定し、横軸をトルク(Tr)に設定して、予め設定された上限速度を超える電気角速度において、要求された回転機3のトルクを得るために、第1処理のみを行ったときの損失(第1損失)をa1で示し、第2処理のみを行ったときの損失(第2損失)をb1で示したものである。
図4の相関マップでは、トルクがTr10以下である範囲では、第1処理を実行したときの第1損失の方が、第2処理を実行したときの第2損失よりも小さくなっている。また、トルクがTr10を超えた範囲では、逆に、第2処理を実行したときの第2損失の方が、第1処理を実行したときの第1損失よりも小さくなっている。
そこで、昇圧比制御器75は、トルク指令値Tr_cがTr10以下であるときは、第1処理(界磁弱め処理)を行う。一方、トルク指令値Tr_cがTr10を超えているときには、昇圧比制御器75は、第2処理(昇圧処理)を行う。これにより、損失の発生を抑えて、回転機3の制御範囲における電気角速度の上限を拡大することができる。
なお、昇圧比制御器75は、昇圧比指令値Vb_cを昇圧回路13に出力することで、昇圧回路13によるバッテリ11の出力電圧V0の昇圧比を設定する。また、昇圧比制御75は、界磁電流指令値ir_cを界磁電流制御器69に出力することで、d軸指令電流id_c及びq軸指令電流iq_cの補正量を決定する。
[第2実施形態]
次に、ECU60により実行される第1処理及び第2処理の第2実施形態について説明する。第2実施形態では、昇圧比制御器75が、図5に示した昇圧比−損失の相関マップに従って、第1処理と第2処理の双方を実行する場合の、第1処理における界磁弱めの設定と、第2処理における昇圧比の設定を決定する。
図5に示した相関マップは、縦軸を損失(Loss)に設定し、横軸を昇圧比(Rate)に設定して、トルク電流(q軸電流)のみでトルク指令値Tr_cに応じたトルクを回転機3から出力させようとすると、d軸電圧指令値Vd_cとq軸電圧指令値Vq_cのベクトル和の大きさ(√(Vd_c2+Vq_c2))が、上記電圧Vulmtを超えるときに、上記第1処理(界磁弱め処理)と第2処理(昇圧処理)の双方を実行したときの損失の変化を示したものである。
図5において、a1は第1処理を行ったことにより生じる回転機3での損失(第1損失)を示し、b1は第2処理を行ったことにより生じる昇圧回路13での損失(第2損失)を示し、cは第1処理と第2処理により生じるトータルの損失(第1損失と第2損失の和)を示している。、
図5に示した相関マップでは、昇圧回路13の昇圧比をR10に設定したときに、cのトータル損失が最小(L22)になっている。そこで、昇圧比制御器75は、昇圧回路13の昇圧比をR10に設定する。また、界磁電流制御器69における界磁電流を流すための補正量を、R10に応じたa2の損失L21に相当する補正量に設定する。
このように、昇圧回路13の昇圧比と、界磁電流制御器69における補正量を決定することによって、回転機3と昇圧回路13におけるトータル損失を最小に抑えて、回転機3の制御可能範囲を拡大することができる。
[第3実施形態]
次に、上記第1実施形態及び第2実施形態と共に、或いは、上記第1実施形態及び第2実施形態とは別に、PDU10により実行される駆動電圧Vu,Vv,Vwの生成処理について説明する。
PDU10は、電気角速度ωmfが予め設定された上限速度以下であるときは、3相変調により駆動電圧Vu,Vv,Vwを生成する。また、電気角速度ωmfが上限速度を超えているときには、2相変調により駆動電圧Vu,Vv,Vwを生成する。そして、これにより、高速回転域におけるPDU10のインバータ回路におけるスイッチング素子(トランジスタ等)のスイッチング回数を減少させて、スイッチング損失を低減させている。
以下、図6〜図8を参照して、2相変調による駆動電圧Vu,Vv,Vwの生成処理について説明する。図6(a)は3相変調により生成される駆動電圧の1相を示しており、3相変調では、全域においてPWM制御によるDuty切り替えが行われているため、PDU10におけるスイッチング素子のスイッチング回数が多くなる。
それに対して、図6(b)は2相変調により生成される駆動電圧の1相を示しており、2相変調では、電気角60°の範囲で、Duty0%或いはDuty100%に設定され、この範囲ではPDU10におけるスイッチング素子のスイッチングが行われない。そのため、スイッチング素子のスイッチング回数が3相変調よりも少なくなる。
また、図7(a)は、3相変調により生成された3相の駆動電圧U1,V1,W1と、相関電圧UV1,VW1,WU1の波形を、縦軸を電圧(V)とし、横軸を時間(t)として示している。それに対して、図7(b)は、2相変調により生成された3相の駆動電圧U2,V2,W2と、相関電圧UV2,VW2,WU2の波形を、縦軸を電圧(V)とし、横軸を時間(t)として示している。
図7(a)と図7(b)を比較すると、3相変調による駆動電圧U1,V1,W1と、2相変調による駆動電圧U2,V2,W2の波形は異なっているが、3相変調による相関電圧UV1,VW1,WU1と、2相変調による相関電圧UV2,VW2,WU2の波形は等しくなっていることがわかる。
そのため、回転機3のステータ53の電機子コイルに印加される電圧(相間電圧)は、3相変調による場合と2相変調による場合とで同一となるため、回転機3の出力は変わらない。
次に、図8は、2相変調による駆動電圧の生成方法を示したものである。例えば、正側においては、2相変調による駆動電圧W2は、3相変調による駆動電圧W1の120°〜180°の範囲を、Duty100%レベルの電圧Pvに置き換えて生成されている。そして、この置き換えのためのオフセット分p1に応じて、他の3相変調による駆動電圧V1,W1にもオフセット分p2,p3を付加して、2相変調による駆動電圧U2,V2を生成している。いる。
また、負側においても、同様にして、例えば、2相変調による駆動電圧V2は、3相変調による駆動電圧V1の180°〜240°の範囲を、Duty0%レベルの電圧Mvに置き換えて生成されている。そして、この置き換えのためのオフセット分m1に応じて、他の3相変調による駆動電圧U1,W1にもオフセット分m2,m3を付加して、2相変調による駆動電圧U2,W2を生成している。
なお、d軸電圧指令値Vd_cとq軸電圧指令値Vq_cのベクトル和の大きさ(√(Vd_c2+Vq_c2))が、上限電圧Vulmt以下であるか否かに応じて、ベクトル和の大きさが上限電圧Vulmt以下であるときは3相変調により駆動電圧を生成し、ベクトル和の大きさが上限電圧Vulmtを超えるときには、2相変調により駆動電圧を生成するようにしてもよい。
また、電気角速度ωmfが予め設定された上限速度以下であるか否かに応じて、電気角速度ωmfが上限速度以下であるときは正弦波通電による駆動電圧Vu,Vv,Vwを生成し、電気角速度ωmfが上限速度を超えることには矩形波通電による駆動電圧Vu,Vv,Vwを生成するようにしてもよい。
さらに、d軸電圧指令値Vd_cとq軸電圧指令値Vq_cのベクトル和の大きさ(√(Vd_c2+Vq_c2))が、上限電圧Vulmt以下であるか否かに応じて、ベクトル和の大きさが上限電圧Vulmt以下であるときは正弦波通電による駆動電圧Vu,Vv,Vwを生成し、ベクトル和の大きさが上限電圧Vulmtを超えるときには、矩形波通電による駆動電圧Vu,Vv,Vwを生成するようにしてもよい。
なお、本実施の形態では、回転機3のステータ53にU,V,Wの3相のコイルを備えたが、3相以外の相数のコイルによって、回転磁界(移動磁界)を発生させるようにしてもよい。
また、本実施の形態では、本発明の電動機として回転機3を示したが、直動機(リニアモータ)に対しても、本発明を同様に適用してその効果を得ることができる。
また、本実施の形態では、ECU60により、回転機3をd−q座標系での等価回路に変換して制御したが、このような変換を行わない場合であっても、上記式(37)又は上記式(38)の関係を維持するように、回転機3のステータ53の3相コイル532の通電制御を行うことで、本発明の効果を得ることができる。
以上のように、本発明の電動機システムによれば、小型化を図ると共に設計の自由度を高めた電動機の運転可能範囲を拡大することができるから、電動機システムを利用する上で有用である。

Claims (14)

  1. 所定方向に並んだ複数の磁極で構成された磁極列を有する第1可動子と、
    前記所定方向に並んだ複数の電機子を有して、前記磁極列と対向して配置され、電力の供給に応じて前記複数の電機子に発生する電機子磁極により、前記所定方向に移動する移動磁界を前記磁極列との間に発生させる電機子列を有する固定子と、
    前記磁極列と前記電機子列との間に位置し、コア部と該コア部よりも透磁率が低い部分が前記所定方向に交互に配置された第2可動子とを備え、
    前記電機子磁極の数と前記磁極の数と前記コア部の数との比が、1:m:(1+m)/2(但し、m≠1.0)に設定されている電動機と、
    電源と、
    所定の要求運転状態に応じて、前記電機子のコイルに供給する電圧の指令値である電圧指令値を決定し、該電圧指令値が前記電源の出力電圧に応じて設定された上限電圧を超えたとき、又は前記移動磁界の速度が所定の上限速度を超えたときに、前記磁極の磁束を減少させる界磁弱め電流を生じさせるように、該電圧指令値を補正する制御装置と、
    前記電源の出力電力から前記電圧指令値に応じた駆動電圧を生成して、前記電機子のコイルに供給する駆動回路と
    を備えたことを特徴とする電動機システム。
  2. 請求項1記載の電動機システムにおいて、
    前記制御装置は、前記電圧指令値が前記上限電圧を超えたことにより、前記電圧指令値の補正を行って、前記駆動回路により前記電機子のコイルに駆動電圧を供給している状態で、前記電圧指令値が前記上限電圧以下となったときには、前記電圧指令値の補正を中止することを特徴とする電動機システム。
  3. 請求項1記載の電動機システムにおいて、
    前記制御装置は、前記移動磁界の速度が前記上限速度を超えたことにより、前記電圧指令値の補正を行って、前記駆動回路により前記電機子のコイルに駆動電圧を供給している状態で、前記移動磁界の速度が前記上限速度以下となったときには、前記電圧指令値の補正を中止することを特徴とする電動機システム。
  4. 所定方向に並んだ複数の磁極で構成された磁極列を有する第1可動子と、
    前記所定方向に並んだ複数の電機子を有して、前記磁極列と対向して配置され、電力の供給に応じて前記複数の電機子に発生する電機子磁極により、前記所定方向に移動する移動磁界を前記磁極列との間に発生させる電機子列を有する固定子と、
    前記磁極列と前記電機子列との間に位置し、コア部と該コア部よりも透磁率が低い部分が前記所定方向に交互に配置された第2可動子とを備え、
    前記電機子磁極の数と前記磁極の数と前記コア部の数との比が、1:m:(1+m)/2(但し、m≠1.0)に設定されている電動機と、
    電源と、
    前記電源の出力電圧を昇圧する昇圧回路と、
    所定の要求運転状態に応じて、前記電機子のコイルに供給する電圧の指令値である電圧指令値を決定し、該電圧指令値が前記電源の出力電圧に応じて設定された上限電圧を超えたとき、又は前記移動磁界の速度が所定の上限速度を超えたときに、前記昇圧回路により前記電源の出力電圧を昇圧させる制御装置と、
    前記電源の出力電力から前記電圧指令値に応じた駆動電圧を生成して、前記電機子のコイルに供給する駆動回路と
    を備えたことを特徴とする電動機システム。
  5. 請求項4記載の電動機システムにおいて、
    前記制御装置は、前記電圧指令値が前記上限電圧を超えたことにより、前記昇圧回路により前記電源の出力電圧を昇圧させて、前記駆動回路により前記電機子のコイルに駆動電圧を供給している状態で、前記電圧指令値が前記上限電圧以下となったときには、前記昇圧回路による前記電源の出力電圧の昇圧を中止することを特徴とする電動機システム。
  6. 請求項4記載の電動機システムにおいて、
    前記制御装置は、前記移動磁界の速度が前記上限速度を超えたことにより、前記昇圧回路により前記電源の出力電圧を昇圧させて、前記駆動回路により前記電機子のコイルに駆動電圧を供給している状態で、前記移動磁界の速度が前記上限速度以下となったときには、前記昇圧回路による前記電源の出力電圧の昇圧を中止することを特徴とする電動機システム。
  7. 所定方向に並んだ複数の磁極で構成された磁極列を有する第1可動子と、
    前記所定方向に並んだ複数の電機子を有して、前記磁極列と対向して配置され、電力の供給に応じて前記複数の電機子に発生する電機子磁極により、前記所定方向に移動する移動磁界を前記磁極列との間に発生させる電機子列を有する固定子と、
    前記磁極列と前記電機子列との間に位置し、コア部と該コア部よりも透磁率が低い部分が前記所定方向に交互に配置された第2可動子とを備え、
    前記電機子磁極の数と前記磁極の数と前記コア部の数との比が、1:m:(1+m)/2(但し、m≠1.0)に設定されている電動機と、
    電源と、
    前記電源の出力電圧を昇圧する昇圧回路と、
    所定の要求運転状態に応じて、前記電機子のコイルに供給する電圧の指令値である電圧指令値を決定し、該電圧指令値が前記電源の出力電圧に応じて設定された上限電圧を超えるときに、前記磁極の磁束を減少させる界磁弱め電流を生じさせるように該電圧指令値を補正する第1処理を行うことにより生じる第1損失と、前記昇圧回路により前記電源の出力電圧を昇圧させる第2処理を行うことにより生じる第2損失とを推定し、第1損失と第2損失の推定結果に基づいて、前記補正のレベルと前記昇圧のレベルを決定する制御装置と、
    前記電源の出力電力から前記電圧指令値に応じた駆動電圧を生成して、前記電機子のコイルに供給する駆動回路と
    を備えたことを特徴とする電動機システム。
  8. 請求項7記載の電動機システムにおいて、
    前記制御装置は、前記第1処理と前記第2処理とのうち、損失が小さくなる方の処理を優先して行うことを特徴とする電動機システム。
  9. 請求項7記載の電動機システムにおいて、
    前記制御装置は、前記第1損失と前記第2損失の合算値が最小となるように、前記第1処理による補正のレベルと、前記第2処理による前記電源の出力電圧の昇圧のレベルを決定することを特徴とする電動機システム。
  10. 所定方向に並んだ複数の磁極で構成された磁極列を有する第1可動子と、
    前記所定方向に並んだ複数の電機子を有して、前記磁極列と対向して配置され、電力の供給に応じて前記複数の電機子に発生する電機子磁極により、前記所定方向に移動する移動磁界を前記磁極列との間に発生させる電機子列を有する固定子と、
    前記磁極列と前記電機子列との間に位置し、コア部と該コア部よりも透磁率が低い部分が前記所定方向に交互に配置された第2可動子とを備え、
    前記電機子磁極の数と前記磁極の数と前記コア部の数との比が、1:m:(1+m)/2(但し、m≠1.0)に設定されている電動機と、
    電源と、
    所定の要求運転状態に応じて、前記電機子のコイルに供給する電圧の指令値である電圧指令値を決定する制御装置と、
    前記電源の出力電圧から前記電圧指令値に応じた駆動電圧を生成して、前記電機子のコイルに供給し、該駆動電圧の生成態様を、前記電圧指令値が前記電源の出力電圧に応じて設定された上限電圧以下であるか否か、又は前記移動磁界の速度が所定の上限速度以下であるか否かにより切替える駆動回路と
    を備えたことを特徴とする電動機システム。
  11. 請求項10記載の電動機システムにおいて、
    前記駆動回路は、前記電圧指令値が前記上限電圧以下であるときは、正弦波通電により前記電圧指令値に応じた駆動電圧を生成し、前記電圧指令値が前記上限電圧を超えているときには、矩形波通電により前記電圧指令値に応じた駆動電圧を生成することを特徴とする電動機システム。
  12. 請求項10記載の電動機システムにおいて、
    前記駆動回路は、前記電圧指令値が前記上限電圧以下であるときは、前記3相全ての電機子のコイルの印加電圧を変化させる3相変調により、前記電圧指令値に応じた駆動電圧を生成し、前記電圧指令値が前記上限電圧を超えるときには、前記3相のうち2相の電機子のコイルの印加電圧のみを変化させる2相変調により、前記電圧指令値に応じた駆動電圧を生成することを特徴とする電動機システム。
  13. 請求項10記載の電動機システムにおいて、
    前記駆動回路は、前記移動磁界の速度が前記上限速度以下であるときは、正弦波通電により前記電圧指令値に応じた駆動電圧を生成し、前記移動磁界の速度が前記上限速度を超えるときには、矩形波通電により前記電圧指令値に応じた駆動電圧を生成することを特徴とする電動機システム。
  14. 請求項10記載の電動機システムにおいて、
    前記駆動回路は、前記移動磁界の速度が前記上限速度以下であるときは、前記3相の全ての電機子のコイルの印加電圧を変化させる3相変調により、前記前記電圧指令値に応じた駆動電圧を生成し、前記移動磁界の速度が前記上限速度を超えるときには、前記3相のうち2相の電機子のコイルの印加電圧のみを変化させる2相変調により、前記電圧指令値に応じた駆動電圧を生成することを特徴とする電動機システム。
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