JPWO2011039971A1 - オゾンガス発生装置及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

一対の電極14,14の各々の対向面側に、各々1つずつ誘電体13が設けられている。一対の誘電体13,13の間には、原料ガス供給経路とオゾンガス取出経路とが接続された放電空隙20が形成されている。一対の誘電体13,13には、放電空隙20に面する機能膜17が設けられている。機能膜17には、ニオブやタンタル、モリブデン、クロムから選択される1種又は2種以上の金属の第1金属酸化物と、チタン、タングステン、亜鉛、鉄から選択される1種又は2種以上の金属の第2金属酸化物とが含まれている。

Description

本発明は、高純度オゾンガスの生成に適したオゾンガス発生装置及びその製造方法に関する。
近年、シリコンウエハの洗浄等に用いるために、半導体製造設備でオゾンガス発生装置が多用されつつある。半導体製造設備では、僅かな不純物や異物が混入しても生産性に大きく影響するため、そこで使用されるオゾンガス発生装置も高純度なオゾンガスの生成能力が必要とされる。そのため、原料ガスに高純度の酸素ガス(例えば99.9%以上)を使用することはもちろん、生成されるオゾンガス中への僅かな不純物の混入でさえも徹底して排除する必要がある。
例えば、電極が放電空隙に露出しているとその表面からガス中に不純物が混入するおそれがある。そのため、通常、このようなオゾンガス発生装置の放電セルでは、電極が放電空隙に露出しないよう、アルミナ等の誘電体が電極と放電空隙との間に設けられている。
ところが、そのように電極からの不純物の混入を防止し、原料ガスに高純度な酸素ガスを用いて純度を高めると、高濃度なオゾンガスを安定して生成することができないという問題がある(例えば、特許文献1等)。そこで、高純度な酸素ガスに微量の窒素ガス等の触媒ガスを添加することなどが行われているが、そうすると、半導体の製造にとって好ましくない窒素酸化物が副生成物として生成されるため、半導体分野向けのオゾンガス発生装置には適さないという問題がある。
そのようなことから、触媒ガスを用いずに高純度な酸素ガスだけで高濃度なオゾンガスを安定して生成できる手段が要望されており、本出願人もこれまでいくつか提案している(特許文献1,2)。
例えば、特許文献1では、所定量の酸化チタンを誘電体に加えることを提案した。そうすることで、触媒ガスを含まない高純度の酸素ガスを用いた場合でも、オゾンガスを安定して生成できるようになる。更に、特許文献2では、Ti(チタン)、W(タングステン)、Sb(アンチモン)、Mn(マンガン)、Fe(鉄)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、V(バナジウム)、Zn(亜鉛)やこれらの酸化物が有効であることを見出し、これらの粉末を誘電体の表面にガラス系の焼き付け固定剤で固定することを提案した。
特許第3740254号公報 特開2008−156218号公報
上述した特許文献1や2の手段を用いることにより、原料ガスに高純度な酸素ガスだけを使用しても、ある程度は高濃度オゾンガスを安定して生成することができる。しかし、半導体の高機能化に伴って半導体製造設備に求められる清浄性はより高度になる。それに伴い、そこで使用されるオゾンガス発生装置も、より高度な性能が求められるようになってきている。
ところで、本発明者は、誘電体の表面にニオブ等の金属酸化物でできた機能膜を設けることを先に提案している(例えば、特願2009−205009)。このような機能膜を設けることで、原料ガスに高純度な酸素ガスのみを使用しても、より安定して高濃度なオゾンガスを生成させることができるようになる。
しかしながら、ニオブ等の金属酸化物だけでできた機能膜の場合、耐久性を調べるために1000時間以上の過酷な連続運転を続けると、僅かではあるがオゾンガスの生成濃度が徐々に低下する傾向が認められた。酸化チタン単体の場合でも同様の傾向が認められた。
そこで、本発明の目的は、原料ガスに高純度な酸素ガスだけを使用しても、より安定的に高濃度オゾンガスが生成でき、耐久性にも優れるオゾンガス発生装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明のオゾンガス発生装置では、誘電体に、ニオブ等の特定の第1金属酸化物と、光触媒として機能するチタン等の特定の第2金属酸化物とを含む機能膜を設けた。
具体的には、本発明に係るオゾンガス発生装置は、向い合せに配置された一対の誘電体と、前記一対の誘電体間に形成される放電空隙と、前記放電空隙に放電を発生させる少なくとも一対の電極と、前記放電空隙に原料ガスを供給する原料ガス供給経路と、前記放電空隙からオゾンガスを取り出すオゾンガス取出経路と、前記一対の誘電体のうち、少なくともいずれか一方に設けられて前記放電空隙に面する機能膜とを備えている。
そして、前記機能膜が、ニオブ、タンタル、モリブデン、クロムから選択される1種又は2種以上の金属の第1金属酸化物と、チタン、タングステン、亜鉛、鉄から選択される1種又は2種以上の金属の第2金属酸化物とを含むように構成されている。
なお、放電の方式は無声放電でも沿面放電でもよい。電極は一対あれば足りるが、それ以上あってもよく、その数は必要に応じて適宜設定することができる。
係る構成のオゾンガス発生装置によれば、原料ガスが供給され、そして、一対の電極によって電圧が印加されて放電が発生する、放電空隙に面してニオブ等の特定の第1金属酸化物とチタン等の特定の第2金属酸化物とを含む機能膜が設けられているので(第1金属酸化物及び第2金属酸化物を合わせて複合金属酸化物ともいう)、放電により原料ガスからオゾンガスが生成される際に、複合金属酸化物を効果的に作用させることができる。
そして、そのように複合金属酸化物を作用させると、詳しいメカニズムはわからないが、原料ガスに高純度な酸素ガスのみを使用しても、安定して高濃度なオゾンガスを生成させることができる。加えて、1000時間以上の過酷な連続運転を続けてもオゾンガスの生成濃度がほとんど変わらず、初期のオゾンガスの生成濃度を保持できるようになる。
より具体的には、前記機能膜を前記第1金属酸化物と前記第2金属酸化物とで構成する。そして、前記機能膜には、モル比で、前記第2金属酸化物を1としたときに前記第1金属酸化物が0.03〜3000となる比率で含まれているようにすればよい。
そうすれば、第1金属酸化物と第2金属酸化物とが適切な比率となり、機能膜による特有の作用効果を効果的に発揮させることができる。
前記機能膜は、前記第2金属酸化物の層の上に前記第1金属酸化物の層が積層された積層構造を含むようにすることができる。
そうすることで、第1金属酸化物の層と第2金属酸化物の層とをそれぞれ個別に形成することができるため、機能膜の全体にわたって品質を均一にすることができ、高性能な機能膜を形成することができる。
このような構造のオゾンガス発生装置は、例えば、前記誘電体の上に、スパッタリングにより前記第2金属酸化物を構成する金属の下層膜を形成する第1金属膜形成工程と、前記下層膜の上に、スパッタリングにより前記第1金属酸化物を構成する金属の上層膜を形成する第2金属膜形成工程と、前記一対の誘電体を向い合せに配置し、加熱による溶着により前記一対の誘電体を一体に接合する接合工程と、を含み、前記接合工程における加熱処理が、酸素含有雰囲気下で行われる製造方法を用いて製造すればよい。
そうすれば、各金属の各層を精度高く形成することができるので、薄くて高機能な機能膜のベースを形成することができる。そして、誘電体の接合と同時に各金属を酸化して機能膜を形成することができるので、生産性に優れる。
以上説明したように、本発明によれば、原料ガスに高純度な酸素ガスだけを使用しても、高濃度なオゾンガスを長期にわたって安定して生成できるようになり、半導体分野に好適で、耐久性に優れたオゾンガス発生装置を提供することができる。
オゾンガス発生機の概略斜視図である。 オゾンガス生成部の模式断面図である。 図2におけるI−I線から見た模式断面図である。 オゾン濃度の経時変化を表したグラフである。実線は実施例を、破線が比較例を表している。 機能膜の構成を表した概念図である。 オゾン濃度とモル比との関係についての試験結果をまとめた表である。 図6の関係を表したグラフである。 オゾンガス発生装置の製造工程を示すフローチャートである。 機能膜の変形例の構成を表した概念図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。ただし、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物あるいはその用途を制限するものではない。
(オゾンガス発生装置の構成)
図1に、本発明を適用したオゾン発生機1(オゾンガス発生装置)を示す。このオゾン発生機1は、半導体分野向けの機種であり、高純度なオゾンガスを安定して生成できるように構成されている。オゾン発生機1には、原料ガス供給部2(原料ガス供給経路)やオゾンガス生成部3、オゾンガス取出部4(オゾンガス取出経路)などが備えられている。更に、オゾン発生機1には、これらを駆動制御する駆動制御部や操作部なども備えられている(図示せず)。
このオゾン発生機1では、原料ガス供給部2からオゾンガス生成部3に原料ガスが供給され、オゾンガス生成部3において原料ガスからオゾンガスが生成される。生成されたオゾンガスはオゾンガス取出部4を経由してオゾン発生機1の外部に取り出される。例えば、半導体製造設備では、このオゾン発生機1から取り出されるオゾンガスを純水に溶解させてオゾン水を生成し、シリコンウエハの洗浄等に用いられる。
原料ガス供給部2には、原料ガス供給配管等が設けられている(図示せず)。原料ガス供給配管の一端は、原料ガスの供給源に連通し、他端はオゾンガス生成部3に連通している。この原料ガス供給配管には、例えばステンレス等の金属やフッ素樹脂など、不純物が混入し難い素材が用いられている。オゾンガス取出部4にも、これと同様にオゾンガス取出配管が設けられている。なお、原料ガスには高純度の酸素ガス(99.9%以上)が用いられ、原料ガスへの窒素ガス等の触媒ガスの添加は行われない。
図2に、このオゾン発生機1の主要部であるオゾンガス生成部3を模式的に示す。同図に示すように、オゾンガス生成部3には放電セル11が備えられていて、この放電セル11に高周波高圧電源12が接続されている。放電セル11には、誘電体13や電極14、区画壁15、接合層16(溶融部材)、機能膜17などが備えられている。
誘電体13は、図3にも示すように、高純度のアルミナを焼成して矩形に形成された板状の部材である。誘電体13の板厚は、例えば0.05〜1mmであり、安定した性能を得るには0.1〜0.3mmとするのが好ましい。誘電体13の平行な一方の両縁部には、それぞれ、各縁に沿って延びる帯状のガス流路18,18が貫通形成されている。これらガス流路18,18のうち一方のガス流路18は、原料ガス供給部2に連通して原料ガス供給経路の一部を構成している(原料ガス流入口18a)。その他方のガス流路18は、オゾンガス取出部4に連通してオゾンガス取出経路の一部を構成している(オゾンガス流出口18b)。
また、誘電体13の平行な他方の両縁部にも、それぞれ、各縁に沿って延びる帯状の冷媒流路19,19が貫通形成されている。これら冷媒流路19には放電セル11を冷却するための冷媒が流通される。誘電体13は、1つの放電セル11に対して2枚一組で用いられ、向い合せにして、間に僅かな隙間(ギャップ)を介して略平行に配置されている。なお、本実施形態では便宜上、基本構造を示すために1つの放電セル11を示しているが、放電セル11は1つに限らず複数設けてあってもよい。
本実施形態の放電セル11は、無声放電方式を採用している。外側に向く各誘電体13の背面には、それぞれ、誘電体13よりも縦横幅がひとまわり小さく形成された膜状の電極14,14が互いに対向するように設けられている。これら電極14,14のうち一方電極14は高周波高圧電源12の一方の端子側に電気的に接続されている(高圧電極)。他方の電極14は、接地されている高周波高圧電源12の他方の端子側に電気的に接続されている(低圧電極)。
各誘電体13の互いに向い合う対向面13aには、ガラス系素材からなる区画壁15が設けられている。区画壁15は、誘電体13の対向面13aの上に積層されていて、対向面13aを囲むようにその周辺部に設けられる囲繞部15aと、囲繞部15aの内側に複数設けられる線状のリブ部15bとを有している。各リブ部15bは原料ガス流入口18aからオゾンガス流出口18bに向かって延びるように設けられ、互いに隣接するリブ部15b,15bどうしは所定の間隔を隔てて略平行に配置されている。
各誘電体13に設けられた区画壁15の上端部は、互いに突き合わせた状態で間に接合層16を介して一体に接合されている。接合層16は区画壁15と同質のガラス系素材からなる。こうして接合された一対の誘電体13,13の間には、周りが区画壁15で区画された複数の帯状の放電空隙20,20,…が形成されている。放電空隙20のギャップ寸法(対向面13aに直交する方向の寸法)は、200μm以下に設定されている。なお、この隙間寸法は小さい方が好ましく、例えば50μm以下に設定するのが好ましい。
放電空隙20を区画している誘電体13の対向面13aの上には機能膜17が形成されている。具体的には、区画壁15で複数区画された帯状の対向面13aを被覆するように機能膜17が形成されている。このオゾン発生機1では、原料ガスに高純度な酸素ガスだけを用いて高濃度なオゾンガスを長期にわたって安定して生成できるように機能膜17に工夫が凝らされている。
具体的には、この機能膜17には、触媒機能を有する特定の金属酸化物(第1金属酸化物)と、光触媒機能を有する特定の金属酸化物(第2金属酸化物)とが含まれている(これら両者を合わせて複合金属酸化物ともいう)。
ここでいう第1金属酸化物としては、ニオブ(Nb)やタンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)の金属酸化物、すなわち、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化モリブデン、酸化クロムを用いることができる。第1金属酸化物は、各金属酸化物のいずれか1種であってもよいし、各金属酸化物のいずれか2種以上を混合したものであってもよい。また、ここでいう第2金属酸化物としては、チタン(Ti)やタングステン(W)、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)の金属酸化物、すなわち、酸化チタン、酸化タングステン、酸化亜鉛、酸化鉄を用いることができる。第2金属酸化物の場合も、各金属酸化物のいずれか1種であってもよいし、各金属酸化物のいずれか2種以上を混合したものであってもよい。
これまでにもいくつか有効な素材を提案しているように、本発明者は、高純度で高濃度なオゾンガスを安定して生成するべく、触媒効果を発揮する機能素材を求めて研究開発を行っている。例えば、チタンやニオブ、タンタル、モリブデン、クロムの金属酸化物に、オゾンガスの生成に対して優れた触媒効果が得られることを見出している。
ところが、これらチタンやニオブ等の金属酸化物を単独で用いた場合、原因はわからないが、耐久性を調べるために1000時間を超える過酷な長期間連続運転を行うと、僅かではあるがオゾンガスの生成濃度(最高到達濃度)が徐々に低下する傾向が認められた。そこで、このような現象を改善すべく検討を試みた結果、ニオブ等の金属酸化物と光触媒機能を有するチタン等の金属酸化物とを所定の比率で組み合わせることにより、上述したオゾンガスの生成濃度の低下が抑制されることを見出した。
図4に、オゾン発生機を長時間連続運転した場合におけるオゾンガスの生成濃度の経時変化の一例を示す。同図中、実線は、機能膜に複合金属酸化物(具体的には、NbとTiO)が含まれている場合を表しており(実施例)、破線は、機能膜に金属酸化物(具体的には、Nb)が単独で含まれている場合を表している(比較例)。横軸は経過時間(h)であり、縦軸はオゾンガスの生成濃度(g/m(N))である。
同図に示すように、比較例では、連続運転開始から1000時間を超えるとオゾンガスの生成濃度が徐々に低下したが、実施例では、1000時間を優に超えても当初のオゾンガスの生成濃度とほとんど変わらず、300g/mを超える所定の高濃度が保持されていた。従って、機能膜に複合金属酸化物を含ませることで、オゾン発生機の耐久性を向上させることが可能になる。
そこで、本実施形態では、第2金属酸化物を構成するチタン等の金属の層の上に第1金属酸化物を構成するニオブ等の金属の層を積層し、酸素含有雰囲気下で加熱して、機能膜17の全体が複合金属酸化物で構成されるようにしている。
図5に、機能膜17の概念図を示す。同図に示すように、本実施形態の機能膜17は、主に酸化チタン等の第2金属酸化物からなる下層17aと、主に酸化ニオブ等の第1金属酸化物からなる上層17bとで構成されている。ただし、上層17aと下層17bとは完全に分かれた積層構造にはなっておらず、加熱による酸化の過程で、下層17aの酸化チタン等の一部は上層17bの表面に露出しているものと推測される。
機能膜には、モル比で、第2金属酸化物を1としたときに第1金属酸化物が0.03〜3000となる比率で含まれるように設定するのが好ましい。、換言すれば、第2金属酸化物のモル数を1としたときに、第1金属酸化物のモル数が0.03〜3000の範囲内となる比率で第1金属酸化物と第2金属酸化物とが機能膜に含まれるように設定するのが好ましい。このような比率に設定することで、第1金属酸化物と第2金属酸化物とを適切な比率で含ませることができ、機能膜による特有の作用効果を効果的に発揮させることができる。
図6、図7に、モル比(第1金属酸化物/第2金属酸化物)と安定時のオゾン濃度との関係について調べた試験結果の一例を示す。なお、本試験は酸化ニオブ(Nb:第1金属酸化物)と酸化チタン(TiO:第2金属酸化物)とによるものである。これらに示すように、モル比が0.03を下回るとオゾン濃度は大きく低下する傾向が認められた。モル比0.1〜1付近にピークがあり、ピークからモル比が大きくなるにつれてオゾン濃度は逓減したがモル比3000でも200g/m以上のオゾン濃度が維持されていた。特に、モル比0.1〜10の範囲では、300g/m以上の高いオゾン濃度が保持されていた。
酸化タングステンや酸化亜鉛、酸化鉄も、酸化チタンと同様の傾向が認められた。ただし、ピークでのオゾン濃度は、酸化チタンの場合は約340g/mであったのに対し、酸化タングステン(WO)の場合は約300g/mであり、酸化亜鉛(ZnO)の場合は約220g/mであり、酸化鉄(Fe)の場合は約250g/mであった。
本実施形態のように、第1金属酸化物と第2金属酸化物とを積層して機能膜17を形成する場合には、機能膜17の厚み(総厚)を1としたとき、第2金属酸化物の膜厚が0.1〜0.6の範囲内となるように設定するのが好ましい。第2金属酸化物の膜厚が0.1を下回ると、生産時のばらつき等の影響により、量産時に第2金属酸化物の膜厚が不足して所定の性能が得られない不良品の発生を招くおそれがある。一方、第2金属酸化物の膜厚が0.6を上回ると、第1金属酸化物の膜厚が薄くなり過ぎてこれら特有の触媒機能が損なわれるおそれがある。
機能膜17の厚み(総厚)は0.1〜10μmの範囲で設定するのが好ましく、1μm等、0.5〜1.5μmの範囲で設定するのが特に好ましい。0.1μmを下回ると、成膜時のばらつきによって適正な性能が発揮できないおそれがある。一方、10μmを上回ると、下層17aの第2金属酸化物による作用が得られないおそれがある。
このように構成された放電セル11の放電空隙20には、原料ガス供給部2から原料ガス流入口18aを通じて高純度な酸素ガスが供給される。そして、一対の電極14,14の間に高電圧が印加されると、放電空隙20内には無声放電が発生する。この無声放電と、放電空隙20に面する機能膜17との作用によって、放電空隙20内には濃度の安定したオゾンガスが生成され、オゾンガス流出口18bからオゾンガス取出部4を経由して高純度なオゾンガスがオゾン発生機1の外側に送出される。
(オゾンガス発生装置の製造方法)
オゾン発生機1の主要部である放電セル11については、例えば、次のような第1及び第2の金属膜形成工程と、接合工程とを含む製造方法を用いることで容易に製造することができる(図8参照)。
まず、誘電体13に対して第2金属酸化物を構成するチタン等の金属の膜(下層膜)をスパッタリングにより形成する(第1金属膜形成工程:S1)。具体的には、誘電体13の対向面13a側に区画壁15を形成した後、マスク等を用いてその所定部分に所定量のチタン等の金属の膜を形成する。
続いて、下層膜と同様に処理して、下層膜の上に重ねるように、第1金属酸化物を構成するニオブ等の金属を所定量用いて膜(上層膜)を形成し、積層された金属膜(積層金属膜)を形成する(第2金属膜形成工程:S2)。このように、スパッタリングを繰り返して膜を積層することで、薄い積層金属膜であっても比較的容易に精度高く形成することができる。その結果、ギャップ寸法をより小さく設定できるため、より高濃度なオゾンガスを安定して生成できる利点がある。
なお、区画壁15については、誘電体13に対してガラス系の素材を塗布、焼成することにより形成することができる。具体的には、スクリーン印刷により、ガラス系素材のペーストを誘電体13の対向面13aの所定部分に塗布する。その後、ガラス系素材が溶融する800℃以上の所定温度で所定時間焼成し、冷却固化させる。この塗布、焼成の処理を繰り返し行って積層された区画壁15を形成してもよい。
次に、溶融部材を介して一対の誘電体13を向い合せに配置した後、加熱して一対の誘電体13,13を一体に接合する(接合工程:S3)。溶融部材には、例えば、区画壁15と同質のガラス系素材のペーストを用いることができる。具体的には、各誘電体13の対向面13aに設けた区画壁15の上端部に溶融部材を塗布し、区画壁15の上端部どうしを密着させる。そうして、溶着部材が溶融する800℃以上の所定温度に加熱し、所定時間焼成する。
このとき、酸素を含有する雰囲気下で焼成を行い、加熱条件を調整して積層金属膜の全体が酸化されるように設定する(機能膜形成工程)。そのようにすれば、焼成後に冷却すると、溶融部材は固化して接合層16を形成し、一対の誘電体13,13は一体に接合される。積層金属膜は酸化されて、そのほぼ全体が複合金属酸化物で形成された機能膜17となる。すなわち、誘電体13の接合と同時に機能膜17を形成することができるので、工数が削減でき、生産性に優れる。
なお、本発明にかかるオゾンガス発生装置は、前記の実施の形態に限定されず、それ以外の種々の構成をも包含する。
例えば、図9に示すように、第1金属酸化物を構成するニオブ等の金属の微粒子、又は酸化ニオブ等の第1金属酸化物の微粒子17dを、第2金属酸化物を構成するチタン等の金属の微粒子又は酸化チタン等の第2金属酸化物の微粒子17eとともに、所定の比率でガラス系素材のペースト17cに混合してスクリーン印刷により塗布し、焼成することにより機能膜17を形成することもできる。また、スパッタリング時に酸素ガスを導入して、誘電体13に金属酸化物からなる機能膜17を直接形成してもよい。
その他、機能膜17は誘電体13の一方のみに設けてもあってもよい。区画壁15をいずれか一方の誘電体13にのみ形成し、他方の誘電体13に溶融部材を介して直接溶着するようにしてあってもよい。放電方式は、無声放電に限らず沿面放電を採用することもできる。オゾンガス発生装置は、単体で使用する形態に限らず、例えば、オゾン水製造装置に組み込むような部品形態で使用してもよい。
1 オゾン発生機(オゾンガス発生装置)
2 原料ガス供給部(原料ガス供給経路)
3 オゾンガス生成部
4 オゾンガス取出部(オゾンガス取出経路)
11 放電セル
12 高周波高圧電源
13 誘電体
13a 対向面
14 電極
15 区画壁
16 接合層(溶融部材)
17 機能膜
17a 下層
17b 上層
20 放電空隙

Claims (4)

  1. 向い合せに配置された一対の誘電体と、
    前記一対の誘電体間に形成される放電空隙と、
    前記放電空隙に放電を発生させる少なくとも一対の電極と、
    前記放電空隙に原料ガスを供給する原料ガス供給経路と、
    前記放電空隙からオゾンガスを取り出すオゾンガス取出経路と、
    前記一対の誘電体のうち、少なくともいずれか一方に設けられて前記放電空隙に面する機能膜と、
    を備え、
    前記機能膜が、
    ニオブ、タンタル、モリブデン、クロムから選択される1種又は2種以上の金属の第1金属酸化物と、
    チタン、タングステン、亜鉛、鉄から選択される1種又は2種以上の金属の第2金属酸化物と、
    を含むオゾンガス発生装置。
  2. 請求項1に記載のオゾンガス発生装置において、
    前記機能膜は前記第1金属酸化物と前記第2金属酸化物とで構成されていて、前記機能膜には、モル比で、前記第2金属酸化物を1としたときに前記第1金属酸化物が0.03〜3000となる比率で含まれているオゾンガス発生装置。
  3. 請求項2に記載のオゾンガス発生装置において、
    前記機能膜が、前記第2金属酸化物の層の上に前記第1金属酸化物の層が積層された積層構造を含むオゾンガス発生装置。
  4. 請求項3に記載のオゾンガス発生装置の製造方法であって、
    前記誘電体の上に、スパッタリングにより前記第2金属酸化物を構成する金属の下層膜を形成する第1金属膜形成工程と、
    前記下層膜の上に、スパッタリングにより前記第1金属酸化物を構成する金属の上層膜を形成する第2金属膜形成工程と、
    前記一対の誘電体を向い合せに配置し、加熱による溶着により前記一対の誘電体を一体に接合する接合工程と、
    を含み、
    前記接合工程における加熱処理が、酸素含有雰囲気下で行われるオゾンガス発生装置の製造方法。
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