JP2005187836A - スパッタ用ターゲット,薄膜形成装置及び薄膜形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 所望の組成を有する薄膜を安定して効率よく形成する。
【解決手段】 スパッタにより基体に薄膜を形成するために用いられるスパッタ用ターゲット29bには、バッキングプレート29b_pと、バッキングプレート29b_pに保持された複数の第1ターゲット材29b2,29b3,29b4と、第1ターゲット材29b2,29b3,29b4とは異なる材料で形成されバッキングプレート29b_pに保持された第2ターゲット材29b1が備えられている。このスパッタ用ターゲット29bによって、第1ターゲット材29b2,29b3,29b4と第2ターゲット材29b1との数の比率に応じた組成比の薄膜を形成する。
【選択図】 図4
【解決手段】 スパッタにより基体に薄膜を形成するために用いられるスパッタ用ターゲット29bには、バッキングプレート29b_pと、バッキングプレート29b_pに保持された複数の第1ターゲット材29b2,29b3,29b4と、第1ターゲット材29b2,29b3,29b4とは異なる材料で形成されバッキングプレート29b_pに保持された第2ターゲット材29b1が備えられている。このスパッタ用ターゲット29bによって、第1ターゲット材29b2,29b3,29b4と第2ターゲット材29b1との数の比率に応じた組成比の薄膜を形成する。
【選択図】 図4
Description
本発明は光学薄膜や光学デバイス、オプトエレクトロニクス用デバイス、半導体デバイス等に用いる薄膜、さらにはナノマテリアルを製造するためのスパッタ用ターゲット,薄膜形成装置及び薄膜形成方法に係り、特に複数種類のターゲット材料に対してスパッタを行う際に用いるスパッタ用ターゲット,薄膜形成装置及び薄膜形成方法に関する。
従来から薄膜を形成するための技術としてスパッタによる薄膜の形成技術が知られている。スパッタによる薄膜の形成は、薄膜の原料物質で形成されたターゲットに対してイオン等を衝突させ、この衝突によりターゲットから放出された原子や分子を基板などに付着させることで行なわれるものである。スパッタを行うための薄膜形成装置は従来から種々のものが提案されている(例えば、特許文献1,特許文献2,特許文献3)。
特許文献1に記載されているような薄膜形成装置は、カルーセル型と呼ばれているタイプのスパッタ装置である。カルーセル型のスパッタ装置は、真空槽内に円筒状の基板ホルダを備え、その基板ホルダが回転する構成となっている。円筒状の基板ホルダ表面には多数の基板を装着することができる。このため、バッチ処理であっても、薄膜の生産効率を高めることができる。
ところで、形成する薄膜の特性は、その薄膜の組成等によって大きく異なる。したがって、薄膜の組成を制御して所望の特性を有する薄膜を得るために、種々の工夫が凝らされる。特許文献1の薄膜形成装置では、スパッタによって形成した薄膜に対して反応性ガスの活性種を接触させるプラズマ処理を行うことで、所望の組成の薄膜を得るようにしている。また、複数あるターゲットをそれぞれ異種の金属ターゲットとすることで、合金からなる薄膜を形成させることも開示されている。さらに、特許文献1の薄膜形成装置では、同一の電源に接続された複数のターゲットに対してスパッタを行う等の工夫をすることで、所望の組成の薄膜を安定して形成させるようにしている。
さらに、特許文献2には、本体と、この本体に巻きつけられた互いに異なる金属でできた複数の細条体とで構成されるターゲットを用いてスパッタを行う技術が開示されている。この特許文献2の技術では、各細条体を異なる金属にしたり、細条体の幅を調整したりすることで、所望の組成の膜を形成させようとしている。
また、特許文献3には、酸化物材料からなるターゲット材と金属材料からなるターゲット材とを1つのバッキングプレートに固定させたスパッタターゲットが開示されている。この特許文献3の技術では、各ターゲット材の形状に工夫をすることで、各ターゲット材のスパッタされる部分の面積比を調整し、所望の組成比の膜を形成しようとしている。
また、特許文献3には、酸化物材料からなるターゲット材と金属材料からなるターゲット材とを1つのバッキングプレートに固定させたスパッタターゲットが開示されている。この特許文献3の技術では、各ターゲット材の形状に工夫をすることで、各ターゲット材のスパッタされる部分の面積比を調整し、所望の組成比の膜を形成しようとしている。
特許文献1の薄膜形成装置において、材料Aからなるターゲットと、材料Bからなるターゲットとを用いることで、A−B系の組成からなる薄膜を形成させることができる。しかし、材料Aに微量の材料Bを添加させたような薄膜を形成しようとする場合には、材料Aが基板に到達する量の割合に比べて、材料Bが基板に到達する量の割合を、何らかの方法で低下させる必要が生じる。
材料Bが基板に到達する量の割合を低下させる方法に関して、特許文献2では、形成する薄膜の組成を調整するために、細条体の幅を変える方法を用いている。しかし、特許文献2に記載の技術のように、細条体の幅を調整して所望の組成の薄膜を形成する方法だと、形成する薄膜の組成を変更する度に、異なる幅の細条体を準備する必要があり、経済的ではない。同様に、特許文献3の場合でも、形成する薄膜の組成を変更しようとする度に、新たな形状のターゲット材を準備する必要があり経済的ではない。また、特許文献3のようにした場合に、ターゲットの形状が複雑であるため、大面積のターゲットを作成するには不向きである。
また、材料Bが基板に到達する量の割合を低下させる方法としては、他にも、材料Bに対する電力投入量だけを低下させるという方法も考えられるが、薄膜作成の再現性が悪くなってしまうという問題があった。
また、材料Bが基板に到達する量の割合を低下させる方法としては、他にも、材料Bに対する電力投入量だけを低下させるという方法も考えられるが、薄膜作成の再現性が悪くなってしまうという問題があった。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、所望の組成を有する薄膜を安定して効率よく形成することができる薄膜形成装置及び薄膜形成方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、請求項1に記載のスパッタ用ターゲットは、スパッタにより基体に薄膜を形成するために用いられるスパッタ用ターゲットであって、バッキングプレートと、該バッキングプレートに保持された複数の第1ターゲット材と、該第1ターゲット材とは異なる材料で形成され前記バッキングプレートに保持された第2ターゲット材とを備え、前記第1ターゲット材と前記第2ターゲット材との数の比率に応じた組成比の薄膜を形成するために用いられるものであることを特徴とする。
請求項1に記載のスパッタ用ターゲットを用いてスパッタにより薄膜を形成すれば、バッキングプレートに保持される第1ターゲット材と第2ターゲット材の数の比率に応じた組成比の薄膜を形成することができる。
請求項2に記載のスパッタ用ターゲットは、請求項1に記載のスパッタ用ターゲットにおいて、前記第1ターゲット材及び前記第2ターゲット材が短冊形状に形成されていることを特徴とする。
この構成により、第1ターゲット材と第2ターゲット材の製造が容易であり、例えば、大面積の第1ターゲット材と第2ターゲット材の製造も容易となる。
請求項3に記載のスパッタ用ターゲットは、請求項2に記載のスパッタ用ターゲットにおいて、前記複数の第1ターゲット材及び前記第2ターゲット材がそれぞれ同一の形状に形成されていることを特徴とする。
請求項3に記載のスパッタ用ターゲットを用いてスパッタにより薄膜を形成すれば、所望の組成比の薄膜を作成しようとする際に、バッキングプレートに、短冊形状をした同一形状の第1ターゲット材と第2ターゲット材を、薄膜の組成比に応じた数で並べてスパッタ用ターゲットを準備すればよい。このため、作成しようとする薄膜の組成比に応じた組成・形状の第1ターゲット材や第2ターゲット材を改めて準備する必要がなく経済的である。
上記課題を解決するために、請求項4に記載の薄膜形成装置は、スパッタにより基体上に一次薄膜を形成するための成膜プロセスゾーンと、前記一次薄膜に対するプラズマ処理により前記基体上に金属化合物薄膜を形成するための反応プロセスゾーンと、前記基体を保持するとともに前記成膜プロセスゾーンと前記反応プロセスゾーンとの間で前記基体を搬送する基体保持手段と、を真空槽内に備えた薄膜形成装置において、前記反応プロセスゾーンに反応性ガスを導入するガス導入手段と、前記反応プロセスゾーンに前記反応性ガスのプラズマを発生させるプラズマ発生手段と、前記成膜プロセスゾーンに配設されて交流電源によって正電位と負電位とに交互に印加可能な少なくとも2つのターゲット電極と、該少なくとも2つのターゲット電極のそれぞれに固定された複数のスパッタ用ターゲットと、を備え、該スパッタ用ターゲットは、バッキングプレートと、該バッキングプレートに保持された金属により成るターゲット材と、を有して構成され、前記複数のスパッタ用ターゲットのうちの少なくとも一つのスパッタ用ターゲットを構成するターゲット材は、複数の第1ターゲット材と、該第1ターゲット材とは異なる材料で形成された第2ターゲット材とを有して構成されたことを特徴とする。
このように、請求項4に記載の薄膜形成装置によれば、2つのターゲット電極が、交流電源によって正電位と負電位とに交互に印加可能な構成となっているため、常に安定なアノード電位状態を得ることができ、所望の組成の薄膜を安定して効率よく作成することができる。また、バッキングプレートに保持される第1ターゲット材と第2ターゲット材の数の比率を変化させるだけで、形成する薄膜の組成比を容易に変更することができる。
請求項5に記載の薄膜形成装置は、請求項4に記載の薄膜形成装置において、前記第1ターゲット材及び前記第2ターゲット材が短冊形状に形成されていることを特徴とする。
請求項6に記載の薄膜形成装置は、請求項5に記載の薄膜形成装置において、前記複数の第1ターゲット材及び前記第2ターゲット材がそれぞれ同一の形状に形成されていることを特徴とする。
請求項7に記載の薄膜形成装置は、請求項4乃至請求項6のうちいずれか1つに記載の薄膜形成装置において、前記複数のスパッタ用ターゲットは、各々のターゲット材が前記基体と対向するように配置されるとともに、前記成膜プロセスゾーンにおいて前記基体が前記ターゲット材に面して搬送される方向で互いに隣り合って配置され、前記プラズマ発生手段は、前記基体と対向するように前記真空槽の外壁の一部として設けられた誘電体壁と、前記真空槽の外側で前記誘電体壁に対応する位置に設けられた平面状に渦を成す第1のアンテナ及び第2のアンテナと、を有して構成され、前記第1のアンテナと前記第2のアンテナは、該第1のアンテナ及び該第2のアンテナの渦を成す面が前記誘電体壁の壁面に対向して配置されるとともに、当該渦を成す面の面内方向で、かつ前記反応プロセスゾーンにおいて前記基体が前記誘電体壁に面して搬送される方向と交差する方向で互いに隣り合って配置されたことを特徴とする。
このように構成することにより、第1のアンテナ及び第2のアンテナによって、基体に対するプラズマの密度分布を、基体が誘電体壁に面して搬送される方向と交差する方向において調整することが可能となる。
請求項8に記載の薄膜形成装置は、請求項7に記載の薄膜形成装置において、前記第1のアンテナと前記第2のアンテナとの間隔を調整するための位置調整手段を設けたことを特徴とする。
このように構成することにより、基体に対するプラズマの密度分布の調整が容易になる。
上記課題を解決するために、請求項9に記載の薄膜形成方法は、接地電位から電気的に絶縁されスパッタ用ターゲットが保持された少なくとも2つのターゲット電極に、該少なくとも2つのターゲット電極の一方がカソードおよびアノードに交互になるとともに、同時にいずれか一方がカソードとなり他方がアノードとなるように交流電圧を印加して、前記スパッタ用ターゲットに対してスパッタを行うことで、基体上に一次薄膜を形成するスパッタ工程と、前記一次薄膜に電気的に中性な反応性ガスの活性種を接触させ、前記一次薄膜と前記反応性ガスの活性種とを反応させる反応工程と、により、薄膜を形成する薄膜形成方法において、前記少なくとも2つのターゲット電極に保持されるスパッタ用ターゲットのうちの少なくとも一方のスパッタ用ターゲットに、請求項1乃至請求項3のうちいずれか1つに記載のスパッタ用ターゲットを用いることを特徴とする。
請求項9に記載の薄膜形成方法で薄膜を形成すれば、第1ターゲット材と第2ターゲット材の数の比率に応じた組成比の薄膜を安定して形成させることができる。
以上のように、本発明のスパッタ用ターゲットを用いて薄膜を形成すれば、バッキングプレートに保持される第1ターゲット材と第2ターゲット材の数の比率に応じた組成比の薄膜を形成することができる。
また、本発明の薄膜形成装置によれば、所望の組成の薄膜を安定して効率よく作成することができる。また、形成する薄膜の組成比を容易に変更することができる。
また、本発明の薄膜形成方法で薄膜を形成すれば、第1ターゲット材と第2ターゲット材の数の比率に応じた組成比の薄膜を安定して形成させることができる。
また、本発明の薄膜形成装置によれば、所望の組成の薄膜を安定して効率よく作成することができる。また、形成する薄膜の組成比を容易に変更することができる。
また、本発明の薄膜形成方法で薄膜を形成すれば、第1ターゲット材と第2ターゲット材の数の比率に応じた組成比の薄膜を安定して形成させることができる。
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する部材,配置等は本発明を限定するものでなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
図1はスパッタ装1の説明図、図2は図1のA−B−C断面図である。なお、図1,図2では、理解の容易のために装置要部の断面を示している。スパッタ装置1は本発明の薄膜形成装置の一例である。
本実施形態では、スパッタの一例であるマグネトロンスパッタを行うスパッタ装置1を用いているが、これに限定されるものでなく、マグネトロン放電を用いない二極スパッタ等、他の公知のスパッタを行うスパッタ装置を用いることもできる。
本実施形態のスパッタ装置1によれば、目的の膜厚よりもかなり薄い薄膜をスパッタで作成することができ、プラズマ処理を行うことを繰り返すことで目的の膜厚の薄膜を基板上に形成することが可能である。本実施形態では、スパッタとプラズマ処理によって平均0.01〜1.5nmの膜厚の薄膜を形成する工程を繰り返すことで、目的とする数〜数百nm程度の膜厚の薄膜を形成する。
本実施形態のスパッタ装置1によれば、目的の膜厚よりもかなり薄い薄膜をスパッタで作成することができ、プラズマ処理を行うことを繰り返すことで目的の膜厚の薄膜を基板上に形成することが可能である。本実施形態では、スパッタとプラズマ処理によって平均0.01〜1.5nmの膜厚の薄膜を形成する工程を繰り返すことで、目的とする数〜数百nm程度の膜厚の薄膜を形成する。
本実施形態のスパッタ装置1は、真空容器11と、薄膜を形成させる基板を真空容器11内で保持するための基板ホルダ13と、基板ホルダ13を駆動するためのモータ17と、仕切壁12,16と、マグネトロンスパッタ電極21a,21bと、マグネトロンスパッタ電極21a,21bとに固定されるターゲット29a,29bと、中周波交流電源23と、プラズマを発生するためのプラズマ発生装置61と、を主要な構成要素としている。真空容器11は本発明の真空槽に相当し、基板は本発明の基体に相当し、基板ホルダ13は本発明の基体保持手段に相当し、マグネトロンスパッタ電極21a,21bは本発明のターゲット電極に相当し、中周波交流電源23は本発明の交流電源に相当し、プラズマ発生装置61は本発明のプラズマ発生手段に相当する。
真空容器11は、公知のスパッタ装置で通常用いられるようなステンレス製で、略直方体形状を備える中空体である。真空容器11の形状は中空の円柱状であってもよい。
真空容器11は、公知のスパッタ装置で通常用いられるようなステンレス製で、略直方体形状を備える中空体である。真空容器11の形状は中空の円柱状であってもよい。
基板ホルダ13は、真空容器11内の略中央に配置されている。基板ホルダ13の形状は円筒状であり、その外周面に複数の基板(不図示)を保持する。なお、基板ホルダ13の形状は円筒状ではなく、中空の多角柱状や、円錐状であってもよい。基板ホルダ13は、真空容器11から電気的に絶縁されている。これにより、基板における異常放電を防止することが可能となる。基板ホルダ13は、円筒の筒方向の中心軸線Z(図2参照)が真空容器11の上下方向になるように真空容器11内に配設される。基板ホルダ13は、真空容器11内の真空状態を維持した状態で、真空容器11の上部に設けられたモータ17によって中心軸線Zを中心に回転駆動される。
基板ホルダ13の外周面には、多数の基板(不図示)が、基板ホルダ13の中心軸線Zに沿った方向(上下方向)に所定間隔を保ちながら整列させた状態で保持される。この基板の列は、基板ホルダ13の外周面に沿って複数設けられ、基板ホルダ13の外周面に多数の基板が保持される。本実施形態では、基板の薄膜を形成させる面(以下「膜形成面」という)が、基板ホルダ13の中心軸線Zと垂直な方向を向くように、基板が基板ホルダに保持されている。
仕切板12,16は、真空容器11の外壁面の内側から基板ホルダ13へ向けて立設して設けられている。本実施形態における仕切壁12,16は、向かい合う一対の面が開口した筒状の略直方体をした、ステンレス製の部材である。仕切壁12,16は、真空容器11の外壁と基板ホルダ13との間に、真空容器11の外壁から基板ホルダ13の方向へ立設した状態で固定される。このとき仕切壁12,16の開口した一方側が真空容器11の外壁側に、他方側が基板ホルダ13に面する向きになるように、仕切壁12,16は固定される。また、仕切壁12,16の基板ホルダ13側に位置する端部は、基板ホルダの外周形状に沿った形状になっている。
真空容器11の外壁面,仕切板12,基板ホルダ13の外周面に囲繞された空間が、スパッタを行うための成膜プロセスゾーン20となっている。また、真空容器11の外壁面,後述のプラズマ発生装置61,仕切板16,基板ホルダ13の外周面に囲繞されて、プラズマを発生させて基板上の薄膜に対してプラズマ処理を行うための反応プロセスゾーン60が形成されている。本実施形態では、真空容器11の仕切壁12が固定されている位置から、基板ホルダ13の中心軸線Zを中心にして約90度回転させた位置に仕切壁16が固定されている。このため、成膜プロセスゾーン20と反応プロセスゾーン60が、基板ホルダ13の中心軸線Zに対して約90度ずれた位置に形成される。
モータ17によって基板ホルダ13が回転駆動されると、基板ホルダ13の外周面に保持された基板は、成膜プロセスゾーン20に面する位置を通過する。そして、基板は、成膜プロセスゾーン20に面する位置から反応プロセスゾーン60に面する位置へ搬送される。その後、基板は、反応プロセスゾーン60に面する位置を通過して、再び成膜プロセスゾーン20に面する位置へ搬送される。このように、基板は、成膜プロセスゾーン20に面する位置と反応プロセスゾーン60に面する位置との間で搬送されることになる。
真空容器11の成膜プロセスゾーン20と反応プロセスゾーン60との間の位置には、排気用の配管が接続され、この配管には真空容器11内を排気するための真空ポンプ15が接続されている。この真空ポンプ15と図示しないコントローラとにより、真空容器11内の真空度が調整できるように構成されている。
成膜プロセスゾーン20には、マスフローコントローラ25,26が配管を介して連結されている。マスフローコントローラ25は、不活性ガスを貯留するスパッタガスボンベ27に接続されている。マスフローコントローラ26は、反応性ガスを貯留する反応性ガスボンベ28に接続されている。不活性ガスと反応性ガスは、マスフローコントローラ25,26で制御されて成膜プロセスゾーン20に導入される。不活性ガスとしては、例えばアルゴンガス等である。反応性ガスとしては、例えば酸素ガス,窒素ガス,弗素ガス,オゾンガス等を用いることができる。
成膜プロセスゾーン20には、基板ホルダ13の外周面に対向するように、真空容器11の壁面にマグネトロンスパッタ電極21a,21bが配置されている。このマグネトロンスパッタ電極21a,21bは、不図示の絶縁部材を介して接地電位にある真空容器11に固定されている。マグネトロンスパッタ電極21a,21bは、トランス24を介して、中周波交流電源23に接続され、交番電界が印加可能に構成されている。本実施形態の中周波交流電源23は、1k〜100kHzの交番電界を印加するものである。マグネトロンスパッタ電極21a,21bには、ターゲット29a,29bが保持される。ターゲット29a,29bのそれぞれの形状は全体として平板状であり、ターゲット29a,29bの基板ホルダ13の外周面と対向する面が、基板ホルダ13の中心軸線Zと垂直な方向を向くように保持される。なお、ターゲット29a,29bは、マグネトロンスパッタ電極21a,21bに対してボルトで固定されることで保持される。
上述のように、基板は基板ホルダ13に保持された状態で、成膜プロセスゾーン20に面しながら搬送される。本実施形態では、マグネトロンスパッタ電極21aとマグネトロンスパッタ電極21b、すなわちターゲット29aとターゲット29bは、ターゲット29a,29bに面して基板が搬送される方向で互いに隣り合うようにして配置される。言い換えると、本実施形態では、ターゲット29aとターゲット29bは、基板と対向する状態で、かつ、中心軸線Zを上下方向とした場合の左右方向で互いに隣り合う状態で成膜プロセスゾーン20に配置される。このため、基板ホルダ13が回転すると、ターゲット29aの正面に位置していた基板は、続いて、ターゲット29bの正面に位置するように搬送される。
図3は、本実施形態のターゲット29aを説明する説明図である。図3の(A)には、ターゲット29aの正面図、すなわちターゲット29aを基板ホルダ13の側から見た図を示している。図3の(B)には、図3(A)のZ1−Z1断面図を示している。図4は、本実施形態のターゲット29bを説明する説明図である。図4の(A)には、ターゲット29bの正面図、すなわちターゲット29bを基板ホルダ13の側からみた図を示している。図4の(B)には、図4(A)のZ2−Z2断面図を示している。
本実施形態のターゲット29aは、ターゲット材29a1,29a2,29a3,29a4と、これらターゲット材29a1〜29a4を保持するバッキングプレート29a_pとから構成されている。
ターゲット材29a1〜29a4の形状は、それぞれが短冊形で、同一の大きさ・形状を有している。ターゲット材29a1〜29a4の形状は、スパッタ装置1の大きさ(すなわち、基板ホルダ13の径やマグネトロンスパッタ電極21aの大きさ)によって異なってくるが、本実施形態では、幅5mm〜250mm、長さ200mm〜1000mm、厚さ3〜15mmの短冊形に形成される。ターゲット材29a1〜29a4は、同一の金属材料で形成されている。例えば、アルミニウム(Al),チタン(Ti),ジルコニウム(Zr),スズ(Sn),クロム(Cr),タンタル(Ta),テルル(Te),鉄(Fe),マグネシウム(Mg),ハフニウム(Hf)などの金属を用いることができる。ターゲット材29a1〜29a4の製法は特に限定されない。鋳造・圧延、切断加工、熱処理、粉末冶金等で製造される。何れにしても、本実施形態のターゲット材29a1〜29a4は、短冊形であるため製造が容易である。
バッキングプレート29a_pは、ターゲット材29a1〜29a4を保持するために、各ターゲット材29a1〜29a4よりも大きな形状を有した平板状の部材である。スパッタ装置1の大きさ(基板ホルダ13の径やマグネトロンスパッタ電極21aの大きさ)によって異なってくるが、本実施形態では、幅が約20mm〜1000mm、長さが約200mm〜1000mm、厚さが約10mm〜50mmの平板状の部材である。バッキングプレート29a_pは、例えばアルミニウム(Al)、チタン(Ti)、銅(Cu)等で形成される。
ターゲット材29a1〜29a4とバッキングプレート29a_pの接合方法は、特に限定されないが、本実施形態では、ボンディングで接合され、ターゲット材29a1〜29a4がバッキングプレート29a_pに保持される。ボンディングによる接合は、低融点のインジウム(In)やインジウム系合金をボンディング材29a_bとして用いることで行う。ターゲット材29a1〜29a4とバッキングプレート29a_pの間に、ボンディング材29a_bを挟んだ状態で、これらを加熱してボンディング材29a_bを溶融させる。その後、これらを冷却してボンディング材29a_bを凝固させて、ターゲット材29a1〜29a4とバッキングプレート29a_pとを接合する。ボンディングによる接合は、このように行う。
本実施形態のターゲット29bは、ターゲット材29b1〜29b4とバッキングプレート29b_pで構成され、ボンディング材29b_bによって、ターゲット材29b1〜29b4とバッキングプレート29b_pとが接合されている。ターゲット材29b1〜29b4,バッキングプレート29b_pの形状は、ターゲット材29a1〜29a4,バッキングプレート29a_pの形状と同一である。ターゲット29aの場合には、ターゲット材29a1〜29a4が同一の材料で形成されていたが、ターゲット29bの場合には、ターゲット29bを構成するターゲット材29b1〜29b4の何れかを、他と異なる材料で形成している。例えば、ターゲット材29b2〜29b4をA金属で形成して、ターゲット材29b1をB金属で形成する。この場合、ターゲット29bが、本発明のスパッタ用ターゲットに相当する。そして、ターゲット材29b2〜29b4が本発明の第1ターゲット材に相当し、ターゲット材29b1が本発明の第2ターゲット材に相当する。
このように、ターゲット29bを構成するターゲット材29b1〜29b4の何れかを、他と異なる材料で形成することで、ターゲット29bのターゲット材を構成する材料の比率を変化させる。上記の例では、ターゲット29bのターゲット材を構成する材料の比率は、A金属:B金属=3:1となる。そして、この場合、ターゲット29aのターゲット材29a1〜29a4をA金属で形成すれば、ターゲット29a,29bのターゲット材を構成する材料の比率は、A金属:B金=7:1となる。すなわち、この例のターゲット29a,29bを用いると、全体として、A金属:B金属=7:1のターゲットに対してスパッタを行うことになる。B金属からなるターゲット材の枚数の比率を増加すれば、形成する薄膜の組成をB金属の組成比が増加するように調整することができる。
本実施形態では、ターゲット29a,29bを、それぞれ4枚のターゲット材29a1〜29a4,29b1〜29b4で構成しているが、ターゲット29bを複数枚のターゲット材で構成すれば、より多くの又は少ない枚数のターゲット材の組合わせでターゲット29a,29bを構成してもよい。より多くの枚数のターゲット材でターゲット29bを構成すれば、形成する薄膜の組成比を細かく調整することが可能となる。例えば、B金属のターゲット材の枚数を、A金属のターゲット材の枚数に比べて極端に少なくすれば、微量のB金属原子を添加したような薄膜の作成も可能である。
このように、異なる材料からなるターゲット材の組合わせで、所望の組成比の薄膜を形成させるようにすれば、安価な材料からなるターゲット材を組合わせて使用することで、所望の組成比の薄膜を作成することも可能となり、薄膜の製造コストを下げることもできる。
また、本実施形態では、ターゲット材29b1〜29b4は、基板がターゲット29に面して搬送される方向で隣り合った状態で、バッキングプレート29b_pに接合される(図4参照)。このため、上記の例のように、ターゲット材29b2〜29b4をA金属で形成して、ターゲット材29b1をB金属で形成した場合でも、基板がターゲット29bの正面を搬送される間に、各基板に対してA金属のスパッタ粒子,B金属のスパッタ粒子が照射されるようになる。
ところで、スパッタを行う成膜プロセスゾーンを一箇所だけではなく、複数箇所設けることもできる。すなわち、図1の破線で示すように、真空容器11に成膜プロセスゾーン20と同様の成膜プロセスゾーン40を設けることもできる。例えば、真空容器11に仕切壁14を設けて、成膜プロセスゾーン20に対して基板ホルダ13を挟んで対象の位置に、成膜プロセスゾーン40を形成することができる。成膜プロセスゾーン40には、成膜プロセスゾーン20と同様に、マグネトロンスパッタ電極41a,41bが配置されている。マグネトロンスパッタ電極41a,41bは、トランス44を介して、中周波交流電源43に接続され、交番電界が印加可能に構成されている。
マグネトロンスパッタ電極41a,41bには、ターゲット49a,49bが保持される。成膜プロセスゾーン40には、マスフローコントローラ45,46が配管を介して連結されている。マスフローコントローラ45は不活性ガスを貯留するスパッタガスボンベ47に、マスフローコントローラ46は反応性ガスを貯留する反応性ガスボンベ48に接続されている。真空容器11の成膜プロセスゾーン40と反応プロセスゾーン60との間の位置には、排気用の配管が接続され、この配管には真空容器11内を排気するための真空ポンプ15’が接続される。なお、真空ポンプ15’を真空ポンプ15と共通に使用してもよい。
成膜プロセスゾーン40を設ける場合には、上述のターゲット29a,29bと同様に、ターゲット49a,49bを配置することができる。すなわち、ターゲット49aとターゲット49bは、基板がターゲット49a,49bに対して搬送される方向で互いに隣り合うようにして配置される。言い換えると、本実施形態では、ターゲット49aとターゲット49bは、基板ホルダ13の基板と対向する状態で、かつ、中心軸線Zを上下方向とした場合の左右方向で互いに隣り合う状態で成膜プロセスゾーン40に配置される。したがって、基板ホルダ13が回転すると、ターゲット49aの正面に位置していた基板が、続いて、ターゲット49bの正面に位置するように、基板が搬送される。
次に、反応プロセスゾーン60に関して説明する。反応プロセスゾーン60に対応する真空容器11の外壁面には、開口が形成され、この開口には、プラズマ発生手段としてのプラズマ発生装置61が連結されている。また、反応プロセスゾーン60には、本発明のガス導入手段に相当するものとして、マスフローコントローラ75を介して不活性ガスボンベ77内の不活性ガスを導入するための配管や、マスフローコントローラ76を介して反応性ガスボンベ78内の反応性ガスを導入するための配管が接続されている。
図5は、プラズマ発生装置61を説明する説明図であり、プラズマ発生装置61を正面から見た説明図である。図5には、マッチングボックス67と、高周波電源69も示している。
プラズマ発生装置61は、誘電体で板状に形成された誘電体壁63と、同一平面上で渦を成すアンテナ65a,65bと、アンテナ65a,65bを高周波電源69と接続するための導線66と、アンテナ65a,65bを誘電体壁63に対して固定するための固定具68を有して構成されている。アンテナ65aは、本発明の第1のアンテナに相当し、アンテナ65bは、本発明の第2のアンテナに相当する。
プラズマ発生装置61は、誘電体で板状に形成された誘電体壁63と、同一平面上で渦を成すアンテナ65a,65bと、アンテナ65a,65bを高周波電源69と接続するための導線66と、アンテナ65a,65bを誘電体壁63に対して固定するための固定具68を有して構成されている。アンテナ65aは、本発明の第1のアンテナに相当し、アンテナ65bは、本発明の第2のアンテナに相当する。
本実施形態の誘電体壁63は、石英で形成されている。なお、誘電体壁63は石英ではなくAl2O3等の他のセラミックス材料で形成されたものでもよい。誘電体壁63は、真空容器11に形成されたフランジ11aと、矩形枠状をした蓋体11bとによって挟まれるようにして設けられる。真空容器11の外壁には、反応プロセスゾーン60に対応して開口が形成され、誘電体壁63は開口を塞ぐ位置に、真空容器11の外壁の一部として設けられる。反応プロセスゾーン60において、平板状の誘電体壁63は、基板ホルダ13に保持された基板と対向する。
アンテナ65aとアンテナ65bは、誘電体壁63と対向して、固定具68によって固定される。アンテナ65aとアンテナ65bは、真空容器11の外側で誘電体壁63に対応する位置に、渦を成す面が真空容器11の内側を向いて固定される(図2,図5参照)。このとき、アンテナ65aとアンテナ65bは、基板がアンテナ65a,65bに対して搬送される方向と交差する方向で、互いに隣り合うように配置される。アンテナ65aとアンテナ65bは、アンテナ65a,65bが渦を成している同一の面内で隣り合っている。言い換えると、本実施形態では、アンテナ65aとアンテナ65bは、アンテナ65a,65bの渦を成す同一の面内で、基板と対向する状態で、しかも、中心軸線Zの方向で、互いに隣り合う状態で成膜プロセスゾーン40に配置される。
本実施形態の固定具68は、固定板68a,68bと、ボルト68c,68dで構成される。固定板68aと誘電体壁63とでアンテナ65aを挟み、固定板68bと誘電体壁63とでアンテナ65bを挟み、固定板68a,68bを蓋体11bに対してボルト68c,68dを締め付けることで、アンテナ65a,65bは固定される。
アンテナ65aとアンテナ65bは、高周波電源からアンテナ65a,65bに至る導線66の先に、高周波電源69に対して並列に接続される。アンテナ65a,65bは、マッチング回路を収容するマッチングボックス67を介して高周波電源69に接続される。マッチングボックス67内には、図5に示すように、可変コンデンサ67a,67bが設けられている。本実施形態では、アンテナ65aに対してアンテナ65bが並列に接続されている。アンテナ65aが本発明の第1のアンテナ、アンテナ65bが本発明の第2のアンテナに相当する。
図8は、従来の平板型のプラズマ発生手段を説明する図である。図8に示すように、従来の平板型のプラズマ発生装置161では、真空容器111の一部を石英等の誘電体からなる誘電板163で構成し、誘電板163の大気側に位置する外壁に沿ってアンテナ165を配置していた。そして、マッチング回路を備えたマッチングボックス167を介してアンテナ165に高周波電源169から100kHz〜50MHzの周波数の電力を印加して、真空容器111内にプラズマを発生させていた。マッチング回路には、可変コンデンサ167a,167bとともに、マッチング用コイル167cが設けられていた。
本実施形態では、このマッチング用コイル167cが果たす役目の全部又は一部を、アンテナ65bが果たす。したがって、マッチングボックス67内での電力損失を軽減し、高周波電源69から供給される電力をアンテナ65a,65bでプラズマの発生に有効に活用することができる。また、インピーダンスマッチングもとりやすくなる。
さらに、本実施形態のプラズマ発生装置61では、導線66の先に接続された部分で、アンテナ65aとアンテナ65bとの間を繋ぐ箇所に、アンテナ65aとアンテナ65bとの間隔Dを調整できるように、たるみ部66a,66bを設けている。たるみ部66a,66bは本発明の位置調整手段に相当する。本実施形態のスパッタ装置1では、アンテナ65a,65bを固定具68によって固定する際に、たるみ部66a,66bを伸縮させることで、アンテナ65aとアンテナ65bの上下方向の間隔Dを調整する。すなわち、固定板68a,68bと誘電体壁63とによって、アンテナ65a,65bを挟む位置を変えることで、間隔Dを調整することが可能となっている。
以上説明したプラズマ発生装置61でプラズマを発生させる際には、アンテナ65aとアンテナ65bの上下方向の間隔Dや、アンテナ65aの径Raや、アンテナ65bの径Rb等を調整してアンテナ65a,65bを固定し、反応性ガスボンベ78内の反応性ガスを、マスフローコントローラ75を介して0.1Pa〜10Pa程度の真空に保った反応プロセスゾーン60へ導入する。そして、高周波電源69からアンテナ65a,65bに13.56MHzの電圧を印加することで、反応プロセスゾーン60に反応性ガスのプラズマを所望の分布で発生させ、基板ホルダ13に配置される基板に対してプラズマ処理を行うことができる。
そして、本実施形態のプラズマ発生装置61では、並列に接続した2つのアンテナ65a,65bを備える構成により、1つのアンテナを大きくする場合に比べて、マッチングボックス67内のマッチング回路での電力損失を低減するとともに、インピーダンスマッチングをとりやすくして、効率的なプラズマ処理を広範囲で行うことができる。
また、本実施形態では、モータ17によって基板ホルダ13が中心軸線Z周りに回転することにより、プラズマ発生装置61に対して、基板が左右方向に搬送されることになる。このように、プラズマ発生装置61に対して、基板が左右方向に搬送されると、基板ホルダ13の上下方向で、各基板に対するプラズマの分布を調整する必要性が生じる場合もある。本実施形態では、左右方向に搬送される基板に対して搬送方向に交差する上下方向にアンテナ65aとアンテナ65bを並べて、両者の間隔も調整することができるため、基板の搬送方向に交差する方向で広範囲にプラズマ処理を行う必要がある場合に、プラズマの密度分布を容易に調整することができる。本実施形態のようなカルーセル型のスパッタ装置1において基板ホルダ13に複数の基板を配置して大面積で薄膜を形成する場合には、基板ホルダ13での基板の配置,スパッタ条件等により、基板ホルダの上方に位置する薄膜と、中間に位置する薄膜に違い(酸化度合い等)が生じる場合がある。このような場合でも、本実施形態のプラズマ発生装置61を用いれば、その違いに対応してプラズマの密度分布を適宜調整することができるという利点がある。
更に、アンテナ65aの径Raや、アンテナ65bの径Rb、又はアンテナ65a,65bの太さ等を独立に変更することができるため、アンテナ65aの径Raや、アンテナ65bの径Rb又は太さ等を調整することでも、プラズマの分布を調整することができる。なお、本実施形態では、図3に示すように、アンテナ65aやアンテナ65bが大小の半円から構成される全体形状を備えているが、アンテナ65aやアンテナ65bの全体形状を、矩形などの形状に変更して、プラズマの分布を調整することも可能である。
なお、本実施形態では、仕切壁16の反応プロセスゾーン60に面する壁面には、熱分解窒化硼素(Pyrolytic Boron Nitride)からなる保護層Pが被覆されている。さらに、真空容器11の外壁面の反応プロセスゾーン60に面する部分にも熱分解窒化硼素からなる保護層Pが被覆されている。熱分解窒化硼素は、化学的気相成長法(Chemical Vapor Deposition)を利用した熱分解法によって仕切壁16や真空容器11の外壁面の内側へ被覆される。このように、プラズマを発生させる領域に面する壁面に熱分解窒化硼素を被覆した真空容器を用いることで、発生させたプラズマ中のラジカル又は励起状態のラジカル等の活性種が、真空容器11の外壁面等と反応して消滅することを抑制して、高効率のプラズマ処理を行うことが可能となる。
以下に、上述のスパッタ装置1を用いた薄膜形成方法として、B金属を添加したA金属酸化物であるA−B金属不完全酸化物(ABxOy1)の薄膜を基板上にスパッタで形成し、このA−B金属不完全酸化物(ABxOy1)に対してプラズマ処理を行い、そのA−B金属不完全酸化物(ABxOy1)の酸化を進めたA−B金属酸化物(ABxOy2(y1<y2))の薄膜を形成する方法について例示する。なお、A金属として、例えばアルミニウム(Al)を採用し、B金属として、例えばニオブ(Nb)を採用すれば、AlNbOy1(y1<4)からAlNbO4薄膜を形成することができる。他にも、A−Bの組合わせとして、種々の材料の組合わせが可能である。
まず、基板及びターゲット29a,29bをスパッタ装置1に配置する。基板は基板ホルダ13に保持させる。ターゲット29a,29bは、それぞれマグネトロンスパッタ電極21a,21bに保持させる。このとき、ターゲット29aを構成するターゲット材29a1〜29a4の材料や、ターゲット29bを構成する29b1〜29b4の材料は、形成させようとする薄膜の組成比に応じて変更する。すなわち、本実施形態では、8枚のターゲット材(ターゲット材29a1〜29a4,29b1〜29b4)のうち、A金属で形成されたターゲット材の枚数と、B金属で形成されたターゲット材の枚数を変えることで、形成する薄膜の組成比を調整することができる。
次に、真空容器11内を所定の圧力に減圧し、モータ17を作動させて、基板ホルダ13を回転させる。その後、真空容器11内の圧力が安定した後に、成膜プロセスゾーン20内の圧力を、0.1Pa〜1.3Paに調整する。
次に、成膜プロセスゾーン20内に、スパッタ用の不活性ガスであるアルゴンガスと、反応性ガスである酸素ガスを、スパッタガスボンベ27、反応性ガスボンベ28からマスフローコントローラ25,26で流量を調整しながら導き、成膜プロセスゾーン20内のスパッタを行うための雰囲気を調整する。
次に、成膜プロセスゾーン20内に、スパッタ用の不活性ガスであるアルゴンガスと、反応性ガスである酸素ガスを、スパッタガスボンベ27、反応性ガスボンベ28からマスフローコントローラ25,26で流量を調整しながら導き、成膜プロセスゾーン20内のスパッタを行うための雰囲気を調整する。
次に、中周波交流電源23からトランス24を介して、マグネトロンスパッタ電極21a,21bに周波数1〜100KHzの交流電圧を印加し、ターゲット29a,29bに、交番電界が掛かるようにする。これにより、ある時点においてはターゲット29aがカソード(マイナス極)となり、その時ターゲット29bは必ずアノード(プラス極)となる。次の時点において交流の向きが変化すると、今度はターゲット29bがカソード(マイナス極)となり、ターゲット29aがアノード(プラス極)となる。このように一対のターゲット29a,29bが、交互にアノードとカソードとなることにより、プラズマが形成され、カソード上のターゲットに対してスパッタを行う。
スパッタを行っている最中には、アノード上には非導電性あるいは導電性の低いA金属酸化物又はB金属酸化物が付着する場合もあるが、このアノードが交番電界によりカソードに変換された時に、これらA金属酸化物又はB金属酸化物がスパッタされ、ターゲット表面は元の清浄な状態となる。
そして、一対のターゲット29a,29bが、交互にアノードとカソードとなることを繰り返すことにより、常に安定なアノード電位状態が得られ、プラズマ電位(通常アノード電位とほぼ等しい)の変化が防止され、基板の膜形成面に安定してA−B金属不完全酸化物(ABxOy1)からなる薄膜が形成される。このとき、成膜プロセスゾーン20で形成されたA−B金属不完全酸化物(ABxOy1)からなる薄膜が、本発明の一次薄膜に相当する。
そして、一対のターゲット29a,29bが、交互にアノードとカソードとなることを繰り返すことにより、常に安定なアノード電位状態が得られ、プラズマ電位(通常アノード電位とほぼ等しい)の変化が防止され、基板の膜形成面に安定してA−B金属不完全酸化物(ABxOy1)からなる薄膜が形成される。このとき、成膜プロセスゾーン20で形成されたA−B金属不完全酸化物(ABxOy1)からなる薄膜が、本発明の一次薄膜に相当する。
なお、成膜プロセスゾーン20で形成する薄膜の酸化の程度は、成膜プロセスゾーン20に導入する酸素ガスの流量を調整することや、基板ホルダ13の回転速度を制御することで調整できる。
成膜プロセスゾーン20で、基板の膜形成面にA−B金属不完全酸化物(ABxOy1)からなる薄膜を形成させた後には、基板ホルダ13の回転駆動によって基板を、成膜プロセスゾーン20に面する位置から反応プロセスゾーン60に面する位置に搬送する。
成膜プロセスゾーン20で、基板の膜形成面にA−B金属不完全酸化物(ABxOy1)からなる薄膜を形成させた後には、基板ホルダ13の回転駆動によって基板を、成膜プロセスゾーン20に面する位置から反応プロセスゾーン60に面する位置に搬送する。
反応プロセスゾーン60には、反応性ガスボンベ78から反応性ガスとして酸素ガスを導入するとともに、不活性ガスボンベ77から不活性ガスとしてアルゴンガスを導入する。次に、アンテナ65a,65bに、13.56MHzの高周波電圧を印加して、プラズマ発生装置61によって反応プロセスゾーン60にプラズマを発生させる。反応プロセスゾーン60の圧力は、0.7Pa〜1Paに維持する。
次に、基板ホルダ13が回転して、A−B金属不完全酸化物(ABxOy1)からなる薄膜が形成された基板が反応プロセスゾーン60に面する位置に搬送されてくると、反応プロセスゾーン60では、A−B金属不完全酸化物(ABxOy1)からなる薄膜をプラズマ処理によって、さらに酸化反応させる工程を行う。すなわち、プラズマ発生装置61によって反応プロセスゾーン60に発生させた酸素ガスのプラズマでA−B金属不完全酸化物(ABxOy1)を酸化反応させて、所望の組成比のA−B金属酸化物(ABxOy2(y1<y2))に変換させる。
以上の工程によって、本実施形態では、所望の組成比のA−B金属酸化物(ABxOy2(y1<y2))薄膜を作成することができる。さらに、以上の工程を繰り返すことで、所望の膜厚の薄膜を作成することができる。
表1は、A金属としてニオブ(Nb)を、B金属としてチタン(Ti)を用いて、上記の薄膜形成方法で薄膜を形成させた実験の結果を示している。実験例1では、A金属のターゲット材を10枚、B金属のターゲット材を20枚用いている。実験例2では、A金属のターゲット材を15枚、B金属のターゲット材を15枚用いている。実験例1,2では、何れのターゲット材も、幅7mm、長さ650mm、厚さ12mmの短冊形である。
表1をみてわかるように、実験例1では、(Nb2O5)(TiO2)y(y=1.5〜3)の薄膜が形成され、実験例2では(Nb2O5)(TiO2)y(y=0.7〜1.5)の薄膜が形成された。表1の実験結果から、ニオブ(Nb)で形成されたターゲット材と、チタン(Ti)で形成されたターゲット材の枚数の比率を変化させるだけで、形成する薄膜の組成比を容易に変更することができることがわかる。
本発明では、異なる材料で形成された同一形状のターゲット材29a1〜29a4,29b1〜29b4を、予め複数準備しておいて、このターゲット材29a1〜29a4,29b1〜29b4の集合でターゲット29a,29bを構成している。したがって、ターゲット材29a1〜29a4,29b1〜29b4に占める、各材料で形成されたターゲット材の枚数の比率を変えるだけで、ターゲット29a,29bを構成する材料の構成比率を変更して、形成する薄膜の組成比を容易に変更することができる。すなわち、異なる材料で形成した同一形状のターゲット材を、予め用意しておけば、それらの組合わせや、組合わせ枚数を変更することで、形成する薄膜の組成を容易に変更することができる。しかも、形成しようとする薄膜の組成に合わせてターゲット29a,29bの材料を変更する場合でも、その度に、薄膜の組成に対応した組成・形状のターゲット材29a1〜29a4,29b1〜29b4を製造し直す必要がない。
特に、本発明では、カルーセル型のスパッタ装置を用いているため、ターゲット29a,29bの面積が大きいが、ターゲット29a,29bを同一形状の複数のターゲット材29a1〜29a4,29b1〜29b4の集合で構成しているため、ターゲット29a,29bの材料の構成比率を変更する場合でも、ターゲット29a,29bの準備が容易である。
なお、成膜プロセスゾーン20と成膜プロセスゾーン40を設けた場合には、成膜プロセスゾーン20と成膜プロセスゾーン40とで異なる組成の薄膜を形成することで、異なる組成の薄膜を繰り返し積層させた薄膜を形成することもできる。成膜プロセスゾーン20と成膜プロセスゾーン40とで同組成の薄膜を形成するようにしてもよい。
以上に説明した実施の形態は、例えば、次の(a)〜(f)のように、改変することもできる。また、(a)〜(f)を適宜組合せて改変することもできる。
(a) 上記の実施の形態では、短冊形をしたターゲット材29b1〜29b4は、基板がターゲット29に面して搬送される方向に並んだ状態で、バッキングプレート29b_pに接合されていた(図4参照)。しかし、ターゲット材29b1〜29b4の形状は、短冊形に限らない。例えば、図6,図7に示すように、改変できる。図6は、上記実施形態を改変したターゲット29bを説明する説明図である。図6は、ターゲット29bの正面図、すなわちターゲット29bを基板ホルダ13の側からみた図を示している。図7の(A)には、図6におけるX1−X1断面図を示している。図7の(B)には、図6におけるX2−X2断面図を示している。
(a) 上記の実施の形態では、短冊形をしたターゲット材29b1〜29b4は、基板がターゲット29に面して搬送される方向に並んだ状態で、バッキングプレート29b_pに接合されていた(図4参照)。しかし、ターゲット材29b1〜29b4の形状は、短冊形に限らない。例えば、図6,図7に示すように、改変できる。図6は、上記実施形態を改変したターゲット29bを説明する説明図である。図6は、ターゲット29bの正面図、すなわちターゲット29bを基板ホルダ13の側からみた図を示している。図7の(A)には、図6におけるX1−X1断面図を示している。図7の(B)には、図6におけるX2−X2断面図を示している。
図6,図7に示した実施形態では、複数のターゲット材29b1,1〜29bk,l(k,lは自然数)が、格子状に配置されて、バッキングプレート29b_pに接合されている。すなわち、この実施形態では、上記の実施形態(図4参照)のターゲット材よりも、長さの短いターゲット材を用いている。そして、この実施形態では、異なる材料で形成された同一形状のターゲット材を、基板がターゲット29に面して搬送される方向と、それに垂直な方向に交互の並べた状態で、バッキングプレート29b_pに接合する。図6,図7に示した例では、図面上で、左から1行目と2行目に位置するターゲット材29b4n−3,m,29b4n−2,m(n,mは自然数)が、金属Aで形成されている。また、左から3行目に位置するターゲット材29b4n−1,mのうちで奇数列に位置するターゲット材29b4n−1,2m−1と、左から4行目に位置するターゲット材29b4n,mのうちで偶数列に位置するターゲット材29b4n,2mがA金属で形成されている。一方で、左から3行目に位置するターゲット材29b4n−1,mのうちで偶数列に位置するターゲット材29b4n−1,2mと、左から4行目に位置するターゲット材29b4n,mのうちで奇数列に位置するターゲット材29b4n,2m−1がB金属で形成されている。
このように、ターゲット材29b1,1〜29bk,lを格子状に配置することでも、形成する薄膜の組成を調整することができる。上記の例では、ターゲット29bを構成するA金属とB金属の比率は、3:1にすることができる。ターゲット材29b1,1〜29bk,lのうち何枚をA金属で形成されたものにするか、又はB金属で形成されたものにするかによって、ターゲット29bを構成するA金属とB金属の比率を変更して、形成する薄膜の組成比を調整できる。この場合に、各ターゲット材29b1,1〜29bk,lの形状を、例えば図6,図7に示すように矩形で統一しておいておけば、A金属のターゲット材と、B金属のターゲット材との枚数の組合わせを自由に変更できる。すなわち、A金属,B金属で形成されたターゲット材29b1,1〜29bk,lだけを予め準備しておけば、形成する薄膜の組成比を変更する度に、新しい組成比に対応した組成比のターゲット材を製造し直す必要がない。
なお、上記例の左から1行目や、2行目に位置するターゲット材29b4n−3,m,29b4n−2,mを総て同一の材料とする場合には、その行のターゲット材に、上記実施形態のような短冊形のターゲット材を用いてもよい。この場合には、図4に示すような短冊形のターゲット材と、図6,図7に示すような矩形のターゲット材(短冊形のターゲット材よりも長さが短い)とを予め用意しておく必要があるが、ターゲット材をバッキングプレートにボンディングする際に、ボンディングするターゲット材の点数を減らすことができる点で利点がある。
(b) 上記の実施の形態では、所謂カルーセル型のスパッタ装置を用いているが、これに限定されるものではない。本発明は、基板がターゲット29a,29b,49a,49bに面して搬送される他のスパッタ装置にも適用できる。
(c) 上記の実施の形態では、反応プロセスゾーン60に反応性ガスとして酸素を導入しているが、その他に、オゾン,一酸化二窒素(N2O)等の酸化性ガス、窒素等の窒化性ガス、メタン等の炭化性ガス、弗素,四弗化炭素(CF4)等の弗化性ガスなどを導入することで、本発明を酸化処理以外のプラズマ処理にも適用することができる。
(d) 上記の実施の形態では、熱分解窒化硼素を仕切壁16の反応プロセスゾーン60に面する壁面や、真空容器11の外壁面に被覆した場合を説明したが、酸化アルミニウム(Al2O3)や、酸化ケイ素(SiO2)や、窒化ホウ素(BN)を被覆することでも、プラズマ発生手段で発生させたプラズマ中のラジカル又は励起状態のラジカルが、真空容器の外壁面やプラズマ収束壁の壁面と反応して消滅することを抑制することができる。
(e) 上記の実施の形態では、固定板68a,68bと誘電体壁63とでアンテナ65a,65bを挟み、ボルト68c,68dで固定板68a,68bを蓋体11bに固定することで、アンテナ65a,65bを固定したが、要は、間隔Dを調整してアンテナ65a,65bを固定できれば他の方法でもよい。例えば、固定板68aに対してアンテナ65aを、固定板68bに対してアンテナ65bを予め固定しておき、蓋体11bにボルト68c,68dを上下にスライドさせる長穴を設けておく。そして、固定板68a,68bを上下方向にスライドさせて間隔Dを選び、所望の間隔Dでボルト68c,68dを締め付けることで、蓋体11bに対する固定板68a,68bの上下方向の固定位置を決めてもよい。
(f) 上記の実施の形態では、プラズマ発生手段として、図1,図2,図5に示すような、板状の誘電体壁63に対してアンテナ65a,65bを固定した誘導結合型(平板型)のプラズマ発生手段を用いているが、本発明は、他のタイプのプラズマ発生手段を備えた薄膜形成装置にも適用される。すなわち、誘導結合型(平板型)以外のタイプのプラズマ発生手段を備えた薄膜形成装置を用いた場合でも、ターゲット29a,29b,49a,49bを用いたスパッタで形成した薄膜に対して、プラズマ処理を行うことができる。誘導結合型(平板型)以外のタイプのプラズマ発生手段としては、例えば、平行平板型(二極放電型)や、ECR(Electron Cyclotron Resonance)型や、マグネトロン型や、ヘリコン波型や、誘導結合型(円筒型)等の種々のものが考えられる。
以上に説明した実施の形態から把握できる、特許請求の範囲に記載した以外の発明として、例えば、次に示す薄膜形成方法が考えられる。
すなわち、請求項1乃至請求項3のうちいずれか1つに記載のスパッタ用ターゲットに対してスパッタを行うことで、基体上に薄膜を形成する薄膜形成方法である。
この薄膜形成方法で薄膜を形成すれば、バッキングプレートに保持される第1ターゲット材と第2ターゲット材の数の比率に応じた組成比の薄膜を形成することができる。
すなわち、請求項1乃至請求項3のうちいずれか1つに記載のスパッタ用ターゲットに対してスパッタを行うことで、基体上に薄膜を形成する薄膜形成方法である。
この薄膜形成方法で薄膜を形成すれば、バッキングプレートに保持される第1ターゲット材と第2ターゲット材の数の比率に応じた組成比の薄膜を形成することができる。
1 スパッタ装置
11 真空容器
11a フランジ
11b 蓋体
12,14,16 仕切壁
13 基板ホルダ
15 真空ポンプ
17 モータ
20,40 成膜プロセスゾーン
21a,21b,41a,41b マグネトロンスパッタ電極
23,43 中周波交流電源
24,44 トランス
25,26,45,46,75,76 マスフローコントローラ
27,47 スパッタガスボンベ
28,48 反応性ガスボンベ
29a,29b,49a,49b ターゲット
29a1,29a2,29a3,29a4 ターゲット材
29b1,29b2,29b3,29b4 ターゲット材
29a_p バッキングプレート
29b_p バッキングプレート
29a_b ボンディング材
29b_b ボンディング材
43 中周波交流電源
60 反応プロセスゾーン
61 プラズマ発生装置
63 誘電体壁
65a,65b アンテナ
66 導線
66a,66b たるみ部
67 マッチングボックス
67a,67b 可変コンデンサ
68 固定具
68a,68b 固定板
68c,68d ボルト
69 高周波電源
77 不活性ガスボンベ
78 反応性ガスボンベ
111 真空容器
161 プラズマ発生装置
163 誘電板
165 アンテナ
167 マッチングボックス
167a,167b 可変コンデンサ
167c マッチング用コイル
169 高周波電源
D 間隔
P 保護層
Ra,Rb 径
Z 中心軸線
11 真空容器
11a フランジ
11b 蓋体
12,14,16 仕切壁
13 基板ホルダ
15 真空ポンプ
17 モータ
20,40 成膜プロセスゾーン
21a,21b,41a,41b マグネトロンスパッタ電極
23,43 中周波交流電源
24,44 トランス
25,26,45,46,75,76 マスフローコントローラ
27,47 スパッタガスボンベ
28,48 反応性ガスボンベ
29a,29b,49a,49b ターゲット
29a1,29a2,29a3,29a4 ターゲット材
29b1,29b2,29b3,29b4 ターゲット材
29a_p バッキングプレート
29b_p バッキングプレート
29a_b ボンディング材
29b_b ボンディング材
43 中周波交流電源
60 反応プロセスゾーン
61 プラズマ発生装置
63 誘電体壁
65a,65b アンテナ
66 導線
66a,66b たるみ部
67 マッチングボックス
67a,67b 可変コンデンサ
68 固定具
68a,68b 固定板
68c,68d ボルト
69 高周波電源
77 不活性ガスボンベ
78 反応性ガスボンベ
111 真空容器
161 プラズマ発生装置
163 誘電板
165 アンテナ
167 マッチングボックス
167a,167b 可変コンデンサ
167c マッチング用コイル
169 高周波電源
D 間隔
P 保護層
Ra,Rb 径
Z 中心軸線
Claims (9)
- スパッタにより基体に薄膜を形成するために用いられるスパッタ用ターゲットであって、
バッキングプレートと、該バッキングプレートに保持された複数の第1ターゲット材と、該第1ターゲット材とは異なる材料で形成され前記バッキングプレートに保持された第2ターゲット材とを備え、
前記第1ターゲット材と前記第2ターゲット材との数の比率に応じた組成比の薄膜を形成するために用いられるものであることを特徴とするスパッタ用ターゲット。 - 前記第1ターゲット材及び前記第2ターゲット材が短冊形状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のスパッタ用ターゲット。
- 前記複数の第1ターゲット材及び前記第2ターゲット材がそれぞれ同一の形状に形成されていることを特徴とする請求項2に記載のスパッタ用ターゲット。
- スパッタにより基体上に一次薄膜を形成するための成膜プロセスゾーンと、前記一次薄膜に対するプラズマ処理により前記基体上に金属化合物薄膜を形成するための反応プロセスゾーンと、前記基体を保持するとともに前記成膜プロセスゾーンと前記反応プロセスゾーンとの間で前記基体を搬送する基体保持手段と、を真空槽内に備えた薄膜形成装置において、
前記反応プロセスゾーンに反応性ガスを導入するガス導入手段と、
前記反応プロセスゾーンに前記反応性ガスのプラズマを発生させるプラズマ発生手段と、
前記成膜プロセスゾーンに配設されて交流電源によって正電位と負電位とに交互に印加可能な少なくとも2つのターゲット電極と、
該少なくとも2つのターゲット電極のそれぞれに固定された複数のスパッタ用ターゲットと、を備え、
該スパッタ用ターゲットは、バッキングプレートと、該バッキングプレートに保持された金属により成るターゲット材と、を有して構成され、
前記複数のスパッタ用ターゲットのうちの少なくとも一つのスパッタ用ターゲットを構成するターゲット材は、複数の第1ターゲット材と、該第1ターゲット材とは異なる材料で形成された第2ターゲット材とを有して構成されたことを特徴とする薄膜形成装置。 - 前記第1ターゲット材及び前記第2ターゲット材が短冊形状に形成されていることを特徴とする請求項4に記載の薄膜形成装置。
- 前記複数の第1ターゲット材及び前記第2ターゲット材がそれぞれ同一の形状に形成されていることを特徴とする請求項5に記載の薄膜形成装置。
- 前記複数のスパッタ用ターゲットは、各々のターゲット材が前記基体と対向するように配置されるとともに、前記成膜プロセスゾーンにおいて前記基体が前記ターゲット材に面して搬送される方向で互いに隣り合って配置され、
前記プラズマ発生手段は、前記基体と対向するように前記真空槽の外壁の一部として設けられた誘電体壁と、前記真空槽の外側で前記誘電体壁に対応する位置に設けられた平面状に渦を成す第1のアンテナ及び第2のアンテナと、を有して構成され、
前記第1のアンテナと前記第2のアンテナは、該第1のアンテナ及び該第2のアンテナの渦を成す面が前記誘電体壁の壁面に対向して配置されるとともに、当該渦を成す面の面内方向で、かつ前記反応プロセスゾーンにおいて前記基体が前記誘電体壁に面して搬送される方向と交差する方向で互いに隣り合って配置されたことを特徴とする請求項4乃至請求項6のうちいずれか1つに記載の薄膜形成装置。 - 前記第1のアンテナと前記第2のアンテナとの間隔を調整するための位置調整手段を設けたことを特徴とする請求項7に記載の薄膜形成装置。
- 接地電位から電気的に絶縁されスパッタ用ターゲットが保持された少なくとも2つのターゲット電極に、該少なくとも2つのターゲット電極の一方がカソードおよびアノードに交互になるとともに、同時にいずれか一方がカソードとなり他方がアノードとなるように交流電圧を印加して、前記スパッタ用ターゲットに対してスパッタを行うことで、基体上に一次薄膜を形成するスパッタ工程と、
前記一次薄膜に電気的に中性な反応性ガスの活性種を接触させ、前記一次薄膜と前記反応性ガスの活性種とを反応させる反応工程と、により、薄膜を形成する薄膜形成方法において、
前記少なくとも2つのターゲット電極に保持されるスパッタ用ターゲットのうちの少なくとも一方のスパッタ用ターゲットに、請求項1乃至請求項3のうちいずれか1つに記載のスパッタ用ターゲットを用いることを特徴とする薄膜形成方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003427149A JP2005187836A (ja) | 2003-12-24 | 2003-12-24 | スパッタ用ターゲット,薄膜形成装置及び薄膜形成方法 |
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JP2003427149A JP2005187836A (ja) | 2003-12-24 | 2003-12-24 | スパッタ用ターゲット,薄膜形成装置及び薄膜形成方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2020164958A (ja) * | 2019-03-29 | 2020-10-08 | Jx金属株式会社 | スパッタリングターゲット、スパッタリングターゲットの製造方法、スパッタ膜の製造方法、及び太陽電池の製造方法 |
-
2003
- 2003-12-24 JP JP2003427149A patent/JP2005187836A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2020164958A (ja) * | 2019-03-29 | 2020-10-08 | Jx金属株式会社 | スパッタリングターゲット、スパッタリングターゲットの製造方法、スパッタ膜の製造方法、及び太陽電池の製造方法 |
JP7197423B2 (ja) | 2019-03-29 | 2022-12-27 | Jx金属株式会社 | スパッタリングターゲット、スパッタリングターゲットの製造方法、スパッタ膜の製造方法、及び太陽電池の製造方法 |
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