JPWO2011004428A1 - 排気ガス循環バルブ - Google Patents

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Abstract

バルブシート2の中心線O1に対して、シャフト3の回転軸O2がX方向およびY方向に二軸偏心して取り付けられている。バルブ1の外周面には、バルブ1とバルブシート2とが線接触するように傾斜加工を施し、バルブの外周面は軸中心からずれた2箇所で傾斜角度の正負を切り替える。また、この2箇所をつなぐ区間には傾斜角度が一定の区間をそれぞれ設け、その他の区間は滑らかにつなぐ。

Description

この発明は、排気ガス循環バルブ(ERG−Valve)の、バルブとバルブシートの形状に関するものである。
排気ガス循環バルブにおいて、循環排気ガスの流量を調整する弁体は、排気ガス通路を開閉するバルブと、このバルブを動作させる回転軸とで構成される。この回転軸は、バルブ本体のハウジングに設けられた軸受け部に回転可能に支持する。一方、バルブシートは排気ガス通路を構成するハウジングに設けられ、バルブを回転軸と一体に回転させてバルブシートに当接させることによって排気ガス通路を閉塞する。
従来の排気ガス循環バルブは、バルブとバルブシートのシール面付近に排気ガスに含まれるデポジット等の異物が堆積した場合、異物の噛み込みによってバルブとバルブシートが固着して、弁体の開閉に支障をきたすという課題があった。
このような課題を解消するために、特許文献1には、排気ガス循環バルブとして用いるバタフライバルブが開示されている。このバタフライバルブは、円形のバルブの外周面が傾斜面に形成され、バルブシートは2部品で構成されて環状の段差が設けられており、バルブ外周面をバルブシートの環状段差で広範囲に線シールして排気ガス通路を閉塞する。
しかし、この構成では広範囲で線シールが確保されているものの、バルブ閉弁状態において、バルブの回転軸には排気ガス通路を流れるガスの高圧が作用して、回転軸付近のシール部には大きな負担がかかり、シールがない場合にはその部分からの漏れが増加してしまう。また、バルブシートが2部品から構成されるため、構成が複雑になるという欠点があった。
このような欠点を補うために、特許文献2には、バルブの回転軸を、バルブの厚み方向に偏心させた断面が真円で多重偏心構造のバタフライバルブが提案されている。
特開2004−263723号公報 特開2004−225783号公報
しかし、上記特許文献2の排気ガス循環バルブは、多重偏心構造にすることによって特許文献1の問題点は改善できるが、弁体開閉時にはバルブ外周面がバルブシートとのシール面が一部摺り潰すように摺動するため、シート面には弾性を持たせる必要があり、また、弾性のある別部材のシールを選定する必要があり、高価になりやすいという課題があった。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、バルブシートのエッジで線シールすることで耐噛み込み性を向上させると共に、バルブシート形状を簡素化することで排気ガス循環バルブを安価に製造することを目的とする。
この発明の排気ガス循環バルブは、バルブの中心を通る一方の直交線上の左右外周面が軸中心からずれた2箇所で傾斜角度の正負が切り替わるように滑らかに傾斜するように形成され、他方の直交線に沿った断面側面形状が台形形状に形成され、
前記シャフトは、その回転中心軸を前記バルブの中心から前記台形形状の長底辺側へ偏心させた1軸偏心位置に取り付けたものである。
この発明によれば、バルブは、バルブの中心を通る他方の直交線に沿った断面側面形状が台形形状に形成され、シャフトは、その回転中心軸をバルブの中心から台形形状の長底辺側へ偏心させた1軸偏心位置に取り付けたので、バルブをバルブシートのエッジで線シールすることで耐噛み込み性を向上させると共に、バルブシートの形状を簡素化することで安価に製造することができる。
この発明の実施の形態1に係る排気ガス循環バルブの構成を示し、図1(a)は平面図、図1(b)は図1(a)のDD線に沿って切断した断面図である。 実施の形態1のバルブの形状を示し、図2(a)は平面図、図2(b)〜(d)はA’A’線,B’B’線,C’C’線に沿って切断した断面図である。 実施の形態1に係る排気ガス循環バルブを図1(a)のDD線に沿って切断した断面斜視図であり、図3(a)はバルブ開弁状態、図3(b)はバルブ閉弁状態を示す。 この発明の実施の形態2に係る排気ガス循環バルブの構成を示し、図4(a)は平面図、図4(b)は図4(a)のEE線に沿って切断した断面図、図4(c)は図4(a)の中心線O1に沿って切断した断面図である。 この発明の実施の形態3に係る排気ガス循環バルブの構成を示す平面図である。
以下、この発明をより詳細に説明するために、この発明を実施するための形態について、添付の図面に従って説明する。
実施の形態1.
図1(a)は、この発明の実施の形態1に係る排気ガス循環バルブの平面図であり、図1(b)は図1(a)のDD線に沿って切断した断面図である。図2(a)は、バルブ1の形状を示す平面図であり、図2(b),(c),(d)にA’A’線,B’B’線,C’C’線に沿って切断した断面図を示す。図3(a)は、図1(a)のDD線に沿って切断した、開弁状態の断面斜視図であり、図3(b)は閉弁状態の断面斜視図である。
排気ガス循環バルブは、略円形状のバルブ1と、真円形状の開口部が形成されたバルブシート2と、バルブ1を回転させるシャフト3と、バルブ1とシャフト3との間に介在させたプレート4とを備える。真円形状のバルブシート2の中心を通る直線を中心線O1とし、シャフト3がバルブ1を回転させるときの回転中心軸を回転軸O2とする。
本実施の形態1に示す排気ガス循環バルブは二軸偏心バルブであり、バルブシート2の中心線O1に対して、シャフト3の回転軸(回転中心軸)O2をX方向(断面側面形状が台形形状の長底辺側)にオフセットさせて一軸偏心させ、さらにY方向(バルブ1の径方向)にオフセットさせて二軸偏心させたものである。シャフト3のバルブ1に対する取り付け面がガス下流側になるように一軸偏心させれば、閉弁状態において、シャフト3が排気ガスに直接暴露される状態を減少させることができる。これにより、シャフト3に排気ガスの高圧が作用してバルブ1とシャフト3の取り付け部分周辺に大きな負担がかかることがない。
また、バルブ1とシャフト3とを直接固着させず、間にプレート4を介して固定することで、バルブ1とプレート4、プレート4とシャフト3の接地面積を調整してバルブ1とシャフト3の固定強度を向上させることができる。また、プレート4の厚さを変更して、一軸偏心量も調整することができる。
二軸偏心構造に対応させるように、バルブ1とバルブシート2とを線接触させることができるように、バルブ1の外周面には図2に示すような傾斜加工が施されている。バルブ1の外周面は、開弁時に手前側に移動する区間Aを−45度傾斜させ(図2(b))、シャフト3の回転軸O2付近にくる上下のB部では+15度傾斜させ(図2(c))、開弁時に奥側に移動する区間Cでは+45度傾斜させる(図2(d))。その他の区間は、区間A、B部、区間Cの傾斜角度を保持するように滑らかにつないだ傾斜加工とする。このとき、シャフト3の回転軸O2からずれた位置をシール部切替ポイント1aとし、傾斜角度を±0度にして、シール部切替ポイント1aに隣接する区間の傾斜角度の正負を切り替える。
このように傾斜加工すると、バルブ1が、区間Aでは外周面の手前寄りでバルブシート2の手前側の内周エッジ2a(図3)に当接し、シール部切替ポイント1aで当接位置をバルブシート2の手前側の内周エッジ2aから奥側の内周エッジ2b(図3)に切り替えて、B部および区間Cでは外周面の奥側寄りでバルブシート2の奥側の内周エッジ2bに当接する。そのため、閉弁したときにバルブ1とバルブシート2とが当接するシール部5は、線接触の線シールにすることができる。線シールであればバルブ1とバルブシート2の接触面積が小さいので、排気ガス通路に設置された場合に排気ガスに含まれるデポジット等の異物を噛み込む可能性が減少して、シール部5の固着が低減され、よって、開閉動作に支障をきたすトルクも減少する。
また、シール部切替ポイント1aをシャフト3の回転軸O2からずれた位置に設けるため、シャフト3の回転軸O2付近のバルブ1がバルブシート2の真円形開口部と干渉せず、全周線シールが可能となる。従って、機密性を向上させることができ、理論上の洩隙間は0となる。
なお、図2に示す傾斜加工は一例であり、シャフト3の回転軸O2の偏心量、バルブ1の厚さ等の条件に応じて、傾斜角度、傾斜区間、シール部切替ポイントの位置等を適宜設計すればよい。また、バルブシート2の開口部内周は真円形状なので、バルブシート2の真円形の開口部形成は旋盤加工で対応できるため、加工コストを低減することができる。
以上より、実施の形態1によれば、シャフト3は、その回転軸O2を、バルブシート2の中心線O1から台形形状の長底辺側へ偏心させた一軸偏心位置からさらに径方向へ偏心させた二軸偏心位置に取り付け、バルブ1の外周面は、軸中心からずれた2箇所のシール部切替ポイント1aで、傾斜角度の正負が切り替わるように滑らかに傾斜させ、シール部切替ポイント1aをつなぐ区間に、傾斜角度が一定の区間A,Cを設けるように構成した。このため、バルブ1をバルブシート2の真円形開口部のエッジで線シールすることで耐噛み込み性を向上させることができ、かつ、全周線シールが可能となるので機密性を向上させて理論上の洩隙間を0にできる。また、バルブシート2の開口部の形状を真円形に簡素化でき、安価に製造することができる。さらに、シャフト3は、プレート4を間に挟んでバルブ1に取り付けるように構成したので、バルブ1とシャフト3の固定強度を向上させると共に、一軸偏心量を調整することができる。
実施の形態2.
図4は、実施の形態2に係る排気ガス循環バルブの構成を示し、図4(a)は平面図、図4(b)は図4(a)のEE線に沿って切断した断面図、図4(c)は図4(a)の中心線O1に沿って切断した断面図である。上記実施の形態1に示す排気ガス循環バルブは二軸偏心構造としたが、本実施の形態2では一軸偏心構造にする。即ち、バルブシート2の中心線O1に対して、シャフト3の回転軸O2をバルブの中心から台形形状の長底辺側へ一軸偏心させる。このバルブ1はシャフト3の回転軸O2に対して、閉弁状態において左右対称であるため、閉弁状態のときにバルブ1にかかる排気ガスの左右の圧力差がない。従って圧力差による開弁力をキャンセルすることができる。
本実施の形態2のバルブ1も、上記実施の形態1の図2に示すように、その外周面に傾斜加工が施されている。ただし、シャフト3の回転軸O2の近傍において、シャフト3が回転する際にバルブ1がバルブシート2に干渉するため、干渉する部分に微小な隙間6をそれぞれ設ける必要がある。隙間6を設けるため、バルブ1とバルブシート2とは全周線シールは不可能となり、各隙間6からごくわずかに洩れが発生する可能性がある。なお、図4では、バルブ1の両極を変形して隙間6を形成することとし、バルブシート2の開口部は変形せずに真円形状のままにする。そのため、バルブシート2の加工は簡単である。
以上により、実施の形態2によれば、シャフト3は、その回転軸O2を、バルブシート2の中心線O1から台形形状の長底辺側へ偏心させた一軸偏心位置に取り付けるように構成した。このため、バルブ1の表面積がシャフト3の回転軸O2に対して、閉弁時において左右対称となり、閉弁時に左右差圧が生じてもその開弁力をキャンセルすることができる。
なお、本実施の形態2に示す一軸偏心構造の排気ガス循環バルブも、上記実施の形態1と同様に、シャフト3のバルブ1に対する取り付け面がガス下流側になるように一軸偏心させれば、取り付け部分周辺に高圧な排気ガスによる負担がかかることがない。また、バルブ1の外周面を傾斜加工したので、バルブ1とバルブシート2を線接触させて線シールすることができ、耐噛み込み性を向上できる。さらに、バルブシート2の開口部の形状を真円形に簡素化でき、安価に製造することができる。また、プレート4を用いることにより、バルブ1とシャフト3の固定強度を向上させると共に、一軸偏心量を調整することができる。
実施の形態3.
図5は、実施の形態3に係る排気ガス循環バルブの構成を示す平面図である。
上記実施の形態1に示す排気ガス循環バルブは、二軸偏心構造にするためにバルブシート2の中心線O1に対してシャフト3の回転軸O2をY方向にオフセットさせていた。そのため、バルブ1はシャフト3の回転軸O2に対してわずかに左右表面に発生するトルクが異なり、閉弁状態のときにバルブ1にかかる排気ガスの左右の圧力差が大きいと、開弁力が発生する場合がある。そこで、本実施の形態3では図5に示すように、二軸偏心構造に加えて、バランスバルブ構造に構成する。
図5において、斜線で示す面積だけバルブ1とバルブシート2とをそれぞれ縮小させ、シャフト3の回転軸O2を中心とするバルブ1の左右表面に発生するトルクを同一にすることにより、バルブ1にかかる圧力が左右均等に分散する構造となっている。この構造により、一軸偏心構造の場合と同様に、バルブ1の左右で生じる圧力差による開弁力をキャンセルすることができる。
以上より、実施の形態3によれば、シャフト3は、その回転軸O2を、バルブシート2の中心線O1台形形状の長底辺側へ偏心させた一軸偏心位置からさらに径方向へ偏心させた二軸偏心位置に取り付け、さらに、バルブ1は、シャフト3の回転軸O2に対して左右表面に発生するトルクが同じとなるように構成した。このため、閉弁時に左右差圧が生じてもその開弁力をキャンセルすることができる。
なお、本実施の形態3に示す二軸偏心構造の排気ガス循環バルブも、上記実施の形態1と同様に、シャフト3のバルブ1に対する取り付け面がガス下流側になるように一軸偏心させれば、閉弁時において取り付け部分周辺に高圧な排気ガスによる負担がかかることがない。また、バルブ1をバルブシート2の円形開口部のエッジで線シールすることで耐噛み込み性を向上させることができ、かつ、全周線シールが可能となるので機密性を向上させて理論上の洩隙間を0にできる。また、プレートを間に挟んでバルブ1とシャフト3を固定することにより、バルブ1とシャフト3の固定強度を向上させると共に、一軸偏心量を調整することができる。
以上のように、この発明に係る排気ガス循環バルブは、偏心構造のバルブの外周面に傾斜加工を施してバルブシートに対し線シールできるようにしたので、デポジットの堆積が起こる排気ガス循環バルブなどに用いるのに適している。
この発明は、排気ガス循環バルブ(ERG−Valve)の、バルブとバルブシートの形状に関するものである。
排気ガス循環バルブにおいて、循環排気ガスの流量を調整する弁体は、排気ガス通路を開閉するバルブと、このバルブを動作させる回転軸とで構成される。この回転軸は、バルブ本体のハウジングに設けられた軸受け部に回転可能に支持する。一方、バルブシートは排気ガス通路を構成するハウジングに設けられ、バルブを回転軸と一体に回転させてバルブシートに当接させることによって排気ガス通路を閉塞する。
従来の排気ガス循環バルブは、バルブとバルブシートのシール面付近に排気ガスに含まれるデポジット等の異物が堆積した場合、異物の噛み込みによってバルブとバルブシートが固着して、弁体の開閉に支障をきたすという課題があった。
このような課題を解消するために、特許文献1には、排気ガス循環バルブとして用いるバタフライバルブが開示されている。このバタフライバルブは、円形のバルブの外周面が傾斜面に形成され、バルブシートは2部品で構成されて環状の段差が設けられており、バルブ外周面をバルブシートの環状段差で広範囲に線シールして排気ガス通路を閉塞する。
しかし、この構成では広範囲で線シールが確保されているものの、バルブ閉弁状態において、バルブの回転軸には排気ガス通路を流れるガスの高圧が作用して、回転軸付近のシール部には大きな負担がかかり、シールがない場合にはその部分からの漏れが増加してしまう。また、バルブシートが2部品から構成されるため、構成が複雑になるという欠点があった。
このような欠点を補うために、特許文献2には、バルブの回転軸を、バルブの厚み方向に偏心させた断面が真円で多重偏心構造のバタフライバルブが提案されている。
特開2004−263723号公報 特開2004−225783号公報
しかし、上記特許文献2の排気ガス循環バルブは、多重偏心構造にすることによって特許文献1の問題点は改善できるが、弁体開閉時にはバルブ外周面がバルブシートとのシール面が一部摺り潰すように摺動するため、シート面には弾性を持たせる必要があり、また、弾性のある別部材のシールを選定する必要があり、高価になりやすいという課題があった。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、バルブシートのエッジで線シールすることで耐噛み込み性を向上させると共に、バルブシート形状を簡素化することで排気ガス循環バルブを安価に製造することを目的とする。
この発明の排気ガス循環バルブは、バルブが、当該バルブ平面視においてシャフトの回転中心軸に相当する軸中心からずれた2箇所でバルブ外周面の傾斜角度の正負が切り替わるように滑らかに傾斜するように形成され、当該軸中心に沿った断面側面形状が台形形状に形成され、シャフトが、その回転中心軸をバルブの中心から台形形状の長底辺側へ偏心させた一軸偏心位置に取り付けられたものである。
この発明によれば、バルブは、バルブの軸中心に沿った断面側面形状が台形形状に形成され、シャフトは、その回転中心軸をバルブの中心から台形形状の長底辺側へ偏心させた1軸偏心位置に取り付けたので、バルブをバルブシートのエッジで線シールすることで耐噛み込み性を向上させると共に、バルブシートの形状を簡素化することで安価に製造することができる。
この発明の実施の形態1に係る排気ガス循環バルブの構成を示し、図1(a)は平面図、図1(b)は図1(a)のDD線に沿って切断した断面図である。 実施の形態1のバルブの形状を示し、図2(a)は平面図、図2(b)〜(d)はA’A’線,B’B’線,C’C’線に沿って切断した断面図である。 実施の形態1に係る排気ガス循環バルブを図1(a)のDD線に沿って切断した断面斜視図であり、図3(a)はバルブ開弁状態、図3(b)はバルブ閉弁状態を示す。 この発明の実施の形態2に係る排気ガス循環バルブの構成を示し、図4(a)は平面図、図4(b)は図4(a)のEE線に沿って切断した断面図、図4(c)は図4(a)の中心線O1に沿って切断した断面図である。 この発明の実施の形態3に係る排気ガス循環バルブの構成を示す平面図である。
以下、この発明をより詳細に説明するために、この発明を実施するための形態について、添付の図面に従って説明する。
実施の形態1.
図1(a)は、この発明の実施の形態1に係る排気ガス循環バルブの平面図であり、図1(b)は図1(a)のDD線に沿って切断した断面図である。図2(a)は、バルブ1の形状を示す平面図であり、図2(b),(c),(d)にA’A’線,B’B’線,C’C’線に沿って切断した断面図を示す。図3(a)は、図1(a)のDD線に沿って切断した、開弁状態の断面斜視図であり、図3(b)は閉弁状態の断面斜視図である。
排気ガス循環バルブは、略円形状のバルブ1と、真円形状の開口部が形成されたバルブシート2と、バルブ1を回転させるシャフト3と、バルブ1とシャフト3との間に介在させたプレート4とを備える。真円形状のバルブシート2の中心を通る直線を中心線O1とし、シャフト3がバルブ1を回転させるときの回転中心軸を回転軸O2とする。
本実施の形態1に示す排気ガス循環バルブは二軸偏心バルブであり、バルブシート2の中心線O1に対して、シャフト3の回転軸(回転中心軸)O2をX方向(断面側面形状が台形形状の長底辺側)にオフセットさせて一軸偏心させ、さらにY方向(バルブ1の径方向)にオフセットさせて二軸偏心させたものである。シャフト3のバルブ1に対する取り付け面がガス下流側になるように一軸偏心させれば、閉弁状態において、シャフト3が排気ガスに直接暴露される状態を減少させることができる。これにより、シャフト3に排気ガスの高圧が作用してバルブ1とシャフト3の取り付け部分周辺に大きな負担がかかることがない。
また、バルブ1とシャフト3とを直接固着させず、間にプレート4を介して固定することで、バルブ1とプレート4、プレート4とシャフト3の接地面積を調整してバルブ1とシャフト3の固定強度を向上させることができる。また、プレート4の厚さを変更して、一軸偏心量も調整することができる。
二軸偏心構造に対応させるように、バルブ1とバルブシート2とを線接触させることができるように、バルブ1の外周面には図2に示すような傾斜加工が施されている。バルブ1の外周面は、開弁時に手前側に移動する区間Aを−45度傾斜させ(図2(b))、シャフト3の回転軸O2付近にくる上下のB部では+15度傾斜させ(図2(c))、開弁時に奥側に移動する区間Cでは+45度傾斜させる(図2(d))。その他の区間は、区間A、B部、区間Cの傾斜角度を保持するように滑らかにつないだ傾斜加工とする。このとき、シャフト3の回転軸O2からずれた位置をシール部切替ポイント1aとし、傾斜角度を±0度にして、シール部切替ポイント1aに隣接する区間の傾斜角度の正負を切り替える。
このように傾斜加工すると、バルブ1が、区間Aでは外周面の手前寄りでバルブシート2の手前側の内周エッジ2a(図3)に当接し、シール部切替ポイント1aで当接位置をバルブシート2の手前側の内周エッジ2aから奥側の内周エッジ2b(図3)に切り替えて、B部および区間Cでは外周面の奥側寄りでバルブシート2の奥側の内周エッジ2bに当接する。そのため、閉弁したときにバルブ1とバルブシート2とが当接するシール部5は、線接触の線シールにすることができる。線シールであればバルブ1とバルブシート2の接触面積が小さいので、排気ガス通路に設置された場合に排気ガスに含まれるデポジット等の異物を噛み込む可能性が減少して、シール部5の固着が低減され、よって、開閉動作に支障をきたすトルクも減少する。
また、シール部切替ポイント1aをシャフト3の回転軸O2からずれた位置に設けるため、シャフト3の回転軸O2付近のバルブ1がバルブシート2の真円形開口部と干渉せず、全周線シールが可能となる。従って、気密性を向上させることができ、理論上の洩隙間は0となる。
なお、図2に示す傾斜加工は一例であり、シャフト3の回転軸O2の偏心量、バルブ1の厚さ等の条件に応じて、傾斜角度、傾斜区間、シール部切替ポイントの位置等を適宜設計すればよい。また、バルブシート2の開口部内周は真円形状なので、バルブシート2の真円形の開口部形成は旋盤加工で対応できるため、加工コストを低減することができる。
以上より、実施の形態1によれば、シャフト3は、その回転軸O2を、バルブシート2の中心線O1から台形形状の長底辺側へ偏心させた一軸偏心位置からさらに径方向へ偏心させた二軸偏心位置に取り付け、バルブ1の外周面は、軸中心からずれた2箇所のシール部切替ポイント1aで、傾斜角度の正負が切り替わるように滑らかに傾斜させ、シール部切替ポイント1aをつなぐ区間に、傾斜角度が一定の区間A,Cを設けるように構成した。このため、バルブ1をバルブシート2の真円形開口部のエッジで線シールすることで耐噛み込み性を向上させることができ、かつ、全周線シールが可能となるので気密性を向上させて理論上の洩隙間を0にできる。また、バルブシート2の開口部の形状を真円形に簡素化でき、安価に製造することができる。さらに、シャフト3は、プレート4を間に挟んでバルブ1に取り付けるように構成したので、バルブ1とシャフト3の固定強度を向上させると共に、一軸偏心量を調整することができる。
実施の形態2.
図4は、実施の形態2に係る排気ガス循環バルブの構成を示し、図4(a)は平面図、図4(b)は図4(a)のEE線に沿って切断した断面図、図4(c)は図4(a)の中心線O1に沿って切断した断面図である。上記実施の形態1に示す排気ガス循環バルブは二軸偏心構造としたが、本実施の形態2では一軸偏心構造にする。即ち、バルブシート2の中心線O1に対して、シャフト3の回転軸O2をバルブの中心から台形形状の長底辺側へ一軸偏心させる。このバルブ1はシャフト3の回転軸O2に対して、閉弁状態において左右対称であるため、閉弁状態のときにバルブ1にかかる排気ガスの左右の圧力差がない。従って圧力差による開弁力をキャンセルすることができる。
本実施の形態2のバルブ1も、上記実施の形態1の図2に示すように、その外周面に傾斜加工が施されている。ただし、シャフト3の回転軸O2の近傍において、シャフト3が回転する際にバルブ1がバルブシート2に干渉するため、干渉する部分に微小な隙間6をそれぞれ設ける必要がある。隙間6を設けるため、バルブ1とバルブシート2とは全周線シールは不可能となり、各隙間6からごくわずかに洩れが発生する可能性がある。なお、図4では、バルブ1の両極を変形して隙間6を形成することとし、バルブシート2の開口部は変形せずに真円形状のままにする。そのため、バルブシート2の加工は簡単である。
以上により、実施の形態2によれば、シャフト3は、その回転軸O2を、バルブシート2の中心線O1から台形形状の長底辺側へ偏心させた一軸偏心位置に取り付けるように構成した。このため、バルブ1の表面積がシャフト3の回転軸O2に対して、閉弁時において左右対称となり、閉弁時に左右差圧が生じてもその開弁力をキャンセルすることができる。
なお、本実施の形態2に示す一軸偏心構造の排気ガス循環バルブも、上記実施の形態1と同様に、シャフト3のバルブ1に対する取り付け面がガス下流側になるように一軸偏心させれば、取り付け部分周辺に高圧な排気ガスによる負担がかかることがない。また、バルブ1の外周面を傾斜加工したので、バルブ1とバルブシート2を線接触させて線シールすることができ、耐噛み込み性を向上できる。さらに、バルブシート2の開口部の形状を真円形に簡素化でき、安価に製造することができる。また、プレート4を用いることにより、バルブ1とシャフト3の固定強度を向上させると共に、一軸偏心量を調整することができる。
実施の形態3.
図5は、実施の形態3に係る排気ガス循環バルブの構成を示す平面図である。
上記実施の形態1に示す排気ガス循環バルブは、二軸偏心構造にするためにバルブシート2の中心線O1に対してシャフト3の回転軸O2をY方向にオフセットさせていた。そのため、バルブ1はシャフト3の回転軸O2に対してわずかに左右表面に発生するトルクが異なり、閉弁状態のときにバルブ1にかかる排気ガスの左右の圧力差が大きいと、開弁力が発生する場合がある。そこで、本実施の形態3では図5に示すように、二軸偏心構造に加えて、バランスバルブ構造に構成する。
図5において、斜線で示す面積だけバルブ1とバルブシート2とをそれぞれ縮小させ、シャフト3の回転軸O2を中心とするバルブ1の左右表面に発生するトルクを同一にすることにより、バルブ1にかかる圧力が左右均等に分散する構造となっている。この構造により、一軸偏心構造の場合と同様に、バルブ1の左右で生じる圧力差による開弁力をキャンセルすることができる。
以上より、実施の形態3によれば、シャフト3は、その回転軸O2を、バルブ1の台形形状断面の長底辺側へ偏心させた一軸偏心位置からさらに径方向へ偏心させた二軸偏心位置に取り付け、さらに、バルブ1は、シャフト3の回転軸O2に対して左右表面に発生するトルクが同じとなるように構成した。このため、閉弁時に左右差圧が生じてもその開弁力をキャンセルすることができる。
なお、本実施の形態3に示す二軸偏心構造の排気ガス循環バルブも、上記実施の形態1と同様に、シャフト3のバルブ1に対する取り付け面がガス下流側になるように一軸偏心させれば、閉弁時において取り付け部分周辺に高圧な排気ガスによる負担がかかることがない。また、バルブ1をバルブシート2の円形開口部のエッジで線シールすることで耐噛み込み性を向上させることができ、かつ、全周線シールが可能となるので気密性を向上させて理論上の洩隙間を0にできる。また、プレートを間に挟んでバルブ1とシャフト3を固定することにより、バルブ1とシャフト3の固定強度を向上させると共に、一軸偏心量を調整することができる。
以上のように、この発明に係る排気ガス循環バルブは、偏心構造のバルブの外周面に傾斜加工を施してバルブシートに対し線シールできるようにしたので、デポジットの堆積が起こる排気ガス循環バルブなどに用いるのに適している。

Claims (6)

  1. 円形状のバルブと、前記バルブの外周面に当接する円形開口部が形成されたバルブシートと、前記バルブと一体に回転して前記円形開口部を開閉するシャフトとを備える排気ガス循環バルブにおいて、
    前記バルブは、中心を通る一方の直交線上の左右外周面が軸中心からずれた2箇所で傾斜角度の正負が切り替わるように滑らかに傾斜するように形成され、他方の直交線に沿った断面側面形状が台形形状に形成され、
    前記シャフトは、その回転中心軸を前記バルブの中心から前記台形形状の長底辺側へ偏心させた1軸偏心位置に取り付けたことを特徴とする排気ガス循環バルブ。
  2. シャフトは、その回転中心軸を、一軸偏心位置からさらに前記バルブの径方向へ偏心させた二軸偏心位置に取り付けることを特徴とする請求項1記載の排気ガス循環バルブ。
  3. バルブシートの円形開口部は、真円形状であることを特徴とする請求項1記載の排気ガス循環バルブ。
  4. バルブは、シャフトの回転中心軸に対して左右表面に発生するトルクが同じであることを特徴とする請求項2記載の排気ガス循環バルブ。
  5. バルブの外周面は、傾斜角度の正負が切り替わる2箇所をつなぐ区間に、傾斜角度が一定の区間を設けたことを特徴とする請求項1記載の排気ガス循環バルブ。
  6. シャフトは、プレートを間に挟んでバルブに取り付けることを特徴とする請求項1記載の排気ガス循環バルブ。
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