JPWO2010103985A1 - 非油性内容物熱間充填用ポリオレフィン容器 - Google Patents

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Abstract

【課題】内容物が熱間充填された場合にも、熱処理などの格別の処理を行うことなく、熱間充填された非油性内容物の倒立落下性を著しく向上させ得るポリオレフィン容器を提供する。【解決手段】少なくとも内面に滑剤成分を含有するポリオレフィン系樹脂層が形成されているポリオレフィン容器において、前記ポリオレフィン系樹脂層に含まれている滑剤成分は、飽和脂肪族アミドであって且つ少なくとも70重量%以上が炭素数18よりも大きいアミドであることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリオレフィン系容器に関するものであり、特に、ケチッャプなどの高粘性の非油性内容物が熱間充填されるポリオレフィン系容器に関するものである。
プラスチック容器は、成形が容易であり、安価に製造できることなどから、各種の用途に広く使用されており、例えば、容器壁の内面がポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂層で形成されている容器は、粘稠なスラリー状或いはペースト状の内容物を収容するための容器としても使用されている。
ところで、粘稠な内容物を収容するためのプラスチック容器では、容器内に充填されている粘稠な内容物を速やかに排出するため、或いは容器内に残存させることなくきれいに最後まで使いきるために、容器を倒立状態で保存しておかれる場合が多い。従って、容器を倒立させたときには、内容物が容器内壁面に付着残存せず、例えば粘稠な内容物が速やかに落下するという特性が望まれている。
内容物の容器内壁面への付着が抑制されたプラスチック容器については、種々の提案がなされており、例えば、特許文献1には、界面活性剤を主成分とするシャンプーや液体洗剤に使用される多層ポリエチレン製容器であって、内表面のポリエチレン層に4000ppm以上のエルカ酸アミド或いは1〜5重量%のシリコーンオイルを容器内面への付着防止剤として配合することが提案されている。
前記特許文献1による提案からも理解されるように、内容物が容器壁面に付着せず、内容物のほぼ全量を速やかに容器外に排出できるようにする検討は、多くは、シャンプーや液体洗剤などのように油分によるべたつき感のある内容物についてであり、例えば粘稠ではあるが油分によるべたつき感のないケチャップなどの非油性物質については、あまり検討されていなかった。
また、特許文献2には、ケチャップやマヨネーズなどの食品が充填されるポリオレフィン系樹脂ボトルについて、ポリオレフィンからなる樹脂層に二種以上の脂肪酸アミドを添加することが提案されているが、かかる提案は、容器の外表面層に二種の脂肪酸アミドを添加することにより、ボトルに滑り性を付与してボトルの耐ブロッキング性を向上させ、ボトル生産ラインでのボトル同士の接触やボトルと他の部材との接触による不都合を防止するというものであって、内容物の容器内壁面の付着を防止するというものではない。
さらに、特許文献3には、特にケチャップが熱間充填されるポリエチレン容器において、内表面のポリエチレン層に、滑剤として脂肪族アミド、特にオレイン酸アミド等の不飽和脂肪族アミドを配合することや、これらの脂肪族アミドと共に有機過酸化物を配合することが提案されている。
この特許文献3で提案されている技術は、本出願人の特許出願に係るものであり、この容器は、ケチャップ等の非油性の粘稠な内容物に対して内容物の倒立落下性に優れているというものであるが、脂肪族アミドの添加のみでは、内容物が熱間充填された場合に内容物の倒立落下性が低下するため、有機過酸化物を併せて添加することにより、内容物が熱間充填された場合にも内容物の倒立落下性を高いレベルに維持するというものである。
特開平6−99481号公報 特許2627127号 特開2008−222291号公報
しかるに、特許文献3で提案されているように、有機過酸化物のような不安定な化合物の使用は、取り扱いが難しいばかりか、コストの増大をもたらすため、できれば使用を避けることが望まれる。
また、内容物の倒立落下性を向上させるための手段として、容器内面のポリオレフィン系樹脂層に滑剤を配合することは、通常、考えられる手段であるが、本発明者等の研究によると、単なる滑剤の配合では、内容物が室温で容器内に充填された場合には内容物の倒立落下性をある程度向上させることはできたとしても、内容物が熱間充填された場合には、この倒立落下性を十分に向上させることができないことが判った。
また、本出願人は、先に、ケチャップ等の非油性内容物が容器内に充填された場合にも、該内容物の倒立落下性を向上させるための手段として、容器内面のポリオレフィン系樹脂層に飽和脂肪族アミドと不飽和脂肪族アミドとを滑剤成分として配合すること(参考出願1:特願2008−61208号)及び内面のポリオレフィン系樹脂層に高融点の脂肪族アミドを配合すると共に、容器内に非油性内容物を熱間充填するに先立って、非接触加熱による熱処理を行うこと(参考出願2:特願2008−234254号)という手段を提案した。
上記の参考出願1は、分子の熱運動性の高いオレイン酸アミド等の低融点の不飽和脂肪族アミドと、分子の熱運動性の低いステアリン酸アミド等の高融点の飽和脂肪族アミドとを滑剤成分として併用することにより、非油性内容物の熱間充填によって崩壊しない安定な滑剤成分の多分子膜を容器内面に形成するというものであり、このような多分子膜の形成により、熱間充填された内容物に対して優れた倒立落下性を発現させるというものである。しかしながら、このような不飽和脂肪族アミドと飽和脂肪族アミドと併用により達成される倒立落下性も未だ十分でなく、さらなる倒立落下性の向上が求められる。
また、上記の参考出願2は、特に高融点の飽和脂肪族アミドを滑剤成分として使用し、熱間充填に先立って容器を熱処理することにより、非油性内容物の熱間充填によって崩壊しない安定な滑剤成分の多分子膜が容器内面に形成され、これにより、熱間充填された内容物に対して優れた倒立落下性が得られるというものである。この手段によれば、確かに、非油性内容物に対する倒立落下性を著しく高めることができるのであるが、非油性内容物の熱間充填に先立って、容器を熱処理することが必要となるため、生産性が低く、さらなる改良が必要である。
従って、本発明の目的は、内容物が熱間充填された場合にも、熱処理などの格別の処理を行うことなく、熱間充填された非油性内容物の倒立落下性を著しく向上させ得るポリオレフィン容器を提供することにある。
本発明者等は、滑剤成分として使用され得る種々の化合物について多くの実験を行い検討した結果、特定の飽和脂肪族アミド、具体的には、炭素数18以上の飽和脂肪族アミド、より具体的にはベヘン酸アミドを滑剤として容器内面のポリオレフィン系樹脂層に存在させる場合には、熱間充填に先立って熱処理を行うことなく、安定な多分子膜が容器内面に形成され、熱間充填された非油性内容物に対する倒立落下性を著しく向上させることができるという新規知見を得、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明によれば、少なくとも内面に滑剤成分を含有するポリオレフィン系樹脂層が形成されているポリオレフィン容器において、
前記ポリオレフィン系樹脂層に含まれている滑剤成分は飽和脂肪族アミドであり、且つ該飽和脂肪族アミドの少なくとも70重量%以上が炭素数18よりも大きい長鎖アミドであることを特徴とする非油性内容物熱間充填用ポリオレフィン容器が提供される。
本発明のポリオレフィン容器においては、
(1)前記飽和脂肪族アミドの80重量%以上が前記長鎖アミドであること、
(2)前記長鎖アミドはベヘン酸アミドであること、
(3)前記ポリオレフィン系樹脂層には、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対し、0.05乃至1重量部の量で前記滑剤成分が含まれていること、
(4)前記ポリオレフィン系樹脂がポリエチレンであること、
が好適である。
本発明によれば、また、上記のポリオレフィン容器に、非油性内容物が熱間充填されて密封されている熱間充填包装体が提供される。
上記の熱間充填包装体においては、
(5)前記非油性内容物がケチャップであること、
(6)前記非油性内容物を取り出した状態で、容器内面に対し反射法によるX線回折測定を行ったときに、得られるX線プロファイルには、容器内面上に形成された滑剤多分子層構造に由来するピークが発現していること、
(7)前記X線プロファイルには、容器内面上に形成された滑剤多分子層構造に由来する1次ピークと、該多分子構造に由来する2次ピークとが発現していること、
が好適である。
本発明のポリオレフィン容器は、内面のポリオレフィン系樹脂層に添加される滑剤成分として飽和脂肪族アミドが使用されており(即ち、滑剤成分の全量が飽和脂肪族アミドである)、特に、このような飽和脂肪族アミドの70重量%以上、好ましくは80重量%以上、最も好ましくは88重量%以上が炭素数18よりも大きい長鎖アミドであるという点に顕著な特徴を有するものであり、このような滑剤成分の使用により、この容器に熱間充填された非油性内容物に対して優れた倒立落下性を示すのである。即ち、非油性内容物が熱間充填された容器を倒立状態に保持しておくと、非油性内容物は、容器の内面に付着せず、速やかに落下し、下方の容器口部に詰まった状態で保持される。従って、例えばケチャップなどの粘稠な内容物が充填されている場合においても、容器口部からの取り出しを容易に行うことができるのである。しかも、特に透明な容器では、上述の滑剤成分の使用により、充填された内容物による着色を防止することができ、容器全体の透明性が維持されるため、充填されている内容物の量を容易に確認できるという利点も達成される。
本発明において、上記のように非油性内容物に対する倒立落下性が向上する理由は、次のような原理に基づくものと考えられる。
即ち、滑剤成分として脂肪族アミドを用いた場合、この化合物は、アミド基を親水性基とし、脂肪族基を疎水性基とする両親媒性分子であり、このような滑剤成分(脂肪族アミド)が内面のポリオレフィン系樹脂層に配合されていると、容器成形後の経時による滑剤成分のブリーディングに伴い、図1に示すような両親媒性分子の多分子層が形成され、この多分子層によって、非油性内容物の倒立落下性が発現するのである。具体的には、容器を倒立状態に保持したとき、非油性内容物は、容器内面に形成された脂肪族アミドの多分子層構造の最表面上を滑ることとなる。脂肪族アミドの多分子層構造の最表面は緻密な炭化水素鎖で覆われており、内容品との相互作用が低い状態であるため、非油性内容物は容器内面に付着することなく、落下することになるわけである。
また、内容物による容器への着色は、内容物から容器の最内樹脂層への色素成分の溶解拡散が原因と考えられる。本発明の容器では、容器内面に脂肪族アミドの多分子層構造が存在するため、内容物中の色素成分はこの層を通り抜けて最内樹脂層へ溶解拡散することとなるが、アミドの多分子層構造が緻密であるためこの層を抜けるのに非常に長い時間がかかり、結果として着色が防止できるのである。
ところで、従来では、このような両親媒性分子の多分子層を形成するために、オレイン酸アミド等の不飽和脂肪族アミドや、不飽和脂肪族アミドとステアリン酸アミド等の飽和脂肪族アミドとの組み合わせを滑剤成分として使用していたのであるが、不飽和脂肪族アミドを滑剤成分として使用する場合には、分子の熱運動性が高いために、例えばブリーディングにより多分子層が容器内面に形成されたとしても、非油性内容物を熱間充填したときには、この多分子層が崩壊してしまい、十分な倒立落下性を得ることができない。また、不飽和脂肪族アミドと飽和脂肪族アミドとを滑剤成分として併用した場合には、飽和脂肪族アミドが高融点であり、不飽和脂肪族アミドの熱運動を抑制するため、不飽和脂肪族アミドのみを用いた場合に比して、倒立落下性は向上するのであるが、不飽和脂肪族アミドの熱運動が完全に抑制されるわけではないため、非油性内容物を熱間充填したときに多分子層が部分的に崩壊したり、或いは分子長の異なる複数の成分を含んでいるために、多分子層の形成が不十分であると思われ、この結果、倒立落下性はさほど向上しない。
しかるに、本発明においては、滑剤成分として飽和脂肪族アミドを選択し、しかも、飽和脂肪族アミドの70重量%以上を炭素数18よりも大きい長鎖アミドとすることにより、非油性内容物の熱間充填の影響を全く受けず、安定して多分子層を形成することができ、この結果、内容物が容器内面に沿って落下した場合において、たとえ、上層の一部の滑剤分子が脱落したとしても、その下には規則正しく配列した層が存在しているため、引き続き、優れた倒立落下性を示すものと考えられる。即ち、飽和脂肪族アミドを滑剤成分として使用しているため、分子の熱運動性が低く、熱間充填による多分子層の崩壊を有効に抑制されるだけでなく、滑剤成分のほとんどが炭素数18よりも大きい長鎖アミドであり、分子長が揃っているため、容器成形後の経時によるブリーディングによって、熱間充填とは別個に格別の熱処理を行わずとも、図1に示されているような緻密で堅固な多分子層が容易に形成されるばかりか、非油性内容物の熱間充填時の熱履歴により、多分子層の形成がむしろ促進され、この結果、優れた倒立落下性、透明性を確保することができるのである。
本発明において、上記のような多分子層の形成は、容器内に非油性内容物が熱間充填された後、この内容物を取り出した状態で、容器内面に対し反射法によるX線回折測定を行ったときに、得られるX線プロファイルにより確認することができる。即ち、このX線プロファイルにおいては、容器内面上に形成された滑剤多分子層構造に由来する1次ピーク及び2次ピークが発現しており、一次ピークは、前記滑剤多分子層構造の1層分の面間隔からの回折に由来し、2次ピークは、該多分子層構造の1層分の面間隔の高次回折に由来するものであり、このような2本のピークの存在は、前記多層構造が安定に形成されていることを示す。
尚、本発明のポリオレフィン容器が有する非油性内容物に対する倒立落下性は、後述する実施例に示されているように、内層を形成するポリオレフィン(例えばポリエチレン)に滑剤成分を添加し、公知の成形法によりボトルを成形し、所定量のケチャップを熱間充填した後、内容品を使用する際、ボトルから内容物を取り出し、所定時間倒立状態で保持した後のボトル内層へのケチャップの付着状態から評価することができる。付着量が少ないほど、倒立落下性が優れていることとなる。
本発明のポリオレフィン容器の内面にブリーディングした滑剤(両親媒性分子)の存在形態を説明するための説明図。 本発明のポリオレフィン容器をキャップと共に示す図。 実施例1の容器のX線回折測定結果を示す図。 比較例2の容器のX線回折測定結果を示す図。 比較例5の容器のX線回折測定結果を示す図。 実施例1と比較例4と比較例5の長期保管後のb値の変化を表す図。
<容器の構造>
本発明のポリオレフィン容器は、非油性内容物の収容に適用されるものである。かかる非油性内容物としては、これに限定されるものではないが、ケチャップが代表的であり、これ以外にも、各種のソース、液状糊などを例示することができる。また、このような非油性内容物の中でも、特に粘稠なペースト乃至スラリー状のもの(例えば25℃での粘度が100cps以上)が好適である。このような粘稠な内容物は、特に容器壁に付着残存することなく、容器外に排出し得るような特性が望まれるからである。さらに、本発明では、このような粘稠な非油性内容物の中でも、ケチャップ、ソース、マスタードなどの食品類に好適に適用される。このような食品類は、殺菌を兼ねて、熱間充填(通常、80乃至90℃)されるが、前述したように、本発明のポリオレフィン容器は、このような熱履歴を受けた場合にも、優れた内容物の倒立落下性を維持することができるからである。
上記のような非油性内容物が充填される本発明のポリオレフィン容器は、容器内表面を形成する内層がポリオレフィン系樹脂層で形成されているものである。即ち、ポリオレフィン系樹脂は、耐湿性に優れているため、容器の内層をポリオレフィン系樹脂により形成することにより、非油性内容物中に含まれる水分が放出されないように長期間にわたって安定に保持させ、非油性内容物の品質低下を防止することが可能となるばかりか、水分による膨潤等による容器の性能低下も有効に回避することができ、しかもコストの点でも有利となる。
上記のようなポリオレフィン系樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、中或いは高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテンなどを挙げることができる。勿論、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン同士のランダムあるいはブロック共重合体等であってもよい。また、このようなポリオレフィン系樹脂のメルトフローレート(MFR,JIS K−6728、190℃)は、一般に0.1乃至3g/10min程度の範囲にある。本発明において、特に好適に使用されるポリオレフィン系樹脂は、ポリエチレン、ポリプロピレンであり、ポリエチレンが最適であり、特に容器にスクイズ性を付与し、容器内容物を絞り出しにより容器から取り出すようにするには、低密度ポリエチレンや直鎖低密度ポリエチレンを用いるのがよい。
また、本発明のポリオレフィン容器は、上記のようなポリオレフィン系樹脂により内層が形成され、この内層に、所定の滑剤成分が配合されるものであるが、このような内層の外側には、それ自体公知の各種の樹脂層が設けられ、多層構造とすることもできる。即ち、このような多層構造とした場合には、ポリオレフィン系樹脂層に配合された滑剤成分が、容器の外表面にブリーディングせず、容器の内表面に選択的にブリーディングし、この結果として、十分な倒立落下性を示すに十分な多分子層が容器内表面に形成されることとなり、倒立落下性を高める上で極めて好適である。
上記のような多層構造の例としては、内面層(ポリオレフィン系樹脂層)/接着剤層/酸素バリア層/接着剤層/外表面層の5層構造が代表的である。このような層構造において、接着剤層は、例えば酸変性オレフィン系樹脂などの接着剤樹脂から形成されるものであり、酸素バリア層は、エチレンビニルアルコール共重合体などの酸素バリア性樹脂から形成される。さらに、外表面層は、内面層と同じポリオレフィン系樹脂で形成することが一般的であるが、他の熱可塑性樹脂層、例えばポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂で形成することもできる。
尚、本発明において、滑剤成分は、内面層にのみ設ければよく、他の層に設ける必要は無い。倒立落下性の向上に寄与するのは内面層に配合された滑剤成分のみであり、他の層に配合されたものは倒立落下性の向上に寄与せず、コストの増大をもたらすに過ぎないからである。
また、多層構造は、上記の5層構造に限定されるものではなく、例えば、酸素バリア層及び接着剤層を用いて、外表面層をさらに多層構造とすることもできる。さらに、飽和脂肪族アミドが配合される内面層を低密度ポリエチレンや直鎖低密度ポリエチレンなどから形成し、外面側に印刷適正の高い高密度ポリエチレンの層を設けた2層構造とすることもできる。
本発明において、容器壁を構成する各種の層の厚みは、その機能に応じた適宜の厚みとすればよく、例えば滑剤成分が配合される内面層の厚みは、少なくとも30μm以上とするのがよい。この厚みがあまり薄いと、多分子層を形成するに十分な量のアミドがブリーディングせず、この結果、倒立落下性が不満足なものとなってしまう。さらに、接着剤層は、十分な接着力が確保できる程度の厚みとすればよく、酸素バリア層は、良好な酸素バリア性を示し、酸素透過による内容物の劣化が有効に防止できる程度の厚みとすればよい。
上記のような構造を有する本発明のポリオレフィン容器は、各層を構成する樹脂(或いは樹脂組成物)を使用し、押出成形、射出成形或いは共押出成形、共射出成形などにより、例えば、溶融パリソンを押出し、公知のダイレクトブロー成形を行うことや、試験管状の容器形成用プリフォームを作成し、このプリフォームを、それ自体公知のブロー成形に付することにより製造される。
このようにして形成されるポリオレフィン容器は、例えば図2に示されているようなボトル形状を有するものであり、螺条を備えた首部1、肩部3を介して首部に連なる胴部5及び胴部の下端を閉じている底部7を有しており、このような容器に非油性の内容物を充填した後、首部1の上端開口部にアルミ箔等の金属箔9をヒートシールにより施し、所定のキャップ10を装着することにより、包装容器として使用に供される。かかる包装容器では、キャップ10を開封し、シール材が塗布された金属箔9を引き剥がし、容器を傾倒乃至倒立させることにより、内容物の取り出しが行われる。
尚、本発明のポリオレフィン容器は、上記のようなボトル形状を有していることが最適であるが、例えばシート形状の容器用プリフォームを成形し、このプリフォームを用いてのプラグアシスト成形などによって、カップ状の形態とすることも可能である。このようなカップ形状の容器は、非油性内容物を、容器を傾倒させて取り出すものではないが、容器壁への非油性内容物の付着が有効に抑制されているため、非油性内容物を容器内に残さずに取り出すことができ、本発明を有効に適用することができる。
<滑剤成分>
本発明において、上述したポリオレフィン容器の内層のポリオレフィン系樹脂層には、滑剤成分が配合され、この滑剤成分により、目的とする内容物の倒立落下性を確保することができる。
このような滑剤成分としては、飽和脂肪族アミドを選択的に用いることが必要である。即ち、オレイン酸アミド等の不飽和脂肪族アミドを用いた場合には、融点が低く、分子の熱運動性が高いため、内容物が熱間充填されないような内容物に対しては優れた倒立落下性を得ることができるが、内容物が熱間充填された場合には、ブリーディングにより形成された容器内表面の多分子層が崩壊してしまい、倒立落下性が大きく低下してしまうこととなる。一方、飽和脂肪族アミドは、不飽和脂肪族アミドに比して高融点であり、熱運動性が低いため、ブリーディングにより形成される多分子層は、内容物の熱間充填により崩壊せず、この結果、優れた倒立落下性を維持することができる。
また、本発明においては、上記のような飽和脂肪族アミドの内、70重量%以上、好ましくは80重量%以上、最も好ましくは88重量%以上が炭素数18よりも大きい長鎖アミドであることが必要である。炭素数18よりも大きい長鎖アミドとしては、ツベルクロステアリン酸アミド、アラキジン酸アミド、ベヘン酸アミド、リグノセリン酸アミド、セロチン酸アミド、モンタン酸アミド、メリシン酸アミド等のモノアミド類、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスベヘン酸アミド等のビスアミド類が挙げられる。中でも、ベヘン酸アミドが最も好ましい。即ち、ベヘン酸アミドは炭素数が22であり且つ融点が約110℃の直鎖飽和脂肪族アミドであり、滑剤成分の主成分をこのような直鎖飽和脂肪族アミドとすることにより、熱間充填に先立って格別の熱処理を行わなくとも、ブリーディングによって極めて安定した高秩序の多分子層が形成され、内容物の熱間充填による影響を全く受けず(むしろ、熱間充填時の熱履歴によりブリーディングが促進される)、優れた倒立落下性を確保することができるのである。例えば、ベヘン酸アミドの量が上記範囲よりも少ない場合には、分子長の異なる他の滑剤成分が多く存在することとなるため、分子長の不揃いのため、ブリーディングにより形成される多分子層が乱れて不安定となってしまい、内容物の熱間充填によって崩壊し易くなるばかりか、非油性内容物の落下に際して、脂肪族アミドの多分子層構造の最表面の炭化水素鎖の緻密性が低下し、内容品との相互作用が高くなるため、倒立落下性が不満足なものとなってしまう。
また、ベヘン酸アミドの代わりにステアリン酸アミドを用いた場合には、安定した多分子層を形成するためには、熱間充填に先立って、熱処理を行うことが必要となってしまう。この理由は、明確に解明されていないが、おそらく、熱間充填に先立って熱処理を行わない状態で内容物を充填した場合、ステアリン酸アミドの層構造が充分に形成されていない状態で内容物が充填されることとなるが、ステアリン酸アミドはベヘン酸アミドに比べ炭化水素鎖が短く疎水性が若干弱いために、充填によりケチャップとステアリン酸アミド多分子層の界面はステアリン酸アミドの疎水基と親水基が混在した状態になると予想される。このため、内容物との相互作用が強くなり倒立落下性が不満足になると考えられる。
本発明においては、ベヘン酸アミド等の炭素数が18よりも大きい長鎖の飽和脂肪族アミドが前述した量割合で使用されている限り、炭素数の小さい飽和脂肪族アミドを滑剤成分として併用することができる。しかしながら、一般的には、滑剤成分(即ち、飽和脂肪族アミド)の全量が、炭素数が18よりも大きい長鎖アミドであることが好ましい。
即ち、炭素数が大きい飽和脂肪族アミドは、炭素数が小さい飽和脂肪族アミドと比べ、分子内の炭化水素数が多く、強い疎水性を示し、このような強い疎水性によって非油性内容物との相互作用を低下させ、非油性内容物の倒立落下性を向上させる性質がある。また、炭素数が大きく異なるアミドが滑剤成分として含まれている場合には、その量が少量であったとしても、分子長の大きな異なりによって形成される多分子層が不安定となり、非油性内容物との相互作用が高くなり、倒立落下性の低下を招く。従って、本発明では、滑剤成分の全量を長鎖の飽和脂肪族アミドとすることが好適となるわけである。
尚、先にも述べたように、上記のような飽和脂肪族アミドと共に、不飽和脂肪族アミドの併用は避けるべきである。不飽和脂肪族アミドは、低融点であり、分子の熱運動性が高いため、ブリーディングにより形成される多分子層が不安定となってしまうからである。
本発明において、滑剤成分(炭素数が18よりも大きい長鎖アミドを主体とする飽和脂肪族アミド)は、容器の内面層を形成しているポリオレフィン系樹脂層中に、該ポリオレフィン系樹脂100重量部当り、0.05乃至1重量部、特に0.07乃至0.5重量部の量で配合されているのがよい。この量が少ないと、十分な量の滑剤成分が容器内表面にブリーディングせず、この結果、規則正しく配列した高秩序多分子層を十分な量で形成することが困難となり、内容物の倒立落下性を十分に高めることができず、また、前記範囲よりも過剰に滑剤成分を配合したとしても、内容物の倒立落下性はそれ以上向上せず、むしろ経済的に不利となってしまうからである。
<熱間充填包装体の製造>
上記のような滑剤成分を内層のポリオレフィン系樹脂層に含有している本発明のポリオレフィン系容器は、格別の熱処理を行うことなく、非油性内容物を直接熱間充填することにより、非油性内容物が熱間充填された包装体として使用される。即ち、非油性の内容物ほど菌の繁殖などを生じ易いため、内容物や容器の殺菌を目的とする熱間充填が適用されるわけである。
熱間充填の温度は、通常、60℃以上であり、特に60乃至95℃の範囲である。あまり低温の場合には、熱間充填による殺菌が不十分となり、また、必要以上に高温とする場合には、内容物の変質(水分の揮散)を生じてしまうからである。
上記のようにして成形後のポリオレフィン容器に非油性内容物が熱間充填され、次いで前述した金属箔により容器の口部がシールされ、さらにキャップを装着することにより、非油性内容物が熱間充填された包装体が得られる。
上記のようにして得られる熱間充填包装体では、容器の内面に図1に示されるような滑剤成分による高秩序多分子層が形成される。例えば、後述する実施例の実験結果からも理解されるように、この熱間充填包装体から内容物を取り出し、容器内面を水で洗浄した後、容器内面に対し反射法によるX線回折測定を行ったときに得られるX線プロファイルには、容器内面上に形成された滑剤多分子層構造に由来するピークが発現している(図3参照)。
即ち、図3から理解されるように、X線プロファイルにおいては、約2度付近に大きな1次ピークが発現しており、約6度付近には、1次ピークよりもやや小さい2次ピークが発現していることが判る。
ブラグの式:nλ=2dsinθから、1次ピークは、容器内面の垂直方向に対して、約4.37nmの厚みの層が存在することを示しており、この厚みは、ベヘン酸アミド1分子のサイズがおよそ2.68nmであることを考えると、ベヘン酸アミドは、2つの分子が向き合って平面状に連なった2分子膜状の構造を形成していることを示している。一方、2次ピークは、d=1.46nmに相当しており、1次ピーク(d=4.37nm)の整数倍(ここでは3倍)の高次回折に由来するものと言える。従って、このようなX線プロファイルから、図1に示されているように、容器内表面上に形成された2分子膜状の構造が容器内面に広く分布し、且つ内面と垂直方向に多数積層された多分子層構造、すなわち、規則正しく配列した多分子層が多く形成されていることが判る。このようなX線プロファイルは、本発明の容器を用いて得られる熱間充填包装体に特有のものであり、従来公知の熱間充填包装体では、規則正しく配列した高秩序の多分子層が形成されていないため、このような1次ピークと2次ピークとを有するX線プロファイルを示すものはない。
このように、本発明においては、上記のような多分子層の形成により、非油性内容物に対する優れた倒立落下性が発現し、例えば、非油性内容物が粘稠なものであっても、これを倒立保持しておくことにより、内容物が容器壁内面に付着せず、首部側に速やかに落下するため、容器を傾けての内容物の取り出しが迅速に行うことができ、内容物を容器内に残すことなく、きれいに取り出すことができる。また、多分子層構造の形成により内容物由来の色素成分の透過速度を著しく遅くすることが可能であるため、内容物による着色もしくは透明性の低下も有効に防止することができ、容器内の内容物残量を、目視で容易に確認できるという利点も達成される。
尚、上述した滑剤成分の多分子層は、容器を成形した後の経時によるブリーディングによって形成され、格別の熱処理を要せず、また、形成された多分子層が、熱運動性の低い高融点のアミド(飽和脂肪族アミド)により形成されているため、熱間充填により、多分子層が崩壊することもない。また、成形直後には、多分子層が充分に形成されておらず、例えば、容器の成形後に直ちに非油性内容物の熱間充填を行った場合には、この充填時に多分子層が充分に形成されていないこともある。しかるに、本発明では、炭化水素数が大きく疎水性の強い飽和脂肪族アミドを用いているため、熱間充填時に緻密な多分子層構造が形成されやすく、さらに熱間充填時の熱がアミドのブリーディングを促進する傾向があるため、熱間充填後には、多分子層が確実に形成され、優れた倒立落下性を示すこととなる。
本発明を次の実施例にて説明する。
尚、実施例で行った各種の評価或いは測定及び用いた滑剤成分は以下の通りである。
1.内容物滑落試験
約500gの内容物(トマトケチャップ)が充填されている試料ボトルから、シール箔を剥がし、室温下にて50gの内容物を取り出した後、キャップを装着して該ボトルを倒立させて室温下で10分間放置した。
次いで、このボトルを5℃にて24時間正立保存した後、再び、このボトルから室温下で50gの内容物を取り出し、上記と同様に該ボトルを倒立させ、室温下で10分間放置した。
上記のようにし倒立放置、正立保存をボトル内に内容物が無くなるまで繰り返し行い、10分間の倒立放置後のボトルについて、それぞれ、ボトル内面の内容物の付着状態を目視にて確認し、滑落性が良好なものを○、不良なものを×として、内容物の滑落性の評価を行った。
2.X線回折測定(XRD)
内容物滑落試験後、該ボトルを水洗し、次いで該ボトルの胴部から25mmx20mmの試験片を切り出し、測定用セルに取り付け、容器内面側が測定面となるようにして試料台に装着し、以下の条件で反射法にてX線回折測定(理学電機(株)製X線回折装置)を行った。
ターゲット;Cu
加速電圧;40KV
加速電流;200mA
測定範囲;1.5〜10°(2θ)
得られた測定データに対し、空気散乱補正を行い、これを試料データとした。
試料データのX線プロファイルにおいて、約2度付近のピーク、約6度付近のピークをそれぞれ1次、2次ピークとし、明確なピークを示しているものをピークあり、明確なピークを示さず、ベースラインと同等なものをピークなしとした。
ここで、ベースラインとは、最内層に飽和脂肪族アミドを添加せずに実施例1と同様に成形した多層容器(ブランク)の内面から得られたX線プロファイルのことを示す。
3.容器着色性試験
内容物滑落試験後、洗浄したボトルの胴部の着色性をSMカラーコンピューター(スガ試験機(株)製)を用い、b値で評価した。
(実施例1〜3)
表1に示す組成となるように2種あるいは3種の飽和脂肪族アミドを使用し、100重量部の低密度ポリエチレン(LDPE)と0.5重量部の飽和脂肪族アミド(2種或いは3種の飽和脂肪族アミドの合計量)とを、二軸混練測定装置[(株)テクノベル製ULT Nano05]を用い、シリンダー温度200℃の条件下で溶融混練し、脂肪族アミド含有ポリエチレン樹脂ペレットを調製した。
上記の脂肪族アミド含有ポリエチレン樹脂ペレットを、低密度ポリエチレン(LDPE)と混合し、ポリエチレン100重量部当りの飽和脂肪族アミドのトータル量が0.3重量部となるように調整し、これを最内層形成用の樹脂(飽和脂肪族アミド含有LDPE)とした。
上記の最内層形成用樹脂と、他の層を形成する樹脂とを使用し、ダイレクトブロー成形機を用いて、シリンダー温度200℃、ダイヘッド温度210℃の条件下で、4種6層の多層ボトル(容量500mL)を成形した。この多層ボトルの層構成、層厚み及び各層の形成に用いた樹脂は以下の通りである。
層構成(層厚みμm);
最外層(25)/接着層(20)/バリア層(20)/接着層(10)
/中間層(180)/最内層(180)
層形成樹脂;
最外層:低密度ポリエチレン(LDPE、MFR=0.42、190
℃)
接着層:無水マレイン酸変性ポリエチレン(MFR=0.90、190
℃)
バリア層:エチレンビニルアルコール共重合体(エチレン32mol%
、MFR=1.6、190℃)
中間層:低密度ポリエチレン(LDPE、MFR=0.42、190
℃)
最内層:飽和脂肪族アミド含有LDPE
得られたボトルを、22℃60%RH環境下にて一晩保管した後、このボトルにトマトケチャップ(カゴメ(株)製)を約500g熱間充填(80〜85℃)し、シール材で口部を密封した後、容器を水中で冷却した。冷却後、22℃60%RH環境下で1週間保管し、これを試料ボトルとした。
上記の試料ボトルからシール材を剥がし、前述の内容物滑落試験、X線回折測定、および容器着色性試験を行った。結果を表1に示す。また、実施例1の試料ボトルについてのX線回折測定結果を図3に示す。
(比較例1〜3)
用いた飽和脂肪族アミドの組成を、表1に示すように変更した以外は、実施例1〜3と全く同様にして、多層ボトルの成形該ボトルへのトマトケチャップへの充填を行い、前述の内容物滑落試験、X線回折測定、容器着色性試験を行った。結果を表1に示す。また、比較例2のX線回折測定結果を図4に示す。
(比較例4)
オレイン酸アミドが0.03重量部配合された低密度ポリエチレン樹脂を最内層とした以外は、実施例1〜3と全く同様にして、多層ボトルの成形該ボトルへのトマトケチャップへの充填を行い、前述の内容物滑落試験、X線回折測定、容器着色性試験を行った。結果を表1に示す。また、この試料ボトルについてのX線回折測定結果を図5に示す。
Figure 2010103985
表1から、X線回折測定で滑剤多分子層構造に由来するピークを有しており、且つ、添加した飽和脂肪族アミドのうち主成分の純度が70重量%以上である実施例1〜3のボトルでは、滑落性が向上していることが分かる。
また、実施例1〜3のボトルではb値も小さい値であり、容器への着色性が低減されていることが分かる。
一方、飽和脂肪族アミドの主成分の純度が低いもの、X線回折測定でピークが観測されないもの或いは不飽和脂肪族アミド(オレイン酸アミド)が使用されている比較例のボトルは、内面に多分子層構造が形成されておらず、滑落性は不十分でかつ、b値も大きくなり着色性が大きいことが分かる。
(比較例5)
市販されているケチャップ(カゴメ(株)製カゴメトマトケチャップ)が充填されているボトル(容量500ml)について、前述の内容物滑落試験、X線回折測定を行った。その結果、X線プロファイルでは、1次ピーク及び2次ピークの何れも発現していなかった。また、滑落性は、比較例4のボトルと同等であり、不良(×)であった。
<長期保存試験>
実施例1、比較例4および比較例5のボトルについて、ケチャップ充填後に22℃60%RHの環境下にて所定の期間保管した後、内容物を取り出し、前述の容器着色性試験を行った。結果を表2および図6に示す。
Figure 2010103985
表2から、実施例1は、比較例4および5と比較して、長期間の保管条件下においてもb値は低いままであり、容器(ボトル)への着色性が低減されていることが分かる。
本発明の非油性内容物熱間充填用ポリオレフィン容器は、非油性内容物が熱間充填された容器を倒立状態に保持しておくと、非油性内容物は、容器の内面に付着せず、速やかに落下し、透明な容器では充填された内容物による着色を防止することができる。このため、ケチャップ、ソース、マスタード等の非油性熱間充填用ポリオレフィン容器として利用することができる。

Claims (9)

  1. 少なくとも内面に滑剤成分を含有するポリオレフィン系樹脂層が形成されているポリオレフィン容器において、
    前記ポリオレフィン系樹脂層に含まれている滑剤成分は飽和脂肪族アミドであり、且つ該飽和脂肪族アミドの少なくとも70重量%以上が炭素数18よりも大きい長鎖アミドであることを特徴とする非油性内容物熱間充填用ポリオレフィン容器。
  2. 前記飽和脂肪族アミドの80重量%以上が前記長鎖アミドである請求項1に記載のポリオレフィン容器。
  3. 前記長鎖アミドがベヘン酸アミドである請求項1に記載のポリオレフィン容器。
  4. 前記ポリオレフィン系樹脂層には、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対し、0.05乃至1重量部の量で前記滑剤成分が含まれている請求項1に記載のポリオレフィン容器。
  5. 前記ポリオレフィン系樹脂がポリエチレンである請求項1に記載のポリオレフィン容器。
  6. 請求項1に記載のポリオレフィン容器に、非油性内容物が熱間充填されて密封されている熱間充填包装体。
  7. 前記非油性内容物がケチャップである請求項6に記載の熱間充填包装体。
  8. 前記非油性内容物を取り出した状態で、容器内面に対し反射法によるX線回折測定を行ったときに、得られるX線プロファイルには、容器内面上に形成された滑剤多分子層構造に由来するピークが発現している請求項6に記載の熱間充填包装体。
  9. 前記X線プロファイルには、容器内面上に形成された滑剤多分子層構造に由来する1次ピークと、該多分子構造に由来する2次ピークとが発現している請求項8に記載の熱間充填包装体。
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