JP2003205926A - 多層プラスチックボトル - Google Patents

多層プラスチックボトル

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JP2003205926A
JP2003205926A JP2002005946A JP2002005946A JP2003205926A JP 2003205926 A JP2003205926 A JP 2003205926A JP 2002005946 A JP2002005946 A JP 2002005946A JP 2002005946 A JP2002005946 A JP 2002005946A JP 2003205926 A JP2003205926 A JP 2003205926A
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resin layer
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Kazuo Taira
和雄 平
Daisuke Imota
大輔 芋田
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Toyo Seikan Group Holdings Ltd
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Toyo Seikan Kaisha Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ガスバリヤー性と耐衝撃性に優れるとともに
良好な外観と透明性を有し、しかもボトル成形時にミゲ
ルやヤケ・コゲの発生を防止して、効率良く低コストで
製造することのできる、外層樹脂層、ガスバリヤー性樹
脂層及びポリオレフィン系樹脂主層を有する多層プラス
チックボトルを提供する。 【解決手段】 外層樹脂層、ガスバリヤー性樹脂層及び
ポリオレフィン系樹脂主層を有する多層プラスチックボ
トルにおいて、ガスバリヤー性樹脂層を(1)エチレン
・ビニルアルコール共重合体、(2)ポリアミド系樹
脂、及び(3)変性ポリオレフィン樹脂を含有する樹脂
組成物により構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガスバリヤー性と
耐衝撃性に優れるとともに良好な外観と透明性を有し、
しかも成形性の改善された多層プラスチックボトルに関
する。
【0002】
【従来の技術】食品、化粧品、洗剤等を収容するボトル
等の容器をポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレ
フィン系樹脂により構成することはよく知られており、
容器をエチレン・ビニルアルコール共重合体(以下、
「EVOH」と略記することがある)を含有するガスバ
リヤー性樹脂層と、ポリオレフィン系樹脂主層を有する
多層構造とすることも種々提案されている。
【0003】これら多層構造のプラスチック容器のガス
バリヤー性樹脂層を構成するEVOHは、硬くてもろい
樹脂であり、可塑化しづらく、成形時に安定して押出す
ことが非常に困難な材料である。成形機内での可塑化に
時間をかけると滞留時間が長くなり、ミゲルが発生した
り熱劣化し易くなる。また、短時間で押出そうとする
と、高い負荷がかかり、過熱により劣化が生じる。そし
て、EVOHは金属との親和性が高く、押出成形機のス
クリュウ、バレル、配管内部、ヘッド、ダイス等に薄皮
状に樹脂が付着してヤケ・コゲの原因となる。一方、成
形機内での樹脂の流動中に発生するミゲルは、ダイマー
ク、縦筋等の外観不良の原因となる。
【0004】また、EVOHの成形機内での可塑化の不
安定さは、成形時の吐出の不安定さをもたらし、容器の
偏肉の原因となる。このような偏肉は、容器の変形やガ
スバリヤー層中に部分的に薄肉部が形成されてガスバリ
ヤー性が低下する原因となり、また耐落下強度をも低下
させる。容器成形時のミゲルやヤケ・コゲの発生は、樹
脂層の不均一化を生じ容器の破壊の起点となるとともに
外観不良を生じる。したがって、容器成形時の不良率を
押し上げるとともに、検査コストの上昇や成形機の分解
掃除のひん度を増加させる等、生産コストを大巾にアッ
プさせる原因となる。
【0005】一方、省資源や環境保護の観点からは、多
層プラスチックボトルのブロー成形時に発生する不良ボ
トルやバリ等のスクラップ樹脂を回収し、ボトル成形材
料として使用することが必要となる。しかしながら、ガ
スバリヤー性樹脂層を構成するEVOHと多層ボトルの
主層や内外層を構成するポリオレフィン系樹脂は混和性
が悪く、多層ボトル用のパリソンを成形する際に成形機
の押出流路内で金属に親和性の高いEVOHが流路の壁
面に折出し、断続的に加熱されてヤケ・コゲを発生させ
る。このような問題点を解消するために、回収使用する
スクラップ樹脂に含まれるEVOHの分散助剤としてス
テアリン酸カルシウム、ハイドロタルサイト等を添加す
ることによって樹脂の潤滑性を改善することも提案され
ているが、EVOHの凝集をある程度防止する効果はあ
るものの、樹脂組成物中にEVOHを均一に分散させて
安定して成形可能とすることはできない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、これら従来
技術の問題点を解消して、ガスバリヤー性と耐衝撃性に
優れるとともに良好な外観と透明性を有し、しかもボト
ル成形時にミゲルやヤケ・コゲの発生を防止して、効率
良く低コストで製造することのできる、外層樹脂層、ガ
スバリヤー性樹脂層及びポリオレフィン系樹脂主層を有
する多層プラスチックボトルを提供することを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は鋭意検討し
た結果、多層プラスチックボトルのガスバリヤー性樹脂
層を、特定の組成を有する樹脂組成物で構成することに
よって上記課題が解決されることを見出し、本発明を完
成した。すなわち、本発明はつぎのような構成を採用す
る。 1.外層樹脂層、ガスバリヤー性樹脂層及びポリオレフ
ィン系樹脂主層を有する多層プラスチックボトルにおい
て、ガスバリヤー性樹脂層が(1)エチレン・ビニルア
ルコール共重合体、(2)ポリアミド系樹脂、及び
(3)変性ポリオレフィン樹脂を含有する樹脂組成物に
より構成されたものであることを特徴とする多層プラス
チックボトル。 2.ガスバリヤー性樹脂層に含まれる(3)変性ポリオ
レフィン樹脂が、メルトフローレート(MFR)が0.
5〜10g/minのアイオノマー樹脂及び/又は不飽
和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂であることを特徴
とする1に記載の多層プラスチックボトル。 3.ガスバリヤー性樹脂層に含まれる(2)ポリアミド
樹脂が、0.5以上の固有粘度と(1)エチレン・ビニ
ルアルコール共重合体の融点プラス30℃未満の融点又
は軟化点を有することを特徴とする1又は2に記載の多
層プラスチックボトル。 4.ガスバリヤー性樹脂層に含まれる(1)エチレン・
ビニルアルコール共重合体の含有量が、ガスバリヤー性
樹脂層を構成する樹脂組成物を基準として65〜90重
量%であることを特徴とする1〜3のいずれかに記載の
多層プラスチックボトル。 5.ポリオレフィン系樹脂主層が、多層プラスチックボ
トルの成形時に発生するスクラップ樹脂を含有するもの
であることを特徴とする1〜4のいずれかに記載の多層
プラスチックボトル。 6.ポリオレフィン系樹脂主層の内側に内層樹脂層を有
することを特徴とする1〜5のいずれかに記載の多層プ
ラスチックボトル。 7.外層樹脂層及び内層樹脂層がポリオレフィン系樹脂
により構成されたものであることを特徴とする1〜6の
いずれかに記載の多層プラスチックボトル。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明は、外層樹脂層、ガスバリ
ヤー性樹脂層及びポリオレフィン系樹脂主層を有する多
層プラスチックボトルにおいて、ガスバリヤー性樹脂層
を(1)エチレン・ビニルアルコール共重合体、(2)
ポリアミド系樹脂、及び(3)変性ポリオレフィン樹脂
を含有する樹脂組成物により構成したことを特徴とす
る。 (1)エチレン・ビニルアルコール共重合体(EVO
H)としては、エチレン含有量が20〜60モル%でケ
ン化度が90モル%以上のエチレン・酢酸ビニル共重合
体ケン化物を使用することが好ましく、特に190℃で
測定したときのMFRが0.8〜4.0、好ましくは
1.0〜3.5g/10min、又は210℃で測定し
たときのMFRが1.0〜8.0、好ましくは、1.5
〜6.0g/10minのものが薄肉容器のバリヤー層
を構成する材料として好適である。その際に、EVOH
の熱安定性を改善するために、ホウ素化合物、リン酸化
合物、アルカリ金属塩等を、通常の配合量で添加するこ
とが好ましい。
【0009】EVOH中のエチレン含有量が20モル%
未満では、溶融成形性が悪く、耐水性、耐熱水性が低下
するおそれがある。一方、60モル%を超えると、ガス
バリヤー性が不足するおそれがある。また、ケン化度が
90%未満では、ガスバリヤー性及び耐熱性が悪くなる
おそれがある。EVOH製造時に用いるビニルエステル
としては、酢酸ビニルが代表的なものとして挙げられる
が、その他の脂肪酸ビニルエステル、例えばプロピオン
酸ビニル、ピバリン酸ビニル等を使用してもよい。ま
た、本発明の目的が阻害されない範囲で、プロピレン、
ブチレン;或いは(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリ
ル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等の不飽和カル
ボン酸又はそのエステル;N−ビニルピロリドン等のビ
ニルピロリドン等、他のコモノマーを共重合させること
もできる。
【0010】(2)ポリアミド系樹脂としては、融点・
軟化温度が低くEVOHの融点に近いもの、すなわちE
VOHの融点よりも30℃以上高い融点・軟化点を有さ
ないものを使用することが好ましい。好ましいポリアミ
ド系樹脂としては、ナイロン11、ナイロン12等の単
独重合体;ナイロン6/11、ナイロン6/12、ナイ
ロン6/66、ナイロン6/MXD等の二元共重合体;
ナイロン6/66/610等の三元共重合体等が挙げら
れる。また、ポリエーテル・ポリアミド、ポリエステル
・ポリアミド、ポリエーテル・ポリエステル・ポリアミ
ド等の共重合体を使用することもできる。これらのポリ
アミド系樹脂の分子量は、ガスバリヤー性樹脂層の物性
低下を避けるために、最低限フイルム形成可能なもので
あることが必要であり、固有粘度が0.5以上、特に
0.7〜3.0の範囲のものが好ましい。固有粘度が高
すぎるものはEVOHとの混和性が悪くなる。また、溶
融粘度は、EVOHと同程度かやや低いものが好まし
い。
【0011】(3)変性ポリオレフィン樹脂としては、
(A)アイオノマー樹脂及び/又は(B)不飽和カルボ
ン酸変性ポリオレフィン樹脂を使用する。(A)アイオ
ノマー樹脂としては、エチレン等のα−オレフィンを主
成分とし、アクリル酸、メタアクリル酸、エタアクリル
酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸又はこれらの無水
物を4〜15モル%、好ましくは5〜12モル%、特に
好ましくは6〜10モル%共重合成分として含有する共
重合体のカルボキシル基を、リチウム、ナトリウム、カ
リウム等のアルカリ金属;マグネシウム、カルシウム等
のアルカリ土類金属;亜鉛等の遷移金属等で30〜60
%中和したものを使用した場合には、EVOH及びポリ
アミド系樹脂との混和性が良好でかつ透明性にも優れる
ので好ましい。また、アイオノマー樹脂のMFRは0.
5〜10g/10min、特に0.5〜5g/10mi
nの範囲で、EVOHの溶融粘度を超えないものが好ま
しい。
【0012】(B)不飽和カルボン酸変性ポリオレフィ
ン樹脂としては、エチレン等のα−オレフィンを主成分
とし、アクリル酸、メタアクリル酸、エタアクリル酸、
マレイン酸等の不飽和カルボン酸又はこれらの無水物を
0.01〜5重量%、好ましくは0.03〜3重量%、
特に好ましくは0.1〜2重量%共重合成分として含有
する共重合体、特にグラフト共重合体を使用することが
好ましい。不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂の
MFRは、0.5〜10g/10min、特に0.5〜
5g/10minの範囲のものが好ましい。さらに
(A)なるアイオノマー樹脂を幹ポリマーとして、
(B)に記載の不飽和カルボン酸類を用いて、(B)に
記載の範囲でグラフト変性した樹脂も用いられる。
【0013】本発明では、上記の(1)EVOH、
(2)ポリアミド系樹脂、及び(3)変性ポリオレフィ
ン樹脂を含有する樹脂組成物により、多層プラスチック
ボトルのガスバリヤー性樹脂層を構成することによっ
て、EVOHの可塑化と均一分散化を図り、成形性を改
善するとともに、ガスバリヤー性と耐衝撃性に優れ、良
好な外観と透明性を有する多層プラスチックボトルを得
るものである。本発明の樹脂組成物をガスバリヤー層に
用いることで、従来のEVOHを用いる場合に比べて、
特にガスバリヤー層を薄肉化したり、ボトル全体の肉厚
を薄くして軽量化を図った場合の落下衝撃強度の向上に
効果がある。また、従来のボトルに比べて、ボトル成形
時のパリソンのブロー性に優れ、パリソン径と製品ボト
ルの最大径の比がその目安となるが、ブロー比を高く設
定できることから、薄肉、軽量プラスチックボトルの製
造に適している。本発明では、特に多層プラスチックボ
トルの成形時に発生するスクラップ樹脂をボトルの主層
や他の層を構成する材料として使用する際に、混和性の
悪いポリオレフィン類とEVOHが均一に分散混合する
ことを促進し、ミゲルの発生やヤケ・コゲを防止するこ
とにより、多層プラスチックボトルの生産効率を大巾に
上昇させて、コストダウンを可能とするとともに、性状
の優れた多層プラスチックボトルを得ることができる。
【0014】ガスバリヤー性樹脂層を構成する樹脂組成
物中の各樹脂の配合比は、(1)EVOH/他の樹脂
(2)+(3)が、重量比で65/35〜90/10、
特に70/30〜85/15とすることが好ましい。こ
れらの配合比は、例えば差動示差熱量分析(DSC)等
の結晶融解熱量をもって見積もることができる。これら
の樹脂を混合する方法に特に制限はなく、各構成樹脂
(1)〜(3)を同時に混合しペレット化する方法や、
あらかじめ(2)及び(3)を溶融混合してペレット化
した後に(1)EVOHを添加し溶融混合してペレット
化する方法等が挙げられる。樹脂組成物中にEVOHを
安定して分散混合させるには後者が好ましい。
【0015】多層プラスチックボトルの主層を構成する
ポリオレフィン系樹脂としては、例えば低−、中−或い
は高−密度のポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン
−プロピレン共重合体、ポリブテン−1、ポリメチルペ
ンテン−1、エチレン−ブテン−1共重合体、プロピレ
ン−ブテン−1共重合体、エチレン−プロピレン−ブテ
ン−1共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EV
A)或いはこれらのブレンド物等のオレフィン系樹脂を
挙げることができる。これらの樹脂は、ボトル内に収容
する内容物の種類やボトルの寸法、形状等に応じて適宜
選択して使用される。
【0016】例えば、柔軟性を必要とするスクイズボト
ルの主層を構成する好適なポリオレフィン樹脂として
は、高圧イオン重合法による低密度ポリエチレンやEV
A、チーグラー触媒又はメタロセン触媒による線状低密
度ポリエチレン等が使用される。これらの樹脂として
は、MFRが0.3〜3.0g/10min、密度が
0.905〜0.935g/cmのものが好適であ
り、EVAでは酢酸ビニル含量が8%以下のものが好ま
しい。また、透明性がそれほど必要とされない自立性容
器の主層を構成するポリオレフィン樹脂としては、例え
ばMFRが0.3〜3.0g/10min、密度が0.
935〜0.970g/cm程度の中密度又は高密度
ポリエチレンを使用することができる。さらに、内容物
がホット充填されたり、ある程度透明性を必要とする剛
性容器の主層を構成するポリオレフィン樹脂としては、
ポリプロピレン系重合体を使用することができ、例えば
エチレン含量2〜15モル%で、MFRが0.6〜3.
6g/10minのランダム或いはブロックエチレンポ
リプロピレン共重合体が挙げられる。
【0017】多層プラスチックボトルの主層を構成する
ポリオレフィン樹脂層や、他の樹脂層を構成する材料と
しては、多層プラスチックボトルの形成時に発生する不
良ボトルやバリ等のスクラップ樹脂を使用してもよい。
スクラップ樹脂の配合量は樹脂層中の0〜80重量%、
特に0〜60重量%とすることが好ましい。本発明で
は、上記した特定の樹脂組成物によってガスバリヤー性
樹脂層を構成するこによって、混和性の悪いポリオレフ
ィン類とスクラップ樹脂中に含まれるEVOHの分散混
合性を改善し、成形時にミゲルやヤケ・コゲが発生する
のを防止することができる。
【0018】多層プラスチックボトルの外層を構成する
材料としては特に制限はなく、例えば低−、中−或いは
高−密度のポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−
プロピレン共重合体、ポリブテン−1、ポリメチルペン
テン−1、エチレン−ブテン−1共重合体、プロピレン
−ブテン−1共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン
−1共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EV
A)或いはこれらのブレンド物等のオレフィン系樹脂、
環状ポリオレフィン、ナイロン6、ナイロン66等のポ
リアミド樹脂、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共
重合体、スチレン−イソプレン共重合体、ABS樹脂等
のポリスチレン系樹脂や、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリテトラメチレンテレフタレート等の熱可塑性ポ
リエステルやポリカーボネート等が挙げられる。これら
はいずれも単独で、又は他の樹脂とのブレンド物として
使用することができる。外層を構成する好ましい樹脂と
しては、各種のポリオレフィン系樹脂が挙げられる。
【0019】また、本発明の多層プラスチックボトルで
は、ポリオレフィン系樹脂主層の内側(内容物側)に、
内層樹脂層を設けることができる。このような内層樹脂
層を構成する材料としては特に制限はなく、上記の外層
樹脂層を構成する樹脂はいずれも使用することができる
が、ポリオレフィン系樹脂を使用することが好ましい。
本発明のプラスチックボトルでは、ボトルを構成する樹
脂層間、例えばガスバリヤー性樹脂層と主層間に接着剤
樹脂を介在させることができる。このような接着剤樹脂
としては、アクリル酸、メタアクリル酸、マレイン酸、
フマール酸、イタコン酸、クロトン酸等の不飽和カルボ
ン酸或いはこれらの無水物でグラフト変性したポリオレ
フィン系樹脂を使用することが好ましい。これらの接着
剤樹脂のグラフト変性率は、0.2〜5重量%程度とす
ることが好ましく、またポリエチレン系樹脂ではMFR
が0.3〜10g/10minで密度が0.860〜
0.945g/cm程度、ポリプロピレン系樹脂では
MFRが0.3〜10g/10minで密度が0.86
5〜0.915g/cm程度のものが好適である。接
着剤樹脂は多層プラスチックボトルの主層等を構成する
材料やボトルの用途等に応じて選択される。
【0020】本発明の多層プラスチックボトルの層構成
としては、例えばポリオレフィン系樹脂外層/接着剤樹
脂層/ガスバリヤー性樹脂層/接着剤樹脂層/ポリオレ
フィン系樹脂主層、ポリオレフィン系樹脂外層/接着剤
樹脂層/ガスバリヤー性樹脂層/接着剤樹脂層/ポリオ
レフィン系樹脂主層/ポリオレフィン系樹脂内層、スク
ラップ樹脂含有ポリオレフィン系樹脂外層/接着剤樹脂
層/ガスバリヤー性樹脂層/接着剤樹脂層/スクラップ
樹脂含有ポリオレフィン系樹脂主層、ポリオレフィン系
樹脂外層/接着剤樹脂層/ガスバリヤー性樹脂層/接着
剤樹脂層/スクラップ樹脂含有ポリオレフィン系樹脂主
層/ポリオレフィン系樹脂内層、ポリオレフィン系樹脂
外層/接着剤樹脂層/ガスバリヤー性樹脂層/接着剤樹
脂層/スクラップ樹脂層/ポリオレフィン系樹脂主層、
ポリオレフィン系樹脂外層/接着剤樹脂層/ガスバリヤ
ー性樹脂層/接着剤樹脂層/スクラップ樹脂含有ポリオ
レフィン系樹脂主層/接着剤樹脂層/ガスバリヤー性樹
脂内層、ポリオレフィン系樹脂外層/スクラップ樹脂含
有ポリオレフィン系樹脂主層/接着剤樹脂層/ガスバリ
ヤー性樹脂層/接着性樹脂層/環状ポリオレフィン系ガ
スバリヤー性樹脂層/接着剤樹脂層/ポリオレフィン系
樹脂内層、ポリオレフィン系樹脂外層/スクラップ樹脂
含有ポリオレフィン系樹脂主層/接着剤樹脂層/ガスバ
リヤー性樹脂層/接着性樹脂層/スクラップ樹脂含有ポ
リオレフィン系樹脂主層/ポリオレフィン系樹脂内層、
ポリオレフィン系樹脂外層/スクラップ樹脂含有ポリオ
レフィン系樹脂主層/接着剤樹脂層/ガスバリヤー性樹
脂層/接着性樹脂層/ポリオレフィン系樹脂内層、等が
挙げられる。
【0021】本発明の多層プラスチックボトルを構成す
る各樹脂層中には、必要に応じてオレイン酸アミド、ス
テアリン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘニン酸アミド
等の高級脂肪酸アミド等からなる滑剤や、プラスチック
ボトル中に通常添加される結晶核剤、紫外線吸収剤、帯
電防止剤、顔料等の着色剤、酸化防止剤及び中和剤等の
添加剤を添加することができる。
【0022】本発明の多層プラスチックボトルとして
は、図1にみられるような中空ボトルをはじめとする各
種形状のボトルが挙げられ、これらのプラスチックボト
ルは、常法により製造することができる。好ましい成形
方法としては、例えば、容器を構成する各樹脂層を多層
多重ダイスを使用し共押出しして得られたパリソンを、
ブロー型内でブロー成形することによって中空プラスチ
ックボトルとする方法等が挙げられる。本発明の多層プ
ラスチックボトルは、耐熱性、剛性、透明性、落下強
度、さらにはスクイズ性の要求される用途に好適に用い
られる。例えば、本発明の多層プラスチックボトルは、
ケチャップ、マヨネーズ等の食品用ボトルのほかに、軽
量性と詰替え機能を有する一般のシャンプー、リンスあ
るいは洗剤用ボトル等として有用である。また、酸素遮
断性に優れることから、飲食物、医薬品等の酸素の存在
により変質、劣化し易い内容物を収納するブローボトル
として有用である。
【0023】
【実施例】つぎに、図面を参照しながら、本発明のプラ
スチックボトルの実施例について説明するが、本発明は
以下の具体例に限定されるものではない。以下の例にお
いては、常法により多層多重ダイスを使用し、共押出し
て得られたパリソンをロータリーブロー成形機でブロー
成形することによって、多層ブローボトルを製造した。
【0024】(実施例1)内層及び外層を構成する樹脂
として、MFRが0.7g/10min、密度が0.9
23g/cmの低密度ポリエチレン(LDPE)を使
用し、接着樹脂層として無水マレイン酸グラフト率が約
0.7重量%で、MFRが2.5g/10min、密度
が0.920g/cmの線状低密度ポリエチレンを使
用した。また、主層を構成する樹脂としては、内層及び
外層を構成する上記LDPEに多層プラスチックボトル
の成形時に発生するスクラップ樹脂を粉砕したものを樹
脂組成物全体を基準として40重量%配合したものを使
用した。ガスバリヤー性樹脂層を構成する樹脂組成物と
して、(1)エチレン含量32モル%で、ケン化度が9
8%、融点が183℃、MFRが1.5g/10min
(190℃で測定)のEVOH80重量部;(2)融点
が180℃で固有粘度が1.3のナイロン6/12共重
合体10重量部;(3)(A)アクリル酸含量が8モル
%で、カルボキシル基の60%を亜鉛で中和したMFR
が2.0g/10minのエチレン・アクリル酸共重合
体金属塩からなるアイオノマー樹脂5重量部;及び
(3)(B)MFRが1.0g/minで密度が0.9
22g/cmのマレイン酸グラフド変性(グラフト率
1.0重量%)LDPEからなる酸変性ポリオレフィン
(PO)樹脂5重量部を、あらかじめ2軸押し出し機に
て混練したものを使用した。(表1参照)
【0025】これらの樹脂を使用して、図2に示す外層
1/主層2/接着剤樹脂層3/ガスバリヤー性樹脂層4
/接着剤樹脂層5/主層6/内層7(層比:10/10
/3/4/3/55/15重量%)からなる層構成を有
する内容量1100ml、目付け24g及びさらに軽量
化した22gの、4種7層の多層薄肉ボトルを毎分70
本の速度にてロータリーブロー成形した。このボトルの
成形性は良好であった。
【0026】(比較例1〜4)実施例1において、ガス
バリヤー性樹脂層を構成する樹脂組成物として、表1に
記載の樹脂組成物を使用したほかは、実施例1と同様に
して多層薄肉ボトルを成形した。いずれの例でも成形条
件の変更は殆んど無く、成形性は良好であった。
【0027】
【表1】
【0028】(実施例2)実施例1において、主層を構
成する樹脂としてスクラップ樹脂を含有しないLDPE
を使用したほかは、実施例1と同様にして多層薄肉ボト
ルを成形した。このボトルの成形性は良好であった。
【0029】(比較例5)比較例1において、主層を構
成する樹脂としてスクラップ樹脂を含有しないLDPE
を使用したほかは、実施例1と同様にして多層薄肉ボト
ルを成形した。このボトルの成形性は良好であった。
【0030】上記の各例で得られたボトルの落下衝撃強
度、透明性、ガスバリヤー性及び成形時のコゲ・ミゲル
の発生を、つぎのようにして測定した。 (落下衝撃強度)ボトルに満注内容量の約95%の水を
充填し、キャップシールした後に、5℃に一昼夜放置
し、1.5mの高さより落下させ、ボトルの底を下にし
た垂直落下、ボトルのロゴマークを下にした水平落下に
ついて、それぞれ20本のボトルを落下させて、破損本
数を調べた。なお、以下の項目は、目付24gのボトル
についてのみ評価した。 (透明性)JIS K7105に定められた方法にて、
ボトルの側壁部での透明性としてヘイズを評価し、0.
5mmの厚みに換算した値で示した。 (ガスバリヤー性)ボトルの表面積を620cm
し、ボトル内に10mlの純水を入れて密封し、30
℃、相対湿度80%の雰囲気下で3週間保管した後の酸
素透過量を基にして算定した。 (コゲ・ミゲルの発生)各例において、材料変更前にガ
スバリヤー性樹脂層、主層の樹脂パージを充分に行な
い、前樹脂履歴の影響がないことを確認し、定常生産条
件になった後に、さらに10分経過後から約15分間の
連続生産(約1000本)を行ない、コゲ及びミゲルの
発生本数を目視により確認した。これらの試験結果を表
2に示す。ボトルの落下強度は、垂直落下及び水平落下
におけるボトルの割れ本数で示した。
【0031】
【表2】
【0032】表2において、比較例1では、コゲは多層
プラスチックボトルのガスバリヤー性樹脂層と主層にほ
ぼ半々に発生し、ミゲルは主にガスバリヤー性樹脂層に
発生した。また、比較例2〜4では、コゲは主層に発生
し、ミゲルは主にガスバリヤー性樹脂層に発生した。こ
の結果によれば、ガスバリヤー性樹脂層をEVOHのみ
で構成した場合には、落下衝撃強度が不十分であり、特
に薄肉軽量化する場合にはその傾向が顕著である(比較
例1)。EVOHにポリアミド樹脂を配合することによ
り、透明性を損わずに落下衝撃強度をある程度改善でき
るが、薄肉軽量化する場合には不十分である(比較例
2)。また、いずれの場合にもコゲ・ミゲルの発生が多
く、特にポリアミド樹脂を配合した場合には、ガスバリ
ヤー性樹脂層でのミゲルの発生が増加した。
【0033】EVOHに変性ポリオレフィン樹脂のみを
配合した場合には、ある程度コゲ・ミゲルの発生を低減
できるが、透明性やガスバリヤー性の低下が著るしく実
用に耐えない(比較例3、4)。実施例1にみられるよ
うに、ガスバリヤー性樹脂層を構成する樹脂組成物とし
て、EVOHにポリアミド樹脂及び変性ポリオレフィン
樹脂を共に配合したものを使用することによって、ボト
ルの透明性やガスバリヤー性を損なわずに、落下衝撃強
度を改善することが可能となる。また、主層中に、スク
ラップ樹脂を配合した場合にもコゲ・ミゲルの発生を抑
制することができる。実施例2及び比較例5にみられる
ように、主層としてスクラップ樹脂を含有しないLDP
Eを使用した場合には透明性が良好になるが、ガスバリ
ヤー性樹脂層をEVOHのみで構成した場合には、落下
衝撃強度不足し、ガスバリヤー性樹脂層中でコゲ・ミゲ
ルがいくらか発生する(比較例5)。これに対して、本
発明のガスバリヤー性樹脂層を有するボトルは、透明
性、落下衝撃強度に優れるとともに、コゲ・ミゲルの発
生も殆んどみられない(実施例1、2)。
【0034】(実施例3〜7、比較例6、7)内層及び
外層を構成する樹脂として、エチレン含量が8モル%、
MFRが8g/10min、密度が0.895g/cm
のエチレン・プロピレンランダム共重合体を使用し
た。主層を構成する樹脂として、エチレン含量が5モル
%、MFRが1.5g/10min、密度が0.900
g/cmのエチレン・プロピレンランダム共重合体
に、コモノマーとしてヘキセン−1を使用しメタロセン
触媒により重合させたMFRが2.0g/10min、
密度が0.918g/cmのエチレン・α−オレフィ
ン共重合体を樹脂組成物全体を基準として15重量%配
合した樹脂組成物を使用した。また、接着剤樹脂とし
て、エチレン含量が5モル%、MFRが3g/10mi
n、密度0.898g/cmのエチレン・プロピレン
ランダム共重合体をベースとし、0.7重量%のマレイ
ン酸で変性したマレイン酸変性ポリプロピレン樹脂を使
用した。そして、ガスバリヤー性樹脂層を構成する樹脂
組成物として、(1)実施例1で使用したEVOH;
(2)融点・軟化点が170℃で固有粘度が1.5のナ
イロン6/66/610共重合体;(3)(A)メタア
クリル酸含量が7モル%で、カルボキシル基の40%を
ナトリウムで中和したMFRが1.5g/10minの
エチレン・プロピレン・メタアクリル酸共重合体金属塩
からなるアイオノマー樹脂;(3)(B)MFRが2.
0g/10minで密度が0.880g/cmのマレ
イン酸グラフト変性(グラフト率0.6重量%)エチレ
ン・プロピレンランダム共重合体からなる酸変性PO樹
脂を、表3に記載された組成で配合し、あらかじめ2軸
押し出し機にて混練したものを使用した。
【0035】これらの樹脂を使用して図3に示す外層1
1/接着剤樹脂層12/ガスバリヤー性樹脂層13/接
着剤樹脂層14/主層15/内層16(層比:10/
1.5/3/1.5/64/20重量%)からなる4種
6層の層構成を有する、内容量530ml、目付け24
gの多層薄肉ボトルを毎分55本の速度にて、ロータリ
ーブロー成形した。これらのボトルの成形性は良好であ
った。得られたボトルを実施例1と同様に評価した結果
を、表4に示す。
【0036】
【表3】
【0037】
【表4】
【0038】表4において、実施例3では、コゲは多層
プラスチックボトルの主層で発生し、ミゲルは主にガス
バリヤー性樹脂層で発生した。また、実施例4〜7及び
比較例6、7では、コゲは主層で発生し、ミゲルは主層
で小さいものが発生した。この結果によれば、ガスバリ
ヤー性樹脂層中のEVOH以外の樹脂の割合が30重量
%を超えるものでは、コゲ・ミゲルの減少には効果があ
るが、ガスバリヤー性の低下が著しくなり内容品適性の
低下を招く。また、相対的に(3)変性ポリオレフィン
樹脂の割合が大きくなるので、透明性も低下する(比較
例6,7)。ガスバリヤー性樹脂層を構成する、(1)
EVOH及び(2)ポリアミド系樹脂に配合する(3)
変性ポリオレフィン樹脂としては、(A)アイオノマー
樹脂、(B)酸変性ポリオレフィン樹脂のいずれでもよ
いことが、上記結果から判明した。
【0039】(実施例8)内層及び外層を構成する樹脂
として、エチレン含量が8モル%、MFRが8.5g/
10min、密度が0.890g/cmのエチレン・
プロピレンランダム共重合体を使用した。主層を構成す
る樹脂として、エチレン含量(コモノマーとしてヘキセ
ン−1を使用しメタロセン触媒により重合させたMFR
が2.0g/10min、密度が0.918g/cm
のエチレン・α−オレフィン共重合体中のエチレンを含
む)が13モル%、MFRが1.3g/10min、密
度が0.898g/cmのエチレン・プロピレンブロ
ック共重合体を使用した。また、接着剤樹脂として、エ
チレン含量が6モル%、MFRが2.5g/10mi
n、密度0.880g/cmのエチレン・プロピレン
ランダム共重合体をベースとし、1.0重量%の無水マ
レイン酸で変性したマレイン酸変性ポリプロピレン樹脂
を使用した。そして、ガスバリヤー性樹脂層を構成する
樹脂組成物として、(1)実施例1で使用したEVOH
80重量部;(2)融点・軟化点が200℃で固有粘度
が1.4のナイロン6/66共重合体10重量部;
(3)(A)実施例1で使用したアイオノマー樹脂5重
量部;(3)(B)実施例1で使用した酸変性PO樹脂
5重量部を、あらかじめ2軸押し出し機にて混練したも
のを使用した。
【0040】これらの樹脂を使用して図3に示す外層1
1/接着剤樹脂層12/ガスバリヤー性樹脂層13/接
着剤樹脂層14/主層15/内層16(層比:10/
1.5/3/1.5/64/20重量%)からなる4種
6層の層構成を有する、内容量1050ml、目付け4
0gのシリンダー状の多層薄肉ボトルを毎分50本の速
度にて、ロータリーブロー成形した。このボトルの成形
性は良好であった。
【0041】(比較例8)実施例8において、ガスバリ
ヤー性樹脂層を構成する樹脂組成物の(2)ポリアミド
樹脂として、融点・軟化点が205℃で固有粘度が0.
3のナイロン6/66共重合体を使用したほかは、実施
例8と同様にしてシリンダー状の多層薄肉ボトルを成形
した。このボトルの成形性は良好であった。
【0042】(比較例9)実施例8において、ガスバリ
ヤー性樹脂層を構成する樹脂組成物の(2)ポリアミド
樹脂として、融点・軟化点が225℃で固有粘度が0.
3のナイロン6を使用したほかは、実施例8と同様にし
てシリンダー状の多層薄肉ボトルを成形した。このボト
ルの成形性は良好であった。
【0043】(比較例10)実施例8において、ガスバ
リヤー性樹脂層を構成する樹脂組成物の(3)(A)ア
イオノマー樹脂として、メタアクリル酸及びアクリル酸
の合計含量が15モル%で、カルボキシル基の50%を
ナトリウムで中和したMFRが25g/10minのエ
チレン・メタアクリル酸・アクリル酸共重合体金属塩か
らなるアイオノマー樹脂を使用したほかは、実施例8と
同様にしてシリンダー状の多層薄肉ボトルを成形した。
このボトルの成形性は良好であった。
【0044】(比較例11)実施例8において、ガスバ
リヤー性樹脂層を構成する樹脂組成物の(3)(B)酸
変性PO樹脂として、MFRが0.2g/10min
で、密度が0.890g/cmのマレイン酸グラフト
変性(グラフト率0.8重量%)エチレン・プロピレン
ランダム共重合体(エチレン含量5モル%)からなる酸
変性PO樹脂を使用したほかは、実施例8と同様にして
シリンダー状の多層薄肉ボトルを成形した。このボトル
の成形性は良好であった。上記実施例8及び比較例8〜
11で得られたボトルを、実施例1と同様に評価した結
果を、表5に示す。
【0045】
【表5】
【0046】この結果によれば、融点・軟化温度の高い
ポリアミド樹脂を使用した場合には(比較例9)、樹脂
成分を均一に混練するために高温と高剪断が必要とな
り、EVOHの熱劣化が避けられず、コゲ・ミゲル特に
バリヤー層におけるミゲルの発生が多くみられた。この
場合、均一混合が不十分となるために落下衝撃強度が低
下するとともに、ガスバリヤー性も低下した。ボトルの
落下衝撃強度を確保するためには、ガスバリヤー性樹脂
層を構成するポリアミドの分子量(固有粘度に反映され
る)がある程度以上であることが必要であり(比較例8
参照)、最低限単独でフイルムを形成することができる
程度の分子量が必要である。アイオノマー樹脂の分子量
も、ガスバリヤー性樹脂層の被膜強度を確保する観点か
ら、一定の分子量以上とする(MFRが大きすぎない)
必要がある。(比較例10) 酸変性ポリオレフィン樹脂の分子量が高すぎる(MFR
が小さすぎる)と、樹脂成分を均一に混練することが困
難になり、透明性が低下したり、ミゲルが多発する傾向
がみられる。(比較例11) これらの結果から、比較的低温で、均一かつ欠陥の少な
いガスバリヤー性樹脂層被膜を形成するためには、ガス
バリヤー性樹脂を構成するEVOH、ポリアミド樹脂、
アイオノマー樹脂及び酸変性ポリオレフィン樹脂のいず
れもが、適正な分子量範囲にある必要のあることが判
る。
【0047】(実施例9)内層及び外層を構成する樹脂
として、酢酸ビニル含量が2モル%で、MFRが0.7
g/10minのエチレン酢酸ビニル共重合体(EV
A)を使用し、接着剤樹脂層として無水マレイン酸グラ
フト率が約0.7重量%で、MFRが2.5g/10m
in、密度が0.920g/cmの線状低密度ポリエ
チレンを使用した。また、主層Aを構成する樹脂とし
て、MFRが0.6g/10min、密度が0.928
g/cmのLDPEに多層プラスチックボトルの成形
時に発生するスクラップ樹脂を粉砕したものを樹脂組成
物全体を基準として40重量%配合したものを、そして
主層Bを構成する樹脂として、コモノマーとしてヘキセ
ン−1を使用しメタロセン触媒により重合させたMFR
が1.6g/10min、密度が0.910g/cm
のエチレン・α−オレフィン共重合体に多層プラスチッ
クボトルの成形時に発生するスクラップ樹脂を粉砕した
ものを樹脂組成物全体を基準として40重量%配合した
ものを、それぞれ使用した。ガスバリヤー性樹脂層を構
成する樹脂組成物として、(1)エチレン含量27モル
%で、ケン化度が98%、MFRが3.0g/10mi
n(210℃で測定)のEVOH85重量部、(2)融
点・軟化温度が195℃で固有粘度が1.3のナイロン
6/MXD(メタキシリレンジアミン)共重合体10重
量部、及び(3)(A)メタアクリル酸及び無水マレイ
ン酸の合計含量が15モル%で、カルボキシル基の45
%をナトリウムで中和したMFRが2.5g/10mi
n、グラフト率0.5重量%のエチレン・メタアクリル
酸・無水マレイン酸共重合体金属塩からなるアイオノマ
ー樹脂5重量部を、ペレット配合したものを使用した。
【0048】これらの樹脂を使用して、ボトル胴部の表
裏にロゴマークが配設された金型により、図2に示す外
層1/主層A2/接着剤樹脂層3/ガスバリヤー性樹脂
層4/接着剤樹脂層5/主層B6/内層7(層比:10
/10/3/4/3/55/15重量%)からなる層構
成を有する内容量1100ml、目付け24g及びさら
に軽量化した22gの、4種7層の多層薄肉ボトルを毎
分70本の速度にてロータリーブロー成形した。このボ
トルの成形性は良好であった。
【0049】(実施例10)実施例9において、ガスバ
リヤー性樹脂層を構成する樹脂組成物として、(1)E
VOH、(2)ポリアミド樹脂、及び(3)(A)アイ
オノマー樹脂を、実施例9と同じ配合比であらかじめ2
軸押出し機にて混連したものを使用したほかは、実施例
9と同様にして多層薄肉ボトルを成形した。
【0050】(実施例11)主層A及びBに添加される
スクラップ樹脂として、実施例9で使用した(2)ポリ
アミド樹脂、及び(3)(A)アイオノマー樹脂を、
(2)/(3)(A)=70/30で混練配合したペレ
ットを、スクラップ樹脂中に5重量%添加したものを使
用したほかは、実施例9と同様にして多層薄肉ボトルを
成形した。上記実施例9〜11で得られたボトルを、実
施例1と同様に評価した結果を、表6に示す。いずれの
例でも成形条件の変更は殆んど無く、成形性は良好であ
った。
【0051】
【表6】
【0052】この結果によれば、いずれの場合にもガス
バリヤー性を低下させずにボトルの落下衝撃強度を確保
することができ、軽量化が達成された。実施例9及び1
0の比較から、ガスバリヤー性樹脂層を構成する樹脂成
分の混合方法は、ボトルの性状に影響を与えないことが
判明した。また、エチレン含量が27モル%のEVOH
を使用した場合にも、エチレン含量が32モル%のEV
OHと同様の改質効果があり、良好なガスバリヤー性を
有する多層プラスチックボトルが得られることがわかっ
た。そして、スクラップ樹脂中に、ガスバリヤー性樹脂
層の構成成分である(2)ポリアミド樹脂及び(3)変
性ポリオレフィン系樹脂を配合することによって、多層
ボトルの成形時のコゲ・ミゲルの発生を更に少なくする
ことが可能となった。
【0053】
【発明の効果】本発明では、上記の構成をとることによ
って、ガスバリヤー性と耐衝撃性に優れるとともに良好
な外観と透明性を有する、外層樹脂層、ガスバリヤー性
樹脂層及びポリオレフィン系樹脂主層を有する多層プラ
スチックボトルを、ボトル成形時にミゲルやヤケ・コゲ
の発生を防止して、効率良く低コストで製造することが
できる。特に、多層プラスチックボトルの成形時に発生
するスクラップ樹脂をボトルの主層や他の層を構成する
材料として使用する際に、混和性の悪いポリオレフィン
類とEVOHが均一に分散混合することを促進し、ミゲ
ルの発生やヤケ・コゲを防止することにより、多層プラ
スチックボトルの生産効率を大巾に上昇させて、コスト
ダウンを可能とするとともに、性状の優れた多層プラス
チックボトルを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多層プラスチックボトルの1例を示す
図である。
【図2】本発明の多層プラスチックボトルの層構成(図
1のAの部分)の1例を示す断面模式図である。
【図3】本発明の多層プラスチックボトルの層構成(図
1のAの部分)の他の例を示す断面模式図である。
【符号の説明】
1,11 外層 2,6,15 主層 3,5,12,14 接着剤樹脂層 4,13 ガスバリヤー性樹脂層 7,16 内層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3E033 AA02 BA14 BA21 BB01 BB08 CA03 CA16 CA18 DD06 FA03 4F100 AK01A AK01D AK03A AK03B AK03C AK03D AK06 AK46B AK69B AK70 AK70B AL05B AL06B AL07B BA03 BA04 BA07 BA10A BA10C BA10D GB16 JA04B JA06B JD01B

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外層樹脂層、ガスバリヤー性樹脂層及び
    ポリオレフィン系樹脂主層を有する多層プラスチックボ
    トルにおいて、ガスバリヤー性樹脂層が(1)エチレン
    ・ビニルアルコール共重合体、(2)ポリアミド系樹
    脂、及び(3)変性ポリオレフィン樹脂を含有する樹脂
    組成物により構成されたものであることを特徴とする多
    層プラスチックボトル。
  2. 【請求項2】 ガスバリヤー性樹脂層に含まれる(3)
    変性ポリオレフィン樹脂が、メルトフローレート(MF
    R)が0.5〜10g/minのアイオノマー樹脂及び
    /又は不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂である
    ことを特徴とする請求項1に記載の多層プラスチックボ
    トル。
  3. 【請求項3】 ガスバリヤー性樹脂層に含まれる(2)
    ポリアミド樹脂が、0.5以上の固有粘度と(1)エチ
    レン・ビニルアルコール共重合体の融点プラス30℃未
    満の融点又は軟化点を有することを特徴とする請求項1
    又は2に記載の多層プラスチックボトル。
  4. 【請求項4】 ガスバリヤー性樹脂層に含まれる(1)
    エチレン・ビニルアルコール共重合体の含有量が、ガス
    バリヤー性樹脂層を構成する樹脂組成物を基準として6
    5〜90重量%であることを特徴とする請求項1〜3の
    いずれかに記載の多層プラスチックボトル。
  5. 【請求項5】 ポリオレフィン系樹脂主層が、多層プラ
    スチックボトルの成形時に発生するスクラップ樹脂を含
    有するものであることを特徴とする請求項1〜4のいず
    れかに記載の多層プラスチックボトル。
  6. 【請求項6】 ポリオレフィン系樹脂主層の内側に内層
    樹脂層を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれ
    かに記載の多層プラスチックボトル。
  7. 【請求項7】 外層樹脂層及び内層樹脂層がポリオレフ
    ィン系樹脂により構成されたものであることを特徴とす
    る請求項1〜6のいずれかに記載の多層プラスチックボ
    トル。
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