JPWO2010098278A1 - 金属膜研磨用組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】研磨速度を高く維持しながら、エッチング速度やディッシング量を抑制し得る研磨用組成物を提供する。【解決手段】磨用組成物は、砥粒と、酸化剤と、研磨促進剤と、アニオン性界面活性剤と、腐食抑制剤とを含む。砥粒は、例えば、真球のコロイダルシリカからなる。酸化剤は、例えば、過酸化水素からなる。研磨促進剤は、研磨促進剤1,2からなる。研磨促進剤1は、例えば、L−酒石酸からなり、研磨促進剤2は、例えば、リン酸からなる。アニオン性界面活性剤は、例えば、ラウリルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミンからなる。腐食抑制剤は、例えば、ベンゾトリアゾールからなる。【選択図】なし

Description

本発明は、金属膜を研磨する研磨用組成物に関するものである。
CMP(Chemical Mechanical Polishing、化学機械研磨)は、主に、シリコンおよびガリウム砒素等からなるウェハ表面に形成された酸化膜、金属膜、およびセラミックス膜等の多層配線用薄膜を平坦化するために利用され、ウェハ表面に多層配線を構築し、高性能化および高集積化が進んだ超LSI(Large Scale Integrated circuit)を製造する上で必要不可欠な技術になっている。
従来、金属膜の研磨に用いられる研磨用組成物として、非真球状コロイダルシリカとクリスタルシリカ粒子との複合粒子を含む金属膜研磨組成物が知られている(特許文献1:特開2005−183684号公報)。この金属膜研磨組成物を用いて銅を研磨することによって、5400nm/分の研磨速度および150nmのディシング量(配線幅:100μm)が得られている。
また、酸化剤と、銅を溶解させるとともに銅と錯体を作る化合物と、溶解速度促進剤と、溶解抑制剤とを含む金属膜研磨組成物も知られている(特許文献2:国際公開第2006/030595号公報)。そして、溶解速度促進剤は、荷重下における銅の溶解を促進させる。また、溶解抑制剤は、荷重がかかっていない銅の溶解を抑制する。この金属膜研磨組成物を用いて銅を研磨することによって、300nm/分以上の研磨速度および10nm以下のディシング量が得られている。
更に、2つ以上のアニオン系官能基を有するアニオン系界面活性剤と、無機酸と塩基との塩とを含む金属膜研磨組成物も知られている(特許文献3:特開2005−014206号公報)。この金属膜研磨組成物を用いてタンタル膜を研磨することによって、52〜64nm/分の研磨速度が得られている。
しかし、特許文献1〜3に記載された金属膜研磨組成物を用いた場合、ディッシングやエッチング速度の抑制という面で十分な効果が得られないという問題がある。
そこで、この発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、研磨速度を高く維持しながら、エッチング速度やディッシング量を抑制し得る研磨用組成物を提供することである。
この発明によれば、研磨用組成物は、球状の砥粒と、酸化剤と、研磨促進剤と、腐食抑制剤と、アニオン性界面活性剤とを含む。
好ましくは、アニオン性界面活性剤は、第1および第2のアニオン性界面活性剤を含む。第1のアニオン性界面活性剤は、1個以上のベンゼン環を有する。第2のアニオン性界面活性剤は、分岐鎖構造を持つ。
好ましくは、第1のアニオン性界面活性剤は、炭素数が9以上であるアルキル基を含む。
好ましくは、研磨促進剤は、リン酸またはリン酸の塩からなる。
好ましくは、アニオン性界面活性剤の含有量は、当該研磨用組成物全体に対して0.1〜1.5重量%の範囲である。
好ましくは、研磨用組成物は、水溶性高分子物質を更に含む。
この発明の実施の形態による研磨用組成物は、球状の砥粒と、酸化剤と、研磨促進剤と、腐食抑制剤と、アニオン性界面活性剤とを含む。その結果、アニオン性界面活性剤の親水基を電気的に銅表面に吸着させ、疎水基で銅表面を覆わせることによって、研磨用スラリーが銅表面に接触することを阻止する。
従って、研磨速度を高く維持しながら、エッチング速度やディッシング量を抑制できる。
また、この発明の実施の形態による研磨用組成物は、球状の砥粒と、酸化剤と、研磨促進剤と、腐食抑制剤と、1個以上のベンゼン環を有する第1のアニオン性界面活性剤と、分岐鎖構造を持つ第2のアニオン性界面活性剤とを含む。そして、実施の形態による研磨用組成物を用いて金属膜を研磨することによって、金属膜表面の酸化および金属錯体層(脆弱層)の形成が順次進行して金属膜表面が研磨されるとともに、第1および第2のアニオン性界面活性剤の金属膜への吸着速度が第1のアニオン性界面活性剤単体の金属膜への吸着速度と第2のアニオン性界面活性剤単体の金属膜への吸着速度との和よりも速くなる。即ち、金属膜の研磨が進行するとともに、金属膜の表面が第1のアニオン性界面活性剤または第2のアニオン性界面活性剤を単体で用いた場合よりも速く第1および第2のアニオン性界面活性剤によって覆われる。
その結果、配線溝またはビアホール以外の層間絶縁膜上に形成された金属膜が研磨によって除去された後においては、配線溝内またはビアホール内に形成された金属膜は、これらの2種のアニオン性界面活性剤によって素早く覆われることによってエッチングおよび機械的接触から保護され、ディッシングの発生量を低減できる。
従って、3500nm/分以上の研磨速度を保持しながら、300nm以下のディシング量、好ましくは、100nm以下のディシング量を実現できる。
更に、この発明の実施の形態による研磨用組成物は、水溶性高分子物質を更に含む。水溶性高分子物質を添加したことによって水溶性高分子物質が界面活性剤の疎水基間の僅かな隙間をも被覆する。しかも、これら被覆層は、脆弱であるため、砥粒および研磨パッドにより容易に除去することができ、研磨速度の低下を招き難い。
従って、研磨速度を高く維持しながら、エッチング速度やディッシング量を抑制できる。
銅研磨速度および銅エッチング速度と、界面活性剤の添加量との関係を示す図である。 銅研磨速度および銅エッチング速度と、過酸化水素の濃度との関係を示す図である。 銅研磨速度および銅エッチング速度と、有機酸の濃度との関係を示す図である。 銅研磨速度および銅エッチング速度と、リン酸の濃度との関係を示す図である。 界面活性剤の吸着速度と界面活性剤の種類との関係を示す図である。 吸着速度比と界面活性剤の種類との関係を示す図である。
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
[実施の形態1]
この発明の実施の形態1による研磨用組成物COMP1は、砥粒と、酸化剤と、研磨促進剤と、アニオン性界面活性剤と、腐食抑制剤とを含む。
そして、研磨用組成物COMP1は、銅、銅合金、タンタル、窒化タンタル、チタン、窒化チタンおよびタングステン等の金属膜を研磨の対象とする。
砥粒は、金属膜の研磨に常用される粒子からなり、例えば、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ、コロイダルアルミナ、ヒュームドアルミナおよびセリアのいずれかからなる。そして、砥粒は、真球(球状)の形状を有する。砥粒がコロイダルシリカからなる場合、平均粒径は、例えば、80nmである。平均粒径が80nmであるとは、コロイダルシリカの粒径が主に80nmに分布していることを言う。
酸化剤は、過酸化水素、硫酸、塩酸、硝酸、ヨウ素酸、ヨウ素酸塩(ヨウ素酸カリウム等)、過ヨウ素酸、過ヨウ素酸塩(過ヨウ素酸カリウム等)、過硫酸塩、次亜塩素酸、およびオゾン水等の1種または2種以上からなる。
そして、過酸化水素、硫酸、塩酸、ヨウ素酸塩および過硫酸塩が酸化剤として好ましく、過酸化水素が特に好ましい。
また、酸化剤の含有量は、特に制限されず、砥粒の種類、粒径および含有量、有機酸、その他の成分の有無、有機酸およびその他の成分の種類および含有量、研磨対象である金属膜の種類および膜厚等の各種の条件に応じて適宜選択される。
研磨促進剤は、研磨促進剤1と、研磨促進剤2とからなる。
研磨促進剤1は、金属膜の研磨に常用される促進剤からなり、例えば、有機酸、または有機酸とアルカリ金属、アルカリ土類金属、およびアミン類との塩からなる。より具体的には、研磨促進剤1は、リンゴ酸、シュウ酸、マロン酸、L−酒石酸、クエン酸、ニコチン酸、吉草酸、アスコルビン酸、アジピン酸、ピルビン酸およびグリシン等の有機酸、またはこれらのナトリウム塩、カリウム塩、アミン塩、イミン塩、第四級アンモニウム塩、カルシウム塩、およびハロゲン化物の塩のいずれかからなる。
これらの研磨促進剤1の含有量は、特に制限されず、砥粒の種類、粒径および含有量、有機酸、その他の成分の有無、有機酸およびその他の成分の種類および含有量、研磨対象である金属膜の種類および膜厚等の各種の条件に応じて適宜選択される。そして、これらの研磨促進剤1の含有量は、通常、研磨用組成物COMP1の全量に対して6重量%以下であり、好ましくは、0.3〜6重量%である。
研磨促進剤2は、例えば、リン酸からなる。そして、リン酸は、水中で解離してリン酸イオンを生じるものであればよく、例えば、オルトリン酸(いわゆるリン酸)、メタリン酸、およびポリリン酸のいずれかからなる。また、リン酸は、ピロリン酸、トリリン酸、ヘキサメタリン酸、およびシクロリン酸等の縮合リン酸のいずれかであってもよい。
リン酸塩を形成する塩としては、リン酸と塩を形成しうる塩基性物質であれば特に限定されないが、塩基性物質としては、例えば、カリウム、ナトリウムなどのアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム、バリウムなどのアルカリ土類金属、アンモニア、またはメチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミンなどのアルキルアミン類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミノアルコール類が挙げられる。これらのうち、アンモニア、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミンが好ましい。
これらのリン酸もしくはその塩は、単独で使用でき、また2種以上を併用することもできる。
これらのリン酸もしくはその塩は、研磨用組成物COMP1全体に対して、濃度が約0.01〜3.00重量%となるように配合されるが、好ましくは、濃度が約0.05〜2.00重量%、特に好ましくは、約0.10〜1.50重量%、最も好ましくは、約0.50〜1.00重量%となるように配合される。
また、実施の形態1において、リン酸もしくはその塩とともに用いられるアニオン性界面活性剤としては、水中で解離して陰イオンとなる官能基を有する界面活性剤が挙げられ、かかる官能基としては、スルホン酸基、硫酸エステル基、ホスホン酸基、およびカルボン酸基等が挙げられる。
更に、実施の形態1におけるアニオン性界面活性剤としては、上述した官能基を有し、かつ高級鎖式炭化水素を含む界面活性剤が好ましく、高級鎖式炭化水素としては、炭素数が9以上の鎖式炭化水素を含むアニオン性界面活性剤が好ましく、特に炭素数9〜20の鎖式炭化水素を含むアニオン性界面活性剤が好ましい。更には、炭素数12〜18の鎖式炭化水素を含むアニオン性界面活性剤が特に好ましい。
かかるアニオン性界面活性剤としては、例えば、高級脂肪酸アルカリ金属塩(セッケン)、高級アルコール硫酸エステル塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪族スルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、脂肪族有機酸塩、およびリン酸系などが挙げられる。これらのアニオン性界面活性剤は、単独で使用することもでき、2種以上を混合して使用することもできる。
更に、アニオン性界面活性剤としては、単一の鎖式炭化水素を有するものに限られず、例えば、炭素数が異なる複数の鎖式炭化水素を含む界面活性剤であっても問題なく使用することができる。
高級脂肪酸アルカリ金属塩を構成する高級脂肪酸としては、例えば、炭素数9以上の脂肪酸と塩基性物質の塩が挙げられ、高級脂肪酸としては炭素数9〜20の脂肪酸が挙げられる。これらの脂肪酸は、飽和カルボン酸であってもよく、不飽和カルボン酸であってもよい。かかる脂肪酸としては、例えば、ノナン酸(C9)、デカン酸(C10)、ウンデカン酸(C11)、ラウリン酸(C12)、テトラデカン酸(C14)、ヘキサデカン酸(C16)、ヘプタデカン酸(C17)、オクタデカン酸(C18)、およびオレイン酸(C18)等が挙げられる。
これらと塩を形成する塩基性物質としては、例えば、カリウム、ナトリウムなどのアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム、およびバリウム等のアルカリ土類金属、アンモニア、またはメチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン等のアルキルアミン類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミノアルコール類があげられる。好ましい高級脂肪酸アルカリ金属塩の一例としては、例えば、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム(オクタデカン酸ナトリウム)、オレイン酸カリウム、およびヒマシ油カリウム等が挙げられる。
高級アルコール硫酸エステル塩としては、例えば、炭素数9以上のアルコールの硫酸エステルの塩があげられ、好ましくは、炭素数9〜20のアルコール硫酸エステルが挙げられる。
具体的には、例えば、ノナアルコール(C9)、デカアルコール(C10)、ウンデカアルコール(C11)、ラウリルアルコール(C12)、トリデシルアルコール(13)、ミリスチルアルコール(C14)、ペンタデシルアルコール(C15)、およびヘキサデシルアルコール(C16)、ヘプタデシルアルコール(C17)、オクタデシルアルコール(C18)等のアルコールの硫酸エステルが挙げられるが、これらにおいて、アルコールとしては上記のものに限られることはなく、例えば、1級アルコールであってもよく、2級アルコールまたは3級アルコールであってもよい。更には、飽和アルコールであってもよく、不飽和アルコールであってもよい。これらのアルコール硫酸エステルと塩を形成するものとしては、上述した高級脂肪酸アルカリ金属塩において記載した塩基性物質を使用することができる。
アルキル硫酸エステル塩としては、炭素数9以上のアルキル硫酸エステルの塩が挙げられ、塩としては、上述した高級脂肪酸アルカリ金属塩において記載した塩基性物質を使用することができる。かかるアルキル硫酸エステルとしては、例えば、炭素数9〜20のアルキル硫酸エステル塩が好ましく、具体的には、例えば、オクチル硫酸ナトリウム(C8)、ノナ硫酸ナトリウム(C9)、デカ硫酸ナトリウム(C10)、ウンデカ硫酸カリウム(C11)、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン(C12)、トリデシル硫酸ナトリウム(13)、ミリスチル硫酸エステル塩(C14)、ペンタデシル硫酸ナトリウム(C15)、ヘキサデシル硫酸ナトリウム(C16)、ヘプタデシル硫酸ナトリウム(C17)、およびオクタデシル硫酸ナトリウム(C18)が挙げられる。
アルキルベンゼンスルホン酸塩としては、炭素数9〜20のアルキルベンゼンスルホン酸の塩があげられ、塩としては、上述した高級脂肪酸アルカリ金属塩において記載した塩基性物質を使用することができる。具体的には、例えば、ラウリルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、p−デシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、およびテトラデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩としては、炭素数9〜20のものが挙げられ、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムが挙げられる。
その他のスルホン酸塩としては、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、およびアルカンスルホン酸ナトリウムが挙げられる。
N−アシルアミノ酸塩としては、炭素数9〜20のN−アシルアミノ酸の塩が挙げられ、例えば、N−ラウリルグリシンナトリウムおよびN−ミリスチリルグルタミン酸塩トリエタノールアミン等が挙げられる。
更に、アルケニルコハク酸ジカリウム、ラウリルザルコシンナトリウム、ラウリル−β−アラニルナトリウム、およびラウリルメチルタウリンナトリウム等のような界面活性剤も好適に使用することができる。
また、研磨用組成物COMP1においては、アニオン性界面活性剤として分子中に2つ以上のアニオン系官能基を有していてもよく、例えば、アルキレンジスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸ホルマリン縮合物、フェノールジスルホン酸ホルマリン縮合物、およびフェニルフェノールジスルホン酸ホルマリン縮合物等の他に、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸、アルキルジフェニルエーテルジホスホン酸、およびアルキルジフェニルエーテルジカルボン酸等の更にエーテル結合を有する化合物およびそれらの塩が挙げられ、塩としては、具体的には、ナトリウム塩、アンモニウム塩、トリエタノールアミン塩、ジナトリウム塩、ジアンモニウム塩、およびジトリエタノールアミン塩等が挙げられる。
これらのアニオン性界面活性剤は、研磨用組成物COMP1全体に対して、濃度が0.1〜1.5重量%となるように配合され、特に好ましくは、濃度が0.25〜0.5重量%となるように配合される。0.1重量%以下では、アニオン性界面活性剤添加の効果が得られず、1.5重量%以上加えた場合は研磨レートが低下する。
実施の形態1において、好ましい組み合わせとしては、リン酸もしくはその塩と高級アルキルベンゼンスルホン酸塩の組合せ、リン酸もしくはその塩とN−アシルアミノ酸塩の組合せ、リン酸もしくはその塩とポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩の組合せ、リン酸もしくはその塩とジアルキルスルホコハク酸塩の組合せが挙げられる。
より好ましい組み合わせとしては、リン酸もしくはその塩と炭素数12〜18の高級アルキルベンゼンスルホン酸塩の組合せ、リン酸もしくはその塩と炭素数12〜18のN−アシルアミノ酸塩の組合せ、リン酸もしくはその塩と炭素数12〜18のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩の組合せ、リン酸もしくはその塩とジアルキルスルホコハク酸塩の組合せが挙げられる。
また、特に好ましい組み合わせとしては、リン酸もしくはその塩とラウリルベンゼンスルホン酸塩、p−デシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムもしくはテトラデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの組合せ、リン酸もしくはその塩とN−ラウリル−N−メチルグリシンナトリウム塩の組合せ、リン酸もしくはその塩とポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩の組合せ、リン酸もしくはその塩とジオクチルスルホコハク酸塩またはジ2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウムの組合せが挙げられる。
腐食防止剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、ベンゾトリアゾール−4−カルボン酸もしくはそのメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステルおよびオクチルエステル等のベンゾトリアゾール誘導体のほか、ナフトトリアゾールもしくはその誘導体、イミダゾール、キナルジン酸、およびインバール誘導体等が挙げられる。これらの中でも、ベンゾトリアゾールもしくはその誘導体、イミダゾール、キナルジン酸、インバール誘導体などが好ましく、ベンゾトリアゾールとその誘導体が特に好ましい。腐食防止剤は、単独で用いてもよくまたは2種以上を用いてもよい。腐食防止剤の含有量は、特に制限されず、砥粒の種類、粒径および含有量、有機酸その他の成分の有無とその種類および含有量、研磨対象である金属膜の種類、膜厚などの各種条件に応じて広い範囲から適宜選択すればよく、通常は、研磨用組成物COMP1全体に対して0.005〜0.5重量%、好ましくは0.01〜0.3重量%である。
研磨用組成物COMP1においては、リン酸もしくはその塩およびアニオン性界面活性剤に、水溶性高分子物質を組合せることもでき、これによってエッチング速度をさらに抑制することが可能となる。
かかる水溶性高分子物質としては、ポリカルボン酸化合物または水溶性のビニルアルコール誘導体のほか、この技術分野において使用される水溶性高分子物質があげられる。
具体的には、例えば、ポリカルボン酸としては、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、およびポリスチレンアクリル酸が挙げられ、水溶性ビニル誘導体としては、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、およびポリエチレングリコールが挙げられ、更には、マレイン酸・ビニル共重合体、およびキサンタンガム等が使用できる。
これらのうち、ポリカルボン酸は、ポリカルボン酸塩としても用いることができ、塩としては、カリウム、およびナトリウム等のアルカリ金属塩、カルシウム、およびマグネシウム等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩などが挙げられる。
また、水溶性セルロース誘導体も水溶性高分子物質として好適に使用することができ、水溶性セルロース誘導体としては、具体的には、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース等のカルボキシアルキルセルロース類、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキプロピルセルロース、およびエチルヒドロキシエチルセルロース等のヒドロキシセルロース類、メチルセルロース、およびエチルセルロース等のアルキルセルロース類が挙げられる。
これらの水溶性高分子物質がポリカルボン酸化合物または水溶性のビニルアルコール誘導体等である場合、これらの水溶性高分子物質は、分子量が50000以下のものが好ましく、特に分子量が3000〜10000のものが好ましい。
また、水溶性高分子物質として、水溶性セルロース誘導体を用いる場合には、その分子量が50000以下のものが好ましく、特に分子量が3000〜25000のものが好ましい。
これらの水溶性高分子物質は、研磨用組成物COMP1全体に対して、濃度が約0.001〜3.00重量%となるように配合される。
以上の構成を有する研磨用組成物COMP1は、ウェハの研磨速度を1500nm/分以上の高い速度に維持しつつ100nm/分以下の低いエッチング速度を達成でき、かつディッシングも抑制すること、加えて砥粒の凝集、沈降および溶解、研磨促進剤の析出などが生じないなどのすぐれた効果を奏する。
これらの効果は、アニオン性界面活性剤の親水基を電気的に銅表面に吸着させ、疎水基で銅表面を覆わせることによって、研磨用スラリーが銅表面に接触することを阻止し、エッチングを抑制させるメカニズムによるものである。また、このメカニズムから疎水基は、銅表面と研磨用スラリーの距離を十分保つため、炭素数が9以上であると極めて優れた効果が得られるのでより好ましい。更に、水溶性高分子物質を添加したことによってエッチング速度の抑制効果が更に高められ理由は、水溶性高分子物質が界面活性剤の疎水基間の僅かな隙間をも被覆することによるものである。しかも、これら被覆層は、脆弱であるため、砥粒および研磨パッドにより容易に除去することができ、研磨速度の低下を招き難いという効果も併せ有する。
研磨用組成物COMP1のpHは、4.0以下が好ましく、特に1.5〜2.5が好ましい。
pH調整剤としては、この技術分野において常用されるものを使用することができ、例えば、酸成分として乳酸、酢酸、およびクエン酸等の有機酸、アルカリ成分としてカリウム、およびナトリウム等のアルカリ金属の水酸化物やアンモニウムをそのままで用いることができ、あるいは、適宜、塩として用いることができる。
研磨用組成物COMP1は、砥粒、酸化剤、研磨促進剤(リン酸もしくはその塩等)、アニオン性界面活性剤、および腐食抑制剤を、適宜、混合して水に加えるか、またはこれらの各成分を順次、水に混合し、所望のpHに調整することによって作製される。
また、研磨用組成物COMP1は、水溶性高分子物質を更に含む場合、砥粒、酸化剤、研磨促進剤(リン酸もしくはその塩等)、アニオン性界面活性剤、腐食抑制剤および水溶性高分子物質を、適宜、混合して水に加えるか、またはこれらの各成分を順次、水に混合し、所望のpHに調整することによって作製される。
この場合、各成分を混合する手段としては、ホモジナイザー、および超音波等、この技術分野において常用される手段を採用することができる。
以下に実験例、実施例および比較例を挙げ、本発明を具体的に説明する。
(実験例1)
実施例1〜5および比較例1〜5並びに比較例6〜8
表1〜3に示す割合で各成分を水に混合、溶解し、研磨用組成物COMP1である実施例1〜5、比較例1〜8を調製した。なお、砥粒としては、平均粒子径80nmのコロイダルシリカを用いた。
Figure 2010098278
表1におけるジアルキルスルホコハク酸ナトリウムは、日油株式会社製のラピゾールA−30(炭素数10〜16の混合物)である。また、ポリオキシアルキル硫酸エステルナトリウムは、日油株式会社製のパーソフトEF(炭素数10〜14の混合物)である。更に、BTAは、ベンゾトリアゾールである。
Figure 2010098278
Figure 2010098278
(実施例6〜9)
表4に示す割合で各成分を水に混合、溶解し、研磨用組成物COMP1である実施例6〜9を調製した。なお、砥粒として平均粒子径80nmのコロイダルシリカを用いた。
Figure 2010098278
(実施例10〜13)
表5に示す割合で各成分を水に混合、溶解し、研磨用組成物COMP1である実施例10〜13を調製した。なお、砥粒として平均粒子径80nmのコロイダルシリカを用いた。
Figure 2010098278
(実施例14〜17)
表6に示す割合で各成分を水に混合、溶解し、研磨用組成物COMP1である実施例14〜17を調製した。なお、砥粒として平均粒子径80nmのコロイダルシリカを用いた。
Figure 2010098278
表6におけるカルボン酸系共重合体アンモニウム塩は、東亞合成株式会社製のアロンA−6114)分子量8000である。また、表6における(*)は、平均分子量10000(日油株式会社製、ポリスターOM)を表し、(**)は、平均分子量10000(日油株式会社製、マリアリムAKM−0531)を表す。
(実施例18〜20)
表7に示す割合で各成分を水に混合、溶解し、研磨用組成物COMP1である実施例18〜20を調製した。なお、砥粒として平均粒子径80nmのコロイダルシリカを用いた。
Figure 2010098278
表7における(*2)は、平均分子量25000を表し、(*3)は、平均分子量10000を表す。
(研磨速度評価)
研磨装置(EBARA EPO222(荏原製作所社製))を用い、研磨パッド(IC1000 050k−grv A2/P922"(ニッタ・ハース株式会社製))に実施例および比較例の研磨用組成物を150ml/分の割合で供給し、かつ直径200mmの銅めっきウェハに210hPaの圧力をかけながら、研磨定盤を90rpmおよびキャリアを80rpmでそれぞれ回転させ、60秒間研磨を行った。研磨終了後、研磨によって除去された銅の厚みの差を銅表面の抵抗値(四探針法を用いて測定)から算出した。単位時間当たりに研磨によって除去されたウェハの厚み(nm/min)で研磨速度を評価した。
[銅研磨速度の判定基準]
◎:3500nm/分以上
○:1500nm/分以上、3500nm/分未満
×:1500nm/分未満
(ディッシング量評価)
シリコンウェハに深さ5μm、φ100μmのビアを形成し、バリアメタルとしてTa、Cuシード層、Cuメッキを10μm施したφ200mmのパターンウェハを用いて、銅配線の露出に要した時間の30%に相当する時間を追加研磨時間として研磨を行った。また、研磨後、銅配線の表面に形成された凹みの深さを触針式プロファイラー(商品名 P12、KLA Tencor社製)によって測定し、測定結果をディッシング量とした。
[φ100μmビアのディッシング判定基準]
◎:1000Å以下
○:3000Å以下
△:10000Å未満
×:10000Å以上
(エッチング速度評価)
電気化学測定手法を用いて、ターフェルプロットにより腐食電流値を算出した。また、腐食電流値より、単位面積あたりの銅電極での平均エッチング速度を算出し、銅エッチング速度とした。
[エッチング速度判定基準]
◎:50nm/分以下
○:50nm/分を越え100nm/分以下
△:100nm/分を越え200nm/分以下
▲:200nm/分を越え300nm/分以下
×:300nm/分を越えるもの
(スラリー安定性評価)
大塚電子社製の粒度分布測定器ELS−Zを用いて、調合直後と調合後24時間経過時の平均粒子径を測定し、砥粒粒子径および凝集、沈降等の変化を確認した。
[スラリー安定性判定基準]
○:砥粒粒子径の増加なし
△:砥粒粒子径の増加あり
×:凝集および沈降
(結果)
上記実施例1〜20および比較例1〜8を用いた実験例から次のことがわかる。
リン酸とアニオン性界面活性剤を用いた実施の形態1における実施例は、研磨速度、エッチング速度、ディッシングおよびスラリー安定性のいずれの項目においても、優れた結果を示している。
これに対し、比較例1〜5(アニオン性界面活性剤を使用しない例)は、研磨速度、およびディッシング量のいずれの項目も不適であり、わずかにスラリー安定性において実施例と同様の評価が得られたことがわかる。
エッチング速度は、実施例1〜5に比べて、3倍〜17倍高いエッチング速度となっており、研磨用組成物として好ましくないことがわかる。
また、比較例6〜8(リン酸以外の無機酸とアニオン性界面活性剤を組み合わせた例)では、研磨速度は、実施例1〜5と同様の結果を示したものの、エッチング速度は、実施例1〜5の2.4倍〜7倍高く、ディッシング量も不適という結果となっており、研磨用組成物として好ましくないことがわかる。
(実験例2)
実験例1と同様の研磨条件で、アニオン性界面活性剤の濃度を種々変えて、研磨速度と銅エッチング速度を測定し、アニオン性界面活性剤の濃度変化が研磨速度と銅エッチング速度に及ぼす影響を評価した。
図1は、銅研磨速度および銅エッチング速度と、界面活性剤の添加量との関係を示す図である。図1において、縦軸は、銅研磨速度および銅エッチング速度を表し、横軸は、界面活性剤の添加量を表す。また、曲線k1は、銅研磨速度を示し、曲線k2は、銅エッチング速度を示す。更に、図1に示す銅研磨速度および銅エッチング速度は、上述した実施例9における研磨用組成物において、ラウリルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミンの添加量を変えたときの結果である。
図1を参照して、アニオン性界面活性剤(ラウリルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン)の添加量が0.1重量%〜1.5重量%である場合、銅研磨速度は、1500nm/minよりも高くなり(曲線k1参照)、銅エッチング速度は、100nm/minよりも低くなる(曲線k2参照)。
従って、アニオン性界面活性剤の添加量は、0.1重量%〜1.5重量%の範囲が適していることが実証された。
図2は、銅研磨速度および銅エッチング速度と、過酸化水素の濃度との関係を示す図である。図2において、縦軸は、銅研磨速度および銅エッチング速度を表し、横軸は、過酸化水素の濃度を表す。また、曲線k3は、銅研磨速度を示し、曲線k4は、銅エッチング速度を示す。更に、図2に示す銅研磨速度および銅エッチング速度は、上述した実施例9における研磨用組成物において、過酸化水素の濃度を変えたときの結果である。
図2を参照して、過酸化水素の濃度が2.0重量%〜10.0重量%である場合、銅研磨速度は、1500nm/minよりも高くなり(曲線k3参照)、銅エッチング速度は、100nm/minよりも低くなる(曲線k4参照)。
従って、酸化剤(過酸化水素)の濃度は、2.0重量%〜10.0重量%の範囲が適していることが実証された。
図3は、銅研磨速度および銅エッチング速度と、有機酸の濃度との関係を示す図である。図3において、縦軸は、銅研磨速度および銅エッチング速度を表し、横軸は、有機酸の濃度を表す。また、曲線k5は、銅研磨速度を示し、曲線k6は、銅エッチング速度を示す。更に、図3に示す銅研磨速度および銅エッチング速度は、上述した実施例9における研磨用組成物において、有機酸としてのL−酒石酸の濃度を変えたときの結果である。
図3を参照して、有機酸(=L−酒石酸)の濃度が0.3重量%〜6.0重量%である場合、銅研磨速度は、1500nm/minよりも高くなり(曲線k5参照)、銅エッチング速度は、100nm/minよりも低くなる(曲線k6参照)。
従って、研磨促進剤1としての有機酸の濃度は、0.3重量%〜6.0重量%の範囲が適していることが実証された。
図4は、銅研磨速度および銅エッチング速度と、リン酸の濃度との関係を示す図である。図4において、縦軸は、銅研磨速度および銅エッチング速度を表し、横軸は、リン酸の濃度を表す。また、曲線k7は、銅研磨速度を示し、曲線k8は、銅エッチング速度を示す。更に、図4に示す銅研磨速度および銅エッチング速度は、上述した実施例9における研磨用組成物において、リン酸の濃度を変えたときの結果である。
図4を参照して、リン酸の濃度が0.05重量%〜2.00重量%である場合、銅研磨速度は、1500nm/minよりも高くなり(曲線k7参照)、銅エッチング速度は、100nm/minよりも低くなる(曲線k8参照)。
従って、研磨促進剤2としてのリン酸の濃度は、0.05重量%〜2.00重量%の範囲が適していることが実証された。
上述したように、実施の形態1による研磨用組成物COMP1は、アニオン性界面活性剤を含むので、研磨用組成物COMP1を金属膜の研磨に用いることによって、アニオン性界面活性剤の親水基が電気的に金属膜の表面に吸着し、疎水基が金属膜の表面を覆う。その結果、研磨用スラリーの銅表面への接触が阻止され、エッチングが抑制される。
従って、1500nm/minよりも高い研磨速度を維持しながら、100nm/minよりも低いエッチング速度および300nm以下のディッシング量を得ることができる。
[実施の形態2]
実施の形態2による研磨用組成物COMP2は、砥粒と、酸化剤と、研磨促進剤と、1個以上のベンゼン環を有する第1のアニオン性界面活性剤と、分岐鎖構造を持つ第2のアニオン性界面活性剤と、腐食抑制剤とを含む。
即ち、研磨用組成物COMP2は、実施の形態1による研磨用組成物COMP1のアニオン性界面活性剤を第1および第2のアニオン性界面活性剤に代えたものであり、その他は、研磨用組成物COMP1と同じである。
そして、研磨用組成物COMP2も、銅、銅合金、タンタル、窒化タンタル、チタン、窒化チタンおよびタングステン等の金属膜を研磨の対象とする。
第1のアニオン性界面活性剤は、炭素数が9以上であるアルキル基を含むアルキルベンゼンスルホン酸塩またはアルキルナフタレンスルホン酸塩からなる。炭素数が9未満になると、アルキルベンゼンスルホン酸塩またはアルキルナフタレンスルホン酸塩は、銅表面に吸着させた際に十分な疎水性を発揮できないため、銅表面がスラリーによってエッチングされてしまうからである。
アルキルベンゼンスルホン酸塩は、1個のベンゼン環を有し、アルキルナフタレンスルホン酸塩は、2個のベンゼン環を有する。
アルキルベンゼンスルホン酸塩は、炭素数が9以上であるアルキル基を含むアルキルベンゼンスルホン酸の塩からなる。
そして、アルキルベンゼンスルホン酸は、p−デシルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、およびテトラデシルベンゼンスルホン酸等からなる。
また、アルキルベンゼンスルホン酸と塩を形成する塩基性物質は、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニア、アルキルアミン類およびアミノアルコール類のいずれかからなる。アルカリ金属は、カリウムおよびナトリウム等からなる。アルカリ土類金属は、カルシウム、マグネシウムおよびバリウム等からなる。アルキルアミン類は、メチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、およびジエチルアミン等からなる。アミノアルコール類は、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンおよびトリエタノールアミン等からなる。
アルキルベンゼンスルホン酸塩の具体例は、例えば、p−デシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、テトラデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、およびアルキルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミンである。
アルキルナフタレンスルホン酸塩は、炭素数が9以上であるアルキル基を含むアルキルナフタレンスルホン酸の塩からなる。
そして、アルキルナフタレンスルホン酸と塩を形成する塩基性物質は、アルキルベンゼンスルホン酸と塩を形成する塩基性物質と同じである。
1個のベンゼン環を有するアルキルベンゼンスルホン酸塩の好ましい例は、アルキルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミンである。
また、2個のベンゼン環を有するアルキルナフタレンスルホン酸塩の好ましい例は、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムである。
このように、この発明の実施の形態においては、第1のアニオン性界面活性剤は、1個以上のベンゼン環を有する。
第2のアニオン性界面活性剤は、分岐鎖構造を有するジ2−エチルヘキシルスルホコハク酸塩からなる。
ジ2−エチルヘキシルスルホコハク酸塩は、ジ2−エチルヘキシルスルホコハク酸の塩からなる。
ジ2−エチルヘキシルスルホコハク酸と塩を形成する塩基性物質は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属である。そして、アルカリ金属は、カリウムおよびナトリウム等からなる。また、アルカリ土類金属は、カルシウム、マグネシウムおよびバリウム等からなる。
ジ2−エチルヘキシルスルホコハク酸塩の好ましい例は、ジ2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウムである。
腐食抑制剤は、例えば、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、ベンゾトリアゾール−4−カルボン酸、ベンゾトリアゾールのメチルエステル、ベンゾトリアゾールのエチルエステル、ベンゾトリアゾールのプロピルエステル、ベンゾトリアゾールのブチルエステルおよびベンゾトリアゾールのオクチルエステル等のベンゾトリアゾール誘導体、ナフトトリアゾールもしくはその誘導体、イミダゾール、キナルジン酸、およびインバール誘導体のいずれかからなる。
研磨用組成物COMP2は、砥粒、酸化剤、研磨促進剤、1個以上のベンゼン環を有する第1のアニオン性界面活性剤、分岐鎖構造を持つ第2のアニオン性界面活性剤、および腐食抑制剤を適宜混合して水を加えることによって作製される。また、研磨用組成物COMP2は、砥粒、酸化剤、研磨促進剤、1個以上のベンゼン環を有する第1のアニオン性界面活性剤、分岐鎖構造を持つ第2のアニオン性界面活性剤、および腐食抑制剤を、順次、水に混合することによって作製される。そして、これらの成分を混合する手段としては、ホモジナイザー、および超音波等、研磨用組成物の技術分野において常用される手段が用いられる。
研磨用組成物COMP2を用いて銅等の金属膜を研磨することによって、金属膜表面の酸化、金属錯体層(脆弱層)および銅防食層の形成が順次進行して金属膜表面が研磨されるとともに、第1および第2のアニオン性界面活性剤の金属膜への吸着速度が第1のアニオン性界面活性剤単体の金属膜への吸着速度と第2のアニオン性界面活性剤単体の金属膜への吸着速度との和よりも速くなる。即ち、金属膜の研磨が進行するとともに、金属膜の表面が第1のアニオン性界面活性剤または第2のアニオン性界面活性剤を単体で用いた場合よりも速く第1および第2のアニオン性界面活性剤によって覆われる。
その結果、配線溝またはビアホール以外の層間絶縁膜上に形成された金属膜が研磨によって除去された後においては、配線溝内またはビアホール内に形成された金属膜は、これらの2種のアニオン性界面活性剤によって素早く覆われることによってエッチングおよび機械的接触から保護され、ディッシングの発生量を低減できる。
従って、速い研磨速度を保持しつつ、小さいディッシング量とすることができる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
実施例21〜実施例25における研磨用組成物の組成と、評価結果とを表8に示す。また、実施例26〜実施例28における研磨用組成物の組成と、評価結果とを表9に示す。更に、比較例9〜比較例13における研磨用組成物の組成と、評価結果とを表10に示す。
Figure 2010098278
Figure 2010098278
Figure 2010098278
(実施例21)
実施例21における研磨用組成物COMP2_1は、0.5重量%のコロイダルシリカと、6重量%の過酸化水素と、5重量%のグリシンと、0.5重量%のリン酸と、0.2重量%のベンゾトリアゾール(BTA:Benzotriazole)と、0.025重量%のアルキルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミンと、0.025重量%のジ2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウムとを含む。
そして、コロイダルシリカは、80nmの平均粒径を有する。また、アルキルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミンは、炭素数が12であるアルキル基を含む。
(実施例22)
実施例22における研磨用組成物COMP2_2は、研磨用組成物COMP2_1におけるアルキルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミンの含有量を0.025重量%から0.05重量%に変え、ジ2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウムの含有量を0.025重量%から0.05重量%に変えたものであり、その他は、研磨用組成物COMP2_1と同じである。
(実施例23)
実施例23における研磨用組成物COMP2_3は、研磨用組成物COMP2_1における5重量%のグリシンを5重量%のL−酒石酸に代え、ジ2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウムの含有量を0.025重量%から0.05重量%に変えたものであり、その他は、研磨用組成物COMP2_1と同じである。
(実施例24)
実施例24における研磨用組成物COMP2_4は、研磨用組成物COMP2_1における5重量%のグリシンを5重量%のL−酒石酸に代え、アルキルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミンの含有量を0.025重量%から0.05重量%に変え、ジ2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウムの含有量を0.025重量%から0.05重量%に変えたものであり、その他は、研磨用組成物COMP2_1と同じである。
(実施例25)
実施例25における研磨用組成物COMP2_5は、研磨用組成物COMP2_1における5重量%のグリシンを5重量%のクエン酸に代え、アルキルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミンの含有量を0.025重量%から0.05重量%に変え、ジ2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウムの含有量を0.025重量%から0.05重量%に変えたものであり、その他は、研磨用組成物COMP2_1と同じである。
(実施例26)
実施例26における研磨用組成物COMP2_6は、研磨用組成物COMP2_1における0.025重量%のアルキルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミンを0.05重量%のアルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムに変え、ジ2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウムの含有量を0.025重量%から0.05重量%に変えたものであり、その他は、研磨用組成物COMP2_1と同じである。
(実施例27)
実施例27における研磨用組成物COMP2_7は、研磨用組成物COMP2_1における0.025重量%のアルキルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミンを0.05重量%のドデシルジフェニルエーテルスルホン酸ジナトリウムに変え、ジ2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウムの含有量を0.025重量%から0.05重量%に変えたものであり、その他は、研磨用組成物COMP2_1と同じである。
なお、ドデシルジフェニルエーテルスルホン酸ジナトリウムの品名は、ペレックスSS−L(日油)である。ジ2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウムの品名は、ラピゾールA80(日油)である。
(実施例28)
実施例28における研磨用組成物COMP2_8は、研磨用組成物COMP2_1における0.025重量%のアルキルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミンを0.05重量%のドデシルジフェニルエーテルスルホン酸ジナトリウムに変え、0.025重量%のジ2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウムを0.05重量%のオキソコール硫酸エステルに変えたものであり、その他は、研磨用組成物COMP2_1と同じである。
なお、オキソコール硫酸エステルの品名は、ファインオキソコールN140N(日産化学)である。
(比較例9)
比較例9における研磨用組成物は、研磨用組成物COMP2_3のベンゾトリアゾール(BTA)を削除したものであり、その他は、研磨用組成物COMP2_3と同じである。
(比較例10)
比較例10における研磨用組成物は、研磨用組成物COMP2_3のアルキルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミンおよびジ2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウムを削除したものであり、その他は、研磨用組成物COMP2_3と同じである。
(比較例11)
比較例11における研磨用組成物は、比較例10における研磨用組成物のリン酸を削除したものであり、その他は、比較例10における研磨用組成物と同じである。
(比較例12)
比較例12における研磨用組成物は、比較例11における研磨用組成物のコロイダルシリカの量を0.5重量%から5重量%へ増加したものであり、その他は、比較例11における研磨用組成物と同じである。
(比較例13)
比較例13における研磨用組成物は、比較例12における研磨用組成物のベンゾトリアゾール(BTA)を削除したものであり、その他は、比較例12における研磨用組成物と同じである。
評価項目は、研磨速度、エッチング速度、研磨速度/エッチング速度比、ディッシング量、スラリー起泡およびスラリー安定性からなる。
(研磨速度評価)
研磨装置(EBARA EP0222(荏原製作所社製))を用い、研磨パッド(IC1000 050k−grv A2/P922”(ニッタ・ハース株式会社製))に実施例1〜実施例6の研磨用組成物COMP1〜COMP6を150ml/分の割合で供給し、かつ、直径200mmの銅メッキウェハに210hPaの圧力をかけながら研磨定盤を90rpmの回転速度で回転させ、キャリアを80rpmの回転速度で回転させながら、60秒間、研磨を行なった。
研磨終了後、研磨によって除去された銅の厚みの差を銅表面の抵抗値(四探針法を用いて測定)から算出した。研磨速度は、単位時間当たりに研磨によって除去されたウェハの厚み(nm/分)で評価した。
(研磨速度の判定基準)
◎:4000nm/分以上
○:1500nm/分以上、4000nm/分未満
×:1500nm/分未満
(ディッシング量の評価)
シリコンウェハに深さ5μm、直径100μmのビアホールを形成し、バリアメタルとしてTa、Cuシード層、Cuメッキを10μm施した直径200mmのパターンウェハを用いて、銅配線の露出に要した時間の30%に相当する時間を追加研磨時間として研磨を行なった。そして、研磨後、銅配線の表面に形成された窪みの深さを触針式プロファイラー(商品名 P12 KLA Tencor社製)によって測定し、その測定結果をディッシング量とした。
[直径100μmのビアホールのディッシング量の判定基準]
◎:100nm以下
○:300nm以下
△:1000nm未満
×:1000nm以上
(エッチング速度評価)
電気化学測定方法を用いて、ターフェルプロットにより腐食電流値を算出した。そして、腐食電流値から単位面積当たりの銅電極での平均エッチング速度を算出し、その算出結果をエッチング速度とした。
(スラリー安定性評価)
測定対象試料:(i)製造直後、(ii)一週間後
試料保管状況:サンプル瓶に入れ、20℃で一週間静置
判定方法:凝集および沈降については、目視にて判定
粒子径については、測定前に軽く攪拌して全体を均一化した後に、大塚電子社製粒度分布測定器ELS−Zを用いて平均粒子径を測定し、砥粒の粒子径の変化を確認
[スラリー安定性判定の基準]
○:砥粒粒子径の増加なし
△:砥粒粒子径の増加あり
×:凝集及び沈降
(スラリー起泡評価)
スラリー20mlを100mlの振とう管に入れ、ストローク量50mmで100回/分の速度で振とうする振とう機にて、1分間、スラリーを振とうさせた。その後、1分間、静置した後の液面からの泡の高さを測定した。
[スラリー起泡判定の基準]
○:0〜5mm
△:6〜20mm
×:21mm以上
(結果)
上述した研磨用組成物COMP2_1〜COMP2_8を用いて銅を研磨したとき、研磨速度は、3500nm/分よりも速く、かつ、ディッシング量は、300nm以下である。また、エッチング速度は、10〜23nm/分と小さい。更に、エッチング速度に対する研磨速度の比は、169〜490と大きい。更に、スラリーは、砥粒粒子径の増加がなく、安定である。更に、研磨用組成物COMP2_1〜COMP2_8においては、スラリー起泡が0〜5mmであり、良好である。更に、砥粒粒子径の増加が無く、スラリー安定性が高い。
また、研磨用組成物COMP2_1〜COMP2_6を用いて銅を研磨したとき、研磨速度は、4000nm/分よりも速く、かつ、ディッシング量は、100nm以下である。また、エッチング速度は、10〜14nm/分と小さい。更に、エッチング速度に対する研磨速度の比は、321〜490と大きい。
更に、研磨用組成物COMP2_3〜COMP2_5を用いて銅を研磨したとき、4900nm/分の研磨速度、および100nm以下のディッシング量が得られた。そして、エッチング速度に対する研磨速度の比は、400以上と大きい。
一方、研磨用組成物COMP2_3(実施例23)からベンゾトリアゾール(BTA)を削除した比較例9の研磨用組成物を用いて銅を研磨した時、研磨速度(=4610nm/分)は、研磨用組成物COMP2_1〜COMP2_6,COMP2_8を用いて銅を研磨したときの研磨速度と同程度である。
しかし、比較例9の研磨用組成物を用いて銅を研磨した時、エッチング速度(=186nm/分)は、研磨用組成物COMP2_1〜COMP2_8を用いて銅を研磨したときのエッチング速度よりも1桁以上大きい。また、比較例9の研磨用組成物を用いて銅を研磨した時、ディッシング量は、研磨用組成物COMP2_1〜COMP2_7を用いて銅を研磨したときのディッシング量よりも大きい。
また、アルキルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミンおよびジ2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウムの両方を含まない比較例10〜13の研磨用組成物を用いて銅を研磨した時、研磨速度は、3000nm/分以下と低く、エッチング速度は、研磨用組成物COMP2_1〜COMP2_8を用いて銅を研磨したときのエッチング速度よりも1桁以上大きい。そして、ディッシング量は、比較例10〜12において、300nm以上1000nm未満であり、比較例13において、1000nm以上である。また、比較例12,13においては、サンプル瓶に移した後、数時間後に沈降が生じ、スラリー安定性が低い。
従って、1個以上のベンゼン環を有するアニオン性界面活性剤と、分岐鎖構造を持つアニオン性界面活性剤とを含む研磨用組成物COMP2_1〜COMP2_8を用いて銅を研磨することによって、3500nm/分以上の研磨速度および300nm以下のディッシング量、好ましくは、4000nm/分以上の研磨速度および100nm以下のディッシング量を得ることができる。そして、ベンゾトリアゾール(BTA)は、4000nm/分以上の研磨速度を保持しながら、100nm以下のディッシング量を得るために必要な添加物である。
このように、研磨用組成物COMP2_1〜COMP2_8は、銅の研磨に好適である。
図5は、界面活性剤の吸着速度と界面活性剤の種類との関係を示す図である。図5において、縦軸は、界面活性剤の吸着速度を表し、横軸は、界面活性剤の種類を表す。また、Aは、ジ2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウムを表し、Bは、アルキルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミンを表す。
吸着速度は、Q−sense社製 Q−SENSE E1の分子間相互作用解析装置を用いて測定された。即ち、水晶振動子の両面を金電極で挟んだセンサの片面に単位面積分の銅200nmを成膜したセンサを用い、その表面に25℃に温度調節しながら超純水を1分間流し、センサの周波数を15MHzに安定させ、その後、試料に切り替えて、界面活性剤(ジ2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウムおよび/またはアルキルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン)を含む水溶液を、1分間、銅表面に接触させたときの周波数変化を促成した。そして、このときの1分間の周波数変化量から単位時間当たりの周波数変化量を求め、その求めた単位時間当たりの周波数変化量を吸着速度とした。
なお、測定された周波数変化量Δfは、次式を用いて重量変化量Δmに変換される。
Figure 2010098278
従って、測定された周波数変化量Δfを式(1)を用いて重量変化量Δmに変換し、その変換した重量変換量Δmを用いて単位時間当たりの重量変化量を求め、その求めた単位時間当たりの重量変化量を吸着速度としてもよい。
図5を参照して、ベンゾトリアゾール(BTA)単体の吸着速度は、2000ppmの濃度に対して0.60(Hz/sec)である。
また、ジ2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウムとベンゾトリアゾール(BTA)との混合物の吸着速度は、ジ2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウムの濃度が250ppmおよび500ppmである場合、それぞれ0.81(Hz/sec)および0.82(Hz/sec)である。
更に、アルキルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミンとベンゾトリアゾール(BTA)との混合物の吸着速度は、アルキルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミンの濃度が250ppm、500ppmおよび1000ppmである場合、それぞれ1.00(Hz/sec)、1.07(Hz/sec)および1.13(Hz/sec)である。
従って、ベンゼン環を有するアルキルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミンの吸着速度は、分岐鎖構造を持つジ2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウムの吸着速度よりも速い。
また、ベンゼン環を有するアルキルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミンの吸着速度は、濃度が高くになるに従って速くなるが、分岐鎖構造を持つジ2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウムの吸着速度は、濃度が高くなっても殆ど変化しない。
一方、アルキルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミンとジ2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウムとベンゾトリアゾール(BTA)とを混合した場合、界面活性剤の吸着速度は、2(Hz/sec)よりも速い。即ち、界面活性剤の吸着速度は、250ppmのジ2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウムと250ppmのアルキルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミンと2000ppmのベンゾトリアゾール(BTA)とを混合した場合、2.17(Hz/sec)である。また、界面活性剤の吸着速度は、250ppmのジ2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウムと500ppmのアルキルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミンと2000ppmのベンゾトリアゾール(BTA)とを混合した場合、2.35(Hz/sec)である。更に、界面活性剤の吸着速度は、500ppmのジ2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウムと250ppmのアルキルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミンと2000ppmのベンゾトリアゾール(BTA)とを混合した場合、2.21(Hz/sec)である。
従って、アルキルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミンとジ2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウムとを添加した場合、界面活性剤の吸着速度は、アルキルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン単体を添加した場合の吸着速度と、ジ2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム単体を添加した場合の吸着速度との和よりも速くなる。
例えば、250ppmのジ2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウムと250ppmのアルキルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミンとを添加した場合、界面活性剤の吸着速度(=2.17(Hz/sec))は、250ppmのジ2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム単体を添加した場合の吸着速度(=0.81(Hz/sec))と、250ppmのアルキルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン単体を添加した場合の吸着速度(=1.00(Hz/sec))との和(=1.81(Hz/sec))よりも速い。他の濃度のアルキルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミンとジ2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウムとを添加した場合も、同様である。
図6は、吸着速度比と界面活性剤の種類との関係を示す図である。図6において、縦軸は、吸着速度比を表し、横軸は、界面活性剤の種類を表す。なお、吸着速度比は、2000ppmのベンゾトリアゾール(BTA)単体の吸着速度を1.00としたときの比である。
図6を参照して、分岐鎖構造を持つジ2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム単体を添加した場合の吸着速度は、ベンゾトリアゾール(BTA)単体の吸着速度の1.35〜1.36倍である。
また、ベンゼン環を有するアルキルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン単体を添加した場合の吸着速度は、ベンゾトリアゾール(BTA)単体の吸着速度の1.67〜1.88倍である。
更に、アルキルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミンとジ2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウムとを添加した場合の吸着速度は、ベンゾトリアゾール(BTA)単体の吸着速度の3.61〜3.92倍である。
このように、アルキルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミンとジ2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウムとを添加した場合、界面活性剤の銅表面への吸着速度は、アルキルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミンとジ2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウムとの相乗効果によって速くなる。
その結果、銅表面の酸化および銅錯体層(脆弱層)の形成が順次進行して銅表面が研磨されるとともに、アルキルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミンおよびジ2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウムの銅への吸着速度がアルキルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン単体の銅への吸着速度とジ2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム単体の銅への吸着速度との和よりも速くなる。即ち、銅の研磨が進行するとともに、銅の表面がアルキルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミンまたはジ2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウムを単体で用いた場合よりも速くアルキルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミンおよびジ2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウムによって覆われる。
その結果、配線溝またはビアホール以外の層間絶縁膜上に形成された銅が研磨によって除去された後においては、層間絶縁膜間(=配線溝内またはビアホール内)に形成された銅の表面がエッチングされる割合が低減する。
従って、3500nm/分以上の研磨速度および300nm以下のディッシング量、好ましくは、4000nm/分以上の研磨速度および100nm以下のディッシング量を得ることができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
この発明は、金属の研磨に用いられる研磨用組成物に適用される。

Claims (7)

  1. 球状の砥粒と、
    酸化剤と、
    研磨促進剤と、
    腐食抑制剤と、
    アニオン性界面活性剤とを含む研磨用組成物。
  2. 前記アニオン性界面活性剤は、
    1個以上のベンゼン環を有する第1のアニオン性界面活性剤と、
    分岐鎖構造を持つ第2のアニオン性界面活性剤とを含む、請求項1に記載の研磨用組成物。
  3. 前記第1のアニオン性界面活性剤は、炭素数が9以上であるアルキル基を含む、請求項2に記載の研磨用組成物。
  4. 前記研磨促進剤は、リン酸または前記リン酸の塩からなる、請求項1に記載の研磨用組成物。
  5. 水溶性高分子物質を更に含む、請求項4に記載の研磨用組成物。
  6. 前記アニオン性界面活性剤の含有量は、当該研磨用組成物全体に対して0.1〜1.5重量%の範囲である、請求項4に記載の研磨用組成物。
  7. 水溶性高分子物質を更に含む、請求項6に記載の研磨用組成物。
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