JPWO2010095568A1 - 位相型回折素子、その製造方法、および撮像装置 - Google Patents

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Abstract

表面および裏面を有する透明基板(2)と、前記透明基板の表面に設けられ、少なくとも液晶化合物を含む連続膜からなる固体化液晶層と(3)を具備する位相型回折素子である。前記固体化液晶層は、周期的に形成された第1の領域(3a)、第2の領域(3i)、及びこれらの間の第3の領域(3m)から構成される。前記第1の領域は光学的に異方性であり、前記第2の領域は光学的に等方性であり、前記第3の領域は、光学的に等方性でないが前記液晶化合物のメソゲンの配向の程度が前記第1の領域より低い。前記第2の領域の面内の平均屈折率niと前記第1の領域の面内の平均屈折率naとは異なり、前記第3の領域は、前記niとnaとの間の値nmを面内の平均屈折率として有することを特徴とする。

Description

本発明は、例えば電荷結合(CCD)素子、相補性金属酸化膜半導体(CMOS)素子等よりなる、多数の受光画素が周期的に形成された撮像素子等にローパスフィルタとして用いられる位相型回折素子ならびにその製造方法に関し、さらに当該回折素子を用いた撮像装置に関する。
CCD素子やCMOS素子等よりなる撮像素子を用いた撮像光学系においては、擬似信号の発生に伴なった被写体による光とは異なる色光成分(モアレ)が生じる。これを抑えるために、一般的には、被写体光の高空間周波数成分を制限する光学ローパスフィルタが用いられている。
従来、光学ローパスフィルタとしては、複屈折物質中における常光線と異常光線との分離を利用した複屈折型のものが多く使用されている。最も広く用いられている複屈折型の光学ローパスフィルタの材料は、水晶やニオブ酸リチウム等の無機結晶である。無機結晶による複屈折型の光学ローパスフィルタは、単結晶を合成し、切削・研磨などの後加工を施して板状に形成される。そのため、製造に多大な時間と労力が必要であるという欠点があった。
こうした問題を解決するため、光反応性の液晶組成物を複屈折型のローパスフィルタの材料として用いることが提案されている。例えば、光反応性の液晶組成物の薄膜を形成し、液晶のメソゲンが薄膜の法線方向から斜めに傾いた状態で重合させて、所望の光学特性を得ることが、例えば特許第3592383号公報に記載されている。あるいは、メソゲンの法線方向からの傾斜角が薄膜の厚み方向で連続的に変化した状態で重合させて、所望の光学特性を得ることが、例えば特開2007−93918号公報に記載されている。
しかしながら、メソゲンを法線方向から傾いた方向、特に20〜70度に傾いた方向に均一に配向させるのは困難である。メソゲンの法線方向からの傾斜角を薄膜の厚み方向で連続的に変化させる構成の場合には、厚みに対する光線の分離幅が小さくなるため、当該薄膜の膜厚を大きくしなければならない。
一方、光学ローパスフィルタとしては、複屈折によって光線を分離する方式のほかに、回折による光の分離を利用した回折格子型の素子も広く利用されている。回折格子型のローパスフィルタとして最も一般的なものは、位相型回折素子である。例えば、特開平4−9803号公報に記載されているように、樹脂等の透明材料を用いて表面に周期的な凹凸形状を有する板を形成し、凹部と凸部とで光の位相に差を生じさせる。
凹凸を利用した位相型回折格子は、素子表面が平坦でないため格子の影が生じやすい。また、回折効率を高めにくいといった問題があり、高品位な画像を得ることを目的とした撮像装置には採用し難かった。
本発明は、上述のような問題を解消し、高品質の位相型回折素子を提供すること、およびそうした回折素子を容易に安定して製造する方法を提供することを目的とする。また本発明は、当該回折素子をローパスフィルタとして用いた撮像装置を提供することを目的とする。
本発明の第1側面によると、表面および裏面を有する透明基板と、
前記透明基板の表面に設けられ、少なくとも液晶化合物を含む連続膜からなる固体化液晶層とを具備し、
前記固体化液晶層は、周期的に形成された第1の領域、第2の領域、およびこれらの間の第3の領域から構成され、
前記第1の領域は光学的に異方性であり、前記第2の領域は光学的に等方性であり、
前記第3の領域は、光学的に等方性でないが前記液晶化合物のメソゲンの配向の程度が前記第1の領域より低く、
前記第2の領域の面内の平均屈折率niと前記第1の領域の面内の平均屈折率naとは異なり、前記第3の領域は、前記niとnaとの間の値nmを面内の平均屈折率として有することを特徴とする位相型回折素子が提供される。
本発明の第2側面によると、少なくとも、多数の受光画素が周期的に形成された撮像素子を有し、前述の位相型回折素子をローパスフィルタとして用いてなる撮像装置が提供される。
本発明の第3側面によると、透明基板の表面上に直接あるいは他の層を介して固体化液晶層を形成することを含み、前記固体化液晶層の形成は、
前記透明基板上に、光重合性または光架橋性のサーモトロピック液晶化合物を含み、前記サーモトロピック液晶化合物のメソゲンが所定の配向構造をなしている液晶材料層を形成する成膜工程と、
未露光部を残しつつ、前記液晶材料層の少なくとも2つの領域に異なる条件で光を照射し、前記液晶材料層中に、前記サーモトロピック液晶化合物が重合または架橋した反応生成物を含有率Pmaxで含む第1領域と、前記反応生成物を含まず未反応の前記サーモトロピック液晶化合物を含む第2領域と、前記反応生成物および未反応の前記サーモトロピック液晶化合物を含み、前記反応生成物の含有率がP(P<Pmax)である第3領域とを形成する露光工程と、
その後、前記サーモトロピック液晶化合物が液晶相から等方相へと変化する相転移温度と等しい温度以上に前記液晶材料層を加熱して、前記第2領域および第3領域における未反応の前記サーモトロピック液晶化合物のメソゲンの配向を乱し、第2領域においては等方相の状態にするとともに、第3領域においては全体としてメソゲンの配向が低下した状態にする現像工程と、
前記第2領域が等方相である状態を維持するとともに、第3領域においては配向を低下させたまま前記未反応化合物を重合および/または架橋させる定着工程と
を具備することを特徴とする位相型回折素子の製造方法が提供される。
本発明によると、容易かつ安定的に製造可能であり、しかも高品質な位相型回折素子が実現される。具体的には、第3の領域を設けることによって平均屈折率の急峻な変化を回避したので、本発明の位相差回折素子は、高次の干渉を抑えることができる。また同様に、第3の領域を設けることによってディスクリネーションが抑制されるので、撮像素子に落ちる格子の影を低減できる。また、本発明によると、そうした位相型回折素子をローパスフィルタとして用いてなる撮像装置が実現される。
本発明の一態様にかかる撮像装置の光学系について示した概略構成図。 本発明の一態様にかかる回折素子の部分を示す概略的に示す斜視図。 図2に示す回折素子の一例のI−I線に沿った断面図。 図2に示す回折素子の他の例のI−I線に沿った断面図。 図2に示す回折素子の他の例のI−I線に沿った断面図。 本発明の他の態様にかかる回折素子の部分を示す概略図。 入射光の分離の様子を示す断面図。 入射光の分離の様子を示す模式図。
以下、本発明の態様について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、同様または類似した機能を発揮する構成要素には全ての図面を通じて同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
図1は、本発明の一態様にかかる撮像装置の光学系について示した概略構成図である。多数の受光画素が周期的に形成された撮像素子10と、撮像レンズ11との間には、回折素子1が配置される。回折素子1は、回折格子として作用する固体化液晶層と、この固体化液晶層を支持する透明基板とを少なくとも有する。回折素子1は、ローパスフィルタとして所望の特性が得られる限り、任意に設置することができるが、固体化液晶層が撮像素子側となるよう、撮像素子の近傍に配することが好ましい。回折格子として作用する固体化液晶層と撮像素子との間隙を所定の値に調節しやすく、透明基板を保護層として利用しやすいためである。
図2は、本発明の一態様にかかる回折素子の部分を概略的に示す斜視図である。図示する回折素子1は、透明基板2と、この表面に形成された固体化液晶層3とを含んでいる。
透明基板2は、典型的には、ガラス板または樹脂板などの光透過性基板である。ガラス板の材料としては、例えば、ソーダ石灰ガラス、低アルカリ硼珪酸ガラスまたは無アルカリアルミノ硼珪酸ガラスを使用することができる。樹脂板の材料としては、例えば、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチルまたはポリエチレンテレフタレートを使用することができる。
透明基板2は、必ずしも硬質である必要はない。例えば、プラスチックフィルムなどの光透過性フィルムまたはプラスチックシートなどの光透過性シートを用いてもよい。
固体化液晶層3は、少なくとも液晶化合物を含む材料を用いて形成された連続膜であり、周期的に形成された第1の領域3aと第2の領域3iとを含む。第1の領域3aと第2の領域3iとの間には、第3の領域3mが配置される。図2に示す構造においては、第1の領域3aと第2の領域3iとは、第3の領域3mを介してストライプ状に配置されているが、これに限定されるものではない。後述するように、市松模様を構成するよう、第3の領域3mを介して第1の領域と第2の領域とを配置してもよい。
いずれの構成とする場合であっても、第1の領域3aは光学的に異方性であり、第2の領域3iは光学的に等方性である。また、これらの間に位置する第3の領域3mは、第1の領域と第2の領域との中間の状態である。異方性である領域(第1の領域)3aと等方性である領域(第2の領域)3iと中間状態である領域(第3の領域)3mとは、それぞれ膜面に対して法線方向から入射する光12にとっての見かけ上の屈折率、すなわち面内の平均屈折率がそれぞれ異なっている。
第2の領域3iの面内の平均屈折率niは、第1の領域3aの面内の平均屈折率naとは異なる。第3の領域3mは、niとnaとの間の値nmを面内の平均屈折率として有する。nmは、niとnaとのいずれか高い値以下、かついずれか低い値以上である。面内の平均屈折率がnmとなる単一の領域によって、中間領域としての第3の領域3mを構成することができる。
あるいは、第3の領域3mは、隣接した2以上の副領域から構成されてもよい。この場合、面内の平均屈折率は副領域毎に異なるが、いずれもniとnaとの間の値となる。さらに、第3の領域の面内の平均屈折率は、面内で連続的に変化してもよい。この場合、第1の領域との境界における面内の平均屈折率はnaと同一であり、第2の領域との境界における面内の平均屈折率はniと同一である。「同一」とは完全に一致する必要はなく、±10nm程度の違いは許容され、「略同一」の意味である。第3の領域の面内の平均屈折率は、第1の領域の面内の平均屈折率naと第2の領域の面内の平均屈折率niとの間で連続的に変化するということができる。
面内の平均屈折率が、第1乃至第3の領域毎に異なる一方、膜面の同一位置においては、光12のいかなる偏光成分であっても、あるいは光12がいかなる偏光状態であっても、見かけ上の屈折率は同一であることが好ましい。第1の領域3a、第2の領域3iおよび第3の領域3mの全ての領域において、つまり、固体化液晶層3全面にわたるいずれの領域も、面内方向においては略等方、言い換えれば面内複屈折率を実質的に有さないことが好ましい。なお、「実質的に有さない」とは、固体化液晶層3の膜厚dと面内屈折率Δnとの積で求められる面内位相差Δndが10nm未満である状態をさす。
すなわち、全面にわたって、厚み方向には異方性を有するものの、面内方向においては等方性であるということができる。言い換えると、同一位置においては、いかなる偏光状態でも見かけ上の屈折率が同一である。
上述したように、光学的に等方性である領域3iと、異方性である領域3aと、中間状態である領域3mとにおいては、面内の平均屈折率が異なる。面内の平均屈折率が相違することに起因して、固体化液晶層3に入射光12に対して両領域で位相差が生じる。こうした2つの領域が周期的に配されることによって、固体化液晶層3は位相型の回折格子として働く。
一方で、固体化液晶層3は全面にわたり実質的に面内複屈折率がゼロであるため、入射光12のうちいずれの偏光成分に対しても等価な光学特性を有することとなる。入射光12に対して両領域によって与えられる位相差は、当該光線の波長に対して略1/2である場合に、本実施形態の回折素子は最も高い特性が得られる。このため、当該1/2波長分の位相差を与えるように、固体化液晶層3の厚みを設定することが望まれる。一般的には、固体化液晶層3の厚みは1〜30μm程度である。
固体化液晶層3の光学的に異方性である領域3aは、等方性である領域3iと面内の平均屈折率が異なっていればどのような構造であっても構わない。図3〜図5には、その例を模式的に示す。図3〜5は、図2に示した回折素子のI−I線に沿った断面図に相当する。
図3において、固体化液晶層3に含有される液晶化合物は棒状液晶であり、異方性である領域3aでのメソゲンはホメオトロピック配向で固定化されている(case 1)。光学的に異方性である領域3aは、等方性である領域3iに比べ面内の平均屈折率が小さくなる。このため、入射光12の位相を進ませる働きをする。
第1の領域3aと第2の領域3iとの間には、第3の領域3mが存在する。この第3の領域3mにおいては、液晶化合物のメソゲンが第1の領域よりも配向の程度が低いホメオトロピック配向で固定化されている。この場合、第1乃至第3の領域の面内平均屈折率は、次の関係を満たす。
i≧nm≧na(ただしni>na
図4においては、固体化液晶層3に含有される液晶化合物は棒状であり、異方性である領域3aでのメソゲンはコレステリック配向で固定化されている(case 2)。光学的に異方性である領域3aは、等方性である領域3iに比べ面内の平均屈折率が大きくなるため入射光12の位相を遅らせる働きをする。
第1の領域3aと第2の領域3iとの間には、第3の領域3mが存在する。この第3の領域3mにおいては、液晶化合物のメソゲンが第1の領域よりも配向の程度が低いコレステリック配向で固定化されている。この場合、第1乃至第3の領域の面内平均屈折率は、次の関係を満たす。
a≧nm≧ni(ただしna>ni
図5においては、固体化液晶層3に含有される液晶化合物は円板状液晶であり、異方性である領域3aでのメソゲンは、ホメオトロピック配向で固定化されている(case 3)。光学的に異方性である領域3aは、等方性である領域3iに比べ面内の平均屈折率が大きくなるため入射光12の位相を遅らせる働きをする。
第1の領域3aと第2の領域3iとの間には、第3の領域3mが存在する。この第3の領域3mにおいては、液晶化合物のメソゲンが第1の領域よりも配向の程度が低いホメオトロピック配向で固定化されている。この場合、第1乃至第3の領域の面内平均屈折率は、次の関係を満たす。
a≧nm≧ni(ただしna>ni
本実施形態の回折素子においては、固体化液晶層に形成される周期的な構造は、必ずしも一次元形状である必要はない。むしろ、光学的に等方性である領域3iと異方性である領域3aとが中間領域3mを介して、市松模様状など二次元形状に配列していることが好ましい。この場合には、通常二次元状に受光素子が配列する撮像素子の構造に合致するためである。撮像素子の受光画素が上下左右方向に配列しているのに合わせて入射光12を分離できるよう、等方性である領域3iと異方性である領域3aとが中間領域3mを介して配置されてなる格子は、回折素子基板の上下左右方向に配列するよりも、略45°に傾いて配列している方がより好ましい。図6には、こうした配列の固体化液晶層3を有する回折素子の一形態を部分的に示す。
本実施形態の回折素子を、多数の受光画素が周期的に形成された撮像素子に好適なローパスフィルタとして用いる場合、光学的に等方性である領域3iと異方性である領域3aとを含む周期は20μm以上であることが好ましい。なお、「周期」とは、領域3aと領域3iとが繰り返し配置される方向における両領域一組の長さをさす。すなわち、図2に示したように2つの領域がストライプ状に配置されている場合、第1の領域3aの幅と第3の領域3mの幅と第2の領域3iの幅との合計を意味する。図6に示したように2つの領域が市松模様に配置されている場合には、第1の領域3aの一辺の長さと、第2の領域3iの一辺の長さと、これらの間の第3の領域3mの幅との合計を意味する。
撮像素子における受光画素のピッチは、通常、10μm以下の周期で形成されている。回折素子に設けられる領域の周期が20μm未満である場合には、こうした撮像素子の受光画素のピッチに対して光の分離幅が大きくなりすぎる。これに加えて、液晶化合物を含む材料を用いて、固体化液晶層3の等方性である領域3iと異方性である領域3aとを、領域3mで隔離しつつ確実に形成することが困難となる。
図7は、入射光12の分離の様子を示した断面図である。図示するように、入射光12が回折素子1を通過すると分離された回折光13が生じる。図8は、光の分離の様子を示す概略図である。回折素子1により入射光12が分離されると、分離された光点14が発生する。図8(a)には、等方性である領域3iと異方性である領域3aとからなる格子が上下左右方向に配列された場合について示し、図8(b)は、これら2つの領域が略45°に配列された場合について示す。
本発明の一形態にかかる回折素子は、固体化液晶層3の光学的に等方性である領域3iと異方性である領域3aと中間領域3mとで面内の平均屈折率が異なることにより、入射光12に対して両領域で位相差を設けようとするものである。等方性である領域3iと異方性である領域3aと中間領域3mとで膜厚を異ならせる必要はなく、すなわち固体化液晶層3は全面で均一な厚さとすることができる。もちろん、それぞれの領域毎に膜厚を異ならせてもよいが、撮像素子に格子の影を落とさないという観点からは、3つの領域の膜厚の差は極力小さいことが好ましく、膜厚の差がないことがより好ましい。
なお、本実施形態にかかる回折素子において、透明基板2の固体化液晶層3が形成されていない面(裏面)には、反射防止膜が形成されていてもよい。反射防止膜により基板表面における不要な反射光を低減し、本実施形態の回折素子を撮像装置に組み込んだ際、当該反射光が撮像装置内部でさらに乱反射を起こし、撮像素子上の画像の質を低下させることを抑えることができる。
さらに、固体化液晶層3の透明基板2とは反対側の面には、帯電防止膜を設けてもよい。帯電防止膜により、固体化液晶層3が電荷を帯びることを防止して、望まぬ異物の付着を抑えることができる。帯電防止膜は、固体化液晶層3上に例えば酸化インジウムスズ等の導電性薄膜を形成することにより得られる。
次に、固体化液晶層3の形成方法について説明する。
固体化液晶層3は、例えば、透明基板2上に、光重合性または光架橋性のサーモトロピック液晶材料を含んだ液晶材料層を形成し、この液晶材料層をパターン露光と熱処理とに供することによって得る。
液晶材料層は、例えば、透明基板2上に、サーモトロピック液晶化合物と溶剤とを含んだ液晶溶液を塗布し、必要に応じて塗膜を乾燥させることにより得られる。液晶材料層においては、サーモトロピック液晶化合物のメソゲンが所定の配向をなしている。
サーモトロピック液晶化合物としては、例えば、アルキルシアノビフェニル、アルコキシビフェニル、アルキルターフェニル、フェニルシクロヘキサン、ビフェニルシクロヘキサン、フェニルビシクロヘキサン、ピリミジン、シクロヘキサンカルボン酸エステル、ハロゲン化シアノフェノールエステル、アルキル安息香酸エステル、アルキルシアノトラン、ジアルコキシトラン、アルキルアルコキシトラン、アルキルシクロヘキシルトラン、アルキルビシクロヘキサン、シクロヘキシルフェニルエチレン、アルキルシクロヘキシルシクロヘキセン、アルキルベンズアルデヒドアジン、アルケニルベンズアルデヒドアジン、フェニルナフタレン、フェニルテトラヒドロナフタレン、フェニルデカヒドロナフタレン、トリフェニレン、ペンタエチニルベンゼン、ヒドロキシプロピルセルロース、アセナフトキノキサリン、インダンスロン、シアニンインダンスロン、ペリレンテトラカルボン酸ジベンゾイミダゾール、ナフトイレンベンゾイミダゾール、クロモグリク酸、メチルフェニルジアゼニルナフタレンスルホン酸、これらの誘導体、およびそれら化合物のアクリレート等を挙げることができる。液晶化合物は、単独でもしくは混合して用いることができる。
溶剤としては、例えば、シクロヘキサノン、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチルベンゼン、エチレングリコールジエチルエーテル、キシレン、エチルセロソルブ、メチル−n−アミルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、トルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルケトン、および石油系溶剤等が挙げられる。これらの溶剤もまた、単独でもしくは混合して用いることができる。
液晶溶液は、前述の成分に加え、例えば、キラル剤、樹脂、多官能モノマーおよび/またはオリゴマー、光重合開始剤、増感剤、熱重合開始剤、連鎖移動剤、界面活性剤、重合禁止剤、貯蔵安定剤、および密着向上剤などの成分を、この液晶化合物を含んだ組成物が液晶性を失わない範囲で加えることができる。
キラル剤は、光学活性な部位を有する低分子化合物であり、主として分子量1500以下の化合物が挙げられる。キラル剤は、ネマチック規則性を示す重合性の液晶材料が発現する正の一軸ネマチック規則性に、螺旋構造を誘起させる目的で用いられる。この目的が達成されれば、キラル剤の種類は特に限定されない。ネマチック規則性を示す重合性の液晶化合物との間で溶液状態あるいは溶融状態において相溶し、当該重合性液晶化合物の液晶性を損なうことなく、これに所望の螺旋構造を誘起できる任意の化合物を、キラル剤として用いることができる。
液晶に螺旋構造を誘起させるために用いられるので、キラル剤は、少なくとも分子中に何らかのキラリティーを有していることが必要である。したがって、ここで用いられるキラル剤としては、例えば、1つあるいは2つ以上の不斉炭素を有する化合物、キラルなアミンやキラルなスルフォキシドなどのようにヘテロ原子上に不斉点をもつ化合物、あるいはクムレンやビナフトールなどの軸不斉をもつ光学活性な部位を有する化合物が好ましい。具体的には、市販のキラルネマチック液晶(例えばPaliocolor LC756(BASF社製),キラルドーパント液晶S−811(Merck社製)等)が挙げられる。
キラル剤は、その螺旋構造の誘起力にもよるが、サーモトロピック液晶化合物に対して2重量部乃至30重量部程度の量で含有されていれば、その効果を得ることができる。
樹脂としては、熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂のいずれを用いてもよい。熱可塑性樹脂としては、例えば、ブチラール樹脂、スチレン−マレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリブタジエン、ポリエチレン、ポリプロピレン、およびポリイミド樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、およびフェノール樹脂等を使用することができる。
また、感光性樹脂を用いてもよい。感光性樹脂としては、水酸基、カルボキシル基、およびアミノ基などの反応性の置換基を有する線状高分子に、イソシアネート基、アルデヒド基、およびエポキシ基などの反応性置換基を有するアクリル化合物、メタクリル化合物、また桂皮酸を反応させて、アクリロイル基、メタクリロイル基、およびスチリル基などの光架橋性基を線状高分子に導入した樹脂を使用することができる。また、スチレン−無水マレイン酸共重合物およびα−オレフィン−無水マレイン酸共重合物などの酸無水物を含む線状高分子を、ヒドロキシアルキルアクリレートおよびヒドロキシアルキルメタクリレートなどの水酸基を有するアクリル化合物またはメタクリル化合物によりハーフエステル化した樹脂も使用することができる。
樹脂の前駆体であるモノマーおよび/またはオリゴマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、トリシクロデカニルアクリレート、トリシクロデカニルメタクリレート、メラミンアクリレート、メラミンメタクリレート、エポキシアクリレート、およびエポキシメタクリレート等の各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、アクリル酸、メタクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド、N−ヒドロキシメチルメタクリルアミド、およびアクリロニトリル等が挙げられる。こうした樹脂は、単独でまたは2種類以上混合して用いることができる。
液晶材料層を紫外線などの光を照射することによって硬化する場合、液晶溶液には例えば光重合開始剤を添加する。
光重合開始剤としては、例えば、以下の化合物を用いることができる。4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等のアセトフェノン系光重合開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系光重合開始剤、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン系光重合開始剤、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン系光重合開始剤、2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、2,4−トリクロロメチル(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン系光重合開始剤、ボレート系光重合開始剤、カルバゾール系光重合開始剤、およびイミダゾール系光重合開始剤等である。
光重合開始剤は、単独であるいは2種以上を混合して用いることができる。その含有量は、液晶溶液中の液晶性化合物100重量部に対して、0.1〜30重量部が好ましく、0.3〜10重量部がより好ましい。
光重合開始剤と共に増感剤を使用してもよい。増感剤としては、α−アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’−ジエチルイソフタロフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、および4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等の化合物を併用することができる。
増感剤は、光重合開始剤100重量部に対して、0.1〜60重量部の量で含有させることができる。
熱重合開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイル(BPO)、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート(PBO)、ジ−t−ブチルパーオキシド(PBD)、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート(PBI)、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)パラレート(PIIV)などの過酸化物開始剤;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1 カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)、2,2’−アゾビス(2−メチルブタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2,3−ジメチルブタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルヘキサン)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2,3,3−トリメチルブタン)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、3,3’−アゾビス(3−メチルペンタン)、3,3’−アゾビス(3−メチルヘキサン)、3,3’−アゾビス(3,4−ジメチルペンタン)、3,3’−アゾビス(3−エチルペンタン)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジエチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジ−tert−ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)などのアゾ系開始剤などを用いることができる。
熱重合開始剤は、単独であるいは2種以上を混合して用いることができる。その含有量は、液晶溶液中の液晶性化合物100重量部に対して、0.01〜5重量部が好ましい。
液晶溶液は、多官能チオールなどの連鎖移動剤をさらに含有していてもよい。
多官能チオールは、チオール基を2個以上有する化合物である。多官能チオールとしては、例えば、ヘキサンジチオール 、デカンジチオール 、1,4−ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4−ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4−ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6−トリメルカプト−s−トリアジン、および2−(N,N−ジブチルアミノ)−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン等が挙げられる。これらの多官能チオールは、単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
多官能チオールは、液晶溶液中の液晶性化合物100重量部に対して、0.2〜30重量部、好ましくは0.5〜15重量部の量で用いることができる。
界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、およびポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、およびポリエチレングリコールモノラウレートなどのノニオン性界面活性剤;アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物などのカオチン性界面活性剤、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン、およびアルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤が挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
重合禁止剤としては、例えば、以下の化合物を用いることができる。2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、3−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、2−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、スチレン化フェノール、スチレン化p−クレゾール、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、テトラキス〔メチレン−3−(3’,5’−ジ−1−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、オクタデシル 3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジ(α−メチルシクロヘキシル)−5,5’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾイル)イソシアヌレート、ビス〔2−メチル−4−(3−n−アルキルチオプロピオニルオキシ)−5−t−ブチルフェニル〕スルフィド、1−オキシ−3−メチル−イソプロピルベンゼン、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ノニルフェノール)、アルキル化ビスフェノール、2,5−ジ−t−アミルハイドロキノン、ポリブチル化ビスフェノールA、ビスフェノールA、2,6−ジ−t−ブチル−p−エチルフェノール、2,6−ビス(2’−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5’−メチル−ベンジル)−4−メチルフェノール、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、テレフタロイルージ(2,6−ジメチル−4−t−ブチル−3−ヒドロキシベンジルスルフィド)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−α−ジメチルアミノ−p−クレゾール、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、トルエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、ヘキサメチレングリコール−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリン)−2,4−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシナミド)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル−リン酸ジエチルエステル、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリス〔β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル−オキシエチル〕イソシアヌレート、2,4,6−トリブチルフェノール、ビス〔3,3−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)−ブチリックアシッド〕グリコールエステル、4−ヒドロキシメチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルベンジル)サルファイド等のフェノール系禁止剤である。また、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合物、およびジアリール−p−フェニレンジアミン等のアミン系禁止剤;ジラウリル・チオジプロピオネート、ジステアリル・チオジプロピオネート、および2−メルカプトベンズイミダノール等の硫黄系禁止剤;ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト等のリン系禁止剤などを使用してもよい。
液晶溶液には、その粘度の経時的安定性を高めるために貯蔵安定剤を添加してもよい。貯蔵安定剤としては、例えば、ベンジルトリメチルクロライド;ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド;乳酸およびシュウ酸などの有機酸;その有機酸のメチルエーテル;t−ブチルピロカテコール;テトラエチルホスフィンおよびテトラフェニルフォスフィンなどの有機ホスフィン;亜リン酸塩;またはそれらの2種以上を含んだ混合物を使用することができる。
液晶溶液には、基板との密着性を高めるために、シランカップリング剤などの密着向上剤を添加してもよい。
シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどのビニルシラン類;γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどのアクリルシラン類およびメタクリルシラン類;β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、およびγ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどのエポキシシラン類;N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、およびN−フェニル−γ−アミノなどのアミノシラン類;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランおよびγ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン類;またはそれらの2種以上を含んだ混合物が挙げられる。
シランカップリング剤は、液晶溶液において、サーモトロピック液晶100質量部に対して、例えば0.01乃至100質量部の量で含有させる。
上述したようなサーモトロピック液晶化合物、溶剤、および必要に応じて他の添加剤を含有する液晶溶液を用いて、固体化液晶層が形成される。液晶溶液の塗布には、例えば、スピンコート法、スリットコート法、凸版印刷法、スクリーン印刷、平版印刷、反転印刷、およびグラビア印刷などの印刷法;これらの印刷法にオフセット方式を組み合わせた方法;インキジェット法;またはバーコート法等を利用することができる。
液晶溶液の塗布に先立って、透明基板の表面に、ラビングなどの配向処理を施してもよい。あるいは、液晶溶液の塗布に先立って、透明基板上に、液晶化合物の配向を規制する配向膜を形成してもよい。この配向膜は、例えば、透明基板上にポリイミドなどの透明樹脂層を形成し、この透明樹脂層にラビングなどの配向処理を施すことにより得られる。この配向膜は、光配向技術を利用して形成してもよい。
液晶材料層は、例えば、均一な厚さを有している連続膜として形成する。上述した方法によれば、塗布面が十分に平坦である限り、液晶材料層を均一な厚さを有している連続膜として形成することができる。得られる液晶材料層においては、サーモトロピック液晶化合物のメソゲンが所定の配向構造をなしている。
「所定の配向」とは、面内複屈折率を生じない配向であれば、いかなる配向であってもよい。例えば、サーモトロピック液晶化合物が棒状液晶であって、そのメソゲンの長軸を液晶材料層の法線方向に向けたホメオトロピック配向とすることができる(case 1)。棒状のサーモトロピック液晶化合物とともに液晶材料層中にキラル剤が存在する場合には、そのメソゲンが螺旋状に配向したコレステリック配向とすることができる(case 2)。あるいは、サーモトロピック液晶化合物が円板状液晶であって、そのメソゲンの円板面の法線方向が液晶材料層の法線方向に平行になるように並んだホメオトロピック配向とすることができる(case 3)。
液晶化合物のメソゲンが所定の配向構造をなしている液晶材料層に対しては、所定のパターンで露光を行なう。露光部においては、異なる露光条件で少なくとも2つの領域に光を照射する。露光条件が異なるとは、露光時間、照度、輝度等、あるいはこれらの組み合わせが相違していることをさす。通常、それぞれの領域に対応して異なる照射エネルギー、すなわち異なる露光量となるように露光工程は行なわれる。材料によっては相反則不軌の性質がみられるので、その場合には必ずしも露光量を異ならせる必要はない。例えば、ある領域には高照度で短時間の露光を行ない、別の領域には低照度で長時間の露光を行なう。このように、結果として双方の露光量(照度×露光時間)が同じであってもよい。
以下、領域によって露光量を異ならせる場合を例に挙げて説明する。
例えば、液晶材料層のうち第1の領域3aに対応した領域には、最大の露光量で光を照射する。液晶材料層のうち第3の領域3mに対応した領域には、第1の領域3aに対応した領域と比較して、より小さな露光量で光を照射する。そして、例えば、液晶材料層のうち第2の領域3iに対応した領域には光を照射しない。これにより、液晶材料層の光を照射した部分で、メソゲンが形成している配向状態を維持させたまま、サーモトロピック液晶化合物の重合または架橋を生じさせる。
サーモトロピック液晶化合物の重合または架橋生成物では、そのメソゲン基は固定化されている。露光量が最大の領域では、サーモトロピック液晶化合物の重合または架橋生成物の含有率が最大(Pmax)となり、未重合および未架橋のサーモトロピック液晶化合物の含有率が最少となる。露光量が小さくなるほど、重合または架橋生成物の含有率はより低くなり、未重合および未架橋のサーモトロピック液晶化合物の含有率はより高くなる。
したがって、露光量がより大きな領域では、メソゲンはより高い割合で固定化され、露光量がより小さな領域では、メソゲンはより低い割合で固定化される。そして、露光量がゼロの領域では、メソゲンは固定化されない。
具体的には、棒状液晶がホメオトロピック配向している(case 1)の場合、当該液晶の長軸方向の屈折率をne・短軸方向の屈折率をnoとすると、液晶材料層において、パターン露光工程で光を照射された異方性である領域の面内平均屈折率naはおおよそnoに等しく、光が照射されなかった等方性である領域の面内平均屈折率niはおおよそ{(ne+2×no)/3}に等しくなる。したがって、棒状液晶は通常ne>noであるから、ni>naとなる。第3の領域の面内平均屈折率nmは、ni≧nm≧naとなる。
棒状液晶がコレステリック配向している(case 2)の場合であれば、液晶材料層において、naはおおよそ{(ne+no)/2}に等しく、niはおおよそ{(ne+2×no)/3}に等しくなる。上述したように、棒状液晶は通常ne>noであるから、na>niとなる。第3の領域の面内平均屈折率nmは、na≧nm≧niとなる。
さらに、円板状液晶がホメオトロピック配向している(case 3)の場合には、当該液晶の円板面の法線方向の屈折率をne・円板面内方向の屈折率をnoとすると、液晶材料層において、パターン露光工程で光を照射された異方性である領域の面内平均屈折率naはおおよそnoに等しく、光が照射されなかった等方性である領域の面内平均屈折率niはおおよそ{(ne+2×no)/3}に等しくなる。円板状液晶は通常no>neであるから、na>niとなる。第3の領域の面内平均屈折率nmは、na≧nm≧niとなる。
パターン露光に使用する光は、紫外線、可視光線および赤外線などの電磁波である。電磁波の代わりに、電子線、エックス線、よびガンマ線等の放射線を使用してもよい。それらの1つのみをパターン露光に使用してもよく、2つ以上を用いてパターン露光を行なうこともできる。
パターン露光工程は、上述した不均一な重合または架橋を生じさせることができれば、どのような方法で行なってもよい。例えば、この露光工程では、フォトマスクを用いた露光を複数回行なってもよい。あるいは、この露光工程では、ハーフトーンマスク、グレイトーンマスクまたは波長制限マスクを用いた露光を行なってもよい。フォトマスクを使用する代わりに、光束を液晶材料層上で走査させてもよい。さらに、これらを組み合わせることもできる。
第3の領域は、反応生成物の含有量の異なる少なくとも2つの領域により形成されるように、露光を行なうことができる。この場合、液晶材料層の3つ以上の領域において、露光条件、例えば露光量が異なるように光を照射する。具体的には、第1の領域3aに対応した領域に、最大の露光量で光を照射する。第3の領域3mに対応した領域のうち、反応生成物の含有量がより少ない副領域を得るにはより少ない露光量で光を照射する。第3の領域3mに対応した領域のうち、反応生成物の含有量がPmaxより少ないが前記副領域よりは多い副領域を得るには、最大の露光量以下であって前記露光量以上となるように光を照射する。
あるいは、第1の領域3aとの境界と第2の領域3iとの境界との間で、反応生成物の含有量がPmaxからゼロまで連続的に変化した第3の領域3mが形成されるように、露光を行なってもよい。こうした露光は、例えば、フォトマスクと液晶材料層との距離を大きくして前記フォトマスクの像を意図的にぼかす方法、透過率が最大からゼロまで連続して変化する領域を有するハーフトーンマスクを使用する方法などにより達成することができる。あるいは、露光光そのものを干渉させることによって、達成することもできる。具体的には、ハーフミラーを用いて光路長および方向を変化させつつ露光を行なって、干渉縞を形成すればよい。
反応生成物の含有率は、第1の領域3a、第3の領域3m、および第2の領域3iにわたって、正弦波的に変化してもよい。この場合には、高次の回折光を制御できる点で有利となる。
パターン露光工程が完了した後、現像工程を行なう。すなわち、液晶材料層を、サーモトロピック液晶化合物が液晶相から等方相へと変化する相転移温度と等しい温度以上に加熱する。
未反応化合物であるサーモトロピック液晶化合物のメソゲン部位は固定されていない。それゆえ、液晶材料層を相転移温度以上に加熱すると、未反応化合物のメソゲンの配向が低下する。例えば、未反応化合物のメソゲンは、液晶相から等方相へと変化する。他方、サーモトロピック液晶化合物の重合または架橋生成物では、メソゲンは固定されている。したがって、光が照射された領域では、液晶化合物の配向に変化は生じず、いわば露光パターンに応じた配向の領域が現像される。
なお、反応生成物および未反応のサーモトロピック液晶化合物を含む領域(第3の領域)では、ここでの加熱によって、未反応のサーモトロピック液晶化合物のメソゲンの配向が乱されるので、配向が低下することになる。
領域毎に異なる配向の状態が達成された後には、未反応のメソゲンについて配向の状態を維持したまま、未反応化合物を重合および/または架橋させる。例えば、サーモトロピック液晶化合物が等方相から液晶層へと変化する相転移温度よりも高い温度に液晶材料層を維持したまま、液晶材料層全体に光を照射する。
液晶材料層には、未反応化合物のほぼ全てが重合および/または架橋反応を生じるのに十分な露光量で光を照射する。これによって、未反応化合物の重合または架橋を生じさせ、配向の状態を変化させたメソゲンを固定化してパターンを定着する。なお、反応生成物および未反応のサーモトロピック液晶化合物を含む領域(第3の領域)では、配向が低下したまま未反応化合物が重合および/または架橋する。その結果、等方相の領域と異方相の領域とが、中間領域を介して所定のパターンで形成された固体化液晶層、すなわち位相差の回折格子が得られる。
なお、ある液晶化合物は、等方相から液晶相へと変化する第1相転移温度が、液晶相から等方相へと変化する第2相転移温度と比較してより低い。それゆえ、特定の場合には、光による定着時における液晶材料層の温度は、現像工程の加熱温度と比較してより低くてもよい。ただし、通常は、簡便性の観点で、光による定着時における液晶材料層の温度は、第1相転移温度以上とする。
未反応化合物の重合および/または架橋は、他の方法で行なってもよい。
例えば、未反応化合物、すなわちサーモトロピック液晶化合物が第1相転移温度よりも高い重合および/または架橋温度に加熱することによって重合および/または架橋する材料である場合、光照射による定着の代わりに、加熱による定着を行なってもよい。具体的には、光による定着工程の代わりに、液晶材料層を重合および/または架橋温度以上に加熱して、未反応化合物を重合および/または架橋させる。これにより、固体化液晶層を得る。なお、現像工程における加熱温度は、例えば、第1相転移温度以上であり且つ重合および/または架橋温度未満とする。
この場合は、連続する2つの加熱工程において、まず、光が照射されなかった領域は等方相に転移して実質的に無配向状態になる。こうした状態は、第2の領域3iとなる。光が十分に照射された領域は、加熱によっても所定の配向は乱されずに維持され、第1の領域3aとなる。第3の領域には、第2の領域より少ないが第1の領域より多い量で、未反応化合物が含有される。第2の領域および第3の領域においては、各々その状態を概ね保ったまま重合および/または架橋が進行する。その結果、パターンが定着されて位相型の回折格子が得られる。
あるいは、現像工程の後に、加熱による定着工程と光による定着工程とを順次行なってもよい。あるいは、現像工程の後に、光による定着工程と加熱による定着工程とを順次行なってもよい。さらに、現像工程の後に、加熱による定着工程と光による定着工程と加熱による定着工程とを順次行なうこともできる。このように光による定着工程と加熱による定着工程とを組み合わせると、未反応化合物の重合および/または架橋をより確実に進行させることができる。それゆえ、より強固な位相型の回折格子を得ることができる。
なお、本実施形態にかかる位相型回折素子においては、透明基板の固体化液晶層が形成されていない面(裏面)には、反射防止膜が形成されていてもよい。反射防止膜は、例えば、特許第3490214号、特許第3965732号、および特許第4051740号などに記載の手法により、透明基板の裏面に形成することができる。反射防止膜の形成は、固体化液晶層を形成する後に行なってもよいが、固体化液晶層が反射防止膜の形成工程によってダメージを受けるおそれがある場合は、固体化液晶層を形成する前に行なうことが望まれる。
また、本発明の位相型回折素子には、透明基板に固体化液晶層を形成した後に、固体化液晶層の透明基板とは反対側の表面に、帯電防止膜を形成してもよい。帯電防止膜は、例えば酸化インジウムスズ等の透明導電膜を、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等によって固体化液晶層上に積層することによって得ることができる。
以上、本発明によると、高品質の位相型回折素子を、比較的容易かつ安定的に得ることができる。
更なる利益および変形は、当業者には容易である。それゆえ、本発明は、そのより広い側面において、ここに記載された特定の記載や代表的な態様に限定されるべきではない。従って、添付の請求の範囲およびその等価物によって規定される本発明の包括的概念の真意または範囲から逸脱しない範囲内で、様々な変形が可能である。
10…撮像素子; 11…撮像レンズ; 1…回折素子; 2…透明基板
3…固体化液晶層; 3a…光学的に異方性の領域; 3i…光学的に等方性の領域
12…入射光; 13…回折光; 14…分離された光点。

Claims (28)

  1. 表面および裏面を有する透明基板と、
    前記透明基板の表面に設けられ、少なくとも液晶化合物を含む連続膜からなる固体化液晶層とを具備し、
    前記固体化液晶層は、周期的に形成された第1の領域、第2の領域、およびこれらの間の第3の領域から構成され、
    前記第1の領域は光学的に異方性であり、前記第2の領域は光学的に等方性であり、
    前記第3の領域は、光学的に等方性でないが前記液晶化合物のメソゲンの配向の程度が前記第1の領域より低く、
    前記第2の領域の面内の平均屈折率niと前記第1の領域の面内の平均屈折率naとは異なり、前記第3の領域は、前記niとnaとの間の値nmを面内の平均屈折率として有することを特徴とする位相型回折素子。
  2. 前記固体化液晶層は、全面にわたり面内複屈折率を有していないことを特徴とする請求項1に記載の位相型回折素子。
  3. 前記第3の領域は隣接して配置された2以上の副領域からなり、面内の平均屈折率は前記副領域毎に異なることを特徴とする請求項1または2に記載の位相型回折素子。
  4. 前記第3の領域の面内の平均屈折率は、
    前記第1の領域との境界ではnaと同一であり、
    前記第2の領域との境界ではniと同一であり、
    前記2つの境界の間で連続的に変化していることを特徴とする請求項1または2に記載の位相型回折素子。
  5. 前記液晶化合物は棒状液晶であり、前記固体化液晶層における前記第1の領域は、前記液晶化合物のメソゲンがホメオトロピック配向の状態で固定化され、
    前記第3領域は、前記液晶化合物のメソゲンが前記第1の領域よりも配向の程度が低いホメオトロピック配向で固定化され、
    前記第1の領域の面内平均屈折率na、前記第2の領域の面内平均屈折率ni、および前記第3の領域の面内平均屈折率nmは、以下の関係を満たすことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の位相型回折素子。
    i≧nm≧na(ただしni>na
  6. 前記液晶化合物は棒状液晶であり、前記固体化液晶層における前記第1の領域は、前記液晶化合物のメソゲンがコレステリック配向の状態で固定化され、
    前記第3の領域は、前記第1の領域よりも配向の程度が低いコレステリック配向で固定化され、
    前記第1の領域の面内平均屈折率na、前記第2の領域の面内平均屈折率ni、および前記第3の領域の面内平均屈折率nmは、以下の関係を満たすことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の位相型回折素子。
    a≧nm≧ni(ただしna>ni
  7. 前記液晶化合物は円板状液晶であり、前記固体化液晶層にける前記第1の領域は、前記液晶化合物のメソゲンがホメオトロピック配向の状態で固定化され、
    前記第3の間領域は、前記第1の領域よりも配向の程度が低いホメオトロピック配向で固定化され、
    前記第1の領域の面内平均屈折率na、前記第2の領域の面内平均屈折率ni、および前記第3の領域の面内平均屈折率nmは、以下の関係を満たすことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の位相型回折素子。
    a≧nm≧ni(ただしna>ni
  8. 前記第3の領域を介した前記第1の領域と前記第2の領域とによって形成される周期は、20μm以上であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の位相型回折素子。
  9. 前記周期的に形成された第1の領域および第2の領域は、市松模様を構成していることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の位相型回折素子。
  10. 前記固体化液晶層の厚さは、全面にわたって均一であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の位相型回折素子。
  11. 前記透明基板の前記裏面に反射防止膜を具備することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の位相型回折素子。
  12. 前記固体化液晶層の前記透明基板とは反対の面に、帯電防止膜を有することを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の位相型回折素子。
  13. 前記帯電防止膜は、酸化インジウムスズであることを特徴とする請求項12に記載の位相型回折素子。
  14. 少なくとも、多数の受光画素が周期的に形成された撮像素子を有し、
    請求項1乃至13のいずれか1項に記載の位相型回折素子をローパスフィルタとして用いてなる撮像装置。
  15. 透明基板の表面上に直接あるいは他の層を介して固体化液晶層を形成することを含み、前記固体化液晶層の形成は、
    前記透明基板上に、光重合性または光架橋性のサーモトロピック液晶化合物を含み、前記サーモトロピック液晶化合物のメソゲンが所定の配向構造をなしている液晶材料層を形成する成膜工程と、
    未露光部を残しつつ、前記液晶材料層の少なくとも2つの領域に異なる条件で光を照射し、前記液晶材料層中に、前記サーモトロピック液晶化合物が重合または架橋した反応生成物を含有率Pmaxで含む第1領域と、前記反応生成物を含まず未反応の前記サーモトロピック液晶化合物を含む第2領域と、前記反応生成物および未反応の前記サーモトロピック液晶化合物を含み、前記反応生成物の含有率がP(P<Pmax)である第3領域とを形成する露光工程と、
    その後、前記サーモトロピック液晶化合物が液晶相から等方相へと変化する相転移温度と等しい温度以上に前記液晶材料層を加熱して、前記第2領域および第3領域における未反応の前記サーモトロピック液晶化合物のメソゲンの配向を乱し、第2領域においては等方相の状態にするとともに、第3領域においては全体としてメソゲンの配向が低下した状態にする現像工程と、
    前記第2領域が等方相である状態を維持するとともに、第3領域においては配向を低下させたまま前記未反応化合物を重合および/または架橋させる定着工程と
    を具備することを特徴とする位相型回折素子の製造方法。
  16. 前記露光工程において、前記反応生成物の含有率が異なる少なくとも2つの副領域により前記第3領域が形成されるように露光が行なわれることを特徴とする請求項15に記載の製造方法。
  17. 前記露光工程において、前記第1の領域との境界と前記第第2の領域との境界との間で、前記反応生成物の含有率がPmaxとゼロとの間で連続的に変化した第3領域が形成されるように露光が行なわれることを特徴とする請求項15に記載の製造方法。
  18. 前記サーモトロピック液晶化合物は棒状液晶を含み、前記液晶材料層における前記メソゲンの所定の配向構造はホメオトロピック配向であることを特徴とする請求項15乃至17のいずれか1項に記載の製造方法。
  19. 前記サーモトロピック液晶化合物は棒状液晶を含み、前記液晶材料層はキラル剤をさらに含有し、前記メソゲンの所定の配向構造はコレステリック配向であることを特徴とする請求項15乃至17のいずれか1項に記載の製造方法。
  20. 前記サーモトロピック液晶化合物は円盤状液晶を含み、前記液晶材料層における前記メソゲンの所定の配向構造はホメオトロピック配向であることを特徴とする請求項15乃至17のいずれか1項に記載の製造方法。
  21. 前記定着工程における前記サーモトロピック液晶化合物の前記重合および/または架橋は、光照射によって誘起することを特徴とする請求項15乃至20のいずれか1項に記載の製造方法。
  22. 前記サーモトロピック液晶化合物は、前記相転移温度よりも高い重合および/または架橋温度に加熱することによって重合および/また架橋する材料であり、
    前記現像工程において、前記重合および/または架橋温度未満であって前記相転移温度以上の温度に前記液晶材料層を加熱することにより前記メソゲンの配向を乱し、
    前記定着工程において、前記液晶材料層を前記重合および/または架橋温度以上の温度に加熱することにより、前記未重合および未架橋のサーモトロピック液晶化合物を重合および/または架橋させることを特徴とする請求項15乃至21のいずれか1項に記載の製造方法。
  23. 前記定着工程において加熱する温度は、200℃以上であることを特徴とする請求項22に記載の製造方法。
  24. 前記液晶材料層を均一な厚さを有している連続膜として形成することを特徴とする請求項15乃至23いずれか1項に記載の製造方法。
  25. 前記固体化液晶層を形成する前に、前記透明基板の表面上に配向膜を形成する工程をさらに具備することを特徴とする請求項15乃至24のいずれか1項に記載の製造方法。
  26. 前記成膜工程の前に、前記透明基板の裏面に反射防止膜を形成する工程をさらに具備することを特徴とする請求項15乃至25のいずれか1項に記載の製造方法。
  27. 前記定着工程後の前記固体化液晶層の上に、帯電防止膜を形成する工程をさらに具備することを特徴とする請求項15乃至26のいずれか1項に記載の製造方法。
  28. 前記帯電防止膜の形成は、酸化インジウムスズの薄層を形成することによって行なわれることを特徴とする請求項27に記載の製造方法。
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