JP4122747B2 - ホログラム回折格子素子およびその製造方法 - Google Patents

ホログラム回折格子素子およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ホログラム回折格子素子およびその製造方法に関し、特には偏光分離素子として好適に用いることができるホログラム回折格子素子とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、液晶パネル(液晶ライトバルブ)を光スイッチング素子として利用した投射型ディスプレイ、いわゆる液晶プロジェクタの商品化が進んでいる。このうち特に、解像度や光利用効率に優れた反射型液晶パネル(すなわち反射型液晶ライトバルブ)を用いた反射型プロジェクタの開発が活発化している。この反射型液晶プロジェクタにおいては、反射型液晶ライトバルブが偏光変換素子として作用するため、その光学系には偏光ビームスプリッター(以下PBS)などの偏光分離素子が必須となる。
【0003】
ところが、通常、偏光分離素子として用いられているPBSは、全可視域にわたる消光比が必ずしも十分ではなく、しかもガラスの立方体であるためバルキーで重いという難点がある。そこで、光重合相分離を用いたホログラフィック高分子分散型液晶素子(Holographic Polymer Dispersed Liquid Crystals、以下H−PDLC)を応用したホログラム回折格子を偏光分離素子として用いることが提案されている。
【0004】
このH−PDLCは、図8(1)に示すように、非重合性液晶101(以下、液晶)と等方相しか示さない光重合性モノマー102との混合相からなるホログラム記録材料層103に、ホログラム回折格子を露光記録(パターン露光)することによって形成される。そして、パターン露光の際に生じる光重合相分離により、図8(2)に示すように、液晶(101)を殆ど含まない高分子過多層105と、液晶が析出したドロプレット106が高分子中に分散された状態の液晶過多層107とからなる多層構造が構成され、液晶過多層107と高分子過多層105との屈折率差により、ある角度より入射した特定波長の光を回折させる回折格子として構成されるのである。
【0005】
この方法により作製したH−PDLC素子は、薄い透明基板間にホログラム記録材料を挟み込んだ簡単な構造であるため、PBSに比較して非常に薄くて軽い。また、露光記録する回折格子により回折させる波長、角度などが任意に制御できる特徴も兼ね備えている。さらに、ホログラム記録材料と透明基板の屈折率を一致させることにより、回折光、非回折光ともにほとんどロスのない明るい光学素子となる。
【0006】
このようなH−PDLC素子においては、ある種の光重合性モノマーと液晶との組み合わせを用いることにより、液晶過多層107内で液晶が回折格子の層構造に対してある角度を持って(例えば液晶分子長軸が垂直もしくは平行など)配列するという現象が起こる。
【0007】
そして、液晶分子長軸が回折格子層に対して垂直に配列している場合には、回折格子層に対して垂直な面内で傾いた方向からの入射光のうち、その傾斜面と平行な偏光(P偏光)は、液晶の異常光屈折率と高分子過多層の屈折率の差により回折が起こる。また、この場合、上記傾斜面に対して垂直な偏光(S偏光)は、液晶の常光屈折率と高分子過多層の屈折率の差により回折が起こる。一方、液晶分子長軸が回折格子層に対して平行に配列している場合は、この逆の回折現象が生じる。
【0008】
したがって、液晶の異常光屈折率または常光屈折率のいずれか一方と、高分子過多層の屈折率とを一致させれば、一方の偏光に対して回折は起こらず、P偏光とS偏光によりコントラスト比の高い偏光分離を実現できる。この場合、実効的な液晶の常光屈折率と異常光屈折率との差、つまり光学的異方性の大きい方が回折格子の屈折率変調が大きくなり、ひいては偏光分離度が高くなるため、このホログラム回折格子における光学的異方性の大きさ(複屈折)がH−PDLC素子の偏光分離度を決定する重要な要素となる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、H−PDLC素子においては、光重合性モノマーと液晶とを適宜選択して組み合わせることにより、液晶過多層内の液晶を回折格子に対して配列させることができるとはいえ、その複屈折は液晶材料固有の値に対して数パーセントから数十パーセントと非常に小さく、実現できるP偏光とS偏光の回折効率の比つまり偏光分離度は不十分であった。
【0010】
これは、光重合性モノマーが重合する際、液晶過多層において高分子中の微小な球形空孔にドロップレット状に液晶が閉じ込められ、その閉じこめられた壁面に対して液晶が揃うため一様な液晶配向とならず、実効的な複屈折が、液晶の材料に固有の値に対して小さくなってしまうためである。(参考”Liquid Crystal Dispersions”, Paul S. Drzaic, World Scientific Publishing Co.)
【0011】
また、このような液晶の配向を示す光重合性モノマーと液晶との組み合わせは非常に限られており、光重合性モノマーの屈折率と液晶モノマーの屈折率と一致させる場合に、光重合性モノマーの選択肢がほとんどない点も問題であった。
【0012】
そこで本発明は、コントラスト比の高い偏光分離素子として用いることが可能なホログラム回折格子素子およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決するための本発明のホログラム回折格子素子は、光学的異方性を有するパターンを所定周期で配列してなるホログラム回折格子素子において、前記パターンが、単一相で構成され、かつその内部において液晶相を示す分子構造部分が同一方向に配向していることを特徴としている。
【0014】
このような構成のホログラム回折格子素子では、所定周期で配列形成されたパターンが同一相で構成されているため、このパターン内で同一方向に配向している分子構造部分は、パターンの側壁に沿って配向することになる。このため、パターン内においてドロップレット状に分散された相分離部分内で液晶分子が配向している場合と比較し、パターン全体においての液晶相を示す分子構造部分の配向状態が良好になり、パターンにおける光学的異方性(複屈折)がより大きくなる。
【0015】
また、本発明のホログラム回折格子素子の第1の製造方法は、先ず、光重合性液晶モノマーを含有する組成物層を形成し、次いで組成物層に対してパターン露光を行うことにより当該光重合性液晶モノマーを重合させてなる前記パターンを形成する。この際、光重合性液晶モノマーを配向させた状態でパターン露光を行う。このパターン露光は、干渉波形を用いて行っても良い。
【0016】
さらに本発明のホログラム回折格子素子の第2の製造方法は、先ず、液晶モノマーを含有する組成物層を形成し、次いで液晶モノマーを配向させた状態で当該液晶モノマーを重合させることによって組成物層を硬化させる。そして、硬化させた組成物層を、パターニングすることによって前記パターンを形成する。
【0017】
このような第1および第2の製造方法では、液晶モノマー(光重合成モノマー)を配向させた状態で重合させているため、これらの液晶モノマーは、露光部内、つまりパターン内において相分離することなく、配向状態を保ったまま重合されるため、重合によって形成されたパターン内においては液晶相を示す分子構造部分が良好な配向状態に保たれる。このため、光学的異方性(複屈折)が大きいパターンで構成されたホログラム回折格子素子が得られる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のホログラム回折格子素子およびその製造方法の実施の形態を説明する。
【0019】
<ホログラム回折格子素子>
図1は、本発明のホログラム回折格子素子を概念的に示す断面概略構成図である。
【0020】
この図に示すホログラム回折格子素子1は、偏光分離素子として用いることを目的するものであり、光学的異方性を有するパターン3を所定周期で配列形成してなる。このパターン3間には、光学的等方性を有する材料が充填された等方性材料層5が配置されている。
【0021】
パターン3は、単一相として構成されており、この内部において液晶相を示す分子構造部分(以下液晶コア部と記す)7が同一方向に配向しており、配向した状態で固定されていることとする。ここで液晶コア部7とは、単一相で構成されたパターン3内において、光学的異方性を示す骨格部分であることとする。また、単一相で構成されたパターン3内においては、液晶コア部7が同一方向に配向していれば、液晶コア部7のみが連続して結合することで固定されて単一相からなるパターン3が構成されていても良く、また液晶コア部7間に他の分子が挟まれる状態で結合することで固定されて単一相からなるパターンが構成されていても良い。ただし、パターン3内には、液晶相が示される程度に十分な配合比で液晶コア部7が含有されていることとする。
【0022】
尚、液晶コア部7の配向方向は、パターン3の配列方向に対して垂直または平行であることとする。
【0023】
このようなパターン3は、可視光領域の光(概ね波長400nm〜700nm)を偏光分離することを目的として、その波長と同程度の周期pで配置されていることとする。そして、このパターン3の周期p方向の幅は、周期pの半分程度であることとするが、これに限定されることはない。また、パターン3の高さhは数μmから10μm程度であり、長さ(図面奥行き方向)は所望の長さに設定されることとする。
【0024】
そして、パターン3間に配置される等方性材料層5は、光学的等方性を示していれば良く、好ましくは液晶コア部7の異常光屈折率または常光屈折率のいずれか一方と、略同一の屈折率を有していることとする。また、この等方性材料層5に光学的異方性を示す分子構造(例えば液晶分子構造部分)が含有されていたとしても、これらの構造分子が配向状態に無ければ良い。
【0025】
このようなホログラム回折格子素子1は、ここでの図示を省略した基板上に形成されていても良く、また対向配置された基板間に挟持されていても良い。
【0026】
このような構成のホログラム回折格子素子1では、所定周期pで配列形成されたパターン3が同一相で構成されているため、このパターン3内で同一方向に配向している液晶コア部7は、パターン3の側壁に沿って配向することになる。このため、例えばパターン内においてドロップレット状に分散された相分離部分内で液晶分子が配向している場合と比較し、パターン3全体においての液晶コア部7の配向状態が良好になり、パターン3における光学的異方性(複屈折)がより大きくなる。したがって、このホログラム回折格子素子1は、屈折率変調が大きい、すなわち偏光分離度が十分に高いものとなる。
【0027】
尚、パターン3間には、必ずしも上述した等方性材料層5が設けられている必要はなく、パターン3間に大気やその他の気体が充填されていても良い。この場合、パターン3とその間の部分との屈折率差が大きく回折効率の良好なホログラム回折格子素子が得られる。尚、偏光分離度を決めるP波およびS波に対するパターン3と等方性材料層5との屈折率差による回折効率は、H.kogelnik,Bell Syst.Tech.J.,48,2909(1969)に記述されるCoupled wave theoryにより精度良く計算することができる。
【0028】
<ホログラム回折格子素子の製造方法−1>
次に、このようなホログラム回折格子素子の製造方法の実施形態を、図2および必要に応じて他の図を用いて説明する。
【0029】
先ず、図2(1)に示すように、1対の透明基板11,12の表面に、必要に応じて透明材料からなる配向膜13をそれぞれ形成する。配向膜13は、一般的に液晶配向に用いられている高分子ラビング膜や、一酸化珪素、二酸化珪素などの斜方蒸着膜であることとする。そして、一方の透明基板11の配向膜13上に球状のスペーサー14を散布し、他方の透明基板12の配向膜13上に光重合性液晶モノマー21を含有する光重合性混合材料を滴下する。
【0030】
次いで、配向膜13の溝が平行または反平行となるように透明基板11,12を対向配置し、その周縁部を接着剤15で封止する。これにより、スペーサー14によって決められた膜厚を有する組成物層23を形成する。
【0031】
この組成物層23には、「光重合性液晶モノマー21」の他に、必要に応じて「非重合性材料」や、液晶モノマー以外の「他の重合性モノマー」が含有されていることとする。さらにこの組成物層23には、含有されている「光重合性液晶モノマー」や「他の重合性モノマー」に応じた、重合開始剤および光重合増感剤などの「添加剤」も含有されていることとする。
【0032】
このため、組成物層23の構成は、次のような各材料の組み合わせ▲1▼〜▲3▼に大きく類別される。
▲1▼「光重合性液晶モノマー21」+「非重合性材料」+「添加剤」
▲2▼「光重合性液晶モノマー21」+「他の重合性モノマー」+「添加剤」
▲3▼「光重合性液晶モノマー21」+「添加剤」
尚、これらの組み合わせ▲1▼〜▲3▼で構成される組成物層23内には、液晶相が示される程度に十分な配合比で光重合液晶モノマー21が含有されていることとする。ただし、以降に説明するように、光重合液晶モノマー21の重合過程において相分離が生じる場合には、光重合性液晶モノマー21の重合部分において液晶相が示されれば良い。
【0033】
ここで、「光重合性液晶モノマー21」としては、シッフ塩基系、アゾ及びアゾキシ系、ビフェニル系、ターフェニル系、エステル系、シクロヘキサン環系、複素環系、環置換導入系、などベンゼン環やシクロヘキサン環などの環状構造及びそれに挟まれた部分から成る液晶相を示す基となる剛直な骨格部(すなわち上述したコア部)に、光重合を起こすアクリル基やメタクリル基、エポキシ基などの官能基が結合した構造の化合物が使用できる。尚、「光重合性液晶モノマー21」の具体的な物質例としては、Angeloni, et. Al, Makromol. Chem. 186, 977(1985), Broer, et. al, Makromol. Chem. 190, 2255(1989)、特開平11−116534号に記載された材料を用いることができる。なかでも、次に行うパターン露光において可視光波長領域の露光光を用いる場合、この可視光波長領域の露光光においては主としてラジカル重合過程が進行する。したがって、「光重合性液晶モノマー21」としては、次のパターン露光において重合が進行しやすい、ラジカル重合過程において光重合するアクリル基を持つ物質を選択することが好ましい。
【0034】
また、「非重合性材料」としては、光重合性液晶モノマー21や添加剤などの他の材料成分との相溶性から、セルロースエステル系、シクロヘキサン系、ビニルカルバゾール系などのバインダーポリマーと呼ばれる高分子材料が適している。このような「非重合性材料」は、光重合性液晶モノマー21の光重合過程を阻害しなければ、光重合性液晶モノマー21と一致する屈折率を持ち、他の成分との相溶性から適当に材料を選択すればよい。また、適当な官能基により修飾すれば、光重合性液晶モノマー21の光重合速度を向上させることも可能である。
【0035】
さらに、「他の重合性モノマー」としては、光重合性液晶モノマーとは異なる過程で重合する他の重合性モノマーであることが好ましい。例えば、光重合性液晶モノマー21として、上述したように、ラジカル重合過程において光重合するアクリル基を持つ物質が選択された場合、「他の重合性モノマー」としては主として紫外線照射時において重合が進行し易いカチオン重合過程において光重合する物質(例えばカチオン重合過程において光重合するエポキシ系の等方性モノマー)や、アニオン重合過程などの他の光重合過程により光重合する官能基を持つ物質、さらには光照射以外の要因(例えば熱)によって重合する物質を選択して用いることとする。またこれらの他にも、光重合性液晶モノマー21と逆の官能基を持つ物質を「他の重合性モノマー」として用い、次に行われるパターン露光でおこる光重合過程に対して、さらにその後に行われる紫外線照射時において逆の光重合過程が起こるようにしても良い。
【0036】
このような「他の重合性モノマー」の具体例としては、ラジカル重合する重合性モノマーとして、ポリエステル系、エポキシ系、ウレタン系、アルキッド樹脂系、スピラン樹脂系、シリコーン樹脂系、イミド系などのアクリレートもしくはメタクリレート、またはN−ビニルホルムアミド、N−ビニルピロリジノンなどがある。また、カチオン重合する光重合性モノマーとして、エポキシ化合物、オキセタン化合物、多官能性ビニルエーテルなどがある。
【0037】
そして、「添加剤」のうち、重合開始剤としては、ベンゾフェノン、アントラキノン、チオキサントンなどの芳香族ケトン、トリス(トリクロロメチル)-s-トリアジンに代表されるハロゲン系化合物、過酸化ベンゾイルなどの有機過酸化物、ヘキサアリールビスイミダゾール系化合物、シアニンボレートなどのボレート系化合物、ビスペンタジエニルチタニウム−ジ(ペンタフルオロフェニル)やチタノセン化合物などの有機金属化合物、N−フェニルグリシン、もしくはその一部にこれらと同等の構造を持った化合物などが有効である。
【0038】
また特に、ラジカル重合とともにカチオン重合を開始させる光重合開始剤として、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、セレノニウム塩、鉄−アレーン錯体、シラノール/アルミニウム錯体、スルホン酸エステル、イミドスルホネート類などがある。
【0039】
さらに、「添加剤」のうち、光重合増感剤としては、スチリル系、フルオロン系、クマリン系、ケトクマリン系、チオピリリウム系、ピラゾトリアゾール系、スクワリリウム系、ポルフィリン系、シアニン系などの可視光波長領域において吸収を持つ色素が適している。ただし、鉄アレイ錯体やチタノセンに代表されるように、光重合開始剤として作用する化合物自体にホログラム回折格子露光を行うレーザー光波長領域に吸収を持つ場合には、光重合増感剤は不要となる場合がある。
【0040】
以上で例示した各物質は、上記各組み合わせ▲1▼〜▲3▼に用いられている各材料として、単独であるいは複数を混合して用いることができる。
【0041】
例えば、光重合性液晶モノマー21が液晶相を示す温度範囲を広げるために、光重合性液晶モノマー21として例示される複数の物質を混合して用いても良い。
【0042】
さらに、組成物層23が▲1▼または▲2▼の組み合わせからなる場合には、光重合性液晶モノマー21以外の材料の屈折率を光重合性液晶モノマー21の屈折率と一致させるために、非重合性材料や、他の重合性モノマーとして例示される複数の物質を混合することによって屈折率調整を行うことが好ましい。
【0043】
以上のようにして各材料を含有する組成物層23を形成した後、図2(2)に示すように、基板11,12間に形成された組成物層23中の光重合性液晶モノマー21が一定方向に向かうように配向させる。
【0044】
この際、光重合性液晶モノマー21が液晶相を示す条件(例えば温度条件)を整えることで、光重合性液晶モノマー21を配向膜13の溝方向に沿って配向させる。
【0045】
また、基板11,12上に配向膜13を設けていない場合には、光重合性液晶モノマー21が液晶相を示す条件を整えた状態において、外的要因を与えることで光重合性液晶モノマー21を配向させる。このような配向処理としては、一般的に行われている、ずり応力配向法、温度勾配法、電場もしくは磁場による外場配向法などを適用することができる。
【0046】
そして、図2(3)に示すように、光重合性モノマー21を配向させた状態で、この組成物層23に対して回折格子パターンをパターン露光する。
【0047】
このパターン露光においては、光の干渉によって形成した干渉波形(いわゆる干渉縞)を露光光Hとして組成物層23に照射することで、400nm〜700nm程度の短い周期でのパターン露光を行うことが好ましい。また、干渉波形を用いたパターン露光に限定されることはなく、マスクを用いたパターン露光であっても良い。
【0048】
これにより、組成物層23における露光光Hの照射部分部で、光重合性液晶モノマー21の重合を進行させ、これにより組成物層23内に光重合性液晶モノマー21を配向状態を保って重合させてなるパターン25を形成する。
【0049】
ここで、図3には、上述した▲1▼の組み合わせ、すなわち「光重合性液晶モノマー21」+「非重合性材料31」+「添加剤(図示省略)」で構成された組成物層23においての光重合性液晶モノマー21の重合過程を示す。
【0050】
この場合、図3(1)に示すように、光重合性液晶モノマー21と非重合成材料31とを含有している組成物層23に対して、上述したように光重合性液晶モノマー21を一定方向に向かうように配向させた状態で、図3(2)に示すように、この組成物層23に対して回折格子パターンの露光光Hを照射するパターン露光を行う。これにより、組成物層23内においては、露光光Hの照射部に光重合性液晶モノマー21が析出して層分離が進み、この照射部において光重合性液晶モノマー21を重合させたパターン25が形成される。
【0051】
またここでは、パターン露光による重合が終了した後、図3(3)に示すように、パターン25間に残された非重合成材料31やその他の材料の定着させる。この際、例えば組成物層23全体に紫外線UVを一括照射することにより、材料の定着と共に組成物層23に含まれる色素の脱色を行う。ただし、パターン25間に多量の光重合性液晶モノマー21が残されている場合には、光重合性液晶モノマー21が液晶相を示さない条件(例えば温度条件)を整えた上で上記定着を行い、これによりパターン25間の材料を光学的等方性に保つ。また、紫外線UVを一括照射させる前に、熱処理を行うことにより、反応部分と未反応部分の分離を加速させ、回折効率を向上させても良い。
【0052】
次に、図4には、上述した▲2▼の組み合わせ、すなわち「光重合性液晶モノマー21」+「他の重合性モノマー33」+「添加剤(図示省略)」のうち、他の重合性モノマー33が光重合性液晶モノマー21と異なる重合過程で重合する物質である場合の組成物層23においての光重合性液晶モノマー21の重合過程を示す。
【0053】
この場合、図4(1)に示すように、光重合性液晶モノマー21と、これとは異なる重合過程で重合する他の重合性モノマー33とを含有している組成物層23に対して、上述したように光重合性液晶モノマー21を一定方向に向かうように配向させた状態で、図4(2)に示すように、この組成物層23に対して回折格子パターンの露光光Hを照射するパターン露光を行う。これにより、組成物層23内においては、露光光Hの照射部に光重合性液晶モノマー21が析出して層分離が進み、この照射部において光重合性液晶モノマー21を重合させたパターン25が形成される。
【0054】
またここでは、パターン露光による重合が終了した後、図4(3)に示すように、パターン25間に残された他の重合性モノマー33の重合を行う。この際、例えば組成物層23全体に紫外線UVを一括照射するか、または、他の重合成モノマー33として用いている物質によっては熱を加えることによって重合を行うようにしても良い。ただし、パターン25間に多量の光重合性液晶モノマー21が残されている場合には、光重合性液晶モノマー21が液晶相を示さない条件(例えば温度条件)を整えた上で重合を行い、これによりパターン25間の材料を光学的等方性に保つ。尚、材料の定着と共に組成物層23に含まれる色素の脱色を行うためには、紫外線UVの一括照射を行うこととする。さらに、紫外線UVの一括照射によって重合を行う場合には、紫外線UVを一括照射させる前に、熱処理を行うことにより、反応部分と未反応部分の分離を加速させ、回折効率を向上させても良い。
【0055】
さらに、図5には、上述した▲2▼の組み合わせ、すなわち「光重合性液晶モノマー21」+「他の重合性モノマー33’」+「添加剤(図示省略)」のうち、他の重合性モノマー33’が光重合性液晶モノマー21と同様の光重合過程で重合する物質である場合の組成物層23においての光重合性液晶モノマー21の重合過程を示す。
【0056】
この場合、図5(1)に示すように、光重合性液晶モノマー21と、これと同様の重合過程で重合する他の重合性モノマー33’とを含有している組成物層23に対して、上述したように光重合性液晶モノマー21を一定方向に向かうように配向させた状態で、図5(2)に示すように、この組成物層23に対して回折格子パターンの露光光Hを照射するパターン露光を行う。これにより、組成物層23内においては、露光光Hの照射部において光重合性液晶モノマー21と他の重合性モノマー33’とを重合させたパターン25が形成される。この際、層分離は起こらない。
【0057】
このような場合であっても、パターン露光による重合が終了した後、図5(3)に示すように、パターン25間に残された組成物の重合を行う。この際、パターン25間には光重合性液晶モノマー21が残されるため、光重合性液晶モノマー21が液晶相を示さない条件(例えば温度条件)を整えることで、光重合性液晶モノマー21を未配向状態とし、組成物層23全体に露光光H’を一括照射する。この際、材料の定着と共に組成物層23に含まれる色素の脱色を行うためには、露光光H’として紫外線を照射する。
【0058】
また、図6には、上述した▲3▼の組み合わせ、すなわち「光重合性液晶モノマー21」+「添加剤(図示省略)」で構成された組成物層23においての光重合性液晶モノマー21の重合過程を示す。
【0059】
この場合、図6(1)に示すように、光重合性液晶モノマー21と添加剤とを含有している組成物層23に対して、上述したように光重合性液晶モノマー21を一定方向に向かうように配向させた状態で、図6(2)に示すように、この組成物層23に対して回折格子パターンの露光光Hを照射するパターン露光を行う。これにより、組成物層23内においては、露光光Hの照射部において光重合性液晶モノマー21を重合させたパターン25が形成される。この際、層分離は起こらない。
【0060】
このような場合であっても、パターン露光による重合が終了した後、図6(3)に示すように、パターン25間に残された光重合性液晶モノマー21の重合を行う。この際、光重合性液晶モノマー21が液晶相を示さない条件(例えば温度条件)を整えることで、光重合性液晶モノマー21を未配向状態とし、組成物層23全体に露光光Hを一括照射する。この際、材料の定着と共に組成物層23に含まれる色素の脱色を行うためには、露光光H’として紫外線を照射する。
【0061】
以上説明したような各重合過程をへて、図1を用いて説明したと同様のホログラム回折格子素子1が得られる。
【0062】
以上の製造方法−1によれば、光重合性液晶モノマー21を配向させた状態で重合させているため、光重合性液晶モノマー21は、露光部内、つまりパターン25内において相分離することなく、配向状態を保ったまま重合される。このため、パターン25内においては液晶相を示す分子構造部分(液晶コア部21a)が良好な配向状態に保たれる。したがって、パターンにおける光学的異方性(複屈折)がより大きく、コントラスト比の高い偏光分離が可能なホログラム回折格子素子を得ることができる。
【0063】
さらに、このような製造方法によれば、パターン25に複屈折を与える光重合性液晶モノマー21が高分子化されるため、高分子空孔中に非重合性液晶が閉じ込められるだけのH−PDLC素子に比較して、長期安定性が高いホログラム回折格子素子を得ることができる。また、外部からの相互作用により光重合性液晶モノマー21を配向させるため、液晶材料を配向させることを目的として他の材料を選択する必要はなく、他の材料の選択範囲を広げることもできる。したがって、液晶コア部7の屈折率と、パターン25間に配置される等方性材料層5の屈折率を一致させる場合に、材料の選択肢が広く、実現が容易である。
【0064】
また、露光記録するホログラム回折格子方向に対して、配向処理方向を平行もしくは垂直にすることにより、等方性材料層5の屈折率を液晶コア部7の常光線に対する屈折率、異常光線に対する屈折率にそれぞれ一致させることができる。すなわち、形成する回折格子に対して相対的に配向処理方向を変えるだけで、S偏光、P偏光のいずれを回折させるかを簡単に制御することができる。
【0065】
尚、以上の製造方法においては、パターン25間の材料は必要に応じて除去しても良い。この場合、パターン露光によって光重合性液晶モノマー21を重合させた後に、パターン25間の材料の定着を行うことなく、この部分に残された材料を、例えばウェットエッチングによって除去する工程を行う。
【0066】
<ホログラム回折格子素子の製造方法−2>
次に、図1に示したホログラム回折格子素子の製造方法の他の実施形態を、図7を用いて説明する。
【0067】
先ず、図7(1)に示すように、上述した製造方法−1と同様にして、例えば透明基板に形成した配向膜間に、液晶モノマー71を含有する組成物層73を形成する。この組成物層73内には、液晶相が示される程度に十分な配合比で液晶モノマー71が含有されていることとする。
【0068】
この組成物層73に含有させる液晶モノマー71は、その重合過程が光重合であることに限定されず、例えば加熱によって重合反応が進む物質であっても良い。また、この組成物層73には、液晶モノマー71の他に、必要に応じて非重合性材料や、他の重合性モノマー、さらには液晶モノマー71や他の重合性モノマーに応じた、重合開始剤などの添加剤も含有されていることとする。尚、他の重合性モノマーを含有させる場合には、液晶モノマー71と同一の重合過程で重合する物質を選択して用いることが好ましい。
【0069】
次に、図7(2)に示すように、組成物層73中の液晶モノマー71を一定方向に配向させる。この際、液晶モノマー71が液晶相を示す条件(例えば温度条件)を整えることで、液晶モノマー71を配向膜の溝方向に沿って配向させる。このような配向方法の他にも、上述した製造方法−1で説明したと同様に、一般的な配向方法を適用することができる。
【0070】
このような状態で、図7(3)に示すように、この組成物層73全体に対して、液晶モノマー71の重合を進める処理を行う。この場合、液晶モノマー71の重合過程によってそれぞれ適する処理を行うこととし、液晶モノマー71が光重合性である場合には、この組成物層73全体に対して、一括して露光光を照射する処理を行う。また、この液晶モノマー71が加熱によって重合が進む物質である場合には、液晶モノマー71が配向状態を保ち、かつ重合が進む範囲で組成物層73を加熱する処理を行う。
【0071】
以上の後、図7(4)に示すように、重合によって硬化させた組成物層73上に、リソグラフィ法によってレジストパターン75を形成する。このレジストパターン75は、回折格子パターンと同様のデザイン、すなわち可視光領域の光(概ね波長400nm〜700nm)を偏光分離することを目的として、その波長と同程度の周期pで配置され、その幅wは周期pの半分程度であることとする。また、レジストパターン75の配列方向は、液晶モノマー71の配向方向と平行または垂直であることとする。このようなレジストパターン75形成の際のリソグラフィにおいては、露光光として干渉波形を用いても良い。
【0072】
そして、このレジストパターン75をマスクに用いて組成物層73をパターンエッチングし、重合によって硬化させた組成物層73からなるパターン77を形成する。
【0073】
次に、図7(5)に示すように、パターン77間に光学的等方性を有する材料を埋め込む。この材料は、好ましくは液晶コア部7の異常光屈折率または常光屈折率のいずれか一方と、略同一の屈折率を有していることとする。以上によって、パターン77と、この材料からなる等方性材料層79とを交互に配置してなるホログラフ回折格子素子を得る。
【0074】
以上説明した製造方法−2によれば、上述した製造方法−1と同様に、液晶モノマー71を配向させた状態で重合させているため、製造方法−1と同様に、パターン77内においては液晶相を示す分子構造部分(液晶コア部71a)が良好な配向状態に保たれ、パターン77における光学的異方性(複屈折)がより大きく、コントラスト比の高い偏光分離が可能なホログラム回折格子素子を得ることができる等、製造方法−1と同様の効果を得ることができる。しかも、パターン77がほぼ液晶モノマーのみからなるため、その固有の複屈折がほとんど損なわれることがない。また、相分離を用いていないため、液晶モノマーと他の材料(等方性材料)との組み合わせが自在である。
【0075】
尚、以上の製造方法においては、必ずしもパターン77間に等方性材料層79を設ける必要はなく、この場合には光学的等方性を有する材料の埋め込み工程を省略することとする。
【0076】
【実施例】
次に、本発明の実施例を、図面に基づいて説明する。
【0077】
<第1実施例>
本第1実施例においては、上述した実施の形態において、図3を用いて説明した重合過程を適用してホログラム回折格子素子を製造した例を説明する。
【0078】
先ず、液晶相を示す骨格の両末端に光ラジカル重合を起こすアクリレート基を持つ液晶ジアクリレート(光重合性液晶モノマー21)と、光学的に等方性で非重合性のセルロースエステル系バインダーポリマー(非重合性材料31)とを、液晶ジアクリレート95重量%、バインダーポリマー5重量%の配合比で混合した。さらに、次のパターン露光において露光光として使用するレーザー光波長において光重合開始剤として作用するトリス(トリクロロメチル)-s-トリアジンと、増感剤としてクマリン系色素とを、上記配合物:光重合開始剤:増感剤=97:1.5:1.5の重量配合比で混合した。以上から成る混合材料を加熱しながら攪拌し、均一な光重合性混合材料を得た。
【0079】
また、2枚の透明ガラス基板を洗浄後、ポリイミド配向剤をスピンコート塗布、焼成後、コットン布にて配向剤表面にラビング処理を行った。そして、一方の基板の配向処理した表面上に球状スペーサーを均一に散布し、他方の基板の配向処理した表面上には上記の光重合性混合材料を滴下し、ラビング処理方向が反平行となり、かつ配向処理表面でスペーサー及び光重合性混合材料を狭持するように基板を対向配置し、エポキシ系接着剤で二枚の基板をその周縁部で固定したセルを形成した。
【0080】
その後、液晶ジアクリレート(光重合性液晶モノマー21)の均一配向を得るために、光重合性混合材料が液晶相もしくは等方相となる温度領域まで加熱後、除冷した。これにより、図3(1)に示すように、配向処理方向に沿った一方向に液晶ジアクリレートを配向させた。
【0081】
次いで、以上の手順で作製したセルを光重合性混合材料が液晶相を示す温度領域に保持しながら、図3(2)に示すように、波長477nmのレーザー光の干渉波形を露光光Hとして照射した。すると、干渉波形の明部では光重合が起こり、液晶ジアクリレートが均一な配向状態を保持したまま重合して高分子化した。一方、暗部には非重合性のバインダーポリマー(非重合性材料31)が、相分離により析出し、これによって干渉波形に応じて高分子化した液晶性層のパターン25と光学的な等方性層との屈折率変調を持った多層構造、つまりホログラム回折格子が形成された。
【0082】
その後、図3(3)に示すように、液晶相を示さない温度領域において光重合性混合材料からなる組成物層23の全面に紫外線UVを一括照射することにより、色素を脱色及び回折格子を定着させた。
尚、以上の手順はすべて暗室中で行われた。
【0083】
以上のようにして得られたホログラム回折格子素子1は、偏光分離度が100:1程度のコントラスト比の高い偏光分離が可能であり、例えば反射型液晶ライトバルブを用いた反射型プロジェクタ用の偏光分離素子として十分に用いることが可能であった。
【0084】
<第2実施例>
本第2実施例においては、上述した実施の形態において、図4を用いて説明した重合過程を適用してホログラム回折格子素子を製造した例を説明する。
【0085】
先ず、液晶相を示す骨格の両末端に光ラジカル重合を起こすアクリレート基を持つ液晶ジアクリレート(光重合性液晶モノマー21)と、光学的に等方性で光カチオン重合を起こす脂環式エポキシオリゴマー(他の重合性モノマー33)とを、液晶ジアクリレート90重量%、脂環式エポキシオリゴマー10重量%の配合比で混合した。さらに、ラジカル重合及びカチオン重合の双方の光重合開始剤として作用するジフェニルヨードニウム塩、増感剤としてケトクマリン系色素とを、上記配合物:光重合開始剤:増感剤=97:1.5:1.5の重量配合比で混合した。以上から成る混合材料を加熱しながら攪拌し、均一な光重合性混合材料を得た。
【0086】
そして、第1実施例と同様にして、光重合性混合材料を狭持してなるセルを形成した。
【0087】
その後、液晶ジアクリレート(光重合性液晶モノマー21)の均一配向を得るために、光重合性混合材料が液晶相もしくは等方相となる温度領域まで加熱後、除冷した。これにより、図4(1)に示すように、配向処理方向に沿った一方向に液晶ジアクリレートを配向させた。
【0088】
次いで、以上の手順で作製したセルを光重合性混合材料が液晶相を示す温度領域に保持しながら、図4(2)に示すように、波長532nmのレーザー光の干渉波形を露光光Hとして照射した。すると、干渉波形の明部では光ラジカル重合が選択的に起こり、液晶ジアクリレートが均一な配向状態を保持したまま高分子化した。一方、暗部には光ラジカル重合を起こさない脂環式エポキシオリゴマーが相分離により析出し、これによって干渉波形に応じて高分子化した液晶性層のパターン25と光学的な等方性層との屈折率変調を持った多層構造、つまりホログラム回折格子が形成された。
【0089】
その後、図4(3)に示すように、液晶相を示さない温度領域において光重合性混合材料からなる組成物層23の全面に紫外線UVを一括照射することにより、カチオン重合が起こり、等方性層部分も高分子化した。これにより、回折格子を定着させるとともに、色素を脱色させた。
尚、以上の手順はすべて暗室中で行われた。
【0090】
以上のようにして得られたホログラム回折格子素子1も、第1実施例で作製したホログラム回折格子素子と同様に、偏光分離度が150:1程度のコントラスト比の高い偏光分離が可能であり、例えば反射型液晶ライトバルブを用いた反射型プロジェクタ用の偏光分離素子として十分に用いることが可能であった。
【0091】
<第3実施例>
本第3実施例においては、上述した実施の形態において、図6を用いて説明した重合過程を適用してホログラム回折格子素子を製造した例を説明する。
【0092】
先ず、液晶相を示す骨格の両末端に光ラジカル重合を起こすアクリレート基を持つ液晶ジアクリレート(光重合性液晶モノマー21)に、使用するレーザー光波長において光重合開始剤として作用するトリス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、増感剤としてクマリン系色素を、光重合性液晶モノマー21:光重合開始剤:増感剤=97:1.5:1.5の重量配合比で混合した。以上から成る混合材料を加熱しながら攪拌し、均一な光重合性混合材料を得た。
【0093】
そして、第1実施例と同様にして、光重合性混合材料を狭持してなるセルを形成した。
【0094】
その後、液晶ジアクリレート(光重合性液晶モノマー21)の均一配向を得るために、光重合性混合材料が液晶相もしくは等方相となる温度領域まで加熱後、除冷した。これにより、図6(1)に示すように、配向処理方向に沿った一方向に液晶ジアクリレートを配向させた。
【0095】
次いで、以上の手順で作製したセルを光重合性混合材料が液晶相を示す温度領域に保持しながら、図6(2)に示すように、波長477nmのレーザー光の干渉波形を露光光Hとして照射した。すると、干渉波形の明部では光重合が起こり、液晶ジアクリレートが均一な配向状態を保持したまま高分子化した。一方、暗部では十分な光エネルギーが得られないことで光重合が起こらず、干渉波形に応じて高分子化した液晶性層のパターン25と、高分子化していない液晶性層の多層構造が形成された。
【0096】
このままでは屈折率変調を示さないため、その後、図6(3)に示すように、等方相もしくは結晶相などの液晶相を示さない温度領域において紫外線UVもしくは可視光線照射することにより、パターン露光により未重合であった部分を光学的に等方性とした状態で高分子化し、屈折率変調を持った多層構造を形成した。また、この光照射により色素を脱色及び回折格子を定着させた。
以上の手順はすべて暗室中で行われた。
【0097】
以上のようにして得られたホログラム回折格子素子1も、第1実施例で作製したホログラム回折格子素子と同様に、偏光分離度が80:1程度のコントラスト比の高い偏光分離が可能であり、例えば反射型液晶ライトバルブを用いた反射型プロジェクタ用の偏光分離素子として十分に用いることが可能であった。
【0098】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のホログラム回折格子素子によれば、同一相で構成されたパターン内で液晶相を示す分子構造部分を一方向に配向させる構成としたことで、所定周期で配列されたパターンにおける光学的異方性(複屈折)を最大限とすることができ、よりコントラスト比の高い偏光分離を行うことが可能になる。
また、本発明のホログラム回折格子素子の製造方法によれば、液晶モノマーを配向させた状態で重合させることで、より良好な配向状態のパターンを形成する構成としたことで、コントラスト比の高い偏光分離が可能な偏光分離素子として用いることができるホログラム回折格子素子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のホログラム回折格子素子の一例を説明する断面図である。
【図2】本発明のホログラム回折格子素子の製造方法−1を説明する図である。
【図3】製造方法−1における第1の重合過程を示す図である。
【図4】製造方法−1における第2の重合過程を示す図である。
【図5】製造方法−1における第2の重合過程の他の例を示す図である。
【図6】製造方法−1における第3の重合過程を示す図である。
【図7】本発明のホログラム回折格子素子の製造方法−2を説明する図である。
【図8】H−PDLC素子からなるホログラム回折格子素子を説明する図である。
【符号の説明】
1…ホログラム回折格子素子、3,25,77…パターン、5,79…等方性材料層、7,21a,71a…液晶コア部、21…光重合性液晶モノマー、23,73…組成物層、71…液晶モノマー、H…露光光

Claims (7)

  1. 光学的異方性を有するパターンを所定周期で配列してなるホログラム回折格子素子の製造方法であって、
    光重合性液晶モノマーと、非重合性材料とを含有する組成物層を形成し、
    前記光重合性液晶モノマーを同一方向に向けて配向させた状態で前記組成物層に対してパターン露光を行うことにより、当該光重合性液晶モノマーを重合させてなる前記パターンを形成し、
    前記パターン露光による重合が終了した後、前記組成物層全体に紫外線を一括照射する
    ことを特徴とするホログラム回折格子素子の製造方法。
  2. 光学的異方性を有するパターンを所定周期で配列してなるホログラム回折格子素子の製造方法であって、
    光重合性液晶モノマーと、前記光重合性液晶モノマーとは異なる他の重合性モノマーとを含有する組成物層を形成し、
    前記光重合性液晶モノマーを同一方向に向けて配向させた状態で前記組成物層に対してパターン露光を行うことにより、当該光重合性液晶モノマーを重合させてなる前記パターンを形成し、
    前記パターン露光による重合が終了した後、前記組成物層全体に紫外線を一括照射する
    ことを特徴とするホログラム回折格子素子の製造方法。
  3. 請求項2に記載のホログラム回折格子素子の製造方法において、
    前記他の重合性モノマーは、前記光重合性液晶モノマーとは異なる重合過程で重合する
    ことを特徴とするホログラム回折格子素子の製造方法。
  4. 請求項1または3に記載のホログラム回折格子素子の製造方法において、
    前記紫外線を一括照射する前に熱処理を行う
    ことを特徴とするホログラム回折格子素子の製造方法。
  5. 請求項2に記載のホログラム回折格子素子の製造方法において、
    前記他の重合性モノマーは、前記光重合性液晶モノマーと同様の重合過程で重合する
    ことを特徴とする記載のホログラム回折格子素子の製造方法。
  6. 光学的異方性を有するパターンを所定周期で配列してなるホログラム回折格子素子の製造方法であって、
    光重合性液晶モノマーと、添加剤とを含有する組成物層を形成し、
    前記光重合性液晶モノマーを同一方向に向けて配向させた状態で前記組成物層に対してパターン露光を行うことにより、当該光重合性液晶モノマーを重合させてなる前記パターンを形成し、
    前記パターン露光による重合が終了した後、前記組成物層全体に紫外線を一括照射する
    ことを特徴とするホログラム回折格子素子の製造方法。
  7. 請求項1,2,6のいずれかに記載のホログラム回折格子素子の製造方法において、
    前記パターン露光は、干渉波形を用いて行われる
    ことを特徴とするホログラム回折格子素子の製造方法。
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