JP2008070624A - 偏光変換素子およびその作製方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】薄型で低コスト化が可能で高い変換効率の偏光変換素子を提供すること。
【解決手段】入射光7を収束させるレンズアレイ1層と、入射光7を第1の偏光成分と第2の偏光成分とに分離して出射する偏光分離層3と、第1の偏光成分を第2の偏光成分に変換する偏光回転領域および偏光非回転領域を周期的に形成する偏光回転層5と、を有する偏光変換素子であって、前記偏光回転層5が、少なくとも、重合性液晶と光重合開始剤とからなる液晶組成物と、配向膜とからなり、前記液晶組成物は入射した偏光成分の偏光面が回転して出射する配向状態を示し、その一部を光照射によって重合固化して偏光回転領域を形成し、前記偏光回転領域を形成した後、液晶組成物の未硬化部を、入射した偏光成分の偏光面が回転しないで出射する配向状態に転移させた状態で光照射により重合固化させて偏光非回転領域を形成したことを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】入射光7を収束させるレンズアレイ1層と、入射光7を第1の偏光成分と第2の偏光成分とに分離して出射する偏光分離層3と、第1の偏光成分を第2の偏光成分に変換する偏光回転領域および偏光非回転領域を周期的に形成する偏光回転層5と、を有する偏光変換素子であって、前記偏光回転層5が、少なくとも、重合性液晶と光重合開始剤とからなる液晶組成物と、配向膜とからなり、前記液晶組成物は入射した偏光成分の偏光面が回転して出射する配向状態を示し、その一部を光照射によって重合固化して偏光回転領域を形成し、前記偏光回転領域を形成した後、液晶組成物の未硬化部を、入射した偏光成分の偏光面が回転しないで出射する配向状態に転移させた状態で光照射により重合固化させて偏光非回転領域を形成したことを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は偏光変換素子およびその製造方法に関し、さらに液晶ディスプレイ、液晶プロジェクタなどの照明光学系に応用することが可能である。
一般に、液晶パネルのように特定偏光の光変調により画像表示を行うライトバルブでは、特定偏光以外の照明光は入射側偏光板で吸収されるため、照明光がランダム偏光の場合にはその約半分が光量損失となる。この問題を解決して光利用効率を向上させるために、偏光分離と偏光回転とにより偏光変換を行う照明光学系が各種提案されている。偏光分離に用いられる光学素子としてはPBS(Polarizing Beam Splitter)プリズム、PBSアレイ、マイクロプリズムアレイ、複屈折DOE(Diffractive Optical Element)等が挙げられ、偏光回転に用いられる光学素子としては1/2波長板、TN(Twisted Nematic)液晶等が挙げられる。
偏光変換を行う光学素子は、ランダム偏光を偏光分離において偏波面(すなわち電気ベクトルの振動面)が互いに直交する2種類の直線偏光に分離し、一方の直線偏光は偏光回転によりその偏波面が回転して他方の直線偏光と同じ偏光状態とさせる。この偏光変換により、偏波面が揃った直線偏光のみを入射側偏光板に入射させることができる。したがって、入射側偏光板による光量損失はほとんどなくなり、ライトバルブに対して光利用効率の高い照明が達成可能となる。
特許文献1で開示されている従来の偏光変換素子では、種々の偏光が混在した無偏光が、全面に渡りレンズ板のそれぞれのレンズ素を通してスプリッタの作用面に収束する。そして、スプリッタにより、P波成分は作用面をそのまま通過する。一方、S波成分はスプリッタの作用面で分離し、プリズムで反射し、その出射面で偏光変換する素子、例えば、鏡か直角プリズムの組合せによる90度変換素子か、あるいは1/2波長の位相板を通過させることにより、S波はP波となって、スプリッタの透過光と平行に出射される。以上、レンズ板のレンズ素に入射した光はすべて偏光変換板により、P波の偏光となって出射し、液晶表示板に供給される。
しかし、上記偏光変換素子では、偏光分離された2種類の直線偏光のうちの一方についてのみ偏光回転を行う必要がある。したがって、1/2波長板で偏光回転を行う場合には、1/2波長板をストライプ状に加工して基板に貼り付ける作業が必要となり、高い位置精度が要求されるとともに手間がかかるため、コストアップを招くという問題がある。また、スプリッタやプリズムなどが比較的高価であり、偏光分離部を薄型化するためにはスプリッタやプリズムを小さくし、数多くつなぎ合わせて配置する必要がある。
特許文献2で開示されている従来の偏光変換素子では、表面が半円筒形状のレンズ手段、厚み方向に鋸歯形状の断面を持つ複屈折層、中間媒質を有し入射光を第1の偏光成分と第2の偏光成分に分離する偏光分離部を有し、偏光集光層の位置で、第1の偏光成分を第2の偏光成分に変換する偏光回転層と、偏光非回転層とがレンズ手段のレンズに対応して配置される。
しかし、上記偏光変換素子では、偏光分離部に偏光選択性のブレーズホログラムを使用しているため素子の薄型化が可能であるが、レンズによる集光位置と偏光回転層の位置を高い位置精度で合わせる必要があり、コストアップを招くという問題がある。
特許文献3では、入射光を収束させるマイクロレンズアレイと、配向液晶層からなる複屈折性を有する複屈折膜と、液晶層でストライプ状に波長板機能と波長板機能を持たない部位が交互に一定のピッチで配列している液晶波長板とを有することを特徴とする偏光変換素子が開示されている。
しかし上記偏光変換素子では、偏光分離部に複屈折層を用いているため、回折格子のような微細構造を形成する必要が無いが、一般に複屈折層内での異常光の光線シフト量は小さい。したがって、複屈折層の厚みを比較的薄く設定するためにはレンズアレイとストライプ構造のピッチを十分に小さくする必要があり、これらの微小構造化のためにコストアップを招くという問題がある。あるいは、ピッチを比較的大きく設定すると複屈折層に十分な厚みが必要となり、素子の薄型化に限界が生じるという問題がある。
本発明は上記課題に鑑みなされたもので、薄型で低コスト化が可能で高い変換効率の偏光変換素子を提供することを目的とする。
また本発明は、比較的簡単な製造工程によって、薄型、高い変換効率、より低コスト化が可能な偏光変換素子を作製することを目的とする。
また本発明は、比較的簡単な製造工程によって、薄型、高い変換効率、より低コスト化が可能な偏光変換素子を作製することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、入射光を収束させるレンズアレイ層と、入射光を第1の偏光成分と第2の偏光成分とに分離して出射する偏光分離層と、第1の偏光成分を第2の偏光成分に変換する偏光回転領域および偏光非回転領域を周期的に形成する偏光回転層と、を有する偏光変換素子であって、前記偏光回転層が、液晶組成物領域と、配向膜とを備え、前記液晶組成物領域は、入射した偏光成分の偏光面が回転して出射する配向状態である偏光回転領域と、入射した偏光成分の偏光面が回転しないで出射する配向状態である偏光非回転領域と、を備えたことで上記課題が解決されることを見出し本発明に至った。
本発明の偏光変換素子は、具体的には以下の技術的手段、手法を特徴とする。
(1)入射光を収束させるレンズアレイ層と、入射光を第1の偏光成分と第2の偏光成分とに分離して出射する偏光分離層と、第1の偏光成分を第2の偏光成分に変換する偏光回転領域および偏光非回転領域を周期的に形成する偏光回転層と、を有する偏光変換素子であって、前記偏光回転層が、液晶組成物領域と、配向膜とを備え、前記液晶組成物領域は、入射した偏光成分の偏光面が回転して出射する配向状態である偏光回転領域と、入射した偏光成分の偏光面が回転しないで出射する配向状態である偏光非回転領域と、を備えたことを特徴とする偏光変換素子である。
(2)前記入射した偏光成分の偏光面が回転して出射する配向状態が、ツイストネマチック配向状態であることを特徴とする偏光変換素子である。
(3)前記入射した偏光成分の偏光面が回転しないで出射する配向状態が、ホメオトロピック配向状態であることを特徴とする偏光変換素子である。
(4)前記入射した偏光成分の偏光面が回転しないで出射する配向状態が、等方相の状態であることを特徴とする偏光変換素子である。
(5)前記偏光分離層が、主にポリマーから成る層と、主に非重合性液晶から成る層との周期的な相分離構造を形成したホログラフィックポリマー分散液晶層であることを特徴とする偏光変換素子である。
(1)入射光を収束させるレンズアレイ層と、入射光を第1の偏光成分と第2の偏光成分とに分離して出射する偏光分離層と、第1の偏光成分を第2の偏光成分に変換する偏光回転領域および偏光非回転領域を周期的に形成する偏光回転層と、を有する偏光変換素子であって、前記偏光回転層が、液晶組成物領域と、配向膜とを備え、前記液晶組成物領域は、入射した偏光成分の偏光面が回転して出射する配向状態である偏光回転領域と、入射した偏光成分の偏光面が回転しないで出射する配向状態である偏光非回転領域と、を備えたことを特徴とする偏光変換素子である。
(2)前記入射した偏光成分の偏光面が回転して出射する配向状態が、ツイストネマチック配向状態であることを特徴とする偏光変換素子である。
(3)前記入射した偏光成分の偏光面が回転しないで出射する配向状態が、ホメオトロピック配向状態であることを特徴とする偏光変換素子である。
(4)前記入射した偏光成分の偏光面が回転しないで出射する配向状態が、等方相の状態であることを特徴とする偏光変換素子である。
(5)前記偏光分離層が、主にポリマーから成る層と、主に非重合性液晶から成る層との周期的な相分離構造を形成したホログラフィックポリマー分散液晶層であることを特徴とする偏光変換素子である。
そして本発明の偏光変換素子製造方法は、具体的には以下の技術的手段、手法を特徴とする。
(1)入射光を収束させるレンズアレイ層と、入射光を第1の偏光成分と第2の偏光成分とに分離して出射する偏光分離層と、第1の偏光成分を第2の偏光成分に変換する偏光回転領域および偏光非回転領域を周期的に形成する偏光回転層と、を設けた偏光変換素子の作製方法であって、前記偏光回転層が、少なくとも、重合性液晶と光重合開始剤とを含む液晶組成物を有する液晶組成物領域と、配向膜とを備え、前記液晶組成物領域は、入射した偏光成分の偏光面が回転して出射する配向状態を示し、その一部を光照射によって重合固化して偏光回転領域を形成し、前記偏光回転領域を形成した後、液晶組成物領域の未硬化部を、入射した偏光成分の偏光面が回転しないで出射する配向状態に転移させた状態で光照射によって重合固化して偏光非回転領域を形成したことを特徴とする偏光変換素子の作製方法である。
(2)前記液晶組成物領域に対して、前記レンズアレイを通して集光した第1あるいは第2のいずれか一方の偏光成分で光照射することで重合固化させて偏光回転領域を形成したことを特徴とする偏光変換素子の作製方法である。
(3)前記入射した偏光成分の偏光面が回転して出射する配向状態が、ツイストネマチック配向状態とすることを特徴とする偏光変換素子の作製方法である。
(4)前記偏光回転層の液晶組成物領域の有効領域内に電界印加可能な透明電極を有し、前記液晶組成物が正の誘電異方性を有し、前記偏光回転領域を形成した後の液晶組成物の未硬化部における、入射した偏光成分の偏光面が回転しないで出射する配向状態が、液晶組成物の厚み方向への電界印加によるホメオトロピック配向状態とすることを特徴とする偏光変換素子の作製方法である。
(5)前記偏光回転領域を形成した後の液晶組成物の未硬化部における、前記入射した偏光成分の偏光面が回転しないで出射される配向状態が、液晶組成物を加熱することによって得られる等方相の状態とすることを特徴とする偏光変換素子の作製方法である。
(6)前記重合固化で用いられる光は、第1あるいは第2の偏光成分のみに切換え可能であり、前記入射した偏光成分の偏光面が回転して出射する配向状態を示す液晶組成物に対して、前記レンズアレイを通して集光して第1あるいは第2のいずれか一方の偏光成分で光照射することで重合固化して偏光回転領域を形成し、前記偏光回転領域を形成した後、液晶組成物領域の未硬化部において、入射した偏光成分の偏光面が回転しないで出射する配向状態に転移させた状態で、上記偏光回転領域とは異なる他方の偏光成分で光照射することで重合固化して偏光非回転領域を形成したことを特徴とする偏光変換素子の作製方法である。
(7)前記偏光分離層が、非重合性液晶と、重合性モノマーあるいはプレポリマーと、光重合開始剤と、を含み、当該偏光分離層を二光束干渉露光することにより、主にポリマーから成る層と主に非重合性液晶から成る層との周期的な相分離構造を形成したホログラフィックポリマー分散液晶層であることを特徴とする偏光変換素子の作製方法である。
(1)入射光を収束させるレンズアレイ層と、入射光を第1の偏光成分と第2の偏光成分とに分離して出射する偏光分離層と、第1の偏光成分を第2の偏光成分に変換する偏光回転領域および偏光非回転領域を周期的に形成する偏光回転層と、を設けた偏光変換素子の作製方法であって、前記偏光回転層が、少なくとも、重合性液晶と光重合開始剤とを含む液晶組成物を有する液晶組成物領域と、配向膜とを備え、前記液晶組成物領域は、入射した偏光成分の偏光面が回転して出射する配向状態を示し、その一部を光照射によって重合固化して偏光回転領域を形成し、前記偏光回転領域を形成した後、液晶組成物領域の未硬化部を、入射した偏光成分の偏光面が回転しないで出射する配向状態に転移させた状態で光照射によって重合固化して偏光非回転領域を形成したことを特徴とする偏光変換素子の作製方法である。
(2)前記液晶組成物領域に対して、前記レンズアレイを通して集光した第1あるいは第2のいずれか一方の偏光成分で光照射することで重合固化させて偏光回転領域を形成したことを特徴とする偏光変換素子の作製方法である。
(3)前記入射した偏光成分の偏光面が回転して出射する配向状態が、ツイストネマチック配向状態とすることを特徴とする偏光変換素子の作製方法である。
(4)前記偏光回転層の液晶組成物領域の有効領域内に電界印加可能な透明電極を有し、前記液晶組成物が正の誘電異方性を有し、前記偏光回転領域を形成した後の液晶組成物の未硬化部における、入射した偏光成分の偏光面が回転しないで出射する配向状態が、液晶組成物の厚み方向への電界印加によるホメオトロピック配向状態とすることを特徴とする偏光変換素子の作製方法である。
(5)前記偏光回転領域を形成した後の液晶組成物の未硬化部における、前記入射した偏光成分の偏光面が回転しないで出射される配向状態が、液晶組成物を加熱することによって得られる等方相の状態とすることを特徴とする偏光変換素子の作製方法である。
(6)前記重合固化で用いられる光は、第1あるいは第2の偏光成分のみに切換え可能であり、前記入射した偏光成分の偏光面が回転して出射する配向状態を示す液晶組成物に対して、前記レンズアレイを通して集光して第1あるいは第2のいずれか一方の偏光成分で光照射することで重合固化して偏光回転領域を形成し、前記偏光回転領域を形成した後、液晶組成物領域の未硬化部において、入射した偏光成分の偏光面が回転しないで出射する配向状態に転移させた状態で、上記偏光回転領域とは異なる他方の偏光成分で光照射することで重合固化して偏光非回転領域を形成したことを特徴とする偏光変換素子の作製方法である。
(7)前記偏光分離層が、非重合性液晶と、重合性モノマーあるいはプレポリマーと、光重合開始剤と、を含み、当該偏光分離層を二光束干渉露光することにより、主にポリマーから成る層と主に非重合性液晶から成る層との周期的な相分離構造を形成したホログラフィックポリマー分散液晶層であることを特徴とする偏光変換素子の作製方法である。
本発明によれば、薄型で低コスト化が可能で、高い変換効率の偏光変換素子を提供することが可能となる。
(第1の実施の形態)
第一の実施の形態に係る偏光変換素子の断面概略図を図1に示す。光が入射する側から、入射光を絞るためのレンズアレイ1と、偏光分離層3を含む部分と、偏光回転層5を含む部分とが順次積層されている。偏光分離層3や偏光回転層5はそれぞれ透明な基板に挟まれている。あるいは、より薄型化するために、偏光分離層3と偏光回転層5の間の基板部分を一枚の基板で共通化しても良いし、レンズアレイ1を偏光分離層3の一方の基板として利用しても良い。
第一の実施の形態に係る偏光変換素子の断面概略図を図1に示す。光が入射する側から、入射光を絞るためのレンズアレイ1と、偏光分離層3を含む部分と、偏光回転層5を含む部分とが順次積層されている。偏光分離層3や偏光回転層5はそれぞれ透明な基板に挟まれている。あるいは、より薄型化するために、偏光分離層3と偏光回転層5の間の基板部分を一枚の基板で共通化しても良いし、レンズアレイ1を偏光分離層3の一方の基板として利用しても良い。
入射光7として自然光を用いた場合、光の偏光方向は一定ではない。この自然光は凸レンズ機能を有するレンズアレイ1によって絞られる。レンズアレイ1の焦点距離は偏光回転層5近傍に設定されている。レンズアレイ1の配列は格子状でも良いが、加工の容易性からストライプ状レンズアレイ、いわゆるレンチキュラーレンズが好ましい。また、レンズアレイ1の表面には図示しない反射防止膜を設けても良い。
本発明では数十μmから数mm、好ましくは数十μmから数百μmの幅のライン状マイクロレンズを複数列並べたものを集光用に用いる。作製法は、例えばガラス基板のフォトリソグラフィーとエッチング加工で作製するもの、光学ガラスをプレス形成して作製するものその他多数の方法が報告されている。また、レンズ材質やプロセスも多岐に渡っている。本発明では以下に示すような透明樹脂を用いて、原版からレプリカをとって作製したものが、多少の変形に耐えられるものとして好ましい。また、レンズアレイに用いられる透明樹脂例としては、MMA、PMMA、ポリカーボネート、ポリプロピレン、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ABS樹脂、ポリアリレート、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、エポキシ樹脂、ポリ−4−メチルペンテン−1、フッ素化ポリイミド、フッ素樹脂、フェニキシ樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ナイロン樹脂等の透明樹脂が用いられる。透明樹脂を用いると、軽い、曲げやすい等の利点が有るので利用しやすい。
具体例としては、エドモンドオプティクスジャパン社から提供されるレンチキュラーレンズなどを用いることが出来る。厚みが1mmから2mm程度のアクリル樹脂製で透過率は90%以上と高い。
次に偏光分離層3について説明する。図2は第1の実施の形態に係る偏光分離層の断面概略図(a)と上面概略図(b)である。偏光分離層3としては、偏光選択性を有する偏光選択性ホログラムを用いることが好ましい。偏光選択性とは入射するP偏光成分とS偏光成分で回折効率が異なることであり、一方の偏光成分は高い回折効率で回折し、他方の偏光成分は殆ど回折しないことから出射角度の違いとして偏光成分を分離することが出来る。一般にホログラム層は数十μm程度と薄く、基板の厚みを含めても十分に薄型化することが出来る。特に基板として厚み数百μm程度のフィルムを用いると、軽い、曲げやすい等の利点が有るので利用しやすい。
偏光選択性ホログラムとしては、サブμmから数十μm程度のピッチの凹凸形状あるいは鋸歯形状の基板4表面と液晶材料である複屈折媒質32の組合せにより実現される。図2(a)と図2(b)に偏光分離層3および透明基板2、4も含む部分の断面図と上面図を示す。この図2を用いて、凹凸形状の基板表面と複屈折媒質32との組み合わせによる偏光選択性ホログラムの構成について説明を行う。透明基板4の表面にフォトリソグラフィー法あるいはナノインプリント法とエッチング法により凹凸形状を作製する。凹部の深さは数μm程度が好ましいが、複屈折媒質32との屈折率差によって回折効率が最大となるような深さが設定される。図2では凹凸は紙面垂直方向に伸びたストライプ状である。対向基板として平板な透明基板2を用い、表面に配向膜31を形成する。基板2としては光学的に等方的で透明ならば、ガラスやプラスチックあるいはフィルムなどを用いることが出来る。二枚の基板2、4の間にはスペーサー部材を配置しても良い。
配向膜31の配向方向は紙面垂直方向に設定してある。二枚の基板中に複屈折媒質の液晶材料32を封入すると配向膜31の配向規制力と凹凸形状の影響で複屈折媒質の液晶材料32が紙面垂直方向に配向する。ここで、複屈折媒質の液晶材料32の常光屈折率noと凹凸基板4の屈折率nを略等しく設定すると、入射したP偏光成分は凹凸形状と複屈折媒質の液晶材料32の屈折率差を感じないためにホログラムとして機能せず、光は直進したまま出射する。一方、S偏光成分は、複屈折媒質の液晶材料32の異常光屈折率neと凹凸基板4の屈折率nの屈折率差を感じるため回折して出射する。ここで、図2のように凹凸形状が矩形的である場合、回折光はプラス側とマイナス側の両方に現れる。すなわち、P偏光成分は0次光8aとして直進し、S偏光成分はプラスマイナス1次光8b、8cとして回折する。S偏光成分はさらに高次光として回折される場合もある。ここで、凹凸の形状のピッチ、凹部の幅と凸部の幅の比率、凹部の深さ、基板の屈折率、複屈折媒質の液晶材料32の配向方向、複屈折媒質の液晶材料32の屈折率などは、使用する光波長や回折角度により適宜設定される。
偏光選択性ホログラムの他の構成として、鋸歯形状の表面形状を有する基板と複屈折媒質の液晶材料32の組合せも使用できる。この組み合わせの場合、回折光が一方の側に現れるため、分離した偏光成分の取り扱いが単純化され、後述する偏光回転層5の周期構造の設定が容易になる。更に偏光選択性ホログラムの他の構成として、液晶性ポリマーなどの複屈折媒体表面に凹凸形状と等方性媒質の組合せ、ホログラフィックポリマー分散液晶なども使用できる。
具体例としては、厚み0.5mmのBK7ガラス基板表面に約3μmのSiON膜を製膜し、電子ビーム描画によるレジストパターン形成とエッチング加工によって、SiON膜にピッチ1μm、凹部の幅約0.3μm、凸部の幅約0.7μm、凹部の深さ約2μmの形状を作製した。対向基板2として厚み0.5mmのBK7を用い、ポリイミド系の配向膜31を800オングストロームの厚みで形成し、ラビング処理を行った。凹凸基板4の溝の方向とラビング方向一致するように、空セルを作製し、真空注入法を用いて複屈折媒質の液晶材料32(メルク社製ZLI2248)を注入した。青色レーザーを用いて図2のように回折効率の偏光選択性を確認したところ、P偏光は透過率90%で直進し、S偏光はプラスマイナス1光の回折効率がそれぞれ35%で合計70%が得られた。
次に偏光回転層5について説明する。図3は第1の実施の形態に係る偏光回転層および透明基板も含む部分の一例を図示したものである。偏光回転層5は重合性液晶と光重合開始剤を含む液晶組成物を有する液晶組成物領域を透明基板4、6間に保持し、光照射により形成した偏光回転領域54および偏光非回転領域55が周期的に配列されている。図3では後述するツイストネマチック配向を利用した例をしめしているが、この配向状態に限らず水平配向による1/2波長板の配向状態でも良い。
基板4、6としては光学的に等方的で透明ならば、ガラスやプラスチックあるいはフィルムなどを用いることが出来る。二枚の基板4、6の間にはスペーサー部材を配置しても良い。スペーサー部材としては、液晶表示装置に用いられるような球形スペーサー、ファイバースペーサー、フィルムなどを用いることが出来る。また、フォトリソグラフィーとエッチングあるいは成型技術などによって基板表面に突起形状を加工しても良い。スペーサー部材は偏光回転層の有効領域外に形成することが好ましい。スペーサー部材の高さは数μmから数十μm範囲が好ましく、液晶層のリタデーションあるいは旋光性が所望の値を示すよう適宜設定される。
重合性液晶としては、単官能の液晶アクリレートモノマー、液晶メタアクリレートモノマー、二官能の液晶ジアクリレートモノマー、液晶ジメタアクリレートモノマーなどが用いられる。これらの材料は、官能基であるアクリロイルオキシ基と液晶骨格の間にメチレン鎖を有していても良い。具体例としては、大日本インキ化学製の液晶アクリレートモノマーUCL001などを用いることが出来る。
光重合開始剤としては、公知の材料を用いることができ、例えばビアセチル、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾインアルキルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−クロロチオキサントン、メチルベンゾイルフォーメート、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、α−アミノアルキルフェノン、ビスアシルフォスフィンオキサイド、メタロセンなどを例示することができる。光重合開始剤の添加量は照射する光の波長に対する各材料の吸光度によっても異なるが、モノマーまたはプレポリマー全量に対して0.1重量%以上10重量%以下であることが好ましく、0.5重量%以上3重量%以下であることがより好ましい。
具体例としては、青色光で露光する場合には、メタロセン系光重合開始剤(チバガイギー製イルガキュア784)を0.5重量部程度添加することが出来る。
具体例としては、青色光で露光する場合には、メタロセン系光重合開始剤(チバガイギー製イルガキュア784)を0.5重量部程度添加することが出来る。
この液晶組成物を二枚の基板4、6間で配向させるための配向膜51、53が基板面に用いられている。入射した偏光成分の偏光面が回転して出射する配向状態としては、水平配向した液晶の配向方向を偏光面に対して所望の角度傾けて設定し、液晶層のリタデーションを1/2波長に設定する場合と、ツイストネマチック配向の旋光性を利用する場合のいずれかを用いることが好ましい。
リタデーションを1/2波長に設定した液晶位相差板の場合、液晶組成物を二枚の基板間で平行配向させるための配向膜が基板面に設けられている。配向膜としてはポリイミドなどを用い、配向膜の配向処理方法としてはラビング法や偏光紫外線照射などによる光配向法を用いることが出来る。上下基板の配向処理方向を平行にし、液晶の配向方向を偏光面に対して45度程度傾けて設定することで、出射光の偏光面を90度回転させることが出来る。この場合、使用する光の波長と液晶材料の複屈折に応じて、液晶層の厚みを設定するため、各波長に対して専用の液晶厚みを設定する必要がある。
図4、図5はTN配向した液晶組成物を含む液晶組成物領域を有した液晶変換素子の断面概略図である。
ツイストネマチック配向の旋光性を利用する場合、液晶組成物を二枚の基板4、6間でツイストネマチック(TN)配向させるための配向膜51、53が基板面に設けられている。配向膜51、53としてはポリイミドなどを用い、配向膜51、53の配向処理方法としてはラビング法や偏光紫外線照射などによる光配向法を用いることが出来る。上下基板4、6の配向処理方向を直交させることでTN配向の液晶層52を形成することが出来る。このとき、TN配向を安定化させるために液晶組成物にカイラル剤を添加しても良い。また、配向膜51、53の配向処理方向は、前述の偏光分離層3の回折格子のストライプ構造の方向に対して平行あるいは直交するように設定する、すなわち、偏光回転層5に入射するP偏光7a成分あるいはS偏光7b成分と直交するように設定する。ツイストネマチック配向の場合、偏光回転作用が旋光性であり、比較的広い波長範囲で偏光面を回転させることが出来る。
ツイストネマチック配向の旋光性を利用する場合、液晶組成物を二枚の基板4、6間でツイストネマチック(TN)配向させるための配向膜51、53が基板面に設けられている。配向膜51、53としてはポリイミドなどを用い、配向膜51、53の配向処理方法としてはラビング法や偏光紫外線照射などによる光配向法を用いることが出来る。上下基板4、6の配向処理方向を直交させることでTN配向の液晶層52を形成することが出来る。このとき、TN配向を安定化させるために液晶組成物にカイラル剤を添加しても良い。また、配向膜51、53の配向処理方向は、前述の偏光分離層3の回折格子のストライプ構造の方向に対して平行あるいは直交するように設定する、すなわち、偏光回転層5に入射するP偏光7a成分あるいはS偏光7b成分と直交するように設定する。ツイストネマチック配向の場合、偏光回転作用が旋光性であり、比較的広い波長範囲で偏光面を回転させることが出来る。
このようにして図4のようにTN配向した液晶組成物を含む液晶組成物領域を形成する。次に図5のように所望の領域を光照射してTN配向状態を重合固化させ、偏光回転領域57を形成する。このとき、レンズアレイ1のピッチに対応した開口マスクなどを用いて所望のピッチの領域のみを露光する。例えば、前述の光重合開始剤に感度がある青色光で露光する。その後、液晶組成物の未硬化部において、入射した偏光成分の偏光面が回転しないで出射する配向状態に転移させた状態で、全面的あるいは部分的な光照射により重合固化させて偏光非回転領域を形成する。入射した偏光成分の偏光面が回転しないで出射する配向状態に転移させた状態とは、例えば図3のような垂直配向状態、捻れがない水平配向状態、等方相の状態がある。これらの状態は電界や磁界など印加や加熱によって得ることが出来る。
図3のような偏光回転層5では、偏光回転領域54にP偏光7aのみが入射した場合、TN配向で固定化された液晶ポリマー部の旋光性よってS偏光7b成分と同一偏光方向のS偏光8dとなって出射する。一方、偏光非回転領域55にS偏光7bのみが入射した場合、そのままS偏光8d’が出射する。なお、出射される偏光方向をP方向に揃えるには、S偏光の入射する位置に偏光回転領域54を設け、P偏光の入射する位置に偏光非回転領域55を設けることにより対応することが可能である。レンズアレイS偏光1の各レンズの中心位置に対して偏光回転層5の偏光回転領域54の位置が対応するようにレンズアレイ部と偏光分離層3を含む部分と偏光回転層5を含む部分を位置合わせして張り合わせる。このとき、各基板の厚みを調整して、レンズアレイ1の焦点距離と偏光回転層5までの距離の関係や、前述の偏光分離層3での回折角度と偏光回転層5での距離の関係を最適化することで、図1のようにレンズアレイ1で集光された光の内、P偏光7a成分は偏光分離層3で回折せずに偏光回転層5の偏光回転領域54内にのみ集光され、S偏光8dへと旋光される。一方、レンズで集光された光の内、S偏光7b成分は偏光分離層3で回折して偏光回転層5の偏光非回転領域55内にのみ集光されてS偏光8d’のまま出射する。したがって、レンズアレイ1に入射した自然光(無偏光)7をS偏光8成分に変換して出射させることができる。なお、偏光分離層3や偏光回転層5の特性の設定を変化させることで、自然光をP偏光に偏光することも可能である。本発明では、レンズアレイ1と偏光回転層5の位置合わせ工程が必要ではあるが、偏光回転領域54と偏光非回転領域55の周期構造を同一の材料を用いたマスク露光と配向変化処理後の全面露光のような比較的簡単な工程で作製することが出来る。
(第2の実施の形態)
図6は第2の実施の形態に係る偏光変換素子の断面概略図である。
第2の実施の形態では、TN配向した液晶組成物を含む液晶組成物領域に対して前記レンズアレイ1を通して集光したP偏光あるいはS偏光のいずれか一方の偏光成分の光で照射することで重合固化した偏光回転領域を形成する。図6にP偏光7cのみを照射した場合を示す。第1の実施の形態では偏光回転領域を形成した後、レンズアレイ1および偏光分離層3と偏光回転層5を貼りあわせたが、ここでは偏光回転層5が未硬化の状態で貼りあわせるか、あるいは液晶封入前の空セルの状態で貼りあわせた後、液晶を注入する。この場合の貼り合わせ工程では位置合わせの精度は悪くても良いので、貼り合わせ工程が大幅に簡略化できて生産性が向上する。
図6は第2の実施の形態に係る偏光変換素子の断面概略図である。
第2の実施の形態では、TN配向した液晶組成物を含む液晶組成物領域に対して前記レンズアレイ1を通して集光したP偏光あるいはS偏光のいずれか一方の偏光成分の光で照射することで重合固化した偏光回転領域を形成する。図6にP偏光7cのみを照射した場合を示す。第1の実施の形態では偏光回転領域を形成した後、レンズアレイ1および偏光分離層3と偏光回転層5を貼りあわせたが、ここでは偏光回転層5が未硬化の状態で貼りあわせるか、あるいは液晶封入前の空セルの状態で貼りあわせた後、液晶を注入する。この場合の貼り合わせ工程では位置合わせの精度は悪くても良いので、貼り合わせ工程が大幅に簡略化できて生産性が向上する。
未硬化の液晶を注入すると前述の図4と同様にTN配向を示すので、この状態でレンズアレイを通してP偏光7cのみで露光すると、図6のように偏光回転層中(未硬化TN液晶層)9にレンズピッチに対応した集光部が形成され、TN液晶配列を固定化した偏光回転領域がされる。前記偏光回転領域を形成した後、液晶組成物領域の未硬化部において、入射した偏光成分の偏光面が回転しないで出射する配向状態に転移させた状態で光照射により重合固化させて偏光非回転領域を形成することは前述と同様であるため省略する。
本発明ではレンズアレイ1のピッチに対応して形成すべき偏光回転領域を、レンズアレイ1により集光された光を用いて自己整合的に形成することが出来るので、レンズアレイ1と偏光回転領域の位置合わせ工程が不要になる。したがって低コスト化が可能になる。
(第3の実施の形態)
図7に第3の実施の形態に係る偏光回転層5と透明基板4、6を含む部分の断面概略図を示す。
第3の実施の形態では、偏光回転層5の液晶組成物領域の有効領域内に電界印加可能な透明電極10を有し、液晶組成物が正の誘電異方性を有し、偏光回転領域57を形成した後の液晶組成物領域の未硬化部における、入射した偏光成分の偏光面が回転しないで出射する配向状態が、液晶組成物領域の厚み方向への電界印加によるホメオトロピック配向状態である。前述した透明基板4、6にITOなどの透明電極膜10を形成し、その上に前述した配向膜51、53を形成する。未硬化の液晶を注入すると前述の図4と同様にTN配向を示すので、この状態でレンズアレイ1を通してP偏光7cのみで露光すると、図6のように偏光回転層5中にレンズピッチに対応した集光部が形成され、TN液晶配列を固定化した偏光回転領域57がされる。正の誘電異方性を有する重合性液晶の具体例としては、前述の大日本インキ化学製の液晶アクリレートモノマーUCL001に、正の誘電異方性を有する非重合性液晶であるE7を5wt%程度添加したものを用いることが出来る。
図7に第3の実施の形態に係る偏光回転層5と透明基板4、6を含む部分の断面概略図を示す。
第3の実施の形態では、偏光回転層5の液晶組成物領域の有効領域内に電界印加可能な透明電極10を有し、液晶組成物が正の誘電異方性を有し、偏光回転領域57を形成した後の液晶組成物領域の未硬化部における、入射した偏光成分の偏光面が回転しないで出射する配向状態が、液晶組成物領域の厚み方向への電界印加によるホメオトロピック配向状態である。前述した透明基板4、6にITOなどの透明電極膜10を形成し、その上に前述した配向膜51、53を形成する。未硬化の液晶を注入すると前述の図4と同様にTN配向を示すので、この状態でレンズアレイ1を通してP偏光7cのみで露光すると、図6のように偏光回転層5中にレンズピッチに対応した集光部が形成され、TN液晶配列を固定化した偏光回転領域57がされる。正の誘電異方性を有する重合性液晶の具体例としては、前述の大日本インキ化学製の液晶アクリレートモノマーUCL001に、正の誘電異方性を有する非重合性液晶であるE7を5wt%程度添加したものを用いることが出来る。
次に、透明基板4、6間に100Hzから10kHzの交流電界を印加すると、液晶組成物は正の誘電異方性を有するので、未硬化領域の液晶が基板4、6に対して垂直方向に配向する。いわゆるホロオトロピック配向に転移する。この状態で例えば裏面側から全面露光することで、確実にホメオトロピック配向が固定化され、良好な偏光非回転領域58が形成される。
この場合、偏光回転層5の偏光非回転領域58を形成する時の露光時において、電界印加によってホメオトロピック配向状態にしているので、確実に光学軸の方向を垂直方向に設定できる。したがって、偏光非回転領域58での偏光面の回転を防止し、偏光変換効率の低下を防止出来る。
しかしながら、偏光回転層5を支持する透明基板4、6に透明電極10を形成する必要があり、コストアップの要因となる。そこで、偏光変換素子の構成部材中には透明電極10を設けず、電界印加時のみ透明電極10を形成した外部基板で挟むことも出来る。
(第4の実施の形態)
図8は第4の実施の形態に係る偏光回転層5と透明基板4、6を含む部分の断面概略図を示す。
第4の実施の形態では、偏光回転領域57を形成した後の液晶組成物領域の未硬化部における、入射した偏光成分の偏光面が回転しないで出射する配向状態が、液晶組成物を加熱することによって得られる等方相の状態である。前述のようにTN配向を示す未硬化の液晶に対して、レンズアレイ1を通してP偏光7cのみで露光すると、図6のように偏光回転層5中にレンズピッチに対応した集光部が形成され、TN液晶配列を固定化した偏光回転領域57がされる。
図8は第4の実施の形態に係る偏光回転層5と透明基板4、6を含む部分の断面概略図を示す。
第4の実施の形態では、偏光回転領域57を形成した後の液晶組成物領域の未硬化部における、入射した偏光成分の偏光面が回転しないで出射する配向状態が、液晶組成物を加熱することによって得られる等方相の状態である。前述のようにTN配向を示す未硬化の液晶に対して、レンズアレイ1を通してP偏光7cのみで露光すると、図6のように偏光回転層5中にレンズピッチに対応した集光部が形成され、TN液晶配列を固定化した偏光回転領域57がされる。
次に、素子全体を液晶組成物の等方相転移温度以上に加熱した状態で、例えば裏面側から全面露光することで、等方相の状態が固定化され、良好な偏光非回転領域59が形成される。
具体例としては大日本インキ化学製の液晶アクリレートモノマーUCL001の等方相転移温度は約46℃であるため、素子を約50℃に加熱して感度がある青色光を照射した。
この場合、電界印加工程を行うことなく、確実に光学的に等方的な領域を設定できる。したがって、簡単な素子構成で、偏光非回転領域59での偏光面の回転を防止し、偏光変換効率の低下を防止出来る。
(第5の実施の形態)
図9は第5の実施の形態における偏光変換素子の断面概略図を示す。
第5の実施の形態では、偏光回転層5を重合固化させる工程で使用する光は、第1あるいは第2の偏光成分のみに切換え可能に構成する。例えば、光源として自然光7を用い、直線偏光板を回転させることで偏光成分を切換えることが出来る。
図9は第5の実施の形態における偏光変換素子の断面概略図を示す。
第5の実施の形態では、偏光回転層5を重合固化させる工程で使用する光は、第1あるいは第2の偏光成分のみに切換え可能に構成する。例えば、光源として自然光7を用い、直線偏光板を回転させることで偏光成分を切換えることが出来る。
まず、前述の図6のようにツイストネマチック配向した液晶組成物に対してレンズアレイを通して集光したP偏光7c成分の光で照射することで重合固化した偏光回転領域57を形成する。その後、前述のように電界あるいは加熱などによって偏光面が回転しないで出射する配向状態に転移させた状態で、図9のようにS偏光7d成分の光で照射する。S偏光7dの光は偏光分離素子で回折し、偏光回転層5の偏光非回転領域を照射する。すなわち、偏光回転層5を露光する光の偏光成分を切換えることで、偏光分離層5を透過する光の光路が切り替わり、偏光回転層5上での異なる領域を露光することできる。裏面からの露光が不要であり、光源をレンズアレイ1側に設置するだけで、偏光回転層5の略全体を露光できる。
以上の実施の形態では、偏光分離層3として図2のような微細加工基板を用いているが、後述のような微細加工基板を必要とない偏光分離層3を用いることも可能である。
(第6の実施の形態)
図10は第6の実施の形態に係る偏光変換素子の断面概略図を示す。
第6の実施の形態は、図10のように偏光分離層3が、少なくとも、非重合性液晶と、重合性モノマーあるいはプレポリマーと、光重合開始剤と、を含み、当該偏光分離層を二光束干渉露光することにより、主にポリマーから成る層と主に非重合性液晶から成る層との周期的な相分離構造を形成したホログラフィックポリマー分散液晶層11である。この場合、二光束の角度や波長を調整することで所望のピッチの体積ホログラムを作製することが出来る。また、干渉縞の方向と素子の配置角度を調整することで、素子内部で傾斜したホログラムの構造を自在に作製することが出来る。
図10は第6の実施の形態に係る偏光変換素子の断面概略図を示す。
第6の実施の形態は、図10のように偏光分離層3が、少なくとも、非重合性液晶と、重合性モノマーあるいはプレポリマーと、光重合開始剤と、を含み、当該偏光分離層を二光束干渉露光することにより、主にポリマーから成る層と主に非重合性液晶から成る層との周期的な相分離構造を形成したホログラフィックポリマー分散液晶層11である。この場合、二光束の角度や波長を調整することで所望のピッチの体積ホログラムを作製することが出来る。また、干渉縞の方向と素子の配置角度を調整することで、素子内部で傾斜したホログラムの構造を自在に作製することが出来る。
非重合性液晶としては、屈折率異方性を有する液晶ならば一般的なものを使用できる。液晶材料を選択する時は、あるオーダーパラメーターの配向状態において、重合性モノマーあるいはプレポリマーの硬化層の屈折率と等しい屈折率となる液晶材料を選択してもよく、また、液晶材料を選択してから、その液晶のあるオーダーパラメーターの配向状態での屈折率と同じ屈折率になるように重合性モノマーあるいはプレポリマーを選択してもよい。
非重合性液晶としては、ネマチック、コレステリック、スメクチックのいずれのタイプでも良く、従来公知のビフェニル、ターフェニル、フェニルシクロヘキサン、ビフェニルシクロヘキサン、安息香酸フェニルエステル、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル、フェニルピリミジン、フェニルジオキサン、トラン、1−フェニル−2−シクロヘキシルエタン、1−フェニル−2−ビフェニルエタン、1−シクロヘキシル−2−ビフェニルエタン、ビフェニルカルボン酸フェニルエステル、4−シクロヘキシル安息香酸フェニルエステルなどを骨格とし、アルキル基、アルコキシ基や誘電異方性を付与するための極性付与基としてのシアノ基、ハロゲン基などを置換基として有する液晶などを用いることができる。非重合性液晶材料は、重合性モノマーあるいはプレポリマーの合計量100重量部に対して20重量部〜500重量部の割合で使用されることが好ましい。
重合性モノマーまたはそのプレポリマーとしては、重合による硬化収縮が大きいものを用いることが好ましい。このような重合性モノマーとしては、エチレン性不飽和結合を有する光重合可能な化合物であって、1分子中に少なくともエチレン性不飽和二重結合を1個有する光重合、光架橋可能なモノマー、オリゴマー、プレポリマー及びそれらの混合物であり、モノマー及びその共重合体の例としては、不飽和カルボン酸及びその塩、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド等が挙げられるが、特に2官能以上の多官能性モノマーは硬化収縮が大きく、好適に使用できる。不飽和カルボン酸のモノマーとしてはアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸、及びそれらのハロゲン置換不飽和カルボン酸、例えば塩素化不飽和カルボン酸、臭素化不飽和カルボン酸、弗素化不飽和カルボン酸等が挙げられる。不飽和カルボン酸の塩としては前述の酸のナトリウム塩及びカリウム塩等がある。また、ウレタンアクリレート類、ポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸等の多官能性のアクリレートやメタクリレートを挙げることができる。また、上記の他に熱重合禁止剤、可塑剤等が添加されても良い。
光重合開始剤としては、前述と同様に公知の材料を用いることができる。光重合開始剤の添加量は照射する光の波長に対する各材料の吸光度によっても異なるが、モノマーまたはプレポリマー全量に対して0.1重量%以上10重量%以下であることが好ましく、0.5重量%以上3重量%以下であることがより好ましい。光重合開始剤の添加量が少なすぎる場合にはポリマーと液晶の相分離が起こり難くなり、必要な露光時間が長くなってしまう。逆に、光重合開始剤が多すぎる場合にはポリマーと液晶の相分離が不十分な状態で硬化してしまうため、ポリマー中に多くの液晶分子が取り込まれ、偏光選択性が小さくなるという問題がある。
次に相分離によるホログラム形成過程について図11を用いて説明する。
図11は第6の実施の形態に係るホログラフィックポリマー層11の形成過程を示す断面概略図、図12は第6の実施の形態に係るホログラフィックポリマー層の断面概略図である。
図示しない所望の波長のレーザー光源による二光束干渉露光系を用いて、モノマー/液晶混合液12を含む偏光分離層中に露光を行うと、干渉縞の明部において重合性モノマーあるいはプレポリマーの光重合反応が始まる。この時、硬化収縮が起こって密度差が生じ、隣接する重合性モノマーあるいはプレポリマーが明部に移動し更に重合が進行する。それと同時に明部に存在していた非重合性液晶が暗部に向かって追い出されることで相分離が起こる。この時、液晶分子が移動して行く際にモノマーやポリマー鎖との相互作用で液晶分子長軸を移動方向に配向させようとする力が働くと考えられる。すなわち、相分離過程において干渉縞の間隔方向に液晶分子を配向させようとする力が働くと考えられる。最終的には図12のように干渉縞の明暗のピッチに対応してポリマー層13と非重合性液晶層14の周期構造が形成され、液晶層14部の配向ベクトルが干渉縞の間隔方向を向いた状態が得られると考えられる。この干渉露光および相分離過程において、試料を適当な温度に加熱保持しておくことが好ましい。温度によって相分離の速度が変化し、液晶分子の配向性に影響を及ぼすと考えられる。最適な加熱温度は使用する材料によって異なるが40℃から100℃程度が好ましい。
図11は第6の実施の形態に係るホログラフィックポリマー層11の形成過程を示す断面概略図、図12は第6の実施の形態に係るホログラフィックポリマー層の断面概略図である。
図示しない所望の波長のレーザー光源による二光束干渉露光系を用いて、モノマー/液晶混合液12を含む偏光分離層中に露光を行うと、干渉縞の明部において重合性モノマーあるいはプレポリマーの光重合反応が始まる。この時、硬化収縮が起こって密度差が生じ、隣接する重合性モノマーあるいはプレポリマーが明部に移動し更に重合が進行する。それと同時に明部に存在していた非重合性液晶が暗部に向かって追い出されることで相分離が起こる。この時、液晶分子が移動して行く際にモノマーやポリマー鎖との相互作用で液晶分子長軸を移動方向に配向させようとする力が働くと考えられる。すなわち、相分離過程において干渉縞の間隔方向に液晶分子を配向させようとする力が働くと考えられる。最終的には図12のように干渉縞の明暗のピッチに対応してポリマー層13と非重合性液晶層14の周期構造が形成され、液晶層14部の配向ベクトルが干渉縞の間隔方向を向いた状態が得られると考えられる。この干渉露光および相分離過程において、試料を適当な温度に加熱保持しておくことが好ましい。温度によって相分離の速度が変化し、液晶分子の配向性に影響を及ぼすと考えられる。最適な加熱温度は使用する材料によって異なるが40℃から100℃程度が好ましい。
相分離によるポリマー層13と非重合性液晶層14の周期構造では、厳密にはポリマーと非重合性液晶が周期的に完全に分離することは困難であり、ここで言うポリマー層13とはポリマー成分が多い領域であり液晶分子を含んでいても良い。また、非重合性液晶層14とは非重合性液晶成分が多い領域でありポリマー成分を含んでいても良い。実際にはポリマー層13と液晶層14の界面は理想的な平面では無く凹凸状であると推測されるため、界面での液晶分子長軸方向のバラツキは大きく、液晶層14のオーダーパラメーターは比較的小さい状態となる。したがって、液晶層14部の複屈折は比較的小さくなる。
作製する周期構造のピッチは所望の回折角や波長によって異なるが、概ね0.2μmから10μmの範囲である。例えば、405nmの入射光に対して20°の回折角を得るためには、1.1μm程度のピッチ、650nmの入射光に対しては2.3μm程度のピッチが必要となる。ポリマー層と液晶層界面の傾斜角としては0°から20°程度が好ましい。露光量としては光重合開始剤の添加濃度や露光時の温度によっても異なるが、0.5J/cm2から30J/cm2が好ましく、1J/cm2から15J/cm2がより好ましい。
本実施の形態では、液晶部全体の常光屈折率noとポリマー部の屈折率npがほぼ一致するように液晶の種類とポリマーの種類の組合せを適宜設定することで、図12のようなS偏光7bの入射光に対しては液晶部全体の常光屈折率noとポリマー部の屈折率npの差を感じないため回折せず、P偏光7aの入射光に対しては液晶部全体の異常光屈折率neとポリマー部の屈折差を感じて回折するような偏光選択性ホログラムが比較的低コストで作製することができ、該偏光選択性ホログラムを用いた偏光変換素子では、無偏光7は、P偏光8eに変換される。
具体例としては、厚み0.15mmのガラス基板の片面に青色光に対する反射防止膜を形成し、粒径4μmのスペーサー粒子を接着剤中に分散させ有効領域外に塗布してガラス基板を貼り合せ。有効領域の幅は10mm角程度とした。次に以下の5種類の材料の混合物を約60℃に加熱しながら毛管法によりセル中に注入し、厚み約4μmの偏光分離層を形成した。なお、この偏光分離層は緑色より短波長の光に反応性を示すため赤色光を用いた暗室下で取り扱った。
(1)ネマチック液晶(メルク製ZLI−4850、Δε<0) 30重量部
(2)フェニルグリシジルエーテルアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー(共栄社化学製AH600) 75重量部
(3)ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート(共栄社化学製DCP−A)
10重量部
(4)2−ヒドロキシエチルメタクリレート(共栄社化学製HO) 5重量部
(5)メタロセン系光重合開始剤(チバガイギー製イルガキュア784) 0.5重量部
セル中に注入後、この偏光分離層は室温下において等方性を示した。
(2)フェニルグリシジルエーテルアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー(共栄社化学製AH600) 75重量部
(3)ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート(共栄社化学製DCP−A)
10重量部
(4)2−ヒドロキシエチルメタクリレート(共栄社化学製HO) 5重量部
(5)メタロセン系光重合開始剤(チバガイギー製イルガキュア784) 0.5重量部
セル中に注入後、この偏光分離層は室温下において等方性を示した。
次に波長442nm、出力80mWのHe−Cdレーザーによる二光束干渉露光系を作成した。レーザー光を分割、拡大して、1つの光束が約11mW/cm2程度の平行光として、2光束の交差角度を26度に設定した。この波長と交差角度では二光束の交差領域に約1μm周期の干渉縞が生成される。
セル基板を加熱装置に取り付け、約60℃に加熱した状態で、約5分間の2光束干渉露光を行い、ホログラム素子を作製した。この時、基板面の垂直方向に対して+13度と−13度の方向から2光束が入射するように設定した。
作製したホログラム素子の基板面に対して角度が13度の方向から波長442nmの直線偏光のレーザー光を照射して、入射光強度に対する+1次回折光強度を測定した。入射光強度は5mW程度になるようにNDフィルターを用いて調整した。入射光路中に直線偏光板と半波長板を配置し、半波長板の光軸を45度回転させることで、ホログラム素子に入射する偏光方向(P偏光、S偏光)を切り換え可能に構成し、+1次回折効率の偏光選択性を比較した。その結果、入射光に対する+1次回折光の出射角度は26度であり、
・P偏光の+1次回折効率=80%
・S偏光の+1次回折効率=0.5%
と大きな偏光選択性を示した。
・P偏光の+1次回折効率=80%
・S偏光の+1次回折効率=0.5%
と大きな偏光選択性を示した。
1 レンズアレイ
2 基板(レンズアレイ−偏光分離層間)
3 偏光分離層
4 基板(偏光分離層−偏光回転層間)
5 偏光回転層
6 基板(出射面を有する)
7 入射光
8 出射光
9 未硬化TN液晶層
10 透明電極
11 ホログラフィックポリマー分散液晶層
12 モノマー/液晶混合液
13 ポリマー層
14 液晶層
31 配向膜(偏光分離層部)
32 液晶材料(複屈折媒質)
51、53 配向膜(偏光回転層部)
54 偏光回転領域
55 偏光非回転領域
56 TN液晶層
57 偏光回転領域(TN配向)
58 偏光非回転領域(垂直配向)
59 偏光非回転領域(等方相)
2 基板(レンズアレイ−偏光分離層間)
3 偏光分離層
4 基板(偏光分離層−偏光回転層間)
5 偏光回転層
6 基板(出射面を有する)
7 入射光
8 出射光
9 未硬化TN液晶層
10 透明電極
11 ホログラフィックポリマー分散液晶層
12 モノマー/液晶混合液
13 ポリマー層
14 液晶層
31 配向膜(偏光分離層部)
32 液晶材料(複屈折媒質)
51、53 配向膜(偏光回転層部)
54 偏光回転領域
55 偏光非回転領域
56 TN液晶層
57 偏光回転領域(TN配向)
58 偏光非回転領域(垂直配向)
59 偏光非回転領域(等方相)
Claims (12)
- 入射光を収束させるレンズアレイ層と、入射光を第1の偏光成分と第2の偏光成分とに分離して出射する偏光分離層と、第1の偏光成分を第2の偏光成分に変換する偏光回転領域および偏光非回転領域を周期的に形成する偏光回転層と、を有する偏光変換素子であって、
前記偏光回転層が、液晶組成物領域と、配向膜とを備え、
前記液晶組成物領域は、入射した偏光成分の偏光面が回転して出射する配向状態である偏光回転領域と、入射した偏光成分の偏光面が回転しないで出射する配向状態である偏光非回転領域と、を備えたことを特徴とする偏光変換素子。 - 前記入射した偏光成分の偏光面が回転して出射する配向状態が、ツイストネマチック配向状態であることを特徴とする請求項1に記載の偏光変換素子。
- 前記入射した偏光成分の偏光面が回転しないで出射する配向状態が、ホメオトロピック配向状態であることを特徴とする請求項1または2に記載の偏光変換素子。
- 前記入射した偏光成分の偏光面が回転しないで出射する配向状態が、等方相の状態であることを特徴とする請求項1または2に記載の偏光変換素子。
- 前記偏光分離層が、主にポリマーから成る層と、主に非重合性液晶から成る層との周期的な相分離構造を形成したホログラフィックポリマー分散液晶層であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の偏光変換素子。
- 入射光を収束させるレンズアレイ層と、入射光を第1の偏光成分と第2の偏光成分とに分離して出射する偏光分離層と、第1の偏光成分を第2の偏光成分に変換する偏光回転領域および偏光非回転領域を周期的に形成する偏光回転層と、を設けた偏光変換素子の作製方法であって、
前記偏光回転層が、少なくとも、重合性液晶と光重合開始剤とを含む液晶組成物を有する液晶組成物領域と、配向膜とを備え、
前記液晶組成物領域は、入射した偏光成分の偏光面が回転して出射する配向状態を示し、その一部を光照射によって重合固化して偏光回転領域を形成し、
前記偏光回転領域を形成した後、液晶組成物領域の未硬化部を、入射した偏光成分の偏光面が回転しないで出射する配向状態に転移させた状態で光照射によって重合固化して偏光非回転領域を形成したことを特徴とする偏光変換素子の作製方法。 - 前記液晶組成物領域に対して、前記レンズアレイを通して集光した第1あるいは第2のいずれか一方の偏光成分で光照射することで重合固化させて偏光回転領域を形成したことを特徴とする請求項6に記載の偏光変換素子の作製方法。
- 前記入射した偏光成分の偏光面が回転して出射する配向状態が、ツイストネマチック配向状態とすることを特徴とする請求項6または7に記載の偏光変換素子の作製方法。
- 前記偏光回転層の液晶組成物領域の有効領域内に電界印加可能な透明電極を有し、
前記液晶組成物が正の誘電異方性を有し、
前記偏光回転領域を形成した後の液晶組成物の未硬化部における、入射した偏光成分の偏光面が回転しないで出射する配向状態が、液晶組成物の厚み方向への電界印加によるホメオトロピック配向状態とすることを特徴とする請求項6乃至8の何れか1項に記載の偏光変換素子の作製方法。 - 前記偏光回転領域を形成した後の液晶組成物の未硬化部における、前記入射した偏光成分の偏光面が回転しないで出射される配向状態が、液晶組成物を加熱することによって得られる等方相の状態とすることを特徴とする請求項6乃至8の何れか1項に記載の偏光変換素子の作製方法。
- 前記重合固化で用いられる光は、第1あるいは第2の偏光成分のみに切換え可能であり、
前記入射した偏光成分の偏光面が回転して出射する配向状態を示す液晶組成物に対して、前記レンズアレイを通して集光して第1あるいは第2のいずれか一方の偏光成分で光照射することで重合固化して偏光回転領域を形成し、
前記偏光回転領域を形成した後、液晶組成物領域の未硬化部において、入射した偏光成分の偏光面が回転しないで出射する配向状態に転移させた状態で、上記偏光回転領域とは異なる他方の偏光成分で光照射することで重合固化して偏光非回転領域を形成したことを特徴とする請求項6乃至9のいずれか1項に記載の偏光変換素子の作製方法。 - 前記偏光分離層が、非重合性液晶と、重合性モノマーあるいはプレポリマーと、光重合開始剤と、を含み、
当該偏光分離層を二光束干渉露光することにより、主にポリマーから成る層と主に非重合性液晶から成る層との周期的な相分離構造を形成したホログラフィックポリマー分散液晶層であることを特徴とする請求項6乃至11のいずれか1項に記載の偏光変換素子の作製方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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- 2006-09-14 JP JP2006249459A patent/JP2008070624A/ja active Pending
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