JP3601182B2 - 光ヘッド装置及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光磁気メディアの情報を読み取るための光ヘッド装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ミニディスク等の光磁気ディスクの光学的情報を読み取る光ヘッド装置には光偏光素子を用いている。その光ヘッド装置としては、光磁気ディスクの記録面から反射された信号光を検出部へ導光(ビームスプリット)する光学部品としてプリズム式ビームスプリッタを用い、その出射光を光偏光素子を通して複数の回折光に分けて検出部で光を検出している。
【0003】
この光偏光素子としては、LiNbO3 等の複屈折単結晶を加工した2つの異なる結晶方向をもった結晶片を接合せしめたものが使用されていた。しかし、これらの単結晶の光偏光素子は、単結晶を用いているため、また、その加工が複雑なため高価なものであり、大量生産が困難であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前述の問題を解決すべくなされたものであり、大量生産に適し、高い信頼性を有する光ヘッド装置の提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、光源からの光を光記録媒体に照射することにより、情報を読み取り及び/又は情報を書き込む光ヘッド装置であって、光源と光記録媒体との間に光源からの光を透過し光記録媒体からの反射光が光源に戻らないように光の光路を変えるビームスプリッタを配置し、この光路を変えられた反射光を回折素子を通過させて、複数の回折光に分けて検出部で光を検出する光ヘッド装置において、回折素子の2枚の透明基板の各々に周期的に電極が形成されていて、一方の透明基板の電極の幅が他方の透明基板の電極の幅より狭く、2つの電極が非対称に配設されていて、それらの電極に電界を印加しつつ液晶を硬化させることにより、高分子液晶の配向方向の周期的にな変化が形成されていることを特徴とする光ヘッド装置を提供する。また、その周期的に形成された電極の幅が、電極ピッチの20〜80%である光ヘッド装置を提供する。
【0007】
また、光学異方性回折素子の2枚の透明基板の少なくとも一方の基板の電極はパターニングしてあり、電極に電界を印加した際に、電極が対向していない部分では液晶は自然な配列をし、電極が対向している部分では強制的な配向をし、この状態で液晶を硬化させて、高分子液晶の配向方向が周期的に変化している光学異方性回折素子を形成したことを特徴とする上記光ヘッド装置を提供する。
【0008】
また、光学異方性回折素子の上に周期的に遮光パターンを形成したマスクを配置して、2枚の透明基板の電極全面に電界を印加しつつ又は電界を印加せずに、光露光により光が当たった部分のみ液晶を硬化させ、次いで電界の印加状態を変えて残りの部分を硬化させて、高分子液晶の配向方向が周期的に変化している光学異方性回折素子を形成したことを特徴とする上記光ヘッド装置を提供する。
【0009】
すなわち、高分子液晶の配向に周期的な構造を持たせることにより、光学異方性回折格子を形成し、光偏光素子を実現する。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の光ヘッド装置の模式図である。図1において、1は光源、2はビームスプリッタ、3は集光レンズ、4は光記録媒体、5は光学異方性回折格子、6A、6B、6Cは検出部である。なお、この図では分かりやすくするために、有効に利用される光のみを示している。
【0011】
光源1からでた光は、ビームスプリッタ2に入射するが、ある割合でそのまま透過し、集光レンズ3で集光されて光記録媒体4に到達する。この光記録媒体4で反射された光は、ビームスプリッタ2によりある割合で光路を変えられ光学異方性回折格子5に入射する。この光学異方性回折格子5では、その入射光の偏光方向に応じて光が回折するように回折格子が形成されていて、光が分けられて検出部6A、6B、6Cで検出される。
【0012】
ビームスプリッタ2は、図示のものはプリズムを組み合わせたものとされ、光源から光のある割合が直進し、光記録媒体からの反射光のある割合がその光路を90°曲げられ、再度90°曲げられて、光源とほぼ同じ位置にある検出部で光を検出するようにされている。
【0013】
なお、本発明におけるビームスプリッタは、光源からの光のある割合が透過し光記録媒体からの反射光のある割合が検出部に到達するようにされていればよい。たとえば、光源からの光が90°曲げられて光記録媒体に向かうようにされ、光記録媒体からの反射光が直進するようにされてもよい。また、この曲げられる角度も90°には限られない。なお、光ヘッド装置の小型化という面からは図1のような構成が有利である。
【0014】
本発明では、光源1から出た光は光記録媒体4に到達する前には光学異方性回折格子5を通過しない。このため、反射光はビームスプリッタを出て光学異方性回折格子を通過後に、再度鏡やプリズムで光路を変更されてもよい。
【0015】
また、検出部は図1では3個設けられているが、これの数や位置はその光ヘッドで要求される数の検出部を必要な位置に配置すればよい。
【0016】
本発明では、この光学異方性回折格子5が2枚の透明基板間に光学異方性を有する高分子液晶を挟持したものであり、その高分子液晶の配向方向が周期的に変化している光学異方性回折素子とされる。
【0017】
図2は、本発明で用いられる光学異方性回折素子の断面図である。図2において、11A、11Bはガラス、プラスチック等の透明基板、12A、12BはIn2 O3 −SnO2 (ITO)、SnO2 等の電極、13A、13Bはポリイミド、ポリアミド、SiO等の配向膜、14は高分子液晶、15はその水平配向部分、16はその垂直配向部分を示す。
【0018】
本発明の光学異方性回折素子では、その製造のために2枚の透明基板に電極を設ける。特に、その少なくとも一方の透明基板の高分子液晶に接する側の面に、周期的な電極を設けることが好ましい。具体的には、一方が周期的な電極で他方がべた電極、又は両方を周期的な電極とすることが好ましい。
【0019】
図3は、この周期的な電極の例の平面図である。電極のある部分22と電極のない部分21とが交互に周期的に並んで配置されている。図2のW1 は電極の幅、W2 は電極のない部分の幅、図2及び図3のW3 は電極のピッチである。この図2及び図3の例では、電極は2枚の基板とも同じ幅で両方ともストライプ状の周期的なパターンとされている。
【0020】
このような2枚の透明基板で未重合の液晶材料(液晶性モノマー)を挟持し、前記電極に電界を印加した状態で重合させることによって、周期的な配向構造を持った高分子液晶による光学異方性回折格子を形成する製造方法が好ましい。これにより、容易に配向状態が周期的に変化している高分子液晶が形成でき、光学異方性回折格子を生産性良く大量生産可能になる。
【0021】
このとき、未重合の液晶材料は、使用する液晶が正の誘電異方性を有する場合には、配向膜は水平配向するものを用いる。通常はラビング等により特定の方向に配向処理をしておく。このようにすると、電界を印加された部分は液晶分子が電界に平行で透明基板に垂直に配向する。電界を印加しない部分は、透明基板に平行で配向膜の配向処理方向に沿って配向する。
【0022】
図4は、この電界を印加している状態での液晶の配向状態を示す模式図である。この例は、正の誘電異方性のネマチック液晶を用いた例を示し、上側の基板の電極31A、31B、31Cには全て同じ極性の電界が印加され、同様に下側の基板の電極32A、32B、32Cには全て同じ極性の電界が印加されている。このため、電極が対向している部分35では、液晶は垂直配向する。一方、電極が対向していない部分36では、液晶はほぼ配向膜の配向処理方向に従って配向する。
【0023】
かなり高い電界を印加した場合には、この電極が対向していない部分36でも液晶分子が立ち上がり始めるが、本発明のような回折格子では特性が悪くなるので、通常は電極が対向している部分33、35、37でほぼ充分に液晶が垂直配向して、電極が対向していない部分34、36では、ほぼ水平配向して両部分での屈折率の差が大きくなるように電圧やその周波数(直流か交流かも含め)を定めればよい。
【0024】
使用する液晶材料が負の誘電異方性を有する場合には、配向膜は垂直配向するものを用いる。この場合にも、通常はラビング等により特定の方向に配向処理をしておく。このようにすると、電界を印加しない部分は透明基板に垂直に、電界を印加した部分は配向処理方向に沿って透明基板に平行に配向する。
【0025】
配向膜の配向能力の違いを利用して、フォトリソグラフィ法とラビング法の組合せによって、垂直配向領域と水平配向領域の周期的パターンを形成することもできる。また、電界を交互にかけることによって、電界分布を改善できる。この場合、配向膜は省略できる。
【0026】
図5は、この電界を印加している状態での液晶の配向状態を示す模式図である。この例も正の誘電異方性のネマチック液晶を用いた例を示し、上側の基板の電極41A、41B、41Cには1個おきに逆の極性の電界が印加され、同様に下側の基板の電極42A、42B、42Cには同様に1個おきに逆の極性の電界が印加されている。
【0027】
このため、電極が対向している部分43、45、47では、図4の例と同様に液晶は垂直配向する。一方、電極が対向していない部分44、46では、液晶は隣接電極間の電界の影響も受け、その方向に配向する。このため、配向膜を設けていなくても特定の方向に配向できる。
【0028】
上記の方法により、液晶材料の配向に分布を付与した状態のまま、熱、紫外線等により全体を高分子化することにより、配向の分布を固定したまま固化させうる。
【0029】
本発明の高分子液晶とは、未重合の液晶材料が液晶性を示せばよく、そのような未重合の液晶材料(液晶性モノマー)から生成したポリマーであって、ここでは0.02以上の屈折率異方性を示すものであればよい。この屈折率異方性は、大きいものが好ましく、0.1以上となるポリマーが好ましい。したがって高分子液晶自身が液晶性を示す必要はない。
【0030】
高分子液晶は液晶性モノマーを光又は熱によって重合して製造することが好ましい。特に紫外光又は可視光で重合しうる液晶モノマーは、フォトリソプロセスによってオンサイトで(基板上で直接)高分子液晶を製造でき、好ましい。
【0031】
液晶性モノマーとは室温又は光重合時の温度において液晶性を示すモノマーをいう。液晶性とはネマチック、スメクチック、コレステリックなど公知の液晶相を示すことをいうが、螺旋のピッチが短いコレステリックの場合は本発明にそぐわず不適である。
【0032】
液晶性モノマーとしては、アクリル酸又はメタクリル酸等のエステル類中から選ぶのが好ましい。エステルを形成するアルコール残基にフェニル基が1個以上、特には2個又は3個含まれていることが好ましい。さらにエステルを形成するアルコール残基にシクロヘキシル基が1個含まれていてもよい。液晶性モノマーはその液晶として存在できる温度範囲を広げるために、2成分以上混合して用いうる。
【0033】
本発明の態様では、前記2枚の透明基板には各々電極が設けられ、2つの電極の一方は周期的に形成されていることが好ましい。このような構成により、周期的に形成された分割電極に相当する部分と、分割電極が形成されていない部分とで、電界印加時の液晶材料の配向状態を異なるようにでき、光学異方性回折格子を電界により容易に形成できる。
【0034】
前記の図の例のように、2つの電極の両方が周期的に形成されてなり、前記2枚の透明基板間において前記2つの電極を対称とすると、この光学異方性回折格子を出射した±1次回折光を両方ともほぼ同じ回折効率となしうる。
【0035】
また、本発明の別の態様では、2つの電極の両方が周期的に形成されてなり、前記2枚の透明基板間において前記2つの電極が非対称とされる。具体的には、たとえば、図4の例で見た場合、電極31Aに対して電極32Aがその右側だけ電極32B側に出ており、電極32Aの幅が電極31Aの幅よりも広くされる。
【0036】
こうすることにより、高分子液晶セルが形成された状態において、2枚の透明基板間の中心に位置し2枚の透明基板に平行な中心面に関して、非対称になる。このような構成により、2つの電極の各々の分割電極は、その位置及び大きさが異なる状態で対面することになり、上下一対の分割電極でみた場合、高分子液晶の分割電極による配向部を左右非対称となしうる。したがって、±1次回折光のうちいずれかの回折効率が高い光学異方性回折格子を電界により容易に形成できる。
【0037】
本発明では、前記したように少なくとも一方の透明基板の液晶と接する側の面に配向膜が設けられ、少なくとも一方の配向膜が周期的に配向力の異なる配向膜を含んでいるようにもなしうる。このような配向力の周期的に変化している分割配向膜を用いても、高分子液晶の配向状態に分布を付与できる。さらには、周期の方向における高分子液晶の配向状態を左右非対称ともなしうる。したがって、±1次回折光のうちいずれかの回折効率が部分的に高い光学異方性回折格子を容易に形成できる。
【0038】
さらに、2枚の透明基板の両方の配向膜を分割配向膜ともなしうる。このため、高分子液晶セルが形成された状態において、2枚の透明基板間の中心に位置し2枚の透明基板に平行な中心面に関して、配向状態を非対称となしうる。このような構成により、2つの配向膜の各々の分割配向膜は、上下1対の分割配向膜でみた場合、高分子液晶の分割配向膜による配向部を左右非対称となしうる。したがって、±1次回折光のうちいずれかの回折効率が高い光学異方性回折格子を配向膜により容易に形成できる。
【0039】
また、本発明のさらに別の態様では、光学異方性回折素子の上に周期的に遮光パターンを形成したマスクを配置して、2枚の透明基板の電極全面に電界を印加しつつ、又は電界を印加せずに光露光により光が当たった部分のみ液晶を硬化させ、次いで電界の印加状態を変えて残りの部分を硬化させて、高分子液晶の配向方向が周期的に変化している光学異方性回折素子を形成することもできる。
【0040】
さらには、このようなマスクを用いて、基板の外側に電極を配置して電界を印加したり、基板の外側から磁界を印加したりして周期的な配向を形成するようにしてもよい。
【0041】
本発明の光ヘッド装置は、光学的には以下のように機能する。なお、光学異方性回折格子は、紫外線硬化性の未重合の正の誘電異方性のネマチック液晶を用いて、紫外線硬化を行い図2のように構成したものを用いたとして説明する。
【0042】
光源から出射して光記録媒体で反射して、ビームスプリッタで光路を変更され、光学異方性回折格子に入射する。このとき、S偏光(図2の紙面に垂直な偏光成分)に対しては、光学異方性回折格子は水平配向部分と垂直配向部分とが光学的に一様、すなわち両方の部分とも常光屈折率になる。このため、光が何の変化も受けず透過する。
【0043】
一方、P偏光(図2の紙面に平行な偏光成分)は、垂直配向部分と水平配向部分との屈折率が異なることになる。すなわち、垂直配向部分は常光屈折率、水平配向部分は異常光屈折率となる。このため、回折格子として認識され、理論上は+1次光として〜40%、−1次光として40%の回折光が得られ、透過光は理論的にはゼロにすることができる。残りは高次光となる。
【0044】
そのため、たとえば透過光量、±1次回折光量の相対強度比を測定することによって、光記録媒体からの反射光の偏光状態及びその変化を読み取りうる。
【0045】
この例の光学異方性回折格子は、電極の幅を2枚の基板で同じにしたが、2枚の透明基板に各々設けられた2つの周期的な電極を、その位置及び/又は大きさを非対称にすることにより、電極部に相当し電界によって特定方向に配向された高分子液晶を左右非対称に形成できる。したがって、±1次回折光のいずれかの回折効率が高い光学異方性回折格子となしうる。
【0046】
また、この電極の幅W1 は電極ピッチのほぼ半分程度にすればよいが、必要に応じて20〜80%程度にされる。また、電極のピッチW3 は5〜50μm程度の範囲で適宜最適化して用いればよい。
【0047】
【実施例】
[ 例1 ] は参考例、 [ 例2 ] は実施例である。
[例1]
厚さ1mm、120mm×120mm角のガラス基板の1表面に、ITOのべたの透明電極を形成し、フォトリソグラフィ法とドライエッチング法により、ITOの透明電極を幅W1 =10μm、ピッチW2 =20μmのストライプ状にパターニングした。なお、反対の面には反射防止膜を蒸着法により形成した。
【0048】
その後、スピンコート法により約60nm程度のポリイミド膜を形成し、ラビングにより水平配向処理を行った。このようにして形成した2枚のガラス基板の透明電極を形成した面が相対向するように配置し、周辺をシール材で封止して、セルギャップが5μmの注入口を設けた空セルを形成した。
【0049】
その空セルに、p−[4−ω−アクリロイルオキシアルキルオキシ)フェニルカルボニルオキシ]ベンゾニトリルとp−(4−ω−アクリロイルオキシアルキルオキシ)安息香酸−p’−n−アルキルオキシフェニルエステルを主成分とする液状の液晶モノマーに光重合開始材としてベンゾインイソプロピルエーテルを1%添加した組成物(正の誘電異方性のネマチック液晶として動作)を注入した。
【0050】
その後、2枚の基板の電極間に5Vの電界を印加し、電極が対向している部分の液晶組成物を垂直に配向せしめた。その後波長360nmの紫外線を全体に照射し、上記配向を保持したまま、全体を重合せしめ、硬化することによって、配向を固定する。
【0051】
これにより形成された光学異方性回折格子はS偏光(図2の紙面に垂直に偏光した光)に対しては、電界印加部で屈折率1.52(常光屈折率)、非印加部で屈折率1.53(常光屈折率)、P偏光(図2の紙面に平行方向に偏光した光)に対しては、電界印加部で屈折率1.54(常光屈折率)、非印加部で屈折率1.66(異常光屈折率)が得られ、屈折率差としては0.12程度が得られた。
【0052】
この光学異方性回折格子を用いた図1の構成の光ヘッド装置で、光源として波長678nmのレーザ光源を用いた場合、S偏光波入射光に対する光透過率は85%、光回折効率は±1次とも0.5%であった。P偏光波入射光に対する光透過率は3.4%で、光回折率は+1次が34%、−1次が32%であった。
【0053】
[例2]
例1の透明電極の構成を以下のように変えた以外は例1と同様にして回折素子を作製した。
【0054】
一方のガラス基板の透明電極は幅W1 =10μm、ピッチW2 =20μmのストライプ状にパターニングした。他方のガラス基板の透明電極は幅W1 =5μm、ピッチW2 =20μmのストライプ状にパターニングした。このような基板を用いて空セルを形成した他は、例1と同様にして光学異方性回折格子を形成し、光ヘッド装置を形成した。この光ヘッド装置は、+1次回折光と−1次回折光で回折光の効率に差が生じた。
【0055】
【発明の効果】
本発明により、大量生産可能で、高い光の利用効率と高い信頼性を有する光ヘッド装置を容易に得ることができる。また、液晶材料を適宜選択することにより、所望の屈折率を種々自由に設定でき、配向の異なる部分の形状やピッチを自由に選択できるので、所望の特性、配置の光ヘッド装置を製造しやすい。
【0056】
さらに、液晶の配向状態を2枚の透明基板間で非対称にすることにより、非対称な光学異方性回折格子も容易に形成でき、±1次回折光のうちいずれかの回折効率が高い回折素子を容易に作製できる。
【0057】
本発明は、本発明の効果を損しない範囲内で種々の応用ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光ヘッド装置の模式図。
【図2】本発明の光ヘッド装置に用いる光学異方性回折素子の断面図。
【図3】本発明に用いる光学異方性回折素子の周期的な電極の例の平面図。
【図4】本発明に用いる光学異方性回折素子の電界を印加している状態での液晶の配向状態を示す模式図。
【図5】本発明に用いる光学異方性回折素子の電界を印加している状態での液晶の配向状態を示す模式図。
【符号の説明】
1 :光源
2 :ビームスプリッタ
3 :集光レンズ
4 :光記録媒体
5 :光学異方性回折格子
6A、6B、6C:検出部
Claims (5)
- 光源からの光を光記録媒体に照射することにより、情報を読み取り及び/又は情報を書き込む光ヘッド装置であって、光源と光記録媒体との間に光源からの光を透過し光記録媒体からの反射光が光源に戻らないように光の光路を変えるビームスプリッタを配置し、この光路を変えられた反射光を光学異方性回折素子を通過させて、複数の回折光に分けて検出部で光を検出する光ヘッド装置において、前記光学異方性回折素子は2枚の透明基板間に、光学異方性を有し配向方向が周期的に変化している高分子液晶を挟持したものであり、前記透明基板の各々に周期的に電極が形成されていて、一方の透明基板の電極の幅が他方の透明基板の電極の幅より狭く、2つの電極が非対称に配設されていて、それらの電極に電界を印加しつつ液晶を硬化させることにより、前記高分子液晶の配向方向の周期的な変化が形成されていることを特徴とする光ヘッド装置。
- 前記の周期的に形成された電極の幅が、電極ピッチの20〜80%である請求項1記載の光ヘッド装置。
- 前記光学異方性回折素子の2枚の透明基板の少なくとも一方の基板の電極はパターニングしてあり、電極に電界を印加した際に、電極が対向していない部分では液晶は自然な配列をし、電極が対向している部分では強制的な配向をし、この状態で液晶を硬化させることにより、高分子液晶の配向方向が周期的に変化している前記光学異方性回折素子が形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の光ヘッド装置。
- 光源からの光を光記録媒体に照射することにより、情報を読み取り及び/又は情報を書き込む光ヘッド装置であって、光源と光記録媒体との間に光源からの光を透過し光記録媒体からの反射光が光源に戻らないように光の光路を変えるビームスプリッタを配置し、この光路を変えられた反射光を光学異方性回折素子を通過させて、複数の回折光に分けて検出部で光を検出する光ヘッド装置において、前記光学異方性回折素子は、2枚の透明基板間に光学異方性を有し配向方向が周期的に変化している高分子液晶を挟持したものであり、前記2枚の透明基板には各々電極が設けられ、2枚の透明基板の電極全面に電界を印加しつつ又は電界を印加せずに、前記回折素子の上に設置した周期的に遮光パターンを形成したマスクを用いて光露光をおこなって光が当たった部分のみ液晶を硬化させ、次いで電界の印加状態を変えて残りの部分を硬化させることにより、高分子液晶の配向方向が周期的に変化している光学異方性回折素子が形成されていることを特徴とする光ヘッド装置。
- 前記の2枚の透明基板に各々設けられた2つの電極の少なくとも一方が周期的に形成されている請求項4記載の光ヘッド装置。
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