以下、本発明の態様について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、同様または類似した機能を発揮する構成要素には全ての図面を通じて同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
図1は、本発明の一態様に係るリターデイション基板を概略的に示す斜視図である。図2は、図1に示すリターデイション基板のII−II線に沿った断面図である。
図1および図2に示すリターデイション基板10は、基材110とカラーフィルタ層120と固体化液晶層130とを含んでいる。
基材110は、光透過性を有している。基材110は、例えば透明基板である。
カラーフィルタ層120は、基材110上に形成されている。カラーフィルタ層120は、吸収スペクトルが互いに異なり、基材110上でブラックマトリックスBMを介して隣り合った複数の着色層120a乃至120cを含んでいる。例えば、着色層120aが透過させる光は着色層120bが透過させる光と比較して中心波長がより長く、着色層120bが透過させる光は着色層120cが透過させる光と比較して中心波長がより長い。なお、或る光の「中心波長」は、その光のスペクトルが最大強度を示す波長である。
カラーフィルタ層120は、着色層120a乃至120cとは吸収スペクトルが異なる1つ以上の着色層をさらに含んでいてもよい。ここでは、一例として、着色層120aは赤色着色層であり、第2着色層120bは緑色着色層であり、第3着色層120cは青色着色層であるとする。
着色層120a乃至120cの各々は、Y方向に延びた帯形状を有している。着色層120a乃至120cは、Y方向と交差するX方向に繰り返し並んでおり、ストライプ配列を形成している。なお、X方向およびY方向は、基材110のカラーフィルタ層120と向き合った面に平行な方向である。また、後述するZ方向は、X方向およびY方向に対して垂直な方向である。
着色層120a乃至120cの各々は、他の形状を有していてもよい。例えば、着色層120a乃至120cの各々は矩形状であってもよい。この場合、着色層120a乃至120cは、正方配列またはデルタ配列を形成していてもよい。いずれの形状の場合も、隣接する着色層はBMによって隔離される。
着色層120a乃至120cの各々は、例えば、透明樹脂とその中に分散させた顔料とを含んだ混合物からなる。着色層120a乃至120cの各々は、顔料と顔料担体とを含んだ着色組成物のパターン層を形成し、このパターン層を硬化させることにより得られる。着色組成物については、後で説明する。
固体化液晶層130は、リターデイション層である。固体化液晶層130は、カラーフィルタ層120上に形成されている。固体化液晶層130は、典型的には、連続膜であり、カラーフィルタ層120の一主面の全体を被覆している。
固体化液晶層130とカラーフィルタ層120とは、互いに接触していてもよく、互いに接触していなくてもよい。後者の場合、固体化液晶層130とカラーフィルタ層120との間には、配向膜が介在していてもよい。
固体化液晶層130は、その主面に平行な方向に並んだ3つ以上の領域を含んでいる。それら領域の少なくとも2つは、複屈折性を有しており、リターデイションが互いに異なっている。
具体的には、固体化液晶層130は、領域130a乃至130cおよび隔壁140を含んでいる。領域130a乃至130cおよび隔壁140は、Z方向に垂直な方向に隣り合っている。
領域130a乃至130cは、それぞれ、着色層120a乃至120cと向き合っている。領域130a乃至130cは、それぞれ、着色層120a乃至120cとほぼ等しい形状および大きさを有している。また、領域130a乃至130cは、隔壁140により隔離されて互いから離間している。
領域130a乃至130cは、サーモトロピック液晶化合物を含有する組成物を重合および/または架橋させてなる。領域130a乃至130cは、表示画素の色毎に異なる組成の組成物を用いて形成される。具体的には、用いられる組成物には、光重合開始剤が表示画素の色毎に異なる量で配合され、これについては後述する。
領域130a乃至130cは、配向の程度が互いに異なっている。領域130aは領域130bと比較して配向の程度がより大きい。領域130bは領域130cと比較して配向の程度がより大きい。したがって、領域130aでは、領域130bと比較して屈折率異方性がより大きい。そして、領域130bでは、領域130cと比較して屈折率異方性がより大きい。なお、領域130cは、複屈折性を有していてもよく、光学的に等方性であってもよい。
ここで、「配向の程度」は、面内方向に隣り合った領域の各々におけるメソゲンMSの配向度を意味する。メソゲンMSの配向度は、その領域の全体に亘って一定であってもよく、Z方向に沿って変化していてもよい。例えば、或る領域においては、下面付近で配向度がより高く、上面付近で配向度がより低くてもよい。この場合、「配向の程度」は、厚さ方向についての配向度の平均を示す。
領域130aが領域130bと比較して配向の程度がより大きいことは、領域130aの屈折率異方性と領域130bの屈折率異方性との比較により確認することができる。同様に、領域130bが領域130cと比較して配向の程度がより大きいことは、領域130bの屈折率異方性と領域130cの屈折率異方性との比較により確認することができる。
このように、領域130a乃至130cは、配向の程度が互いに異なっている。そして、領域130a乃至130cは、厚さがほぼ等しい。したがって、領域130a乃至130cは、リターデイションが互いに異なっている。
メソゲンが棒状である場合、領域130a乃至130cの各々は、例えば、メソゲンの長さ方向がZ方向に対してほぼ垂直な一方向に揃ったホモジニアス配向に対応した正のAプレート、メソゲンの長さ方向がZ方向にほぼ平行な方向に揃ったホメオトロピック配向に対応した正のCプレート、または、Z方向にほぼ平行な方向を螺旋軸とする螺旋構造を形成し且つ螺旋軸に垂直な各面内でメソゲンの長さ方向がZ方向に対してほぼ垂直な一方向に揃ったコレステリック配向に対応した負のCプレートであってもよい。メソゲンが棒状である場合、領域130a乃至130cの各々は、メソゲンの長さ方向がZ方向に垂直な一方向に偏るように変形したコレステリック配向に対応した正のAプレートと負のCプレートとの複合体であってもよい。メソゲンが円盤状である場合、領域130a乃至130cの各々は、例えば、メソゲンの厚さ方向がZ方向にほぼ平行な方向に揃ったホメオトロピック配向に対応した負のAプレート、または、メソゲンの厚さ方向がZ方向にほぼ垂直な一方向に揃ったホモジニアス配向に対応した正のCプレートである。このように、領域130a乃至130cには、あらゆる配向構造を採用することができる。
上述したように領域130cは、光学的に等方性であってもよい。すなわち、領域130cにおいて、メソゲンは、配向構造を形成していなくてもよい。
隔壁140が存在するので固体化液晶層130は連続膜ということができる。こうした連続膜としての固体化液晶層130は、現像処理を施してパターニングされた固体化液晶層130と比較して、カラーフィルタ層120からリターデイション基板10の外部への物質移動を生じ難くする。したがって、連続膜としての固体化液晶層130を含んだリターデイション基板10を例えば液晶表示装置において使用した場合、カラーフィルタ層120から液晶層中への不純物の混入を抑制できる。
次に、このリターデイション基板10の材料および製造方法について説明する。
基材110は、典型的には、ガラス板または樹脂板などの光透過性基板である。ガラス板の材料としては、例えば、ソーダ石灰ガラス、低アルカリ硼珪酸ガラスまたは無アルカリアルミノ硼珪酸ガラスを使用することができる。樹脂板の材料としては、例えば、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチルまたはポリエチレンテレフタレートを使用することができる。
基材110は、単層構造を有していてもよく、多層構造を有していてもよい。例えば、リターデイション基板10が液晶表示装置の一部品である場合、基材110として、インジウム錫酸化物および錫酸化物などの透明導電体からなる透明電極が形成された光透過性基板を使用してもよい。あるいは、基材110として、画素回路などの回路が形成された光透過性基板を使用してもよい。
基材110は、プラスチックフィルムなどの光透過性フィルムまたはプラスチックシートなどの光透過性シートであってもよい。
基材110は、光透過性を有していなくてもよい。例えば、リターデイション基板10に、透過光の代わりに反射光を利用する構成を採用した場合、基材110は遮光性であってもよい。
カラーフィルタ層120の形成には、何れの方法を用いてもよい。一例によると、着色層120a乃至120cの各々は、顔料担体とこれに分散させた顔料とを含んだ着色組成物の膜を形成し、この膜を硬化させることにより得られる。
着色組成物の顔料としては、有機顔料および/または無機顔料を使用することができる。着色組成物は、1種の有機または無機顔料を含んでいてもよく、複数種の有機顔料および/または無機顔料を含んでいてもよい。
顔料は、発色性が高く且つ耐熱性、特には耐熱分解性が高いことが好ましく、通常は、有機顔料が用いられる。以下に、着色組成物に使用可能な有機顔料の具体例をカラーインデックス番号で示す。
赤色着色組成物の有機顔料としては、例えば、C.I.Pigment Red 7、14、41、48:2、48:3、48:4、81:1、81:2、81:3、81:4、146、168、177、178、179、184、185、187、200、202、208、210、246、254、255、264、270、272および279などの赤色顔料を用いることができる。赤色着色組成物の有機顔料として、赤色顔料と黄色顔料との混合物を使用してもよい。この黄色顔料としては、例えば、C.I. Pigment Yellow1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、126、127、128、129、138、147、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、199、198、213または214を使用することができる。
緑色着色組成物の有機顔料としては、例えば、C.I.Pigment Green 7、10、36および37などの緑色顔料を用いることができる。緑色着色組成物の有機顔料として、緑色顔料と黄色顔料との混合物を使用してもよい。この黄色顔料としては、例えば、赤色着色組成物について例示したのと同様のものを使用することができる。
青色着色組成物の有機顔料としては、例えば、C.I.Pigment Blue 15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60および64などの青色顔料を用いることができる。青色着色組成物の有機顔料として、青色顔料と紫色顔料との混合物を使用してもよい。この紫色顔料としては、例えば、C.I.Pigment Violet 1、19、23、27、29、30、32、37、40、42または50を使用することができる。
無機顔料としては、例えば、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑およびコバルト緑などの金属酸化物粉、金属硫化物粉、または金属粉を使用することができる。無機顔料は、例えば、彩度と明度とをバランスさせつつ、良好な塗布性、感度および現像性などを達成するために、有機顔料と組み合わせて用いられ得る。
着色組成物は、顔料以外の着色成分をさらに含んでいてもよい。例えば、着色組成物は、十分な耐熱性を達成できるのであれば、染料を含有していてもよい。この場合、染料を用いた調色が可能である。
透明樹脂は、可視光領域である400乃至700nmの全波長領域に亘って好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上の透過率を有している樹脂である。透明樹脂の材料、すなわち顔料担体としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂および感光性樹脂などの透明樹脂、その前駆体またはそれらの混合物を使用することができる。顔料担体としての透明樹脂は、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、感光性樹脂またはそれらの2つ以上を含んだ混合物である。透明樹脂の前駆体は、例えば、放射線照射により硬化するモノマーおよび/またはオリゴマーを含んでいる。
着色組成物において、透明樹脂は、顔料100質量部に対して、例えば30乃至700質量部、好ましくは60乃至450質量部の量で用いる。透明樹脂とその前駆体との混合物を顔料担体として用いる場合には、着色組成物において、透明樹脂は、顔料100質量部に対して、例えば20乃至400質量部、好ましくは50乃至250質量部の量で用いる。この場合、透明樹脂の前駆体は、着色組成物において、顔料100質量部に対して、例えば10乃至300質量部、好ましくは10乃至200質量部の量で用いる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ブチラール樹脂、スチレンーマレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリブタジエン、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリイミド樹脂を使用することができる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂またはフェノール樹脂を使用することができる。
感光性樹脂としては、例えば、水酸基、カルボキシル基およびアミノ基などの反応性の置換基を有する線状高分子に、イソシアネート基、アルデヒド基およびエポキシ基などの反応性置換基を有するアクリル化合物、メタクリル化合物または桂皮酸を反応させて、アクリロイル基、メタクリロイル基およびスチリル基など光架橋性基を線状高分子に導入した樹脂を使用することができる。また、スチレン−無水マレイン酸共重合物およびα−オレフィン−無水マレイン酸共重合物などの酸無水物を含む線状高分子を、ヒドロキシアルキルアクリレートおよびヒドロキシアルキルメタクリレートなどの水酸基を有するアクリル化合物またはメタクリル化合物によりハーフエステル化した樹脂も使用することができる。
透明樹脂の前駆体であるモノマーおよび/またはオリゴマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、トリシクロデカニルアクリレート、トリシクロデカニルメタクリレート、メラミンアクリレート、メラミンメタクリレート、エポキシアクリレートおよびエポキシメタクリレートなどのアクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド、N−ヒドロキシメチルメタクリルアミド、アクリロニトリル、またはそれらの2種以上を含んだ混合物を使用することができる。
着色組成物を紫外線などの光を照射することによって硬化する場合、着色組成物には例えば光重合開始剤を添加する。
光重合開始剤としては、例えば、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンおよび2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オンなどのアセトフェノン系光重合開始剤;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルおよびベンジルジメチルケタールなどのベンゾイン系光重合開始剤;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノンおよび4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイドなどのベンゾフェノン系光重合開始剤;チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントンおよび2,4−ジイソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン系光重合開始剤;2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジンおよび2,4−トリクロロメチル(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジンなどのトリアジン系光重合開始剤;ボレート系光重合開始剤;カルバゾール系光重合開始剤;イミダゾール系光重合開始剤;またはそれらの2種以上を含んだ混合物を使用することができる。
光重合開始剤は、着色組成物において、顔料100質量部に対して、例えば5乃至200質量部、好ましくは10乃至150質量部の量で使用する。
光重合開始剤と共に増感剤を使用してもよい。
増感剤としては、α−アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’−ジエチルイソフタロフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンおよび4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノンなどの化合物を使用することができる。
増感剤は、光重合開始剤100質量部に対して、例えば0.1乃至60質量部の量で使用することができる。
着色組成物は、多官能チオールなどの連鎖移動剤をさらに含有していてもよい。
多官能チオールは、チオール基を2個以上有する化合物である。多官能チオールとしては、例えば、ヘキサンジチオール 、デカンジチオール 、1,4−ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4−ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4−ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6−トリメルカプト−s−トリアジン、2−(N,N−ジブチルアミノ)−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン、またはそれらの2種以上を含んだ混合物を使用することができる。
多官能チオールは、着色組成物において、顔料100質量部に対して、例えば0.2乃至150質量部、好ましくは0.2乃至100質量部の量で使用する。
着色組成物は、溶剤をさらに含有していてもよい。溶剤を使用すると、顔料の分散性を向上させることができ、それゆえ、基材110上に着色組成物を乾燥膜厚が例えば0.2乃至5μmとなるように塗布することが容易になる。
溶剤としては、例えば、シクロヘキサノン、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチルベンゼン、エチレングリコールジエチルエーテル、キシレン、エチルセロソルブ、メチル−nアミルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、トルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルケトン、石油系溶剤、またはそれらの2種以上を含んだ混合物を使用することができる。
溶剤は、着色組成物において、顔料100質量部に対して、例えば800乃至4000質量部、好ましくは1000乃至2500質量部の量で使用する。
着色組成物は、例えば、1種以上の顔料を、必要に応じて上述した光重合開始剤とともに、顔料担体および有機溶剤中に、三本ロールミル、二本ロールミル、サンドミル、ニーダおよびアトライタなどの分散装置を用いて微細に分散させることにより製造することができる。2種以上の顔料を含む着色組成物は、異なる顔料を含んだ分散体を調製し、それら分散体を混合することにより製造してもよい。
顔料を顔料担体および有機溶剤中に分散させる際には、樹脂型顔料分散剤、界面活性剤および顔料誘導体などの分散助剤を使用することができる。分散助剤は、顔料の分散性を向上させ、分散後の顔料の再凝集を抑制する。したがって、分散助剤を用いて顔料を顔料担体および有機溶剤中に分散させてなる着色組成物を用いた場合には、透明性に優れたカラーフィルタが得られる。
分散助剤は、着色組成物において、顔料100質量部に対して、例えば0.1乃至40質量部、好ましくは0.1乃至30質量部の量で使用する。
樹脂型顔料分散剤は、顔料に吸着する性質を有する顔料親和性部位と、顔料担体と相溶性のある部位とを含んでいる。樹脂型顔料分散剤は、顔料に吸着して顔料の顔料担体への分散性を安定化する。
樹脂型顔料分散剤としては、例えば、ポリウレタン、ポリアクリレートなどのポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸アミン塩、ポリカルボン酸部分アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩および水酸基含有ポリカルボン酸エステル、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離カルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドおよびその塩などの油性分散剤;アクリル酸−スチレン共重合体、メタクリル酸−スチレン共重合体、アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−メタクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコールおよびポリビニルピロリドンなどの水溶性樹脂若しくは水溶性高分子化合物;ポリエステル類、変性ポリアクリレート類、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、燐酸エステル類、またはそれらの2種以上を含んだ混合物を使用することができる。
界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミンおよびポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートおよびポリエチレングリコールモノラウレートなどのノニオン性界面活性剤;アルキル4級アンモニウム塩およびそれらのエチレンオキサイド付加物などのカオチン性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタインおよびアルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤;またはそれらの2種以上を含んだ混合物を使用することができる。
色素誘導体は、有機色素に置換基を導入した化合物である。色素誘導体は、使用する顔料と色相が近いことが好ましいが、添加量が少なければ色相の異なっていてもよい。用語「有機色素」は、一般に色素とは呼ばれている化合物に加え、一般に色素とは呼ばれていないナフタレン系およびアントラキノン系化合物などの淡黄色の芳香族多環化合物を包含している。色素誘導体としては、例えば、特開昭63−305173号公報、特公昭57−15620号公報、特公昭59−40172号公報、特公昭63−17102号公報、または特公平5−9469号公報に記載されているものを使用できる。特に、塩基性基を有する色素誘導体は、顔料の分散性を高める効果が大きい。着色組成物は、1種の色素誘導体を含んでいてもよく、複数の色素誘導体を含んでいてもよい。
着色組成物には、その粘度の経時的安定性を高めるために貯蔵安定剤を添加してもよい。貯蔵安定剤としては、例えば、ベンジルトリメチルクロライド;ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド;乳酸およびシュウ酸などの有機酸;その有機酸のメチルエーテル;t−ブチルピロカテコール;テトラエチルホスフィンおよびテトラフェニルフォスフィンなどの有機ホスフィン;亜リン酸塩;またはそれらの2種以上を含んだ混合物を使用することができる。
貯蔵安定剤は、着色組成物において、顔料100質量部に対して、例えば0.1乃至10質量部の量で含有させる。
着色組成物には、基板との密着性を高めるために、シランカップリング剤などの密着向上剤を添加してもよい。
シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルエトキシシランおよびビニルトリメトキシシランなどのビニルシラン類;γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどのアクリルシラン類およびメタクリルシラン類;β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランおよびγ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどのエポキシシラン類;N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランおよびN−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノシラン類、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランおよびγ−メルカプトプロピルトリエトキシシランなどのチオシラン類;またはそれらの2種以上を含んだ混合物を使用することができる。
シランカップリング剤は、着色組成物において、顔料100質量部に対して、例えば0.01乃至100質量部の量で含有させる。
着色組成物は、例えば、グラビアオフセット用印刷インキ、水無しオフセット印刷インキ、シルクスクリーン印刷用インキ、インキジェット印刷用インキ、または溶剤現像型若しくはアルカリ現像型着色レジストの形態で調製することができる。着色レジストは、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂または感光性樹脂と、モノマーと、光重合開始剤と、有機溶剤とを含有する組成物中に色素を分散させたものである。
顔料は、着色組成物の全固形分100質量部に対して、例えば5乃至70質量部、好ましくは20乃至50質量部の量で用いる。なお、着色組成物の残りの固形分の殆どは、顔料担体が含んでいる樹脂バインダである。
着色組成物を成膜に使用する前に、遠心分離、焼結フィルタおよびメンブレンフィルタなどの精製装置によって、着色組成物から、例えば5μm以上の粒子、好ましくは1μm以上の粒子、より好ましくは0.5μm以上の粒子を除去してもよい。
着色層120a乃至120cの各々は、例えば、印刷法によって形成することができる。印刷法によると、着色組成物の印刷と乾燥とを行なうことにより、着色層120a乃至120cの各々を形成することができる。したがって、印刷法は、低コストで量産性に優れている。しかも、近年の印刷技術の発展により、高い寸法精度および平滑度を有する微細パターンの印刷を行なうことができる。
印刷法を利用する場合、着色組成物が印刷版またはブランケット上で乾燥および固化を生じないように着色組成物の組成を設計する。また、印刷法では、印刷機内での着色組成物の流動性を最適化することが重要である。したがって、着色組成物に分散剤や耐湿顔料を添加して、その粘度を調整してもよい。
着色層120a乃至120cの各々は、フォトリソグラフィ法を利用して形成してもよい。フォトリソグラフィ法によれば、カラーフィルタ層120を、印刷法と比較してより高い精度で形成することができる。
この場合、まず、溶剤現像型またはアルカリ現像型着色レジストとして調製した着色組成物を、基材110上に塗布する。この塗布には、スプレーコート、スピンコート、スリットコートおよびロールコートなどの塗布方法を利用する。この塗膜は、乾燥膜厚が例えば0.2乃至10μmとなるように形成する。
次いで、この塗膜を乾燥させる。塗布膜の乾燥には、例えば、減圧乾燥機、コンベクションオーブン、IRオーブンまたはホットプレートを利用する。塗膜の乾燥は、省略することができる。
続いて、塗膜に、フォトマスクを介して紫外線を照射する。すなわち、塗膜をパターン露光に供する。
その後、塗膜を溶剤若しくはアルカリ現像液に浸漬させるかまたは塗膜に現像液を噴霧する。これにより、塗膜から可溶部を除去して、着色層120aをレジストパターンとして得る。
さらに、これと同様の手順で、着色層120bおよび120cを順次形成する。以上のようにして、カラーフィルタ層120を得る。なお、この方法では、着色レジストの重合を促進するために、熱処理を施してもよい。
このフォトリソグラフィプロセスでは、アルカリ現像液として、例えば、炭酸ナトリウム水溶液または水酸化ナトリウム水溶液を使用することができる。あるいは、アルカリ現像液として、ジメチルベンジルアミンおよびトリエタノールアミンなどの有機アルカリを含んだ液を使用してもよい。
現像液には、消泡剤および界面活性剤などの添加剤を添加してもよい。現像には、例えば、シャワー現像法、スプレー現像法、ディップ現像法またはパドル現像法を利用することができる。
露光感度を高めるために、以下の処理を追加してもよい。すなわち、着色レジストの第1塗膜を乾燥させた後、この第1塗膜の上に、水溶性またはアルカリ水溶性樹脂、例えばポリビニルアルコールまたは水溶性アクリル樹脂を塗布する。そして、この第2塗膜を乾燥させた後に、上述のパターン露光を行なう。第2塗膜は、第1塗膜における重合が酸素によって阻害されるのを防止する。したがって、より高い露光感度を達成できる。
カラーフィルタ層120は、他の方法で形成してもよい。例えば、インキジェット法、電着法または転写法を利用して形成してもよい。インキジェット法によってカラーフィルタ層120を形成する場合、例えば、基材110上に予め遮光性離画壁を形成しておき、この遮光性離画壁によって区画された領域に向けてノズルからインキを吐出することにより各着色層を得る。電着法によってカラーフィルタ層120を形成する場合、基材110上に予め透明導電膜を形成しておき、着色組成物からなるコロイド粒子の電気泳動によって着色組成物を透明導電膜上に堆積させることにより各着色層を得る。転写法を利用する場合、剥離性の転写ベースシートの表面に予めカラーフィルタ層120を形成しておき、このカラーフィルタ層120をベースシートから基材110上に転写する。
次に、固体化液晶層130の形成方法について説明する。
図3および図4は、固体化液晶層の形成方法の一例を概略的に示す断面図である。
固体化液晶層130の形成に当たっては、例えば、カラーフィルタ層120上に、隔壁140により隔てられた領域130a’乃至130c’を有する液晶材料層130’を形成する。隔壁140は、カラーフィルタ層120のBMを共用することができる。あるいは、アクリル樹脂等により隔壁140を形成してもよい。液晶材料層130’は、光重合性または光架橋性のサーモトロピック液晶材料と光重合開始剤とを含み、光重合開始剤の含有量は、領域130a’、130b’および130c’でそれぞれ異なっている。この液晶材料層130’を全面露光と熱処理とに供することによって、固体化液晶層130が得られる。
液晶材料層130’は、例えば、カラーフィルタ層120上に、サーモトロピック液晶化合物を含んだコーティング液を表示画素の色毎に塗布し、必要に応じて塗膜を乾燥させることにより得られる。コーティング液に含有される光重合開始剤の量は、表示画素の色毎に異なっている。液晶材料層130’では、サーモトロピック液晶化合物のメソゲンが配向構造を形成している。
このコーティング液は、サーモトロピック液晶化合物および光重合開始剤に加え、例えば、溶剤、キラル剤、熱重合開始剤、増感剤、連鎖移動剤、多官能モノマーおよび/またはオリゴマー、樹脂、界面活性剤、貯蔵安定剤および密着向上剤などの成分を、この液晶化合物を含んだ組成物が液晶性を失わない範囲で加えることができる。
サーモトロピック液晶化合物としては、例えば、アルキルシアノビフェニル、アルコキシビフェニル、アルキルターフェニル、フェニルシクロヘキサン、ビフェニルシクロヘキサン、フェニルビシクロヘキサン、ピリミジン、シクロヘキサンカルボン酸エステル、ハロゲン化シアノフェノールエステル、アルキル安息香酸エステル、アルキルシアノトラン、ジアルコキシトラン、アルキルアルコキシトラン、アルキルシクロヘキシルトラン、アルキルビシクロヘキサン、シクロヘキシルフェニルエチレン、アルキルシクロヘキシルシクロヘキセン、アルキルベンズアルデヒドアジン、アルケニルベンズアルデヒドアジン、フェニルナフタレン、フェニルテトラヒドロナフタレン、フェニルデカヒドロナフタレン、これらの誘導体、またはそれら化合物のアクリレートを使用することができる。
光重合開始剤、増感剤、連鎖移動剤、多官能モノマーおよび/またはオリゴマー、樹脂、界面活性剤、貯蔵安定剤および密着向上剤としては、例えば、着色組成物について例示したのと同様のものを使用することができる。また、この溶剤としても、例えば、着色組成物について例示したのと同様のものを使用することができる。
表示画素毎に異なる組成のコーティング液が塗布されるので、これを可能とする方法が採用される。具体的には、予め隔壁140を形成しておき、この隔壁によって区画された領域に向けてノズルからコーティング液を吐出することにより、パターン化された液晶材料層が形成される。
同一の露光量で露光された場合、コーティング液中の光重合開始剤の含有量が多いほど、重合または架橋したサーモトロピック液晶化合物の含有率が高くなる。サーモトロピック液晶化合物の重合または架橋生成物では、そのメソゲン基は固定化されているので、用いるコーティング液中の光重合開始剤の含有量が多いほど、配向の程度の大きな領域を形成することができる。すなわち、屈折率異方性のより大きな領域を形成するには、光重合開始剤の含有量を高めればよい。
上述したように、固体化液晶層における配向の程度は、領域130aが最も大きく、領域130cが最も小さい。したがって、コーティング液に配合される光重合開始剤の含有量も、配向の程度と同様の傾向となるように制御すればよい。具体的には、光重合開始剤の含有量は、領域130a’に用いられるコーティング液で最大であり、領域130c’に用いられるコーティング液で最小である。
コーティング液の塗布に先立って、カラーフィルタ層120の表面に、ラビングなどの配向処理を施してもよい。あるいは、コーティング液の塗布に先立って、カラーフィルタ層120上に、液晶化合物の配向を規制する配向膜を形成してもよい。この配向膜は、例えば、カラーフィルタ層120上にポリイミドなどの透明樹脂層を形成し、この透明樹脂層にラビングなどの配向処理を施すことにより得られる。この配向膜は、光配向技術を利用して形成してもよい。
次に、第1露光プロセスを行なう。すなわち、図3に示すように、液晶材料層130’の全面に光L1を照射する。光L1の露光量は、例えば50〜200mJ/cm2の間で適宜決定することができる。
光重合開始剤の含有量が最大の領域130a’では、サーモトロピック液晶化合物の重合または架橋生成物の含有率が最も高く、未重合および未架橋のサーモトロピック液晶化合物の含有率が最も小さい。領域130a’と比較して光重合開始剤の含有量がより小さい領域130b’では、領域130a’と比較して、サーモトロピック液晶化合物の重合または架橋生成物の含有率がより低く、未重合および未架橋のサーモトロピック液晶化合物の含有率がより高い。領域130b’と比較して光重合開始剤の含有量がより小さい領域130c’では、領域130b’と比較して、サーモトロピック液晶化合物の重合または架橋生成物の含有率がより低く、未重合および未架橋のサーモトロピック液晶化合物の含有率がより高い。例えば、領域130a’では全てのサーモトロピック液晶化合物が重合しているかまたは架橋され、領域130b’では一部のサーモトロピック液晶化合物のみが重合しているかまたは架橋され、領域130c’ではサーモトロピック液晶化合物のほぼ全てが重合しておらず架橋されてもいない。
第1露光プロセスに使用する光L1は、紫外線、可視光線および赤外線などの電磁波である。電磁波の代わりに、電子線を使用してもよい。それらの1つのみを光L1として使用してもよく、それらの2つ以上を光L1として使用してもよい。
第1露光プロセスは、全面露光を施すことができれば、どのような方法で行なってもよい。表示画素の色毎に異なる含有量で光重合開始剤が含有されたコーティング液が用いられるので、全面露光を施すことにより、各領域の配向の程度に差を生じさせることが可能である。したがって、領域毎に異なる露光量でのステップ露光は不要となった。画素毎にコーティング液が塗工されることから、必要に応じてそれらの膜厚も別個に制御することができる。より大きな膜厚で形成された場合には、セルギャップの調整層としてのホワイトとして用いることも可能となる。
第1露光プロセスを完了した後、第1熱処理プロセスを行なう。すなわち、液晶材料層130’を、サーモトロピック液晶化合物が液晶相から等方相へと変化する相転移温度と等しい温度以上に加熱する。未反応化合物であるサーモトロピック液晶化合物のメソゲンは固定化されていない。それゆえ、液晶材料層130’を相転移温度以上に加熱すると、未反応化合物のメソゲンの配向の程度が低下する。例えば、未反応化合物のメソゲンは、液晶相から等方相へと変化する。他方、サーモトロピック液晶化合物の重合または架橋生成物では、メソゲンは固定化されている。
したがって、図4に示すように、領域130b’では、領域130a’と比較して、メソゲンMSの配向の程度がより低くなる。そして、領域130c’では、領域130b’と比較して、メソゲンMSの配向の程度がより低くなる。例えば、領域130a’におけるメソゲンMSの配向の程度は、この熱処理によって殆ど変化しない。領域130b’におけるメソゲンMSの配向の程度は、この熱処理によって小さくなる。そして、領域130c’では、この熱処理によってメソゲンMSの配向構造が消失する。
その後、未反応化合物のメソゲンについて配向の程度を低下させたまま、未反応化合物を重合および/または架橋させる。
例えば、図4に示す第2露光プロセスを行なう。すなわち、サーモトロピック液晶化合物が等方相から液晶相へと変化する相転移温度よりも高い温度に液晶化合物層130’を維持したまま、液晶化合物層130’の全体に光L2を照射する。液晶化合物層130’には、未反応化合物のほぼ全てが重合および/または架橋反応を生じるのに十分な露光量で光L2を照射する。これにより、未反応化合物の重合または架橋を生じさせ、配向の程度を低下させたメソゲンを固定化する。以上のようにして、固体化液晶層130が得られる。
なお、或る液晶化合物は、等方相から液晶相へと変化する第1相転移温度が、液晶相から等方相へと変化する第2相転移温度と比較してより低い。それゆえ、特定の場合には、第2露光プロセスにおける液晶化合物層130’の温度は、第1熱処理プロセスの加熱温度と比較してより低くてもよい。ただし、通常は、簡便性の観点で、第2露光プロセスにおける液晶化合物層130’の温度は、第1相転移温度以上とする。
光L2としては、光L1について説明したのと同様のものを使用することができる。光L2と光L1とは、同一であってもよく、異なっていてもよい。
第2露光プロセスでは、液晶化合物層130’の全体に亘って露光量が等しくてもよい。この場合、微細なパターンが設けられたフォトマスクを使用する必要がない。したがって、この場合、プロセスを簡略化することができる。
未反応化合物の重合および/または架橋は、他の方法で行なってもよい。
例えば、未反応化合物、すなわちサーモトロピック液晶化合物が第1相転移温度よりも高い重合および/または架橋温度に加熱することによって重合および/または架橋する材料である場合、第2露光プロセスの代わりに、第2熱処理プロセスを行なってもよい。具体的には、第2露光プロセスの代わりに、液晶材料層130’を重合および/または架橋温度以上に加熱して、未反応化合物を重合および/または架橋させる。これにより、固体化液晶層130を得る。なお、第1熱処理における加熱温度は、例えば、第1相転移温度以上であり且つ重合および/または架橋温度未満とする。
あるいは、第1熱処理プロセスの後に、第2熱処理プロセスと第2露光プロセスとを順次行なってもよい。あるいは、第1熱処理プロセスの後に、第2露光プロセスと第2熱処理プロセスとを順次行なってもよい。あるいは、第1熱処理プロセスの後に、第2熱処理プロセスと第2露光プロセスと第2熱処理プロセスとを順次行なってもよい。このように第2露光プロセスと第2熱処理プロセスとを組み合わせると、未反応化合物の重合および/または架橋をより確実に進行させることができる。それゆえ、より強固な固体化液晶層130を得ることができる。
未反応化合物が或る温度に加熱することによって重合および/または架橋する材料である場合、第1熱処理における加熱温度は、それが重合および/または架橋する温度以上であってもよい。ただし、この場合、配向の程度の低下と重合および/または架橋とが同時に進行する。そのため、製造条件が固体化液晶層130の光学特性に及ぼす影響が比較的大きい。
図1乃至図4を参照しながら説明したリターデイション基板10、すなわちパネル基板には、様々な変形が可能である。
このリターデイション基板10では、固体化液晶層130は、屈折率異方性が互いに異なる領域130a乃至130cを含んでいる。固体化液晶層130は、領域130a乃至130cとは屈折率異方性が異なる1つ以上の領域をさらに含んでいてもよい。例えば、半透過型液晶表示装置では、赤、緑および青色画素の各々が、透過部と反射部とを含んでいる。透過部と反射部とには、異なる光学的設計を採用する必要がある。それゆえ、固体化液晶層130のうち、赤、緑および青色画素に対応した部分の各々が、屈折率異方性が互いに異なる2つ以上の領域を含んでいてもよい。
リターデイション基板10からカラーフィルタ層120を省略してもよい。例えば、液晶表示装置では、その一方の基板がカラーフィルタ層とリターデイション層との双方を含んでいてもよい。あるいは、液晶表示装置の一方の基板がカラーフィルタ層を含み、他方の基板がリターデイション層を含んでいてもよい。後者の場合、リターデイション基板10は、カラーフィルタ層120を含んでいる必要はない。ただし、リターデイション基板10がカラーフィルタ層120と固体化液晶層130との双方を含んでいる場合、貼りあわせの際に、カラーフィルタ層120と固体化液晶層130とを位置合わせする必要がない。
固体化液晶層130は、基材110とカラーフィルタ層120との間に介在させてもよい。
図5は、一変形例に係るリターデイション基板を概略的に示す断面図である。このリターデイション基板10は、固体化液晶層130が基材110とカラーフィルタ層120との間に介在していること以外は、図1乃至図4を参照しながら説明したリターデイション基板10と同様である。
この構造を採用した場合、例えばリターデイション基板10を含んだ液晶表示装置において、固体化液晶層130は、カラーフィルタ層120から液晶層中への不純物の混入を抑制しない。しかしながら、この構造を採用した場合、カラーフィルタ層120が、固体化液晶層130を形成するための露光プロセスおよび熱処理プロセスに晒されることがない。それゆえ、この構造を採用した場合、図1および図2に示す構造を採用した場合と比較して、上述の露光プロセスおよび熱処理プロセスに起因したカラーフィルタ層120の劣化は生じ難い。
また、この構造を採用した場合、固体化液晶層130上にカラーフィルタ層120を形成することができる。典型的には、固体化液晶層130の表面はほぼ平坦である。したがって、この場合、凹凸構造が設けられた表面上にカラーフィルタ層120を形成する場合と比較して、設計通りの性能を有するカラーフィルタ層120をより容易に得ることができる。
上述したリターデイション基板10は、様々な用途に利用可能である。例えば、リターデイション基板10は、液晶表示技術に代表される表示技術に利用可能である。
図6は、図1および図2に示すリターデイション基板を用いて製造可能な液晶表示装置の一例を概略的に示す断面図である。
図6に示す液晶表示装置は、アクティブマトリクス駆動方式を採用した透過型液晶表示装置である。この液晶表示装置は、カラーフィルタ基板10’とアレイ基板20と液晶層30と一対の偏光板40と図示しないバックライトとを含んでいる。
カラーフィルタ基板10’は、上述したリターデイション基板10と対向電極150と配向膜160とを含んでいる。
対向電極150は、固体化液晶層130上に形成されている。表示領域の全体に亘って広がった連続膜である。対向電極150は、例えば、上述した透明導電体からなる。
配向膜160は、対向電極150を被覆している。配向膜160は、配向膜は、例えば、対向電極150上にポリイミドなどの透明樹脂層を形成し、この透明樹脂層にラビングなどの配向処理を施すことにより得られる。この配向膜160は、光配向技術を利用して形成してもよい。
アレイ基板20は、配向膜160と向き合った基板210を含んでいる。基板210は、ガラス板または樹脂板などの光透過性基板である。
基板210の配向膜160との対向面上には、画素回路(図示せず)と走査線(図示せず)と信号線(図示せず)と画素電極250とが形成されている。画素回路は、各々が薄膜トランジスタなどのスイッチング素子を含んでおり、基板210上でマトリクス状に配列している。走査線は、画素回路の行に対応して配列している。各画素回路の動作は、走査線から供給される走査信号によって制御される。信号線は、画素回路の列に対応して配列している。各画素電極250は、画素回路を介して信号線に接続されている。各画素電極250は、着色層120a乃至120cの何れかと向き合っている。
画素電極250は、配向膜260で被覆されている。配向膜260は、配向膜は、例えば、画素電極250上にポリイミドなどの透明樹脂層を形成し、この透明樹脂層にラビングなどの配向処理を施すことにより得られる。この配向膜260は、光配向技術を利用して形成してもよい。
カラーフィルタ基板10’とアレイ基板20とは、枠形状の接着剤層(図示せず)を介して貼り合わされている。カラーフィルタ基板10’とアレイ基板20と接着剤層とは、中空構造を形成している。
液晶層30は、液晶化合物または液晶組成物からなる。この液晶化合物または液晶組成物は、流動性を有しており、カラーフィルタ基板10’とアレイ基板20と接着剤層とに囲まれた空間を満たしている。カラーフィルタ基板10’とアレイ基板20と接着剤層と液晶層30とは、液晶セルを形成している。
偏光板40は、液晶セルの両主面に貼り付けられている。偏光板40は、例えば、それらの透過軸が直交するように配置する。
この液晶表示装置において、固体化液晶層130の領域130a乃至130cは、厚さがほぼ等しく、屈折率異方性が異なっている。したがって、130a乃至130cの屈折率異方性を最適化して、したがって、赤、緑および青の各々について、理想的な光学補償を達成することができる。
また、製造条件の不可避的な変動が、固体化液晶層130の表面形状に影響を及ぼすことは殆どない。それゆえ、製造条件の不可避的な変動に応じて、セルギャップが変化することはない。
上述したようにリターデイション基板10は、アクティブマトリクス駆動方式を採用した透過型液晶表示装置において利用可能である。このリターデイション基板10は、他の表示装置で利用することも可能である。
例えば、リターデイション基板10は、半透過型液晶表示装置または反射型液晶表示装置において利用してもよい。また、液晶表示装置には、パッシブマトリクス駆動方式などのアクティブマトリクス駆動方式以外の駆動方式を採用してもよい。あるいは、リターデイション基板10は、有機エレクトロルミネッセンス表示装置などの液晶表示装置以外の表示装置において利用してもよい。
以下に、本発明の例を記載する。
なお、以下の例では、感光性材料を取り扱う全ての作業は、それら材料の不所望な感光を防ぐために、黄色または赤色灯下で行なった。
まず、カラーフィルタ層を形成するのに用いたアルカリ現像型着色組成物の製造、その製造に使用したアクリル樹脂溶液および顔料分散液の調製、並びに顔料分散液の調製に使用したソルトミリング処理顔料の製造について説明する。
<アクリル樹脂溶液1の調製>
反応容器にシクロヘキサノン370質量部を投入し、この容器に窒素ガスを供給しながら80℃に加熱した。容器内の液温をこの温度に維持しながら、下記モノマーおよび熱重合開始剤の混合物を1時間かけて容器内に滴下して重合反応を生じさせた。
メタクリル酸 20.0質量部
メチルメタクリレート 10.0質量部
n−ブチルメタクリレート 55.0質量部
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 15.0質量部
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 4.0質量部
滴下終了後、反応を80℃でさらに3時間継続させた。その後、アゾビスイソブチロニトリル1.0質量部をシクロヘキサノン50質量部に溶解させたてなる溶液を容器内の液に添加し、反応を80℃でさらに1時間継続させて、アクリル樹脂の溶液を得た。このアクリル樹脂の重量平均分子量は、約40000であった。
室温まで冷却した後、先の樹脂溶液の約2gをサンプリングした。このサンプルを180℃で20分間加熱することにより乾燥させ、不揮発分の質量を測定した。この測定結果に基いて、不揮発分の濃度が20質量%になるように、先の樹脂溶液にシクロヘキサノンを添加した。以上のようにして、アクリル樹脂溶液1を調製した。
<アクリル樹脂溶液2の調製>
反応容器にシクロヘキサノン370質量部を投入し、この容器に窒素ガスを供給しながら80℃に加熱した。容器内の液温をこの温度に維持しながら、下記モノマーおよび熱重合開始剤の混合物を1時間かけて容器内に滴下して重合反応を生じさせた。
メタクリル酸 20.0質量部
メチルメタクリレート 10.0質量部
n−ブチルメタクリレート 35.0質量部
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 15.0質量部
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 4.0質量部
パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート 20.0質量部
(東亜合成株式会社製「アロニックスM110」)
滴下終了後、反応を80℃でさらに3時間継続させた。その後、アゾビスイソブチロニトリル1.0質量部をシクロヘキサノン50質量部に溶解させたてなる溶液を容器内の液に添加し、反応を80℃でさらに1時間継続させて、アクリル樹脂の溶液を得た。このアクリル樹脂の重量平均分子量は、約40000であった。
室温まで冷却した後、先の樹脂溶液の約2gをサンプリングした。このサンプルを180℃で20分間加熱することにより乾燥させ、不揮発分の質量を測定した。この測定結果に基いて、不揮発分の濃度が20質量%になるように、先の樹脂溶液にシクロヘキサノンを添加した。以上のようにして、アクリル樹脂溶液2を調製した。
<アクリル樹脂溶液3の調製>
反応容器にシクロヘキサノン560質量部を投入し、この容器に窒素ガスを供給しながら80℃に加熱した。容器内の液温をこの温度に維持しながら、下記モノマーおよび熱重合開始剤の混合物を1時間かけて容器内に滴下して重合反応を生じさせた。
メタクリル酸 34.0質量部
メチルメタクリレート 23.0質量部
n−ブチルメタクリレート 45.0質量部
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 70.5質量部
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 8.0質量部
滴下終了後、反応を100℃でさらに3時間継続させた。その後、アゾビスイソブチロニトリル1.0質量部をシクロヘキサノン55質量部に溶解させたてなる溶液を容器内の液に添加し、反応を80℃でさらに1時間継続させて、共重合体溶液を得た。
次に、得られた共重合体溶液338質量部に、下記化合物の混合物を70℃で3時間かけて滴下した。
2−メタクロイルエチルイソシアネート 32.0質量部
ラウリン酸ジブチル錫 0.4質量部
シクロヘキサノン 120.0質量部
室温まで冷却した後、先の樹脂溶液の約2gをサンプリングした。このサンプルを180℃で20分間加熱することにより乾燥させ、不揮発分の質量を測定した。この測定結果に基いて、不揮発分の濃度が20質量%になるように、先の樹脂溶液にシクロヘキサノンを添加した。以上のようにして、アクリル樹脂溶液3を調製した。得られたアクリル樹脂の重量平均分子量は20000であり、二重結合当量は470であった。
<アクリル樹脂溶液4の調製>
反応容器にシクロヘキサノン560質量部を投入し、この容器に窒素ガスを供給しながら80℃に加熱した。容器内の液温をこの温度に維持しながら、下記モノマーおよび熱重合開始剤の混合物を1時間かけて容器内に滴下して重合反応を生じさせた。
メタクリル酸 34.0質量部
メチルメタクリレート 23.0質量部
n−ブチルメタクリレート 25.0質量部
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 70.5質量部
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 8.0質量部
パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート 20.0質量部
(東亜合成株式会社製「アロニックスM110」)
滴下終了後、反応を100℃でさらに3時間継続させた。その後、アゾビスイソブチロニトリル1.0質量部をシクロヘキサノン55質量部に溶解させたてなる溶液を容器内の液に添加し、反応を80℃でさらに1時間継続させて、共重合体溶液を得た。
次に、得られた共重合体溶液338質量部に、下記化合物の混合物を70℃で3時間かけて滴下した。
2−メタクロイルエチルイソシアネート 32.0質量部
ラウリン酸ジブチル錫 0.4質量部
シクロヘキサノン 120.0質量部
室温まで冷却した後、先の樹脂溶液の約2gをサンプリングした。このサンプルを180℃で20分間加熱することにより乾燥させ、不揮発分の質量を測定した。この測定結果に基いて、不揮発分の濃度が20質量%になるように、先の樹脂溶液にシクロヘキサノンを添加した。以上のようにして、アクリル樹脂溶液4を調製した。得られたアクリル樹脂の重量平均分子量は20000であり、二重結合当量は470であった。
<赤色ソルトミリング処理顔料の製造>
赤色顔料(C.I.pigment red 254、チバ・スペシャリティー・ケミカルズ株式会社製「イルガフォアレッドB−CF」)200質量部、塩化ナトリウム1400質量部、およびジエチレングリコール360質量部を、ステンレス製1ガロンニーダ(井上製作所製)内に仕込み、80℃で6時間混練した。次に、この混練物を8リットルの温水中に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とした。このスラリーの濾過と濾過ケークの水洗とを繰り返して、顔料から塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた。その後、濾過ケークを85℃で一昼夜乾燥して、190質量部の「P.R.254処理顔料」を得た。
<緑色ソルトミリング処理顔料の製造>
赤色顔料の代わりに緑色顔料(C.I.pigment green 36、東洋インキ製造株式会社製「リオノールグリーン 6YK」)を使用したこと以外は、赤色ソルトミリング処理顔料について説明したのと同様の方法により、「P.G.36処理顔料」を得た。
<黄色ソルトミリング処理顔料の製造>
赤色顔料の代わりに黄色顔料(C.I.pigment yellow 138、東洋インキ製造株式会社製「リオノールエロー 1030」)を使用したこと以外は、赤色ソルトミリング処理顔料について説明したのと同様の方法により、「P.Y.138処理顔料」を得た。
<青色ソルトミリング処理顔料の製造>
赤色顔料の代わりに青色顔料(C.I.pigment blue 15:6、BASF社製「ヘリオゲンブルーL−6700F」)を使用したこと以外は、赤色ソルトミリング処理顔料について説明したのと同様の方法により、「P.B.15:6処理顔料」を得た。
<紫色ソルトミリング処理顔料の製造>
赤色顔料の代わりに紫色顔料(C.I.pigment violet 23、東洋インキ製造株式会社製「リオノゲンバイオレット R6200」)を使用したこと以外は、赤色ソルトミリング処理顔料について説明したのと同様の方法により、「P.V.23処理顔料」を得た。
<赤色顔料分散液の調製>
下記材料を撹拌して均一な混合物を調製した。この混合物を、アイガーミルを用いた10時間の処理に供して、固形分を液中に均一に分散させた。ここでは、粉砕媒体として、直径0.5mmのジルコニアビーズを使用した。その後、この分散液を濾過して、赤色顔料分散液を得た。この濾過には、直径1.0μm以上の粒子を液相から分離可能なフィルタを使用した。
P.R.254処理顔料 8.0質量部
分散助剤(アビシア社製「ソルスパーズ20000」) 1.0質量部
アクリル樹脂溶液1 40.0質量部
シクロヘキサノン 51.0質量部
<緑色顔料分散液の調製>
下記材料を撹拌して均一な混合物を調製した。この混合物を、アイガーミルを用いた10時間の処理に供して、固形分を液中に均一に分散させた。ここでは、粉砕媒体として、直径0.5mmのジルコニアビーズを使用した。その後、この分散液を濾過して、緑色顔料分散液を得た。この濾過には、直径1.0μm以上の粒子を液相から分離可能なフィルタを使用した。
P.G.36処理顔料 8.0質量部
分散助剤(アビシア社製「ソルスパーズ20000」) 1.0質量部
アクリル樹脂溶液1 40.0質量部
シクロヘキサノン 51.0質量部
<黄色顔料分散液の調製>
下記材料を撹拌して均一な混合物を調製した。この混合物を、アイガーミルを用いた10時間の処理に供して、固形分を液中に均一に分散させた。ここでは、粉砕媒体として、直径0.5mmのジルコニアビーズを使用した。その後、この分散液を濾過して、黄色顔料分散液を得た。この濾過には、直径1.0μm以上の粒子を液相から分離可能なフィルタを使用した。
P.Y.138処理顔料 8.0質量部
分散助剤(アビシア社製「ソルスパーズ20000」) 1.0質量部
アクリル樹脂溶液1 40.0質量部
シクロヘキサノン 51.0質量部
<青色顔料分散液の調製>
下記材料を撹拌して均一な混合物を調製した。この混合物を、アイガーミルを用いた10時間の処理に供して、固形分を液中に均一に分散させた。ここでは、粉砕媒体として、直径0.5mmのジルコニアビーズを使用した。その後、この分散液を濾過して、青色顔料分散液を得た。この濾過には、直径1.0μm以上の粒子を液相から分離可能なフィルタを使用した。
P.B.15:6処理顔料 8.0質量部
分散助剤(ビックケミー社製「BYK111」) 1.0質量部
アクリル樹脂溶液2 40.0質量部
シクロヘキサノン 51.0質量部
<紫色顔料分散液の調製>
下記材料を撹拌して均一な混合物を調製した。この混合物を、アイガーミルを用いた10時間の処理に供して、固形分を液中に均一に分散させた。ここでは、粉砕媒体として、直径0.5mmのジルコニアビーズを使用した。その後、この分散液を濾過して、紫色顔料分散液を得た。この濾過には、直径1.0μm以上の粒子を液相から分離可能なフィルタを使用した。
P.V.23処理顔料 8.0質量部
分散助剤(ビックケミー社製「BYK111」) 1.0質量部
アクリル樹脂溶液2 40.0質量部
シクロヘキサノン 51.0質量部
<赤色着色組成物の製造>
下記材料を撹拌して均一な混合物を調製した。この混合物を濾過して、アルカリ現像型赤色着色組成物を得た。この濾過には、直径0.6μm以上の粒子を液相から分離可能なフィルタを使用した。
赤色顔料分散液 50.0質量部
アクリル樹脂溶液3 10.0質量部
トリメチロールプロパントリアクリレート 3.0質量部
(新中村化学株式会社製「NKエステルATMPT」)
光重合開始剤 1.8質量部
(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ株式会社製「イルガキュアー907」)
増感剤(保土ヶ谷化学株式会社製「EAB−F」) 0.2質量部
シクロヘキサノン 10.0質量部
<緑色着色組成物の製造>
下記材料を撹拌して均一な混合物を調製した。この混合物を濾過して、アルカリ現像型緑色着色組成物を得た。この濾過には、直径0.6μm以上の粒子を液相から分離可能なフィルタを使用した。
緑色顔料分散液 30.0質量部
黄色顔料分散液 20.0質量部
アクリル樹脂溶液3 10.0質量部
トリメチロールプロパントリアクリレート 3.0質量部
(新中村化学株式会社製「NKエステルATMPT」)
光重合開始剤 1.8質量部
(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ株式会社製「イルガキュアー907」)
増感剤(保土ヶ谷化学株式会社製「EAB−F」) 0.2質量部
シクロヘキサノン 10.0質量部
<青色着色組成物の製造>
下記材料を撹拌して均一な混合物を調製した。この混合物を濾過して、アルカリ現像型青色着色組成物を得た。この濾過には、直径0.6μm以上の粒子を液相から分離可能なフィルタを使用した。
青色顔料分散液 45.0質量部
紫色顔料分散液 5.0質量部
アクリル樹脂溶液4 10.0質量部
トリメチロールプロパントリアクリレート 3.0質量部
(新中村化学株式会社製「NKエステルATMPT」)
光重合開始剤 1.8質量部
(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ株式会社製「イルガキュアー907」)
増感剤(保土ヶ谷化学株式会社製「EAB−F」) 0.2質量部
シクロヘキサノン 10.0質量部
上述の赤色着色組成物を、スピンコータを用いて、乾燥膜厚が2.0μmになるようにガラス板上に塗布した。なお、ここで使用したガラス板は、光学的に等方性である。次いで、クリーンオーブンを用いた70℃での20分間の加熱により塗膜を乾燥させた。基板を室温まで冷却させた後、フォトマスクを介して塗膜に紫外線を照射した。紫外線源としては、超高圧水銀灯を使用した。次に、この塗膜を23℃の炭酸ナトリウム水溶液を用いたスプレー現像に供した。その後、塗膜をイオン交換水で洗浄し、風乾させた。さらに、クリーンオーブンを用いて、塗膜を230℃で30分間焼成した。以上のようにして、基板上に赤色着色層を形成した。
次に、赤色着色組成物の代わりに緑色着色組成物を用いたこと以外は赤色着色組成物について説明したのと同様の方法により、赤色着色層を形成した基板上に緑色着色層をさらに形成した。その後、赤色着色組成物の代わりに青色着色組成物を用いたこと以外は赤色着色組成物について説明したのと同様の方法により、赤色着色層および緑色着色層を形成した基板上に青色着色層をさらに形成した。以上のようにして、カラーフィルタ層を得た。
このカラーフィルタ層とガラス板との積層体について、面内方向リターデイションReを測定した。その結果、赤色着色層に対応した部分の波長630nmの光についてのリターデイションRe、緑色着色層に対応した部分の波長550nmの光についてのリターデイションRe、および青色着色層に対応した部分の波長450nmの光についてのリターデイションReは、いずれもゼロであった。
次に、配向膜材料(日産化学工業株式会社製「SE−1410」)を、スピンコータを用いて、乾燥膜厚が0.1μmになるようにカラーフィルタ層上に塗布した。次いで、ホットプレートを用いた90℃での1分間の加熱により塗膜を乾燥させた。続いて、クリーンオーブンを用いて、塗膜を230℃で40分間焼成した。さらに、この塗膜に対し、その主面に平行な一方向にラビング処理を施して、配向膜を得た。
固体化液晶層を形成するためのコーティング液は、重合性液晶に光重合開始剤を配合して調製することができる。コーティング液の組成は表示色毎に異なり、具体的には、それぞれ異なる含有量で光重合開始剤が含有される。光重合開始剤の含有量の決定方法を以下に説明する。
まず、コーティング液の成分として、水平配向重合性液晶(DIC株式会社製「UCL−017」)、光重合開始剤(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ株式会社製「イルガキュアー907」)、界面活性剤(ビックケミー社製「BYK111」2%シクロヘキサノン溶液)、シクロヘキサノン、およびPGMACを準備した。
光重合開始剤の濃度を変更した以外は同様の条件で6種類の溶液を調製し、それぞれを用いて膜厚1.6μmの液晶材料層を形成した。光重合開始剤の濃度は、1.0%、1.5%、2.0%、2.5%、3.0%、および5.0%とした。得られた液晶材料層に対して、4種類の露光量で露光を施し、リターデイションReを求めた。露光量は、50mJ/cm
2、100mJ/cm
2、150mJ/cm
2、および200mJ/cm
2とした。その結果を、下記表1にまとめる。
光重合開始剤の含有量とリターデイションReとの関係を、図7のグラフにプロットし、露光量とリターデイションReとの関係を図8のグラフにプロットする。
図7に示されるように、光重合開始剤の含有量が増加するにしたがって、リターデイションReも増加し、この傾向は露光量によらず同様である。また、光重合開始剤の含有量が1.5〜5.0%の範囲内で一定であれば、100〜200mJ/cm2の範囲内の露光量でのリターデイションReの変化量は±5nm(±3%)以下であることが、図8に示されている。
以上の測定結果に基づいて、露光量200mJ/cm2固定として光重合開始剤の含有量を近似した。その結果を、図9のグラフに示す。近似式は、以下のように得られた。
y=−12.187x
3+62.832x
2−32.625x+21.926
各表示色(R,G,B)のリターデイションReの目標値から、光重合開始剤の含有量を算出して、下記表2にまとめる。なお、各表示色のリターデイションReの目標値は、その色の分光透過率、各波長の視感度、および補償に用いられる材料の屈折率波長、分散等から、当該表示色の黒表示が最も暗くなる値として求めることができる。
コーティング液に含有される光重合開始剤の含有量は、赤色部液晶化合物液で最大であり、青色部液晶化合物液で最小である。緑色部液晶化合物液には、その中間の量で光重合開始剤が含有される。こうした大小関係が保たれていれば、各コーティング液に含有される光重合開始剤の量は、近似式から算出された値の±0.07%程度の範囲内で変化させてもよい。
以上の結果に基づいて、下記表3に示す組成で各成分をそれぞれ配合し、撹拌して均一な混合物を調製した。直径0.6μm以上の粒子を液相から分離可能なフィルタにより、この混合物を濾過して3種類のコーティング液を得た。すなわち、赤色部液晶化合物液、緑色部液晶化合物液、および青色部液晶化合物液である。
上記表3中における開始剤の濃度(%)割合は、重合性液晶化合物の重量に対する割合である。
この3種類のコーティング液を、それぞれインクジェット法を用いて、乾燥膜厚が1.6μmになるように配向膜上に塗布した。次いで、ホットプレートを用いた90℃での2分間の加熱により塗膜を乾燥させた。以上のようにして、配向膜上に液晶材料層を形成した。
次に、液晶材料層に対して露光を行なった。その後、クリーンオーブンを用いて液晶材料層を230℃で40分間焼成して、固体化液晶化層を得た。以上のようにして、リタ−デイション基板を製造した。
得られたリターデイション基板について、面内方向リターデイションReを測定した。その結果、赤色着色層に対応した部分の波長630nmの光についてのリターデイションReは161nmであった。緑色着色層に対応した部分の波長550nmの光についてのリターデイションReは136nmであった。青色着色層に対応した部分の波長450nmの光についてのリターデイションReは112nmであった。いずれの着色層においても、リターデイションReは目標値どおりであることが確認された。
更なる利益および変形は、当業者には容易である。それゆえ、本発明は、そのより広い側面において、ここに記載された特定の記載や代表的な態様に限定されるべきではない。したがって、添付の請求の範囲およびその等価物によって規定される本発明の包括的概念の真意または範囲から逸脱しない範囲内で、様々な変形が可能である。