以下、本発明の態様について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、同様または類似した機能を発揮する構成要素には全ての図面を通じて同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
図1は、本発明の一態様に係るリターデイション基板を概略的に示す斜視図である。図2は、図1に示すリターデイション基板のII−II線に沿った断面図である。
図1および図2に示すリターデイション基板10は、基材110とカラーレジスト層120と固体化液晶層130とを含んでいる。
基材110は、光透過性を有している。基材110は、例えば透明基板であり、ブラックマトリクス(BM)が設けられている。
カラーレジスト層120は、基材110上に形成されている。カラーレジスト層120は、吸収スペクトルが互いに異なり、基材110上で隣り合った複数の着色層120a乃至120cを含んでいる。具体的には、着色層120aが透過させる光は着色層120bが透過させる光と比較して波長がより短く、着色層120bが透過させる光は着色層120cが透過させる光と比較して波長がより短い。なお、或る光の「中心波長」は、その光のスペクトルが最大強度を示す波長である。
カラーレジスト層120は、着色層120a乃至120cとは吸収スペクトルが異なる1つ以上の着色層をさらに含んでいてもよい。ここでは、一例として、着色層120aは赤色着色層であり、第2着色層120bは緑色着色層であり、第3着色層120cは青色着色層であるとする。
着色層120a乃至120cの各々は、Y方向に延びた帯形状を有している。着色層120a乃至120cは、Y方向と交差するX方向に繰り返し並んでおり、ストライプ配列を形成している。なお、X方向およびY方向は、基材110のカラーレジスト層120と向き合った面に平行な方向である。また、後述するZ方向は、X方向およびY方向に対して垂直な方向である。
着色層120a乃至120cの各々は、他の形状を有していてもよい。例えば、着色層120a乃至120cの各々は矩形状であってもよい。この場合、着色層120a乃至120cは、正方配列またはデルタ配列を形成していてもよい。
着色層120a乃至120cの各々は、例えば、透明樹脂とその中に分散させた顔料とを含んだ混合物からなる。着色層120a乃至120cの各々は、顔料と顔料担体とを含んだ着色組成物のパターン層を形成し、このパターン層を硬化させることにより得られる。着色組成物については、後で説明する。
カラーレジスト層120の上には、配向規制層140を介して固体化液晶層130が設けられる。配向規制層140は、その上の固体化液晶層130を配向させる。
固体化液晶層130は、リターデイション層である。固体化液晶層130は、典型的には、連続膜であり、カラーレジスト層120の一主面の全体を被覆している。
固体化液晶層130は、その主面に平行な方向に並んだ3つ以上の領域を含んでいる。それら領域の少なくとも2つは、複屈折性を有しており、リターデイションが互いに異なっている。
具体的には、固体化液晶層130は、領域130a乃至130cを含んでいる。領域130a乃至130cは、Z方向に垂直な方向に隣り合っている。
領域130a乃至130cは、それぞれ、着色層120a乃至120cと向き合っている。領域130a乃至130cは、それぞれ、着色層120a乃至120cとほぼ等しい形状を有している。
領域130a乃至130cは、それぞれ、着色層120a乃至130bと比較してより小さい。領域130a乃至130cは、互いから離間している。領域130dは、固体化液晶層130のうち領域130a乃至130c以外の領域である。領域130dは位相差を有しない領域である。上述したように、領域130a乃至130cは、互いに異なるリターデイションを有しているので、固体化液晶層130には、所定の位相差パターンが設けられている。図示する例においては、領域130dは、基材110に設けられたBMに対応する領域であるが、これに限定されるものではない。
領域130a乃至130cは、サーモトロピック液晶化合物または組成物を重合および/または架橋させてなる。領域130a乃至130cは、組成が互いに等しい。
典型的には、領域130a乃至130cは、厚さが互いに等しい。すなわち、典型的には、固体化液晶層130は均一な厚さを有している。
領域130a乃至130cは、配向の程度が互いに異なっている。領域130aは領域130bと比較して配向の程度がより大きい。領域130bは領域130cと比較して配向の程度がより大きい。したがって、領域130aでは、領域130bと比較して屈折率異方性がより大きい。そして、領域130bでは、領域130cと比較して屈折率異方性がより大きい。なお、領域130cは、複屈折性を有していてもよく、光学的に等方性であってもよい。
ここで、「配向の程度」は、面内方向に隣り合った領域の各々におけるメソゲンMSの配向度を意味する。メソゲンMSの配向度は、その領域の全体に亘って一定であってもよく、Z方向に沿って変化していてもよい。例えば、或る領域においては、下面付近で配向度がより高く、上面付近で配向度がより低くてもよい。この場合、「配向の程度」は、厚さ方向についての配向度の平均を示す。
領域130aが領域130bと比較して配向の程度がより大きいことは、領域130aの屈折率異方性と領域130bの屈折率異方性との比較により確認することができる。同様に、領域130bが領域130cと比較して配向の程度がより大きいことは、領域130bの屈折率異方性と領域130cの屈折率異方性との比較により確認することができる。
このように、領域130a乃至130cは、配向の程度が互いに異なっている。そして、領域130a乃至130cは、厚さがほぼ等しい。したがって、領域130a乃至130cは、リターデイションが互いに異なっている。
メソゲンが棒状である場合、領域130a乃至130cの各々は、例えば、メソゲンの長さ方向がZ方向に対してほぼ垂直な一方向に揃ったホモジニアス配向に対応した正のAプレート、メソゲンの長さ方向がZ方向にほぼ平行な方向に揃ったホメオトロピック配向に対応した正のCプレート、または、Z方向にほぼ平行な方向を螺旋軸とする螺旋構造を形成し且つ螺旋軸に垂直な各面内でメソゲンの長さ方向がZ方向に対してほぼ垂直な一方向に揃ったコレステリック配向に対応した負のCプレートであってもよい。メソゲンが棒状である場合、領域130a乃至130cの各々は、メソゲンの長さ方向がZ方向に垂直な一方向に偏るように変形したコレステリック配向に対応した正のAプレートと負のCプレートとの複合体であってもよい。メソゲンが円盤状である場合、領域130a乃至130cの各々は、例えば、メソゲンの厚さ方向がZ方向にほぼ平行な方向に揃ったホメオトロピック配向に対応した負のAプレート、または、メソゲンの厚さ方向がZ方向にほぼ垂直な一方向に揃ったホモジニアス配向に対応した正のCプレートである。このように、領域130a乃至130cには、あらゆる配向構造を採用することができる。
上記の通り、領域130cは、光学的に等方性であってもよい。すなわち、領域130cにおいて、メソゲンは、配向構造を形成していなくてもよい。
このリターデイション基板10は、上記の通り、屈折率異方性が互いに異なる領域130a乃至130cを含んでいる。そのため、領域130a乃至130cのリターデイションを互いに異ならしめるために、それらの厚さを互いに異ならしめる必要がない。それゆえ、領域130a乃至130cの厚さを互いに異ならしめてもよいが、領域130a乃至130cの厚さを互いに等しくすることができる。したがって、この固体化液晶層130は、容易に形成することができる。
連続膜としての固体化液晶層130は、パターニングされた固体化液晶層130と比較して、カラーレジスト層120からリターデイション基板10の外部への物質移動を生じ難くする。したがって、連続膜としての固体化液晶層130を含んだリターデイション基板10を例えば液晶表示装置において使用した場合、カラーレジスト層120から液晶層中への不純物の混入を抑制できる。
次に、このリターデイション基板10の材料および製造方法について説明する。
基材110は、典型的には、ガラス板または樹脂板などの光透過性基板である。ガラス板の材料としては、例えば、ソーダ石灰ガラス、低アルカリ硼珪酸ガラスまたは無アルカリアルミノ硼珪酸ガラスを使用することができる。樹脂板の材料としては、例えば、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチルまたはポリエチレンテレフタレートを使用することができる。
基材110は、単層構造を有していてもよく、多層構造を有していてもよい。例えば、リターデイション基板10が液晶表示装置の一部品である場合、基材110として、インジウム錫酸化物および錫酸化物などの透明導電体からなる透明電極が形成された光透過性基板を使用してもよい。あるいは、基材110として、画素回路などの回路が形成された光透過性基板を使用してもよい。
基材110は、プラスチックフィルムなどの光透過性フィルムまたはプラスチックシートなどの光透過性シートであってもよい。
基材110は、光透過性を有していなくてもよい。例えば、リターデイション基板10に、透過光の代わりに反射光を利用する構成を採用した場合、基材110は遮光性であってもよい。
基材110の所定の領域には、常法によりBMを形成する。BMの高さは、顔料濃度等に応じて適宜決定することができる。例えばカーボン顔料が用いられる場合には、BMは、通常1.0〜2.0μm程度の高さで形成される。
カラーレジスト層120の形成には、何れの方法を用いてもよい。一例によると、着色層120a乃至120cの各々は、顔料担体とこれに分散させた顔料とを含んだ着色組成物の膜を形成し、この膜を硬化させることにより得られる。
着色組成物の顔料としては、有機顔料および/または無機顔料を使用することができる。着色組成物は、1種の有機または無機顔料を含んでいてもよく、複数種の有機顔料および/または無機顔料を含んでいてもよい。
顔料は、発色性が高く且つ耐熱性、特には耐熱分解性が高いことが好ましく、通常は、有機顔料が用いられる。以下に、着色組成物に使用可能な有機顔料の具体例をカラーインデックス番号で示す。
赤色着色組成物の有機顔料としては、例えば、C.I.Pigment Red 7、14、41、48:2、48:3、48:4、81:1、81:2、81:3、81:4、146、168、177、178、179、184、185、187、200、202、208、210、246、254、255、264、270、272および279などの赤色顔料を用いることができる。赤色着色組成物の有機顔料として、赤色顔料と黄色顔料との混合物を使用してもよい。この黄色顔料としては、例えば、C.I. Pigment Yellow1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、126、127、128、129、138、147、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、199、198、213または214を使用することができる。
緑色着色組成物の有機顔料としては、例えば、C.I.Pigment Green 7、10、36および37などの緑色顔料を用いることができる。緑色着色組成物の有機顔料として、緑色顔料と黄色顔料との混合物を使用してもよい。この黄色顔料としては、例えば、赤色着色組成物について例示したのと同様のものを使用することができる。
青色着色組成物の有機顔料としては、例えば、C.I.Pigment Blue 15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60および64などの青色顔料を用いることができる。青色着色組成物の有機顔料として、青色顔料と紫色顔料との混合物を使用してもよい。この紫色顔料としては、例えば、C.I.Pigment Violet 1、19、23、27、29、30、32、37、40、42または50を使用することができる。
無機顔料としては、例えば、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑およびコバルト緑などの金属酸化物粉、金属硫化物粉、または金属粉を使用することができる。無機顔料は、例えば、彩度と明度とをバランスさせつつ、良好な塗布性、感度および現像性などを達成するために、有機顔料と組み合わせて用いられ得る。
着色組成物は、顔料以外の着色成分をさらに含んでいてもよい。例えば、着色組成物は、十分な耐熱性を達成できるのであれば、染料を含有していてもよい。この場合、染料を用いた調色が可能である。
透明樹脂は、可視光領域である400乃至700nmの全波長領域に亘って好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上の透過率を有している樹脂である。透明樹脂の材料、すなわち顔料担体としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂および感光性樹脂などの透明樹脂、その前駆体またはそれらの混合物を使用することができる。顔料担体としての透明樹脂は、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、感光性樹脂またはそれらの2つ以上を含んだ混合物である。透明樹脂の前駆体は、例えば、放射線照射により硬化するモノマーおよび/またはオリゴマーを含んでいる。
着色組成物において、透明樹脂は、顔料100質量部に対して、例えば30乃至700質量部、好ましくは60乃至450質量部の量で用いる。透明樹脂とその前駆体との混合物を顔料担体として用いる場合には、着色組成物において、透明樹脂は、顔料100質量部に対して、例えば20乃至400質量部、好ましくは50乃至250質量部の量で用いる。この場合、透明樹脂の前駆体は、着色組成物において、顔料100質量部に対して、例えば10乃至300質量部、好ましくは10乃至200質量部の量で用いる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ブチラール樹脂、スチレンーマレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリブタジエン、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリイミド樹脂を使用することができる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂またはフェノール樹脂を使用することができる。
感光性樹脂としては、例えば、水酸基、カルボキシル基およびアミノ基などの反応性の置換基を有する線状高分子に、イソシアネート基、アルデヒド基およびエポキシ基などの反応性置換基を有するアクリル化合物、メタクリル化合物または桂皮酸を反応させて、アクリロイル基、メタクリロイル基およびスチリル基など光架橋性基を線状高分子に導入した樹脂を使用することができる。また、スチレン−無水マレイン酸共重合物およびα−オレフィン−無水マレイン酸共重合物などの酸無水物を含む線状高分子を、ヒドロキシアルキルアクリレートおよびヒドロキシアルキルメタクリレートなどの水酸基を有するアクリル化合物またはメタクリル化合物によりハーフエステル化した樹脂も使用することができる。
透明樹脂の前駆体であるモノマーおよび/またはオリゴマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、トリシクロデカニルアクリレート、トリシクロデカニルメタクリレート、メラミンアクリレート、メラミンメタクリレート、エポキシアクリレートおよびエポキシメタクリレートなどのアクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド、N−ヒドロキシメチルメタクリルアミド、アクリロニトリル、またはそれらの2種以上を含んだ混合物を使用することができる。
着色組成物を紫外線などの光を照射することによって硬化する場合、着色組成物には例えば光重合開始剤を添加する。
光重合開始剤としては、例えば、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンおよび2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オンなどのアセトフェノン系光重合開始剤;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルおよびベンジルジメチルケタールなどのベンゾイン系光重合開始剤;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノンおよび4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイドなどのベンゾフェノン系光重合開始剤;チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントンおよび2,4−ジイソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン系光重合開始剤;2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジンおよび2,4−トリクロロメチル(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジンなどのトリアジン系光重合開始剤;ボレート系光重合開始剤;カルバゾール系光重合開始剤;イミダゾール系光重合開始剤;またはそれらの2種以上を含んだ混合物を使用することができる。
光重合開始剤は、着色組成物において、顔料100質量部に対して、例えば5乃至200質量部、好ましくは10乃至150質量部の量で使用する。
光重合開始剤と共に増感剤を使用してもよい。
増感剤としては、α−アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’−ジエチルイソフタロフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンおよび4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノンなどの化合物を使用することができる。
増感剤は、光重合開始剤100質量部に対して、例えば0.1乃至60質量部の量で使用することができる。
着色組成物は、多官能チオールなどの連鎖移動剤をさらに含有していてもよい。
多官能チオールは、チオール基を2個以上有する化合物である。多官能チオールとしては、例えば、ヘキサンジチオール 、デカンジチオール 、1,4−ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4−ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4−ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6−トリメルカプト−s−トリアジン、2−(N,N−ジブチルアミノ)−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン、またはそれらの2種以上を含んだ混合物を使用することができる。
多官能チオールは、着色組成物において、顔料100質量部に対して、例えば0.2乃至150質量部、好ましくは0.2乃至100質量部の量で使用する。
着色組成物は、溶剤をさらに含有していてもよい。溶剤を使用すると、顔料の分散性を向上させることができ、それゆえ、基材110上に着色組成物を乾燥膜厚が例えば0.2乃至5μmとなるように塗布することが容易になる。
溶剤としては、例えば、シクロヘキサノン、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチルベンゼン、エチレングリコールジエチルエーテル、キシレン、エチルセロソルブ、メチル−nアミルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、トルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルケトン、石油系溶剤、またはそれらの2種以上を含んだ混合物を使用することができる。
溶剤は、着色組成物において、顔料100質量部に対して、例えば800乃至4000質量部、好ましくは1000乃至2500質量部の量で使用する。
着色組成物は、例えば、1種以上の顔料を、必要に応じて上記光重合開始剤と共に、顔料担体および有機溶剤中に、三本ロールミル、二本ロールミル、サンドミル、ニーダおよびアトライタなどの分散装置を用いて微細に分散させることにより製造することができる。2種以上の顔料を含む着色組成物は、異なる顔料を含んだ分散体を調製し、それら分散体を混合することにより製造してもよい。
顔料を顔料担体および有機溶剤中に分散させる際には、樹脂型顔料分散剤、界面活性剤および顔料誘導体などの分散助剤を使用することができる。分散助剤は、顔料の分散性を向上させ、分散後の顔料の再凝集を抑制する。したがって、分散助剤を用いて顔料を顔料担体および有機溶剤中に分散させてなる着色組成物を用いた場合には、透明性に優れたカラーフィルタが得られる。
分散助剤は、着色組成物において、顔料100質量部に対して、例えば0.1乃至40質量部、好ましくは0.1乃至30質量部の量で使用する。
樹脂型顔料分散剤は、顔料に吸着する性質を有する顔料親和性部位と、顔料担体と相溶性のある部位とを含んでいる。樹脂型顔料分散剤は、顔料に吸着して顔料の顔料担体への分散性を安定化する。
樹脂型顔料分散剤としては、例えば、ポリウレタン、ポリアクリレートなどのポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸アミン塩、ポリカルボン酸部分アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩および水酸基含有ポリカルボン酸エステル、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離カルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドおよびその塩などの油性分散剤;アクリル酸−スチレン共重合体、メタクリル酸−スチレン共重合体、アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−メタクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコールおよびポリビニルピロリドンなどの水溶性樹脂若しくは水溶性高分子化合物;ポリエステル類、変性ポリアクリレート類、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、燐酸エステル類、またはそれらの2種以上を含んだ混合物を使用することができる。
界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミンおよびポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートおよびポリエチレングリコールモノラウレートなどのノニオン性界面活性剤;アルキル4級アンモニウム塩およびそれらのエチレンオキサイド付加物などのカオチン性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタインおよびアルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤;またはそれらの2種以上を含んだ混合物を使用することができる。
色素誘導体は、有機色素に置換基を導入した化合物である。色素誘導体は、使用する顔料と色相が近いことが好ましいが、添加量が少なければ色相の異なっていてもよい。用語「有機色素」は、一般に色素とは呼ばれている化合物に加え、一般に色素とは呼ばれていないナフタレン系およびアントラキノン系化合物などの淡黄色の芳香族多環化合物を包含している。色素誘導体としては、例えば、特開昭63−305173号公報、特公昭57−15620号公報、特公昭59−40172号公報、特公昭63−17102号公報、または特公平5−9469号公報に記載されているものを使用できる。特に、塩基性基を有する色素誘導体は、顔料の分散性を高める効果が大きい。着色組成物は、1種の色素誘導体を含んでいてもよく、複数の色素誘導体を含んでいてもよい。
着色組成物には、その粘度の経時的安定性を高めるために貯蔵安定剤を添加してもよい。貯蔵安定剤としては、例えば、ベンジルトリメチルクロライド;ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド;乳酸およびシュウ酸などの有機酸;その有機酸のメチルエーテル;t−ブチルピロカテコール;テトラエチルホスフィンおよびテトラフェニルフォスフィンなどの有機ホスフィン;亜リン酸塩;またはそれらの2種以上を含んだ混合物を使用することができる。
貯蔵安定剤は、着色組成物において、顔料100質量部に対して、例えば0.1乃至10質量部の量で含有させる。
着色組成物には、基板との密着性を高めるために、シランカップリング剤などの密着向上剤を添加してもよい。
シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルエトキシシランおよびビニルトリメトキシシランなどのビニルシラン類;γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどのアクリルシラン類およびメタクリルシラン類;β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランおよびγ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどのエポキシシラン類;N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランおよびN−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノシラン類、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランおよびγ−メルカプトプロピルトリエトキシシランなどのチオシラン類;またはそれらの2種以上を含んだ混合物を使用することができる。
シランカップリング剤は、着色組成物において、顔料100質量部に対して、例えば0.01乃至100質量部の量で含有させる。
着色組成物は、例えば、グラビアオフセット用印刷インキ、水無しオフセット印刷インキ、シルクスクリーン印刷用インキ、インキジェット印刷用インキ、または溶剤現像型若しくはアルカリ現像型着色レジストの形態で調製することができる。着色レジストは、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂または感光性樹脂と、モノマーと、光重合開始剤と、有機溶剤とを含有する組成物中に色素を分散させたものである。
顔料は、着色組成物の全固形分100質量部に対して、例えば5乃至70質量部、好ましくは20乃至50質量部の量で用いる。なお、着色組成物の残りの固形分の殆どは、顔料担体が含んでいる樹脂バインダである。
着色組成物を成膜に使用する前に、遠心分離、焼結フィルタおよびメンブレンフィルタなどの精製装置によって、着色組成物から、例えば5μm以上の粒子、好ましくは1μm以上の粒子、より好ましくは0.5μm以上の粒子を除去してもよい。
着色層120a乃至120cの各々は、例えば、印刷法によって形成することができる。印刷法によると、着色組成物の印刷と乾燥とを行なうことにより、着色層120a乃至120cの各々を形成することができる。したがって、印刷法は、低コストで量産性に優れている。しかも、近年の印刷技術の発展により、高い寸法精度および平滑度を有する微細パターンの印刷を行なうことができる。
印刷法を利用する場合、着色組成物が印刷版またはブランケット上で乾燥および固化を生じないように着色組成物の組成を設計する。また、印刷法では、印刷機内での着色組成物の流動性を最適化することが重要である。したがって、着色組成物に分散剤や体質顔料を添加して、その粘度を調整してもよい。
着色層120a乃至120cの各々は、フォトリソグラフィ法を利用して形成してもよい。フォトリソグラフィ法によれば、カラーレジスト層120を、印刷法と比較してより高い精度で形成することができる。
この場合、まず、溶剤現像型またはアルカリ現像型着色レジストとして調製した着色組成物を、基材110上に塗布する。この塗布には、スプレーコート、スピンコート、スリットコートおよびロールコートなどの塗布方法を利用する。この塗膜は、乾燥膜厚が例えば0.2乃至10μmとなるように形成する。
次いで、この塗膜を乾燥させる。塗布膜の乾燥には、例えば、減圧乾燥機、コンベクションオーブン、IRオーブンまたはホットプレートを利用する。塗膜の乾燥は、省略することができる。
続いて、塗膜に、フォトマスクを介して紫外線を照射する。すなわち、塗膜をパターン露光に供する。
その後、塗膜を溶剤若しくはアルカリ現像液に浸漬させるかまたは塗膜に現像液を噴霧する。これにより、塗膜から可溶部を除去して、着色層120aをレジストパターンとして得る。
さらに、これと同様の手順で、着色層120bおよび120cを順次形成する。以上のようにして、カラーレジスト層120を得る。なお、この方法では、着色レジストの重合を促進するために、熱処理を施してもよい。
このフォトリソグラフィプロセスでは、アルカリ現像液として、例えば、炭酸ナトリウム水溶液または水酸化ナトリウム水溶液を使用することができる。あるいは、アルカリ現像液として、ジメチルベンジルアミンおよびトリエタノールアミンなどの有機アルカリを含んだ液を使用してもよい。
現像液には、消泡剤および界面活性剤などの添加剤を添加してもよい。現像には、例えば、シャワー現像法、スプレー現像法、ディップ現像法またはパドル現像法を利用することができる。
露光感度を高めるために、以下の処理を追加してもよい。すなわち、着色レジストの第1塗膜を乾燥させた後、この第1塗膜の上に、水溶性またはアルカリ水溶性樹脂、例えばポリビニルアルコールまたは水溶性アクリル樹脂を塗布する。そして、この第2塗膜を乾燥させた後に、上記のパターン露光を行なう。第2と膜は、第1塗膜における重合が酸素によって阻害されるのを防止する。したがって、より高い露光感度を達成できる。
カラーレジスト層120は、他の方法で形成してもよい。例えば、インキジェット法、電着法または転写法を利用して形成してもよい。インキジェット法によってカラーレジスト層120を形成する場合、例えば、基材110上に予め遮光性離画壁を形成しておき、この遮光性離画壁によって区画された領域に向けてノズルからインキを吐出することにより各着色層を得る。電着法によってカラーレジスト層120を形成する場合、基材110上に予め透明導電膜を形成しておき、着色組成物からなるコロイド粒子の電気泳動によって着色組成物を透明導電膜上に堆積させることにより各着色層を得る。転写法を利用する場合、剥離性の転写ベースシートの表面に予めカラーレジスト層120を形成しておき、このカラーレジスト層120をベースシートから基材110上に転写する。
配向規制層140は、例えば、透明性の高いアクリル樹脂を用いて形成することができる。具体的には、アクリル樹脂組成物を塗布し、熱あるいは光で硬化させて透明樹脂層を形成する。得られた透明樹脂層に配向処理を施すことによって配向規制層140が形成される。例えば、特開2008−116809号公報に記載されている樹脂組成物を用いて、任意の方法により塗布することができる。塗布方法としては、バーコータ、アプリケータ、ワイヤーバー、スピンコータ、ロールコータ、スリットコータ、カーテンコータ、ダイコータ、キャピラリーコータやコンマコータなどの方法が挙げられる。
配向規制層140の最大厚さは、0.3μm以上であることが好ましい。これについては、後述する。
次に、固体化液晶層130の形成方法について説明する。
図3および図4は、固体化液晶層の形成方法の一例を概略的に示す断面図である。
固体化液晶層130は、例えば、配向規制層140上に、光重合性または光架橋性のサーモトロピック液晶材料を含んだ液晶材料層130’を形成し、この液晶材料層130’をパターン露光と熱処理とに供することによって得る。
液晶材料層130’は、例えば、配向規制層140上に、サーモトロピック液晶化合物を含んだコーティング液を塗布し、必要に応じて塗膜を乾燥させることにより得られる。液晶材料層130’では、サーモトロピック液晶化合物のメソゲンが配向構造を形成している。
このコーティング液は、サーモトロピック液晶化合物に加え、例えば、溶剤、キラル剤、光重合開始剤、熱重合開始剤、増感剤、連鎖移動剤、多官能モノマーおよび/またはオリゴマー、樹脂、界面活性剤、貯蔵安定剤および密着向上剤などの成分を、この液晶化合物を含んだ組成物が液晶性を失わない範囲で加えることができる。
サーモトロピック液晶化合物としては、例えば、アルキルシアノビフェニル、アルコキシビフェニル、アルキルターフェニル、フェニルシクロヘキサン、ビフェニルシクロヘキサン、フェニルビシクロヘキサン、ピリミジン、シクロヘキサンカルボン酸エステル、ハロゲン化シアノフェノールエステル、アルキル安息香酸エステル、アルキルシアノトラン、ジアルコキシトラン、アルキルアルコキシトラン、アルキルシクロヘキシルトラン、アルキルビシクロヘキサン、シクロヘキシルフェニルエチレン、アルキルシクロヘキシルシクロヘキセン、アルキルベンズアルデヒドアジン、アルケニルベンズアルデヒドアジン、フェニルナフタレン、フェニルテトラヒドロナフタレン、フェニルデカヒドロナフタレン、これらの誘導体、またはそれら化合物のアクリレートを使用することができる。
光重合開始剤、増感剤、連鎖移動剤、多官能モノマーおよび/またはオリゴマー、樹脂、界面活性剤、貯蔵安定剤および密着向上剤としては、例えば、着色組成物について例示したのと同様のものを使用することができる。また、この溶剤としても、例えば、着色組成物について例示したのと同様のものを使用することができる。
コーティング液の塗布には、例えば、スピンコート法;スリットコート法;凸版印刷、スクリーン印刷、平版印刷、反転印刷およびグラビア印刷などの印刷法;これらの印刷法にオフセット方式を組み合わせた方法;インキジェット法;またはバーコート法を利用することができる。
液晶材料層130’は、例えば、均一な厚さを有している連続膜として形成する。上述した方法によれば、塗布面が十分に平坦である限り、液晶材料層130’を均一な厚さを有している連続膜として形成することができる。
コーティング液の塗布に先立って、カラーレジスト層120の表面に、ラビングなどの配向処理を施してもよい。あるいは、コーティング液の塗布に先立って、カラーレジスト層120上に、液晶化合物の配向を規制する配向膜を形成してもよい。この配向膜は、例えば、カラーレジスト層120上にポリイミドなどの透明樹脂層を形成し、この透明樹脂層にラビングなどの配向処理を施すことにより得られる。この配向膜は、光配向技術を利用して形成してもよい。
次に、第1露光プロセスを行なう。すなわち、図3に示すように、液晶材料層130’の複数の領域に、異なる露光量で光L1を照射する。例えば、液晶材料層130’のうち領域130aに対応した領域130a’には、最大の露光量で光L1を照射する。液晶材料層130’のうち領域130bに対応した領域130b’には、領域130a’と比較してより小さな露光量で光L1を照射する。液晶材料層130’のうち領域130cに対応した領域130c’には、領域130b’と比較してより小さな露光量で光L1を照射するかまたは光L1を照射しない。これにより、液晶材料層130’の光L1を照射した部分で、メソゲンが形成している配向構造を維持させたまま、サーモトロピック液晶化合物の重合または架橋を生じさせる。サーモトロピック液晶化合物の重合または架橋生成物では、そのメソゲン基は固定化されている。
露光量が最大の領域130a’では、サーモトロピック液晶化合物の重合または架橋生成物の含有率が最も高く、未重合および未架橋のサーモトロピック液晶化合物の含有率が最も小さい。領域130a’と比較して露光量がより小さい領域130b’では、領域130a’と比較して、サーモトロピック液晶化合物の重合または架橋生成物の含有率がより低く、未重合および未架橋のサーモトロピック液晶化合物の含有率がより高い。領域130b’と比較して露光量がより小さい領域130c’では、領域130b’と比較して、サーモトロピック液晶化合物の重合または架橋生成物の含有率がより低く、未重合および未架橋のサーモトロピック液晶化合物の含有率がより高い。例えば、領域130a’では全てのサーモトロピック液晶化合物が重合しているかまたは架橋され、領域130b’では一部のサーモトロピック液晶化合物のみが重合しているかまたは架橋され、領域130c’ではサーモトロピック液晶化合物のほぼ全てが重合しておらず架橋されてもいない。
第1露光プロセスに使用する光L1は、紫外線、可視光線および赤外線などの電磁波である。電磁波の代わりに、電子線を使用してもよい。それらの1つのみを光L1として使用してもよく、それらの2つ以上を光L1として使用してもよい。
第1露光プロセスは、上述した不均一な重合または架橋を生じさせることができれば、どのような方法で行なってもよい。
例えば、この露光プロセスは、或るフォトマスクを用いた露光と、それとは遮光層のパターンが異なるフォトマスクを用いた露光とを含んでいてもよい。この場合、例えば、液晶材料層130’の全体に光L1を照射し、或るフォトマスクを用いて領域130a’および130b’のみに光L1を照射し、別のフォトマスクを用いて領域130a’のみに光L1を照射する。
あるいは、この露光プロセスは、或るフォトマスクを使用した領域130a’の露光と、それと同一のフォトマスクを使用した領域130b’の露光と、任意にそれと同一のフォトマスクを使用した領域130c’の露光とを含んでいてもよい。この場合、例えば、或るフォトマスクを使用して領域130a’に最大の露光量で光L1を照射し、そのフォトマスクを使用して領域130b’に領域130a’と比較してより小さな露光量で光L1を照射し、そのフォトマスクを使用して領域130c’に領域130b’と比較してより小さな露光量で光L1を照射する。
あるいは、この露光プロセスは、ハーフトーンマスクを使用した露光を含んでいてもよい。例えば、領域130c’に対応した部分に遮光層が設けられ、領域130b’に対応した部分に半透過層が設けられたハーフトーンマスクを介して、液晶材料層130’に光L1を照射する。ハーフトーンマスクの代わりに、グレイトーンマスクまたは波長制限マスクを使用してもよい。グレイトーンマスクは、半透過層を省略し、露光機の解像度以下の幅の複数のスリットを有する遮光層を領域130b’に対応した部分に設けたこと以外は、ハーフトーンマスクと同様の構造を有している。波長制限マスクは、光の透過波長域が異なる複数の部分を含んでいる。
あるいは、フォトマスクを使用する代わりに、電子ビームなどの放射線または光束を液晶材料層130’上で走査させてもよい。
あるいは、上述した技術を組み合わせてもよい。
第1露光プロセスを完了した後、第1熱処理プロセスを行なう。すなわち、液晶材料層130’を、サーモトロピック液晶化合物が液晶相から等方相へと変化する相転移温度と等しい温度以上に加熱する。未反応化合物であるサーモトロピック液晶化合物のメソゲンは固定化されていない。それゆえ、液晶材料層130’を相転移温度以上に加熱すると、未反応化合物のメソゲンの配向の程度が低下する。例えば、未反応化合物のメソゲンは、液晶相から等方相へと変化する。他方、サーモトロピック液晶化合物の重合または架橋生成物では、メソゲンは固定化されている。
したがって、図4に示すように、領域130b’では、領域130a’と比較して、メソゲンMSの配向の程度がより低くなる。そして、領域130c’では、領域130b’と比較して、メソゲンMSの配向の程度がより低くなる。例えば、領域130a’におけるメソゲンMSの配向の程度は、この熱処理によって殆ど変化しない。領域130b’におけるメソゲンMSの配向の程度は、この熱処理によって小さくなる。そして、領域130c’では、この熱処理によってメソゲンMSの配向構造が消失する。
その後、未反応化合物のメソゲンについて配向の程度を低下させたまま、未反応化合物を重合および/または架橋させる。
例えば、図4に示す第2露光プロセスを行なう。すなわち、サーモトロピック液晶化合物が等方相から液晶相へと変化する相転移温度よりも高い温度に液晶化合物層130’を維持したまま、液晶化合物層130’の全体に光L2を照射する。液晶化合物層130’には、未反応化合物のほぼ全てが重合および/または架橋反応を生じるのに十分な露光量で光L2を照射する。これにより、未反応化合物の重合または架橋を生じさせ、配向の程度を低下させたメソゲンを固定化する。以上のようにして、固体化液晶層130を得る。
なお、或る液晶化合物は、等方相から液晶相へと変化する第1相転移温度が、液晶相から等方相へと変化する第2相転移温度と比較してより低い。それゆえ、特定の場合には、第2露光プロセスにおける液晶化合物層130’の温度は、第1熱処理プロセスの加熱温度と比較してより低くてもよい。ただし、通常は、簡便性の観点で、第2露光プロセスにおける液晶化合物層130’の温度は、第1相転移温度以上とする。
光L2としては、光L1について説明したのと同様のものを使用することができる。光L2と光L1とは、同一であってもよく、異なっていてもよい。
第2露光プロセスでは、液晶化合物層130’の全体に亘って露光量が等しくてもよい。この場合、微細なパターンが設けられたフォトマスクを使用する必要がない。したがって、この場合、プロセスを簡略化することができる。
あるいは、第2露光プロセスは、第1露光プロセスにおける露光量と第2露光プロセスにおける露光量との和である合計露光量が領域130a’乃至130c’間で等しくなるように行なってもよい。例えば、領域130a’の合計露光量が領域130c’の合計露光量と比較して著しく大きい場合、領域130a’および/または着色層120aが不所望なダメージを受ける可能性がある。合計露光量を領域130a’乃至130c’間で等しくすると、そのようなダメージを防止できる。
未反応化合物の重合および/または架橋は、他の方法で行なってもよい。
例えば、未反応化合物、すなわちサーモトロピック液晶化合物が第1相転移温度よりも高い重合および/または架橋温度に加熱することによって重合および/または架橋する材料である場合、第2露光プロセスの代わりに、第2熱処理プロセスを行なってもよい。具体的には、第2露光プロセスの代わりに、液晶材料層130’を重合および/または架橋温度以上に加熱して、未反応化合物を重合および/または架橋させる。これにより、固体化液晶層130を得る。なお、第1熱処理における加熱温度は、例えば、第1相転移温度以上であり且つ重合および/または架橋温度未満とする。
あるいは、第1熱処理プロセスの後に、第2熱処理プロセスと第2露光プロセスとを順次行なってもよい。あるいは、第1熱処理プロセスの後に、第2露光プロセスと第2熱処理プロセスとを順次行なってもよい。あるいは、第1熱処理プロセスの後に、第2熱処理プロセスと第2露光プロセスと第2熱処理プロセスとを順次行なってもよい。このように第2露光プロセスと第2熱処理プロセスとを組み合わせると、未反応化合物の重合および/または架橋をより確実に進行させることができる。それゆえ、より強固な固体化液晶層130を得ることができる。
未反応化合物が或る温度に加熱することによって重合および/または架橋する材料である場合、第1熱処理における加熱温度は、それが重合および/または架橋する温度以上であってもよい。ただし、この場合、配向の程度の低下と重合および/または架橋とが同時に進行する。そのため、製造条件が固体化液晶層130の光学特性に及ぼす影響が比較的大きい。
上述したように、所定の位相差パターンを有する固体化液晶層130を得るためには、配向規制層140上の液晶材料層130’の所定の領域に光を照射して、パターン露光が施される。液晶材料層130’の露光部において、所望の位相差が得られる。図5に示されるように位相差範囲Cが露光部に対応し、この露光部の液晶材料層130’が盛り上がる。それに伴なって非露光部も引き上げられ、固体化液晶層130の表面は、図5に示すように大きなうねりをもった形状になってしまう。
露光部の盛り上がりは特に問題とはならないものの、非露光部の盛り上がりは、種々の問題の原因となる。例えば、BM上にインセル位相差層が形成される場合は、その上に設けられるカラーレジスト層の乗り上げによるツノが大きくなる。さらには、画素端部において色調が薄くなるといった不具合が発生する。
カラーレジスト層の上にインセル位相差層を形成した場合も、同様の現象が生じる。図6に示されるように、位相差領域Cに対応する露光部では、固体化液晶層130の表面が大きなうねりをもった形状となり、その上に形成される液晶層のセルギャップの不具合を引き起こす。
鋭意した結果、本発明者らは、配向規制層140の表面を制御することによって、配向欠陥を低減するとともに、固体化液晶層の膜厚の均一性を高めることを可能とした。具体的には、配向規制層の表面には凸部が設けられ、この凸部の側面と基材表面とのなす最大角度は、1°以上10°以下に規定される。
配向規制層140の最大厚さが0.3μm以上であれば、上述した範囲の角度で凸部を形成することができることが、本発明者らによって見出された。配向規制層の最大厚さとは、カラーレジスト層上もしくは基板上に形成される配向規制層140の位相差領域Cにおける最大厚さ141をさす。この最大厚さが0.3μm以上であれば、露光部と非露光部との境界の固体化液晶層の膜厚が薄くなり、露光部の盛り上がりによる非露光部への影響を防ぐことによって、非露光部の表面の平坦性を高めることができる。
例えばBM上に配向規制層140が設けられる場合には、配向規制層140表面の凸部aは、図7に示すようにBM上に位置する。
BMが設けられた複数の基材を用意し、表面の凸部の高さおよび最大角度の異なる種々の配向規制層を形成した。それぞれの配向規制層の上には、固体化液晶層およびカラーレジスト層を順次形成してリターデイション基板を作製した。得られたリターデイション基板について、配向欠陥の発生、非露光部の平坦性、およびRGB厚さ分布を調べた。その結果を、下記表1にまとめる。
なお、凸部高さは触針式表面形状測定機により測定し、傾斜角度は測定したプロファイルデータにより求めた。配向欠陥は偏光顕微鏡により観察し、認められない場合を“○”とした。全面に欠陥が生じた場合を“×”とし、その中間を“△”とした。
非露光部の平坦性は、固体化液晶層表面の非露光部における最大値と最小値との差により求めた。0.3μm以下であれば、要求されるRGBそれぞれの画素内における色度分布は、許容範囲内である。
上記表1に示されるように、凸部の側面の最大角度が1°以上10°以下の範囲内であれば、配向欠陥の発生を防止しつつ非露光部の平坦性を許容範囲に制御することができる。その結果、RGBの色度分布も良好である。BM上に配向規制層140が設けられる場合には、配向規制層140の基準面bから凸部aの表面までの距離hは、0.2μm以上1.0μm以下が好ましいことが、上記表1に示されている。
図8には、カラーレジスト層120上に配向規制層140が設けられる場合の例を示す。図示する例においては、BMが設けられた基材110上には、カラーレジスト層120、配向規制層140、および固体化液晶層130が順次設けられる。図示するように、BMの端部ではカラーレジスト層120にツノが発生し、配向規制層140表面の凸部aは、図8に示すようにBM上に位置する。
BMが設けられた複数の基材を用意し、カラーレジスト層をそれぞれ形成した。カラーレジスト層の上には、表面に凸部を有する配向規制層および固体化液晶層を順次形成して、リターデイション基板を作製した。それぞれのリターデイション基板においては、配向規制層の表面の凸部の高さおよび最大角度が異なっている。得られたリターデイション基板について、配向欠陥の発生、非露光部の平坦性、および透過部のセルギャップ均一性を調べた。その結果を、下記表2にまとめる。
凸部高さおよび傾斜角度は、前述と同様の手法により測定した。配向欠陥および非露光部の平坦性もまた、述と同様の手法により測定し、同様の基準で評価した。透過部のセルギャップ均一性は、0.3μm以下であれば“○”とし、それ以外は“×”とした。
上記表2に示されるように、凸部の側面の最大角度が1°以上10°以下の範囲内であれば、配向欠陥の発生を防止しつつ非露光部の平坦性を許容範囲に制御することができる。その結果、透過部のセルギャップの均一性も良好である。カラーレジスト層上に配向規制層140が設けられる場合には、配向規制層140の基準面bから凸部aの表面までの距離hは、0.2μm以上が好ましいことが、上記表2に示されている。
図1乃至図4を参照しながら説明したリターデイション基板10、すなわちパネル基板には、様々な変形が可能である。
このリターデイション基板10では、固体化液晶層130は、屈折率異方性が互いに異なる領域130a乃至130cを含んでいる。固体化液晶層130は、領域130a乃至130cとは屈折率異方性が異なる1つ以上の領域をさらに含んでいてもよい。例えば、半透過型液晶表示装置では、赤、緑および青色画素の各々が、透過部と反射部とを含んでいる。透過部と反射部とには、異なる光学的設計を採用する必要がある。それゆえ、固体化液晶層130のうち、赤、緑および青色画素に対応した部分の各々が、屈折率異方性が互いに異なる2つ以上の領域を含んでいてもよい。
図9には、配向規制層140上に設けられた固体化液晶層130の上にカラーレジスト層120が形成された例を示す。カラーレジスト層120に離間してTFT基板20が配置され、間隙に液晶層30が配置される。例えば、カラーレジスト層120における着色層120aは、領域130dおよび領域130aの両方にわたって固体化液晶層130の上に設けられる。領域130aは、露光を施すことより位相差が形成され、反射部Rに対応する。
図5を参照して説明したように、固体化液晶層130の露光部が盛り上がるのに伴なって、固体化液晶層130の非露光部(透過部T)も引き上げられてしまう。その結果、透過部の端部における着色層の膜厚が薄くなり、RGBの色度分布に悪影響を及ぼすことになる。
本発明のリターデイション基板においては、配向規制層140の表面に所定の凸部を設けることによって、固体化液晶層の露光部の盛り上がりによる非露光部への影響を防止し、非露光部の表面の平坦性を高めることができる。したがって、RGBの色度分布が損なわれることを回避することが可能である。
図10に示されるように、カラーレジスト層120上に配向規制層140および固体化液晶層130が形成される場合には、例えば着色層120aの上には、領域130dおよび130aが存在する。領域130aは、露光をほどこすことにより位相差が形成され、反射部Rに対応する。固体化液晶層の位相差領域130a、130b、および130cの上には、白色領域220が設けられる。場合によっては、白色領域220上にさらにPS230が設けられる。
図6を参照して説明したように、固体化液晶層130の露光部が盛り上がるのに伴なって、固体化液晶層130の非露光部(透過部T)も引き上げられてしまう。その結果、透過部Tと反射部Rとにうねりが生じてセルギャップの均一性が低下し、液晶表示特性が低下する。
本発明のリターデイション基板においては、配向規制層140の表面に所定の凸部を設けることによって、固体化液晶層の露光部の盛り上がりによる非露光部への影響を防止し、非露光部の表面の平坦性を高めることができる。したがって、セルギャップの均一性は良好であり、液晶表示特性が損なわれることを回避することが可能である。
リターデイション基板10からカラーレジスト層120を省略してもよい。例えば、液晶表示装置では、その一方の基板がカラーレジスト層とリターデイション層との双方を含んでいてもよい。あるいは、液晶表示装置の一方の基板がカラーフィルタ層を含み、他方の基板がリターデイション層を含んでいてもよい。後者の場合、リターデイション基板10は、カラーフィルタ層120を含んでいる必要はない。ただし、リターデイション基板10がカラーフィルタ層120と固体化液晶層130との双方を含んでいる場合、貼りあわせの際に、カラーフィルタ層120と固体化液晶層130とを位置合わせする必要がない。
いずれの構成の場合も、固体化液晶層130の下層には配向規制層140が設けられ、固体化液晶層130との界面において、配向規制層140は特定の凸部を有する。上述した例では、配向規制層の凸部の下方にはBMが存在するが、BMは必ずしも配向規制層と基材との間に設けられる必要はない。透明材料からなる段差部が配向規制層140の凸部の下の基材面に配置されていれば、配向規制層が形成された面とは反対の基材面にBMを設けることもできる。
図11は、一変形例に係るリターデイション基板を概略的に示す断面図である。このリターデイション基板10は、固体化液晶層130が基材110とカラーレジスト層120との間に介在していること以外は、図1乃至図4を参照しながら説明したリターデイション基板10と同様である。
この構造を採用した場合、例えばリターデイション基板10を含んだ液晶表示装置において、固体化液晶層130は、カラーレジスト層120から液晶層中への不純物の混入を抑制しない。しかしながら、この構造を採用した場合、カラーレジスト層120が、固体化液晶層130を形成するための露光プロセスおよび熱処理プロセスに晒されることがない。それゆえ、この構造を採用した場合、図1および図2に示す構造を採用した場合と比較して、上記の露光プロセスおよび熱処理プロセスに起因したカラーレジスト層120の劣化は生じ難い。
また、この構造を採用した場合、固体化液晶層130上にカラーレジスト層120を形成することができる。典型的には、固体化液晶層130の表面はほぼ平坦である。したがって、この場合、凹凸構造が設けられた表面上にカラーレジスト層120を形成する場合と比較して、設計通りの性能を有するカラーレジスト層120をより容易に得ることができる。
上述したリターデイション基板10は、様々な用途に利用可能である。例えば、リターデイション基板10は、液晶表示技術に代表される表示技術に利用可能である。
図12は、図1および図2に示すリターデイション基板を用いて製造可能な液晶表示装置の一例を概略的に示す断面図である。
図12に示す液晶表示装置は、アクティブマトリクス駆動方式を採用した透過型液晶表示装置である。この液晶表示装置は、カラーフィルタ基板10’とアレイ基板20と液晶層30と一対の偏光板40と図示しないバックライトとを含んでいる。
カラーフィルタ基板10’は、上述したリターデイション基板10と対向電極150と配向膜160とを含んでいる。
対向電極150は、固体化液晶層130上に形成されている。表示領域の全体に亘って広がった連続膜である。対向電極150は、例えば、上述した透明導電体からなる。
配向膜160は、対向電極150を被覆している。配向膜160は、配向膜は、例えば、対向電極150上にポリイミドなどの透明樹脂層を形成し、この透明樹脂層にラビングなどの配向処理を施すことにより得られる。この配向膜160は、光配向技術を利用して形成してもよい。
アレイ基板20は、配向膜160と向き合った基板210を含んでいる。基板210は、ガラス板または樹脂板などの光透過性基板である。
基板210の配向膜160との対向面上には、画素回路(図示せず)と走査線(図示せず)と信号線(図示せず)と画素電極250とが形成されている。画素回路は、各々が薄膜トランジスタなどのスイッチング素子を含んでおり、基板210上でマトリクス状に配列している。走査線は、画素回路の行に対応して配列している。各画素回路の動作は、走査線から供給される走査信号によって制御される。信号線は、画素回路の列に対応して配列している。各画素電極250は、画素回路を介して信号線に接続されている。各画素電極250は、着色層120a乃至120cの何れかと向き合っている。
画素電極250は、配向膜260で被覆されている。配向膜260は、配向膜は、例えば、画素電極250上にポリイミドなどの透明樹脂層を形成し、この透明樹脂層にラビングなどの配向処理を施すことにより得られる。この配向膜260は、光配向技術を利用して形成してもよい。
カラーフィルタ基板10’とアレイ基板20とは、枠形状の接着剤層(図示せず)を介して貼り合わされている。カラーフィルタ基板10’とアレイ基板20と接着剤層とは、中空構造を形成している。
液晶層30は、液晶化合物または液晶組成物からなる。この液晶化合物または液晶組成物は、流動性を有しており、カラーフィルタ基板10’とアレイ基板20と接着剤層とに囲まれた空間を満たしている。カラーフィルタ基板10’とアレイ基板20と接着剤層と液晶層30とは、液晶セルを形成している。
偏光板40は、液晶セルの両主面に貼り付けられている。偏光板40は、例えば、それらの透過軸が直交するように配置する。
この液晶表示装置において、固体化液晶層130の領域130a乃至130cは、厚さがほぼ等しく、屈折率異方性が異なっている。したがって、130a乃至130cの屈折率異方性を最適化して、したがって、赤、緑および青の各々について、理想的な光学補償を達成することができる。
また、製造条件の不可避的な変動が、固体化液晶層130の表面形状に影響を及ぼすことは殆どない。それゆえ、製造条件の不可避的な変動に応じて、セルギャップが変化することはない。
上記の通り、リターデイション基板10は、アクティブマトリクス駆動方式を採用した透過型液晶表示装置において利用可能である。このリターデイション基板10は、他の表示装置で利用することも可能である。
例えば、リターデイション基板10は、半透過型液晶表示装置または反射型液晶表示装置において利用してもよい。また、液晶表示装置には、パッシブマトリクス駆動方式などのアクティブマトリクス駆動方式以外の駆動方式を採用してもよい。あるいは、リターデイション基板10は、有機エレクトロルミネッセンス表示装置などの液晶表示装置以外の表示装置において利用してもよい。
さらなる利益および変形は、当業者には容易である。それゆえ、本発明は、そのより広い側面において、ここに記載された特定の記載や代表的な態様に限定されるべきではない。したがって、添付の請求の範囲およびその等価物によって規定される本発明の包括的概念の真意または範囲から逸脱しない範囲内で、様々な変形が可能である。