以下、本発明の態様について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、同様または類似した機能を発揮する構成要素には全ての図面を通じて同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
図1は、本発明の一態様にかかる液晶表示装置を概略的に示す平面図である。図2は、図1に示す液晶表示装置のII−II線に沿った断面図である。図3は、図1,2に示す液晶表示装置が含んでいるカラーフィルタ層を概略的に示す平面図である。図4は、図1,2に示す液晶表示装置が含んでいる固体化液晶層を概略的に示す平面図である。
図1,2に示す液晶表示装置は、アクティブマトリクス駆動方式を採用した半透過型液晶表示装置である。この液晶表示装置は、アレイ基板10と対向基板20と液晶層30と一対の偏光板(図示せず)とバックライト(図示せず)とを含んでいる。
アレイ基板10は、基板110を含んでいる。基板110は、ガラス板または樹脂板などの光透過性基板である。
基板110の一方の主面上には、画素回路(図示せず)と走査線(図示せず)と信号線(図示せず)と画素電極とが形成されている。
画素回路は、各々が薄膜トランジスタなどのスイッチング素子を含んでいる。画素回路は、基板110上でマトリクス状に配列している。
走査線は、画素回路の行に対応して配列している。各画素回路の動作は、走査線から供給される走査信号によって制御される。
信号線は、画素回路の列に対応して配列している。各画素電極は、画素回路を介して信号線に接続されている。
各画素電極は、互いに電気的に接続された透明電極150Tと反射電極150Rとを含んでいる。透明電極150Tは、反射電極150Rと向き合っていない非重複部を含んでいる。各画素のうち、この非重複部に対応した部分が透過表示部であり、反射電極150Rに対応した部分が反射表示部である。
透明電極150Tは、透明導電体からなる。透明導電体としては、例えば、インジウム錫酸化物および錫酸化物などの透明導電性酸化物を使用することができる。
反射電極150Rは、金属または合金からなる。金属または合金としては、例えば、アルミニウム、銀またはそれらの合金を使用することができる。
反射電極150Rは、透明電極150T上に形成されている。これにより、反射電極150Rと透明電極150Tとを電気的に接続している。その代わりに、反射電極150R上に透明電極150Tを形成してもよい。あるいいは、他の導電体を介して、反射電極150Rと透明電極150Tとを電気的に接続してもよい。
画素電極は、配向膜160で被覆されている。配向膜160は、例えば垂直配向膜である。配向膜160の材料としては、例えば、ポリイミドなどの透明樹脂層を使用することができる。
対向基板20は、基板210を含んでいる。基板210は、配向膜160と向き合っている。基板210は、ガラス板または樹脂板などの光透過性基板である。
基板210の配向膜160との対向面には、固体化液晶層230とカラーフィルタ層220と対向電極250と配向膜260とがこの順に形成されている。
カラーフィルタ層220は、基板210の一方の主面上で配列した複数の単位領域を含んでいる。各単位領域は、先の主面上で配列した第1乃至第3表示画素を含んでいる。
第1表示画素220aは、一部の透明電極150Tと向き合っている。第1表示画素は、Y方向に各々が延び、X方向に配列した複数の帯状パターンを形成している。なお、X方向およびY方向は、基板210の上述の主面に平行であり且つ互いに交差する方向である。また、Z方向は、X方向およびY方向と直交する方向である。
第1表示画素220aは、Y方向に隣り合った反射表示用領域220Raと透過表示用領域220Taとを含んでいる。反射表示用領域220Raおよび透過表示用領域220Taは、それぞれ反射電極Rおよび透過電極150Tと向き合っている。
第2表示画素220bは、Y方向に各々が延び、X方向に配列した複数の帯状パターンを形成している。第2表示画素は、Y方向に隣り合った反射表示用領域220Rbと透過表示用領域220Tbとを含んでいる。反射表示用領域220Rbおよび透過表示用領域220Tbは、それぞれ反射電極Rおよび透過電極150Tと向き合っている。
第2の表示画素220bが透過させる光の波長は、白色光を照射したときに第1の表示画素220aと比較してより短く、且つ第3の表示画素220cと比較してより長い。例えば、白色光を照射したときに第2表示画素220bが主として透過させる光の波長は、白色光を照射したときに表示画素220aおよび220cが主として透過させる光の波長と比較して550nmにより近い。ここでは、一例として、第1の表示画素220aは赤色着色層であり、第2の表示画素220bは緑色着色層であるとする。
第3の表示画素220cは、さらに他の一部の透明電極150Tと向き合っている。第3の表示画素は、Y方向に各々が延び、X方向に配列した複数の帯状パターンを形成している。第3着色画素は、Y方向に隣り合った反射表示用領域220Rcと透過表示用領域220Tcとを含んでいる。反射表示用領域220Rcおよび透過表示用領域220Tcは、それぞれ反射電極Rおよび透過電極150Tと向き合っている。
第3の表示画素220cが主として透過させる光は、白色光を照射したときに第2の表示画素220bと比較して、波長がより短い。ここでは、第3の表示画素220cは青色着色層であるとする。
第1表示画素が形成している帯状パターンと、第2表示画素が形成している帯状パターンと、第3表示画素が形成している帯状パターンとは、X方向に隣り合っている。すなわち、第1乃至第3表示画素は、ストライプ配列を形成している。第1乃至第3表示画素は、他の配列を形成していてもよい。例えば、第1乃至第3表示画素は、正方配列またはデルタ配列を形成していてもよい。
固体化液晶層230は、リターデイション層である。固体化液晶層230は、サーモトロピック液晶化合物または組成物を重合および/または架橋させてなる。固体化液晶層230は、典型的には実質的に平坦な表面を有する連続膜である。ただし、その厚さは、反射表示用領域230Rと透過表示用領域230Tとで異なっている。具体的には、固体化液晶層230の透過用表示領域230Tにおける下地の厚さ(Tt)は、反射表示用領域230Rにおける下地の厚さ(Tr)より大きい。これについては後述する。
固体化液晶層230と基板210との間には、配向膜が介在していてもよい。この配向膜としては、例えば、全面にラビング処理および光配向処理などの配向処理を一様に施した樹脂層を使用することができる。この樹脂層としては、例えばポリイミド層を使用することができる。
固体化液晶層230は、領域230Ta乃至230Tc、および230Ra乃至230Rcを含んでいる。領域230Ta乃至230Tc、および230Ra乃至230Rcの各々は、固体化液晶層230の一方の主面から他方の主面に及ぶ領域である。領域230Ta乃至230Tc、および230Ra乃至230Rcは、Z方向に垂直な方向に隣り合っている。
領域230Taは、固体化液晶層230のうち、第1の表示画素220aの透過表示用領域220Taに対応した領域である。領域230Raは、固体化液晶層230のうち、第1の表示画素220aの反射表示用領域220Raに対応した領域である。領域230Raは光学異方性を有しており、領域230Taは複屈折を有しない。
ここで、或る領域の「メソゲンの配向の程度」は、その領域におけるメソゲンの配向度を意味する。メソゲンの配向度は、その領域の全体に亘って一定であってもよく、Z方向に沿って変化していてもよい。例えば、或る領域においては、下面付近で配向度がより高く、上面付近で配向度がより低くてもよい。この場合、「メソゲンの配向の程度」は、メソゲンの配向度の厚さ方向についての平均を示す。或る領域が他の領域と比較して配向の程度がより大きいことは、それら領域の屈折率異方性を比較することにより確認することができる。
領域230Tbは、固体化液晶層230のうち、第2の表示画素220bの透過表示用領域220Tbに対応した領域である。領域230Rbは、固体化液晶層230のうち、第2の表示画素220bの反射表示用領域220Rbに対応した領域である。領域230Rbは光学異方性を有しており、領域230Tbは複屈折を有しない。
領域230Tcは、固体化液晶層230のうち、第3の表示画素220cの透過表示用領域220Tcに対応した領域である。領域230Rcは、固体化液晶層230のうち、第3の表示画素220cの反射表示用領域220Rcに対応した領域である。領域230Rcは光学異方性を有しており、領域230Tcは複屈折を有しない。
領域230Ta乃至230Tcの各々では、例えば、メソゲンは配向していないか、または、領域230Ra乃至230Rcと比較してメソゲンの配向の程度がより小さい。領域230Ta乃至230Tcは、メソゲンの配向の程度が互いに等しくてもよく、互いに異なっていてもよい。ここでは、一例として、領域230Ta乃至230Tcの各々において、メソゲンは配向していないとする。すなわち、領域230Ta乃至230Tcの各々は、光学的に等方性であるとする。
領域230Ra乃至230Rcの各々は、領域230Ta乃至230Tcと比較して、メソゲンの配向の程度がより大きい。そして、領域230Ra乃至230Rcは、メソゲンの配向の程度が互いに異なっている。例えば、領域230Raは、領域230Rbと比較してメソゲンの配向の程度がより高く、領域230Rbは、領域230Rcと比較してメソゲンの配向の程度がより高い。この場合、領域230Raは、領域230Rbと比較して屈折率異方性がより大きく、領域230Rbは、領域230Rcと比較して屈折率異方性がより大きい。
図2に示す液晶表示装置においては、透過表示用領域の表示画素220Tbと固体化液晶層230Tbとの間に透明層240を配置することによって、固体化液晶層230の透過表示用領域の厚さと反射表示用領域の厚さとに差を設けている。領域230Taおよび230Tcも同様に、透明層240を介して、それぞれ表示画素220Taおよび220Tc上に配置される。固体化液晶層230の反射表示用領域の厚さは、一般的には、1.0〜3.0μmである。固体化液晶層230の透過表示用領域の厚さは、この厚さの5〜80%であることが望まれる。この範囲内であれば、反射領域の固体化液晶層が凸形のうねりを生じるといった不都合を伴なうことなく、固体化液晶層表面の平坦性を確保することができる。固体化液晶層作製時、反射領域へパターン露光後、加工工程を行なう際に、透過領域の液晶化合物の浸透圧の関係から、反射領域に移動して、その後、硬化することに起因する。
可視光領域の400〜700nmの全波長領域において80%以上の透過率を有する樹脂(透明樹脂)であれば、透明層240の形成に用いることができる。樹脂の透過率は、95%以上であることがより好ましい。具体的には、透明樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、および感光性樹脂が挙げられる。こうした樹脂を用いて、印刷法またはフォトリソグラフィ法によって、基板210の所定の領域にパターン形成することができる。
対向電極250は、カラーフィルタ層220上に形成されている。対向電極250は、表示領域の全体に亘って広がった連続膜である。対向電極250は、例えば、上述した透明導電体からなる。
配向膜260は、対向電極250を被覆している。配向膜260は、例えば垂直配向膜である。配向膜260の材料としては、例えば、ポリイミドなどの透明樹脂層を使用することができる。
なお、基板210とカラーフィルタ層220と固体化液晶層230とは、カラーフィルタ基板を構成している。カラーフィルタ基板は、他の構成要素をさらに含んでいてもよい。例えば、カラーフィルタ基板は、対向電極250をさらに含んでいてもよい。あるいは、カラーフィルタ基板は、ブラックマトリクスをさらに含んでいてもよい。
アレイ基板10と対向基板20とは、枠形状の接着剤層(図示せず)を介して貼り合わされている。アレイ基板10と対向基板20と接着剤層とによって、中空構造が形成される。
液晶層30は、液晶化合物または液晶組成物からなる。この液晶化合物または液晶組成物は、流動性を有しており、アレイ基板10と対向基板20と接着剤層とに囲まれた空間を満たしている。アレイ基板10と対向基板20と接着剤層と液晶層30とは、液晶セルを形成している。
ここでは、一例として、液晶層30が含んでいる液晶化合物は、棒状のメソゲンを含んだ誘電率異方性が負の液晶分子であり、電圧無印加時に液晶分子のメソゲンがZ方向にほぼ平行に配向しているとする。また、電圧印加時には、液晶分子のメソゲンは、Z方向に対してX方向またはY方向へ向けて傾くかまたはX方向またはY方向にほぼ平行に配向する。
偏光板は、液晶セルの両主面に貼り付けられている。ここでは、一例として、これら偏光板は、直線偏光板であり、それらの透過軸が直交し且つX方向に対して45°の角度を為すように配置されているとする。
バックライトは、偏光板を間に挟んでアレイ基板10と向き合っている。バックライトは、例えば、液晶セルに向けて白色光を照射する。
この液晶表示装置では、領域230Ra乃至230Rcの各々のリターデイションを任意に設定可能である。したがって、主としてより波長の短い光を透過する色の画素には、それに対応したより低いリターデイションとし、主としてより波長の長い光を透過する色の画素には、それに対応したより高いリターデイションとする。例えば、領域230Raに、白色光を照射したときに第1の表示領域220aが主として透過させる光と波長がほぼ等しい光に対する四分の一波長板としての役割を担わせることができる。そして、領域230Rbに、白色光を照射したときに第2の表示領域220bが主として透過させる光と波長がほぼ等しい光に対する四分の一波長板としての役割を担わせることができる。加えて、領域230Rcに、白色光を照射したときに第3の表示領域220cが主として透過させる光と波長がほぼ等しい光に対する四分の一波長板としての役割を担わせることができる。それゆえ、例えば、全ての反射表示部において、最適な光学補償を達成することができる。
特に、固体化液晶層230においては、透過表示用の領域230Ta乃至230Tcが複屈折を有しないとともに、反射表示用の領域230Ra乃至Rcは光学異方性を有する。こうした構造は、領域230Ta乃至230Tcと基板210との間に透明層240を設けることによって可能となった。
また、この液晶表示装置では、領域230Ta乃至230Tcは光学的に等方性であるので、固体化液晶層230を設けることに起因して、透過表示により達成されるコントラスト比が低下することはない。
しかも、固体化液晶層230においては、こうした無配向状態の透過表示用領域の厚さが小さいことに起因して、固体化液晶層230の消偏性や色づきが抑制されるといった効果も得られる。
図2に示した液晶表示装置におけるカラーフィルタ基板20の一部拡大図を、図5に示す。基板210上に設けられたカラーフィルタ層220の透過表示用領域220Tには、透明層240が設けられる。固体化液晶層230の下層においては、この透明層240の膜厚に相当する高さで、透過表示用領域と反射表示用領域とに段差が生じることになる。言い換えると、固体化液晶層230における透過表示用領域の下層は、透明層240からなる凸部を有する。
すなわち、透過表示用領域230Tの下地の厚さ(Tt)は反射表示用領域230Rの下地の厚さ(Tr)より大きい。下地の膜厚差(Tt−Tr)は、0.5μm以上であることが好ましい。0,5μm以上であれば、その上に形成される固体化液晶層230の透過表示用領域の膜厚が、反射表示用領域より0.5μm以上薄くなる。したがって、固体化液晶層の表面の平坦性を高めることができる。固体化液晶層230の表面は、実質的に平坦とすることができ、そのうねりの幅は通常、0.2μm程度以下である。
透明層240は、固体化液晶層230の透過表示用領域230Tの下層に設けられればよく、例えば、図6に示すような層構成とすることもできる。図6に示す液晶表示装置のカラーフィルタ基板20においては、基板210上に、固体化液晶層230およびカラーフィルタ層220が順次形成されている。固体化液晶層230の透過表示用領域230Tの下層には、上述したような透明層240が配置される。
固体化液晶層230の下層における膜厚差(Tt−Tr)は、表示画素自体の膜厚を変えることによって設けることもできる。具体的には、図7に示されるように、透過表示用領域220Tの厚さを、反射表示用領域220Rの厚さより大きく形成してもよい。例えば顔料が分散された樹脂を用いてカラーフィルタ層220を形成する場合には、顔料に対する樹脂の組成比を増やすことによって、同色度を維持しつつ膜厚を厚くすることが可能となる。
この場合も、透明層240を固体化液晶層230の透過表示用領域230Tの下層に設けたのと同様の効果が得られる。
カラーフィルタ層220は、例えば以下のような手法により、基板210上に形成することができる。一例によると、表示画素220a乃至220cの各々は、顔料担体とこれに分散させた顔料とを含んだ着色組成物の膜を形成し、この膜を硬化させることにより得られる。
着色組成物の顔料としては、有機顔料および/または無機顔料を使用することができる。着色組成物は、1種の有機または無機顔料を含んでいてもよく、複数種の有機顔料および/または無機顔料を含んでいてもよい。
顔料は、発色性が高く且つ耐熱性、特には耐熱分解性が高いことが好ましく、通常は、有機顔料が用いられる。以下に、着色組成物に使用可能な有機顔料の具体例をカラーインデックス番号で示す。
赤色着色組成物の有機顔料としては、例えば、C.I.Pigment Red 7、14、41、48:2、48:3、48:4、81:1、81:2、81:3、81:4、146、168、177、178、179、184、185、187、200、202、208、210、246、254、255、264、270、272および279などの赤色顔料を用いることができる。赤色着色組成物の有機顔料として、赤色顔料と黄色顔料との混合物を使用してもよい。この黄色顔料としては、例えば、C.I. Pigment Yellow1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、126、127、128、129、138、147、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、199、198、213または214を使用することができる。
緑色着色組成物の有機顔料としては、例えば、C.I.Pigment Green 7、10、36および37などの緑色顔料を用いることができる。緑色着色組成物の有機顔料として、緑色顔料と黄色顔料との混合物を使用してもよい。この黄色顔料としては、例えば、赤色着色組成物について例示したのと同様のものを使用することができる。
青色着色組成物の有機顔料としては、例えば、C.I.Pigment Blue 15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60および64などの青色顔料を用いることができる。青色着色組成物の有機顔料として、青色顔料と紫色顔料との混合物を使用してもよい。この紫色顔料としては、例えば、C.I.Pigment Violet 1、19、23、27、29、30、32、37、40、42または50を使用することができる。
無機顔料としては、例えば、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑およびコバルト緑などの金属酸化物粉、金属硫化物粉、または金属粉を使用することができる。無機顔料は、例えば、彩度と明度とをバランスさせつつ、良好な塗布性、感度および現像性などを達成するために、有機顔料と組み合わせて用いられ得る。
着色組成物は、顔料以外の着色成分をさらに含んでいてもよい。例えば、着色組成物は、十分な耐熱性を達成できるのであれば、染料を含有していてもよい。この場合、染料を用いた調色が可能である。
透明樹脂は、可視光領域である400乃至700nmの全波長領域に亘って好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上の透過率を有している樹脂である。透明樹脂の材料、すなわち顔料担体としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂および感光性樹脂などの透明樹脂、その前駆体またはそれらの混合物を使用することができる。顔料担体としての透明樹脂は、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、感光性樹脂またはそれらの2つ以上を含んだ混合物である。透明樹脂の前駆体は、例えば、放射線照射により硬化するモノマーおよび/またはオリゴマーを含んでいる。
着色組成物において、透明樹脂は、顔料100質量部に対して、例えば30乃至700質量部、好ましくは60乃至450質量部の量で用いる。透明樹脂とその前駆体との混合物を顔料担体として用いる場合には、着色組成物において、透明樹脂は、顔料100質量部に対して、例えば20乃至400質量部、好ましくは50乃至250質量部の量で用いる。この場合、透明樹脂の前駆体は、着色組成物において、顔料100質量部に対して、例えば10乃至300質量部、好ましくは10乃至200質量部の量で用いる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ブチラール樹脂、スチレンーマレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリブタジエン、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリイミド樹脂を使用することができる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂またはフェノール樹脂を使用することができる。
感光性樹脂としては、例えば、水酸基、カルボキシル基およびアミノ基などの反応性の置換基を有する線状高分子に、イソシアネート基、アルデヒド基およびエポキシ基などの反応性置換基を有するアクリル化合物、メタクリル化合物または桂皮酸を反応させて、アクリロイル基、メタクリロイル基およびスチリル基など光架橋性基を線状高分子に導入した樹脂を使用することができる。また、スチレン−無水マレイン酸共重合物およびα−オレフィン−無水マレイン酸共重合物などの酸無水物を含む線状高分子を、ヒドロキシアルキルアクリレートおよびヒドロキシアルキルメタクリレートなどの水酸基を有するアクリル化合物またはメタクリル化合物によりハーフエステル化した樹脂も使用することができる。
透明樹脂の前駆体であるモノマーおよび/またはオリゴマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、トリシクロデカニルアクリレート、トリシクロデカニルメタクリレート、メラミンアクリレート、メラミンメタクリレート、エポキシアクリレートおよびエポキシメタクリレートなどのアクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド、N−ヒドロキシメチルメタクリルアミド、アクリロニトリル、またはそれらの2種以上を含んだ混合物を使用することができる。
着色組成物を紫外線などの光を照射することによって硬化する場合、着色組成物には例えば光重合開始剤を添加する。
光重合開始剤としては、例えば、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンおよび2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オンなどのアセトフェノン系光重合開始剤;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルおよびベンジルジメチルケタールなどのベンゾイン系光重合開始剤;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノンおよび4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイドなどのベンゾフェノン系光重合開始剤;チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントンおよび2,4−ジイソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン系光重合開始剤;2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジンおよび2,4−トリクロロメチル(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジンなどのトリアジン系光重合開始剤;ボレート系光重合開始剤;カルバゾール系光重合開始剤;イミダゾール系光重合開始剤;またはそれらの2種以上を含んだ混合物を使用することができる。
光重合開始剤は、着色組成物において、顔料100質量部に対して、例えば5乃至200質量部、好ましくは10乃至150質量部の量で使用する。
光重合開始剤と共に増感剤を使用してもよい。
増感剤としては、α−アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’−ジエチルイソフタロフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンおよび4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノンなどの化合物を使用することができる。
増感剤は、光重合開始剤100質量部に対して、例えば0.1乃至60質量部の量で使用することができる。
着色組成物は、多官能チオールなどの連鎖移動剤をさらに含有していてもよい。
多官能チオールは、チオール基を2個以上有する化合物である。多官能チオールとしては、例えば、ヘキサンジチオール 、デカンジチオール 、1,4−ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4−ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4−ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6−トリメルカプト−s−トリアジン、2−(N,N−ジブチルアミノ)−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン、またはそれらの2種以上を含んだ混合物を使用することができる。
多官能チオールは、着色組成物において、顔料100質量部に対して、例えば0.2乃至150質量部、好ましくは0.2乃至100質量部の量で使用する。
着色組成物は、溶剤をさらに含有していてもよい。溶剤を使用すると、顔料の分散性を向上させることができ、それゆえ、基材110上に着色組成物を乾燥膜厚が例えば0.2乃至5μmとなるように塗布することが容易になる。
溶剤としては、例えば、シクロヘキサノン、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチルベンゼン、エチレングリコールジエチルエーテル、キシレン、エチルセロソルブ、メチル−nアミルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、トルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルケトン、石油系溶剤、またはそれらの2種以上を含んだ混合物を使用することができる。
溶剤は、着色組成物において、顔料100質量部に対して、例えば800乃至4000質量部、好ましくは1000乃至2500質量部の量で使用する。
着色組成物は、例えば、1種以上の顔料を、必要に応じて上述した光重合開始剤とともに、顔料担体および有機溶剤中に、三本ロールミル、二本ロールミル、サンドミル、ニーダおよびアトライタなどの分散装置を用いて微細に分散させることにより製造することができる。2種以上の顔料を含む着色組成物は、異なる顔料を含んだ分散体を調製し、それら分散体を混合することにより製造してもよい。
顔料を顔料担体および有機溶剤中に分散させる際には、樹脂型顔料分散剤、界面活性剤および顔料誘導体などの分散助剤を使用することができる。分散助剤は、顔料の分散性を向上させ、分散後の顔料の再凝集を抑制する。したがって、分散助剤を用いて顔料を顔料担体および有機溶剤中に分散させてなる着色組成物を用いた場合には、透明性に優れたカラーフィルタが得られる。
分散助剤は、着色組成物において、顔料100質量部に対して、例えば0.1乃至40質量部、好ましくは0.1乃至30質量部の量で使用する。
樹脂型顔料分散剤は、顔料に吸着する性質を有する顔料親和性部位と、顔料担体と相溶性のある部位とを含んでいる。樹脂型顔料分散剤は、顔料に吸着して顔料の顔料担体への分散性を安定化する。
樹脂型顔料分散剤としては、例えば、ポリウレタン、ポリアクリレートなどのポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸アミン塩、ポリカルボン酸部分アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩および水酸基含有ポリカルボン酸エステル、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離カルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドおよびその塩などの油性分散剤;アクリル酸−スチレン共重合体、メタクリル酸−スチレン共重合体、アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−メタクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコールおよびポリビニルピロリドンなどの水溶性樹脂若しくは水溶性高分子化合物;ポリエステル類、変性ポリアクリレート類、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、燐酸エステル類、またはそれらの2種以上を含んだ混合物を使用することができる。
界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミンおよびポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートおよびポリエチレングリコールモノラウレートなどのノニオン性界面活性剤;アルキル4級アンモニウム塩およびそれらのエチレンオキサイド付加物などのカオチン性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタインおよびアルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤;またはそれらの2種以上を含んだ混合物を使用することができる。
色素誘導体は、有機色素に置換基を導入した化合物である。色素誘導体は、使用する顔料と色相が近いことが好ましいが、添加量が少なければ色相の異なっていてもよい。用語「有機色素」は、一般に色素とは呼ばれている化合物に加え、一般に色素とは呼ばれていないナフタレン系およびアントラキノン系化合物などの淡黄色の芳香族多環化合物を包含している。色素誘導体としては、例えば、特開昭63−305173号公報、特公昭57−15620号公報、特公昭59−40172号公報、特公昭63−17102号公報、または特公平5−9469号公報に記載されているものを使用できる。特に、塩基性基を有する色素誘導体は、顔料の分散性を高める効果が大きい。着色組成物は、1種の色素誘導体を含んでいてもよく、複数の色素誘導体を含んでいてもよい。
着色組成物には、その粘度の経時的安定性を高めるために貯蔵安定剤を添加してもよい。貯蔵安定剤としては、例えば、ベンジルトリメチルクロライド;ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド;乳酸およびシュウ酸などの有機酸;その有機酸のメチルエーテル;t−ブチルピロカテコール;テトラエチルホスフィンおよびテトラフェニルフォスフィンなどの有機ホスフィン;亜リン酸塩;またはそれらの2種以上を含んだ混合物を使用することができる。
貯蔵安定剤は、着色組成物において、顔料100質量部に対して、例えば0.1乃至10質量部の量で含有させる。
着色組成物には、基板との密着性を高めるために、シランカップリング剤などの密着向上剤を添加してもよい。
シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルエトキシシランおよびビニルトリメトキシシランなどのビニルシラン類;γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどのアクリルシラン類およびメタクリルシラン類;β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランおよびγ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどのエポキシシラン類;N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランおよびN−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノシラン類、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランおよびγ−メルカプトプロピルトリエトキシシランなどのチオシラン類;またはそれらの2種以上を含んだ混合物を使用することができる。
シランカップリング剤は、着色組成物において、顔料100質量部に対して、例えば0.01乃至100質量部の量で含有させる。
着色組成物は、例えば、グラビアオフセット用印刷インキ、水無しオフセット印刷インキ、シルクスクリーン印刷用インキ、インキジェット印刷用インキ、または溶剤現像型若しくはアルカリ現像型着色レジストの形態で調製することができる。着色レジストは、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂または感光性樹脂と、モノマーと、光重合開始剤と、有機溶剤とを含有する組成物中に色素を分散させたものである。
顔料は、着色組成物の全固形分100質量部に対して、例えば5乃至70質量部、好ましくは20乃至50質量部の量で用いる。なお、着色組成物の残りの固形分の殆どは、顔料担体が含んでいる樹脂バインダである。
着色組成物を成膜に使用する前に、遠心分離、焼結フィルタおよびメンブレンフィルタなどの精製装置によって、着色組成物から、例えば5μm以上の粒子、好ましくは1μm以上の粒子、より好ましくは0.5μm以上の粒子を除去してもよい。
表示画素220a乃至220cの各々は、例えば、印刷法によって形成することができる。印刷法によると、着色組成物の印刷と乾燥とを行なうことにより、表示画素220a乃至220cの各々を形成することができる。したがって、印刷法は、低コストで量産性に優れている。しかも、近年の印刷技術の発展により、高い寸法精度および平滑度を有する微細パターンの印刷を行なうことができる。
印刷法を利用する場合、着色組成物が印刷版またはブランケット上で乾燥および固化を生じないように着色組成物の組成を設計する。また、印刷法では、印刷機内での着色組成物の流動性を最適化することが重要である。したがって、着色組成物に分散剤や耐湿顔料を添加して、その粘度を調整してもよい。
表示画素220a乃至220cの各々は、フォトリソグラフィ法を利用して形成してもよい。フォトリソグラフィ法によれば、カラーフィルタ層220を、印刷法と比較してより高い精度で形成することができる。
この場合、まず、溶剤現像型またはアルカリ現像型着色レジストとして調製した着色組成物を、例えば基材210上に塗布する。この塗布には、スプレーコート、スピンコート、スリットコートおよびロールコートなどの塗布方法を利用する。この塗膜は、乾燥膜厚が例えば0.2乃至10μmとなるように形成する。
次いで、この塗膜を乾燥させる。塗布膜の乾燥には、例えば、減圧乾燥機、コンベクションオーブン、IRオーブンまたはホットプレートを利用する。塗膜の乾燥は、省略することができる。
続いて、塗膜に、フォトマスクを介して紫外線を照射する。すなわち、塗膜をパターン露光に供する。
その後、塗膜を溶剤若しくはアルカリ現像液に浸漬させるかまたは塗膜に現像液を噴霧する。これにより、塗膜から可溶部を除去して、表示画素220aをレジストパターンとして得る。
さらに、これと同様の手順で、表示画素220bおよび220cを順次形成する。以上のようにして、カラーフィルタ層220を得る。なお、この方法では、着色レジストの重合を促進するために、熱処理を施してもよい。
このフォトリソグラフィプロセスでは、アルカリ現像液として、例えば、炭酸ナトリウム水溶液または水酸化ナトリウム水溶液を使用することができる。あるいは、アルカリ現像液として、ジメチルベンジルアミンおよびトリエタノールアミンなどの有機アルカリを含んだ液を使用してもよい。
現像液には、消泡剤および界面活性剤などの添加剤を添加してもよい。現像には、例えば、シャワー現像法、スプレー現像法、ディップ現像法またはパドル現像法を利用することができる。
露光感度を高めるために、以下の処理を追加してもよい。すなわち、着色レジストの第1塗膜を乾燥させた後、この第1塗膜の上に、水溶性またはアルカリ水溶性樹脂、例えばポリビニルアルコールまたは水溶性アクリル樹脂を塗布する。そして、この第2塗膜を乾燥させた後に、上述のパターン露光を行なう。第2塗膜は、第1塗膜における重合が酸素によって阻害されるのを防止する。したがって、より高い露光感度を達成できる。
カラーフィルタ層220は、他の方法で形成してもよい。例えば、インキジェット法、電着法または転写法を利用して形成してもよい。インキジェット法によってカラーフィルタ層220を形成する場合、例えば、基材210上に予め遮光性離画壁を形成しておき、この遮光性離画壁によって区画された領域に向けてノズルからインキを吐出することにより各着色層を得る。電着法によってカラーフィルタ層220を形成する場合、基材210上に予め透明導電膜を形成しておき、着色組成物からなるコロイド粒子の電気泳動によって着色組成物を透明導電膜上に堆積させることにより各着色層を得る。転写法を利用する場合、剥離性の転写ベースシートの表面に予めカラーフィルタ層220を形成しておき、このカラーフィルタ層220をベースシートから基材210上に転写する。
図7に示したように透過表示用領域220Tと反射表示用領域220Rとにおいて、厚さの異なる表示画素を形成する場合には、それぞれ所定の組成の組成物を用いてパターニングを行なえばよい。
固体化液晶層230は、例えば以下の手法により形成することができる。
まず、所定の下地が形成された基板210上に、光重合性または光架橋性のサーモトロピック液晶材料を含んだ液晶材料層を形成する。下地は、例えば選択的に形成された透明層とすることができる。場合によっては、透明層と基板との間には、上述したようなカラーフィルタ層が形成される。あるいは、透過表示用領域の厚さが反射表示用領域の厚さより大きな表示画素が、下地として形成される。
こうした基板210上には、例えば、メソゲンが基板の主面に平行な1方向に配向した液晶材料層を形成する。そして、この液晶材料層をパターン露光と熱処理とに供することによって、固体化液晶層230を得る。
液晶材料層は、例えば、基板210上に、サーモトロピック液晶化合物を含んだコーティング液を塗布し、必要に応じて塗膜を乾燥させることにより得られる。液晶材料層では、サーモトロピック液晶化合物のメソゲンが配向構造を形成している。
コーティング液は、サーモトロピック液晶化合物に加え、例えば、溶剤、キラル剤、光重合開始剤、熱重合開始剤、増感剤、連鎖移動剤、多官能モノマーおよび/またはオリゴマー、樹脂、界面活性剤、重合禁止剤、貯蔵安定剤および密着向上剤などの成分を、この液晶化合物を含んだ組成物が液晶性を失わない範囲で加えることができる。
サーモトロピック液晶化合物としては、例えば、アルキルシアノビフェニル、アルコキシビフェニル、アルキルターフェニル、フェニルシクロヘキサン、ビフェニルシクロヘキサン、フェニルビシクロヘキサン、ピリミジン、シクロヘキサンカルボン酸エステル、ハロゲン化シアノフェノールエステル、アルキル安息香酸エステル、アルキルシアノトラン、ジアルコキシトラン、アルキルアルコキシトラン、アルキルシクロヘキシルトラン、アルキルビシクロヘキサン、シクロヘキシルフェニルエチレン、アルキルシクロヘキシルシクロヘキセン、アルキルベンズアルデヒドアジン、アルケニルベンズアルデヒドアジン、フェニルナフタレン、フェニルテトラヒドロナフタレン、フェニルデカヒドロナフタレン、これらの誘導体、またはそれら化合物のアクリレートを使用することができる。
溶剤としては、例えば、シクロヘキサノン、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチルベンゼン、エチレングリコールジエチルエーテル、キシレン、エチルセロソルブ、メチル−nアミルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、トルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルケトン、石油系溶剤、またはそれらの2種以上を含んだ混合物を使用することができる。
光重合開始剤としては、例えば、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンおよび2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オンなどのアセトフェノン系光重合開始剤;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルおよびベンジルジメチルケタールなどのベンゾイン系光重合開始剤;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノンおよび4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイドなどのベンゾフェノン系光重合開始剤;チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントンおよび2,4−ジイソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン系光重合開始剤;2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジンおよび2,4−トリクロロメチル(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジンなどのトリアジン系光重合開始剤;ボレート系光重合開始剤;カルバゾール系光重合開始剤;イミダゾール系光重合開始剤;またはそれらの2種以上を含んだ混合物を使用することができる。
増感剤は、例えば、光重合開始剤と共に使用することができる。増感剤としては、α−アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’−ジエチルイソフタロフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンおよび4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノンなどの化合物を使用することができる。
連鎖移動剤としては、例えば多官能チオールを使用することができる。多官能チオールは、チオール基を2個以上有する化合物である。多官能チオールとしては、例えば、ヘキサンジチオール 、デカンジチオール 、1,4−ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4−ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4−ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6−トリメルカプト−s−トリアジン、2−(N,N−ジブチルアミノ)−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン、またはそれらの2種以上を含んだ混合物を使用することができる。
多官能モノマーおよび/またはオリゴマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、トリシクロデカニルアクリレート、トリシクロデカニルメタクリレート、メラミンアクリレート、メラミンメタクリレート、エポキシアクリレートおよびエポキシメタクリレートなどのアクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド、N−ヒドロキシメチルメタクリルアミド、アクリロニトリル、またはそれらの2種以上を含んだ混合物を使用することができる。
樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂または感光性樹脂を使用することができる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ブチラール樹脂、スチレンーマレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリブタジエン、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリイミド樹脂を使用することができる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂またはフェノール樹脂を使用することができる。
感光性樹脂としては、例えば、水酸基、カルボキシル基およびアミノ基などの反応性の置換基を有する線状高分子に、イソシアネート基、アルデヒド基およびエポキシ基などの反応性置換基を有するアクリル化合物、メタクリル化合物または桂皮酸を反応させて、アクリロイル基、メタクリロイル基およびスチリル基など光架橋性基を線状高分子に導入した樹脂を使用することができる。また、スチレン−無水マレイン酸共重合物およびα−オレフィン−無水マレイン酸共重合物などの酸無水物を含む線状高分子を、ヒドロキシアルキルアクリレートおよびヒドロキシアルキルメタクリレートなどの水酸基を有するアクリル化合物またはメタクリル化合物によりハーフエステル化した樹脂も使用することができる。
界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミンおよびポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートおよびポリエチレングリコールモノラウレートなどのノニオン性界面活性剤;アルキル4級アンモニウム塩およびそれらのエチレンオキサイド付加物などのカオチン性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタインおよびアルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤;またはそれらの2種以上を含んだ混合物を使用することができる。
重合禁止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、3−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、2−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、スチレン化フェノール、スチレン化p−クレゾール、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、テトラキス〔メチレン−3−(3’,5’−ジ−1−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、オクタデシル 3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジ(α−メチルシクロヘキシル)−5,5’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾイル)イソシアヌレート、ビス〔2−メチル−4−(3−n−アルキルチオプロピオニルオキシ)−5−t−ブチルフェニル〕スルフィド、1−オキシ−3−メチル−イソプロピルベンゼン、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ノニルフェノール)、アルキル化ビスフェノール、2,5−ジ−t−アミルハイドロキノン、ポリブチル化ビスフェノールA、ビスフェノールA、2,6−ジ−t−ブチル−p−エチルフェノール、2,6−ビス(2’−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5’−メチル−ベンジル)−4−メチルフェノール、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、テレフタロイルージ(2,6−ジメチル−4−t−ブチル−3−ヒドロキシベンジルスルフィド)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−α−ジメチルアミノ−p−クレゾール、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、トルエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、ヘキサメチレングリコール−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリン)−2,4−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシナミド)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル−リン酸ジエチルエステル、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリス〔β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル−オキシエチル〕イソシアヌレート、2,4,6−トリブチルフェノール、ビス〔3,3−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)−ブチリックアシッド〕グリコールエステル、4−ヒドロキシメチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノールおよびビス(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルベンジル)サルファイドなどのフェノール系禁止剤;N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合物およびジアリール−p−フェニレンジアミンなどのアミン系禁止剤;ジラウリル・チオジプロピオネート、ジステアリル・チオジプロピオネートおよび2−メルカプトベンズイミダノールなどの硫黄系禁止剤;ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイトなどのリン系禁止剤;またはそれらの2種以上を含んだ混合物を使用することができる。
貯蔵安定剤としては、例えば、ベンジルトリメチルクロライド;ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸およびシュウ酸などの有機酸;そのメチルエーテル;t−ブチルピロカテコール;テトラエチルホスフィンおよびテトラフェニルフォスフィンなどの有機ホスフィン;亜リン酸塩;またはそれらの2種以上を含んだ混合物を使用することができる。
密着向上剤としては、例えば、シランカップリング剤を使用することができる。シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルエトキシシランおよびビニルトリメトキシシランなどのビニルシラン類;γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどのアクリルシラン類およびメタクリルシラン類;β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランおよびγ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどのエポキシシラン類;N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランおよびN−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノシラン類;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン;γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン;またはそれらの2種以上を含んだ混合物を使用することができる。
コーティング液の塗布には、例えば、スピンコート法;スリットコート法;凸版印刷、スクリーン印刷、平版印刷、反転印刷およびグラビア印刷などの印刷法;これらの印刷法にオフセット方式を組み合わせた方法;インキジェット法;またはバーコート法を利用することができる。
液晶材料層は、例えば、均一な厚さを有している連続膜として形成する。上述した方法によれば、塗布面が十分に平坦である限り、液晶材料層を均一な厚さを有している連続膜として形成することができる。
コーティング液の塗布に先立って、基板210の表面に、配向処理を施してもよい。あるいは、コーティング液の塗布に先立って、基板210上に、液晶化合物の配向を規制する配向膜を形成してもよい。この配向膜は、例えば、基板210上にポリイミドなどの透明樹脂層を形成し、この透明樹脂層にラビングなどの配向処理を施すことにより得られる。この配向膜は、光配向技術を利用して形成してもよい。
次に、第1露光プロセスを行なう。すなわち、液晶材料層の反射表示用領域の領域に、それぞれ異なる露光量で光を照射する。例えば、液晶材料層のうち領域230Raに対応した領域には、最大の露光量で光を照射する。液晶材料層のうち領域230Rbに対応した領域には、液晶材料層のうち領域230Raに対応した領域と比較してより小さな露光量で光Lを照射する。液晶材料層のうち領域230Rcに対応した領域には、液晶材料層のうち領域230Rbに対応した領域と比較してより小さな露光量で光Lを照射する。そして、例えば、液晶材料層のうち透過表示用領域230Ta乃至Tcに対応した領域には光を照射しない。これにより、液晶材料層の光を照射した部分で、メソゲンが形成している配向構造を維持させたまま、サーモトロピック液晶化合物の重合または架橋を生じさせる。
サーモトロピック液晶化合物の重合または架橋生成物では、そのメソゲン基は固定化されている。露光量が最大の領域では、サーモトロピック液晶化合物の重合または架橋生成物の含有率が最も高く、未重合および未架橋のサーモトロピック液晶化合物の含有率が最も小さい。そして、露光量が小さくなるほど、重合または架橋生成物の含有率はより低くなり、未重合および未架橋のサーモトロピック液晶化合物の含有率はより高くなる。
したがって、露光量がより大きな領域では、メソゲン基はより高い割合で固定化され、露光量がより小さな領域では、メソゲン基はより低い割合で固定化される。そして、露光量がゼロの領域では、メソゲン基は固定化されない。
第1露光プロセスに使用する光は、紫外線、可視光線および赤外線などの電磁波である。電磁波の代わりに、電子線を使用してもよい。それらの1つのみを使用してもよく、それらの2つ以上を使用してもよい。
第1露光プロセスは、上述した不均一な重合または架橋を生じさせることができれば、どのような方法で行なってもよい。例えば、この露光プロセスでは、フォトマスクを用いた露光を複数回行なってもよい。あるいは、この露光プロセスでは、ハーフトーンマスク、グレイトーンマスクまたは波長制限マスクを用いた露光を行なってもよい。あるいは、フォトマスクを使用する代わりに、電子ビームなどの放射線または光束を液晶材料層上で走査させてもよい。あるいは、これらを組み合わせてもよい。
第1露光プロセスを終了した後、第1熱処理プロセスを行なう。すなわち、液晶材料層を、サーモトロピック液晶化合物が液晶相から等方相へと変化する相転移温度と等しい温度以上に加熱する。未反応化合物であるサーモトロピック液晶化合物のメソゲンは固定化されていない。それゆえ、液晶材料層を相転移温度以上に加熱すると、未反応化合物のメソゲンの配向の程度が低下する。例えば、未反応化合物のメソゲンは、液晶相から等方相へと変化する。他方、サーモトロピック液晶化合物の重合または架橋生成物では、メソゲンは固定化されている。
したがって、第1露光プロセスにおける露光量がより小さな領域では、第1露光プロセスにおける露光量がより大きな領域と比較してメソゲンの配向の程度がより低くなる。そして、第1露光プロセスにおいて露光しなかった領域では、この熱処理によってメソゲンの配向構造が消失する。
その後、未反応化合物のメソゲンについて配向の程度を低下させたまま、未反応化合物を重合および/または架橋させる。
例えば、以下に説明する第2露光プロセスを行なう。すなわち、サーモトロピック液晶化合物が等方相から液晶相へと変化する相転移温度よりも高い温度に液晶材料層を維持したまま、液晶材料層の全体に光を照射する。液晶材料層には、未反応化合物のほぼ全てが重合および/または架橋反応を生じるのに十分な露光量で光を照射する。これにより、未反応化合物の重合または架橋を生じさせ、配向の程度を低下させたメソゲンを固定化する。以上のようにして、固体化液晶層230が得られる。
なお、或る液晶化合物は、等方相から液晶相へと変化する第1相転移温度が、液晶相から等方相へと変化する第2相転移温度と比較してより低い。それゆえ、特定の場合には、第2露光プロセスにおける液晶材料層の温度は、第1熱処理プロセスの加熱温度と比較してより低くてもよい。但し、通常は、簡便性の観点で、第2露光プロセスにおける液晶材料層の温度は、第1相転移温度以上とする。
第2露光プロセスには、第1露光プロセスに使用可能な光として例示したのと同様の光を使用することができる。第2露光プロセスに使用する光と第1露光プロセスに使用する光とは、同一であってもよく、異なっていてもよい。
第2露光プロセスでは、液晶材料層の全体に亘って露光量が等しくてもよい。この場合、微細なパターンが設けられたフォトマスクを使用する必要がない。したがって、この場合、プロセスを簡略化することができる。
あるいは、第2露光プロセスは、第1露光プロセスにおける露光量と第2露光プロセスにおける露光量との和である合計露光量が全ての領域で互いに等しくなるように行なってもよい。例えば、或る領域の合計露光量が他の領域の合計露光量と比較して著しく大きい場合、後者の合計露光量を十分に大きな値とすると、前者が不所望なダメージを受けるか、または、この領域の近傍でカラーフィルタ層220が不所望なダメージを受ける可能性がある。合計露光量を全ての領域で等しくすると、そのようなダメージを防止できる。
未反応化合物の重合および/または架橋は、他の方法で行なってもよい。
例えば、未反応化合物、すなわちサーモトロピック液晶化合物が第1相転移温度よりも高い重合および/または架橋温度に加熱することによって重合および/または架橋する材料である場合、第2露光プロセスの代わりに、第2熱処理プロセスを行なってもよい。具体的には、第2露光プロセスの代わりに、液晶材料層を重合および/または架橋温度以上に加熱して、未反応化合物を重合および/または架橋させる。これにより、固体化液晶層230を得る。なお、第1熱処理における加熱温度は、例えば、第1相転移温度以上であり且つ重合および/または架橋温度未満とする。
あるいは、第1熱処理プロセスの後に、第2熱処理プロセスと第2露光プロセスとを順次行なってもよい。あるいは、第1熱処理プロセスの後に、第2露光プロセスと第2熱処理プロセスとを順次行なってもよい。あるいは、第1熱処理プロセスの後に、第2熱処理プロセスと第2露光プロセスと第2熱処理プロセスとを順次行なってもよい。このように第2露光プロセスと第2熱処理プロセスとを組み合わせると、未反応化合物の重合および/または架橋をより確実に進行させることができる。それゆえ、より強固な固体化液晶層230を得ることができる。
未反応化合物が或る温度に加熱することによって重合および/または架橋する材料である場合、第1熱処理における加熱温度は、それが重合および/または架橋する温度以上であってもよい。但し、この場合、配向の程度の低下と重合および/または架橋とが同時に進行する。そのため、製造条件が固体化液晶層230の光学特性に及ぼす影響が比較的大きい。
なお、屈折率異方性と第1露光プロセスにおける露光量とは、必ずしも比例関係にある訳ではない。但し、材料および露光量が一定の条件のもとでは、屈折率異方性の再現性は高い。それゆえ、或る屈折率異方性を達成するのに必要な条件、例えば露光量を見出すのは容易であり、また、安定した製造を行なうことも容易である。
すでに説明したように、本発明においては、固体化液晶層230の表面の平坦性を高めることができ、これについては次のように説明される。図5に示したように、固体化液晶層230の下地の高さが、反射表示用領域より透過表示用領域において高い構造であると、液晶材料が塗布され膜面がレベリングされた場合、膜厚は均一とはならない。具体的には、透過表示用領域の膜厚が反射表示用領域の膜厚より薄くなる。
通常は、反射表示用領域へのパターン露光後、加熱工程を行なう際に、透過表示用領域の液晶化合物が浸透圧の関係から、反射表示用領域に移動し、その後、硬化することによって反射表示用領域の膜面が凸となる。こうして、固体化液晶層の膜面にうねりが生じる。本発明の構造の場合には、透過表示用領域の固体化液晶層の膜厚が薄いため、液晶化合物の移動量が小さくなり、うねりを抑制することができる。
上述したように、本発明においては、固体化液晶層は下層の所定の領域に凸部を有する。具体的には、固体化液晶層の基板側表面は凹凸を有しており、透過表示用領域の基板側表面は、反射表示用領域の基板側表面より高い位置に存在する。これに起因して、露光マスクを用いたパターン露光を行なうことなく、固体化液晶層の反射表示用領域に異方相パターンを設けることが可能である。
図8に示されるように、透過表示用領域220Tの厚さが反射表示用領域220Rより大きい表示画素220が形成された基板210上に、液晶材料層230’を成膜する。下地の表示画素の厚さの違いに起因して、液晶材料層230’においては、透過表示用領域230’T厚さが反射表示用領域230’Rの厚さより小さくなる。
こうした液晶材料層230’に対し、好ましくは大気下で光L1を照射して全面露光を行なうと、膜厚の薄い領域内では空気中の酸素が容易に内部拡散する。酸素阻害によって、光重合開始剤はほとんど反応することがないため、透過表示用領域230’Tの液晶材料層では硬化が進ままない。したがって、その後の加熱工程で等方相に転移して、図9に示されるように無配向状態のまま固定化される。
一方、液晶材料層230’の反射表示用領域230’Rは、透過表示用領域よりも膜厚が厚いため、酸素阻害の影響は相対的に少ない。光重合開始剤の反応は進行して、露光時に硬化される。その結果、後の加熱工程においても、図9に示されるように配向性を保つことが可能となる。
全面露光が行なわれることから、固体化液晶層の反射表示用領域における位相差を、露光量によって制御することはできない。しかしながら、例えば下地の高さを制御することによって、固体化液晶層の反射表示用領域における位相差の制御をすることは可能である。また、露光マスク等を用いることなく、透過表示用領域と反射表示用領域とにおいて複屈折率の異なる固体化液晶層を作製することができるので、設備費の削減や工程処理時間の短縮化が可能となる。
更なる利益および変形は、当業者には容易である。それゆえ、本発明は、そのより広い側面において、ここに記載された特定の記載や代表的な態様に限定されるべきではない。したがって、添付の請求の範囲およびその等価物によって規定される本発明の包括的概念の真意または範囲から逸脱しない範囲内で、様々な変形が可能である。