JP2011048192A - 位相差板、その製造方法および液晶表示装置 - Google Patents

位相差板、その製造方法および液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】所望の領域ごとに三次元的に屈折率が制御された位相差層を有する位相差板を提供する。
【解決手段】2色以上の多数の画素によってドットマトリクス表示を行なうカラー表示装置に用いる位相差板であって、支持体と、同一材料よりなる連続膜として前記支持体上に形成された固体化液晶層とを具備する。前記固体化液晶層は、第1および第2の画素にそれぞれ対応した第1および第2の領域を含む2以上の領域を有し、前記2以上の領域は、それぞれ屈折率異方性を有し、当該2以上の領域における屈折率(nx[f1]、ny[f1]、nz[f1]、nx[f2]、ny[f2]、nz[f2])、膜厚(d[f1]、d[f2])、および対応する画素で表示される色の基準波長(λ[f1]>λ[f2])は所定の関係を満たすことを特徴とする。
【選択図】 図2

Description

本発明は、例えば液晶表示装置などの表示装置に適用可能な光学技術に関する。
液晶表示装置は、薄型、軽量および低消費電力などの特徴を有している。そのため、近年、携帯機器およびテレビジョン受像機などの固定機器での利用が急速に増加している。
液晶表示装置に多色画像を表示させる場合、カラーフィルタを使用する。例えば、多色画像を表示可能な透過型または反射型液晶表示装置では、一般に、赤、緑および青色着色層を含んだカラーフィルタが使用される。また、多色画像を表示可能な半透過型液晶表示装置では、一般に、透過表示用の赤、緑および青色着色層と、反射表示用の赤、緑および青色着色層とを含んだカラーフィルタが使用される。
多くの液晶表示装置は、位相差層を含んでいる。例えば、テレビジョン受像機の液晶表示装置では、どの方向から観察しても見易い画像を表示するように、位相差層が直線偏光フィルムと組み合わせて使用されている。また、反射型または半透過型液晶表示装置では、太陽などの高輝度光源のもとで高い視認性を達成するために、位相差層として四分の一波長板を含んでいるかまたは四分の一波長板と二分の一波長板とを含んだ吸収型の円偏光板が使用されている。
しかしながら、赤、緑および青の画素は表示色の波長域が異なっているにも拘らず、通常、位相差層の光学特性は面内で均一である。そのため、表示色が異なる画素の全てに最適な設計を採用することは難しい。
また、液晶層および位相差層の各々の位相差は波長分散を有している。そのため、液晶セルの位相差が位相差層によって十分に補償される設計を或る色を表示する画素に採用した場合、他の色を表示する画素では、液晶セルの位相差が位相差層によって十分に補償されない可能性がある。
さらにまた、緑の波長域の中心波長、例えば約550nmで四分の一波長(λ/4)の位相差が得られる四分の一波長板と直線偏光板とを組み合わせを円偏光板として用いる場合、仮に、この四分の一波長板の屈折率異方性、すなわち複屈折率Δnが可視光域内の全ての波長についてほぼ等しいとしても、中心波長が例えば約450nmの青の波長域では、λ/4よりも大きな位相差が得られる。そして、中心波長が例えば約630nmの赤の波長域では、λ/4よりも小さな位相差が得られる。それゆえ、円偏光板に自然光としての青色光および赤色光を照射した場合、透過光は、円偏光ではなく楕円偏光となる。実際には、多くの光学材料において、複屈折率は可視光領域の短波長側、すなわち青の波長域で大きく、長波長側、すなわち赤の波長域で小さくなるため、この問題はしばしばより深刻になる。
こうした問題点を鑑みて、位相差層として、厚さが異なる複数の領域、すなわち、位相差が異なる複数の領域を含んだ固体化液晶層が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
具体的には、特許文献1には、厚さが互いに異なる赤、緑および青色着色層からなるカラーフィルタ層を形成し、このカラーフィルタ層上に固体化液晶層を形成することが記載されている。この固体化液晶層は、カラーフィルタ層上に形成された配向膜上に光重合性液晶化合物を含んだコーティング液を塗布し、塗膜に紫外線を照射することにより得られる。
この方法によると、それら着色層がカラーフィルタ層の表面に生じさせる凹凸構造に起因して、薄い着色層の位置でより厚く、厚い着色層の位置でより薄い固体化液晶層が得られる。すなわち、表示色が異なる画素間で厚さが異なる固体化液晶層が得られる。換言すれば、位相差が異なる複数の領域を含んだ固体化液晶層が得られる。
特許文献2には、カラーフィルタ層と固体化液晶層とを含んだ半透過型液晶表示装置が記載されている。この液晶表示装置では、カラーフィルタ層の各着色層は、画素の透過部でより厚く、画素の反射部でより薄い。すなわち、カラーフィルタ層の表面には凹凸構造が設けられている。この固体化液晶層は、カラーフィルタ層の凹凸構造が設けられた面上にポリイミド層を形成し、ポリイミド層の全面にラビング処理を施し、その後、ポリイミド層上に紫外線硬化性の液晶モノマーを塗布し、塗膜に紫外線を照射することにより得られる。あるいは、この固体化液晶層は、カラーフィルタ層の凹凸構造が設けられた面に液晶ポリマーを塗布し、塗膜の全体を光配向処理に供することにより得られる。このようにして得られる固体化液晶層は、画素の透過部でより薄く、画素の反射部でより厚い。すなわち、この方法によると、位相差が異なる複数の領域を含んだ固体化液晶層が得られる。
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、着色層間の厚さの差を厳密に制御する必要がある。同様に、特許文献2に記載された技術では、着色層の反射部における厚さと透過部における厚さとの差を厳密に制御する必要がある。そのため、これらの技術を採用した場合、カラーフィルタ層の設計が制約を受けるか、または、カラーフィルタ層の製造の難度が上昇する。そして、これら技術では、カラーフィルタ層の凹凸面上に固体化液晶層を形成する。それゆえ、固体化液晶層の各領域で設計通りの膜厚を達成するには、コーティング液の流動性や塗膜の収縮率などの様々な要因を考慮しなければならない。
こうした問題を解決すべく、固体化液晶層の配向の程度が異なることに起因して、複屈折率が異なる複数の領域を含む位相差層が提案されている(例えば、特許文献3、4参照)。かかる構成においては、位相差は複屈折率により調整されるので、所望の光学特性を得るために位相差層の厚さを変える必要がなく、前述の厚さ制御の困難さは存在しない。
しかしながら、特許文献3および4において制御できるのは配向の程度のみ、換言すれば一次元的な複屈折特性のみに限られる。テレビジョン受像機の液晶表示装置などにおいて良好な視野角特性を付与するには、三次元での光学特性が求められるものの、これを自由に得ることができないのが現状である。
特開2005−24919号公報 特開2006−85130号公報 特許第4211872号 特開2008−225444号公報
本発明の目的は、所望の領域ごとに三次元的に屈折率が制御された位相差層を有する位相差板、当該位相差層により最適な光学補償がなされた液晶表示装置、およびかかる位相差板を容易に製造可能とすることにある。
本発明の第1側面によると、2色以上の多数の画素によってドットマトリクス表示を行なうカラー表示装置に用いる位相差板であって、
支持体と、同一材料よりなる連続膜として前記支持体上に形成された固体化液晶層とを具備し、
前記固体化液晶層は、第1および第2の画素にそれぞれ対応した第1および第2の領域を含む2以上の領域を有し、
前記2以上の領域は、それぞれ屈折率異方性を有し、当該2以上の領域における屈折率、膜厚および対応する色の基準波長は以下の関係を満たすことを特徴とする位相差板が提供される。
x>ny>nz (1)
0.60≦nxy[f]/λd[f]≦1.15 (2)
0.85≦nyz[f]/λd’[f]≦1.15 (3)
xy[f]=(nx[f2]−ny[f2])/(nx[f1]−ny[f1]) (4)
λd[f]=(d[f1]×λ[f2])/(d[f2]×λ[f1]) (5)
yz[f]=(ny[f2]−nz[f2])/(ny[f1]−nz[f1]) (6)
λd’[f]=(d[f1]×λ[f1])/(d[f2]×λ[f2]) (7)
(d[f1]およびd[f2]は、それぞれ固体化液晶層の第1の領域および第2の領域の膜厚、
λ[f1]およびλ[f2]は、それぞれ第1の画素および第2の画素で表示される色の基準波長であって、λ[f1]>λ[f2]を満たし、
xは固体化液晶層の面内における遅相軸方向の屈折率、
yは固体化液晶層の面内であってnx方向と直交する方向の屈折率、
zは固体化液晶層の法線方向の屈折率であり、
x[f1]、ny[f1]およびnz[f1]は、それぞれ第1の領域の波長λ[f1]におけるnx、nyおよびnz
x[f2]、ny[f2]およびnz[f2]は、それぞれ第2の領域の波長λ[f2]におけるnx、nyおよびnzである。)
本発明の第2側面によると、支持体と、同一材料よりなる連続膜として前記支持体上に形成された固体化液晶層と、2色以上の着色層を有するカラーフィルタ層とを具備し、
前記固体化液晶層は、第1および第2の着色層にそれぞれ対応した第1および第2の領域を含み、
前記2以上の領域は、それぞれ屈折率異方性を有し、当該2以上の領域における屈折率、膜厚および対応する色の基準波長は以下の関係を満たすことを特徴とする位相差板が提供される。
x>ny>nz (1)
0.60≦nxy[f]/λd[f]≦1.15 (2)
0.85≦nyz[f]/λd’[f]≦1.15 (3)
xy[f]=(nx[f2]−ny[f2])/(nx[f1]−ny[f1]) (4)
λd[f]=(d[f1]×λ[f2])/(d[f2]×λ[f1]) (5)
yz[f]=(ny[f2]−nz[f2])/(ny[f1]−nz[f1]) (6)
λd’[f]=(d[f1]×λ[f1])/(d[f2]×λ[f2]) (7)
(d[f1]およびd[f2]は、それぞれ固体化液晶層の第1の領域および第2の領域の膜厚、
λ[f1]およびλ[f2]は、それぞれ第1の着色層および第2の着色層の色の基準波長であって、λ[f1]>λ[f2]を満たし、
xは固体化液晶層の面内における遅相軸方向の屈折率、
yは固体化液晶層の面内であってnx方向と直交する方向の屈折率、
zは固体化液晶層の法線方向の屈折率であり、
x[f1]、ny[f1]およびnz[f1]は、それぞれ第1の領域の波長λ[f1]におけるnx、nyおよびnz
x[f2]、ny[f2]およびnz[f2]は、それぞれ第2の領域の波長λ[f2]におけるnx、nyおよびnzである。。)
本発明の第3側面によると、前述の位相差板、
前記位相差板に離間対向して配置された対向基板、
前記位相差板と対向基板とに挟持され、初期状態において垂直配向の液晶を含む液晶層、および
前記位相差板および対向基板の外側に配置された一対の偏光板
を具備することを特徴とする液晶表示装置が提供される。
本発明の第4側面によると、前述の位相差板の製造方法であって、
支持体上に固体化液晶層を形成することを含み、前記固体化液晶層の形成は、
前記支持体上に、光重合性または光架橋性のサーモトロピック液晶化合物とキラル剤とを含み、前記サーモトロピック液晶化合物のメソゲンがコレステリック配向構造を形成している液晶材料層を形成する成膜工程と、
前記液晶材料層の少なくとも2つの領域に対し、異なる条件で偏光照射および非偏向並行光照射を行なって、サーモトロピック液晶化合物の少なくとも一部を、異なる割合ならびに異なる異方性の程度で重合または架橋させて重合または架橋生成物を生じさせる露光工程と、
その後、前記液晶材料層を前記サーモトロピック液晶化合物が液晶相から等方相へと変化する相転移温度と等しい温度以上に加熱して、前記少なくとも2つの領域における未反応の前記サーモトロピック液晶化合物のメソゲンの配向の状態を変化させる現像工程と、
前記メソゲンの配向の状態を変化させたまま前記未反応化合物を重合および/または架橋させる定着工程とを具備することを特徴とする位相差板の製造方法が提供される。
本発明の第5側面によると、前述の位相差板の製造方法であって、
支持体上に固体化液晶層を形成することを含み、前記固体化液晶層の形成は、
前記支持体上に、光重合性または光架橋性のサーモトロピック液晶化合物とキラル剤とを含み、前記サーモトロピック液晶化合物のメソゲンがコレステリック配向構造を形成している液晶材料層を形成する成膜工程と、
前記液晶材料層の少なくとも2つの領域に対し、少なくとも消光比を異ならせて直線偏光を照射して、サーモトロピック液晶化合物の少なくとも一部を、異なる割合ならびに異なる異方性の程度で重合または架橋させて重合または架橋生成物を生じさせる露光工程と、
その後、前記液晶材料層を前記サーモトロピック液晶化合物が液晶相から等方相へと変化する相転移温度と等しい温度以上に加熱して、前記少なくとも2つの領域における未反応の前記サーモトロピック液晶化合物のメソゲンの配向の状態を変化させる現像工程と、
前記メソゲンの配向の状態を変化させたまま前記未反応化合物を重合および/または架橋させる定着工程とを具備することを特徴とする位相差板の製造方法が提供される。
本発明の第6側面によると、前述の位相差板の製造方法であって、
支持体上に固体化液晶層を形成することを含み、前記固体化液晶層の形成は、
前記支持体上に、光重合性または光架橋性のサーモトロピック液晶化合物とキラル剤とを含み、前記サーモトロピック液晶化合物のメソゲンがコレステリック配向構造を形成している液晶材料層を形成する成膜工程と、
前記液晶材料層の少なくとも2つの領域に対し、少なくとも楕円率を異ならせて楕円偏光を照射して、サーモトロピック液晶化合物の少なくとも一部を、異なる割合ならびに異なる異方性の程度で重合または架橋させて重合または架橋生成物を生じさせる露光工程と、
その後、前記液晶材料層を前記サーモトロピック液晶化合物が液晶相から等方相へと変化する相転移温度と等しい温度以上に加熱して、前記少なくとも2つの領域における未反応の前記サーモトロピック液晶化合物のメソゲンの配向の状態を変化させる現像工程と、
前記メソゲンの配向の状態を変化させたまま前記未反応化合物を重合および/または架橋させる定着工程とを具備することを特徴とする位相差板の製造方法が提供される。
本発明によると、所望の領域ごとに三次元的に屈折率が制御された位相差層を有する位相差板、当該位相差層により最適な光学補償がなされた液晶表示装置を容易に製造することが可能となる。
本発明の一態様に係る位相差板を概略的に示す斜視図。 図1に示す位相差板のII−II線に沿った断面図。 固体化液晶層の形成方法の一例を概略的に示す断面図。 固体化液晶層の形成方法の一例を概略的に示す断面図。 固体化液晶層の形成方法の他の例を概略的に示す断面図。 固体化液晶層の形成方法の他の例を概略的に示す断面図。 図4に続く工程を概略的に示す断面図。 一変形例に係る位相差板を概略的に示す断面図。 図1および図2に示す位相差板を用いて製造可能な液晶表示装置の一例を概略的に示す断面図。 偏光板単独の分光透過率。 2枚の偏光板を平行配置した場合の分光透過率。 2枚の偏光板を垂直配置した場合の分光透過率。 カラーフィルタの赤色着色層の分光透過率。 カラーフィルタの緑色着色層の分光透過率。 カラーフィルタの青色着色層の分光透過率。 液晶の屈折率波長分散。 位相差層の屈折率波長分散。 No.1の位相差層の方位角45°方向のコントラスト比の変化。 No.1の位相差層の方位角45°方向のコントラスト比の変化。 No.2の位相差層の方位角45°方向のコントラスト比の変化。 No.2の位相差層の方位角45°方向のコントラスト比の変化。 No.3の位相差層の方位角45°方向のコントラスト比の変化。 No.3の位相差層の方位角45°方向のコントラスト比の変化。 No.4の位相差層の方位角45°方向のコントラスト比の変化。 No.4の位相差層の方位角45°方向のコントラスト比の変化。 No.5の位相差層の方位角45°方向のコントラスト比の変化。 No.5の位相差層の方位角45°方向のコントラスト比の変化。 No.6の位相差層の方位角45°方向のコントラスト比の変化。 No.6の位相差層の方位角45°方向のコントラスト比の変化。 No.7の位相差層の方位角45°方向のコントラスト比の変化。 No.7の位相差層の方位角45°方向のコントラスト比の変化。 No.8の位相差層の方位角45°方向のコントラスト比の変化。 No.8の位相差層の方位角45°方向のコントラスト比の変化。 No.1〜8の位相差層のnxy[f]/λd[f]の範囲。 No.1〜8の位相差層のnyz[f]/λd’[f]の範囲。
以下、本発明の態様について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、同様または類似した機能を発揮する構成要素には全ての図面を通じて同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
図1は、本発明の一実施形態にかかる位相差板を概略的に示す斜視図である。図2は、図1に示す位相差板のII−II線に沿った断面図である。
図1および図2に示す位相差板10は、支持体110とカラーフィルタ層120と固体化液晶層130とを含んでいる。
支持体110は、光透過性を有している。支持体110は、例えば透明基板である。
カラーフィルタ層120は、支持体110上に形成されている。カラーフィルタ層120は、吸収スペクトルが互いに異なり、支持体110上で隣り合った複数の着色層を含んでいる。例えば具体的には、カラーフィルタ層120は着色層120a乃至120cを含んでおり、着色層120aが透過させる光は着色層120bが透過させる光と比較して波長がより長く、着色層120bが透過させる光は着色層120cが透過させる光と比較して波長がより長い。
カラーフィルタ層120は、着色層120a乃至120cとは吸収スペクトルが異なる1つ以上の着色層をさらに含んでいてもよい。ここでは、一例として、着色層120aは赤色着色層であり、第2着色層120bは緑色着色層であり、第3着色層120cは青色着色層であるとする。
着色層120a乃至120cの各々は、Y方向に延びた帯形状を有している。着色層120a乃至120cは、Y方向と交差するX方向に繰り返し並んでおり、ストライプ配列を形成している。なお、X方向およびY方向は、支持体110のカラーフィルタ層120と向き合った面に平行な方向である。また、後述するZ方向は、X方向およびY方向に対して垂直な方向である。
着色層120a乃至120cの各々は、他の形状を有していてもよい。例えば、着色層120a乃至120cの各々は矩形状であってもよい。この場合、着色層120a乃至120cは、正方配列またはデルタ配列を形成していてもよい。
着色層120a乃至120cの各々は、例えば、透明樹脂とその中に分散させた顔料とを含んだ混合物からなる。着色層120a乃至120cの各々は、顔料と顔料担体とを含んだ着色組成物のパターン層を形成し、このパターン層を硬化させることにより得られる。着色組成物については、後で説明する。
固体化液晶層130は位相差層であり、カラーフィルタ層120上に形成されている。固体化液晶層130は、典型的には連続膜であり、カラーフィルタ層120の一主面の全体を被覆している。
固体化液晶層130とカラーフィルタ層120とは、互いに接触していてもよく、互いに接触していなくてもよい。後者の場合、固体化液晶層130とカラーフィルタ層120との間には、配向膜が介在していてもよい。
固体化液晶層130は、その主面に平行な方向に並んだ複数の領域を含んでいる。それら複数の領域は屈折率異方性を有しており、厚み方向(Z方向)の屈折率が最も低い。
例えば、固体化液晶層130は、領域130a乃至130cを含んでいる。領域130a乃至130cは、Z方向に垂直な方向に隣り合っている。
具体的には、領域130a乃至130cは、それぞれ、着色層120a乃至120cと向き合っている。領域130a乃至130cは、それぞれ、着色層120a乃至120cとほぼ等しい形状を有している。
領域130a乃至130cは、サーモトロピック液晶化合物または組成物を重合および/または架橋させてなる。領域130a乃至130cは、互いに組成が等しい材料を用いて形成されている。
領域130a、領域130bおよび130cは、それぞれ屈折率異方性を有するとともに、屈折率異方性の発現の態様が互いに異なっている。
サーモトロピック液晶化合物の屈折率は、材料に依存して一定であり、連続した層の中では変わらないものであると従来考えられてきた。本発明者らは、一定値を示す屈折率は、いわゆる「平均屈折率」である点に着目し、後述するnx,nyおよびnzを独立に制御して、所定の領域内において屈折率異方性を生じさせることを可能とした。具体的には、等方的な乱れと異方的な乱れとを適切に組み合わせることによって、nx,nyおよびnzを独立して制御することができる。こうした知見は、本発明者らによって始めて見出されたものである。
屈折率異方性およびその発現の態様の相違を引き起こす要因としては、いくつか挙げられる。その一つは、サーモトロピック液晶化合物においてメソゲンの配向乱れの程度が、各領域毎に異なって重合または架橋されていることである。例えばここで、面内で最大となる屈折率をnx、面内であってnx方向と直交する方向の屈折率をny、法線方向の屈折率をnzとした場合、メソゲンの配向乱れの程度が低い領域では、nyはより大きくなる一方、nzはより小さくなる。また、メソゲンの配向乱れの程度が高い領域では、乱れの程度が低い領域と比較して、nyはより小さくなる一方、nzはより大きくなる。
他の要因は、サーモトロピック液晶化合物においてメソゲンの配向乱れの程度が、面内の方位によって異なって、すなわち配向乱れが異方性を有した状態で重合または架橋されていることである。この場合、例えば、配向乱れの異方性が大きい領域では、nxはより大きくなる一方、nyはより小さくなる。配向乱れの異方性が小さい領域では、乱れの異方性が大きい領域と比較して、nxはより小さくなる一方、nyはより大きくなる。
ここで、「配向乱れの程度」とは、面内方向に隣り合った領域それぞれにおけるメソゲンMSの配向の状態を意味する。メソゲンMSの配向の状態は、その領域の全体にわたって一定であってもよく、Z方向に沿って変化していてもよい。例えば、ある領域においては、上面付近はより配向の揃った状態であり、下面付近はより配向が乱された状態であってもよい。この場合、「配向乱れの程度」とは、厚さ方向の平均を示す。同様に、「配向乱れの異方性」についても、メソゲンMSの配向の状態はZ方向に沿って変化していてもよく、この場合も、「配向乱れの異方性」は厚さ方向の平均を示す。
領域130a乃至130cは、配向乱れの程度および配向乱れの異方性がそれぞれ異なることによって、nx、nyおよびnzが所定の値に調整されている。上述したように本発明の固体化液晶層130では、いずれの領域においても厚み方向(Z方向)の屈折率、すなわちnzが最も小さい。また、先の定義によりnyはnxより小さい。したがって、領域130a乃至130cの屈折率nx、nyおよびnzは、いずれの領域においても、それぞれ下記式(1)を満たす。
x>ny>nz (1)
さらに、下記式も全て満たされなければならない。
0.60≦nxy[f]/λd[f]≦1.15 (2)
0.85≦nyz[f]/λd’[f]≦1.15 (3)
xy[f]=(nx[f2]−ny[f2])/(nx[f1]−ny[f1]) (4)
λd[f]=(d[f1]×λ[f2])/(d[f2]×λ[f1]) (5)
yz[f]=(ny[f2]−nz[f2])/(ny[f1]−nz[f1]) (6)
λd’[f]=(d[f1]×λ[f1])/(d[f2]×λ[f2]) (7)
要するに、屈折率nx、nyおよびnzのうちのnxとnyとに着目して導出された上記式(2)は、異方性ゆがみに関連し、nyとnzとに着目して導出された上記式(3)は異方性ゆがみに加えて等方性ゆがみにも関連する。
d[f1]は第1の領域の膜厚である。第1の領域は、領域130a乃至130cのいずれかであり、λ[f1]はこの第1の領域が対応する画素の色、例えば着色層120a乃至120cのうち、第1の領域が向き合う第1の着色層の基準波長である。そして、nx[f1]、ny[f1]およびnz[f1]は、それぞれ第1の領域のnx、nyおよびnzである。
d[f2]は第2の領域の膜厚である。第2の領域は、領域130a乃至130cのいずれかであって、前述の第1の領域とは異なる領域である。λ[f2]は第2の領域が対応する画素の色、例えば着色層120a乃至120cのうち第2の領域が向き合う第2の着色層の基準波長である。nx[f2]、ny[f2]およびnz[f2]はそれぞれ、第2の領域のnx、nyおよびnzである。
ただし、λ[f1]>λ[f2]の関係が満たされるように、第1の領域および第2の領域は選択されなければならない。
本発明において「基準波長」とは、最大の透過率が得られる波長に対してその90%以上の透過率が得られる波長のうち、550nmに最も近いものを指す。着色層120a、着色層120bおよび着色層120cがそれぞれ赤色着色層、緑色着色層、および青色着色層である場合、基準波長は、例えばそれぞれ620nm、550nm、および480nmとなる。
各領域のうち少なくとも1つは、面内のうち最も屈折率が高くなる軸の方向が他の領域と異なっていてもよい。例えば、領域130aでは面内のうち最も屈折率が高くなる軸をX方向とし、領域130bでは面内のうち最も屈折率が高くなる軸をX方向およびY方向に45°の角度をなす方向とすることができる。
このように、領域130a乃至130cは、配向乱れの程度および/またはその異方性が互いに異なっている。つまり、本発明の位相差板10における領域毎の光学特性の差異は、主として屈折率の異方性ならびにその発現の態様の差異により生じているので、領域130a乃至130cに所望の光学補償特性を付与するために、各領域の厚さを変える必要がない。場合によっては、領域130a乃至130cの厚さを互いに異ならしめてもよいが、領域130a乃至130cの厚さを互いに等しくすることによって、固体化液晶層130を容易に形成することができる。
上述したように領域130a乃至130cの厚さを互いに等しくしてもよいので、この固体化液晶層130を連続膜として形成することが容易にできる。これによって、より簡便な工程で固体化液晶層130を形成することが可能となる。
さらに、連続膜としての固体化液晶層130は、離間して形成された固体化液晶層130と比較して、カラーフィルタ層120から位相差板10の外部への物質移動を生じ難くする。したがって、連続膜としての固体化液晶層130を含んだ位相差板10を例えば液晶表示装置において使用した場合、カラーフィルタ層120から液晶層中への不純物の混入を抑制することができる。
上述したように、メソゲンMSの配向乱れの程度やその異方性を変化させて、固体化液晶層130の屈折率異方性を領域によって異ならせるには、次のような手法を採用することができる。一例としては、棒状のメソゲンを有する液晶を用い、メソゲンの長さ方向がZ方向に垂直な一方向の配向がより乱されたコレステリック配向(異方乱れコレステリック配向)とする方法が挙げられる。
次に、この位相差板10の材料および製造方法の一例を説明する。
まず、支持体110を準備する。支持体110は、典型的には、ガラス板または樹脂板などの光透過性基板である。ガラス板の材料としては、例えば、ソーダ石灰ガラス、低アルカリ硼珪酸ガラスまたは無アルカリアルミノ硼珪酸ガラスを使用することができる。樹脂板の材料としては、例えば、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、環状ポリオレフィン、セルロースエステル、ポリエチレンテレフタラート等を使用することができる。また支持体110は、硬質でなくてもよい。例えば、光透過性のフィルム・シート等であってもよい。
支持体110は、単層構造を有していてもよく、多層構造を有していてもよい。例えば、位相差板10が液晶表示装置の一部品である場合、支持体110として、インジウム錫酸化物および錫酸化物などの透明導電体からなる透明電極が形成された光透過性基板を使用してもよい。あるいは、支持体110として、画素回路などの回路が形成された光透過性基板を使用してもよい。
次に、支持体110上に、以下に示す方法等によりカラーフィルタ層120を形成する。
カラーフィルタ層120は、例えば、顔料担体とこれに分散させた顔料とを含んだ着色組成物を塗布して所定パターンとし、これを硬化させることを繰り返して着色層120a乃至120cの各々を形成することによって得られる。
着色組成物の顔料としては、有機顔料および/または無機顔料を使用することができる。着色組成物は、1種の有機または無機顔料を含んでいてもよく、複数種の有機顔料および/または無機顔料を含んでいてもよい。
顔料は、発色性が高くかつ耐熱性、特には耐熱分解性が高いことが好ましく、通常は、有機顔料が用いられる。以下に、着色組成物に使用可能な有機顔料の具体例をカラーインデックス番号で示す。
赤色着色組成物の有機顔料としては、例えば、C.I.Pigment Red 7、14、41、48:2、48:3、48:4、81:1、81:2、81:3、81:4、146、168、177、178、179、184、185、187、200、202、208、210、246、254、255、264、270、272および279などの赤色顔料を用いることができる。赤色着色組成物の有機顔料として、赤色顔料と黄色顔料との混合物を使用してもよい。この黄色顔料としては、例えば、C.I. PigmentYellow1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、126、127、128、129、138、147、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、199、198、213または214を使用することができる。
緑色着色組成物の有機顔料としては、例えば、C.I.Pigment Green 7、10、36および37などの緑色顔料を用いることができる。緑色着色組成物の有機顔料として、緑色顔料と黄色顔料との混合物を使用してもよい。この黄色顔料としては、例えば、赤色着色組成物について例示したのと同様のものを使用することができる。
青色着色組成物の有機顔料としては、例えば、C.I.Pigment Blue 15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60および64などの青色顔料を用いることができる。青色着色組成物の有機顔料として、青色顔料と紫色顔料との混合物を使用してもよい。この紫色顔料としては、例えば、C.I.Pigment Violet 1、19、23、27、29、30、32、37、40、42または50を使用することができる。
無機顔料としては、例えば、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑およびコバルト緑などの金属酸化物粉、金属硫化物粉、または金属粉を使用することができる。無機顔料は、例えば、彩度と明度とをバランスさせつつ、良好な塗布性、感度および現像性などを達成するために、有機顔料と組み合わせて用いられ得る。
着色組成物は、顔料以外の着色成分をさらに含んでいてもよい。例えば、着色組成物は、十分な耐熱性を達成できるのであれば、染料を含有していてもよい。この場合、染料を用いた調色が可能である。
また前記着色組成物に含まれる顔料担体は、透明樹脂、その前駆体またはそれらの混合物により構成される。透明樹脂には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、および感光性樹脂が含まれ、その前駆体には、放射線照射により硬化して樹脂を生成する多官能モノマーもしくはオリゴマーが含まれ、これらを単独でまたは2種以上混合して用いることができる。なお、透明樹脂は、可視光領域である400乃至700nmの全波長領域にわたって好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上の透過率を有している樹脂である。
着色組成物において、透明樹脂は、顔料100重量部に対して、例えば30乃至700重量部、好ましくは60乃至450重量部の量で用いる。透明樹脂とその前駆体との混合物を顔料担体として用いる場合には、着色組成物において、透明樹脂は、顔料100重量部に対して、例えば20乃至400重量部、好ましくは50乃至250重量部の量で用いる。この場合、透明樹脂の前駆体は、着色組成物において、顔料100重量部に対して、例えば10乃至300重量部、好ましくは10乃至200重量部の量で用いる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ブチラール樹脂、スチレンーマレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリブタジエン、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリイミド樹脂を使用することができる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂またはフェノール樹脂を使用することができる。
感光性樹脂としては、例えば、水酸基、カルボキシル基およびアミノ基などの反応性の置換基を有する線状高分子に、イソシアネート基、アルデヒド基およびエポキシ基などの反応性置換基を有するアクリル化合物、メタクリル化合物または桂皮酸を反応させて、アクリロイル基、メタクリロイル基およびスチリル基など光架橋性基を線状高分子に導入した樹脂を使用することができる。また、スチレン−無水マレイン酸共重合物およびα−オレフィン−無水マレイン酸共重合物などの酸無水物を含む線状高分子を、ヒドロキシアルキルアクリレートおよびヒドロキシアルキルメタクリレートなどの水酸基を有するアクリル化合物またはメタクリル化合物によりハーフエステル化した樹脂も使用することができる。
透明樹脂の前駆体であるモノマーおよび/またはオリゴマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、トリシクロデカニルアクリレート、トリシクロデカニルメタクリレート、メラミンアクリレート、メラミンメタクリレート、エポキシアクリレートおよびエポキシメタクリレートなどのアクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド、N−ヒドロキシメチルメタクリルアミド、アクリロニトリル、またはそれらの2種以上を含んだ混合物を使用することができる。
着色組成物を紫外線などの光を照射することによって硬化する場合、着色組成物には例えば光重合開始剤を添加する。
光重合開始剤としては、例えば、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、および2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オンなどのアセトフェノン系光重合開始剤;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルおよびベンジルジメチルケタールなどのベンゾイン系光重合開始剤;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、および4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイドなどのベンゾフェノン系光重合開始剤;チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、および2,4−ジイソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン系光重合開始剤;2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、および2,4−トリクロロメチル(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジンなどのトリアジン系光重合開始剤;ボレート系光重合開始剤;カルバゾール系光重合開始剤;イミダゾール系光重合開始剤、またはそれらの2種以上を含んだ混合物を使用することができる。
光重合開始剤は、着色組成物において、顔料100重量部に対して、例えば5乃至200重量部、好ましくは10乃至150重量部の量で使用する。
光重合開始剤とともに増感剤を使用してもよい。
増感剤としては、α−アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’−ジエチルイソフタロフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンおよび4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノンなどの化合物を使用することができる。
増感剤は、光重合開始剤100重量部に対して、例えば0.1乃至60重量部の量で使用することができる。
着色組成物は、多官能チオールなどの連鎖移動剤をさらに含有していてもよい。
多官能チオールは、チオール基を2個以上有する化合物である。多官能チオールとしては、例えば、ヘキサンジチオール 、デカンジチオール 、1,4−ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4−ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4−ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6−トリメルカプト−s−トリアジン、2−(N,N−ジブチルアミノ)−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン、またはそれらの2種以上を含んだ混合物を使用することができる。
多官能チオールは、着色組成物において、顔料100重量部に対して、例えば0.2乃至150重量部、好ましくは0.2乃至100重量部の量で使用する。
着色組成物は、溶剤をさらに含有していてもよい。溶剤を使用すると、顔料の分散性を向上させることができ、それゆえ、支持体110上に着色組成物を乾燥膜厚が例えば0.2乃至5μmとなるように塗布することが容易になる。
溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、ジエチルケトン、アセトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、およびシクロヘキサノンなどのケトン類;エチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、およびジプロピレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、および酢酸n−ブチルなどのエステル系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのセルソルブ系溶剤;メタノール、エタノール、イソ−プロパノール、n−プロパノール、イソ−ブタノール、n−ブタノール、およびアミルアルコールなどのアルコール系溶剤;ベンゼン、トルエン、およびキシレンなどのBTX系溶剤;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、およびシクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素系溶剤などが挙げられる。
さらに、テレピン油、D−リモネン、およびピネンなどのテルペン系炭化水素油;ミネラルスピリット、スワゾール#310(コスモ松山石油(株))、およびソルベッソ#100(エクソン化学(株))などのパラフィン系溶剤;四塩化炭素、クロロホルム、トリクロロエチレン、およびジクロロメタンなどのハロゲン化脂肪族炭化水素系溶剤;クロロベンゼンなどのハロゲン化芳香族炭化水素系溶剤;およびカルビトール系溶剤等が挙げられる。
また、アニリン、トリエチルアミン、ピリジン、酢酸、アセトニトリル、二硫化炭素、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、およびN−メチルピロリドンなどの溶剤を用いることもできる。なかでも、ケトン類あるいはセロソルブ系溶剤が好ましい。これらの溶剤は、1種でまたは2種以上の混合溶剤として使用することができる。
溶剤は、着色組成物において、顔料100重量部に対して、例えば800乃至4000重量部、好ましくは1000乃至2500重量部の量で使用する。
着色組成物は、例えば、1種以上の顔料を、必要に応じて上記光重合開始剤とともに、顔料担体および有機溶剤中に、三本ロールミル、二本ロールミル、サンドミル、ニーダおよびアトライタなどの分散装置を用いて微細に分散させることにより製造することができる。2種以上の顔料を含む着色組成物は、異なる顔料を含んだ分散体を調製し、それら分散体を混合することにより製造してもよい。
顔料を顔料担体および有機溶剤中に分散させる際には、樹脂型顔料分散剤、界面活性剤および色素誘導体などの分散助剤を使用することができる。分散助剤は、顔料の分散性を向上させ、分散後の顔料の再凝集を抑制する。したがって、分散助剤を用いて顔料を顔料担体および有機溶剤中に分散させてなる着色組成物を用いた場合には、透明性に優れたカラーフィルタが得られる。
分散助剤は、着色組成物において、顔料100重量部に対して、例えば0.1乃至40重量部、好ましくは0.1乃至30重量部の量で使用する。
樹脂型顔料分散剤は、顔料に吸着する性質を有する顔料親和性部位と、顔料担体と相溶性のある部位とを含んでいる。樹脂型顔料分散剤は、顔料に吸着して顔料の顔料担体への分散性を安定化する。
樹脂型顔料分散剤としては、例えば、ポリウレタン、ポリアクリレートなどのポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸アミン塩、ポリカルボン酸部分アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩および水酸基含有ポリカルボン酸エステル、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離カルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドおよびその塩などの油性分散剤、アクリル酸−スチレン共重合体、メタクリル酸−スチレン共重合体、アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−メタクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコールおよびポリビニルピロリドンなどの水溶性樹脂もしくは水溶性高分子化合物、ポリエステル類、変性ポリアクリレート類、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、燐酸エステル類、またはそれらの2種以上を含んだ混合物を使用することができる。
界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミンおよびポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートおよびポリエチレングリコールモノラウレートなどのノニオン性界面活性剤:アルキル4級アンモニウム塩およびそれらのエチレンオキサイド付加物などのカオチン性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタインおよびアルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤;またはそれらの2種以上を含んだ混合物を使用することができる。
色素誘導体は、有機色素に置換基を導入した化合物である。色素誘導体は、使用する顔料と色相が近いことが好ましいが、添加量が少なければ色相が異なっていてもよい。用語「有機色素」は、一般に色素とは呼ばれている化合物に加え、一般に色素とは呼ばれていないナフタレン系およびアントラキノン系化合物などの淡黄色の芳香族多環化合物を包含している。色素誘導体としては、例えば、特開昭63−305173号公報、特公昭57−15620号公報、特公昭59−40172号公報、特公昭63−17102号公報、または特公平5−9469号公報に記載されているものを使用できる。特に、塩基性基を有する色素誘導体は、顔料の分散性を高める効果が大きい。着色組成物は、1種の色素誘導体を含んでいてもよく、複数の色素誘導体を含んでいてもよい。
着色組成物には、その粘度の経時的安定性を高めるために貯蔵安定剤を添加してもよい。貯蔵安定剤としては、例えば、ベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸およびシュウ酸などの有機酸、その有機酸のメチルエーテル、t−ブチルピロカテコール、テトラエチルホスフィンおよびテトラフェニルフォスフィンなどの有機ホスフィン、亜リン酸塩、またはそれらの2種以上を含んだ混合物を使用することができる。
貯蔵安定剤は、着色組成物において、顔料100重量部に対して、例えば0.1乃至10重量部の量で含有させる。
着色組成物には、基板との密着性を高めるために、シランカップリング剤などの密着向上剤を添加してもよい。
シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルエトキシシラン、およびビニルトリメトキシシランなどのビニルシラン類;γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどのアクリルシラン類およびメタクリルシラン類;β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、およびγ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどのエポキシシラン類;N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、およびN−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノシラン類;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、およびγ−メルカプトプロピルトリエトキシシランなどのチオシラン類;またはそれらの2種以上を含んだ混合物を使用することができる。
シランカップリング剤は、着色組成物において、顔料100重量部に対して、例えば0.01乃至100重量部の量で含有させる。
着色組成物は、例えば、グラビアオフセット用印刷インキ、水無しオフセット印刷インキ、シルクスクリーン印刷用インキ、インキジェット印刷用インキ、または溶剤現像型もしくはアルカリ現像型着色レジストの形態で調製することができる。着色レジストは、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂または感光性樹脂と、モノマーと、光重合開始剤と、有機溶剤とを含有する組成物中に色素を分散させたものである。
顔料は、着色組成物の全固形分100重量部に対して、例えば5乃至70重量部、好ましくは20乃至50重量部の量で用いる。なお、着色組成物の残りの固形分の多くは、顔料担体が含んでいる樹脂バインダである。
着色組成物を成膜に使用する前に、遠心分離、焼結フィルタおよびメンブレンフィルタなどの精製装置によって、着色組成物から、例えば5μm以上の粒子、好ましくは1μm以上の粒子、より好ましくは0.5μm以上の粒子を除去してもよい。
着色層120a乃至120cの各々は、例えば、印刷法によって形成することができる。印刷法によると、着色組成物の印刷と乾燥とを行なうことにより、着色層120a乃至120cの各々を形成することができる。したがって、印刷法は、低コストで量産性に優れている。しかも、近年の印刷技術の発展により、高い寸法精度および平滑度を有する微細パターンの印刷を行なうことができる。
印刷法を利用する場合、着色組成物が印刷版またはブランケット上で乾燥および固化を生じないように着色組成物の組成を設計する。また、印刷法では、印刷機内での着色組成物の流動性を最適化することが重要である。したがって、着色組成物に分散剤や耐湿顔料を添加して、その粘度を調整してもよい。
着色層120a乃至120cの各々は、フォトリソグラフィー法を利用して形成してもよい。フォトリソグラフィー法によれば、カラーフィルタ層120を、印刷法と比較してより高い精度で形成することができる。
この場合、まず、溶剤現像型またはアルカリ現像型着色レジストとして調製した着色組成物を、支持体110上に塗布する。この塗布には、スプレーコート、スピンコート、スリットコートおよびロールコートなどの塗布方法を利用する。この塗膜は、乾燥膜厚が例えば0.2乃至10μmとなるように形成する。
次いで、この塗膜を乾燥させる。塗布膜の乾燥には、例えば、減圧乾燥機、コンベクションオーブン、IRオーブンまたはホットプレートを利用する。塗膜の乾燥は、省略することができる。
続いて、塗膜に、フォトマスクを介して紫外線を照射する。すなわち、塗膜をパターン露光に供する。
その後、塗膜を溶剤もしくはアルカリ現像液に浸漬させるかまたは塗膜に現像液を噴霧する。これにより、塗膜から可溶部を除去して、着色層120aをレジストパターンとして得る。
さらに、これと同様の手順で、着色層120bおよび120cを順次形成する。以上のようにして、カラーフィルタ層120を得る。なお、この方法では、着色レジストの重合を促進するために、熱処理を施してもよい。
このフォトリソグラフィー工程では、アルカリ現像液として、例えば、炭酸ナトリウム水溶液または水酸化ナトリウム水溶液を使用することができる。あるいは、アルカリ現像液として、ジメチルベンジルアミンおよびトリエタノールアミンなどの有機アルカリを含んだ液を使用してもよい。
現像液には、消泡剤および界面活性剤などの添加剤を添加してもよい。現像には、例えば、シャワー現像法、スプレー現像法、ディップ現像法またはパドル現像法を利用することができる。
露光感度を高めるために、以下の処理を追加してもよい。すなわち、着色レジストの第1塗膜を乾燥させた後、この第1塗膜の上に、水溶性またはアルカリ水溶性樹脂、例えばポリビニルアルコールまたは水溶性アクリル樹脂を塗布する。そして、この第2塗膜を乾燥させた後に、上記のパターン露光を行なう。第2塗膜は、第1塗膜における重合が酸素によって阻害されるのを防止する。したがって、より高い露光感度を達成できる。
カラーフィルタ層120は、他の方法で形成してもよい。例えば、インキジェット法、電着法または転写法を利用して形成してもよい。インキジェット法によってカラーフィルタ層120を形成する場合、例えば、支持体110上に予め遮光性離画壁を形成しておき、この遮光性離画壁によって区画された領域に向けてノズルからインキを吐出することにより各着色層を得る。電着法によってカラーフィルタ層120を形成する場合、支持体110上に予め透明導電膜を形成しておき、着色組成物からなるコロイド粒子の電気泳動によって着色組成物を透明導電膜上に堆積させることにより各着色層を得る。転写法を利用する場合、剥離性の転写ベースシートの表面に予めカラーフィルタ層120を形成しておき、このカラーフィルタ層120をベースシートから支持体110上に転写する。
次に、固体化液晶層130の形成方法について説明する。
図3および図4は、領域130d乃至130fを有する固体化液晶層を形成する方法の一例を概略的に示す断面図である。
固体化液晶層130は、例えば、カラーフィルタ層120上に、光重合性または光架橋性のサーモトロピック液晶材料を含んだ液晶材料層130’を成膜し、この液晶材料層130’をパターン露光と熱処理とに供することによって得る。
液晶材料層130’は、例えば、カラーフィルタ層120上に、サーモトロピック液晶化合物とキラル剤とを含んだコーティング液を塗布し、必要に応じて塗膜を乾燥させることにより得られる。液晶材料層130’では、サーモトロピック液晶化合物のメソゲンがコレステリック配向構造を形成している。
サーモトロピック液晶化合物としては、例えば、アルキルシアノビフェニル、アルコキシビフェニル、アルキルターフェニル、フェニルシクロヘキサン、ビフェニルシクロヘキサン、フェニルビシクロヘキサン、ピリミジン、シクロヘキサンカルボン酸エステル、ハロゲン化シアノフェノールエステル、アルキル安息香酸エステル、アルキルシアノトラン、ジアルコキシトラン、アルキルアルコキシトラン、アルキルシクロヘキシルトラン、アルキルビシクロヘキサン、シクロヘキシルフェニルエチレン、アルキルシクロヘキシルシクロヘキセン、アルキルベンズアルデヒドアジン、アルケニルベンズアルデヒドアジン、フェニルナフタレン、フェニルテトラヒドロナフタレン、フェニルデカヒドロナフタレン、これらの誘導体、それら化合物のアクリレート、またはそれら化合物のメタクリレートを使用することができる。
キラル剤は、光学活性な部位を有する低分子化合物であり、主として分子量1500以下の化合物が挙げられる。キラル剤は、ネマチック規則性を示す重合性の液晶材料が発現する正の一軸ネマチック規則性に、螺旋構造を誘起させる目的で用いられる。この目的が達成されれば、キラル剤の種類は特に限定されない。ネマチック規則性を示す重合性の液晶材料との間で溶液状態あるいは溶融状態において相溶し、当該重合性液晶材料の液晶性を損なうことなく、これに所望の螺旋構造を誘起できる任意の化合物を、キラル剤として用いることができる。
液晶に螺旋構造を誘起させるために用いられるので、キラル剤は、少なくとも分子中に何らかのキラリティーを有していることが必要である。したがって、ここで用いられるキラル剤としては、例えば、1つあるいは2つ以上の不斉炭素を有する化合物、キラルなアミンやキラルなスルフォキシドなどのようにヘテロ原子上に不斉点をもつ化合物、あるいはクムレンやビナフトールなどの軸不斉をもつ光学活性な部位を有する化合物が好ましい。具体的には、市販のキラルネマチック液晶(例えばPaliocolor LC756(BASF社製),キラルドーパント液晶S−811(Merck社製)等)が挙げられる。
なお、本発明の固体化液晶層130は、可視光領域において透明度が高いことが求められるので、キラル剤は、液晶材料層130’の螺旋ピッチが短く選択反射の波長が400nm程度以下になるような量で添加される。キラル剤の具体的な添加量は、用いるサーモトロピック液晶化合物の種類あるいはキラル剤のねじれ誘起力等によっても異なるが、例えばサーモトロピック液晶化合物に対して2乃至50重量部とすることができる。
コーティング液には、光重合開始剤が含まれていてもよい。
光重合開始剤としては、二色性の光重合開始剤を用いることができ、例えば下記化学式で表わされるビフェニルシクロヘキサン誘導体が挙げられる。このような二色性の光重合開始剤は、後述する露光工程において、面内で特定の方位を向いたサーモトロピック液晶化合物について固定化を誘起しやすく、屈折率の面内異方性が大きな固体化液晶層130を得ることが容易であるという点で好ましい。
Figure 2011048192
光重合開始剤は、必ずしも二色性を有していなくともよい。例えば光重合開始剤として、前述の着色組成物に用いる化合物と同様のもの(以下、「その他の光重合開始剤」という。)を使用することができる。二色性の光重合開始剤をコーティング液に添加せず、その他の光重合開始剤を用いても、あるいは光重合開始剤を用いなくても、本実施形態の位相差板10を得ることができる。これは、光重合性または光架橋性のサーモトロピック液晶材料そのものが光による反応に異方性を有しているためと推定される。前述のその他の光重合開始剤は、後述する露光工程において、感度が高いため少ない露光量でより確実な固定化を誘起しやすく、強固な固体化液晶層130を得ることが容易であるという点で好ましい。
光重合開始剤としては、前述の二色性の光重合性開始剤およびその他の光重合開始剤のいずれか、またはこれらを2種以上混合して添加することができる。その含有量は、コーティング液中における液晶化合物100重量部に対して0.1乃至30重量部が好ましく、0.3乃至10重量部がより好ましい。
増感剤を光重合開始剤と併用してもよく、これには、前記した着色組成物に用いる化合物と同様のものを使用することができる。増感剤は、光重合開始剤100重量部に対して0.1乃至60重量部の量で含有させることができる。
コーティング液には、溶剤を加えることができる。
溶剤としては、前述の着色組成物に用いる化合物と同様のものを使用することができ、コーティング液中の液晶化合物100重量部に対して100乃至3000重量部、好ましくは200乃至1000重量部を用いることができる。
コーティング液には、さらに必要に応じて、熱重合開始剤、重合禁止剤、界面活性剤、樹脂、多官能モノマーおよび/またはオリゴマー、連鎖移動剤、貯蔵安定剤および密着向上剤等を、適量添加することができる。
熱重合開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイル(BPO)、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート(PBO)、ジ−t−ブチルパーオキシド(PBD)、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート(PBI)、およびn−ブチル4,4,ビス(t−ブチルパーオキシ)バラレート(PHV)などのような過酸化物開始剤;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)、2,2’−アゾビス(2−メチルブタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2,3−ジメチルブタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルヘキサン)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2,3,3−トリメチルブタン)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、3,3’−アゾビス(3−メチルペンタン)、3,3’−アゾビス(3−メチルヘキサン)、3,3’−アゾビス(3,4−ジメチルペンタン)、3,3’−アゾビス(3−エチルペンタン)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジエチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、およびジ−tert−ブチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)などのアゾ系開始剤などを使用することができる。
重合禁止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、3−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、2−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、スチレン化フェノール、スチレン化p−クレゾール、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、テトラキス〔メチレン−3−(3’,5’−ジ−1−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、オクタデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジ(α−メチルシクロヘキシル)−5,5’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾイル)イソシアヌレート、ビス〔2−メチル−4−(3−n−アルキルチオプロピオニルオキシ)−5−t−ブチルフェニル〕スルフィド、1−オキシ−3−メチル−イソプロピルベンゼン、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ノニルフェノール)、アルキル化ビスフェノール、2,5−ジ−t−アミルハイドロキノン、ポリブチル化ビスフェノールA、ビスフェノールA、2,6−ジ−t−ブチル−p−エチルフェノール、2,6−ビス(2’−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5’−メチル−ベンジル)−4−メチルフェノール、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、テレフタロイルージ(2,6−ジメチル−4−t−ブチル−3−ヒドロキシベンジルスルフィド)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−α−ジメチルアミノ−p−クレゾール、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、トルエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、ヘキサメチレングリコール−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリン)−2,4−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシナミド)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル−リン酸ジエチルエステル、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリス〔β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル−オキシエチル〕イソシアヌレート、2,4,6−トリブチルフェノール、ビス〔3,3−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)−ブチリックアシッド〕グリコールエステル、4−ヒドロキシメチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール、およびビス(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルベンジル)サルファイドなどのフェノール系禁止剤が挙げられる。
さらに、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合物、およびジアリール−p−フェニレンジアミンなどのアミン系禁止剤;ジラウリル・チオジプロピオネート、ジステアリル・チオジプロピオネート、および2−メルカプトベンズイミダノールなどの硫黄系禁止剤;ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイトなどのリン系禁止剤などの重合禁止剤を用いることもできる。
界面活性剤、樹脂、多官能モノマーおよび/またはオリゴマー、連鎖移動剤、貯蔵安定剤および密着向上剤等は、前記した着色組成物に用いる化合物と同様のものを使用することができる。
コーティング液の塗布には、例えば、スピンコート法、スリットコート法、凸版印刷、スクリーン印刷、平版印刷、反転印刷およびグラビア印刷などの印刷法、これらの印刷法にオフセット方式を組み合わせた方法、インキジェット法、またはバーコート法を利用することができる。
液晶材料層130’は、例えば、均一な厚さを有している連続膜として形成する。上述した方法によれば、塗布面が十分に平坦である限り、液晶材料層130’を均一な厚さを有している連続膜として形成することができる。
コーティング液の塗布に先立って、カラーフィルタ層120の表面に、ラビングなどの配向処理を施してもよい。あるいは、コーティング液の塗布に先立って、カラーフィルタ層120上に、液晶化合物の配向を規制する配向膜を形成してもよい。この配向膜は、例えば、カラーフィルタ層120上にポリイミドなどの透明樹脂層を形成し、この透明樹脂層にラビングなどの配向処理を施すことにより得られる。この配向膜は、光配向技術を利用して形成してもよい。
液晶材料層130’においては、サーモトロピック液晶化合物のメソゲンがコレステリック構造に配向している。場合によっては、こうしたメソゲンとともに、二色性の光重合開始剤もコレステリック構造に配向している。したがって、非偏光照射および偏光照射を液晶材料層130’に行なうことによって、所望の割合ならびに所望の異方性の程度で、サーモトロピック液晶化合物を重合または架橋させることができる。この場合、サーモトロピック液晶化合物の重合または架橋は、不均一であるということができる。
以上のようにして得られた液晶材料層130’に対し、露光工程を行なう。すなわち、図3に示すように、液晶材料層130’の複数の領域にパターン露光を行なう。パターン露光光L1は、偏光と非偏向並行光との組み合わせによって構成され、領域毎に偏光照射および/または非偏向並行光照射の条件が異なる。偏光および非偏向並行光は、いずれが先に照射されてもよい。また、一部の領域に照射される光L1は、いずれか一方のみの光とすることができ、いずれの照射も行なわれない領域が存在してもよい。
なお、非偏向並行光照射の条件が異なるとは、露光時間・照度・輝線等のうちいずれか一つ、あるいはこれらの組み合わせが相違していることを指す。通常、それぞれの領域に対して異なる照射エネルギー、すなわち異なる露光量となるように光を照射するが、材料によっては相反則不軌の性質がみられる。その場合には、必ずしも露光量を異ならせる必要はない。例えば、ある領域には高照度で短時間、別の領域には低照度で長時間露光を行ない、結果として双方の領域の露光量(照度×露光時間)が同じであってもよい。
偏光照射の条件には、偏光の楕円率および偏光の消光比が含まれる。偏光照射の条件が異なるとは、前述の非偏向並行光照射で変更する条件に加えて、偏光の楕円率・偏光の消光ののうち一つまたはこれらの組み合わせが相違していることを指す。通常、それぞれの領域に対して異なる露光量となるように光を照射するが、必ずしも露光量を異ならせる必要がない点は非偏向並行光照射の場合と同様である。偏光照射において用いることのできる光としては、直線偏光または楕円偏光が挙げられる。上述したように変更する条件として楕円率・消光比を選択してもよいが、直線偏光を用いて消光比も一定とし、他の条件を変更するのが簡便である。
以下、領域によって露光量を異ならせ、偏光照射には直線偏光を用いる場合を例に挙げて説明する。
例えば、液晶材料層130’のうち領域130dに対応した領域130d’には、光L1として十分な露光量で非偏向並行光のみを照射する。液晶材料層130’のうちの領域130eに対応した領域130e’には、光L1として十分な露光量で直線偏光を照射し、液晶材料層130’のうちの領域130fに対応した領域130f’には、いずれの照射も行なわない。
液晶材料層130’においては、照射された光L1の種類および露光量に応じて、メソゲンが形成しているコレステリック配向状態が固定化され、サーモトロピック液晶化合物の重合または架橋を生じさせる。サーモトロピック液晶化合物の重合または架橋生成物では、そのメソゲンは流動性を失ない、その後の工程においても配向の変化を生じ難くなる。
例えば、光L1として十分な露光量の非偏向並行光のみが照射された領域130d’では、メソゲンのコレステリック配向状態は概ね維持されたまま固定化される。メソゲンがコレステリック配向状態にあるサーモトロピック液晶化合物の重合または架橋生成物の含有率が最も高く、未重合および未架橋のサーモトロピック液晶化合物の含有率が最も小さい。
光L1として十分な露光量の直線偏光のみが照射された領域130e’では、コレステリック配向構造を形成したメソゲンのうち、偏光軸に応じた面内で特定の方位を向いているものについてその配向状態が概ね維持されたまま固定化される。その一方、他の方位を向いているものは、配向の状態は変わらないものの固定化されず流動性を有したままとなる。領域130d’と比較すると、配向状態が固定化されたサーモトロピック液晶化合物の重合および/または架橋生成物は、メソゲンが特定の方位を向いているものに偏って存在するので、全体としては未重合あるいは未架橋のサーモトロピック液晶化合物の含有率がより高くなる。
露光工程に使用する光としては、紫外線、可視光線および赤外線などの電磁波が挙げられる。より具体的には、波長180乃至400nmの光を含む紫外線が、典型的には用いられる。
上述したように不均一に重合または架橋させることができれば、露光工程はどのような方法で行なってもよい。
例えば、この露光工程は、あるフォトマスクを用いた露光と、それとは遮光層のパターンが異なるフォトマスクを用いた露光とを含んでいてもよい。例えば、あるフォトマスクを用いて、光L1として最大の露光量の非偏向並行光を領域130d’のみに照射し、別のフォトマスクを用いて、光L1として最大の露光量の直線偏光を領域130e’のみに照射する。
あるいは、この露光工程は、或るフォトマスクを使用した領域130d’の露光と、それと同一のフォトマスクを使用した領域130e’の露光とを含んでいてもよい。この場合、例えば、或るフォトマスクを使用して領域130d’に最大の露光量の非偏向並行光を光L1として照射する。そのフォトマスクを使用して、領域130e’に最大の露光量の直線偏光を光L1として照射する。
あるいは、フォトマスクを使用する代わりに、光束を液晶材料層130’上で走査させる等を行なってもよい。
あるいは、上述した技術を組み合わせてもよい。いずれの方法により露光工程が行なわれた場合であっても、こうした露光工程においては、液晶材料層130’におけるサーモトロピック液晶化合物の重合の程度あるいは重合の異方性の程度として、いわば「潜像」として形成される。
露光工程を完了した後、現像工程を行なう。すなわち、液晶材料層130’を、サーモトロピック液晶化合物が液晶相から等方相へと変化する相転移温度と等しい温度以上に加熱する。この現像工程によって、前述の露光工程で形成された「潜像」が、メソゲンの配向の状態の変化として発現する。
具体的には、次に示すとおりである。未反応化合物であるサーモトロピック液晶化合物のメソゲン部位は固定されていない。それゆえ、液晶材料層130’を相転移温度以上に加熱すると、未反応化合物のメソゲンの配向が乱される。例えば、未反応化合物のメソゲンは、液晶相から等方相へと変化する。他方、サーモトロピック液晶化合物の重合または架橋生成物では、メソゲンは固定されている。
したがって、図4に示されるように、領域130f’においては、メソゲンMSのコレステリック配向はほぼ完全に乱されて等方相となる。すなわち、面内で最大となる屈折率をnx、面内であってnx方向と直交する方向の屈折率をny、法線方向の屈折率をnzとすると、nx≒ny≒nzとなる。
光L1として十分な露光量の非偏向並行光のみが照射された領域130d’においては、メソゲンMSの配向の状態は、この熱処理によって顕著に変化しない。コレステリック配向を概ね保って固定化されたままの状態であり、屈折率はnx≒ny>nzとなる。また、領域130f’と比較して、nyはより大きくなり、nzはより小さくなる。
十分な露光量の直線偏光が光L1として照射された領域130e’におけるメソゲンMSの配向は、偏光軸に応じた面内で特定方位を向いたものについては固定されたままである一方、他の方位を向いたものは乱される。すなわち、異方性のある配向乱れが生じ、屈折率はnx>ny>nzとなる。そして、領域130d’と比較して、nxはより大きくなり、nyはより小さくなる。
直線偏光の露光量、非偏向並行光の露光量、あるいは直線偏光と非偏向並行光とにおける露光量の比率などを変更して露光工程を行なった後、現像工程を行なうことによって、液晶材料層130’の複数の領域のそれぞれにおけるメソゲンMSの配向状態を、任意に制御することが可能となる。図5および図6を参照して、その一例を説明する。
図5には、領域130a’乃至130f’を有する液晶材料層130’を示す。上述したとおり、領域130d’乃至130f’には異なる光L1が照射され、領域130a’乃至130c’にも、異なる光L1が照射される。
領域130f’には光L1が照射されず、領域130e’には十分な露光量の直線偏光が光L1として照射される。領域130a’に光L1として照射されるのは、この領域130e’より少ない露光量の直線偏光である。
領域130d’には十分な露光量の非偏向並行光が光L1として照射され、領域130b’および領域130c’には、領域130d’より少ない露光量の非偏向並行光と領域130a’より少ない露光量の直線偏光が光L1として照射される。ただし、領域130b’に照射される非偏向並行光は領域130c’より少なく、また領域130c’に照射される直線偏光は領域130b’より少ない。
なお、非偏向並行光における十分な露光量とは、実質的にサーモトロピック液晶化合物の大多数が重合または架橋される露光量を指し、この露光量を越えて光を照射しても、続く現像工程における配向状態に差はみられない。直線偏光における十分な露光量とは、サーモトロピック液晶化合物の重合または架橋の異方性が最も高くなる露光量を指し、原理的には、直線偏光の消光比が無限大である場合、当該露光量を越えて光を照射しても、続く現像工程における配向状態に差はみられなくなる。
一般的には、直線偏光の消光比は有限であり、十分な露光量を越えて光を照射し続けると、次第にnxが小さくなってnyが大きくなる。この露光量領域においては、厚み方向の屈折率nzを制御することができない。本発明では、nx、nyおよびnzのいずれについても領域毎に異ならせることが必要とされるので、こうした露光量領域は使用しない。
十分な露光量の具体的な値は、サーモトロピック液晶化合物の種類、光重合開始剤の種類と量、その他添加剤の有無および種類と量、照射する光の種類と強度などに応じて大きく異なるので、一概に述べることはできないが。典型的には、十分な露光量は200mJ/cm2〜2000mJ/cm2程度である。例えば20mW/cm2の光束を用いた場合には、概ね10秒〜100秒の照射で十分な露光が行なわれる。
前述の十分な露光量に満たなければ不十分な露光量であるものの、光による配向の固定化の程度は露光量に必ずしも比例するわけではない。少ない露光量で相当程度の固定化が進むことがしばしばあり、例えば、露光量が十分な露光量の半分であっても、半分以上の固定化がなされる。十分な露光量とした領域に対して有意の差を得るためには、これよりかなり少ない値であることが望ましい場合がある。具体的には、不十分な露光量は2mJ/cm2〜180mJ/cm2程度であり、例えば20mW/cm2の光束を用いた場合、照射時間が概ね0.1秒〜9秒であれば、不十分な露光となる。
それぞれの光L1を照射して露光工程を完了した後、上述したような現像工程を行なった結果を図6に示す。
光L1として不十分な直線偏光が照射された領域130a’においては、その露光量が少ないことに起因して残る未硬化成分の配向が乱れて低配向状態となる。直線偏光が照射されたことによって領域130e’と同様に屈折率はnx>ny>nzとなるものの、領域130e’と比較してnxは小さくなり、nzは大きくなる。
光L1として不十分な非偏向並行光と不十分な直線偏光が照射された領域130b’および領域130c’においては、光L1に直線偏光が含まれているため、領域130a’と同様に屈折率はnx>ny>nzとなる。しかしながら、領域130a’より直線偏光の露光量が少なく、しかも領域130a’とは異なって非偏向並行光もともに照射されていることから、nxはより小さく、nyはより大きく、nzはより小さい。
領域130b’と領域130c’との比較では、領域130c’は領域130b’より少ない直線偏光と多くの非偏向並行光とが照射されているため、nxはより小さく、nyはより大きく、nzはより小さい。
こうした露光工程は、上述したような方法により行なうことができる。露光工程においてハーフトーンマスクを使用した場合には、それぞれの領域に照射される直線偏光および非偏向並行光の露光量を、所望に応じて制御することも可能となる。ハーフトーンマスクは、所定の領域に対応した部分に遮光層が設けられ、領域に対応した部分に半透過層が設けられている。ハーフトーンマスクの代わりに、グレイトーンマスクまたは波長制限マスクを使用してもよい。グレイトーンマスクは、半透過層を省略し、遮光層に露光機の解像度以下の幅の複数のスリットを有する以外は、ハーフトーンマスクと同様の構造を有している。波長制限マスクは、光の透過波長域が異なる領域を含んでいる。
なお、領域130b’および領域130c’に関して説明したように、直線偏光露光量と非偏向並行光露光量との比率および総露光量を適宜選択することによって、所望の領域ごとに三次元的に屈折率が制御することが可能である。すなわち、領域ごとに屈折率nx、nyおよびnzを任意に設定することができる。
直線偏光と非偏向並行光との組み合わせのみならず、消光比の異なる直線偏光を照射した場合も、同様の効果が得られる。例えば、消光比が2:1となる直線偏光を照射したときは、(消光比が無限大の)直線偏光の照射量と非偏向並行光の照射量とが等しい場合に概ね相当し、消光比が2:1より大きい直線偏光を照射したときは、直線偏光の照射量が非偏向並行光の照射量より大きい場合に相当する。
また、直線偏光と非偏向並行光との組み合わせのみならず、楕円率の異なる楕円偏光を照射した場合も、同様の効果が得られる。例えば、楕円率が2となる楕円偏光を照射したときは、消光比が無限大の直線偏光の照射量と非偏向並行光の照射量とが等しい場合に概ね相当する。また、楕円率が2より大きい楕円偏光を照射したときは、直線偏光の照射量が非偏向並行光の照射量より大きい場合に相当する。
さらには、上述の手法を併用して光L1を得ることもできる。例えば、消光比の異なる直線偏光と非偏向並行光とを組み合わせて、あるいは楕円率が異なる楕円偏光と非偏向並行光とを組み合わせて光L1としてもよい。
ここで、直線偏光あるいは楕円偏光を照射する工程において、少なくとも1つの領域に対して、偏光の軸の方位角を他の領域と異なるように照射することも可能である。このようにすると、続く熱処理工程において、当該領域における面内方向で最も屈折率が高くなる軸は、先の直線偏光/楕円偏光の軸の方位角に対応して、他の領域と異なる方向に発現する。
図4に示したように領域毎に異なる配向の状態が達成された後には、定着工程を行なって、未反応化合物のメソゲンについて配向の状態を維持したまま、未反応化合物を重合および/または架橋させる。
例えば、図7に示すように、サーモトロピック液晶化合物が等方相から液晶相へと変化する相転移温度よりも高い温度に液晶材料層130’を維持したまま、液晶材料層130’の全体に光L2を照射する。
液晶材料層130’には、未反応化合物を概ね重合および/または架橋反応させるのに十分な露光量で光L2を照射する。これにより、未反応化合物の重合または架橋を生じさせ、配向の状態を変化させたメソゲンを固定化する。以上のようにして、固体化液晶層130を得る。
なお、ある液晶化合物は、等方相から液晶相へと変化する第1相転移温度が、液晶相から等方相へと変化する第2相転移温度と比較してより低い。それゆえ、特定の場合には、定着工程における液晶材料層130’の温度は、現像工程の加熱温度と比較してより低くてもよい。ただし、通常は、簡便性の観点で、定着工程における液晶材料層130’の温度は、第1相転移温度以上とする。
照射される光L2としては、偏光を用いてもよいが、通常は簡便性の観点で非偏向の光が用いられる。
定着工程における光照射では、液晶材料層130’の全体にわたって露光量が等しくてもよい。この場合、微細なパターンが設けられたフォトマスクを使用する必要がない。したがって、工程を簡略化することができる。
定着工程は、他の方法で行なってもよい。
例えば、未反応化合物、すなわちサーモトロピック液晶化合物が第1相転移温度よりも高い重合および/または架橋温度に加熱することによって重合および/または架橋する材料である場合、光を照射する代わりに、加熱を行なってもよい。具体的には、光を照射する代わりに、液晶材料層130’を重合および/または架橋温度以上に加熱して、未反応化合物を重合および/または架橋させる。これにより、固体化液晶層130を得る。なお、現像工程における加熱温度は、例えば、第1相転移温度以上でありかつ重合および/または架橋温度未満とする。
あるいは、定着工程において、光照射と加熱とを順次行なってもよい。このように光と熱とを組み合わせると、未反応化合物の重合および/または架橋をより確実に進行させることができる。それゆえ、より強固な固体化液晶層130を得ることができる。
ある温度に加熱することによって、未反応化合物が重合および/または架橋する材料である場合、現像工程における加熱温度は、それが重合および/または架橋する温度以上であってもよい。すなわち現像工程と定着工程とを同時に行なってもよい。ただし、この場合、配向乱れの発生と重合および/または架橋とが同時に進行する。そのため、製造条件が固体化液晶層130の光学特性に及ぼす影響が比較的大きい。
図3乃至図7を参照して説明したように、本発明の位相差板は、ウェット工程なしに位相差のパターンが形成される。ウェット工程によりパターンを形成するには、溶剤あるいはアルカリ性水溶液等、液晶材料層を溶解する能力を有する液体が用いられる。例えば、該液体に液晶材料層に浸漬することによって、あるいは、スプレーなどにより該液体を液晶材料層に噴霧することによって、未硬化部を除去してパターンが形成される。こうしたウェット工程は、その製造条件が最終製品の光学的特性に与える影響は極めて大きい。それゆえ、ウェット工程を含んだ方法によると、光学的特性の目標値からのずれを生じ易い。
これに対して本発明の方法では、露光工程およびそれよりも後にウェット工程は行なわない。それゆえ、ウェット工程に起因して屈折率異方性が目標値からずれるのを防止することができる。
なお、屈折率異方性発現の態様と、露光工程における条件、例えば直線偏光の露光量・非偏向並行光の露光量などとは、必ずしも比例関係にある訳ではない。しかしながら、材料および各工程の条件が一定のもとでは、屈折率異方性の再現性は高い。それゆえ、ある屈折率異方性を達成するのに必要な条件、例えば露光量を見出すのは容易であり、また、安定した製造を行なうことも容易である。
図1、図2および図7を参照しながら説明した位相差板10、すなわちパネル基板には、様々な変形が可能である。
この位相差板10では、固体化液晶層130は、屈折率異方性が互いに異なる領域130a乃至130cを含んでいる。固体化液晶層130は、領域130a乃至130cとは屈折率異方性が異なる1つ以上の領域をさらに含んでいてもよい。例えば、半透過型液晶表示装置では、赤、緑および青色画素の各々が、透過部と反射部とを含んでいる。透過部と反射部とには、異なる光学的設計を採用する必要がある。それゆえ、固体化液晶層130のうち、赤、緑および青色画素に対応した部分の各々が、屈折率異方性が互いに異なる2つ以上の領域を含んでいてもよい。
また、カラーフィルタ層120は前述の着色層以外に、黒色離画壁を含んでいてもよい。黒色離画壁は、例えば、着色層120a乃至120cを互いに離間するように設けられる。
位相差板10からカラーフィルタ層120を省略してもよい。例えば、液晶表示装置では、その一方の基板がカラーフィルタ層と位相差層との双方を含んでいてもよいが、液晶表示装置の一方の基板がカラーフィルタ層を含み、他方の基板が位相差層を含んでいてもよい。後者の場合、位相差板10は、カラーフィルタ層120を含んでいる必要はない。ただし、位相差板10がカラーフィルタ層120と固体化液晶層130との双方を含んでいる場合、貼りあわせの際に、カラーフィルタ層120と固体化液晶層130とを位置合わせする必要がない。
固体化液晶層130は、支持体110とカラーフィルタ層120との間に介在させてもよい。
図8は、一変形例にかかる位相差板を概略的に示す断面図である。この位相差板10は、固体化液晶層130が支持体110とカラーフィルタ層120との間に介在していること以外は、図1および図2を参照しながら説明した位相差板10と同様である。
この構造を採用した場合、例えば位相差板10を含んだ液晶表示装置において、固体化液晶層130は、カラーフィルタ層120から液晶層中への不純物の混入を抑制しない。しかしながら、この構造を採用した場合、カラーフィルタ層120が、固体化液晶層130を形成するための露光工程および熱処理工程に曝されることがない。それゆえ、この構造を採用した場合、図1および図2に示す構造を採用した場合と比較して、上記の露光工程における光や、現像工程および定着工程における熱に起因したカラーフィルタ層120の劣化は生じ難い。
また、この構造を採用した場合、支持体110上に固体化液晶層130を形成することができる。したがって、完全に平坦な平面とし難いカラーフィルタ層120上に固体化液晶層130を形成する場合と比較して、設計通りの性能を有する固体化液晶層130をより容易に得ることができる。
上述した位相差板10は、様々な用途に利用可能である。例えば、位相差板10は、液晶表示技術に代表される表示技術に利用可能である。
図9は、図1および図2に示す位相差板を用いて製造可能な液晶表示装置の一例を概略的に示す断面図である。
図9に示す液晶表示装置は、アクティブマトリクス駆動方式を採用した透過型液晶表示装置である。この液晶表示装置は、カラーフィルタ基板10’とアレイ基板20と液晶層30と一対の偏光板40と図示しないバックライトとを含んでいる。
カラーフィルタ基板10’は、上述した位相差板10と対向電極150と配向膜160とを含んでいる。
対向電極150は、固体化液晶層130上に形成されている。表示領域の全体にわたって広がった連続膜である。対向電極150は、例えば、上述した透明導電体からなる。
配向膜160は、対向電極150を被覆している。配向膜160は、配向膜は、例えば、対向電極150上にポリイミドなどの透明樹脂層を形成し、この透明樹脂層にラビングなどの配向処理を施すことにより得られる。この配向膜160は、光配向技術を利用して形成してもよい。
アレイ基板20は、配向膜160と向き合った基板210を含んでいる。基板210は、ガラス板または樹脂板などの光透過性基板である。
基板210の配向膜160との対向面上には、画素回路(図示せず)と走査線(図示せず)と信号線(図示せず)と画素電極250とが形成されている。画素回路は、各々が薄膜トランジスタなどのスイッチング素子を含んでおり、基板210上でマトリクス状に配列している。走査線は、画素回路の行に対応して配列している。各画素回路の動作は、走査線から供給される走査信号によって制御される。信号線は、画素回路の列に対応して配列している。各画素電極250は、画素回路を介して信号線に接続されている。各画素電極250は、着色層120a乃至120cの何れかと向き合っている。
画素電極250は、配向膜260で被覆されている。配向膜260は、配向膜は、例えば、画素電極250上にポリイミドなどの透明樹脂層を形成し、この透明樹脂層にラビングなどの配向処理を施すことにより得られる。この配向膜260は、光配向技術を利用して形成してもよい。
カラーフィルタ基板10’とアレイ基板20とは、枠形状の接着剤層(図示せず)を介して貼り合わされている。カラーフィルタ基板10’とアレイ基板20と接着剤層とは、中空構造を形成している。
液晶層30は、液晶化合物または液晶組成物からなる。この液晶化合物または液晶組成物は、流動性を有しており、カラーフィルタ基板10’とアレイ基板20と接着剤層とに囲まれた空間を満たしている。カラーフィルタ基板10’とアレイ基板20と接着剤層と液晶層30とは、液晶セルを形成している。本実施形態においては、液晶層30を構成する液晶は、初期状態には垂直配向をしている。「垂直配向」の「垂直」とは厳密な意味ではなく、「略垂直」も包含される。
偏光板40は、液晶セルの両主面に貼り付けられている。偏光板40は、例えば、それらの透過軸が直交するように配置する。
この液晶表示装置において、固体化液晶層130の領域130a乃至130cは、厚さがほぼ等しく、屈折率異方性が異なっている。したがって、130a乃至130cの屈折率異方性を最適化して、赤、緑および青の各々について、理想的な光学補償を達成することができる。
上述したとおり、位相差板10は、アクティブマトリクス駆動方式を採用した透過型液晶表示装置において利用可能である。この位相差板10は、他の表示装置で利用することも可能である。
例えば、位相差板10は、半透過型液晶表示装置または反射型液晶表示装置において利用してもよい。また、液晶表示装置には、パッシブマトリクス駆動方式などのアクティブマトリクス駆動方式以外の駆動方式を採用してもよい。あるいは、位相差板10は、有機エレクトロルミネッセンス表示装置などの液晶表示装置以外の表示装置において利用してもよい。
更なる利益および変形は、当業者には容易である。それゆえ、本発明は、そのより広い側面において、ここに記載された特定の記載や代表的な態様に限定されるべきではない。したがって、添付の請求の範囲およびその等価物によって規定される本発明の包括的概念の真意または範囲から逸脱しない範囲内で、様々な変形が可能である。
以下、シミュレーションによる光学計算結果の例を挙げて本発明の効果について記載するが、本発明の望ましい構成はこれらに限られるものではない。
計算にあたっては、次に挙げる条件を共通に設定した。
偏光板の透過率を下記表1にまとめる。
Figure 2011048192
偏光板の屈折率は波長によらず1.51、厚みは180μmとした。偏光板の分光透過率を、図10〜12に示す。図10、11、および12は、それぞれ単体、2枚の平行配置、2枚の垂直配置についての分光透過率である。
支持体として用いるガラス基板は、波長によらず屈折率を1.5、透過率を100%であると仮定した。厚みは0.7mmとした。
カラーフィルタの色特性を、下記表2および3にまとめる。また、カラーフィルタの分光透過率を図13〜15に示す。図13、14、および15は、それぞれ赤色着色層、緑色着色層、および青色着色層についての分光透過率である。屈折率はいずれも波長によらず1.7、厚みは2.0μmとした。
Figure 2011048192
Figure 2011048192
液晶層に用いる液晶の長軸方向および短軸方向の屈折率を、下記表4にまとめる。弾性定数を13.2pN(広がり)・6.5pN(ねじれ)・18.3pN(曲がり)、長軸方向の誘電率を3.1、短軸方向の誘電率を8.3と仮定した。プレチルト角は、極角を89°、方位角は45°・135°・225°・315°の4方向配向分割(マルチドメイン)駆動とした。また、液晶の屈折率波長分散を図16に示す。
Figure 2011048192
位相差層は、光重合性液晶が異方乱れコレステリック配向で固定化された状態を仮定した。用いる光重合性液晶の屈折率を、下記表5にまとめる。また、位相差層の屈折率波長分散を図17に示す。
Figure 2011048192
液晶表示装置の層構成は、視認側から偏光板/ガラス基板/カラーフィルタ層/位相差層/液晶層/ガラス基板/偏光板とし、液晶層の厚みは3.0μmとした。位相差層は、面内における遅相軸(nx)を90°とした。偏光板は視認側の吸収軸を0°とし、バックライト側の吸収軸を90°とした。
液晶層に印加する電圧が0Vのときを黒表示とし、5Vのときを白表示として、それぞれの極角45°および60°・方位角45°の分光透過率を求め、光源をC光源としてコントラストを算出した。なお、今回想定した液晶セルは上述の通り方位角は45°・135°・225°・315°の4方向配向分割(マルチドメイン)駆動であるため、方位角は45°・135°・225°・315°方向から見た光学特性は同一である。
上述した共通条件のもとで、次のようにシミュレーションを行なった。
(No.1)
位相差層の膜厚は、いずれの色に対応する領域についても2.80μmとした。基準波長における各領域の屈折率を、下記表6にまとめる。平均屈折率は、nx,ny,およびnzの平均であり、以下のシミュレーションにおいても同様である。コントラストの光学計算を行なったところ、極角45°で1090、極角60°で380であった。
Figure 2011048192
また、位相差層について、(nxy[f]/λd[f])および(nyz[f]/λd’[f])を求めた。
各定数の算出にあたっては、比較する2つの領域において波長が長い領域を第1の領域として、他方の領域を第2の領域とした。第1の領域のnx,ny,およびnzを、それぞれnx[f1],ny[f1]およびnz[f1]とし、第2の領域のnx,ny,およびnzを、それぞれnx[f2],ny[f2]およびnz[f2]とした。
下記式(4)および(5)から、(nxy[f]/λd[f])が得られ、下記式(6)および(7)から(nyz[f]/λd’[f])が得られる。No.2以降のシミュレーションにおいても、同様である。
xy[f]=(nx[f2]−ny[f2])/(nx[f1]−ny[f1]) (4)
λd[f]=(d[f1]×λ[f2])/(d[f2]×λ[f1]) (5)
yz[f]=(ny[f2]−nz[f2])/(ny[f1]−nz[f1]) (6)
λd’[f]=(d[f1]×λ[f1])/(d[f2]×λ[f2]) (7)
算出された(nxy[f]/λd[f])を下記表7に示し、(nyz[f]/λd’[f])を下記表8に示す。
Figure 2011048192
Figure 2011048192
また、極角を変化させたときの、方位角45°方向のコントラスト比の変化を図18および図19に示す。
(No.2)
位相差層の膜厚は、いずれの色に対応する領域についても2.80μmとした。基準波長における各領域の屈折率を、下記表9にまとめる。コントラストの光学計算を行なったところ、極角45°で990、極角60°で370であった。
Figure 2011048192
上述と同様の手法により、(nxy[f]/λd[f])および(nyz[f]/λd’[f])を求めた。その結果を、下記表10および11にまとめる。
Figure 2011048192
Figure 2011048192
また、極角を変化させたときの、方位角45°方向のコントラスト比の変化を図20および図21に示す。
(No.3)
位相差層の膜厚は、いずれの色に対応する領域についても2.80μmとした。基準波長における各領域の屈折率を、下記表12にまとめる。コントラストの光学計算を行なったところ、極角45°で990、極角60°で330であった。
Figure 2011048192
上述と同様の手法により、(nxy[f]/λd[f])および(nyz[f]/λd’[f])を求めた。その結果を、下記表13および14にまとめる。
Figure 2011048192
Figure 2011048192
また、極角を変化させたときの、方位角45°方向のコントラスト比の変化を図22および図23に示す。
(No.4)
位相差層の膜厚は、いずれの色に対応する領域についても2.80μmとした。基準波長における各領域の屈折率を、下記表15にまとめる。コントラストの光学計算を行なったところ、極角45°で990、極角60°で360であった。
Figure 2011048192
上述と同様の手法により、(nxy[f]/λd[f])および(nyz[f]/λd’[f])を求めた。その結果を、下記表16および17にまとめる。
Figure 2011048192
Figure 2011048192
また、極角を変化させたときの、方位角45°方向のコントラスト比の変化を図24および図25に示す。
(No,5)
位相差層の膜厚は、いずれの色に対応する領域についても2.80μmとした。基準波長における各領域の屈折率を、下記表18にまとめる。コントラストの光学計算を行なったところ、極角45°で1000、極角60°で380であった。
Figure 2011048192
上述と同様の手法により、(nxy[f]/λd[f])および(nyz[f]/λd’[f])を求めた。その結果を、下記表19および20にまとめる。
Figure 2011048192
Figure 2011048192
また、極角を変化させたときの、方位角45°方向のコントラスト比の変化を図26および図27に示す。
(No.6)
位相差層の膜厚は、いずれの色に対応する領域についても2.80μmとした。基準波長における各領域の屈折率を、下記表21にまとめる。領域によって基準波長における屈折率の値が異なるのは材料の波長分散の影響である。コントラストの光学計算を行なったところ、極角45°で660、極角60°で210であった。
Figure 2011048192
上述と同様の手法により、(nxy[f]/λd[f])および(nyz[f]/λd’[f])を求めた。その結果を、下記表22および23にまとめる。
Figure 2011048192
Figure 2011048192
また、極角を変化させたときの、方位角45°方向のコントラスト比の変化を図28および図29に示す。
(No.7)
位相差層について屈折率を面内で同一の特性としつつ、位相差((nx−ny)×dで得られる値)がNo.1と各領域とも同一となるように、膜厚を調整して光学計算を行なった。具体的には、膜厚を赤色領域で3.83μm、緑色領域で2.80μm、青色領域2.21μmとした。基準波長における各領域の屈折率を、下記表24にまとめる。コントラストの光学計算を行なったところ、極角45°で110、極角60°で30であった。
Figure 2011048192
上述と同様の手法により、(nxy[f]/λd[f])および(nyz[f]/λd’[f])を求めた。その結果を、下記表25および26にまとめる。
Figure 2011048192
Figure 2011048192
また、極角を変化させたときの、方位角45°方向のコントラスト比の変化を図30および図31に示す。
(No.8)
位相差層の膜厚は、いずれの色に対応する領域についても2.80μmとした。基準波長における各領域の屈折率を、下記表27にまとめる。コントラストの光学計算を行なったところ、極角45°で550、極角60°で210であった。
Figure 2011048192
上述と同様の手法により、(nxy[f]/λd[f])および(nyz[f]/λd’[f])を求めた。その結果を、下記表28および29にまとめる。
Figure 2011048192
Figure 2011048192
また、極角を変化させたときの、方位角45°方向のコントラスト比の変化を図32および図33に示す。
(シミュレーション結果)
位相差層における方位角45°のコントラストを、下記表30にまとめる。
Figure 2011048192
No.1においては、方位角45°・極角45°のコントラストは1090であり、方位角45°・極角60°のコントラストは380である。No.1〜8のなかで、最も優れた結果が得られている。No.1で得られたコントラストの90%程度が達成されれば、合格レベルとした。
No.1〜8の各位相差層について、nxy[f]/λd[f]の範囲を図34に示した。ここで示した範囲は、前述の表7,10,13,16,19,22、25,および28それぞれにおける、赤色領域・緑色領域・青色領域と比較した最小値と最大値とである。
また、No.1〜8の各位相差層について、nyz[f]/λd’[f]の範囲を図35に示した。ここで示した範囲は、前述の表8,11,14,17、20,23,26,および29それぞれにおける、赤色領域・緑色領域・青色領域と比較したnyz[f]/λd’[f]の最小値と最大値との間である。
前記表30に示されるようにNo.1〜5においては、方位角45°・極角45°のコントラストは、概ね1000前後であり、方位角45°・極角60°のコントラストはいずれも330以上である。
No.1〜5の位相差層は、いずれも次の条件を満たしていることが、図34および図35からわかる。具体的には、nxy[f]/λd[f]が0.60以上1.15以下であって、しかも、nyz[f]/λd’[f]が0.85以上1.15以下である。
図34および図35に示されるように、No.6〜8では、この2つの条件を備えていない。その結果、方位角45°・極角45°のコントラストは最大でも660であり、方位角45°・極角60°のコントラストは最大でも210であることが、表30の結果から明らかである。
10…位相差板; 110…支持体; 120…カラーフィルタ層
120a,120b,120c,120d,120e,120f…着色層
130…固体化液晶層; 130a,130b,130c…領域; MS…メソゲン
130a’,130b’,130c’,130d’,130e’,130f’…領域
130’…液晶材料層; L1…光; L2…光; 10’…カラーフィルタ基板
20…アレイ基板; 30…液晶層; 40…偏向板; 150…対向基板
160…配向膜; 210…基板。

Claims (24)

  1. 2色以上の多数の画素によってドットマトリクス表示を行なうカラー表示装置に用いる位相差板であって、
    支持体と、同一材料よりなる連続膜として前記支持体上に形成された固体化液晶層とを具備し、
    前記固体化液晶層は、第1および第2の画素にそれぞれ対応した第1および第2の領域を含む2以上の領域を有し、
    前記2以上の領域は、それぞれ屈折率異方性を有し、当該2以上の領域における屈折率、膜厚および対応する色の基準波長は以下の関係を満たすことを特徴とする位相差板。
    x>ny>nz (1)
    0.60≦nxy[f]/λd[f]≦1.15 (2)
    0.85≦nyz[f]/λd’[f]≦1.15 (3)
    xy[f]=(nx[f2]−ny[f2])/(nx[f1]−ny[f1]) (4)
    λd[f]=(d[f1]×λ[f2])/(d[f2]×λ[f1]) (5)
    yz[f]=(ny[f2]−nz[f2])/(ny[f1]−nz[f1]) (6)
    λd’[f]=(d[f1]×λ[f1])/(d[f2]×λ[f2]) (7)
    (d[f1]およびd[f2]は、それぞれ固体化液晶層の第1の領域および第2の領域の膜厚、
    λ[f1]およびλ[f2]は、それぞれ第1の画素および第2の画素で表示される色の基準波長であって、λ[f1]>λ[f2]を満たし、
    xは固体化液晶層の面内における遅相軸方向の屈折率、
    yは固体化液晶層の面内であってnx方向と直交する方向の屈折率、
    zは固体化液晶層の法線方向の屈折率であり、
    x[f1]、ny[f1]およびnz[f1]は、それぞれ第1の領域の波長λ[f1]におけるnx、nyおよびnz
    x[f2]、ny[f2]およびnz[f2]は、それぞれ第2の領域の波長λ[f12におけるnx、nyおよびnzである。)
  2. 前記固体化液晶層における前記領域の数は、3以上であることを特徴とする請求項1に記載の位相差板。
  3. 前記固体化液晶層の厚さは均一であることを特徴とする請求項1または2に記載の位相差板。
  4. 支持体と、同一材料よりなる連続膜として前記支持体上に形成された固体化液晶層と、2色以上の着色層を有するカラーフィルタ層とを具備し、
    前記固体化液晶層は、第1および第2の着色層にそれぞれ対応した第1および第2の領域を含み、
    前記2以上の領域は、それぞれ屈折率異方性を有し、当該2以上の領域における屈折率、膜厚および対応する色の基準波長は以下の関係を満たすことを特徴とする位相差板。
    x>ny>nz (1)
    0.60≦nxy[f]/λd[f]≦1.15 (2)
    0.85≦nyz[f]/λd’[f]≦1.15 (3)
    xy[f]=(nx[f2]−ny[f2])/(nx[f1]−ny[f1]) (4)
    λd[f]=(d[f1]×λ[f2])/(d[f2]×λ[f1]) (5)
    yz[f]=(ny[f2]−nz[f2])/(ny[f1]−nz[f1]) (6)
    λd’[f]=(d[f1]×λ[f1])/(d[f2]×λ[f2]) (7)
    (d[f1]およびd[f2]は、それぞれ固体化液晶層の第1の領域および第2の領域の膜厚、
    λ[f1]およびλ[f2]は、それぞれ第1の着色層および第2の着色層の色の基準波長であって、λ[f1]>λ[f2]を満たし、
    xは固体化液晶層の面内における遅相軸方向の屈折率、
    yは固体化液晶層の面内であってnx方向と直交する方向の屈折率、
    zは固体化液晶層の法線方向の屈折率であり、
    x[f1]、ny[f1]およびnz[f1]は、それぞれ第1の領域の波長λ[f1]におけるnx、nyおよびnz
    x[f2]、ny[f2]およびnz[f2]は、それぞれ第2の領域の波長λ[f2]におけるnx、nyおよびnzである。)
  5. 前記カラーフィルタ層の前記着色層の数は3以上であり、前記固体化液晶層における前記領域の数は3以上であることを特徴とする請求項4に記載の位相差板。
  6. 前記固体化液晶層の厚さは均一であることを特徴とする請求項4または5に記載の位相差板。
  7. 前記固体化液晶層はサーモトロピック液晶化合物または組成物を、異方乱れコレステリック配向の状態で重合および/または架橋させてなることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の位相差板。
  8. 前記領域のうち少なくとも1つの領域は、面内のうち最も屈折率が高くなる軸の方向が他の領域と異なることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の位相差板。
  9. 請求項1乃至8のいずれかに記載の位相差板、
    前記位相差板に離間対向して配置された対向基板、
    前記位相差板と対向基板とに挟持され、初期状態において垂直配向の液晶を含む液晶層、および
    前記位相差板および対向基板の外側に配置された一対の偏光板
    を具備することを特徴とする液晶表示装置。
  10. 請求項1乃至8のいずれかに記載の位相差板の製造方法であって、
    支持体上に固体化液晶層を形成することを含み、前記固体化液晶層の形成は、
    前記支持体上に、光重合性または光架橋性のサーモトロピック液晶化合物とキラル剤とを含み、前記サーモトロピック液晶化合物のメソゲンがコレステリック配向構造を形成している液晶材料層を形成する成膜工程と、
    前記液晶材料層の少なくとも2つの領域に対し、異なる条件で偏光照射および非偏向並行光照射を行なって、サーモトロピック液晶化合物の少なくとも一部を、異なる割合ならびに異なる異方性の程度で重合または架橋させて重合または架橋生成物を生じさせる露光工程と、
    その後、前記液晶材料層を前記サーモトロピック液晶化合物が液晶相から等方相へと変化する相転移温度と等しい温度以上に加熱して、前記少なくとも2つの領域における未反応の前記サーモトロピック液晶化合物のメソゲンの配向の状態を変化させる現像工程と、
    前記メソゲンの配向の状態を変化させたまま前記未反応化合物を重合および/または架橋させる定着工程とを具備することを特徴とする位相差板の製造方法。
  11. 前記露光工程において、前記非偏向並行光照射を行なうことは、前記偏光照射を行なう前に行なわれることを特徴とする請求項10に記載の製造方法。
  12. 前記露光工程において、前記非偏向並行光照射を行なうことは、前記偏光照射を行なった後に行なわれることを特徴とする請求項10に記載の製造方法。
  13. 前記露光工程において、前記偏光照射は、直線偏光を照射することにより行なわれることを特徴とする請求項10乃至12のいずれか1項に記載の製造方法。
  14. 前記露光工程において、前記偏光照射は、楕円偏光を照射することにより行なわれることを特徴とする請求項10乃至12のいずれか1項に記載の製造方法。
  15. 前記露光工程において、前記領域のうち1つに対して、非偏向並行光照射を行なわないことを特徴とする請求項10乃至14のいずれか1項に記載の製造方法。
  16. 請求項1乃至8のいずれかに記載の位相差板の製造方法であって、
    支持体上に固体化液晶層を形成することを含み、前記固体化液晶層の形成は、
    前記支持体上に、光重合性または光架橋性のサーモトロピック液晶化合物とキラル剤とを含み、前記サーモトロピック液晶化合物のメソゲンがコレステリック配向構造を形成している液晶材料層を形成する成膜工程と、
    前記液晶材料層の少なくとも2つの領域に対し、少なくとも消光比を異ならせて直線偏光を照射して、サーモトロピック液晶化合物の少なくとも一部を、異なる割合ならびに異なる異方性の程度で重合または架橋させて重合または架橋生成物を生じさせる露光工程と、
    その後、前記液晶材料層を前記サーモトロピック液晶化合物が液晶相から等方相へと変化する相転移温度と等しい温度以上に加熱して、前記少なくとも2つの領域における未反応の前記サーモトロピック液晶化合物のメソゲンの配向の状態を変化させる現像工程と、
    前記メソゲンの配向の状態を変化させたまま前記未反応化合物を重合および/または架橋させる定着工程とを具備することを特徴とする位相差板の製造方法。
  17. 請求項1乃至8のいずれかに記載の位相差板の製造方法であって、
    支持体上に固体化液晶層を形成することを含み、前記固体化液晶層の形成は、
    前記支持体上に、光重合性または光架橋性のサーモトロピック液晶化合物とキラル剤とを含み、前記サーモトロピック液晶化合物のメソゲンがコレステリック配向構造を形成している液晶材料層を形成する成膜工程と、
    前記液晶材料層の少なくとも2つの領域に対し、少なくとも楕円率を異ならせて楕円偏光を照射して、サーモトロピック液晶化合物の少なくとも一部を、異なる割合ならびに異なる異方性の程度で重合または架橋させて重合または架橋生成物を生じさせる露光工程と、
    その後、前記液晶材料層を前記サーモトロピック液晶化合物が液晶相から等方相へと変化する相転移温度と等しい温度以上に加熱して、前記少なくとも2つの領域における未反応の前記サーモトロピック液晶化合物のメソゲンの配向の状態を変化させる現像工程と、
    前記メソゲンの配向の状態を変化させたまま前記未反応化合物を重合および/または架橋させる定着工程とを具備することを特徴とする位相差板の製造方法。
  18. 前記露光工程において、前記直線偏光あるいは楕円偏光の照射は、前記領域のうち少なくとも1つに対して、偏光の軸の方位角を他の領域と異なるように照射することを特徴とする請求項16または17に記載の製造方法。
  19. 前記成膜工程において、前記液晶材料層を均一な厚さの連続膜として形成することを特徴とする請求項10乃至18のいずれか1項に記載の製造方法。
  20. 前記定着工程において、前記未反応化合物の重合および/または架橋は、その反応を光照射によって誘起することを特徴とする請求項10乃至19のいずれか1項に記載の製造方法。
  21. 前記サーモトロピック液晶化合物は、前記相転移温度よりも高い重合および/または架橋温度に加熱することによって重合および/または架橋する材料であり、
    前記現像工程において、前記メソゲン基の配向の状態は前記液晶材料層を前記重合および/または架橋温度未満の温度に加熱することにより変化させ、
    前記定着工程において、前記未重合および未架橋のサーモトロピック液晶化合物は前記液晶材料層を前記重合および/または架橋温度以上の温度に加熱することによって重合および/または架橋させることを特徴とする請求項10乃至20のいずれか1項に記載の製造方法。
  22. 前記現像工程における前記加熱は、前記支持体の温度を、前記露光工程における温度から前記定着工程における温度まで連続的に上昇させることによって行なう請求項23に記載の製造方法。
  23. 前記固体化液晶層を形成する前に前記支持体上にカラーフィルタ層を形成する工程をさらに含み、前記固体化液晶層は前記カラーフィルタ層上に、直接あるいは他の層を隔てて形成することを特徴とする請求項10乃至22のいずれか1項に記載の製造方法。
  24. 前記固体化液晶層を形成した後に前記固体化液晶層上にカラーフィルタ層を形成する工程をさらに含み、前記カラーフィルタ層は前記固体化液晶層上に、直接あるいは他の層を隔てて形成することを特徴とする請求項10乃至22のいずれか1項に記載の製造方法。
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