以下、本発明の態様について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、同様または類似した機能を発揮する構成要素には全ての図面を通じて同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
図1は、本発明の一実施形態にかかる位相差基板を概略的に示す斜視図である。
図1に示す位相差基板10は、基板110とカラーフィルタ層120と固体化液晶層130とを含んでいる。
基板110は、光透過性を有している。基板110は、例えば透明基板である。
カラーフィルタ層120は、基板110上に形成されている。カラーフィルタ層120は、吸収スペクトルが互いに異なり、基板110上で隣り合った複数の着色層を含んでいる。具体的には、カラーフィルタ層120は着色層120a乃至120cを含んでおり、着色層120aが透過させる光は着色層120bが透過させる光と比較して中心波長がより長く、着色層120bが透過させる光は着色層120cが透過させる光と比較して中心波長がより長い。なお、ある光の「中心波長」とは、その光のスペクトルが最大強度を示す波長である。
カラーフィルタ層120は、着色層120a乃至120cとは吸収スペクトルが異なる1つ以上の着色層をさらに含んでいてもよい。ここでは、一例として、着色層120aは赤色着色層であり、第2着色層120bは緑色着色層であり、第3着色層120cは青色着色層であるとする。
着色層120a乃至120cの各々は、Y方向に延びた帯形状を有している。着色層120a乃至120cは、Y方向と交差するX方向に繰り返し並んでおり、ストライプ配列を形成している。なお、X方向およびY方向は、基板110のカラーフィルタ層120と向き合った面に平行な方向である。また、後述するZ方向は、X方向およびY方向に対して垂直な方向である。図面には示されていないが、隣り合った着色層の間には、ブラックマトリックスが設けられてもよい。
着色層120a乃至120cの各々は、他の形状を有していてもよい。例えば、着色層120a乃至120cの各々は矩形状であってもよい。この場合、着色層120a乃至120cは、正方配列またはデルタ配列を形成していてもよい。
着色層120a乃至120cの各々は、例えば、透明樹脂とその中に分散させた顔料とを含んだ混合物からなる。着色層120a乃至120cの各々は、顔料と顔料担体とを含んだ着色組成物のパターン層を形成し、このパターン層を硬化させることにより得られる。用いられる着色組成物については後述する。
固体化液晶層130は位相差層であり、カラーフィルタ層120上に形成されている。固体化液晶層130は、典型的には連続膜であり、カラーフィルタ層120の一主面の全体を被覆している。
固体化液晶層130とカラーフィルタ層120とは、互いに接触していてもよく、互いに接触していなくてもよい。後者の場合、固体化液晶層130とカラーフィルタ層120との間には、配向膜が介在していてもよい。
固体化液晶層130は、その主面に平行な方向に並んだ複数の領域を含んでいる。それら複数の領域は複屈折異方性を有しており、複屈折率がそれぞれ異なる。
例えば、固体化液晶層130は、領域130a乃至130cを含んでいる。領域130a乃至130cは、Z方向に垂直な方向に隣り合っている。
具体的には、領域130a乃至130cは、それぞれ、着色層120a乃至120cと向き合っている。領域130a乃至130cは、それぞれ、着色層120a乃至120cとほぼ等しい形状を有している。
領域130a乃至130cは、サーモトロピック液晶化合物または組成物を重合および/または架橋させてなる。領域130a乃至130cは、互いに組成が等しい材料を用いて形成されている。
上述したように領域130a、領域130bおよび130cは、複屈折率が互いに異なっている。これは、領域130a、領域130bおよび130cが、それぞれサーモトロピック液晶化合物のメソゲンの配向の程度が異なる状態で、重合および/または架橋され固定されていることに起因する。例えば、領域130aは、メソゲンMSがほぼ完全に配向した状態であり複屈折性が最も強く発現されており、領域130bは、領域130aより配向の程度が低い状態であり、複屈折率は比較的弱い。さらに領域130cは、領域130bより配向の程度がさらに低い状態であり、複屈折率が最も小さい。あるいは、領域130cは光学的に等方性であってもよい。
こうした領域130a乃至130cにおけるサーモトロピック液晶化合物の配向の状態の例を、図2乃至5に示す。いずれにおいても、領域130aは複屈折率が最も強く、領域130cは複屈折率が最も小さく、領域130bの複屈折率はその中間である。固体化液晶層の各領域においては、サーモトロピック液晶化合物の配向の程度が各々異なり、領域130a乃至130cの複屈折率も各々異なる。領域130a乃至130cは、厚さがほぼ等しい。したがって、領域130a乃至130cは、位相差の量もそれぞれ別個の値となる。
メソゲンが棒状である場合、領域130a乃至130cの各々で生じる屈折率楕円体は、例えば、メソゲンの長さ方向がZ方向に対してほぼ垂直な一方向に揃ったホモジニアス配向に対応した正のAプレート、メソゲンの長さ方向がZ方向にほぼ平行な方向に揃ったホメオトロピック配向に対応した正のCプレート、または、Z方向にほぼ平行な方向を螺旋軸とする螺旋構造を形成し且つ螺旋軸に垂直な各面内でメソゲンの長さ方向がZ方向に対してほぼ垂直な一方向に揃ったコレステリック配向に対応した負のCプレートであってもよい。メソゲンが棒状である場合、領域130a乃至130cの各々で生じる屈折率楕円体は、メソゲンの長さ方向がZ方向に垂直な一方向に偏るように変形したコレステリック配向に対応した正のAプレートと負のCプレートとの複合体であってもよい。
メソゲンが円盤状である場合、領域130a乃至130cの各々で生じる屈折率楕円体は、例えば、メソゲンの厚さ方向がZ方向にほぼ平行な方向に揃ったホメオトロピック配向に対応した負のAプレート、または、メソゲンの厚さ方向がZ方向にほぼ垂直な一方向に揃ったホモジニアス配向に対応した正のCプレートである。このように、領域130a乃至130cには、あらゆる配向構造を採用することができる。
例えば固体化液晶層内で生じる屈折率楕円体が正のAプレートの場合、領域130a乃至130cでは、xy平面において複屈折性を有する。面内で最大となる屈折率nxは、面内で最小となる屈折率ny、および法線方向の屈折率nzより大きく、nx>ny=nzの関係にある。さらに、下記式で表わされる面内位相差Re(nm)が互いに異なっている。ここで、dは固体化液晶層130の厚み(μm)である。
Re=(nx−ny)×d×1000
固体化液晶固層内で生じる屈折率楕円体が負のCプレートの場合、領域130a乃至130cは、複屈折性を有し、nx=ny>nzの関係にある(nx、nyおよびnzは、上述したとおりである。)。このとき、面内位相差Re(nm)、厚み方向位相差Rth(nm)、あるいはNz係数が互いに異なっている。厚み方向位相差RthおよびNz係数は、それぞれ以下で表わされる。
Rth=[(nx+ny)/2−nz]×d×1000
Nz=(nx−nz)/(nx−ny)=Rth/Re+1/2
固体化液晶層の各領域における面内位相差および厚み方向位相差の相違は、メソゲンの配向の程度が領域毎に異なって、サーモトロピック液晶化合物が重合および/または架橋されていることに起因して生じる。例えば、メソゲンの配向の程度が高い領域では、面内位相差ならびに厚み方向位相差が大きくなる。一方、メソゲンの配向の程度の低い領域では、面内位相差ならびに厚み方向位相差が小さくなる。
さらに、固体化液晶層の各領域における面内位相差および厚み方向の位相差の相違は、メソゲンの配向の程度が面内の方位により異なって、すなわち配向の程度が異方性を有した状態で、サーモトロピック液晶化合物が重合および/または架橋されていることにも起因する。この場合、ある領域はNz係数が他の領域と異なることになる。
ここで、「配向の程度」とは、面内方向に隣り合った領域それぞれにおけるメソゲンMSの配向の状態を意味する。メソゲンMSの配向の状態は、その領域の全体にわたって一定であってもよく、z方向に沿って変化していてもよい。例えば、ある領域においては、上面付近はより配向のそろった状態であり、下面付近はより配向が乱された状態であってもよい。この場合、「配向の程度」とは、厚み方向の平均を示す。
具体的には、領域130cでは、メソゲンMSの配向の程度が低く、厚み方向位相差Rthが小さくなる。一方、領域130aではメソゲンMSの配向の程度が高く、厚み方向位相差Rthが大きくなる。
上述したとおり、領域130cは光学的に略等方とすることができる。すなわち、領域130cにおいて、メソゲンは配向構造を形成していなくてもよい。この場合、領域130cは実質的に位相差がなくなるため、単なる透明薄膜として作用する。
このように、領域130a乃至130cは、配向の程度が互いに異なっている。つまり、この位相差基板10における領域毎の位相差の差異は、主として複屈折率の差異により生じているので、領域130a乃至130cの位相差を互いに異ならしめるために、各領域の厚さを変える必要がない。場合によっては、領域130a乃至130cの厚さを互いに異ならしめてもよいが、領域130a乃至130cの厚さを互いに等しくすることによって、固体化液晶層130を容易に形成することができる。
上述したように領域130a乃至130cの厚さを互いに等しくしてもよいので、この固体化液晶層130を連続膜として形成することが容易にできる。これによって、より簡便な工程で固体化液晶層130を形成することが可能となる。
さらに、連続膜としての固体化液晶層130は、離間して形成された固体化液晶層130と比較して、カラーフィルタ層120から位相差基板10の外部への物質移動を生じ難くする。したがって、連続膜としての固体化液晶層130を含んだ位相差基板10を例えば液晶表示装置において使用した場合、カラーフィルタ層120から液晶層中への不純物の混入を抑制することができる。
上述したように、メソゲンMSの配向の程度を変化させて、固体化液晶層130の複屈折率を領域によって異ならせるには、次のような手法を採用することができる。一例としては、棒状のメソゲンを有する液晶化合物を用い、メソゲンの長さ方向がZ方向に垂直な一方向の配向がより乱されたコレステリック配向(異方乱れコレステリック配向)とする方法が挙げられる。この場合、領域130a乃至130cの各々で生じる屈折率楕円体は、メソゲンの配向の程度およびその異方性に対応して、面内位相差および厚み方向位相差が発現する、正のAプレートと負のCプレートとの複合体となる。
次に、この位相差基板10の材料および製造方法の一例を説明する。
まず、光透過性の基板110を準備する。基板110は、典型的には、ガラス板または樹脂板などの光透過性基板である。ガラス板の材料としては、例えば、ソーダ石灰ガラス、低アルカリ硼珪酸ガラスまたは無アルカリアルミノ硼珪酸ガラスを使用することができる。樹脂板の材料としては、例えば、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、環状ポリオレフィン、セルロースエステル、およびポリエチレンテレフタラート等を使用することができる。また基板110は、必ずしも硬質である必要はなく、例えば、光透過性のフィルムまたはシート等であってもよい。
基板110は、単層構造を有していてもよく、多層構造を有していてもよい。例えば、位相差基板10が液晶表示装置の一部品である場合、基板110として、インジウム錫酸化物および錫酸化物などの透明導電体からなる透明電極が形成された光透過性基板を使用してもよい。あるいは、基板110として、画素回路などの回路が形成された光透過性基板を使用してもよい。
光透過性の基板110上には、以下に示す方法等によりカラーフィルタ層120を形成する。
カラーフィルタ層120は、例えば、顔料担体とこれに分散させた顔料とを含んだ着色組成物を塗布して所定パターンとし、これを硬化させることを繰り返して着色層120a乃至120cの各々を形成することによって得られる。
着色組成物の顔料としては、有機顔料および/または無機顔料を使用することができる。着色組成物は、1種の有機または無機顔料を含んでいてもよく、複数種の有機顔料および/または無機顔料を含んでいてもよい。
顔料は、発色性が高くかつ耐熱性、特には耐熱分解性が高いことが好ましく、通常は、有機顔料が用いられる。以下に、着色組成物に使用可能な有機顔料の具体例をカラーインデックス番号で示す。
赤色着色組成物の有機顔料としては、例えば、C.I.Pigment Red 7、14、41、48:2、48:3、48:4、81:1、81:2、81:3、81:4、146、168、177、178、179、184、185、187、200、202、208、210、246、254、255、264、270、272および279などの赤色顔料を用いることができる。赤色着色組成物の有機顔料として、赤色顔料と黄色顔料との混合物を使用してもよい。この黄色顔料としては、例えば、C.I. Pigment Yellow1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、126、127、128、129、138、147、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、199、198、213または214を使用することができる。
緑色着色組成物の有機顔料としては、例えば、C.I.Pigment Green 7、10、36および37などの緑色顔料を用いることができる。緑色着色組成物の有機顔料として、緑色顔料と黄色顔料との混合物を使用してもよい。この黄色顔料としては、例えば、赤色着色組成物について例示したのと同様のものを使用することができる。
青色着色組成物の有機顔料としては、例えば、C.I.Pigment Blue 15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60および64などの青色顔料を用いることができる。青色着色組成物の有機顔料として、青色顔料と紫色顔料との混合物を使用してもよい。この紫色顔料としては、例えば、C.I.Pigment Violet 1、19、23、27、29、30、32、37、40、42または50を使用することができる。
無機顔料としては、例えば、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑およびコバルト緑などの金属酸化物粉、金属硫化物粉、または金属粉を使用することができる。無機顔料は、例えば、彩度と明度とをバランスさせつつ、良好な塗布性、感度および現像性などを達成するために、有機顔料と組み合わせて用いられ得る。
着色組成物は、顔料以外の着色成分をさらに含んでいてもよい。例えば、着色組成物は、十分な耐熱性を達成できるのであれば、染料を含有していてもよい。この場合、染料を用いた調色が可能である。
また、着色組成物に含まれる顔料担体は、透明樹脂、その前駆体またはそれらの混合物により構成される。透明樹脂には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、および感光性樹脂が含まれ、その前駆体には、放射線照射により硬化して樹脂を生成する多官能モノマーもしくはオリゴマーが含まれ、これらを単独でまたは2種以上混合して用いることができる。なお、透明樹脂は、可視光領域である400乃至700nmの全波長領域にわたって好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上の透過率を有している樹脂である。
着色組成物において、透明樹脂は、顔料100質量部に対して、例えば30乃至700質量部、好ましくは60乃至450質量部の量で用いる。透明樹脂とその前駆体との混合物を顔料担体として用いる場合には、着色組成物において、透明樹脂は、顔料100質量部に対して、例えば20乃至400質量部、好ましくは50乃至250質量部の量で用いる。この場合、透明樹脂の前駆体は、着色組成物において、顔料100質量部に対して、例えば10乃至300質量部、好ましくは10乃至200質量部の量で用いる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ブチラール樹脂、スチレン−マレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリブタジエン、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリイミド樹脂を使用することができる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂またはフェノール樹脂を使用することができる。
感光性樹脂としては、例えば、水酸基、カルボキシル基およびアミノ基などの反応性の置換基を有する線状高分子に、イソシアネート基、アルデヒド基およびエポキシ基などの反応性置換基を有するアクリル化合物、メタクリル化合物または桂皮酸を反応させて、アクリロイル基、メタクリロイル基およびスチリル基など光架橋性基を線状高分子に導入した樹脂を使用することができる。また、スチレン−無水マレイン酸共重合物およびα−オレフィン−無水マレイン酸共重合物などの酸無水物を含む線状高分子を、ヒドロキシアルキルアクリレートおよびヒドロキシアルキルメタクリレートなどの水酸基を有するアクリル化合物またはメタクリル化合物によりハーフエステル化した樹脂も使用することができる。
透明樹脂の前駆体であるモノマーおよび/またはオリゴマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、トリシクロデカニルアクリレート、トリシクロデカニルメタクリレート、メラミンアクリレート、メラミンメタクリレート、エポキシアクリレートおよびエポキシメタクリレートなどのアクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド、N−ヒドロキシメチルメタクリルアミド、アクリロニトリル、またはそれらの2種以上を含んだ混合物を使用することができる。
着色組成物を紫外線などの光を照射することによって硬化する場合、着色組成物には例えば光重合開始剤を添加する。
光重合開始剤としては、例えば、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、および2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オンなどのアセトフェノン系光重合開始剤;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルおよびベンジルジメチルケタールなどのベンゾイン系光重合開始剤;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、および4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイドなどのベンゾフェノン系光重合開始剤;チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、および2,4−ジイソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン系光重合開始剤;2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、および2,4−トリクロロメチル(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジンなどのトリアジン系光重合開始剤;ボレート系光重合開始剤;カルバゾール系光重合開始剤;イミダゾール系光重合開始剤、またはそれらの2種以上を含んだ混合物を使用することができる。
光重合開始剤は、着色組成物において、顔料100質量部に対して、例えば5乃至200質量部、好ましくは10乃至150質量部の量で使用する。
光重合開始剤とともに増感剤を使用してもよい。
増感剤としては、α−アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’−ジエチルイソフタロフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンおよび4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノンなどの化合物を使用することができる。
増感剤は、光重合開始剤100質量部に対して、例えば0.1乃至60質量部の量で使用することができる。
着色組成物は、多官能チオールなどの連鎖移動剤をさらに含有していてもよい。
多官能チオールは、チオール基を2個以上有する化合物である。多官能チオールとしては、例えば、ヘキサンジチオール 、デカンジチオール 、1,4−ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4−ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4−ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6−トリメルカプト−s−トリアジン、2−(N,N−ジブチルアミノ)−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン、またはそれらの2種以上を含んだ混合物を使用することができる。
多官能チオールは、着色組成物において、顔料100質量部に対して、例えば0.2乃至150質量部、好ましくは0.2乃至100質量部の量で使用する。
着色組成物は、溶剤をさらに含有していてもよい。溶剤を使用すると、顔料の分散性を向上させることができ、それゆえ、基板110上に着色組成物を乾燥膜厚が例えば0.2乃至5μmとなるように塗布することが容易になる。
溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、ジエチルケトン、アセトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、およびシクロヘキサノンなどのケトン類;エチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、およびジプロピレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、および酢酸n−ブチルなどのエステル系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのセルソルブ系溶剤;メタノール、エタノール、イソ−プロパノール、n−プロパノール、イソ−ブタノール、n−ブタノール、およびアミルアルコールなどのアルコール系溶剤;ベンゼン、トルエン、およびキシレンなどのBTX系溶剤;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、およびシクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素系溶剤などが挙げられる。
さらに、テレピン油、D−リモネン、およびピネンなどのテルペン系炭化水素油;ミネラルスピリット、スワゾール#310(コスモ松山石油(株))、およびソルベッソ#100(エクソン化学(株))などのパラフィン系溶剤;四塩化炭素、クロロホルム、トリクロロエチレン、およびジクロロメタンなどのハロゲン化脂肪族炭化水素系溶剤;クロロベンゼンなどのハロゲン化芳香族炭化水素系溶剤;およびカルビトール系溶剤等が挙げられる。
また、アニリン、トリエチルアミン、ピリジン、酢酸、アセトニトリル、二硫化炭素、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、およびN−メチルピロリドンなどの溶剤を用いることもできる。なかでも、ケトン類あるいはセロソルブ系溶剤が好ましい。これらの溶剤は、1種でまたは2種以上の混合溶剤として使用することができる。
溶剤は、着色組成物において、顔料100質量部に対して、例えば800乃至4000質量部、好ましくは1000乃至2500質量部の量で使用する。
着色組成物は、例えば、1種以上の顔料を、必要に応じて上記光重合開始剤とともに、顔料担体および有機溶剤中に、三本ロールミル、二本ロールミル、サンドミル、ニーダおよびアトライタなどの分散装置を用いて微細に分散させることにより製造することができる。2種以上の顔料を含む着色組成物は、異なる顔料を含んだ分散体を調製し、それら分散体を混合することにより製造してもよい。
顔料を顔料担体および有機溶剤中に分散させる際には、樹脂型顔料分散剤、界面活性剤および色素誘導体などの分散助剤を使用することができる。分散助剤は、顔料の分散性を向上させ、分散後の顔料の再凝集を抑制する。したがって、分散助剤を用いて顔料を顔料担体および有機溶剤中に分散させてなる着色組成物を用いた場合には、透明性に優れたカラーフィルタが得られる。
分散助剤は、着色組成物において、顔料100質量部に対して、例えば0.1乃至40質量部、好ましくは0.1乃至30質量部の量で使用する。
樹脂型顔料分散剤は、顔料に吸着する性質を有する顔料親和性部位と、顔料担体と相溶性のある部位とを含んでいる。樹脂型顔料分散剤は、顔料に吸着して顔料の顔料担体への分散性を安定化する。
樹脂型顔料分散剤としては、例えば、ポリウレタン、ポリアクリレートなどのポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸アミン塩、ポリカルボン酸部分アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩および水酸基含有ポリカルボン酸エステル、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離カルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドおよびその塩などの油性分散剤、アクリル酸−スチレン共重合体、メタクリル酸−スチレン共重合体、アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−メタクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコールおよびポリビニルピロリドンなどの水溶性樹脂もしくは水溶性高分子化合物、ポリエステル類、変性ポリアクリレート類、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、燐酸エステル類、またはそれらの2種以上を含んだ混合物を使用することができる。
界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミンおよびポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートおよびポリエチレングリコールモノラウレートなどのノニオン性界面活性剤、アルキル4級アンモニウム塩およびそれらのエチレンオキサイド付加物などのカオチン性界面活性剤、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタインおよびアルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤、またはそれらの2種以上を含んだ混合物を使用することができる。
色素誘導体は、有機色素に置換基を導入した化合物である。色素誘導体は、使用する顔料と色相が近いことが好ましいが、添加量が少なければ色相が異なっていてもよい。用語「有機色素」は、一般に色素とは呼ばれている化合物に加え、一般に色素とは呼ばれていないナフタレン系およびアントラキノン系化合物などの淡黄色の芳香族多環化合物を包含している。色素誘導体としては、例えば、特開昭63−305173号公報、特公昭57−15620号公報、特公昭59−40172号公報、特公昭63−17102号公報、または特公平5−9469号公報に記載されているものを使用できる。特に、塩基性基を有する色素誘導体は、顔料の分散性を高める効果が大きい。着色組成物は、1種の色素誘導体を含んでいてもよく、複数の色素誘導体を含んでいてもよい。
着色組成物には、その粘度の経時的安定性を高めるために貯蔵安定剤を添加してもよい。貯蔵安定剤としては、例えば、ベンジルトリメチルクロライド;ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド;乳酸およびシュウ酸などの有機酸;その有機酸のメチルエーテル;t−ブチルピロカテコール;テトラエチルホスフィンおよびテトラフェニルフォスフィンなどの有機ホスフィン;亜リン酸塩;またはそれらの2種以上を含んだ混合物を使用することができる。
貯蔵安定剤は、着色組成物において、顔料100質量部に対して、例えば0.1乃至10質量部の量で含有させる。
着色組成物には、基板との密着性を高めるために、シランカップリング剤などの密着向上剤を添加してもよい。
シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルエトキシシラン、およびビニルトリメトキシシランなどのビニルシラン類;γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどのアクリルシラン類およびメタクリルシラン類;β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、およびγ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどのエポキシシラン類;N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、およびN−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノシラン類;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、およびγ−メルカプトプロピルトリエトキシシランなどのチオシラン類;またはそれらの2種以上を含んだ混合物を使用することができる。
シランカップリング剤は、着色組成物において、顔料100質量部に対して、例えば0.01乃至100質量部の量で含有させる。
着色組成物は、例えば、グラビアオフセット用印刷インキ、水無しオフセット印刷インキ、シルクスクリーン印刷用インキ、インキジェット印刷用インキ、または溶剤現像型もしくはアルカリ現像型着色レジストの形態で調製することができる。着色レジストは、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂または感光性樹脂と、モノマーと、光重合開始剤と、有機溶剤とを含有する組成物中に色素を分散させたものである。
顔料は、着色組成物の全固形分100質量部に対して、例えば5乃至70質量部、好ましくは20乃至50質量部の量で用いる。なお、着色組成物の残りの固形分の多くは、顔料担体が含んでいる樹脂バインダである。
着色組成物を成膜に使用する前に、遠心分離、焼結フィルタおよびメンブレンフィルタなどの精製装置によって、着色組成物から、例えば5μm以上の粒子、好ましくは1μm以上の粒子、より好ましくは0.5μm以上の粒子を除去してもよい。
着色層120a乃至120cの各々は、例えば、印刷法によって形成することができる。印刷法によると、着色組成物の印刷と乾燥とを行なうことにより、着色層120a乃至120cの各々を形成することができる。したがって、印刷法は、低コストで量産性に優れている。しかも、近年の印刷技術の発展により、高い寸法精度および平滑度を有する微細パターンの印刷を行なうことができる。
印刷法を利用する場合、着色組成物が印刷版またはブランケット上で乾燥および固化を生じないように着色組成物の組成を設計する。また、印刷法では、印刷機内での着色組成物の流動性を最適化することが重要である。したがって、着色組成物に分散剤や耐湿顔料を添加して、その粘度を調整してもよい。
着色層120a乃至120cの各々は、フォトリソグラフィー法を利用して形成してもよい。フォトリソグラフィー法によれば、カラーフィルタ層120を、印刷法と比較してより高い精度で形成することができる。
この場合、まず、溶剤現像型またはアルカリ現像型着色レジストとして調製した着色組成物を、基板110上に塗布する。この塗布には、スプレーコート、スピンコート、スリットコートおよびロールコートなどの塗布方法を利用する。この塗膜は、乾燥膜厚が例えば0.2乃至10μmとなるように形成する。
次いで、この塗膜を乾燥させる。塗布膜の乾燥には、例えば、減圧乾燥機、コンベクションオーブン、IRオーブンまたはホットプレートを利用する。塗膜の乾燥は、省略することができる。
続いて、塗膜に、フォトマスクを介して紫外線を照射する。すなわち、塗膜をパターン露光に供する。
その後、塗膜を溶剤もしくはアルカリ現像液に浸漬させるかまたは塗膜に現像液を噴霧する。これにより、塗膜から可溶部を除去して、着色層120aをレジストパターンとして得る。
さらに、これと同様の手順で、着色層120bおよび120cを順次形成する。以上のようにして、カラーフィルタ層120を得る。なお、この方法では、着色レジストの重合を促進するために、熱処理を施してもよい。
このフォトリソグラフィー工程では、アルカリ現像液として、例えば、炭酸ナトリウム水溶液または水酸化ナトリウム水溶液を使用することができる。あるいは、アルカリ現像液として、ジメチルベンジルアミンおよびトリエタノールアミンなどの有機アルカリを含んだ液を使用してもよい。
現像液には、消泡剤および界面活性剤などの添加剤を添加してもよい。現像には、例えば、シャワー現像法、スプレー現像法、ディップ現像法またはパドル現像法を利用することができる。
露光感度を高めるために、以下の処理を追加してもよい。すなわち、着色レジストの第1塗膜を乾燥させた後、この第1塗膜の上に、水溶性またはアルカリ水溶性樹脂、例えばポリビニルアルコールまたは水溶性アクリル樹脂を塗布する。そして、この第2塗膜を乾燥させた後に、上記のパターン露光を行なう。第2塗膜は、第1塗膜における重合が酸素によって阻害されるのを防止する。したがって、より高い露光感度を達成できる。
カラーフィルタ層120は、他の方法で形成してもよい。例えば、インキジェット法、電着法または転写法を利用して形成してもよい。インキジェット法によってカラーフィルタ層120を形成する場合、例えば、基板110上に予め遮光性離画壁を形成しておき、この遮光性離画壁によって区画された領域に向けてノズルからインキを吐出することにより各着色層を得る。電着法によってカラーフィルタ層120を形成する場合、基板110上に予め透明導電膜を形成しておき、着色組成物からなるコロイド粒子の電気泳動によって着色組成物を透明導電膜上に堆積させることにより各着色層を得る。転写法を利用する場合、剥離性の転写ベースシートの表面に予めカラーフィルタ層120を形成しておき、このカラーフィルタ層120をベースシートから基板110上に転写する。
次に、固体化液晶層130の形成方法について説明する。
図6乃至11は、固体化液晶層130の形成方法の一例を概略的に示す断面図である。
固体化液晶層130は、例えば、次のような方法により形成することができる。まず、カラーフィルタ層120上に、光重合性または光架橋性のサーモトロピック液晶化合物を含んだ液晶材料層130’を成膜し、この液晶材料層130’の全面に所定の条件で光を照射して全面露光を行なう。全面露光後の液晶材料層130’をパターン露光および熱処理に供することによって、固体化液晶層130が得られる。
液晶材料層130’は、例えば、カラーフィルタ層120上に、サーモトロピック液晶化合物を含んだコーティング液を塗布し、必要に応じて塗膜を乾燥させることにより得られる。液晶材料層130’では、サーモトロピック液晶化合物のメソゲンが所定の配向構造を形成している。
サーモトロピック液晶化合物としては、例えば、アルキルシアノビフェニル、アルコキシビフェニル、アルキルターフェニル、フェニルシクロヘキサン、ビフェニルシクロヘキサン、フェニルビシクロヘキサン、ピリミジン、シクロヘキサンカルボン酸エステル、ハロゲン化シアノフェノールエステル、アルキル安息香酸エステル、アルキルシアノトラン、ジアルコキシトラン、アルキルアルコキシトラン、アルキルシクロヘキシルトラン、アルキルビシクロヘキサン、シクロヘキシルフェニルエチレン、アルキルシクロヘキシルシクロヘキセン、アルキルベンズアルデヒドアジン、アルケニルベンズアルデヒドアジン、フェニルナフタレン、フェニルテトラヒドロナフタレン、フェニルデカヒドロナフタレン、これらの誘導体、それら化合物のアクリレート、またはそれら化合物のメタクリレートを使用することができる。
サーモトロピック液晶化合物のメソゲンが形成する配向構造をコレステリック配向構造とする場合には、サーモトロピック液晶化合物とともにキラル剤を含んだコーティング液が用いられる。
キラル剤は、光学活性な部位を有する低分子化合物であり、主として分子量1500以下の化合物が挙げられる。キラル剤は、ネマチック規則性を示す重合性の液晶化合物が発現する正の一軸ネマチック規則性に、螺旋構造を誘起させる目的で用いられる。この目的が達成されれば、キラル剤の種類は特に限定されない。ネマチック規則性を示す重合性の液晶化合物との間で溶液状態あるいは溶融状態において相溶し、当該重合性液晶化合物の液晶性を損なうことなく、これに所望の螺旋構造を誘起できる任意の化合物を、キラル剤として用いることができる。
液晶に螺旋構造を誘起させるために用いられるので、キラル剤は、少なくとも分子中に何らかのキラリティーを有していることが必要である。したがって、ここで用いられるキラル剤としては、例えば、1つあるいは2つ以上の不斉炭素を有する化合物、キラルなアミンやキラルなスルフォキシドなどのようにヘテロ原子上に不斉点をもつ化合物、あるいはクムレンやビナフトールなどの軸不斉をもつ光学活性な部位を有する化合物が好ましい。具体的には、市販のキラルネマチック液晶(例えばPaliocolor LC756(BASF社製),キラルドーパント液晶S−811(Merck社製)等)が挙げられる。
なお、本実施形態の固体化液晶層130は、可視光領域において透明度が高いことが求められるので、キラル剤は、液晶材料層130’の螺旋ピッチが短く選択反射の波長が400nm程度以下になるような量で添加される。キラル剤の具体的な添加量は、用いるサーモトロピック液晶化合物の種類あるいはキラル剤のねじれ誘起力等によっても異なるが、例えばサーモトロピック液晶化合物に対して2乃至50質量部とすることができる。
コーティング液には、光重合開始剤が含まれていてもよい。
光重合開始剤には、二色性の光重合開始剤が用いることができ、例えば下記化学式で表わされるビフェニルシクロヘキサン誘導体が挙げられる。このような二色性の光重合開始剤は、後述する露光工程において、面内で特定の方位を向いたサーモトロピック液晶化合物について固定化を誘起しやすく、面内異方性の大きな固体化液晶層130を得ることが容易であるという点で好ましい。
光重合開始剤は、必ずしも二色性を有していなくともよい。例えば光重合開始剤として、前記した着色組成物に用いる化合物と同様のもの(以下、「その他の光重合開始剤」という。)を使用することができる。二色性の光重合開始剤をコーティング液に添加せず、その他の光重合開始剤を用いても、あるいは光重合開始剤を用いなくても、本実施形態の位相差基板10を得ることができる。これは、光重合性または光架橋性のサーモトロピック液晶化合物そのものが光による反応に異方性を有しているためと推定される。前記その他の光重合開始剤は、後述する露光工程において、感度が高いため少ない照射量でより確実な固定化を誘起しやすく、強固な固体化液晶層130を得ることが容易であるという点で好ましい。
光重合開始剤としては、前記した二色性の光重合性開始剤およびその他の光重合開始剤のいずれか、またはこれらを2種以上混合して添加することができる。その含有量は、コーティング液中における液晶化合物100質量部に対して0.1乃至30質量部が好ましく、0.3乃至10質量部がより好ましい。
増感剤を光重合開始剤と併用してもよく、これには、前記した着色組成物に用いる化合物と同様のものを使用することができる。増感剤は、光重合開始剤100質量部に対して0.1乃至60質量部の量で含有させることができる。
コーティング液には、溶剤を加えることができる。
溶剤としては、前記した着色組成物に用いる化合物と同様のものを使用することができ、コーティング液中の液晶化合物100質量部に対して100乃至3000質量部、好ましくは200乃至1000質量部を用いることができる。
コーティング液には、さらに必要に応じて、熱重合開始剤、重合禁止剤、界面活性剤、樹脂、多官能モノマーおよび/またはオリゴマー、連鎖移動剤、貯蔵安定剤および密着向上剤等を、適量添加することができる。
熱重合開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイル(BPO)、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート(PBO)、ジ−t−ブチルパーオキシド(PBD)、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート(PBI)、およびn−ブチル4,4,ビス(t−ブチルパーオキシ)バラレート(PHV)などのような過酸化物開始剤;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)、2,2’−アゾビス(2−メチルブタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2,3−ジメチルブタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルヘキサン)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2,3,3−トリメチルブタン)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、3,3’−アゾビス(3−メチルペンタン)、3,3’−アゾビス(3−メチルヘキサン)、3,3’−アゾビス(3,4−ジメチルペンタン)、3,3’−アゾビス(3−エチルペンタン)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジエチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、およびジ−tert−ブチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)などのアゾ系開始剤などを使用することができる。
重合禁止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、3−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、2−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、スチレン化フェノール、スチレン化p−クレゾール、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、テトラキス〔メチレン−3−(3’,5’−ジ−1−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、オクタデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジ(α−メチルシクロヘキシル)−5,5’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾイル)イソシアヌレート、ビス〔2−メチル−4−(3−n−アルキルチオプロピオニルオキシ)−5−t−ブチルフェニル〕スルフィド、1−オキシ−3−メチル−イソプロピルベンゼン、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ノニルフェノール)、アルキル化ビスフェノール、2,5−ジ−t−アミルハイドロキノン、ポリブチル化ビスフェノールA、ビスフェノールA、2,6−ジ−t−ブチル−p−エチルフェノール、2,6−ビス(2’−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5’−メチル−ベンジル)−4−メチルフェノール、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、テレフタロイルージ(2,6−ジメチル−4−t−ブチル−3−ヒドロキシベンジルスルフィド)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−α−ジメチルアミノ−p−クレゾール、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、トルエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、ヘキサメチレングリコール−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリン)−2,4−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシナミド)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル−リン酸ジエチルエステル、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリス〔β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル−オキシエチル〕イソシアヌレート、2,4,6−トリブチルフェノール、ビス〔3,3−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)−ブチリックアシッド〕グリコールエステル、4−ヒドロキシメチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール、およびビス(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルベンジル)サルファイドなどのフェノール系禁止剤が挙げられる。
さらに、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合物、およびジアリール−p−フェニレンジアミンなどのアミン系禁止剤;ジラウリル・チオジプロピオネート、ジステアリル・チオジプロピオネート、および2−メルカプトベンズイミダノールなどの硫黄系禁止剤;ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイトなどのリン系禁止剤などの重合禁止剤を用いることもできる。
界面活性剤、樹脂、多官能モノマーおよび/またはオリゴマー、連鎖移動剤、貯蔵安定剤および密着向上剤等は、前記した着色組成物に用いる化合物と同様のものを使用することができる。
コーティング液の塗布には、例えば、スピンコート法、スリットコート法、凸版印刷、スクリーン印刷、平版印刷、反転印刷およびグラビア印刷などの印刷法、これらの印刷法にオフセット方式を組み合わせた方法、インキジェット法、またはバーコート法を利用することができる。
液晶材料層130’は、例えば、均一な厚さを有している連続膜として形成する。上述した方法によれば、塗布面が十分に平坦である限り、液晶材料層130’を均一な厚さを有している連続膜として形成することができる。
コーティング液の塗布に先立って、カラーフィルタ層120の表面に、ラビングなどの配向処理を施してもよい。あるいは、コーティング液の塗布に先立って、カラーフィルタ層120上に、液晶化合物の配向を規制する配向膜を形成してもよい。この配向膜は、例えば、カラーフィルタ層120上にポリイミドなどの透明樹脂層を形成し、この透明樹脂層にラビングなどの配向処理を施すことにより得られる。この配向膜は、光配向技術を利用して形成してもよい。
液晶材料層130’においては、サーモトロピック液晶化合物のメソゲンが所定の構造に配向し、例えば図6に示すようなホモジニアス配向である。液晶材料層130’の全面には、図6に示すように少量の光L0を照射する。全面露光を行なうことによって、液晶材料層の全面にわたって一部のメソゲンが形成している配向状態が固定され、サーモトロピック液晶化合物の一部が重合および/または架橋により反応する。
サーモトロピック液晶化合物が重合および/または架橋して反応すると、サーモトロピック液晶化合物は流動性を失なう。図7に模式的に示されるように、全面露光後の液晶材料層130’の表層には、サーモトロピック液晶化合物が重合および/または架橋してなる難流動域131が形成される。この難流動域131は、必ずしも明確な境界をもって形成されるわけではない。層の下方と比較して相対的に流動性が低い領域を、難流動域とすることができる。
従来の手法によりパターン露光が行なわれた際には、サーモトロピック液晶化合物は何等制約なしに流動することができる。サーモトロピック液晶化合物は露光された領域内で流動して、領域間での膜厚に差を生じていた。しかも、膜厚の差は照射量によって異なり、一定ではない。その結果、得られる固体化液晶層の膜厚や位相差が不均一となり、領域内での光学特性のバラつきが大きくなって、所望の光学特性を得ることができなったものと推測される。
本発明者らは、パターン露光時におけるサーモトロピック液晶化合物の流動をある程度制限することによって、こうした不都合を回避できることを見出した。すなわち、パターン露光に先立って液晶材料層の全面に光を照射して、液晶材料層の全面にわたってサーモトロピック液晶化合物の一部、具体的には表層のサーモトロピック液晶化合物を、重合および/または架橋により反応させる。
液晶材料層130’の全面にわたって、表層のサーモトロピック液晶化合物を重合および/または架橋により反応させることにより、図7に示したように難流動域131が形成される。後の工程で液晶材料層に130’の領域ごとに異なる条件で露光が行なわれても、難流動域131により未反応のサーモトロピック液晶化合物の流動は制限される。その結果、パターン露光後のサーモトロピック液晶化合物は、所望の領域内で所望の程度に配向する。これによって、領域ごとに所望の光学特性を備えた固体化液晶層を得ることが可能となった。
所望の光学特性とは、特に、面内位相差の均一性が高いことをさす。具体的には、固体化液晶層内の各領域のいずれにおいても、面内位相差の範囲(最大値と最小値との差)が10nm以下であれば、面内位相差の均一性が高いとする。なお、面内位相差の範囲は、各画素に対応する領域内において10nm以下であれば所望の光学特性を確保することができるが、各表示色に対応する領域において10nm以下であることが好ましい。また、各画素に対応する領域および各表示色に対応する領域のいずれにおいても、面内位相差の範囲は、10nm以下であることがより好ましい。
全面露光では、所望される複屈折率の変化量を加味して、照度、照射量、および輝線等を最適化する必要がある。具体的には、この後のパターン露光で各領域にて所望の複屈折率を発現させ、これを保持するために、全面露光によって液晶材料層の全面において、表層のみでサーモトロピック液晶化合物の重合および/または架橋を生じさせる。「表層」とは、液晶材料層の表面のうち、全膜厚の20%以下程度までの深さをさす。全面露光における照射量を必要最低限とすることによって、これを達成することができる。「必要最低限」とは、例えば、パターン露光における最低の照射量よりも少ない照射量であり、パターン露光における最小の照射量の80%未満程度とすることができる。
液晶材料層の表層のみにおいて、サーモトロピック液晶化合物の重合および/または架橋を生じさせるための照射量の下限は、サーモトロピック液晶化合物の種類や液晶材料層の膜厚などに応じて異なる。一般的には、少なくとも7mJ/cm2程度の照射量であれば、目的を達成することができる。
全面露光に使用する光としては、紫外線、可視光線および赤外線などの電磁波が挙げられる。より具体的には、波長180乃至400nmの光を含む紫外線が、典型的には用いられる。
全面露光が行なわれた液晶材料層130’に対し、パターン露光工程を行なう。すなわち、液晶材料層130’の複数の領域に、異なる条件となるように光を照射する。異なる条件とは、露光時間・照度・輝線等のうちいずれか一つ、あるいはこれらの組み合わせが相違していることを指す。
例えば、図6に示したように全面露光が行なわれた液晶材料層130’に対しては、図8に示すように照射量を異ならせて各領域に光を照射する。具体的には、液晶材料層130’のうち領域130aに対応した領域130a’には、最大の照射量で光L1を照射する。液晶材料層のうち領域130bに対応した領域130b’には、領域130a’と比較してより小さな照射量で光L1を照射する。液晶材料層のうち領域130cに対応した領域130c’には、領域130b’と比較してさらにより小さな照射量で光L1を照射する。
これにより、液晶材料層130’の光を照射した部分で、メソゲンが形成しているホモジニアス配向構造を維持させたまま、サーモトロピック液晶化合物の重合および/または架橋を生じさせる。
サーモトロピック液晶化合物が重合および/または架橋した反応生成物では、そのメソゲンは固定化されている。照射量が最大の領域では、サーモトロピック液晶化合物の反応生成物の含有率が最も高く、未反応のサーモトロピック液晶化合物の含有率が最も低い。照射量が小さくなるにしたがって、反応生成物の含有率はより低くなり、未反応のサーモトロピック液晶化合物の含有率はより高くなる。
その結果、照射量がより大きな領域では、メソゲンはより高い割合で固定化され、照射量がより小さな領域では、メソゲンはより低い割合で固定化される。そして、照射量がゼロの領域では、メソゲンは固定化されない。
上述したように、サーモトロピック液晶化合物を不均一に重合および/または架橋させることができれば、露光工程はどのような方法で行なってもよい。
例えば、この露光工程では、フォトマスクを用いた露光を複数回行なってもよい。あるいは、ハーフトーンマスク、グレイトーンマスクまたは波長制限マスクを用いた露光を行なうこともできる。フォトマスクを使用する代わりに、光束を液晶材料層上で走査させてもよい。さらには、これらを組み合わせてもよい。
液晶材料層130’におけるサーモトロピック液晶化合物がコレステリック構造に配向している場合には、以下に説明するような手法で露光を行なうことができる。具体的には、偏光と非偏向並行光との組み合わせによって光L1を構成し、領域毎に偏光照射の条件および非偏向並行光照射の条件が異ならせる。偏光および非偏向並行光は、いずれが先に照射されてもよい。また、一部の領域に照射される光L1は、いずれか一方のみの光とすることができ、いずれの照射も行なわれない領域が存在してもよい。
非偏向並行光照射の場合も前述と同様に、「条件が異なる」とは、露光時間・照度・輝線等のうちいずれか一つ、あるいはこれらの組み合わせが相違していることを指す。通常、それぞれの領域に対して異なる照射エネルギー、すなわち異なる照射量となるように光を照射するが、材料によっては相反則不軌の性質がみられる。その場合には、必ずしも照射量を異ならせる必要はない。例えば、ある領域には高照度で短時間、別の領域には低照度で長時間露光を行ない、結果として双方の領域の照射量(照度×露光時間)が同じであってもよい。
偏光照射の条件には、偏光の楕円率および偏光の消光比が含まれる。偏光照射の条件が異なるとは、前述の非偏向並行光照射で変更する条件に加えて、偏光の楕円率・偏光の消光ののうち一つまたはこれらの組み合わせが相違していることを指す。通常、それぞれの領域に対して異なる照射量となるように光を照射するが、必ずしも照射量を異ならせる必要がない点は非偏向並行光照射の場合と同様である。偏光照射において用いることのできる光としては、直線偏光または楕円偏光が挙げられる。上述したように変更する条件として楕円率・消光比を選択してもよいが、直線偏光を用いて消光比も一定とし、他の条件を変更するのが簡便である。
パターン露光に先立って全面露光を行なう際にも、こうした条件を考慮して光を照射すればよい。液晶材料層の表層のみにおいて、液晶化合物の一部が重合および/または架橋するように適宜条件を選択する。所定の条件で液晶材料層の全面に光を照射することにより、液晶材料層の表層全面にわたって液晶化合物が重合および/または架橋されるので、パターン露光を施しても液晶化合物の流動は制限されることとなる。
領域によって照射量を異ならせ、偏光照射には直線偏光を用いる場合には、図9に示すようにパターン露光を行なうことができる。
図示するように、液晶材料層130’のうち領域130aに対応した領域130a’には、光L1として十分な量で非偏向並行光のみを照射する。液晶材料層130’のうちの領域130bに対応した領域130b’には、光L1として十分な量で直線偏光を照射し、液晶材料層130’のうちの領域130cに対応した領域130c’には、いずれの照射も行なわない。
液晶材料層130’においては、照射された光L1の種類および照射量に応じて、メソゲンが形成しているコレステリック配向状態が固定化され、サーモトロピック液晶化合物の重合および/または架橋を生じさせる。サーモトロピック液晶化合物の重合および/または架橋生成物では、そのメソゲンは流動性を失ない、その後の工程においても配向の変化を生じ難くなる。
例えば、光L1として十分な照射量の非偏向並行光のみが照射された領域130a’では、メソゲンのコレステリック配向状態は概ね維持されたまま固定化される。メソゲンがコレステリック配向状態にあるサーモトロピック液晶化合物の重合または架橋生成物の含有率が最も高く、未重合および未架橋のサーモトロピック液晶化合物の含有率が最も小さい。
光L1として十分な照射量の直線偏光のみが照射された領域130b’では、コレステリック配向構造を形成したメソゲンのうち、偏光軸に応じた面内で特定の方位を向いているものについて、その配向状態が概ね維持されたまま固定化される。その一方、他の方位を向いているものは、配向の状態は変わらないものの固定されず流動性を有したままとなる。領域130a’と比較すると、配向状態が固定されたサーモトロピック液晶化合物の重合または架橋生成物は、メソゲンが特定の方位を向いているものに偏って存在するので、全体としては未重合あるいは未架橋のサーモトロピック液晶化合物の含有率がより高くなる。
露光工程に使用する光としては、紫外線、可視光線および赤外線などの電磁波が挙げられる。より具体的には、波長180乃至400nmの光を含む紫外線が、典型的には用いられる。
サーモトロピック液晶化合物を不均一に重合および/または架橋させることができれば、偏光と非偏向並行光とを組み合わせた露光工程はどのような方法で行なってもよい。
例えば、この露光工程は、あるフォトマスクを用いた露光と、それとは遮光層のパターンが異なるフォトマスクを用いた露光とを含んでいてもよい。例えば、あるフォトマスクを用いて、光L1として最大の照射量の非偏向並行光を領域130a’のみに照射し、別のフォトマスクを用いて、光L1として最大の照射量の直線偏光を領域130b’のみに照射する。
あるいは、この露光工程は、あるフォトマスクを使用した領域130a’の露光と、それと同一のフォトマスクを使用した領域130b’の露光とを含んでいてもよい。この場合、例えば、あるフォトマスクを使用して領域130a’に最大の照射量の非偏向並行光を光L1として照射する。そのフォトマスクを使用して、領域130bに最大の照射量の直線偏光を光L1として照射する。
フォトマスクを使用する代わりに、光束を液晶材料層130’上で走査させる等を行なってもよい。
上述した技術を組み合わせることもできる。いずれの方法により露光工程が行なわれた場合であっても、露光工程後には、液晶材料層130’におけるサーモトロピック液晶化合物の重合の程度あるいは重合の異方性の程度として、いわば「潜像」として形成される。この一例を、図10に概略的に示す。
露光工程を完了した後、現像工程を行なう。すなわち、液晶材料層130’を、サーモトロピック液晶化合物が液晶相から等方相へと変化する相転移温度と等しい温度以上に加熱する。この現像工程によって、前述の露光工程で形成された「潜像」が、メソゲンの配向の状態の変化として発現する。
具体的には、次に示すとおりである。未反応化合物であるサーモトロピック液晶化合物のメソゲン部位は固定されていない。それゆえ、液晶材料層130’を相転移温度以上に加熱すると、未反応化合物のメソゲンの配向が乱される。例えば、未反応化合物のメソゲンは、液晶相から等方相へと変化する。他方、サーモトロピック液晶化合物の重合または架橋生成物では、メソゲンは固定されている。
したがって、図9に示したように、光L1として十分な照射量の非偏向並行光のみが照射された領域130a’においては、メソゲンMSの配向の状態は、この熱処理によってほとんど変化しない。初期の配向状態がコレステリック配向の場合には、このコレステリック配向を保って固定化されたままの状態となり負のCプレートが得られる。
十分な照射量の直線偏光が光L1として照射された領域130b’におけるメソゲンMSの配向は、偏光軸に応じた面内で特定方位を向いたものについては固定されたままである一方、他の方位を向いたものは乱される。すなわち、異方性のある配向が生じる。その結果、正のAプレートと負のCプレートとが複合された二軸性(nx>ny>nz)を示し、面内位相差と厚み方向位相差との両方を有するようになる。いずれの照射もなされずに加熱された領域130c’では、熱処理によってメソゲンMSの配向構造が消失する。図示するように、領域130c’においては、メソゲンMSのコレステリック配向はほぼ完全に乱されて等方相となる。
ここでは、コレステリック配向について説明したが、領域毎に異なる条件で光照射が行なわれる限り、現像工程後の各領域におけるメソゲンの配向状態の違いは、他の配向構造の場合にも適用される。
その後、定着工程を実施する。すなわち、未反応のサーモトロピック液晶化合物について、メソゲンの配向の程度を低下させたまま重合および/または架橋させる。
定着工程は、例えば、図11に示すように基板全体に光L2を照射して行なう。すなわち、サーモトロピック液晶化合物が等方相から液晶相へと変化する相転移温度よりも高い温度に液晶材料層130’を維持したまま、液晶材料層130’の全体に光L2を照射する。光L2は、未反応化合物のほぼ全てが重合および/または架橋して反応を生じるのに十分な照射量とする。これにより、未反応化合物の重合および/または架橋を生じさせ、配向の程度を消失あるいは低下させたままメソゲンを固定化する。定着工程が終了すると、固体化液晶層130が得られる。
なお、ある液晶化合物は、等方相から液晶相へと変化する第1相転移温度が、液晶相から等方相へと変化する第2相転移温度と比較してより低い。それゆえ、特定の場合には、定着工程における液晶材料層130’の温度は、現像工程の加熱温度と比較してより低くてもよい。ただし、通常は、簡便性の観点で、定着工程における液晶材料層130’の温度は、第1相転移温度以上とする。
定着工程での露光においては、光の種類等は特に限定されない。未反応のサーモトロピック液晶化合物の重合および/または架橋を誘起できれば、任意の条件で露光を行なうことができる。
定着工程における光照射では、液晶材料層130’の全体にわたって照射量が等しくてもよい。この場合、微細なパターンが設けられたフォトマスクを使用する必要がない。したがって、工程を簡略化することができる。
定着工程は、他の方法で行なってもよい。
例えば、未反応化合物、すなわちサーモトロピック液晶化合物が第1相転移温度よりも高い重合および/または架橋温度に加熱することによって重合および/または架橋する材料である場合、光を照射する代わりに、加熱を行なってもよい。具体的には、光を照射する代わりに、液晶材料層130’を重合および/または架橋温度以上に加熱して、未反応化合物を重合および/または架橋させる。これにより、固体化液晶層130を得る。なお、現像工程における加熱温度は、例えば、第1相転移温度以上でありかつ重合および/または架橋温度未満とする。
あるいは、定着工程において、光照射と加熱とを順次行なってもよい。このように光と熱とを組み合わせると、未反応化合物の重合および/または架橋をより確実に進行させることができる。それゆえ、より強固な固体化液晶層130を得ることができる。
ある温度に加熱することによって、未反応化合物が重合および/または架橋する材料である場合、現像工程における加熱温度は、それが重合および/または架橋する温度以上であってもよい。すなわち現像工程と定着工程とを同時に行なってもよい。
以上説明したように、本実施形態の位相差基板を形成する際には、パターン露光に先立って液晶材料層の全面に光が照射される。全面露光を行なうことにより、液晶材料層の表層における液晶化合物は、全面にわたって重合および/または架橋により反応して流動が制限される。こうした状態の液晶材料層に対してパターン露光が行なわれるので、位相差や膜厚の勾配が生じることは回避され、それぞれの領域において所望の光学特性を得ることが可能となった。
しかも、本実施形態の位相差基板は、ウェット工程なしに位相差のパターンが形成され、パターン露光工程およびそれよりも後にウェット工程は行なわない。ウェット工程は、その製造条件が最終製品の光学的特性に与える影響は極めて大きく、光学特性の目標値からのずれを生じ易い。本実施形態においては、ウェット工程に起因して屈折率異方性が目標値からずれるといった不都合も回避される。
なお、屈折率異方性と露光工程における条件、例えば照射量とは、必ずしも比例関係にある訳ではないが、材料および露光条件が一定のもとでは、屈折率異方性の再現性は高い。それゆえ、ある屈折率異方性を達成するのに必要な条件、例えば照射量を見出すのは容易であり、また、安定した製造を行なうことも容易である。
上述した位相差基板10、すなわちパネル基板には、様々な変形が可能である。
この位相差基板10では、固体化液晶層130は、屈折率異方性が互いに異なる領域130a乃至130cを含んでいる。固体化液晶層130は、領域130a乃至130cとは屈折率異方性が異なる1つ以上の領域をさらに含んでいてもよい。例えば、半透過型液晶表示装置では、赤、緑および青色画素の各々が、透過部と反射部とを含んでいる。透過部と反射部とには、異なる光学的設計を採用する必要がある。それゆえ、固体化液晶層130のうち、赤、緑および青色画素に対応した部分の各々が、屈折率異方性が互いに異なる2つ以上の領域を含んでいてもよい。
また、カラーフィルタ層120は前記した着色層の以外に、黒色離画壁を含んでいてもよい。黒色離画壁は、例えば、着色層120a乃至120cを互いに離間するように設けられる。
位相差基板10からカラーフィルタ層120を省略してもよい。例えば、液晶表示装置では、その一方の基板がカラーフィルタ層と位相差層との双方を含んでいてもよいが、液晶表示装置の一方の基板がカラーフィルタ層を含み、他方の基板が位相差層を含んでいてもよい。後者の場合、位相差基板10は、カラーフィルタ層120を含んでいる必要はない。ただし、位相差基板10がカラーフィルタ層120と固体化液晶層130との双方を含んでいる場合、貼りあわせの際に、カラーフィルタ層120と固体化液晶層130とを位置合わせする必要がない。
固体化液晶層130は、基板110とカラーフィルタ層120との間に介在させてもよい。
図12は、一変形例にかかる位相差基板を概略的に示す断面図である。この位相差基板10は、固体化液晶層130が基板110とカラーフィルタ層120との間に介在していること以外は、すでに説明した位相差基板10と同様である。
この構造を採用した場合、例えば位相差基板10を含んだ液晶表示装置において、固体化液晶層130は、カラーフィルタ層120から液晶層中への不純物の混入を抑制しない。しかしながら、この構造を採用した場合、カラーフィルタ層120が、固体化液晶層130を形成するための露光工程および熱処理工程に曝されることがない。それゆえ、この構造を採用した場合、図1に示す構造を採用した場合と比較して、上記の露光工程における光や、現像工程および定着工程における熱に起因したカラーフィルタ層120の劣化は生じ難い。
また、この構造を採用した場合、基板110上に固体化液晶層130を形成することができる。したがって、完全に平坦な平面とし難いカラーフィルタ層120上に固体化液晶層130を形成する場合と比較して、設計通りの性能を有する固体化液晶層130をより容易に得ることができる。
上述した位相差基板10は、様々な用途に利用可能である。例えば、位相差基板10は、液晶表示技術に代表される表示技術に利用可能である。
図13は、図1に示す位相差基板を用いて製造可能な液晶表示装置の一例を概略的に示す断面図である。
図13に示す液晶表示装置は、アクティブマトリクス駆動方式を採用した透過型液晶表示装置である。この液晶表示装置は、カラーフィルタ基板10’とアレイ基板20と液晶層30と一対の偏光板40と図示しないバックライトとを含んでいる。
カラーフィルタ基板10’は、上述した位相差基板10と対向電極150と配向膜160とを含んでいる。
対向電極150は、固体化液晶層130上に形成されている。表示領域の全体にわたって広がった連続膜である。対向電極150は、例えば、上述した透明導電体からなる。
配向膜160は、対向電極150を被覆している。配向膜160は、配向膜は、例えば、対向電極150上にポリイミドなどの透明樹脂層を形成し、この透明樹脂層にラビングなどの配向処理を施すことにより得られる。この配向膜160は、光配向技術を利用して形成してもよい。
アレイ基板20は、配向膜160と向き合った基板210を含んでいる。基板210は、ガラス板または樹脂板などの光透過性基板である。
基板210の配向膜160との対向面上には、画素回路(図示せず)と走査線(図示せず)と信号線(図示せず)と画素電極250とが形成されている。画素回路は、各々が薄膜トランジスタなどのスイッチング素子を含んでおり、基板210上でマトリクス状に配列している。走査線は、画素回路の行に対応して配列している。各画素回路の動作は、走査線から供給される走査信号によって制御される。信号線は、画素回路の列に対応して配列している。各画素電極250は、画素回路を介して信号線に接続されている。各画素電極250は、着色層120a乃至120cの何れかと向き合っている。
画素電極250は、配向膜260で被覆されている。配向膜260は、配向膜は、例えば、画素電極250上にポリイミドなどの透明樹脂層を形成し、この透明樹脂層にラビングなどの配向処理を施すことにより得られる。この配向膜260は、光配向技術を利用して形成してもよい。
カラーフィルタ基板10’とアレイ基板20とは、枠形状の接着剤層(図示せず)を介して貼り合わされている。カラーフィルタ基板10’とアレイ基板20と接着剤層とは、中空構造を形成している。
液晶層30は、液晶化合物または液晶組成物からなる。この液晶化合物または液晶組成物は、流動性を有しており、カラーフィルタ基板10’とアレイ基板20と接着剤層とに囲まれた空間を満たしている。カラーフィルタ基板10’とアレイ基板20と接着剤層と液晶層30とは、液晶セルを形成している。
偏光板40は、液晶セルの両主面に貼り付けられている。偏光板40は、例えば、それらの透過軸が直交するように配置する。
この液晶表示装置において、固体化液晶層130の領域130a乃至130cは、厚さがほぼ等しく、屈折率異方性が異なっている。したがって、130a乃至130cの屈折率異方性を最適化して、したがって、赤、緑および青の各々について、理想的な光学補償を達成することができる。
上述したとおり、位相差基板10は、アクティブマトリクス駆動方式を採用した透過型液晶表示装置において利用可能である。この位相差基板10は、他の表示装置で利用することも可能である。
例えば、位相差基板10は、半透過型液晶表示装置または反射型液晶表示装置において利用してもよい。また、液晶表示装置には、パッシブマトリクス駆動方式などのアクティブマトリクス駆動方式以外の駆動方式を採用してもよい。あるいは、位相差基板10は、有機エレクトロルミネッセンス表示装置などの液晶表示装置以外の表示装置において利用してもよい。
以下、本発明の実施の形態について具体的な例を挙げて記載するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、本発明で用いる材料は光に対して極めて敏感であるため、自然光などの不要な光による感光を防ぐ必要があり、全ての作業を黄色、または赤色灯下で行なうことは言うまでもない。
まず、カラーフィルタ層を形成するのに用いたアルカリ現像型着色組成物の製造、その製造に使用したアクリル樹脂溶液および顔料分散液の調製、ならびに顔料分散液の調製に使用したソルトミリング処理顔料の製造について説明する。
<アクリル樹脂溶液1の調製>
反応容器にシクロヘキサノン370部を収容し、この容器内に窒素ガスを注入しつつ80℃に加熱した。容器内の液温をこの温度に維持しながら、以下のモノマーおよび熱重合開始剤を含む混合物を1時間かけて容器内に滴下して、重合反応を生じさせた。
メタクリル酸 20.0質量部
メチルメタクリレート 10.0質量部
n−ブチルメタクリレート 55.0質量部
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 15.0質量部
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 4.0質量部
滴下終了後、反応を80℃でさらに3時間継続させた。その後、アゾビスイソブチロニトリル1.0部をシクロヘキサノン50部に溶解させてなる溶液を、容器内の液に添加し、反応を80℃でさらに1時間継続させて、アクリル樹脂の溶液を得た。このアクリル樹脂の重量平均分子量は、約40000であった。
室温まで冷却した後、先の樹脂溶液の約2gをサンプリングした。このサンプルを180℃で20分間加熱することにより乾燥させ、不揮発分の質量を測定した。この測定結果に基づいて、不揮発分の濃度が20質量%になるように、先の樹脂溶液にシクロヘキサノンを添加した。以上のようにして、アクリル樹脂溶液1を調製した。
<アクリル樹脂溶液2の調製>
反応容器にシクロヘキサノン370部を収容し、この容器内に窒素ガスを注入しつつ80℃に加熱した。容器内の液温をこの温度に維持しながら、以下のモノマーおよび熱重合開始剤を含む混合物を1時間かけて容器内に滴下して、重合反応を生じさせた。
メタクリル酸 20.0質量部
メチルメタクリレート 10.0質量部
n−ブチルメタクリレート 35.0質量部
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 15.0質量部
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 4.0質量部
パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート 20.0質量部
(東亜合成株式会社製「アロニックスM110」)
滴下終了後、反応を80℃でさらに3時間継続させた。その後、アゾビスイソブチロニトリル1.0部をシクロヘキサノン50部に溶解させてなる溶液を、容器内の液に添加し、反応を80℃でさらに1時間継続させて、アクリル樹脂の溶液を得た。このアクリル樹脂の重量平均分子量は、約40000であった。
室温まで冷却した後、先の樹脂溶液の約2gをサンプリングした。このサンプルを180℃で20分間加熱することにより乾燥させ、不揮発分の質量を測定した。この測定結果に基づいて、不揮発分の濃度が20質量%になるように、先の樹脂溶液にシクロヘキサノンを添加した。以上のようにして、アクリル樹脂溶液2を調製した。
<アクリル樹脂溶液3の調製>
反応容器にシクロヘキサノン560部を収容し、この容器内に窒素ガスを注入しつつ80℃に加熱した。容器内の液温をこの温度に維持しながら、以下のモノマーおよび熱重合開始剤を含む混合物を1時間かけて容器内に滴下して、重合反応を生じさせた。
メタクリル酸 34.0質量部
メチルメタクリレート 23.0質量部
n−ブチルメタクリレート 45.0質量部
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 70.5質量部
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 8.0質量部
滴下終了後、反応を100℃でさらに3時間継続させた。その後、アゾビスイソブチロニトリル1.0部をシクロヘキサノン55部に溶解させてなる溶液を、容器内の液に添加し、反応を80℃でさらに1時間継続させて、共重合体溶液を得た。
次に、得られた共重合体溶液338質量部に、以下の化合物を含む混合物を70℃で3時間かけて滴下した。
2−メタクロイルエチルイソシアネート 32.0質量部
ラウリン酸ジブチル錫 0.4質量部
シクロヘキサノン 120.0質量部
室温まで冷却した後、先の樹脂溶液の約2gをサンプリングした。このサンプルを180℃で20分加熱することにより乾燥させ、不揮発分の質量を測定した。この測定結果に基づいて、不揮発分の濃度が20質量%になるように、先の樹脂溶液にシクロヘキサノンを添加した。以上のようにして、アクリル樹脂溶液3を調製した。得られたアクリル樹脂の重量平均分子量は20000であり、二重結合当量は470であった。
<アクリル樹脂溶液4の調製>
反応容器にシクロヘキサノン560部を収容し、この容器内に窒素ガスを注入しつつ80℃に加熱した。容器内の液温をこの温度に維持しながら、以下のモノマーおよび熱重合開始剤を含む混合物を1時間かけて容器内に滴下して、重合反応を生じさせた。
メタクリル酸 34.0質量部
メチルメタクリレート 23.0質量部
n−ブチルメタクリレート 25.0質量部
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 70.5質量部
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 8.0質量部
パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート 20.0質量部
(東亜合成株式会社製「アロニックスM110」)
滴下終了後、反応を100℃でさらに3時間継続させた。その後、アゾビスイソブチロニトリル1.0部をシクロヘキサノン55部に溶解させてなる溶液を、容器内の液に添加し、反応を80℃でさらに1時間継続させて、共重合体溶液を得た。
次に、得られた共重合体溶液338質量部に、以下の化合物を含む混合物を70℃で3時間かけて滴下した。
2−メタクロイルエチルイソシアネート 32.0質量部
ラウリン酸ジブチル錫 0.4質量部
シクロヘキサノン 120.0質量部
室温まで冷却した後、先の樹脂溶液の約2gをサンプリングした。このサンプルを180℃で20分加熱することにより乾燥させ、不揮発分の質量を測定した。この測定結果に基づいて、不揮発分の濃度が20質量%になるように、先の樹脂溶液にシクロヘキサノンを添加した。以上のようにして、アクリル樹脂溶液4を調製した。得られたアクリル樹脂の重量平均分子量は20000であり、二重結合当量は470であった。
<赤色ソルトミリング処理顔料の製造>
赤色顔料(C.I.pigment red 254、チバ・スペシャリティー・ケミカルズ株式会社製「イルガフォアレッドB−CF」)200質量部、塩化ナトリウム1400質量部、およびジエチレングリコール360質量部を、ステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)内に仕込み、80℃で6時間混練した。次に、この混練物を8リットルの温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とした。
このスラリーの濾過と濾過ケークの水洗とを繰り返して、顔料から塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた。その後、濾過ケークを85℃で一昼夜乾燥して、190質量部の「P.R.254処理顔料」を得た。
<緑色ソルトミリング処理顔料の製造>
赤色顔料の代わりに緑色顔料(C.I.pigment green 36、東洋インキ製造株式会社製「リオノールグリーン 6YK」)を使用した以外は、赤色ソルトミリング処理顔料について説明したのと同様の方法により、「P.G.36処理顔料」を得た。
<黄色ソルトミリング処理顔料の製造>
赤色顔料の代わりに黄色顔料(C.I.pigment yellow 138、東洋インキ製造株式会社製「リオノールエロー 1030」)を使用した以外は、赤色ソルトミリング処理顔料について説明したのと同様の方法により、「P.Y.138処理顔料」を得た。
<青色ソルトミリング処理顔料の製造>
赤色顔料の代わりに青色顔料(C.I.pigment blue 15:6、BASF社製「ヘリオゲンブルーL−6700F」)を使用した以外は、赤色ソルトミリング処理顔料について説明したのと同様の方法により、「P.B.15:6処理顔料」を得た。
<紫色ソルトミリング処理顔料の製造>
赤色顔料の代わりに紫色顔料(C.I.pigment violet 23、東洋インキ製造株式会社製「リオノゲンバイオレット R6200」)を使用した以外は、赤色ソルトミリング処理顔料について説明したのと同様の方法により、「P.V.23処理顔料」を得た。
<赤色顔料分散液の製造>
下記材料を攪拌して均一な組成物を調製した。この混合物を、アイガーミルを用いた10時間の処理に供して、固形分を液中に均一に分散させた。ここでは、粉砕媒体として、直径0.5mmのジルコニアビーズを使用した。その後、この分散液を濾過して、赤色顔料分散液を得た。この濾過には、直径1.0μm以上の粒子を液相から分離可能なフィルタを使用した。
P.R.254処理顔料 10.0質量部
分散助剤(アビシア社製「ソルスパーズ20000」) 1.0質量部
アクリル樹脂溶液1 34.0質量部
シクロヘキサノン 55.0質量部
<緑色顔料分散液の製造>
下記材料を攪拌して均一な混合物を調製した。この混合物を、アイガーミルを用いた10時間の処理に供して、固形分を液中に均一に分散させた。ここでは、粉砕媒体として、直径0.5mmのジルコニアビーズを使用した。その後、この分散液を濾過して、緑色顔料分散液を得た。この濾過には、直径1.0μm以上の粒子を液相から分離可能なフィルタを使用した。
P.G.36処理顔料 10.0質量部
分散助剤(アビシア社製「ソルスパーズ20000」) 1.0質量部
アクリル樹脂溶液1 34.0質量部
シクロヘキサノン 55.0質量部
<黄色顔料分散液の製造>
下記材料を攪拌して均一な混合物を調製した。この混合物を、アイガーミルを用いた10時間の処理に供して、固形分を液中に均一に分散させた。ここでは、粉砕媒体として、直径0.5mmのジルコニアビーズを使用した。その後、この分散液を濾過して、黄色顔料分散液を得た。この濾過には、直径1.0μm以上の粒子を液相から分離可能なフィルタを使用した。
P.Y.138処理顔料 10.0質量部
分散助剤(アビシア社製「ソルスパーズ20000」) 1.0質量部
アクリル樹脂溶液1 34.0質量部
シクロヘキサノン 55.0質量部
<青色顔料分散液の製造>
下記材料を攪拌して均一な混合物を調製した。この混合物を、アイガーミルを用いた10時間の処理に供して、固形分を液中に均一に分散させた。ここでは、粉砕媒体として、直径0.5mmのジルコニアビーズを使用した。その後、この分散液を濾過して、青色顔料分散液を得た。この濾過には、直径1.0μm以上の粒子を液相から分離可能なフィルタを使用した。
P.B.15:6処理顔料 10.0質量部
分散助剤(ビックケミー社製「BYK111」) 1.0質量部
アクリル樹脂溶液2 34.0質量部
シクロヘキサノン 55.0質量部
<紫色顔料分散液の製造>
下記材料を攪拌して均一な混合物を調製した。この混合物を、アイガーミルを用いた10時間の処理に供して、固形分を液中に均一に分散させた。ここでは、粉砕媒体として、直径0.5mmのジルコニアビーズを使用した。その後、この分散液を濾過して、紫色顔料分散液を得た。この濾過には、直径1.0μm以上の粒子を液相から分離可能なフィルタを使用した。
P.V.23処理顔料 10.0質量部
分散助剤(ビックケミー社製「BYK111」) 1.0質量部
アクリル樹脂溶液2 34.0質量部
シクロヘキサノン 55.0質量部
<赤色着色組成物の製造>
下記材料を攪拌して均一な混合物を調製した。この混合物を濾過して、アルカリ現像型赤色着色組成物を得た。この濾過には、直径0.6μm以上の粒子を液相から分離可能なフィルタを使用した。
赤色顔料分散液 65.0質量部
アクリル樹脂溶液3 15.0質量部
トリメチロールプロパントリアクリレート 3.5質量部
(新中村化学株式会社製「NKエステルATMPT」)
光重合開始剤 2.2質量部
(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ株式会社製「イルガキュアー907」)
増感剤(保土ヶ谷化学株式会社製「EAB−F」) 0.3質量部
シクロヘキサノン 14.0質量部
<緑色着色組成物の製造>
下記材料を攪拌して均一な混合物を調製した。この混合物を濾過して、アルカリ現像型緑色着色組成物を得た。この濾過には、直径0.6μm以上の粒子を液相から分離可能なフィルタを使用した。
緑色顔料分散液 53.0質量部
黄色顔料分散液 32.0質量部
アクリル樹脂溶液3 3.0質量部
トリメチロールプロパントリアクリレート 3.5質量部
(新中村化学株式会社製「NKエステルATMPT」)
光重合開始剤 2.2質量部
(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ株式会社製「イルガキュアー907」)
増感剤(保土ヶ谷化学株式会社製「EAB−F」) 0.3質量部
シクロヘキサノン 6.0質量部
<青色着色組成物の製造>
下記材料を攪拌して均一な混合物を調製した。この混合物を濾過して、アルカリ現像型青色着色組成物を得た。この濾過には、直径0.6μm以上の粒子を液相から分離可能なフィルタを使用した。
青色顔料分散液 45.0質量部
紫色顔料分散液 5.0質量部
アクリル樹脂溶液4 30.0質量部
トリメチロールプロパントリアクリレート 3.5質量部
(新中村化学株式会社製「NKエステルATMPT」)
光重合開始剤 2.2部
(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ株式会社製「イルガキュアー907」)
増感剤(保土ヶ谷化学株式会社製「EAB−F」 0.3質量部
シクロヘキサノン 14.0質量部
<実施例1>
上述したように得られた赤色着色組成物を、スピンコーターを用いて、乾燥膜厚が2.0μmになるようにガラス板上に塗布した。なお、ここで使用したガラス板は光学的に等方性である。次いで、クリーンオーブンを用いた70℃での20分間の加熱により乾燥させた。基板を室温まで冷却させた後、フォトマスクを介して塗膜に紫外線を照射した。紫外線源としては、超高圧水銀灯を使用した。次に、この塗膜を23℃の炭酸ナトリウム水溶液を用いたスプレー現像に供した。その後、塗膜をイオン交換水で洗浄し、風乾させた。さらに、クリーンオーブンを用いて、塗膜を230℃で30分間焼成した。以上のようにして、基板上に赤色着色層を形成した。
次に、赤色着色組成物の代わりに緑色着色組成物を用いた以外は赤色着色組成物について説明したのと同様の方法により、赤色着色層を形成した基板上に緑色着色層をさらに形成した。その後、赤色着色組成物の代わりに青色着色組成物を用いた以外は赤色着色組成物について説明したのと同様の方法により、赤色着色層および緑色着色層が形成された基板上に青色着色層を形成した。以上のようにして、カラーフィルタ層を得た。
このカラーフィルタ層とガラス板との積層体について、面内方向位相差Reを測定した。その結果、赤色着色層、緑色着色層、および青色着色層の全ての着色層で1.0nm未満であった。さらに、厚み方向位相差Rthを測定した。その結果、赤色着色層に対応した部分の波長630nmの光についての厚み方向位相差Rthは6.0nmであった。緑色着色層に対応した部分の波長550nmの光についての厚み方向位相差Rthは1.1nmであった。青色着色層に対応した部分の波長490nmの光についての厚み方向位相差Rthは3.6nmであった。
次に、以下の材料を攪拌して均一な混合物を調製した。この混合物を濾過して、コーティング液を得た。この濾過には、直径0.6μm以上の粒子を液相から分離可能なフィルタを使用した。
垂直配向重合性液晶 19.0質量部
(大日本インキ化学工業株式会社製「UCL−018」)
光重合開始剤 1.0質量部
(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ株式会社製「イルガキュアー907」)
界面活性剤 3.0質量部
(ビックケミー社製「BYK111」2%シクロヘキサノン溶液)
シクロヘキサノン 77.0質量部
このコーティング液を、スピンコーターを用いて、乾燥膜厚が1.5μmになるようにカラーフィルタ層上に塗布した。次いで、ホットプレートを用いた90℃での1分間の加熱により塗膜を乾燥させた。以上のようにして、カラーフィルタ層上に液晶材料層を形成した。
次に、超高圧水銀灯を用いて、液晶材料層の全面に紫外線を照射して全面露光を行なった。紫外線の照射量は6.5mJ/cm2とした。
全面露光後の液晶材料層に対しては、次のようにパターン露光を行なった。具体的には、液晶材料層のうち、赤色着色層、緑色着色層、および青色着色層に対応した領域の各々に、フォトマスクを介して紫外線を照射した。紫外線源としては、超高圧水銀灯を使用した。赤色着色層に対応した領域の照射量は21mJ/cm2とし、緑色着色層に対応した領域の照射量は14mJ/cm2とし、青色着色層に対応した領域の照射量は8mJ/cm2とした。
その後、基板をクリーンオーブン内に配置し、230℃で40分間焼成を行なって固体化液晶層を形成し、位相差基板を得た。ここでの加熱温度は、重合性液晶が重合および/または架橋する温度以上である。したがって、この230℃の加熱により現像工程と定着工程とが同時に行なわれた。
この位相差基板について、面内方向位相差Reを測定した。その結果、赤色着色層に対応する部分の波長630nmの光についての面内方向位相差Reは124nmであった。緑色着色層に対応する部分の波長550nmの光についての面内方向位相差Reは101nmであった。青色着色層に対応する部分の波長490nmの光についての面内方向位相差Reは92nmであった。また、厚み方向位相差Rthの合計を測定したところ、赤色着色層に対応する部分の波長630nmの光についての厚み方向位相差Rthは65nmであった。緑色着色層に対応する部分の波長550nmの光についての厚み方向位相差Rthは61nmであった。青色着色層に対応する部分の波長490nmの光についての厚み方向位相差Rthは60nmであった。
固体化液晶層の各領域について、面内位相差の範囲(最大値と最小値との差)を求めた。得られた結果を、下記表1にまとめる。なお、下記表1には、パターン露光前の全面露光を行なわない以外は前述と同様に作製された位相差基板における面内位相差の範囲も、併せて示した。
なお、表1において、「赤色」とは、赤色着色層、固体化液晶層の赤色着色層に対応した領域、または位相差基板の赤色着色層に対応した部分を表わしている。「緑色」とは、緑色着色層、固体化液晶層の緑色着色層に対応した領域、または位相差基板の緑色着色層に対応した部分を表わしている。「青色」とは、青色着色層、固体化液晶層の青色着色層に対応した領域、または位相差基板の青色着色層に対応した部分を表わしている。
上記表1に示されるように、全面露光を行なわない場合でも、赤色着色層に対応する部分においては、面内位相差の範囲が10nm以下に抑えられている。しかしながら、緑色着色層に対応する部分、および青色着色層に対応する部分においては、面内位相差の範囲は10nmを超えている。緑色着色層に対応する部分および青色着色層に対応する部分では、膜厚差も顕著に確認された。
一方、全面露光を行なった場合には、赤色、緑色、および青色のいずれの色の着色層に対応する部分についても、面内位相差の範囲は10nm以下に抑えられている。さらに、固体化液晶層における各領域間の膜厚の差も低減された。具体的には、固体化液晶層の各領域における膜厚差は、全面露光なしの場合の35〜50%程度であった。
こうした結果から、次のように推測される。すなわち、液晶材料層の全面に露光を行なうことによって、表層の液晶化合物は、この全面にわたって重合および/または架橋して反応する。液晶化合物の一部が液晶材料層の表層で固定されるので、次いでパターン露光を行なっても液晶化合物は流動することない。液晶材料層における液晶化合物は、所定の領域内にとどまって所望の状態で配向する。その結果、各領域間での膜厚の差が減少し、各領域内における面内位相差の範囲も狭められて、均一性に優れた所望の光学特性を得ることが可能となった。
さらなる利益および変形は、当業者には容易である。それゆえ、本発明は、そのより広い側面において、ここに記載された特定の記載や代表的な態様に限定されるべきではない。したがって、添付の請求の範囲およびその等価物によって規定される本発明の包括的概念の真意または範囲から逸脱しない範囲内で、様々な変形が可能である。