JP2009258702A - 円偏光基板およびその製造方法ならびに有機el表示装置 - Google Patents

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Kazuhiro Osato
和弘 大里
Sosuke Akao
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Abstract

【課題】波長帯によらず1/4波長の位相差を与えることができる円偏光基板、およびそ
れを用いた有機EL表示装置を提供することを目的とする。
【解決手段】基板と、前記基板の片面に形成され第1乃至第3の表示画素に対応して設け
られた液晶固定化層と、前記基板の液晶固定化層と反対面に積層された直線偏光板とを有
し、前記液晶固定化層は第1乃至第3の表示画素ごとに配向の程度が異なることに起因し
て複屈折率が異なることを特徴とする円偏光基板。
【選択図】図5

Description

本発明は、特に有機EL表示装置の反射防止のために有用な円偏光基板およびその製造方法ならびにこの円偏光基板を有する有機EL表示装置に関する。
有機EL表示装置は、薄型であることによる省スペース性および軽量性、10V程度の印加電圧であっても高輝度な発光が得られるなどの特徴から、近年ディスプレイへの応用が期待されている。
有機EL表示装置は、発光可能な有機層を電極で挟んだ構成を有する。有機層は基本的に正孔輸送層、発光層、および電子輸送層を積層したものである。電極としては、光を取り出す側に例えばITO(Indium Tin Oxide)などの透明電極を用い、対向する基板に例えばアルミニウムなどの金属電極を用いる。このような構成において、両電極より各々電子と正孔を、電子輸送層および正孔輸送層を介して発光層に注入し、発光層において電子と正孔を再結合させて発光させる。
カラー映像を表示させる有機EL表示装置は三原色(RGB)の有機EL素子(画素)を順序良く基板上に並べた構造となっており、それぞれの有機EL素子がサブピクセルとなる。基板上にRGBの有機EL画素を形成するために種々の構成が採用されている。
図1の有機EL素子は、透明電極1と金属電極3との間に赤色発光層2R、緑色発光層2Gおよび青色発光層2Bを形成した構造を有する。
図2の有機EL素子は、透明電極1と金属電極3との間に白色発光層4を形成し、透明電極1側に赤色カラーフィルタ層5R、緑色カラーフィルタ層5Gおよび青色カラーフィルタ層5Bを形成した構造を有する。
図1の構造では、有機EL素子の発光がそのまま表示に用いられるため、光の利用効率がよい。しかし、外光がそのまま素子内に進入するため、電極部での外光の反射によるコントラストの低下や、外光が発光層にダメージを与えることによる劣化が懸念される。
図2の構造では、有機EL素子の光取り出し面にカラーフィルタを設けることで外光は概ね1/3にカットされ、反射によるコントラスト低下や発光層へのダメージが抑制される。しかし、カラーフィルタでの光損失が生じるため、発光光の利用効率が悪いといった問題もある。
そのような問題を解決するものとして、図3に示す有機EL素子が知られている。図3の有機EL素子は、透明電極1と金属電極3との間に赤色発光層2R、緑色発光層2Gおよび青色発光層2Bを形成するとともに、透明電極1側に赤色カラーフィルタ層5R、緑色カラーフィルタ層5Gおよび青色カラーフィルタ層5Bを形成した構造を有する。
図3の構造では、発光層からの発光は同色のカラーフィルタ層によってほぼ損失なく外部へ向かって透過する。また、外光はカラーフィルタによって概ね1/3にカットされるため、反射や発光層へのダメージが抑制される。ただし、カラーフィルタ各色の波長域の光は反射されるため、完全に反射を抑制できないといった問題があった。
外光の反射の改善策として、有機EL素子の発光面側の基板に直線偏光板と1/4波長板とを設けて円偏光基板とする方法が知られている。この構造では、外光が円偏光基板を通過することで円偏光になり、金属電極にて反射された際に円偏光状態の反転した円偏光になり、再び円偏光基板に到達して吸収される。そこで、この円偏光基板とカラーフィルタを組み合わせれば、発光層へのダメージを抑制しつつ、反射のない有機EL表示装置が得られると考えられる。
しかし、通常の1/4波長板は位相差に波長分散をもつため、各波長帯において位相差が1/4波長となるように制御するのは困難である。例えば、緑の波長域(中心波長550nm前後)で1/4波長の位相差量(約138nm)を有する1/4波長板を直線偏光板と組み合わせて円偏光基板として有機EL表示装置に用いる場合、青の波長域(中心波長450nm前後)では1/4波長より過剰、赤の波長域(中心波長630nm前後)では1/4波長に対して不足となり、赤および青の波長域においては完全な円偏光が得られず、反射光の光漏れが生じる。
このような問題に対して、カラーフィルタの各色の波長に対応した位相差を実現する方式として、(1)カラーフィルタの外部の位相差板によって問題を解決する方法、(2)カラーフィルタの内部に位相差層を設けて問題を解決する方法が知られている。
(1)の方法の例として特許文献1が挙げられる。特許文献1では、カラーフィルタ基板とは別個に位相差板を設け、「位相差板を、カラー表示を形成する3基本色の画素に対応して異なる位相差の3種の領域を分布」させている。しかし、この方法では、カラーフィルタ基板と位相差基板との間に距離が生じるため、特に斜め方向の表示に関して位相差制御が難しい。
(2)の方法の例として、膜厚が異なるまたは種類の異なる重合型液晶材料を成膜することで、3色の表示画素に対応するように位相差量を持たせた位相差素子が考案されている(例えば、特許文献2参照)。また、カラーフィルタの光透過性パターンの厚みを各色で異なるように形成して、その上に位相差制御層(液晶性高分子など)を、カラーフィルタ層と位相差制御層との合計厚みが一定になるように積層することで、3色の表示画素に対応するように位相差量を持たせた位相差制御層を有するカラーフィルタも考案されている(例えば、特許文献3参照)。
しかし、これら従来の方法は、当該位相差の問題を容易かつ十分に解消するには不適当であるといわざるを得ない。
例えば、特許文献2には、位相差層の膜厚を領域ごとに異ならせる手段として、重合型の液晶材料を成膜し、これに紫外線等の放射線を領域ごとに照射量を変えて露光し、有機溶媒で現像する方法が示されている。しかし、この方法では、特に未硬化成分が薄膜に残る場合、最終的な膜厚は現像条件によっても大きく左右されるため、露光時の照射量を制御することで安定して所望の膜厚を得ることは非常に難しい。また、種類の異なる重合型液晶材料をフォトリソグラフィー法や印刷法などを用いてパターニングする場合、その種類ごとに工程が必要となるため、製造工程が煩雑になる。
特許文献3においては、位相差層の膜厚は下地となるカラーフィルタ層の膜厚によって決まるため、位相差層の成膜工程における困難さは幾分解消される。しかし、今度はカラーフィルタ層の膜厚を厳密に制御する必要が生じ、カラーフィルタの設計が制限される、またはカラーフィルタの製造工程の難度が上がるなどの問題がある。そもそも、位相差層とカラーフィルタ層の合計膜厚を均一に保つように、膜厚段差のあるカラーフィルタ層の上に位相差層を成膜するのはそれほど容易なことではない。
特許第3687862号公報 特開2004−191832号公報 特開2005−24919号公報
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、波長帯によらず1/4波長の位相差を与えることができる円偏光基板、およびそれを用いた有機EL表示装置を提供することを目的とする。また、上記円偏光基板を容易にかつ高品質で製造する方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明の構成を以下に示す。
[請求項1]
基板と、前記基板の片面に形成され第1乃至第3の表示画素に対応して設けられた液晶固定化層とを有し、前記液晶固定化層は光学異方性を有し、前記基板と液晶固定化層の間に直線偏光変換機能を有する層を有し、
前記液晶固定化層は第1乃至第3の表示画素ごとに配向の程度が異なることに起因して複屈折率が異なり、
前記液晶固定化層は、第1乃至第3の表示画素における各表示色のピーク波長に対して1/4波長の位相差を有することを特徴とする円偏光基板。
[請求項2]
前記直線偏光板の透過軸と前記液晶固定化層の遅相軸または進相軸とのなす角度が45度であることを特徴とする請求項1に記載の円偏光基板。
[請求項3]
前記液晶固定化層は、第1乃至第5の表示画素における各表示色において、前期偏光板を通過して、液晶固定化層の遅相軸または進相軸とのなす角度が45度の直線偏光となった光が円偏光となるような位相差を有することを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の円偏光板。
[請求項4]
前記液晶固定化層は、サーモトロピック液晶性を示す液晶化合物を重合および/または架橋させて形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の円偏光基板。
[請求項5]
基板と、前記基板の片面に形成され第1乃至第3の表示画素に対応して設けられた液晶固定化層と、前記基板の液晶固定化層と反対面に形成された直線偏光板とを有する円偏光基板を製造するにあたり、
(a)基板の片面上に直線偏光変換機能を有する層を形成する工程と、
(b)前記基板の直線偏光変換機能を有する層の上面に、サーモトロピック液晶性を示し、かつ光重合性および/または光架橋性を示す液晶化合物を含む溶液を塗布し、前記液晶化合物が配向した薄膜を形成する工程と、
(c)前記基板を、第1乃至第3の表示画素ごとに異なる照射量となるように露光する工程と、
(d)前記基板を、前記液晶化合物が等方相へ転移する相転移温度以上に加熱する工程と、
(e)前記基板を、前記液晶化合物が等方相に保持される温度以上に維持したまま露光して、第1乃至第3の表示画素ごとに配向の程度が異なる液晶固定化層を形成する工程とを含むことを特徴とする円偏光基板の製造方法。
[請求項6]
前記(b)工程において、前記液晶化合物が配向した薄膜を、基板全面で膜厚が実質的に均一になるように形成することを特徴とする請求項5に記載の円偏光基板の製造方法。
[請求項7]
前記(b)工程における、サーモトロピック液晶性を示し光重合性および/または光架橋性を示す液晶化合物が、熱重合性および/または熱架橋性も有する液晶化合物であり、前記(e)工程において、前記基板を、前記液晶化合物が等方相に保持される温度以上、かつ熱重合および/または熱架橋がなされる温度以上に維持することを特徴とする請求項5または6のいずれかに記載の円偏光基板の製造方法。
[請求項8]
前記(e)工程において、前記基板を、前記液晶化合物が等方相に保持される温度以上に維持したまま、前記(c)工程で最大の照射量で露光された領域以外の領域を露光することを特徴とする請求項5または6のいずれかに記載の円偏光基板の製造方法。
[請求項9]
前記(e)工程において、前記(c)工程で最大の照射量で露光された領域以外のそれぞれの領域における露光量を、前記(c)工程での露光量との合計で、前記(c)工程で最大の照射量で光照射が行われた領域の露光量と実質的に同一になるように露光することを特徴とする請求項8に記載の円偏光基板の製造方法。
[請求項10]
前記(a)工程を行う前に、基板上にカラーフィルタ層を形成することを特徴とする請求項5ないし9のいずれか1項に記載の円偏光基板の製造方法。
[請求項11]
前記(e)工程を行った後に、液晶固定化層上にカラーフィルタ層を形成することを特徴とする請求項5ないし9のいずれか1項に記載の円偏光基板の製造方法。
請求項15に記載の発明は、前記(a)ないし(d)の工程およびカラーフィルタ層の形成工程を行った後、前記基板の液晶固定化層と反対面に直線偏光板を積層することを特徴とする請求項8ないし14のいずれか1項に記載の円偏光基板の製造方法である。
請求項1に記載の発明によれば、別途位相差フィルムなどを設けることなく、表示画素ごとの位相差の問題を解消することができた。
また、液晶固定化層は表示画素ごとに配向の程度が異なることに起因して複屈折率が異なっているので、基板全面に一体として形成された1層の薄膜であっても、表示色に応じて最適な位相差が得られ、表示画素ごとの位相差の問題を解消することができた。
また、液晶固定化層は各表示色の波長に対して1/4波長の位相差を有しているため、位相差に起因して生じる問題を解消することができる。
また、表示画素ごとに配向の程度が異なることに起因して複屈折率が異なる液晶固定化層を有する基板に、直線偏光板を設けることにより、偏光制御が可能となる。
請求項2に記載の発明によれば、直線偏光板を通過することで直線偏光状態となった外光が、1/4波長の位相差を有する液晶固定化層を通過することで完全円偏光になる。
請求項3に記載の発明によれば、液晶固定化層にサーモトロピック液晶性を示す液晶化合物を用いるので、加熱処理によって光学異方性(複屈折率)が表示色ごとに異なる液晶固定化層を形成することができる。
請求項4に記載の発明によれば、外光反射がなく、発光層へのダメージを低減できる有機EL表示装置を提供することができる。
請求項5に記載の発明によれば、各表示画素に位相差の異なる液晶固定化層を確実に精度よく形成することができる。
請求項6に記載の発明によれば、液晶化合物が配向した薄膜の膜厚を均一にすることにより、製造プロセスを容易にすることができる。
請求項7に記載の発明によれば、各表示画素に複屈折率の異なる液晶固定化層を精度よく、より容易に形成することができる。
請求項8に記載の発明によれば、光照射量過多になる領域が生じるのを避けることができ、過露光によって発生する好ましくない反応を抑制することができる。
請求項9に記載の発明によれば、各表示画素における合計に光照射量を実質的に同一にすることにより、過露光によって発生する好ましくない反応をより確実に抑制することができる。
請求項10に記載の発明によれば、基板上にカラーフィルタ層を形成してから液晶固定化層を形成するので、カラーフィルタ層によって生じる位相差をより確実に解消することができる。
請求項11に記載の発明によれば、基板上に液晶固定化層を形成してからカラーフィルタ層を形成するので、液晶化合物の配向制御を基板上で確実に行うことができる。
有機EL表示装置の一例を示す断面図。 有機EL表示装置の他の例を示す断面図。 有機EL表示装置のさらに他の例を示す断面図。 本発明に係る円偏光基板の斜視図。 本発明に係る円偏光基板の断面図。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のリターデイション基板および円偏光基板は、第1乃至第3の表示画素ごとに配向の程度が異なることに起因して複屈折率が異なる液晶固定化層を有するものである。
液晶固定化層を有する基板は、カラーフィルタ基板でもよいし、TFT基板でもよい。また、液晶固定化層それ自体を自己保持型の位相差基板、位相差フィルムとして用いることも可能である。基板の材料としては、ガラス、プラスチック、フィルム基材などが挙げられる。
以下では、第1乃至第3の表示画素を形成したカラーフィルタ層上にサーモトロピック液晶性を示す液晶化合物を含む薄膜を積層して液晶固定化層を形成した基板を例に説明する。
図4は本発明の一実施形態に係る円偏光基板の一部を示す斜視図である。図5はこの円偏光基板の断面図である。ガラス基板11の片面には、それぞれ赤色、緑色、青色のカラーフィルタ層12R、12G、12Bが形成されている。カラーフィルタ層12R、12G、12Bの上には、それぞれの表示画素に対応して、液晶固定化層(位相差層)13R、13G、13Bが形成されている。ガラス基板11の反対面には直線偏光板14が積層されている。
図5に示すように、それぞれの液晶固定化層13R、13G、13Bにおいては、液晶化合物LCが配向の程度が異なる状態で重合および/または架橋され固定化されている。例えば赤色画素部(13R)はほぼ完全に配向した状態にあり、複屈折性が最も強く発現されている。緑色画素部(13G)は赤色画素部(13R)より配向の程度が低い状態にあり複屈折性は比較的弱い。青色画素部(13B)は緑色画素部(13G)よりさらに配向の程度が低い状態にあり複屈折性は最も弱い。上記のような配向の程度は、複屈折率の変化により推測することができる。液晶固定化層13R、13G、13Bにおける液晶化合物の配向の程度がそれぞれ異なることにより、各表示画素の複屈折率もそれぞれ異なり、ひいては位相差量もそれぞれ異なる値となる。
本発明において、液晶化合物の「配向の程度」とは、面内の領域それぞれにおける配向を形容するものであり、必ずしも厚み方向で配向度が一定であることを意味しない。例えばある領域では、下面付近でより配向の揃った状態、上面付近でより無配向に近い状態などとなっていてもよい。この場合、「配向の程度」はおおよその厚み方向の配向度の平均を示す。
本発明において、固定化される液晶の配向の種類は、面内方向に位相差が発現するものであれば特に限定されない。例えば棒状液晶が面内に水平となるように揃うホモジニアス配向で得られる正のAプレート、棒状液晶が面内に水平となるように揃うホモジニアス配向で得られる正のCプレートなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明の円偏光基板は、領域ごとに液晶固定化層の複屈折率を異ならしめることでその位相差を所望の値に制御しようとするものであるから、別個の位相差量を有する領域であっても液晶固定化層の膜厚を異ならせる必要はない。したがって、複数の領域における液晶固定化層の膜厚をほぼ同一にする、すなわち位相差層全域で膜厚を等しくすることができる。もちろん、領域ごとに液晶固定化層の膜厚を異ならせるようにしてもよい。
本発明の円偏光基板を形成する方法は種々考えられる。まず、カラーフィルタ層は既存の方法を用いて形成することができる。カラーフィルタ層は基板上に設けてもよいし、基板上に設けた液晶固定化層の上に設けてもよい。
以下、一例として、顔料を顔料担体に分散させた着色組成物を、各色の所定領域に成膜して硬化させ、画素を形成する場合について説明する。
着色組成物に含まれる顔料としては、有機または無機の顔料を、単独でまたは2種以上混合して用いることができる。顔料は、発色性が高く、かつ耐熱性、特に耐熱分解性が高いことが好ましく、通常は有機顔料が用いられる。以下、着色組成物に使用できる有機顔料の具体例をカラーインデックス番号で示す。
赤色着色組成物の有機顔料としては、例えば、C.I.Pigment Red 7、14、41、48:2、48:3、48:4、81:1、81:2、81:3、81:4、146、168、177、178、179、184、185、187、200、202、208、210、246、254、255、264、270、272、279などの赤色顔料を用いることができる。赤色着色組成物の有機顔料として、赤色顔料と黄色顔料との混合物を使用してもよい。黄色顔料としては、例えば、C.I. Pigment Yellow1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、126、127、128、129、138、147、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、199、198、213、214などを用いることができる。
緑色着色組成物の有機顔料としては、例えば、C.I.Pigment Green 7、10、36、37などの緑色顔料を用いることができる。緑色着色組成物の有機顔料として、緑色顔料と黄色顔料との混合物を使用してもよい。黄色顔料としては、赤色着色組成物について例示したのと同様のものを使用することができる。
青色着色組成物の有機顔料としては、例えば、C.I.Pigment Blue 15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64などの青色顔料を用いることができる。青色着色組成物の有機顔料として、青色顔料と紫色顔料との混合物を使用してもよい。紫色顔料としては、例えば、C.I.Pigment Violet 1、19、23、27、29、30、32、37、40、42、50などを用いることができる。
無機顔料としては、例えば、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑などの金属酸化物粉、金属硫化物粉、金属粉などを用いることができる。無機顔料は、彩度と明度とをバランスさせつつ、良好な塗布性、感度、現像性などを達成するために、有機顔料と組み合わせて用いられる。
着色組成物には、調色のために、耐熱性を低下させない範囲で染料を含有させてもよい。
着色組成物に含まれる顔料担体は、顔料を分散させるものである。顔料担体としては、透明樹脂、その前駆体およびこれらの混合物を用いることができる。透明樹脂とは、可視光領域である400乃至700nmの全波長領域において透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上である樹脂のことをいう。透明樹脂には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、感光性樹脂が含まれる。透明樹脂の前駆体には、放射線照射により硬化して透明樹脂を生成するモノマーおよびオリゴマーが含まれる。これらを単独でまたは2種以上混合して用いることができる。
顔料担体は、顔料100質量部に対して、30乃至700質量部、好ましくは60乃至450質量部の量で用いる。透明樹脂とその前駆体との混合物を顔料担体として用いる場合には、着色組成物において、透明樹脂は、顔料100質量部に対して、20乃至400質量部、好ましくは50乃至250質量部の量で用いる。透明樹脂の前駆体は、顔料100質量部に対して、10乃至300質量部、好ましくは10乃至200質量部の量で用いる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ブチラール樹脂、スチレン−マレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリブタジエン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド樹脂などが挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂などが挙げられる。
感光性樹脂としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、アミノ基などの反応性の置換基を有する線状高分子に、イソシアネート基、アルデヒド基、エポキシ基などの反応性置換基を有する(メタ)アクリル化合物または桂皮酸を反応させて、(メタ)アクリロイル基、スチリル基などの光架橋性基を線状高分子に導入した樹脂を使用することができる。また、スチレン−無水マレイン酸共重合物、α−オレフィン−無水マレイン酸共重合物などの酸無水物を含む線状高分子を、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートなどの水酸基を有する(メタ)アクリル化合物によりハーフエステル化した樹脂も使用することができる。
透明樹脂の前駆体であるモノマーおよびオリゴマーとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートなどのアクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、アクリロニトリルなどが挙げられる。これらは、単独でまたは2種以上混合して用いることができる。
着色組成物を紫外線などの照射によって硬化する場合、着色組成物には例えば光重合開始剤を添加する。
光重合開始剤としては、例えば、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オンなどのアセトフェノン系光重合開始剤;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタールなどのベンゾイン系光重合開始剤;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイドなどのベンゾフェノン系光重合開始剤;チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン系光重合開始剤;2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、2,4−トリクロロメチル(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジンなどのトリアジン系光重合開始剤;ボレート系光重合開始剤;カルバゾール系光重合開始剤;イミダゾール系光重合開始剤などが挙げられる。光重合開始剤は単独でまたは2種以上混合して用いることができる。
光重合開始剤は、顔料100質量部に対して、5乃至200質量部、好ましくは10乃至150質量部の量で用いる。
光重合開始剤とともに増感剤を用いてもよい。増感剤としては、α−アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’−ジエチルイソフタロフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノンなどが挙げられる。増感剤は、光重合開始剤100質量部に対して、0.1乃至60質量部の量で用いる。
着色組成物には、多官能チオールなどの連鎖移動剤を含有させてもよい。多官能チオールは、チオール基を2個以上有する化合物である。多官能チオールとしては、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4−ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4−ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4−ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6−トリメルカプト−s−トリアジン、2−(N,N−ジブチルアミノ)−4,6−ジメルカプト−s−トリアジンなどが挙げられる。多官能チオールは単独でまたは2種以上混合して用いることができる。多官能チオールは、顔料100質量部に対して、0.2乃至150質量部、好ましくは0.2乃至100質量部の量で用いる。
着色組成物には溶剤を含有させてもよい。溶剤を使用すると、顔料担体中での顔料の分散性を向上させることができ、基材上に塗布した着色組成物の乾燥膜厚を0.2乃至5μmにして各色表示画素を容易に形成できるようになる。
溶剤としては、シクロヘキサノン、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチルベンゼン、エチレングリコールジエチルエーテル、キシレン、エチルセロソルブ、メチル−n−アミルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、トルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルケトン、石油系溶剤などが挙げられる。これらは単独でまたは2種以上混合して用いることができる。溶剤は、顔料100質量部に対して、800乃至4000質量部、好ましくは1000乃至2500質量部の量で用いる。
着色組成物は、1種以上の顔料を、必要に応じて上記光重合開始剤と共に、顔料担体および有機溶剤中に、三本ロールミル、二本ロールミル、サンドミル、ニーダおよびアトライタなどの各種分散手段を用いて微細に分散させて製造することができる。2種以上の顔料を含む着色組成物は、各顔料を別々に顔料担体および有機溶剤中に微細に分散させたものを混合して製造することもできる。顔料を顔料担体および有機溶剤中に分散させる際には、樹脂型顔料分散剤、界面活性剤、顔料誘導体などの分散助剤を用いてもよい。分散助剤は、顔料の分散性を向上させ、分散後の顔料の再凝集を抑制する。従って、分散助剤を用いて顔料を顔料担体および有機溶剤中に分散させた着色組成物を用いた場合には、透明性に優れたカラーフィルタが得られる。
分散助剤は、顔料100質量部に対して、0.1乃至40質量部、好ましくは0.1乃至30質量部の量で用いる。
樹脂型顔料分散剤は、顔料に吸着する性質を有する顔料親和性部位と、顔料担体と相溶性のある部位とを有し、顔料に吸着して顔料の顔料担体への分散性を安定化する。樹脂型顔料分散剤としては、ポリウレタン、ポリアクリレートなどのポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸アミン塩、ポリカルボン酸部分アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステル、およびこれらの変性物;ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離カルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドおよびその塩などの油性分散剤;(メタ)アクリル酸−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの水溶性樹脂または水溶性高分子化合物;ポリエステル、変性ポリアクリレート、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、燐酸エステルなどが挙げられる。これらは単独でまたは2種以上混合して用いることができる。
界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレートなどのノニオン性界面活性剤;アルキル4級アンモニウム塩およびそれらのエチレンオキサイド付加物などのカオチン性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタインおよびアルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤などが挙げられる。これらは単独でまたは2種以上混合して用いることができる。
着色組成物には色素誘導体を含有させてもよい。色素誘導体は、有機色素に置換基を導入した化合物である。色素誘導体は、使用する顔料と色相が近いことが好ましいが、添加量が少なければ色相の異なるものを用いてもよい。有機色素には、一般に色素とは呼ばれている化合物に加え、一般に色素とは呼ばれていないナフタレン系およびアントラキノン系化合物などの淡黄色の芳香族多環化合物も含むものとする。色素誘導体としては、特開昭63−305173号公報、特公昭57−15620号公報、特公昭59−40172号公報、特公昭63−17102号公報、特公平5−9469号公報などに記載されているものを使用できる。特に、塩基性基を有する色素誘導体は、顔料の分散性を高める効果が大きい。これらは単独でまたは2種以上混合して用いることができる。
着色組成物には、その粘度の経時的安定性を高めるために貯蔵安定剤を添加してもよい。貯蔵安定剤としては、ベンジルトリメチルクロライド;ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド;乳酸、シュウ酸などの有機酸およびそのメチルエーテル;t−ブチルピロカテコール;テトラエチルホスフィンおよびテトラフェニルホスフィンなどの有機ホスフィン;亜リン酸塩などが挙げられる。これらは単独でまたは2種以上混合して用いることができる。貯蔵安定剤は、顔料100質量部に対して、0.1乃至10質量部の量で用いる。
着色組成物には、基板との密着性を高めるために、シランカップリング剤などの密着向上剤を添加してもよい。
シランカップリング剤としては、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルエトキシシランおよびビニルトリメトキシシランなどのビニルシラン類;γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどの(メタ)アクリルシラン類;β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどのエポキシシラン類;N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノシラン類;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシランなどのチオシラン類などが挙げられる。これらは単独でまたは2種以上混合して用いることができる。シランカップリング剤は、顔料100質量部に対して、0.01乃至100質量部の量で用いる。
着色組成物は、グラビアオフセット用印刷インキ、水無しオフセット印刷インキ、シルクスクリーン印刷インキ、インキジェット印刷インキ、または溶剤現像型もしくはアルカリ現像型着色レジストの形態で調製することができる。着色レジストは、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂または感光性樹脂と、モノマーと、光重合開始剤と、有機溶剤とを含有する組成物中に色素を分散させたものである。
顔料は、着色組成物の全固形分を基準(100質量%)として、5乃至70質量%、好ましくは20乃至50質量%の量で用いる。着色組成物の残りの固形分は、実質的に顔料担体を構成する樹脂バインダーからなる。
着色組成物を成膜に使用する前に、遠心分離、焼結フィルタ、メンブレンフィルタなどの手段を用い、着色組成物から5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、より好ましくは0.5μm以上の粗大粒子および混入した塵を除去することが好ましい。
着色層の各々は、基板上に印刷法またはフォトリソグラフィー法によって形成することができる。基板としては、ソーダ石灰ガラス、低アルカリ硼珪酸ガラス、無アルカリアルミノ硼珪酸ガラスなどのガラス板;ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂板が用いられる。基板の表面には、パネル形成後に素子を駆動するために、酸化インジウム、酸化錫などからなる透明電極が形成されていてもよい。基板上には本発明に係る液晶固定化層が形成されていてもよい。
印刷法による、各色の表示画素の形成に関しては、上述したように印刷インキとして調製した着色組成物の印刷と乾燥を繰り返すだけでパターン化ができる。このため、印刷法は、低コストで量産性に優れている。しかも、近年の印刷技術の発展により、高い寸法精度および平滑度を有する微細パターンの印刷を行うことができる。印刷法を利用する場合、着色組成物が印刷版またはブランケット上で乾燥、固化しないように着色組成物の組成を設計する。また、印刷法では、印刷機内での着色組成物の流動性を最適化することも重要である。このため、着色組成物に分散剤や体質顔料を添加して、その粘度を調整してもよい。
着色層の各々は、フォトリソグラフィー法を利用して形成してもよい。フォトリソグラフィー法を用いる場合、まず、溶剤現像型またはアルカリ現像型着色レジストとして調製した着色組成物を、基材上にスプレーコート、スピンコート、スリットコート、ロールコートなどの方法により塗布する。この塗膜は、乾燥膜厚が例えば0.2乃至10μmとなるように形成する。塗膜を乾燥させる際には、減圧乾燥機、コンベクションオーブン、IRオーブン、ホットプレートなどを用いる。塗膜の乾燥は、省略することができる。この塗膜と接触または非接触状態で設けられた所定のパターンを有するフォトマスクを通して紫外線露光を行う。その後、塗膜を現像液に浸漬させるかまたは塗膜に現像液を噴霧し、塗膜から可溶部を除去して、所望のパターンを形成する。同様の操作を他の色の表示画素について繰り返す。以上のようにしてカラーフィルタ層を得る。この方法では、着色レジストの重合を促進するために、必要に応じて熱処理を施してもよい。フォトリソグラフィー法によれば、印刷法より高い精度でカラーフィルタ層を形成することができる。
現像に際しては、アルカリ現像液として、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウムなどの水溶液を使用することができる。あるいは、アルカリ現像液として、ジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミンなどの有機アルカリを用いることもできる。現像液には、消泡剤、界面活性剤などの添加剤を添加してもよい。現像処理法としては、シャワー現像法、スプレー現像法、ディップ(浸漬)現像法、パドル(液盛り)現像法などを適用することができる。
紫外線露光感度を高めるために、以下の処理を追加してもよい。すなわち、着色レジストの塗膜を乾燥させた後、水溶性またはアルカリ水溶性樹脂、例えばポリビニルアルコールまたは水溶性アクリル樹脂を塗布し乾燥して膜を形成する。後者の膜は、着色レジストの塗膜における重合が酸素によって阻害されるのを防止するので、より高い露光感度を達成できる。
カラーフィルタ層は、他の方法で形成してもよい。例えば、インキジェット法、電着法または転写法を利用して形成してもよい。インキジェット法によってカラーフィルタ層を形成する場合、基材上に予め遮光性離画壁を形成しておき、この遮光性離画壁によって区画された領域に向けてノズルからインキを吐出することにより各着色層を得る。電着法によってカラーフィルタ層を形成する場合、基材上に予め透明導電膜を形成しておき、着色組成物からなるコロイド粒子の電気泳動によって着色組成物を透明導電膜上に堆積させることにより各着色層を得る。転写法を利用する場合、剥離性の転写ベースシートの表面に予めカラーフィルタ層を形成しておき、このカラーフィルタ層をベースシートから基材上に転写する。
次に、本発明における液晶固定化層の形成方法を説明する。種々の方法を利用することができるが、基板上にサーモトロピック液晶性を示し、かつ光重合性および/または光架橋性を示す液晶化合物を含むコーティング液を塗布し、露光と加熱を併用して硬化させる方法が簡便である。
このコーティング液は、液晶化合物および溶剤に加え、キラル剤、光重合開始剤、熱重合開始剤、増感剤、連鎖移動剤、多官能モノマーおよび/またはオリゴマー、樹脂、界面活性剤、貯蔵安定剤、密着向上剤などの成分を、液晶性を損なわない範囲で加えることができる。
サーモトロピック液晶の例としては、アルキルシアノビフェニル、アルコキシビフェニル、アルキルターフェニル、フェニルシクロヘキサン、ビフェニルシクロヘキサン、フェニルビシクロヘキサン、ピリミジン、シクロヘキサンカルボン酸エステル、ハロゲン化シアノフェノールエステル、アルキル安息香酸エステル、アルキルシアノトラン、ジアルコキシトラン、アルキルアルコキシトラン、アルキルシクロヘキシルトラン、アルキルビシクロヘキサン、シクロヘキシルフェニルエチレン、アルキルシクロヘキシルシクロヘキセン、アルキルベンズアルデヒドアジン、アルケニルベンズアルデヒドアジン、フェニルナフタレン、フェニルテトラヒドロナフタレン、フェニルデカヒドロナフタレン、およびこれらの誘導体、ならびにこれらの化合物のアクリレートが挙げられる。
光重合開始剤、増感剤、連鎖移動剤、多官能モノマーおよび/またはオリゴマー、樹脂、界面活性剤、貯蔵安定剤、密着向上剤としては、着色組成物について例示したのと同様のものを使用することができる。溶剤としても、着色組成物について例示したのと同様のものを使用することができる。
次に、コーティング液を基材上に塗布する。この際、必要に応じて、基材表面に配向能を有する膜を形成しておくか、または基材表面そのものが配向規制力を発現するように処理を施しておく。塗布には、スピンコート法、スリットコート法、凸版印刷法、スクリーン印刷法、平板印刷法、反転印刷法、グラビア印刷法、その他の印刷法、およびこれらの印刷法にオフセット印刷法を組み合わせた方法、インキジェット法、バーコート法、ならびにその他の既知の塗布法を適用できる。
続いて、成膜されたコーティング液を乾燥し、液晶化合物を含む薄膜を形成した後、領域ごとに異なる照射量でパターン露光を行う。これによって、薄膜中の成分が重合および/または架橋するのに十分な第1の量の光が照射された領域では、液晶化合物が配向状態を保ったまま固定化される。それより少ない第2の量の光が照射された領域では、未硬化成分を残して一部の液晶化合物が固定化される。光が照射されなかった領域では、全ての液晶化合物が未反応の状態のままとなる。露光には、紫外線、電子線、可視光線、赤外線などの放射線を用いることができる。本発明において、「光」とは前記放射線のうち1種または複数種を意味し、「光によって重合」および「光重合性」などの表現も同様に前記放射線のうち1種または複数種に関する特性を意味する。
このように領域によって異なる照射量で露光された基板を、液晶化合物の等方相への相転移温度以上に加熱する。このとき、不十分な量の光が照射された領域では、その照射量に応じて残る未硬化成分により液晶化合物の配向が乱れて低配向状態となる。一方、十分な量の光が照射された領域では、液晶化合物が配向を保って固定化されたままの状態、すなわち高配向状態となる。
最後に、液晶化合物が等方相に保持される温度以上に維持したまま、基板の全面露光を行うと、低配向状態の領域および高配向状態の領域のいずれでも重合および/または架橋が起こり、液晶化合物が固定化される。このような方法により、表示画素ごとに配向の程度が異なった液晶固定化層が得られる。液晶化合物によっては等方相が保持される温度の下限が等方相への相転移温度より低いため、このような液晶化合物を用いる場合には全面露光時の温度を先の加熱温度よりも低くしてもよい。しかし、通常は薄膜を液晶化合物の等方相への相転移温度以上に加熱し、その温度を維持したまま全面露光するのが簡便である。なお、この全面露光においては、薄膜中の成分が重合および/または架橋するのに十分な量の光を照射する。
本発明における液晶固定化層の別の形成方法を説明する。この方法では、サーモトロピック液晶性を示し光重合性および/または光架橋性とともに熱重合性および/または熱架橋性も有する液晶化合物を用い、上記と同様に、塗布工程、パターン露光工程、加熱工程、全面露光工程を行うものである。この場合、全面露光工程の後に、液晶化合物が熱重合および/または熱架橋される以上の温度に加熱することで、硬化をさらに進行させてより強固な液晶固定化層を形成することもできる。
本発明における液晶固定化層のさらに別の形成方法を説明する。この方法では、2番目に説明した方法と同様に塗布工程、パターン露光工程、加熱工程を行った後、全面露光工程の代わりに、液晶化合物の等方相への相転移温度以上であって、熱重合および/または熱架橋がなされる以上の温度に加熱する工程を行うものである。この場合、連続する2つの加熱工程において以下のように状態が変化する。最初の加熱工程において、不十分な量の光が照射された領域ではその照射量に応じて残る未硬化成分の配向が乱れて低配向状態になり、十分な量の光が照射された領域では加熱によっても配向が乱れることなく高配向状態になる。次の加熱工程において、各々の領域で液晶化合物の配向状態が保持されたまま、熱重合および/または熱架橋が進行する。
なお、液晶化合物が等方相に保持される以上の温度に維持したまま、基板を追加で露光して液晶化合物を光重合および/または光架橋させる場合、それ以前の工程でパターン露光を行った際に最大の照射量で光照射が行われた領域が露光過多にならないように照射量を調節しながら露光を行うこともできる。もちろん、この方法は全面露光を行う場合に比べて工程が複雑になるが、過露光によって液晶化合物に好ましくない反応が発生することが懸念されるような場合、それを抑制する効果的な方法となる。
領域ごとに異なる量の光を照射する方法としては、複数のフォトマスクを使用して複数回の露光を行う方法、同一のフォトマスクを使用してこれを移動させながら複数回の露光を行う方法、光の透過率の異なる複数の領域を持つハーフトーンマスクを使用する方法、露光機の解像度以下のスリットを有する部分からなる複数の領域を持つグレイトーンマスクを使用する方法、光の透過波長の異なる複数の領域を持つ波長制限マスクを使用する方法、電子ビームなどの光束を走査して描画する方法、およびこれらの組み合わせが考えられる。ただし、これらの方法に限定されず、所望する領域に必要なだけの光を照射できる方法であればどのような方法でもよい。
上記の複数の形成方法のいずれにおいても、パターン露光における光照射量の多少が、そのまま複屈折率の多少に単純に比例するわけでは必ずしもない。しかし、照射量を変えて露光した後に現像することによって膜厚を制御しようとする方法とは異なり、これらの方法において各表示画素は現像工程などのいわゆるウェット工程を経ずに形成される。このため、同一の材料を使用する限り、光照射量に対する複屈折率の発現量の再現性が高い。従って、所望の位相差を得るために必要な条件を見出すのが容易であり、安定した製造を行うことも容易である。
次に、本発明に係る円偏光基板に用いられる直線偏光板を得る方法について説明する。直線偏光板は、偏光フィルムの片側または両側に、適宜の接着層を介して保護層となる透明保護フィルムを接着したものからなる。
偏光フィルムは特に限定されず、ポリビニルアルコール(PVA)系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルムのような親水性高分子フィルムに、ヨウ素および/または二色性染料を吸着させて延伸したもの;ポリビニルアルコールの脱水処理物、ポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物のようなポリエン配向フィルムなどが挙げられる。特に、ヨウ素または二色性染料を吸着配向させたポリビニルアルコール系フィルムが好ましい。偏光フィルムの厚さは特に限定されないが、1乃至80μmが一般的である。なお、偏光フィルムの透過軸は、フィルムの延伸方向に垂直な方向に相当する。
偏光フィルムの片側または両側に保護層として設けられる透明保護フィルムの素材としては適宜な透明フィルムを用いることができる。特に、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性などに優れたポリマーからなるフィルムを用いることが好ましい。このようなポリマーの例としては、トリアセチルセルロースのようなアセテート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂などが挙げられるが、これらに限定されない。
偏光フィルムと透明保護フィルムとの接着処理は、アクリル系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマーからなる接着剤、あるいはホウ酸、ホウ砂、グルタルアルデヒド、メラミン、シュウ酸などのビニルアルコール系ポリマーの水溶性架橋剤を含む接着剤を介して行うことができる。これにより、湿度や熱の影響ではがれにくく、光透過性や偏光度に優れたものにすることができる。このような接着層は水溶液の塗布乾燥層などとして形成されるが、その水溶液の調製に際しては、必要に応じて、他の添加剤や酸などの触媒を配合することもできる。特に、PVAフィルムとの接着性に優れる点から、ポリビニルアルコールからなる接着剤を用いることが好ましい。
直線偏光板は接着剤(粘着剤)を介して基板に積層することができる。接着剤(粘着剤)は特に限定されず、アクリル系、シリコーン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリエーテル系、ゴム系などの透明な感圧接着剤など適宜な接着剤を用いることができる。フィルムの光学特性の変化を防止する観点から、高温および長時間の乾燥処理および硬化処理を要しないものが好ましい。また、加熱したときに剥離などを生じないものが好ましい。
上記のようにして製造された本発明に係る円偏光基板において、各表示画素における液晶固定化層の位相差は、各表示色の波長の1/4波長となるように制御することが好ましい。具体的には、緑の波長領域(中心波長550nm前後)では138nm程度であることが好ましく、青の波長領域(中心波長450nm前後)では113nm程度であることが好ましく、赤の波長領域(中心波長630nm前後)では158nm程度であることが好ましい。また、直線偏光板の透過軸と液晶固定化層の遅相軸または進相軸とのなす角度が45度であることが好ましい。このような構成により、各表示色の光に対して完全円偏光状態が得られるような円偏光基板を作製することができる。
本発明に係る円偏光基板は、有機EL表示装置に好適に用いられ、外光反射の防止、および外光をカットすることによる発光層へのダメージ抑制効果などが得られる。
以下に、本発明の実施例を説明する。
なお、以下の例では、感光性材料を取り扱う全ての作業は、それら材料の不所望な感光を防ぐために、黄色又は赤色灯下で行った。
はじめに、本実施形態の偏光板について説明する。まず、洗浄したガラス基板上に、厚さ0.15μmのアルミニウム膜を成膜する。このとき、アルミニウム膜の両面はクロム酸化物の膜をコートし、反射防止膜とする。続いて、ポジ型のフォトレジストをガラス基板上に成膜されたアルミニウム膜上にスピン成膜する。次いで、2光束干渉露光にて露光を行い、現像を行うことでポジ型のフォトレジストのパターン露光部は除去され、アルミニウム膜が露出する。続いて、エッチング液より露出部を除去し、最後に残余のレジストも除去することで、ガラス基板上に金属ワイヤを形成することができた。ここで、ランダム偏光(自然偏光)の光を入射させると、金属ワイヤに直交に振動する偏光は透過するようなワイヤグリッド偏光子となる。このとき、作製したワイヤグリッド偏光子の金属ワイヤのピッチは約200μmであり、厚みは約0.15μmであった。
次に、カラーフィルタ層を形成するのに用いたアルカリ現像型着色組成物の製造、その製造に使用したアクリル樹脂溶液及び顔料分散液の調製、並びに顔料分散液の調製に使用したソルトミリング処理顔料の製造について説明する。
<アクリル樹脂溶液1の調製>
反応容器にシクロヘキサノン370質量部を投入し、この容器に窒素ガスを供給しながら80℃に加熱した。容器内の液温をこの温度に維持しながら、下記モノマー及び熱重合開始剤の混合物を1時間かけて容器内に滴下して重合反応を生じさせた。
メタクリル酸 20.0質量部
メチルメタクリレート 10.0質量部
n−ブチルメタクリレート 55.0質量部
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 15.0質量部
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 4.0質量部
滴下終了後、反応を80℃で更に3時間継続させた。その後、アゾビスイソブチロニトリル1.0質量部をシクロヘキサノン50質量部に溶解させたてなる溶液を容器内の液に添加し、反応を80℃で更に1時間継続させて、アクリル樹脂の溶液を得た。このアクリル樹脂の重量平均分子量は、約40000であった。
室温まで冷却した後、先の樹脂溶液の約2gをサンプリングした。このサンプルを180℃で20分間加熱することにより乾燥させ、不揮発分の質量を測定した。この測定結果に基いて、不揮発分の濃度が20質量%になるように、先の樹脂溶液にシクロヘキサノンを添加した。以上のようにして、アクリル樹脂溶液1を調製した。
<アクリル樹脂溶液2の調製>
反応容器にシクロヘキサノン370質量部を投入し、この容器に窒素ガスを供給しながら80℃に加熱した。容器内の液温をこの温度に維持しながら、下記モノマー及び熱重合開始剤の混合物を1時間かけて容器内に滴下して重合反応を生じさせた。
メタクリル酸 20.0質量部
メチルメタクリレート 10.0質量部
n−ブチルメタクリレート 35.0質量部
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 15.0質量部
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 4.0質量部
パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート 20.0質量部
(東亜合成株式会社製「アロニックスM110」)
滴下終了後、反応を80℃で更に3時間継続させた。その後、アゾビスイソブチロニトリル1.0質量部をシクロヘキサノン50質量部に溶解させたてなる溶液を容器内の液に添加し、反応を80℃で更に1時間継続させて、アクリル樹脂の溶液を得た。このアクリル樹脂の重量平均分子量は、約40000であった。
室温まで冷却した後、先の樹脂溶液の約2gをサンプリングした。このサンプルを180℃で20分間加熱することにより乾燥させ、不揮発分の質量を測定した。この測定結果に基いて、不揮発分の濃度が20質量%になるように、先の樹脂溶液にシクロヘキサノンを添加した。以上のようにして、アクリル樹脂溶液2を調製した。
<アクリル樹脂溶液3の調製>
反応容器にシクロヘキサノン560質量部を投入し、この容器に窒素ガスを供給しながら80℃に加熱した。容器内の液温をこの温度に維持しながら、下記モノマー及び熱重合開始剤の混合物を1時間かけて容器内に滴下して重合反応を生じさせた。
メタクリル酸 34.0質量部
メチルメタクリレート 23.0質量部
n−ブチルメタクリレート 45.0質量部
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 70.5質量部
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 8.0質量部
滴下終了後、反応を100℃で更に3時間継続させた。その後、アゾビスイソブチロニトリル1.0質量部をシクロヘキサノン55質量部に溶解させたてなる溶液を容器内の液に添加し、反応を80℃で更に1時間継続させて、共重合体溶液を得た。
次に、得られた共重合体溶液338質量部に、下記化合物の混合物を70℃で3時間かけて滴下した。
2−メタクロイルエチルイソシアネート 32.0質量部
ラウリン酸ジブチル錫 0.4質量部
シクロヘキサノン 120.0質量部
室温まで冷却した後、先の樹脂溶液の約2gをサンプリングした。このサンプルを180℃で20分間加熱することにより乾燥させ、不揮発分の質量を測定した。この測定結果に基いて、不揮発分の濃度が20質量%になるように、先の樹脂溶液にシクロヘキサノンを添加した。以上のようにして、アクリル樹脂溶液3を調製した。得られたアクリル樹脂の重量平均分子量は20000であり、二重結合当量は470であった。
<アクリル樹脂溶液4の調製>
反応容器にシクロヘキサノン560質量部を投入し、この容器に窒素ガスを供給しながら80℃に加熱した。容器内の液温をこの温度に維持しながら、下記モノマー及び熱重合開始剤の混合物を1時間かけて容器内に滴下して重合反応を生じさせた。
メタクリル酸 34.0質量部
メチルメタクリレート 23.0質量部
n−ブチルメタクリレート 25.0質量部
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 70.5質量部
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 8.0質量部
パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート 20.0質量部
(東亜合成株式会社製「アロニックスM110」)
滴下終了後、反応を100℃で更に3時間継続させた。その後、アゾビスイソブチロニトリル1.0質量部をシクロヘキサノン55質量部に溶解させたてなる溶液を容器内の液に添加し、反応を80℃で更に1時間継続させて、共重合体溶液を得た。
次に、得られた共重合体溶液338質量部に、下記化合物の混合物を70℃で3時間かけて滴下した。
2−メタクロイルエチルイソシアネート 32.0質量部
ラウリン酸ジブチル錫 0.4質量部
シクロヘキサノン 120.0質量部
室温まで冷却した後、先の樹脂溶液の約2gをサンプリングした。このサンプルを180℃で20分間加熱することにより乾燥させ、不揮発分の質量を測定した。この測定結果に基いて、不揮発分の濃度が20質量%になるように、先の樹脂溶液にシクロヘキサノンを添加した。以上のようにして、アクリル樹脂溶液4を調製した。得られたアクリル樹脂の重量平均分子量は20000であり、二重結合当量は470であった。
<赤色ソルトミリング処理顔料の製造>
赤色顔料(C.I.pigment red 254、チバ・スペシャリティー・ケミカルズ株式会社製「イルガフォアレッドB−CF」)200質量部、塩化ナトリウム1400質量部、及びジエチレングリコール360質量部を、ステンレス製1ガロンニーダ(井上製作所製)内に仕込み、80℃で6時間混練した。次に、この混練物を8リットルの温水中に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とした。このスラリーの濾過と濾過ケークの水洗とを繰り返して、顔料から塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた。その後、濾過ケークを85℃で一昼夜乾燥して、190質量部の「P.R.254処理顔料」を得た。
<緑色ソルトミリング処理顔料の製造>
赤色顔料の代わりに緑色顔料(C.I.pigment green 36、東洋インキ製造株式会社製「リオノールグリーン 6YK」)を使用したこと以外は、赤色ソルトミリング処理顔料について説明したのと同様の方法により、「P.G.36処理顔料」を得た。
<黄色ソルトミリング処理顔料の製造>
赤色顔料の代わりに黄色顔料(C.I.pigment yellow 138、東洋インキ製造株式会社製「リオノールエロー 1030」)を使用したこと以外は、赤色ソルトミリング処理顔料について説明したのと同様の方法により、「P.Y.138処理顔料」を得た。
<青色ソルトミリング処理顔料の製造>
赤色顔料の代わりに青色顔料(C.I.pigment blue 15:6、BASF社製「ヘリオゲンブルーL−6700F」)を使用したこと以外は、赤色ソルトミリング処理顔料について説明したのと同様の方法により、「P.B.15:6処理顔料」を得た。
<紫色ソルトミリング処理顔料の製造>
赤色顔料の代わりに紫色顔料(C.I.pigment violet 23、東洋インキ製造株式会社製「リオノゲンバイオレット R6200」)を使用したこと以外は、赤色ソルトミリング処理顔料について説明したのと同様の方法により、「P.V.23処理顔料」を得た。
<赤色顔料分散液の調製>
下記材料を撹拌して均一な混合物を調製した。この混合物を、アイガーミルを用いた10時間の処理に供して、固形分を液中に均一に分散させた。ここでは、粉砕媒体として、直径0.5mmのジルコニアビーズを使用した。その後、この分散液を濾過して、赤色顔料分散液を得た。この濾過には、直径1.0μm以上の粒子を液相から分離可能なフィルタを使用した。
P.R.254処理顔料 8.0質量部
分散助剤(アビシア社製「ソルスパーズ20000」) 1.0質量部
アクリル樹脂溶液1 40.0質量部
シクロヘキサノン 51.0質量部
<緑色顔料分散液の調製>
下記材料を撹拌して均一な混合物を調製した。この混合物を、アイガーミルを用いた10時間の処理に供して、固形分を液中に均一に分散させた。ここでは、粉砕媒体として、直径0.5mmのジルコニアビーズを使用した。その後、この分散液を濾過して、緑色顔料分散液を得た。この濾過には、直径1.0μm以上の粒子を液相から分離可能なフィルタを使用した。
P.G.36処理顔料 8.0質量部
分散助剤(アビシア社製「ソルスパーズ20000」) 1.0質量部
アクリル樹脂溶液1 40.0質量部
シクロヘキサノン 51.0質量部
<黄色顔料分散液の調製>
下記材料を撹拌して均一な混合物を調製した。この混合物を、アイガーミルを用いた10時間の処理に供して、固形分を液中に均一に分散させた。ここでは、粉砕媒体として、直径0.5mmのジルコニアビーズを使用した。その後、この分散液を濾過して、黄色顔料分散液を得た。この濾過には、直径1.0μm以上の粒子を液相から分離可能なフィルタを使用した。
P.Y.138処理顔料 8.0質量部
分散助剤(アビシア社製「ソルスパーズ20000」) 1.0質量部
アクリル樹脂溶液1 40.0質量部
シクロヘキサノン 51.0質量部
<青色顔料分散液の調製>
下記材料を撹拌して均一な混合物を調製した。この混合物を、アイガーミルを用いた10時間の処理に供して、固形分を液中に均一に分散させた。ここでは、粉砕媒体として、直径0.5mmのジルコニアビーズを使用した。その後、この分散液を濾過して、青色顔料分散液を得た。この濾過には、直径1.0μm以上の粒子を液相から分離可能なフィルタを使用した。
P.B.15:6処理顔料 8.0質量部
分散助剤(ビックケミー社製「BYK111」) 1.0質量部
アクリル樹脂溶液2 40.0質量部
シクロヘキサノン 51.0質量部
<紫色顔料分散液の調製>
下記材料を撹拌して均一な混合物を調製した。この混合物を、アイガーミルを用いた10時間の処理に供して、固形分を液中に均一に分散させた。ここでは、粉砕媒体として、直径0.5mmのジルコニアビーズを使用した。その後、この分散液を濾過して、紫色顔料分散液を得た。この濾過には、直径1.0μm以上の粒子を液相から分離可能なフィルタを使用した。
P.V.23処理顔料 8.0質量部
分散助剤(ビックケミー社製「BYK111」) 1.0質量部
アクリル樹脂溶液2 40.0質量部
シクロヘキサノン 51.0質量部
<赤色着色組成物の製造>
下記材料を撹拌して均一な混合物を調製した。この混合物を濾過して、アルカリ現像型赤色着色組成物を得た。この濾過には、直径0.6μm以上の粒子を液相から分離可能なフィルタを使用した。
赤色顔料分散液 50.0質量部
アクリル樹脂溶液3 10.0質量部
トリメチロールプロパントリアクリレート 3.0質量部
(新中村化学株式会社製「NKエステルATMPT」)
光重合開始剤 1.8質量部
(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ株式会社製「イルガキュアー907」)
増感剤(保土ヶ谷化学株式会社製「EAB−F」) 0.2質量部
シクロヘキサノン 10.0質量部
<緑色着色組成物の製造>
下記材料を撹拌して均一な混合物を調製した。この混合物を濾過して、アルカリ現像型緑色着色組成物を得た。この濾過には、直径0.6μm以上の粒子を液相から分離可能なフィルタを使用した。
緑色顔料分散液 30.0質量部
黄色顔料分散液 20.0質量部
アクリル樹脂溶液3 10.0質量部
トリメチロールプロパントリアクリレート 3.0質量部
(新中村化学株式会社製「NKエステルATMPT」)
光重合開始剤 1.8質量部
(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ株式会社製「イルガキュアー907」)
増感剤(保土ヶ谷化学株式会社製「EAB−F」) 0.2質量部
シクロヘキサノン 10.0質量部
<青色着色組成物の製造>
下記材料を撹拌して均一な混合物を調製した。この混合物を濾過して、アルカリ現像型青色着色組成物を得た。この濾過には、直径0.6μm以上の粒子を液相から分離可能なフィルタを使用した。
青色顔料分散液 45.0質量部
紫色顔料分散液 5.0質量部
アクリル樹脂溶液4 10.0質量部
トリメチロールプロパントリアクリレート 3.0質量部
(新中村化学株式会社製「NKエステルATMPT」)
光重合開始剤 1.8質量部
(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ株式会社製「イルガキュアー907」)
増感剤(保土ヶ谷化学株式会社製「EAB−F」) 0.2質量部
シクロヘキサノン 10.0質量部

上記の赤色着色組成物を、スピンコータを用いて、乾燥膜厚が1.0μmになるように偏光板上に塗布した。次いで、クリーンオーブンを用いた70℃での20分間の加熱により塗膜を乾燥させた。基板を室温まで冷却させた後、フォトマスクを介して塗膜に紫外線を照射した。紫外線源としては、超高圧水銀灯を使用した。次に、この塗膜を23℃の炭酸ナトリウム水溶液を用いたスプレー現像に供した。その後、塗膜をイオン交換水で洗浄し、風乾させた。更に、クリーンオーブンを用いて、塗膜を230℃で30分間焼成した。以上のようにして、基板上に赤色着色層を形成した。
次に、赤色着色組成物の代わりに緑色着色組成物を用いたこと以外は赤色着色組成物について説明したのと同様の方法により、赤色着色層を形成した基板上に緑色着色層を更に形成した。その後、赤色着色組成物の代わりに青色着色組成物を用いたこと以外は赤色着色組成物について説明したのと同様の方法により、赤色着色層及び緑色着色層を形成した基板上に青色着色層を更に形成した。以上のようにして、カラーフィルタ層を得た。
このカラーフィルタ層とガラス板との積層体について、基板面内方向リターデイションReを測定した。その結果、赤色着色層に対応した部分の波長630nmの光についてのリターデイションRe、緑色着色層に対応した部分の波長550nmの光についてのリターデイションRe、及び青色着色層に対応した部分の波長450nmの光についてのリターデイションReは、何れもゼロであった。
次に、配向膜材料(日産化学工業株式会社製「SE−1410」)を、スピンコータを用いて、乾燥膜厚が0.1μmになるようにカラーフィルタ層上に塗布した。次いで、ホットプレートを用いた90℃での1分間の加熱により塗膜を乾燥させた。続いて、クリーンオーブンを用いて、塗膜を230℃で40分間焼成した。更に、この塗膜に対し、その主面に平行な一方向にラビング処理を施して、配向膜を得た。
次に、下記材料を撹拌して均一な混合物を調製した。この混合物を濾過して、コーティング液を得た。この濾過には、直径0.6μm以上の粒子を液相から分離可能なフィルタを使用した。
水平配向重合性液晶 39.7質量部
(BASFジャパン株式会社製「Paliocolor LC 242」)
光重合開始剤 0.3質量部
(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ株式会社製「イルガキュアー907」)
界面活性剤 6.0質量部
(ビックケミー社製「BYK111」2%シクロヘキサノン溶液)
シクロヘキサノン 154.0質量部
このコーティング液を、スピンコータを用いて、乾燥膜厚が1.6μmになるように配向膜上に塗布した。次いで、ホットプレートを用いた90℃での2分間の加熱により塗膜を乾燥させた。以上のようにして、配向膜上に液晶材料層を形成した。
次に、液晶材料層のうち赤色着色層、緑色着色層及び青色着色層に対応した領域の各々に、フォトマスクを介して紫外線を照射した。紫外線源としては、超高圧水銀灯を使用した。赤色着色層に対応した領域の露光量は500mJ/cm2とし、緑色着色層に対応した領域の露光量は200mJ/cm2とし、青色着色層に対応した領域の露光量は5mJ/cm2とした。
その後、クリーンオーブンを用いて液晶材料層を230℃で40分間焼成して、液晶固定化層を得た。以上のようにして、リターデイション基板を製造した。
このリターデイション基板について、基板面内方向リターデイションReを測定した。その結果、赤色着色層に対応した部分の波長630nmの光についてのリターデイションReは157nmであった。緑色着色層に対応した部分の波長550nmの光についてのリターデイションReは133nmであった。青色着色層に対応した部分の波長450nmの光についてのリターデイションReは121nmであった。
このようにして製造した円偏光基板を用いて有機EL表示装置を製造したところ、外光反射の防止および外光をカットすることによる発光層へのダメージ抑制効果が得られた。外光反射の結果を表1に示す。ここで従来の円偏光板は各色で位相差制御をしていない位相差フィルムを用いたものである。従来の円偏光板の外光反射を100とすると、本発明の円偏光板の外光反射は58と、6割程度に抑制することが可能となる。
Figure 2009258702
1…透明電極、2R…赤色発光層、2G…緑色発光層、2B…青色発光層、3…金属電極、4…白色発光層、5R、12R…赤色カラーフィルタ層、5G、12G…緑色カラーフィルタ層、5B、12B…青色カラーフィルタ層、11…ガラス基板、13B、13G、13B…液晶固定化層、14…直線偏光板。

Claims (11)

  1. 基板と、前記基板の片面に形成され第1乃至第3の表示画素に対応して設けられた液晶固定化層とを有し、前記液晶固定化層は光学異方性を有し、前記基板と液晶固定化層の間に直線偏光変換機能を有する層を有し、
    前記液晶固定化層は第1乃至第3の表示画素ごとに配向の程度が異なることに起因して複屈折率が異なり、
    前記液晶固定化層は、第1乃至第3の表示画素における各表示色のピーク波長に対して1/4波長の位相差を有することを特徴とする円偏光基板。
  2. 前記直線偏光板の透過軸と前記液晶固定化層の遅相軸または進相軸とのなす角度が45度であることを特徴とする請求項1に記載の円偏光基板。
  3. 前記液晶固定化層は、第1乃至第5の表示画素における各表示色において、前期偏光板を通過して、液晶固定化層の遅相軸または進相軸とのなす角度が45度の直線偏光となった光が円偏光となるような位相差を有することを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の円偏光板。
  4. 前記液晶固定化層は、サーモトロピック液晶性を示す液晶化合物を重合および/または架橋させて形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の円偏光基板。
  5. 基板と、前記基板の片面に形成され第1乃至第3の表示画素に対応して設けられた液晶固定化層と、前記基板の液晶固定化層と反対面に形成された直線偏光板とを有する円偏光基板を製造するにあたり、
    (a)基板の片面上に直線偏光変換機能を有する層を形成する工程と、
    (b)前記基板の直線偏光変換機能を有する層の上面に、サーモトロピック液晶性を示し、かつ光重合性および/または光架橋性を示す液晶化合物を含む溶液を塗布し、前記液晶化合物が配向した薄膜を形成する工程と、
    (c)前記基板を、第1乃至第3の表示画素ごとに異なる照射量となるように露光する工程と、
    (d)前記基板を、前記液晶化合物が等方相へ転移する相転移温度以上に加熱する工程と、
    (e)前記基板を、前記液晶化合物が等方相に保持される温度以上に維持したまま露光して、第1乃至第3の表示画素ごとに配向の程度が異なる液晶固定化層を形成する工程とを含むことを特徴とする円偏光基板の製造方法。
  6. 前記(b)工程において、前記液晶化合物が配向した薄膜を、基板全面で膜厚が実質的に均一になるように形成することを特徴とする請求項5に記載の円偏光基板の製造方法。
  7. 前記(b)工程における、サーモトロピック液晶性を示し光重合性および/または光架橋性を示す液晶化合物が、熱重合性および/または熱架橋性も有する液晶化合物であり、前記(e)工程において、前記基板を、前記液晶化合物が等方相に保持される温度以上、かつ熱重合および/または熱架橋がなされる温度以上に維持することを特徴とする請求項5または6のいずれかに記載の円偏光基板の製造方法。
  8. 前記(e)工程において、前記基板を、前記液晶化合物が等方相に保持される温度以上に維持したまま、前記(c)工程で最大の照射量で露光された領域以外の領域を露光することを特徴とする請求項5または6のいずれかに記載の円偏光基板の製造方法。
  9. 前記(e)工程において、前記(c)工程で最大の照射量で露光された領域以外のそれぞれの領域における露光量を、前記(c)工程での露光量との合計で、前記(c)工程で最大の照射量で光照射が行われた領域の露光量と実質的に同一になるように露光することを特徴とする請求項8に記載の円偏光基板の製造方法。
  10. 前記(a)工程を行う前に、基板上にカラーフィルタ層を形成することを特徴とする請求項5ないし9のいずれか1項に記載の円偏光基板の製造方法。
  11. 前記(e)工程を行った後に、液晶固定化層上にカラーフィルタ層を形成することを特徴とする請求項5ないし9のいずれか1項に記載の円偏光基板の製造方法。
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