以下、本発明の態様について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、同様または類似した機能を発揮する構成要素には全ての図面を通じて同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
図1は、本発明の一態様に係る液晶表示装置を概略的に示す平面図である。図2は、図1に示す液晶表示装置のII−II線に沿った断面図である。図3は、図1に示す液晶表示装置のIII−III線に沿った断面図である。図4は、図1に示す液晶表示装置のIV−IV線に沿った断面図である。図5は、図1に示す液晶表示装置のV−V線に沿った断面図である。図6は、図1に示す液晶表示装置が含み得るカラーフィルタ層の一例を概略的に示す平面図であり、図7は、本発明の他の態様に係る液晶表示装置が含み得るカラーフィルタ層の一例を概略的に示す平面図である。図8は、図1乃至図5に示す液晶表示装置が含んでいる固体化液晶層を概略的に示す平面図である。
図1乃至図5に示す液晶表示装置は、アクティブマトリクス駆動方式を採用した半透過型液晶表示装置である。この液晶表示装置は、アレイ基板10と対向基板20と液晶層30と一対の偏光板(図示せず)とバックライト(図示せず)とを含んでいる。
アレイ基板10は、平面体110を含んでいる。平面体110は、平面を有する光透過性部材であり、例えばガラス板または樹脂板などである。
平面体110の一方の主面上には、画素回路(図示せず)と走査線(図示せず)と信号線(図示せず)と画素電極とが形成されている。
画素回路は、各々が薄膜トランジスタなどのスイッチング素子を含んでいる。画素回路は、平面体110上でマトリクス状に配列している。
走査線は、画素回路の行に対応して配列している。各画素回路の動作は、走査線から供給される走査信号によって制御される。
信号線は、画素回路の列に対応して配列している。各画素電極は、画素回路を介して信号線に接続されている。
各画素電極は、互いに電気的に接続された透明電極150Tと反射電極150Rとを含んでいる。透明電極150Tは、反射電極150Rと向き合っていない非重複部を含んでいる。各画素のうち、この非重複部に対応した部分が透過表示用領域であり、反射電極150Rに対応した部分が反射表示用領域である。
透明電極150Tは、透明導電体からなる。透明導電体としては、例えば、インジウム錫酸化物および錫酸化物などの透明導電性酸化物を使用することができる。
反射電極150Rは、金属または合金からなる。金属または合金としては、例えば、アルミニウム、銀またはそれらの合金を使用することができる。
反射電極150Rは、透明電極150T上に形成されている。これにより、反射電極150Rと透明電極150Tとを電気的に接続している。その代わりに、反射電極150R上に透明電極150Tを形成してもよい。あるいは、他の導電体を介して、反射電極150Rと透明電極150Tとを電気的に接続してもよい。
画素電極は、配向膜160で被覆されている。配向膜160は、例えば垂直配向膜である。配向膜160の材料としては、例えば、ポリイミドなどの透明樹脂層を使用することができる。
対向基板20は、平面体210を含んでいる。平面体210は、配向膜160と向き合っている。平面体210は、ガラス板または樹脂板などの光透過性の平面体である。
平面体210の配向膜160との対向面には、固体化液晶層230とカラーフィルタ層220と対向電極250と配向膜260とがこの順に形成されている。
カラーフィルタ層220は、平面体210の一方の主面上で配列した複数の単位領域を含んでいる。各単位領域は、先の主面上で配列した第1乃至第3着色画素を含んでいる。カラーフィルタ層220には、複数の貫通孔270が設けられている。貫通孔270は、それぞれ複数の貫通孔271乃至273を含んでいる。
第1着色画素は、一部の透明電極150Tと向き合っている。第1着色画素は、Y方向に各々が延び、X方向に配列した複数の帯状パターンを形成している。なお、X方向およびY方向は、平面体210の上記主面に平行であり且つ互いに交差する方向である。また、Z方向は、X方向およびY方向と直交する方向である。
第1着色画素は、図6に示されるように、第1着色部221と貫通孔271としての第1非着色部とを含んでいる。
第1着色部221は、第1着色画素が向き合っている透明電極150Tのうち反射電極150Rから露出している部分と、第1着色画素が向き合っている反射電極150Rの一部とに対応した位置に設けられている。第1非着色部は、第1着色画素が向き合っている反射電極150Rの残りの部分に対応した位置に設けられている。
第2着色画素は、他の一部の透明電極150Tと向き合っている。第2着色画素は、Y方向に各々が延び、X方向に配列した複数の帯状パターンを形成している。第2着色画素は、図6に示されるように、第2着色部222と貫通孔272としての第2非着色部とを含んでいる。第2着色部222は、第2着色画素が向き合っている透明電極150Tのうち反射電極150Rから露出している部分と、第2着色画素が向き合っている反射電極150Rの一部とに対応した位置に設けられている。第2非着色部は、第2着色画素が向き合っている反射電極150Rの残りの部分に対応した位置に設けられている。
あるいは、図7に示されるように、第2着色画素が向き合っている反射電極150Rに対応した部分全体を、第4着色部224としてもよい。この場合、第2着色部222は、第2着色画素が向き合っている透明電極150Tのうち反射電極150Rから露出している部分のみに設けられることになる。
なお、図4は、第4着色部224を含むカラーフィルタ層が用いられた液晶表示装置のIV−IV線に沿った断面図であり、図5は、同様のカラーフィルタ層が用いられた液晶表示装置のV−V線に沿った断面図である。
着色部222および224の各々が主として透過させる光の波長は、白色光を照射したときに着色部221と比較してより長く、かつ着色部223と比較してより短い。そして、着色部224は、着色部222と比較して透過率がより大きい。例えば、白色光を照射したときに着色部222および224の各々が主として透過させる光の波長は、白色光を照射したときに着色部221および223が主として透過させる光の波長と比較して550nmにより近い。ここでは、一例として、第1着色部221は青色着色層であり、着色部222および224の各々は緑色着色層であるとする。
第3着色画素は、さらに他の一部の透明電極150Tと向き合っている。第3着色画素は、Y方向に各々が延び、X方向に配列した複数の帯状パターンを形成している。
第3着色画素は、図6に示されるように、第3着色部223と貫通孔273としての第3非着色部とを含んでいる。
第3着色部223が主として透過させる光は、白色光を照射したときに第2着色部222と比較して、波長がより長い。ここでは、第3着色部223は赤色着色層であるとする。
第3着色部223は、第3着色画素が向き合っている透明電極150Tのうち反射電極150Rから露出している部分と、第3着色画素が向き合っている反射電極150Rの一部とに対応した位置に設けられている。第3非着色部は、第3着色画素が向き合っている反射電極150Rの残りの部分に対応した位置に設けられている。
なお、ここでは、独立した貫通孔271乃至273を、それぞれ第1乃至第3非着色部としているが、これに限定されない。第1乃至第3着色画素にまたがってX方向に各々が延びた貫通孔としてもよい。具体的には、第1乃至第3着色画素にまたがった帯状の貫通孔を形成して、そのうち第1着色画素に対応する箇所を第1非着色部、第2着色画素に対応する箇所を第2非着色部、および第2着色画素に対応する箇所を第3非着色部とする。あるいは、第1乃至第3非着色部の少なくとも一つを、複数の貫通孔で構成することもできる。
また、貫通孔270は、透明材料で埋め込んでもよい。例えば、カラーフィルタ層220の全面を透明材料からなる平坦化層で被覆し、これにより、貫通孔270を透明材料で埋め込んでもよい。この透明材料としては、例えば、光学的に等方性の透明樹脂を使用する。
第1着色画素が形成している帯状パターンと、第2着色画素が形成している帯状パターンと、第3着色画素が形成している帯状パターンとは、X方向に隣り合っている。すなわち、第1乃至第3着色画素は、ストライプ配列を形成している。第1乃至第3着色画素は、他の配列を形成していてもよい。例えば、第1乃至第3着色画素は、正方配列またはデルタ配列を形成していてもよい。図示する例においては、第1着色画素と第2着色画素との間、第2着色画素と第3着色画素との間、および第3着色画素と第1着色画素との間にはブラックマトリックスBMが設けられているが、必ずしも必須ではない。
固体化液晶層230は、位相差層である。固体化液晶層230は、平面体210とカラーフィルタ層220との間に介在している。固体化液晶層230は、その全体が同一材料から形成されている。固体化液晶層230は、サーモトロピック液晶化合物または組成物を重合および/または架橋により反応させてなる。固体化液晶層230は、典型的には厚さがほぼ等しい連続膜である。
固体化液晶層230と平面体210との間には、配向膜が介在していてもよい。この配向膜としては、例えば、全面にラビング処理および光配向処理などの配向処理を一様に施した樹脂層を使用することができる。樹脂層としては、例えばポリイミド層を使用することができる。
固体化液晶層230は、図8に示されるように領域231T、232Tおよび233Tと、領域231R、232Rおよび233Rとを含んでいる。こうした領域の各々は、固体化液晶層230の一方の主面から他方の主面に及ぶ領域であり、Z方向に垂直な方向に隣り合っている。領域232Rは、領域232Ra、232Rbおよび232Rcを合わせた領域である。
領域231Tは、固体化液晶層230のうち、第1着色画素の一部に対応した領域である。領域231Rは、固体化液晶層230のうち、第1着色画素の他の一部に対応した領域である。具体的には、領域231Tは、第1着色部221のうち反射電極150Rと向き合っていない部分に対応した第1着色画素の透過表示用領域である。そして、領域231Rは、第1着色部221のうち反射電極150Rと向き合った部分に対応した領域である。すなわち、領域231Rは、第1着色画素の反射表示用領域のうち第1着色部221に重なる部分である。
領域232Tは、固体化液晶層230のうち、第2着色画素の一部に対応した領域である。領域232Rは、固体化液晶層230のうち、第2着色画素の残部と、第1着色画素の一部および第3着色画素の一部とに対応した領域である。具体的には、領域232Tは、第2着色部222のうち反射電極150Rと向き合っていない部分に対応した、第2着色画素の透過表示用領域である。
領域232Rは、着色部222のうち反射電極150Rと向き合った部分および貫通孔272と、貫通孔271と、貫通孔273とに対応した領域である。領域232Raは、貫通孔271に対応した部分であり、第1着色画素の反射表示用領域のうち第1非着色部に重なる。領域232Rcは、貫通孔273に対応した部分であり、第3着色画素の反射表示用領域のうち第3非着色部に重なる。
領域232Rのうち、領域232Rbは、第2着色画素の反射表示用領域であるが、カラーフィルタ層の構成によって対応する領域が変わる。図6に示したように第2着色部222に貫通孔272が設けられている場合には、領域232Rbは、第2着色部222のうち反射電極150Rと向き合った部分および貫通孔272に対応する。一方、図7に示したように第4着色部224が設けられている場合には、領域232Rbは、この第4着色部224に対応する。
領域233Tは、固体化液晶層230のうち、第3着色画素の一部に対応した領域である。領域233Rは、固体化液晶層230のうち、第3着色画素の他の一部に対応した領域である。具体的には、領域233Tは、第3着色部223のうち反射電極150Rと向き合っていない部分に対応した第3着色画素の透過表示用領域である。そして、領域233Rは、第3着色部223のうち反射電極150Rと向き合った部分に対応した領域である。すなわち、領域233Rは、第3着色画素の反射表示用領域のうち第3着色部223に重なる部分である。
領域231T、232T、および233Tの各々は、例えば、光学的に等方性であるか、または、領域231R、232R、および233Rと比較して複屈折率がより小さい。領域231T乃至233Tは、複屈折率が互いに等しくてもよく、互いに異なっていてもよい。ここでは、一例として、領域231T乃至233Tの各々は、光学的に等方性であるとする。
ここで、ある領域の「複屈折率」は、その領域の位相差を厚みで除した値を意味する。複屈折率は、その領域の全体にわたって一定であってもよく、Z方向に沿って変化していてもよい。例えば、ある領域においては、下面付近で複屈折率がより高く、上面付近で複屈折率がより低くてもよい。この場合、「複屈折率」は、その領域の複屈折率の厚さ方向についての平均を示す。
上述したように、固体化液晶層230は、第1領域231R、第2領域232R、および第3領域233Rを含み、これらの領域は反射表示用領域である。第2領域232Rは、第1サブ領域232Ra、第2サブ領域232Rb、および第3サブ領域232Rcの3つの領域により構成される。図8に示されるように、第1サブ領域232Raは第1領域231Rに接し、第3サブ領域232Rcは第3領域233Rに接している。
領域231R、232R、および233Rは、互いに複屈折率が異なる。例えば、第2領域232Rの複屈折率は、第1領域231Rの複屈折率より高く、第3領域233Rの複屈折率より低い。なお、典型的には、第1サブ領域232Ra、第2サブ領域232Rb、および第3サブ領域232Rcの複屈折率は同一である。
本明細書において「複屈折率が同一」とは、所定の複屈折率から±0.01の範囲内にあることを意味する。これは、第1サブ領域、第2サブ領域、および第3サブ領域の場合のみならず、他の領域においても同様である。例えば、多数の第1着色画素に対応した多数の反射表示用領域231Rは、平均で0.100の複屈折率を有しており、ある特定の第1着色画素に対応した領域231Rは0.110の複屈折率を有し、他の特定の第1着色画素に対応した領域231Rは0.090の複屈折率を有している、などとなっていてもよい。
固体化液晶層230において、第1領域231Rと第1サブ領域232Raとの境界部の複屈折率は、第1領域231Rの複屈折率と第1サブ領域232Raの複屈折率との間の値のみである。また、第3領域233Rと第3サブ領域232Rcとの境界部の複屈折率は、第3領域233Rの複屈折率と第3サブ領域232Rcの複屈折率との間の値のみである。言い換えると、第1領域231Rと第1サブ領域232Raとの境界部は、第1領域231Rと第1サブ領域232Raとの間の複屈折率のみを有し、第3領域233Rと第3サブ領域232Rcとの境界部は、第3領域233Rと第3サブ領域232Rcの間の複屈折率のみを有する。
ここで、「間の複屈折率」とは、当該境界部の複屈折率の値が、両領域のうち複屈折率が高い領域の値以下であって複屈折率が低い領域の値以上であることを意味する。例えば、第1領域231Rの平均複屈折率が0.100であって第1サブ領域232Raの平均複屈折率が0.150の場合、次のように説明される。上述したとおり第1領域231Rの複屈折率は0.090から0.110まで含まれ、第1サブ領域232Raの複屈折率は0.140から0.160までが含まれる。したがって、第1領域231Rと第1サブ領域232Raとの境界部の複屈折率は、0.090以上0.160以下のみの値をとる。第3領域233Rと第3サブ領域232Rcとの境界部についても同様である。
ここでは、一例として、領域231R、232Rおよび233Rは一軸性であり、それらの遅相軸はX方向およびY方向に45°の角度をなしているとする。加えて、ここでは、第1領域231Rの位相差は第1着色部221が透過させる青色光の波長の1/4であり、第2領域232Rbの位相差は第2着色部222または224が透過させる緑色光の波長の1/4であり、第3領域233Rの位相差は第3着色部223が透過させる赤色光の中心波長の1/4であるとする。
対向電極250は、カラーフィルタ層220上に形成されている。対向電極250は、表示領域の全体にわたって広がった連続膜である。対向電極250は、例えば、上述した透明導電体からなる。
配向膜260は、対向電極250を被覆している。配向膜260は、例えば垂直配向膜である。配向膜260の材料としては、例えば、ポリイミドなどの透明樹脂層を使用することができる。
なお、平面体210には、カラーフィルタ層220と固体化液晶層230に追加して、他の構成要素が形成されていてもよい。例えば、平面体210には、対向電極250がさらに形成されていてもよい。あるいは、平面体210には、ブラックマトリクスがさらに形成されていてもよい。
アレイ基板10と対向基板20とは、枠形状の接着剤層(図示せず)を介して貼り合わされている。アレイ基板10と対向基板20と接着剤層とは、中空構造を形成している。
液晶層30は、液晶化合物または液晶組成物からなる。この液晶化合物または液晶組成物は、流動性を有しており、アレイ基板10と対向基板20と接着剤層とに囲まれた空間を満たしている。アレイ基板10と対向基板20と接着剤層と液晶層30とは、液晶セルを形成している。
ここでは、一例として、液晶層30が含んでいる液晶化合物は、棒状のメソゲンを含んだ誘電率異方性が負の液晶分子であり、電圧無印加時に液晶分子のメソゲンがZ方向にほぼ平行に配向しているとする。また、電圧印加時には、液晶分子のメソゲンは、X方向およびY方向に45°の角度をなす方向にZ方向から傾くか、またはX方向またはY方向に45°の角度をなす方向にほぼ平行に配向しているとする。
偏光板は、液晶セルの両主面に貼り付けられている。ここでは、一例として、これら偏光板は、直線偏光板であり、それらの透過軸が直交し、そのうちいずれか一方はX方向に対して平行に、他方はY方向に対して平行になるように配置されているとする。
バックライトは、偏光板を間に挟んでアレイ基板10と向き合っている。バックライトは、例えば、液晶セルに向けて白色光を照射する。
この液晶表示装置では、領域231R、232R,および233Rの各々の位相差を任意に設定可能である。したがって、主としてより波長の短い光を透過する色の画素には、それに対応したより低い位相差とし、主としてより波長の長い光を透過する色の画素には、それに対応したより高い位相差とする。
例えば、白色光を照射した際に第1着色部221が主として透過させる光と波長がほぼ等しい光に対する四分の一波長板としての役割を、第1領域231Rに担わせることができる。第2領域のうちの領域232Rbには、白色光を照射したときに第2着色部222および/または第4着色部224が主として透過させる光と波長がほぼ等しい光に対する四分の一波長板としての役割を担わせることができる。加えて、第3領域233Rには、白色光を照射したときに第3着色部223が主として透過させる光と波長がほぼ等しい光に対する四分の一波長板としての役割を担わせることができる。それゆえ、例えば、全ての反射表示用領域において、最適な光学補償を達成することができる。
また、この液晶表示装置では、領域231T、232Tおよび233Tを、例えば光学的に等方性とすることができる。それゆえ、固体化液晶層230を設けることに起因して、透過表示により達成されるコントラスト比が低下することはない。
さらに、この液晶表示装置では、貫通孔270を設けることにより、第1着色画素・第2着色画素・第3着色画素ともに、それぞれ反射表示用領域における平均的な透過率を透過表示用領域の透過率より高くしている。このような構成を採用した場合、全ての画素において透過表示用領域の着色部と反射表示用領域の着色部とに異なる材料を使用した場合と比較して、より少ない材料を用いて、より簡略化された工程でカラーフィルタ層を形成することができる。
また、第2着色画素は透過する光の波長が可視光の中央付近に位置することから、視感度が高い。反射表示用領域に透過表示用領域と異なる材料を用いれば、高透過率の設計とすることができる。これに対して、反射表示用領域に透過表示用領域と同一の材料を使用すると、着色部の明るさが大きく低下してしまう。透過表示用領域と同一の材料を反射表示用領域に用いて明るさを確保しようとすると、第2着色画素には、第1着色画素や第3着色画素と比較して、より大きな貫通孔を設ける必要がある。図6に示されるように、第2着色画素に設けられた貫通孔272は、第1着色画素に設けられた貫通孔271および第3着色画素に設けられた貫通孔273より大きい。
この液晶表示装置では、第2着色画素には、貫通孔を設ける代わりに、当該第2着色画素が向き合っている反射電極150Rに対応した部分全体を着色部224としてもよい。この場合には、第2着色画素に貫通孔を設けた場合と比較して、より高い画質を達成できる。
加えて、この液晶表示装置は、カラーフィルタ層220に貫通孔270を設けたことに起因したコントラスト比の低下が小さい。例えば、黒色画像を表示する際に、貫通孔270の位置で光漏れを生じるのは避けられない。貫通孔270の位置から漏れる光の視感度が高い場合、この光漏れがコントラスト比を無視できない程度に低下させるおそれがある。
この液晶表示装置では、固体化液晶層230の貫通孔270に対応した領域において、白色光のうち視感度が最も高い光、例えば波長550nmの光に対する四分の一波長板としての役割を担わせることができる。これにより、黒色画像を表示する際に貫通孔270の位置から漏れる光は、主に赤色光および青色光とすることができる。赤色光および青色光は、緑色光と比較して視感度が遥かに低い。したがって、この液晶表示装置は、カラーフィルタ層220に貫通孔270を設けたことに起因したコントラスト比の低下が小さい。
このように、上述した半透過型液晶表示装置は、簡略化された方法で製造可能であり、優れた表示性能を達成する。
この液晶表示装置には、様々な変形が可能である。
図9は、一変形例に係る液晶表示装置を概略的に示す断面図である。
この液晶表示装置は、カラーフィルタ層220が平面体210と固体化液晶層230との間に介在していること以外は、図1乃至図8を参照しながら説明した液晶表示装置と同様である。
なお、この構造を採用した場合、固体化液晶層230は、カラーフィルタ層220上に形成することとなる。カラーフィルタ層220には、上述したとおり貫通孔270が設けられている。そのため、固体化液晶層230をほぼ均一な厚さに形成することが難しいことがある。
このような場合、貫通孔270を透明材料で埋め込み、これにより得られる平坦面上に固体化液晶層230を形成してもよい。例えば、カラーフィルタ層220の全面を透明材料からなる平坦化層で被覆し、この平坦化層上に固体化液晶層230を形成してもよい。この透明材料としては、例えば、光学的に等方性の透明樹脂を使用する。
また例えば、カラーフィルタ層220を平面体110側に設けてもよい。すなわち、アレイ基板10にカラーフィルタの機能を付与してもよい。
さらにまた、固体化液晶層230を平面体110側に設けてもよい。すなわち、アレイ基板10に光学補償の機能を付与してもよい。
上述したように本実施形態の位相差基板における固体化液晶層230は、領域ごとに異なる複屈折率を有するものである。固体化液晶層の複屈折率を領域ごとに異ならせるには、例えば特許第4201054号や特許第4325740号に記載の方法を適用することができる。こうした方法においては、サーモトロピック液晶化合物が配向構造をなしている薄膜を形成し、領域ごとに異なる照射量となるように光照射を行なう。理論的には、従来の方法によって複屈折率の異なる領域を得ることができる。
しかしながら、上述したような第1領域231Rとこれに接した第1サブ領域232Raとを含む固体化液晶層は、従来の方法で得ることは困難である。実際には、第1領域231Rと、第1サブ領域232Raを含む第2の領域232とに対し、それぞれ正確な位置に光を照射するのは困難である。2つの領域の照射位置には、ずれが生じることが避けられない。こうして光が照射された第1領域231Rと第1サブ領域232Raの境界部には、光の照射が複数回行なわれた部位とともに、光の照射が一度も行なわれない部位が発生する。
特に光の照射が一度もなされなかった部位は、その後の工程を経て、光学的に等方性、すなわち複屈折率がなく位相差がゼロとなってしまう。位相差がゼロの領域が発生すると、第1領域231Rと、これに接した第1サブ領域232Raとを含む固体化液晶層は得られない。
従来の方法で本実施形態の位相差基板を得ようとすると、以下のような点でも困難である。所定の領域に光の照射を行なう際、一般的にはフォトマスクを使用して露光が行なわれる。複数の領域に、それぞれ異なる条件で露光を行なう場合には、1枚のフォトマスクを使用して基板とフォトマスクの位置関係をずらしつつ、複数回の光照射を行なうのが簡便である。
しかしながら、本実施形態の位相差基板においては、固体化液晶層に設けられる領域の形状は必ずしも均一ではない。図8に示したように、第1領域231Rと第2の領域232Rとでは形状が異なり、第3領域233Rと第2領域232Rとでも形状が異なっている。形状の異なる領域に光照射が行なわれるので、前述のようなフォトマスクをずらす方法は採用できない。フォトマスクを使用した露光により本実施形態の位相差基板を得ようとするには、光透過孔の形状が異なるフォトマスクを少なくとも2種類用意して、それを交換しながら光照射を実施しなければならない。
固体化液晶層においては、所望されない領域の位相差がゼロとなることは避けられるべきである。しかも、複屈折率の異なる複数の領域を固体化液晶層に形成する際には、簡便な方法を採用することが望まれる。
本発明者らは鋭意検討した結果、次のような知見を得て、これを可能としたものである。すなわち、固体化液晶層を形成するにあたって、予め露光(第1の露光)が行なわれた領域に対して、追加で露光(第2の露光)を行なった場合、追加露光の初期の段階では、第2の露光のみを行なった領域の複屈折率よりも低い複屈折率が得られるという現象を見出した。
概念図を参照して、この現象について説明する。
図10に示すように、第1の露光が行なわれた領域の位相差をP0とする。第1の露光の後には、このP0より大きな位相差P1が異なる領域で得られるように第2の露光を行なう。同様の条件の第2の露光が、第1の露光が行なわれた領域に対して追加して行なわれた場合には、得られる位相差は、図10に示されるようにP1より大きなP2となるものと、従来考えられていた。
しかしながら、追加露光が行なわれた場合、その初期の段階においては、第1の露光後に第2の露光が追加して行なわれた領域の位相差が、必ずしも大きくならない。図11に示すようにP1より小さなP3となることが、本発明者らにより見出された。なお、図11に示す曲線は、追加露光において見出された現象を概念的に表わしているにすぎない。したがって、横軸における位相差および横軸における照射時間は、必ずしも正確なものでない。
要するに、第1の露光および第2の露光の条件を適切に設定することによって、位相差の異なる3つの領域を、2回の露光工程で形成することが可能となる。しかも、この場合には、第1の露光工程および第2の露光工程の2つの工程において、同一のフォトマスクを用いることができる。
なお、図11に示した位相差の大小関係はP1>P3>P0であるが、これに限定されない。図12に示すように、P1>P0>P3といった関係を得ることも可能である。カラーフィルタ層の画素の配置等の構成に応じて、適切な位相差を設定すればよい。所望の大小関係の位相差が得られるように、第1の露光および第2の露光の条件を適宜設定する。この条件については後述する。
以下、図1乃至図8を参照しながら説明した液晶表示装置が含んでいる対向基板20の製造方法について説明する。なお、図9を参照しながら説明した液晶表示装置が含んでいる対向基板20は、固体化液晶層230とカラーフィルタ層220との積層順を逆にすること以外は以下の方法とほぼ同様の方法により製造することができる。
まず、光透過性の平面体210を準備する。光透過性の平面体210は、典型的には、ガラス板または樹脂板などの光透過性基板である。ガラス板の材料としては、例えば、ソーダ石灰ガラス、低アルカリ硼珪酸ガラスまたは無アルカリアルミノ硼珪酸ガラスを使用することができる。樹脂板の材料としては、例えば、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、環状ポリオレフィン、セルロースエステル、ポリエチレンテレフタラート等を使用することができる。また平面体210は、硬質でなくてもよい。例えば、光透過性のフィルム・シート等であってもよい。
次に、光透過性の平面体210上に、例えば以下の方法により固体化液晶層230を形成する。
まず、平面体210上に、光重合性または光架橋性のサーモトロピック液晶材料を含んだ液晶材料層を形成する。例えば、メソゲンが平面体210の主面に平行な一方向に配向した液晶材料層を形成する。そして、この液晶材料層をパターン露光と熱処理とに供することによって、固体化液晶層230を得る。
液晶材料層は、例えば、平面体210上に、サーモトロピック液晶化合物を含んだコーティング液を塗布し、必要に応じて塗膜を乾燥させることにより得られる。液晶材料層では、サーモトロピック液晶化合物のメソゲンが配向構造を形成している。
コーティング液は、サーモトロピック液晶化合物に加え、例えば、溶剤、キラル剤、光重合開始剤、熱重合開始剤、増感剤、連鎖移動剤、多官能モノマーおよび/またはオリゴマー、樹脂、界面活性剤、重合禁止剤、貯蔵安定剤および密着向上剤などの成分を、この液晶化合物を含んだ組成物が液晶性を失わない範囲で加えることができる。
サーモトロピック液晶化合物としては、例えば、アルキルシアノビフェニル、アルコキシビフェニル、アルキルターフェニル、フェニルシクロヘキサン、ビフェニルシクロヘキサン、フェニルビシクロヘキサン、ピリミジン、シクロヘキサンカルボン酸エステル、ハロゲン化シアノフェノールエステル、アルキル安息香酸エステル、アルキルシアノトラン、ジアルコキシトラン、アルキルアルコキシトラン、アルキルシクロヘキシルトラン、アルキルビシクロヘキサン、シクロヘキシルフェニルエチレン、アルキルシクロヘキシルシクロヘキセン、アルキルベンズアルデヒドアジン、アルケニルベンズアルデヒドアジン、フェニルナフタレン、フェニルテトラヒドロナフタレン、フェニルデカヒドロナフタレン、これらの誘導体、またはそれら化合物のアクリレートを使用することができる。
溶剤としては、例えば、シクロヘキサノン、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチルベンゼン、エチレングリコールジエチルエーテル、キシレン、エチルセロソルブ、メチル−nアミルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、トルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルケトン、石油系溶剤、またはそれらの2種以上を含んだ混合物を使用することができる。
光重合開始剤としては、例えば、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンおよび2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オンなどのアセトフェノン系光重合開始剤;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルおよびベンジルジメチルケタールなどのベンゾイン系光重合開始剤;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノンおよび4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイドなどのベンゾフェノン系光重合開始剤;チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントンおよび2,4−ジイソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン系光重合開始剤;2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジンおよび2,4−トリクロロメチル(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジンなどのトリアジン系光重合開始剤;ボレート系光重合開始剤;カルバゾール系光重合開始剤;イミダゾール系光重合開始剤;またはそれらの2種以上を含んだ混合物を使用することができる。
増感剤は、例えば、光重合開始剤とともに使用することができる。増感剤としては、α−アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’−ジエチルイソフタロフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンおよび4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノンなどの化合物を使用することができる。
連鎖移動剤としては、例えば多官能チオールを使用することができる。多官能チオールは、チオール基を2個以上有する化合物である。多官能チオールとしては、例えば、ヘキサンジチオール 、デカンジチオール 、1,4−ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4−ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4−ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6−トリメルカプト−s−トリアジン、2−(N,N−ジブチルアミノ)−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン、またはそれらの2種以上を含んだ混合物を使用することができる。
多官能モノマーおよび/またはオリゴマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、トリシクロデカニルアクリレート、トリシクロデカニルメタクリレート、メラミンアクリレート、メラミンメタクリレート、エポキシアクリレートおよびエポキシメタクリレートなどのアクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド、N−ヒドロキシメチルメタクリルアミド、アクリロニトリル、またはそれらの2種以上を含んだ混合物を使用することができる。
樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂または感光性樹脂を使用することができる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ブチラール樹脂、スチレンーマレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリブタジエン、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリイミド樹脂を使用することができる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂またはフェノール樹脂を使用することができる。
感光性樹脂としては、例えば、水酸基、カルボキシル基およびアミノ基などの反応性の置換基を有する線状高分子に、イソシアネート基、アルデヒド基およびエポキシ基などの反応性置換基を有するアクリル化合物、メタクリル化合物または桂皮酸を反応させて、アクリロイル基、メタクリロイル基およびスチリル基など光架橋性基を線状高分子に導入した樹脂を使用することができる。また、スチレン−無水マレイン酸共重合物およびα−オレフィン−無水マレイン酸共重合物などの酸無水物を含む線状高分子を、ヒドロキシアルキルアクリレートおよびヒドロキシアルキルメタクリレートなどの水酸基を有するアクリル化合物またはメタクリル化合物によりハーフエステル化した樹脂も使用することができる。
界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミンおよびポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートおよびポリエチレングリコールモノラウレートなどのノニオン性界面活性剤;アルキル4級アンモニウム塩およびそれらのエチレンオキサイド付加物などのカオチン性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタインおよびアルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤;またはそれらの2種以上を含んだ混合物を使用することができる。
重合禁止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、3−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、2−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、スチレン化フェノール、スチレン化p−クレゾール、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、テトラキス〔メチレン−3−(3’,5’−ジ−1−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、オクタデシル 3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジ(α−メチルシクロヘキシル)−5,5’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾイル)イソシアヌレート、ビス〔2−メチル−4−(3−n−アルキルチオプロピオニルオキシ)−5−t−ブチルフェニル〕スルフィド、1−オキシ−3−メチル−イソプロピルベンゼン、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ノニルフェノール)、アルキル化ビスフェノール、2,5−ジ−t−アミルハイドロキノン、ポリブチル化ビスフェノールA、ビスフェノールA、2,6−ジ−t−ブチル−p−エチルフェノール、2,6−ビス(2’−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5’−メチル−ベンジル)−4−メチルフェノール、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、テレフタロイルージ(2,6−ジメチル−4−t−ブチル−3−ヒドロキシベンジルスルフィド)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−α−ジメチルアミノ−p−クレゾール、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、トルエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、ヘキサメチレングリコール−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリン)−2,4−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシナミド)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル−リン酸ジエチルエステル、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリス〔β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル−オキシエチル〕イソシアヌレート、2,4,6−トリブチルフェノール、ビス〔3,3−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)−ブチリックアシッド〕グリコールエステル、4−ヒドロキシメチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノールおよびビス(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルベンジル)サルファイドなどのフェノール系禁止剤;N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合物およびジアリール−p−フェニレンジアミンなどのアミン系禁止剤;ジラウリル・チオジプロピオネート、ジステアリル・チオジプロピオネートおよび2−メルカプトベンズイミダノールなどの硫黄系禁止剤;ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイトなどのリン系禁止剤;またはそれらの2種以上を含んだ混合物を使用することができる。
貯蔵安定剤としては、例えば、ベンジルトリメチルクロライド;ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸およびシュウ酸などの有機酸;そのメチルエーテル;t−ブチルピロカテコール;テトラエチルホスフィンおよびテトラフェニルフォスフィンなどの有機ホスフィン;亜リン酸塩;またはそれらの2種以上を含んだ混合物を使用することができる。
密着向上剤としては、例えば、シランカップリング剤を使用することができる。シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルエトキシシランおよびビニルトリメトキシシランなどのビニルシラン類;γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどのアクリルシラン類およびメタクリルシラン類;β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランおよびγ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどのエポキシシラン類;N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランおよびN−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノシラン類;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン;γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン;またはそれらの2種以上を含んだ混合物を使用することができる。
コーティング液の塗布には、例えば、スピンコート法;スリットコート法;凸版印刷、スクリーン印刷、平版印刷、反転印刷およびグラビア印刷などの印刷法;これらの印刷法にオフセット方式を組み合わせた方法;インキジェット法;またはバーコート法を利用することができる。
液晶材料層は、例えば、均一な厚さを有している連続膜として形成する。上述した方法によれば、塗布面が十分に平坦である限り、液晶材料層を均一な厚さを有している連続膜として形成することができる。
コーティング液の塗布に先立って、平面体210の表面に、配向処理を施してもよい。あるいは、コーティング液の塗布に先立って、平面体210上に、液晶化合物の配向を規制する配向膜を形成してもよい。この配向膜は、例えば、平面体210上にポリイミドなどの透明樹脂層を形成し、この透明樹脂層にラビングなどの配向処理を施すことにより得られる。この配向膜は、光配向技術を利用して形成してもよい。
続いて、第1の露光工程を行なう。第1の露光工程においては、液晶材料層における第1領域231Rに対応する領域と、第1サブ領域232Ra、第2サブ領域232Rbおよび第3サブ領域232Rcを含む第2領域232に対応する領域とに、第1の光が照射される。その後、第2の露光工程を行なう。この第2の露光工程においては、液晶材料層における第1サブ領域232Ra、第2サブ領域232Rbおよび第3サブ領域232Rcを含む第2領域232に対応する領域と、第3領域233Rに対応する領域とに、第2の光が照射される。
典型的には、第2の露光工程においては、第1の露光工程より強い条件の光が照射される。ここで条件とは、露光時間・照度・輝線等、あるいはこれらの組み合わせをさす。通常、それぞれの領域に対して異なる照射エネルギー、すなわち異なる露光量となるように露光工程は行なわれるが、材料によっては相反則不軌の性質がみられる。その場合には、必ずしも露光量を異ならせる必要はない。第2の露光工程においては、各領域で所望の位相差が得られるように、前述の条件のいずれかを第1の露光工程より強めて光が照射される。
以下、領域によって露光量を異ならせる場合を例に挙げて説明する。
第1の露光工程および第2の露光工程の露光条件は、後述するその後の工程を経て各領域に生じる複屈折率が次の関係となるように決定される。第1領域231Rの複屈折率が最も低く、第3領域233Rの複屈折率が最も高く、領域232Ra、232Rbおよび232Rcを含む第2領域232の複屈折率は、第1領域と第3領域との間となるように、露光条件が決定される。具体的には、第2の露光工程における第2の光の照射量は、第1の露光工程における第1の光の照射量より大きい。好適には、第2の露光工程における第2の光の照射量は、第1の露光工程における第1の光の照射量の2倍以上である。
第1の露光工程および第2の露光工程において、露光はそれぞれ一括して行なうこともできる。例えば、第1の露光工程において、液晶材料層の第1領域231Rに対応する領域と、領域232Ra、232Rbおよび232Rcを含む第2領域232に対応する領域とに対して一括して第1の光を照射することができる。あるいは、第2の露光工程において、液晶材料層の領域232Ra、232Rbおよび232Rcを含む第2領域232に対応する領域と、第3領域233Rに対応する領域とに一括して第2の光を照射することができる。
上述したような一括での光照射は、例えば、フォトマスクを使用して行なうことができる。フォトマスクは、第1の露光工程と第2の露光工程とにおいて異なるものを使用してもよいが、同一のものが使用できる。フォトマスクとしては、ハーフトーンマスクやグレイトーンマスク等の特殊なものを用いてもよいが、二値(バイナリ)マスクを使用することができる。
二値マスクの一例の概略を表わす斜視図を図13に示す。図示するように、二値マスク300は、反射表示用領域対応部300Rと透過表示用領域対応部300Tとを有し、反射表示用領域対応部300Rには光透過孔310が設けられている。光透過孔310は、それぞれ多数の第1の光透過孔311、第2の光透過孔312、および第3の光透過孔313を含んでいる。第1の光透過孔311および第2の光透過孔312の形状は、画素の反射表示用領域の形状に対応している。
第3の光透過孔313の形状は、画素の反射表示用領域のうち、第1非着色部271および第3非着色部273の形状に対応している。したがって、カラーフィルタ層の第1着色画素および第3着色画素における非着色部、すなわち貫通孔の形状および配置に応じて、第3の光透過孔313は設けられる。
こうした二値マスクを使用して第1および第2の露光を行なって、固体化液晶層の反射表示用領域を形成する場合の一例を説明する。
例えば、図14に示すように、液晶材料層230’が形成された平面体210の上に、二値マスク300を配置する。ここでは、説明を簡便にするために、二値マスク300の反射表示領域対応部300Rのみを示している。
図15は、第1の露光工程の際の二値マスク300および液晶材料層230’を上から見た状態である。二値マスク300における光透過孔311、312、および313が、固体化液晶層における所定の領域にそれぞれ向き合うように調節して、二値マスク300を液晶材料層230’に近接させる。具体的には、第1の光透過孔311が向き合う領域は、第1領域231Rと第1サブ領域232Raとを含んだ領域に対応する。第2の光透過孔312が向き合う領域は第2サブ領域232Rbに対応し、第3の光透過孔313が向き合う領域は、第3サブ領域232Rcに対応する。
言い換えると、二値マスク300の第1の光透過孔311が向き合うのは、第1着色画素(B)に対応する領域の反射表示用領域であり、第2の光透過孔312が向き合うのは、第2着色画素(G)に対応する領域の反射表示用領域であり、第3の光透過孔313が向き合うのは、第3着色画素(R)に対応する領域の反射表示用領域の一部である。こうして配置された二値マスク300を介して、第1の光XmJ/cm2を液晶材料層230’に照射する。
続いて、図16に示すように二値マスク300の位置をずらして、第2の露光工程を行なう。二値マスクにおける光透過孔は、それぞれ次のように液晶材料層230’の各領域に対応する。第1の光透過孔311が向き合う領域は領域232Rbに対応し、第2の光透過孔312が向き合う領域は、領域233Rと領域232Rcとを含んだ領域に対応する。第3の光透過孔313が向き合う領域は、領域232Raに対応する。こうした所定の領域に向き合うように位置となるように調節しつつ、二値マスク300を液晶材料層230’に近接させる。
二値マスク300をずらすことによって、第3の光透過孔313が向き合うのは、第1着色画素(B)に対応する領域の反射表示用領域の一部となり、第1の光透過孔311が向き合うのは、第2着色画素(G)に対応する領域の反射表示用領域となり、第2の光透過孔312が向き合うのは、第3着色画素(R)に対応する領域の反射表示用領域となる。こうして配置された二値マスク300を介して、第2の光YmJ/cm2を液晶材料層230’に照射する。
第2の露光工程で照射される第2の光は、第1の露光工程で照射される第1の光より強い条件であることが必要である。第1の光XmJ/cm2および第2の光YmJ/cm2の実際の値は、後述するその後の工程を経て各領域に生じる複屈折率が、例えば次のような関係となるように決定しておく。すなわち、第1の光のみが照射された領域の複屈折率が最も低く、第2の光のみが照射された領域の複屈折率が最も高く、第1の光と第2の光の双方が照射された領域の複屈折率が両者の間となるように決定しておく。照射される光と複屈折率との関係は、前述の図11の概略図に示した照射時間と位相差との関係に基づいて求めることができる。
より具体的には、例えば、第1の光のみが照射された領域の複屈折率が0.118、第2の光のみが照射された領域の複屈折率が0.158、第1の光と第2の光の双方が照射された領域の複屈折率が0.138となるように決定しておく。既に述べたように、典型的には、第1の光XmJ/cm2の値と第2の光YmJ/cm2の値とは異なる。通常、X<Yである。
第1の露光工程と第2の露光工程とを経た液晶材料層230’の状態を、図17に概略的に示す。第1の露光工程のみで光透過孔310に向き合う位置にあった領域231’には、XmJ/cm2の光が照射され、第2の露光工程のみで光透過孔310に向き合う位置にあった領域233’には、YmJ/cm2の光が照射される。第1の露光工程および第2の露光工程の双方で光透過孔310に向き合う位置にあった領域232’には、XmJ/cm2の光とYmJ/cm2の光とが照射される。したがって、この領域の照射量は(X+Y)mJ/cm2となる。
第1の露光工程のみで光透過孔310に向き合う位置にあった領域231’を、第1領域とし、第2の露光工程のみで光透過孔310に向き合う位置にあった領域232’を、第3領域とする。第1の露光工程および第2の露光工程の双方で光透過孔310に向き合う位置にあった232’を、第2領域とする。
なお、第1の露光工程および第2の露光工程に使用する光は、紫外線、可視光線および赤外線などの電磁波である。電磁波の代わりに、電子線を使用してもよい。それらの1つのみを使用してもよく、それらの2つ以上を使用してもよい。
第1の露光工程および第2の露光工程は、それぞれ所望の領域に光を照射できるのであれば、どのような方法で行なってもよい。例えば、上述したようにパターンが形成されたフォトマスクを使用してもよい。あるいは、これに波長制限フィルターや減光フィルターなどの非パターンの素子を追加して行なってもよい。あるいは、フォトマスクを使用する代わりに、電子ビームなどの放射線または光束を液晶材料層上で走査させてもよい。あるいは、これらを組み合わせてもよい。
第1の露光工程および第2の露光工程を終了した後、現像工程を行なう。すなわち、液晶材料層を、サーモトロピック液晶化合物のメソゲンが等方相を呈する温度に加熱する。すると、第1の露光工程および第2の露光工程において行なわれた光照射の条件に応じて、少なくとも一部の領域において、メソゲンの配向の程度が低下して複屈折率が低くなる。
例えば、第2の露光工程のみで光が照射された第3領域233’では複屈折率が最も大きく、第1の露光工程のみで光が照射された第1領域231’では複屈折率が最も小さい。第1の露光工程および第2の露光工程の2つの工程で光が照射された第2領域232’では、それらの間の複屈折率となる。より具体的には、例えば、YmJ/cm2の光が照射された第3領域233’は複屈折率が0.158となり、(X+Y)mJ/cm2の光が照射された第2領域232’は複屈折率が低下して0.138となり、XmJ/cm2の光が照射された第1領域231’は複屈折率がより低下して0.118となる。
また、第1の露光工程および第2の露光工程のいずれによっても光が照射されなかった領域は、この熱処理によってメソゲンの配向構造が消失する。例えば、第1の露光工程において光透過孔312に向き合った領域と、第2の露光工程において光透過孔311に向き合った領域とが完全に一致した場合には、一度も光が照射されなかった領域が、露光された領域の間に生じる。こうした領域は、異なる色の着色画素の間にブラックマトリックスが設けられたカラーフィルタ層を用いる場合、ブラックマトリックスに向き合って位置することになる。
その後、定着工程を行なう。すなわち、メソゲンの配向の程度を低下させたまま、未反応のサーモトロピック液晶化合物を重合および/または架橋させる。
定着工程は、例えば、基板全体に光を照射して行なうことができる。すなわち、サーモトロピック液晶化合物のメソゲンが等方相を呈する温度に液晶材料層を維持したまま、未反応化合物のほぼ全てが重合および/または架橋して反応を生じるのに十分な露光量で、液晶材料層の全体に光を照射する。液晶材料層には、これにより、未反応のサーモトロピック液晶化合物の重合または架橋を生じさせ、配向の程度を消失あるいは低下させたままメソゲンを固定化する。以上のようにして、固体化液晶層230を得る。
定着工程での露光においては、未反応のサーモトロピック液晶化合物の重合および/または架橋による反応を誘起できさえすれば、光の種類は問わない。
定着工程は、他の方法で行なってもよい。
例えば、未反応化合物、すなわち、サーモトロピック液晶化合物が等方相から液晶相へと変化する第1相転移温度よりも高い重合および/または架橋温度に加熱することによって重合および/または架橋する材料である場合、光照射の代わりに、加熱を行なってもよい。具体的には、光を照射する代わりに、液晶材料層を重合および/または架橋温度以上に加熱して、未反応化合物を重合および/または架橋させる。これにより、固体化液晶層230を得る。なお、現像工程における加熱温度は、例えば、液晶化合物のメソゲンが等方相を呈する温度でありかつ重合および/または架橋温度未満とする。
あるいは、定着工程において、光照射と加熱とを順次行なってもよい。このように光と熱とを組み合わせると、未反応化合物の重合および/または架橋をより確実に進行させることができる。それゆえ、より強固な固体化液晶層230を得ることができる。
等方相から液晶相へと変化する第1相転移温度よりも高い重合および/または架橋温度に加熱することによって、未反応のサーモトロピック液晶化合物が重合および/または架橋する材料である場合、現像工程と定着工程とを連続的に行なってもよい。すなわち、液晶材料層の温度を、第1の露光工程および第2の露光工程における温度(典型的には常温)から、未反応のサーモトロピック液晶化合物が重合および/または架橋する温度まで、連続的に高めてもよい。この場合、液晶材料層は、未反応化合物が等方相から液晶相へと変化する温度以上、つまり液晶化合物のメソゲンが等方相を呈する温度に達した時点で、所定領域におけるメソゲンの配向の程度が低下する。さらに温度が上昇して重合および/または架橋する温度に達すると、メソゲンの配向の程度が低下したまま重合および/または架橋が進行する。
以上のような工程を経て、互いに複屈折率の異なる領域231R、232R、および233Rを含む固体化液晶層230を得ることができる。固体化液晶層230の一部を、図18に示す。図18に示されるように、第2領域232Rは、第1サブ領域232Ra、第2サブ領域232Rb、および第3サブ領域232Rcを含んでいる。第1サブ領域232Raは第1領域231に接し、第3サブ領域232Rcは第3領域233に接し、第2サブ領域は第1領域231と第3領域233との間に位置する。
第1サブ領域232Raと第1領域231とによって構成される領域は、第1着色画素(B)に対応した反射表示用領域である。また、第3サブ領域232Rcと第3領域233とによって構成される領域は、第3着色画素(R)に対応した反射表示用領域である。第1サブ領域232Raと第1領域231とによって構成される領域は、第2サブ領域と面積および形状が等しい。第2サブ領域は、第3サブ領域232Rcと第3領域233とによって構成される領域と面積および形状が等しい。さらに、第3サブ領域232Rcは、面積および形状が第1サブ領域232Raと等しい。同一のマスクを用いて所定の条件での2回の露光が行なわれたので、こうした領域を形成することが可能となった。
上述した例による複屈折率を有する固体化液晶層230の厚さが、例えば1.0μmであった場合、第1領域、第2領域、および第3領域の位相差は次のとおりとなる。すなわち、第1領域231Rの位相差は118nmとなり、第3領域233Rの位相差は158nmとなる。さらに、領域232Ra、領域232Rbおよび領域232Rcを含む第2領域232の位相差は138nmとなる。第3領域233Rの位相差が最も小さく、図示する例においては、この第3領域233Rより位相差の小さい領域が、第1領域231Rと第2サブ領域232Rbとの間、第2サブ領域232Rbと第3領域233Rとの間、および第3領域233Rと第1領域231Rとの間に生じている。
このように、上述した方法によると、第1領域231Rは、第1の露光工程のみのよって光の照射を受け、第3領域233Rは、第2の露光工程のみによって光の照射を受ける。要するに、第1領域231Rおよび第3領域233Rは、いずれか一方の露光工程のみによって光の照射を受ける。これに対して、領域232Ra、232Rbおよび232Rcを含む第2領域232Rは、第1の露光工程と第2の露光工程との双方によって光の照射を受ける。
第1の露光工程および第2の露光工程において、光の照射領域が所定の位置から多少ずれたとしても、第1領域231Rと領域232Raとの境界部において光が照射されない領域が発生することはない。第3領域233Rと領域232Rcとの境界部においても、光が照射されない領域は発生しない。
その結果、固体化液晶層230において、第1領域231Rと第1サブ領域232Raとの境界部は、第1領域231Rと第1サブ領域232Raとの間の複屈折率のみを有する。また、第3領域233Rと第3サブ領域232Rcの境界部は、第3領域233Rと第3サブ領域232Rcとの間の複屈折率のみを有する。
さらにまた、上述した方法においては、第1の露光工程と第2の露光工程とで同一のフォトマスクを使用して行なうことができる。フォトマスクには、二値(バイナリ)マスクを使用することができる。これらの具体的な一例は既に説明したとおりである。
以上のようにして固体化液晶層230を形成し、その後、この固体化液晶層230上に、カラーフィルタ層220の着色部221乃至224を形成する。
着色部221乃至224の各々は、透明樹脂とこれに分散させた顔料とを含んでいる。着色部221乃至224の各々は、例えば、顔料担体とこれに分散させた顔料とを含んだ着色組成物の薄膜パターンを形成し、この薄膜パターンを硬化させることにより得られる。この薄膜パターンは、例えば、印刷法、フォトリソグラフィ法、インキジェット法、電着法または転写法を利用して形成することができる。
この顔料としては、有機顔料および/または無機顔料を使用することができる。着色部221乃至224の各々は、1種の有機または無機顔料を含んでいてもよく、複数種の有機顔料および/または無機顔料を含んでいてもよい。
透明樹脂は、アクリル樹脂およびメタクリル樹脂のように、可視光の全波長範囲、例えば400乃至700nmの全波長領域にわたって高い透過率を有している樹脂である。透明樹脂の材料としては、例えば、感光性樹脂を使用することができる。
この方法では、カラーフィルタ層220が、固体化液晶層230を形成するための露光プロセスおよび熱処理プロセスに曝されることはない。それゆえ、上記の露光プロセスおよび熱処理プロセスに起因したカラーフィルタ層220の劣化は生じない。
また、この方法では、典型的にはほぼ平坦な表面を有している固体化液晶層230上にカラーフィルタ層220を形成することができる。したがって、凹凸構造が設けられた表面上にカラーフィルタ層220を形成する場合と比較して、設計通りの性能を有するカラーフィルタ層220をより容易に得ることができる。
カラーフィルタ層220上に固体化液晶層230を形成した場合には、固体化液晶層230に、カラーフィルタ層220から液晶層30中への不純物の混入を抑制する役割を担わせることができる。
以下、本発明の実施の形態について具体的な例を挙げて記載するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、本発明で用いる材料は光に対して極めて敏感であるため、自然光などの不要な光による感光を防ぐ必要があり、全ての作業を黄色、または赤色灯下で行なうことは言うまでもない。
(実施例1)
(配向膜の形成)
乾燥膜厚が0.05μmになるように、配向膜材料(日産化学工業株式会社製「SE−1410」)をガラス基板上にスピンコーターで塗布した。塗膜は、ホットプレート上90℃で1分間加熱乾燥させた後、クリーンオーブン中230℃で40分間焼成して硬化させた。硬化された膜に対し一定方向にラビング処理を施すことにより、配向能を有する基板を得た。
(成膜工程)
下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合し、0.6μmのフィルターで濾過して液晶組成物を調製した。得られた液晶組成物を、前述の基板の配向膜の上に、スピンコーターで乾燥膜厚が1.9μmになるように塗布し、ホットプレートにて90℃で2分間加熱乾燥して液晶材料層を形成した。
水平配向重合性液晶 19.5質量部
(DIC株式会社製「UCL−017」)
光重合開始剤 0.5質量部
(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ株式会社製「イルガキュアーOXE01」)
界面活性剤 0.7質量部
(ビックケミー社製「BYK330」3%シクロヘキサノン溶液)
シクロヘキサノン 79.3質量部
(第1の露光工程)
図15に示したように液晶材料層230’の上に二値マスク300を配置し、超高圧水銀灯を用いて、液晶材料層230’の一部の領域を紫外線で露光した。紫外線の照射量は、15mJ/cm2とした。
(第2の露光工程)
次に、図16に示したように二値マスク300を水平にずらし、60mJ/cm2の紫外線を照射した。液晶材料層230’においては、第1の露光工程で紫外線を照射された領域の一部、および紫外線を照射されなかった領域の一部が露光された。
(現像工程および定着工程)
第2露光後の基板をクリーンオーブン内に載置し、クリーンオーブンを常温から230℃に昇温した。この温度を60分間維持して焼成することにより固体化液晶層を形成し、位相差基板を得た。
(位相差基板の特性)
位相差基板において、第1の露光工程のみで紫外線を照射された領域は第1領域に相当する。第1の露光工程および第2の露光工程で紫外線を照射された領域は第2領域に相当し、第2の露光工程のみで紫外線を照射された領域は第3領域に相当する。これを、下記表1にまとめる。
得られた位相差基板の各領域に対し、それぞれの波長の光を用いて面内位相差を測定した。さらに、膜厚に基づいて複屈折率を算出した。得られた結果を、測定波長および面内位相差とともに下記表2にまとめる。
(実施例2)
まず、実施例1と同様の手法により、ガラス基板上に配向膜を形成した。配向膜の上には、下記組成の液晶組成物を用いる以外は実施例1と同様の手法により液晶材料層を形成した。ここで用いた液晶組成物は、実施例1と同様の手法により調製した。
水平配向重合性液晶 39.6質量部
(BASFジャパン株式会社製「Paliocolor LC 242」)
光重合開始剤 0.4質量部
(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ株式会社製「イルガキュアー907」)
界面活性剤 2.0質量部
(ビックケミー社製「BYK330」3%シクロヘキサノン溶液)
シクロヘキサノン 158.0質量部
(第1の露光工程)
図15に示したように液晶材料層230’の上に二値マスク300を配置し、超高圧水銀灯を用いて、液晶材料層230’の一部の領域を紫外線で露光した。紫外線の照射量は、5mJ/cm2とした。
(第2の露光工程)
次に、図16に示したように二値マスク300を水平にずらし、85mJ/cm2の紫外線を照射した。液晶材料層230’においては、第1の露光工程で紫外線を照射された領域の一部、および紫外線を照射されなかった領域の一部が露光された。
第2露光後の液晶材料層に対しては、実施例1と同様の手法により現像および定着を施して固体化液晶層を形成し、位相差基板を得た。
(位相差基板の特性)
位相差基板における領域と露光工程とは、実施例1の場合と同様、上記表1に示されるように対応する。
得られた位相差基板の各領域に対し、それぞれの波長の光を用いて面内位相差を測定した。さらに、膜厚に基づいて複屈折率を算出した。得られた結果を、測定波長および面内位相差とともに下記表3にまとめる。
以下、シミュレーションによる学計算結果の例を挙げて本発明の効果について記載するが、本発明の望ましい構成はこれらに限られるものではない。
計算にあたっては、次に挙げる条件を共通に設定した。
偏光板の屈折率は波長によらず1.51、厚みは180μmとした。偏光板の分光透過率について図19〜21に示す。
ガラス基板は、波長によらず屈折率を1.5、透過率を100%であると仮定した。厚みは0.7mmとした。
カラーフィルタ層の色特性を下記表5にまとめ、分光透過率を図22〜25に示す。屈折率はいずれも波長によらず1.7、厚みは1.8μmと仮定した。
後述するシミュレーションのうちNo.3についてのみ、緑色画素の条件を変更した。
液晶は、長軸方向の屈折率を波長によらず1.60、短軸方向の屈折率を波長によらず1.50、弾性定数を13.2pN(広がり)・6.5pN(ねじれ)・18.3pN(曲がり)、長軸方向の誘電率を3.1、短軸方向の誘電率を8.3と仮定した。プレチルト角は89°とした。
位相差層は、面内に位相差を有する1軸性の光学異方性素子とした。膜厚は1.0μmとし、透過率を波長によらず100%であると仮定した。波長535nmでの複屈折率を1としたときの複屈折率の比を、各波長における平均屈折率とともに下記表6にまとめる。
図26に位相差層の平均屈折率を示し、図27に複屈折率比を示す。
本計算においては、反射領域のみについて取り扱った。層構成は、視認側から偏光板/ガラス基板/カラーフィルタ層/位相差層/液晶層/鏡面反射板とし、液晶層の厚みは1.5μmとした。偏光板は吸収軸を90°とし、液晶層のプレツイスト角度および位相差層の遅相軸を45°とした。
液晶層に印加する電圧が0Vのときを黒表示、5Vのときを白表示として、それぞれの正面方向の分光透過率を求め、光源をC光源としてコントラストを算出した。なお、鏡面反射板以外の界面における反射は考慮していない。
上述した共通条件のもとで、次のようにシミュレーションを行なった。
(No.1)
下記表7に示す設定特性の位相差層について、光学計算を行なった。複屈折率は、波長550nmにおける値である。コントラスト比は50であった。
白表示および黒表示の反射率を図28に示す。
(No.2)
下記表8に示す設定特性の位相差層について、光学計算を行なった。複屈折率は、波長550nmにおける値である。コントラスト比は43であった。
白表示および黒表示の反射率を図29に示す。
(No.3)
下記表9に示す設定特性の位相差層について、光学計算を行なった。ここでの位相差層においては、緑色画素に非着色部が存在しない。複屈折率は、波長550nmにおける値である。コントラスト比は60であった。
白表示および黒表示の反射率を図30に示す。
(No.4)
下記表10に示す設定特性の位相差層について、光学計算を行なった。複屈折率は、波長550nmにおける値である。コントラスト比は29であった。
白表示および黒表示の反射率を図31に示す。
(No.5)
下記表11に示す設定特性の位相差層について、光学計算を行なった。複屈折率は、波長550nmにおける値である。コントラスト比は32であった。
白表示および黒表示の反射率を図32に示す。
(No.6)
下記表12に示す設定特性の位相差層について、光学計算を行なった。複屈折率は、波長550nmにおける値である。コントラスト比は24であった。
白表示および黒表示の反射率を図33に示す。
(No.7)
下記表13に示す設定特性の位相差層について、光学計算を行なった。複屈折率は、波長550nmにおける値である。コントラスト比は32であった。
白表示および黒表示の反射率を図34に示す。
各位相差層についてのコントラスト比を、画素比率および複屈折率とともに下記表14にまとめる。
No.1〜3においては、非着色部に対応する位相差層の領域の複屈折率が着色部とは異なった値に設定されているので、実施例に該当する。すなわち、No.1〜3では、非着色部に対応する位相差層の領域の複屈折率は、緑色画素の着色部に対応する領域と同じ複屈折率値に設定されている。その結果、反射表示において43以上という高いコントラスト比が得られた。
No.3では、緑色画素のみ、反射表示用領域のカラーフィルタ層の透過率を上げることにより非着色部を設けない構成である。この場合には、反射表示におけるコントラスト比は60まで高められる。
一方、No.4〜7においては、非着色部に対応する位相差層の領域の複屈折率は着色部とは同等の値に設定されている。そのため、反射表示におけるコントラスト比は、たかだか32にとどまっている。
以上説明したように、本発明によれば、優れた表示性能を有する半透過型液晶表示装置が得られる位相差基板を製造する方法が得られる。さらなる利益および変形は、当業者には容易である。それゆえ、本発明は、そのより広い側面において、ここに記載された特定の記載や代表的な態様に限定されるべきではない。したがって、添付の請求の範囲およびその等価物によって規定される本発明の包括的概念の真意または範囲から逸脱しない範囲内で、様々な変形が可能である。