JPWO2010090002A1 - 不揮発性記憶素子 - Google Patents

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Abstract

不揮発性記憶素子(100)において、抵抗変化層(107)が第1の金属酸化物MOxと第2の金属酸化物MOyとを含み、化学反応式が式13で表される、前記第1の金属酸化物と、前記第2の金属酸化物と、酸素イオンと、電子とが係わる化学反応の反応エネルギーが2eV以下であって、前記MOxおよび前記MOyの組(MOx、MOy)が、(Cr2O3、CrO3)、(Co3O4、Co2O3)、(Mn3O4、Mn2O3)、(VO2、V2O5)、(Ce2O3、CeO2)、(W3O8、WO3)、(Cu2O、CuO)、(SnO、SnO2)、(NbO2、Nb2O5)、および(Ti2O3、TiO2)からなる群より選択される1組である。【数13】

Description

本発明は不揮発性記憶素子に関し、特に、印加される電気的信号に応じて抵抗値が変化する抵抗変化型の不揮発性記憶素子に関する。
近年、デジタル技術の進展に伴い、携帯型情報機器および情報家電などの電子機器が、より一層高機能化している。そのため、不揮発性記憶素子の大容量化、書き込み電力の低減、書き込み/読み出し時間の高速化、及び長寿命化の要求が高まっている。
こうした要求に対して、既存のフローティングゲートを用いたフラッシュメモリの微細化には限界があると言われている。他方、抵抗変化層を記憶部の材料として用いる不揮発性記憶素子(抵抗変化型メモリ)の場合、抵抗変化素子から成る単純な構造の記憶素子で構成することができるため、さらなる微細化、高速化、および低消費電力化が期待されている。
抵抗変化層を記憶部の材料として用いる場合、例えば、電気的パルスの入力などによって、その抵抗値を高抵抗から低抵抗へ、または低抵抗から高抵抗へと変化させることになる。この場合、低抵抗および高抵抗の2値を明確に区別し、かつ低抵抗と高抵抗との間を高速に安定して変化させ、これら2値が不揮発的に保持されることが必要になる。このようなメモリ特性の安定および記憶素子の微細化を目的として、従来から、種々の提案がなされている。
そのような提案の一つとして、2つの電極と、それらの電極に挟まれた記録層とを備え、その記録層の抵抗値を可逆的に変化するように構成された抵抗変化素子によりメモリセルが構成された記憶素子が、特許文献1に開示されている。図11は、そのような従来の記憶素子の構成を示す断面図である。
図11に示すように、この記憶素子は、メモリセルを構成する複数の抵抗変化素子10がアレイ状に配置されて構成されている。抵抗変化素子10は、下部電極1と上部電極4との間に、高抵抗層2とイオン源層3とが挟まれて構成されている。これら高抵抗層2およびイオン源層3により記憶層が構成され、この記憶層によって、各メモリセルの抵抗変化素子10に情報を記録することができる。
なお、それぞれの抵抗変化素子10は、半導体基板11上に形成されたMOSトランジスタ18の上方に配設されている。このMOSトランジスタ18は、半導体基板11内の素子分離層12により分離された領域に形成されたソース/ドレイン領域13と、ゲート電極14とからなる。また、ゲート電極14は、記憶素子の一方のアドレス配線であるワード線を兼ねている。
MOSトランジスタ18のソース/ドレイン領域13の一方と、抵抗変化素子10の下部電極1とが、プラグ層15、金属配線層16、およびプラグ層17を介して電気的に接続されている。また、MOSトランジスタ18のソース/ドレイン領域13の他方は、プラグ層15を介して金属配線層16に接続されている。この金属配線層16は、記憶素子の他方のアドレス配線であるビット線に接続される。
上記のように構成された抵抗変化素子10の下部電極1と上部電極4との間に極性の異なる電位を印加することにより、記録層を構成するイオン源層3のイオン源を高抵抗層2へ移動させる。または、そのイオン源を、高抵抗層2から上部電極4へ移動させる。これにより、抵抗変化素子10の抵抗値が高抵抗状態から低抵抗状態へ、または、低抵抗状態から高抵抗状態へと遷移して情報を記録することができる。
また、特許文献1において示された抵抗変化材料とは異なるものとして、2元系の遷移金属酸化物を用いた例が報告されている。例えば、特許文献2では、抵抗変化材料としてNiO、V、ZnO、Nb、TiO、WO、CoOが開示されている。
特開2006−40946号公報 特開2004−363604号公報
しかしながら、上述した抵抗変化材料には以下のような課題がある。まず、NiOなどの遷移金属酸化物を用いた場合、抵抗変化材料を低抵抗状態から高抵抗状態へ変化させるためには、NiO中に形成されたフィラメント状の電気的パスを、μsオーダーの長パルスを印加することによりジュール熱を発生させることで回復させることが必要になる。不揮発性記憶素子をメモリとして用いる場合、微細なデザインルールの下で高密度に集積化することが想定されているが、発生したジュール熱が隣接した不揮発性記憶素子の誤動作を誘発する可能性があり、微細化に適さない。
また、抵抗変化材料を用いた不揮発性記憶素子をメモリとして動作させる場合には、消費電力の観点から可能な限り印加電圧の値を低下させたい。具体的には、印加するパルス電圧の絶対値は2V以下であることが望ましい。これは不揮発性記憶素子を既存のCMOSと組み合わせて用いる場合、高速かつ低消費電力で動作する回路に用いられるMOSトランジスタでは、不揮発性記憶素子に印加できる電圧の最大値が2V程度であるためである。
現在上述した抵抗変化材料以外にも、様々な酸化物について抵抗変化動作の発現の有無を確認するための探索が続いている。しかしながら、抵抗変化動作の原理的な観点から低電圧で動作可能な不揮発性記憶素子を設計する手法は未だ開示されていない。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、抵抗変化動作の際にジュール熱を発生する必要がなく、かつ低電圧で抵抗変化動作の駆動が可能な不揮発性記憶素子を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するために、発明の不揮発性記憶素子は、基板と、前記基板上に形成された下部電極層と、前記下部電極層上に形成された、印加される電気的信号により高抵抗状態と低抵抗状態に変化する抵抗変化層と、前記抵抗変化層上に形成された上部電極層とを具備する不揮発性記憶素子であり、前記抵抗変化層は、第1の抵抗率を有する第1の金属酸化物を含む第1の金属酸化物層と、前記第1の金属酸化物と同一の金属元素からなる金属酸化物である、第2の抵抗率を有する第2の金属酸化物を含む第2の金属酸化物層の少なくとも2層からなる、多層構造であり、前記第2の金属酸化物層は、前記上部電極層及び前記下部電極層のうち少なくとも一方と接しており、前記第1の抵抗率は前記第2の抵抗率よりも小さく、x、yをx<yを満たす任意の正の数として、前記第1の金属酸化物の組成をMOとし、前記第2の金属酸化物の組成をMOとして、化学反応式が
Figure 2010090002
で表される、前記第1の金属酸化物と、前記第2の金属酸化物と、酸素イオンと、電子とが係わる化学反応の反応エネルギーの絶対値が2eV以下であって、前記MOおよび前記MOの組(MO、MO)が、(Cr、CrO)、(Co、Co)、(Mn、Mn)、(VO、V)、(Ce、CeO)、(W、WO)、(CuO、CuO)、(SnO、SnO)、(NbO、Nb)、および(Ti、TiO)からなる群より選択される1組である。
これにより、抵抗変化動作時に印加電圧を2V以下に抑えることが可能となり、抵抗変化動作の低電圧化が実現可能となる。さらに、印加電圧を2V以下とすることで、周辺回路と共用可能な既存のMOSトランジスタと組み合わせて抗変化動作させることが可能となる。
また、可逆的な酸化還元反応を用いた抵抗変化動作であることから、従来の不揮発性記憶素子のようにフィラメント状の電気的パスをジュール熱により回復させる必要がなく、微細化に適した不揮発性記憶素子の提供が可能である。
また、多層構造とすることで、酸化還元反応が進行する場所を第1の金属酸化物層と第2の金属酸化物層の界面に限定することが可能となり、安定した抵抗変化動作を実現できる。
さらに、第1の金属酸化物と第2の金属酸化物は、同じ金属元素の酸化物であることから、抵抗変化層は2元系で構成されており、抵抗変化層が3元系で構成される場合と比べて不揮発性記憶素子の製造が容易となる。
また、前記不揮発性記憶素子において、前記MOおよび前記MOの組(MO、MO)が、(VO、V)、(Cr、CrO)、(SnO、SnO)、(Co、Co)、(W、WO)、および(CuO、CuO)からなる群より選択される1組であってもよい。
この群におけるV、Cr、Sn、Co、W、Cuは、前述した他の金属元素と比べて、特に酸化・還元反応のエネルギーが小さい。そのため、この群に属する金属酸化物を前記抵抗変化層に用いた場合、より低電圧での駆動が可能となることから、前記不揮発性記憶素子の消費電力の一層の低減が期待できる。
また、前記不揮発性記憶素子において、前記MOおよび前記MOの組(MO、MO)が、(NbO、Nb)、(Cr、CrO)、(Mn、Mn)、(VO、V)、(CuO、CuO)、(SnO、SnO)、および(Ti、TiO)からなる群より選択される1組であってもよい。
この群におけるNb、Cr、Mn、V、Cu、Sn、Tiは、複数の価数を安定して取り得る金属元素である。そのため、この群に属する金属酸化物を前記抵抗変化層に用いることで、前記不揮発性記憶素子の製造時においては前記第1の金属酸化物および前記第2の金属酸化物の各々の酸化度の制御を容易にし、また前記不揮発性記憶素子の動作時においてはその動作の安定性に寄与できる。また、この群に属する金属酸化物は粉末として市販されており、市販された材料を用いることで抵抗変化素子の製造が容易になる。
また、前記不揮発性記憶素子において、前記MOおよび前記MOの組(MO、MO)が、(W、WO)、(CuO、CuO)、(Ti、TiO)、および(Co、Co)からなる群より選択される1組であってもよい。
この群におけるW、Cu、Ti、Coは、既存の半導体プロセスで用いられている金属元素である。したがって、この群に属する金属酸化物を抵抗変化層に用いることにより、半導体プロセスと親和性の高い不揮発性記憶素子を構成できる。
また、前記不揮発性記憶素子において、前記MOおよび前記MOの組(MO、MO)が、(CuO、CuO)、(SnO、SnO)および(Ti、TiO)からなる群より選択される1組であってもよい。
この群におけるCu、Sn、Tiは、前述したCeやW等と比べて地殻存在率が高く安価であるため、製造コストの低減が期待できる。
また、前記不揮発性記憶素子において、前記MOおよび前記MOの組(MO、MO)が、(Ce、CeO)であってもよい。
抵抗変化動作は酸素の移動を伴う現象である。CeOは酸素イオンを導電種とする電解質であることが報告されており、したがって、酸素イオンがCeO中を移動しやすい。Ceの酸化物を抵抗変化層に用いることで、抵抗変化動作の高速化が期待できる。
また、本発明の不揮発性記憶素子は、基板と、前記基板上に形成された下部電極層と、前記下部電極層上に形成された、印加される電気的信号により高抵抗状態と低抵抗状態に変化する抵抗変化層と、前記抵抗変化層上に形成された上部電極層とを具備する不揮発性記憶素子であり、前記抵抗変化層は、第1の金属元素Mの酸化物を含む第1の金属酸化物層と、前記第1の金属元素Mとは異なる、第2の金属元素Mの酸化物を含む第2の金属酸化物層の少なくとも2層からなる多層構造であり、前記第2の金属酸化物層は、前記下部電極層及び前記上部電極層のうち少なくとも一方と接しており、α、β、γ、δをβ>α、δ>γを満たす任意の正の数とし、酸化度の異なる前記第1の金属元素Mの酸化物の組成をそれぞれMα、Mβとし、酸化度の異なる前記第2の金属元素M酸化物の組成をそれぞれMδ、Mγとして、化学反応式が
Figure 2010090002
で表される、前記第1の金属元素Mの酸化物と、前記第2の金属元素Mの酸化物とが係わる化学反応の反応エネルギーの絶対値が2eV以下であって、前記Mαおよび前記Mβの組(Mα、Mβ)が、(TaO、Ta)であり、かつ前記Mγおよび前記Mδの組(Mδ、Mγ)が、(SnO、SnO)、(NbO、Nb)、(W、WO)、および(Ti、TiO)からなる群より選択される1組である。
これにより、抵抗変化動作時に印加電圧を2V以下に抑えることが可能となり、抵抗変化動作の低電圧化が実現可能となる。さらに、印加電圧を2V以下とすることで、既存の周辺回路と共用可能なMOSトランジスタと組み合わせて抵抗変化動作させることが可能となる。
また、酸化還元反応を用いた抵抗変化動作であることから、従来の不揮発性記憶素子のようにフィラメント状の電気的パスをジュール熱により回復させる必要がなく、微細化に適した不揮発性記憶素子の提供が可能である。
また、多層構造とすることで、酸化還元反応が進行する場所を第1の金属酸化物層と第2の金属酸化物層の界面に限定することが可能であるため、安定した抵抗変化動作を実現できる。
また、本発明の不揮発性記憶素子の抵抗値は、第2の金属酸化物層のバンドギャップに大きく依存する。したがって、第1の金属元素Mの種類によらず、第2の金属元素Mの酸化物のバンドギャップから不揮発性記憶素子の抵抗値を制御することが可能となる。
また、前記不揮発性記憶素子において、前記Mγおよび前記Mδの組(MO、MO)が、(SnO、SnO)、(W、WO)、および(CuO、CuO)からなる群より選択される1組であってもよい。
この群におけるSn、W、Cuは、前述した他の金属元素と比べて、特に酸化・還元反応のエネルギーが小さい。そのため、この群に属する金属酸化物を前記抵抗変化層に用いた場合、より低電圧での駆動が可能となることから、前記不揮発性記憶素子の消費電力の一層の低減が期待できる。
また、前記不揮発性記憶素子において、前記Mγおよび前記Mδの組(MO、MO)が、(NbO、Nb)、(SnO、SnO)、および(Ti、TiO)からなる群より選択される1組であってもよい。
この群におけるNb、Sn、Tiは、複数の価数を安定して取り得る金属元素である。そのため、この群に属する金属酸化物を前記抵抗変化層に用いることで、前記不揮発性記憶素子の製造時においては前記第1の金属酸化物および前記第2の金属酸化物の各々の酸化度の制御を容易にし、また前記不揮発性記憶素子の動作時においてはその動作の安定性に寄与できる。また、この群に属する金属元素の酸化物は粉末として市販されており、市販された材料を用いることで抵抗変化素子の製造が容易になる。
また、前記不揮発性記憶素子において、前記Mγおよび前記Mδの組(MO、MO)が、(W、WO)および(Ti、TiO)からなる群より選択される1組であってもよい。
この群におけるW、Tiは、既存の半導体プロセスで用いられている金属元素である。したがって、この群から選ばれる金属元素の酸化物を抵抗変化層に用いることにより、半導体プロセスと親和性の高い不揮発性記憶素子を構成できる。
また、前記不揮発性記憶素子において、前記Mγおよび前記Mδの組(MO、MO)が、(CuO、CuO)、(SnO、SnO)および(Ti、TiO)からなる群より選択される1組であってもよい。
この群におけるCu、Sn、Tiは、CeやW等と比べて地殻存在率が高く安価であるため、製造コストの低減が期待できる。
本発明によれば、抵抗変化動作の際にジュール熱を発生する必要の無い不揮発性記憶素子を得ることが可能となり、微細化に適した抵抗変化型の不揮発性記憶素子を提供することができる。また、発明の化学反応で支配される抵抗変化材料を用いれば、低電圧で高抵抗状態と低抵抗状態が可逆的に変化することが可能となり、周辺回路と共用できる既存のMOSトランジスタと組み合わせて動作可能な抵抗変化型の不揮発性記憶素子を提供することができる。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る不揮発性記憶素子の一構成例を示した断面図である。 図2(a)〜(e)は、本発明の第1の実施の形態に係る不揮発性記憶素子の製造方法を示した工程図である。 図3は、情報を書き込む場合における本発明の第1の実施の形態に係る不揮発性記憶素子の動作例を示す図である。 図4は、情報を読み出す場合における本発明の第1の実施の形態に係る不揮発性記憶素子の動作例を示す図である。 図5は、抵抗変化材料として、表2に示した金属酸化物を用いた際の、それぞれの金属酸化物について、可逆的な抵抗変化動作のために必要な最低の電圧値(Em)を示した図である。 図6(a)〜(c)は、本発明の第1の実施の形態に係る不揮発性記憶素子における抵抗変化層の、抵抗変化動作の挙動について説明した図である。 図7は、本発明の第1の実施の形態に係る不揮発性記憶素子の一構成例を示した断面図である。 図8(a)〜(e)は、本発明の第1の実施の形態に係る不揮発性記憶素子の製造方法を示した工程図である。 図9(a)〜(c)は、本発明の第1の実施の形態に係る不揮発性記憶素子における抵抗変化層の、抵抗変化動作の挙動について説明した図である。 図10は、抵抗変化材料として、表3に示した金属酸化物を用いた際の、それぞれの金属酸化物について、可逆的な抵抗変化動作のために必要な最低の電圧値(Em)を示した図である。 図11は、従来の不揮発性記憶素子の構成を示した断面図である。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳しく説明する。なお、図中同一または相当部分には同一の符号を付しその説明は省略する場合がある。
(第1の実施の形態)
[不揮発性記憶素子の構成]
図1は本発明の第1の実施の形態に係る、抵抗変化動作開始前の状態(初期状態)での不揮発性記憶素子の構成例を説明する断面図である。
図1に示すように、不揮発性記憶素子100は、基板101と、その基板上に形成された酸化物層102と、その酸化物層102上に形成された下部電極層103と、下部電極層103上に形成された第1の金属酸化物層104と、第1の金属酸化物層104上に形成された第2の金属酸化物層105と、第2の金属酸化物層105上に形成された上部電極層106とを備えている。不揮発性記憶素子100における抵抗変化層107は、第1の金属酸化物層104と第2の金属酸化物層105により構成される。
ここで、第1の金属酸化物層104は、第1の抵抗率を有する第1の金属酸化物を含み、第2の金属酸化物層105は、第2の抵抗率を有する第2の金属酸化物を含むよう構成される。
[不揮発性記憶素子の製造方法]
次に、図1に示した不揮発性記憶素子100の製造方法について、図2の(a)〜(e)を用いて説明する。
まず、図2の(a)に示すように、単結晶シリコンである101上に酸化物層102として、シリコン酸化膜をCVD法により形成する。次に下部電極層103をスパッタ法により形成する。
次に、図2の(b)に示すように、下部電極層103上に、第1の金属酸化物層104を、金属ターゲットを用い、アルゴンと酸素をスパッタガスとした反応性スパッタ法により形成する。
次に、図2の(c)に示すように、第1の金属酸化物層104上に、第2の金属酸化物層105を形成する。第2の金属酸化物層105の形成方法は、金属ターゲットを用いて、アルゴンと酸素をスパッタガスとした反応性スパッタ法により形成してもよいし、金属酸化物をターゲットとしたスパッタ法により形成してもよい。
次に、図2の(d)に示すように、第2の金属酸化物層105上に上部電極層106をスパッタ法により形成する。下部電極層103及び上部電極層106の材料として、例えばTaN、TiN、Pt、Ir、Cu、Ni、Wなどがある。
最後に、図2(e)に示すように、下部電極層103、抵抗変化層107、上部電極層106に対して、フォトリソグラフィによりパターンを形成し、ドライエッチングによる形状加工により、下部電極層103、抵抗変化層107、上部電極層106の素子寸法が0.5μmから10μmとなるよう加工する。
[不揮発性記憶素子の動作例]
次に、本実施の形態の不揮発性記憶素子100のメモリとしての動作例、すなわち情報の書き込み/読み出しをする場合の動作例を、図面を参照して説明する。
図3は、情報を書き込む場合における不揮発性記憶素子の動作例を示す図である。
下部電極層103と上部電極層106との間にパルス幅がP1の極性が異なる2種類の電気的パルスを交互に印加すると、抵抗変化層107の抵抗値が図2に示すように変化する。すなわち、負電圧パルス(電圧E1、パルス幅P1)を電極間に印加した場合、抵抗変化層107の抵抗値が、高抵抗値Rbから低抵抗値Raへ減少する。他方、正電圧パルス(電圧E2、パルス幅P1)を電極間に印加した場合、抵抗変化層107の抵抗値が、低抵抗値Raから高抵抗値Rbへ増加する。
この図3に示す例では、高抵抗値Rbを情報「0」に、低抵抗値Raを情報「1」にそれぞれ割り当てている。そのため、抵抗変化層107の抵抗値が高抵抗値Rbになるように正電圧パルスを電極間に印加することによって情報「0」が書き込まれることになり、また、低抵抗値Raになるように負電圧パルスを電極間に印加することによって情報「1」が書き込まれることになる。
ここで、負電圧パルスE1及び正電圧パルスE2の絶対値は2V以下である。
図4は、情報を読み出す場合における不揮発性記憶素子の動作例を示す図である。
情報の読み出しを行う場合、抵抗変化層107の抵抗値を変化させるときに印加する電気的パルスよりも振幅の小さい読み出し用電圧E3(|E3|<|E1|、|E3|<|E2|)を電極間に印加する。その結果、抵抗変化層107の抵抗値に対応した電流が出力され、その出力電流値を検出することにより、書き込まれている情報の読み出しが可能となる。
図4に示す例では、出力電流値Iaが抵抗値Raに、出力電流値Ibが抵抗値Rbにそれぞれ対応しているので、出力電流値laが検出された場合は情報「1」が、出力電流値lbが検出された場合は情報「0」がそれぞれ読み出されることになる。
以上のように、下部電極層103と上部電極層106とに挟まれた領域において、抵抗変化層107が記憶部として機能することにより、不揮発性記憶素子100がメモリとして動作することになる。
[電圧印加により抵抗変化層に与えられる仕事]
次に、印加した電圧が抵抗変化層に対して与える仕事について説明する。電子の数をn、抵抗変化層に加わる電圧をEとすると、印加電圧により抵抗変化層に与えられる仕事Wは、式3で与えられる。
Figure 2010090002
ここで、Fはファラデー定数である。すなわち、抵抗変化素子に印加される電圧が2Vのとき、抵抗変化素子に与えられる仕事は、nが1のとき2eVとなる。
第1の金属酸化物の組成をMO、第2の金属酸化物の組成をMOとすると、第1の金属酸化物と第2の金属酸化物と酸素イオンと電子とが係る反応の反応式は式4で表される。
Figure 2010090002
式3で表される反応のエネルギーをΔGM,(y−x)とする。反応のエネルギーΔGM,(y−x)とは、金属元素Mの酸化物MO、MOが、酸化数がxからyに変化する際に必要なエネルギーを意味する。
各元素における反応エネルギーΔGの絶対値を表1に示す。
Figure 2010090002
このように各元素の反応エネルギーの絶対値が2eV以下に収まっている。
式4で示した反応を可逆的に進行させるために必要な最低の電圧をEmとすると、電圧Emを印加したことにより抵抗変化層に与えられた仕事Wmが、反応のエネルギーΔGと同じであればよい。このとき、式4から反応に係わる電子の数は2(y−x)であるから、ΔGM,(y−x)とEmの関係はファラデー定数Fを用いて式5で表される。
Figure 2010090002
[酸化還元反応の反応エネルギー]
図5に、金属元素Mの酸化物における、式3で表される反応のエネルギーΔGM,(y−x)から計算したEmの絶対値を示す。金属元素Mの酸化物として、クロム、コバルト、マンガン、バナジウム、セリウム、タングステン、銅、スズ、ニオブ、チタンの酸化物を用いた。表2に、図5で示したEmの絶対値を導出するために用いた酸化物MO及びMOの組合せを示す。
Figure 2010090002
なお、表2に示した第1の金属酸化物MOの抵抗率は第2の金属酸化物MOよりも低い。図5から分かるようにEmは2V以下となっており、ここに示す材料については、2V以下の電圧印加によって抵抗変化現象が起こることが推測された。この結果から、各元素の反応エネルギーの絶対値が2eV以下となる場合には、Emの絶対値は2V以下となることが分かった。
以下に反応のエネルギーΔGの導出に関する説明を行う。
反応のエネルギーΔGの値の導出には、第1原理計算によりVASPコード(非特許文献:Phys.Rev.B 47,558(1993)、Comput. Mat.Sci 6, 15(1996)、Phys.Rev.B 54,11 169(1996)に記載)を用いて行った。本計算により式4で表される反応の反応エンタルピーを得ることが可能である。本発明の不揮発性記憶素子が想定する使用温度は85℃以下であり、この温度域では反応エントロピーが反応エネルギーΔG中で占める割合は十分小さい。したがって、本計算により得られた反応エンタルピーが、反応エネルギーΔGと等しいとした。
図5に示した通り、表2で示した第1の金属酸化物MOと第2の金属酸化物MOの組合せでは、Emの絶対値はすべて2V以下となる。したがって、表2に示した第1の金属酸化物MOと第2の金属酸化物MOの酸化・還元反応を利用した不揮発性記憶素子100では、2V以下の電圧印加により抵抗変化動作させることが可能である。
[高抵抗状態と低抵抗状態]
次に、酸化還元反応による抵抗変化動作について、抵抗変化動作の挙動を、図6の(a)〜(c)を用いて模式的に説明する。
図6の(a)は本実施の形態における抵抗変化層107の抵抗変化動作開始前の状態(初期状態)を模式的に示した図である。図6の(a)で示した初期状態では、第1の金属酸化物層104は、MOで表される組成を有する第1の金属酸化物108を含むように構成される。また、第2の金属酸化物層105は、MOで表される組成を有する第2の
金属酸化物109を含むように構成される。ここで、第1の金属酸化物108と、第2の金属酸化物109は、それぞれ表2のMOとMOで示した酸化物である。
図6の(a)で示した抵抗変化層107に下部電極を基準に上部電極が負となるような電圧(負電圧)を印加することで、第2の金属酸化物層105の酸素イオンが第1の金属酸化物層104側に移動する。酸素イオンが移動した結果、第2の金属酸化物109が還元し、第1の金属酸化物108が酸化する。これにより、図6の(b)で示したように、第2の金属酸化物層105と第1の金属酸化物層104の界面に反応層110が形成される。
反応層110が形成されることで、高抵抗である第2の金属酸化物109が抵抗変化層107において占める割合が減少し、低抵抗状態となる。
上述した負電圧印加により、反応層110では第1の金属酸化物108よりも第2の金属酸化物109の方がより多く存在していることが想定される。しかしながら、第2の金属酸化物109は反応層110において均一に形成されるわけではないため、反応層110は第2の金属酸化物109に比べてリーク電流が流れやすい状態である。したがって、反応層110の抵抗率は第2の金属酸化物層105よりも小さい。
次に、図6の(b)で示した低抵抗状態の抵抗変化層に、下部電極を基準に上部電極が正となるような電圧(正電圧)を印加することで、高抵抗状態である図6の(c)で示した状態になる。正電圧を印加することで、酸素イオンが第2の金属酸化物層105側に酸素が移動し、酸化反応により高抵抗である第2の金属酸化物109が形成される。その結果、高抵抗である第2の金属酸化物109が抵抗変化層107において占める割合が、低抵抗状態におけるその割合に比べ大きくなり、高抵抗状態となる。図6の(c)で示した高抵抗状態において、反応層110は抵抗変化層107中に存在するため、図6の(c)で示した高抵抗状態での抵抗変化層107の抵抗値は、図6の(a)で示した初期状態に比べて大きくなる。
このように抵抗変化層107を、第2の金属酸化物層105と第1の金属酸化物層104の積層構造とすることで、酸化還元反応が生じる場所を第2の金属酸化物層と第1の金属酸化物層の界面に限定することが可能となり、安定した抵抗変化動作が実現できる。
上記では、第1の金属酸化物108および第2の金属酸化物109として、Cr、Co、Mn、V、Ce、W、Cu、Sn、Nb、Tiの酸化物が好適に用いられることを説明した。以下では、第1の金属酸化物108および第2の金属酸化物109として用いられる金属酸化物をさらに限定することで得られる追加的な効果について説明する。
例えば、その金属酸化物をV、Cr、Sn、Co、W、Cuの各々の酸化物からなる群より選択してもよい。この群における金属元素は、前述した他の金属元素と比べて、特に酸化・還元反応のエネルギーが小さい。そのため、この群に属する金属酸化物を抵抗変化層107に用いた場合、より低電圧での駆動が可能となることから、不揮発性記憶素子100の消費電力の一層の低減が期待できる。
また、例えば、その金属酸化物をNb、Cr、Mn、V、Cu、Sn、Tiの各々の酸化物からなる群より選択してもよい。この群における金属元素は、複数の価数を安定して取り得る金属元素である。そのため、この群に属する金属酸化物を抵抗変化層107に用いることで、不揮発性記憶素子100の製造時においては第1の金属酸化物108および第2の金属酸化物109の各々の酸化度の制御を容易にし、また不揮発性記憶素子100の動作時においてはその動作の安定性に寄与できる。また、この群に属する金属酸化物は粉末として市販されており、市販された材料を用いることで不揮発性記憶素子100の製造が容易になる。
また、例えば、その金属酸化物をW、Cu、Ti、Coの各々の酸化物からなる群より選択してもよい。この群における金属元素は、既存の半導体プロセスで用いられている金属元素である。したがって、この群に属する金属酸化物を抵抗変化層107に用いることにより、半導体プロセスと親和性の高い不揮発性記憶素子100を構成できる。
また、例えば、その金属酸化物をCu、Sn、Tiの各々の酸化物からなる群より選択してもよい。この群における金属元素は、CeやW等と比べて地殻存在率が高く安価であるため、製造コストの低減が期待できる。
また、例えば、その金属酸化物はCeOであってもよい。CeOは酸素イオンを導電種とする電解質であることが報告されており、したがって、酸素イオンがCeO中を移動しやすい。Ceの酸化物を抵抗変化層107に用いることで、抵抗変化動作の高速化が期待できる。
[異種金属酸化物層の積層構造]
以上、第2の金属酸化物層105と第1の金属酸化物層104が、同種の金属元素の酸化物により構成された抵抗変化層を含む不揮発性記憶素子について説明した。ここで、本実施の形態に示した不揮発性記憶素子は酸化還元反応により抵抗変化動作が実現するものである。したがって、原理上、図6で示した第2の金属酸化物109と第1の金属酸化物108は、異なる金属元素からなる金属酸化物により構成されてもよい。
α、β、δ、γをβ>α、δ>γを満たす任意の正の数として、酸化度の異なる第1の金属元素Mの酸化物の組成をそれぞれMα、Mβとし、酸化度の異なる第2の金属元素Mの酸化物をそれぞれMδ、Mγとして、Mα、Mδ、Mβ、Mγとが係わる化学反応式は式6のようになる。
Figure 2010090002
式6で示した反応の反応エネルギーが2eV以下であれば、抵抗変化動作は2V以下の電圧を印加することにより実現することが可能となる。
[異種の金属酸化物層からなる抵抗変化層の構成]
次に、抵抗変化層が第1の金属元素Mの酸化物と、第2の金属元素Mの酸化物からなる不揮発性記憶素子の初期状態における構成を、図7を用いて説明する。
図7に示すように、不揮発性記憶素子200は、基板112と、その基板上に形成された酸化物層113と、その酸化物層113上に形成された下部電極層114と、下部電極層114上に形成された第1の金属酸化物層115と、第1の金属酸化物層115上に形成された第2の金属酸化物層116と、第2の金属酸化物層116上に形成された上部電極層117とを備えている。不揮発性記憶素子200における抵抗変化層118は、第1の金属酸化物層115と第2の金属酸化物層116により構成される。
ここで、第1の金属酸化物層115は第1の金属元素Mの酸化物を含み、第2の金属酸化物層116は第2の金属元素Mの酸化物を含むよう構成される。
[不揮発性記憶素子の製造方法]
次に、図7に示した不揮発性記憶素子200の製造方法について、図8の(a)〜(e)を用いて説明する。
まず、図8の(a)に示すように、単結晶シリコンである112上に酸化物層113として、シリコン酸化膜をCVD法により形成する。次に下部電極層114をスパッタ法により形成する。
次に、図8の(b)に示すように、下部電極層114上に、第1の金属酸化物層115を、第1の金属元素Mのターゲットを用い、アルゴンと酸素をスパッタガスとした反応性スパッタ法により形成する。
次に、図8の(c)に示すように、第1の金属酸化物層115上に、第2の金属酸化物層116を形成する。第2の金属酸化物層116の形成方法は、第2の金属元素Mのターゲットを用いて、アルゴンと酸素をスパッタガスとした反応性スパッタ法により形成してもよいし、金属酸化物をターゲットとしたスパッタ法により形成してもよい。
次に、図8の(d)に示すように、第2の金属酸化物層116上に上部電極層117をスパッタ法により形成する。下部電極層114及び上部電極層117の材料として、例えばTaN、TiN、Pt、Ir、Cu、Ni、Wなどがある。
最後に、図8の(e)に示すように、下部電極層114、抵抗変化層118、上部電極層117に対して、フォトリソグラフィによりパターンを形成し、ドライエッチングによる形状加工により、下部電極層114、抵抗変化層118、上部電極層117の素子寸法が0.5μmから10μmとなるよう加工する。
[異種金属酸化物層の積層構造における高抵抗状態と低抵抗状態]
次に、不揮発性記憶素子200における抵抗変化層118の、酸化還元反応による抵抗変化動作の挙動を、図9の(a)〜(c)を用いて模式的に説明する。
図9の(a)は本実施の形態における抵抗変化層118の抵抗変化動作開始前の状態(初期状態)を模式的に示した図である。図9の(a)で示した初期状態では、第1の金属酸化物層115は、組成がMαで表される第1の金属元素Mの酸化物119を含む。また、第2の金属酸化物層116は、組成がMδで表される第2の金属元素Mの酸化物120を含むよう構成される。
図9の(a)で示した状態に負電圧を印加することで、酸素イオンが上部電極層117から下部電極層114の方向に向け移動し、第2の金属元素Mの酸化物120が還元し、第1の金属元素Mの酸化物119が酸化することで、第1の金属酸化物層115と第2の金属酸化物層116の界面に反応層121が形成される。
反応層121では式6で示した反応が進行しており、反応層121ではMα、Mβ(β>α)、Mγ、Mδ(δ>γ)で表される組成を有する第1の金属元素Mの酸化物と第2の金属元素Mの酸化物が混在して存在する。反応層121が形成されたことにより、高抵抗であるMδで表される組成を有する第2の金属元素Mの酸化物120の、抵抗変化層118中に占める割合が減少し、低抵抗状態が実現する。
さらに、図9の(b)で示した低抵抗状態に正電圧を印加することで、高抵抗状態である図9の(c)で示した状態になる。正電圧を印加することで、酸素イオンが下部電極層114から上部電極層117の方向に向け移動し、式6で示した反応の逆反応が進行する。この結果、図9の(c)で示したように、Mδで表される組成を有する第2の金属元素Mの酸化物120が抵抗変化層118中に占める割合が、低抵抗状態である図9の(b)に比べて大きくなり、高抵抗状態が実現する。
このように抵抗変化層118を、第2の金属酸化物層116と第1の金属酸化物層115の積層構造とすることで、酸化還元反応が生じる場所を第2の金属酸化物層116と第1の金属酸化物層115の界面に限定することが可能となり、安定した抵抗変化動作が実現できる。
次に式6で示された反応を可逆的に進行させるために必要な外部電圧Emについて説明する。式6は次の式7と式8に分けられる。
Figure 2010090002
Figure 2010090002
なお、式6の物質収支から(β−α)=(δ−γ)が成り立つ。式7及び式8から、式6で示された反応が進行する際に係る電子の数は2(β−α)である。したがって、式6で示した反応エネルギーを
Figure 2010090002
とすると、式10が成り立つ。
Figure 2010090002
式10により、反応のエネルギーから抵抗変化動作に必要な電圧の最低値Emが求められる。
図10は、Mαで表される組成を有する第1の金属元素Mの酸化物119としてTaOを用い、Mδで表される組成を有する第2の金属元素Mの酸化物120として、それぞれSnO、Nb、Ti、WOを用いた際の、抵抗変化動作に必要な電圧の最低値Emとの関係を示した図である。なお、TaOは金属的な電子状態を有しており、SnO、Nb、Ti、WOはバンドギャップを持つ絶縁体であり、SnO、Nb、WOの抵抗値はTaOよりも大きい。図10で示したEmは、図5で示した場合と同様の手法により導出した。また表3に、式6で示したMα、Mδ、Mβ、Mγに対応する酸化物の組合せを示す。
Figure 2010090002
また、Mαで表される組成を有する第1の金属元素Mの酸化物119としてTaOを用い、Mδで表される組成を有する第2の金属元素Mの酸化物120として、それぞれSnO、Nb、WOを用いた際の、反応エネルギーを表4に示す。
Figure 2010090002
表4で示した反応エネルギーの絶対値は2eV以下に収まっている。
図10に示した通り、表3で示した組合せによる第1の金属元素Mの酸化物119と第2の金属元素Mの酸化物120を用いた場合には、Emはすべて2V以下となり、したがって抵抗変化動作に必要な電圧の最低値は2V以下となる。
このように第1の金属元素Mの酸化物119と第2の金属元素Mの酸化物120として異種の金属からなる金属酸化物を用いることにより、抵抗変化層118の抵抗値を制御することが可能となる。
δで表される第2の金属元素Mの酸化物のバンドギャップは金属種Mに大きく依存する。抵抗変化層118の抵抗値はMδで表される第2の金属元素Mの酸化物のバンドギャップと上部電極層117の仕事関数に大きく依存する。
SnOのバンドギャップは3.6eV、Nbのバンドギャップは3.2eV、WOのバンドギャップは2.7eVと異なることから、異なる複数種の第2の金属元素Mの酸化物Mδの中から1つを選ぶことで、不揮発性記憶素子200の抵抗値を制御することが可能となる。
すなわち、抵抗値を上げたい場合は、Mδで表される第2の金属元素Mの酸化物120として、バンドギャップの大きいSnOを用いればよく、抵抗値を下げたい場合は、バンドギャップの小さいWOを用いればよい。
上記では、第1の金属元素Mの酸化物119として、Taの酸化物を用いた場合に、第2の金属元素Mの酸化物120として、Sn、Nb、Ti、Wの酸化物が好適に用いられることを説明した。以下では、第2の金属元素Mの酸化物120として用いられる金属酸化物をさらに限定することで得られる追加的な効果について説明する。
例えば、その金属酸化物をSn、W、Cuの各々の酸化物からなる群より選択してもよい。この群における金属元素は、前述した他の金属元素と比べて、特に酸化・還元反応のエネルギーが小さい。そのため、この群に属する金属酸化物を抵抗変化層118に用いた場合、より低電圧での駆動が可能となることから、不揮発性記憶素子200の消費電力の一層の低減が期待できる。
また、例えば、その金属酸化物をNb、Sn、Tiの各々の酸化物からなる群より選択してもよい。この群における金属元素は、複数の価数を安定して取り得る金属元素である。そのため、この群に属する金属酸化物を抵抗変化層118に用いることで、不揮発性記憶素子200の製造時においては第2の金属元素Mの酸化物120の酸化度の制御を容易にし、また不揮発性記憶素子200の動作時においてはその動作の安定性に寄与できる。また、この群に属する金属酸化物は粉末として市販されており、市販された材料を用いることで不揮発性記憶素子200の製造が容易になる。
また、例えば、その金属酸化物をW、Tiの各々の酸化物からなる群より選択してもよい。この群における金属元素は、既存の半導体プロセスで用いられている金属元素である。したがって、この群に属する金属酸化物を抵抗変化層118に用いることにより、半導体プロセスと親和性の高い不揮発性記憶素子200を構成できる。
また、例えば、その金属酸化物をSn、Tiの各々の酸化物からなる群より選択してもよい。この群における金属元素は、CeやW等と比べて地殻存在率が高く安価であるため、製造コストの低減が期待できる。
本発明の不揮発性記憶素子は、高速動作が可能で、しかも安定した書き換え特性を有しており、デジタル家電、メモリカード、携帯型電話機、およびパーソナルコンピュータなどの種々の電子機器に用いられる不揮発性記憶素子等として有用である。
1 下部電極
2 高抵抗層
3 イオン源層
4 上部電極
10 抵抗変化素子
11 半導体基板
12 素子分離層
13 ソース/ドレイン領域
14 ゲート電極
15 プラグ層
16 金属配線層
17 プラグ層
18 MOSトランジスタ
100 不揮発性記憶素子
101 基板
102 酸化物層
103 下部電極層
104 第1の金属酸化物層
105 第2の金属酸化物層
106 上部電極層
107 抵抗変化層
108 第1の金属酸化物
109 第2の金属酸化物
110 反応層
112 基板
113 酸化物層
114 下部電極層
115 第1の金属酸化物層
116 第2の金属酸化物層
117 上部電極層
118 抵抗変化層
119 第1の金属元素Mの酸化物
120 第2の金属元素Mの酸化物
121 反応層
200 不揮発性記憶素子
本発明は不揮発性記憶素子に関し、特に、印加される電気的信号に応じて抵抗値が変化する抵抗変化型の不揮発性記憶素子に関する。
近年、デジタル技術の進展に伴い、携帯型情報機器および情報家電などの電子機器が、より一層高機能化している。そのため、不揮発性記憶素子の大容量化、書き込み電力の低減、書き込み/読み出し時間の高速化、及び長寿命化の要求が高まっている。
こうした要求に対して、既存のフローティングゲートを用いたフラッシュメモリの微細化には限界があると言われている。他方、抵抗変化層を記憶部の材料として用いる不揮発性記憶素子(抵抗変化型メモリ)の場合、抵抗変化素子から成る単純な構造の記憶素子で構成することができるため、さらなる微細化、高速化、および低消費電力化が期待されている。
抵抗変化層を記憶部の材料として用いる場合、例えば、電気的パルスの入力などによって、その抵抗値を高抵抗から低抵抗へ、または低抵抗から高抵抗へと変化させることになる。この場合、低抵抗および高抵抗の2値を明確に区別し、かつ低抵抗と高抵抗との間を高速に安定して変化させ、これら2値が不揮発的に保持されることが必要になる。このようなメモリ特性の安定および記憶素子の微細化を目的として、従来から、種々の提案がなされている。
そのような提案の一つとして、2つの電極と、それらの電極に挟まれた記録層とを備え、その記録層の抵抗値を可逆的に変化するように構成された抵抗変化素子によりメモリセルが構成された記憶素子が、特許文献1に開示されている。図11は、そのような従来の記憶素子の構成を示す断面図である。
図11に示すように、この記憶素子は、メモリセルを構成する複数の抵抗変化素子10がアレイ状に配置されて構成されている。抵抗変化素子10は、下部電極1と上部電極4との間に、高抵抗層2とイオン源層3とが挟まれて構成されている。これら高抵抗層2およびイオン源層3により記憶層が構成され、この記憶層によって、各メモリセルの抵抗変化素子10に情報を記録することができる。
なお、それぞれの抵抗変化素子10は、半導体基板11上に形成されたMOSトランジスタ18の上方に配設されている。このMOSトランジスタ18は、半導体基板11内の素子分離層12により分離された領域に形成されたソース/ドレイン領域13と、ゲート電極14とからなる。また、ゲート電極14は、記憶素子の一方のアドレス配線であるワード線を兼ねている。
MOSトランジスタ18のソース/ドレイン領域13の一方と、抵抗変化素子10の下部電極1とが、プラグ層15、金属配線層16、およびプラグ層17を介して電気的に接続されている。また、MOSトランジスタ18のソース/ドレイン領域13の他方は、プラグ層15を介して金属配線層16に接続されている。この金属配線層16は、記憶素子の他方のアドレス配線であるビット線に接続される。
上記のように構成された抵抗変化素子10の下部電極1と上部電極4との間に極性の異なる電位を印加することにより、記録層を構成するイオン源層3のイオン源を高抵抗層2へ移動させる。または、そのイオン源を、高抵抗層2から上部電極4へ移動させる。これにより、抵抗変化素子10の抵抗値が高抵抗状態から低抵抗状態へ、または、低抵抗状態から高抵抗状態へと遷移して情報を記録することができる。
また、特許文献1において示された抵抗変化材料とは異なるものとして、2元系の遷移金属酸化物を用いた例が報告されている。例えば、特許文献2では、抵抗変化材料としてNiO、V、ZnO、Nb、TiO、WO、CoOが開示されている。
特開2006−40946号公報 特開2004−363604号公報
しかしながら、上述した抵抗変化材料には以下のような課題がある。まず、NiOなどの遷移金属酸化物を用いた場合、抵抗変化材料を低抵抗状態から高抵抗状態へ変化させるためには、NiO中に形成されたフィラメント状の電気的パスを、μsオーダーの長パルスを印加することによりジュール熱を発生させることで回復させることが必要になる。不揮発性記憶素子をメモリとして用いる場合、微細なデザインルールの下で高密度に集積化することが想定されているが、発生したジュール熱が隣接した不揮発性記憶素子の誤動作を誘発する可能性があり、微細化に適さない。
また、抵抗変化材料を用いた不揮発性記憶素子をメモリとして動作させる場合には、消費電力の観点から可能な限り印加電圧の値を低下させたい。具体的には、印加するパルス電圧の絶対値は2V以下であることが望ましい。これは不揮発性記憶素子を既存のCMOSと組み合わせて用いる場合、高速かつ低消費電力で動作する回路に用いられるMOSトランジスタでは、不揮発性記憶素子に印加できる電圧の最大値が2V程度であるためである。
現在上述した抵抗変化材料以外にも、様々な酸化物について抵抗変化動作の発現の有無を確認するための探索が続いている。しかしながら、抵抗変化動作の原理的な観点から低電圧で動作可能な不揮発性記憶素子を設計する手法は未だ開示されていない。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、抵抗変化動作の際にジュール熱を発生する必要がなく、かつ低電圧で抵抗変化動作の駆動が可能な不揮発性記憶素子を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するために、発明の不揮発性記憶素子は、基板と、前記基板上に形成された下部電極層と、前記下部電極層上に形成された、印加される電気的信号により高抵抗状態と低抵抗状態に変化する抵抗変化層と、前記抵抗変化層上に形成された上部電極層とを具備する不揮発性記憶素子であり、前記抵抗変化層は、第1の抵抗率を有する第1の金属酸化物を含む第1の金属酸化物層と、前記第1の金属酸化物と同一の金属元素からなる金属酸化物である、第2の抵抗率を有する第2の金属酸化物を含む第2の金属酸化物層の少なくとも2層からなる、多層構造であり、前記第2の金属酸化物層は、前記上部電極層及び前記下部電極層のうち少なくとも一方と接しており、前記第1の抵抗率は前記第2の抵抗率よりも小さく、x、yをx<yを満たす任意の正の数として、前記第1の金属酸化物の組成をMOとし、前記第2の金属酸化物の組成をMOとして、化学反応式が
Figure 2010090002
で表される、前記第1の金属酸化物と、前記第2の金属酸化物と、酸素イオンと、電子とが係わる化学反応の反応エネルギーの絶対値が2eV以下であって、前記MOおよび前記MOの組(MO、MO)が、(Cr、CrO)、(Co、Co)、(Mn、Mn)、(VO、V)、(Ce、CeO)、(W、WO)、(CuO、CuO)、(SnO、SnO)、(NbO、Nb)、および(Ti、TiO)からなる群より選択される1組である。
これにより、抵抗変化動作時に印加電圧を2V以下に抑えることが可能となり、抵抗変化動作の低電圧化が実現可能となる。さらに、印加電圧を2V以下とすることで、周辺回路と共用可能な既存のMOSトランジスタと組み合わせて抗変化動作させることが可能となる。
また、可逆的な酸化還元反応を用いた抵抗変化動作であることから、従来の不揮発性記憶素子のようにフィラメント状の電気的パスをジュール熱により回復させる必要がなく、微細化に適した不揮発性記憶素子の提供が可能である。
また、多層構造とすることで、酸化還元反応が進行する場所を第1の金属酸化物層と第2の金属酸化物層の界面に限定することが可能となり、安定した抵抗変化動作を実現できる。
さらに、第1の金属酸化物と第2の金属酸化物は、同じ金属元素の酸化物であることから、抵抗変化層は2元系で構成されており、抵抗変化層が3元系で構成される場合と比べて不揮発性記憶素子の製造が容易となる。
また、前記不揮発性記憶素子において、前記MOおよび前記MOの組(MO、MO)が、(VO、V)、(Cr、CrO)、(SnO、SnO)、(Co、Co)、(W、WO)、および(CuO、CuO)からなる群より選択される1組であってもよい。
この群におけるV、Cr、Sn、Co、W、Cuは、前述した他の金属元素と比べて、特に酸化・還元反応のエネルギーが小さい。そのため、この群に属する金属酸化物を前記抵抗変化層に用いた場合、より低電圧での駆動が可能となることから、前記不揮発性記憶素子の消費電力の一層の低減が期待できる。
また、前記不揮発性記憶素子において、前記MOおよび前記MOの組(MO、MO)が、(NbO、Nb)、(Cr、CrO)、(Mn、Mn)、(VO、V)、(CuO、CuO)、(SnO、SnO)、および(Ti、TiO)からなる群より選択される1組であってもよい。
この群におけるNb、Cr、Mn、V、Cu、Sn、Tiは、複数の価数を安定して取り得る金属元素である。そのため、この群に属する金属酸化物を前記抵抗変化層に用いることで、前記不揮発性記憶素子の製造時においては前記第1の金属酸化物および前記第2の金属酸化物の各々の酸化度の制御を容易にし、また前記不揮発性記憶素子の動作時においてはその動作の安定性に寄与できる。また、この群に属する金属酸化物は粉末として市販されており、市販された材料を用いることで抵抗変化素子の製造が容易になる。
また、前記不揮発性記憶素子において、前記MOおよび前記MOの組(MO、MO)が、(W、WO)、(CuO、CuO)、(Ti、TiO)、および(Co、Co)からなる群より選択される1組であってもよい。
この群におけるW、Cu、Ti、Coは、既存の半導体プロセスで用いられている金属元素である。したがって、この群に属する金属酸化物を抵抗変化層に用いることにより、半導体プロセスと親和性の高い不揮発性記憶素子を構成できる。
また、前記不揮発性記憶素子において、前記MOおよび前記MOの組(MO、MO)が、(CuO、CuO)、(SnO、SnO)および(Ti、TiO)からなる群より選択される1組であってもよい。
この群におけるCu、Sn、Tiは、前述したCeやW等と比べて地殻存在率が高く安価であるため、製造コストの低減が期待できる。
また、前記不揮発性記憶素子において、前記MOおよび前記MOの組(MO、MO)が、(Ce、CeO)であってもよい。
抵抗変化動作は酸素の移動を伴う現象である。CeOは酸素イオンを導電種とする電解質であることが報告されており、したがって、酸素イオンがCeO中を移動しやすい。Ceの酸化物を抵抗変化層に用いることで、抵抗変化動作の高速化が期待できる。
また、本発明の不揮発性記憶素子は、基板と、前記基板上に形成された下部電極層と、前記下部電極層上に形成された、印加される電気的信号により高抵抗状態と低抵抗状態に変化する抵抗変化層と、前記抵抗変化層上に形成された上部電極層とを具備する不揮発性記憶素子であり、前記抵抗変化層は、第1の金属元素Mの酸化物を含む第1の金属酸化物層と、前記第1の金属元素Mとは異なる、第2の金属元素Mの酸化物を含む第2の金属酸化物層の少なくとも2層からなる多層構造であり、前記第2の金属酸化物層は、前記下部電極層及び前記上部電極層のうち少なくとも一方と接しており、α、β、γ、δをβ>α、δ>γを満たす任意の正の数とし、酸化度の異なる前記第1の金属元素Mの酸化物の組成をそれぞれMα、Mβとし、酸化度の異なる前記第2の金属元素M酸化物の組成をそれぞれMδ、Mγとして、化学反応式が
Figure 2010090002
で表される、前記第1の金属元素Mの酸化物と、前記第2の金属元素Mの酸化物とが係わる化学反応の反応エネルギーの絶対値が2eV以下であって、前記Mαおよび前記Mβの組(Mα、Mβ)が、(TaO、Ta)であり、かつ前記Mγおよび前記Mδの組(Mδ、Mγ)が、(SnO、SnO)、(NbO、Nb)、(W、WO)、および(Ti、TiO)からなる群より選択される1組である。
これにより、抵抗変化動作時に印加電圧を2V以下に抑えることが可能となり、抵抗変化動作の低電圧化が実現可能となる。さらに、印加電圧を2V以下とすることで、既存の周辺回路と共用可能なMOSトランジスタと組み合わせて抵抗変化動作させることが可能となる。
また、酸化還元反応を用いた抵抗変化動作であることから、従来の不揮発性記憶素子のようにフィラメント状の電気的パスをジュール熱により回復させる必要がなく、微細化に適した不揮発性記憶素子の提供が可能である。
また、多層構造とすることで、酸化還元反応が進行する場所を第1の金属酸化物層と第2の金属酸化物層の界面に限定することが可能であるため、安定した抵抗変化動作を実現できる。
また、本発明の不揮発性記憶素子の抵抗値は、第2の金属酸化物層のバンドギャップに大きく依存する。したがって、第1の金属元素Mの種類によらず、第2の金属元素Mの酸化物のバンドギャップから不揮発性記憶素子の抵抗値を制御することが可能となる。
また、前記不揮発性記憶素子において、前記Mγおよび前記Mδの組(MO、MO)が、(SnO、SnO)、(W、WO)、および(CuO、CuO)からなる群より選択される1組であってもよい。
この群におけるSn、W、Cuは、前述した他の金属元素と比べて、特に酸化・還元反応のエネルギーが小さい。そのため、この群に属する金属酸化物を前記抵抗変化層に用いた場合、より低電圧での駆動が可能となることから、前記不揮発性記憶素子の消費電力の一層の低減が期待できる。
また、前記不揮発性記憶素子において、前記Mγおよび前記Mδの組(MO、MO)が、(NbO、Nb)、(SnO、SnO)、および(Ti、TiO)からなる群より選択される1組であってもよい。
この群におけるNb、Sn、Tiは、複数の価数を安定して取り得る金属元素である。そのため、この群に属する金属酸化物を前記抵抗変化層に用いることで、前記不揮発性記憶素子の製造時においては前記第1の金属酸化物および前記第2の金属酸化物の各々の酸化度の制御を容易にし、また前記不揮発性記憶素子の動作時においてはその動作の安定性に寄与できる。また、この群に属する金属元素の酸化物は粉末として市販されており、市販された材料を用いることで抵抗変化素子の製造が容易になる。
また、前記不揮発性記憶素子において、前記Mγおよび前記Mδの組(MO、MO)が、(W、WO)および(Ti、TiO)からなる群より選択される1組であってもよい。
この群におけるW、Tiは、既存の半導体プロセスで用いられている金属元素である。したがって、この群から選ばれる金属元素の酸化物を抵抗変化層に用いることにより、半導体プロセスと親和性の高い不揮発性記憶素子を構成できる。
また、前記不揮発性記憶素子において、前記Mγおよび前記Mδの組(MO、MO)が、(CuO、CuO)、(SnO、SnO)および(Ti、TiO)からなる群より選択される1組であってもよい。
この群におけるCu、Sn、Tiは、CeやW等と比べて地殻存在率が高く安価であるため、製造コストの低減が期待できる。
本発明によれば、抵抗変化動作の際にジュール熱を発生する必要の無い不揮発性記憶素子を得ることが可能となり、微細化に適した抵抗変化型の不揮発性記憶素子を提供することができる。また、発明の化学反応で支配される抵抗変化材料を用いれば、低電圧で高抵抗状態と低抵抗状態が可逆的に変化することが可能となり、周辺回路と共用できる既存のMOSトランジスタと組み合わせて動作可能な抵抗変化型の不揮発性記憶素子を提供することができる。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る不揮発性記憶素子の一構成例を示した断面図である。 図2(a)〜(e)は、本発明の第1の実施の形態に係る不揮発性記憶素子の製造方法を示した工程図である。 図3は、情報を書き込む場合における本発明の第1の実施の形態に係る不揮発性記憶素子の動作例を示す図である。 図4は、情報を読み出す場合における本発明の第1の実施の形態に係る不揮発性記憶素子の動作例を示す図である。 図5は、抵抗変化材料として、表2に示した金属酸化物を用いた際の、それぞれの金属酸化物について、可逆的な抵抗変化動作のために必要な最低の電圧値(Em)を示した図である。 図6(a)〜(c)は、本発明の第1の実施の形態に係る不揮発性記憶素子における抵抗変化層の、抵抗変化動作の挙動について説明した図である。 図7は、本発明の第1の実施の形態に係る不揮発性記憶素子の一構成例を示した断面図である。 図8(a)〜(e)は、本発明の第1の実施の形態に係る不揮発性記憶素子の製造方法を示した工程図である。 図9(a)〜(c)は、本発明の第1の実施の形態に係る不揮発性記憶素子における抵抗変化層の、抵抗変化動作の挙動について説明した図である。 図10は、抵抗変化材料として、表3に示した金属酸化物を用いた際の、それぞれの金属酸化物について、可逆的な抵抗変化動作のために必要な最低の電圧値(Em)を示した図である。 図11は、従来の不揮発性記憶素子の構成を示した断面図である。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳しく説明する。なお、図中同一または相当部分には同一の符号を付しその説明は省略する場合がある。
(第1の実施の形態)
[不揮発性記憶素子の構成]
図1は本発明の第1の実施の形態に係る、抵抗変化動作開始前の状態(初期状態)での不揮発性記憶素子の構成例を説明する断面図である。
図1に示すように、不揮発性記憶素子100は、基板101と、その基板上に形成された酸化物層102と、その酸化物層102上に形成された下部電極層103と、下部電極層103上に形成された第1の金属酸化物層104と、第1の金属酸化物層104上に形成された第2の金属酸化物層105と、第2の金属酸化物層105上に形成された上部電極層106とを備えている。不揮発性記憶素子100における抵抗変化層107は、第1の金属酸化物層104と第2の金属酸化物層105により構成される。
ここで、第1の金属酸化物層104は、第1の抵抗率を有する第1の金属酸化物を含み、第2の金属酸化物層105は、第2の抵抗率を有する第2の金属酸化物を含むよう構成される。
[不揮発性記憶素子の製造方法]
次に、図1に示した不揮発性記憶素子100の製造方法について、図2の(a)〜(e)を用いて説明する。
まず、図2の(a)に示すように、単結晶シリコンである101上に酸化物層102として、シリコン酸化膜をCVD法により形成する。次に下部電極層103をスパッタ法により形成する。
次に、図2の(b)に示すように、下部電極層103上に、第1の金属酸化物層104を、金属ターゲットを用い、アルゴンと酸素をスパッタガスとした反応性スパッタ法により形成する。
次に、図2の(c)に示すように、第1の金属酸化物層104上に、第2の金属酸化物層105を形成する。第2の金属酸化物層105の形成方法は、金属ターゲットを用いて、アルゴンと酸素をスパッタガスとした反応性スパッタ法により形成してもよいし、金属酸化物をターゲットとしたスパッタ法により形成してもよい。
次に、図2の(d)に示すように、第2の金属酸化物層105上に上部電極層106をスパッタ法により形成する。下部電極層103及び上部電極層106の材料として、例えばTaN、TiN、Pt、Ir、Cu、Ni、Wなどがある。
最後に、図2(e)に示すように、下部電極層103、抵抗変化層107、上部電極層106に対して、フォトリソグラフィによりパターンを形成し、ドライエッチングによる形状加工により、下部電極層103、抵抗変化層107、上部電極層106の素子寸法が0.5μmから10μmとなるよう加工する。
[不揮発性記憶素子の動作例]
次に、本実施の形態の不揮発性記憶素子100のメモリとしての動作例、すなわち情報の書き込み/読み出しをする場合の動作例を、図面を参照して説明する。
図3は、情報を書き込む場合における不揮発性記憶素子の動作例を示す図である。
下部電極層103と上部電極層106との間にパルス幅がP1の極性が異なる2種類の電気的パルスを交互に印加すると、抵抗変化層107の抵抗値が図2に示すように変化する。すなわち、負電圧パルス(電圧E1、パルス幅P1)を電極間に印加した場合、抵抗変化層107の抵抗値が、高抵抗値Rbから低抵抗値Raへ減少する。他方、正電圧パルス(電圧E2、パルス幅P1)を電極間に印加した場合、抵抗変化層107の抵抗値が、低抵抗値Raから高抵抗値Rbへ増加する。
この図3に示す例では、高抵抗値Rbを情報「0」に、低抵抗値Raを情報「1」にそれぞれ割り当てている。そのため、抵抗変化層107の抵抗値が高抵抗値Rbになるように正電圧パルスを電極間に印加することによって情報「0」が書き込まれることになり、また、低抵抗値Raになるように負電圧パルスを電極間に印加することによって情報「1」が書き込まれることになる。
ここで、負電圧パルスE1及び正電圧パルスE2の絶対値は2V以下である。
図4は、情報を読み出す場合における不揮発性記憶素子の動作例を示す図である。
情報の読み出しを行う場合、抵抗変化層107の抵抗値を変化させるときに印加する電気的パルスよりも振幅の小さい読み出し用電圧E3(|E3|<|E1|、|E3|<|E2|)を電極間に印加する。その結果、抵抗変化層107の抵抗値に対応した電流が出力され、その出力電流値を検出することにより、書き込まれている情報の読み出しが可能となる。
図4に示す例では、出力電流値Iaが抵抗値Raに、出力電流値Ibが抵抗値Rbにそれぞれ対応しているので、出力電流値laが検出された場合は情報「1」が、出力電流値lbが検出された場合は情報「0」がそれぞれ読み出されることになる。
以上のように、下部電極層103と上部電極層106とに挟まれた領域において、抵抗変化層107が記憶部として機能することにより、不揮発性記憶素子100がメモリとして動作することになる。
[電圧印加により抵抗変化層に与えられる仕事]
次に、印加した電圧が抵抗変化層に対して与える仕事について説明する。電子の数をn、抵抗変化層に加わる電圧をEとすると、印加電圧により抵抗変化層に与えられる仕事Wは、式3で与えられる。
Figure 2010090002
ここで、Fはファラデー定数である。すなわち、抵抗変化素子に印加される電圧が2Vのとき、抵抗変化素子に与えられる仕事は、nが1のとき2eVとなる。
第1の金属酸化物の組成をMO、第2の金属酸化物の組成をMOとすると、第1の金属酸化物と第2の金属酸化物と酸素イオンと電子とが係る反応の反応式は式4で表される。
Figure 2010090002
式3で表される反応のエネルギーをΔGM,(y−x)とする。反応のエネルギーΔGM,(y−x)とは、金属元素Mの酸化物MO、MOが、酸化数がxからyに変化する際に必要なエネルギーを意味する。
各元素における反応エネルギーΔGの絶対値を表1に示す。
Figure 2010090002
このように各元素の反応エネルギーの絶対値が2eV以下に収まっている。
式4で示した反応を可逆的に進行させるために必要な最低の電圧をEmとすると、電圧Emを印加したことにより抵抗変化層に与えられた仕事Wmが、反応のエネルギーΔGと同じであればよい。このとき、式4から反応に係わる電子の数は2(y−x)であるから、ΔGM,(y−x)とEmの関係はファラデー定数Fを用いて式5で表される。
Figure 2010090002
[酸化還元反応の反応エネルギー]
図5に、金属元素Mの酸化物における、式3で表される反応のエネルギーΔGM,(y−x)から計算したEmの絶対値を示す。金属元素Mの酸化物として、クロム、コバルト、マンガン、バナジウム、セリウム、タングステン、銅、スズ、ニオブ、チタンの酸化物を用いた。表2に、図5で示したEmの絶対値を導出するために用いた酸化物MO及びMOの組合せを示す。
Figure 2010090002
なお、表2に示した第1の金属酸化物MOの抵抗率は第2の金属酸化物MOよりも低い。図5から分かるようにEmは2V以下となっており、ここに示す材料については、2V以下の電圧印加によって抵抗変化現象が起こることが推測された。この結果から、各元素の反応エネルギーの絶対値が2eV以下となる場合には、Emの絶対値は2V以下となることが分かった。
以下に反応のエネルギーΔGの導出に関する説明を行う。
反応のエネルギーΔGの値の導出には、第1原理計算によりVASPコード(非特許文献:Phys.Rev.B 47,558(1993)、Comput. Mat.Sci 6, 15(1996)、Phys.Rev.B 54,11 169(1996)に記載)を用いて行った。本計算により式4で表される反応の反応エンタルピーを得ることが可能である。本発明の不揮発性記憶素子が想定する使用温度は85℃以下であり、この温度域では反応エントロピーが反応エネルギーΔG中で占める割合は十分小さい。したがって、本計算により得られた反応エンタルピーが、反応エネルギーΔGと等しいとした。
図5に示した通り、表2で示した第1の金属酸化物MOと第2の金属酸化物MOの組合せでは、Emの絶対値はすべて2V以下となる。したがって、表2に示した第1の金属酸化物MOと第2の金属酸化物MOの酸化・還元反応を利用した不揮発性記憶素子100では、2V以下の電圧印加により抵抗変化動作させることが可能である。
[高抵抗状態と低抵抗状態]
次に、酸化還元反応による抵抗変化動作について、抵抗変化動作の挙動を、図6の(a)〜(c)を用いて模式的に説明する。
図6の(a)は本実施の形態における抵抗変化層107の抵抗変化動作開始前の状態(初期状態)を模式的に示した図である。図6の(a)で示した初期状態では、第1の金属酸化物層104は、MOで表される組成を有する第1の金属酸化物108を含むように構成される。また、第2の金属酸化物層105は、MOで表される組成を有する第2の
金属酸化物109を含むように構成される。ここで、第1の金属酸化物108と、第2の金属酸化物109は、それぞれ表2のMOとMOで示した酸化物である。
図6の(a)で示した抵抗変化層107に下部電極を基準に上部電極が負となるような電圧(負電圧)を印加することで、第2の金属酸化物層105の酸素イオンが第1の金属酸化物層104側に移動する。酸素イオンが移動した結果、第2の金属酸化物109が還元し、第1の金属酸化物108が酸化する。これにより、図6の(b)で示したように、第2の金属酸化物層105と第1の金属酸化物層104の界面に反応層110が形成される。
反応層110が形成されることで、高抵抗である第2の金属酸化物109が抵抗変化層107において占める割合が減少し、低抵抗状態となる。
上述した負電圧印加により、反応層110では第1の金属酸化物108よりも第2の金属酸化物109の方がより多く存在していることが想定される。しかしながら、第2の金属酸化物109は反応層110において均一に形成されるわけではないため、反応層110は第2の金属酸化物109に比べてリーク電流が流れやすい状態である。したがって、反応層110の抵抗率は第2の金属酸化物層105よりも小さい。
次に、図6の(b)で示した低抵抗状態の抵抗変化層に、下部電極を基準に上部電極が正となるような電圧(正電圧)を印加することで、高抵抗状態である図6の(c)で示した状態になる。正電圧を印加することで、酸素イオンが第2の金属酸化物層105側に酸素が移動し、酸化反応により高抵抗である第2の金属酸化物109が形成される。その結果、高抵抗である第2の金属酸化物109が抵抗変化層107において占める割合が、低抵抗状態におけるその割合に比べ大きくなり、高抵抗状態となる。図6の(c)で示した高抵抗状態において、反応層110は抵抗変化層107中に存在するため、図6の(c)で示した高抵抗状態での抵抗変化層107の抵抗値は、図6の(a)で示した初期状態に比べて大きくなる。
このように抵抗変化層107を、第2の金属酸化物層105と第1の金属酸化物層104の積層構造とすることで、酸化還元反応が生じる場所を第2の金属酸化物層と第1の金属酸化物層の界面に限定することが可能となり、安定した抵抗変化動作が実現できる。
上記では、第1の金属酸化物108および第2の金属酸化物109として、Cr、Co、Mn、V、Ce、W、Cu、Sn、Nb、Tiの酸化物が好適に用いられることを説明した。以下では、第1の金属酸化物108および第2の金属酸化物109として用いられる金属酸化物をさらに限定することで得られる追加的な効果について説明する。
例えば、その金属酸化物をV、Cr、Sn、Co、W、Cuの各々の酸化物からなる群より選択してもよい。この群における金属元素は、前述した他の金属元素と比べて、特に酸化・還元反応のエネルギーが小さい。そのため、この群に属する金属酸化物を抵抗変化層107に用いた場合、より低電圧での駆動が可能となることから、不揮発性記憶素子100の消費電力の一層の低減が期待できる。
また、例えば、その金属酸化物をNb、Cr、Mn、V、Cu、Sn、Tiの各々の酸化物からなる群より選択してもよい。この群における金属元素は、複数の価数を安定して取り得る金属元素である。そのため、この群に属する金属酸化物を抵抗変化層107に用いることで、不揮発性記憶素子100の製造時においては第1の金属酸化物108および第2の金属酸化物109の各々の酸化度の制御を容易にし、また不揮発性記憶素子100の動作時においてはその動作の安定性に寄与できる。また、この群に属する金属酸化物は粉末として市販されており、市販された材料を用いることで不揮発性記憶素子100の製造が容易になる。
また、例えば、その金属酸化物をW、Cu、Ti、Coの各々の酸化物からなる群より選択してもよい。この群における金属元素は、既存の半導体プロセスで用いられている金属元素である。したがって、この群に属する金属酸化物を抵抗変化層107に用いることにより、半導体プロセスと親和性の高い不揮発性記憶素子100を構成できる。
また、例えば、その金属酸化物をCu、Sn、Tiの各々の酸化物からなる群より選択してもよい。この群における金属元素は、CeやW等と比べて地殻存在率が高く安価であるため、製造コストの低減が期待できる。
また、例えば、その金属酸化物はCeOであってもよい。CeOは酸素イオンを導電種とする電解質であることが報告されており、したがって、酸素イオンがCeO中を移動しやすい。Ceの酸化物を抵抗変化層107に用いることで、抵抗変化動作の高速化が期待できる。
[異種金属酸化物層の積層構造]
以上、第2の金属酸化物層105と第1の金属酸化物層104が、同種の金属元素の酸化物により構成された抵抗変化層を含む不揮発性記憶素子について説明した。ここで、本実施の形態に示した不揮発性記憶素子は酸化還元反応により抵抗変化動作が実現するものである。したがって、原理上、図6で示した第2の金属酸化物109と第1の金属酸化物108は、異なる金属元素からなる金属酸化物により構成されてもよい。
α、β、δ、γをβ>α、δ>γを満たす任意の正の数として、酸化度の異なる第1の金属元素Mの酸化物の組成をそれぞれMα、Mβとし、酸化度の異なる第2の金属元素Mの酸化物をそれぞれMδ、Mγとして、Mα、Mδ、Mβ、Mγとが係わる化学反応式は式6のようになる。
Figure 2010090002
式6で示した反応の反応エネルギーが2eV以下であれば、抵抗変化動作は2V以下の電圧を印加することにより実現することが可能となる。
[異種の金属酸化物層からなる抵抗変化層の構成]
次に、抵抗変化層が第1の金属元素Mの酸化物と、第2の金属元素Mの酸化物からなる不揮発性記憶素子の初期状態における構成を、図7を用いて説明する。
図7に示すように、不揮発性記憶素子200は、基板112と、その基板上に形成された酸化物層113と、その酸化物層113上に形成された下部電極層114と、下部電極層114上に形成された第1の金属酸化物層115と、第1の金属酸化物層115上に形成された第2の金属酸化物層116と、第2の金属酸化物層116上に形成された上部電極層117とを備えている。不揮発性記憶素子200における抵抗変化層118は、第1の金属酸化物層115と第2の金属酸化物層116により構成される。
ここで、第1の金属酸化物層115は第1の金属元素Mの酸化物を含み、第2の金属酸化物層116は第2の金属元素Mの酸化物を含むよう構成される。
[不揮発性記憶素子の製造方法]
次に、図7に示した不揮発性記憶素子200の製造方法について、図8の(a)〜(e)を用いて説明する。
まず、図8の(a)に示すように、単結晶シリコンである112上に酸化物層113として、シリコン酸化膜をCVD法により形成する。次に下部電極層114をスパッタ法により形成する。
次に、図8の(b)に示すように、下部電極層114上に、第1の金属酸化物層115を、第1の金属元素Mのターゲットを用い、アルゴンと酸素をスパッタガスとした反応性スパッタ法により形成する。
次に、図8の(c)に示すように、第1の金属酸化物層115上に、第2の金属酸化物層116を形成する。第2の金属酸化物層116の形成方法は、第2の金属元素Mのターゲットを用いて、アルゴンと酸素をスパッタガスとした反応性スパッタ法により形成してもよいし、金属酸化物をターゲットとしたスパッタ法により形成してもよい。
次に、図8の(d)に示すように、第2の金属酸化物層116上に上部電極層117をスパッタ法により形成する。下部電極層114及び上部電極層117の材料として、例えばTaN、TiN、Pt、Ir、Cu、Ni、Wなどがある。
最後に、図8の(e)に示すように、下部電極層114、抵抗変化層118、上部電極層117に対して、フォトリソグラフィによりパターンを形成し、ドライエッチングによる形状加工により、下部電極層114、抵抗変化層118、上部電極層117の素子寸法が0.5μmから10μmとなるよう加工する。
[異種金属酸化物層の積層構造における高抵抗状態と低抵抗状態]
次に、不揮発性記憶素子200における抵抗変化層118の、酸化還元反応による抵抗変化動作の挙動を、図9の(a)〜(c)を用いて模式的に説明する。
図9の(a)は本実施の形態における抵抗変化層118の抵抗変化動作開始前の状態(初期状態)を模式的に示した図である。図9の(a)で示した初期状態では、第1の金属酸化物層115は、組成がMαで表される第1の金属元素Mの酸化物119を含む。また、第2の金属酸化物層116は、組成がMδで表される第2の金属元素Mの酸化物120を含むよう構成される。
図9の(a)で示した状態に負電圧を印加することで、酸素イオンが上部電極層117から下部電極層114の方向に向け移動し、第2の金属元素Mの酸化物120が還元し、第1の金属元素Mの酸化物119が酸化することで、第1の金属酸化物層115と第2の金属酸化物層116の界面に反応層121が形成される。
反応層121では式6で示した反応が進行しており、反応層121ではMα、Mβ(β>α)、Mγ、Mδ(δ>γ)で表される組成を有する第1の金属元素Mの酸化物と第2の金属元素Mの酸化物が混在して存在する。反応層121が形成されたことにより、高抵抗であるMδで表される組成を有する第2の金属元素Mの酸化物120の、抵抗変化層118中に占める割合が減少し、低抵抗状態が実現する。
さらに、図9の(b)で示した低抵抗状態に正電圧を印加することで、高抵抗状態である図9の(c)で示した状態になる。正電圧を印加することで、酸素イオンが下部電極層114から上部電極層117の方向に向け移動し、式6で示した反応の逆反応が進行する。この結果、図9の(c)で示したように、Mδで表される組成を有する第2の金属元素Mの酸化物120が抵抗変化層118中に占める割合が、低抵抗状態である図9の(b)に比べて大きくなり、高抵抗状態が実現する。
このように抵抗変化層118を、第2の金属酸化物層116と第1の金属酸化物層115の積層構造とすることで、酸化還元反応が生じる場所を第2の金属酸化物層116と第1の金属酸化物層115の界面に限定することが可能となり、安定した抵抗変化動作が実現できる。
次に式6で示された反応を可逆的に進行させるために必要な外部電圧Emについて説明する。式6は次の式7と式8に分けられる。
Figure 2010090002
Figure 2010090002
なお、式6の物質収支から(β−α)=(δ−γ)が成り立つ。式7及び式8から、式6で示された反応が進行する際に係る電子の数は2(β−α)である。したがって、式6で示した反応エネルギーを
Figure 2010090002
とすると、式10が成り立つ。
Figure 2010090002
式10により、反応のエネルギーから抵抗変化動作に必要な電圧の最低値Emが求められる。
図10は、Mαで表される組成を有する第1の金属元素Mの酸化物119としてTaOを用い、Mδで表される組成を有する第2の金属元素Mの酸化物120として、それぞれSnO、Nb、Ti、WOを用いた際の、抵抗変化動作に必要な電圧の最低値Emとの関係を示した図である。なお、TaOは金属的な電子状態を有しており、SnO、Nb、Ti、WOはバンドギャップを持つ絶縁体であり、SnO、Nb、WOの抵抗値はTaOよりも大きい。図10で示したEmは、図5で示した場合と同様の手法により導出した。また表3に、式6で示したMα、Mδ、Mβ、Mγに対応する酸化物の組合せを示す。
Figure 2010090002
また、Mαで表される組成を有する第1の金属元素Mの酸化物119としてTaOを用い、Mδで表される組成を有する第2の金属元素Mの酸化物120として、それぞれSnO、Nb、WOを用いた際の、反応エネルギーを表4に示す。
Figure 2010090002
表4で示した反応エネルギーの絶対値は2eV以下に収まっている。
図10に示した通り、表3で示した組合せによる第1の金属元素Mの酸化物119と第2の金属元素Mの酸化物120を用いた場合には、Emはすべて2V以下となり、したがって抵抗変化動作に必要な電圧の最低値は2V以下となる。
このように第1の金属元素Mの酸化物119と第2の金属元素Mの酸化物120として異種の金属からなる金属酸化物を用いることにより、抵抗変化層118の抵抗値を制御することが可能となる。
δで表される第2の金属元素Mの酸化物のバンドギャップは金属種Mに大きく依存する。抵抗変化層118の抵抗値はMδで表される第2の金属元素Mの酸化物のバンドギャップと上部電極層117の仕事関数に大きく依存する。
SnOのバンドギャップは3.6eV、Nbのバンドギャップは3.2eV、WOのバンドギャップは2.7eVと異なることから、異なる複数種の第2の金属元素Mの酸化物Mδの中から1つを選ぶことで、不揮発性記憶素子200の抵抗値を制御することが可能となる。
すなわち、抵抗値を上げたい場合は、Mδで表される第2の金属元素Mの酸化物120として、バンドギャップの大きいSnOを用いればよく、抵抗値を下げたい場合は、バンドギャップの小さいWOを用いればよい。
上記では、第1の金属元素Mの酸化物119として、Taの酸化物を用いた場合に、第2の金属元素Mの酸化物120として、Sn、Nb、Ti、Wの酸化物が好適に用いられることを説明した。以下では、第2の金属元素Mの酸化物120として用いられる金属酸化物をさらに限定することで得られる追加的な効果について説明する。
例えば、その金属酸化物をSn、W、Cuの各々の酸化物からなる群より選択してもよい。この群における金属元素は、前述した他の金属元素と比べて、特に酸化・還元反応のエネルギーが小さい。そのため、この群に属する金属酸化物を抵抗変化層118に用いた場合、より低電圧での駆動が可能となることから、不揮発性記憶素子200の消費電力の一層の低減が期待できる。
また、例えば、その金属酸化物をNb、Sn、Tiの各々の酸化物からなる群より選択してもよい。この群における金属元素は、複数の価数を安定して取り得る金属元素である。そのため、この群に属する金属酸化物を抵抗変化層118に用いることで、不揮発性記憶素子200の製造時においては第2の金属元素Mの酸化物120の酸化度の制御を容易にし、また不揮発性記憶素子200の動作時においてはその動作の安定性に寄与できる。また、この群に属する金属酸化物は粉末として市販されており、市販された材料を用いることで不揮発性記憶素子200の製造が容易になる。
また、例えば、その金属酸化物をW、Tiの各々の酸化物からなる群より選択してもよい。この群における金属元素は、既存の半導体プロセスで用いられている金属元素である。したがって、この群に属する金属酸化物を抵抗変化層118に用いることにより、半導体プロセスと親和性の高い不揮発性記憶素子200を構成できる。
また、例えば、その金属酸化物をSn、Tiの各々の酸化物からなる群より選択してもよい。この群における金属元素は、CeやW等と比べて地殻存在率が高く安価であるため、製造コストの低減が期待できる。
本発明の不揮発性記憶素子は、高速動作が可能で、しかも安定した書き換え特性を有しており、デジタル家電、メモリカード、携帯型電話機、およびパーソナルコンピュータなどの種々の電子機器に用いられる不揮発性記憶素子等として有用である。
1 下部電極
2 高抵抗層
3 イオン源層
4 上部電極
10 抵抗変化素子
11 半導体基板
12 素子分離層
13 ソース/ドレイン領域
14 ゲート電極
15 プラグ層
16 金属配線層
17 プラグ層
18 MOSトランジスタ
100 不揮発性記憶素子
101 基板
102 酸化物層
103 下部電極層
104 第1の金属酸化物層
105 第2の金属酸化物層
106 上部電極層
107 抵抗変化層
108 第1の金属酸化物
109 第2の金属酸化物
110 反応層
112 基板
113 酸化物層
114 下部電極層
115 第1の金属酸化物層
116 第2の金属酸化物層
117 上部電極層
118 抵抗変化層
119 第1の金属元素Mの酸化物
120 第2の金属元素Mの酸化物
121 反応層
200 不揮発性記憶素子

Claims (11)

  1. 基板と、
    前記基板上に形成された下部電極層と、
    前記下部電極層上に形成された、印加される電気的信号により高抵抗状態と低抵抗状態に変化する抵抗変化層と、
    前記抵抗変化層上に形成された上部電極層とを具備する不揮発性記憶素子であり、
    前記抵抗変化層は、
    第1の抵抗率を有する第1の金属酸化物を含む第1の金属酸化物層と、
    前記第1の金属酸化物と同一の金属元素からなる金属酸化物である、第2の抵抗率を有する第2の金属酸化物を含む第2の金属酸化物層の少なくとも2層からなる、多層構造であり、
    前記第2の金属酸化物層は、前記上部電極層及び前記下部電極層のうち少なくとも一方と接しており、
    前記第1の抵抗率は前記第2の抵抗率よりも小さく、
    x、yをx<yを満たす任意の正の数として、前記第1の金属酸化物の組成をMOとし、前記第2の金属酸化物の組成をMOとして、
    化学反応式が
    Figure 2010090002
    で表される、前記第1の金属酸化物と、前記第2の金属酸化物と、酸素イオンと、電子とが係わる化学反応の反応エネルギーの絶対値が2eV以下であって、
    前記MOおよび前記MOの組(MO、MO)が、(Cr、CrO)、(Co、Co)、(Mn、Mn)、(VO、V)、(Ce、CeO)、(W、WO)、(CuO、CuO)、(SnO、SnO)、(NbO、Nb)、および(Ti、TiO)からなる群より選択される1組である
    不揮発性記憶素子。
  2. 前記MOおよび前記MOの組(MO、MO)が、(VO、V)、(Cr、CrO)、(SnO、SnO)、(Co、Co)、(W、WO)、および(CuO、CuO)からなる群より選択される1組である
    請求項1に記載の不揮発性記憶素子。
  3. 前記MOおよび前記MOの組(MO、MO)が、(NbO、Nb)、(Cr、CrO)、(Mn、Mn)、(VO、V)、(CuO、CuO)、(SnO、SnO)、および(Ti、TiO)からなる群より選択される1組である
    請求項1に記載の不揮発性記憶素子。
  4. 前記MOおよび前記MOの組(MO、MO)が、(W、WO)、(CuO、CuO)、(Ti、TiO)、および(Co、Co)からなる群より選択される1組である
    請求項1に記載の不揮発性記憶素子。
  5. 前記MOおよび前記MOの組(MO、MO)が、(CuO、CuO)、(SnO、SnO)および(Ti、TiO)からなる群より選択される1組である
    請求項1に記載の不揮発性記憶素子。
  6. 前記MOおよび前記MOの組(MO、MO)が、(Ce、CeO)である
    請求項1に記載の不揮発性記憶素子。
  7. 基板と、
    前記基板上に形成された下部電極層と、
    前記下部電極層上に形成された、印加される電気的信号により高抵抗状態と低抵抗状態に変化する抵抗変化層と、
    前記抵抗変化層上に形成された上部電極層とを具備する不揮発性記憶素子であり、
    前記抵抗変化層は、
    第1の金属元素Mの酸化物を含む第1の金属酸化物層と、
    前記第1の金属元素Mとは異なる、第2の金属元素Mの酸化物を含む第2の金属酸化物層の少なくとも2層からなる多層構造であり、
    前記第2の金属酸化物層は、前記下部電極層及び前記上部電極層のうち少なくとも一方と接しており、
    α、β、γ、δをβ>α、δ>γを満たす任意の正の数とし、酸化度の異なる前記第1の金属元素Mの酸化物の組成をそれぞれMα、Mβとし、酸化度の異なる前記第2の金属元素M酸化物の組成をそれぞれMδ、Mγとして、化学反応式が
    Figure 2010090002
    で表される、前記第1の金属元素Mの酸化物と、前記第2の金属元素Mの酸化物とが係わる化学反応の反応エネルギーの絶対値が2eV以下であって、
    前記Mαおよび前記Mβの組(Mα、Mβ)が、(TaO、Ta)であり、かつ前記Mγおよび前記Mδの組(Mδ、Mγ)が、(SnO、SnO)、(NbO、Nb)、(W、WO)、および(Ti、TiO)からなる群より選択される1組である
    不揮発性記憶素子。
  8. 前記Mγおよび前記Mδの組(MO、MO)が、(SnO、SnO)、(W、WO)、および(CuO、CuO)からなる群より選択される1組である
    請求項7に記載の不揮発性記憶素子。
  9. 前記Mγおよび前記Mδの組(MO、MO)が、(NbO、Nb)、(SnO、SnO)、および(Ti、TiO)からなる群より選択される1組である
    請求項7に記載の不揮発性記憶素子。
  10. 前記Mγおよび前記Mδの組(MO、MO)が、(W、WO)および(Ti、TiO)からなる群より選択される1組である
    請求項7に記載の不揮発性記憶素子。
  11. 前記Mγおよび前記Mδの組(MO、MO)が、(SnO、SnO)および(Ti、TiO)からなる群より選択される1組である
    請求項1に記載の不揮発性記憶素子。
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