JP5572749B2 - 不揮発性記憶素子及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、不揮発性記憶素子及びその製造方法に関する。より詳しくは、電気的信号の印加により、抵抗値が変化する抵抗変化型の不揮発性記憶素子に関する。
近年、デジタル技術の進展に伴って携帯情報機器や情報家電等の電子機器が、より一層高機能化している。これらの電子機器の高機能化に伴い、使用される半導体素子の微細化および高速化が急速に進んでいる。その中でも、フラッシュメモリに代表されるような大容量の不揮発性メモリの用途が急速に拡大している。更に、このフラッシュメモリに置き換わる次世代の新型不揮発性メモリとして、いわゆる抵抗変化素子を用いた抵抗変化型の不揮発性記憶装置の研究開発が進んでいる。抵抗変化素子とは、電気的信号によって抵抗値が可逆的に変化する性質を有し、さらにはこの抵抗値に対応した情報を、不揮発的に記憶することが可能な素子のことをいう。
特許文献1は、第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に介在し、両電極間に与えられる極性の異なる電気的信号に基づいて可逆的に抵抗値が変化する抵抗変化層と、を備え、前記抵抗変化層は、その厚み方向において、TaO(但し、0<x<2.5)で表される組成を有する第1の酸素不足型のタンタル酸化物を含む第1の領域と、TaO(但し、x<y<2.5)で表される組成を有する第2の酸素不足型のタンタル酸化物を含む第2の領域と、を有している、不揮発性記憶素子を開示する。
特許文献2は、第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に介在され、両電極間に与えられる電気的信号に基づいて可逆的に抵抗値が変化する抵抗変化層とを備え、前記抵抗変化層はMO(Mは遷移金属、Oは酸素を示す)で表される組成を有する第1の遷移金属酸化物層と、MO(但し、x>y)で表される組成を有する第2の遷移金属酸化物層と、MO(但し、y>z)で表される組成を有する第3の遷移金属酸化物層とが、この順で積層された構造からなることを特徴とする不揮発性記憶素子を開示する。
国際公開第2008/149484号 特開2010―251352号公報
従来の不揮発性記憶装置では、不揮発性記憶素子の特性にばらつきが生じるという課題があった。
本発明は、上記従来の課題に対応するもので、不揮発性記憶素子の特性のばらつきを低減することを課題とする。
本発明の不揮発性記憶素子の一態様(aspect)は、第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に介在し、前記第1電極と前記第2電極との間に与えられる電気的信号に基づいて可逆的に抵抗値が変化する抵抗変化層とを備え、前記抵抗変化層は、第1金属をM、第2金属をNとする時、NOで表される組成を有する第3金属酸化物層と、NOで表される組成を有する第2金属酸化物層と、MOで表される組成を有する第1金属酸化物層とが、この順で積層された構造を備え、ストイキオメトリ状態にある前記第1金属Mの酸化物の酸素含有率をA、ストイキオメトリ状態にある前記第2金属Nの酸化物の酸素含有率をB、前記MOの酸素含有率をC、前記NOの酸素含有率をD、前記NOの酸素含有率をE、とするとき、(D/B)<(C/A)、(E/B)<(C/A)およびy<zを満たす。
本発明の不揮発性記憶素子の一態様(aspect)は、第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に介在し、前記第1電極と前記第2電極との間に与えられる電気的信号に基づいて可逆的に抵抗値が変化する抵抗変化層とを備え、前記抵抗変化層は、第3金属酸化物で構成される第3金属酸化物層と、第2金属酸化物で構成される第2金属酸化物層と、第1金属酸化物で構成される第1金属酸化物層とが、この順で積層された構造を備え、前記第2金属酸化物の抵抗率は前記第1金属酸化物の抵抗率よりも小さく、前記第2金属酸化物の抵抗率は前記第3金属酸化物の抵抗率よりも小さく、前記第3金属酸化物の抵抗率は前記第1金属酸化物の抵抗率よりも小さい。
本発明の不揮発性記憶素子の製造方法の一態様(aspect)は、第1金属をM、第2金属をNとする時、第2電極を形成する工程と、前記第2電極上にNOで表される組成を有する第3金属酸化物層を形成する工程と、前記第3金属酸化物層上にNOで表される組成を有する第2金属酸化物層を形成する工程と、前記第2金属酸化物層上にMOで表される組成を有する第1金属酸化物層を形成する工程と、前記第1金属酸化物層上に第1電極を形成する工程とを含み、少なくとも前記第2金属酸化物層および前記第3金属酸化物層を、酸素雰囲気中の反応性スパッタリング法により形成し、ストイキオメトリ状態にある前記第1金属Mの酸化物の酸素含有率をA、ストイキオメトリ状態にある前記第2金属Nの酸化物の酸素含有率をB、前記MOの酸素含有率をC、前記NOの酸素含有率をD、前記NOの酸素含有率をE、とするとき、(D/B)<(C/A)、(E/B)<(C/A)およびy<zを満たす。
本発明の不揮発性記憶素子の製造方法の一態様(aspect)は、第1金属をM、第2金属をNとする時、第1電極を形成する工程と、前記第1電極上にMOで表される組成を有する第1金属酸化物層を形成する工程と、前記第1金属酸化物層上にNOで表される組成を有する第2金属酸化物層を形成する工程と、前記第3金属酸化物層上にNOで表される組成を有する第3金属酸化物層を形成する工程と、前記第3金属酸化物層上に第2電極を形成する工程とを含み、少なくとも前記第1金属酸化物層、前記第2金属酸化物層および前記第3金属酸化物層を、酸素雰囲気中の反応性スパッタリング法により形成し、ストイキオメトリ状態にある前記第1金属Mの酸化物の酸素含有率をA、ストイキオメトリ状態にある前記第2金属Nの酸化物の酸素含有率をB、前記MOの酸素含有率をC、前記NOの酸素含有率をD、前記NOの酸素含有率をE、とするとき、(D/B)<(C/A)、(E/B)<(C/A)およびy<zを満たす。
本発明の一態様によれば、不揮発性記憶素子の特性のばらつきを低減することができるという効果を奏する。
図1は、第1実施形態にかかる不揮発性記憶素子の概略構成の一例を示す断面図である。 図2Aは、第1実施形態にかかる不揮発性記憶素子の製造方法の一例を示す工程断面図であって、第2電極を形成する工程を示す断面図である。 図2Bは、第1実施形態にかかる不揮発性記憶素子の製造方法の一例を示す工程断面図であって、第2電極の上に第3金属酸化物層を形成する工程を示す断面図である。 図2Cは、第1実施形態にかかる不揮発性記憶素子の製造方法の一例を示す工程断面図であって、第3金属酸化物層の上に第2金属酸化物層を形成する工程を示す断面図である。 図2Dは、第1実施形態にかかる不揮発性記憶素子の製造方法の一例を示す工程断面図であって、第2金属酸化物層の上に第1金属酸化物層を形成する工程を示す断面図である。 図2Eは、第1実施形態にかかる不揮発性記憶素子の製造方法の一例を示す工程断面図であって、第1金属酸化物層の上に第1電極を形成する工程を示す断面図である。 図2Fは、第1実施形態にかかる不揮発性記憶素子の製造方法の一例を示す工程断面図であって、エッチングにより不揮発性記憶素子を完成させる工程を示す断面図である。 図3は、第2実施形態にかかる不揮発性記憶素子の概略構成の一例を示す断面図である。 図4Aは、第2実施形態にかかる不揮発性記憶素子の製造方法の一例を示す工程断面図であって、第1電極を形成する工程を示す断面図である。 図4Bは、第2実施形態にかかる不揮発性記憶素子の製造方法の一例を示す工程断面図であって、第1電極の上に第1金属酸化物層を形成する工程を示す断面図である。 図4Cは、第2実施形態にかかる不揮発性記憶素子の製造方法の一例を示す工程断面図であって、第1金属酸化物層の上に第2金属酸化物層を形成する工程を示す断面図である。 図4Dは、第2実施形態にかかる不揮発性記憶素子の製造方法の一例を示す工程断面図であって、第2金属酸化物層の上に第3金属酸化物層を形成する工程を示す断面図である。 図4Eは、第2実施形態にかかる不揮発性記憶素子の製造方法の一例を示す工程断面図であって、第3金属酸化物層の上に第2電極を形成する工程を示す断面図である。 図4Fは、第2実施形態にかかる不揮発性記憶素子の製造方法の一例を示す工程断面図であって、エッチングにより不揮発性記憶素子を完成させる工程を示す断面図である。 図5は、第3実施形態にかかる不揮発性記憶素子の概略構成の一例を示す断面図である。 図6は、実施例にかかる不揮発性記憶素子の抵抗変化特性を示す図である。 図7は、実施例および比較例にかかる不揮発性記憶素子について、低抵抗状態での読み出し電流の分布を示す図である。 図8は、比較例にかかる不揮発性記憶素子の概略構成の一例を示す断面図である。 図9は、第3実施形態にかかる不揮発性記憶素子における酸素含有率の低い局所領域を示す断面図である。 図10Aは、参考例1にかかる試料の透過型電子顕微鏡(TEM)写真である。 図10Bは、参考例2にかかる試料の透過型電子顕微鏡(TEM)写真である。 図11Aは、参考例3にかかる試料の組成プロファイル(AES)を示すグラフである。 図11Bは、参考例4にかかる試料の組成プロファイル(AES)を示すグラフである。
(検討結果)
本発明者らは、不揮発性記憶素子(抵抗変化素子)の性能向上を目的として、鋭意検討を行った。その結果、以下の知見を得た。
近年、不揮発性記憶素子の低消費電力化が望まれており、特に不揮発性記憶素子に情報を書き込む際に必要な消費電力の低減が望まれている。
ここで、素子の抵抗状態を変化させる書き込み動作時に抵抗変化層に流れる電流(例えば、電圧パルスを印加する際に素子の抵抗状態が変化した後に流れる電流)をスイッチング電流(switching current)という。素子の抵抗状態を読み出すための特定の電圧(読み出し電圧)を抵抗変化素子に印加した際に抵抗変化層に流れる電流を読み出し電流という。
本発明者らは、背景技術欄で説明した従来型の素子において、低抵抗化時(素子の抵抗状態を高抵抗状態から低抵抗状態へと変化させる時)のスイッチング電流と低抵抗状態での(不揮発性記憶素子が低抵抗状態にある時の)読み出し電流との間に正の相関があることを見出した。すなわち、消費電力低減のために低抵抗化時のスイッチング電流を低減させると、低抵抗状態での読み出し電流が小さくなる。このため、低抵抗状態での読み出し電流と高抵抗状態での読み出し電流との差が小さくなり、素子が低抵抗状態にあるか高抵抗状態にあるかの判断を誤りやすくなり、読み出しエラーが発生しやすくなる。
かかる問題に対応するため、本発明者らは、第1金属をM、第2金属をNとする時、抵抗変化層を、NOで表される組成を有する第3金属酸化物層と、NOで表される組成を有する第2金属酸化物層と、MOで表される組成を有する第1金属酸化物層とが、この順で積層された構造とし、ストイキオメトリ状態にある第1金属Mの酸化物の酸素含有率をA、ストイキオメトリ状態にある第2金属Nの酸化物の酸素含有率をB、MOの酸素含有率をC、NOの酸素含有率をD、NOの酸素含有率をE、とするとき、(D/B)<(C/A)、(E/B)<(C/A)およびy<zを満たすように構成することで、低抵抗状態における素子の抵抗値のばらつきを低減できることを発見した。
かかる現象が生じるメカニズムとしては、以下の通りと推察された。すなわち、電気的信号が抵抗変化層に印加されると、抵抗変化層の内部で酸素イオンが移動する。その結果、第1金属酸化物層と電極との界面から抵抗変化層の内部へ向かって延びるように、酸素濃度の低い領域が形成されることで、不揮発性記憶素子は低抵抗状態へと変化する。該領域の長さ等は、低抵抗状態における素子の抵抗値に大きな影響を及ぼす。
酸素濃度の低い領域は、第1金属酸化物層を貫通して第2金属酸化物層へと延びる場合があるが、先端が酸素濃度の高い層に当たるとそれ以上延びにくくなる。酸素濃度の低い領域が伸びる方向に沿って、第2金属酸化物層よりも先に第2金属酸化物層よりも酸素含有率の高い第3金属酸化物層を配置しておくことで、酸素濃度の低い領域が形成される部位を限定することができる。その結果、酸素濃度の低い領域の長さ等が均一化され、低抵抗状態における素子の抵抗値のばらつきを低減できる。
第2金属酸化物層よりも先に第2金属酸化物層よりも酸素含有率の高い第3金属酸化物層が配置されていれば、第3金属酸化物層よりもさらに先に他の金属酸化物層が配置されていても、同様の効果を奏すると考えられる。
(用語)
「酸素不足度」とは、それぞれの金属酸化物において、その化学量論的な組成(複数の化学量論的組成が存在する場合は、そのなかで最も抵抗値が高い化学量論的組成)を有する酸化物を構成する酸素の量に対し、不足している酸素の割合をいう。例えば、金属がタンタル(Ta)の場合、化学量論的な酸化物の組成はTaであるので、TaO2.5と表現できる。TaO2.5の酸素不足度は0%である。例えばTaO1.5の組成の酸素不足型のタンタル酸化物の酸素不足度は、酸素不足度=(2.5−1.5)/2.5=40%となる。また、酸素過剰型の金属酸化物は、酸素不足度が負の値となる。なお、本明細書中では、特に断りのない限り、酸素不足度は正の値と0と負の値とのいずれをも含むものとして説明する。
「酸素不足型の金属酸化物」とは、ストイキオメトリ状態にある(化学量論的な組成を有する)金属酸化物と比較して、酸素の含有量(原子比:総原子数に占める酸素原子数の割合)が少ない金属酸化物を意味する。
「ストイキオメトリ状態にある金属酸化物」とは、酸素不足度が0%の金属酸化物を指す。例えば、タンタル酸化物の場合、絶縁体であるTaを指す。酸素不足型とすることで金属酸化物は導電性を有するようになる。一般に、酸素不足度の小さい酸化物はストイキオメトリ状態にある酸化物により近いため抵抗値が高く、酸素不足度の大きい酸化物は酸化物を構成する金属により近いため抵抗値が低い。
「酸素含有率」とは、当該金属酸化物を構成する総原子数に対する含有酸素原子数の比率で示される。Taの酸素含有率は、総原子数に占める酸素原子数の比率(O/(Ta+O))であり、71.4atm%となる。したがって、酸素不足型のタンタル酸化物は、酸素含有率は0より大きく、71.4atm%より小さいことになる。なお、第1金属酸化物を構成する金属と、第2金属酸化物を構成する金属とが同種である場合、酸素不足度の大小関係を酸素含有率で言い換えることができる。例えば、第1金属酸化物の酸素不足度が第2金属酸化物の酸素不足度より大きい場合、第1金属酸化物の酸素含有率は第2金属酸化物の酸素含有率より小さい。
「絶縁体」は、一般的な定義に従う。すなわち、抵抗率が10Ωcm以上の材料で構成されるものを示す(非特許文献:出展「集積回路のための半導体工学」工業調査会(1992年)宇佐美晶、兼房慎二、前川隆雄、友景肇、井上森男)。これに対し、「導電体」は、抵抗率が10Ωcm未満の材料で構成されるものを示す。尚、初期ブレイクダウン動作の実行前において、第1金属酸化物と第3金属酸化物の抵抗率は、4から6桁以上異なっている。また、初期ブレイクダウン動作の実行後の抵抗変化素子の抵抗率は、例えば10Ωcm程度である。
「標準電極電位(standard electrode potential)」は、一般的に、酸化しやすさの一つの指標であり、この値が大きければ酸化されにくく、小さければ酸化されやすいことを意味する。尚、電極と接する層のうち、酸素不足度の小さい層との標準電極電位の差が大きいほど、酸化還元反応が起こりやすくなり、抵抗変化が起こりやすくなる。また、標準電極電位の差が小さくなるにつれて、酸化還元反応が起こりにくくなり、抵抗変化が起こりにくくなることから、酸化のされやすさが抵抗変化現象のメカニズムに大きな役割を果たしているのではないかと推測される。
「酸素比含有率(relative content rate of oxygen)」は、ストイキオメトリ状態である酸化物の酸素含有率に対する当該酸化物の酸素含有率の比率をいう。例えば、タンタル酸化物のストイキオメトリ状態にある酸化物はTaでありハフニウム酸化物のストイキオメトリ状態にある酸化物はHfOである。Taの酸素含有率は2.5であり、HfOの酸素含有率は2である。TaOとHfOとは、酸素含有率はいずれも2で同じである。一方、酸素比含有率はTaOが0.8、HfOが1.0である。よって、酸素比含有率は、HfOのほうがTaO2よりも高いことになる。
(実施形態)
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
本発明の実施形態の記載において、層が堆積されていく方向を「上」として規定される。不揮発性記憶装置が基板を有する場合、典型的には、基板から遠い方が上、基板に近い方が下となる。
以下で説明する実施形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。以下の実施形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ、ステップの順序などは、あくまで一例であり、本発明を限定するものではない。また、以下の実施形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、図面において、同じ符号が付いたものは、説明を省略する場合がある。また、図面は理解しやすくするために、それぞれの構成要素を模式的に示したもので、形状および寸法比等については正確な表示ではない場合がある。また、製造方法においては、必要に応じて、各工程の順序等を変更でき、かつ、他の公知の工程を追加できる。
(第1実施形態)
第1実施形態の不揮発性記憶素子は、第1電極と、第2電極と、第1電極と第2電極との間に介在し、第1電極と第2電極との間に与えられる電気的信号に基づいて可逆的に抵抗値が変化する抵抗変化層とを備え、抵抗変化層は、第1金属をM、第2金属をNとする時、NOで表される組成を有する第3金属酸化物層と、NOで表される組成を有する第2金属酸化物層と、MOで表される組成を有する第1金属酸化物層とが、この順で積層された構造を備え、ストイキオメトリ状態にある第1金属Mの酸化物の酸素含有率をA、ストイキオメトリ状態にある第2金属Nの酸化物の酸素含有率をB、MOの酸素含有率をC、NOの酸素含有率をD、NOの酸素含有率をE、とするとき、(D/B)<(C/A)、(E/B)<(C/A)およびy<zを満たす。
かかる構成では、不揮発性記憶素子の特性のばらつきを低減することができる。
第1実施形態の不揮発性記憶素子は、第1電極と、第2電極と、第1電極と第2電極との間に介在し、第1電極と第2電極との間に与えられる電気的信号に基づいて可逆的に抵抗値が変化する抵抗変化層とを備え、抵抗変化層は、第3金属酸化物で構成される第3金属酸化物層と、第2金属酸化物で構成される第2金属酸化物層と、第1金属酸化物で構成される第1金属酸化物層とが、この順で積層された構造を備え、第2金属酸化物の抵抗率は第1金属酸化物の抵抗率よりも小さく、第2金属酸化物の抵抗率は第3金属酸化物の抵抗率よりも小さく、第3金属酸化物の抵抗率は第1金属酸化物の抵抗率よりも小さい。
かかる構成では、不揮発性記憶素子の特性のばらつきを低減することができる。
上記不揮発性記憶素子において、第3金属酸化物層の組成と第2金属酸化物層の組成とが、第3金属酸化物層と第2金属酸化物層との間で階段状に変化していてもよい。
上記不揮発性記憶素子において、第3金属酸化物層と第2金属酸化物層とが、それぞれ、厚み方向に組成が一定となっている部分を有してもよい。
上記不揮発性記憶素子において、第1電極は第2電極の上方に配置されていてもよい。
上記不揮発性記憶素子において、第1電極と第1金属酸化物層とが接触し、第2電極と第3金属酸化物層とが接触し、第1電極と第2電極とは、異なる元素を主成分とする材料により構成され、第1電極の標準電極電位V1と、第2電極の標準電極電位V2と、金属Mの標準電極電位Vt1とが、Vt1<V1かつV2<V1を満足してもよい。
かかる構成では、不揮発性記憶素子において抵抗変化が生じる部位を抵抗変化層のうちの第1電極側に固定することができる。よって、不揮発性記憶素子の抵抗変化動作を安定化できる。
上記不揮発性記憶素子において、抵抗変化層が、第1金属酸化物層および第2金属酸化物層の内部に、第1金属酸化物層に比べて酸素含有率が低い局所領域を備えてもよい。
上記不揮発性記憶素子において、局所領域は、第1電極と接して配置され、第3金属酸化物層に接しておらず、第2金属酸化物層とは酸素含有率が異なっていてもよい。
上記不揮発性記憶素子において、第1電極と第2電極との間に第1電気的信号を印加することで抵抗値が第1値から第1値よりも高い第2値へと可逆的に変化し、第1電極と第2電極との間に第1電気的信号と極性が異なる第2電気的信号を印加することで抵抗値が第2値から第1値へと可逆的に変化してもよい。
上記不揮発性記憶素子において、第1電極と第2電極との間に与えられる抵抗値の可逆的な変化が、極性の異なる電気的信号に基づいて起こってもよい。
かかる構成では、不揮発性記憶素子が、いわゆるバイポーラ型の不揮発性記憶素子となる。
上記不揮発性記憶素子において、抵抗変化層は、タンタル、ハフニウム、ジルコニウム、チタン、ニオブ、タングステン、およびアルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも1つの金属の酸化物を抵抗変化材料として含んでいてもよい。
上記不揮発性記憶素子において、金属Mと金属Nとが同元素であってもよい。
上記不揮発性記憶素子において、金属Mおよび金属Nはタンタルであり、第1金属酸化物層の組成TaOは、2.1≦xを満足してもよい。
上記不揮発性記憶素子において、金属Mおよび金属Nはハフニウムであり、第1金属酸化物層の組成HfOは、1.8<xを満足してもよい。
上記不揮発性記憶素子において、金属Mおよび金属Nはジルコニウムであり、第1金属酸化物層の組成ZrOは、1.9<xを満足してもよい。
第1実施形態の不揮発性記憶素子の製造方法は、第1金属をM、第2金属をNとする時、第2電極を形成する工程と、第2電極上にNOで表される組成を有する第3金属酸化物層を堆積する工程と、第3金属酸化物層上にNOで表される組成を有する第2金属酸化物層を堆積する工程と、第2金属酸化物層上にMOで表される組成を有する第1金属酸化物層を形成する工程と、第1金属酸化物層上に第1電極を形成する工程とを含み、ストイキオメトリ状態にある第1金属Mの酸化物の酸素含有率をA、ストイキオメトリ状態にある第2金属Nの酸化物の酸素含有率をB、MOの酸素含有率をC、NOの酸素含有率をD、NOの酸素含有率をE、とするとき、(D/B)<(C/A)、(E/B)<(C/A)およびy<zを満たす。
上記製造方法において、少なくとも第2金属酸化物層および第3金属酸化物層を、酸素雰囲気中の反応性スパッタリング法により堆積してもよい。
[装置構成]
図1は、第1実施形態にかかる不揮発性記憶素子の概略構成の一例を示す断面図である。以下、図1を参照しつつ、第1実施形態の不揮発性記憶素子100について説明する。
図1に示す例において、不揮発性記憶素子100は、第1電極106と、抵抗変化層115と、第2電極104とを備えている。
<第1電極>
第1電極106は、例えば、イリジウム(Ir)で構成してもよい。この場合、イリジウムが、第1電極材料となる。第1電極の厚さは、例えば、5〜100nmとしうる。
第1電極106は、例えば、イリジウム、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、銅(Cu)、及びタングステン(W)からなる群より選ばれる少なくとも1つの材料等、抵抗変化層115の第1金属酸化物層115xを構成する金属および第2電極104を構成する第2電極材料と比べて標準電極電位がより高い材料で構成してもよい。このような構成とすることにより、第1金属酸化物層115x内の、第1電極106と第1金属酸化物層115xとの界面近傍において、選択的に酸化還元反応が発生し、安定した抵抗変化現象が実現される。
図1に示す例では、第1電極106は第2電極104の上方に配置されている。
<抵抗変化層>
抵抗変化層115は、第1電極106と第2電極104との間に介在し、第1電極106と第2電極104との間に与えられる電気的信号に基づいて可逆的に抵抗値が変化する。
抵抗変化層115は、第1金属をM、第2金属をNとする時、NOで表される組成を有する第3金属酸化物層115zと、NOで表される組成を有する第2金属酸化物層115yと、MOで表される組成を有する第1金属酸化物層115xとが、この順で積層された構造を備える。
第3金属酸化物層115zは、NOで表される組成を有する第3金属酸化物で構成される。第2金属酸化物層115yは、NOで表される組成を有する第2金属酸化物で構成される。第1金属酸化物層115xは、MOで表される組成を有する第1金属酸化物で構成される。
ストイキオメトリ状態にある第1金属Mの酸化物の酸素含有率をA、ストイキオメトリ状態にある第2金属Nの酸化物の酸素含有率をB、MOの酸素含有率をC、NOの酸素含有率をD、NOの酸素含有率をE、とするとき、(D/B)<(C/A)、(E/B)<(C/A)およびy<z、すなわちD<E、を満たす。
すなわち、ストイキオメトリ状態である第2金属Nの酸化物の酸素含有率に対するNOの酸素含有率の比が、ストイキオメトリ状態である第1金属Mの酸化物の酸素含有率に対するMOの酸素含有率の比より低い。
また、ストイキオメトリ状態である第3金属Nの酸化物の酸素含有率に対する前記NOの酸素含有率の比が、ストイキオメトリ状態である第1金属Mの酸化物の酸素含有率に対するMOの酸素含有率の比より低く、かつy<zを満たす。
第2金属酸化物の抵抗率は第1金属酸化物の抵抗率よりも小さい。第2金属酸化物の抵抗率は第3金属酸化物の抵抗率よりも小さい。第3金属酸化物の抵抗率は第1金属酸化物の抵抗率よりも小さい。
抵抗変化層115の厚さは、20〜100nmとしうる。
図1に示された例では、第2電極104の上に、NOで表される組成を有する第3金属酸化物層115zが、第2電極104と接するように形成されている。さらに、第3金属酸化物層115zの上に、NOで表される組成を有する第2金属酸化物層115yが、第3金属酸化物層115zと接するように形成されている。さらに、第2金属酸化物層115yの上に、MOで表される組成を有する第1金属酸化物層115xが、第2金属酸化物層115yと接するように形成されている。さらに、第1金属酸化物層115xの上に、第1電極106が、第1金属酸化物層115xと接するように形成されている。
第1金属酸化物層115xが第1電極106と接する。第3金属酸化物層115zが第2電極104と接する。金属酸化物層の組成は酸素比含有率で規定してもよいし、各層の抵抗率で規定してもよい。第1金属酸化物層115xを形成する金属酸化物の抵抗率は、第2金属酸化物層115yを形成する金属酸化物の抵抗率より高い構成としてもよい。第3金属酸化物層115zを形成する金属酸化物の抵抗率は、第2金属酸化物層115yを形成する金属酸化物の抵抗率より高く、かつ、第1金属酸化物層115xを形成する金属酸化物の抵抗率よりも低い構成としてもよい。
第1電極と第2電極との間に第1電気的信号を印加することで抵抗変化層115の抵抗値(不揮発性記憶素子100の抵抗値)が第1値(低抵抗状態)から第1値よりも高い第2値(高抵抗状態)へと可逆的に変化し、第1電極と第2電極との間に第1電気的信号と極性が異なる第2電気的信号を印加することで抵抗値が第2値(高抵抗状態)から第1値(低抵抗状態)へと可逆的に変化してもよい。
別の言い方をすれば、第1電極と第2電極との間に与えられる抵抗値の可逆的な変化が、極性の異なる電気的信号に基づいて起こってもよい。すなわち、不揮発性記憶素子100はバイポーラ型の不揮発性記憶素子であってもよい。
第1金属Mと第2金属Nとは同元素であってもよい。
抵抗変化層115は、タンタル、ハフニウム、ジルコニウム、およびアルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも1つの金属の酸化物を抵抗変化材料として含んでいてもよい。すなわち、金属Mおよび金属Nは、それぞれ、タンタル、ハフニウム、ジルコニウム、およびアルミニウムからなる群より選ばれる1つの金属であってもよい。
金属MおよびNはタンタルであってもよく、第1金属酸化物層115xの組成TaOは、2.1≦xを満足してもよい。
抵抗変化層の材料としてタンタル酸化物を用いる場合の酸素含有率について検討する。本件出願人は特許文献3(国際公開第2008/059701号)において、酸素欠損状態を示すタンタル酸化物を単層の抵抗変化層として用いる場合には、TaOにおけるxが、0.8以上1.9以下の範囲で高抵抗値が低抵抗値の5倍以上の安定動作をすることを報告している。本件出願人は、上述した[先行技術文献]の欄に挙げた特許文献1において、TaOにおけるxが2.1以上のタンタル酸化物を電極界面に挿入して積層構造とすることで、フォーミング動作が不要で、一回目の電圧印加から安定なパルス動作が実現できることを報告している。
以上を鑑み、第1金属酸化物層を構成するTaOは、フォーミング動作が不要となる選択的に酸化および還元反応を促進できる2.1≦xの組成範囲としてもよい。
金属MおよびNはハフニウムであってもよく、第1金属酸化物層115xの組成HfOは、1.8<xを満足してもよい。
抵抗変化層の材料としてハフニウム酸化物を用いる場合の酸素含有率について検討する。本件出願人は特許文献4(国際公開2010/004705号)において、酸素欠損状態を示すハフニウム酸化物を単層の抵抗変化層として用いる場合には、HfOにおけるxが、0.9以上1.6以下の範囲で抵抗変化を示すことを報告している。HfOにおけるxが1.8より大きいハフニウム酸化物を電極界面に挿入して積層構造とすることで、フォーミング動作が不要で、一回目の電圧印加から安定なパルス動作が実現できることも報告している。
以上を鑑み、第1金属酸化物層に含まれるHfOは、フォーミング動作が不要となる選択的に酸化および還元反応を促進できる1.8<xの組成範囲としてもよい。
この場合において、ハフニウム酸化物を用いた高酸素不足度層(第2金属酸化物層115yおよび第3金属酸化物層115z)は、例えば、Hfターゲットを用い、アルゴンガスおよび酸素ガス中でスパッタリングする反応性スパッタリング法(reactive sputtering)で生成できる。高酸素不足度層の酸素含有率は、上述したタンタル酸化物の場合と同様、反応性スパッタリング法を実行中のアルゴンガスに対する酸素ガスの流量比を変えることにより容易に調整することができる。なお、基板を加熱することは必須ではなく、基板温度は室温としてもよい。
ハフニウム酸化物を用いた低酸素不足度層(第1金属酸化物層115x)は、例えば、高酸素不足度層の表面を、アルゴンガスと酸素ガスとの混合ガスのプラズマに暴露することにより形成できる。低酸素不足度層の膜厚は、アルゴンガスと酸素ガスとの混合ガスのプラズマへの暴露時間により容易に調整することができる。第1金属酸化物層115xの厚さは、3nm以上4nm以下としてもよい。
金属MおよびNはジルコニウムであってもよく、第1金属酸化物層115xの組成ZrOは、1.9<xを満足してもよい。
抵抗変化層の材料としてジルコニウム酸化物を用いる場合の酸素含有率について検討する。本件出願人は特許文献5(特開2010−21381号公報)において、酸素欠損状態を示すジルコニウム酸化物を単層の抵抗変化層として用いる場合には、ZrOにおけるxが、0.9以上1.4以下の範囲で抵抗変化を示すことを報告している。ZrOにおけるx1.9より大きいジルコニウム酸化物を電極界面に挿入して積層構造とすることで、フォーミング動作が不要で、一回目の電圧印加から安定なパルス動作が実現できることも報告している。
以上のことを鑑みると、第1金属酸化物層に含まれるZrOは、フォーミング動作が不要となる選択的に酸化および還元反応を促進できる1.9<xの組成範囲としてもよい。
この場合において、ジルコニウム酸化物を用いた高酸素不足度層(第2金属酸化物層115yおよび第3金属酸化物層115z)は、例えば、Zrターゲットを用い、アルゴンガスおよび酸素ガス中でスパッタリングする反応性スパッタリング法で生成できる。高酸素不足度層の酸素含有率は、上述したタンタル酸化物の場合と同様、反応性スパッタリング法を実行中のアルゴンガスに対する酸素ガスの流量比を変えることにより容易に調整することができる。なお、基板を加熱することは必須ではなく、基板温度は室温としてもよい。
ジルコニウム酸化物を用いた低酸素不足度層(第1金属酸化物層115x)は、例えば、高酸素不足度層の表層部を、アルゴンガスと酸素ガスとの混合ガスのプラズマに暴露することにより形成できる。低酸素不足度層の膜厚は、アルゴンガスと酸素ガスとの混合ガスのプラズマへの暴露時間により容易に調整することができる。第1金属酸化物層115xの膜厚は、1nm以上5nm以下としてもよい。
なお、上述したハフニウム酸化物層およびジルコニウム酸化物層は、スパッタリングに変えて、CVD法やALD(Atomic Layer Deposition)法を用いても形成できる。
第1金属Mおよび第2金属Nとしては、タンタル(Ta)以外にも、例えば、チタン(Ti)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、およびタングステン(W)からなる群より選ばれる少なくとも1つの遷移金属を用いることができる。遷移金属は複数の酸化状態をとることができるため、異なる抵抗状態を酸化還元反応により実現することが可能である。第1金属Mおよび第2金属Nとして、アルミニウム(Al)を用いてもよい。
第1金属Mと第2金属Nとが、異なる元素であってもよい。酸素不足型の金属酸化物を含む抵抗変化層における抵抗変化現象は酸素の移動によって発現するため、母体金属の種類が異なっても、少なくとも酸素の移動が可能であればよい。そのため、第1金属酸化物層115xを構成する第1金属Mと、第2金属酸化物層115yおよび第3金属酸化物層115zを構成する第2金属Nとは、異なる金属を用いた場合であっても、同様の効果を奏すると考えられる。
第1金属Mと第2金属Nとに、異なる金属を用いる場合、第1金属Mの標準電極電位は、第2金属Nの標準電極電位より低くてもよい。抵抗変化現象は、抵抗が高い第1金属酸化物層115xを構成する第1金属酸化物中の局所領域中で酸化還元反応が起こって、その抵抗値が変化し、発生すると考えられるからである。
例えば、第2金属酸化物層115yおよび第3金属酸化物層115zに、酸素不足型のタンタル酸化物を用い、第1金属酸化物層115xにチタン酸化物(TiO)を用いることにより、安定した抵抗変化動作が得られる。チタン(標準電極電位=−1.63eV)はタンタル(標準電極電位=−0.6eV)より標準電極電位が低い材料である。標準電極電位は、その値が高いほど酸化しにくい特性を表す。第1金属酸化物層115xに第2金属酸化物層115yおよび第3金属酸化物層115zより標準電極電位が低い金属の酸化物を配置することにより、第1金属酸化物層115x中でより酸化還元反応が発生しやすくなる。その他の組み合わせとして、例えば、第2金属酸化物層115yおよび第3金属酸化物層115zに、酸素不足型のタンタル酸化物(TaO)を用い、第1金属酸化物層115xにアルミニウム酸化物(Al)を用いてもよい。
抵抗変化層115は、側壁部分が酸化されていてもよい。
高酸素不足度層および低酸素不足度層には、例えば、抵抗変化を発現する主たる抵抗変化層として、タンタル、ハフニウム、ジルコニウム等の酸化物、あるいは、アルミニウムの酸化物が含まれていればよく、これ以外に例えば微量の他元素が含まれていても構わない。抵抗値の微調整等で、他元素を少量、意図的に含めることも可能であり、このような場合も本発明の範囲に含まれるものである。例えば、抵抗変化層に窒素を添加すれば、抵抗変化層の抵抗値が上がり、抵抗変化の反応性を改善できる。
スパッタリングにて抵抗変化層を形成した際に、残留ガスや真空容器壁からのガス放出などにより、意図しない微量の元素が抵抗膜に混入することがあるが、このような微量の元素が抵抗変化層に混入した場合も本発明の範囲に含まれることは当然である。
なお、抵抗変化層115は、必ずしも3層で構成されている必要はなく、3層以上の層から構成されてもよい。
抵抗変化層115が、第1金属酸化物層115xおよび第2金属酸化物層115yの内部に、第1金属酸化物層115xに比べて酸素含有率が低い局所領域を備えてもよい。局所領域は、第1電極106と接して配置され、第3金属酸化物層115zに接しておらず、第2金属酸化物層115yとは酸素含有率が異なっていてもよい。局所領域については、第3実施形態で詳細に説明するので、本実施形態では説明を省略する。
<第2電極>
第2電極104は、例えば、タンタル窒化物で構成されうる。この場合、タンタル窒化物が、第2電極材料となる。第2電極104の厚さは、例えば、5〜100nmとしうる。
抵抗変化層115に含まれる遷移金属としてタンタルを採用した場合、第2電極104には、タンタルと同等以下の標準電極電位を示す、抵抗変化が起こりにくい材料を用いてもよい。具体的には、第2電極104に、タンタル、タンタル窒化物、チタン、チタン窒化物、およびチタン−アルミニウム窒化物からなる群より選ばれる少なくとも1つの材料を用いることができる。かかる構成では、安定なメモリ特性を実現できる。
<本実施形態の効果>
以上のような構成により、第1電極の界面近傍領域で、第1金属酸化物の酸化および還元反応を選択的に生じさせることができ、抵抗変化する極性が常に安定する。同時に、第1電極の界面から離れた領域において酸素比含有率の高い第3金属酸化物層が抵抗ばらつきを抑制することができる。低抵抗化時のスイッチング電流を小さくしながらも、低抵抗状態での読み出し電流のばらつきが低減されるため、低抵抗状態での読み出し電流と高抵抗状態での読み出し電流との差が大きくなる(電流の読み出しマージンを確保しやすくなる)。よって、素子が低抵抗状態にあるか高抵抗状態にあるかの判断を誤りにくくなり、読み出しエラーが発生しにくくなる。
<その他の変形>
第1配線が形成された基板と、該基板上に第1配線を覆って形成されたシリコン酸化膜(300〜500nm)で構成される第1層間絶縁層と、第1層間絶縁層を貫通して形成され、第1配線と電気的に接続された、タングステンを主成分とした第1コンタクトプラグ(直径:50〜300nmφ)を有していてもよい。
そして、第1コンタクトプラグを被覆して、第1層間絶縁層上に、第2電極104(本実施形態では、下部電極)が形成されていてもよい。
不揮発性記憶素子100を被覆するように、シリコン酸化膜(厚さ:300〜500nm)で構成される第2層間絶縁層が形成されてもよい。第2層間絶縁層を貫通して、第1電極と電気的に接続されるように、タングステンを主成分とした第2コンタクトプラグ(直径:50〜300nmφ)が形成されていてもよい。第2コンタクトプラグを被覆するように、第2層間絶縁層上に、第2配線が形成されていてもよい。
なお、本実施形態においては、第1電極106と第1金属酸化物層115xとが接触し、第2電極104と第3金属酸化物層115zとが接触している。この場合、第1電極と第2電極とは、異なる元素を主成分とする材料により構成され、第1電極の標準電極電位V1と、第2電極の標準電極電位V2と、第1金属酸化物層を構成する金属Mの標準電極電位Vt1とが、Vt1<V1かつV2<V1を満足する構成としてもよい。
本実施形態においては、例えば、第1電極106と第1金属酸化物層115xとが接触し、第2電極104と第3金属酸化物層115zとが接触し、第1電極106にはイリジウム(Ir)、第2電極104にはタンタル窒化物(TaN)を用いられる。イリジウムの標準電極電位V1=1.156V、タンタル窒化物の標準電極電位V2=0.48Vとなる。抵抗変化層にタンタル酸化物を用いる場合、タンタルの標準電極電位Vt=−0.6Vであるので、Vt1<V1であり、さらに、V2<V1の関係を満たす。
以上のような標準電極電位の関係(Vt1<V1かつV2<V1)を満足することで、抵抗変化する領域を第1電極106と第1金属酸化物層115xとの界面に固定することが一層容易となり、第2電極104と第3金属酸化物層115zとの界面での誤動作を抑制することが一層容易となる。
また、ハフニウムの標準電極電位Vt=−1.55V、ジルコニウムの標準電極電位Vt=−1.534V、アルミニウムの標準電極電位Vt=−1.676Vである。よって、第1電極106にイリジウム(Ir)、第2電極104にタンタル窒化物(TaN)を用いた場合には、ハフニウム酸化物、ジルコニウム酸化物、およびアルミニウム酸化物のいずれを抵抗変化層の材料に用いたとしても、Vt1<V1、およびV2<V1の関係を満たす。
さらに、第1金属酸化物層の金属Mにハフニウムとジルコニウムとアルミニウムとからなる群より選ばれるいずれか一つを用い、第2金属酸化物層の金属Nにタンタルを用いたとしても、Vt1<V1、およびV2<V1の関係を満たす。
以上から、イリジウムで構成される第1電極106と酸素比含有率の高い第1金属酸化物層115xとの間で、確実に酸化および還元反応が起こり、抵抗変化現象が発現することを示している。
また、V1>V2の関係を満たすことから、酸化還元反応が、イリジウムで構成される第1電極106と第1金属酸化物層115xとの界面に優先的に発現する。第3金属酸化物層115zは、酸素比含有率が第1金属酸化物層115xよりも低いため、第2電極104と第3金属酸化物層115zでは、酸化および還元反応は生じない。よって、抵抗変化現象に伴う誤動作を防止することができる。
第1電極106は、イリジウムの他に、白金(Pt;標準電極電位=1.188V)、パラジウム(Pd;標準電極電位=0.951V)、銅(Cu;標準電極電位=0.521V)のいずれかの金属、もしくはこれらの金属の組み合わせおよび合金から構成されうる。
第2電極104は、タンタル窒化物(TaN)の他に、チタン窒化物(TiN;標準電極電位=0.55V)、タングステン(W;標準電極電位=−0.12V)、チタン(Ti;標準電極電位=−1.63V)のいずれかの金属で構成されうる。
これらの候補から、標準電極電位に関して、Vt1<V1かつV2<V1の関係を満足する電極を選択してもよい。
以上に示した第1実施形態に係る抵抗変化型の不揮発性記憶素子100においては、抵抗変化層115がプレーナー型のシンプルな構造を示したが、不揮発性記憶素子100の構造はこれに限定されない。例えば、微細化に有利なホール型の構造を考えた場合に、酸化還元反応を促進させたい第1電極には、酸素比含有率が高い第1金属酸化物層が接し、素子の抵抗ばらつき抑制効果を持たせたい第2電極近傍には、第1金属酸化物層よりも酸素比含有率の低い第3金属酸化物層が接するように形成されていて、その第1金属酸化物層と第3金属酸化物層の間の一部の領域に、第3金属酸化物層よりも酸素比含有率の低い第2金属酸化物層が形成されていてもよい。素子の形状は、メサ形状、逆メサ形状等のどのような形状であってもかまわない。
不揮発性記憶素子は、周辺の構成要素(基板、配線、コンタクトプラグ、層間絶縁層)と組合せることで不揮発性記憶装置とされてもよい。不揮発性記憶素子は、周辺の構成要素を備えない素子単体であってもよい。
不揮発性記憶素子は、ダイオード等の電流抑制素子と直列に接続されていてもよい。このような構成の場合、スイッチング電流は電流抑制素子の破壊電流以下になるように設定される。特に、不揮発性記憶素子および電流抑制素子が微細化される場合には、電流抑制素子の破壊電流が小さくなるため、それに伴ってスイッチング電流がより小さく設定される。本実施形態の不揮発性記憶素子は、そのような場合であっても、読み出しエラーが発生する可能性を低減することができる。
[製造方法]
図2A〜図2Fは、第1実施形態にかかる不揮発性記憶素子の製造方法の一例を示す工程断面図である。
図2Aは、第2電極を形成する工程を示す断面図である。
図2Aに例示するように、まず、例えば基板(図示せず)および層間絶縁層(図示せず)等の上に、反応性スパッタリング法を用いて、タンタル窒化物で構成される第2電極104を形成する。
図2Bは、第2電極の上に第3金属酸化物層を形成する工程を示す断面図である。図2Bに示す工程は、図2Aに示す工程に引き続いて行われる。
図2Bに例示するように、第2電極104の上に、酸素含有率が中程度の金属酸化物で構成される第3金属酸化物層115zを形成する。具体的には例えば、タンタルターゲットをアルゴンと酸素の混合ガス雰囲気中でスパッタリングする、いわゆる、反応性スパッタリング法で、第3金属酸化物層115zを形成することができる。
図2Cは、第3金属酸化物層の上に第2金属酸化物層を形成する工程を示す断面図である。図2Cに示す工程は、図2Bに示す工程に引き続いて行われる。
図2Cに例示するように、第3金属酸化物層115zの上に、第3金属酸化物層115zよりも酸素含有率が低い金属酸化物で構成される第2金属酸化物層115yを形成する。具体的には例えば、第3金属酸化物層115zと同様に、タンタルターゲットを酸素ガスとアルゴンガスとの混合ガス雰囲気中でスパッタリングする反応性スパッタリング法で、第2金属酸化物層115yを形成することができる。
図2Dは、第2金属酸化物層の上に第1金属酸化物層を形成する工程を示す断面図である。図2Dに示す工程は、図2Cに示す工程に引き続いて行われる。
図2Dに例示するように、第2金属酸化物層115yの上に、酸素比含有率が最も高い金属酸化物で構成される第1金属酸化物層115xを形成する。具体的には例えば、第3金属酸化物層115zと同様に、タンタルターゲットを酸素ガスとアルゴンガスとの混合ガス雰囲気中でスパッタリングする反応性スパッタリング法で、第1金属酸化物層115xを形成することができる。
例えば、第3金属酸化物層115zと第2金属酸化物層115yと第1金属酸化物層115xとを、全てタンタル酸化物で構成する際には、アルゴンに対する酸素流量比を、第1金属酸化物層115x形成時の酸素流量比>第3金属酸化物層115z形成時の酸素流量比>第2金属酸化物層115y形成時の酸素流量比とすることで、各金属酸化物層の酸素含有率の大小を制御することが出来る。
上述の説明では、反応性スパッタリング法を用いて金属酸化物層を形成する場合を説明したが、プラズマ酸化で表層を酸化して、酸素含有率が最も高い金属酸化物層を形成してもかまわない。通常、スパッタリング法では、ストイキオメトリの構成(タンタル酸化物の場合、x=2.5)より多くの酸素を含有させることは困難であるが、プラズマ酸化処理を行うと、酸素がタンタル酸化物の粒界、欠陥などに注入され、ストイキオメトリの構成より酸素含有率が高い金属酸化物層を形成することができる。かかる構成は、リーク電流の抑制に効果がある。
また、タンタル酸化物ターゲットを酸素ガスとアルゴンガスとの混合ガス雰囲気中でスパッタリングする反応性スパッタリング法を用いてもよい。
図2Eは、第1金属酸化物層の上に第1電極を形成する工程を示す断面図である。図2Eに示す工程は、図2Dに示す工程に引き続いて行われる。
図2Eに例示するように、第1金属酸化物層115xの上に、スパッタリング法を用いて、イリジウムで構成される第1電極106を形成する。
図2Fは、エッチングにより不揮発性記憶素子を完成させる工程を示す断面図である。図2Fに示す工程は、図2Eに示す工程に引き続いて行われる。
図2Fに例示するように、所望のマスクを用いて、第2電極104と、第3金属酸化物層115zと、第2金属酸化物層115yと、第1金属酸化物層115xと、第1電極106とをパターニングして、不揮発性記憶素子100を完成させる。
標準電極電位の高い材料として代表される貴金属などはエッチングが困難である。第1電極106の材料として貴金属を用いた場合に、第1電極106をハードマスクにして不揮発性記憶素子100を形成してもよい。本工程では、同じマスクを用いて、一括してパターニングを行ったが、工程ごとにパターニングを行ってもかまわない。
以上の製造方法とすることにより、酸素流量に応じて酸素比含有率が異なる金属酸化物を形成することができ、第1金属酸化物層と、第2金属酸化物層と、第3金属酸化物層とを作り分けることができる。これにより、第1電極と第1金属酸化物層との界面近傍領域で、第1金属酸化物の酸化および還元反応を選択的に生じさせることができ、抵抗変化する極性が常に安定する。同時に、第1電極の界面から離れた領域において酸素比含有率の高い第3金属酸化物層が抵抗ばらつきを抑制することができる。低抵抗化時のスイッチング電流を小さくしながらも、低抵抗状態での読み出し電流のばらつきが低減されるため、低抵抗状態での読み出し電流と高抵抗状態での読み出し電流との差が大きくなる(電流の読み出しマージンを確保しやすくなる)。よって、素子が低抵抗状態にあるか高抵抗状態にあるかの判断を誤りにくくなり、読み出しエラーが発生しにくくなる。
[階段状の組成変化]
本実施形態において、第3金属酸化物層の組成と第2金属酸化物層の組成とが、第3金属酸化物層と第2金属酸化物層との間で階段状に変化していてもよい。第3金属酸化物層と第2金属酸化物層とが、それぞれ、厚み方向に組成が一定となっている部分を有していてもよい。
図10Aは、参考例1にかかる試料の透過型電子顕微鏡(TEM)写真である。図10Bは、参考例2にかかる試料の透過型電子顕微鏡(TEM)写真である。透過型電子顕微鏡(TEM)としては、日立ハイテクノロジーズ製のHF−2200を用いた。図10Aの試料は、上層がTaO(x=2.4)からなる厚さ約4nmの層であり、下層がTaO(y=1.11)からなる厚さ約50nmの層である。図10Bの試料は、上層がTaO(x=2.4)からなる厚さ約5nmの層であり、中層がTaO(y=1.29)からなる厚さ約10nmの層であり、下層がTaO(z=0.96)からなる厚さ約50nmの層である。いずれの試料でも、各層はスパッタ法によりそれぞれ独立に堆積されたものである。
図11Aは、参考例3にかかる試料の組成プロファイル(AES)を示すグラフである。図11Bは、参考例4にかかる試料の組成プロファイル(AES)を示すグラフである。AESの測定装置としては、アルバックファイ製のPHI−700を用いた。測定方法は、スパッタエッチング法とした。図11Aの試料は、上層がTaO(x=2.4)からなる層であり、下層がTaO(y=1.29)からなる層である。図11Bの試料は、上層がTaO(x=2.4)からなる層であり、中層がTaO(y=1.6)からなる層であり、下層がTaO(z=0.96)からなる層である。いずれの試料でも、各層はスパッタ法によりそれぞれ独立に堆積されたものである。
図10Aは、図11Aに対応するものであり、2層の金属酸化物層からなる試料にかかる。下層(TaO)は上層(TaO)よりも厚く、下層(TaO)において組成の変化はあるが階段状の変化はない。すなわち、図11Aを見ても分かるように、下層(TaO)において、濃度比(O/Ta)が高い部分と低い部分とが存在するが、それぞれの部分はいずれも厚み方向に組成が一定となっている部分(図11Aのグラフにおいて濃度比の線が水平になっている部分)を有しない。
なお、図11Aに示すような、下層(TaO)における組成の変化は、主として、抵抗変化素子の形成以降のポストプロセスの熱処理で酸素が拡散され、下層と下部電極との界面近傍で酸素が滞留するために生じたと考えられる(国際公開第2012/046454、図14、段落0043等を参照)。
図10Bは、図11Bに対応するものであり、3層の金属酸化物層からなる試料にかかる。いずれも、中層(TaO)と下層(TaO)との間で組成が階段状に変化している試料にかかる。すなわち、図11Bを見ても分かるように、中層(TaO)と下層(TaO)とは、濃度比(O/Ta)が厚み方向に一定となっており、それぞれが厚み方向に組成が一定となっている部分(図11Bのグラフにおいて濃度比の線が水平になっている部分)を有する(国際公開第2012/046454、図3(c)、段落0074等を参照)。
なお、図11Bに示すような、中層(TaO)と下層(TaO)とにおける組成の変化は、主として、抵抗変化層の形成プロセスにおいて、中層と下層とがそれぞれスパッタリング等の堆積方法により独立して形成されることに由来する。
すなわち、本明細書において「階段状に変化する」とは、図10Bの中層(TaO)と下層(TaO)のように透過型電子顕微鏡(TEM)写真において明確に異なる層として認識できること、または、図11Bの中層(TaO)と下層(TaO)のように組成プロファイルが階段をなすように変化することをいう。
一方で、本明細書において「階段状に変化する」とは、図10Aの下層(TaO)の内部における組成が異なる部分のように、透過型電子顕微鏡(TEM)写真において明確に異なる層として認識できない場合、または、図11Aの下層(TaO)の内部における濃度比(O/Ta)が高い部分と低い部分のように、組成プロファイルがなだらかに変化する場合を含まない。
本明細書において「厚み方向に組成が一定となっている部分を有する」とは、図10Bの中層(TaO)と下層(TaO)のように透過型電子顕微鏡(TEM)写真において明確に異なる層として認識できること、または、図11Bの中層(TaO)と下層(TaO)のように組成プロファイルが階段をなすように変化することをいう。
一方で、本明細書において「厚み方向に組成が一定となっている部分を有する」とは、図10Aの下層(TaO)の内部における組成が異なる部分のように、透過型電子顕微鏡(TEM)写真において明確に異なる層として認識できない場合、または、図11Aの下層(TaO)の内部における濃度比(O/Ta)が高い部分と低い部分のように、組成プロファイルがなだらかに変化する場合を含まない。
以上の点は、他の実施形態においても同様である。
(第2実施形態)
第2実施形態の不揮発性記憶素子は、第1実施形態およびその変形例のいずれかの不揮発性記憶素子であって、第2電極は第1電極の上方に配置されている。
第2実施形態の不揮発性記憶素子の製造方法は、第1金属をM、第2金属をNとする時、第1電極を形成する工程と、第1電極上にMOで表される組成を有する第1金属酸化物層を形成する工程と、第1金属酸化物層上にNOで表される組成を有する第2金属酸化物層を堆積する工程と、第3金属酸化物層上にNOで表される組成を有する第3金属酸化物層を堆積する工程と、第3金属酸化物層上に第2電極を形成する工程とを含み、ストイキオメトリ状態にある第1金属Mの酸化物の酸素含有率をA、ストイキオメトリ状態にある第2金属Nの酸化物の酸素含有率をB、MOの酸素含有率をC、NOの酸素含有率をD、NOの酸素含有率をE、とするとき、(D/B)<(C/A)、(E/B)<(C/A)およびy<zを満たす。
上記製造方法において、少なくとも第1金属酸化物層、第2金属酸化物層および第3金属酸化物層を、酸素雰囲気中の反応性スパッタリング法により堆積してもよい。
[装置構成]
図3は、第2実施形態にかかる不揮発性記憶素子の概略構成の一例を示す断面図である。以下、図3を参照しつつ、第2実施形態の不揮発性記憶素子200について説明する。
図3に示す例において、不揮発性記憶素子200は、第1電極106と、抵抗変化層125と、第2電極104とを備えている。
第1電極106および第2電極104は、上下関係が入れ替わっている他は、第1実施形態と同様の構成とすることができるので、詳細な説明を省略する。
抵抗変化層125は、図3に示された例では、第1電極106の上に、MOで表される組成を有する第1金属酸化物層125xが、第1電極106と接するように形成されている。さらに、第1金属酸化物層125xの上に、NOで表される組成を有する第2金属酸化物層125yが、第1金属酸化物層125xと接するように形成されている。さらに、第2金属酸化物層125yの上に、NOで表される組成を有する第3金属酸化物層125zが、第2金属酸化物層125yと接するように形成されている。さらに、第3金属酸化物層125zの上に、第2電極104が、第3金属酸化物層125zと接するように形成されている。
以上の点を除き、抵抗変化層125と、第1金属酸化物層125xと、第2金属酸化物層125yと、第3金属酸化物層125zとは、それぞれ、第1実施形態における抵抗変化層115と、第1金属酸化物層115xと、第2金属酸化物層115yと、第3金属酸化物層115zと同様に構成することができる。よって、詳細な説明を省略する。
[製造方法]
図4A〜図4Fは、第2実施形態にかかる不揮発性記憶素子の製造方法の一例を示す工程断面図である。
図4Aは、第1電極を形成する工程を示す断面図である。
図4Aに例示するように、まず、例えば基板(図示せず)および層間絶縁層(図示せず)等の上に、イリジウムで構成される第1電極106を形成する。このとき、後工程で第1電極106において熱ストレスによるマイグレーションが生じないように、事前に第1電極106を高温で焼結する(400℃)ことができる。かかる構成は、第1電極106と第1金属酸化物層125xとの界面を安定させ、安定なデバイス動作を実現できるという長所がある。
図4Bは、第1電極の上に第1金属酸化物層を形成する工程を示す断面図である。図4Bに示す工程は、図4Aに示す工程に引き続いて行われる。
図4Bに例示するように、第1電極106の上に、酸素比含有率が最も高い金属酸化物で構成される第1金属酸化物層125xを形成する。具体的には例えば、タンタルターゲットを酸素ガス雰囲気中でスパッタリングする反応性スパッタリング法で、第1金属酸化物層125xを形成することができる。
ここでは、反応性スパッタリング法を用いて第1金属酸化物層125xを形成する方法を説明したが、プラズマ酸化の工程を追加してもよい。通常、スパッタリング法では、ストイキオメトリの構成(タンタル酸化物の場合、x=2.5)より多くの酸素を含有させることは困難であるが、プラズマ酸化処理を行うと、酸素がタンタル酸化物の粒界、欠陥などに注入され、ストイキオメトリの構成より酸素含有率が高い金属酸化物層を形成することができる。かかる構成は、リーク電流の抑制に効果がある。
図4Cは、第1金属酸化物層の上に第2金属酸化物層を形成する工程を示す断面図である。図4Cに示す工程は、図4Bに示す工程に引き続いて行われる。
図4Cに例示するように、第1金属酸化物層125xの上に、酸素比含有率が最も低い金属酸化物で構成される第2金属酸化物層125yを形成する。具体的には例えば、第1金属酸化物層125xと同様に、タンタルターゲットを酸素ガス雰囲気中でスパッタリングする反応性スパッタリング法で、第2金属酸化物層115yを形成することができる。
図4Dは、第2金属酸化物層の上に第3金属酸化物層を形成する工程を示す断面図である。図4Dに示す工程は、図4Cに示す工程に引き続いて行われる。
図4Dに例示するように、第2金属酸化物層125yの上に、第3金属酸化物層125zを形成する。具体的には例えば、タンタルターゲットをアルゴンと酸素ガス雰囲気中でスパッタリングする反応性スパッタリング法で、第3金属酸化物層125zを形成することができる。
上記の各金属酸化物層の形成には、タンタルターゲットを用いたが、事前に酸素含有量を調整したタンタル酸化物ターゲットを用いてもよい。
図4Eは、第3金属酸化物層の上に第2電極を形成する工程を示す断面図である。図4Eに示す工程は、図4Dに示す工程に引き続いて行われる。
図4Eに例示するように、第3金属酸化物層125zの上に、タンタル窒化物で構成される第2電極104を形成する。
図4Fは、エッチングにより不揮発性記憶素子を完成させる工程を示す断面図である。図4Fに示す工程は、図4Eに示す工程に引き続いて行われる。
図4Fに例示するように、所望のマスクを用いて、第1電極106と、第1金属酸化物層125xと、第2金属酸化物層125yと、第3金属酸化物層125zと、第2電極104とをパターニングして、不揮発性記憶素子200を完成させる。
本工程では、同じマスクを用いて、一括してパターニングを行ったが、工程ごとにパターニングを行ってもかまわない。
以上の製造方法とすることにより、酸素流量に応じて酸素比含有率が異なる金属酸化物を形成することができ、第1金属酸化物層と、第2金属酸化物層と、第3金属酸化物層とを作り分けることができる。これにより、第1電極と第1金属酸化物層との界面近傍領域で、第1金属酸化物の酸化および還元反応を選択的に生じさせることができ、抵抗変化する極性が常に安定する。同時に、第1電極の界面から離れた領域において酸素比含有率の高い第3金属酸化物層が抵抗ばらつきを抑制することができる。低抵抗化時のスイッチング電流を小さくしながらも、低抵抗状態での読み出し電流のばらつきが低減されるため、低抵抗状態での読み出し電流と高抵抗状態での読み出し電流との差が大きくなる(電流の読み出しマージンを確保しやすくなる)。よって、素子が低抵抗状態にあるか高抵抗状態にあるかの判断を誤りにくくなり、読み出しエラーが発生しにくくなる。
第2実施形態においても、第1実施形態と同様の変形が可能である。
(第3実施形態)
第3実施形態の不揮発性記憶素子は、第1実施形態、第2実施形態、およびそれらの変形例のいずれかの不揮発性記憶素子であって、抵抗変化層は、NOで表される組成を有する第4金属酸化物層と、第3金属酸化物層と、第2金属酸化物層と、第1金属酸化物層とが、この順で積層された構造を備え、NOの酸素含有率をFとするとき、(F/B)<(C/A)およびa<zを満たす。
第3実施形態の不揮発性記憶素子は、第1実施形態、第2実施形態、およびそれらの変形例のいずれかの不揮発性記憶素子であって、抵抗変化層は、第4金属酸化物で構成される第4金属酸化物層と、第3金属酸化物層と、第2金属酸化物層と、第1金属酸化物層とが、この順で積層された構造を備え、第4金属酸化物の抵抗率は第3金属酸化物の抵抗率よりも小さい。
上記不揮発性記憶素子は、第1電極と第1金属酸化物層とが接触し、第2電極と第4金属酸化物層とが接触し、第1電極と第2電極とは、異なる元素を主成分とする材料により構成され、第1電極を構成する材料の標準電極電位V1と、第2電極を構成する材料の標準電極電位V2と、金属Mの標準電極電位Vt1とが、Vt1<V1かつV2<V1を満足してもよい。
上記不揮発性記憶素子は、抵抗変化層が、第1金属酸化物層および第2金属酸化物層の内部に、第1金属酸化物層に比べて酸素含有率が低い局所領域を備えてもよい。
上記不揮発性記憶素子において、局所領域は、第1電極と接して配置され、第3金属酸化物層に接しておらず、第2金属酸化物層とは酸素含有率が異なっていてもよい。
第3実施形態の不揮発性記憶素子の製造方法は、第1実施形態およびその変形例のいずれかの不揮発性記憶素子の製造方法であって、さらに、第3金属酸化物を形成する工程の前に、第2電極上にNOで表される組成を有する第4金属酸化物層を形成する工程を含み、第3金属酸化物層を形成する工程は、第4金属酸化物層上にNOで表される組成を有する第3金属酸化物層を形成する工程であり、NOの酸素含有率をFとするとき、(F/B)<(C/A)およびa<zを満たす。
上記製造方法において、少なくとも第2金属酸化物層、第3金属酸化物層および第4金属酸化物層を、酸素雰囲気中の反応性スパッタリング法により形成してもよい。
第3実施形態の不揮発性記憶素子の製造方法は、第2実施形態およびその変形例のいずれかの不揮発性記憶素子の製造方法であって、さらに、第2電極を形成する工程の前に、第3金属酸化物上にNOで表される組成を有する第4金属酸化物層を形成する工程を含み、第2電極を形成する工程は、第4金属酸化物層上に第2電極を形成する工程であり、NOの酸素含有率をFとするとき、(F/B)<(C/A)およびa<zを満たす。
上記製造方法において、少なくとも第1金属酸化物層、第2金属酸化物層、第3金属酸化物層および第4金属酸化物層を、酸素雰囲気中の反応性スパッタリング法により形成してもよい。
[装置構成]
図5は、第1実施形態にかかる不揮発性記憶素子の概略構成の一例を示す断面図である。以下、図5を参照しつつ、第1実施形態の不揮発性記憶素子300について説明する。
図5に示す例において、不揮発性記憶素子300は、第1電極106と、抵抗変化層135と、第2電極104とを備えている。
第1電極106および第2電極104は、第1実施形態と同様の構成とすることができるので、詳細な説明を省略する。
抵抗変化層135は、第1電極106と第2電極104との間に介在し、第1電極と第2電極との間に与えられる電気的信号に基づいて可逆的に抵抗値が変化する。
抵抗変化層135は、第1金属をM、第2金属をNとする時、NOで表される組成を有する第4金属酸化物層135aと、NOで表される組成を有する第3金属酸化物層135zと、NOで表される組成を有する第2金属酸化物層135yと、MOで表される組成を有する第1金属酸化物層135xとが、この順で積層された構造を備える。
第4金属酸化物層135aは、NOで表される組成を有する第4金属酸化物で構成される。第3金属酸化物層135zは、NOで表される組成を有する第3金属酸化物で構成される。第2金属酸化物層135yは、NOで表される組成を有する第2金属酸化物で構成される。第1金属酸化物層135xは、MOで表される組成を有する第1金属酸化物で構成される。
ストイキオメトリ状態にある第1金属Mの酸化物の酸素含有率をA、ストイキオメトリ状態にある第2金属Nの酸化物の酸素含有率をB、MOの酸素含有率をC、NOの酸素含有率をD、NOの酸素含有率をE、NOの酸素含有率をFとするとき、(D/B)<(C/A)、(E/B)<(C/A)、(F/B)<(C/A)、y<z、すなわちD<E、およびa<z、すなわちF<E、を満たす。
すなわち、ストイキオメトリ状態である第2金属Nの酸化物の酸素含有率に対するNOの酸素含有率の比が、ストイキオメトリ状態である第1金属Mの酸化物に対するMOの酸素含有率の比より低い。
また、ストイキオメトリ状態である第2金属Nの酸化物の酸素含有率に対するNOの酸素含有率の比が、ストイキオメトリ状態である第1金属Mの酸化物に対するMOの酸素含有率の比より低く、かつy<zを満たす。
また、ストイキオメトリ状態である第2金属Nの酸化物の酸素含有率に対するNOの酸素含有率の比が、ストイキオメトリ状態である第1金属Mの酸化物に対するMOの酸素含有率の比より低く、かつa<zを満たす。
第2金属酸化物の抵抗率は第1金属酸化物の抵抗率よりも小さい。第2金属酸化物の抵抗率は第3金属酸化物の抵抗率よりも小さい。第3金属酸化物の抵抗率は第1金属酸化物の抵抗率よりも小さい。第4金属酸化物の抵抗率は第3金属酸化物の抵抗率よりも小さい。
抵抗変化層115の厚さは、20〜100nmとしうる。
さらに、a<y、すなわちF<D、を満たしてもよい。第4金属酸化物の抵抗率は第2金属酸化物の抵抗率よりも小さくてもよい。かかる構成では、第2電極と接する第4金属酸化物の酸素含有率が、第1乃至第4金属酸化物のなかで最も小さいため、第2電極と第4金属酸化物の界面で抵抗変化がおこりにくい。したがって、抵抗変化を第1電極と第1金属酸化物の界面でのみ安定的に抵抗変化をおこすことができる。
抵抗変化層135は、図5に示された例では、第2電極104の上に、NOで表される組成を有する第4金属酸化物層135aが、第2電極104と接するように形成されている。さらに、第4金属酸化物層135aの上に、NOで表される組成を有する第3金属酸化物層135zが、第4金属酸化物層135aと接するように形成されている。さらに、第3金属酸化物層135zの上に、NOで表される組成を有する第2金属酸化物層135yが、第3金属酸化物層135zと接するように形成されている。さらに、第2金属酸化物層135yの上に、MOで表される組成を有する第1金属酸化物層135xが、第2金属酸化物層135yと接するように形成されている。さらに、第1金属酸化物層135xの上に、第1電極106が、第1金属酸化物層135xと接するように形成されている。
第1金属酸化物層135xが第1電極106と接する。第4金属酸化物層135aが第2電極104と接する。これらの金属酸化物層を構成する第1金属Mと第2金属Nは、同一元素でもよいし異なる元素でもよい。金属酸化物層の組成は酸素比含有率で規定してもよいし、各層の抵抗率で規定してもよい。第1金属酸化物層135xを形成する金属酸化物の抵抗率は、第2金属酸化物層135yを形成する金属酸化物の抵抗率より高い構成としてもよい。第3金属酸化物層135zを形成する金属酸化物の抵抗率は、第2金属酸化物層135yを形成する金属酸化物の抵抗率より高く、かつ、第1金属酸化物層135xを形成する金属酸化物の抵抗率よりも低い構成としてもよい。第4金属酸化物層135aを形成する金属酸化物の抵抗率は、第3金属酸化物層135zを形成する金属酸化物の抵抗率よりも低い構成としてもよい。
抵抗変化層135の抵抗変化特性は、第1実施形態の抵抗変化層115と同様としうる。すなわち、例えば、不揮発性記憶素子300はバイポーラ型の不揮発性記憶素子であってもよい。
以上の点を除けば、第1金属酸化物層135xは、第1実施形態の第1金属酸化物層115xと同様の構成としうる。第2金属酸化物層135yは、第1実施形態の第2金属酸化物層115yと同様の構成としうる。第3金属酸化物層135zは、第1実施形態の第3金属酸化物層125zと同様の構成としうる。第1金属Mと第2金属Nとは、第1実施形態と同様としうる。よって、これらの構成については詳細な説明を省略する。
具体的には例えば、第1ないし第4金属酸化物層の材料としてタンタル酸化物を用いることができる。このとき、第4金属酸化物層135aは、TaOのaを0.96(抵抗率:1mΩcm)とし、厚さを10nmとすることができる。第3金属酸化物層135zは、TaOのzを1.86〜1.93(抵抗率:40〜100mΩcm)とし、厚さを10nmとすることができる。第2金属酸化物層135yは、TaOのyを1.29(抵抗率:6mΩcm)とし、厚さを10nmとすることができる。第1金属酸化物層135xは、TaOのxを2.4(抵抗率:10mΩcm)とし、厚さを5nmとすることができる。
本実施形態では、抵抗変化層135は、高酸素濃度の第1金属酸化物層135xと、低酸素濃度の第2金属酸化物層135yと、中酸素濃度の第3金属酸化物層135zと、超低酸素濃度の第4金属酸化物層135aから構成されうる。
酸素濃度の順に並べると、酸素濃度が最も高い順から、第1金属酸化物層135x、第3金属酸化物層135z、第2金属酸化物層135y、第4金属酸化物層135aとすることができる。
第3実施形態において、抵抗変化層としてタンタル酸化物を用いる場合の酸素含有率について、特に第4金属酸化物層135aを中心に、検討する。本件出願人は特許文献3において、酸素欠損状態を示すタンタル酸化物を単層の抵抗変化層として用いる場合には、タンタル酸化物をTaOとあらわした場合のxについて0.8以上1.9以下の範囲で高抵抗値が低抵抗値の5倍以上の安定動作をすることを報告している。また、上述した特許文献1において、電極界面近傍にx≧2.1のタンタル酸化物を挿入して積層構造とすることで、フォーミング動作が不要で、一回目の電圧印加から安定なパルス動作が実現できることを報告している。
以上のことを鑑みると、第1金属酸化物層135xを構成するTaOには、フォーミング動作が不要となり、選択的に酸化還元反応を促進できるように、2.1≦xとすることができる。第4金属酸化物層135aを構成するTaOには、酸素含有率が低く、抵抗変化しにくいように、a<0.8とすることができる。なお、本実施形態において第4金属酸化物層135aを構成するTaOにおいて、aが0.8よりも大きく、a=0.96とした場合でも、低抵抗状態での読み出し電流のばらつきを低減できたが、一方の電極でのみ抵抗変化を起こさせるという目的においては、a<0.8とすることでより一層の効果があると考えられる。
第3実施形態において、抵抗変化層としてハフニウム酸化物を用いる場合の酸素含有率について、特に第4金属酸化物層135aを中心に、検討する。本件出願人は特許文献4において、酸素欠損状態を示すハフニウム酸化物を単層の抵抗変化層として用いる場合には、ハフニウム酸化物をHfOとあらわした場合のxについて0.9以上1.6以下の範囲で抵抗変化を示すことを報告している。電極界面部分にx>1.8であるハフニウム酸化物を挿入して積層構造とすることで、フォーミング動作が不要で、一回目の電圧印加から安定なパルス動作が実現できることも報告している。
以上のことを鑑みると、第1金属酸化物層135xを構成するHfOには、フォーミング動作が不要となり、選択的に酸化還元反応を促進できるように、1.8<xとすることができる。第4金属酸化物層135aを構成するHfOには、酸素含有率が低く、抵抗変化しにくいように、a<0.9とすることができる。
第3実施形態において、抵抗変化層としてジルコニウム酸化物を用いる場合の酸素含有率について、特に第4金属酸化物層135aを中心に、検討する。本件出願人は特許文献5において、酸素欠損状態を示すジルコニウム酸化物を単層の抵抗変化層として用いる場合には、ジルコニウム酸化物をZrOとあらわした場合のxが、0.9以上1.4以下の範囲で抵抗変化を示すことを報告している。電極界面部分にx>1.9であるジルコニウム酸化物を挿入して積層構造とすることで、フォーミング動作が不要で、一回目の電圧印加から安定なパルス動作が実現できることも報告している。
以上のことを鑑みると、第1金属酸化物層135xを構成するZrOには、フォーミング動作が不要となり、選択的に酸化還元反応を促進できるように、1.9<xとすることができる。第4金属酸化物層135aを構成するZrOには、酸素含有率が低く、抵抗変化しにくいように、z<0.9とすることができる。
以上のような構成により、第1電極の界面近傍領域で、第1金属酸化物の酸化および還元反応を選択的に生じさせることができ、抵抗変化する極性が常に安定する。同時に、第1電極の界面から離れた領域において酸素比含有率の高い第3金属酸化物層が抵抗ばらつきを抑制することができる。低抵抗化時のスイッチング電流を小さくしながらも、低抵抗状態での読み出し電流のばらつきが低減されるため、低抵抗状態での読み出し電流と高抵抗状態での読み出し電流との差が大きくなる(電流の読み出しマージンを確保しやすくなる)。よって、素子が低抵抗状態にあるか高抵抗状態にあるかの判断を誤りにくくなり、読み出しエラーが発生しにくくなる。
さらに、本実施形態では、第3金属酸化物よりも酸素含有率の低い第4金属酸化物を第2電極上に配置することで、第2電極と抵抗変化層との界面で抵抗変化が生じる可能性(誤動作の可能性)がさらに低減される。
本実施形態を第2実施形態と組合せてもよい。すなわち、第1電極106の上に第2電極が形成されてもよい。
[製造方法]
第3実施形態の不揮発性記憶素子は、第1実施形態の製造方法において、第3金属酸化物層を形成する前に、第4金属酸化物層を形成する工程を追加することで製造することができる。第4金属酸化物層の酸素含有率ないし抵抗率は、第1実施形態と同様、例えば、反応性スパッタリング法におけるアルゴンガスと酸素ガスとの比率を変更することで実現することができる。
[実施例]
本実施例では、第3実施形態の不揮発性記憶素子を、以下のように形成した。
第1電極および第2電極は、スパッタリング法を用いて形成した。第1電極はイリジウムで形成した。第2電極はタンタル窒化物で形成した。素子のパターニングは、エッチング法により行った。
第1金属酸化物層、第2金属酸化物層、第3金属酸化物層、および、第4金属酸化物層の材料として、タンタル酸化物を用いた。タンタル酸化物は、タンタルターゲットをアルゴンと酸素の混合ガス雰囲気中でスパッタリングする、いわゆる、反応性スパッタリング法で形成した。
第4金属酸化物層135aは、TaOのaを0.96(抵抗率:1mΩcm)とし、厚さを10nmとした。第3金属酸化物層135zは、TaOのzを1.93(抵抗率:100mΩcm)とし、厚さを10nmとした。第2金属酸化物層135yは、TaOのyを1.29(抵抗率:6mΩcm)とし、厚さを10nmとした。第1金属酸化物層135xは、TaOのxを2.4(抵抗率:10mΩcm)とし、厚さを5nmとした。
金属酸化物層の酸素含有率および抵抗率は、以下の方法で特定した。すなわち、予備実験で、タンタルターゲットを酸素ガス雰囲気中でスパッタリングする反応性スパッタリング法によりタンタル酸化物層を堆積させる方法で、酸素ガスの流量が異なる複数のサンプルを形成した。各サンプルについて、RBS法(Rutherford Backscattering Spectrometry)により、酸素含有率を測定した。また、各サンプルについて、4端子測定法を用いて抵抗率を測定した。かかる方法により、スパッタリング時の酸素流量と、得られるタンタル酸化物層の酸素含有率および抵抗率との関係を求めた。該関係を用いて、タンタル酸化物からなる第1ないし第4金属酸化物層を堆積させる際の酸素流量から、当該金属酸化物層の酸素含有率および抵抗率を特定した。
図6は、実施例にかかる不揮発性記憶素子の抵抗変化特性を示す図である。
図6の測定にあたっては、電流制御素子としてトランジスタを用いた。トランジスタのゲート電圧を2.4Vに設定し、第2電極側を接地して、第1電極側に正電圧を印加(+2.0V、200ns)することで高抵抗状態に抵抗を変化させ、第1電極側に負電圧を印加(−2.4V、200ns)することで低抵抗状態に変化させた。図6に示されているように、実施例の不揮発性記憶素子は、極性の異なる電圧を印加することにより安定的に抵抗変化動作を示した。
図7は、実施例および比較例にかかる不揮発性記憶素子について、低抵抗状態での読み出し電流の分布を示す図である。図8は、比較例にかかる不揮発性記憶素子の概略構成の一例を示す断面図である。
図8に示すように、比較例では、抵抗変化層105を、第1金属酸化物層105xおよび第2金属酸化物層105yの2層のみで構成し、不揮発性記憶素子400を作製した。
第1電極106と、第2電極104とは、実施例と同様の構成とした。第1金属酸化物層105xは、タンタル酸化物で構成し、TaOのxを2.4(抵抗率:10mΩcm)とし、厚さを5nmとした。第2金属酸化物層105yは、タンタル酸化物で構成し、TaOのyを1.29(抵抗率:6mΩcm)とし、厚さを30nmとした。製造方法は、第2金属酸化物層の厚さが異なる点を除けば、実施例と同様とした。
サンプル数は実施例および比較例のいずれについても50個である。電圧印加の方法は、パルス印加時間が異なる(高抵抗化時:+2.0V、パルス幅50ns、低抵抗化時:−2.4V、パルス幅100ns、トランジスタのゲート電圧:2.4V)他は、図6において説明した通りである。読み出し時の印加電圧は、0.4Vとした。
図7に示す通り、低抵抗状態での読み出し電流の平均値は、実施例と比較例とでほぼ等しい。しかしながら、低抵抗状態での読み出し電流のばらつきを見ると、比較例に対し実施例においてばらつきが低減されていることが分かる。
以上のことから、実施例の素子では、低抵抗状態での読み出し電流と高抵抗状態での読み出し電流との差が大きくなる(電流の読み出しマージンを確保しやすくなる)。よって、素子が低抵抗状態にあるか高抵抗状態にあるかの判断を誤りにくくなり、読み出しエラーが発生しにくくなる。
[局所領域]
図9は、第3実施形態にかかる不揮発性記憶素子における酸素含有率の低い局所領域を示す断面図である。
抵抗変化層135は、第1金属酸化物層135xおよび第2金属酸化物層135yの内部に、第1金属酸化物層135xに比べて酸素含有率が低い局所領域31を備えてもよい。かかる局所領域は、例えば、不揮発性記憶素子300に初期ブレイクダウン動作を行なうことにより形成されうる。局所領域31は、酸素欠損の連なりによって構成される導電パス(フィラメント)を形成しうる。具体的には、抵抗変化層135に特定の電圧が印加されると、酸化還元反応によって局所領域31中の酸素欠損密度が変化し、その結果、導電パスが繋がる又は切断される。これにより、抵抗変化層135の抵抗値が変化すると考えられる。
不揮発性記憶素子300において、局所領域31は、第1電極106と接して配置され、第3金属酸化物層135zに接しておらず、第2金属酸化物層135yとは酸素含有率が異なっていてもよい。
低抵抗状態での読み出し電流のばらつきは、局所領域31が不揮発性記憶素子300のどの部分にどの程度の大きさで形成されるかに影響を受けると考えられる。すなわち、局所領域31は、低抵抗状態において、電気抵抗が小さい。不揮発性記憶素子300の抵抗値は、局所領域31の抵抗値と局所領域31の先端(図9では下端)から第2電極104までの間の抵抗変化層の抵抗値との合計とほぼ等しくなる。素子全体の抵抗値の変化は、局所領域31の酸素欠損密度が変化することによる抵抗値の増減であるから、局所領域31の抵抗値が素子毎にばらつけば、素子全体の抵抗値の変化量および低抵抗状態での素子の抵抗値もばらつくことになる。逆に、局所領域31の抵抗値が素子間で均一であれば、素子全体の抵抗値の変化量および低抵抗状態での素子の抵抗値も素子間で均一となる。
局所領域31は、酸素含有率の低い層では比較的形成されやすいが、酸素含有率の高い層では比較的形成されにくい。酸素含有率の低い第2金属酸化物層135yに隣接するように、局所領域31が形成される側の電極(第1電極106)とは反対側に、酸素含有率の高い第3金属酸化物層135zを形成することで、局所領域31は、第2金属酸化物層135yから第3金属酸化物層135zへと入り込みにくくなる。その結果、局所領域31の形成される部位は、第1金属酸化物層135xと第2金属酸化物層135yとに限定されやすくなり、局所領域31の長さ等が均一化される。局所領域31が均一化されることで、低抵抗状態での読み出し電流のばらつきも低減される。
第3実施形態においても、第1実施形態および第2実施形態と同様の変形が可能である。
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造および/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
本発明の一態様は、特性のばらつきを低減することができる不揮発性記憶素子として有用である。
31 局所領域
100 不揮発性記憶素子
104 第2電極
105 抵抗変化層
105x 第1金属酸化物層
105y 第2金属酸化物層
106 第1電極
115 抵抗変化層
115x 第1金属酸化物層
115y 第2金属酸化物層
115z 第3金属酸化物層
125 抵抗変化層
125x 第1金属酸化物層
125y 第2金属酸化物層
125z 第3金属酸化物層
135 抵抗変化層
135x 第1金属酸化物層
135y 第2金属酸化物層
135z 第3金属酸化物層
135a 第4金属酸化物層
200 不揮発性記憶素子
300 不揮発性記憶素子
400 不揮発性記憶素子

Claims (19)

  1. 第1電極と、
    第2電極と、
    前記第1電極と前記第2電極との間に介在し、前記第1電極と前記第2電極との間に与えられる電気的信号に基づいて可逆的に抵抗値が変化する抵抗変化層とを備え、
    前記抵抗変化層は、
    第1金属をM、第2金属をNとする時、
    NOで表される組成を有する第3金属酸化物層と、
    NOで表される組成を有する第2金属酸化物層と、
    MOで表される組成を有する第1金属酸化物層とが、
    この順で積層された構造を備え、
    ストイキオメトリ状態にある前記第1金属Mの酸化物の酸素含有率をA、
    ストイキオメトリ状態にある前記第2金属Nの酸化物の酸素含有率をB、
    前記MOの酸素含有率をC、
    前記NOの酸素含有率をD、
    前記NOの酸素含有率をE、とするとき、
    (D/B)<(C/A)、(E/B)<(C/A)およびy<zを満たす、
    不揮発性記憶素子。
  2. 前記第3金属酸化物層の組成と前記第2金属酸化物層の組成とが、前記第3金属酸化物層と前記第2金属酸化物層との間で階段状に変化している、請求項1に記載の不揮発性記憶素子。
  3. 前記第3金属酸化物層と前記第2金属酸化物層とが、それぞれ、厚み方向に組成が一定となっている部分を有する、請求項1に記載の不揮発性記憶素子。
  4. 前記第1電極と前記第1金属酸化物層とが接触し、
    前記第2電極と前記第3金属酸化物層とが接触し、
    前記第1電極と前記第2電極とは、異なる元素を主成分とする材料により構成され、
    前記第1電極の標準電極電位V1と、前記第2電極の標準電極電位V2と、前記金属Mの標準電極電位Vt1とが、Vt1<V1かつV2<V1を満足する請求項1ないし3のいずれかに記載の不揮発性記憶素子。
  5. 前記抵抗変化層は、
    NOで表される組成を有する第4金属酸化物層と、
    前記第3金属酸化物層と、
    前記第2金属酸化物層と、
    前記第1金属酸化物層とが、
    この順で積層された構造を備え、
    前記NOの酸素含有率をFとするとき、(F/B)<(C/A)およびa<zを満たす、
    請求項1ないしのいずれかに記載の不揮発性記憶素子。
  6. 前記第1電極と前記第1金属酸化物層とが接触し、
    前記第2電極と前記第4金属酸化物層とが接触し、
    前記第1電極と前記第2電極とは、異なる元素を主成分とする材料により構成され、
    前記第1電極を構成する材料の標準電極電位V1と、前記第2電極を構成する材料の標準電極電位V2と、前記金属Mの標準電極電位Vt1とが、Vt1<V1かつV2<V1を満足する、
    請求項5に記載の不揮発性記憶素子。
  7. 前記抵抗変化層が、前記第1金属酸化物層および前記第2金属酸化物層の内部に、前記第1金属酸化物層に比べて酸素含有率が低い局所領域を備える、
    請求項1ないし6のいずれか1項に記載の不揮発性記憶素子。
  8. 前記局所領域は、
    前記第1電極と接して配置され、
    前記第3金属酸化物層に接しておらず、
    前記第2金属酸化物層とは酸素含有率が異なる、
    請求項7に記載の不揮発性記憶素子。
  9. 前記第1電極と前記第2電極との間に第1電気的信号を印加することで前記抵抗値が第1値から第1値よりも高い第2値へと可逆的に変化し、
    前記第1電極と前記第2電極との間に第1電気的信号と極性が異なる第2電気的信号を印加することで前記抵抗値が前記第2値から前記第1値へと可逆的に変化する、
    請求項1ないし8のいずれか1項に記載の不揮発性記憶素子。
  10. 前記金属Mと前記金属Nとが同元素である、請求項1ないし9のいずれかに記載の不揮発性記憶素子。
  11. 前記金属MおよびNはタンタルであり、前記第1金属酸化物層の組成TaOおよび前記第4金属酸化物層の組成TaOは、
    2.1≦x
    a<0.8
    を満足する、請求項5または6に記載の不揮発性記憶素子。
  12. 第1金属をM、第2金属をNとする時、
    第2電極を形成する工程と、
    前記第2電極上にNOで表される組成を有する第3金属酸化物層を堆積する工程と、
    前記第3金属酸化物層上にNOで表される組成を有する第2金属酸化物層を堆積する工程と、
    前記第2金属酸化物層上にMOで表される組成を有する第1金属酸化物層を形成する工程と、
    前記第1金属酸化物層上に第1電極を形成する工程とを含み、
    ストイキオメトリ状態にある前記第1金属Mの酸化物の酸素含有率をA、
    ストイキオメトリ状態にある前記第2金属Nの酸化物の酸素含有率をB、
    前記MOの酸素含有率をC、
    前記NOの酸素含有率をD、
    前記NOの酸素含有率をE、とするとき、
    (D/B)<(C/A)、(E/B)<(C/A)およびy<zを満たす、
    不揮発性記憶素子の製造方法。
  13. 少なくとも前記第2金属酸化物層および前記第3金属酸化物層を、酸素雰囲気中の反応性スパッタリング法により堆積する、請求項12に記載の不揮発性記憶素子の製造方法。
  14. さらに、前記第3金属酸化物を堆積する工程の前に、前記第2電極上にNOで表される組成を有する第4金属酸化物層を形成する工程を含み、
    前記第3金属酸化物層を堆積する工程は、前記第4金属酸化物層上にNOで表される組成を有する第3金属酸化物層を堆積する工程であり、
    前記NOの酸素含有率をFとするとき、(F/B)<(C/A)およびa<zを満たす、
    請求項12に記載の不揮発性記憶素子の製造方法。
  15. 少なくとも前記第2金属酸化物層、前記第3金属酸化物層および前記第4金属酸化物層を、酸素雰囲気中の反応性スパッタリング法により堆積する、請求項14に記載の不揮発性記憶素子の製造方法。
  16. 第1金属をM、第2金属をNとする時、
    第1電極を形成する工程と、
    前記第1電極上にMOで表される組成を有する第1金属酸化物層を形成する工程と、
    前記第1金属酸化物層上にNOで表される組成を有する第2金属酸化物層を堆積する工程と、
    前記第3金属酸化物層上にNOで表される組成を有する第3金属酸化物層を堆積する工程と、
    前記第3金属酸化物層上に第2電極を形成する工程とを含み、
    ストイキオメトリ状態にある前記第1金属Mの酸化物の酸素含有率をA、
    ストイキオメトリ状態にある前記第2金属Nの酸化物の酸素含有率をB、
    前記MOの酸素含有率をC、
    前記NOの酸素含有率をD、
    前記NOの酸素含有率をE、とするとき、
    (D/B)<(C/A)、(E/B)<(C/A)およびy<zを満たす、
    不揮発性記憶素子の製造方法。
  17. 少なくとも前記第1金属酸化物層、前記第2金属酸化物層および前記第3金属酸化物層を、酸素雰囲気中の反応性スパッタリング法により堆積する、請求項16に記載の不揮発性記憶素子の製造方法。
  18. さらに、前記第2電極を形成する工程の前に、前記第3金属酸化物上にNOで表される組成を有する第4金属酸化物層を形成する工程を含み、
    前記第2電極を形成する工程は、前記第4金属酸化物層上に第2電極を形成する工程であり、
    前記NOの酸素含有率をFとするとき、(F/B)<(C/A)およびa<zを満たす、
    請求項16に記載の不揮発性記憶素子の製造方法。
  19. 少なくとも前記第1金属酸化物層、前記第2金属酸化物層、前記第3金属酸化物層および前記第4金属酸化物層を、酸素雰囲気中の反応性スパッタリング法により堆積する、請求項18に記載の不揮発性記憶素子の製造方法。
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