JPWO2010073933A1 - オキセタニル基を有するケイ素化合物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、カチオン硬化性を有する縮合ケイ素化合物を効率的に製造することを目的とするが、縮合反応の際、酸性条件ではオキセタニル基が開環してしまい、アルカリ性条件ではゲル化が起きやすいという問題が未解決であった。【解決手段】4個のシロキサン結合生成基を有するケイ素化合物(A)と、オキセタニル基を有するケイ素化合物(B)とを、1−プロパノールでアルコール交換反応する第一工程と、第一工程を経たケイ素化合物(AP),(BP)を、特定割合でアルカリ性条件下で加水分解共重縮合する第二工程を含む製造方法によって、高濃度でもゲル化を引き起こすことなく、オキセタニル基を有するケイ素化合物(C)を得ることができることを見出して発明を完成させた。

Description

本発明は、オキセタニル基を有するケイ素化合物の製造方法に関する。更に詳しくは、従来の製造方法では、反応中にゲル化してしまう組成のケイ素化合物を、ゲル化を起こさずに高濃度で製造できる製造方法に関する。
加水分解性基を有するケイ素化合物の加水分解縮合においては酸性、アルカリ性いずれの条件でも触媒作用があるが、酸性条件とアルカリ性条件では縮合の化学的機構が異なることは古くから知られている。例えば、非特許文献1には、SiX4型のケイ素化合物であるテトラエトキシシランは酸およびアルカリ性触媒のどちらでも加水分解するが、RSiX3型であるモノメチルトリエトキシシランは酸触媒では反応するがアルカリ性触媒ではほとんど反応しないことが記載されている。
特許文献1には、酸触媒がオキセタニル基を開環させてしまうことの記載があり、オキセタニル基を有し3個の加水分解性基を有するケイ素化合物を、アルカリ性条件下で加水分解重縮合させることにより、オキセタニル基を有する縮合されたケイ素化合物を製造する方法が開示されている。
特許文献2には、オキセタニル基を有し3個の加水分解性基を有するケイ素化合物を、一分子中に一つ以上のシロキサン結合生成基を有する反応性シリコーンと共にアルカリ性条件下で加水分解共縮合することができ、得られた縮合物を硬化させたものはシリコーン鎖の効果により耐汚染性に優れることが開示されている。
一方、特許文献3には、オキセタニル基を有し3個の加水分解性基を有するケイ素化合物を、酸性触媒存在下で加水分解重縮合させる、オキセタニル基を有する縮合されたケイ素化合物の製造方法が開示されている。この方法で得られる縮合されたケイ素化合物を硬化させた被膜は、特許文献2の実施例で開示されたシリコーンを含む硬化被膜に比べて鉛筆硬度試験の結果が著しく優れており、表面硬度の求められる用途には適したものであった。
しかし、特許文献3の比較例1には、オキセタニル基を有し3個の加水分解性基を有するケイ素化合物と、3個のシロキサン結合生成基を有するケイ素化合物とを、アルカリ性条件下で加水分解共縮合させたところゲル化したことが開示されていることから、オキセタニル基を有し3個の加水分解性基を有するケイ素化合物をアルカリ性条件下で加水分解縮合するとゲル化が起きてしまう可能性が知られていたと言うことができる。
また、特許文献3には、4個のシロキサン結合生成基を有するケイ素化合物と3個の加水分解性基を有するケイ素化合物を酸性触媒で共縮合させた具体例が実施例8に例示されているが、加水分解共重縮合によって得られたケイ素化合物の硬化物の評価は、3個のシロキサン結合生成基を有するケイ素化合物を用いる場合と比較して差のないものであった。すなわち、オキセタニル基を有し3個の加水分解性基を有するケイ素化合物と4個のシロキサン結合生成基を有するケイ素化合物とをアルカリ性条件で共縮合することには、ゲル化する可能性を示唆する文献と、特別な効果が予想されないことを示唆する先行文献とが知られていたということができる。
特開平11−029640号公報 特開平11−199673号公報 国際公開パンフレットWO2004/076534
「ゾルーゲル法および有機・無機ハイブリッド材料」、p.42、株式会社技術情報協会、2007年8月31日発行
従来技術では、縮合に酸触媒を用いるとオキセタニル基が開環してしまい、一方でアルカリ性触媒ではゲル化しやすいことや、表面硬度の高い硬化物を与えるために、4個のシロキサン結合生成性基を有するケイ素化合物を共縮合しても、効果が表れないという問題があった。
本発明は、オキセタニル基を有し、表面硬度の高い硬化物を与えることのできるケイ素化合物を、反応途中でゲル化の問題を生じることなく、高濃度で製造できる方法を提供することを課題とする。
4個のシロキサン結合生成基を有するケイ素化合物(A)と、オキセタニル基を有するケイ素化合物(B)とを、1−プロパノールでアルコール交換反応する第一工程と、第一工程を経たケイ素化合物(AP),(BP)を、特定割合でアルカリ性条件下で加水分解共重縮合する第二工程を含む製造方法によって、ゲル化を引き起こすことなく、オキセタニル基を有するケイ素化合物(C)を得ることができることを見出し、本願発明を完成した。
本発明によって、硬化物の表面硬度を高める効果をもたらす4個のシロキサン結合生成基を有するケイ素化合物(A)と、カチオン硬化性をもたらすオキセタニル基を有するケイ素化合物(B)との共重縮合物であるケイ素化合物(C)を、安価な原料からゲル化を引き起こすことなく製造することができる。得られたケイ素化合物(C)は溶媒可溶で各種用途への応用が容易である。
本発明の製造方法で得られるケイ素化合物(C)は溶媒可溶であることの他に、保存中に増粘やゲル化を起こさず、安定性に優れるものでもあり、また、本発明の製造方法は高濃度の仕込み濃度でも反応途中でのゲル化の問題を起こし難いという効果を奏する。
ケイ素化合物(C)が保存安定性に優れる理由は、主にアルカリ性触媒を用いる本発明の第二工程に起因する。ケイ素化合物の製造方法において、酸性条件下での加水分解反応は反応が不十分となる場合が多く、アルカリ性条件下での加水分解反応に比べて、未反応のアルコキシ基の含有量が多くなる恐れがある。したがって、酸性条件下において加水分解・共重縮合により製造されたケイ素化合物は、未反応のアルコキシ基等のシロキサン結合生成基を含み、その未反応基が保存中に徐々に架橋するために粘度上昇やゲル化などの問題を生じさせる恐れがある。本発明の第二工程はアルカリ性触媒を必須とするものであり、未反応のシロキサン結合生成基が残り難いという特徴があるため、得られるケイ素化合物(C)は保存安定性に優れ、長期保存しても高粘度化やゲル化が起き難いという効果を奏するものである。
一方、アルカリ性条件下での加水分解反応は、反応が進行しやすいが、そのために縮合反応中にゲルが生じやすいという問題がある。この理由は、4個のシロキサン結合生成基を有するケイ素化合物(Qモノマーと呼ぶ)を使用して製造された硬化性含ケイ素化合物は硬化性に優れ、得られる硬化物は高い表面硬度を持つが、Qモノマーをアルカリ性条件下において加水分解・共重縮合させると、Qモノマーの縮合反応が優先的に進行し、主にQモノマーだけによるネットワークが生じて反応中にゲルが生じる恐れがあるからである。
一般的に、反応中のゲル化を回避する方法としては反応物の濃度を下げることが有効であるが、濃度が低いと大きな反応容器で合成をおこなってもわずかな生成物しか得られないから非効率であり、経済的にも不利である。また大量の溶剤を使用するため経済的でなく、かつ環境負荷も大きくなるので好ましくない。
一方、高い濃度で反応を行うことは、効率が上がり経済的であるものの、反応性シラン同士の接触確率が上がり、分子間反応が進んでゲルが生じやすくなる恐れがある。
本発明の第一工程は、4個のシロキサン結合生成基を有するケイ素化合物(A)およびオキセタニル基を有するケイ素化合物(B)を、1−プロパノール中でアルコール交換反応させるものであるが、該アルコール交換反応によって、反応が速く進行しやすいケイ素化合物(A)のシロキサン結合生成基と、反応が遅く共縮合物に取り込まれ難いケイ素化合物(B)の加水分解性基との反応性のバランスが良くなるために、反応中のゲルの生成が抑えられ、高濃度で反応させてもゲル化しにくなる。すなわち、アルカリ性条件下では、反応の速いQモノマーの縮合反応だけが優先的に進行してしまうところ、第一工程のアルコール交換において、反応の速すぎるシロキサン結合生成基はそれだけ速く1−プロパノール中とアルコール交換し、反応の遅い加水分解性基はそれなりの速度で1−プロパノール中とアルコール交換するために、第二工程の加水分解共重縮合では、ケイ素化合物AとBとがバランスよく反応するものに変わっているため、高濃度でもゲル化せずに縮合反応させることができるという原理に基づくものであり、本発明の製造方法は高濃度仕込みにより効率的な製造ができるという効果をも奏するものである。
また、この原理によれば、ケイ素化合物(A)のシロキサン結合生成基と(B)の加水分解性基が、すべて1−プロポキシ基である場合よりも、本発明のアルコール交換を用いる製造方法の方が結果において優れていることはいうまでもないが、そもそもケイ素化合物(A)、(B)の製造においても、1−プロパノールは反応性が低いために、1−プロポキシ体は工業的にも高価で入手しにくいものであるから、本発明はこの意味でも経済的に優れたものである。
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明のケイ素化合物(C)の製造方法は、上記一般式(1)で表されるケイ素化合物(A)と上記一般式(2)で表されるケイ素化合物(B)を、1−プロパノール中でアルコール交換反応させる第一工程と、上記反応させて得られた組成物をアルカリ性条件下で加水分解共重縮合させる第二工程とを備えることを特徴とする。
<ケイ素化合物(C)>
本発明で得られるケイ素化合物(C)は、ケイ素化合物(A)、第1工程によりケイ素化合物(A)から生じるケイ素化合物(APと呼ぶ)、ケイ素化合物(B)及び第1工程によりケイ素化合物(B)から生じるケイ素化合物(BPと呼ぶ)との加水分解共重縮合によって生成するものである。以下に説明する第二工程により、A,B,AP,BPに含まれるシロキサン結合生成基、加水分解性基及びn−プロポキシ基の大部分はシロキサン結合に転化されるので、ケイ素化合物(C)は、シロキサン結合生成基、加水分解性基及びn−プロポキシ基が加水分解して形成された三次元のシロキサン結合(Si−O−Si)からなるポリシロキサンであるということができる。
ケイ素化合物(C)は炭素原子を含む有機部分及び炭素原子を含まない無機部分を有する。ケイ素化合物(B)を表す式(2)におけるR0及びRは有機部分を形成する。また、ケイ素化合物(A)、ケイ素化合物(AP)、ケイ素化合物(B)及びケイ素化合物(BP)に由来する加水分解性基(アルコキシ基等)の一部が残存する場合は、これも有機部分を形成する。上記有機部分以外の部分は、炭素原子を含まない無機部分である。
また、ケイ素化合物(C)は、オキセタニル基を有するため、カチオン硬化性を備える。ケイ素化合物(C)をカチオン硬化させることにより、表面硬度が大きく耐磨耗性に優れた硬化物被膜を与えることができる。
ケイ素化合物(B)として、一般式(2)におけるnが0の化合物(加水分解性基を3個有するTモノマー)が使用される場合には、ケイ素化合物(AP)、ケイ素化合物(A)(シロキサン結合生成基を4個有するQモノマー)との加水分解・縮合反応の結果、得られるケイ素化合物(C)は、構成単位としてTモノマー単位及びQモノマー単位を有するものとなる。
上記の場合、ケイ素化合物(C)は、部分的にラダー(はしご)状、かご状又はランダム状の構造をとることができる。
ケイ素化合物(C)は、ケイ素化合物(AP)および/またはケイ素化合物(A)の加水分解性基(本発明では、シラノールも含めたシロキサン結合生成基を加水分解性基と呼ぶ。)と、ケイ素化合物(BP)および/またはケイ素化合物(B)の加水分解性基、との92モル%以上が縮合されたものであることが好ましく、さらに好ましくは95モル%以上が縮合されたものであり、より好ましくはモル98%以上が縮合されたものである。特に好ましくは加水分解性基の実質的に全てが縮合されていることである。残存する加水分解性基の割合が使用原料に含まれていた加水分解性基の8モル%を超えると、設計された構造よりも無機部分の割合が小さいものとなる(ポリシロキサン構造が十分に形成されない)ため、得られる被膜の硬度が低下する恐れがある。また、ケイ素化合物(C)の貯蔵安定性が低下する恐れがある。
さらに、残存するアルコキシ基の種類としては、残存アルコキシの中で少なくともプロポキシ基などの炭素数3以上のアルコキシ基が50モル%以上含まれることが好ましく、より好ましくは70モル%以上であり、さらに好ましくは90モル%以上含まれることが好ましい。炭素数2以下のメトキシ基やエトキシ基は反応性が高く、保存中に架橋反応を起こして保存安定性が低下する恐れがあるからである。
シロキサン結合生成基(加水分解性基を含む)の残存割合は1H−NMR(核磁気共鳴スペクトル)チャートから算出することができる。また、「加水分解性基の実質的に全てが縮合されている」ことは、例えば、得られたケイ素化合物(C)(ポリシロキサン化合物)の1H−NMRチャートにおいて加水分解性基に基づくピークがほとんど観察されないことにより確認できる。
<ケイ素化合物(A)>
本発明におけるケイ素化合物(A)は、下記一般式(1)で表される化合物である。

SiX4 (1)

〔一般式(1)において、Xはシロキサン結合生成基であり、Xは同一であっても異なっても良い。〕
ケイ素化合物(A)はシロキサン結合生成基であるXを4個有するもの(Qモノマーとも呼ばれる。)であり、このシロキサン結合生成基は、ケイ素化合物(B)の加水分解性基との反応により、シロキサン結合を生成する。その結果得られるケイ素化合物(C)は、1つ以上の有機基を有するケイ素化合物を縮合させた場合にくらべて、SiやOといった無機成分の質量組成が大きくなり、結果的に耐熱性や硬度といった無機的な特徴をより強く示すようになるため、Qモノマーは得られる縮合物の無機部分を大きくする原料成分であるということができる。
上記一般式(1)におけるシロキサン結合生成基Xは、水酸基(シラノール基とも呼ばれる)又は加水分解性基を意味する。上記ケイ素化合物(A)は、ケイ素がシロキサン結合生成基を4個有するものであれば、特に限定されない。また、複数存在するXは、互いに同一であっても異なっていても良い。加水分解性基としては、加水分解性を有する基であれば良く、具体的には、水素原子、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基及びアリールアルコキシ基等が挙げられる。
上記アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、iso−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペンチル基及びn−ヘキシル基等が挙げられる。
上記シクロアルコキシ基としては、例えばシクロペンチルオキシ基及びシクロヘキシルオキシ基等が挙げられる。アラルキルオキシ基の例としては、ベンジルオキシ基、2−フェニルエチルオキシ基等が挙げられる。アリールオキシ基としては、例えばフェニルオキシ基、o−トルイルオキシ基、m−トルイルオキシ基、p−トルイルオキシ基及びナフチルオキシ基等が挙げられる。これらのうち、加水分解性が良好であることからアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜3のアルコキシ基がより好ましく、原料入手が容易であり安価であること、並びに加水分解反応が制御しやすいことから、メトキシ基が更に好ましい。これらは1種のみ用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。上記ケイ素化合物(A)として好ましい化合物は、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランおよびテトラn−プロポキシシランである。更に、入手が容易であることから、より好ましくはテトラメトキシシランである。
尚、シロキサン結合生成基の少なくとも一部は、後述のアルコール交換反応により、n−プロポキシ基に交換される。
<ケイ素化合物(B)>
本発明におけるケイ素化合物(B)は、オキセタニル基を有する有機基を有するものであり、本発明の製造方法により得られるケイ素化合物(C)にカチオン硬化性を付与するための成分であり、下記一般式(2)で表される化合物である。
Figure 2010073933

〔式(2)において、R0はオキセタニル基を有する有機基であり、R0は同一であっても異なっても良く、Rは炭素数1〜6のアルキル基、炭素数7〜10のアラルキル基、炭素数6〜10のアリール基、またはオキセタニル基を有する有機基であり、Rは同一であっても異なっても良く、Yは加水分解性基であり、Yは同一であっても異なってもよく、nは0または1である。〕
0はオキセタニル基を有する有機基であり、該有機基は炭素数が20以下であるものが好ましい。R0の炭素数が20以下の場合、本発明の製造方法により得られるケイ素化合物(C)に、良好且つ安定したカチオン硬化性を付与することができる。なかでも、下記一般式(3)で表される構造を有する有機基は、R0として好ましいものである。一般式(3)において、R3は炭素数が小さい方が、得られるケイ素化合物(C)が無機部分の割合の大きいものになりやすく、得られる硬化物の表面硬度が大きくなり易いので好ましい。好ましいR3は、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基であり、さらに好ましくはエチル基である。
Figure 2010073933
一般式(3)におけるR4は、炭素数が小さい方が、得られるケイ素化合物(C)が無機部分の割合の大きいものになりやすく、得られる硬化物の表面硬度が大きくなり易いので好ましい。好ましいR4は炭素数2〜6のアルキレン基であり、さらに好ましくはプロピレン基(トリメチレン基)である。その理由は、このような有機官能基を形成する化合物の工業的入手又は合成が容易なためである。
nが0である化合物は、加水分解性基を3個有しており、Tモノマーとも呼ばれる。また、nが1である化合物は、加水分解性基を2個有しており、Dモノマーとも呼ばれる。得られるケイ素化合物(C)の無機部分の割合をより大きくするためには、nは0であることが好ましい。また、得られるケイ素化合物(C)の溶剤への溶解性を向上させるためには、nは1であることが好ましい。
更に、無機部分の割合量と溶剤への溶解性とのバランスから、nが0のケイ素化合物とnが1のケイ素化合物とを併用することができる。併用する場合、nが0のケイ素化合物とnが1のケイ素化合物との配合割合は、得られるケイ素化合物(C)を用いる用途により適宜選択される。本発明において好ましいのは、平均値でn=0〜0.5、さらに好ましくはn=0〜0.3の範囲となるものである。
上記一般式(2)におけるYは加水分解性基であり、加水分解性を有する基であれば良く、具体的には、水素原子、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基及びアリールアルコキシ基等が挙げられる。アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、iso−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペンチル基及びn−ヘキシル基等が挙げられる。シクロアルコキシ基としては、例えばシクロペンチルオキシ基及びシクロヘキシルオキシ基等が挙げられる。アラルキルオキシ基の例としては、ベンジルオキシ基、2−フェニルエチルオキシ基等が挙げられる。アリールオキシ基としては、例えばフェニルオキシ基、o−トルイルオキシ基、m−トルイルオキシ基、p−トルイルオキシ基及びナフチルオキシ基等が挙げられる。これらのうち、加水分解性が良好であることからアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜3のアルコキシ基がより好ましく、原料入手が容易であり安価であること、並びに加水分解反応が制御しやすいことから、メトキシ基が更に好ましい。これらは1種のみ用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
これらの内、Yとして好ましいのは、アルコキシ基、シクロアルコキシ基およびアリールオキシ基であり、さらに好ましくはアルコキシ基、具体的にはメトキシ基、エトキシ基およびn−プロポキシ基である。この中でもメトキシ基は、工業的に入手や合成が容易なものであり好ましい。尚、Yの少なくとも一部は、後述のアルコール交換反応により、n−プロポキシ基に交換される。
シロキサン結合生成基を1個しか有しないケイ素モノマーはMモノマーとも呼ばれる。Mモノマーは有機基を3つ有するもので、Q,T,Dモノマーに比べて得られる縮合物の無機部分を減らすものである。反応中のゲル化を防ぐ方法として、トリメチルアルコキシシランやヘキサメチルジシロキサンのようなMモノマーを末端封止剤として作用させることでゲル化を回避する方法も知られているが、Mモノマーは加えることで、ゲル化は回避できても得られる縮合物の無機部分が減少し、硬化物の耐熱性や表面硬度などの無機的性質は低下する傾向にある。本発明では、Mモノマーを末端封止剤として用いる代わりに、Tモノマー及び/又はDモノマーと、Qモノマーとをゲル化させずに共重縮合させることが特徴である。
また、本発明においては、無機的性質を下げない程度の低い割合でMモノマーを加えることは可能であり、具体的には、共重縮合の際にQモノマーとTモノマー及び/又はDモノマーの合計モル数に対して、その1/10モル以下のMモノマーを加えて反応させることができ、その結果得られる組成物も本発明の範疇に該当する。
<第一工程>
本発明の第一工程は、上記一般式(1)で表されるケイ素化合物(A)と上記一般式(2)で表されるケイ素化合物(B)を、1−プロパノール中でアルコール交換反応させる反応工程である。第一工程において用いる有機ケイ素化合物(A)は1種のみでもよく、2種以上であってもよい。同様に、ケイ素化合物(B)は1種のみでもよく、2種以上であってもよい。
第一工程では、ケイ素化合物(A)が有するシロキサン結合生成基と1−プロパノールとのアルコール交換反応により、上記1−プロパノール由来のn−プロポキシ基を含むものとなる。
また、上記ケイ素化合物(B)が有する加水分解性基と1−プロパノールとのアルコール交換反応により、ケイ素化合物(B)は、上記1−プロパノール由来のn−プロポキシ基を含むものとなる。
この第一工程によりn−プロポキシ基を有する有機ケイ素化合物(A)の反応物(以下、「ケイ素化合物(AP)」という)と、n−プロポキシ基を有する有機ケイ素化合物(B)の反応物(以下、「ケイ素化合物(BP)」という)が製造される。
上記ケイ素化合物(AP)は、上記ケイ素化合物(A)が有する4個のシロキサン結合生成基のうち、少なくとも1個がn−プロポキシ基に交換されているものである。
また、上記ケイ素化合物(BP)は、上記ケイ素化合物(B)が有する2個または3個の加水分解性基のうち、少なくとも1個がn−プロポキシ基に交換されているものである。
第一工程で用いられるアルコールは、1−プロパノールである。これにより、ケイ素化合物(A)が有するシロキサン結合生成基の少なくとも一部がn−プロポキシ基へ、ケイ素化合物(B)が有する加水分解性基の少なくとも一部がn−プロポキシ基へ交換されることにより、後述する第二工程で、両モノマーがバランスよく共重縮合反応することができる。ケイ素化合物(A)のシロキサン結合生成基が、反応性の高いメトキシ基又はエトキシ基等であった場合、もともとQモノマーは反応性の高い傾向がある事から、Qモノマーだけが縮合架橋反応を進め、ネットワークを形成してゲル化する恐れがあるが、適度に反応性の低いn−プロポキシ基に交換されることにより、より効果的に縮合反応を円滑に進行させることができる。
第一工程のアルコールに2−プロパノール及び1−ブタノール等のアルコールを用いた場合は、得られる反応物は反応性の低いi−プロポキシ基やn−ブトキシ基を有することとなり、第一工程で得られた化合物(AP)と(BP)との縮合が円滑に進行しない恐れがある。
また、第一工程のアルコールとしてメタノールやエタノールを用いた場合、得られる反応物は、1−プロパノールを用いた場合に得られる反応物よりも反応性が比較的高いメトキシ基やエトキシ基を有することとなり、得られた化合物(AP)と(BP)との加水分解共重縮合反応が均一に進行せずゲルが生じたり、安定性の低いものが得られるたりする恐れがある。
上記第一工程における反応温度は0〜100℃が好ましく、より好ましくは10〜90℃であり、更に好ましくは20〜80℃である。
また、反応時間は5分〜30時間が好ましく、さらに好ましくは10分〜24時間、より好ましくは15分〜24時間である。
上記第一工程におけるpH条件は、アルカリ性及び中性並びに酸性のいずれでも構わないが、後述の第二工程がアルカリ性条件で加水分解共重縮合反応を進行させることから、アルカリ性条件下で行うことが好ましい。
上記第一工程がアルカリ性条件下である場合、反応液のpHは7を超える値である。その場合、反応液のpHは、好ましくは8以上であり13以下である。さらに好ましくはpHが9以上である。
第一工程のpH条件をアルカリ性条件下とするためには、アルカリ剤が添加される。そのアルカリ剤は、上記有機ケイ素化合物(A)および上記ケイ素化合物(B)のアルコキシ基と1−プロパノールとのアルコール交換反応を円滑に進行させるための反応触媒としても作用する。
上記アルカリ剤としては、例えば、アンモニア、有機アミン類、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、コリン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化カルシウム等が挙げられる。これらのうち、触媒活性の良好な第4級窒素原子を有するアンモニウム化合物が好ましく、更に入手が容易な水酸化テトラメチルアンモニウムがより好ましい。これらは1種のみ用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
上記アルカリ剤の使用量は、ケイ素化合物(A)およびケイ素化合物(B)の合計モル数を100モルとした場合に、1〜20モルが好ましく、より好ましくは3〜15モルである。アルカリ剤の使用量が5〜10モルである場合、アルコール交換反応の進行が好適であり、経済的にも好ましい。
<第二工程>
上記第二工程は、上記第一工程により得られた組成物に、アルカリ性条件下で水を加え、加水分解共重縮合させる工程である。
上記第一工程により得られた組成物は、第一工程における反応後の反応溶液をそのまま用いることができ、上記組成物には、アルコール交換反応により得られたn−プロポキシ基を有するケイ素化合物(AP)及びケイ素化合物(BP)が含有される。
上記ケイ素化合物(AP)及び上記ケイ素化合物(BP)の配合割合は、上記ケイ素化合物(BP)1モルに対して、上記ケイ素化合物(AP)が0.3〜2.8モルであり、好ましくは0.8〜2.5モルであり、更に好ましくは1〜2.3モルである。上記ケイ素化合物(BP)1モルに対して、上記ケイ素化合物(AP)が0.3〜2.8モルである場合、加水分解共重縮合反応が好適に進行し、ゲルを生ずることなく、ケイ素化合物(C)を良好に製造することができる。なお、上記ケイ素化合物(AP)及び上記ケイ素化合物(BP)は、それぞれケイ素化合物(A)及びケイ素化合物(B)を含んでもよいものであるので、配合割合は第一工程における(A)および(B)の仕込み割合から算出してもよい。したがって、第一工程の前の(B)の1モルに対して(A)が0.3〜2.8モルと表現しても実質的には同じことを意味する。
上記第二工程において、系をアルカリ性条件下とするために、アルカリ剤が添加される。そのアルカリ剤は、上記第一工程により得られたケイ素化合物(AP)及び上記有機ケイ素化合物(BP)が有する加水分解性基であるアルコキシ基を加水分解し、有機ケイ素化合物(AP)と上記有機ケイ素化合物(BP)との加水分解共重縮合反応を円滑に進行させるための反応触媒として作用する。
上記アルカリ剤としては、例えば、アンモニア、有機アミン類、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、コリン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化カルシウム等が挙げられる。これらのうち、触媒活性の良好な第4級窒素原子を有するアンモニウム化合物が好ましく、更に入手が容易な水酸化テトラメチルアンモニウムがより好ましい。これらは1種のみ用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
第二工程における上記アルカリ剤の使用量は、上記ケイ素化合物(AP)及び有機ケイ素化合物(BP)の合計モル数を100モルとした場合に、1〜20モルが好ましく、さらに好ましくは3〜15モル、より好ましくは5〜10モルであり、アルコール交換反応の進行が好適であり、経済的にも好ましいものとなる。
上記第二工程はアルカリ性条件下での反応であり、反応液のpHは7を超える値である。反応液のpHは好ましくは8以上であり13以下である。更に好ましくはpHが9以上13以下であり、加水分解共重縮合の反応が良好に進行する。
酸性条件下(pH7未満)で加水分解共重縮合させて得られるケイ素化合物は、保存安定性に劣り、反応条件等によっては保存中にゲル化する恐れがある。
また、中性条件下(pH7付近)では、加水分解共重縮合反応が進行し難い。
すなわち、アルカリ性条件下(pH7超)で有機ケイ素化合物(AP)と有機ケイ素化合物(BP)との加水分解共重縮合を進行させることによって保存安定性の高いケイ素化合物を得ることができる。
上記第二工程では、反応溶媒として、有機溶媒を用いることができる。この有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、1−プロパノール、2−プロパノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、トルエン、1,4−ジオキサン、ヘキサン、リグロイン等が挙げられる。このうち、アルコール類等の極性の高い溶媒は、ケイ素化合物(C)の溶解性が高いため好ましい。上記第一工程において1−プロパノールを用い、その第一工程により得られた組成物を第二工程に用いることができることから、用いる反応溶媒としては、1−プロパノールがさらに好ましい。尚、これらは1種のみ用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
また、上記第二工程において、加水分解する際、水が添加される。その水の添加量は、上記アルコキシ基1当量に対して0.5〜10当量であることが好ましく、より好ましくは1〜5当量である。水の使用量が0.5当量より少ない場合、反応が不十分となる恐れがあり、水の使用量が10当量より多い場合、反応後に水を除去する工程が長くなり経済的でなく、また、ゲルが生じる恐れがある。
上記第一工程において水を加える際には、水だけを滴下しても、適当な有機溶媒で希釈して滴下しても良い。好ましくは適当な有機溶媒で希釈することが好ましい。この理由は、水のみを滴下した場合、滴下場所で局所的に水の濃度が高くなるため、水過剰の条件で不均一な反応が起き、ゲルが生じる恐れがあるためである。
上記の適当な有機溶媒としては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類等が挙げられる。有機溶剤は2種類以上が併用されてもよい。アルコール類は、原料および生成物の溶解性が良好であり好ましい有機溶媒である。さらに、反応溶媒として使用している溶媒を用いて希釈することが好ましく、1−プロパノールが最も好ましい。
上記第二工程の反応液において、ケイ素化合物(AP)および/または(A)と、(BP)および/または(B)の合計仕込み濃度は、あまり高いとゲル化が生じやすくなり、あまり低くては経済的でない。好ましい濃度は、生成するケイ素化合物(C)の質量濃度に換算して、1%以上60%以下、さらに好ましくは5%以上40%以下、より好ましくは10%以上30%以下である。
また、第二工程における反応温度は高いほど反応が速く進むが、低い方が副反応を抑えることができるので好ましい。0〜120℃が好ましく、さらに好ましくは10〜100℃であり、より好ましくは40〜100℃、特に好ましくは40〜80℃である。第二工程の反応時間としては30分〜30時間が好ましく、さらに好ましくは30分〜10時間、より好ましくは1〜8時間である。
<その他の工程>
また、本発明のケイ素化合物の製造方法において、上記第二工程の後、更に、中和工程、揮発成分除去工程(1)、溶解工程、洗浄工程及び揮発成分除去工程(2)を備えるのが好ましい。
上記中和工程は、上記第二工程で得られた組成物に酸を添加して、上記第一工程及び上記第二工程において使用されたアルカリ剤を中和する工程である。酸の例としては、リン酸、硝酸、硫酸、塩酸等の無機酸;酢酸、蟻酸、乳酸、アクリル酸、シュウ酸等のカルボン酸;p−トルエンスルホン酸及びメタンスルホン酸等のスルホン酸等が挙げられる。酸の使用量は、アルカリ剤1当量に対して1〜1.1当量であることが好ましく、1〜1.05当量であることがより好ましい。
上記揮発成分除去工程(1)は、上記中和工程で得られた中間処理物(「各工程で得られる処理組成物」のことをいう。以下同様。)から揮発成分を除去する工程である。この揮発成分除去工程(1)は、常圧(大気圧)又は減圧条件における蒸留による。除去される揮発成分としては、上記中和工程の反応溶媒として使用された有機溶剤が主たる対象である。反応溶媒として例えばメタノールのように水と混和する有機溶剤が使用された場合には、後述する水による洗浄に支障が出る場合があるため、本工程を実施することが好ましい。
反応溶媒として使用された有機溶剤が水と混和しないものであり、中間処理物の水による洗浄に適した有機溶剤である場合、またはアルコール等の水と混和する溶媒であったとしても、中間処理物の水による洗浄に適した有機溶剤を多量に追加することで洗浄工程を行うことが可能な場合には、この揮発成分除去工程(1)及び後述の溶解工程は省略することができるが、それでも揮発成分除去工程(1)を行うことは経済的に好ましい。
溶解工程は、上記揮発成分除去工程(1)で得られた中間処理物を洗浄用有機溶剤に溶解する工程であり、本発明において好ましい工程である。洗浄用有機溶剤としては、反応生成物であるケイ素化合物(C)を溶解し、水と混和せず、後述する洗浄工程において水洗浄した後の分離が良いものを使用する。ここで、水と混和しないとは、水と十分混和した後、静置すると水層と有機層とに分離することを意味する。好ましい洗浄用有機溶剤については、後述する洗浄工程の説明に記載されている。
洗浄工程は、上記溶解工程で得られた中間処理物(揮発成分除去工程及び溶解工程が省略された場合は中和工程で得られた中間処理物)を水により洗浄する工程であり、本発明において好ましい工程である。第二工程において使用されたアルカリ剤、及び中和工程において使用された酸、並びにそれらの塩は、この洗浄工程の水洗浄によって有機層から実質的に除くことができる。
洗浄用有機溶剤(洗浄工程における水洗浄対象物を溶解している有機溶剤)としては、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ジイソプロピルエーテル等のエーテル類、トルエン等の芳香族炭化水素、ヘキサン等の炭化水素、酢酸エチルやプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下「PGMEA」という)等のエステル類が挙げられる。
洗浄工程は、水と中間処理物とを混合し、水と中間処理物とを接触させる工程、及び水層と有機層(中間処理物)と分離させる工程を含む。水と中間処理物との混合、及び水と中間処理物との接触が不十分の場合、並びに水層と有機層(中間処理物)との分離が不十分の場合等には、得られるケイ素化合物(C)は不純物を多く含む恐れがあり、また、安定性の悪いケイ素化合物(C)となる恐れがある。
洗浄工程における、水と中間処理物とを混合し、水と中間処理物とを接触させる工程、及び水層と有機層(中間処理物)とを分離させる工程での温度は特に限定されないが、0〜70℃が好ましく、10〜60℃がより好ましく、分離時間が短縮される40〜60℃が更に好ましい。
上記揮発成分除去工程(2)は、上記洗浄工程で得られた中間処理物から揮発成分を除去する工程であり、本発明において好ましい工程である。この揮発成分除去工程(2)は、常圧(大気圧)又は減圧条件における蒸留による。揮発成分除去工程(2)において除去される主要成分は有機溶剤であるが、他に揮発成分が含まれていれば同時に除去される。
ケイ素化合物(C)を単離することなく、洗浄用有機溶剤がそのままケイ素化合物(C)の溶剤として使用される場合には、揮発成分除去工程(2)は省略することができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。但し、本発明はこの実施例に何ら限定されるものではない。尚、実施例の記載における「Mn」は数平均分子量を意味し、「Mw」は重量平均分子量を意味し、ゲルパーミエーションクロマトグラフ法(以下GPCと略す)によりポリスチレン分子量標準との保持時間の比較に基づいて算出した。Mw/Mnは通常、ポリマーの多分散度と呼ばれる数字であり、全ての分子が同一である時に1になり、分子量分布が広がるほど大きくなる指標として理解されている。
[1]ケイ素化合物の製造
(実施例1:ケイ素化合物C1の製造)
攪拌機および温度計を備えた反応器に、下記式(4)で表される3−エチル−3−((3−(トリメトキシシリル)プロポキシ)メチル)オキセタン(生成するケイ素化合物(C)において、T構造単位を与えるモノマーの一種であり、以下、「TMSOX」という)1.1kg(4.01mol)、テトラメトキシシラン(Q構造単位を与えるモノマーの一種であり、以下、「TMOS」という)1.1kg(7.24mol)と1−プロパノール1.1kgを仕込んだ後、25%水酸化テトラメチルアンモニウムメタノール溶液0.29kg(メタノール6.8mol、水酸化テトラメチルアンモニウム0.8mol)を徐々に加えた。60℃で1時間反応させた後、反応液を攪拌しながら水750g(41mol)と1−プロパノール750gの混合液を0.5時間かけて滴下した。滴下時間も含めて60℃で6時間反応させたあと、反応液に硝酸を加えて中和した。減圧下で有機溶剤と水を留去して、得られた残さをPGMEAに溶解させ、水洗を行うことで塩類や過剰の酸を除去した。得られたPGMEA溶液から減圧下で溶剤を留去し、無色の固体(化合物C1)を得た。収量1.2kg。仕込み原料の量から算出される質量収率は91%であった。
化合物C1を1H NMR分析およびIR(赤外吸収)分析し、オキセタニル基が存在することを確認した。
1H NMR分析は、ケイ素化合物C1の1gおよび内部標準物質であるヘキサメチルジシロキサン(以下、「HMDSO」という)の100mgを、それぞれ精秤して混合し、HMDSOのプロトンのシグナル強度を基準として定量計算を行った。この1H NMR分析により、ケイ素化合物(AP)、即ち、TMSOXに由来する構造単位(Tモノマー単位)の含有量および化合物C1のアルコキシ基の含有量を求め、これらを基にしてケイ素化合物(BP)、即ち、TMOSに由来する構造単位(Qモノマー単位)の含有量を計算した。その結果、得られた有機ケイ素化合物C1は、ケイ素化合物(AP)およびケイ素化合物(BP)が化学量論的に反応して得られた共重縮合物であることが確認された。
ケイ素化合物C1の1H NMRチャートから算出したアルコキシ基(ケイ素原子に結合したメトキシ基)の含有量は、仕込み原料に含まれていたアルコキシ基の全体に対して0.8%に相当する量であった。
また、得られたケイ素化合物のMnは3,200、Mwは350,000であり、保持時間6分から10分付近の高分子領域にピークは見られなかった。Mw/Mnは108と算出され、上記ケイ素化合物C1において、無機部分の割合は50%であった。
実施例1で得られた化合物C1を等量のPGMEAに溶解させ60℃のオイルバスに浸し、経時的に外観を観察したところ5日経過してもゲル化せず均一溶液のままであった。

Figure 2010073933
(実施例2:ケイ素化合物C2の製造)
攪拌機および温度計を備えた反応器に、式(4)で表されるTMSOXを27.82g(0.1mol)、TMOSを28.19g(0.185mol)と1−プロパノール111.5gを仕込んだ後、25%水酸化テトラメチルアンモニウムメタノール溶液7.29g(メタノール0.17mol、水酸化テトラメチルアンモニウム20mmol)を徐々に加えた。60℃で1時間反応させた後、水18.72g(1.04mmol)と1−プロパノール20.0gの混合液を0.5時間かけて滴下した。滴下時間も含めて60℃で6時間反応させたあと、硝酸を加えて中和した。減圧下で有機溶剤と水を留去して、得られた残さをPGMEAに溶解させ、水洗を行うことで塩類や過剰の酸を除去した。得られたPGMEA溶液から減圧下で溶剤を留去し、無色の固体(化合物C2)を得た。収量28.8g。質量収率90%。
ケイ素化合物C2を1H NMR分析およびIR(赤外吸収スペクトル)法で分析し、オキセタニル基が存在することを確認した。
また、この有機ケイ素化合物C2についても、実施例1と同様にした1H NMR分析により、TMSOXとTMOSとが化学量論的に反応して得られた共重縮合物であることが確認された。
ケイ素化合物C2の1H NMRチャートから算出したアルコキシ基(ケイ素原子に結合したメトキシ基)の含有量は、仕込み原料に含まれていたアルコキシ基の全体に対して0.9%に相当する量であった。
また、上記ケイ素化合物C2において、無機部分の割合は50%であった。
得られたケイ素化合物のMnは3,500、Mwは400,000であり、保持時間6分から10分付近の高分子領域にピークは見られなかった。MW/Mnは114と算出された。
実施例2で得られた化合物C2を等量のPGMEAに溶解させ60℃のオイルバスに浸し、経時的に外観を観察したところ5日経過後には、ゲル化せず均一溶液のままであった。
(実施例3:ケイ素化合物C3の製造)
攪拌機および温度計を備えた反応器に、式(4)で表されるTMSOXを27.82g(0.1mol)、TMOSを28.19g(0.185mol)と1−プロパノール111.5gを仕込んだ後、25%水酸化テトラメチルアンモニウムメタノール溶液7.29g(メタノール0.17mol、水酸化テトラメチルアンモニウム20mmol)を徐々に加えた。20℃で1時間反応させた後、水18.72g(1.04mmol)と1−プロパノール20.0gの混合液を0.5時間かけて滴下した。滴下時間も含めて20℃で6時間反応させたあと、硝酸を加えて中和した。減圧下で有機溶剤と水を留去して、得られた残さをPGMEAに溶解させ、水洗を行うことで塩類や過剰の酸を除去した。得られたPGMEA溶液から減圧下で溶剤を留去し、無色の固体(化合物C2)を得た。収量27.2g。質量収率85%。
化合物C3を1H NMR分析およびIR(赤外吸収スペクトル)法で分析し、オキセタニル基が存在することを確認した。
また、この有機ケイ素化合物C2についても、実施例1と同様にした1H NMR分析により、TMSOXとTMOSとが化学量論的に反応して得られた共重縮合物であることが確認された。
ケイ素化合物C3の1H NMRチャートから算出したアルコキシ基(ケイ素原子に結合したメトキシ基)の含有量は、仕込み原料に含まれていたアルコキシ基の全体に対して2.0%に相当する量であった。
また、上記ケイ素化合物C2において、無機部分の割合は50%であった。
得られたケイ素化合物のGPC分析では、3,800、Mwは500,000で、保持時間6分から10分付近の高分子領域にピークは見られなかった。MW/Mnは132と算出された。
実施例3で得られた化合物C3を等量のPGMEAに溶解させ60℃のオイルバスに浸し、経時的に外観を観察したところ5日経過後には、わずかに粘度上昇があったがゲル化せず均一溶液のままであった。
(比較例1)
攪拌機および温度計を備えた反応器に、TMSOX39.2g(0.14mol)、TMOS39.6g(0.26mol)とメタノール39.3gを仕込んだ後、25%水酸化テトラメチルアンモニウムメタノール溶液10.4g(メタノール0.24mol、水酸化テトラメチルアンモニウム28mmol)を徐々に加えた。21℃で1時間反応させた後、水26.3g(1.46mol)と1−プロパノール26.6gの混合液を滴下したところ、滴下中にゲル化してしまった。
(比較例2)
攪拌機および温度計を備えた反応器に、TMSOX27.73g(0.1mol)、TMOS 28.12g(0.18mol)とメタノール 27.57gを仕込んだ後、25%水酸化テトラメチルアンモニウムメタノール溶液7.41g(メタノール0.18mol、水酸化テトラメチルアンモニウム 20mmol)を徐々に加えた。60℃で1時間反応させた後、水 18.9g(1mol)とメタノール 18.91gを滴下し、60℃で6時間反応させた。硝酸を加えて中和した。減圧下で有機溶剤と水を留去した。得られた残さをPGMEAに溶解させ、水洗を行うことで塩類や過剰の酸を除去しようとした。
水洗途中の有機層のGPCを測定したところ、保持時間6分から10分付近の高分子領域に大きなピークが見られ、分子量40万を超える高分子量成分が多量に存在することがわかり、安定性の悪いことが推測された。表1にはこの測定結果を載せた。また、水洗中水層と有機層の分離が非常に悪く、明確に分離することはできなかったために目的物を単離することができなかった。
(比較例3)
攪拌機および温度計を備えた反応器に、TMSOX 27.70g(0.1mol)、TMOS 28.5g(0.185mol)とエタノール27.54を仕込んだ後、25%水酸化テトラメチルアンモニウムメタノール溶液7.3g(メタノール0.18mol、水酸化テトラメチルアンモニウム20mmol)を徐々に加えた。60℃で1時間反応させた後、水 18.74g(1mol)とエタノール 18.7gを滴下し、60℃で6時間反応させた。硝酸を加えて中和した。減圧下で有機溶剤と水を留去して、得られた残渣をPGMEAに溶解させ、水洗を行うことで塩類や過剰の酸を除去した。PGMEA溶液から溶剤を減圧下で留去し、淡黄色の固体を得た。収量29.08g。収率91%。
生成物を1H NMR分析およびIR(赤外吸収スペクトル)分析し、オキセタニル基が存在することを確認した。
また、この有機ケイ素化合物C4についても、実施例1と同様にした1H NMR分析により、ケイ素化合物(A)およびケイ素化合物(B)が化学量論的に反応して得られた共重縮合物であることが確認された。
ケイ素化合物C4の1H NMRチャートから算出したアルコキシ基(ケイ素原子に結合したメトキシ基)の含有量は、仕込み原料に含まれていたアルコキシ基の全体に対して2.6%に相当する量であった。
また、得られたケイ素化合物のMnは4,300、Mwは3,000,000と算出されたが、保持時間6分から10分付近の高分子領域に大きなピークが見られ、Mwは40万を超えており定量性の乏しい領域なので、表1にはMw>100万より大(>100万)と表記し、Mw/Mnも200より大(>200)と表記した。
比較例3で得られた化合物を等量のPGMEAに溶解させ60℃のオイルバスに浸し、経時的に外観を観察したところ翌日にはゲル化していた。残存アルコキシ基がエトキシ基のみのものは安定性が低いことがわかった。
(比較例4)
攪拌機および温度計を備えた反応器に、TMSOX 27.74g(0.1mol)、TMOS 28.20g(0.185mol)と2−プロパノール27.54gを仕込んだ後、25%水酸化テトラメチルアンモニウムメタノール溶液7.3g(メタノール0.18mol、水酸化テトラメチルアンモニウム20mmol)を徐々に加えた。60℃で1時間反応させた後、水 18.87g(1mol)と2−プロパノール 18.88gを滴下し、60℃で6時間反応させた。硝酸を加えて中和した。減圧下で有機溶剤と水を留去して、得られた残渣をPGMEAに溶解させようとしたが、水洗を行うことで塩類や過剰の酸を除去した。PGMEA溶液から溶剤を減圧下で留去し、淡黄色の固体を得た。収量は28.73gで収率90%。
反応を終え、硝酸で中和した直後の反応液のガスクロ分析を行ったところ、シランモノマー由来のピークが残存していることがわかった。一方、反応終了後の溶液のGPC分析を行ったところ、また、得られたケイ素化合物のMnは3,300、Mwは11,000,000と算出されたが、保持時間6分から10分付近の高分子領域に大きなピークが見られ、Mwは40万を超えており定量性の乏しい領域なので、表1にはMw>100万より大(>100万)と表記し、Mw/Mnも200より大(>200)と表記した。モノマーが残る一方で、ポリマーの高分子量化が進んでいることから原料モノマーの加水分解・共重縮合反応が均一に進行していないことがわかった。
比較例4で得られたケイ素化合物を等量のPGMEAに溶解させ60℃のオイルバスに浸し、経時的に外観を観察したところ4日目にはゲル化していた。
(比較例5)
攪拌機および温度計を備えた反応器に、TMSOX27.89g(0.1mol)、TMOS28.84g(0.185mol)と1−プロパノール27.69gを仕込んだ後、反応溶液を60℃へ昇温した。25%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液7.3g(水酸化テトラメチルアンモニウムとして20mmol)と水18.53g(1mol)と1−プロパノール 17.75gの混合液を滴下した。滴下を始めてすぐにゲル化した。すなわち、本発明の第一工程と第二工程を分離しない製造方法ではゲル化を抑えることはできなかった。
実施例および比較例の結果を表1に示す。表1において「−」の記号は、実施していない、あるいは測定していないことを示す。
第一工程における「溶媒」とは、第一工程においてアルコール交換に用いた溶媒を示し、比較例5では独立した第一工程を有しないので「−」とした。第2工程における「C濃度」とは、原料モノマー(A),(B)の量から算出される、第二工程において完全に加水分解縮合したときのケイ素化合物(C)の生成質量の計算値を、第二工程における全仕込み質量で割ったときの%で表される。尚、モノマーが完全に加水分解縮合したときとは、加水分解縮合により4つのシロキサン結合生成基を持ったケイ素化合物(Qモノマー)からは、SiO2が、3つの加水分解性基を持ったケイ素化合物(Tモノマー)からはSiO1.5、2つの加水分解性基を持ったケイ素化合物(Dモノマー)からはSiO1が得られたことをいう。
Figure 2010073933
(2)物性評価
上記ケイ素化合物の製造において、ゲル化することなく製造できたケイ素化合物(C)に関して、そのケイ素化合物の収率(%)及び残留アルコキシ基の含有量(%)を下記要領で測定及び算出した。
収率(%)は、(化合物Cの単離収量)/(QモノマーのアルコキシシランがすべてSiO2に変わり、TモノマーのアルコキシシランがすべてSiO1.5に、DモノマーのアルコキシシランがすべてSiO1に変わったと仮定したときの理論収量)×100によって算出した。残留アルコキシ基の含有量(%)は、1H−NMR(核磁気共鳴スペクトル)チャートから算出した。実施例1〜3の中でも、第二工程の反応温度が高かった実施例1および2では残留アルコキシ基の含有量が1%を下回っており、特に優れていた。
(3)安定性評価
上記ケイ素化合物の安定性評価を行った。実施例で得られた化合物Cと比較例3、4で得られた化合物Cとをそれぞれを等重量のPGMEAに溶解させ、この溶液を5ml容量のガラス製サンプル管に2ml入れて密封し、60℃の空気恒温槽内で保管して経時的に外観を観察した。サンプル管をさかさまにしても液体が流れない状態をゲル化したと判断した。比較例3で得られた生成物は1日後、比較例4は4日後にはゲル化していたのに対し、実施例で得られた生成物は5日経ってもゲル化はしていなかった。
(4)分子量評価
Mw/Mnは通常、ポリマーの多分散度と呼ばれる数字であり、全ての分子が同一である時に1になり、分子量分布が広がるほど大きくなる指標として理解されている。実施例1〜3ではこの値が200より小さかったが、比較例の内、反応中にゲル化しなかった比較例2〜4では200より大きい値になった。実施例1〜3では、第一工程を経ることにより、モノマーの反応性がバランスよく均一化したために、化合物Cの分子量も均一化したからであると考えられる。また実施例1のMw/Mnが108と、最も小さかった理由は第二工程がC濃度が25%となる仕込み濃度で、反応温度が60℃と、高温かつ高濃度の条件で反応させたために、縮合反応と同時にアルコール交換反応や加アルコール分解反応(アルコリシス反応)が活発に起き、結果的に分子量分布がより均一化された結果であると考えられる。
本発明の製造方法で得られるケイ素化合物は溶媒可溶であり、保存安定性が良好なコーティング材料として利用できる。しかも、カチオン硬化性を有するので、各種基材、物品の表面等への塗工が容易であり、その硬化物は、高い表面硬度を有するのでハードコート、各種基材の保護膜、レジスト被膜として有用である。

Claims (7)

  1. 下記一般式(1)で表されるケイ素化合物(A)および下記一般式(2)で表されるケイ素化合物(B)を、1−プロパノール中でアルコール交換反応させる第一工程と、ケイ素化合物(B)1モルに対して、ケイ素化合物(A)が0.3〜2.8モルの割合で、アルカリ性条件下で加水分解共重縮合させる第二工程とを含む、ケイ素化合物(C)の製造方法。

    SiX4 (1)

    (式(1)において、Xはシロキサン結合生成基であり、Xは同一であっても異なっていても良い。)

    Figure 2010073933

    (式(2)において、R0はオキセタニル基を有する有機基であり、R0は同一であっても異なっても良く、Rは炭素数1〜6のアルキル基、炭素数7〜10のアラルキル基、炭素数6〜10のアリール基、またはオキセタニル基を有する有機基であり、Rは同一であっても異なっても良く、Yは加水分解性基であり、Yは同一であっても異なってもよく、nは0または1である。)
  2. 式(2)におけるR0が下記式(3)で表される有機基である、請求項1に記載のケイ素化合物(C)の製造方法。
    Figure 2010073933

    (式(3)において、R3は水素原子または炭素数1〜6のアルキル基であり、R3は同一であっても異なっても良く、R4は炭素数2〜6のアルキレン基であり、R4は同一であっても異なっても良い。)
  3. 式(2)におけるYがアルコキシ基、シクロアルコキシ基またはアリールオキシ基である、請求項1または2に記載のケイ素化合物(C)の製造方法。
  4. アルカリ性条件とするためのアルカリ剤として水酸化テトラアルキルアンモニウムが使用される、請求項1〜3のいずれかに記載のケイ素化合物(C)の製造方法。
  5. ケイ素化合物(A)およびケイ素化合物(B)の合計モル数を100モルとした場合に、第二工程をアルカリ性条件とするためのアルカリ剤の使用量が1〜20モルである、請求項1〜4のいずれかに記載のケイ素化合物(C)の製造方法。
  6. 第二工程における反応温度が40〜100℃である、請求項1〜5のいずれかに記載のケイ素化合物(C)の製造方法。
  7. 第二工程におけるケイ素モノマーの仕込み濃度が、生成するケイ素化合物(C)の質量濃度に換算して、10%〜40質量%である、請求項1〜6のいずれかに記載のケイ素化合物(C)の製造方法。


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