JPH11106511A - 有機ケイ素化合物及びその製造方法 - Google Patents

有機ケイ素化合物及びその製造方法

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JPH11106511A
JPH11106511A JP29327097A JP29327097A JPH11106511A JP H11106511 A JPH11106511 A JP H11106511A JP 29327097 A JP29327097 A JP 29327097A JP 29327097 A JP29327097 A JP 29327097A JP H11106511 A JPH11106511 A JP H11106511A
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reaction
organosilicon compound
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catalyst
diol
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JP29327097A
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Hiroshi Suzuki
浩 鈴木
Akira Washimi
章 鷲見
Takenao Yamamura
武尚 山村
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Toagosei Co Ltd
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Toagosei Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 末端のケイ素が異なる二種類の官能基を有す
るα,ω型ポリシロキサン及びその製造方法を提供す
る。 【解決手段】 本発明の有機ケイ素化合物は下記式
(I)に示す構造式で表され、末端のケイ素が (a)ア
ルコキシ基と (b)水素原子という二種類の官能基を有
するα,ω型ポリシロキサンであり、各種有機ケイ素化
合物を合成するための中間原料等として有用である。こ
の化合物は、ポリシロキサン−α,ω−ジオールとトリ
アルコキシシランとの反応により好適に製造される。こ
の反応は触媒の非存在下で行うことができるので、反応
液から触媒を除去する工程を省略できる。 【化1】 (但し、R1 、R2 、R3 はそれぞれメチル基、エチル
基、プロピル基又はブチル基であり、nは1〜1,00
0の正数である。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機ケイ素化合物
及びその製造方法に関し、詳しくは、末端にアルコキシ
基及び水素原子を有するα,ω型ポリシロキサン及びそ
の製造方法に関する。この有機ケイ素化合物は、他の有
機ケイ素化合物、例えばポリマー型シランカップリング
剤や硬化性樹脂等を合成するための中間原料等として有
用である。
【0002】
【従来の技術】従来、末端に水素原子を有するシリコー
ンとして、α,ω−ジヒドロ−ポリジメチルシロキサン
が知られている。しかし、このα,ω−ジヒドロ−ポリ
ジメチルシロキサンは末端に水素原子以外の官能基をも
たないため、これに導入できる置換基には制限があっ
た。一方、シリコーンの末端ケイ素に水素原子とアルコ
キシ基との双方が結合したα,ω型ポリシロキサン及び
その製造方法は、これまで知られていなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、新規
な有機ケイ素化合物としての、末端のケイ素が (a)ア
ルコキシ基と (b)水素原子という異なる二種類の官能
基を有するα,ω型ポリシロキサンを提供することにあ
る。本発明の他の目的は、有機ケイ素化合物としての、
末端のケイ素が (a)アルコキシ基と (b)水素原子とい
う異なる二種類の官能基を有するα,ω型ポリシロキサ
ンの製造方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、他の有機
ケイ素化合物を合成するための中間原料等として有用
な、末端のケイ素に (a)アルコキシ基と (b)水素原子
という異なる二種類の官能基が結合した新規なα,ω型
ポリシロキサンを見出した。更に、このようなα,ω型
ポリシロキサンの容易な製造方法を見出して、本発明を
完成したのである。
【0005】本発明における第1発明の有機ケイ素化合
物は、末端のケイ素が (a)アルコキシ基と (b)水素原
子という異なる二種類の官能基を有するα,ω型ポリシ
ロキサンであって、下記式(I)に示す構造式で表され
る新規な有機ケイ素化合物である。
【0006】
【化5】 (但し、R1 、R2 、R3 はそれぞれメチル基、エチル
基、プロピル基又はブチル基であり、nは1〜1,00
0の正数である。)
【0007】上記第1発明の有機ケイ素化合物は、末端
ケイ素に結合した水素原子を利用したヒドロシリレーシ
ョン、脱水素縮合反応、置換反応等、及び/又は、末端
ケイ素に結合したアルコキシ基のアルコール交換反応、
脱アルコール縮合反応、加水分解等により、各種の有機
ケイ素化合物を合成するための中間原料として用いるこ
とができる。例えば、二つ以上の(メタ)アクリロイル
基を有する(メタ)アクリレートへのヒドロシリレーシ
ョンにより、末端に(メタ)アクリロイル基及びアルコ
キシ基を有する有機ケイ素化合物が合成可能である。そ
して、合成された有機ケイ素化合物は、硬化性樹脂やポ
リマー型シランカップリング剤等として好適に用いるこ
とができる。また、上記第1発明の有機ケイ素化合物
は、中間原料としての用途以外に、この化合物自体を例
えば架橋剤、改質剤、表面コーティング剤、湿式硬化性
樹脂等として用いることができる。
【0008】本発明における第2発明の有機ケイ素化合
物の製造方法は、第1発明の有機ケイ素化合物又はこれ
と類似構造の有機ケイ素化合物、即ち下記式(II)に示
す構造式で表される有機ケイ素化合物を製造する方法で
あって、下記式(III)に示す構造式を有するポリシロキ
サン−α,ω−ジオールと下記式(IV)に示す構造式を
有するトリアルコキシシランとを反応させることを特徴
とする。
【0009】
【化6】
【化7】
【化8】 (但し、上記式(II)〜式(IV)において、R1
2 、R3 はそれぞれ炭素数1〜8のアルキル基又はア
リール基であり、nは1〜10,000の正数であ
る。)
【0010】更に、本発明者らは、上記式(IV)に示す
構造式を有するトリアルコキシシランの特異な反応性に
より、上記式(III)に示すポリシロキサン−α,ω−ジ
オールと上記式(IV)に示すトリアルコキシシランとの
脱アルコール反応は、触媒の非存在下においても進行す
ることを見出した。即ち、本発明における第3発明の有
機ケイ素化合物の製造方法は、第2発明の有機ケイ素化
合物の製造方法において、触媒の非存在下で反応させる
ことを特徴とする。
【0011】第2発明及び第3発明の方法によると、上
記式(II)に示す有機ケイ素化合物を容易に製造するこ
とができる。この上記式(II)に示す有機ケイ素化合物
は、上記式(I)に示す第1発明の有機ケイ素化合物で
あるか、或いは上記式(I)の有機ケイ素化合物と同じ
く末端のケイ素が (a)アルコキシ基と (b)水素原子と
いう異なる二種類の官能基を有するα,ω型ポリシロキ
サンである。従って、第1発明の有機ケイ素化合物と同
様に、各種ケイ素化合物を合成するための中間原料とし
て有用であり、またこの化合物自体を架橋剤、改質剤、
表面コーティング剤、湿式硬化性樹脂等として好適に用
いることができる。
【0012】特に第3発明の製造方法によると、上記式
(II)に示す有機ケイ素化合物の製造を触媒の非存在下
で行うので、反応終了後にイオン交換樹脂等を用いて触
媒を除去する工程が不要となり、簡易な工程により上記
式(II)に示す有機ケイ素化合物を製造することができ
る。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における第1発明の有機ケイ素化合物は、上記式
(I)に示す構造式で示され、この式(I)において、
1 、R2 、R3 はそれぞれメチル基、エチル基、プロ
ピル基(n−プロピル基及びi−プロピル基を含む意味
である。)又はブチル基(n−、i−、及びt−ブチル
基を含む意味である。)であり、nは1〜1,000
(好ましくは1〜100、より好ましくは5〜50、更
に好ましくは10〜30)の正数である。この化合物一
分子中には四つのR1 が含まれ、これらは全て同じ基で
あってもよいし、二種以上の異なる基であってもよい。
このうち、R1 がメチル基又はエチル基である化合物
は、加水分解性が高いという性質を有することから例え
ば湿式硬化性樹脂として有用であり、全てのR1 がエチ
ル基である化合物は毒性が低いため特に有用である。ま
た、上記式(I)において、R2 及びR3 は同じ基であ
ってもよいし、互いに異なる基であってもよい。更に、
一分子中に含まれるn個のR2 は全て同じ基であっても
二種以上の異なる基であってもよく、R3 についても同
様である。このうち、R2 及びR3 がメチル基又はエチ
ル基である化合物は、原料が安価であるとともに、表面
潤滑性、撥水性及び撥油性等のいわゆる「シリコーンの
特性」が付与しやすいため、例えば表面コーティング剤
などとして有用であり、R2 及びR3 が全てメチル基で
ある化合物は特に有用である。
【0014】本発明における第2発明の有機ケイ素化合
物の製造方法において、上記式(II)〜式(IV)におけ
るR1 、R2 、R3 はそれぞれ炭素数1〜8のアルキル
基又はアリール基である。上記式(III)に示すポリシロ
キサン−α,ω−ジオールにおいて、R2 及びR3 は同
じ基であってもよいし、互いに異なる基であってもよ
い。更に、一分子中に含まれるn個のR2 は全て同じ基
であっても二種以上の異なる基であってもよく、R3
ついても同様である。また、上記式(IV)に示すトリア
ルコキシシランにおいて、三つのR1 は全て同じ基であ
ってもよいし二種以上の異なる基であってもよいが、目
的とする化合物を純度良く得るためには、三つのR1
全て同じ基であることが好ましい。
【0015】上記式(II)及び式(III)におけるnは1
〜10,000(好ましくは1〜1,000、より好ま
しくは5〜200、更に好ましくは10〜100)の正
数である。nが10,000を超えると、反応液の粘度
が高すぎて製造が困難となったり、上記式(III)に示す
ポリシロキサン−α,ω−ジオールと上記式(IV)に示
すトリアルコキシシランとの脱アルコール反応速度が遅
く製造効率が低下したりするためである。
【0016】第2発明の製造方法における脱アルコール
反応は、通常実施されている脱アルコール縮合反応等の
条件により行えばよい。その反応条件はシロキサン及び
アルコキシシランの置換基R1 〜R3 の種類によって変
わるが、一般的に好ましい反応温度は20〜100℃で
あり、更に好ましくは40〜80℃である。また、好ま
しい反応時間は1〜20時間であり、更に好ましくは2
〜8時間である。反応時の圧力は常圧、加圧及び減圧の
いずれの状態であってもよいが、装置が簡単であり製造
操作が容易であることから常圧とすることが好ましい。
また、反応は不活性ガス雰囲気下で行うことが好まし
い。
【0017】前記製造方法では、1モルのポリシロキサ
ン−α,ω−ジオールに対して、2モルのトリアルコキ
シシランが反応する。副反応を抑えるためには、トリア
ルコキシシランが過剰(より好ましくは大過剰)となる
条件下で反応を行うことが好ましい。具体的には、ポリ
シロキサン−α,ω−ジオールとトリアルコキシシラン
とのモル比が1:3以上(より好ましくは1:5以上)
となる条件下で反応を行うことが好ましい。
【0018】尚、この反応は第3発明のように触媒の非
存在下で行うことが好ましいが、通常使用されるエステ
ル交換触媒等を用いて反応を促進させてもよい。この触
媒としては、Ti(OEt)4 、Ti(OBu)4 、T
i(OPr)4、SnO、Sn(COO)2 、Bu2
nO、Bi(OH)3 、Zn(CH3 COO)2 ・2H
2 O、Pb(CH3 COO)2 ・3H2 O、Pb(C6
5 COO)2 ・H2 O、PbO、Sn2 3 、Al
(CH3 COO)3 、Mn(CH3 COO)2 ・4H2
O、Co(CH3 COO)2 ・4H2 O、Cd(CH3
COO)2 、Cd(COO)2 、ジブチルスズラウレー
ト、ジブチルスズジマレエート、ジブチルチンチオカル
ボキシレート、ジオクチルスズマーカプチド及びスタナ
スオクトエートオクテン酸鉛等の有機金属系触媒、トリ
エチレンジアミン、テトラメチルグアニジン、2−(ジ
メチルアミノメチル)フェノール、N,N,N’,N’
−テトラメチルヘキサン−1,6−ジアミン、1,8−
ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデセン−7、p−ト
ルエンスルホン酸及び三フッ化酢酸等が挙げられる。こ
のうち、p−トルエンスルホン酸又は三フッ化酢酸を用
いることが好ましい。これらの触媒を使用する場合、そ
の使用量はポリシロキサン−α,ω−ジオール及びトリ
アルコキシシランの合計量に対して0.1〜5重量%と
することが好ましい。
【0019】また、上記反応は無溶剤で行うことが好ま
しいが、反応を制御しやすくしたり、反応液の粘度を低
減させたりする等の目的で有機溶媒を使用してもよい。
この有機溶媒としては、原料及び生成物を溶解可能であ
り且つ反応条件下で不活性であるものを用いればよく、
例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、アセ
トン、メチルエチルケトン、ベンゼン、トルエン、キシ
レン、ヘキサン及びミネラルスピリッツ等が好適であ
る。
【0020】
【実施例】以下、実施例及び応用例により、本発明をよ
り具体的に説明する。
【0021】(1)有機ケイ素化合物の合成 (第1実施例)これは、下記式(1)に示す反応式によ
り、上記式(I)におけるR1 がエチル基であり、R2
及びR3 がメチル基であるα,ω型ポリジメチルシロキ
サン(「シリコーンA」という。)を合成した例であ
る。
【0022】
【化9】
【0023】使用した原料は次のとおりである。 〔原料〕 (1) ポリジメチルシロキサン−α,ω−ジオール(東
レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製、数平均分
子量1,272(ポリスチレン換算)) (2) トリエトキシシラン(東亞合成株式会社製、商品
名「トリエス」)
【0024】以下、反応操作を説明する。 攪拌機、温度計及び冷却機を備えた100mlの四つ
口フラスコに、ポリジメチルシロキサン−α,ω−ジオ
ール10.0g(7.9mmol)を仕込み、真空脱気
した後に系内を窒素置換した。 反応装置を60℃に昇温してトリエトキシシラン1
5.0g(92mmol)を加え、系内を60℃に保ち
ながら攪拌して反応を進行させた。 ガスクロマトグラフィーにより反応の進行を追跡し
た。6時間後、原料のトリエトキシシランと副生したエ
タノールとの組成比が変化しなくなったことを確認して
反応を終了した。 得られた反応液から、過剰のトリエトキシシラン及び
副生したエタノールを減圧下で除去した。更に、加熱真
空雰囲気下(60〜70℃、0.01torr)におい
て揮発性不純物を除去して、無色透明の粘稠液体11.
8gを得た。
【0025】得られた液体のIRチャートを図1に、N
MRチャートを図2に示す。図1の2,200cm-1
近のピークは、末端ケイ素に結合した水素原子の存在を
示している。図2の3.8ppmのピークは、末端ケイ
素に結合したエトキシ基において酸素に隣接する炭素原
子に結合した水素原子(Si−OCH2 )に対応する。
また、4.7ppmのピークは、末端ケイ素に結合した
水素原子(Si−H)に対応する。これらのピーク面積
の比から、末端ケイ素に結合したエトキシ基の数と水素
原子の数との比が2:1であることが判る。以上より、
上記式(I)におけるR1 がエチル基であり、R2 及び
3 がメチル基であるシリコーンAが合成されたことを
確認した。
【0026】(第2実施例)これは、上記式(I)にお
けるR1 がメチル基であり、R2 及びR3 がエチル基で
あるα,ω型ポリジエチルシロキサン(「シリコーン
B」という。)を合成した例である。第1実施例で用い
たポリジメチルシロキサン−α,ω−ジオールに代え
て、数平均分子量3,000のポリジエチルシロキサン
−α,ω−ジオール60.0g(20mmol)を用
い、また第1実施例で用いたトリエトキシシランに代え
て、トリメトキシシラン(チッソ株式会社製)24.4
g(200mmol)を用いた他は、第1実施例と同様
に反応を行った。尚、反応の進行はガスクロマトグラフ
ィーにより追跡し、原料のトリメトキシシランと副生し
たメタノールとの組成比が変化しなくなった時点を反応
終了点とした。このときの反応時間は4時間であった。
その後、第1実施例と同様に精製を行って目的物64.
3gを得た。
【0027】得られた物質のIRチャートには、2,1
00cm-1(水素原子)のピークがみられた。また、得
られた物質のNMRチャートにおける3.5ppm(S
i−OCH3 )と4.8ppm(Si−H)とのピーク
面積の比から、末端ケイ素に結合したメトキシ基の数と
水素原子の数との比が2:1であった。以上より、上記
式(I)におけるR1 がメチル基であり、R2 及びR3
がエチル基であるシリコーンBが合成されたことを確認
した。
【0028】(第3実施例)これは、上記式(I)にお
けるR1 がイソプロピル基であり、R2 及びR3 がメチ
ル基であるα,ω型ポリジメチルシロキサン(「シリコ
ーンC」という。)を合成した例である。原料として
は、第1実施例で用いたトリエトキシシランに代えて、
トリイソプロポキシシランを用いた。第1実施例で用い
たポリジメチルシロキサン−α,ω−ジオール10.0
g(7.9mmol)と、このトリイソプロポキシシラ
ン10.0g(48.5mmol)とを、第1実施例と
同様に反応させた。尚、反応の進行はガスクロマトグラ
フィーにより追跡し、原料のトリイソプロポキシシラン
と副生したイソプロピルアルコールとの組成比が変化し
なくなった時点を反応終了点とした。このときの反応時
間は10時間であった。その後、第1実施例と同様に精
製を行って目的物12.6gを得た。
【0029】得られた物質のIRチャートには、2,2
00cm-1(水素原子)のピークがみられた。また、得
られた物質のNMRチャートにおける3.8ppm(S
i−OCH)と4.7ppm(Si−H)のピーク面積
との比から、末端ケイ素に結合したイソプロポキシ基の
数と水素原子の数との比は2:1であった。以上より、
上記式(I)におけるR1 がイソプロピル基であり、R
2 及びR3 がメチル基であるシリコーンCが合成された
ことを確認した。
【0030】(第4実施例)これは、上記式(I)にお
けるR1 がメチル基であり、R2 及びR3 がイソプロピ
ル基であるα,ω型ポリジイソプロピルシロキサン
(「シリコーンD」という。)を合成した例である。原
料としては、第1実施例で用いたポリジメチルシロキサ
ン−α,ω−ジオールに代えて、数平均分子量4,20
0のポリジイソプロピルシロキサン−α,ω−ジオール
を用いた。第2実施例で用いたトリメトキシシラン3
6.6g(300mmol)と、このポリジイソプロピ
ルシロキサン−α,ω−ジオール126.0g(30m
mol)とを、第1実施例と同様に反応させた。尚、反
応の進行はガスクロマトグラフィーにより追跡し、原料
のトリメチルシランと副生したメタノールとの組成比が
変化しなくなった時点を反応終了点とした。このときの
反応時間は5時間であった。その後、第1実施例と同様
に精製を行って目的物136.6gを得た。
【0031】得られた物質のIRチャートには、2,2
00cm-1(水素原子)のピークがみられた。また、得
られた物質のNMRチャートにおける3.5ppm(S
i−OCH3 )と4.8ppm(Si−H)のピーク面
積との比から、末端ケイ素に結合したメトキシ基の数と
水素原子の数との比は2:1であった。以上より、上記
式(I)におけるR1 がメチル基であり、R2 及びR3
がイソプロピル基であるシリコーンDが合成されたこと
を確認した。
【0032】(2)本発明の有機ケイ素化合物の応用 (応用例1)これは、本発明の有機ケイ素化合物を中間
原料として、硬化性樹脂を製造する例である。窒素置換
した反応容器中に、上記第1実施例で得られたシリコー
ンAと、このシリコーンAに対して大過剰となるモル数
のプロピレンオキサイド変成トリアクリレート(東亞合
成株式会社製、商品名「アロニックスM−310」)を
仕込み、白金触媒の存在下で加熱攪拌して硬化性樹脂A
−1を製造した。反応式及び硬化性樹脂A−1の構造
を、下記式(2)に模式的に示す。この硬化性樹脂A−
1は、両末端にそれぞれ2つのアクリロイル基を有する
ことから、紫外線の照射や加熱等により硬化可能であ
る。また、アクリロイル基に加えてアルコキシ基を有す
るので、このアルコキシ基を反応に利用することも可能
である。
【0033】
【化10】
【0034】尚、末端にアクリロイル基を有する硬化性
樹脂を得る方法としては、シリコーンAを中間原料とす
る上記式(2)に示す製造方法の他に、ポリシロキサン
−α,ω−ジオールを中間原料として、 [1]下記式
(3)に示すように、アクリロイル基を有するアルコキ
シシランを反応させる方法、 [2]アクリロイル基を有
するアルコキシクロロシランを反応させる方法が挙げら
れる。
【0035】
【化11】
【0036】しかし、上記 [1]の方法によると、脱ア
ルコールのためにp−トルエンスルホン酸等の触媒及び
溶媒を使用する必要がある。このように酸触媒を用いる
と、目的とする脱アルコール反応の他に、副反応として
Si−OH同士の脱水反応が起こり得るため、これによ
り副生したH2 Oが酸性雰囲気下でアルコキシ基と反応
し、結果的にアルコキシ基同士の縮合反応が起きて所望
でない化合物が生じたり、反応液がゲル化したりする恐
れがある。また、反応後に触媒及び溶媒を除去する工程
を要するので製造工程が煩雑となる。一方、上記 [2]
の方法によると、反応時に副生する塩化水素の除去が困
難であるとともに、この塩化水素により装置が腐食する
という問題がある。本発明の有機ケイ素化合物を中間原
料として用いる上記式(2)の方法は、酸触媒を使用し
ないので上記の副反応が防止されるとともに、塩化水素
が生じないという点で優れている。
【0037】(応用例2)これは、本発明の有機ケイ素
化合物を中間原料として、シランカップリング剤を製造
する例である。窒素置換した反応容器中に、上記第1実
施例で得られたシリコーンBと、このシリコーンBに対
して大過剰となるモル数のグリシジルアクリレート(G
MA)を仕込み、白金触媒の存在下で加熱攪拌してシラ
ンカップリング剤B−1を製造した。このシランカップ
リング剤B−1は、両末端のケイ素にエポキシ基及びア
ルコキシル基が結合したシランカップリング剤であっ
て、その主鎖がシロキサン結合からなるという特殊な構
造を有する。これにより、通常のシランカップリング剤
としての機能に加えて、表面潤滑性、撥水性及び撥油性
等の、いわゆる「シリコーンの特性」を付与することが
可能である。
【0038】尚、本発明においては、前記具体的実施例
に示すものに限られず、目的、用途に応じて本発明の範
囲内で種々変更した実施例とすることができる。
【0039】
【発明の効果】本発明の有機ケイ素化合物は、末端のケ
イ素が (a)アルコキシ基と (b)水素原子という異なる
二種類の官能基を有するα,ω型ポリシロキサンである
ため、各種の有機ケイ素化合物を合成するための中間原
料等として有用であるとともに、この化合物自体も例え
ば架橋剤、改質剤、表面コーティング剤、湿式硬化性樹
脂等として使用可能である。そして、本発明の有機ケイ
素化合物の製造方法によると、簡単な工程によって本発
明の有機ケイ素化合物を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例において製造された有機ケ
イ素化合物のIRチャートである。
【図2】本発明の第1実施例において製造された有機ケ
イ素化合物のNMRチャートである。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(I)に示す構造式で表されるこ
    とを特徴とする有機ケイ素化合物。 【化1】 (但し、R1 、R2 、R3 はそれぞれメチル基、エチル
    基、プロピル基又はブチル基であり、nは1〜1,00
    0の正数である。)
  2. 【請求項2】 下記式(II)に示す構造式で表される有
    機ケイ素化合物を製造する方法であって、下記式(III)
    に示す構造式を有するポリシロキサン−α,ω−ジオー
    ルと下記式(IV)に示す構造式を有するトリアルコキシ
    シランとを反応させることを特徴とする有機ケイ素化合
    物の製造方法。 【化2】 【化3】 【化4】 (但し、上記式(II)〜式(IV)において、R1
    2 、R3 はそれぞれ炭素数1〜8のアルキル基又はア
    リール基であり、nは1〜10,000の正数であ
    る。)
  3. 【請求項3】 触媒の非存在下で反応させることを特徴
    とする請求項2記載の有機ケイ素化合物の製造方法。
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