JPWO2010041662A1 - 金属製プレス成形品の割れ判定方法、装置、プログラム及び記録媒体 - Google Patents
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Abstract
Description
(1)
ポンチ及びダイを用いて成形した金属製プレス成形品の割れを判定する金属製プレス成形品の割れ判定方法であって、
前記ポンチ及び前記ダイのうち少なくともいずれか一つを測定対象金型とし、その歪を測定する歪測定手段と、
割れの発生しなかった複数のプレス成形品について、プレス成形開始時刻からプレス成形終了時刻までの全期間又は一部期間における前記測定対象金型の歪、及び、少なくとも成形速度を含む生産条件を参照データとして記憶する記憶手段を用いて、
割れ判定対象のプレス成形において、割れ判定対象データとして、前記歪測定手段により測定したプレス成形開始時刻からプレス成形終了時刻までの全期間又は一部期間における前記測定対象金型の歪を取得し、かつ、少なくとも成形速度を含む生産条件を取得する取得ステップと、
前記記憶手段から抽出した参照データの生産条件と、前記割れ判定対象データの生産条件とに基づいて、所定の条件を満たす前記参照データを比較データとして抽出する抽出ステップと、
前記比較データの歪と、前記割れ判定対象データの歪とを比較し、所定の条件を満たしたとき、プレス成形品の割れが発生したと判定する割れ判定を行う判定ステップとを有することを特徴とする金属製プレス成形品の割れ判定方法。
(2)
前記生産条件には、前記成形速度に加えて、生産時刻、気温、湿度、しわ押さえ力、被加工材のロット番号、素材ロットからのブランク加工位置情報、被加工材の引張強さ、被加工材の降伏強さ、被加工材の均一伸び量、被加工材の板厚のうち少なくとも一つ以上が含まれることを特徴とする(1)に記載の金属製プレス成形品の割れ判定方法。
(3)
前記抽出ステップでは、前記記憶手段から抽出した参照データの生産条件と、前記割れ判定対象データの生産条件との差の合計が最も小さくなるときの前記参照データを比較データとして抽出することを特徴とする(1)に記載の金属製プレス成形品の割れ判定方法。
(4)
前記判定ステップでは、前記比較データの歪と、前記割れ判定対象データの歪とを比較し、その差の最大値が所定値以上のとき、プレス成形品の割れが発生したと判定する割れ判定を行うことを特徴とする(1)に記載の金属製プレス成形品の割れ判定方法。
(5)
更にしわ押さえ金型を用い、前記ポンチ、前記ダイ及び前記しわ押さえ金型のうち少なくともいずれか一つを測定対象金型とすることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載の金属製プレス成形品の割れ判定方法。
(6)
前記抽出ステップでは、プレス成形開始時刻から成形ストロークが所定の範囲を超えて成形が進展した時刻までにおける、前記記憶手段から抽出した参照データの生産条件と、前記割れ判定対象データの生産条件とに基づいて前記参照データを比較データとして抽出することを特徴とする(1)に記載の金属製プレス成形品の割れ判定方法。
(7)
前記抽出ステップでは、プレス成形開始時刻から少なくとも成形ストロークの30%以上成形が進展した時刻までにおける、前記記憶手段から抽出した参照データの生産条件と、前記割れ判定対象データの生産条件との差の合計が最も小さくなるときの前記参照データを比較データとして抽出することを特徴とする(3)に記載の金属製プレス成形品の割れ判定方法。
(8)
プレス成形開始時刻から少なくとも成形ストロークの30%以上成形が進展した時刻までにおける、前記比較データの歪の最大値と、前記割れ判定対象データの歪の最大値とを比較し、前記割れ判定対象データの歪の最大値が、前記比較データの歪の最大値の20%を下回る場合は空打ちと判定して割れ判定から除外し、前記割れ判定対象データの歪の最大値が、前記比較データの歪の最大値の20%以上である場合のみ前記判定ステップに移行させるステップを有することを特徴とする(7)に記載の金属製プレス成形品の割れ判定方法。
(9)
プレス成形開始時刻から少なくとも成形ストロークの30%以上成形が進展した時刻までにおける、前記比較データの歪波形と、前記割れ判定対象データの歪波形とを比較し、前記比較データの歪波形と、前記割れ判定対象データの歪波形との相関係数が0.6を下回る場合は測定異常と判定して割れ判定から除外し、前記比較データの歪波形と、前記割れ判定対象データの歪波形との相関係数が0.6以上である場合のみ前記判定ステップに移行させるステップを有することを特徴とする(7)に記載の金属製プレス成形品の割れ判定方法。
(10)
前記抽出ステップでは、プレス成形開始時刻から少なくとも成形ストロークの60%以上成形が進展した時刻から、プレス機スライドがプレス成形下死点位置に到達して反転動作を開始し、少なくとも前記下死点から成形ストロークの20%以上プレス機スライドの反転動作が進展した時刻までにおける、前記記憶手段から抽出した参照データの生産条件と、前記割れ判定対象データの生産条件との差の合計が最も小さくなるときの前記参照データを比較データとして抽出することを特徴とする(3)に記載の金属製プレス成形品の割れ判定方法。
(11)
プレス成形開始時刻から少なくとも成形ストロークの60%以上成形が進展した時刻から、プレス機スライドがプレス成形下死点位置に到達して反転動作を開始し、少なくとも前記下死点から成形ストロークの20%以上プレス機スライドの反転動作が進展した時刻までにおける、前記比較データの歪波形と、前記割れ判定対象データの歪波形とを比較し、前記比較データの歪波形と、前記割れ判定対象データの歪波形との相関係数が0.6を下回る場合は測定異常と判定して割れ判定から除外し、前記比較データの歪波形と、前記割れ判定対象データの歪波形との相関係数が0.6以上である場合のみ前記判定ステップに移行させるステップを有することを特徴とする(10)に記載の金属製プレス成形品の割れ判定方法。
(12)
ポンチ及びダイを用いて成形した金属製プレス成形品の割れを判定する金属製プレス成形品の割れ判定装置であって、
前記ポンチ及び前記ダイのうち少なくともいずれか一つを測定対象金型とし、その歪を測定する歪測定手段と、
割れの発生しなかった複数のプレス成形品について、プレス成形開始時刻からプレス成形終了時刻までの全期間又は一部期間における前記測定対象金型の歪、及び、少なくとも成形速度を含む生産条件を参照データとして記憶する記憶手段と、
割れ判定対象のプレス成形において、割れ判定対象データとして、前記歪測定手段により測定したプレス成形開始時刻からプレス成形終了時刻までの全期間又は一部期間における前記測定対象金型の歪を取得し、かつ、少なくとも成形速度を含む生産条件を取得する取得手段と、
前記記憶手段から抽出した参照データの生産条件と、前記割れ判定対象データの生産条件とに基づいて、所定の条件を満たす前記参照データを比較データとして抽出する抽出手段と、
前記比較データの歪と、前記割れ判定対象データの歪とを比較し、所定の条件を満たしたとき、プレス成形品の割れが発生したと判定する割れ判定を行う判定手段とを備えたことを特徴とする金属製プレス成形品の割れ判定装置。
(13)
ポンチ及びダイを用いて成形した金属製プレス成形品の割れを判定する金属製プレス成形品の割れ判定をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記ポンチ及び前記ダイのうち少なくともいずれか一つを測定対象金型とし、その歪を測定する歪測定手段と、
割れの発生しなかった複数のプレス成形品について、プレス成形開始時刻からプレス成形終了時刻までの全期間又は一部期間における前記測定対象金型の歪、及び、少なくとも成形速度を含む生産条件を参照データとして記憶する記憶手段を用いて、
割れ判定対象のプレス成形において、割れ判定対象データとして、前記歪測定手段により測定したプレス成形開始時刻からプレス成形終了時刻までの全期間又は一部期間における前記測定対象金型の歪を取得し、かつ、少なくとも成形速度を含む生産条件を取得する取得処理と、
前記記憶手段から抽出した参照データの生産条件と、前記割れ判定対象データの生産条件とに基づいて、所定の条件を満たす前記参照データを比較データとして抽出する抽出処理と、
前記比較データの歪と、前記割れ判定対象データの歪とを比較し、所定の条件を満たしたとき、プレス成形品の割れが発生したと判定する割れ判定を行う判定とをコンピュータに実行させるためのプログラム。
(14)
(13)に記載のプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係るプレス成形装置及び割れ判定装置100の構成を示す。プレス成形装置において、プレス機ボルスター1にポンチ2が、しわ押さえ荷重調整手段3にしわ押さえ金型4が、成形荷重・速度調整手段5によって駆動される上部スライド6にダイ7がそれぞれ取り付けられている。ポンチ2及びしわ押さえ金型4上に、被加工材である薄板10が載置されている。
本発明では、記憶手段は少なくとも成形速度を含む生産条件を参照データとして記憶する。また、取得ステップは少なくとも成形速度を含む生産条件を取得する。このように生産条件として成形速度が必須であるのは、成形速度の変化に伴い測定対象金型に発生する歪も変化するためである。
この原因としては、成形速度が変化すると重量物であるダイ7がポンチ2、しわ押さえ金型4に下死点近傍で衝突した際に発生する衝撃荷重が変化することが影響していると考えられる。また、成形速度が変化するとしわ押さえ荷重調整手段3の圧力配管内に発生する水槌現象が変化することも影響していると考えられる。それ以外にも、被加工材変形抵抗の歪速度依存性、摺動抵抗の摺動速度依存性等が影響していると考えられる。
また、生産条件として成形速度が必須であるその他の理由として、後述する判定ステップで行う、測定対象金型に発生する割れ判定対象データの歪と比較データの歪との比較時の精度が向上する点が挙げられる。
測定対象金型に発生する歪は、成形ストローク、すなわち上型と下型の相対位置関係に対応して特徴を有する波形を出力するが、その波形を測定する測定機器は、一定の時間間隔でデータサンプリングを行うのが一般的である。成形速度の情報を用いることにより一定時間間隔でサンプリングされた歪データを成形ストロークに対応したデータに変換することが可能となる。これにより判定ステップで行う歪データの比較を、容易かつ高精度に行うことが可能となる。
ステップS101(プレス成形開始の判定処理)では、プレス成形が開始されたか否かを判定する。ここで、プレス成形が開始されたと判定されるのは、待機位置で待機していたプレス機スライドが稼働を開始し、上下金型の型タッチ位置まで動作進展した時である。被加工材が下型の定位置にセットされている場合、スライドが上下金型の型タッチ位置まで動作進展すると、被加工材は上下の金型に挟まれ、成形が開始される。被加工材が下型に投入されていない場合は、スライドが上下金型の型タッチ位置まで動作進展しても、被加工材の成形は開始されない。
ステップS201(内部記憶より読み出し)では、先の図2のフローチャートにおいて内部記憶装置に保存した、プレス成形開始時刻からプレス成形終了時刻までにおけるデータ(測定対象金型の歪、生産条件)を読み出す。
dAi = αA・(Ai−At)/At・・・(1)
ここで、AiはデータXiの生産条件Aの値である。また、αAは重み係数であり、基本的に1とするが、対象とする生産条件の重要度に応じて適宜変更してもよい。
dBi = αB・(Bi−Bt)/Bt・・・(2)
dCi = αC・(Ci−Ct)/Ct・・・(3)
di = dAi + dBi + dCi・・・(4)
このように判定対象期間を限定することにより、外乱の影響を除外し高精度に判定できる効果が得られる。またデータ量も削減することができ、処理の高速化が可能となる。
第2の実施形態は、プレス成形開始時刻から少なくとも成形ストロークの30%以上成形が進展した時刻を判定対象期間とする。なお、割れ判定装置100及びその基本的な処理動作は第1の実施形態と同様であり、以下では第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
第3の実施形態でも、第2の実施形態と同様に、プレス成形開始時刻から少なくとも成形ストロークの30%以上成形が進展した時刻を判定対象期間とする。なお、割れ判定装置100及びその基本的な処理動作は第1の実施形態と同様であり、以下では第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
第4の実施形態は、プレス成形開始時刻から少なくとも成形ストロークの60%以上成形が進展した時刻から、プレス機スライドがプレス成形下死点位置に到達して反転動作を開始し、少なくとも前記下死点から成形ストロークの20%以上プレス機スライドの反転動作が進展した時刻を判定対象期間とする。なお、割れ判定装置100及びその基本的な処理動作は第1の実施形態と同様であり、以下では第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
第5の実施形態でも、第4の実施形態と同様に、プレス成形開始時刻から少なくとも成形ストロークの60%以上成形が進展した時刻から、プレス機スライドがプレス成形下死点位置に到達して反転動作を開始し、少なくとも前記下死点から成形ストロークの20%以上プレス機スライドの反転動作が進展した時刻を判定対象期間とする。なお、割れ判定装置100及びその基本的な処理動作は第1の実施形態と同様であり、以下では第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
(1)
ポンチ及びダイを用いて成形した金属製プレス成形品の割れを判定する金属製プレス成形品の割れ判定方法であって、
前記ポンチ及び前記ダイのうち少なくともいずれか一つを測定対象金型とし、その歪を測定する歪測定手段と、
割れの発生しなかった複数のプレス成形品について、プレス成形開始時刻からプレス成形終了時刻までの全期間又は一部期間における前記測定対象金型の歪、及び、少なくとも成形速度を含む複数の生産条件を参照データとして記憶する記憶手段を用いて、
割れ判定対象のプレス成形において、割れ判定対象データとして、前記歪測定手段により測定したプレス成形開始時刻からプレス成形終了時刻までの全期間又は一部期間における前記測定対象金型の歪を取得し、かつ、少なくとも成形速度を含む複数の生産条件を取得する取得ステップと、
前記記憶手段から抽出した参照データの複数の生産条件と、該生産条件に対応する前記割れ判定対象データの複数の生産条件とを所定の演算により比較し、前記割れ判定対象データの複数の生産条件に最も近い複数の生産条件を有する前記参照データを比較データとして抽出する抽出ステップと、
前記比較データの歪と、前記割れ判定対象データの歪とを比較し、所定の条件を満たしたとき、プレス成形品の割れが発生したと判定する割れ判定を行う判定ステップとを有することを特徴とする金属製プレス成形品の割れ判定方法。
(2)
前記生産条件には、前記成形速度に加えて、生産時刻、気温、湿度、しわ押さえ力、被加工材のロット番号、素材ロットからのブランク加工位置情報、被加工材の引張強さ、被加工材の降伏強さ、被加工材の均一伸び量、被加工材の板厚のうち少なくとも一つ以上が含まれることを特徴とする(1)に記載の金属製プレス成形品の割れ判定方法。
(3)
前記抽出ステップでは、前記記憶手段から抽出した参照データの複数の生産条件と、該生産条件に対応する前記割れ判定対象データの複数の生産条件との差をそれぞれの該割れ判定対象データの生産条件で除したものに重み係数を掛けた値の合計が最も小さくなるときの前記参照データを比較データとして抽出することを特徴とする(1)に記載の金属製プレス成形品の割れ判定方法。
(4)
前記判定ステップでは、前記比較データの歪と、前記割れ判定対象データの歪とを比較し、その差の最大値が所定値以上のとき、プレス成形品の割れが発生したと判定する割れ判定を行うことを特徴とする(1)に記載の金属製プレス成形品の割れ判定方法。
(5)
更にしわ押さえ金型を用い、前記ポンチ、前記ダイ及び前記しわ押さえ金型のうち少なくともいずれか一つを測定対象金型とすることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載の金属製プレス成形品の割れ判定方法。
(6)
前記抽出ステップでは、プレス成形開始時刻から成形ストロークが所定の範囲を超えて成形が進展した時刻までにおける、前記記憶手段から抽出した参照データの生産条件と、前記割れ判定対象データの生産条件とに基づいて前記参照データを比較データとして抽出することを特徴とする(1)に記載の金属製プレス成形品の割れ判定方法。
(7)
前記抽出ステップでは、プレス成形開始時刻から少なくとも成形ストロークの30%以上成形が進展した時刻までにおける、前記記憶手段から抽出した参照データの複数の生産条件と、該生産条件に対応する前記割れ判定対象データの複数の生産条件との差をそれぞれの該割れ判定対象データの生産条件で除したものに重み係数を掛けた値の合計が最も小さくなるときの前記参照データを比較データとして抽出することを特徴とする(3)に記載の金属製プレス成形品の割れ判定方法。
(8)
プレス成形開始時刻から少なくとも成形ストロークの30%以上成形が進展した時刻までにおける、前記比較データの歪の最大値と、前記割れ判定対象データの歪の最大値とを比較し、前記割れ判定対象データの歪の最大値が、前記比較データの歪の最大値の20%を下回る場合は空打ちと判定して割れ判定から除外し、前記割れ判定対象データの歪の最大値が、前記比較データの歪の最大値の20%以上である場合のみ前記判定ステップに移行させるステップを有することを特徴とする(7)に記載の金属製プレス成形品の割れ判定方法。
(9)
プレス成形開始時刻から少なくとも成形ストロークの30%以上成形が進展した時刻までにおける、前記比較データの歪波形と、前記割れ判定対象データの歪波形とを比較し、前記比較データの歪波形と、前記割れ判定対象データの歪波形との相関係数が0.6を下回る場合は測定異常と判定して割れ判定から除外し、前記比較データの歪波形と、前記割れ判定対象データの歪波形との相関係数が0.6以上である場合のみ前記判定ステップに移行させるステップを有することを特徴とする(7)に記載の金属製プレス成形品の割れ判定方法。
(10)
前記抽出ステップでは、プレス成形開始時刻から少なくとも成形ストロークの60%以上成形が進展した時刻から、プレス機スライドがプレス成形下死点位置に到達して反転動作を開始し、少なくとも前記下死点から成形ストロークの20%以上プレス機スライドの反転動作が進展した時刻までにおける、前記記憶手段から抽出した参照データの複数の生産条件と、該生産条件に対応する前記割れ判定対象データの複数の生産条件との差をそれぞれの該割れ判定対象データの生産条件で除したものに重み係数を掛けた値の合計が最も小さくなるときの前記参照データを比較データとして抽出することを特徴とする(3)に記載の金属製プレス成形品の割れ判定方法。
(11)
プレス成形開始時刻から少なくとも成形ストロークの60%以上成形が進展した時刻から、プレス機スライドがプレス成形下死点位置に到達して反転動作を開始し、少なくとも前記下死点から成形ストロークの20%以上プレス機スライドの反転動作が進展した時刻までにおける、前記比較データの歪波形と、前記割れ判定対象データの歪波形とを比較し、前記比較データの歪波形と、前記割れ判定対象データの歪波形との相関係数が0.6を下回る場合は測定異常と判定して割れ判定から除外し、前記比較データの歪波形と、前記割れ判定対象データの歪波形との相関係数が0.6以上である場合のみ前記判定ステップに移行させるステップを有することを特徴とする(10)に記載の金属製プレス成形品の割れ判定方法。
(12)
ポンチ及びダイを用いて成形した金属製プレス成形品の割れを判定する金属製プレス成形品の割れ判定装置であって、
前記ポンチ及び前記ダイのうち少なくともいずれか一つを測定対象金型とし、その歪を測定する歪測定手段と、割れの発生しなかった複数のプレス成形品について、プレス成形開始時刻からプレス成形終了時刻までの全期間又は一部期間における前記測定対象金型の歪、及び、少なくとも成形速度を含む複数の生産条件を参照データとして記憶する記憶手段と、
割れ判定対象のプレス成形において、割れ判定対象データとして、前記歪測定手段により測定したプレス成形開始時刻からプレス成形終了時刻までの全期間又は一部期間における前記測定対象金型の歪を取得し、かつ、少なくとも成形速度を含む複数の生産条件を取得する取得手段と、
前記記憶手段から抽出した参照データの複数の生産条件と、該生産条件に対応する前記割れ判定対象データの複数の生産条件とを所定の演算により比較し、前記割れ判定対象データの複数の生産条件に最も近い複数の生産条件を有する前記参照データを比較データとして抽出する抽出手段と、
前記比較データの歪と、前記割れ判定対象データの歪とを比較し、所定の条件を満たしたとき、プレス成形品の割れが発生したと判定する割れ判定を行う判定手段とを備えたことを特徴とする金属製プレス成形品の割れ判定装置。
(13)
ポンチ及びダイを用いて成形した金属製プレス成形品の割れを判定する金属製プレス成形品の割れ判定をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記ポンチ及び前記ダイのうち少なくともいずれか一つを測定対象金型とし、その歪を測定する歪測定手段と、
割れの発生しなかった複数のプレス成形品について、プレス成形開始時刻からプレス成形終了時刻までの全期間又は一部期間における前記測定対象金型の歪、及び、少なくとも成形速度を含む複数の生産条件を参照データとして記憶する記憶手段を用いて、
割れ判定対象のプレス成形において、割れ判定対象データとして、前記歪測定手段により測定したプレス成形開始時刻からプレス成形終了時刻までの全期間又は一部期間における前記測定対象金型の歪を取得し、かつ、少なくとも成形速度を含む複数の生産条件を取得する取得処理と、
前記記憶手段から抽出した参照データの複数の生産条件と、該生産条件に対応する前記割れ判定対象データの複数の生産条件とを所定の演算により比較し、前記割れ判定対象データの複数の生産条件に最も近い複数の生産条件を有する前記参照データを比較データとして抽出する抽出処理と、
前記比較データの歪と、前記割れ判定対象データの歪とを比較し、所定の条件を満たしたとき、プレス成形品の割れが発生したと判定する割れ判定を行う判定とをコンピュータに実行させるためのプログラム。
(14)
(13)に記載のプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
Claims (14)
- ポンチ及びダイを用いて成形した金属製プレス成形品の割れを判定する金属製プレス成形品の割れ判定方法であって、
前記ポンチ及び前記ダイのうち少なくともいずれか一つを測定対象金型とし、その歪を測定する歪測定手段と、
割れの発生しなかった複数のプレス成形品について、プレス成形開始時刻からプレス成形終了時刻までの全期間又は一部期間における前記測定対象金型の歪、及び、少なくとも成形速度を含む生産条件を参照データとして記憶する記憶手段を用いて、
割れ判定対象のプレス成形において、割れ判定対象データとして、前記歪測定手段により測定したプレス成形開始時刻からプレス成形終了時刻までの全期間又は一部期間における前記測定対象金型の歪を取得し、かつ、少なくとも成形速度を含む生産条件を取得する取得ステップと、
前記記憶手段から抽出した参照データの生産条件と、前記割れ判定対象データの生産条件とに基づいて、所定の条件を満たす前記参照データを比較データとして抽出する抽出ステップと、
前記比較データの歪と、前記割れ判定対象データの歪とを比較し、所定の条件を満たしたとき、プレス成形品の割れが発生したと判定する割れ判定を行う判定ステップとを有することを特徴とする金属製プレス成形品の割れ判定方法。 - 前記生産条件には、前記成形速度に加えて、生産時刻、気温、湿度、しわ押さえ力、被加工材のロット番号、素材ロットからのブランク加工位置情報、被加工材の引張強さ、被加工材の降伏強さ、被加工材の均一伸び量、被加工材の板厚のうち少なくとも一つ以上が含まれることを特徴とする請求項1に記載の金属製プレス成形品の割れ判定方法。
- 前記抽出ステップでは、前記記憶手段から抽出した参照データの生産条件と、前記割れ判定対象データの生産条件との差の合計が最も小さくなるときの前記参照データを比較データとして抽出することを特徴とする請求項1に記載の金属製プレス成形品の割れ判定方法。
- 前記判定ステップでは、前記比較データの歪と、前記割れ判定対象データの歪とを比較し、その差の最大値が所定値以上のとき、プレス成形品の割れが発生したと判定する割れ判定を行うことを特徴とする請求項1に記載の金属製プレス成形品の割れ判定方法。
- 更にしわ押さえ金型を用い、前記ポンチ、前記ダイ及び前記しわ押さえ金型のうち少なくともいずれか一つを測定対象金型とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の金属製プレス成形品の割れ判定方法。
- 前記抽出ステップでは、プレス成形開始時刻から成形ストロークが所定の範囲を超えて成形が進展した時刻までにおける、前記記憶手段から抽出した参照データの生産条件と、前記割れ判定対象データの生産条件とに基づいて前記参照データを比較データとして抽出することを特徴とする請求項1に記載の金属製プレス成形品の割れ判定方法。
- 前記抽出ステップでは、プレス成形開始時刻から少なくとも成形ストロークの30%以上成形が進展した時刻までにおける、前記記憶手段から抽出した参照データの生産条件と、前記割れ判定対象データの生産条件との差の合計が最も小さくなるときの前記参照データを比較データとして抽出することを特徴とする請求項3に記載の金属製プレス成形品の割れ判定方法。
- プレス成形開始時刻から少なくとも成形ストロークの30%以上成形が進展した時刻までにおける、前記比較データの歪の最大値と、前記割れ判定対象データの歪の最大値とを比較し、前記割れ判定対象データの歪の最大値が、前記比較データの歪の最大値の20%を下回る場合は空打ちと判定して割れ判定から除外し、前記割れ判定対象データの歪の最大値が、前記比較データの歪の最大値の20%以上である場合のみ前記判定ステップに移行させるステップを有することを特徴とする請求項7に記載の金属製プレス成形品の割れ判定方法。
- プレス成形開始時刻から少なくとも成形ストロークの30%以上成形が進展した時刻までにおける、前記比較データの歪波形と、前記割れ判定対象データの歪波形とを比較し、前記比較データの歪波形と、前記割れ判定対象データの歪波形との相関係数が0.6を下回る場合は測定異常と判定して割れ判定から除外し、前記比較データの歪波形と、前記割れ判定対象データの歪波形との相関係数が0.6以上である場合のみ前記判定ステップに移行させるステップを有することを特徴とする請求項7に記載の金属製プレス成形品の割れ判定方法。
- 前記抽出ステップでは、プレス成形開始時刻から少なくとも成形ストロークの60%以上成形が進展した時刻から、プレス機スライドがプレス成形下死点位置に到達して反転動作を開始し、少なくとも前記下死点から成形ストロークの20%以上プレス機スライドの反転動作が進展した時刻までにおける、前記記憶手段から抽出した参照データの生産条件と、前記割れ判定対象データの生産条件との差の合計が最も小さくなるときの前記参照データを比較データとして抽出することを特徴とする請求項3に記載の金属製プレス成形品の割れ判定方法。
- プレス成形開始時刻から少なくとも成形ストロークの60%以上成形が進展した時刻から、プレス機スライドがプレス成形下死点位置に到達して反転動作を開始し、少なくとも前記下死点から成形ストロークの20%以上プレス機スライドの反転動作が進展した時刻までにおける、前記比較データの歪波形と、前記割れ判定対象データの歪波形とを比較し、前記比較データの歪波形と、前記割れ判定対象データの歪波形との相関係数が0.6を下回る場合は測定異常と判定して割れ判定から除外し、前記比較データの歪波形と、前記割れ判定対象データの歪波形との相関係数が0.6以上である場合のみ前記判定ステップに移行させるステップを有することを特徴とする請求項10に記載の金属製プレス成形品の割れ判定方法。
- ポンチ及びダイを用いて成形した金属製プレス成形品の割れを判定する金属製プレス成形品の割れ判定装置であって、
前記ポンチ及び前記ダイのうち少なくともいずれか一つを測定対象金型とし、その歪を測定する歪測定手段と、
割れの発生しなかった複数のプレス成形品について、プレス成形開始時刻からプレス成形終了時刻までの全期間又は一部期間における前記測定対象金型の歪、及び、少なくとも成形速度を含む生産条件を参照データとして記憶する記憶手段と、
割れ判定対象のプレス成形において、割れ判定対象データとして、前記歪測定手段により測定したプレス成形開始時刻からプレス成形終了時刻までの全期間又は一部期間における前記測定対象金型の歪を取得し、かつ、少なくとも成形速度を含む生産条件を取得する取得手段と、
前記記憶手段から抽出した参照データの生産条件と、前記割れ判定対象データの生産条件とに基づいて、所定の条件を満たす前記参照データを比較データとして抽出する抽出手段と、
前記比較データの歪と、前記割れ判定対象データの歪とを比較し、所定の条件を満たしたとき、プレス成形品の割れが発生したと判定する割れ判定を行う判定手段とを備えたことを特徴とする金属製プレス成形品の割れ判定装置。 - ポンチ及びダイを用いて成形した金属製プレス成形品の割れを判定する金属製プレス成形品の割れ判定をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記ポンチ及び前記ダイのうち少なくともいずれか一つを測定対象金型とし、その歪を測定する歪測定手段と、
割れの発生しなかった複数のプレス成形品について、プレス成形開始時刻からプレス成形終了時刻までの全期間又は一部期間における前記測定対象金型の歪、及び、少なくとも成形速度を含む生産条件を参照データとして記憶する記憶手段を用いて、
割れ判定対象のプレス成形において、割れ判定対象データとして、前記歪測定手段により測定したプレス成形開始時刻からプレス成形終了時刻までの全期間又は一部期間における前記測定対象金型の歪を取得し、かつ、少なくとも成形速度を含む生産条件を取得する取得処理と、
前記記憶手段から抽出した参照データの生産条件と、前記割れ判定対象データの生産条件とに基づいて、所定の条件を満たす前記参照データを比較データとして抽出する抽出処理と、
前記比較データの歪と、前記割れ判定対象データの歪とを比較し、所定の条件を満たしたとき、プレス成形品の割れが発生したと判定する割れ判定を行う判定とをコンピュータに実行させるためのプログラム。 - 請求項13に記載のプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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