JP4943284B2 - 薄板のプレス成形加工装置 - Google Patents

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Description

本発明は、鉄系、非鉄系、及び積層材等の各種金属材料のプレス成形加工装置に係わり、特に、各種材料特性のバラツキに依らず良好な加工が可能なプレス成形加工装置に関する。
従来、金属材料について、プレス成形装置を用いた深絞り加工、曲げ加工、切断加工等を行う場合には、材料毎に、適正な成形条件、すなわち金型形状、潤滑条件、成形速度、しわ押さえ力、金型及び被加工材の温度等を経験的、或いは実験による試作、或いは有限要素法によるシミュレーション等によって予め定めた上で、実生産を行うことが通常行われている。
一方、素材となる各種金属材料は、原料やスクラップから、溶解-精錬-鋳造-圧延-熱処理-2次加工等、多工程を経て得られた、板材、管材、棒材、線材、粉粒体等であり、化学成分の変動、温度不均一等のプロセス条件変動により、成品の機械特性値にはある程度のバラツキ存在が不可避である。そのため、前述したように予め適正な成形条件を定めたとしても、素材の部位、製造ロット毎に成形性が異なり、成形不良が発生する場合がある。これを回避するために、素材製造プロセスでの品質管理をより厳格にすることももちろん行われているが、過度の厳格化は、素材コストの増大に繋がり、好ましく無い。
また、素材の機械特性が同一であっても、加工中の環境変動、例えば連続加工による金型温度変化、金型の摩耗、雰囲気の温度や湿度の変動等により、成形不良が発生する場合がある。
これらに対して、素材や金型の条件に応じて加工条件を制御する成形方法には種々の発明が開示されており、例えば特許文献1には、プレス素材の形状や機械的性質、化学的性質、メッキ等の積層特性、油量等の表面状況等の物理量と、所定のプレス品質が得られる適正しわ押さえ荷重との関係を予め求めておき、その関係から実際の物理量に応じて適正しわ押さえ荷重を求め、その適正しわ押さえ荷重でプレス加工が行われるようにエアシリンダのエア圧を調圧する装置が開示されている。
また、特許文献2には、素材毎に特定される素材条件、曲げ加工中の最大荷重等に基づいて、プレス条件を調整する装置が開示されている。
また、本発明者は、特許文献3〜5に示すように、加工中の環境変動、例えば連続加工による金型温度変化、金型の摩耗、雰囲気の温度や湿度の変動等により発生する成形バラツキを補償するため、素材特性に加え、加工中の金型歪みを用いて、しわ押さえ荷重や成形速度を制御する発明を既に開示している。
特開平7−266100号公報 特開昭58−103918号公報 特開2004-249365号公報 特開2005-161399号公報 特開2006-75884号公報
特許文献1に、素材特性、加工装置固有の情報、金型情報に基づき、しわ押さえ荷重を制御する発明は開示されているが、素材特性の変動、加工装置、金型条件の変動の相乗効果により、特に金型との潤滑特性は、時々刻々変動し、これを事前に予測することは極めて困難である。
また、加工硬化指数(n値)、r値、TS(引張強さ)、YS(降伏強さ)、E(ヤング率)等の物理量を測定して入力してもいいことが記載されているが、例えば、端面割れが発生し易い伸びフランジ変形を伴う部品においては、ブランキング後の切断端面性状の影響が非常に大きく、上記素材特性だけでは不十分で、ブランキング工程における金型の経時劣化等を考慮する必要がある。
また特許文献2には、素材毎の板厚と、曲げ加工中の最大荷重を測定し、素材の引張強さを求めて曲げ加工を制御する方法が開示されているが、プレス成形性、特に成形加工中の割れを防止するためには、素材の延性(伸び)を考慮する必要があり、引張強さで、これを予測することは困難である。
また、特許文献3〜5等に、素材特性を用いて、プレス成形条件を調節する発明が開示されているが、一般的に素材特性は製造ロット、例えば金属薄板であればコイルの代表値としてコイル内一点の機械試験結果、すなわち降伏応力、引張強度、伸び等のデータが提供されているのに対して、実際には、コイル長手方向、幅方向で必ずしも材質は一定ではなく、多少の変動は不可避である。従って、素材特性を正確に考慮するためには、少なくともブランク1枚毎の素材特性を得ることが望ましいが、全てのブランクに対して、機械試験を行うことは非現実的である。
これに対して、引張試験のような厳密な機械試験でなく、例えば硬さ測定などの簡易的な方法も考案しているが、硬さは引張強度とは対応するものの、例えばプレス成形性に影響が大きい伸びなどは、簡易的に得ることが難しい。また、伸びフランジ割れの原因となり得る、ブランキング工程における金型の経時劣化等を考慮することができない。
本発明は前記の点に鑑みてなされたものであり、素材特性のバラツキやブランキング工程における金型の経時劣化等を、簡易的に評価し、良好なプレス成形加工を可能とすることを目的とする。
係る課題を解決するため、本発明の手段は、以下のとおりである。
(1)ブランキング手段と、しわ押さえ圧調整部及び/又は成形速度調整部を有するプレス成形手段からなる薄板のプレス成形加工装置であって、前記ブランキング手段は、ブランキング加工における薄板の加工反力を測定する加工反力測定部とポンチ位置測定部を有し、前記プレス成形手段は、前記加工反力測定部が測定した加工反力と前記ポンチ位置測定部が測定したポンチ位置と、ブランクの引張強さ、加工硬化指数(n値)、伸び、周長及び板厚に基づき、しわ押さえ圧及び/又は成形速度を制御するプレス成形条件制御部を有し、
前記加工反力測定部によって測定された加工反力と前記ポンチ位置測定部によって測定されたポンチ位置が、ブランキング加工におけるポンチ位置(Xi(i=1〜N))毎の加工反力の履歴データ(Ri(i=1〜N))であり、
前記加工反力測定部が測定した加工反力が、ブランキング加工における加工反力の最大値(A)であり、前記ポンチ位置測定部が測定したポンチ位置が、前記加工反力測定部によって測定された加工中における加工反力が最大となるポンチ位置(B)及び前記加工反力が最大値の50%〜70%に減少するときのポンチ位置(C)であり、前記プレス成形条件制御部は、前記最大値(A)、前記ポンチ位置(B)及び前記ポンチ位置(C)に加え、更に、金型更新直後の磨耗がないときの加工反力の履歴データ(R0i(i=1〜N))と前記ブランキング加工における加工反力の履歴データ(Ri(i=1〜N))の標準偏差(D)に基づいてしわ押さえ圧及び/又は成形速度を制御する機能を有することを特徴とする薄板のプレス成形加工装置。
但し、Nはデータ数。
(2)前記プレス成形条件制御部は、回帰式によりしわ押さえ圧及び/又は成形速度を制御する機能を有することを特徴とする(1)記載の薄板のプレス成形加工装置。
(3)加工反力測定部が、ポンチ又はダイス金型に埋め込まれた圧電素子であることを特徴とする(1)または(2)に記載の薄板のプレス成形加工装置。
(4)加工反力測定部が、ブランク形状に沿って、ポンチ又はダイス金型に複数埋め込まれた圧電素子であることを特徴とする(1)〜(3)の何れか1項に記載の薄板のプレス成形加工装置。
(5)前記ポンチ位置測定部は、ポンチ側面に設けた突出部の変位を測定する非接触式の変位計からなることを特徴とする(1)〜(4)の何れか1項に記載の薄板のプレス成形加工装置。
(6)前記ポンチ位置測定部は、ポンチの剛性k[kN/mm]を予め計算により算出しておき、前記ポンチ突出部の変位測定値をxt[mm]、xt測定時の加工反力をF[kN]とした場合にポンチ位置xp[mm]を
xp = xt − F/k
として算出する機能を有することを特徴とする(5)記載の薄板のプレス成形加工装置。
本発明により、素材特性のばらつきによらず、適正な加工条件を得ることができ、常に良好な成形品を得ることができる。
以下に図面を用いて詳細を説明する。
本発明の実施の一形態を図1に示す。本発明に係わる薄板のプレス成形加工装置は、加工反力測定部(図示しない)及びポンチ位置を測定するポンチ位置測定部5を備えたブランキング手段2と、しわ押さえ圧調整部13及び/又は成形速度調整部14を有し、しわ押さえ圧及び/又は成形速度を制御するプレス成形条件制御部(図示しない)を備えたプレス成形手段7から構成される。
一般にプレス成形加工用の薄板素材は、製造メーカーあるいは1次加工メーカーから、コイルや矩形の切板として提供され、所定の部品形状にプレス成形するためには、まず適切な外形状にブランキング(切断)加工され、その後、切断されたブランクが、次工程でプレス成形加工される。
ブランキング加工は、適切なクリアランスを設定した上下一対の金型(ポンチ(上型)3、ダイ(下型)4)で、所定形状のブランク6に打ち抜くが、この際に、加工反力およびポンチの位置(変位)を同時に測定する。
ブランキング加工中の加工反力は、センサーとしてダイまたはポンチの切刃に沿って複数箇所に埋め込んだ圧電素子により、場所ごとにダイまたはポンチの弾性歪みとして高精度に測定することができる。また、全てのセンサー出力の総和として、トータルの加工反力を得ることもできる。トータルの加工反力は、加工力伝達経路に挟み込んだロードセルや、加工装置フレームに設置された歪みゲージなどを使っても測定することができるが、ブランキング加工は1秒以下の高速な加工のため、応答性や、装置全体のガタや弾性変形などから、正確な測定は困難であり、図3、図4に示すように、例えばポンチ3の内部に圧電素子を直接埋め込むことにより、高速かつ高精度に測定することが好ましい。
ポンチの位置は、ブランキング装置のスライド変位やクランク角として測定することも可能であるが、金型の変形や装置のガタにより、誤差が大きく、ポンチ3に取り付けた変位計で直接測定する事が望ましい。
図2に、ブランキング加工中の、ポンチ位置に対する加工反力の変化の一例を示す。種々の材料に対して、加工反力を同様の方法で測定した結果、加工反力の最大値(A)は、材料の引張強さと、また加工反力が最大となるポンチ位置(B)は、材料の加工硬化指数(n値)と、また加工反力が最大値の50%〜70%に急減するポンチ位置(C)は、材料の伸びと、それぞれ略対応していることが明らかとなった。以下、指標A,B,Cと称す。
また、繰り返しブランキング加工を行うと、金型の切刃が次第に損耗し、切れ味が低下して切断端面が粗くなってくるが、ポンチ位置に対する加工反力の履歴(波形)に変化が現れることから、これを検出して、損耗状態の監視、次工程の調整に用いる。波形の変化を示す方法としては、例えば、図2の実線で示す損耗後のブランキング加工におけるポンチ位置(X(i=1〜N))毎の加工反力の履歴データ(R(i=1〜N))および、図2の点線で示す金型更新直後の磨耗が無い標準状態の加工反力の履歴データ(R0(i=1〜N)) (但し、Nはデータ点数)から、加工反力の標準偏差(加工反力波形標準偏差ともいう)(D)として、
D=√{Σ(R−R02/(N−1)} (i=1〜N) (1)
を金型磨耗を示す指標として用いる。
また、複数のセンサーを用いて、ブランク形状に沿った加工反力の分布を得ることができることから、次工程のプレス成形工程で問題となることがある伸びフランジ割れに該当する箇所、例えば図1に示す伸びフランジ部20の加工反力を測定することにより、適切なプレス成形加工条件を予め調整し、割れを未然に防止することが可能となる。
次に、これらブランキング工程で測定された指標A,B,C,Dを用いて、ブランク一枚ごとに、次工程の最適なプレス成形加工条件を設定する方法を示す。
まず、各指標A,B,C,Dを次のように、正規化する。
A’=A/(L×t)/A0 (2)
B’=(B/t)/{b−(B/t)}/B0 (bは係数で1≦b≦2)(3)
C’=C/t/C0 (4)
D’=D/(ΣR0/N)(i=1〜N) (5)
ここで、A:加工反力の最大値[N]
B:加工反力が最大となるポンチ位置[mm]
C:加工反力が最大値の50%〜70%に急減するポンチ位置[mm]
D:加工反力波形標準偏差[N]
A’:正規化されたA値[−]
B’:正規化されたB値[−]
C’:正規化されたC値[−]
D’:正規化されたD値[−]
L:ブランク周長[mm]
t:ブランク板厚[mm]
A0:ブランクの引張強さ[MPa]
B0:ブランクのn値[−]
C0:ブランクの伸び[−]
R0i:金型更新直後の磨耗が無い標準状態の加工反力履歴[N](i=1〜N)
N:反力履歴データ数[−]
なお、ブランク周長Lとは、図1に示すブランク6の外周長さである。また、ブランクの引張強さ(A0)、n値(B0)、伸び(C0)は、それぞれ、ブランクの素材と同一の試料をJISG0202(1.1)引張試験記載の方法で試験を行ったときの引張強さ、n値、伸びと定義する。
次に、それぞれ予め設定した、しわ押さえ圧の標準設定値P0[N]及び成形速度の標準設定値V0[mm/sec]に対して、上記、正規化指標(A’、B’、C’、D’)に応じて、例えば1次のモデル式を用いて、しわ押さえ圧P[N]及び成形速度V[mm/sec]を調整する。すなわち、
P=P0×(p0+p1×A’+p2×B’+p3×C’+p4×D’) (6)
ここで、p0〜p4は係数で、それぞれ、−1.0≦p0、p1、p2、p3≦+1.0、−50≦p4≦+50の範囲とすることが好ましい。
V=V0×(v0+v1×A’+v2×B’+v3×C’+v4×D’) (7)
ここで、v0〜v4は係数で、それぞれ、−1.0≦v0、v1、v2、v3≦+1.0、−50≦v4≦+50の範囲とすることが好ましい。
また、各係数は、予め、素材特性を引張試験により直接測定した各種サンプルを用い、成形加工条件を人為的に変動させた実験結果から、回帰式を作成して求めることができる。また、量産時の品質検査結果から、自動的に学習し、係数を調節する機能を付加することで、さらに精度を向上させることも可能である。
通常、接触式変位計の方が非接触式変位計よりも安価で高分解能が期待できるが、ポンチの形状に起因して接触式変位計を設置するスペースがとれない場合や、金型の振動が高速で大きい場合等、直接ポンチに変位計を取り付けられず、非接触式の変位計でポンチ変位を測定せねばならないことがある。このような場合、加工反力によるプレス装置の撓みの影響を極力避けるべく、ポンチ位置測定部としてポンチの側面に突出部を設け、該突出部の変位を非接触式変位計で測定する(前記(7)に係る発明)。この際、非接触式のセンサーは、光ファイバー式変位計やレーザードップラー式変位計等のような、30kHz以上の高応答周波数であることが望ましい。
プレス装置全体の撓みに比べると微小であるが、上記のごとく非接触式変位計で測定されたポンチ突出部の変位量は、加工反力によるポンチの撓みに影響を受ける。加工反力のばらつきが大きい場合は、この加工反力の影響が正確なポンチ変位量の測定に対して問題となり、このような場合は、前記(7)に係る発明において、ポンチ位置測定部は、ポンチの剛性k[kN/mm]を予め計算により算出しておき、ポンチ位置xp[mm]を
xp = xt − F/k (13)
xt:ポンチ突出部の変位測定値[mm]
F :xt測定時の加工反力 [kN]
とする機能を有していればより正確なポンチ変位力を測定することが可能である(前記(8)に係る発明)。
上述の発明を元に、本発明例として、図1に示す、加工反力測定部(図示しない)とポンチ位置測定部5を備えたブランキング手段2、及び、しわ押さえ圧調整部13及び成形速度調整部14を備えたプレス成形手段7から構成される、薄板のプレス成形加工装置を試作した。ブランキング用ポンチ3には、図3、図4に示すように、ブランク形状に沿って、計5箇所の圧電素子を用いた歪みセンサーが埋め込まれ、加工反力測定部12を形成している。圧電素子は、それぞれブランキング用ポンチ3の表面から20mm、側面から20mmの位置に設置した。またポンチ位置測定部5は、図1に示すようにブランキング用ポンチ3とブランキング用ダイ4の相対変位を、接触式変位センサーを用いて、歪みセンサーの出力と同期させて、記録した。接触式変位センサーはブランキング用ポンチ3及びブランキング用ダイ4の側面に鍔を設けて固定した。
素材となる薄鋼板は、素材メーカーから、コイルとして提供され、板厚(t)1.4mm、引張り強度590MPa級の冷延鋼板である。機械特性の代表値は、
引張強さ(A0):620[MPa]
n値(B0):0.18[−]
伸び(C0):0.30[−]
であった。本実施例では、図1に示すT型形状の部品(6)を試作した。納入されたコイルは、順次、ブランキング手段2により、図1に示した外形状に打ち抜かれ、次いで、プレス成形手段7により、図1に示す形状の成形品11にプレス加工される。ブランクの周長Lは図3に示すポンチ3の平面図の周長に相当し約1357mmである(=400+150×2+200+2×(50+25π+100))。
機械特性の変動、及びブランキング金型の磨耗の影響を調べるために、表1及び表2に示すように、計40枚のブランキング加工を行い、その内、20枚は新品の金型を用い、また残り20枚は約10,000回使用した金型を用いて打ち抜き、それぞれについて、加工反力の履歴を、上述したセンサーを用いて測定した。
次いで、測定したポンチ位置毎の加工反力の履歴から、加工反力の最大値(A)、反力が最大となるポンチ位置(B)、加工反力が最大値の60%に急減するポンチ位置(C)、加工反力の標準偏差(D)を、それぞれ求めた結果を、合わせて表1及び表2に示す。
ここで、加工反力の最大値(A)は、計5箇所の圧電素子で測定された、それぞれの加工反力の和の最大値として表される。すなわち、


Figure 0004943284
(i=1〜N、N:サンプリング点数=1000) (8)
また、加工反力が最大となるポンチ位置(B)、加工反力が最大値の60%に急減するポンチ位置(C)は、5箇所のセンサー出力を平均した。
また、加工反力波形標準偏差(D)は、プレス成形時に、伸びフランジ変形を伴う、図3における2箇所のセンサー12’の反力履歴R(1)、R(2)のそれぞれ標準状態R0(1)、R0(2)との標準偏差を平均化した。すなわち、
D=[ √{Σ(R(1) i−R0(1) i2/(N−1)}+ √{Σ(R(2) i−R0(2) i2/(N−1)} ]/2 (i=1〜N、N:サンプリング点数=1000) (9)
次いで、計測されたブランク1枚ごとに、指標A,B,C,Dを正規化したA’,B’,C’,D’を用いて、次工程のプレス成形加工条件、しわ押さえ圧P、成形速度Vを次のように設定した。
P/P0=(0.59×A’+0.50×B’+0.29×C’−25×D’) (10)
V=V0 (P/P0≧0.85) (11)
V0×0.9 (P/P0<0.85) (12)
ここで、P0及びV0は、しわ押さえ圧及び成形速度の標準条件で、それぞれ、200[kN]及び200[mm/sec]とした。
また、(10)式の各係数は、本実施例とは別に、同一鋼種で製造ロットの異なる2種類の素材と、クリアランスの異なる2種類の金型を用意し、上述した手順でブランキング加工した後、しわ押さえ圧及び成形速度をそれぞれ2水準づつ変更した実験計画法(素材2水準×金型2水準×しわ押さえ圧2水準×成形速度2水準=16水準)に基づく、プレス成形を行い、成形品の形状、割れ有無(伸びフランジ部の板厚減少率で評価)を測定し、この実験結果に基づく実験回帰式から求めた。
表1に、上述した方法で成形加工した結果を示す。ここで、成形品について、目視にて割れの有無及び検具を用いたT字部の捩れ角のチェックを行い、双方が許容範囲に入っているものを良品とした。
本発明に基づく方法を用いた場合には、素材特性の変動や、ブランキング金型の磨耗に有無に因らず、不良無く成形することができた。
一方、比較例として、全てのブランクに対して、同一の条件で、プレス成形加工した結果を表2に示す。この場合には、スプリングバックによる捩れや、エッジ部の割れにより40%の成形不良品が発生した。特に、10,000回使用した金型でブランキング加工した場合には、プレス成形時に割れが多発した。
本発明の効果を確かめるため、図5に示す装置を試作し、実施例1で使用した板材を使用して図5の装置によるブランキング後にフランジアップ成形を行う実験を行った。図5に示す装置は、ブランキング用のポンチ17とダイ20、油圧により圧力が発生するしわ押さえ16により構成される。ダイ20は、ポンチ17に対応するように中央部に凹部を形成し、ポンチ17の方向(紙面左方向)に若干移動自在となるような矩形の開口部を有するフレームの開口部に、後述のネジ23によりフレームに固定されている。ポンチ位置測定部15には光ファイバー式の非接触式変位計を用い、図5に示すようにブランキング金型を設置するフレーム19にポール22を立てて固定し、ポンチ17の側面に設けた突出部24の変位を測定した。この突出部24の測定変位は、式(13)により算出されるポンチ17の撓み分だけ補正される。ポンチ剛性は事前に弾性有限要素法により、k=11.3[kN/mm]と算出した。本発明の効果を分かり易くするため、上記の装置は、ブランキング金型のダイ固定形式をネジ式とし、故意にネジ23の締め付けトルクを緩くすることで500回のブランキングを通してクリアランスが広がり易い条件とした(初期クリアランス量は0.12[mm])。
ブランキング後の切断面21の形状は図6に示す形状であり、本実施例においてはブランキング後にフランジ部21を最終製品形状が図7に示す形状となるようにフランジアップ成形を行う試験を500回繰り返し、ブランキング時にしわ押さえ力制御を行う場合と行わない場合について、最終製品の成形不良率を比較した。
加工反力測定部25には圧電素子による埋め込み式ロードセル1つを使用し、図8に示すような構成でポンチ17へ設置した。
成形速度は、実施例1の標準条件と同様とした。
続いて、しわ押さえ圧の制御について述べる。
成形不良率としわ押さえ圧との関係を把握するため、事前実験として、ネジ23の締め付けトルクが適正であってクリアランスの狂いがほとんど生じない装置を使用してブランキングとフランジアップの試行を行ったところ、ブランキング時の最大加工反力A[kN]、最高加工反力となるポンチ位置B[mm]としわ押さえ圧P[kN]の関係式が、

P>600A−0.6+520(0.12−B)[KN]

であれば90%以上の確率でフランジアップ成形時に割れが起こらなかった。なお、上記の実験式は0.06、0.12、0.18、0.24、0.36、0.6[mm]の6通りのクリアランス量ので上記の試行を行って見積もったものである(クリアランスに応じて、AとBが変化することを利用した)。
この結果を鑑みて、本実施例においてはしわ押さえ圧Pに対して、


Figure 0004943284
という制御を行った。初期のしわ押さえ圧は、クリアランスが0.12[mm]の事前実験の際測定されたAの平均値160[kN]とBの平均値0.1[mm]を式(14)に代入した32.1[kN]である。
フランジアップ成形時に割れを起こした成形不良率は図9のようになり、しわ押さえ圧を制御した場合は、クリアランスのずれが生じているにも関わらず不良率は10%以下であった。一方で、しわ押さえ圧を制御しない場合は15%程度の不良率であり、この結果より本発明による装置が有効であることが証明された。
Figure 0004943284
Figure 0004943284

本発明の薄板のプレス成形加工装置の実施の一形態を示す概念図である。 ブランキング加工中の加工反力とポンチ変位の関係を示す。 加工反力測定手段を有するポンチ金型の一例である。 加工反力測定手段を有するポンチ金型の(図3のA−A)断面図である。 本発明の薄板のプレス成形加工装置の別の形態を示す概念図である。
(a)側面図を示す。(b)上面図を示す。
ブランキング後の鋼板の平面図を示す。 最終製品形状を示す斜視図である。 ポンチ位置測定部の実施の一形態を示す断面図である。 フランジアップ成形時に割れを起こした成形不良率を示す。
符号の説明
1 コイル
2 ブランキング手段
3、17 ブランキング用ポンチ
4、20 ブランキング用ダイ
5 変位センサー(ポンチ位置測定部)
6、18 ブランク
7 プレス成形手段
8 プレス成形用ダイ(上型)
9 プレス成形用ポンチ(下型)
10、16 しわ押さえ
11 成形品
12 圧電素子
12’ 伸びフランジ部圧電素子
13 しわ押さえ圧調整部
14 成形速度調整部
15 ポンチ位置測定部(非接触式変位計)
19 フレーム
21 成形加工後、伸びフランジ部となる部位
22 ポール
23 ネジ
24 突出部
25 加工反力測定部(圧電素子)

Claims (6)

  1. ブランキング手段と、しわ押さえ圧調整部及び/又は成形速度調整部を有するプレス成形手段からなる薄板のプレス成形加工装置であって、前記ブランキング手段は、ブランキング加工における薄板の加工反力を測定する加工反力測定部とポンチ位置測定部を有し、前記プレス成形手段は、前記加工反力測定部が測定した加工反力と前記ポンチ位置測定部が測定したポンチ位置と、ブランクの引張強さ、加工硬化指数(n値)、伸び、周長及び板厚に基づき、しわ押さえ圧及び/又は成形速度を制御するプレス成形条件制御部を有し、
    前記加工反力測定部によって測定された加工反力と前記ポンチ位置測定部によって測定されたポンチ位置が、ブランキング加工におけるポンチ位置(Xi(i=1〜N))毎の加工反力の履歴データ(Ri(i=1〜N))であり、
    前記加工反力測定部が測定した加工反力が、ブランキング加工における加工反力の最大値(A)であり、前記ポンチ位置測定部が測定したポンチ位置が、前記加工反力測定部によって測定された加工中における加工反力が最大となるポンチ位置(B)及び前記加工反力が最大値の50%〜70%に減少するときのポンチ位置(C)であり、前記プレス成形条件制御部は、前記最大値(A)、前記ポンチ位置(B)及び前記ポンチ位置(C)に加え、更に、金型更新直後の磨耗がないときの加工反力の履歴データ(R0i(i=1〜N))と前記ブランキング加工における加工反力の履歴データ(Ri(i=1〜N))の標準偏差(D)に基づいてしわ押さえ圧及び/又は成形速度を制御する機能を有することを特徴とする薄板のプレス成形加工装置。
    但し、Nはデータ数。
  2. 前記プレス成形条件制御部は、回帰式によりしわ押さえ圧及び/又は成形速度を制御する機能を有することを特徴とする請求項1記載の薄板のプレス成形加工装置。
  3. 前記加工反力測定部が、ポンチ又はダイス金型に埋め込まれた圧電素子であることを特徴とする請求項1または2に記載の薄板のプレス成形加工装置。
  4. 前記加工反力測定部が、ブランク形状に沿って、ポンチ又はダイス金型に複数埋め込まれた圧電素子であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の薄板のプレス成形加工装置。
  5. 前記ポンチ位置測定部は、ポンチの側面に設けた突出部の変位を測定する非接触式の変位計からなることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の薄板のプレス成形加工装置。
  6. 前記ポンチ位置測定部は、ポンチの剛性k[kN/mm]を予め計算により算出しておき、前記ポンチ突出部の変位測定値をxt[mm]、xt測定時の加工反力をF[kN]とした場合にポンチ位置xp[mm]を
    xp = xt − F/k
    として算出する機能を有することを特徴とする請求項5記載の薄板のプレス成形加工装置。
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