JP3572950B2 - プレス成形方法およびその装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属板を金型を用いてハット形断面形状に成形するプレス成形方法およびその装置に関し、特に高強度鋼板の成形におけるスプリングバックや壁そりなどの形状不良の発生を防止するプレス成形方法およびその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
金属板をプレス成形して様々な形状・寸法の製品を製造する際、金型から成形品を取り出すと、金型内に拘束していた状態とは異なった形状に変化し、形状不良が発生することは、形状凍結不良としてよく知られている現象である。この形状不良は、プレス成形時に金属板内に発生する板厚方向の残留応力の不均一が原因で弾性回復変形をすることによるものである。
【0003】
図1は、自動車車体などのメンバ部品であるハット形断面のプレス成形品Aの模式図である。このようなハット形断面のプレス成形(以下、ハット成形ともいう)においては、Bの部位にスプリングバック(角度不良)や壁そりなどの形状不良が発生する。これらの形状不良は、最終製品の外観形状を著しく損なうばかりでなく、プレス成形後の組立作業において、溶接不良などの原因となる。
【0004】
形状不良を防止する方法として、金属板の材料特性の面から、弾性変形量が減少できる低降伏点材や高ヤング率材などの適用が効果的であるとされている。しかしながら、近年は、自動車などを中心として車体の軽量化および衝突安全性向上を目的として、高強度材料の使用ニーズが増しており、形状不良問題が高強度材の適用拡大を制約する要因にもなっている。
【0005】
ハット形断面形状の成形品の形状不良を改善する成形方法としては、予測されるスプリングバック代を考慮してオーバベンディングして成形する方法や、成形後矯正する方法があるが、設備コストや生産性の点で問題がある。また、壁そり対策として、板厚方向の残留応力差を緩和するために、しわ押さえ力を加え板面内方向に張力を与える方法が知られている。この方法は、張力により板厚方向の応力分布を変更するものであるが、特に高強度材の成形では、通常、材料流入幅当たり1000kN/m程度以上の大きなしわ押さえ力が必要で、それでも壁反りの抑制が不充分であったり、しわ押さえ力を強くすると板厚減少や最悪の場合には板破断を招くこともある。
【0006】
特開昭56−117831号公報には、U形曲げ型を使用してハット形断面形状に板を成形する方法において、ダイ曲げ肩部半径を板厚の1〜2.5倍に取り、ポンチとダイのクリアランスを板厚の1.0〜1.4倍に設定して、側壁部のそりを防止する曲げ成形法が提示されている。
【0007】
特開平7−155843号公報には、壁そり防止対策として、金属板に固体潤滑剤を塗布し、ポンチとダイのクリアランスを板厚以下にしてハット形断面形状に成形する金属板の曲げ加工方法が提示されている。
【0008】
ポンチ肩部でのスプリングバックに関しては、文献(IDDRG the 8th biennial congress,September 1974)に、ポンチとダイでおこなう単純U曲げ成形において、ポンチ頭部にたわみを付与する方法が提案されている。なお、単純U曲げ成形とハット成形とは、ポンチ肩部の材料に作用する張力が大きく異なり、ハット成形に上記方法を適用した例はない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
特開昭56−117831号公報に提示された方法は、ダイ肩部での曲げがポンチ側壁部に移る過程で逆方向の曲げ(以下、逆曲げという)を受ける条件を設定することによって、壁そりの抑制を図るものであるが、逆曲げを生じさせるダイ曲げ肩部半径は材料強度および材料特性によって異なっており、許容範囲が狭く、プレス成形の際の調整作業に時間を要し、生産能率が低下するといった問題や、ダイ曲げ肩部半径に十分な精度を確保する必要があり金型コストが上昇する問題もある。
【0010】
特開平7−155843号公報に提示された方法は、ポンチとダイのクリアランスを板厚より小さくして鋼板をしごくことにより板厚方向の残留応力を軽減するものであるが、プレス成形品が複雑な形状である場合には、部分的にしごきが過度になり、その部分で焼き付きが発生し易くなるといった問題がある。さらに、固体潤滑材の使用による工程の複雑化や生産コストの上昇の問題もある。
スプリングバックに関しては、特に有効な対策は提案されていない。
【0011】
本発明の課題は、ハット形断面形状のプレス成形において、上記従来の問題を解決し、ポンチ側壁部での壁そりやポンチ肩部でのスプリングバックなどの形状不良を防止できるプレス成形方法およびその装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
ハット成形において、金属板はダイ肩部で曲げられた後、ポンチとダイの間に引き込まれて曲げ戻し変形を受ける。この時に生じる残留応力の板厚方向における分布が不均一になると、形状不良となる壁そりが発生する。板厚方向の残留応力が均一になれば壁そりは発生しない。金属板にしわ押さえ力を加え、曲げ戻しを受けた側壁部に引張り力を付加して残留応力を均一化できれば、壁そりは抑制される。しかし、高強度材のプレス成形の際には、破断防止のために、引張り力が低く抑えられるので充分な効果が得られない。
【0013】
本発明者らは、このようなプレス成形過程での金属板の変形挙動を詳細に調査した結果、ダイ曲げ肩部半径ならびにポンチとダイのクリアランスを特定範囲に規定してダイ曲げ肩部通過後に逆曲げを発生させ、この逆曲げをしわ押さえ力でコントロールすることにより、小さなしわ押さえ力で壁そりの発生を抑制することができ、更に、壁反りの曲率としわ押さえ力の関係に基づき、しわ押さえ力を調整することにより壁そりを効果的に防止できることを知見した。
【0014】
しかし、上記の方法では、壁反りは抑制されるが、スプリングバックは依然問題になることが判った。そこで、本発明者らは、ハット成形時の形状不良であるスプリングバック対策として、ポンチ頭部にたわみを付与することを想到し、金属板の変形挙動を調査した。その結果、ダイ曲げ肩部半径ならびにポンチとダイのクリアランスを特定範囲に規定し、しわ押さえ力を付加する上記方法において、更に、ポンチ頭部にたわみを付与し、ポンチ行程の下死点でおこなう決め押しにより、スプリングバックは抑制されるとの知見を得た。
【0015】
本発明は、上記知見に基づくもので、その要旨は、以下の(1) 〜(4) のとおりである。
【0016】
(1)ダイ、ポンチおよびブランクホルダを有し、金属板をハット形断面形状に成形するプレス成形装置であって、前記ブランクホルダまたは前記ダイに当接して該ブランクホルダによる金属板のしわ押さえ力を調節するしわ押さえ調節装置をダイまたはブランクホルダのいずれかのお互いに対向する面上に設けたことを特徴とするプレス成形装置。
【0017】
(2)金属板のたわみ量を調節するたわみ調節装置をポンチ頭部に設けたことを特徴とする上記 (1) 項に記載のプレス成形装置。
【0018】
(3)上記 (1) 項または (2) 項に記載のプレス成形装置を用いて金属板をハット形断面形状に成形する方法において、ダイ曲げ肩部半径が板厚の1.0〜2.5倍で、ポンチとダイのクリアランスが板厚の1.0〜1.4倍で、しわ押さえ力が材料流入幅当たり0〜500kN/mであって、該成形により発生する壁反りの曲率ρ、該しわ押さえ力BHFとの間に、ρ=F(BHF)の関係を与え、この関係に基づき、該曲率が小さくなるようにしわ押さえ力を付加することを特徴とするプレス成形方法。
【0019】
(4)ポンチの行程が成形開始後下死点の直前までの間は、ポンチ頭部で金属板にたわみを付与し、下死点で該たわみを解消して成形することを特徴とする上記 (3) 項に記載のプレス成形方法。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の内容を詳細に説明する。
本発明のプレス成形装置に本発明の方法を適用する場合を例にして、本発明のプレス方法を説明する。
【0021】
図2は、本発明の方法を適用する本発明のプレス成形装置の概念図である。
図2において、本発明の方法は、ダイ1、ポンチ2およびブランクホルダ3を有するプレス成形装置を用いて、ダイ曲げ肩部半径Rdが板厚の1.0〜2.5倍で、ポンチ2とダイ1のクリアランスが板厚の1.0〜1.4倍で、しわ押さえ力が材料流入幅当たり0〜500kN/mであり、更に、該成形により発生する壁反りの曲率ρ、該しわ押さえ力BHFとの間に、ρ=F(BHF)の関係を与え、この関係に基づき、該曲率が小さくなるように、具体的には「許容範囲内にくるように」しわ押さえ力を付加して成形することを特徴とする。なお、同図で、符号4はしわ押さえ調節装置、5はたわみ調節装置、6は決め押しブロック、7は被成形材である金属板である。
【0022】
ダイ曲げ肩部半径Rdが過小だとダイ曲げ肩部での逆曲げが強く内側に曲率中心を持つ壁反り(以下、内反りという)が発生し、過大だと逆曲げ効果が少なく外側に曲率中心を持つ壁反り(以下、外反りという)が残る。よって、ダイ曲げ肩部半径は、板厚の1.0倍以上2.5倍以下とした。
【0023】
ポンチとダイのクリアランスが過小だと逆曲げの効果が少なく、また最悪の場合、型かじりが発生し表面欠陥を招く。また、過大でも逆曲げの効果が少ない。よって、ポンチとダイのクリアランスは、板厚の1.0倍以上1.4倍以下とした。
【0024】
しわ押さえ力が過大になると、ダイ曲げ肩部の逆曲げ効果を打ち消して外そりが発生すると共に、板厚減少が生じやすく、最悪の場合には破断する。更に、特に、高強度材の成形においては、材料と金型の接触面圧が高くなり型かじりが発生し品質欠陥や金型の損傷を招きやすい。よって、しわ押さえ力は、材料流入幅当たり500kN/m以下とした。
【0025】
図3は、しわ押さえ力(BHF)と壁そり量との関係の一例を示すグラフである。図3に示すように、BHFが0kN/mの場合には内そりが発生し、BHFを付加すると内そり量が減少して、壁そりがほとんどない最適なBHFが存在し、更にBHFを増加すると外反りに変化する。図3に示すグラフより、壁反りの曲率ρ、該しわ押さえ力BHFとの間に、ρ=F(BHF)の関係を与え、この関係に基づき、該曲率が小さくなるように、例えば±0.0006(1/mm)以内になるようにしわ押さえ力を付加することにより壁反りを抑制することができる。通常、プレス成形は、1ロット当たり10ton程度にロットを集約しておこなうので、1ロット毎に試成形をして上記の関係式を求めることができる。また、予め、材質や板厚毎に試成形をおこない、それぞれの条件に応じた関係式を作成しておいてもよい。
【0026】
次に、本発明方法の好適態様について説明する。
図4は、本発明装置に係わるたわみ調節装置をポンチ頭部に設けた状況を模式的に示す断面図で、同図(A)は成形途中、同図(B)は成形終了時である。
【0027】
本発明の好適態様の方法は、例えば図2に示すプレス成形装置を用い、図4(A)に示すように、ポンチの行程が成形開始後下死点の直前までの間は、たわみ調節装置によりポンチ頭部で金属板にたわみを付与し、下死点で、同図(B)に示すように、決め出しブロックの作用によりブロックの押し込みがおこなわれ、該たわみを解消する。その結果、ポンチ頭部から壁に向かい、たわみの量に相当する金属材の供給がおこなわれ、スプリングバックの発生を効果的に抑制することができる。たわみ調節装置で付与するたわみの量は、特に限定しないが、過大だと、側壁が内側に向く形状不良(スプリングゴー)が発生する。通常、ポンチ幅が100mm程度においてたわみ量は、ポンチ頭部の中央部で3mm程度で、最大でも10mm程度以下である。
【0028】
次に、本発明のプレス成形装置について説明する。
図2において、本発明は、ダイ1、ポンチ2およびブランクホルダ3を備え、金属板7をハット形断面形状に成形するプレス成形装置であって、ブランクホルダ3のしわ押さえ力を調節するしわ押さえ調節装置4をダイ1またブランクホルダ3のいずれかのお互いに対向する面上に設け、更に好ましくは、ポンチ頭部8に金属板のたわみを調節するたわみ調節装置5を設けたことを特徴とする。
【0029】
図5は、しわ押さえ装置をダイに設けた状況を模式的に示す断面図である。
【0030】
図6は、しわ押さえ装置およびたわみ調節装置の板幅方向における設置位置を模式的に示す平面図である。
【0031】
しわ押さえ調節装置4は、図5の例では、複数個のバネ10とそのバネの一端に設けた押圧ブロック11を有し、図6に示すように、前記バネ10は、ダイ1の板幅方向に配置され、バネ力で押圧ブロック11をブランクホルダ3に押圧することにより、図示していない油圧シリンダなどの押圧機構によりブランクホルダ3を介して金属板7に作用するしわ押さえ力を調節することができる。バネ10の押圧力は、バネ強度(バネ定数)やバネ底に挿入するスペーサ(図示無し)の厚さで調節できる。なお、図5は、しわ押さえ調節装置をダイに設けた例であるが、ブランクホルダに設けてもよい。
【0032】
たわみ調節装置5は、図4に示すように、バネ13とそのバネの一端に設けたブロック12を有し、ポンチ頭部8で板幅方向に複数個配置され、ブロック12を介してバネ力で金属板7を押圧してたわみを形成することができる。金属板のたわみ量は、バネ強度(バネ定数)やバネ底に挿入するスペーサ(図示無し)の厚さを変更することにより調節できる。
【0033】
たわみ調節装置やしわ押さえ装置は、上述したようにバネの力を利用するのに限定されるものでなく、例えば、油圧や空圧などの液圧装置などを用いてもよい。
【0034】
しわ押さえ調節装置を設けたことによって、
(1)ブランクホルダによる金属板のしわ押さえ力を適正な範囲に調節でき、壁そりを効果的に抑制することができる。具体的には、ダイ肩部での逆曲げ現象による内そりの発生としわ押さえによる外そりの発生とを適正に組み合わせて、壁そりを抑制する。
【0035】
(2)ダイ曲げ肩部半径の適用可能範囲が広がり、金型寸法や材料特性のばらつきに対応できる。
【0036】
(3)しわ押さえ調節装置としては、バネ式あるいは液圧式などのコンパクトな装置をダイまたはブランクホルダに設け、ブランクホルダやダイに当接して押し力を発生させることにより、しわ押さえ力を高精度で調節することができる。
【0037】
ポンチ頭部にたわみ調節装置を設けたことによって、
(1)ポンチ頭部に適正なたわみを付与することができ、決め押しが効果的におこなわれスプリングバックを抑制することができる。
(2)たわみ調節装置としては、バネ式あるいは液圧式などのコンパクトな装置をポンチ頭部に設け、たわみを調整することができる。
【0038】
次に、本発明のプレス装置による成形作業について説明する。
図2において、まず、ダイとブランクホルダのクリアランスを設定するディスタンスブロック(図示無し)を挿入し、すなわち、しわ押さえ力を付与しない状態で、わずかに内そりとなるダイ曲げ肩部半径を有するダイを選定する。このとき、ダイ曲げ肩部半径は材料強度や板厚が変化しても内そりとなる条件を選ぶことで、材料強度や板厚の変化に対応できる。次いで、しわ押さえ調節装置を調節しながらしわ押さえ力を付与して試成形をし、壁反りの曲率ρとしわ押さえ力BHFとの間の関係(ρ=F(BHF))を求め、この関係に基づき、壁そりが真直ぐに伸ばされる最適なしわ押さえ力を設定する。このとき、金型の加工精度や形状的な要因によって左右に不均等な壁そりが現れる場合には、しわ押さえ調整装置の左右のバランスを調整してやれば良い。
【0039】
このようにして設定したしわ押さえ力を付加し、更に、たわみ発生装置によりポンチ頭部の金属板にたわみを付加した状態でポンチをストロークする。ポンチ行程の下死点では、ポンチ頭部の金属板は決め押しブロックとポンチにより狭圧されてたわみが解消される。上記のようにプレス成形がおこなわれ、壁そりとスプリングバックの両方の抑制ができる。
【0040】
【実施例】
(実施例1)
図2に示す基本構想で、表1に主仕様を示すしわ押さえ調節装置とたわみ調節装置を備えたプレス成形装置を製作した。
【0041】
【表1】
【0042】
プレス成形装置の工具寸法は、ポンチが長さ(図2で紙面に垂直な方向)300mm、幅100mm、肩半径5mmで、ダイ曲げ肩部半径は1.4〜2.6mmの4種類を製作した。ポンチとダイのクリアランスは板厚の1.2倍で1.44mmとした。しわ押さえ調整装置は、バネ定数が1000kgf/mm2 のバネ式とし、ダイの上部でその両側に各5個設けた。たわみ調整装置は、バネ定数が40kgf/mm2 で最大ストロークが10mmのバネ式とし、ポンチ頭部の中央部に幅方向に3個設けた。
【0043】
(実施例2)
実施例1の本発明のプレス装置を加圧能力2500kNの複動式油圧プレスに取り付け、表2に示す板厚1.2mm、幅100mm、長さ300mmの590MPa級の高強度鋼板を用いて、成形深さが70mmのハット形断面の成形品にプレス成形した。潤滑油は一般防錆油を使用した。
【0044】
【表2】
【0045】
なお、本成形に先立ち、しわ押さえ力が0、300、500kN/mになるようにしわ押さえ調節装置を調節して試成形をおこない、ダイ曲げ肩部半径4種類のそれぞれの条件における壁反りの曲率を測定して壁反りの曲率としわ押さえ力との関係を求め、その関係に基づき曲率がゼロになるように、しわ押さえ力を決定した。なお、たわみ量は0mmとした。表3に上記方法にて決定したしわ押さえ力を示す。
【0046】
【表3】
【0047】
なお、従来例は、しわ押さえ力を0kN/mとした以外は本発明例と同様の条件で成形した。
表3に示すしわ押さえ力の条件により得られた成形品の壁反り量とスプリングバック量を調査した。
【0048】
図7は、壁反り量とスプリングバックの測定方法を示す模式図で、壁反り量は、成形品の底部から15mm、30mm、45mmの3点を通る円弧として近似し、曲率(ρ)を求めて壁反りを評価し、スプリングバックは、底部から15mmと45mmの2点を結ぶ直線と底部の垂線のなす角度(θ)で評価した。壁反りは曲率が小さいほど良好であり、スプリングバック量は角度が0°に近いほど良好である。表4に壁反り量の測定結果を示す。
【0049】
【表4】
【0050】
従来例は、Rdが2.6mmで壁反りの発生が少なく良好であったが、他の条件では、大きな壁反りが発生した。本発明例では、Rdが1.4〜2.6mmで壁反りの発生が少なく良好であり、従来例に比べ、Rdの許容範囲が広がった。
【0051】
なお、スプリングバック量は、本発明法、従来法とも1.0〜2.0°程度と大きく、形状不良であった。
【0052】
(実施例3)
実施例2の条件で、更に、たわみ調整装置により2〜5mmのたわみを付与してプレス成形を実施した。たわみを付与した以外は、実施例2の本発明例と同様の条件である。表5に、スプリングバックの調査結果を示す。
【0053】
【表5】
【0054】
表5に示すように、スプリングバック量は、いずれも0.3°未満となり、たわみの付与により著しく改善した。
【0055】
【発明の効果】
本発明により、高強度鋼板を使用した場合のハット形断面形状を有するプレス成形品の形状凍結性を著しく改善することができ、かつ適度なBHFを付与できる機構を有しているために、金型精度、材料特性のバラツキに柔軟に対応できる。自動車のメンバー部材に高強度鋼板の適用が可能となり、自動車車体の軽量化と衝突安全性の向上に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【図1】自動車車体などのメンバ部品であるハット形断面のプレス成形品の模式図である。
【図2】本発明の方法を適用する本発明のプレス成形装置の概念図である。
【図3】しわ押さえ力(BHF)と壁そり量との関係の一例を示すグラフである。
【図4】本発明装置に係わるたわみ調節装置をポンチ頭部に設けた状況を模式的に示す断面図で、同図(A)は成形途中、同図(B)は成形終了時である。
【図5】バネ式しわ押さえ調節装置をダイに設けた状況を模式的に示す断面図である。
【図6】しわ押さえ力調節装置およびたわみ調節装置の板幅方向における設置位置を模式的に示す平面図である。
【図7】壁反り量とスプリングバックの測定方法を示す模式図である。
【符号の説明】
1 ダイ
2 ポンチ
3 ブランクホルダ
4 しわ押さえ調節装置
5 たわみ調節装置
6 決め押しブロック
7 金属板
8 ポンチ頭部
9 決め押しブロック
10、13 バネ
11 押圧ブロック
12 ブロック
Claims (4)
- ダイ、ポンチおよびブランクホルダを有し、金属板をハット形断面形状に成形するプレス成形装置であって、前記ブランクホルダまたは前記ダイに当接して該ブランクホルダによる金属板のしわ押さえ力を調節するしわ押さえ調節装置をダイまたはブランクホルダのいずれかのお互いに対向する面上に設けたことを特徴とするプレス成形装置。
- 金属板のたわみ量を調節するたわみ調節装置をポンチ頭部に設けたことを特徴とする請求項1に記載のプレス成形装置。
- 請求項1または2に記載のプレス成形装置を用いて金属板をハット形断面形状に成形する方法において、ダイ曲げ肩部半径が板厚の1.0〜2.5倍で、ポンチとダイのクリアランスが板厚の1.0〜1.4倍で、しわ押さえ力が材料流入幅当たり0〜500kN/mであって、該成形により発生する壁反りの曲率ρ、該しわ押さえ力BHFとの間に、ρ=F(BHF)の関係を与え、この関係に基づき、該曲率が小さくなるようにしわ押さえ力を付加することを特徴とするプレス成形方法。
- ポンチの行程が成形開始後下死点の直前までの間は、ポンチ頭部で金属板にたわみを付与し、下死点で該たわみを解消して成形することを特徴とする請求項3に記載のプレス成形方法。
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