JP2024028215A - プレス部品の製造方法、プレス加工用の金属板、及びその製造方法 - Google Patents

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雄司 山▲崎▼
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Abstract

【課題】従来よりも高い量産性を有し、バーリング加工を含む曲げ加工の際に曲げの内側面に発生するしわや亀裂を抑制することが可能な技術を提供する。【解決手段】金属板10を曲げ加工してプレス部品を製造するプレス部品の製造方法であって、上記曲げ加工を行う本成形工程の前処理として、上記金属板10表面性状を変更する表面処理工程1を備え、上記金属板10における、上記本成形工程で曲げられる部分を曲げ部ARA2としたとき、上記表面処理工程1は、上記曲げ部ARA2となる上記金属板10の面の少なくとも円弧の中央部を含むようにして工具11で押圧して、押圧した面の表面性状を変更する処理を行い、上記工具11での押圧は、押圧する面の表面粗さが小さくなる押圧力で実行する。【選択図】 図1

Description

本発明は、曲げ形状を有するプレス部品をプレス成形で製造する技術に関する。
自動車足回り部品や車体構造部品は、鋼板をプレス成形することで製造される。近年、自動車衝突安全性の向上や車体軽量化のため、素材となる鋼板の高強度化が進められている。しかし、部品の高強度化に伴い成形中に部品に亀裂が発生しやすくなるという課題がある。特に、曲げ成形において圧縮応力が作用する曲げの内側表面に亀裂が発生し、成形品の破損や成形品の疲労特性の低下等を招くことが課題となっている。
このような課題に対し、特許文献1では、L字曲げ加工の際のクリアランスを適正化することで曲げ圧縮側の残留応力を調整し、疲労特性を向上する技術が提案されている。
また特許文献2では、L字曲げ加工の際に曲げ内側表面の微小凹凸の発生を抑制するため、ロール又はボールを備えたパンチを曲げ外側から押し当てるように行う曲げ加工が提案されている。
また特許文献3では、バーリング加工部の根元の曲げ部において、形状に複数の曲率半径を持たせることで、バーリング加工後に実施されるコイニング加工の際に曲げの内側に圧縮応力が集中することを抑制し、曲げの内側面のしわや亀裂の発生を抑制する技術が提案されている。
また特許文献4では、バーリング加工後に実施されるコイニング加工の際に、曲げの外側を支持することで、コイニング加工の際に曲げの内側面の曲率半径が小さくなる変形を抑制する。そして、特許文献4には、それによって圧縮応力が集中することを抑制し、曲げの内側面のしわや亀裂の発生を抑制する技術が提案されている。
また特許文献5では、曲げ加工前に、曲げ部に対し打撃を行うことで打撃痕を形成することが提案されている。
特開2002-316215号公報 特開2006-255770号公報 特開2018-51609号公報 特開2018-51608号公報 特開2020-131232号公報
しかし、特許文献1及び特許文献2の方法では、材料の高強度化に伴って亀裂抑制効果が十分に発揮されない場合がある。
特許文献3には、バーリング加工部の曲げ内側に複数の曲率半径を持たせる方法が開示されている。しかし、これは、バーリング加工後のコイニング加工の際に発生するしわや亀裂を抑制する技術であって、バーリング加工時のしわや亀裂の抑制については言及しておらず、対策技術として不十分である。
特許文献4には、バーリング加工後のコイニング加工の際に曲げの外側を支持する方法が開示されている。しかし、特許文献4には、特許文献3と同様にバーリング加工時のしわや亀裂の抑制については言及しておらず、対策技術として不十分である。
また、特許文献5には、曲げ加工前に曲げ内側表面の一部に対し打撃痕を形成することで、曲げ加工後の疲労特性を向上させることが開示されている。しかし、特許文献5では、亀裂の発生を抑制する定量的な評価はなされていない。また、特許文献5では、打撃条件については、被加工材の曲げ加工時の曲げ半径に対する打撃用工具の先端の曲率半径のみが規定されている。すなわち、被加工材表面に付与される圧力については言及されておらず、量産性、すなわちプレス成形条件の管理の点で不十分であるという課題がある。
本発明は、上記のような点に着目してなされたもので、従来よりも高い量産性を有し、かつバーリング加工を含む曲げ加工の際に曲げの内側面に発生するしわや亀裂を抑制することが可能な技術を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために、金属板をプレス成形で曲げ加工する際に、曲げの内側面に発生するしわや亀裂が、金属板が有するどのような材料特性の影響を受けるのかを調査した。その結果、曲げ加工前の金属板の表面粗さが大きい材料ほど、曲げ加工した部分で上記しわや亀裂が発生しやすいという知見を得た。
このような知見に基づき、金属板を成形する際にしわや亀裂を安定して抑制可能な技術として、本発明を成した。
そして、課題解決のために、本発明の一態様は、金属板を曲げ加工してプレス部品を製造するプレス部品の製造方法であって、上記曲げ加工を行う本成形工程の前処理として、上記金属板の表面性状を変更する表面処理工程を備え、上記金属板における、上記本成形工程で曲げられる部分を曲げ部としたとき、上記表面処理工程は、上記曲げ部となる上記金属板の部分である曲げ加工予定部の少なくとも一部の面を含む、上記金属板の面の一部を工具で押圧して、押圧した面の表面性状を変更する処理を行い、上記工具での押圧は、押圧した面の表面粗さが小さくなる押圧力で実行する、ことを要旨とする。
本発明の態様では、バーリング加工を含む曲げ加工を実施する本成形工程の前に、金属板における、しわや亀裂が発生する可能性がある金属板表面の表面粗さを安定して低減する表面処理工程を導入した。
この結果、本発明の態様によれば、曲げ加工における曲げ部の内側面に発生するしわや亀裂をより抑制することが可能となった。
本発明の態様に基づく表面処理工程を施さない場合、曲げ加工でしわや亀裂が発生するような特性を有する金属板又は成形形状に対し、本発明の態様を用いることで、しわや亀裂の発生を抑制した曲げ加工が出来るという効果がある。
本発明に基づく実施形態に係る成形工程を示すフロー図である。 第1実施形態に係る表面処理工程を説明する概念図であり、(a)は押圧前、(b)は押圧後の状態を示す図である。 第1実施形態に係る本成形工程を説明する概念図である。 第2実施形態に係る表面処理工程を説明する概念図である。 曲げ加工予定部の領域を示す図である。 第2実施形態に係る本成形工程(バーリング加工)を説明する概念図である。 加工中の板形状を示す斜視図である。 実施例における、表面処理工程の金型構成を示す図である。 実施例における、本成形工程を説明する図である。 工具押し当て面圧と亀裂長さの関係を示す図である。 算術平均粗さRaと亀裂長さの関係を示す図である。 工具押し上げ面圧と算術平均粗さRaの関係を示す図である。
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
「第1実施形態」
(構成)
本実施形態のプレス部品の製造方法は、図1に示すように、本成形工程2と、その前処理としての表面処理工程1とを備える。
<表面処理工程1>
表面処理工程1は、曲げ加工を行う本成形工程の前処理として、金属板10の曲げ部位置の表面性状を変更して、曲げ加工用の金属板(ブランク)を得る工程である。
表面処理工程1では、まず、本成形工程2の曲げ加工で曲げられる金属板10での曲げ部ARA2の箇所を特定する(図3(a)参照)。
曲げ加工で曲げられる前における、金属板10における曲げ部ARA2となる箇所を、曲げ加工予定部ARA1とも呼ぶ(図2参照)。曲げ部ARA2は、割れやしわが発生すると推定されるだけの曲げ角度や曲率半径に曲げられる箇所に限定することが好ましい。その部分は、例えば、CAEによる成形解析によって推定できる。
表面処理工程1では、まず、図2(a)のように、押圧する面を上に向けた状態で金属板10を下型12の上に載せる。本実施形態の下型12の上面は、金属板10の下面と同じの平坦な面となっている。
その後、金属板10の上面のうち、曲げ加工予定部ARA1の面13に対し、図2(a)→図2(b)のように、上方から工具11(パンチ)を押し付ける。この工具11の押し付けによって、金属板10における曲げ加工予定部ARA1の面13に対し、押圧力を付与して、押圧した面の表面性状を変更する処理を行う。本実施形態では、面の表面性状の変更とは、表面粗さを小さくなるように変更する処理である。
ここで、工具11は、金属板10を押圧する押圧面11Aを有する。図2では、工具11がパンチから構成した場合を例示している。本実施形態の押圧面11Aは、曲げ加工時における曲げ部の曲げ半径(金型の肩部の半径)よりも半径が大きな断面円弧状の場合を例示している。
工具11の押圧面の表面粗さは、金属板10の表面粗さよりも小さいことが好ましい。
金属板10の表面を工具11で押圧する際の押圧力は、押圧した面の表面粗さが小さくできるだけの押圧力であれば良い。例えば、押圧力を、成形対象の金属板10の降伏応力の90%以上とする。押圧力を、成形対象の金属板10の降伏応力の90%以上とすることで、押圧した面の表面粗さを十分に低減し、その後の曲げ加工中に発生する亀裂長さを十分に抑制可能となる。上記押圧力は、例えば、成形対象の金属板10の降伏応力の160%以下が好ましい。
ただし、押圧した面が明らかに凹むほどの荷重を負荷する必要は無い。明らかに凹むとは、目視にて凹みが確認できる程度の凹みである。
ここで、図2(b)、図3(a)では、分かり易くするために、押圧面11Aで押圧した面13の部分が誇張されるように、押圧した面13を凹んだ状態で図示している。ただし、金属板10の弾性変形の範囲の荷重で押圧した場合には、明らかな凹みは残存しない。
また、工具11で押圧した面13の金属板10の表面粗さが、押圧前の表面粗さに対し、算術平均粗さRaで70%以下となるように、上記押圧を実行することが好ましい。算術平均粗さRaで70%以下とすることで、曲げ加工中に発生する亀裂長さを十分に抑制可能である。
また、工具11で押圧した面13の算術平均粗さRaが0.48μm未満となるように、工具11での押圧を調整することが好ましい。なお、上記の算術平均粗さRaの下限値は特に無い。
工具11で押圧する面は、その後の曲げ加工において曲げの内側となる側の、金属板10の面側であることが好ましい。
また、工具11で押圧する面は、本成形工程2における曲げ加工によって曲げられて曲率半径をもつ面の円弧の中央部を少なくとも含むことが好ましい。曲げ加工による曲げ部ARA2の断面は、所定の曲率半径を有する円弧状となっている。
表面処理工程1において、工具11を押し当てる面13と、曲げ加工によって曲げの内側となる面は、少なくとも一部が重なるようにすることで、曲げの内側となる面の表面粗さは、初期の金属板10材料における表面粗さよりも低減させることができる。
もっとも、工具11を押し当てられる範囲は、曲げ加工によって曲率半径を持つ領域(曲げ部の領域)以上の場合が好ましい。ただし、工具11で押圧する領域は、限定した方が良いため、曲げ部の領域の幅(曲げ方向に沿った方向の長さ)の2倍以下の領域に限定することが好ましい。図2は、曲げ部の内側の面全面を押圧する面に設定している例である。
上述のように、工具11の押圧面11Aは、曲げ加工時の曲げ方向に沿って断面円弧状であることが好ましい(図2参照)。
その工具11の押圧面11Aを構成する円弧の曲率半径は、本成形工程2で用いるダイ肩20aの肩半径及びパンチ肩21aの肩半径よりも大きいことが好ましい。工具11の押圧面11Aを規定する円弧の曲率半径を大きくすることで、金属板10に対し、広い幅の面に対し押圧が可能となり、局所的に急峻した荷重を負荷することを防止できる。また、工具11による金属板10表面への押圧が調整しやすくなる。さらに、円弧状の面で押圧することによって、押圧した面の中に、局所的な窪みが形成されることも防止される。
<本成形工程2>
本成形工程2は、図3のように、表面処理工程1で処理後の金属板10(ブランク)を曲げ加工して、目的とする曲げ形状を有するプレス部品を得る本成形の工程である。本成形工程としては、従来公知の、いずれの曲げ加工の方法を採用しても良い。
図3に示す曲げ加工の処理例では、ダイ20とブランクホルダー22で金属板10を拘束した状態で、パンチ21をプレス方向(図中上方)にストロークさせることで、金属板10を曲げ成形する曲げ加工が例示されている。この例では、ダイ肩部20aが当接する部分が曲げ部ARA2の内側の面となる。
(動作その他)
本実施形態では、本成形工程2の曲げ加工で金属板10を曲げ成形する前に、金属板10における、しわや亀裂が発生する可能性がある曲げ部ARA2における曲げ内側の面の表面粗さを安定して低減する工程を導入した。この結果、本実施形態によれば、曲げ加工における曲げ部ARA2の内側面に発生するしわや亀裂をより有効に抑制することが可能となった。
また、表面粗さの低減を押圧によって行うことで、安定した押圧力を金属板10の表面に付加することが可能となるので、安定して金属板10の表面性状を改善できる。この結果、本実施形態の方法は、高い量産性を有し、実際の自動製造工程などのプレス部品を量産する製造ラインに適用することができる。
ここで、本実施形態の表面処理工程1を施さない場合に、曲げ加工でしわや亀裂が発生するような特性を有す金属板10、又は成形形状に対し、本発明の態様を用いることで、しわや亀裂の発生を抑制して成形できるという効果がある。
「第2実施形態」
次に、第2実施形態について図面を参照して説明する。
本実施形態では、本成形工程2における曲げ加工がバーリング加工の場合の例である。ただし、基本的な構成は、第1実施形態と同様である。
すなわち、本実施形態のプレス部品の製造方法も、図1に示すように、本成形工程2と、その前処理としての表面処理工程1とを備える。
バーリング加工は、穴部の外周を立ち上がらせるように曲げ加工を行う。この立上り部の付け根の湾曲部が曲げ部ARA2となる(図7参照)。
<表面処理工程1>
本実施形態の表面処理工程1では、図4に示すように、穴開け加工で使用した下型を、本工程の下型31としている。そして、その下型31の上に載置されている、穴33が開口した金属板10の上面における、曲げ部ARA2となる曲げ加工予定部ARA1の領域に対し、工具11を押し付ける。この工具11の押し付けによって、曲げ加工予定部ARA1を押圧して、曲げ加工予定部ARA1の面13の表面性状を改善する。押圧力などの条件は、第1実施形態と同様に設定する。
本例では、曲げ加工予定部ARA1の領域は、図5に示すように、穴33の外周輪郭に近似した円環状の領域になっている。このため、本実施形態では、工具32における、少なくとも押圧側の形状が円筒形状となっていて、その円筒形状の先端面からなる押圧面32Aが、円環形状となっている。
押圧面32Aの形状は、図4のように、幅方向(穴33の径方向)に沿った断面が平坦形状の面(本成形工程2で用いる金型の肩部の肩半径よりも大きな半径の面)となっている。ただし、幅方向両端部が円弧状断面となっていて、押圧によって明瞭な段差が形成されないように構成している。これによって、穴33の径方向において、金属板10の面に対し、押圧が安定して均一に掛かるようになる。もっとも、押圧面32Aの形状は、幅方向に沿って、第1実施形態と同様に断面円弧状であってもよい。
なお、穴開け加工を、表面処理工程1での処理後に実行しても良い。
<本成形工程2>
本成形工程2では、図6のように、表面処理工程1で表面粗さを改善した領域ARA1で湾曲するように加工する。具体的には、工具11を押し当てられた面13が、バーリング加工部(立上り部34)の根元の曲げの内側となるように、材料をバーリング加工する。
図6の例では、下型42とダイ40で、穴33の外周を拘束した状態で、パンチ41をプレス方向にストロークすることで、穴33を拡径するバーリング加工を施す。
図7は、バーリング加工途中の金属板10の形状を示す斜視図である。
(作用その他)
本実施形態の作用や効果は、第1実施形態と同様である。
(その他)
本開示は、次の構成も取り得る。
(1) 金属板を曲げ加工してプレス部品を製造するプレス部品の製造方法であって、
上記曲げ加工を行う本成形工程の前処理として、上記金属板の表面性状を変更する表面処理工程を備え、
上記金属板における、上記本成形工程で曲げられる部分を曲げ部としたとき、
上記表面処理工程は、上記曲げ部となる上記金属板の部分である曲げ加工予定部の少なくとも円弧の中央部を含む、上記金属板の面の一部を工具で押圧して、押圧した面の表面性状を変更する処理を行い、
上記工具での押圧は、押圧した面の表面粗さが小さくなる押圧力で実行する。
(2) 上記工具で押圧する面は、上記曲げ加工において曲げの内側となる金属板表面である。
(3) 上記押圧力を、成形対象の金属板の降伏応力の90%以上とする。
(4) 上記工具で押圧した面の金属板の表面粗さを、押圧前の表面粗さに対し、算術平均粗さRaで70%以下となるように、上記押圧を実行する。
(5) 上記工具で押圧した面の算術平均粗さRaを0.48μm未満とする。
(6) 上記工具における上記金属板を押圧する面の表面粗さは、上記金属板の表面粗さより小さい。
(7) 上記曲げ加工は、バーリング加工である。
(8) 金属板を曲げ加工してプレス部品を製造する際に使用される上記金属板であって、
上記曲げ加工で曲げられる部分の曲げ内側の面の表面粗さが、他の部分の面の表面粗さよりも小さい。
(9) 上記曲げ内側の面の表面粗さは、算術平均粗さRaが0.48μm未満である。
(10) 金属板を曲げ加工してプレス部品を製造する際に使用される上記金属板の製造方法であって、
上記金属板における、上記曲げ加工で曲げられる部分を曲げ部としたとき、
上記曲げ部となる上記金属板の面の少なくとも一部を工具で押圧して、押圧した面の表面性状を変更する表面処理を施し、
上記工具での押圧は、押圧する面の表面粗さが小さくなる押圧力で実行する。
(11) 上記押圧力を、上記押圧する面の算術平均粗さRaが0.48μm未満となる押圧力に設定する。
次に、本実施形態に基づく実施例について説明する。
本例では、本成形工程2において、金属板10(材料)をV字状に曲げ加工する場合を例に挙げる(図9参照)。
<表面処理工程1>
表面処理工程1での処理として、図8に示すように、上面が平坦な下型12の上に金属板10を載せる。そして、工具11として、押圧側の先端部(押圧面11A)に曲率を有する90度V字金型を使用して、その工具11の押圧面11Aを、金属板10の上面に押し当てる。
成形対象の金属板10として、引張強さ780MPa級、板厚2.6mmの熱延鋼板を用いた。
工具11として、先端の押圧面11Aの曲率半径が4.0mm、6.0mm、10.0mm、15.0mmの4種類のV字金型を用いた。また、工具11を押し当てた際の最大荷重が、4tonf、8tonf、12tonfとなる3条件で実験を行った。このように、全12条件で、本開示に基づく表面処理工程1をそれぞれ実行した。
そして、工具11を押し当てて表面処理工程1を実行後の、押圧した表面(工具押し当て面)の詳細な観察と、触針式粗さ計を用いて測定した当該工具押し当て面の断面曲線から、各条件での工具11の押し当て幅及び押し当て面積を調査した。このとき、工具押し当て時の最大荷重をその面積で除して、各条件における押し当て面圧(押圧力)を求めた。
また、表面処理工程1での処理後の押圧面(工具押し当て面)の表面粗さは、触針式粗さ計を用いて工具11の押圧跡を横断するような向きで測定し、測定後に範囲を選択して、工具押し当て面における算術平均粗さRaを求めた。粗さ測定条件は、縦倍率2000倍、横倍率50倍、カットオフ0.08mm、送り速さ0.1mm/sec、測定長さ4mmとした。
その各条件における、工具押し当て面積、工具押し当て面圧、工具押し当て面Raの測定結果を、表1、表2、及び表3に示す。
なお、「工具押し当て面Ra」とは、工具11を押し付けた表面である、工具押し当て面の算術平均粗さRa[μm]を指す。
Figure 2024028215000002
Figure 2024028215000003
Figure 2024028215000004
<本成形工程2>
また本実施例の本成形工程2として、図9に示すように、表面処理工程1でV字金型(工具11)が押し当てられた曲げ加工予定部ARA1の押圧面13が曲げの内側となるように、表面処理工程1後の金属板10をダイ50の上に載せた。そして、V字パンチ金型51によってV字状に曲げ加工を施した。なお、V字パンチ金型51のパンチ先端半径は2.5mmとした。すなわち、工具の押圧面の曲率半径よりも小さい値となっている。
なお、本実施例では、押圧面13は少なくとも曲げ加工予定部ARA1の曲げ加工後の曲率半径をもつ面の円弧の中央部を含むように実施した。
この本成形工程2を、各条件で表面処理を行った各金属板10に対して実行した。
次に、曲げ加工後の各金属板10(材料)に対し、材料の曲げ部の断面(曲げ断面)が観察できるように曲げ稜線に対し垂直な方向(曲げ方向)で材料を切断した。そして、曲げ断面が観察できるように樹脂に埋め、樹脂からなる観察面を研磨し、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、本実施例の各サンプルにおける曲げ断面について詳細に観察した。
また、以上のような処理とは別に、表面処理工程1を実行せずに本成形工程2だけを実行して曲げ加工した従来例を用意した。また、前処理として金属板の表面を鏡面仕上げ研磨した後に本成形工程2で曲げ加工した比較例を用意した。そして、従来例及び比較例についても、上記の同様の方法で調査、観察した。
<評価1>
本発明に基づく実施例と、従来例及び比較例との各サンプルについて、SEM観察像から曲げ内側に発生した亀裂長さを測定した。そして、工具押し当て面圧と工具押し当て面の表面粗さとの関係を調査した。
図10は、本実施例及び従来例における工具押し当て面圧と亀裂長さの関係を示した図である。図10において、従来例は、工具押し当て面圧=0としてプロットした。
図10から分かるように、従来例の亀裂長さが18μmに対し、工具押し当て面圧が650MPa以上付与された条件では、亀裂長さは8μm以下となり、十分な亀裂抑制効果を示した。本実施例で用いた金属板10の材料の降伏応力が720MPaであることから、材料の降伏応力に対し90%以上の面圧を付与することが好ましいことが示された。ただし、面圧が1180MPaの条件では亀裂抑制効果が得られない反例が認められた。すなわち、この例では、材料の降伏応力の160%以下の面圧付与が好ましいことが分かった。なお、本発明では、押圧によって面圧を付与するため、面圧調整が容易である。
<評価2>
図11は、本実施例及び従来例、比較例における、本成形工程2前の金属板10の算術平均粗さRaと亀裂長さの関係を示したグラフである。
図11から分かるように、算術平均粗さRa=0.48以下の条件で亀裂長さは8μm以下となり、十分な亀裂抑制効果を奏することが分かった。
そして、金属板10の初期の算術平均粗さRaが0.72μmであることから、金属板の初期表面粗さに対し70%以下となることが好ましいことが示された。ただし、算術平均粗さRaが0.23μmとなる条件では亀裂抑制効果が得られない反例が認められた。すなわち、本例では、算術平均粗さRaが0.23μmより大きいことが好ましいことが分かった。
また、図11のように、比較例においても亀裂抑制効果が得られることから、金属板10表面の表面粗度が小さくできれば、押圧力は小さくても構わないことが分かった。すなわち、表面粗度の改善のために、衝突などのような大荷重の負荷が不要で有ることが分かった。なお、比較例のような鏡面仕上げ研磨は、量産性が低い。
<評価3>
図12は、工具押し当て面圧と、工具押し当て面の算術平均粗さRa(工具押し当て面Ra)との関係を示したグラフである。
図12から分かるように、工具押し当て面圧が650MPa以上付与された条件で算術平均粗さRa=0.48以下となり、十分な亀裂抑制効果を示す両者の条件は合致することが示された。
ここで、上記実施例では90度V字曲げ加工の場合について説明したが、本発明は、これに限るものではなく、L字曲げやバーリング加工の湾曲部などでも適用できる。また、上記実施例では引張強さ780MPa級、板厚2.6mmの熱延鋼板を用いた場合について説明したが本発明はこれに限るものではなく、異なる素材、強度、板厚の金属材料にも適用できる。ただし、本発明は、引張強さ780MPa以上の鋼板などの金属板に好適な技術である。
1 表面処理工程
2 本成形工程
10 金属板
11 工具
11A 押圧面
12 下型
13 押圧面
20 ダイ
21 パンチ
22 ブランクホルダー
31 下型
32 工具
32A 押圧面
33 穴
34) 立上り部
40 ダイ
41 パンチ
42 下型
ARA1 曲げ加工予定部
ARA2 曲げ部

Claims (11)

  1. 金属板を曲げ加工してプレス部品を製造するプレス部品の製造方法であって、
    上記曲げ加工を行う本成形工程の前処理として、上記金属板の表面性状を変更する表面処理工程を備え、
    上記金属板における、上記本成形工程で曲げられる部分を曲げ部としたとき、
    上記表面処理工程は、上記曲げ部となる上記金属板の部分である曲げ加工予定部の少なくとも円弧の中央部の面を含む、上記金属板の面の一部を工具で押圧して、押圧した面の表面性状を変更する処理を行い、
    上記工具での押圧は、押圧した面の表面粗さが小さくなる押圧力で実行する、
    プレス部品の製造方法。
  2. 上記工具で押圧する面は、上記曲げ加工において曲げの内側となる金属板表面である、
    請求項1に記載するプレス部品の製造方法。
  3. 上記押圧力を、上記金属板の降伏応力の90%以上とする、
    請求項1に記載したプレス部品の製造方法。
  4. 上記工具で押圧した面の金属板の表面粗さが、押圧前の表面粗さに対し、算術平均粗さRaで70%以下となるように、上記押圧を実行する、
    請求項1に記載したプレス部品の製造方法。
  5. 上記工具で押圧した面の算術平均粗さRaを0.48μm未満とする、
    請求項1に記載したプレス部品の製造方法。
  6. 上記工具における上記金属板を押圧する面の表面粗さは、上記金属板の表面粗さより小さい、
    請求項1に記載したプレス部品の製造方法。
  7. 上記曲げ加工は、バーリング加工である、
    請求項1~請求項6のいずれか1項に記載したプレス部品の製造方法。
  8. 金属板を曲げ加工してプレス部品を製造する際に使用される上記金属板であって、
    上記曲げ加工で曲げられる部分の曲げ内側の面の表面粗さが、他の部分の面の表面粗さよりも小さい、
    プレス加工用の金属板。
  9. 上記曲げ内側の面の表面粗さは、算術平均粗さRaが0.48μm未満である、
    請求項8に記載したプレス加工用の金属板。
  10. 金属板を曲げ加工してプレス部品を製造する際に使用される上記金属板の製造方法であって、
    上記金属板における、上記曲げ加工で曲げられる部分を曲げ部としたとき、
    上記曲げ部となる上記金属板の面の少なくとも一部を工具で押圧して、押圧した面の表面性状を変更する表面処理を施し、
    上記工具での押圧は、押圧する面の表面粗さが小さくなる押圧力で実行する、
    プレス加工用の金属板の製造方法。
  11. 上記押圧力を、上記押圧する面の算術平均粗さRaが0.48μm未満となる押圧力に設定する、
    請求項10に記載したプレス加工用の金属板の製造方法。
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