JP2000042635A - プレス成形方法およびその装置 - Google Patents

プレス成形方法およびその装置

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JP2000042635A JP21452598A JP21452598A JP2000042635A JP 2000042635 A JP2000042635 A JP 2000042635A JP 21452598 A JP21452598 A JP 21452598A JP 21452598 A JP21452598 A JP 21452598A JP 2000042635 A JP2000042635 A JP 2000042635A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ハット形断面形状のプレス成形において、ポ
ンチ肩部でのスプリングバックやポンチ側壁部での壁そ
りなどの形状不良を防止できるプレス成形方法およびそ
の装置を提供する。 【解決手段】 ダイ曲げ肩部半径が板厚の1.0〜2.
5倍で、ポンチとダイのクリアランスが板厚の1.0〜
1.4倍で、しわ押さえ力が材料流入幅当たり0〜50
0kN/mであって、プレス成形により発生する壁反り
の曲率ρ、しわ押さえ力BHFとの間に、ρ=F(BH
F)の関係を与え、この関係に基づき、曲率が小さくな
るようにしわ押さえ力を付加する。更に、ポンチの行程
が成形開始後下死点の直前までの間は、ポンチ頭部で金
属板にたわみを付与し、下死点でたわみを解消して成形
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属板を金型を用
いてハット形断面形状に成形するプレス成形方法および
その装置に関し、特に高強度鋼板の成形におけるスプリ
ングバックや壁そりなどの形状不良の発生を防止するプ
レス成形方法およびその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】金属板をプレス成形して様々な形状・寸
法の製品を製造する際、金型から成形品を取り出すと、
金型内に拘束していた状態とは異なった形状に変化し、
形状不良が発生することは、形状凍結不良としてよく知
られている現象である。この形状不良は、プレス成形時
に金属板内に発生する板厚方向の残留応力の不均一が原
因で弾性回復変形をすることによるものである。
【0003】図1は、自動車車体などのメンバ部品であ
るハット形断面のプレス成形品Aの模式図である。この
ようなハット形断面のプレス成形(以下、ハット成形と
もいう)においては、Bの部位にスプリングバック(角
度不良)や壁そりなどの形状不良が発生する。これらの
形状不良は、最終製品の外観形状を著しく損なうばかり
でなく、プレス成形後の組立作業において、溶接不良な
どの原因となる。
【0004】形状不良を防止する方法として、金属板の
材料特性の面から、弾性変形量が減少できる低降伏点材
や高ヤング率材などの適用が効果的であるとされてい
る。しかしながら、近年は、自動車などを中心として車
体の軽量化および衝突安全性向上を目的として、高強度
材料の使用ニーズが増しており、形状不良問題が高強度
材の適用拡大を制約する要因にもなっている。
【0005】ハット形断面形状の成形品の形状不良を改
善する成形方法としては、予測されるスプリングバック
代を考慮してオーバベンディングして成形する方法や、
成形後矯正する方法があるが、設備コストや生産性の点
で問題がある。また、壁そり対策として、板厚方向の残
留応力差を緩和するために、しわ押さえ力を加え板面内
方向に張力を与える方法が知られている。この方法は、
張力により板厚方向の応力分布を変更するものである
が、特に高強度材の成形では、通常、材料流入幅当たり
1000kN/m程度以上の大きなしわ押さえ力が必要
で、それでも壁反りの抑制が不充分であったり、しわ押
さえ力を強くすると板厚減少や最悪の場合には板破断を
招くこともある。
【0006】特開昭56−117831号公報には、U
形曲げ型を使用してハット形断面形状に板を成形する方
法において、ダイ曲げ肩部半径を板厚の1〜2.5倍に
取り、ポンチとダイのクリアランスを板厚の1.0〜
1.4倍に設定して、側壁部のそりを防止する曲げ成形
法が提示されている。
【0007】特開平7−155843号公報には、壁そ
り防止対策として、金属板に固体潤滑剤を塗布し、ポン
チとダイのクリアランスを板厚以下にしてハット形断面
形状に成形する金属板の曲げ加工方法が提示されてい
る。
【0008】ポンチ肩部でのスプリングバックに関して
は、文献(IDDRG the 8th biennialcongress,September
1974)に、ポンチとダイでおこなう単純U曲げ成形に
おいて、ポンチ頭部にたわみを付与する方法が提案され
ている。なお、単純U曲げ成形とハット成形とは、ポン
チ肩部の材料に作用する張力が大きく異なり、ハット成
形に上記方法を適用した例はない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】特開昭56−1178
31号公報に提示された方法は、ダイ肩部での曲げがポ
ンチ側壁部に移る過程で逆方向の曲げ(以下、逆曲げと
いう)を受ける条件を設定することによって、壁そりの
抑制を図るものであるが、逆曲げを生じさせるダイ曲げ
肩部半径は材料強度および材料特性によって異なってお
り、許容範囲が狭く、プレス成形の際の調整作業に時間
を要し、生産能率が低下するといった問題や、ダイ曲げ
肩部半径に十分な精度を確保する必要があり金型コスト
が上昇する問題もある。
【0010】特開平7−155843号公報に提示され
た方法は、ポンチとダイのクリアランスを板厚より小さ
くして鋼板をしごくことにより板厚方向の残留応力を軽
減するものであるが、プレス成形品が複雑な形状である
場合には、部分的にしごきが過度になり、その部分で焼
き付きが発生し易くなるといった問題がある。さらに、
固体潤滑材の使用による工程の複雑化や生産コストの上
昇の問題もある。スプリングバックに関しては、特に有
効な対策は提案されていない。
【0011】本発明の課題は、ハット形断面形状のプレ
ス成形において、上記従来の問題を解決し、ポンチ側壁
部での壁そりやポンチ肩部でのスプリングバックなどの
形状不良を防止できるプレス成形方法およびその装置を
提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】ハット成形において、金
属板はダイ肩部で曲げられた後、ポンチとダイの間に引
き込まれて曲げ戻し変形を受ける。この時に生じる残留
応力の板厚方向における分布が不均一になると、形状不
良となる壁そりが発生する。板厚方向の残留応力が均一
になれば壁そりは発生しない。金属板にしわ押さえ力を
加え、曲げ戻しを受けた側壁部に引張り力を付加して残
留応力を均一化できれば、壁そりは抑制される。しか
し、高強度材のプレス成形の際には、破断防止のため
に、引張り力が低く抑えられるので充分な効果が得られ
ない。
【0013】本発明者らは、このようなプレス成形過程
での金属板の変形挙動を詳細に調査した結果、ダイ曲げ
肩部半径ならびにポンチとダイのクリアランスを特定範
囲に規定してダイ曲げ肩部通過後に逆曲げを発生させ、
この逆曲げをしわ押さえ力でコントロールすることによ
り、小さなしわ押さえ力で壁そりの発生を抑制すること
ができ、更に、壁反りの曲率としわ押さえ力の関係に基
づき、しわ押さえ力を調整することにより壁そりを効果
的に防止できることを知見した。
【0014】しかし、上記の方法では、壁反りは抑制さ
れるが、スプリングバックは依然問題になることが判っ
た。そこで、本発明者らは、ハット成形時の形状不良で
あるスプリングバック対策として、ポンチ頭部にたわみ
を付与することを想到し、金属板の変形挙動を調査し
た。その結果、ダイ曲げ肩部半径ならびにポンチとダイ
のクリアランスを特定範囲に規定し、しわ押さえ力を付
加する上記方法において、更に、ポンチ頭部にたわみを
付与し、ポンチ行程の下死点でおこなう決め押しによ
り、スプリングバックは抑制されるとの知見を得た。
【0015】本発明は、上記知見に基づくもので、その
要旨は、以下の(1) 〜(4) のとおりである。
【0016】(1) ダイ、ポンチおよびブランクホルダを
有するプレス成形装置を用いて金属板をハット形断面形
状に成形する方法において、ダイ曲げ肩部半径が板厚の
1.0〜2.5倍で、ポンチとダイのクリアランスが板
厚の1.0〜1.4倍で、しわ押さえ力が材料流入幅当
たり0〜500kN/mであって、該成形により発生す
る壁反りの曲率ρ、該しわ押さえ力BHFとの間に、ρ
=F(BHF)の関係を与え、この関係に基づき、該曲
率が小さくなるようにしわ押さえ力を付加することを特
徴とするプレス成形方法。
【0017】(2) ポンチの行程が成形開始後下死点の直
前までの間は、ポンチ頭部で金属板にたわみを付与し、
下死点で該たわみを解消して成形することを特徴とする
上記(1) 項に記載のプレス成形方法。
【0018】(3) ダイ、ポンチおよびブランクホルダを
有し、金属板をハット形断面形状に成形するプレス成形
装置であって、ブランクホルダによる金属板のしわ押さ
え力を調節するしわ押さえ調節装置をダイまたはブラン
クホルダのいずれかのお互いに対向する面上に設けたこ
とを特徴とするプレス成形装置。
【0019】(4) 金属板のたわみ量を調節するたわみ調
節装置をポンチ頭部に設けたことを特徴とする上記(3)
項に記載のプレス成形装置。
【0020】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の内容を詳細に説
明する。本発明のプレス成形装置に本発明の方法を適用
する場合を例にして、本発明のプレス方法を説明する。
【0021】図2は、本発明の方法を適用する本発明の
プレス成形装置の概念図である。図2において、本発明
の方法は、ダイ1、ポンチ2およびブランクホルダ3を
有するプレス成形装置を用いて、ダイ曲げ肩部半径Rd
が板厚の1.0〜2.5倍で、ポンチ2とダイ1のクリ
アランスが板厚の1.0〜1.4倍で、しわ押さえ力が
材料流入幅当たり0〜500kN/mであり、更に、該
成形により発生する壁反りの曲率ρ、該しわ押さえ力B
HFとの間に、ρ=F(BHF)の関係を与え、この関
係に基づき、該曲率が小さくなるように、具体的には
「許容範囲内にくるように」しわ押さえ力を付加して成
形することを特徴とする。なお、同図で、符号4はしわ
押さえ調節装置、5はたわみ調節装置、6は決め押しブ
ロック、7は被成形材である金属板である。
【0022】ダイ曲げ肩部半径Rdが過小だとダイ曲げ
肩部での逆曲げが強く内側に曲率中心を持つ壁反り(以
下、内反りという)が発生し、過大だと逆曲げ効果が少
なく外側に曲率中心を持つ壁反り(以下、外反りとい
う)が残る。よって、ダイ曲げ肩部半径は、板厚の1.
0倍以上2.5倍以下とした。
【0023】ポンチとダイのクリアランスが過小だと逆
曲げの効果が少なく、また最悪の場合、型かじりが発生
し表面欠陥を招く。また、過大でも逆曲げの効果が少な
い。よって、ポンチとダイのクリアランスは、板厚の
1.0倍以上1.4倍以下とした。
【0024】しわ押さえ力が過大になると、ダイ曲げ肩
部の逆曲げ効果を打ち消して外そりが発生すると共に、
板厚減少が生じやすく、最悪の場合には破断する。更
に、特に、高強度材の成形においては、材料と金型の接
触面圧が高くなり型かじりが発生し品質欠陥や金型の損
傷を招きやすい。よって、しわ押さえ力は、材料流入幅
当たり500kN/m以下とした。
【0025】図3は、しわ押さえ力(BHF)と壁そり
量との関係の一例を示すグラフである。図3に示すよう
に、BHFが0kN/mの場合には内そりが発生し、B
HFを付加すると内そり量が減少して、壁そりがほとん
どない最適なBHFが存在し、更にBHFを増加すると
外反りに変化する。図3に示すグラフより、壁反りの曲
率ρ、該しわ押さえ力BHFとの間に、ρ=F(BH
F)の関係を与え、この関係に基づき、該曲率が小さく
なるように、例えば±0.0006(1/mm)以内に
なるようにしわ押さえ力を付加することにより壁反りを
抑制することができる。通常、プレス成形は、1ロット
当たり10ton程度にロットを集約しておこなうの
で、1ロット毎に試成形をして上記の関係式を求めるこ
とができる。また、予め、材質や板厚毎に試成形をおこ
ない、それぞれの条件に応じた関係式を作成しておいて
もよい。
【0026】次に、本発明方法の好適態様について説明
する。図4は、本発明装置に係わるたわみ調節装置をポ
ンチ頭部に設けた状況を模式的に示す断面図で、同図
(A)は成形途中、同図(B)は成形終了時である。
【0027】本発明の好適態様の方法は、例えば図2に
示すプレス成形装置を用い、図4(A)に示すように、
ポンチの行程が成形開始後下死点の直前までの間は、た
わみ調節装置によりポンチ頭部で金属板にたわみを付与
し、下死点で、同図(B)に示すように、決め出しブロ
ックの作用によりブロックの押し込みがおこなわれ、該
たわみを解消する。その結果、ポンチ頭部から壁に向か
い、たわみの量に相当する金属材の供給がおこなわれ、
スプリングバックの発生を効果的に抑制することができ
る。たわみ調節装置で付与するたわみの量は、特に限定
しないが、過大だと、側壁が内側に向く形状不良(スプ
リングゴー)が発生する。通常、ポンチ幅が100mm
程度においてたわみ量は、ポンチ頭部の中央部で3mm
程度で、最大でも10mm程度以下である。
【0028】次に、本発明のプレス成形装置について説
明する。図2において、本発明は、ダイ1、ポンチ2お
よびブランクホルダ3を備え、金属板7をハット形断面
形状に成形するプレス成形装置であって、ブランクホル
ダ3のしわ押さえ力を調節するしわ押さえ調節装置4を
ダイ1またブランクホルダ3のいずれかのお互いに対向
する面上に設け、更に好ましくは、ポンチ頭部8に金属
板のたわみを調節するたわみ調節装置5を設けたことを
特徴とする。
【0029】図5は、しわ押さえ装置をダイに設けた状
況を模式的に示す断面図である。
【0030】図6は、しわ押さえ装置およびたわみ調節
装置の板幅方向における設置位置を模式的に示す平面図
である。
【0031】しわ押さえ調節装置4は、図5の例では、
複数個のバネ10とそのバネの一端に設けた押圧ブロッ
ク11を有し、図6に示すように、前記バネ10は、ダ
イ1の板幅方向に配置され、バネ力で押圧ブロック11
をブランクホルダ3に押圧することにより、図示してい
ない油圧シリンダなどの押圧機構によりブランクホルダ
3を介して金属板7に作用するしわ押さえ力を調節する
ことができる。バネ10の押圧力は、バネ強度(バネ定
数)やバネ底に挿入するスペーサ(図示無し)の厚さで
調節できる。なお、図5は、しわ押さえ調節装置をダイ
に設けた例であるが、ブランクホルダに設けてもよい。
【0032】たわみ調節装置5は、図4に示すように、
バネ13とそのバネの一端に設けたブロック12を有
し、ポンチ頭部8で板幅方向に複数個配置され、ブロッ
ク12を介してバネ力で金属板7を押圧してたわみを形
成することができる。金属板のたわみ量は、バネ強度
(バネ定数)やバネ底に挿入するスペーサ(図示無し)
の厚さを変更することにより調節できる。
【0033】たわみ調節装置やしわ押さえ装置は、上述
したようにバネの力を利用するのに限定されるものでな
く、例えば、油圧や空圧などの液圧装置などを用いても
よい。
【0034】しわ押さえ調節装置を設けたことによっ
て、 (1)ブランクホルダによる金属板のしわ押さえ力を適
正な範囲に調節でき、壁そりを効果的に抑制することが
できる。具体的には、ダイ肩部での逆曲げ現象による内
そりの発生としわ押さえによる外そりの発生とを適正に
組み合わせて、壁そりを抑制する。
【0035】(2)ダイ曲げ肩部半径の適用可能範囲が
広がり、金型寸法や材料特性のばらつきに対応できる。
【0036】(3)しわ押さえ調節装置としては、バネ
式あるいは液圧式などのコンパクトな装置をダイまたは
ブランクホルダに設け、ブランクホルダやダイに当接し
て押し力を発生させることにより、しわ押さえ力を高精
度で調節することができる。
【0037】ポンチ頭部にたわみ調節装置を設けたこと
によって、 (1)ポンチ頭部に適正なたわみを付与することがで
き、決め押しが効果的におこなわれスプリングバックを
抑制することができる。 (2)たわみ調節装置としては、バネ式あるいは液圧式
などのコンパクトな装置をポンチ頭部に設け、たわみを
調整することができる。
【0038】次に、本発明のプレス装置による成形作業
について説明する。図2において、まず、ダイとブラン
クホルダのクリアランスを設定するディスタンスブロッ
ク(図示無し)を挿入し、すなわち、しわ押さえ力を付
与しない状態で、わずかに内そりとなるダイ曲げ肩部半
径を有するダイを選定する。このとき、ダイ曲げ肩部半
径は材料強度や板厚が変化しても内そりとなる条件を選
ぶことで、材料強度や板厚の変化に対応できる。次い
で、しわ押さえ調節装置を調節しながらしわ押さえ力を
付与して試成形をし、壁反りの曲率ρとしわ押さえ力B
HFとの間の関係(ρ=F(BHF))を求め、この関
係に基づき、壁そりが真直ぐに伸ばされる最適なしわ押
さえ力を設定する。このとき、金型の加工精度や形状的
な要因によって左右に不均等な壁そりが現れる場合に
は、しわ押さえ調整装置の左右のバランスを調整してや
れば良い。
【0039】このようにして設定したしわ押さえ力を付
加し、更に、たわみ発生装置によりポンチ頭部の金属板
にたわみを付加した状態でポンチをストロークする。ポ
ンチ行程の下死点では、ポンチ頭部の金属板は決め押し
ブロックとポンチにより狭圧されてたわみが解消され
る。上記のようにプレス成形がおこなわれ、壁そりとス
プリングバックの両方の抑制ができる。
【0040】
【実施例】(実施例1)図2に示す基本構想で、表1に
主仕様を示すしわ押さえ調節装置とたわみ調節装置を備
えたプレス成形装置を製作した。
【0041】
【表1】
【0042】プレス成形装置の工具寸法は、ポンチが長
さ(図2で紙面に垂直な方向)300mm、幅100m
m、肩半径5mmで、ダイ曲げ肩部半径は1.4〜2.
6mmの4種類を製作した。ポンチとダイのクリアラン
スは板厚の1.2倍で1.44mmとした。しわ押さえ
調整装置は、バネ定数が1000kgf/mm2 のバネ
式とし、ダイの上部でその両側に各5個設けた。たわみ
調整装置は、バネ定数が40kgf/mm2 で最大スト
ロークが10mmのバネ式とし、ポンチ頭部の中央部に
幅方向に3個設けた。
【0043】(実施例2)実施例1の本発明のプレス装
置を加圧能力2500kNの複動式油圧プレスに取り付
け、表2に示す板厚1.2mm、幅100mm、長さ3
00mmの590MPa級の高強度鋼板を用いて、成形
深さが70mmのハット形断面の成形品にプレス成形し
た。潤滑油は一般防錆油を使用した。
【0044】
【表2】
【0045】なお、本成形に先立ち、しわ押さえ力が
0、300、500kN/mになるようにしわ押さえ調
節装置を調節して試成形をおこない、ダイ曲げ肩部半径
4種類のそれぞれの条件における壁反りの曲率を測定し
て壁反りの曲率としわ押さえ力との関係を求め、その関
係に基づき曲率がゼロになるように、しわ押さえ力を決
定した。なお、たわみ量は0mmとした。表3に上記方
法にて決定したしわ押さえ力を示す。
【0046】
【表3】
【0047】なお、従来例は、しわ押さえ力を0kN/
mとした以外は本発明例と同様の条件で成形した。表3
に示すしわ押さえ力の条件により得られた成形品の壁反
り量とスプリングバック量を調査した。
【0048】図7は、壁反り量とスプリングバックの測
定方法を示す模式図で、壁反り量は、成形品の底部から
15mm、30mm、45mmの3点を通る円弧として
近似し、曲率(ρ)を求めて壁反りを評価し、スプリン
グバックは、底部から15mmと45mmの2点を結ぶ
直線と底部の垂線のなす角度(θ)で評価した。壁反り
は曲率が小さいほど良好であり、スプリングバック量は
角度が0°に近いほど良好である。表4に壁反り量の測
定結果を示す。
【0049】
【表4】
【0050】従来例は、Rdが2.6mmで壁反りの発
生が少なく良好であったが、他の条件では、大きな壁反
りが発生した。本発明例では、Rdが1.4〜2.6m
mで壁反りの発生が少なく良好であり、従来例に比べ、
Rdの許容範囲が広がった。
【0051】なお、スプリングバック量は、本発明法、
従来法とも1.0〜2.0°程度と大きく、形状不良で
あった。
【0052】(実施例3)実施例2の条件で、更に、た
わみ調整装置により2〜5mmのたわみを付与してプレ
ス成形を実施した。たわみを付与した以外は、実施例2
の本発明例と同様の条件である。表5に、スプリングバ
ックの調査結果を示す。
【0053】
【表5】
【0054】表5に示すように、スプリングバック量
は、いずれも0.3°未満となり、たわみの付与により
著しく改善した。
【0055】
【発明の効果】本発明により、高強度鋼板を使用した場
合のハット形断面形状を有するプレス成形品の形状凍結
性を著しく改善することができ、かつ適度なBHFを付
与できる機構を有しているために、金型精度、材料特性
のバラツキに柔軟に対応できる。自動車のメンバー部材
に高強度鋼板の適用が可能となり、自動車車体の軽量化
と衝突安全性の向上に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【図1】自動車車体などのメンバ部品であるハット形断
面のプレス成形品の模式図である。
【図2】本発明の方法を適用する本発明のプレス成形装
置の概念図である。
【図3】しわ押さえ力(BHF)と壁そり量との関係の
一例を示すグラフである。
【図4】本発明装置に係わるたわみ調節装置をポンチ頭
部に設けた状況を模式的に示す断面図で、同図(A)は
成形途中、同図(B)は成形終了時である。
【図5】バネ式しわ押さえ調節装置をダイに設けた状況
を模式的に示す断面図である。
【図6】しわ押さえ力調節装置およびたわみ調節装置の
板幅方向における設置位置を模式的に示す平面図であ
る。
【図7】壁反り量とスプリングバックの測定方法を示す
模式図である。
【符号の説明】
1 ダイ 2 ポンチ 3 ブランクホルダ 4 しわ押さえ調節装置 5 たわみ調節装置 6 決め押しブロック 7 金属板 8 ポンチ頭部 9 決め押しブロック 10、13 バネ 11 押圧ブロック 12 ブロック

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ダイ、ポンチおよびブランクホルダを有
    するプレス成形装置を用いて金属板をハット形断面形状
    に成形する方法において、ダイ曲げ肩部半径が板厚の
    1.0〜2.5倍で、ポンチとダイのクリアランスが板
    厚の1.0〜1.4倍で、しわ押さえ力が材料流入幅当
    たり0〜500kN/mであって、該成形により発生す
    る壁反りの曲率ρ、該しわ押さえ力BHFとの間に、ρ
    =F(BHF)の関係を与え、この関係に基づき、該曲
    率が小さくなるようにしわ押さえ力を付加することを特
    徴とするプレス成形方法。
  2. 【請求項2】 ポンチの行程が成形開始後下死点の直前
    までの間は、ポンチ頭部で金属板にたわみを付与し、下
    死点で該たわみを解消して成形することを特徴とする請
    求項1に記載のプレス成形方法。
  3. 【請求項3】 ダイ、ポンチおよびブランクホルダを有
    し、金属板をハット形断面形状に成形するプレス成形装
    置であって、ブランクホルダによる金属板のしわ押さえ
    力を調節するしわ押さえ調節装置をダイまたはブランク
    ホルダのいずれかのお互いに対向する面上に設けたこと
    を特徴とするプレス成形装置。
  4. 【請求項4】 金属板のたわみ量を調節するたわみ調節
    装置をポンチ頭部に設けたことを特徴とする請求項3に
    記載のプレス成形装置。
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