JP2001038426A - プレス成形方法およびその装置 - Google Patents

プレス成形方法およびその装置

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JP2001038426A
JP2001038426A JP11210893A JP21089399A JP2001038426A JP 2001038426 A JP2001038426 A JP 2001038426A JP 11210893 A JP11210893 A JP 11210893A JP 21089399 A JP21089399 A JP 21089399A JP 2001038426 A JP2001038426 A JP 2001038426A
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die
wrinkle
side wall
plate
molding
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JP11210893A
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Masahiro Nakada
匡浩 中田
Yozo Hirose
洋三 広瀬
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Nippon Steel Corp
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】台形ハット成形、特に高強度鋼板の台形ハット
成形において壁そりを防止し、寸法精度のよい台形部材
を安定して容易に成形することができる成形方法および
その装置を提供する。 【解決手段】ダイ肩半径Rdを板厚の1.0〜2.5
倍、しわ押さえ力を材料流入幅当たり1000kN/m
以下とし、成形により発生する壁そりの曲率1/ρとし
わ押さえ力FBHとの間の関係を求めておき、この関係に
基づき壁そりの曲率が小さくなるようにしわ押さえ力を
付与してプレス成形する。成形品側壁部の傾斜角度が、
そのフランジ面の法線方向からの角度で15°以下であ
る場合に特に好適である。ダイが、しわ押さえ面法線方
向から角度θ傾斜した側壁部を有する場合には、該側壁
部上部に高さhが板厚の20倍以下の板逃がしステップ
を備えるとよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、傾斜した側壁部を
有するハット断面部材に金属板を成形するプレス成形方
法およびその装置に関する。特に高強度鋼板の成形に際
して壁そりの発生を容易に抑制できるプレス成形方法お
よびその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車メンバー部材や建材などでは、金
属板をハット形断面形状に成形した部材が使用される。
金属板をプレス成形して様々な形状・寸法の製品を製造
する際、金型から成形品を取り出すと金型内に拘束して
いた状態とは異なった形状に変化し、形状不良になるこ
とが知られている。この形状不良は、プレス成形時に金
属板内に発生する板厚方向の残留応力が不均一になるこ
とが原因とされている。
【0003】図1は、フランジ面7に垂直な側壁部8を
有するハット形断面形状部材(以下、単に「U形ハット
部材」とも記す)の例を示す模式図である。
【0004】図2は、側壁部8がフランジ面の法線方向
に対して角度θだけ傾斜した側壁部を有するハット形断
面形状を有する部材(以下、単に「台形ハット部材」と
も記す)の例を示す模式図である。ここで本発明での
「傾斜角度」は、フランジ面またはしわ押さえ面の法線
方向と成形品、ダイあるいはポンチの側壁部との角度θ
を意味するものである。
【0005】ハット成形において、金属板はダイ肩部で
曲げられた後、ポンチとダイの間に引き込まれて曲げ戻
し変形される。この時に生じる残留応力の板厚方向にお
ける分布が不均一になると、金型から成形品を取り出し
た時に側壁部に壁そりなどの形状不良が発生する。
【0006】図6は側壁部の壁そりの曲率測定方法を示
す図である。ρは壁そりの曲率半径を意味する。図6に
示すように、壁そりの曲率の中心が側壁の外部にある場
合を外そり、側壁の内部にある場合を内そりとする。壁
そりは製品外観や機能を著しく損なうばかりでなく、プ
レス成形後の組立作業において溶接不良などの原因とな
る。
【0007】壁そり防止には弾性変形量が減少できる低
降伏点材や高ヤング率材などの適用が効果的であるとさ
れている。しかしながら、近年は、自動車などを中心と
して車体の軽量化および衝突安全性向上を目的として、
引張強さが590MPa以上の高張力鋼板などの高強度
材料の使用ニーズが増しており、このような材料にも適
用できる壁そり防止方法が求められている。
【0008】金属板を成形する際にフランジ部に強いし
わ押さえ力を加え、ダイ肩部での曲げ、曲げ戻し時に張
力を付加することにより、残留応力の均一化ができれば
壁そりの抑制は可能である。しかしながら、金属板が高
強度材である場合には必要とされるしわ押さえ力が大き
すぎるうえ、しわ押さえ力を強くすると金属板が破断し
やすいため、この方法では充分な効果が得られない。
【0009】ハット部材の壁そり対策としては、予測さ
れるスプリングバック量を考慮してオーバベンディング
したり、成形後に改めて矯正加工を施すなどの方法が知
られている。しかしながらオーバベンディングする方法
は、スプリングバック量を定量的に予測するのが難し
く、それに伴い、金型製作に工数を要するという問題が
ある。矯正加工する方法は設備コストが増したり生産性
が劣るなどの問題がある。
【0010】壁そり対策として、成形中にしわ押さえ力
を増大させ、側壁部の張力を強めて板厚方向の残留応力
差を緩和する方法が知られている。しかしながら成形素
材が高強度材である場合には、材料流入幅当たり100
0kN/m程度以上の大きなしわ押さえ力を付加しても
壁そりの抑制が不充分な場合があるうえ、しわ押さえ力
を過度に強くすると板厚減少や板破断を招くため、この
方法では限界がある。
【0011】特開昭56−117831号公報には、U
曲げ金型を使用してU形ハット部材を成形する方法にお
いて、ダイ肩半径を板厚の1〜2.5倍とし、ポンチと
ダイの間のクリアランスを板厚の1.0〜1.4倍に設
定することにより壁そりを防止する曲げ成形法が提示さ
れている。これは、ダイ肩半径を小さくしてダイ肩部で
の曲げを強くし、さらにクリアランスを上記のように通
常よりも小さく設定することによって、該曲げ部がポン
チ側壁部に接する過程で、ダイ肩部での曲げと逆方向の
曲げ(以下、単に「逆曲げ」ともいう)を生じさせるこ
とによって、壁そりの抑制を図るものである。
【0012】特開平7−155843号公報には、金属
板に固体潤滑剤を塗布し、ポンチとダイのクリアランス
を板厚以下の小さい範囲に限定してハット断面部材を成
形する金属板の曲げ加工方法が提示されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】図3は台形ハット部材
の成形方法の例を示す概念図である。図3において、符
号1aはしわ押さえ面に対して垂直な側壁部(傾斜角
θ:0°)を有するダイ、符号2はしわ押さえ、符号3
aはポンチ(傾斜角θ:0°)、符号4は金属板、符号
Cpはポンチ先端部の幅、符号Bpはダイ溝の幅であ
る。図3の場合のクリアランスは(Bd−Cp)/2で
ある。クリアランスは傾斜角度θに応じて大きくなり、
U形ハット部材の成形に比較するとはるかに大きい。
【0014】特開昭56−117831号公報や特開平
7−155843号公報に開示されているのはクリアラ
ンスを狭くして成形する方法であり、クリアランスを小
さくして成形をおこなうU形ハット成形には有効であ
る。しかしながら、上述したように成形過程でのクリア
ランスが大きい台形ハット部材の成形では、上記の方法
は適用できない。このように台形ハット成形における壁
そり防止の効果的な方法は開示されていない。
【0015】本発明は、台形ハット成形、特に高強度鋼
板の台形ハット成形において壁そりを防止し、寸法精度
のよい台形部材を安定して容易に成形することができる
成形方法およびその装置を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ダイとポ
ンチ間のクリアランスを大きくしてプレス成形する過程
での、特にダイ肩部近傍での金属板の変形挙動と壁そり
現象に関し詳細な研究を重ねた結果、以下に記すような
新たな知見を得た。
【0017】上記成形を行う際、金属板はポンチからの
成形力によりダイ肩部に沿った曲げ曲げ戻し変形を受け
る。この時、ポンチからの成形力が小さい場合(しわ押
さえ力が小さい場合)には、鋼板はダイ肩になじまず、
ダイ肩半径よりも大きい曲率半径での曲げ曲げ戻し変形
を受けることになり、結果として大きい外そりが発生す
る。
【0018】しわ押さえ力が大きくなると、ダイ肩半径
が大きい場合には、鋼板はダイ肩に十分になじんだ形で
曲げ曲げ戻しされ、外そりは減少する傾向を示す。しか
しながら、ダイ肩半径が大きすぎる場合には外そり抑制
効果は必ずしも十分ではない。
【0019】次に、ダイ肩半径が小さい場合にも、しわ
押さえ力が大きくなるにつれて鋼板はダイ肩になじみ始
める。この場合、ダイ肩半径を板厚の2.5倍以下に
し、ダイ肩部で厳しい曲げが作用するようにすると、曲
げ癖が強くなるために曲げ戻しが遅れ、ダイ側壁にぶつ
かった後に曲げ戻される。この時、鋼板はダイ側壁にぶ
つかることにより押し戻されるため、完全にはダイ肩に
なじみきれなくなる。このような場合には曲げ戻し半径
が小さくなるため、逆曲げが強くなり、外そりが大きく
減少する。
【0020】このしわ押さえ力と壁そりとの間には非常
に明瞭な関係があるので、この間径を予め把握してお
き、それに従ってしわ押さえ力を調整することにより壁
そりを効果的に防止することできる。
【0021】なお、ダイ肩半径が板厚の2.5倍以下で
あってもダイ側壁部が傾斜している場合には、壁そりの
修正が十分にはできないことがある。これは、側壁にぶ
つかった曲げ部が傾斜した側壁に押し返されるために金
属板のダイ肩への巻き付きが弱くなり、逆曲げが弱くな
ることが原因であると推測された。
【0022】このような場合には、ダイ肩下部に逆曲げ
が発生する余地(板逃がしステップ)を設けてやること
により、ダイ肩での巻き付きを十分におこなわせ、逆曲
げを強く発生させることができる。
【0023】図5は、板逃がしステップ部近傍での板の
逆曲げ変形状況を模式的に示す概念図である。
【0024】本発明は、上記知見を基にして完成された
ものであり、その要旨は、下記(1)および(2)に記
載のプレス成形方法ならびに(3)に記載のプレス成形
装置にある。
【0025】(1)ダイ、ポンチおよびしわ押さえを備
えるプレス成形装置を用いて、傾斜した側壁部を有する
ハット形断面形状に金属板を成形する方法であって、ダ
イ肩半径を板厚の1.0〜2.5倍、しわ押さえ力を材
料流入幅当たり1000kN/m以下とし、予め成形に
より発生する壁そりの曲率(1/ρ)としわ押さえ力F
BHとの間の関係を求めておき、この関係に基づき壁そり
の曲率の絶対値が小さくなるようにしわ押さえ力を付与
することを特徴とするプレス成形方法。
【0026】(2)ハット形断面形状の側壁部の傾斜角
が、しわ押さえ面の法線方向からの角度で15°以下で
あることを特徴とする上記(1)に記載のプレス成形方
法。
【0027】(3)ダイが、しわ押さえ面の法線方向か
らの角度で15°以下の傾斜した側壁部と、高さが板厚
の20倍以下である板逃がしステップとを備え、かつ、
ダイとポンチ間のクリアランスが板厚の1.4倍を超え
るプレス成形装置を用いることを特徴とする上記(1)
または(2)に記載のプレス成形方法。
【0028】(4)ダイ、ポンチおよびしわ押さえを備
え、ダイ肩半径が板厚の1.0〜2.5倍、かつ、その
ダイは、しわ押さえ面の法線方向からの角度で15°以
下の傾斜した側壁部と、高さが板厚の20倍以下である
板逃がしステップとを備え、かつ、ダイとポンチ間のク
リアランスが板厚の1.4倍を超えるものであることを
特徴とするプレス成形装置。
【0029】
【発明の実施の形態】以下に本発明のプレス成形方法を
詳細に説明する。本発明のプレス成形方法に使用する金
型は、図3に示すような、ダイの側壁部がしわ押さえ面
に垂直なものでも良いし、ダイの側壁部が傾斜角を有す
る形態の金型でも良い。図3に示すような、ダイの側壁
部がしわ押さえ面に垂直な金型の場合には板逃がしステ
ップを設けなくても構わない。
【0030】図4は、本発明のプレス成形方法を実施す
るのに好適な装置の例を示す概念図である。図4におい
て、符号1bは角度θd でしわ押さえ面の法線方向に対
して傾斜した側壁部を有するダイ、符号2bはダイ1b
の上方に設けられたしわ押さえ、符号3bは傾斜角を有
するポンチ、符号4は金属板である。ダイ、しわ押さ
え、ポンチの配置、作用は慣用のそれでよいが、本発明
にあっては好ましくは、該側壁部上部にはダイ肩下部
に、高さ(h)が板厚(t)の20倍(20t)以下の
板逃がしステップ6を有する。
【0031】ダイ肩半径Rdが大きくなるとダイ肩部で
の曲げが弱くなり、ダイ側壁部での逆曲げが不十分とな
り、成形品には大きい外そりが発生する。これを避ける
ためにダイ肩半径は2.5t以下とする。ダイ肩半径R
dを過度に小さくするとダイ肩での曲げが著しくなり、
ダイ側壁部での逆曲げが強くなりすぎ、成形品には大き
い内曲げの壁そりが発生する。これを避けるためにダイ
肩半径は1.0t以上とする。
【0032】ダイ側壁部が傾斜角を有する構造では、逆
曲げの発生が十分ではないことがある。このような場合
には、上記に加えて、ダイ肩下部に板逃がしステップを
設けるのがよい。
【0033】板逃がしステップ6は、図4あるいは図5
に示すように、ダイ肩に続いてしわ押さえ面に対して垂
直または垂直に近い壁を有する段差である。該壁はしわ
押さえ面に対して垂直であるのが好ましいが、垂直方向
からダイ溝側あるいはその逆方向に傾斜したものでもよ
い。ダイ溝側に傾斜する場合の傾斜角度は側壁部傾斜角
度θd よりも小さい角度のものであればよく、ダイ溝と
逆方向に傾斜する場合は、図5に破線で示すようにθS
が30°以下であればよい。
【0034】板逃がしステップの高さ(h)が20tを
超える領域では、曲げ部がダイ側壁にぶつかることがな
いので、逆曲げ効果が飽和する。台形ハット部材の側壁
には、成形時にリブ成形をおこなうことがあるが、板逃
がしステップの高さを大きくしすぎるとリブ成形が制約
されるのでよくない場合がある。これらのことから板逃
がしステップの高さ(h)は、20t以下とするのがよ
い。
【0035】板逃がしステップの高さ(h)が1.0t
に満たない場合には、逆曲げを強くする効果が弱い。従
って板逃がしステップを設ける場合の高さ(h)は1.
0t以上とするのがよい。
【0036】本発明では、金属板をダイ肩部に十分に巻
き付かせるためにフランジ部にしわ押さえ力を付加する
が、しわ押さえ力を過度に大きくすると、逆曲げが強く
なり内そりが発生する。また、板厚が過度に減少し、場
合によっては破断が生じる。さらには高強度材の成形に
おいては材料と金型の接触面圧が上昇し、型かじりが発
生して品質欠陥や金型の損傷を招きやすい。従ってしわ
押さえ力は鋼板表面に付与されるしわ押さえ力のハット
片側フランジの材料流入幅当たり(以下、単に「材料流
入幅当たり」と記す)で、1000kN/m以下とす
る。
【0037】しわ押さえ力が小さすぎるとダイ肩での曲
げが弱く、ダイ肩半径が大きい場合と同じ理由でダイ側
壁での逆曲げが弱くなり、外そりが発生する。しわ押さ
え力は金属板がダイ肩に沿って変形するのに十分なだけ
の大きさで付加すればよいので、金属板の厚さや強度、
あるいはダイ肩半径に応じて適正な値に調整すればよい
から、その下限は特に規定しない。一般的には、成形中
にダイス肩部の曲げ変形の反力によりしわ押さえの浮き
上がりが生じないこと、またはフランジしわが発生しな
いことを目安に、しわ押さえの下限をきめればよい。
【0038】壁そりは、しわ押さえ力の増加に伴い外そ
りから内そりへと緩やかに変化する。本発明では、プレ
ス成形により発生する壁そりの曲率(1/ρ)としわ押
さえ力FBHとの間の関係を予め求めておき、この関係に
基づき、曲率(1/ρ)が小さくなるように、具体的に
は「許容範囲内にくるように」しわ押さえ力を付与して
プレス成形する。
【0039】図7は、ダイ肩半径Rd:1.2t(但し
t:板厚)、ダイとポンチの側壁傾斜角θを10°とし
た金型を使用し、しわ押さえ力FBHを種々変更して台形
ハット部材をプレス成形し、得られた成形品の壁そりの
曲率(1/ρ)としわ押さえ力FBHとの関係を調査した
結果の一例を示すグラフである。図7で曲率が正の場合
は外そり、負の場合は内そりを表す。
【0040】図7に示されているように、両者の間には
良好な関係があり、しわ押さえ力FBHが小さい場合には
大きな外そりが発生することがわかる。これは、後方張
力が不足して鋼板がダイ肩になじまず、大きな曲率で曲
げ曲げ戻しを受けたためである。しわ押さえ力が増すに
つれて鋼板のダイ肩へのなじみがよくなり、ダイ肩半径
が小さいために逆曲げが発生し始め、外そりが減少す
る。しかも同時に張力の効果も加算されて外そりが減少
する。更にしわ押さえ力が増すとそり無しの状態を経て
内そりへと変化する。この例からわかるように、壁そり
の曲率(1/ρ)としわ押さえ力FBHとの間にはクリア
ランス量の影響を受けない安定な関係がある。
【0041】プレス成形に際しては、例えばプレス成形
のロット毎に事前に壁そりの曲率としわ押さえ力との間
の関係を求めておき、この関係に基づき、壁そりの曲率
の絶対値が小さくなるようにしわ押さえ力を付加して成
形するのがよい。例えば該曲率は±0.0006(mm
-1)以下になるようにするのがよい。
【0042】台形ハット部材の側壁の傾斜角の下限は特
に限定するものではないが、ポンチとダイ間のクリアラ
ンスが1.4t以下である場合には公知のU形ハット部
材の成形方法で壁そりを吸収することができるので、本
発明の成形方法は、ポンチとダイ間のクリアランスが
1.4tを超える金型で成形される製品に適用するのが
よい。
【0043】台形ハット部材の側壁傾斜角が大きくなる
につれて、金属板がダイ溝に引き込まれる際に、ダイ肩
における曲げ角度が小さくなり、ダイ側壁部での逆曲げ
の度合いが小さくなって十分な逆曲げが発生しないため
に、そりの抑制が困難になることが有る。傾斜角度θが
15°以下であればこのような不都合がなく、壁そりが
極めて僅かである形状の良好な成形品が得られる。
【0044】本発明のプレス成形方法に使用する金型形
状は、ダイ肩半径Rdを1.0t〜2.5tとする。ポ
ンチとダイ間のクリアランスは、ダイとポンチ間のクリ
アランスが1.4tを超える値とする。ダイまたはポン
チ側壁部が傾斜角を有する場合には、クリアランスはポ
ンチストロークに応じて変化するが、最もクリアランス
が狭くなるのはポンチが下死点に達した時であるので、
少なくともこの時点での最も狭いクリアランスが上記の
範囲であれば良い。ダイ側壁部は、図3のようにしわ押
さえ面に垂直なものや、図4のように傾斜角を有するも
のが適用できるが、傾斜角を有する場合には、ダイ肩部
に続いて高さが20t以下の板逃がしステップ部を備え
るのがよい。
【0045】本発明のプレス成形方法およびその装置
は、強度が高い鋼板、特に引張強さが590MPa以上
の熱間圧延鋼板、冷間圧延鋼板、ステンレス鋼板などに
適用すると顕著な効果が得られる。強度が高いアルミニ
ウム板などにも有効である。
【0046】
【実施例】(実施例1)厚さtが1.2mmの590M
Pa級の冷間圧延高張力鋼板を台形ハット部材にプレス
成形した。JIS5号試験片による鋼板の引張特性は、
降伏点:510MPa、引張強さ:615MPa、伸
び:26%、n値:0.134、r値:0.85であっ
た。
【0047】金型は、図3に示したように、ダイおよび
ポンチの側壁部がしわ押さえ面に垂直で板逃がしステッ
プのないものを使用した。その寸法は、ポンチ長さ(図
3で紙面に垂直な方向):300mm、ポンチ幅Cp:
100mm、ポンチ肩半径:5mm、ダイ溝幅Bd:1
24mm、ダイ肩半径Rd:1.2t(1.4mm)〜
2.8t(3.4mm)の範囲で6種類のものを製作し
た。クリアランスは片側で10t(12mm)であっ
た。台形ハット部材の成形品の高さHは70mmとし
た。成形品側壁部の傾斜角は9°であった。プレス機械
は加圧能力2500kNの複動式油圧プレスを使用し、
潤滑油として市販の一般防錆油を用いた。
【0048】製品のプレス成形に先立ち、ダイ肩半径を
上記6種類の範囲で変更し、しわ押さえ力を板幅1m換
算で0〜1000kNの範囲で種々変更して成形し、そ
れぞれの条件における壁そりの曲率を測定した。
【0049】図6は壁そりの曲率半径ρの測定方法を示
す模式図である。曲率半径は成形品の頂辺から25m
m、35mm、45mmの3点を通る円弧として近似し
て求め、壁そりの曲率(1/ρ)としわ押さえ力との関
係を求めた。壁そりは、曲率が±0.0006以内であ
れば良好と判断し、壁そりの曲率が±0.0006以下
になるしわ押さえ力を本実施例におけるしわ押さえ力の
適正範囲とした。
【0050】図8は、得られた結果を、成形品の壁そり
の曲率としわ押さえ力との関係として整理したグラフで
ある。図8に示されているように、両者の間には良好な
関係があり、ダイ肩半径が2.5t以下の場合に壁そり
が良好であるしわ押さえ力範囲が得られることがわか
る。ダイ肩半径が1.8t(2.2mm)の場合が最も
広いしわ押さえ力範囲が得られることがわかった。ダイ
肩半径が2.8t(3.4mm)の場合には外そりを抑
制できなかった。
【0051】(実施例2)図4に示した傾斜側壁部を有
する金型を使用し、実施例1で使用したのと同一の高強
度鋼板を用いて台形ハット部材を成形した。成形品の高
さH:70mmとした。ポンチ寸法は、ポンチ長さ(図
4で紙面に垂直な方向):300mm、ポンチ先端部の
幅Cp:100mm、ダイ溝幅Bd:124mm、ポン
チ肩半径:4.2t(5mm)とした。ダイ肩半径Rd
を1.2t(1.4mm)〜2.8t(3.4mm)の
範囲で種々変更し、ダイ側壁部の傾斜角θd は10°と
した。板逃がしステップの高さhは種々変更した。プレ
ス機械および潤滑油は実施例1と同一のものを使用し
た。
【0052】それぞれの条件毎にしわ押さえ力を種々変
更してプレス成形し、実施例1と同様に壁そりの曲率を
測定し、壁そりの曲率が±0.0006以下となる成型
品が得られるしわ押さえ力範囲を求めた。表1にこれら
の結果を示す。
【0053】
【表1】
【0054】表1からわかるように、ダイ肩半径が2.
5tを超えた試番6では壁そりが良好な成形品が得られ
なかった。ダイ側壁部に板逃がしステップを設けなかっ
た試番7は、良好な成型品が得られたが、それが得られ
るしわ押さえ力範囲は極めて小さかった。ダイ肩半径を
板厚の1.8倍とし、高さが4t以上の板逃がしステッ
プを設けた場合に広いしわ押さえ力範囲で良好な製品が
得られた。
【0055】
【発明の効果】本発明のプレス成形方法によれば、高強
度鋼板の台形ハット成形品の側壁部のそりのない形状精
度のよい成形品が容易に得られる。かつ、この方法によ
り、製品設計の自由度が広がり、自動車のメンバー部材
への高強度鋼板の台形ハット成形品の適用が容易とな
り、自動車車体の軽量化ならびに衝突安全性の向上に寄
与出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】側壁部がフランジに対して垂直であるハット断
面部材(U形ハット部材)の形状例を示す模式図であ
る。
【図2】成形方向からの傾斜(θ)が15°以下の傾斜
側壁部を有するハット断面部材(台形ハット部材)の形
状例を示す模式図である。
【図3】台形ハット部材の成形方法の例を示す概念図で
ある。
【図4】ダイが傾斜した側壁部を有する場合の、本発明
のプレス成形方法を実施するのに好適な成形装置の他の
例を示す概念図である。
【図5】板逃がしスッテプ部近傍での板の逆曲げ変形状
況を模式的に示す概念図である。
【図6】ハット部材の壁そりの曲率半径ρの測定方法を
示す模式図である。
【図7】成形品の壁そりの曲率としわ押さえ力の関係を
示すグラフである。
【図8】成形品の壁そりの曲率としわ押さえ力の関係を
示すグラフである。
【符号の説明】
1aおよび1b:ダイ、2aおよび2b:しわ押さえ、
3aおよび3b:ポンチ、4:金属板、5:ダイ肩、
6:板逃がしステップ、7:フランジ部、8:側壁部、
θ:成形品側壁部の傾斜角、θd:金型側壁部の傾斜
角、ρ:壁そりの曲率半径。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ダイ、ポンチおよびしわ押さえを備える
    プレス成形装置を用いて、傾斜した側壁部を有するハッ
    ト形断面形状に金属板を成形する方法であって、ダイ肩
    半径を板厚の1.0〜2.5倍、しわ押さえ力を材料流
    入幅当たり1000kN/m以下とし、予め成形により
    発生する壁そりの曲率(1/ρ)としわ押さえ力FBH
    の間の関係を求めておき、この関係に基づき、該曲率の
    絶対値が小さくなるようにしわ押さえ力を付与すること
    を特徴とするプレス成形方法。
  2. 【請求項2】 ハット形断面形状の側壁部の傾斜角が、
    しわ押さえ面の法線方向からの角度で15°以下である
    ことを特徴とする請求項1に記載のプレス成形方法。
  3. 【請求項3】 ダイが、しわ押さえ面の法線方向からの
    角度で15°以下の傾斜した側壁部と、高さが板厚の2
    0倍以下である板逃がしステップとを備え、かつ、ダイ
    とポンチ間のクリアランスが板厚の1.4倍を超えるプ
    レス成形装置を用いることを特徴とする請求項1または
    2に記載のプレス成形方法。
  4. 【請求項4】 ダイ、ポンチおよびしわ押さえを備え、
    そのダイは、ダイ肩半径が板厚の1.0〜2.5倍、か
    つ、しわ押さえ面の法線方向からの角度で15°以下の
    傾斜した側壁部と、高さが板厚の20倍以下である板逃
    がしステップとを備えるものであることを特徴とするプ
    レス成形装置。
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