JP2005028410A - 面品質評価装置及び評価プログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】板成形シミュレーションの結果に基づいて、成形体の面品質の評価を実施する。
【解決手段】板材から成形体を製造するプレス成形の数値シミュレーション結果に基づいて、プレス下死点での前記成形体の形状面に垂直に作用する面外偏差応力分布を算出する(S12,S13)。そして、この面外偏差応力分布に基づいて、前記成形体の面品質を表す評価値分布を算出する(S14)。下死点における面外偏差応力は、型から取りだしたあとで生じる微少な凹凸と強く関連しており、成形体の面品質の評価を行うことができる。
【選択図】図3

Description

本発明は、板材に対するプレス成形の数値シミュレーションに基づいて、成形体の面品質を評価する装置及びプログラムに関する。
板材のプレス成形に対する数値シミュレーションは、型や成形体の設計や解析等をする上で極めて有用である。例えば、自動車の製造分野においては、金属の板材をプレスして所望のボディ形状を作り出すプレス工程に対し、数値シミュレーションを用いた面品質の評価なども行われている。この数値シミュレーションにおいては、一般に、数値モデル化した板材を多数の要素に分割し、プレスの外力により変形されていく力学過程を数値計算する。そして、計算の結果得られた応力、ひずみ、板厚などの情報に基づいて、成形体のワレやシワの発生を予測する。
特許文献1には、数値シミュレーションにより得られた相当歪みに対し素材の加工硬化曲線から得られる相当応力と、数値シミュレーションにより得られた相当応力とに基づいて、シワの発生を評価する手段が開示されている。また、特許文献2には、目標の形状に対するシミュレーション結果の形状の逸脱量を求め、その変化率を求めることにより、成形面の不良を評価する手段が開示されている。
特開平11−319971号公報 特開2000−122996号公報
現在の板成形シミュレーションにおいては、板成形過程を必ずしも完全には再現することがでず、型の作成前に、型や成形体の的確な設計変更等を行うことができない。その要因としては、例えば、成形体がプレスの完了後にもとの形状に戻ろうとするスプリングバック等の予測が困難である点が挙げられる。特に、例えば面ひずみによる面品質の不具合は、ミクロンオーダの変位によるものであり、解像度がミリオーダである現状の数値シミュレーションの結果から十分に解析を行うことは困難であった。
本発明の目的は、板成形シミュレーションの結果に基づいて、成形体の面ひずみに関する面品質の評価を実施することにある。
上記課題を解決するために、本発明の面品質評価装置は、板材から成形体を製造するプレス成形の数値シミュレーション結果に基づいて、プレス下死点での前記成形体の形状面に垂直に作用する面外偏差応力分布を取得する偏差応力取得手段と、前記偏差応力取得手段により取得した面外偏差応力分布に基づいて、前記成形体の面品質を表す評価値分布を算出する算出手段と、を備える。
数値シミュレーションは、有限要素法や差分法などの手法を用いて、モデル化した板材のプレス過程を数値計算するものであり、下死点における成形体の応力等を算出することができる。偏差応力取得手段は、この数値シミュレーションの結果得られる下死点応力に基づいて算出を行うことで、板材の板面が成形されて作られる成形体の形状面に対して垂直に作用する偏差応力(面外偏差応力と呼ぶ)分布を取得することができる。もちろん、数値シミュレーションによって面外偏差応力が直接算出されている場合には、その値を直接取得してもよい。なお、プレス下死点とは、型によるプレスが最も深く行われた状態を指す。
算出手段は、取得した面外偏差応力分布に基づいて、成形体の面品質を示す評価値分布を算出する。面外偏差応力分布は、弾塑性力学的にみて、成形体が面外方向に微少に変位する歪み等と対応づけられるため、面品質を見積もることができるのである。面外偏差応力分布に対する基づき方は、様々なものが考えられる。例えば、ある箇所での評価値を算出する際に、その各箇所での面外偏差応力のみを利用しても良いし、面外偏差応力の周辺における分布状況を考慮してもよい。後者において分布状況を考慮する際は、空間微分による分布変化の明瞭化、空間積分による分布の平均化・積算化、空間フィルタによる特徴パターンの抽出・排除など様々な処理を行うことができる。また、面外偏差応力分布を評価値、すなわち面品質と対応づける際には、理論に基づいても、実験に基づいても、あるいは両者の組み合わせに基づいてもよい。
成形体の面品質の不具合とは、面ひずみに係る不具合のことを言う。面ひずみとは、表面あるいは形状面自体がその形状面に垂直に数十ミクロン程度に変位し、微少な凹凸を生じている状態を指す。このような微少な面ひずみによる不具合は、素人が一見しただけでは分らないが、熟練工の触感(手の感触)やハイライトと呼ばれる光の通りの評価を行うことで発見することができる。この面ひずみを小さくすることは、精密加工や、高級品の製造を行う上で重要となる。一般に数ミリオーダのメッシュ(有限要素)によるシミュレーションでは、このミクロンオーダの面ひずみを直接評価することは困難である。しかし、本発明の手法により、成形体の面品質を面外偏差応力に基づいて容易に見積もることができる。見積もりにおいては、不具合発生の部位、範囲、程度がわかるので、成形体や型の設計に有意にフィードバックすることができる。なお、成形体表面に生じるシワは、面ひずみの極端な状態として面ひずみと同様の現象であると解釈することができるため、面品質を評価することで同時にシワの判定を行うことも可能である。
望ましくは、本発明の面品質評価装置において、前記算出手段は、前記評価値を面品質と対応づけるための対応関係情報を有し、前記対応関係情報に基づいて評価値を与える。この構成により、どの程度の評価値を有する場合に、どの程度の面品質(面の不具合と言い換えることもできる)を有すると見込まれるかを的確に対応づけることが可能となる。そのために用いられる対応関係情報は、評価値と面品質のみを結びつけるものであっても良いし、評価値の算出に用いる要素との関係を含むものであってもよい。そして、対応関係情報の導出にあたっては、理論的根拠に基づいて行ってもよいし、実験結果に対し二(多)変数解析などの統計処理を行ってもよい。得られた関係は、式やルックアップテーブルなどの形で与えることができる。
望ましくは、本発明の面品質評価装置において、当該面品質評価装置は、成形体の形状特性に関する情報を取得する形状特性取得手段を備え、評価値算出手段は、さらに、前記形状に関する情報にも基づいて評価値分布を算出する。形状特性とは、成形体の形状に起因して各箇所で定められる特性である。具体例としては、例えば、曲率特性(曲率、曲率の空間変化率など)、板厚特性(板厚、板厚の成形による変化量、板厚の空間変化率など)を挙げることができる。
望ましくは、本発明の面品質評価装置において、当該面品質評価装置は、板材の材料特性を示す少なくとも1つのパラメータを取得するパラメータ取得手段を備え、評価値算出手段は、さらに、前記少なくとも一つのパラメータにも基づいて評価値分布を算出する。材料特性とは、物性に起因するその材料固有特性であり、パラメータの具体例としては、例えば、密度、弾塑性変形特性(ヤング率、ポアソン比、体積弾性率、ずれ弾性率等、あるいは、これらの任意の組み合わせ)、機械的特性(静的引張り特性、クリープ特性等)を挙げることができる。
このように、面外偏差応力以外の他の諸量にも基づいて評価値を定めることが可能であり、特に、材料特性または形状特性に基づくことで、材質固有の特徴や、成形形状固有の特徴にきめ細かに対応した精度よい評価値が算出可能となる。これらの特性に対する基づき方は、様々に考えられる。例えば、特性の違いを考慮せずに求めた仮の評価値を特性の違いに応じて修正し、真の評価値を求めることが可能である。修正量については、理論的、あるいは、実験的に定めればよい。例えば、ある材料特性をもつ成形体については、面外偏差応力の結果生じる面ひずみ凹凸が、一般的な材料特性をもつ成形体に比べてどの程度大きくなるかについての修正量を求めておき、この修正量に基づいて実際の面ひずみ量を修正的に求めることになる。また、当初からこれらの特性と面外偏差応力を共に考慮して、評価値を求めることが可能である。すなわち、評価値がこれらの特性に依存した理論式に基づく場合や、これらの特性を考慮して実験的に求められる場合には、当該特性に応じて評価値を算出すればよい。
本発明の面品質評価プログラムは、コンピュータに対し、板材のプレス成形の数値シミュレーション結果を利用して、成形体の面品質を表す評価値分布を、プレス下死点でこの成形体の形状面に垂直に作用する面外偏差応力に基づいて算出する算出手順と、前記算出手段によって得られた評価値分布を面品質と対応づけて表示する表示手順と、を実行させる。
評価値を面品質と対応づけて表示する際、あるいは、面品質を表す評価値を定める際には、面品質と評価値との対応づけの基準を的確に定めることが望ましい。例えば、面ひずみを判断する場合には、どの基準に対して凹凸があるかを決めることが望ましく、したがって、評価値もまたこの基準に対して定められあるいは表示されることが望ましい。基準となる面としては、例えば、不具合が発生しにくいと見込まれるような一般面を採用することができる。不具合の発生しにくさは、例えば、曲げ工程が行われないなど加工の単純さから判断すればよい。また、仮に定めた評価値分布のヒストグラムから支配的に分布する値を見つけ出し再スケーリングして評価値分布を定め直すことも有効である。
前に述べたように、本発明の手法の大きな特徴は、下死点状態での面外偏差応力を面品質評価に用いる点にある。しかし、もちろん、プレス途中の成形体の面外偏差応力を同様に評価することもできる。これにより、プレス途中の成形体の品質を評価することが可能になる。また、下死点状態での面外偏差応力に加え、下死点状態に至る前の面外偏差応力の移り代わり(時間変化)などを用いて、詳細な面品質の評価・解析を行うことも可能である。
発明の実施の形態
以下に、本発明の好適な実施形態を、図面を用いて説明する。
板材に対するプレス成形シミュレーションでは、一般に、加工前の平坦な板材を型に設置し、プレスにより塑性変形させて成形体を得る過程が数値的に計算される。計算は、通常は、プレスが最大限行われた状態、すなわち下死点状態まで行われるが、さらに、型から成形体を抜き出したあとで、成形体が弾性回復等により形状変化するスプリングバック過程に対してまで行われる場合もある。
例えば、有限要素法によって計算がなされる場合、板材は板面の拡がり方向に要素分割される。板厚方向の構造については、板厚が薄いことを利用して一要素で代表させることが多く、その際には板厚方向にあたかも分割したような情報を持たせることがしばしば行われる。もちろん、実際に板厚方向に複数の要素に分割することもできる。そして、各要素に対応して応力等の物理量が離散化近似され、支配方程式に従った時間積分計算等が行われる。こうして、各時間における応力等の物理量の離散的な分布を得ることができる。また、適当な理論式を用いれば応力から歪みが求められる。また板厚や板厚の時間変化率などの情報も得ることができる。差分法等の他の数値解法を用いる場合もこの事情は変わらない。
応力テンソルをσijとし、平均応力をσm=(σ1+σ2+σ3)/3=(σ11+σ22+σ33)/3と表現する。このとき、偏差応力テンソルsij
ij=σij−δijσm (1)
で定義される。ここでδijはクロネッカのデルタである。塑性力学の教えるところによれば、偏差応力テンソルsijは塑性ひずみテンソルdεp ijと関係づけることができ、簡単には定数dλを用いて
dεp ij=sijdλ (2)
の線形関係が成り立つとみなすことができる。
本実施の形態において評価を行う面品質は、面外変形、すなわち成形体がその形状面に垂直な方向にズレる変形と密接に関連している。図1は、この面外変形のイメージを模式的に示した図であり、成形体10の形状面がスプリングバックに起因して上側に反っている様子を示している。このような面外変形は、下死点において成形体に蓄えられた面外偏差応力に大きく依存して生じるものと考えられる。この考えに基づき、本実施の形態においては、次式で記述される面外偏差応力s3
3 =s33
=σ33-δ33σm
=−(σ11+σ22−2σ33)/3
=−(σ1+σ2−2σ3)/3 (3)
を利用して面品質を表す評価値を算出する。ここで、添字3は面に垂直な方向を表すものとする。なお、薄板においてはσ3の大きさがσ1やσ2の大きさに比べて十分小さい場合には、
3=−(σ1+σ2)/3 (4)
と近似表現することができる。
数値シミュレーションの結果を利用する場合には、面外偏差応力s3は数値解法によって定められる所定の点で離散的に得られる。そこで、板厚方向において得られる1点または複数点の面外偏差応力s3のうちどの点を採用するかという任意性がある。しかし、板成形において板厚が薄いため、板厚方向に面外偏差応力s3が急激に変化することはない。また、板面の変形も、板厚方向にほぼ一様に生じるとみなせる。そこで、どの深さを代表する面外応力s3を用いてもほぼ同じ結果が得られると見込まれるし、また、平均処理などを行ってもよい。もちろん、板厚方向に異なる変形に係る面品質を問題とする場合には、その注目する箇所付近の面外応力s3を用いる必要がある。
図2は、本実施の形態に係る面品質評価装置20の概略構成を示すブロック図である。この面品質評価装置20は、一般のパソコン等の計算機と、この計算機に対して面品質評価を行わせるアプリケーションプログラムである面品質評価プログラムを用いて構成することができる。面品質評価装置20は、演算・制御部22を備えており、この演算・制御部22は、操作部24、表示部26、記憶部28、入出力部30に対し動作指令を行うとともに、必要なデータや信号のやり取りを行っている。操作部はユーザが面品質評価装置20に対し動作を指示する部位であり、キーボード等により構成される。表示部はモニタ画面等を有し、計算結果等を表示する。記憶部はメモリやハードディスク等から構成され、制御や演算に必要な情報の記憶を行う。入出力部はネットワーク入出力部や記録メディア入出力部から構成され、これにより、外部との情報のやり取りを行うことができる。入力される情報の例としては、数値シミュレーションの結果を保持する装置から入力する成形体の形状特性データ、材料特性データ、シミュレーション結果などが挙げられる。
演算・制御部22には、面外偏差応力演算部32と評価値演算部34が含まれている。面外偏差応力演算部32は、入出力部30から入力された応力情報に基づいて面外偏差応力演算を行うことができる。面品質評価装置20が板成形シミュレーション装置を兼ねており、演算・制御部22において数値シミュレーションを行う場合には、その結果得られた応力情報に基づいてを面外偏差応力演算を行うこも可能である。評価値演算部34は、面外偏差応力演算部32によって取得された面外偏差応力を入力して、評価値の計算を行う。この際には、入出力部30から入力される成形体の形状特性データ、材料特性データ、シミュレーション結果などを適宜用いることができる。また、記憶部28には評価値演算部34が評価値を演算する際に提供する対応関係情報のデータが格納されている。対応関係情報は、評価値を面品質と対応づけるための情報であり、理論式や実験結果に基づいて予め記憶部28に与えられる。
図3は、面品質評価装置20を用いて面品質評価を与える手順を示したフローチャートである。評価が開始されると、まず、形状特性情報や材料特性パラメータが入力される(S10)。これは、一般には、数値シミュレーション結果を保持する装置から入出力部30を通じて入力可能であるが、必要に応じてユーザが操作部24から入力してもよい。また、下死点応力が、数値シミュレーション結果を保持する装置から入出力部30を通じて入力される(S12)。
次に、面外偏差応力演算部32が、入力された下死点応力に基づいて、面外偏差応力を算出し(S14)、評価値演算部34が評価値を算出する(S16)。算出された評価値は、面品質との対応づけがユーザにわかるようにして、表示部26に表示される(S18)。
以下に、本実施の形態に基づき、成形体の面品質評価を行った結果を示す。図4から図8は一連の面品質評価に係る図である。図4は、自動車のドアについての板成形を、実験のため簡略化した形状に対して行って得た成形体40に対する上面図である。成形体40は、ドアとしては不要となる外辺部42と、ドア本体44とからなる。ドア本体44は、上側46と下側50が紙面の奥側にあり、中央が紙面の手前側に膨らんだ緩やかなアーチ状に成形されている。そして、左上付近には、開閉用の把手を取り付けるための設置するための把手取付部52が設けられている。
図5は、図4の把手取付部52を拡大表示した図である。把手取付部52は、ドア本体44の中にあって、紙面奥に凹むように成形されている。すなわち、奥側に傾斜した傾斜部54と、傾斜部54に囲まれたほぼ平坦な平坦部56とからなっている。
図6は、この成形体40に対し面品質のための評価値を計算した結果を示しており、図5と同様に把手取付部52の拡大結果を表示している。ここでは、評価値の算出にあたっては面外偏差応力の値だけに基づいており、面外偏差応力を線形的に再スケーリングして評価値としている。そして、実際の面品質評価装置20においては、ドア本体44のうち把手取付部52付近を除いた領域を基準における平均的な値を基準として、それより大きな値と小さな値とを多色に色分け表示するが、図6では特許図面作成上の制限のため、コンターの濃淡表示を行っている。濃いコンターほど値が大きく、薄いコンターほど値が小さい。これによれば、評価値は把手取付部52の角付近(例えば60)で基準よりも大きな値を示しており、把手取付部52の辺付近(例えば62)では基準よりも小さな値を示していることがわかる。
図7と図8は、図6に示した評価値を、それぞれ図5に示した直線AA’及び直線BB’に沿って表示する(上側の(a))とともに、面品質に係る不具合量として面高度の誤差の実測値を表示した(下側の(b))図である。この直線AA’とBB’は、把手取付部52の若干外側に位置するドア本体44上にあり、設計上は把手取付部52の影響を受けずに成形されていることが望まれている。そこで、どの程度の面高度の誤差が生じるかを、数値シミュレーションの結果を用いて評価できることが望ましい。
図7によれば、実測した不具合量(b)は、測定基準としたA点及びA’点ではほぼ0であり、そこから把手取付部52側の領域70,72では、把手取付部52に近づくほど設計とは異なる盛り上がりが生じている。盛り上がりのピーク74,76は、把手取付部52の角部に対応した地点である点Aから50mmと150mm付近にある。そして、この二つのピーク74,76の内側の領域78では、点Aや点A’及びその外側に比べると依然として高い誤差高度を有している。このように、点Aから点A’にかけて、不具合量は、凸凹凸のパターンを示している。ただし、真ん中の凹部は、ピーク位置からの相対的な見方であり、ドア本体44の通常の領域に比べれば出っ張りである。
一方、評価値(a)は、両端の点Aや点A’よりも把手取付部52側の領域80,82では把手取付部52に近づくにつれて、緩やかに値が上昇しており、点Aから60mm付近及び150mm付近に二つのピーク84,86がある。そしてこの二つのピーク84,86の内側の領域88では、値が急激に下がりっておりその中央部付近では、点Aや点A’よりも小さなほぼ一定の値を示している。
このように、(a)に示した評価値の大小大のパターンは、(b)に示した不具合量の凸凹凸パターンとよく対応している。また、評価値のピーク84,86と不具合量のピーク74,76は、よく対応した位置にある。
図8についても、(a)に示した評価値のパターンと、(b)に示した不具合量のパターンとはよい対応を示す。すなわち、(b)の不具合量については、点Bから点B’にかけて緩やかなアーチを描いており、点Bと点B’の中心付近にピーク90がある。ピーク90は点Bから50mm付近に位置しており、ちょうど把手取付部52の角に対応している。一方、(a)の評価値のパターンは、やはり両端の点Bと点B’から内側に向かうにつれて値が大きくなり、両者の中間付近である点Bから50mm程度の位置にピーク100がある。この評価値のピーク100は、不具合量のピーク90とほぼ同じ位置にある。
このように、本実施の形態の評価値は、面品質の不具合のパターン及び存在位置を的確に表している。したがって、ユーザは、数値シミュレーションの結果に基づいて、面品質を評価することが可能となる。なお、図7(b)の不具合量が領域78ではピーク74,76に相対的には凹部であるが、点Aと点A’に比べては凸部であることについては、(a)の評価値からは読みとることができない。これは、凹凸は周囲との相対的な関係に基づくものであり、局所地点での情報のみに基づいて遠方との高低関係を評価することが困難であるためである。したがって、さらに正確な凹凸情報を得るためには、各地点での評価値をその点の面外偏差応力だけでなく、周辺の面外偏差応力の分布をも考慮して定めればよい。
図9から図13は、別の成形体に対し、本実施の形態に係る面品質評価を、一般的に得られる物理量と比較している。図9は試験的に製作された成形体の形状を表す正面図である。成形対象は、自動車後部の後部ドア110である。図において、凹凸は陰影によって表現されている。黒枠112は、次図以降において注目する領域である。この領域は、紙面奥側に台形状に凹んだナンバープレート部114を有しており、ここには自動車のナンバープレート115が設置される。
このナンバープレート部114の影響のために、ナンバープレート部114の横下部116付近には成形不具合が発生して面品質が低下した。図10は、砥石と呼ばれる道具で成形体の表面を擦り、不具合を可視化した結果を示した写真である。丸で囲った部分の横下部116の中央付近には凹凸に伴う不具合が明瞭に示されている。このような不具合があると、自動車の車体面に映る背景の形状が乱れが生じて製品品質を低下してしまなどの問題が起こる。そこで、この不具合を数値シミュレーションの結果に基づいて予知し、設計段階において適当な対策をとることが求められる。
図11から図13は、黒枠112の領域について、数値シミュレーションの結果に基づいて算出した板厚減少率分布(図11)、最小主歪み分布(図12)、及び本実施の形態に係る評価値(図13)を比較した図である。なお、数値シミュレーションは、後部ドア110が中心線118に対し左右対称であることを利用して一方の領域についてのみ実施したが、結果の表示は折り返しにより全域について行っている。
図11は、板厚減少率、すなわち、板材のときと比べて成形によってどれだけ板厚が減少したかを示したものである。しかし、横下部116については不具合を示唆する値が示されていない。すなわち、板厚の減少または増大の大きさと、面品質の不具合とは直接的には関係なく、板厚減少率を成形不具合の指標として直接用いることは不適当であると言える。
図12は、最小主歪みの分布を表している。最小主歪みは、数値シミュレーションの結果得られる歪みテンソルに対して固有値解析を行って求めた3つの固有値のうち最も小さな固有値のことである。物理的には成形体が最大収縮した方向の収縮の大きさであると解釈できる。しかし、横下部116付近のコンターからは不具合を読みとることはできない。したがって、最小主歪みも成形不具合の指標として直接用いることは不適当であると言える。
図13は、本実施の形態に係る評価値分布を表している。評価値は、前に図4から図8を用いて説明したものと同じ定義に基づいて算出されている。すなわち、面外偏差応力のみを直接的に用いて評価値を算出している。これによれば横下部116は周囲に比べ大きな値を有しており、その位置は図10に示した実際の不具合の位置とよく対応している。また、両者は、その形状が共にナンバープレート部114の外辺に沿うように左上から右下へと斜めになっている点でもよく一致している。
以上に例を挙げて示したように、本実施の形態に係る評価値を用いることで、数値シミュレーションの結果に基づいて、面品質を的確に評価することができる。これにより、金型製作前に不具合に対する対応をすることが可能になる。特に、本実施の形態に係る評価値は、数値シミュレーションにおいて通常計算される下死点応力から、追加計算をあまり多くすることなく算出できるため、計算コストがあまりアップすることもない。
評価値に係る概念を説明する斜視図である。 装置構成例を示す概略ブロック図である。 評価値算出手順の一例を示すフローチャートである。 成形体の例を示す上面図である。 図4の成形体の部分拡大図である。 図5に対応した部分の評価値分布である。 直線AA’上での評価値及び不具合量を示す図である。 直線BB’上での評価値及び不具合量を示す図である。 別の成形体の例を示す上面図である。 成形体の不具合量を可視化したものである。 板厚の分布を表す等値線図である。 最小主歪み分布を表す等値線図である。 評価値分布を表す等値線図である。
符号の説明
10 成形体、20 面品質評価装置、22 制御部、24 操作部、26 表示部、28 記憶部、30 入出力部、32 面外偏差応力演算部、34 評価値演算部、40 成形体。

Claims (5)

  1. 板材から成形体を製造するプレス成形の数値シミュレーション結果に基づいて、プレス下死点での前記成形体の形状面に垂直に作用する面外偏差応力分布を取得する偏差応力取得手段と、
    前記偏差応力取得手段により取得した面外偏差応力分布に基づいて、前記成形体の面品質を表す評価値分布を算出する算出手段と、
    を備える、ことを特徴とする面品質評価装置。
  2. 請求項1に記載の面品質評価装置において、
    前記算出手段は、
    前記評価値を面品質と対応づけるための対応関係情報を有し、
    前記対応関係情報に基づいて評価値を与える、ことを特徴とする面品質評価装置。
  3. 請求項1に記載の面品質評価装置において、
    当該面品質評価装置は、成形体の形状特性に関する情報を取得する形状特性取得手段を備え、
    評価値算出手段は、さらに、前記形状に関する情報にも基づいて評価値分布を算出する、ことを特徴とする面品質評価装置。
  4. 請求項1に記載の面品質評価装置において、
    当該面品質評価装置は、板材の材料特性を示す少なくとも1つのパラメータを取得するパラメータ取得手段を備え、
    評価値算出手段は、さらに、前記少なくとも一つのパラメータにも基づいて評価値分布を算出する、ことを特徴とする面品質評価装置。
  5. コンピュータに対し、
    板材のプレス成形の数値シミュレーション結果を利用して、成形体の面品質を表す評価値分布を、プレス下死点でこの成形体の形状面に垂直に作用する面外偏差応力に基づいて算出する算出手順と、
    前記算出手段によって得られた評価値分布を面品質と対応づけて表示する表示手順と、
    を実行させる、ことを特徴とする面品質評価プログラム。
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