JP6397149B1 - 金型たわみモデル作成システム、および金型たわみモデル作成プログラム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】プレス成形金型を用いたプレス成形を有限要素法によって解析するための金型の解析モデルにおける金型たわみモデル作成システムであって、金型のうち、たわみを考慮する必要のあるたわみ考慮金型の表面のモデルとして、細密メッシュで弾性体非剛性のシェル要素からなる細密メッシュ表面シェルモデルを取得する細密メッシュ表面シェルモデル取得部210と、たわみ考慮金型を粗いメッシュで弾性体のソリッド要素からなる粗メッシュソリッドモデルを作成する粗メッシュソリッドモデル作成部220と、粗メッシュソリッドモデルの表面と、細密メッシュ表面シェルモデルとを所定の接触条件により結合する接着面作成部230とを有する。
【選択図】図2
Description
プレス成形金型を用いたプレス成形を有限要素法によって解析するための前記金型の解析モデルにおける金型たわみモデル作成システムであって、
前記金型のうち、たわみを考慮する必要のあるたわみ考慮金型の表面のモデルとして、細密メッシュで非剛性のシェル要素からなる細密メッシュ表面シェルモデルを取得する細密メッシュ表面シェルモデル取得部と、
前記たわみ考慮金型を粗いメッシュで弾性体のソリッド要素からなる粗メッシュソリッドモデルを作成する粗メッシュソリッドモデル作成部と、
前記粗メッシュソリッドモデルの表面と、前記細密メッシュ表面シェルモデルとを所定の接触条件により結合する接着面作成部とを有することを特徴とする。
粗メッシュソリッドモデル作成部は、たわみ考慮金型を粗いメッシュの弾性体のソリッド要素によってモデル化した粗メッシュソリッドモデルを作成する。粗メッシュソリッドモデルは、CADデータから作成してもよいし、たわみ考慮金型のサイズ情報に基づいて、簡易的に作成してもよい。
接着面作成部は、粗メッシュソリッドモデルの表面と、細密メッシュ表面シェルモデルとを所定の接触条件により結合する。所定の接触条件としては、例えばたわみ考慮金型を変形させた場合に、粗メッシュソリッドモデルの表面と、細密メッシュ表面シェルモデルとが接しているところは、互いに同じように動き、接していないところは、一定の距離を保つというような条件が挙げられる。
以上のように、本態様によれば、たわみ考慮金型を、弾性体非剛性の細密メッシュ表面シェルモデルと、弾性体の粗メッシュソリッドモデルとを結合させたモデルとして作成するので、剛体シェルモデルにマッピングする方法では行うことのできなかった成形途中におけるたわみ考慮金型のたわみ量の逐次計算を行うことができる。また、粗メッシュソリッドモデルは、粗いメッシュによりソリッド要素数を大幅に削減しているため、工数および計算時間の増加を抑えることができる。
前記プレス成形金型は、少なくとも、ダイと、パンチと、ブランクホルダとを備える絞りプレス成形金型であり、
前記たわみ考慮金型は、ダイ、パンチ、およびブランクホルダの少なくともいずれか一つである、
ことを特徴とする。
プレス成形金型を用いたプレス成形を有限要素法によって解析するための前記金型の解析モデルにおける金型たわみモデル作成プログラムであって、
コンピュータを
前記金型のうち、たわみを考慮する必要のあるたわみ考慮金型の表面のモデルとして、細密メッシュで非剛性のシェル要素からなる細密メッシュ表面シェルモデルを取得する細密メッシュ表面シェルモデル取得部、
前記たわみ考慮金型を粗いメッシュで弾性体のソリッド要素からなる粗メッシュソリッドモデルを作成する粗メッシュソリッドモデル作成部、
前記粗メッシュソリッドモデルの表面と、前記細密メッシュ表面シェルモデルとを所定の接触条件により結合する接着面作成部、として機能させることを特徴とする。
図1は、本発明の一実施形態に係る金型たわみモデル作成システムの中心となるコンピュータ10の構成を示す図である。図1に示すように、このコンピュータ10は、CPU等の処理装置11と、メモリまたはハードディスク等の記憶装置12と、キーボード、マウスまたはCD−ROMドライブ等の入力装置13と、液晶ディスプレイまたはプリンタ等の出力装置14と、を有する。
図2は、図1の処理装置11の構成を示すブロック図である。
図3は、図1の記憶装置12の構成を概略的に示すブロック図である。図3に示すように、記憶装置12は、プログラム記憶部12Aとデータ記憶部12Bから主に構成されている。
金型形状データDT1は、例えば、既存のCADシステムで設計されたCADデータ、現物の金型について三次元計測システムで計測して得られたSTL(Standard Triangulated Language)データなど、各種手法で得られた既存の金型形状データから構成されている。
ブランク材情報データDT2は、プレス成形される素材となるブランク材に関する各種データである。具体的には、図6(a)から図6(d)に示すように、ブランク材の外形線を構成する複数の節点のXY座標に関する外形線データテーブル、応力ひずみ特性データテーブル、曲げ剛性データ及び板厚データ等の属性から構成されている。このブランク材情報データDT2は、液晶ディスプレイやキーボード等の入力装置13を介して処理装置11に入力される。
金型シェル要素データDT3は、具体的には、ダイ、ホルダ、パンチ、パッド、曲げ刃等のシェル要素データが、成形方法に応じて含まれる。例えば、絞り成形の場合には、ブランクホルダのダイフェース面に関するホルダシェル要素データ及びダイシェル要素データ、パンチに関するパンチシェル要素データが含まれる。なお、本実施形態では、一例として、絞り成形の場合について説明する。
たわみ考慮金型情報データDT4は、たわみ考慮金型の形状、サイズ、および材料特性に関するデータである。本実施形態では、一例として、たわみ考慮金型の一つであるブランクホルダのたわみを解析する場合について説明する。図7に示すように、たわみ考慮金型情報データDT4には、たわみ考慮金型のパート数、弾性体ソリッドモデル化のフラグ、物性データ、ソリッドモデルのサイズデータが含まれる。弾性体ソリッドモデル化のフラグは、フラグが0のとき、金型パートは剛体シェルのままであり、フラグが1のとき、金型パートは弾性体ソリッドモデルとして作成される。物性データは、ヤング率とポアソン比から構成される。
ピン情報データDT5は、ブランクホルダを支持するクッションピンに関するデータである。具体的には、図8に示すように、各クッションピンのピン番号、基端部の位置に関する基端位置座標、直径等のデータと、ピンの物性(例えば、ヤング率(縦弾性係数)、ポアソン比)等のデータとから構成されている。
成形条件データDT6は、絞りプレス成形時の成形条件であるホルダのクッション力(しわ押さえ力)、パッド荷重等のパラメータから構成されている。
最後に、成形解析部400において有限要素法によって数値解析されるFEM解析データDT7について説明する。FEM解析データDT7には、積分点データテーブル、要素構成テーブル、材料属性データテーブル、節点座標テーブルが含まれている。以下、図9、図10を参照しながら各テーブルについて説明する。
入力装置13は、上述の各種データの入力、クッション力の設定値等の各種解析条件の設定または当該システムの制御等に用いられる。
出力装置14には、入力設定画面、板厚分布やひずみ分布等の解析結果等が表示される。例えば、出力装置14には、図11に示すように、成形解析の結果を示す絞りプレス成形品が三次元でグラフィック表示される。
上述の絞りプレス成形解析システムによって解析を行う絞りプレス成形のための絞りプレス成形工程について、図12および図13を参照しながら説明する。
金型たわみモデル作成システムによる絞りプレス成形解析方法について以下に説明する。
図14は、本実施形態の絞りプレス成形解析方法の全体的な流れを示すフローチャートである。図14のフローチャートに示されたメインルーチンの処理手順に従って、絞りプレス成形解析方法の全体的な流れについて説明する。
次に、上述のフローチャートのサブルーチンである金型たわみモデル作成(ステップS5)について、図15および図16を参照しながら説明する。図15および図16は、いずれも、図14に示す金型たわみモデル作成処理(ステップS5)のサブルーチンのフローチャートである。図15は、たわみ考慮金型の実形状データが用意できていない場合であり、図16は、たわみ考慮金型の実形状データが用意できている場合である。
最初に、細密メッシュ表面シェルモデル取得部210は、金型シェル要素データ取得部120により取得した、ホルダ表面の金型シェル要素データDT3から、非剛性の細密メッシュ表面シェルモデルを取得する(ステップS11)。ホルダ表面の金型シェル要素データDT3は、細密メッシュの剛体シェルモデルであるが、細密メッシュ表面シェルモデル取得部210は、この剛体シェルモデルの中からたわみ考慮金型DT4で弾性体ソリッドモデル化を指定された金型(ホルダ)を非剛性に設定することにより、細密メッシュ表面シェルモデルを取得する。
最初に、粗メッシュソリッドモデル作成部220は、金型形状データDT1に含まれるCADデータのうち、ダイDと対向する型構造としてのホルダHの実形状のCADデータを使用して、粗いメッシュのソリッド要素からなる弾性体の粗メッシュソリッドモデルを作成する(ステップS21)。
実形状を用いてソリッドモデルを作成する場合には、3D金型構造データの準備が必要となる。しかし、一般的には、ダイフェース設計時点では金型の構造は確定していないため、このような詳細な3D金型構造データの準備は困難である。そこで、詳細な3D金型構造データの準備は困難な場合には、簡易型の金型たわみモデルTMを作成する。簡易型の金型たわみモデルTMを作成することにより、計算時間の増加を抑えることができる。
全て細密メッシュで構成した弾性体ソリッドモデルが最も実機に近いと仮定して、この細密メッシュの弾性体ソリッドモデルと、他のモデルとについて、流入量誤差、たわみ量および計算時間の観点で効果比較を行った。以下、図23から図31を参照しながら、この効果比較について説明する。
図23は、ブランク材Bを所定のしわ押さえ力でプレス成形した後の解析モデルを示している。なお、ブランク材Bの周縁部にあるP1からP8は、十分なサンプル数が得られる個数の略等間隔に配置された流入量の測定点を示している。
Case0:細密メッシュの弾性体ソリッドモデル
Case1:細密メッシュの剛体シェルモデル
Case2:細密メッシュの非剛性シェルモデル+粗いメッシュの実形状の弾性体ソリッドモデル
Case3:細密メッシュの非剛性シェルモデル+粗いメッシュの簡易型の弾性体ソリッドモデル
Case4:下死点のたわみをマッピングした剛体シェルモデル(従来手法)
本発明の上記各解析モデルで成形解析した際のホルダHのたわみ量の比較を行った。図26は、各モデルにおいてホルダHのたわみ量を計測したポイントを示す平面図である。図26から図30は、各ポイントにおけるたわみ量を示すグラフである。なお、Case2、およびCase3のモデルのたわみ量は、ほぼ同じであるため、図26から図30においては、これらのモデルのたわみ量を一つの折れ線で示している。
図31は、上記各解析モデルでの解析時間を比較したグラフである。図31に示すように、Case0の細密メッシュの弾性体ソリッドモデルが22.52分であるのに対し、Case1の剛体ソリッドモデルは11.33分、本発明のCase2の解析モデルは11.82分、および本発明のCase3の解析モデルは11.75分であった。このように、本発明のCase2およびCase3の解析モデルの解析時間は、Case0の細密メッシュの弾性体ソリッドモデルの解析時間のおよそ半分であり、Case1の剛体シェルの解析時間とほぼ同じであった。
本実施形態の金型たわみモデル作成システムによれば、ホルダHを粗いメッシュで弾性体のソリッド要素からなる粗メッシュソリッドモデルによってモデル化し、ホルダHの表面を細密メッシュで非剛性のシェル要素からなる細密メッシュ表面シェルモデルでモデル化する。さらに、粗メッシュソリッドモデルの表面と細密メッシュ表面シェルモデルとを接触条件により結合して、金型たわみモデルを作成する。
これは、全て細密メッシュからなるソリッドモデルを用いて成形解析を行うには、多大な計算時間を要するため、現実的には採用することはできないためである。
粗メッシュソリッドモデルの表面と細密メッシュ表面シェルモデルとを接触条件により結合して、金型たわみモデルを作成することにより、準備の工数および計算時間を短くしつつ、たわみ考慮金型のたわみのメカニズムを再現することができる。
本発明は例示された実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計上の変更が可能であることは言うまでもない。
120: 金型シェル要素データ取得部
130: たわみ考慮金型情報取得部
150: ピン情報取得部
200: 金型たわみモデル作成部
210: 細密メッシュ表面シェルモデル取得部
220: 粗メッシュソリッドモデル作成部
230: 接着面作成部
Claims (5)
- プレス成形金型を用いたプレス成形を有限要素法によって解析するための前記金型の解析モデルにおける金型たわみモデル作成システムであって、
前記金型のうち、たわみを考慮する必要のあるたわみ考慮金型の表面のモデルとして、細密メッシュで非剛性のシェル要素からなる細密メッシュ表面シェルモデルを取得する細密メッシュ表面シェルモデル取得部と、
前記たわみ考慮金型を粗いメッシュで弾性体のソリッド要素からなる粗メッシュソリッドモデルを作成する粗メッシュソリッドモデル作成部と、
前記粗メッシュソリッドモデルの表面と、前記細密メッシュ表面シェルモデルとを所定の接触条件により結合する接着面作成部と、を有する、
ことを特徴とする金型たわみモデル作成システム。 - 前記粗メッシュソリッドモデル作成部は、前記細密メッシュ表面シェルモデルのメッシュを粗くした粗メッシュ表面シェルモデルを作成し、少なくとも前記たわみ考慮金型のサイズ情報に基づいて、前記粗メッシュ表面シェルモデルから、簡易型の前記粗メッシュソリッドモデルを作成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の金型たわみモデル作成システム。 - 前記粗メッシュソリッドモデル作成部は、前記たわみ考慮金型の実形状の形状データに基づいて、実形状型の前記粗メッシュソリッドモデルを作成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の金型たわみモデル作成システム。 - 前記プレス成形金型は、少なくとも、ダイと、パンチと、ブランクホルダとを備える絞りプレス成形金型であり、
前記たわみ考慮金型は、ダイ、パンチ、およびブランクホルダの少なくともいずれか一つである、
ことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の金型たわみモデル作成システム。 - プレス成形金型を用いたプレス成形を有限要素法によって解析するための前記金型の解析モデルにおける金型たわみモデル作成プログラムであって、
コンピュータを
前記金型のうち、たわみを考慮する必要のあるたわみ考慮金型の表面のモデルとして、細密メッシュで非剛性のシェル要素からなる細密メッシュ表面シェルモデルを取得する細密メッシュ表面シェルモデル取得部、
前記たわみ考慮金型を粗いメッシュで弾性体のソリッド要素からなる粗メッシュソリッドモデルを作成する粗メッシュソリッドモデル作成部、
前記粗メッシュソリッドモデルの表面と、前記細密メッシュ表面シェルモデルとを所定の接触条件により結合する接着面作成部、として機能させる、
ことを特徴とする金型たわみモデル作成プログラム。
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