JP7484862B2 - 金型の設計方法、金型の製造方法、及びプログラム - Google Patents
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Description
また、特許文献2に記載のような方法では、解析のたびに残留応力を各成分に分解しなければならない。更に、面内応力及び面外応力成分にかけ合わせる係数の値を調整する必要がある。また、係数の調整は、解析の利用者によって、解が異なることに繋がる。
この知見に基づき、本発明を成した。
(構成)
本実施形態の金型の設計は、コンピュータを使用したシミュレーション解析によって実行される。そのシミュレーション解析は、有限要素法(FEM)を用いたCAE解析である。従来の解析方法と同様に、ソフト(プログラム)として、図1に示すように、CADソフト100及び解析ソフト110(プリプロセッサ110A、ソルバー110B及びポストプロセッサ110C)を備える。CADソフト100及び解析ソフト110の基本構成としては、公知のソフト構成を採用すればよい。また、解析ソフト110は、本開示の解析プログラムに相当する。
製品データ生成工程S1は、製品形状のデータを生成する処理を実行する。
ここでは、金型により製造される製品は、図3に示すように、自動車のドアパネルを模擬したドローパネル11とする。ドローパネル11は、鋼板をプレス成形することにより製造される大型のパネルであり、張出し部12では一方向に曲率をもち、それと直行する方向では比較的平らに近い曲率をもった形状となっている。また、製品は、外周部全周にフランジ部13が形成された形状となっている。
解析工程設定工程S2は、プレス成形の成形様式(成形条件)を設定する処理を実行する。
金型モデル生成工程S3は、金型をモデル化する。
例えば、金型モデル生成工程S3は、図4及び図5に示すように、ダイ20、ホルダー21、パンチ22からなる金型モデルを設計する。符号23は、成形されるワーク(ブランク)のワークモデルである。
プレス成形解析工程S4は、金型モデルを用いたワークのプレス成形を、公知の手法でシミュレーション解析する。すなわち、プレス成形解析工程S4は、ワークをモデル化してワークモデル23を生成し、このワークモデル23のプレス成形のシミュレーション解析を行う。
スプリングバック解析工程S5は、プレス成形によるスプリングバックをシミュレーション解析する。すなわち、スプリングバック解析工程S5は、プレス成形したワークモデル23が、金型からの離型によって生じるスプリングバックをシミュレーション解析する。
差分算出工程S6は、スプリングバック後のワークモデルと製品データとの形状差分δを求める。例えば、スプリングバック現象によりワークモデル30の張出し部31は曲率が短絡する方向へと収縮し、図6に示すように、離型によって、製品データ11とワークモデル30では面間距離が開く。この差分を形状差分δとして算出する。
評価工程S7は、求めた全形状差分δが許容範囲内であるか否かを判定する。
例えば、全てのノードでの形状差分δが、予め設定した許容範囲内であるか否かを判定する。この判定がOKの場合には、金型モデルの設計処理を終了する。
金型モデル修正解析工程S8は、評価工程S7の判定でNG評価の場合に起動する。
金型モデル修正解析工程S8は、金型モデルの物性適宜を弾性体へ変更した後、当該金型モデルの成形面に圧力を負荷することによって修正する。すなわち、金型モデルの形状を修正するためのシミュレーション解析を行う。
上記説明では、金型モデル修正解析工程S8において、形状差分δ(の分布)を荷重(の分布)に変換する例として、圧力の場合を例示した。形状差分δから変換される荷重は圧力である必要は無い。例えば、図10に示すように、ダイ40の成形面に対し、成形面が膨らむ方向(引き上がる方向)の力である張力に変換してもよい。
また、負荷する荷重を、成形面の中央部の一点にのみ負荷する方法でもよい。成形面の中央部の一点にのみ負荷する場合であっても、ワークの面の寸法誤差に対しては有効である。
本実施形態では、金型モデルの成形面形状を修正する際に、解析よるプレス成形及び離型後のワーク形状(成形形状)と基準形状との差分を荷重分布(圧力分布など)に変換すると共に、金型モデルを弾性体若しくは弾塑性体とする。そして、その金型モデルの成形面に上記荷重分布を掛けるという簡易な処理によって、修正後の金型モデル形状を求めることができる。このとき、荷重分布の荷重は離散的に負荷されるが、金型モデルを弾性体若しくは弾塑性体とすることで、成形面が、自動的に滑らかな面に修正される。
荷重は、圧力のように面直方向であることが好ましい。
そして、上記の金型の設計で決定した金型の情報に基づき金型を製造する。
図11は、金型モデル修正解析工程S8で修正する前の、製品データと初期金型モデルにより成形されたワークモデルとの形状差分δをコンター表示した図である。初期形状の金型で成形されたワークモデルではスプリングバックによって張出し部が曲率を短絡するように変形するため、製品データとの間で面間距離が最大で1.5mm程度開いていた。
本開示は、次の構成も取り得る。
(1)ワークを目的とする製品形状にプレス成形する際に使用される金型の設計方法であって、
上記製品形状に基づき金型の成形面をモデル化して金型モデルを生成する金型モデル生成工程と、
上記金型モデルを用いたワークのプレス成形をシミュレーション解析して、離型後のワークの形状である成形形状を求めるプレス解析工程と、
上記プレス解析工程が求めた上記成形形状と上記製品形状との形状差分を求める差分算出工程と、
上記差分算出工程が求めた形状差分に基づき、上記金型モデルの成形面形状を修正する成形面形状修正工程と、
を備え、
上記成形面形状修正工程は、修正する金型モデルの物性定義を一時的に弾性体又は弾塑性体に変更し、その変更した金型モデルの成形面に対し、上記形状差分に応じた分布で、荷重を負荷することで当該成形面を変形させ、その変形後の成形面を、金型モデルの成形面形状として再設定する。
(2)上記荷重は、上記成形面を押圧する方向の力である圧力、若しくは上記成形面を引き上げる方向の力である張力である。
(3)上記金型モデルは、上記成形面だけを表現した面モデルとする。
(4)上記プレス解析工程は、
上記金型モデルを用いたワークのプレス成形を成形解析するプレス成形解析工程と、
上記プレス成形解析工程後の離型によるスプリングバックを解析するスプリングバック解析工程と、
を備える。
(5)本開示の金型の設計方法によって金型の成形面形状を決定する、金型の製造方法。
(6)ワークを目的とする製品形状にプレス成形する際に使用される金型の成形面形状を求める処理を、コンピュータに実行させるためのプログラムであって、
上記製品形状に基づき金型の成形面をモデル化して金型モデルを生成する金型モデル生成手段と、
上記金型モデルを用いたワークのプレス成形を成形解析して、離型後のワークの形状である成形形状を求めるプレス解析手段と、
上記プレス解析手段が求めた上記成形形状と上記製品形状との形状差分を求める差分算出手段と、
上記差分算出手段が求めた形状差分に基づき、上記金型モデルの成形面形状を修正する成形面形状修正手段と、
を備え、
上記成形面形状修正手段は、修正する金型モデルの物性定義を一時的に弾性体又は弾塑性体に変更し、その変更した金型モデルの成形面に対し、上記形状差分に応じた分布で、荷重を負荷することで当該成形面を変形させ、その変形後の成形面を、金型モデルの成形面形状として再設定する。
(7)上記荷重は、上記成形面を押圧する方向の力である圧力、若しくは上記成形面を引き上げる方向の力である張力として設定される。
20 ダイ
21 ホルダー
22 パンチ
23 ワークモデル(成形前)
30 ワークモデル(成形形状)
40 ダイ(弾性体金型モデル)
100 CADソフト
110 解析ソフト
110A プリプロセッサ
110B ソルバー
110C ポストプロセッサ
S1 製品データ生成工程
S2 解析工程設定工程
S3 金型モデル生成工程
S4 プレス成形解析工程
S5 スプリングバック解析工程
S6 差分算出工程
S7 評価工程
S8 金型モデル修正解析工程
δ 形状差分
Claims (7)
- ワークを目的とする製品形状にプレス成形する際に使用される金型の設計方法であって、
上記製品形状に基づき金型の成形面をモデル化して金型モデルを生成する金型モデル生成工程と、
上記金型モデルを用いたワークのプレス成形をシミュレーション解析して、離型後のワークの形状である成形形状を求めるプレス解析工程と、
上記プレス解析工程が求めた上記成形形状と上記製品形状との形状差分を求める差分算出工程と、
上記差分算出工程が求めた形状差分が、予め設定した許容範囲内か否かを判定する評価工程と、
上記評価工程で形状差分が上記許容範囲外と判定した場合、上記差分算出工程が求めた形状差分に基づき、上記金型モデルの成形面形状を修正する成形面形状修正工程と、
を備え、
上記成形面形状修正工程は、修正する金型モデルの物性定義を一時的に弾性体又は弾塑性体に変更し、上記形状差分が大きいほど圧力が大きくなるという関係で、上記形状差分の分布に応じた圧力分布を求め、その圧力分布で、その変更した金型モデルの成形面に対し、荷重を負荷することで当該成形面を変形させ、その変形後の成形面を、金型モデルの成形面形状として再設定する、
ことを特徴とする金型の設計方法。 - 上記荷重は、上記成形面を押圧する方向の力である圧力、若しくは上記成形面を引き上げる方向の力である張力である、
ことを特徴とする請求項1に記載した金型の設計方法。 - 上記金型モデルは、上記成形面だけを表現した面モデルとする、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載した金型の設計方法。 - 上記プレス解析工程は、
上記金型モデルを用いたワークのプレス成形を成形解析するプレス成形解析工程と、
上記プレス成形解析工程後の離型によるスプリングバックを解析するスプリングバック解析工程と、
を備えることを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか1項に記載した金型の設計方法。 - 請求項1~請求項3のいずれか1項に記載した金型の設計方法によって金型の成形面形状を決定する、金型の製造方法。
- ワークを目的とする製品形状にプレス成形する際に使用される金型の成形面形状を求める処理を、コンピュータに実行させるためのプログラムであって、
上記製品形状に基づき金型の成形面をモデル化して金型モデルを生成する金型モデル生成手段と、
上記金型モデルを用いたワークのプレス成形を成形解析して、離型後のワークの形状である成形形状を求めるプレス解析手段と、
上記プレス解析手段が求めた上記成形形状と上記製品形状との形状差分を求める差分算出手段と、
上記差分算出手段が求めた形状差分が、予め設定した許容範囲内か否かを判定する評価手段と、
上記評価手段で形状差分が上記許容範囲外と判定した場合、上記差分算出手段が求めた形状差分に基づき、上記金型モデルの成形面形状を修正する成形面形状修正手段と、
を備え、
上記成形面形状修正手段は、修正する金型モデルの物性定義を一時的に弾性体又は弾塑性体に変更し、上記形状差分が大きいほど圧力が大きくなるという関係で、上記形状差分の分布に応じた圧力分布を求め、その圧力分布で、その変更した金型モデルの成形面に対し、荷重を負荷することで当該成形面を変形させ、その変形後の成形面を、金型モデルの成形面形状として再設定する、
ことを特徴とするプログラム。 - 上記荷重は、上記成形面を押圧する方向の力である圧力、若しくは上記成形面を引き上げる方向の力である張力として設定される、
ことを特徴とする請求項6に記載したプログラム。
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