JP6844593B2 - プレス成形方法 - Google Patents

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本発明は、天板部と縦壁部とを有し、該縦壁部に外側に凸となる段差部が形成されたプレス成形品を成形するプレス成形方法に関する。
金属板のプレス成形には、しばしば高い形状精度が要求される。しかしながら、プレス成形下死点における残留応力がプレス成形品のプレス成形金型からの離型時に解放されることでスプリングバックと呼ばれる弾性戻り変形が発生し、該プレス成形品の形状精度が悪化することがしばしば発生する。このようなスプリングバックによる形状精度の悪化は、曲げ成形においても発生するものである。
そのため、これまでに、曲げ成形されたプレス成形品のスプリングバックを低減する様々な技術が提案されている。例えば、特許文献1には、金属素板の曲げ加工時に生じるスプリングバックを矯正しながら所定の曲げ角に屈曲させる技術が開示されている。
特開昭61−82930号公報
本発明で成形対象とするプレス成形品50は、図8に例示するように、天板部51と、天板部51から曲がり部53を介して連続する縦壁部55とを有し、縦壁部55においては段差部57から先端側の面部55aと曲がり部53側の面部55bとの間に外側に凸となる段差部57が形成されている。なお、図8は天板部51の中心を対称面として1/2の領域を表示したものであり、プレス成形品50は、断面コ字形状のものである。
このようなプレス成形品50は、離型時において、縦壁部55で壁反りのスプリングバックが生じ、離型後のプレス成形品50は、その目標形状から乖離するという問題があった。特に、プレス成形品50の縦壁部55が他の部品と接合する部位となっている場合にあっては、縦壁部55においては特に高い形状精度が求められる。
しかしながら、特許文献1に開示されている技術は、上記のように縦壁部に段差部が形成されたプレス成形品を対象としたものではなかったため、当該技術では、段差部が形成された縦壁部のスプリングバックを抑制することはできなかった。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、縦壁部に外側に凸となる段差部が形成されたプレス成形品の離型後におけるスプリングバックを低減するプレス成形方法を提供することを目的とする。
発明者は、図8に示すようなプレス成形品50に壁反りのスプリングバックが生じる原因について鋭意検討した。
従来、プレス成形品50は、例えば図9に示すような、パンチ側天板成形面部61とパンチ肩R部63とパンチ側縦壁成形面部65とを有し、パンチ側縦壁成形面部65にパンチ側段差形成部67が設けられたパンチ60と、ダイ側縦壁成形面部21とダイ肩R部23とを有し、ダイ側縦壁成形面部21にダイ側段差形成部25が設けられたダイ20と、パッド30と、を備えたプレス成形金型3を用いて成形されていた。なお、図9は、成形開始(図9(a))から成形下死点(図9(d))までのダイ20の動作と、これに伴う金属板40の変形を図示したものである。
このようなプレス成形金型3を用いて成形したプレス成形品50を離型すると、図7に示す曲がり部53における弾性回復による角度変化に加えて、縦壁部55における壁反りといったスプリングバックが発生する。
曲がり部53における角度変化は、縦壁部55に段差部57が形成されていないプレス成形品(図示なし)においても生じるものである。縦壁部55における壁反りは、段差部57により縦壁部55に段差形状が付与されたプレス成形品50に特有のスプリングバックである。
段差部57が形成された縦壁部55に壁反りが生じる理由を、図10に示す成形過程における金属板40の変形挙動に基づいて説明する。
プレス成形金型3を用いてプレス成形品50をプレス成形する場合、パッド30により金属板40をパンチ60のパンチ側天板成形面部61に押さえ付けた状態で、ダイ20をパンチ60側に相対移動させると、まず、ダイ20のダイ肩R部23が金属板40の表面に当接し(図10(a))、パンチ側縦壁成形面部65におけるパンチ肩R部63側の成形面部65aとダイ側縦壁成形面部21におけるダイ肩R部23側の成形面部21aとの間に隙間が形成された状態で、金属板40は、パンチ肩R部63に沿うように曲げられる(図10(b))。
そして、パンチ側縦壁成形面部65における成形面部65bとダイ側段差形成部25におけるダイ肩R部23側の成形面部21aとで金属板40が挟持され、該挟持された状態でダイ側段差形成部25のR部25aが金属板40に当接し、金属板40は曲げ変形を受ける(図10(c))。
その後、ダイ20がパンチ60側に相対移動すると、前記曲げ変形を受けた部位は、パンチ側縦壁成形面部65の成形面部65aとダイ側縦壁成形面部21の成形面部21aとで挟持されて曲げ戻し変形を受けると共に、金属板40におけるダイ側段差形成部25のR部25aが新たに当接する部位は新たな曲げ変形を受ける(図10(d)、(e))。
さらにその後、ダイ20を成形下死点まで相対移動させると、パンチ側段差形成部67とダイ側段差形成部25とで段差部57が形成される(図10(f))。このようにプレス成形されたプレス成形品50は、縦壁部55における段差部57よりも曲がり部53側の面部55b(図8参照)においては、成形過程における曲げ/曲げ戻し変形が起因となる壁反りのスプリングバックが発生する。
そして、例えば、プレス成形品50の面部55aと面部55bとが平行(図8においてΔθ=0°)なものを目標形状としてプレス成形した場合であっても、面部55bに壁反りのスプリングバックが発生すると、図8に示すように、面部55aと面部55bとの間に角度差(Δθ≠0°)が生じ、目標形状から乖離してしまう。
そこで、本発明者は、段差部57が形成された縦壁部55の成形過程における曲げ/曲げ戻し変形を小さくする方法を鋭意検討した。その結果、成形過程においてダイ側段差形成部25のR部25aによる金属板40の曲げ変形の曲率半径が大きくなるようにすることで、金属板40における縦壁部55に相当する部位の曲げ/曲げ戻し変形量を小さくし、縦壁部55のスプリングバックによる壁反りを軽減することを着想するに至った。
本発明は、かかる着想に基づいてなされたものであり、具体的には以下の構成からなるものである。
(1)本発明に係るプレス成形方法は、金属板を、天板部と該天板部から曲がり部を介して連続する縦壁部とを有し、該縦壁部に外側に凸となる段差部が形成されたプレス成形品に、パンチとダイを用いて成形するものであって、前記パンチは、前記天板部を成形するパンチ側天板成形面部と、前記縦壁部を成形するパンチ側縦壁成形面部を有し、該パンチ側縦壁成形面部には、前記段差部を形成するパンチ側段差形成部と、該パンチ側段差形成部よりも前記パンチ側天板成形面部側に前記金属板を逃がすために凹んだ凹部とが設けられ、前記ダイは、前記縦壁部を成形するダイ側縦壁成形面部を有し、該ダイ側縦壁成形面部には、前記パンチ側段差形成部と協働して前記段差部を形成するダイ側段差形成部が設けられ、前記ダイを前記パンチ側へと相対移動させて前記縦壁部を成形する過程において、前記ダイ側段差形成部が前記金属板に当接して該金属板に生じる曲げ変形を前記凹部に逃がし、その後、前記ダイを前記パンチ側へ相対移動させて前記金属板の曲げ変形を曲げ戻し、さらにその後、前記ダイを前記パンチ側へ相対移動させて前記パンチ側段差形成部と前記ダイ側段差形成部とで前記段差部を形成することを特徴とするものである。
本発明によれば、金属板における縦壁部に相当する部位の曲げ/曲げ戻し変形を軽減することができ、離型後の前記縦壁部の壁反りによるスプリングバックを抑制し、プレス成形品の形状精度を向上させることができる。
本発明の実施の形態に係るプレス成形方法と、該プレス成形方法で用いるプレス成形金型を説明する図である。 本実施の形態に係るプレス成形方法において、成形過程で金属板に生じる曲げ/曲げ戻し変形を説明する図である。 本発明の実施の形態に係るプレス成形方法において、成形過程でパンチの凹部に金属板の曲げ変形が逃げてたわみが生じている様子を示す図である。 本実施の形態に係るプレス成形方法により成形されたプレス成形品と、従来のプレス成形方法により成形されたプレス成形品の離型後の形状の違いを示す図である((a)斜視図、(b)断面図)。 本発明の実施例でのプレス成形解析に用いたプレス成形金型の形状及び寸法を示す図である。 本発明の実施例でのプレス成形解析により求めた成形下死点における応力分布を示すコンター図である。 本発明の実施例において、離型後のプレス成形品の壁開きの評価に用いた角度変化量の求め方を説明する図である。 本発明で成形対象とする縦壁部に外側に凸となる段差部が形成されたプレス成形品を説明する図である((a)斜視図、(b)断面図)。 従来のプレス成形方法により、縦壁部に外側に凸となる段差部が形成されたプレス成形品を成形する過程を説明する図である。 従来のプレス成形方法において、成形過程で金属板に生じる曲げ/曲げ戻し変形を説明する図である。
まず、本実施の形態に係るプレス成形方法で用いるプレス成形金型について説明する。
<プレス成形金型>
本実施の形態で用いるプレス成形金型1は、図1に例示するように、パンチ10とダイ20とパッド30とを備えてなるものであり、図1(a)〜(d)に示す成形過程により、金属板40をプレス成形品50(図8参照)に成形するものである。
パンチ10は、天板部51を成形するパンチ側天板成形面部11と、縦壁部55を成形するパンチ側縦壁成形面部15とを有するものであり、パンチ側縦壁成形面部15は、パンチ側天板成形面部11からパンチ肩R部13を介して連続して設けられている。さらに、パンチ側縦壁成形面部15には、段差部57を形成するパンチ側段差形成部17と、パンチ側段差形成部17を挟んで成形面部15a及び成形面部15bとが設けられ、パンチ側段差形成部17よりもパンチ側天板成形面部11側の成形面部15aには、金属板40を逃がすために内側に凹んだ凹部19が設けられている。
ダイ20は、縦壁部55を成形するダイ側縦壁成形面部21と、ダイ側縦壁成形面部21の先端に設けられたダイ肩R部23を有し、ダイ側縦壁成形面部21には、パンチ側段差形成部17と協働して段差部57を形成するダイ側段差形成部25が設けられている。
さらに、ダイ側縦壁成形面部21は、ダイ側段差形成部25を挟んで連続する成形面部21aと成形面部21bを有してなり、さらにダイ側段差形成部25は、成形面部21bに接続するR部25aを有している。
パッド30は、パンチ側天板成形面部11に載置された金属板40を所定のパッド荷重で押さえつけるものである。なお、本発明に係るプレス成形方法は、パッド30を必ずしも要するものではない。
<プレス成形方法>
本発明の実施の形態に係るプレス成形方法は、図1に例示するプレス成形金型1を用いて、図8に例示するプレス成形品50を成形するものである。以下、図2及び図3に基づいて本実施の形態に係るプレス成形方法を説明する。
まず、従来のプレス成形方法(図10参照)と同様に、パンチ10のパンチ側天板成形面部11に載置された金属板40をパッド30で押さえ付けた状態で、ダイ20をパンチ10側に相対移動させると、図2(a)〜(b)に示すように、ダイ20のダイ肩R部23が金属板40に当接し、パンチ側縦壁成形面部15における成形面部15aとダイ側縦壁成形面部21における成形面部21aとの間に隙間が形成された状態で、金属板40は、パンチ肩R部13に沿うように曲げられる。
そして、パンチ側縦壁成形面部15における成形面部15bとダイ側縦壁成形面部21における成形面部21aとで金属板40が挟持され(図2(b))、該挟持された状態でダイ20がさらに相対移動すると、ダイ側段差形成部25のR部25aが金属板40に当接し、金属板40は曲げ変形を受ける(図2(c))。
このとき、パンチ側縦壁成形面部15には、金属板40の曲げ変形を逃がすための凹部19が設けられているため、金属板40は、ダイ側段差形成部25のR部25aによる曲げ変形のたわみが凹部19に向かって生じる。これにより、ダイ側段差形成部25のR部25aによる金属板40の曲げ変形の曲率半径は、従来のプレス成形方法(図10(c)〜(e))に比べて大きくなる。
その後、ダイ20をパンチ10側に相対移動させると、金属板40におけるダイ側段差形成部25のR部25aが当接する部位に曲げ変形が生ずるとともに、該曲げ変形された部位には成形方向に張力が作用して曲げ戻される(図2(d)、(e))。
さらにその後、ダイ20を成形下死点までパンチ10側に相対移動させると、パンチ側段差形成部17とダイ側段差形成部25により段差部57が形成される(図2(f))。
このように、本実施の形態に係るプレス成形方法は、ダイ側段差形成部25のR部25aが金属板40に当接して金属板40に生じる曲げ変形がパンチ10の凹部19に逃げて、凹部19にたわみが生じることを許容するため(図3参照)、R部25aによる曲げ変形の曲率半径を大きくすることができる。
これにより、図4に示すように、離型後における縦壁部55の壁反りが低減する。なお、図4は、本発明に係るプレス方法により成形されたプレス成形品の離型後の形状(図4(a)中の薄灰色)と、従来のプレス成形方法により成形されたプレス成形品の離型後の形状(図4(a)中の濃灰色)とを重ねて図示したものである。図4(b)に示すように、本発明における面部55aと面部55bの角度差Δθは、従来のプレス成形方法における角度差Δθ’と比べて小さくなることが分かる。
以上、本実施の形態に係るプレス成形方法によれば、金属板40のR部25aによる曲げ変形の曲率半径を大きくすることにより、縦壁部55の成形過程における曲げ/曲げ戻し変形量が低減し、離型後の縦壁部における壁反りによるスプリングバックを低減することができる。
なお、本発明に係るプレス成形方法に用いるパンチ10は、パンチ側縦壁成形面部15に凹部19が設けられたものであるが、凹部19は、パンチ肩R部13とパンチ側段差形成部17との間の成形面部15aに設けられているものであれば、位置及び範囲については特に制限はなく、成形過程における曲げ/曲げ戻し変形を小さくするように、適宜設定すればよい。また、後述する実施例においては、パンチ10に設けた凹部19の好適な位置と範囲について検討している。
また、上記の説明は、断面コ字形状のプレス成形品50(図8参照)を成形対象とするものであったが、本発明に係るプレス成形方法の成形対象はこれに限るものではなく、天板部と、該天板部から連続する縦壁部を有し、該縦壁部に外側に凸となる段差部を有するプレス成形品であればよい。
本発明に係るプレス成形方法の作用効果について確認するための検証を行ったので、これについて以下に説明する。
本実施例では、図8に示すプレス成形品50を解析対象としてプレス成形解析を行い、該プレス成形解析の解析結果を用いてスプリングバック解析を行った。そして、当該スプリングバック解析結果に基づいて、プレス成形品50の縦壁部55におけるスプリングバック量を評価した。なお、本実施例でのプレス成形解析及びスプリングバック解析には、市販の有限要素法解析ソフトウェアを用いた。
そして、本実施例でのプレス成形解析は、前述の実施の形態で示したプレス成形金型1を用いるものであり、その詳細な形状及び寸法を図5に示す。
なお、本実施例におけるプレス成形解析及びスプリングバック解析では、プレス成形品50の中央に対称面を設定した1/2の領域を解析対象としているため、図5に示すプレス成形金型1においても、対称面を中心とした1/2の領域とした。また、パンチ10、ダイ20、パッド30及び金属板40の紙面奥行方向(長手方向)の長さは、いずれも150mmとした。
プレス成形解析においては、金属板40には、引張強度1470MPa級、板厚1.2mmの鋼板を用い、ブランク長さ(金属板40の中心から先端までの長さ)を150mmとした。さらに、パッド30により金属板40を押さえ付けるパッド荷重を1tonとし、金属板40の中心を固定して解析を行った。
本実施例では、図5に示すプレス成形金型1を用いてプレス成形品50を成形する場合を発明例とし、プレス成形金型1のパンチ10に設けられた凹部19の位置(パンチ側天板成形面部11から凹部19上端までの成形方向距離L1)と、凹部19の範囲(凹部19の上端位置L1と下端位置L2の差)を変更した。
さらに、比較対象として、図9に示すプレス成形金型3を用いてプレス成形品50を成形する場合を従来例とした。
表1に、発明例として設定した凹部19の凹み深さD、上端位置L1及び下端位置L2を示す。
表1において、従来例は、パンチ60のパンチ側縦壁成形面部65に凹部が設けられていない従来のプレス成形方法によるものであるため、凹み深さをD=0mmとした。
発明例1〜発明例7は、パンチ側縦壁成形面部15に凹み深さD=5mmの凹部19が設けられたパンチ10を用いる本発明に係るプレス成形方法によるものである。
そして、発明例1〜発明例4は、凹部19の下端位置(=L2)を変更せずに上端位置(=L1)のみを変更したものである。
さらに、発明例5〜発明例7は、凹部19の上端位置(=L1)を変更せずに下端位置(=L2)のみを更したものである。
図6に、従来例と発明例1及び発明例7についてのプレス成形解析により求めた成形下死点でのプレス成形品50の応力分布を示す。ここで、図6に示す応力分布は、プレス成形品50におけるパンチ10(又はパンチ60)側の成形方向の表面応力を表示したものである。そして、図6において正の応力の値は、離型後に縦壁部55が閉じる(天板部51と縦壁部55のなす角度が小さくなる)方向に寄与するものであるのに対し、負の応力の値は、離型後に縦壁部55が開く(天板部51と縦壁部55のなす角度が大きくなる)方向に寄与するものである。
図6より、従来例と発明例1及び発明例7のいずれにおいても、段差部57では、縦壁部55が閉じる方向の応力と開く方向の応力とが見られる(図6にて点線楕円で囲まれる領域)。もっとも、これらの応力は離型後に相殺されるものであり、面部55aと面部55bの角度に対する影響は同程度である。
しかし、縦壁部55における段差部57よりも曲がり部53側の面部55bでは開き方向の応力が残存しており(図6にて破線楕円で囲まれる領域)、この開き方向の応力の値は、従来例に比べて発明例の方が小さくなっている。
この結果から、本発明に係るプレス成形方法によれば、縦壁部55を成形する過程における曲げ/曲げ変形量が小さくすることができ、開き方向の応力を小さくできることが示された。
次に、プレス成形解析により得られた解析結果を用いてスプリングバック解析を行い、プレス成形品50の離型後における縦壁部55の壁開きを評価した。
本実施例では、縦壁部55の壁開きは、以下のように評価した。
まず、図7に示すように、天板部51と縦壁部55の面部55aそれぞれの長手方向(図8参照、図7においては紙面に垂直な方向)中央に、基準点(A1、A2)と基準点(B1、B2)を設定した。そして、プレス成形品50の離型前と離型後において、線分A1−A2と線分B1−B2のなす角度をそれぞれ求めて離型による角度変化量を算出し、スプリングバックによる壁開きとして評価した。ここで、角度変化量は、離型後に縦壁部55が開く方を正、閉じる方を負とした。
このように算出した角度変化量は、離型後における曲がり部53のスプリングバックによる角度開きの影響が含まれるものである。ただし、パンチ肩R部13のRが同じであるので、本実施例は、段差部57の形状を変更せずにパンチ10に設ける凹部19の位置と範囲を変更するものである。そのため、各条件で算出した角度変化量の違いは、凹部19の位置と範囲を変更したことの影響を表すものである。
前掲した表1に、離型による角度変化量の結果を示す。
表1より、発明例1〜発明例7はいずれも、従来例よりも角度変化量が小さくなり、離型後における縦壁部55の壁開きを低減できたことが分かる。この結果は、パンチ10の成形面部15aに凹部19を設けることにより、成形過程において金属板40の曲げ変形を凹部19に逃がすことができ、これにより金属板40の曲げ/曲げ変形量が軽減し、成形下死点において面部55aに残存する応力が低減したためである。
また、凹部19の下端位置を一定(L2=40mm)として上端位置(L1)を変更した発明例1〜発明例4を比較すると、上端位置(L1)がパンチ肩R部13に近づくほど、角度変化量が低下する結果となった。
さらに、凹部19の上端位置を一定(L1=7mm)として下端位置(L2)を変更した発明例1及び5〜発明例7を比較すると、下端位置をパンチ肩R部13とパンチ側段差形成部17の中間付近に設定した発明例7における角度変化量が最も小さい結果となった。
以上より、本発明に係るプレス成形方法によれば、縦壁部に外側に凸となる段差部が形成されたプレス成形品を成形するに際し、金属板における縦壁部に相当する部位に生じる曲げ変形をパンチに設けた凹部に逃がし、その後、該曲げ変形を曲げ戻すことにより、縦壁部における壁反りによるスプリングバックを低減できることが実証された。さらに、パンチに設ける凹部の位置と範囲を適宜変更することにより、壁反りをさらに低減できることが示された。
1 プレス成形金型
3 プレス成形金型(従来方法)
10 パンチ
11 パンチ側天板成形面部
13 パンチ肩R部
15 パンチ側縦壁成形面部
15a 成形面部
15b 成形面部
17 パンチ側段差形成部
19 凹部
20 ダイ
21 ダイ側縦壁成形面部
21a 成形面部
21b 成形面部
23 ダイ肩R部
25 ダイ側段差形成部
25a R部
30 パッド
40 金属板
50 プレス成形品
51 天板部
53 曲がり部
55 縦壁部
55a 面部
55b 面部
57 段差部
60 パンチ
61 パンチ側天板成形面部
63 パンチ肩R部
65 パンチ側縦壁成形面部
67 パンチ側段差形成部

Claims (1)

  1. 金属板を、天板部と該天板部から曲がり部を介して連続する縦壁部とを有し、該縦壁部に外側に凸となる段差部が形成されたプレス成形品に、パンチとダイを用いて曲げ成形するプレス成形方法であって、
    前記パンチは、前記天板部を成形するパンチ側天板成形面部と、前記縦壁部を成形するパンチ側縦壁成形面部を有し、該パンチ側縦壁成形面部には、前記段差部を形成するパンチ側段差形成部と、該パンチ側段差形成部よりも前記パンチ側天板成形面部側に前記金属板を逃がすために凹んだ凹部とが設けられ、
    前記ダイは、前記縦壁部を曲げ成形するダイ側縦壁成形面部を有し、該ダイ側縦壁成形面部には、前記パンチ側段差形成部と協働して前記段差部を形成するダイ側段差形成部が設けられ、
    前記ダイを前記パンチ側へと相対移動させて前記縦壁部を曲げ成形する過程において、前記ダイ側段差形成部が前記金属板に当接して該金属板に生じる曲げ変形を前記凹部に逃がし、
    その後、前記ダイを前記パンチ側へ相対移動させて前記金属板の曲げ変形を曲げ戻し、曲げ/曲げ戻し変形を小さくして、
    さらにその後、前記ダイを前記パンチ側へ相対移動させて前記パンチ側段差形成部と前記ダイ側段差形成部とで前記段差部を形成することを特徴するプレス成形方法。
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