JPWO2010004986A1 - 天然油の精製方法 - Google Patents

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Abstract

粒状光触媒の層が設けられており、該層の粒状光触媒の間を処理されるべき原料天然油と、酸素および/または水素が通過できるようになっている反応タンクに、処理されるべき原料天然油を入れた後、粒状光触媒層の内部に酸素および/または水素を導入しつつ、該原料天然油を循環しながら粒状光触媒に接触させ、かつ、反応タンク内の温度を40〜110℃に保って、原料天然油を精製することを特徴とする、天然油の精製方法。

Description

本発明は、天然油、特に椿油などの植物油を効率的に精製する方法に関する。
従来、植物油の精製は専ら加熱精製により行われてきた。加熱精製は一般に脱ガム、脱酸、脱色、脱臭処理等の工程を含み、これらの工程を経ることでリン脂質、遊離脂肪酸、色素、および臭い成分などが除去される。
しかしながら、200℃を超える高温での加熱を伴うこれらの過程では脂肪酸組成に変成が起こり、もともと天然には存在しないトランス異性体が発生する。近年、世界各国の研究によってこのトランス型脂肪酸の摂取が健康に悪影響を与えることが指摘されており、ヨーロッパをはじめ、2005年にはアメリカでも食用油におけるトランス型脂肪酸の含有の有無を義務付ける法律が施行されるに至っている。日本においてもトランス型脂肪酸の危険性の認識度が高まってきており、それに伴いトランス型脂肪酸を発生させずに植物油の精製を行う方法の開発が行われている(特許文献1)。しかしながら、高温加熱を行わずに油を精製する方法(例えば活性炭のみにより精製する方法)は、十分な精製効果を得るために長い時間が必要とされたり、歩留まりが低い場合が多く、また、これらの要因によりコストが掛かるため、実際に商業ベースで使用できるようになるためにはまだ多くの改善が必要とされているのが実情である。
国際公開第2007/077913号公報
従って、本発明は、トランス型脂肪酸を含まず、かつ、効率よく高度な精製、脱臭効果を得ることが可能な油の精製方法を提供することを目的とする。
本願発明者らは、過度の加熱を伴わない一定の温度条件下で、酸素および/または水素を導入した粒状光触媒を用いて油を精製することにより、上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、粒状光触媒の層が設けられており、該層の粒状光触媒の間を処理されるべき原料天然油と、酸素および/または水素が通過できるようになっている反応タンクに、処理されるべき原料天然油を入れた後、粒状光触媒層の内部に酸素および/または水素を導入しつつ、該原料天然油を循環しながら粒状光触媒に接触させ、かつ、反応タンク内の温度を40〜110℃に保って、原料天然油を精製することを特徴とする、天然油の精製方法を提供する。
また、本発明は、前記方法により精製された油を提供する。
本発明により、トランス型脂肪酸を副生させることなく、高度に精製、脱臭された油を高収率で得ることが可能となる。
本発明の方法においては、まず、粒状光触媒の層が設けられており、該層の粒状光触媒の間を処理されるべき原料天然油と、酸素および/または水素が通過できるようになっている反応タンクに、処理されるべき原料天然油を入れる。
本発明に使用される反応タンクとは、その内部に原料天然油および粒状光触媒を入れ、両者を接触させて触媒反応を行うためのタンクを意味し、この目的のために適した材質や、タンクの寸法等は当業者が容易に決定することができる。油の変質や加熱温度などを考慮して、材質としては例えばステンレス鋼を使用することが可能である。
本発明に用いることのできる原料天然油は特に制限されず、任意のものを使用することができるが、植物油が好ましい。植物油としては、例えば、椿油、ナタネ油、ベニバナ油、トウモロコシ油、ダイズ油などが挙げられ、上記のうち椿油、例えばカメリア・オレイフェラおよびカメリア・ジャポニカから得られる油が特に好ましい。植物油を用いる場合には、原油(種子を圧搾して得られた油)を直接用いてもよいし、活性炭等により予め部分的に精製した油を使用してもよい。
本発明に使用される光触媒の種類としては、当業者が任意のものを選択することが可能であり、例えば酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム等が挙げられるが、上記のうち酸化チタンが特に好ましい。また、本明細書において、粒状光触媒とは、油と効率的に接触させること及び/又は触媒反応後に容易に触媒と油を分離することを目的として前記光触媒を一定の大きさに加工して固体化したものを意味する。本発明の粒状光触媒の形状および大きさは最適のものを当業者が決定することができるが、直径が3〜10mm、より詳細には5〜8mm、例えば5mmの球状のものが好ましく、例えば不二機販売社製のPIPチタングリッドを使用することができる。
前記粒状光触媒は、反応タンク内で層をなすように配置され、粒状光触媒の間を処理されるべき原料天然油と、酸素および/または水素が通過できるようになっている。粒状光触媒を層状に配置させることにより、反応タンク内で油が粒状光触媒を繰り返し通過するように油を循環させることによって、油の精製を効率的に行うことができる。また、後述するように粒状光触媒に酸素および/または水素を効率的に導入することが可能となる。
好ましい粒状光触媒の量は、油1kgあたり0.5〜5kg、好ましくは1〜3kgであるが、油の循環により粒状光触媒と油の接触を繰り返し行うことが可能であるため、適切な量は他の操作条件との関連において当業者が適宜設定することが可能である。
上記の粒状光触媒を使用することによって、臭気の原因となる脂肪酸以外の不純物の分解還元を行い、その結果、高度に精製、脱臭された油を得ることが可能となる。触媒を活性炭の代わりに使用すること、または活性炭と併用することによって、活性炭のみで油を精製した場合と比較して、歩留まりの改善、精製時間の短縮、コスト削減等の利点が得られる。
本発明の方法においては、その後、粒状光触媒層の内部に酸素および/または水素を導入しつつ、該原料天然油を循環しながら粒状光触媒に接触させ、かつ、反応タンク内の温度を40〜110℃に保って、原料天然油を精製する。
上記のように粒状光触媒層の内部に酸素および/または水素を導入することによって、光触媒による触媒反応を促進し、その精製、脱臭能力を向上させることができる。本発明において、酸素および/または水素の導入は、例えば空気を導入することにより行うことができる。また、酸素および水素の両方を使用する場合、それぞれの割合は任意に設定することが可能であるが、モル比で1:10〜10:1、好ましくは1:2〜2:1、例えば約1:1とすることができる。粒状光触媒に酸素および/または水素を供給する態様としては特に制限はされず、例えば、タンク外部より気体導入管を粒状光触媒に連結することにより酸素および/または水素を粒状光触媒の内部に導入することができる。その際、例えばポンプにより酸素および/または水素を送り込む様式としてもよいし、または反応タンク内部を真空ポンプにより減圧することにより、引圧を利用して管を介して酸素および/または水素を取り込む(即ち抜気する)様式としてもよい。また、エアレーション効果を上げるために、粒状光触媒の層の底部に気泡を発生させるためのフィルターを設置し、該フィルターにタンク外部からの酸素および/または水素を供給するための気体導入管を連結した様式とすることも可能である(図1参照)。上記のように反応タンク内部を真空ポンプにより減圧することにより、比較的低い温度で効率よく触媒反応を行うことが可能となるため、反応タンク内部の油の昇温のために必要とされるエネルギー消費を低減させることができる。また、さらに引圧を利用して管を介して酸素および/または水素を取り込む様式とすると、対圧下に比べ、分子の活性化が喚起されやすくなると考えられ、より触媒反応を引き出しやすい。
本発明においては、水の電気分解により得られた酸素および/または水素を粒状光触媒層に導入してもよい。水の電気分解に使用される装置としては特に限定はされず、例えばスーエンジニアリング社製のイージスXを使用することができる。水の電気分解により得られた酸素および/または水素を個別に回収した上で、例えば、減圧下の引圧を利用し、これらの気体を配管を通して所望の割合で混合してから粒状光触媒層に導入する態様としてもよいし、個別の配管により粒状光触媒層に導入してもよい。
上記の通り粒状光触媒層の内部に酸素および/または水素を導入した状態で、原料天然油を循環しながら粒状光触媒に接触させる。反応タンク内で油が粒状光触媒を繰り返し通過するように油を循環させることによって、油を効率よく精製、脱臭することが可能となる。油を循環させる方法としては、例えば、粒状光触媒層の上側および下側に存在する油を、反応タンク外に配管を通して連結した循環ポンプの作用によって下側から上側、または上側から下側に移動させることによって、粒状光触媒層を油が繰り返し通過させることによって接触させるようにすることができる。循環量は油や触媒の量に応じて適宜設定することができるが、例えば毎分1〜5リットル、例えば毎分1.5リットルとすることができる。また、100リットル〜200リットル程度の大量の油を反応させるために大きな反応タンクを使用した場合には、油の循環量を適宜増やすことが可能であり、例えば毎秒0.5〜2リットル、例えば毎秒1リットル程度とすることができる。
本発明の方法においては、反応タンク内の温度は40〜110℃、好ましくは80〜110℃、より好ましくは85〜100℃、特に好ましくは約90℃に保たれる。このような好ましい温度範囲で反応を行うと、反応を効率的に短い時間で行うことができる。一方、反応を大容量で行う場合、40〜90℃で時間をかけて反応を行うのがよい。従って、本発明では、反応を75〜90℃で行うのが特に好ましい。酸化チタン等の光触媒は、光を照射することにより触媒作用を示す物質として知られるが、熱を加えることによっても同様の触媒作用を得ることが可能であり、油を上記の温度として粒状光触媒に接触させることによって油に含まれる不純有機物の分解を促進することができる。上記の温度で油と粒状光触媒とを接触させることにより、トランス型脂肪酸を副生させることなく、光触媒の分解還元能力を最大限に引き出すことが可能となる。
なお、本発明は、上記の温度条件とすることによって、光触媒に光を照射しなくても触媒能力を得られるという効果を利用したものであるが、必要により光触媒に光を照射してもよい。光の種類(波長の組み合わせ)や強度は触媒の種類や量などに応じて当業者が適宜決定することが可能であり、様々な波長の紫外線、可視光およびそれらの組み合わせが挙げられるが、好ましくは波長315〜400nmの紫外線を使用することによって良好な精製能力を得ることができる。
また、本発明においては、油を粒状光触媒層に接触させる時間は操作条件等によって変動するため、当業者が通常の操作により最適の時間を決定できるが、好ましくは4〜16時間、好ましくは5〜8時間行われる。上記の時間とすることによって、油の精製を十分に行うことができるとともに、油を必要以上の時間加熱することによる油の変性及び焦げ臭さの発生を防止することができる。とりわけ減圧下での触媒反応では、油の変性及び焦げ臭さの発生が起きにくく、対圧下では6時間を超えると発生していた油の変性及び焦げ臭さの発生が、16時間を過ぎても認められなかった。
上述した本発明の方法により、植物油等の原料天然油を、トランス型脂肪酸を副生させることなく、高度に精製、脱臭することができる。また、本発明の方法においては、粒状光触媒への酸素の供給量、水素の供給量、油の循環時間、油の温度等、数多くの管理変数を調整することにより、処理量などに応じた最適の操作条件を容易に決定することが可能となる。
油の精製の程度は、例えば油の酸価値や油の臭いを指標として判別することができる。酸価とは植物油の精製度を客観的に表す数値の1つであり、試料1gを中和するに要する水酸化カリウムのmg数のことをいう。例えば、植物油5gにジエチルエーテル25mlおよびエタノール25mlを加えて溶解させた後、フェノールフタレインを指示薬として、0.1mol/l水酸化カリウム水溶液で滴定し、中和に要した水酸化カリウム水溶液の量から計算することができる。また、臭いの測定は市販の測定器を用いることが可能であり、例えば音香科学製臭い測定器WB−121Fを使用することができる。例えば椿油を本発明の方法により精製した場合、上記測定器により測定した場合に110〜140ポイントである精製前の油を、50ポイント前後、さらに条件により40近くにまで脱臭することが可能となる。これは、臭気の値を当初の30〜40%にまで減少させるものである。200℃を超えるような加熱精製を経て製造された(即ち有害なトランス型脂肪酸を多く含む)従来の油としては例えば臭気ポイントが35程度のものが市販されており、従って、本発明の方法では、上記のような高温での処理を行わなくても、従来の加熱精製に匹敵する脱臭効果が得られる。
本発明においては、まず、原料天然油の不純物の分解・還元を促進するにあたり、光触媒の酸化還元力を測定すると波長315〜400nmの紫外線を照射した場合に最も効率がよかったものの、光エネルギーに代替して熱エネルギーを与えたところ、その分解還元能力がさらに高まることを見出した。
そこで、反応タンク上部蓋を開放した対圧環境の状態で、反応タンク内の天然油温度を90℃〜110℃に保って原料天然油を循環しながら粒状光触媒に接触させた場合、紫外線照射で24時間〜48時間反応させて得られたのと同様の効果を6〜8時間で得ることができた。
さらに反応タンク上部を蓋し、液面上部の空間を減圧、同時に、反応タンク底部の抜気孔から、酸素および/または水素を導入したところ、反応タンク内の天然油温度90℃以下で、対圧環境下95℃〜105℃の油温度でえられるものと、ほぼ同等もしくはそれ以上の分解還元反応が得られた。本発明は、上記の検討により完成されたものである。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
椿の種子を圧搾して得られた椿油の原油2.3kgおよび酸化チタン(PIPチタングリッド(直径5mmの球状):不二機販売社製)2.3kgを反応タンク(ステンレス鋼製、容量20リットル)に導入した。反応タンク内で、粒状酸化チタンの層の上下の空間に椿油を配した配置とし、前記の上下の空間を繋いだ循環ポンプによって循環させることにより、油を粒状酸化チタン層を上側から下側に繰り返し通過させる構造とした。循環量は毎分1.5リットルとした。
油の温度は、反応タンクに設けたヒーターによって90℃に設定した。また、真空ポンプを用いて触媒反応タンク上部の空間の空気を真空ポンプで吸引(真空度30kPa)することにより、反応タンクの底部から酸化チタン層に連結した配管から、引圧を利用してタンク外の空気を反応タンク内に導入し、さらに酸化チタン層に均等に空気を供給させるため抜気用フィルターから反応タンク内の油に空気を放出した。また、空気をタンクに導入する前に、加湿器で空気を加湿した。
2時間毎に油の一部をサンプリングし、室温24度の換気された部屋で、20cm3の外気と遮断されたガラスケースに検体をおいて、音香科学製臭い測定器WB−121Fを立ち上げ後30分放置し、安定した後に、検体の臭気をガラスケース内で計測した。その結果、当初の原油の臭気126ポイントの値が、2時間経過後に74ポイント、4時間経過後に67ポイント、6時間経過後62ポイント、8時間経過後に60ポイント、10時間経過後に57ポイント、12時間経過後に48ポイント、14時間経過後に46ポイント、16時間経過後に50ポイントとなり、14時間経過後には当初の36.51%に値が低下した(図2)。
実施例2
実施例1と同じ条件で繰り返し実験を行った。原油の臭気126ポイントの値が、2時間経過後に69ポイント、4時間経過後に63ポイント、6時間経過後58ポイント、8時間経過後に55ポイント、10時間経過後に52ポイント、12時間経過後に43ポイント、14時間経過後に41ポイント、16時間経過後に43ポイントとなり、14時間経過後には当初の33.88%に値が低下した(図2)。
上記の実施例1及び2に示される通り、エアレーションにより空気を光触媒に供給することによって油を効率的に脱臭すること可能となり、また、6時間を超えて触媒反応を行っても後述の比較例に示すような油に焦げ臭さは生じなかった。
実施例3
酸化チタン層に空気と水素の混合気体を導入した以外は実施例1と同様に実験を行った。
水の電気分解装置としてスーエンジニアリング社製のイージスXを使用し、得られた水素(毎分約10リットル)を空気と混合して酸化チタン層に導入した。油をタンク内で循環させて酸化チタンに接触させて1時間後から5時間後まで1時間間隔で油の一部をサンプリングし、臭気計で臭気を測定した。原油の臭気120ポイントの値が、1時間経過後に75ポイント、2時間経過後に61ポイント、3時間経過後57ポイント、4時間経過後に49ポイント、5時間経過後に47ポイントとなり、5時間経過後には当初の39.2%に値が低下した(図3)。
実施例4
実施例3と同じ条件で繰り返し実験を行った。原油の臭気120ポイントの値が、1時間経過後に77ポイント、2時間経過後に63ポイント、3時間経過後55ポイント、4時間経過後に51ポイント、5時間経過後に47ポイントとなり、5時間経過後には当初の39.2%に値が低下した(図3)。
実施例5
実施例3及び4と比較するため、酸化チタンに空気のみを供給した実験を行い、同じタイムコースで油をサンプリングして臭気を測定した。原油の臭気120ポイントの値が、1時間経過後に78ポイント、2時間経過後に67ポイント、3時間経過後60ポイント、4時間経過後に56ポイント、5時間経過後に55ポイントとなり、5時間経過後には当初の45.8%に値が低下した(図3)。
実施例3〜5に示されるように、空気と水素との混合気体を触媒層に供給することにより、空気のみを供給した場合と比較して、短時間でより効果的に臭気を減少させることができることが判明した。
比較例1
酸化チタン層に酸素および/または水素を導入しない条件で椿油を酸化チタンと接触させた。酸化チタン2.3kg、搾油した椿油(原油)2.3kgを反応タンクに導入した。油の温度を90℃に設定し、対圧下、スターラーでの撹拌により油を酸化チタンに接触させて触媒反応を行い、1時間ごとにサンプリングした油の臭気を測定したところ、原油の臭気78ポイントの値が、6時間目までに47ポイントまで低下したものの、それ以降は臭気が上昇した。脱臭率は6時間後の段階で当初の60.3%までであり、8時間目にはさらに急激に臭気の値が増加した(図4)。
なお、臭気は当初の原油の臭いとは異なる焦げ臭さを伴うものであった。
参考例
椿油の加熱に対する耐性を調べるため、20℃の椿油を一定の熱源で加熱した場合に10℃昇温するために必要な時間(秒数)を計測した。その結果、60〜90℃の温域では20秒程度で油の温度が10℃上昇するが、それ以上の温域では必要な熱量が大幅に増加することが判明した(図5)。これは、油の熱に対する耐性が大きく変化したためと考えられ、特に100℃を超えるような高温においては椿油の変性につながるものと考えられる。よって、例えば100℃以下、好ましくは90℃以下の温度で椿油を酸化チタンと接触させることにより、焦げ臭さを発生させることなく精製を行うことができることが推測される。この参考例から、減圧下における触媒反応の促進には、空気との接触による焦げ臭さの発生をおさえる効果があることが確認された。
実施例6
200リットルの反応タンクに椿油140リットル(128kg)及び酸化チタン50kgを導入し、油の処理を行った。油の循環量は毎秒1リットルとし、空気と水素の混合気体(モル比1:1)を毎分10リットルで反応タンクの触媒に供給した。油の温度は80℃に設定した。
20分毎に油の一部をサンプリングし、臭気ポイントを測定した。原油の臭気76ポイントの値が180分経過後には臭気ポイント26となり、当初の36.8%に値が低下した(図6)。
本発明の方法に用いられる触媒反応装置の一例を示す。 空気を触媒層に導入して行った油の精製による臭気の減少を示す。 空気と水素の混合気体を触媒層に導入して行った油の精製による臭気の減少を示す。 酸素および/または水素を触媒層に導入せずに油を精製した場合の臭気の経時変化を示す。 椿油を加熱した場合に、10℃昇温するために必要な時間を示す。 140リットルの油、触媒50kgを使用して油を精製した場合の臭気の減少を示す。
1.反応タンク
2.粒状光触媒
3.油
4.空間
5.循環ポンプ
6.真空ポンプ
7.気体導入管
8.エアレーションフィルター

Claims (11)

  1. 粒状光触媒の層が設けられており、該層の粒状光触媒の間を処理されるべき原料天然油と、酸素および/または水素が通過できるようになっている反応タンクに、処理されるべき原料天然油を入れた後、粒状光触媒層の内部に酸素および/または水素を導入しつつ、該原料天然油を循環しながら粒状光触媒に接触させ、かつ、反応タンク内の温度を40〜110℃に保って、原料天然油を精製することを特徴とする、天然油の精製方法。
  2. 光触媒が酸化チタンである、請求項1記載の方法。
  3. 原料天然油と粒状光触媒との接触を4〜16時間行う、請求項1又は2記載の方法。
  4. 酸素および/または水素が加湿されている、請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
  5. 反応タンク内部を減圧することにより、引圧により粒状光触媒への酸素および/または水素の導入量を調整する、請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。
  6. 粒状光触媒に供給される酸素および/または水素が、水の電気分解により得られたものである、請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
  7. 原料天然油が植物油である、請求項1〜6のいずれか1項記載の方法。
  8. 植物油が椿油である、請求項7記載の方法。
  9. 反応タンク内の温度を80〜110℃に保って、原料天然油を精製する請求項1〜8のいずれか1項記載の方法。
  10. 反応タンク内の温度を40〜90℃に保って、原料天然油を精製する請求項1〜8のいずれか1項記載の方法。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項記載の方法により精製された天然油。
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