JP2989704B2 - 脱硫された油脂又は脂肪酸エステルの製造方法 - Google Patents

脱硫された油脂又は脂肪酸エステルの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は脱硫された油脂又は脂肪
酸エステルの製造法、並びに該脱硫された油脂又は脂肪
酸エステルを用いたアルコールの製造方法に関するもの
である。詳しくは油脂若しくは脂肪酸エステルを原料と
した種々の水素化触媒反応により、対応する硬化脂肪
酸、脂肪族アルコール、脂肪族アミンを製造するに際
し、予め銅を含有する特定の触媒で処理することにより
原料油中に含まれる触媒毒作用を有する硫黄化合物濃度
を低減した油脂および脂肪酸エステルを得るための脱硫
方法、並びに油脂又は脂肪酸エステルを原料とし、エス
テル還元触媒の存在下、水素で接触還元してアルコール
を製造するに際し、該脱硫された油脂又は脂肪酸エステ
ルを使用することにより、エステル還元触媒の活性寿命
を高めることを可能とするアルコールの製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】油脂
(本発明において、油脂とはトリグリセライドをいう)
及びそれから誘導される脂肪酸エステル(本発明におい
て、脂肪酸エステルとはトリグリセライド以外の、脂肪
酸と低級または高級アルコールとのエステルをいう)
は、通常少なくとも数ないし数10ppm の硫黄分を含有し
ている。これらの原料油を用いて硬化脂肪酸、脂肪族ア
ルコール、脂肪族アミンなどを製造するに際し、原料油
中に含まれる微量の硫黄化合物は、各製造工程で用いら
れる水素化触媒を劣化させ、触媒活性および触媒寿命を
著しく低下させる。特に、これらの原料油をエステル還
元触媒の存在下、水素で接触還元し、アルコールを製造
する場合、原料油中に含まれる微量の硫黄化合物は触媒
毒として作用し、エステル還元触媒の活性寿命を著しく
低下させる。そこで、本発明者らはアルコール等の製造
原料となる油脂又は脂肪酸エステル中に含まれる硫黄分
濃度を低減すべく、前述の精製処理方法について検討を
加えたところ、以下のような問題点が明らかとなった。
【0003】(1) 蒸留精製処理の問題点 天然油脂から常法によって誘導した脂肪酸メチルエステ
ルを蒸留した場合、90%収率で硫黄化合物は初期含有濃
度の10%に、また98%収率で20%に低減可能である。し
かし、通常入手あるいは製造し得る脂肪酸メチルエステ
ルで合目的レベルに硫黄分濃度を低減しようとする場
合、5%以上の蒸留ロスは不可避であり、また原料アル
キル分布も大きく変化するという問題が生じる。また、
油脂又は脂肪酸と高級アルコールとのエステルの蒸留の
場合、これらは沸点が高いので、蒸留方法によってこれ
らに含有される硫黄化合物を除去することは、実質的に
困難であった。
【0004】(2) 脱硫触媒による精製処理の問題点 モリブデン又はタングステン系触媒は、石油精製の分野
において、軽油あるいは重油中の硫黄化合物の除去に使
用されている(触媒プロセス化学、東京化学同人出
版)。しかし、これらの触媒は、脱硫活性を得るために
は、 300℃以上の高温を必要とする。このような高温で
油脂や脂肪酸エステルを水素化処理した場合、エステル
基の水素化分解に伴い、酸価(AV)の上昇や原料分解物
が著しく増加するという問題が生じるとともに、生成脂
肪酸により脱硫触媒成分の溶出が起き、エステル還元反
応時に選択性の面で悪影響を与えるという問題を生ず
る。
【0005】従って、本発明の課題は、油脂又は脂肪酸
エステル中に含まれる触媒毒作用を有する硫黄化合物濃
度を低減した脱硫された油脂および脂肪酸エステルの製
造方法、並びにエステル還元触媒の寿命を低下させるこ
となく、エステル還元触媒の存在下で油脂又は脂肪酸エ
ステルを接触還元することにより、高収率、高純度、且
つ効率よく高品質のアルコールを製造する方法を提供す
ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
油脂又はそれから誘導される脂肪酸エステルを用いて、
アルコール等を製造する工程において、原料油中の硫黄
分濃度を合目的レベルに低減するための精製技術を確立
すべく、鋭意研究を重ねた結果、油脂又は脂肪酸エステ
ルを特定の触媒により、水素及び/又は不活性ガス雰囲
気下で処理することで、目的に適った原料油を歩留まり
良く製造できることを見出し、本発明を完成した。即
ち、本発明は、油脂又は脂肪酸エステルを、水素及び/
又は不活性ガス雰囲気下、圧力 0.1〜20kg/cm2(絶対圧
力)、温度 100〜350 ℃にて、下記の式(I)で示され
る触媒と接触させることを特徴とする、脱硫された油脂
又は脂肪酸エステルの製造法を提供するものであり、更
に、本発明は、油脂又は脂肪酸エステルを原料とし、エ
ステル還元触媒の存在下、水素で接触還元してアルコー
ルを製造するに際し、油脂又は脂肪酸エステルを水素及
び/又は不活性ガス雰囲気下、予め下記式(I)で表さ
れる触媒の存在下、圧力 0.1〜20kg/cm2(絶対圧力)、
温度 100〜350 ℃で処理して処理油中の硫黄分濃度を0.
6ppm以下とした低硫黄分濃度の原料を使用することを特
徴とするアルコールの製造方法を提供するものである。
【0007】式(I): Cu・ Xx ・ Yy ・Oz (式中、X はFe,Zn,Crの少なくとも1種の元素を含
み、Y はAl,Si,Tiの少なくとも1種の元素を含む。ま
た、x,yは、Cuを1とした場合のそれぞれの元素の原
子比を示し、x=0.02〜2.4 、y=0〜2.0 である。こ
こでzは、X およびY 元素の原子価要求を満足する酸素
の原子比である。)以下、本発明を詳細に説明する。
【0008】油脂およびそれから誘導される脂肪酸エス
テルを、エステル還元触媒の存在下、水素で接触還元し
対応する脂肪族アルコールを製造する場合、原料油の品
質により触媒寿命が大きく影響を受ける。そこで、本発
明者らはこれら原料油中の不純物で、エステル還元触媒
の寿命に大きく影響を与える物質について詳細に検討し
たところ、触媒毒として従来公知の硫黄化合物、ハロゲ
ン化物以外に遊離の脂肪酸が極めて強い触媒毒性を示す
ことを見出した。硫黄化合物およびハロゲン化物は一般
に水素化反応用触媒の触媒毒として良く知られており、
反応に際してはこれらの触媒毒を極力低減することが望
ましい。ここで、通常入手し得る原料油はハロゲン化物
をごく微量しか含有しないため、硫黄化合物濃度の低減
が最も重要となる。また、工業的に用いられているエス
テル還元触媒は銅−クロム系あるいは銅−亜鉛系触媒で
あり、このため遊離の脂肪酸による腐食を受けやすい。
従って、原料油中の脂肪酸濃度も極力低減することが重
要である。
【0009】そこで、原料油中の硫黄化合物および遊離
脂肪酸の許容濃度を調べるため、ヤシ油あるいはパーム
核油から常法によって誘導されたメチルエステルを原料
に、銅系触媒を用い、検討を行った。ここで、比較には
上記原料を蒸留した(蒸留収率90%)、硫黄分が 0.3〜
0.4ppmで、酸価(AV, KOHmg/g)が 0.1以下のメチルエス
テルを使用した。この結果、硫黄分が0.6ppm以下、更に
好ましくは0.3ppm以下、また酸価(AV)が2以下の原料で
あれば、蒸留メチルエステルとほぼ同等の触媒寿命を確
保できることを見出した。
【0010】油脂およびそれから誘導される脂肪酸エス
テル中に含まれる硫黄化合物は、吸着剤処理、アルカリ
処理あるいはスチーミング処理等の通常の精製処理を経
ても完全に除去することはできない。これらの方法によ
り、充分な精製処理を行った場合でも、3〜5ppm 程度
の硫黄分が残留する。このため、硫黄分をこれ以上低減
しようとしても、通常の精製処理では無理であり、従っ
て現状では、蒸留精製を行う以外には手段がなかったも
のと言える。一方、遊離の脂肪酸は吸着剤処理、アルカ
リ処理あるいはスチーミング処理等の通常の精製処理で
容易に低減可能である。
【0011】従って、本発明は、油脂およびそれから誘
導される脂肪酸エステル中に含まれる硫黄分を低減する
ための、蒸留精製法に代わる安価で効率的な精製処理方
法を提供し、このような精製処理方法によって得られた
低硫黄分濃度の原料を使用したアルコールの製造方法を
提供するものである。尚、本発明において使用される脂
肪酸エステルについては上記式(I)で表される触媒存
在下、特定条件にて精製処理する工程に先立って、予め
蒸留した脂肪酸エステルを使用してもよいことは言うま
でもない。
【0012】本発明において使用される油脂としては、
例えばヤシ油、パーム油、パーム核油、大豆油、ナタネ
油、牛脂、豚脂、若しくは魚油等の動植物油脂又はこれ
らの硬化油が挙げられる。また本発明で使用される脂肪
酸エステルとしては、脂肪酸の低級又は高級アルコール
エステルが挙げられる。この脂肪酸エステルを構成する
脂肪酸としては、カプロン酸、カプリル酸、カプリン
酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステア
リン酸、エイコサン酸、ドコサン酸、オレイン酸、エル
カ酸等が挙げられ、また脂肪酸エステルを構成するアル
コールとしては、炭素数が1以上の直鎖又は分岐鎖の飽
和又は不飽和アルコールが用いられ、例えばメタノー
ル、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノー
ル、1−ブタノール、2−ブタノール、2−エチルヘキ
サノール、2,2−ジメチル−1,3 −プロパンジオール、
エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4 −ブ
タンジオール、1,6 −ヘキサンジオール、1,10−デカン
ジオール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、
ジエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプ
ロパン等が挙げられる。
【0013】〔脱硫工程〕本発明において使用される銅
を含有する脱硫精製処理触媒は、上記式(I)で表され
る組成を有する。式(I)で表される脱硫触媒の組成
は、脱硫活性の点で非常に重要である。式(I)で表さ
れる脱硫触媒の製法は特に限定されず、共沈澱法、含浸
法、あるいは均一混練法等により得られる混合物を焼成
して調製される。なお、これらの調製法は、必要に応じ
て組み合わせて使用することもできる。
【0014】また、本発明において使用される式(I)
で表される触媒は、担体に担持あるいは担体と混合して
使用することができる。ここで用いられる担体は、シリ
カ、アルミナ、シリカアルミナ、ゼオライト、珪藻土、
活性白土、チタニア、ジルコニア、活性炭などの公知の
担体から選ばれる。担体成分を含む式(I)で表される
触媒は、処理反応方式に応じて、粉末触媒あるいは球状
もしくは円柱状等に成形された触媒から適宜選ばれ、使
用に供される。これらの触媒は水素で還元活性化して使
用する。また、場合によっては公知の方法で予め還元活
性化および安定化処理を施した触媒をそのまま、あるい
は再度還元活性化した後に使用してもよい。
【0015】該脱硫処理反応方式については、連続、半
回分あるいは回分のいずれの方法も採用可能であるが、
大量に処理を行う場合は、特に連続方式が適する。連続
方式の場合、固定床、移動床、流動床方式等、例えば石
油精製における接触脱硫、接触分解もしくは接触改質
等、広く実用化されている反応方式が適用できる。一般
に、原料油中の硫黄分濃度が比較的低い場合、高濃度の
触媒が利用できる固定床方式が特に好ましく、また原料
油中の硫黄分濃度が高い場合、性能の低下した触媒を連
続的に交換できる移動床および流動床方式でも行うこと
ができる。
【0016】油脂又はそれから誘導される脂肪酸エステ
ルは、式(I)で表される触媒の存在下、例えば固定床
連続反応方式にて次のような触媒のもとで処理される。
即ち、処理流通ガスは水素及び/又は不活性ガスであ
り、不活性ガスとしては窒素、アルゴン、ヘリウム、メ
タン等が挙げられる。処理圧力は0.1〜20kg/cm2(絶対
圧力、以下同じ)である。この場合、脱硫活性および原
料油の分解抑制の点において、1〜5kg/cm2 がより好
ましい。水素ガス雰囲気下、圧力が高くなると脱硫に伴
い原料油の水素化分解副生成物が多くなる。また、処理
温度は 100〜350 ℃の範囲内において決定されるが、温
度が低い場合、脱硫活性の低下が認められ、高温になる
と原料油の熱分解副生成物、また、水素雰囲気下では水
素化分解副生成物が多くなるため、 150〜300 ℃の範囲
で処理を行うことが望ましい。
【0017】処理原料油である油脂又は脂肪酸エステル
の供給速度は、1時間当たりの反応塔容積比、つまり液
空間速度(以下、LHSVという)で、0.1 〜5.0 Hr-1とす
るのが好ましいが、小さくなると生産性の点で不利とな
る。固定床連続反応方式においては、処理される原料油
は、流通ガスとともに上向き並流(アップフロー方式)
あるいは下向き並流(トリクルフロー方式)、もしくは
向流(カウンターフロー方式)のいずれの方式で流通さ
せても良い。しかし、液流量あるいはガス流量が多い場
合は、向流方式は不利であり、また、上向き並流方式に
おいても、触媒強度の必要性や流通ガスの圧力損失とい
った点で不利となる。この場合、下向き並流方式が好ま
しく採用される。
【0018】以上のような条件のもとで、油脂およびそ
れから誘導される脂肪酸エステル中の硫黄化合物の精製
除去を行った場合、硫黄分を0.6ppm以下に維持するため
には、精製処理条件の選定において、酸価(AV)が高くな
ることが予想される条件での運転も当然考えられる。従
って、酸価(AV)の増加を抑制する必要があるような条件
で精製処理を行う場合、原料油中に予め炭素数1〜18の
1価もしくは多価アルコールを混合しても差し支えな
い。この方法によると、原料油の精製処理中に生成した
遊離の脂肪酸とアルコールのエステル化反応が進行する
ことにより、合目的レベルまで酸価(AV)を低下させるこ
とが可能となる。原料油中へのアルコールの添加量は、
当該反応条件で生成あるいは予想される遊離脂肪酸に対
し10〜1000モル倍、より好ましくは20〜500 モル倍とす
ることができる。ここで用いられる炭素数1〜18の1価
もしくは多価アルコールとは、例えばメタノール、エタ
ノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノー
ル、2級ブタノール、3級ブタノール、ペンタノール、
ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、デカノー
ル、ドデカノール、テトラデカノール、ヘキサデカノー
ル、オクタデカノールあるいはエチレングリコール、プ
ロピレングリコール、ブタンジオールおよびグリセロー
ル等をいう。
【0019】このようにして得られた脱硫された油脂又
は脂肪酸エステルは、アルコールの製造原料として用い
ることができるのみならず、硬化脂肪酸又は脂肪族アミ
ンの製造原料としても使用することができる。
【0020】〔接触還元によるアルコール生成工程〕本
発明において開示された精製処理に従い、得られた硫黄
分0.6ppm以下の油脂又は脂肪酸エステルは、次にエステ
ル還元触媒を用いて水素で接触還元することにより対応
するアルコールへ誘導される。ここで用いられるエステ
ル還元触媒としては、銅系のエステル還元触媒が好まし
く、例えば銅−クロム、銅−亜鉛、銅−鉄−アルミニウ
ム、銅−シリカ等の公知の触媒に代表される銅を主成分
とする触媒が挙げられる。エステル還元反応は、上記触
媒の存在下、液相懸濁床あるいは固定床のいずれの反応
方式で行ってもよい。接触還元条件については、従来公
知の方法で良いが、液相懸濁床の反応方式を採用する場
合、触媒量は油脂又は脂肪酸エステルに対し0.1 〜20重
量%が好ましいが、反応温度あるいは反応圧力に応じ、
実用的な反応速度が得られる範囲内において任意に選択
できる。反応温度は160 〜350 ℃、好ましくは200 〜28
0 ℃である。反応圧力は1〜350 kg/cm2 、好ましくは
30〜300 kg/cm2 である。また、固定床反応方式を採用
する場合、円柱状、ペレット状あるいは球状に成形され
た触媒が用いられる。反応温度は130 〜300 ℃、好まし
くは160 〜270 ℃である。反応圧力は0.1 〜300 kg/cm
2 である。ここで反応条件に応じLHSVは任意に決定され
るが、生産性あるいは反応性を考慮した場合、0.5 〜5
Hr-1の範囲が好ましい。
【0021】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでは
ない。
【0022】脱硫触媒調製例I(脱硫触媒A) 撹拌機、温度計を付した2リットル4ツ口フラスコに純
水 273gを入れて90℃に加熱し、Cu(NO3)2・3H2O 66.4
gとZn(NO3)2・6H2O 53.3gを純水 190gに溶解した金
属塩水溶液、および17重量%の炭酸ナトリウム水溶液
を、pH=5.7〜6.3に維持しつつ、同時に滴下した。その
後、10重量%の水酸化ナトリウム水溶液を加え、pH=9.
5 とし、生成した沈澱物を濾過、水洗、乾燥した後、 4
50℃で2時間焼成することにより、Cu:Zn=1:0.65
(原子比)の組成を有する酸化物を得た。
【0023】 脱硫触媒調製例II(脱硫触媒B) 撹拌機、温度計を付した2リットル4ツ口フラスコに、
純水 300gおよび酸化チタン17.2gを入れ、98℃に加熱
し、そこにCu(NO3)2・3H2O 65.0gとZn(NO3)2・6H2O
4.0 gの混合水溶液と、10重量%の炭酸ナトリウム水溶
液とをpH=5〜6の範囲で維持しつつ、同時滴下し、そ
の後、溶液のpHが9になるまで10重量%の炭酸ナトリウ
ム水溶液を加えた。生成した沈澱物を濾過・水洗・乾燥
した後、450℃で2時間焼成することにより、Cu:Zn:T
i=1:0.05:0.8 (原子比)の組成を有する酸化物を
得た。
【0024】脱硫触媒調製例III(脱硫触媒C) 撹拌機、温度計を付した2リットル4ツ口フラスコに、
純水 762g、アルミン酸ナトリウム44.6g、CuSO4 ・5H
2O 113.2g、FeSO4 ・7H2O 151.2gを入れて98℃に加熱
し、そこに22重量%の炭酸ナトリウム水溶液 528.3gを
120分で滴下した。つづいて、10重量%の水酸化ナトリ
ウム水溶液をpH=10.5になるまで加え、生成した沈澱物
を濾過・水洗・乾燥した後、 600℃で1時間焼成するこ
とにより、Cu:Fe:Al=1:1.1 :1.2 (原子比)の組
成を有する酸化物を得た。
【0025】脱硫触媒調製例IV(脱硫触媒D,脱硫触媒
E) 得られる酸化物が、それぞれの原子比として、 (D)Cu:Fe:Al=1:1.2 :0 (E)Cu:Fe:Al=1:1.2 :2.0 で表される組成を有する触媒を、脱硫触媒調製例III と
同様な方法で得た。
【0026】実施例1(脱硫工程) 脱硫触媒Aを用いて、パーム核脂肪酸メチルエステルの
脱硫処理を行った。脱硫触媒を、ベントナイトを用いて
押し出し成形し、長さ5mm×直径2mmのヌードル状成形
体とした。この成形体270cc を内径28mmの反応管に充填
し、 185℃において5ないし60容量%の水素を含有する
窒素ガスを、常圧下、ガス流速約140 リットル/時で、
7.5時間流通することにより、脱硫触媒の還元活性化を
行った。この後、3.6ppmの硫黄分濃度を有するパーム核
脂肪酸メチルエステルと水素含有ガスを下向き並流に流
通させながら、 100%水素雰囲気下、種々の条件下にお
いて原料油の脱硫を行った。得られたパーム核脂肪酸メ
チルエステルの硫黄分濃度分析結果を以下の表1に示
す。硫黄分濃度は、Rosemount Analytical Inc. 製, Do
hrmann型低濃度硫黄分析計(System 701) により測定し
た。尚、得られたパーム核脂肪酸メチルエステルの回収
率は実質的に100 %であり、脱硫工程におけるパーム核
脂肪酸メチルエステルのロスは全くなかった。
【0027】
【表1】
【0028】実施例2(脱硫工程) 脱硫触媒Cを用いて、硫黄分を3.6ppm含有するパーム核
脂肪酸メチルエステルの脱硫処理を実施例1と同様の方
法により行った。 100%水素雰囲気下、種々の条件で処
理して得られた結果を、以下の表2及び表3に示す。
尚、得られたパーム核脂肪酸メチルエステルの回収率は
実質的に100 %であり、脱硫工程におけるパーム核脂肪
酸メチルエステルのロスは全くなかった。
【0029】
【表2】
【0030】
【表3】
【0031】実施例3(脱硫工程) 脱硫触媒Bを用いて、硫黄分を3.6ppm含有するパーム核
脂肪酸メチルエステルの脱硫処理を実施例1と同様の方
法により行った。以下に記した処理条件で得られた結果
を表4に示す。 処理圧力=1kg/cm2 、処理温度= 200℃、 流通ガスおよび流量= 100%水素ガス 2300 Nl/Hr、 LHSV=2Hr-1 尚、得られたパーム核脂肪酸メチルエステルの回収率は
実質的に100 %であり、脱硫工程におけるパーム核脂肪
酸メチルエステルのロスは全くなかった。
【0032】実施例4(脱硫工程) 脱硫触媒Dを用いる以外は、全て実施例3に記した方法
により脱硫処理を行った。結果を表4に示す。尚、得ら
れたパーム核脂肪酸メチルエステルの回収率は実質的に
100 %であり、脱硫工程におけるパーム核脂肪酸メチル
エステルのロスは全くなかった。
【0033】実施例5(脱硫工程) 脱硫触媒Eを用いる以外は、全て実施例3に記した方法
により脱硫処理を行った。結果を表4に示す。尚、得ら
れたパーム核脂肪酸メチルエステルの回収率は実質的に
100 %であり、脱硫工程におけるパーム核脂肪酸メチル
エステルのロスは全くなかった。
【0034】実施例6(脱硫工程) 市販の銅−クロム触媒(Cu:Cr=1:1)を用いる以外
は、全て実施例3に記した方法により脱硫処理を行っ
た。結果を表4に示す。尚、得られたパーム核脂肪酸メ
チルエステルの回収率は実質的に100 %であり、脱硫工
程におけるパーム核脂肪酸メチルエステルのロスは全く
なかった。
【0035】
【表4】
【0036】実施例7(脱硫工程) 脱硫触媒Cを用いて、硫黄分を4.0ppm含有する精製パー
ム核油の脱硫処理を実施例1と同様の方法により行っ
た。100 %水素雰囲気下、種々の条件で処理して得られ
た結果を、以下の表5に示す。尚、得られたパーム核油
の回収率は実質的に100 %であり、脱硫工程におけるパ
ーム核油のロスは全くなかった。
【0037】
【表5】
【0038】実施例8(脱硫工程) 脱硫触媒Cを用いて、硫黄分を3.6ppm含有するパーム核
脂肪酸メチルエステルの脱硫処理を実施例1と同様の方
法により行った。 100%窒素雰囲気下、処理圧力が1kg
/cm2 、LHSVが2Hr-1、流通窒素量が 2300 Nl/Hrの条
件において、処理温度の効果を調べた結果を以下の表6
に示す。尚、得られたパーム核脂肪酸メチルエステルの
回収率は実質的に100 %であり、脱硫工程におけるパー
ム核脂肪酸メチルエステルのロスは全くなかった。
【0039】
【表6】
【0040】比較例1(脱硫工程) パーム核脂肪酸メチルエステル中の硫黄化合物を除去す
るに際し、比較例として通常の蒸留精製を試みた。ここ
で用いたパーム核脂肪酸メチルエステルは、実施例1〜
6と同一のものである。6kgの原料メチルエステルを10
リットルの蒸留器に仕込んだ後、減圧度1〜2mmHgの条
件で蒸留を行う。3kg程度の原料が留出した後、再度原
料メチルエステルを加え、引き続き蒸留を行うことによ
り、合計8.02kgのメチルエステルの精製を行った。この
際、留出したメチルエステル中に含まれる硫黄分を測定
することにより、留出率に対する硫黄分濃度を調べた。
得られた結果を以下の表7に示す。
【0041】
【表7】
【0042】尚、原料留出率が95%の場合、蒸留ボトム
として残った原料エステルのアルキル組成はC 18 メチル
エステルが80%以上であった。従って蒸留精製法ではC
16 ないしC18 の長鎖長メチルエステルのロスが多くな
るという不利益性を避けることが困難となる。
【0043】実施例9 エステル還元触媒の活性寿命に対する還元原料油中の硫
黄分濃度の影響を調べるために実施例1〜6及び比較例
1に示した低圧条件下の処理により得られた油を還元原
料として用い、検討を行った。ここで使用した還元原料
油を表8に、また本原料油を用い下記に示す方法でエス
テル還元触媒の活性寿命評価を行った結果を表9に示し
た。尚、ここで用いたエステル還元触媒は、特開平1−
305042号公報に開示されたチタニア担持銅−亜鉛触媒で
あり、 CuO:ZnO:TiO2=47.5%:2.5%:50.0%の組成
を有している。
【0044】<エステル還元触媒の活性寿命評価方法>
還元原料油 150gとエステル還元触媒3.75gを回転攪拌
式 0.5リットルオートクレーブに仕込み、水素圧10kg/
cm2 、温度200 ℃、水素流通下において、2時間触媒の
還元活性化を行った。その後、230 ℃に昇温し、水素圧
を120 kg/cm2 に昇圧し、攪拌速度を800rpm、水素流速
5リットル/分で反応を開始した。反応途中で適宜サン
プリングを行い、エステルの転化率を求めることにより
活性を求めた。反応はエステル濃度に対し1次反応で整
理され、活性化前のエステル還元触媒1g当たりの速度
定数を活性の尺度とした。反応終了後、触媒と生成アル
コールを濾過分離し、回収された触媒を再度反応に用
い、この操作を同一条件で計10回繰り返すことによりそ
れぞれの速度定数を求め、次の計算式に従い反応1回当
たりの活性低下率を算出した。触媒回収回数に対する速
度定数の変化は、一連の実験において、いずれも良い直
線性を示した。
【0045】
【数1】
【0046】K1 =1回目の速度定数 K10=10回目の速度定数
【0047】
【表8】
【0048】
【表9】
【0049】以上の結果から、本発明で開示した原料油
の脱硫処理により、硫黄分濃度を0.6ppm以下とした原料
油(原料油A,C,D,E,F,G)を用いた場合、蒸
留メチルエステル(原料油H)の活性低下率より小さい
値が得られ、蒸留精製処理(蒸留収率=90.1%)と同等
以上の活性寿命が得られることが明らかである。
【0050】
【発明の効果】本発明によれば、硫黄分濃度を低減した
油脂又は脂肪酸エステルを極めて効率的に得ることがで
きる。また、本発明のアルコールの製造方法を用いるこ
とにより、油脂又は脂肪酸エステルからアルコールを製
造する場合、エステル還元触媒の活性寿命を高めること
が可能となる。さらに本発明によれば、油脂又は脂肪酸
エステルに含有される硫黄分濃度を効率よく低下させる
ことにより、得られる油脂又は脂肪酸エステルをエステ
ル還元触媒の存在下に水素化反応することによって、高
収率、高純度にて、且つ効率よく高品質のアルコールを
得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C11C 3/12 B01J 23/74 301M (56)参考文献 特開 平2−216(JP,A) 特許128431(JP,C2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C11B 3/02 B01J 23/745 B01J 23/80 B01J 23/86 C07C 67/60 C11C 3/12

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 油脂又は脂肪酸エステルを、水素及び/
    又は不活性ガス雰囲気下、圧力 0.1〜20kg/cm2(絶対圧
    力)、温度 100〜350 ℃にて、下記の式(I)で示され
    る触媒と接触させることを特徴とする、脱硫された油脂
    又は脂肪酸エステルの製造法。 式(I): Cu・ Xx ・ Yy ・ Oz (式中、X はFe,Zn,Crの少なくとも1種の元素を含
    み、Y はAl,Si,Tiの少なくとも1種の元素を含む。ま
    た、x,yは、Cuを1とした場合のそれぞれの元素の原
    子比を示し、x=0.02〜2.4 、y=0〜2.0 である。こ
    こでzは、X およびY 元素の原子価要求を満足する酸素
    の原子比である。)
  2. 【請求項2】 油脂又は脂肪酸エステルと触媒との接触
    が、油脂又は脂肪酸エステルを、触媒が充填された固定
    床へ連続的に通過させることである、請求項1記載の脱
    硫された油脂又は脂肪酸エステルの製造法。
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