JPWO2009154301A1 - 歯科補綴物加工用ブロック及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

ブロックの外形形状を内面形状として有する鋳型に無機充填剤を含む樹脂材を一部充填し、回転攪拌処理をした後に重合硬化させ、これを繰り返すことで、単色のブロックだけでなくグラデーションブロックも製造可能とする、CADCAMを用いた歯科補綴物の製造の際に用いられる歯科補綴物加工用ブロックの製造方法。得られる加工用ブロックは、加工後でも強度があり、審美にも優れており、また、より簡便な手法で製造することができる。

Description

本発明は、CADCAM(コンピュータ支援設計/コンピュータ支援製造法)で歯科補綴物を製造するのに好適な歯科補綴物加工用ブロックとその製造方法に関する。
CADCAMを用いた歯科補綴物の製造の分野では、CADCAMの性能の向上、低価格化などから、さらに口腔内から得られる補綴物模型を正確にデータ化し、補綴物加工用ブロックを正確に研削及び切削加工する装置が手軽に得られることから、正確で迅速な歯科補綴物の製造が実現するに至っている。
このような歯科補綴物の製造において、加工に供されるブロックとして、樹脂製ブロック、セラミックス製ブロック、又はその両者の複合材であるハイブリッドレジン製ブロックが提案されている。ここで、ハイブリッドレジンは、複合樹脂材とも呼ばれている。
セラミックス製ブロックは、生体に無害な材料が使われ、審美にも優れているものの、機械加工等の衝撃による微小なクラックの発生により、使用時の割れが頻繁に生じ、長期の使用のために更に被覆処理等の付加的な処理を実施することが必要である。一方、ハイブリッドレジン製ブロックを含む樹脂製ブロックは、セラミックス製のブロックに比べ、切削、研削等の加工がされても、強度が落ちないのであるが、その製造において、発生する泡の処理が必要であり、また、複数の樹脂の重ねあわせによりブロックを作製する場合は、一体化構造物を得るため、加圧による充分な結合が必要となり、製造における課題は多い。
また、天然歯に近い色調を得るために、従来例として、ポリメチルメタクリレートからなるポリマー粉体とメチルメタクリレートとを混合した餅状体を加圧し、加熱加圧重合し、更に他の例えばエナメル質用の同材よりなる餅状体を重ね加圧成形後、重合する手法が知られている。しかしながら、この方法を実施する場合には、結局のところ、加圧成形用の型の形状に充分な餅状体の充填が必要であり、餅状体では困難な脱気もまた別途行わなければならず、煩雑な製造方法となる。また、しっかりした加圧がされない場合は、境界面の接合が不十分となり、咀嚼力に耐えられない場合もあり、特に長期の使用において、得られる補綴物の劣化は必至である。また、加圧成形に代えて射出成形により補綴物を造形するものもあるが、加工性は得られるものの、上述したように機械的強度に問題があり、長期的にみてもその劣化が問題となる。
特許文献を挙げてさらに具体的に説明すると、特許文献1は、CADCAM装置を使用した歯科用補綴物の製造に好適な、平均粒径0.01〜0.04μmの無機充填剤を20〜70重量%含有したアクリル系レジン重合体からなる歯科用レジン材料を記載している。また、特許文献2は、CADCAM手順により歯科用補綴物を製造するのに好適な、実質的に亀裂がなく、熱衝撃試験に合格するように製造された、ポリマー樹脂と充填剤とを含むミルブランクを記載している。さらに、特許文献3は、軟組織と接触した歯槽骨に位置するものであって、歯科インプラントのネック部で歯科インプラントの先端から界面まで延びる骨組織近接面と、界面から歯科インプラントのショルダーまで延びる軟組織近接面とを有し、ショルダーが歯科インプラントの軸に対して傾斜している骨内歯科インプラントを記載している。
特開平10−323353号公報 特表2003−529386号公報 特開2005−270660号公報
上記したように、歯科補綴物の加工用に提案されている従来の樹脂製ブロック、セラミックス製ブロック又は複合樹脂材製ブロックは、いずれも解決されるべき課題を有している。特にセラミックス製ブロックは、その製造後まもなく、割れが発生する場合も多く、安定した使用ができる補綴物は、外圧がかからない部位に補綴するインレー程度のものとなってしまう。また、樹脂製ブロックは、泡の処理等に煩雑さが伴い、また、審美的効果の達成を狙って色調のグラデーションを得る場合には築盛加工が用いられるが、かかる加工法では得られる補綴物において強度にばらつきが生じる。
本発明の目的は、したがって、CADCAMを用いた歯科補綴物の製造に好適であり、審美的効果に優れ、被覆処理等の特別な加工を行わなくとも機械的強度に優れ、長期にわたって安定的に使用でき、切削、研削等の加工性に優れ、泡がブロックの内部に残留することがなく、天然に近い色調を得るためと審美的効果のさらなる向上のために複数の樹脂の重ね合わせにより色調にグラデーションを与えたときでも、加圧工程を伴うことなく樹脂どうしを強固に結合させることができる改良された歯科補綴物加工用ブロックとその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記した目的を達成するために鋭意研究した結果、ブロック形状を有する鋳型に、例えばセラミックスフィラーなどの無機充填剤を含む複合樹脂材(ハイブリッドレジン材)を充填し、好ましくは真空下で回転攪拌処理を経て重合硬化させることで、手軽な製造方法でありながら、充分な脱気がされしかも、結合力の強い歯科補綴物加工用のグラデーションブロックを実現し得るという知見を得た。本発明では特に、一つの鋳型の中に、複数の突起を形成した遮蔽物(隔壁)を挿入しながら、部分的に樹脂層を形成することで、境界がぼやけたグラデーションが形成された歯科補綴物加工用グラデーションブロックを実現することができる。このブロックでは、加工された補綴物の色がより自然な審美を備えながら、ブロックを構成する樹脂どうしの結合力は強力であり、歯科用補綴物を長期にわたって安定に使用することができる。
本発明は、1つの面において、歯科補綴物加工用ブロックを製造する方法であって、
前記ブロックの外面形状に対応する内面形状を備えた鋳型を準備する工程と、
前記鋳型に、硬化処理により前記ブロックを形成可能な、樹脂とそれに分散せしめられた無機充填材とを含む複合樹脂材を充填する工程と、
前記複合樹脂材を前記鋳型に収容したまま、前記複合樹脂材を回転攪拌処理に供する工程と、
攪拌処理後の前記複合樹脂材を重合により硬化させる工程と
を含んでなる、歯科補綴物加工用ブロックを製造する方法にある。
また、本発明は、もう1つの面において、上記しかつ以下に詳細に説明する本発明方法によって製造された歯科補綴物加工用ブロックとその使用及び加工、例えば歯科補綴物の加工にある。
本発明によれば、以下の詳細な説明から理解できるように、複合樹脂材を鋳型に注入したまま、回転攪拌操作及び重合処理を繰り返し行うことで、簡単な工程でありながら、強度に優れ、均一な材質で、CADCAM加工に適した歯科補綴物加工用ブロックを形成できる。
本発明によれば特に、審美的効果に優れ、被覆処理等の特別な加工を行わなくとも機械的強度に優れ、長期にわたって安定的に使用でき、切削、研削等の加工性に優れ、泡がブロックの内部に残留することがなく、複数の樹脂層の重ね合わせによりブロックを形成するとき、加圧工程を伴うことなく樹脂層どうしを強固に結合させるとともに、天然に近い色調及びさらに向上された審美的効果を備え、色調にグラデーションを与えた歯科補綴物加工用ブロックを形成することができる。
本発明の1実施例を順を追って説明する断面図である。 図1の実施例において本発明に従って行う回転攪拌処理工程を説明する模式図である。 図1の実施例に従って製造されたブロックの正面図(a)及び斜視図(b)である。 本発明のもう1つの実施例を順を追って説明する断面図である。 図4の実施例において本発明に従って行う回転攪拌処理工程を説明する模式図である。 図4の実施例に従って製造されたブロックの斜視図である。 複数のブロックを同時に製造する場合に使用しうる鋳型の斜視図である。 図1の実施例において使用されたリブ材の正面図(a)及び鋳型にリブ材を装着した状態を説明する断面図(b)である。 本発明のもう1つの実施例を順を追って説明する断面図である。 本発明のもう1つの実施例を実施するために用いられる部材の断面図である。 図10の1つの部材を製造する方法を順を追って示した断面図である。 図10のもう1つの部材を製造する方法を順を追って示した断面図である。 図10に示した部材を使用した本発明のもう1つの実施例を順を追って説明する断面図である。 図13の実施例に従って製造されたブロックの写真から書き起こした斜視図(a)及び上面図(b)である。 本発明のさらにもう1つの実施例を順を追って説明する断面図である。 本発明の1実施例を示す模式図である。 本発明の1実施例を説明する模式図である。 本発明の1実施例を説明する模式図である。 本発明の1実施例を説明する模式図である。 本発明のもう1つの実施例(全半)を示す模式図である。 本発明のもう1つの実施例(後半)を示す模式図である。
本発明は、いろいろな形態で有利に実施することができる。以下、添付の図面を参照しながら、本発明の好ましい形態について説明する。
本発明は、歯科補綴物加工用ブロックを製造するに当たって、
ブロックの外面形状に対応する内面形状を備えた鋳型を準備する工程と、
鋳型に、硬化処理により前記ブロックを形成可能な、樹脂とそれに分散せしめられた無機充填材とを含む複合樹脂材を充填する工程と、
複合樹脂材を鋳型に収容したまま、複合樹脂材を回転攪拌処理に供する工程と、
攪拌処理後の複合樹脂材を重合により硬化させる工程と
を順次実施することを特徴とするブロック製造方法にある。
本発明のブロック製造方法において、1つの形態では、ブロックが複数のブロック構成員の一体的な結合体からなり、充填工程において、複合樹脂材を複数回に分けて充填し、それぞれの充填工程の後に回転攪拌処理工程及び硬化工程を順次実施し、最後の硬化工程の後、得られた硬化物をさらに重合して硬化させることにより結合体を形成することが好ましい。
また、本発明方法において、1つの形態では、ブロックが複数のブロック構成員の一体的な結合体からなり、充填工程において、互いに色相を異にする複数の複合樹脂材を用意して順次充填し、それぞれの充填工程の後に真空下における回転攪拌処理工程及び硬化工程を順次実施し、最後の硬化工程の後、得られた硬化物をさらに重合して硬化させることにより結合体を形成することが好ましい。
また、本発明方法の1つの形態では、充填工程において、複合樹脂材を充填し、回転攪拌処理に供し、さらに硬化させることを現場で順次実施することによりブロック構成員を作製すること代えて、複合樹脂材を充填し、回転攪拌処理に供し、さらに硬化させることを現場以外で順次実施することにより作製したブロック構成員を鋳型に装填する工程をさらに含むことが好ましい。
また、本発明方法の1つの形態では、充填工程において、鋳型内に配置した隔壁部材の存在においてブロック構成員を形成する工程をさらに含むことが好ましい。
また、本発明方法の1つの形態では、隔壁部材の表面が複数の微小突起を備え、該突起のパターンがブロック構成員の表面に転写されることが好ましい。
また、本発明方法の1つの形態では、鋳型において、内面形状によって外面形状が規定されるブロックの長軸方向が、鋳型の回転軸方向とほぼ垂直方向又は水平方向であることが好ましい。
また、本発明方法の1つの形態では、回転攪拌処理工程において、鋳型を自転的に回転させると同時に、公転的に回転させることが好ましい。
また、本発明方法の1つの形態では、ブロックがさらにリブ(リブ材ともいう)を備え、そのリブが円柱体からなり、その外周に沿って連続して形成された溝部又は一部に形成された切り欠き部を有していてもよい。
さらに、本発明は、本発明方法によって製造された歯科補綴物加工用ブロックにある。本発明のブロックは、1つの形態では、ブロックが複数のブロック構成員の一体化結合体からなり、その外周面に、境界がぼやけた色のグラデーションが付与されていること、すなわち、グラデーションをもったブロック(以下、「グラデーションブロック」ともいう)であることが好ましい。また、本発明のブロックは、1つの形態では、ブロックの内部に気泡を有しないこと、すなわち、ブロックの製造過程において気泡の紛れ込みが排除され、たとえ紛れ込んでも、製造の過程でブロックから排出されていることが好ましい。
次いで、本発明のこれらの形態及びその他の形態を以下でさらに詳細に説明する。
本発明の実施に使用する鋳型は、最終目的物であるブロックの外面形状に対応する内面形状を備える鋳型であるならば、特に限定されるものではない。なお、この鋳型は、ブロックを支持するためのリブ材を着脱可能に取り付けた、さもなければ、リブ材を取り付け可能な構成をもっていてもよい。
すなわち、本発明で用いられる鋳型は、少なくとも、ブロック形状を決定する形状を備えていればよく、縦型であっても横型であってもよく、必要に応じて、リブとの結合部を備えていてもよい。なお、縦型の鋳型は、横型の鋳型に比べ、高さが高くなるものの、より多くのブロックを一度に製造可能とする点で好ましいが、グラデーションブロックを製造する際は、縦型の隔壁部材(パーテーション)を用いる必要がある。縦型の隔壁部材は、複合樹脂材の光重合を行うため、例えば、可視光等が透過可能な光透過性材料からなるものが好ましいが、鋳型そのものが可視光等が透過可能なものであれば、可視光等不透過性の隔壁部材であってもよい。
また、鋳型は、1個の型部材から構成されていてもよく、2個以上の型部材から構成されていてもよい。鋳型が2個以上の型部材から構成されるとき、それぞれの型部材は、同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。さらに、鋳型は、主に上部が開口されていてもよく、これにより、回転攪拌により充分な脱気を図ることができる。
本発明で用いられる樹脂は、歯科補綴物加工用ブロックの分野で一般的に使用されている樹脂であることができる。適当な樹脂としては、以下のものに限定されないが、例えば、トリエチレングリコールジメタクリレート、ジウレタンジメタクリレート、ウレタントリメタクリレート、ウレタンテトラメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ベンジルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、i−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、2,2−ビス[4−(メタクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(メタクリロキシジエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパンなどを挙げることができる。これらの樹脂は、単独で使用してもよく、2種以上の樹脂を混合して使用することもできる。また、これらの樹脂は、複合樹脂材を構成するために任意の量で配合することができる。樹脂の配合の割合は、通常、5〜50%、好ましくは、15〜30%である。
複合樹脂材を構成するために上記のような樹脂中にフィラーとして含まれるべき無機充填剤は、任意の無機充填剤を包含することができる。適当な充填剤として、以下のものに限定されないが、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニア、シリカ−ジルコニア等の無機複合材、ガラス、雲母、長石、ヒドロキシアパタイト等のリン酸カルシウム、またそれらの有機質複合フィラーなどを挙げることができる。これらの充填剤は、単独で使用してもよく、2種以上の充填剤を混合して使用することもできる。これらの無機充填剤は、樹脂中に均一に分散させ、また、良好な審美的効果を達成するため、微細に細分化された微細粒子の状態で使用することが好ましい。無機充填剤の平均粒径は、通常、0.01〜20μmであり、好ましくは、0.3〜5μmである。また、無機充填剤は、複合樹脂材を構成するために任意の量で配合することができる。無機充填剤の配合の割合は、通常、50〜95%、好ましくは、70〜85%である。
本発明では、その好ましい1形態において、無機充填剤として、同一もしくは異なる材料、好ましくは同一の材料を、上記の粒径のものと、10〜300nmのものとの混合物の形で使用することができる。このような充填剤混合物を使用することで、例えば、耐磨耗性が向上し、フィラーの高密度充填ができることで、研磨時、滑沢な表面を形成しやすくなるといった効果を得ることができる。
また、本発明では、複合樹脂材を製造するとき、無機充填剤の使用の際の分散性や濡れ性を向上させるべく、カップリング剤、好ましくはシランカップリング剤を添加することが好ましい。シランカップリング剤を添加をすることで、最終的に、より均一なハイブリッドタイプの補綴物を製造することができる。シランカップリング剤としては、例えば、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジメトキシシランなどを挙げることができる。これらのシランカップリング剤の添加量は、無機充填剤に対して、通常、0.5〜50重量%であり、好ましくは、0.5〜15重量%である。シランカップリング剤の添加は、任意の手法で行うことができるが、一例として、次のような論文に記載の手法を挙げることができる:T.Niheiら、J.Dent.Res.81(7):482−486,2002、H.Ishidaら、J Colloid.Interface.Sci.64(3):555−564,1978,R.H.Halvorsonら、Dent.Mater.19:327−333,2003。なお、無機充填剤にすでにシラン処理が施されているもの、例えば、すでにシランカップリング剤で処理されているシリカ等も好適に利用できる。
複合樹脂材には、上記したシランカップリング剤の他、その他の添加剤も任意に配合することができる。適当な添加剤として、以下のものに限定されないが、例えば、増感剤、すなわち、光増感剤及び熱増感剤、着色剤、還元剤、安定剤、希釈剤などを挙げることができる。これらの添加剤は、それぞれ、本発明のブロック、そして補綴物を形成するために好ましい任意の量で添加することができる。
光増感剤及び熱増感剤としては、例えば、カンファーキノン、ベンジル、ジアセチル、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール、ベンジルジ(2−メトキシエチル)ケタール、4,4′−ジメチルベンジル−ジメチルケタール、アントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−クロロアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、1−ヒドロキシアントラキノン、1−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、1−ブロモアントラキノン、チオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−ニトロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2−クロロ−7−トリフルオロメチルチオキサントン、チオキサントン−10,10−ジオキシド、チオキサントン−10−オキサイド、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、イソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾフェノン、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、4,4′−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、アシルフォスフィンオキサイドの誘導体、アジド基を含む化合物などを挙げることができる。これらの増感剤は、単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
還元剤としては、第3級アミンが一般に使用される。第3級アミンとしては、例えば、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、トリエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルなどを挙げることができる。また、他の還元剤として、ベンゾイルパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル、スルフィン酸ソーダ誘導体、有機金属化合物などを挙げることができる。
着色剤としては、例えば、酸化鉄、酸化チタン、酸化アルミナ等の無機顔料、アナトー色素、カカオ色素、クチナシ黄色素、コウリャン色素、コチニール色素、タマネギ色素、ラック色素、タマリンド色素、赤キャベツ色素、ベニバナ黄色素、赤ダイコン色素、ウコン色素、ブドウ果汁色素、ビートレッド、ブドウ果皮色素、紅麹色素、紫イモ色素、紅麹黄色索、アヤムラサキ色素、クチナシ青色素、紫トウモロコシ色素、クチナシ赤色素、エルダーベリー色素、等の天然色素、β−カロテン、リボフラビン、リボフラビン酪酸エステル、リボフラビン5′−リン酸エステルナトリウム、等の合成天然色素、銅クロロフィル、銅クロロフィリンナトリウム、鉄クロロフィリンナトリウム、ノルビキシンカリウム、ノルビキシンナトリウム等の天然系色素誘導体、食用赤色2号、食用赤色3号、食用赤色40号、食用赤色102号、食用赤色106号、食用黄色4号、食用黄色5号、食用青色1号、食用青色2号、アルミニウムレーキ等、スダンII、キニザリングリーンSS、オレンジSS、スダンブルーB、オレンジレッドXO、キノリンイエローSS、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、ジメチルキナクリドン、キナクリドン、モノアゾイエロー、ナフトールブルーブラック等の有機染料又は有機顔料を挙げることができる。なお、グラデーションブロックを製造する場合、着色剤として、例えば、赤色の三二酸化鉄、黄色の三二酸化鉄、白色の酸化チタンの3者の組み合わせなどを使用することが好ましく、安定剤として、例えば、ヒドロキノンモノメチルエーテル、ヒドロキノン、希釈剤としてはアセトン、酢酸ブチル、エタノール、ジクロロメタンを挙げることができる。
本発明では、上述のような複合樹脂材を鋳型に充填した後、その複合樹脂材を鋳型に充填したまま、複合樹脂材を回転攪拌処理に供することを特徴とする。
本発明における回転攪拌処理は、任意の手法で実施することができるけれども、鋳型を自転的に回転させ得ると同時に、公転的に回転させ得る手法及び装置を使用して実施することが好ましい。例えば、本発明の回転攪拌処理は、実開平3−36613号公報に記載された自転と公転を行うミキサーの使用により好適に実施することができる。自転と公転を行うミキサーを使用することで、複合樹脂材の攪拌時間を2〜6分程度の短時間に短縮し得る場合もある。当該回転攪拌処理により、粘度が高いものの気泡も容易に取り除ける他、充填、回転攪拌重合を複数回行った積層ブロックであっても、全体に強度が高いブロックが製造可能となる。また、回転攪拌処理は、必要に応じて、例えば、「あわとり練太郎」(商品名)などとしてシンキー社から商業的に入手可能な自転・公転方式ミキサーや、その他の自転・公転方式ミキサーを使用してもよい。
また、本発明は、真空下において回転攪拌処理を行うことが好ましく、真空を適用することで、より充分な気泡の除去が行えるとともに、均一な混合樹脂材の形成が可能となる。適用する真空度は、通常、0.1〜20kPa、好ましくは、0.5〜2.0kPaである。
さらに、本発明の回転攪拌処理において、粘度を高くして餅状とした複合樹脂材から脱気し、かつそれと同時に重合による硬化を発生させることは、粘度の低い複合樹脂材を用いる場合よりも、より早い硬化と均一な硬化が実現でき、製造上、好ましい仕様となる場合がある。また、本発明の複合樹脂材の設計において、充填材(フィラー)の充填量で硬度を上げることや、微粒子フィラーの充填量で透明度や研磨性を付与することが推奨される。なぜなら、かかる処理を行った場合、粘度の上昇を達成できるため、硬度、透明度、研磨性などの性能の向上を求める場合、かかる処理が有効な手段となりえる。さらに、樹脂の形成に使用されるモノマーに関して、耐久性があるが粘性が高いモノマー、例えば2,2−ビス[4−(メタクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン等を高められた含量使用することが推奨される。
本発明では、樹脂の硬化のため、光重合と熱重合が組み合わせて使用されることが好ましい。すなわち、本発明の重合は、最初光重合により硬化させた後、熱重合を行うことで、充分な硬化と反応を行わせて、残留樹脂の低減をはかることができる。ここで、光重合は、通常、紫外線又は青色光等の可視光線を10〜10000秒間にわたって照射して行い、そのようにして光重合が完了した後、最後に、100〜150℃の加熱による熱重合を1000〜100000秒間にわたって行うことが好ましい。
引き続いて、本発明による歯科補綴物加工用ブロックの製造方法をさらに具体的に説明する。
本発明では、無機充填剤及び樹脂を混合して複合樹脂材を調製すべく、本発明において回転攪拌処理に用いられる任意の手段やその他の手段を用いて予め、無機充填剤及び樹脂を予め充分に攪拌する。攪拌後、得られた複合樹脂材(最終的には複合樹脂材となる前駆体であるので、「混合樹脂材」ということもできる)を、鋳型に入れ、さらにそれを回転攪拌手段に装填する。ここで、回転攪拌及び脱泡をすべく、通常、0.5分間〜2時間にわたって複合樹脂材の回転攪拌処理を実施する。複合樹脂材の回転攪拌処理の時間は、好ましくは、5〜10分間である。
回転攪拌処理と同時に、最初の樹脂硬化、すなわち、光重合による樹脂硬化を実施する。その際、使用する鋳型の材質が紫外線又は可視光線、好ましくは青色光が透過可能な材料であれば、複合樹脂材の全量をそのまま鋳型に充填して混練及び重合処理を実施することができる。最終的に得られるブロックは、1つの複合樹脂材のブロックである。しかしながら、鋳型の材質が紫外線又は可視光線が不透過の材料からなる場合や、より重合度を高めたい場合には、複合樹脂材を複数回に分けて鋳型に充填して、充填の都度、それぞれの充填物(複合樹脂材の一部)を混練及び重合する工程を繰り返すことが好ましい。複数回の繰り返しの後、最終的に得られるブロックは、複数の樹脂層からなる1つの複合樹脂材のブロックである。なお、本発明の実施では、光重合工程において、紫外線及び可視光線の中で、なかんずく、取り扱いが容易で、紫外線のように人体に危険性がない青色光のような可視光線を好適に使用することができる。本明細書では、これらの好適に使用することのできる重合のための照射光を一般に「可視光等」と呼ぶこととする。
先にも述べたように、複合樹脂材を複数回に分けて鋳型に充填してその都度光重合による硬化を実施するとき、その都度、色の異なる複合樹脂材を使用することが好ましい。充填の都度に色を変えることで、グラデーションブロック、すなわち、少なくとも複数の色で構成されたグラデーションのあるブロックを実現することができる。
鋳型は、その内容物である光重合性の複合樹脂材に所定量の可視光等を照射するため、光照射用の開口部を備えていてもよい。開口部より可視光等を照射して複合樹脂材を硬化させる際、可視光等の照射は、任意の照射条件を適用して実施することができる。例えば、使用する可視光等の強さにも依るが、充填された樹脂の厚みが3〜5mm程度であるとき、樹脂を対象とした可視光等の照射は、汎用の照明手段及び照明条件を適用して実施可能である。本発明によると、このように、複合樹脂材を鋳型に充填して回転攪拌処理を行い、かつ可視光等を照射する工程を繰り返し行うことで、充分重合したブロック、最終的には補綴物を得ることができる。
本発明では、鋳型内の複合樹脂材に可視光等による光重合硬化を施した後、熱重合による硬化を実施する。熱重合硬化は、任意の加熱条件下で実施することができるけれども、通常、100〜200℃の温度で1〜24時間である。加熱による熱重合硬化は、光重合硬化後の複合樹脂材を鋳型に入ったまま行うことができる。好ましくは、熱重合硬化は、100〜150℃の温度で1〜5時間である。
本発明に従って複合樹脂材を複数回に分けて鋳型に充填して回転攪拌処理を実施するとき、主に繰り返しによる光重合処理を行うことから、得られるブロックは、層状に形成されているものの、複合樹脂材の充填後の回転攪拌処理により、単層のブロックとほとんど変わらない強度を備えている。
上記に関連して、以下においてさらに詳しく説明するけれども、鋳型の一例とその使用を図4で示す横型の鋳型を参照して説明する。
鋳型11は、鋳型下部31と鋳型上部33とから構成される。鋳型下部31には、ブロックの外面形状に対応する鋳型11の内面形状を規定するための、半分の凹部で形成されるブロック形成部32aの一部(下半分)と、リブ載置部32bとが設けられている。図示されるように、鋳型下部31に鋳型上部33を重ね合わせることで、ブロック形成部32aを形成することができる。
鋳型11には、ブロックを支持するためのリブ35が予め載置されていてもよく、さもなければ、複合樹脂材(前駆体)を充填する前にリブ35を載置してもよい。リブ載置部32bにリブ35を載置した後、凹状のブロック形成部32a及びリブ載置部32bを備えた鋳型下部31にもう半分の鋳型(鋳型上部)33を被せて固定する。得られた鋳型11に、その開口部34から複合樹脂材を注入し、複合樹脂材を鋳型11に充填する。
鋳型11は、任意の材料から形成することができる。例えば、鋳型11の材料は、その一部が可視光等を透過させる材質からなっていてもよく、さもなければ、その全部が可視光等を透過させる材質からなっていてもよい。
鋳型11に複合樹脂材の充填を完了した後、例えば図5に示すように、好ましくは自転・公転方式による回転攪拌装置に鋳型11を装填し、装置の自転・公転により複合樹脂材の均一な混練を行う。
本発明は、以上に詳細に説明したように、歯科補綴物加工用ブロックとその製造方法にある。本発明者らは、このたび、そのようなブロックもしくはその他のブロックを使用してクラウン、インレー等の歯科用補綴物を製造する方法をあわせて発明した。以下、これについて説明する。
(背景技術)
例えば特開平2−46840号公報、特開2001−157686号公報、特開2002−156451号公報等に示されるラピッドプロトタイプの造形装置による歯科補綴物製造は、型を必要とせず、精密な補綴物が得られる点で製造コスト、製造時間等を抑えることができ、歯科分野に限らず様々な分野で採用されている。
ラピッドプロトタイプは、粉体層に接着剤又は流体層に硬化用光線をドット出力して3次元形状を形成する従来の手法に対し、更に特開2003−507120号公報で示される3Dインクジェットプリンタの様な、ベース材に着色樹脂を積層させ、併せて硬化させていくことで造形する手法であり、詳細なコピー模型が形成されるようになった。
このような3次元造形装置は、3次元造形を行わせる為の、3次元CADソフトで、データを作成し、大量のデータに基づいて、これら造形装置を駆動させるものであるが、ソフトウエアの取り扱いは、それなりの技術と時間が必要であり、取り扱う者の技量が必要となっている。
他方、歯科用補綴物は、前歯の様な人目に触れる部位において常にバランスのとれた審美が必要となり、従来の審美補綴物も様々に提案されているが、満足のいく審美補綴物は、未だ提案されていない。そこで、ラピッドプロトタイプの様な着色剤の制御を可能とする上述した装置も適用できるものであるが、3D印刷は、厚みがあるため、光の反射屈折の影響が大きく、厚みを要素として考慮した煩雑な審美調整を行う必要が生じ、隣接歯とのバランスを得るためのソフトウエアでの調整は、困難な作業となる。なお、このような分野における従来の技術としては、上記の特許文献のほか、例えば、次のような特許文献:特開2007−314539号公報、特開2004−520142号公報、特開2007−529348号公報、国際公開第1998/38377号公報、特開2006−335019号公報を挙げることができる。
(本発明が解決しようとする課題)
上述したように着色剤の立体物への塗布は、特開2002−156451号公報でも示されてはいるが、ノズルを移動させる駆動系は、3DCADソフトの利用が必要であり、手間がかかる作業であるところ、着色された造形物であるため、光の反射等状況的要素が反映されてしまい、常に満足できる審美が得られるとは限らず、手間と時間をかけたとしても、常に満足のいくものができるものではない。
(課題を解決するための手段)
上記に鑑み、本発明は、透明又は半透明な未着色の補綴物形状表面に、立体物印刷用の平面移動型インクジェット印刷手段により着色インクを印刷して得られる印刷面を備えた歯科用補綴物の製造方法を提供する。この製造方法により、印刷手段を操作するソフトが、2次元平面ソフトで足り、例えば表裏側面の4面(前歯の場合は表裏2面の場合もある)の画像平面着色データ(少なくとも審美が必要とされる前面のみであっても良い)をそろえれば、一つの補綴物の表面の着色が可能となるのであり、取り扱いが飛躍的に向上する。
本発明における立体物印刷用の平面移動型インクジェット印刷手段は、例えば、市販されているマテリアルプリンタ(Dimatix(商標)DMP−2831、富士フィルム社製)、DIRECT−JET(商標)(エイ・アイ・シイ社製)等と、所定の回転角度で回転可能な補綴物裁置部を組み合わせることで構成される態様が示される。
本発明は、インクを吐出するノズルを備えたものであれば良く、印刷面に吐出されたインクがドット状に付着し、これが連続的に行われ、造形、配色、模様の形成がされるものを示すものであって、上記の市販プリンタに限るものではない。
なお、最終的に被覆される表面層を通した色調を表現するため、コンピュータの画面上で被覆後の色が変化した色見本を形成するか、或いは、標準色と重ね合わせて、決定された標準色が合った場合は、この標準色から、表面層パラメータを減じた値に変換する必要がある場合がある。すなわち、隣在歯と、vitaカラー等の標準歯色を比較する。標準歯色色調データから、表面層パラメータを減じる。減じた色調データから、印刷用カラーを決定する。
他方、予め、表面層を介した色調見本を作製し、当該色調見本と隣接歯とを比較する。近似的な色調見本を決定し、コンピュータ上でその見本値に従った仮想的配色をする。
決定された色調見本のデータをコンピュータに入力して、画面上に表示する。更にインクを決定するという工程を付加することが好ましく、例えば、実測したCMYK値、L、a、b値に表面層値、定数、を加減乗除のような演算によって決定しても良い。
本発明における透明又は半透明な未着色の補綴物形状表面は、セラミックス、硬質レジン(ハイブリッドレジン等も含む)、レジン、ガラス、金属等で、それらのシランカップリング処理等を含む、表面処理があって良い、透明半透明状の未着色補綴物であり、未着色補綴物は、形状が調整されたクラウン、好ましくは前歯用のものが示される。
セラミックスの場合、SiO、TiO、ZrO、長石等で、非晶質成分や焼成後の粒界を介した粒子径を制御した透明又は半透明なセラミックス材が例示される。
硬質レジンの場合、ハイブリッドセラミックスレジン、MFRハイブリッドレジンで、フィラーとして、SiO、TiO、ZrO、長石等TiO−SiO、Al−SiO、SiO−BaO−B−Al、SiO−BaO−B−Al−F、SiO−SrO−B−Al、SiO−BaO−SrO−B−Al−F、SiO−BaO−SrO−B−Al等のガラスセラミックス等、樹脂成分として、トリエチレングリコールジメタクリレート、ジウレタンジメタクリレート、ウレタントリメタクリレート、ウレタンテトラメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ベンジルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリエート、グリシジルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、i−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、2,2−ビス[4−(メタクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(メタクリロキシジエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパン等の重合成分)等、その他、光増感剤、熱増感剤としては、カンファーキノン、ベンジルジアセチル、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール、ベンジルジ(2−メトキシエチル)ケタール、4,4′−ジメチルベンジル−ジメチルケタール、アントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−クロロアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、1−ヒドロキシアントラキノン、1−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、1−ブロモアントラキノン、チオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−ニトロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2−クロロ−7−トリフルオロメチルチオキサントン、チオキサントン−10,10−ジオキシド、チオキサントン−10−オキサイド、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、イソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾフェノン、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、4,4′−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、アシルフォスフィンオキサイドの誘導体、アジド基を含む化合物等が例示でき、これらは、単独もしくは混合しても使用できる。還元剤としては、第3級アミンが一般に使用される。第3級アミンとしては、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、トリエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルが例示できる。また、他の還元剤として、ベンゾイルパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル、スルフィン酸ソーダ誘導体、有機金属化合物等を用いたもので、未加工品ブロックが提供される。フィラーとして2成分系以上のガラスセラミックスや、樹脂成分として2成分系以上の共重合体により、それら個々の成分の配合比で屈折率を簡易に調整できるため、透明度が制御できる。
計測物から色情報の入手
図16で示す口腔内の支台歯SH及び隣接歯RH1,RH2の撮影は、適当な照明下において、なされることが好ましく、例えば、リングストロボ、ボックス型ストロボ、冷陰極管やハロゲンランプ、LED、有機EL等のパネルライトが例示される。
本発明で用いるシェードガイドは、例えば、歯科用測色計シェードアイN C Cや歯科用色標識N C Cシェードガイド、VITA classicalシェードガイド、VITA 3D MASTERが示される。
本発明での隣在歯からの色情報の入手は、例えば、デジタルカメラ撮影データから、RGB値、CMYK値を分析して、この分析値に従って、歯色を決定する方法や、隣接歯の一点乃至数点をとって、その他は、補完することで、歯色を決定する方法、等が例示される。
天然歯に白色光をあて、その反射光を分析する分光測色タイプやあらかじめ分光した単色光を天然歯にあて、その反射光を分析するタイプの測色計を利用し、RGB値、CMYK値を分析して、この分析値に従って、歯色を決定する方法、その歯全体の複数色のシェードマッピングに基づき、印刷データを生起してもよい。測色後、作成するデザインの応用として、歯の写真の画像データを歯の測色データで補正し、加工する方法、あらかじめ作成したテクスチャーデザインを盛り込む方法等、天然歯様のデザインで印刷する。
計測物から輪郭情報の入手
計測物は、隣接歯と支台歯及び対合歯形状から、マージンライン、最大豊隆部、咬合面等の形状を得て、その他の部位を補完することで、仮想的な補綴物形状を得て、ここから輪郭データを得る方法や、隣接歯、支台歯から得た凹模型に、凸模型を形成し、この凸模型の表面を計測して輪郭情報を得る方法、等が例示される。
本発明で用いられる油性インク
本発明は、ハイブリッドレジン、その他の歯科補綴物用の樹脂、セラミックス表面に印刷を施し、剥がれにくく且つ審美性が得られるものとして、油性インクが好適に利用される。UVインクジェットプリンタでの手法もあるが、そのインクは、粘度の高い重合性素材を主成分とし、またインク自体、揮発するような体積収縮がないため、凹凸感が生じ、印刷筋の発生や光沢の減少といった問題が生じるため、審美的に好ましくない。一方、溶剤系インクの場合、エタノールのような揮発成分の粘度の低い溶剤が大半を成分として占めており、粘性が低いためドットが広がり、かつ溶剤が揮発するため色材濃度の高いインクをできるだけ薄く、凹凸感を軽減して基材に印刷できるため、審美的な描画が得られる。インクにフィラーを混入することも可能で、インク調製時、低いフィラー濃度でも、印刷後、溶剤が揮発するため、フィラー濃度が高くなり、耐摩耗性を向上させることができる。
油性インクの成分としては、例えば色材:油性染料(スダンII、キニザリングリーンSS、オレンジSS、スダンブルーB、オレンジレッドXO、キノリンイエローSS、C1.5BK−3、C1.5BK−7、C1.5BK−49)1〜5%、油性顔料(縮合アゾ系、Pigment Yellow 74,93,128、マゼンダキナクリドン系 Pigment Red 122、19、Pigment blue 15:3,15:4、Pigment black 7、を1〜10%の範囲が示され、好ましくは、口腔内で用いられるインクであることから、酸化鉄(赤・黄)、酸化チタン(白)、疎水化処理した酸化鉄又は酸化チタン、溶剤としては、MMAなどの揮発性モノマー、MEK又はアルコール系、又はアルコール/アセトン系80〜95%、天然樹脂(ロジン、セラック)、合成樹脂(アクリル樹脂、ビニル樹脂)、その他の樹脂成分として油性ワニス、乾性油形アルキド樹脂、湿気硬化型ウレタン、メラミン樹脂、アクリル・メラミン樹脂、ポリエステル・メラミン樹脂、ラテックス1〜5%、その他伝導度調整剤0〜2%、分散剤0〜10%、開始剤カンファーキノン、DMAEMA、蛍光剤LUMILUX、分散剤(ソルビタン脂肪酸エステル、レシチンなど)が例示される。
この油性インクの製造方法としては、色材として顔料を使用した場合、溶媒に分散した顔料の平均粒子径が0.1〜0.4μmであることがインクジェットノズルと描画のドット数、顔料の分散安定性との関係から、好ましい。そのため、必要であるなら粉砕や合成法で微粒子化を行い、例えば分散工程としてビーズミルで調製する、また超音波で調製する方法が示される。また、色材として染料を使用する場合、溶媒に染料を自転公転撹拌機やプラネタリーミキサーなどの撹拌機で溶解させてインクを調製する。
本発明のインク組成は、溶剤が揮発することで、定着樹脂や反応基材の濃度が高くなることで、被膜を形成する。被膜強度を向上させるために、顔料を含む定着樹脂や反応基材が印刷面に共有結合で結合する、セラミックスのフィラーを混入することが好ましい。レジンであれば、印刷面の残存している二重結合と二重結合をもった定着樹脂や反応基材とで重合し、結合させる。また、あらかじめ印刷面にアミノ基や水酸基等を導入しておき、イソシアネート基、エポキシド基等を持った定着樹脂や反応基材と印刷後に反応させても良い。また、セラミックスが印刷面の場合でも、表面処理を利用し、同様の結合形態を形成でき、また焼成させて顔料周囲と結合させてもよい。
さらに、印刷した表面を、保護のため、コーティング剤で被覆することが好ましい。これらの手段により耐溶剤性、耐水性、耐摩耗性等が向上し、また、インクの色材の流出を防止でき、さらに、咬合やブラッシングのような機械的な負荷、酸性・高湿度といった過酷な口腔内環境に耐えうることができる。
本発明における「定着樹脂成分に高分子化を引き起こす反応性の官能基を有する成分」には、イソシアネート基を2つ以上もちハードセグメントを有するウレタン樹脂、例えば、TE−2000(商標)(日本曹達社製)で示されるポリメチルメタクリレートといったメチルメタクリレートの熱可塑性のセグメントがブロック又はグラフト重合体として存在するメタクリレート基を2つ以上もつモノマー等が例示される。
表面層の形成
本発明は、印刷後、更に透明な表面層を形成する。当該表面層は、最終的に紫外線、可視光、熱等により硬化させて、印刷面の剥がれを防止し、油性インク印刷が持つ審美のより向上を図る。
表面層は、印刷後、更に上述した成分を含むインクによる全面印刷をするか、上述した成分を含む溶液に浸漬(デイッピング)して、乾燥させるか、スプレーコーテイング、塗布して被覆する。
最終的に光硬化、熱硬化処理が施され、印刷面が歯牙表面に固定される。
また、表面層は、審美にも影響を与え、切削痕等の粗い表面について光沢をもたらす他、奥行きや印刷境界層のぼかし、光の反射具合等の色彩的な緩衝性を与える場合があり、本発明は、この表面層を好適に使用する。
表面層は、咬合やブラッシング等に対しての耐摩耗性を向上させるため、ガラスセラミックス等のフィラーを含むのが好ましい。その場合、フィラーと重合物の屈折率をあわせるが、完全な透明となることが難しい。そのため、表面層の厚みによりシェイドが変化する可能性があり、均一で再現性のある表面層の厚み制御が必要となる。そして、塗布の方法として、浸漬よりインクジェット印刷の方が好ましい。この時、インク組成としても、均一塗布を可能とするため重要で、フィラーの形状やサイズ、また、表面層は、印刷表面及び印刷対象の補綴物と化学結合することが好ましい。フィラーの分散を安定させるために、分散剤を使用しても良い。
下記の表Aは、表面層の組成の一例を示したものである。
Figure 2009154301
(発明の効果)
本発明は、立体物印刷用の平面移動型インクジェット印刷手段による加工補綴物表面を平面データに基づいて印刷することで、審美の調整が容易でしかも、2次元データを利用することができることから、手軽な審美補綴物が製造可能となる。
特に前歯のような、平面に近い球面である歯表面への着色において、立体物印刷用の2次元プリンタは、違和感なく、様々な色調整が可能な着色で、数μmから数十μm径の細かいドット状であり、ピコリットルオーダーでの吐出であるため、液だれといった影響が受けにくく、曲面であっても、様々に変化する審美的に優れた着色を行うことができ、表面層を形成することで、立体物の形状に沿った立体感のある天然歯に近い色合い見栄え、奥行きが実現できる場合がある。
油性インクの場合、水性等に比べ、薄く塗ることができ、又、浸透性を考慮せずとも重ね塗り等による色の検証、パソコンモニターでの色の比較にも適している。
水性インクを使用する場合、それをバインダー層等に浸透させ、印刷する原理であるが、印刷対象のレジンやセラミックスは、非浸透性の素材であるため、バインダー層を形成させなければならない。よって水性インクは、油性インクと比べ、一工程増えるうえ、患者により補綴物の形状が異なるため、補綴物の成形後にバインダー層を形成する小ロットでの加工となり、生産性が劣る。
(発明を実施するための形態)
本発明は、汎用のソフトウエアにより2次元着色用データを作製し、当該2次元着色用データを印刷する場合DIRECT−JET(商標)(エイ・アイ・シイ社製)等の立体物印刷用の平面移動型インクジェット印刷手段により、載置部の未塗装補綴物を塗装、着色することで、審美に優れた歯科補綴物を製造可能とする。
油性インク下地が白色となるように印刷し、更に、目的の歯色を印刷する。印刷は、前歯前面の場合は、二層以上で形成されることが好ましく、裏面は、一層以上で足りる場合もある。
印刷後、透明な樹脂による被覆を行って表面層を形成し、これを光、熱による重合硬化させることで、印刷面が保護され剥離がなく、強度を備えた補綴物が得られる。
また、汎用ソフトウエアを用いることから、コンピュータの処理時間が少ないため、何回でも配色が調整できる。
色情報の入力は、汎用のソフトウエアを用いて実施する。汎用ソフトウエアは、少なくとも、色情報が入力でき。この色情報に基づいた仮想配色が出力できるものであれば良く、場合によっては専用に作製されたソフトウエアであってもよい。
色情報は、RGB、CMYK値に代表される原色数値、及びこの数値に対応する色データ、シェード番号及びシェード番号に対応する色データ、その他、色データごとに付された符号の組み合わせ、パソコンのモニター画面上での比較データから得られた比較値等に対応する色データ等を示す。
このような着色工程を含め、その前段階の未塗装補綴物の切削工程から一連した工程について、産業用ロボットを使ってオートメーション化すると好適である。
また、色情報は、補綴部位に隣接する隣接歯をモニターして隣接歯色データを決定してもよく、計測データに基づいて補綴物表面の配色をしていくことが好ましい。ここで、モニターの方法は、デジタルカメラ、ビデオ、比色計のような測色装置を利用し、隣接歯の色データを決定する。
この色データをパソコン上にとりこんで、予め記録されたデータベースと比較し、近似、一致、予測的一致した色データについて、当該色データを塗装するための、インクの比率が調整され印刷用インクデータが形成される。
他方、補綴物の輪郭データを、補綴物のマージンラインを決定する支台歯形状計測データ、補綴物の最大豊隆部データを決定する隣接歯形状、歯高値、歯幅値等を咬合面データから決定するワックスアップレス手法で、計測しデジタルデータ化する場合や、予め補綴物の模型を形成してその表面を計測してデジタルデータ化することで、得る。
当該輪郭データをモニター上に表示し、配色する。モニター上での表示は、3次元データとして表示される場合もあるが、本発明では、平面データで表示しても足りる。
平面データとして表示した輪郭データに、測色データ、目視で決定された色情報に基づいて配色する。輪郭データに配色が完了した後、必要に応じ、補綴物の裏面、左右側面の輪郭データをモニター上に表示し配色する。
なお、配色値は、個々の色情報又は、最終値において、表面層を通した値になるよう調整される。すなわち、表面層は、透明であることが好ましいが、半透明が選択される場合もあり、更に、透明であっても、厚みによる照明光に対する反射屈折量により、見映えが相違するからであり、測色した色調との比較は、表面層値を考慮した状態で決定される。
本発明では、前歯を主として配色することから、補綴物の前面に着色を施すことが主となり、その他の面は、既成の歯色で塗色してもよく、ブロックがそのような配色を既に備えている場合は、配色しない場合もある。
未塗装補綴物は、透明又は半透明材料により形成されたセラミックス、ハイブリッドレジン等で構成されたブロックを切削、研削するなどして加工したものである。
製法例としては、例えば特開2008−159573号公報に示された手法が好適に用いられる。
本発明をその実施例及び実験例を参照してさらに詳しく説明する。なお、本発明は、下記の実施例及び実験例に限定されるものではない。
実施例1
本例では、図1及び図2に示す縦型の鋳型を使用して歯科補綴物加工用ブロックを製造する。
本例を実施するに当たり、鋳型を用意する。本例で用意した鋳型11は、図1(a)に示すように、リブ10(図中矢印で示されるように、鋳型11に挿入される)の接続部101が挿入貫通する、下部のリブ貫通孔11cと、中央部のブロック形成部11bと、上部の開口部11aとを有している。ブロック形成部11bは、ブロックの外形を規定するものであり、したがって、鋳型11の内面形状は、ブロックの外面形状に対応している。開口部11aは、複合樹脂材を注入し、光重合のために可視光等を複合樹脂材に照射するために用いられる開口部である。図示の例では、開口部11aがブロック形成部11bの口径よりも大きく形成され、鋳型11を更に数段重ねて、複数の鋳型11を同時に使用できるような構成としても良いようになっている。
本例において、鋳型11は、任意の材料から形成することができる。例えば、鋳型11は、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)等の樹脂、または、アルミニウム、チタン、真鍮、鉄、ステンレス、長石、ジルコニア等のセラミックスまたは金属材料、シリコーン、ウレタン等のゴムなどから形成することができる。鋳型11としてシリコーン等のゴムを用いた場合には、鋳型自体が変形可能であるため、硬化したブロックの取り出しが容易である。また、リブ部位との気密性の保持も、リブの形状により獲得できる。
ブロックを支持するためのリブ10は、任意の材料から構成することができる。例えば、リブ10の材質として、真鍮、アルミナ、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)等の樹脂、または、アルミニウム、チタン、真鍮、鉄、ステンレス、長石、ジルコニア等のセラミックスまたは金属などを挙げることができる。リブ10は、それでブロックを支持することができるので、例えば工作機械にブロックを裁置する際の載置具を形成することができる。
リブ10の好適な一例を図8に示す。図8(a)は、リブ10の正面図、図8(b)は、鋳型11にリブ10を装着した状態を説明する断面図である。
図8(a)において、リブ10を加工機械(図示せず)と接続する接続部101は、円柱状の黄銅、アルミニウム等の金属材で形成される。リブ10の上部には、ブロック内に埋入される埋入部102が設けられており、接続部101よりも口径が大きい円柱状により形成される。また、リブ10の上部には、埋入部102の周囲に連続した凹部103が設けられており、複合樹脂材が入り込み、複合樹脂材の硬化後、リブ10とブロックが離れないようなアンカー効果が得られる。凹部103の幅は、通常、1mm以下で充分である。必要に応じて、複数本の凹部103をリブ10に形成してもよい。
図8(b)は、縦型の鋳型11内にリブ10が収容された状態を示す。埋入部102が、接続部101よりも口径が大きいため、リブ10が鋳型11から落ちることがなく、単に、リブ貫通孔11cに通すだけで充分であり、硬化後のブロックを取り出す場合も、リブ10の接続部101を押すだけで、鋳型11からブロックを引き離すことができるため、取り扱いが簡便である。
最初、図1(b)で示すように、リブ10をリブ貫通孔11cに挿入する。図6(a)で示すリブ10の接続部101がリブ貫通孔11cで、留まる。
次いで、図1(c)で示すように、図1(b)の状態で、例えば下記の実験例1(第1表)に示される複合樹脂材(硬化前の前駆体)17cを2〜3cmの高さで鋳型11に注入する。この高さは、可視光等の照射による光重合が充分に生じる程度を目安としており、可視光の照射能により、さらに大きい高さであってもよい。
ここで、使用される複合樹脂材は、無機充填剤と樹脂を混合した状態で、充分な混合がすでに施されていることが好ましい。かかる混合は、例えば、真空環境下で、自転と公転をおこなう回転攪拌装置による混合手法により予め混練することによって実施することが好ましい。なお、この回転攪拌装置は、好ましくは、後段の回転攪拌処理工程で使用する回転攪拌装置と同一である。
複合樹脂材17cを鋳型11に充填した後、回転攪拌装置による回転攪拌処理を実施する。回転攪拌処理は、図2で示す回転攪拌装置で、1分間〜2時間程度、自転・公転による回転攪拌により有利に実施することができる。
図2は、複合回転による回転攪拌の一例である。本例では、図1(c)で示す混合樹脂剤17cを充填した状態の鋳型11を所定の傾きをもって、中心軸O2を中心に例えば反時計回りで自転させ、さらに、他の中心軸O1を中心に公転R1をさせてその複合的回転力により、攪拌を行う。
図示の回転攪拌装置としては、例えば上述した実開平3−36613号公報に記載された自転と公転を行うミキサーが好適に利用可能である。ここで、自転及び公転の回転数は、任意に変更することができる。一例を示すと、自転の回転数は600〜2000rpmが、公転の回転数は300〜1000rpmが、それぞれ例示される。かかる複合的回転を60〜10000秒間持続させることで、粘度が高い樹脂を使用したときでも、無機重点剤と樹脂の均一な混合を図ることができる。なお、この回転攪拌は、粘度が大きい飴状の樹脂であっても、充分な混練が可能となる。
複合樹脂材17cの混練が完了した後、鋳型11の開口部11aから可視光等を10秒間〜24時間程度照射して、複合樹脂材17cの光重合硬化を行う。
上記のようにして複合樹脂材17cの光重合硬化が完了した後、図1(d)で示すように、複合樹脂材17bを2〜3cmの高さで鋳型11に注入して充填し、次いで、図2で示す回転攪拌装置により自転・公転による混練を1分間〜2時間にわたって実施する。その後、開口部11aから可視光等を10秒間〜24時間照射して、複合樹脂材17bを光重合硬化させる。
さらに続けて、図1(e)で示すように、複合樹脂材17aを供給し、回転攪拌装置により60秒間〜3時間にわたって混練し、さらに可視光等を開口部11aより10秒間〜24時間照射して、複合樹脂材17aを光重合硬化させる。このように、充填及び光重合硬化の工程を繰り返し実施することで、鋳型11のブロック形成部11bに充填された、ブロック形状をもった複合樹脂材(17a、17b及び17c)を得ることができる。
最後に、図1(e)に示す状態のまま、複合樹脂材(17a、17b及び17c)を100〜200℃で加熱して熱重合させ、完全に硬化させる。得られた複合樹脂ブロック13を図3に示す。図3(a)は複合樹脂ブロック13の正面図、そして図3(b)は複合樹脂ブロック13の斜視図である。複合樹脂ブロック13には、図示されるように、リブ10が固設されている。
本例において作製した複合樹脂ブロック13は、同一の複合樹脂材を複数個に分割してそれぞれを鋳型11に充填し、混練及び硬化させたものであるが、場合によっては、複合樹脂材として、互いに組成が異なるもの、互いに色(色彩、色調等)が異なるものを選択し、鋳型11に充填し、積層してもよい。また、積層の回数であるが、図1では3回の例が図示されているが、当然のことながら、3回に限らず、2回であってもよく、3回以上、例えば6回、9回等であってもよい。例えば、6回程度の積層回数によって得られるグラデーションブロックを作製するとき、得られる色のグラデーションが好ましい場合もある。
図1(f)は、上記した例の一変形例を示したものである。すなわち、この例では、複合樹脂材17を一回で鋳型11に充填し、混練及び硬化させた場合が示されている。このような手法は、充分な可視光等の照射能があり、かつ可視光等の透過能を持つ鋳型を使用する場合などに好適な手法となる。
図1及び図2で示し、先に説明した鋳型は、縦型の鋳型であり、狭い空間で、より多くのブロック形成部が製造できるという利点を備えている。この状態を示したものが、図7の斜視図である。図示の通り、鋳型は縦長ではあるが、その分、狭い空間で、多数のブロックを同時に形成することができる。
円柱状の鋳型60は、そのなかに、図1で示す4つのブロック形成部61bが形成されている。それぞれのブロック形成部61bの下部には、リブ貫通孔61cが形成されている。また、鋳型60の上部には蓋載置部61aが設けられている。蓋載置部61aは、図示していないが、同じ形状及びサイズの鋳型をさらに重ね合わせることが可能な凹部を形成している。このように、複数のブロックを小さな鋳型で製造できる構成を取り得る点で、回転攪拌装置の大きさが限られていても、より多くのブロックを製造できるという効果がある。
実施例2
本例では、図4及び図5に示す横型の鋳型を使用して歯科補綴物加工用ブロックを製造する。なお、本例の場合、複合樹脂材を鋳型に充填し、自転・公転の回転攪拌装置で混練し、さらにそれを重合硬化させる工程や、その一連の工程を反復する工程や、最後の重合硬化により硬化した複合樹脂ブロックとリブよりなる成型ブロックを製造する工程や、その他の関連の工程は、特に断らない限り、前記実施例1に記載の手法に準じて実施し得ることを理解されたい。
本例を実施するに当たり、鋳型を用意する。本例で用意した鋳型11は、図4(a)に示すように、鋳型下部31と鋳型上部33をもって構成される。鋳型上部33には開口部34が形成される。開口部34は、回転攪拌処理時にも開口状態となっている。鋳型下部31と鋳型上部を重ね合わせて形成される内面の形状が、ブロック外形となっている空間、すなわち、ブロック形成部32aである。鋳型11は、先に説明した実施例1に記載の鋳型と同様の素材で形成されるが、好ましくは可視光等透過型の素材が利用される。
鋳型11には、切欠き部35aを備えたリブ35が載置される。切欠き部35aは、図8(a)に示したリブ10の凹部103と同様、複合樹脂材が入り込み、リブとブロックが離れないように、アンカー効果を発現することができる。リブ35も、鋳型11と同様に、先に説明した実施例1に記載のリブと同様の素材で形成される。鋳型11は、その鋳型下部31のリブ載置部32bにリブ35を載置し、その上にさらに鋳型上部33を載せた状態で、開口部34から複合樹脂材を供給して使用される。
最初、図4(b)で示すように、複合樹脂材40aを厚さ2〜3cmとなるように開口部34から鋳型11に充填する。次いで、その状態を維持しながら、図5で示すように、真空下において、回転攪拌装置により、軸O2を中心とした自転R2と軸O1を中心とした公転R1により、上記と同様の手法により複合樹脂材40aを混練攪拌し、かつ脱気する。図示されるように、回転攪拌装置は、軸O2を中心に反時計回りで自転R2し、軸O1を中心に時計回りの公転R1を行う。
上記のようにして回転攪拌処理が完了した後、複合樹脂材40aに上記と同様の手法により可視光等を照射し、重合硬化を行うことにより複合樹脂材の第1の硬化層40aを形成する。
次いで、図4(c)で示すように、硬化層40aの上から更に複合樹脂材40bを鋳型11に厚さ2〜3cmで充填し、先に硬化層4aの形成に実施したのと同様な回転攪拌処理とそれに続く重合硬化処理を繰り返す。すなわち、図5で示すような自転と公転による回転攪拌を行い、さらに可視光等の照射を行う。重合硬化を行うことにより、複合樹脂材の第2の硬化層40bを形成する。
次いで再び、硬化層40bの上から更に複合樹脂材40cを鋳型11に厚さ2〜3cmで充填し、上記と同様な回転攪拌処理とそれに続く可視光等の照射を行う。重合硬化を行うことにより、複合樹脂材の第3の硬化層40cを形成する。
さらに、第1〜第3の硬化層を形成するために実施した上述の手法を繰り返し、図4(d)で示すように、鋳型11のブロック形成部32aにすでに形成されている第1〜第3の硬化層40a〜40cの上にさらに、第4〜第6の硬化層40d〜40fを積層させる。
上記のようにして複合樹脂材の充填と回転攪拌処理及び重合硬化を反復し、硬化した複合樹脂材で鋳型内を充填させた後、複合樹脂材を140〜150℃前後の温度で120〜360分間にわたって加熱重合する。加熱重合の結果、複合樹脂材の全体が完全に硬化する。複合樹脂材の硬化後、リブを鋳型の開口部方向へ押すことで、図6で示す、硬化層の積層体からなる複合樹脂ブロック43とリブ35よりなる成型ブロックが取り出される。得られる成型ブロックにおいて、ブロックの配色をそれぞれ異ならせることにより、リブ長軸と平行なグラデーションをもった成型ブロックが形成される。
実施例3
本例では、図9に示すように、縦型の鋳型に隔壁部材(パーテーション)を併用して歯科補綴物加工用ブロックを製造する。すなわち、横型の鋳型の場合、単に積層することで、グラデーションブロックが形成されることから、手軽であるが、例えば前記実施例1で使用したような縦型の鋳型でも、パーテーションを併用することで、同様のグラデーションブロックが形成可能である。なお、本例の場合、複合樹脂材を鋳型に充填し、自転・公転の回転攪拌装置で混練し、さらにそれを重合硬化させる工程や、その一連の工程を反復する工程や、最後の重合硬化により硬化した複合樹脂ブロックとリブよりなる成型ブロックを製造する工程や、その他の関連の工程は、特に断らない限り、前記実施例1に記載の手法に準じて実施し得ることを理解されたい。
本例を実施するに当たり、鋳型を用意する。本例で用意した鋳型11は、鋳型11の平面図である図5(a)や、図5(a)の線分X−X’に沿った断面図である図5(b)に示すように、図1を参照して先に説明したものと同様の鋳型11であり、但し、開口部11aを経由してパーテーション12を挿入し、鋳型11に取り付ける。パーテーション12は、鋳型11と同様の材料から形成することができる。パーテーション12は、任意の形状で形成することができるけれども、グラデーションブロックを形成する観点から、U字型もしくはそれに類似した形状が推奨される。ブロック形成部11bにパーテーション12を介在させることで、形成される間隙に可視光等の照射部材、反射部材などを挿入可能となる。なお、図では、鋳型11に取り付けたリブ10の上端部にパーテーション12を配置した例を示してあるが、必要に応じて、その他の配置形態を採用してもよい。
本例では、図9(b)で示すように、鋳型11のブロック形成部11bにパーテーション12の配置によって3つの空間(間隙)を形成する。次いで、図9(c)で示すように、パーテーション12の両側の間隙に複合樹脂材18a及び18bを充填し、実施例1において前記したような手法に従って回転攪拌処理を行い、さらに可視光等を照射する。可視光等の照射は、鋳型11の少なくとも側面を可視光等が透過可能な部材から構成することによって実施することが好ましい。可視光等の照射による重合により、硬化させた複合樹脂層18a及び18bを形成する。なお、別法によれば、パーテーション12の一方の側の間隙に複合樹脂材18a又は18bを充填し、回転攪拌処理、そして可視光等の照射によりいずれかの複合樹脂材を硬化させ、次いで、残りの複合樹脂材を他方の間隙に充填し、同様の回転攪拌処理及び可視光等の照射によりその残りの複合樹脂材を硬化させてもよい。
硬化させた複合樹脂層18a及び18bの形成後、パーテーション12を取り外す。このようにして複合樹脂層18a及び18bの間に新たな間隙が形成されるが、この間隙に、図9(d)で示すように、複合樹脂材18cを充填する。複合樹脂材18cの充填後、上記と同様の手法により回転攪拌処理を行い、次いで、鋳型11の側面と上面から紫外線を照射してこれを重合硬化させる。図示されるように、硬化樹脂層18cが形成される。
図から理解されるように、本例では、硬化樹脂層18a、18b及び18cの積層体からなる複合樹脂ブロックとリブよりなる成型ブロックが鋳型11から取り出される。得られる成型ブロックにおいて、ブロックの配色をそれぞれ異ならせることにより、リブ長軸と平行なグラデーションをもった成型ブロックが形成される。
本例は、鋳型のブロック形成部の中央を空隙とした状態で、パーテーションの両側の間隙に充填した複合樹脂材を硬化させたが、使用するパーテーションの形状によっては、その逆であってもよい。すなわち、鋳型の中央に複合樹脂材を供給して硬化させるようなパーテーションを配置して最初に中間層(硬化樹脂層)を形成した後、パーテーションの両側の間隙に複合樹脂材を充填し、さらに回転攪拌処理、可視光等の照射の処理を行ってもよい。
本例は、さらに変更することも可能である。例えば、上記した例では、鋳型が、可視光等を透過する材料で形成される形態を示したが、可視光等を透過させない材料で形成された鋳型の場合でも、同様な成型ブロックを製造可能である。
例えば、図9(b)で示した状態で、パーテーション12を可視光等を透過する部材で形成し、パーテーション12の内側に形成された間隙に、その間隙から可視光等を照射することのできる手段を配置する。この状態で、図9(d)で示すように、複合樹脂材18a及び18bを充填し、それらの複合樹脂材を上記と同様な手法で重合硬化させる。複合樹脂材の重合硬化後、パーテーション12を引き離し、そこに形成された間隙に複合樹脂材18cを供給する。回転攪拌処理の後、複合樹脂材18cの上方から可視光等を照射する。このような工程により、鋳型を特別な素材から形成しなくとも、グラデーションブロックを製造することができる。
実施例4
本例では、縦型の鋳型を使用して歯科補綴物加工用ブロックを製造するとき、ブロックの構成員である複数の硬化樹脂層をそれぞれ複合樹脂材から形成するのでなくて、少なくともその一部を、すでに造形されている硬化樹脂層(ここで、「ブロック片」という)を利用して成型ブロックを製造する例について、図10〜図14を参照して説明する。すなわち、本例では、ある製造プロセスに従って成型ブロックを形成するとき、ブロックを構成する硬化樹脂層の少なくとも一部として、別の場所(製造現場)で本発明に従いもしくは本発明以外の方法に従い複合樹脂材から作製したブロック片を使用して、成型ブロックを製造する。なお、本例の場合、複合樹脂材を鋳型に充填し、自転・公転の回転攪拌装置で混練し、さらにそれを重合硬化させる工程や、その一連の工程を反復する工程や、最後の重合硬化により硬化した複合樹脂ブロックとリブよりなる成型ブロックを製造する工程や、その他の関連の工程は、特に断らない限り、前記実施例1に記載の手法に準じて実施し得ることを理解されたい。
本例は、図13(a)〜図13(f)に順を追って示す製造方法によって成型ブロック87を製造する。ここで、出発部材として、複合樹脂材に変えて、図10に示すように、硬化樹脂層82(ブロック片A)及び硬化樹脂層84(ブロックB)が支持容器83とともに用いられる。硬化樹脂層82(ブロック片A)は図11で示すように、硬化樹脂層84(ブロックB)は図12で示すように、それぞれ製造される。
本例を実施するに当たって、図10(a)で示す支持容器83を用意する。支持容器83は、シリコーン樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)等でできた透明又は半透明な容器であって、その内面形状は、目的とするブロックの外面形状に対応し、ブロック形成部83bを構成している。支持容器83の外面形状は、鋳型11へ支持容器83を内接可能な大きさであり、上部にはブロック片A及びBを挿入するための開口部83aが設けられており、底面にはリブ挿入孔83cが設けられている。
硬化樹脂層82(ブロック片A)は、予め造形されているものであり、図10(b)で示すように、L字型で形成され、横方向で伸びた部分にリブ81が結合している。硬化樹脂層84(ブロック片B)は、ブロック片Aと同様に予め造形されているものであり、図10(c)で示すように、矩形の形状を有している。硬化樹脂層82(ブロック片A)及び硬化樹脂層84(ブロックB)は、それぞれ、例えば下記のようにして複合樹脂材から、例えば実施例1に記載の手法に従って製造する。
ブロック片Aの製造
ブロック片A(82)は、図11で示すように、ブロック形成部21bを備えた縦型の鋳型21を使用して製造する。まず、図11(a)で示すように、型A(91)とリブ81を縦型の鋳型21に挿入し、装着する。次いで、図11(b)で示すように、ブロック形成部21bの間隙に複合樹脂材82を注入し、充填する。複合樹脂材82の充填後、実施例1に記載の手法で回転攪拌装置で攪拌し、青色可視光線を照射して、硬化させる。その際、硬化度を調整するために、硬化時間を通常の20〜100%とすることが好ましい。硬化の完了後、図10(b)及び図11(c)で示すように、リブ81と結合したブロック片A(82)を鋳型21より取り出す。
ブロック片Bの製造
ブロック片B(84)は、図12で示すように、ブロック形成部21bを備えた縦型の鋳型21を使用して製造する。まず、図12(a)で示すように、型B(93)を縦型の鋳型21に挿入し、装着する。次いで、図12(b)で示すように、ブロック形成部21bの間隙に複合樹脂材84を注入し、充填する。複合樹脂材84の充填後、実施例1に記載の手法で回転攪拌装置で攪拌し、青色可視光線を照射して、硬化させる。その際、硬化度を調整するために、ブロック片A(82)と同様に、硬化時間を通常の20〜100%とすることが好ましい。硬化の完了後、図10(c)及び図12(c)で示すように、所望の形状をもった矩形のブロック片B(84)を鋳型21より取り出す。
成型ブロック87の製造
引き続いて、図11で示したブロック片A(82)と図12で示したブロック片B(84)を用いて、図13に順を追って示す手法で成型ブロック87を製造する。なお、本例は一例であるので、これに種々の変更や改良を施すことも可能である。
最初に、図13(a)で示すように、支持容器83のブロック形成部(空間)83bに、支持容器83の開口部83aを介して、リブ81と結合したブロック片A(82)を装着する。リブ81は、支持容器83のリブ挿入孔83cに挿入されて、安定に固定される。次いで、図13(b)で示すように、すでにブロック片A(82)を装着してある支持容器83にブロック片B(84)を装着する。ブロック片A(82)とブロック片B(84)は、一部に空間を残して、支持容器83の内部にぴったりと嵌った状態で配置される。
ブロック片A(82)及びブロック片B(84)の装着が完了した後、図13(c)で示すように、支持容器83を鋳型11にそのまま挿入する。この状態で、図13(d)で示すように、複合樹脂材86を支持容器83の中央に残された空間に供給し、実施例1に記載したような手法により、回転攪拌装置により回転させる。この際の複合樹脂材86は、充填する箇所の径が小さく、高粘度の複合樹脂材では充分な脱泡と充填が得られない場合、液状からやわらかいペースト状までの、5mPa・s〜100Pa・sの粘度を有するものであることが好ましい。
回転攪拌処理の後、複合樹脂材86に青色可視光線を照射して硬化させる。その際、十分な重合を行うべく、10分間〜1時間にわたって光を照射することが好ましい。本例では、支持容器83が透明又は半透明であるため、硬化用の光線が、複合樹脂材全体に照射されるため、短時間で十分な重合をおこなうことができる。硬化した複合樹脂材86は、本例においてブロックCと呼ぶ。
引き続いて、鋳型11から支持容器83を取り出す。鋳型11から支持容器83を、それに複合樹脂材の積層体(ブロックA、B及びCの一体化物)を入れた状態で取り出した状態を図13(e)に示す。さらに続けて、支持容器83を取り去り、複合樹脂材の積層体を140〜160℃の温度で2〜3時間にわたって加熱して熱重合を行う。このようにして、図13(f)で示す成型ブロック87が得られる。成型ブロック87は、図示される通り、ブロックA(82)、ブロックB(84)及びブロックC(86)の一体化物からなり、それにリブ81gが埋め込まれている。
図10〜図13で示す成型ブロック87の製造方法は、ブロックの色彩に勾配が生じるグラデーションブロックの製造に適しており、また、得られるブロックにも十分な強度が備わっているものである。
下記の配合例は、グラデーションブロックを作製するときの、各ブロック片の配合例である。
ブロック片A(82):
シリカ(0.1〜5μm径)76w/w%、シリカ(10〜100nm径)2w/w%、TEGDMA 11w/w%、UDMA 11w/w%、カンファーキノン0.02w/w%、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート0.02w/w%、過酸化ベンゾイル:0.02w/w%
赤色の三二酸化鉄0.0011w/w%、黄色の三二酸化鉄0.011w/w%、白色の二酸化チタン0.039w/w%)
ブロック片B(84):
グラディア エナメルE3(ジーシー社製)
ブロック片C(86)
ブロック片A(82)組成:ブロック片B(84)組成:モノマー溶液(UDMA:TEGDMA=1:1)=9:9:2
本例は、3層のグラデーションブロックを製造するものであるが、任意に変更可能である。例えば、本例において、使用する型の形状を変えて、さらに複数のブロック片を作製して、より複数階層を形成して、より自然な色彩をもつ補綴物形成用ブロックを製造してもよい。
また、縦型の鋳型は、横型の鋳型に比べて、ブロックを製造する際に、数多くのブロックを一度に製造できるものである。よって、上記のような形態でのグラデーションブロックの製造において、上述した実施例は、特に好ましいものである。
参考までに示すと、図14は、得られた成型ブロック87の写真から書き起こした斜視図(a)及び上面図(b)である。成型ブロック87を目視したとき、それを構成するブロックA(82)、ブロックB(84)及びブロックC(86)は、それぞれ、良好な歯色を呈するとともに、境界がぼやけたグラデーションを提供し、補綴物に加工されたときにより自然な審美性を提供しうることを立証した。なお、成型ブロックのうちで、リブ側は、切り取られる部分であり、多少方向の違った層が見えても差し支えないものであって、実際加工される補綴物のブロックの該当部位は、審美的に優れたグラデーションが得られている。
実施例5
本例では、実施例4の一変形例として、縦型の鋳型を使用して歯科補綴物加工用ブロックを製造するとき、グラデーションを水平な積層ではなく、曲線的配向にして、より天然歯に近いグラデーションブロックを得る例について、図15を参照して説明する。なお、本例の成型ブロックの製造は、ブロック片Bの形状を曲面とする形状とした相異点を除いて、基本的には実施例4に記載の手法に従って行うことができるので、ブロック片、リブ、鋳型等、実施例4と同じ構成を利用している部分については、詳細な説明を省略することとする。
最初に、図15(a)で示すように、ブロック片A(82)を透明な支持容器83に装着する。ブロック片A(82)にはリブ81が結合している。その後、図15(b)で示すように、ブロック片B(84)を支持容器83に装着する。なお、本例で使用するブロック片B(84)は、実施例4で使用したブロック片B(84)とは異なって、図示される通りに一部に曲面を有している。図15(c)は、図15(b)の支持容器83を上方から観察した図であり、図示される通り、支持容器83のブロックA及びBの中間の空間に複合樹脂材を供給するための供給口83dを有している。
次いで、図15(d)で示すように、鋳型11へ支持容器83ごと収容する。その後、図15(e)で示すように、ブロックCを形成するための複合樹脂材86を供給口83dを経由して支持容器83に充填する。この状態で、回転攪拌装置で回転攪拌し、その後、青色可視光線を照射することで、光重合により硬化させる。
光重合による硬化後、支持容器83に入れられたブロックA、B及びCの一体化物を140〜160℃の温度で2〜3時間にわたって加熱して熱重合を行う。それぞれのブロック片どうし及び複合樹脂材の硬化により、ブロックA、B及びCが強固に結合し、図15(f)で模式的に示すように、十分に強度のある補綴物作成用成型ブロック87が得られる。なお、図15(g)は、成型ブロック87を使用して実際に前歯の補綴物MGを得る部位の一例を示す。当該曲線的層の積層ブロックは、その境界がわからない程度にすることができる場合がある。
実験例1
本例では、実施例1に記載の手法に従って歯科補綴物加工用の単色ブロック及びグラデーションブロックを製造する。
単色ブロック及びグラデーションブロックを作製するため、下記の第1表に記載の組成となるように樹脂、無機充填剤等を配合する。得られた複合樹脂材を図1(a)で示す縦型の鋳型に充填し、回転攪拌機で30分、0.6kPaの真空状態で、気泡を取り除きつつ回転攪拌を行い、目的とするブロックを製造する。
Figure 2009154301
最初に、樹脂材としてトリエチレングリコールメタクリレート(TEGDMA)18%及びジウレタンジメタクリレート4%を用意し、この樹脂材に、無機充填剤として平均粒径0.1〜5μm前後のシリカ76%、平均粒径10〜100nm前後のシリカ2%及び平均粒径1〜40μmのアルミナと、その他、着色剤として酸化鉄及び酸化チタンと、熱増感剤として過酸化ベンゾイルと、光増感剤としてカンファーキノン及びN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートと、安定材としてヒドロキノンモノメチルエーテルとを、別容器に入れて混ぜ、回転攪拌装置(練太郎(商標)、シンキー社製、ARV−310)により充分な混練を行う。所定の組成を備えた複合樹脂材が得られる。
その後、図1(a)で示す縦型の鋳型のリブ貫通部に、黄銅又はアルミニウムよりなる図8(a)で示すリブを挿入する。鋳型にリブを取り付けた状態で、上記した組成の第1の複合樹脂材を鋳型の下部空間に厚さ2〜3mm程度の厚さで注入し、充填する。
次いで、図2で示す回転攪拌装置(シンキー社製、ARV−310)に鋳型を取り付け、軸O2を中心として自転R2(1000〜2000rpm)で回転させるとともに、軸O1を中心として公転R1(500〜1000rpm)で回転させる。この自転・公転を30分間〜1時間行った後、鋳型に可視光等を30〜60分間照射して、第1の複合樹脂材を重合硬化させる。
第1の複合樹脂材の重合硬化が完了した後、硬化した複合樹脂材の上からそれと同一の組成を有する第2の上記複合樹脂材を再び厚さ2〜3cm程度となるように充填し、上記と同様、回転攪拌処理を行い、可視光等の照射を行う。重合硬化の結果、第2の複合樹脂材を重合硬化させる。
上記のような複合樹脂材の充填と回転攪拌処理及び重合硬化を反復し、硬化した複合樹脂材で鋳型内を充填させる。次いで、複合樹脂材を140〜150℃前後の温度で120〜360分間にわたって加熱重合する。加熱重合の結果、複合樹脂材の全体が完全に硬化する。
複合樹脂材の硬化後、リブを鋳型の開口部方向へ押すことで、図3で示す、硬化した複合樹脂ブロック13とリブ10よりなる成型ブロックが取り出される。
本例で示す硬化後の成型ブロックの形態は、図1(e)で示す、複合樹脂材17a〜17cのそれぞれの材質を同じにした構成である。本例の一変形例として、複合樹脂材17a〜17cの材質の配色を変えることで、グラデーションブロックの製造も可能となる。なお、配色を変更することに関して、当該配色は、リブの長軸方向に対して垂直な層の配色であるけれども、通常のグラデーションブロックとは、以下の説明からも理解されるように、層の方向が90°異なるものであり、目的により使い分けられるものであるという点に留意されたい。
また、本例で示す光重合硬化工程では、可視光等の照射能力が、樹脂の厚さ2〜3cm程度が適当であるため、複数回の繰り返し処理を行ったけれども、可視光等の出力装置の能力によれば、複合樹脂材の一回の充填によっても成型可能な場合があるという点に留意されたい。
さらに、可視光等の照射強度は、樹脂の厚さ1〜10mmに対し、通常、10000〜100000luxが適当である。照射強度が100000luxを上回ると、重合後の体積変化によるヒケ、ソリ、内部空孔、応力集中の点で問題があり、10000luxを下回ると、硬化する時間が極端に長くなる等の点で好ましくない。
ところで、縦型の鋳型において上方に向かって複合樹脂材の充填、硬化を繰り返して積層を行い、2層目以上で、上方と下方から光照射で硬化させた場合、下方が着色ブロック等、遮光された組成であると、下方からの光照射がマスクされた状態となるため、不均一な硬化となる。このため、照射強度が強すぎる場合、積層界面に内部空孔が生じてしまい、積層には不向きである。これに対して、本例の製造方法によれば、鋳型のままの製造となり、非常に手軽な取り扱いにより加工用ブロックが製造できる。
実験例2
本例では、実施例1に記載の手法に従って歯科補綴物加工用のグラデーションブロック(下記の第2表に示す6色)を製造する。
グラデーションブロックを作製するため、本例では2種類の複合樹脂材(以下、レジンともいう)R1及びR2を使用する。レジンR1及びR2の組成(着色剤を除く)を以下に示す。
レジンR1:
シリカ(0.1〜5μm径)76w/w%、シリカ(10〜100nm径)2w/w%、TEGDMA 11w/w%、UDMA 11w/w%、カンファーキノン0.02w/w%、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート0.02w/w%、過酸化ベンゾイル:0.02w/w%
レジンR2:
シリカ(0.1〜5μm径)67w/w%、シリカ(10〜100nm径)7w/w%、TEGDMA 13w/w%、UDMA 13w/w%、カンファーキノン0.02w/w%、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート0.02w/w%、過酸化ベンゾイル:0.02w/w%
これらのレジンに着色剤(黄色、赤色、白色)を組み合わせて、異なる色の濃度勾配を有する複合樹脂材を調製する。ここで、濃度勾配は、以下で示すように、100から0までの間で区別を行う。
100:A1の顔料の濃度が100%、
50:A1の顔料の濃度が50%、
30:A1の顔料の濃度30%、
20:A1の顔料の濃度が20%、
10:A1の顔料の濃度が10%、及び
0:A1の顔料の濃度が0%。
なお、A1相当の顔料組成は、
赤色の三二酸化鉄 0.00044w/w%、:
黄色の三二酸化鉄 0.0044w/w%、そして
白色の二酸化チタン0.0716w/w%である。調製した複合樹脂材を、それぞれ別の容器に入れる。
本例では、第2表に示すように、各層ごとの色の濃度及び上述した組成のレジンの組み合わせを10通り作成し、それぞれの組み合わせの複合樹脂材を回転攪拌装置にセットして、自転公転を繰り返しながら30分間〜1時間にわたって混練を行い、それぞれ色の異なる混合樹脂材を用意する。
本例で使用する鋳型は、図1で示す縦型の鋳型である。この鋳型を用いて、まず濃い色の複合樹脂材を0.3〜1cmの厚さで充填して、複合樹脂材を鋳型に入れたまま、図2で示す回転攪拌装置に取り付けて回転攪拌処理を行う。次いで、青色領域の可視光線照射装置により鋳型の開口部から青色領域の可視光線をおおよそ1000秒間照射してこれを重合硬化させる。よって、硬化した樹脂層が得られる。
その後、硬化した樹脂層の上から下記の第2表で示す色の複合樹脂材を0.3〜0.8cmの厚さで充填して、回転攪拌装置により、上記と同様の時間にわたって回転攪拌処理を行う。次いで、可視光等の照射装置により鋳型の開口部から可視光等を60〜4000秒間にわたって照射してこれを重合硬化させる。よって、硬化した樹脂層が得られる。
さらに、上記のようにして硬化した樹脂層の上から、同じく下記の第2表で示す色の複合樹脂材を充填して、上記と同様の回転攪拌処理及び重合硬化処理を施して硬化した樹脂層を得る。
その後、熱重合による硬化のため、積層された硬化樹脂層が入ったままの鋳型を、鋳型のまま140〜160℃で3000〜100000秒間にわたって加熱する。重合硬化の完了後、積層された硬化樹脂層を鋳型から取り出すと、リブ付きのグラデーションブロックが得られる。
〔官能試験〕
上記のようにして4層積層させたグラデーションブロックを合計8個作製し、一人以上の目視による官能試験を行う。得られた結果を示したものが、第2表である。この官能試験の結果、少なくとも2層目の境界は、ほとんど確認できず、さらに3層目以降もほとんど境界を確認できなくなっている。この結果、官能試験に供したグラデーションブロックは、自然なグラデーションをもち審美性に優れていることがわかる。
Figure 2009154301
Figure 2009154301
官能試験の判定基準
◎:境界層がまったく目立たない;○:よく見ると境界層がわかる;△:境界層がわかる;×:境界層がはっきりわかる
〔強度試験〕
上記のようにして6層積層させたグラデーションブロックを作製する。次いで、グラデーションブロックをダイヤモンドカッターで切りだし、曲げ試験片:サイズ25mm(長さ)×2mm(高さ)×2mm(厚み)を作製する。グラデーションブロック由来の試験片を用意すると共に、比較例として1層のみのブロックに由来する試験片も3個用意し、これらの試験片に対し、曲げ強度試験及び審美度の判定を行う。得られた結果を第3表に示す。
Figure 2009154301
第3表から、6層積層させたブロックと1層のブロックとは、同様の強度を備え、また、境界が認識できない自然なグラデーションを備えた審美ブロックが得られることがわかる。なお、本例で得られるブロックは、CADCAMで用いられる研削、切削加工において、積層境界面で破折や脱落するといった問題がなく、従来のレジン系ブロックの快削性と同様、快削性を備えていた。
実験例3
本例では、実験例1に記載の手法に従う半透明のブロックの作製を説明する。
半透明のブロックを作製するため、下記の第4表に記載の組成(配合例)となるように樹脂、無機充填剤等を配合する。
Figure 2009154301
第1表に記載の配合例に従い、それぞれの試薬をプラスチック容器に秤量し、回転攪拌機(練太郎(商標)シンキー社製 ARV−310)で混合する。次いで、得られたペーストを図1に示す縦型の鋳型に充填し、回転攪拌機(練太郎(商標)シンキー社製 ARV−310)で20分間、2.0kPaの真空状態で回転攪拌を行い、気泡を取り除く。その後、鋳型の側面から470nm前後の波長の光を10分間照射して、複合樹脂材を光重合により硬化させる。さらに続けて、複合樹脂材を熱重合により硬化させる。重合硬化により形成されたブロックを鋳型から取り出し、CADCAM切削用ブロックとする。このブロックは、CADCAMによる切削加工が十分に施され得る半透明なブロックである。
実験例4
本例では、実験例1に記載の手法に従う加熱重合によるブロックの作製を説明する。
TEGDMA15%、UDMA15%、過酸化ベンゾイル0.09%、シリカ(20nm平均粒径、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランでシランカップリング処理したもの)2%、及びシリカ(0.3μm平均粒径、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランでシランカップリング処理したもの)68%の配合で、試薬をプラスチック容器に秤量し、回転攪拌機(練太郎(商標)シンキー社製 ARV−310)で混合する。得られたペーストを図1に示す縦型の鋳型に充填し、回転攪拌機(練太郎(商標)シンキー社製 ARV−310)で20分、2.0kPaの真空状態で回転攪拌を行い、気泡を取り除く。また、別の型への充填方法として、混合したペーストへ図1に示す縦型の鋳型を物理的および回転攪拌により押し込んで、ペーストを鋳型に充填する。それらを恒温槽に入れ、大気下、窒素雰囲気下で150℃までプログラムで段階的に昇温し、硬化させる。鋳型からブロックを取り出し、CADCAM切削用ブロックとする。結果、窒素雰囲気下のものは、大気下のものと比べ、表面、形状ともきれいに成形できた。そのものについて、JIS T 6517に準拠し、3点曲げ強さ試験を実施した結果、3点曲げ強さは122MPaであった。
実施例6
本発明の一実施例を、図16を参照して説明する。
測色手段111は、図示のようなデジタルカメラ、デジタルビデオ、比色計等、主に測色可能な手段が示される。利用者用端末112は、当該システムを利用して補綴物の供給を受けようとするものであって、多少離れた場所にいる開業医、歯科技工所等で例示される。
測色手段111で測色されたデータは、例えば、利用者端末112でL、a、bの値、又はC、M、Y、Kの色調情報値に分解され、同時に測色された、隣在歯、又は基準色データとの比較を行い、数値的調整をおこなってより近似色に調整する。
なお、本発明は、最終的に表面層が形成されるが、当該表面性による被覆は、審美にも大きく影響を与える、従って、ソフトウエアによって、仮想的に表面層を重ねることで、最終的な見映えを検証しながら、色調の情報調整をおこなうことが好ましい。
表面被覆の仮想的配置の場合は、要素としては、透明度と厚みが大きなパラメータとなり、更に、補綴物の位置、隣在歯色等のパラメータが添えられ調整されることが好ましい。
双方向又は一方向のネットワーク113は、インターネット、イントラネット、無線LAN等が例示される。また、加工側端末114は、補綴物の形状情報及び色情報を入力し、補綴物製造及び着色工程を制御操作する側である。
測色手段111からネットワーク113までの構成は、電子的、機械的な目測色してデータ化し、これを加工側端末114に取り込むことで、より現実的で、利便性の高い、補綴物の印刷を実現しようとするものであるが、少なくとも、加工側端末114以降の構成により、歯科医、歯科技工士等の利用者が、目視、別途用意された測色器具により直接加工側端末114に色情報を入力するなどして印刷色を決定すればよいことから、必ずしも必須構成ではない場合がある。
立体物用印刷手段115は、マテリアルプリンタ、立体物印刷用2次元インクジェットプリンタ等が例示される。
図示のノズル115aは、インクジェット用のノズルであり、例えば、xy平面上を移動する。移動の仕方は、y軸方向に往復しながらx軸方向に移動したり、x軸方向に往復しながら、y軸方向に移動したりする。又、x軸方向、又はy軸方向のみ往復し、台座が、y軸方向又はx軸方向へ移動してもよい。
載置部115cは、被着色用補綴物を載置する部分である。載置部115cは、印刷手段115で裏面や側面も塗装する場合があるため、回転可能であることが好ましい。
加工手段116は、未加工のブロックBをz軸方向に延びた回転ミルを移動させて、削り、回転装着部116bを回転させて、補綴物Hを得るための装置であり、図16では、その一部を示してある。
メデイア117は、測色手段111で得られたデータを記録し、加工側端末114へデータを移動させるためのものであり、補綴部位の印象凹模型ISと共に、持参、郵送、宅配ルート117aで送付するものである。
次に、本発明の動作を、図16、図17等を参照して詳細に説明する。
図16において、歯牙欠損部上の支台歯SHと隣接歯RH1、RH2の歯色を測色手段111で測定する。測色手段111は、より肉眼での測色に近い測定器、例えば比色計としてクリスタルアイ(商標);オリンパス社製、Shade scan(商標);cynovad社製、専用のカメラとしてアイスペシャル(商標);松風社製等を用いる。
この場合、隣接歯の色の値を符号化することが、好ましいが、困難な場合は、規格化されたシェード値をもつ標準体RSを隣接して撮影することが好ましい。
また、測色手段111では補綴物の色を測定できない場合は、歯科医、歯科技工士等の目測による決定に置き換えても良い。
測色手段111で得られた色データは、USBケーブル113a等を介して、利用者用端末112に入力され、補綴物色の決定等がされると、このデータをネットワーク113を介して加工側端末114で、メール送付、特定のホームページへのアップロードなどの手法により入手可能にする。
更に、当該欠損部に対し、印象を取り、内側に外観を備えた凹模型ISを取得する。当該凹模型から、補綴物Hのマージンライン、最大豊隆部、咬合面を取得し、その他の部分は、数学的補完をして補綴物形状データを取得する。
他方、補綴物を作製することまでを請け負う利用者の場合は、印象凹模型ISを送る必要があるため、測色データをSDカード類、USBメモリ類、CD、DVD類等のメデイア117に記憶させ、印象凹模型ISと共にルート117aを介して郵送、宅配してもよい。
加工用端末114は、入手した印象凹模型ISから、ワックスアップ、ワックスアップレス法を用いて補綴物模型、仮想模型を形成して、更に補綴物形状Hを示すデータをCADを利用して取得し、このデータに基づいて、加工用ブロックBを加工する。
加工は、例えば図16で示すCAMタイプの加工手段(一部だけ表示)116で加工する。ミル116aにより、ブロックBの側面から加工していく。ブロックBは、加工手段116のブロック装着部116bにリブRを挿入して固定される。
加工後のブロックを図17(a)で示す。図17(a)の状態で、補綴物HとリブRを切り離し、図17(b)で示す状態とする。図17(b)は、補綴物を側面から見た図である。
補綴物Hは、図16で示す立体物用印刷手段115の載置部115c上に前面を上にして載置される。
加工側端末114に入力された色データは、グラフィック加工可能な汎用プログラムで開く。図18は、利用者端末114の画面上のプログラム表示である。
図18(a)において、加工エリア133に、補綴物輪郭134を移動ペーストする。
カラーボックス132のCMYK入力部に測色手段111で測定した際のCMYK値を入力すると共に、比較調整して、グラデーションを持つ歯色を決定する。図18(b)は、グラデーション135を試行している状態を示す。
また、複数の色を重ね合わせて、歯色を試行する図を図19に示す。
図19のカラーA(141)と補綴物A(142)とを重ね合わせた状態、カラーB(143)と補綴物A(144)を重ね合わせた状態を並べて表示し、これらを画面上で重ね併せて、色の状態を見ることができる。
これらの試行を繰り返し、決定した歯色に基づいて、立体物用印刷手段115を駆動させ、印刷する。これを繰り返して、表面にグラデーションを有する着色を行う。
立体物用2次元印刷手段115は、2次元データに基づいて3次元形状を印刷するため、ソフトウエアの操作が簡単ではありながら、調整された審美補綴物が得られるが、補綴物H全体を着色する場合は、図17(c)で示す様な回転する載置部115cが用いられる。
載置部115cは、両側に補綴物Hを挟み込み固定する保持部115c1と115c2が軸115c3を中心に回転可能に形成されている。
インクジェットヘッド115aが前後左右に移動しながら、インクを吐出し着色する。図17(d)は、図17(c)を90度回転させて示した図である。
補綴物Hが前歯の場合は、グラデーションを持つ着色面が、前面に限ってもよいので、図17(c)で示すような回転載置部115cを用いなくてもよい場合もある。
図17(e)は、着色後の補綴物Hの断面図であり、H1は、白色の下地であり、H2は、実際の歯牙色である。H3は、裏面であり、実際の歯牙色を印刷したものである。
最後に表面処理を行う。表面処理は、例えば上記した表Aの組成1の溶液に印刷後の補綴物を浸積し、光硬化処理を行って、表面層H4を得る。当該表面層は、印刷面の剥がれを防止すると共に、水性インクではだせない油性インクの審美を保護し向上させる。
次に、ブロックBの具体的配合例と製法例を説明する。下記の表Bは、ブロックBの配合例である。
Figure 2009154301
表Bの配合例(組成6又は7)に従い、試薬をプラスチック容器に秤量し、回転攪拌機(練太郎(商標)ARV−310;シンキー社製)で混合する。得られたペーストを図1に示す縦型の鋳型に注入し、回転攪拌機(練太郎(商標)ARV−310)で20分、2.0kPaの真空状態で回転攪拌を行い、気泡を取り除く。その後、鋳型の側面から470nm前後の波長の光を10分間照射してブロックを硬化させる。鋳型からブロックを取り出し、CAD/CAM切削用ブロックとする。
実施例7
図16で示す隣接歯RH1とRH2に挟まれた支台歯SHから、対合歯型を含む印象を取り、凹模型ISとする。
当該凹模型ISから補綴物Hの形状データを形成し、このデータに基づいて上述した製法で得られた透明ブロックBを加工手段116(CADIM(登録商標)105;アドバンス社製)で加工して、透明な前歯部クラウンを得る。
使用者の目視によりシェードSHと隣接歯RH1,RH2の色と比較しながら、最適なシェードを決定し、その色データを図18で示す色データ入力ボックス132に入力する。
当該入力ボックス132に入力した値に基づいて、色彩データにグラデーションの仮想的配色等を行い、試行的に繰り返し行う。
更に試し印刷を、同模型を複数製作するかダミー模型で試し、色彩を決定する。
プリンタは、DJ−3203Pro(商標)(エイ・アイ・シイ社製)を使用する。上述で作製した前歯部クラウン(未着色)を、プリンタのヘッドに対し、唇側面が正面になるよう、プリンタのステージ上に粘土で設置する。そして、設置した位置を定規等で把握し、ソフト上で印刷位置を決定した。最初に、レイヤー1(白下地色)について補綴物に印刷を行う。10分程度室温で乾燥させ、続けてレイヤー2(メインの着色)について同一の補綴物に印刷を行う。同様に、10分程度室温で乾燥させ、印刷表面に組成1のペーストをディッピングで塗付し、470nm前後の波長の光を10分間照射して硬化させる。それを、100℃で3時間、乾燥機で加熱して表面層を形成して前歯部クラウンを作製する。
本例で作製した前歯部クラウンは、目視的にも隣接歯とのバランスがとれた状態の配色である。なお、ブロックBは、透明ブロックの他、例えば図14で示すグラデーションブロックを用いても良く、その場合は、色層の境界で生じるラインを消すような着色が行われても良い。
実施例8
本例では、油性インクの使用について説明する。
油性インク(PMMA 5wt%、TEGDMA/UDMA 1wt%、シリカ1wt%:20nm平均粒径 γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランでシランカップリング処理したもの、顔料各2.5wt%:酸化チタン、黄色三ニ酸化鉄、ベンガラ、カンファーキノン0.1wt%以下、ヒドロキノンモノメチルエーテル0.1wt%以下、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート0.1wt%以下、酢酸エチル/ブタノール90.5wt%)に基づいた成分よりなる油性インクを製造し、当該インクを用いて、実施例8と同様な手法に従って印刷を行う。実施例8で得られた結果と遜色のない程度で、透明な前歯クラウンに着色を施すことができる。
実施例9
本例では、繊維を配向させることで強度が高められたブロックの製造について、図20及び図21を参照しながら説明する。なお、図20及び図21は、本例の製造方法を順を追って説明するもので、それぞれ、製造方法の前半及び後半を示している。
図20及び21において、参照番号201は、繊維束であり、ガラス、プラスチック等で形成されている。また、202は、結束バンドであり、繊維束201が結束して保持されるためのバンドであればよく、伸縮性のあるゴム帯が例示される。
参照番号203は、繊維束端部固定用型Aであり、205は、繊維束端部固定用型Bであり、そして204は、繊維束端部固定用硬化剤である。端部固定用硬化剤204は、形成されるブロックと同じ材料により構成されることが、できあがりのブロックに不要な色差が無い点で、好ましい。
参照番号206は、型本体であり、端部固定用型が収容可能な程度の内容積を備えている。207は、型本体206用の蓋であり、型本体206の上部に装着される。また、208は、固定帯であり、型本体206と型本体用蓋207とが装着された状態を、この固定帯208を巻くことで固定されるような、伸縮性を備えたもの、あるいは、結ぶことが可能な紐、等で形成される。
参照番号209は、型本体206と型本体用蓋207とが装着された状態のとき、繊維束201が両端から内方向へ押されることで膨らんだ、繊維束201の膨らみ部である。
210は、上述したような本発明の複合樹脂材、典型的にはレジンとセラミックスの複合材スラリーである。硬化後、型に基づくブロック101が形成される。
211は、リブであり、加工ジグへブロック101を装着するための金属材で形成される部分である。このような据え置きリブが不要な場合もある。リブ211は、硬化後のブロック101の側面に接着等で固定される。
212は、加工具であり、回転ドリル、ミル等、回転しながら、ブロック101を研削、切削する為のジグである。
213は、支台歯であり、231は、歯肉部を示した略図である。
214は、加工後の連冠タイプの補綴物であり、241は、支台歯装着凹部である。
215は、対合歯の略図である。
次いで、本例の実施を具体的に説明する。
最初に、図20(a)で示すように、繊維を束ねた、場合によっては間隔を保った状態の、繊維束201を結束バンド202で固定する。次に、図20(b)で示すように、端部固定用型A(203)、及び図示されていないが、端部固定用型B(205)の両方の丸穴に端部固定用硬化剤204を充填する。次いで、図20(c)で示すように、繊維東201の末端を端部固定用型A(203)の端部固定用硬化剤204に浸漬し、同様に、繊維束201の他端を端部固定用型B(205)の端部固定用硬化剤004に浸漬する。そして、端部固定用硬化剤204を熱や光で硬化させる。
硬化剤204の硬化が完了した後、結束バンド202を、切り取る等して取り外す。次に、ブロックの型となる、図20(d)で示す型本体206に、図20(c)で示す繊維束201の両端を端部固定用硬化剤204で、それぞれ端部固定用型A(203)及び端部固定用型B(205)に固定したものを、挿入する(図20(e)を参照されたい)。
その後、図20(f)で示すように、型本体206の上面を蓋207で覆い、ひも等の固定帯208で固定する。この時、繊維束201は、中央が膨らんだ膨らみ部209が形成されるように、スペーサー等を利用して調整される。なお、繊維束201は、予め平行に間隔をおいた状態で、設定されてもよい。
次いで、図21(g)で示すように、蓋207の注入孔71から複合樹脂材(レジン複合材)210を注入して、本発明での使用が推奨されている自転・公転方式の攪拌機を用いて真空下で、自転公転により脱泡しながら混練し、さらに熱や光で重合硬化させる。この際、繊維束201の中央が膨らんだ膨らみ部209が形成されているため、繊維間にスペースをつくることができ、気泡のないレジンでできた充填ブロック101を容易に得ることができる。また、予め充填スペースが繊維間でできるよう、繊維間に様々な形状のスペーサーを配置しても良い。硬化後、型からブロックを取り出し、図21(h)で示すように、切削加工用のリブ211をブロック101の側面に接着剤等で取り付ける。
実際の使用に関しては、図21(i)で示すように、CAD/CAM切削加工機械に設置し、加工具212により研削、切削加工される。このようにして、図21(j)で示されるような補綴物(ブリッジ)214が完成する。図21(j)は実際に、歯肉231上の2つの支台歯213上に、ブリッジ214の支台歯装着凹部241を宛がって装着しようとする図である。
図21(k)は、ブリッジ214を2つの支台歯213に装着した状態である。この図で示すように、加工後の補綴物214を設置した場合、対合歯215との咬合方向に対して、繊維を横方向に配向させているので、引張りの応力を強化でき、靭性の高いブロックを作製できる可能性がある。さらに強化目的だけではなく、複数本の繊維と結合しているため、破折した場合、補綴物の脱落による誤飲を確率的に防ぐことができる。
本例の実施において、繊維の素材としては、例えば、ガラス繊維、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリルといったプラスチック繊維を挙げることができ、また、これらの繊維の径は、通常、数10nm〜10μmの範囲であるのが好ましい。繊維の表面処理は、繊維がガラス繊維の場合はγ−メタクリルプロピルトリメトキシシランといった重合性モノマーが導入できるシランカップリング処理、プラスチック繊維の場合は、プラズマ処理、コロナ放電、UV処理により水酸基、カルボキシル基、アミノ基といった官能基を表面に生成し、その官能基と結合するエポキシ基やイソシアネート基、イミダゾール基といった反応性の部位をもつ重合性モノマーで再度表面処理することが、その後のレジンとの重合体をつくるので有効な手段となりうる。
なお、本例は、ブリッジについて示すものであるが、クラウンなどの単冠用のブロックにも、好適に使用することができる。加工された補綴物は、咀嚼等による割れを抑えることができる。また、このように、本発明は、補強材を成型時に固定して、内部の気泡を抑えて充填できる方法であるため、補強材は繊維の不織布、編織物、また接着などにより橋掛け状となったシート、三次元構造体でも良い。また、繊維は中空状、多孔質状でも良い。
本発明によれば、CADCAMを用いた歯科補綴物の製造の際用いられる樹脂と無機充填剤のハイブリッドブロックが提供され、セラミックス、樹脂だけのブロックに比べ、強度及び審美度に優れたものが製造可能であることから、歯科分野におけるより合理的な補綴物の製造が可能となる。
また、本発明によれば、審美性を高めた歯科用補綴物であって、前歯の表面用の補綴物として好適な補綴物の製造が可能となる。

Claims (12)

  1. 歯科補綴物加工用ブロックを製造する方法であって、
    前記ブロックの外面形状に対応する内面形状を備えた鋳型を準備する工程と、
    前記鋳型に、硬化処理により前記ブロックを形成可能な、樹脂とそれに分散せしめられた無機充填材とを含む複合樹脂材を充填する工程と、
    前記複合樹脂材を前記鋳型に収容したまま、前記複合樹脂材を回転攪拌処理に供する工程と、
    攪拌処理後の前記複合樹脂材を重合により硬化させる工程と
    を含んでなる、歯科補綴物加工用ブロックを製造する方法。
  2. 前記ブロックが複数のブロック構成員の一体的な結合体からなり、前記充填工程において、前記複合樹脂材を複数回に分けて充填し、それぞれの充填工程の後に前記回転攪拌処理工程及び前記硬化工程を順次実施し、最後の硬化工程の後、得られた硬化物をさらに重合して硬化させることにより前記結合体を形成する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記ブロックが複数のブロック構成員の一体的な結合体からなり、前記充填工程において、互いに色相を異にする複数の複合樹脂材を用意して順次充填し、それぞれの充填工程の後に真空下における前記回転攪拌処理工程及び前記硬化工程を順次実施し、最後の硬化工程の後、得られた硬化物をさらに重合して硬化させることにより前記結合体を形成する、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記充填工程において、前記複合樹脂材を充填し、回転攪拌処理に供し、さらに硬化させることを現場で順次実施することにより前記ブロック構成員を作製すること代えて、前記複合樹脂材を充填し、回転攪拌処理に供し、さらに硬化させることを現場以外で順次実施することにより作製した前記ブロック構成員を前記鋳型に装填する工程をさらに含む、請求項2又は3に記載の方法。
  5. 前記充填工程において、前記鋳型内に配置した隔壁部材の存在において前記ブロック構成員を形成する工程をさらに含む、請求項2〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記隔壁部材の表面が複数の微小突起を備え、該突起のパターンが前記ブロック構成員の表面に転写される、請求項5に記載の方法。
  7. 前記鋳型において、前記内面形状によって外面形状が規定される前記ブロックの長軸方向が、前記鋳型の回転軸方向とほぼ垂直方向又は水平方向である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記回転攪拌処理工程において、前記鋳型を自転的に回転させると同時に、公転的に回転させる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記複合樹脂材が、その内部に繊維状の補強材を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法によって製造された、歯科補綴物加工用ブロック。
  11. 前記ブロックが複数のブロック構成員の一体化結合体からなり、その外周面に、境界がぼやけた色のグラデーションが付与されている、請求項10に記載のブロック。
  12. 前記ブロックがその内部に気泡を有しない、請求項10又は11に記載のブロック。
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