JP2004035332A - セラミックスブロック - Google Patents

Abstract

【目的】ＣＡＤ／ＣＡＭにより作成される歯科用補綴物の審美性を高め、天然歯の色彩に近い色彩を持つ補綴物加工用のブロックを提案し、これを加工するだけで、着色行程を要せず、審美性の高い補綴物が得られるようにする。
【構成】２種以上の違う材質を組み合わせてセラミックスブロックを提案するものであって、より好ましくは、グラデーションが施された加工用ブロックを形成する。

Description

【０００１】
【産業上の利用分野】
本発明は、コンピューター制御による自動計測及びこの計測情報に基づく自動加工を行う装置にて加工されるものに関し、形だけでなく色にも自由度を増す為に、加工後を予想して着色した被加工物に関する。
【０００２】
【従来の技術】
現在のＣＡＤ／ＣＡＭ装置に代表される自動計測及び自動加工手段を用いることにより、精密な歯科や医師の補綴物、その他の歯科材、医科材、各種模倣材、被計測物に同一、類似あるいは対応したものに加工する被加工物の一例として、セラミックスブロックについて述べる。一般に、このセラミックブロックは、粘土鉱物、長石、石英を原料としこれのいずれかあるいは２種以上混合した材料の内一種類から一個体を作成する。この材料を着色することで加工物の色調を表現することができる。
【０００３】
しかし、一種類の材料からブロックを作成する為、ブロック一個体内での色の変化が無く、もちろん加工物も全体で同じ色となっている。このようなブロックを使用した方法は、単色で更にグラデーションの付かない加工物を製造する目的にのみ適しており、色の変化を持つ加工物を製造したい場合には適しておらず、一般には全体の中間色等に色付けしたブロックを仕方なく使用してる。
また、単色のブロックを自動加工した後、更に切削やセラミックス、陶材等を盛り上げたりすることで、色の変化を持つ加工物を製造することは可能で、現在でも行われているが、莫大な時間、手間、コストがかかっている。
例えば、歯科医療用のセラミックスには色調が天然歯と同じであることが要求されるが、一般には歯科技工士の手によって色調に合わせた盛り付け、切削を繰り返すことでそれを解決している。しかしそれでは上記のようにコスト等が大きくかかってしまう。またＣＡＤ／ＣＡＭ装置に代表される自動計測及び自動加工手段を用いてセラミックスブロックを加工し歯科材料を製造する際、コストは従来の方法より低く抑えられるが、自然歯のような色調や透明感は、単色になってしまい、より自然歯に近づけるには自動加工の後、技工士が切削、盛り付けを手作業で加えるほかない。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
本発明では、セラミックスあるいは陶材のブロックを、コンピューター制御による自動計測及びこの計測情報に基づく自動加工を行う装置、ＣＡＤ／ＣＡＭ装置に代表される自動計測及び自動加工手段を用いて加工するだけで、優れた審美性を備えた補綴物が得られるようすることを課題とする。
【０００５】
【課題を解決する為の手段】
即ち本発明は、着色材の配合を調整して連続的又は階層的なグラデーションを施した着色ブロックを提案することにより、加工後に着色等の作業が無く、しかも審美性に優れた着色歯科補綴物を実現する。
本発明は、ハイドロキシアパタイト、αリン酸三カルシウム、βリン酸三カルシウム等のリン酸カルシウム化合物、粘土鉱物、長石、石英等の各種ポーセレン、アルミナ、ジルコニア、酸化チタン、酸化マグネシウムの酸化金属等、様々なもののいずれかあるいは２種以上の組み合わせからなる材料で、無着色あるいはＺｒ、Ｐｒ、Ｖ、Ｓｎ、Ｆｅ、Ｃｒ、Ｍｎ、Ｔｉ、Ｗ、Ｓｂ、Ｃｏ、Ｎｉ、Ｓｅ等の金属酸化物を用いて着色し、非加熱あるいは少なくとも１回以上加熱処理された材料を用いて配合したセラミックスに関するものである。
【０００６】
従来のセラミックスブロックは上記材料のいずれか一種から一個体ができている為、焼成、成型加工後は単色で更にグラデーションの付かない加工物しかできず、更に人間の手による切削、盛り付け、着色等の工程を経なければ審美性の高い加工物を作り出すことはできず、時間やコストが多くかかってしまう。そこで加工前のセラミックブロック自体に色のグラデーション（階調）を付けることで、
焼成及び／又は加工のみで、審美性の高い様々な用途に応じた加工物を少時間、低コストで作ることができこの発明を完成した。
【０００７】
一般にセラミックスブロックは、プレス法、泥漿鋳込み法、ドクターブレード法、押出成形法などにより材料を成形し焼成させて成る。このいかなる方法においても、加工物の色調に合わせ材料の種類、色、量等を調整して充填することで、あらゆる色調の加工物を作成することが可能である。
例えば圧縮成形する場合、各部位に必要な材料を型に入れそれぞれの層に適した形のパンチ等で圧縮及び／又は成形し、次の材料の充填と圧縮をしそれを繰り返した後、全体を圧縮する方法や、全ての粉を充填してから圧縮する方法などがある。材料の充填方法を変えることで様々な加工物に対応するブロックを作成することが出来る。１つの材料を充填するたびに精度の高い成形を行えば、同じく精度の高い切削等の加工を経ることで細かい色調の加工物を作成することが可能である。層の境界をはっきりさせずにぼやかした色合いの加工物を望む場合は、各層の材料でそれぞれしっかりとした成形を行わず、すべての材料を入れてから全体を圧縮することで可能である。また、２種以上の材料を割合を変化させながら常時攪拌、充填し、最後に成形することで、境界の無い連続な色調のブロック及び加工物の作成も可能である。
【０００８】
また同じ色調のブロックを用いて同じ大きさの加工物を作成する場合でも、利用するブロックの部位によって色調が変化することを確認した。このことより、大量生産する場合に、複数パターンの加工物を一種のブロックから作成可能だと考えられる。
【０００９】
【作用】
本発明は、陶磁器用材料を用いて作製されるセラミックスブロックを一個体で色のグラデーションを付けて成形することで、ブロックを加工後に更に切削、盛り付け、着色等の工程を経ることなく、色の着いた審美性の高い加工物を少時間、低コストで作る製造方法を確立することができる。
また、天然歯は先端に向かって色が薄くなり透明度を増す。本発明におけるグラデーションの形成は、補綴物を天然歯方向に濃くすることで天然歯との境界を目立たないようにすることも可能とする。
【００１０】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明に関して具体的に説明する。
この実施例で使用した材料の組成を以下に示す。
無着色材料
ネフェリンサイヤナイト６５％、大平長石３５％、
バインダー：ポリビニルアルコール１．５％
着色材料
ネフェリンサイヤナイト６５％、大平長石３５％、Ａ３色粉（Ｚｒ−Ｖ、Ａｌ−Ｍｎ−Ｓｉ、ハイドロキシアパタイト）０．１〜０．５％、
バインダー：ポリビニルアルコール１．５％
はじめに、無着色材料、着色材料それぞれの材料のみで成形、焼成、加工した結果、加工物はグラデーションのない単色となった為、色のグラデーションのついた加工物を期待し以下の実施例にてセラミックスブロックの成形を行った。実施例に記載された無着色材料、着色材料は、上述の材料名の個々に対応している。
いずれの例も１５×１５×３０ｍｍ^３の型を使用した。数字の若い順に充填、成形を行った。各層をパンチを用いて手で軽く圧縮成形し、すべての材料を充填後に一軸圧縮を１ＭＰａ、１ｍｉｎ、等方向加圧成形を１００ＭＰａ、５ｍｉｎ行った。
【００１１】
実施例１　フラットな２層
１、無着色材料６ｇ
２、着色材料６ｇ
１、の材料を上述の型に充填し、平面パンチを用いて手で軽く圧縮成型した図１で示す層１１を形成した後、次に２、の材料を充填し同様の圧縮成型を施して層１２を形成した。その後、一軸圧縮を１ＭＰａ、１ｍｉｎ間行った後、等方向加圧成形を１００ＭＰａ、５ｍｉｎ間行った。
【００１２】
実施例２　フラットな３層
１、無着色材料４ｇ
２、混合材料４ｇ（無着色材料３ｇ＋着色材料１ｇ）
３、着色材料４ｇ
１、の材料を上述の型に充填し、平面パンチを用いて手で軽く圧縮成型した図２で示す層２１を形成する。次に２、の材料を充填し同様の圧縮成型を施して層２２を形成した後、次に３、の材料を充填し同様の圧縮成型を施して層２３を形成した。その後、一軸圧縮を１ＭＰａ、１ｍｉｎ間行った後、等方向加圧成形を１００ＭＰａ、５ｍｉｎ間行った。
【００１３】
実施例３　形に変化をつけた３層
１、無着色材料２ｇ
２、混合材料６ｇ（無着色材料５ｇ＋着色材料１ｇ）
３，着色材料　４ｇ
１、の材料を上述の型に充填し、平面パンチを用いて手で軽く圧縮成型した図３で示す層３１を形成する。次に２、の材料を充填し、凸面パンチを用いて圧縮成型を施して層３２を形成した後、次に３、の材料を充填し、平面パンチを用いて圧縮成型を施して層３３を形成した。その後、一軸圧縮を１ＭＰａ、１ｍｉｎ間行った後、等方向加圧成形を１００ＭＰａ、５ｍｉｎ間行った。図３で示す実施例においては、明確な境界が示されているが、実際上は、その外観において、境界が特定できないほど審美的に優れた奥行きのあるグラデーションが得られるブロックが形成される。尚、層３３の形状は、凸状であれば、これに限らず様ざまな凸形状が取り得る。
【００１４】
実施例４　連続のグラデーション
１、無着色材料６ｇ
２，着色材料６ｇ
無着色材料と着色材料を所定の割合で所定量だけ混合し、この混合材を型に充填する。次にこの割合を変えた所定量の混合材を型に充填するといった手順を繰り返し行う。
無着色材料と着色材料の割合は最初、無着色材料を１００％とし、混合材を形成する毎に無着色材料の割合を一次的（比例的に）に減らしていき、同時に着色材料の割合を一次的に増やし、最後の充填は、着色材料が１００％になるようにした。材料の全て充填した後、一軸圧縮を１ＭＰａ、１ｍｉｎ間行った後、等方向加圧成形を１００ＭＰａ、５ｍｉｎ間行った。図４にその一例を概略的に示した。図４は、境界が明確に示されているが、実際は、境界が特定できないほど、連続した色調の濃淡が得られる。
上述した所定量とは、例えば着色材料と、無着色材料を４等分以上に等分した定量を示すものの他、混合材を形成する毎に、量を変えてもよい場合もある。また混合する場合の割合も、一次的でなくてもよく、二次的、不連続的であっても良い場合もある。
図４の他、図１から図３の層の厚さ、個々の層の濃淡の割合等も、補綴物の補綴される部位、大きさ、その他の状況に応じ適宜選択されるものである。
【００１５】
色の異なる２種以上の材料を混合する場合は、十分に攪拌させておくことが好ましい。また、色の度合いは材料の量と比例ではない為、加工物に望む色はどのような材料の配合により可能かを事前に研究する必要がある。
材料となる粉末は十分に乾燥させておくことが好ましい。未乾燥だと、成形後のブロックの特に材料と他の材料の境界でクラックが入る恐れがある。また各層での圧縮成型を行う場合、圧縮が弱すぎると境界がはっきりせず変形の原因となり、圧縮が強すぎると成形後に界面でクラックが入るので、それぞれ適した圧力で成形を行うことが好ましい。
本発明の形状のとしては、例えば図３において、図中上下方向が長軸となるような円柱状を有する様に形成される。その他の図に示す実施例も同様の形状が例示される。そして円筒状の側面に加工装置と結合する為のリブが接着剤により取り付けられて使用される。　尚、この様な構成はあくまで一例であり、補綴物の形状に応じその形状、濃淡の方向、リブの取り付け位置等は、適宜選択的に使用されるものである。
【００１６】
実施例４は、加工物に境界の無い連続なグラデーションを持たせるために、無着色材料と着色材料の割合を変化させながら混ぜ合わせ、充填した。断面の図４では、境界がわからないほどの勾配がついている。この実施例では配合を一時的な増減で行ったが、成分の割合を制御しながら混合、充填することで複雑なグラデーションも可能だと考えられる。
上記４例で作成したセラミックスブロックを真空で１１００度〜１１５０度で１時間〜４時間焼成した後、歯科材料として切削加工した。
いずれも切削加工のみで色のグラデーションが付き、従来の歯科材料のようにさらに切削、盛り付けが必要なく使用可能であった。
【００１７】
【発明の効果】
以上詳述のごとく本発明は、ＣＡＤ／ＣＡＭを用いた歯科用加工装置を用いて研削などの加工を施して歯科用の補綴物を得るためのブロックを、複数の色彩を有する材料を積層させて得られるブロック又はグラデーションを持つ色彩を施したブロックとすることにより、着色行程を省きしかも審美性の優れた歯科用の補綴物を得ることができる等の効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施例１で作成したセラミックスブロックを示す断面図
【図２】本発明の実施例２で作成したセラミックスブロックを示す断面図
【図３】本発明の実施例３で作成したセラミックスブロックを示す断面図
【図４】本発明の実施例４で作成したセラミックスブロックを示す断面図

Claims (6)

1. ２種以上の違う材質を組み合わせたセラミックスブロック並びにその製造方法。
2. 陶磁器用材料に色を付け、２種以上の違う色の材料を組み合わせたセラミックスブロック並びにその製造方法。
3. 陶磁器用材料に色を付け、２種以上の違う色の材料を組み合わせ、成形及び焼成するグラデーションのついたセラミックスブロック並びにその製造方法。
4. 前期陶磁器用材料が粘土鉱物、長石、石英等の天然鉱物や人工的に製造されたもので選択される請求項１及び２に記載のセラミックスブロック並びにその製造方法。
5. 前記材料を２種以上混合した材料の層をそれぞれ平面または凸凹に圧縮及び／又は成形し、あるいは配合後に圧縮及び／又は成形し、あるいは連続で色が変化するように配合及び圧縮及び／又は成形し、焼成する請求項１乃至３に記述されたセラミックスブロック並びにその製造方法。
6. 歯科又は歯科領域における生体の欠損部に補填、充填されるものを加工するためのものである請求項１乃至２に記載のセラミックスブロック並びにその製造方法。

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