JP6917679B2 - 色調再現性が高い多層構造歯科切削加工用セラミックスブランク - Google Patents

色調再現性が高い多層構造歯科切削加工用セラミックスブランク Download PDF

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Description

本発明は、歯科分野においてCAD/CAMシステムによる切削加工に用いられる4層以上の多層構造で、且つその層構造における特徴的な色調分布を有した歯科切削加工用セラミックスブランクであって、それを応用したジルコニア仮焼体、焼結体、及びそれらを用いて切削加工した歯科用補綴装置、または切削加工後に焼結された歯科用補綴装置に関する。
従来から、歯冠欠損部の歯科治療においては一般に鋳造クラウンブリッジや義歯による補綴修復が行われてきており、具体的には陶材焼付用の鋳造用合金で作製した金属フレーム表面に陶材を焼付けて、歯冠形態を再現させた機能性と審美性を兼備した陶材焼付クラウン・ブリッジの臨床応用が挙げられる。
また、金属アレルギー発症を懸念する心配なく、貴金属の相場に左右される価格高騰の観点や天然歯の色調に模倣することができる審美性の観点から、アルミナ、アルミノシリケートガラス、二ケイ酸リチウムガラス等を用いたディッピング法やセラミックスインゴットを用いたプレス法などで作製された補綴装置、いわゆるオールセラミックスが注目されてきており、それを用いた補綴修復も増加してきている。
近年、歯科用CAD/CAMシステムを用いた切削加工により補綴装置を製造する技術が急速に普及し、ジルコニア、アルミナ、アルミノシリケートガラス、二ケイ酸リチウムガラスで製造されたブロックやディスクなどのブランクを削り出して、容易に補綴装置を製造することが可能となってきている。また高強度セラミックスとして臨床で多用されているジルコニアの切削性を向上させるために、完全焼結まで行わず、低い焼成温度で仮焼して切削加工に有利な強度や硬さに調整したジルコニア仮焼体がある。
ジルコニアは4ユニット以上のブリッジのフレームに用いられる曲げ強さを有するという点から、3モル%イットリア含有の正方晶部分安定化ジルコニアが実用化されている。3モル%イットリア含有ジルコニアには、焼結性の向上と低温劣化の抑制のためアルミナを微量添加させたジルコニアがある。また、臼歯フルクラウンに使用できるよう光透過性を高めるために、アルミナ含有量を極微量に制御したジルコニアの使用も進んでいる。更に安定化剤として添加しているイットリアの含有量を5%〜6モル%に増量させて、前歯のフルクラウンにも使用できるように光透過性を高く設計したジルコニアも使用されてきている。
ジルコニアの色調として白色のジルコニアと、天然歯の色調に近い色に調整された着色ジルコニアがある。天然歯の色調は歯のエナメルにあたる切端部から歯頸部に向かって色が濃く変化しており、彩度C*が増加している。そのため、天然歯の切端部と歯頸部の色調に近くなるよう、切端部のエナメル色と歯頸部色に対応した色調が異なるジルコニア粉末を段階的に層状に重ね合わせて、色のグラデーションをつけた多層構造からなる歯科切削加工用セラミックスブランクを成形する技術も用いられている。
多層構造からなる歯科切削加工用セラミックスブランクは、色調、光透過性等が異なる層が様々な厚みで重ね合わさっているのが特徴である。
一方、多層構造の歯科切削加工用セラミックスブランクを歯冠形状に切削加工した場合、天然歯の色調にある程度近づいた歯冠が得られるものの、天然歯に近似した色調を再現するためにはブラック、ブルー、オレンジ、ブラウン等のステイン材などで歯冠を着色し、色調調整する必要があった。
特表平4−505113 WO 2002/09612 特開2004−35332 特表2011−528597 特開2012−130798 特開2014−218389 WO 2015/051095
特許文献1には、複数の湾曲した層構造を有するブロック体を提供し、この材料を切削加工することで歯冠の形状に作製する方法が記載されている。該技術では、層の構造を天然歯の形態に模倣させること、層の色調を歯頸部色やエナメル色に模倣させることなどが述べられている。しかし、該技術の実用化には、湾曲した層構造をブロック体に付与する高度な製造技術が必要となり、またコストがかかることが予測される。
特許文献2には、複数の層構造を有するブロック技術が記載されている。各層の色調を歯頸部色やエナメル色に模倣させること、層の構造を湾曲させることを特徴とする。該技術のブロック体から切削加工された補綴装置は、天然歯の層構造に近似する。しかし、該技術の各層の色調設計に関する技術記載は、歯頸部色やエナメル色の模倣のみに留まっている。湾曲した層構造の設計においては、実用性を考慮してパターン化された曲面による層構造を想定している。ただし、このパターン化された層構造ゆえに、天然歯の色調再現にはある程度の多層(4層〜5層)が要求され、薄い色調から濃い色調を段階的に積層させるだけでなく、各層の更なる色調の規定が必要である。
特許文献3には、2種類以上の異なる色調を持つ素材を混合して作製するセラミックスブロック技術が記載されている。具体的には複数の層構造を有するセラミックスブロックであり、2種類以上の異なる色調の素材を混合することにより中間色を作製し、中間色の色調を変化させつつ層構造にしていくことが特徴となっている。しかし、該技術は層の色調の関係が適切ではなく、天然歯と同等の色調再現を実現させるには、中間色の色調の指定が必要である。
特許文献4には、色調の異なる2成分からなる成形部材が記載されている。具体的には、歯頸部色成分層及びエナメル色成分層からなり、その各成分層間の界面形状が放物線状として詳細に規定されている。このように界面形状を放物線状に規定することで、切削加工された補綴装置に天然歯牙に近似した歯頸部色、エナメル色構造を付与することが可能となる。該技術の実用化には、放物線形状を有した金型・鋳型を用いる方法が挙げられている。しかし、これには、第1の層、第2の層を順に成形していく必要があるため使用可能な素材が限定されること、また成形上均一なプレス圧力がかかりにくいなど技術的な課題が多くなることが考えられる。また、該技術では3層以上の層構造に関する知見はない。
特許文献5には、層構造を有する複数色の成形体について記載されている。該技術では、異なる色を持つ2つの主要層の間に、2つの異なる色の中間層を有し、これら中間層の色の変化が主要層の色の変化の方向とは反対方向であり、且つ中間層の厚みが0.2mm〜0.4mmと薄い層であることにより、成形体全体の色の変化が移行的に見えることを特徴としている。これは、観察するヒトの色覚的錯視を利用し、層構造全体における色の変化を連続的に知覚させているものである。しかし、歯冠捕綴装置の製作における限られた厚みの成形体において、中間層の厚みが0.2mm〜0.4mmと薄い層を多数付与することは、製造技術の面で難度が高くなり、また製造コスト面においても不利である。また、エナメル層と歯頸部層、そして中間層の色調の明度及び彩度の規定はされておらず、天然歯に近似した色調を得るための具体的な提示はされていない。
特許文献6は、ジルコニア焼結体の色調に関する技術である。具体的には、焼結体中の2点の色調をそれぞれ規定し、またその2点間の色調変化の増減傾向が変化しないことを特徴としている。しかし、該技術は一端と他端の表層から25%の位置の色調を規定し、中間層は45%、55%の位置の色調を規定しているものである。しかし、より天然歯に近い補綴装置を得るためには、さらなる適切な位置に適切な色調を有する技術が求められていた。特に、臼歯の歯冠形状においては小窩裂溝の部分にエナメル色より彩度の高い色調が求められており、各層の色の位置関係を規定することが求められていた。
特許文献7には、2層構造又は3層構造よりなる切削加工用ブランクが記載されている。具体的には、層間の境界面の曲線設計を詳細に規定することで、層間の色調の変化を移行的に表現する技術である。該技術における各層の色調設計においては、各層の透明性、色調の関係性が考慮されている。しかし、各層の透明性、色調の設計に関して、概念が述べられているのみで、明確な設定はなされていない。すなわち、各層間の透明性の差や色調差についての設計は、全く考慮されていない。これは、該技術が各層間の色調の移行性を境界面の曲線設計により解決しているためである。また該技術においても、層構造が曲面となるため、製造上の技術面及びコスト面で様々な制約が生じる。
前述した先行技術は、いずれもCAD/CAMシステムで切削加工されるブロック形状の色調及び層構造に関するものである。これら先行技術では、エナメル層の適切な厚みの設定と中間層の位置関係及び色調設計の技術内容が不十分であったため、より天然歯に近い歯科補綴装置を製造できる歯科切削加工用セラミックスブランクが求められていた。
特に、臼歯の歯冠においては、口腔内を外部から観察した場合に、視覚に入る咬合面の色調再現が求められていた。咬合面の中でも、小窩裂溝部はエナメル色より彩度C*が高い色調が必要であり、中間層のブランク全体における適切な位置関係と適切な色調設計をされた歯科切削加工用セラミックスブランクが求められていた。
また前歯の歯冠は、エナメル部の色調が切端よりとなり、歯冠の1/3付近の色調はエナメル色と歯頸部色のほぼ中間の色調が望ましい。先行技術の歯科用切削加工用セラミックスブランクは、エナメル層の適切な厚みの設定と中間層の位置関係及び色調設計について提示されてなく、天然歯に近似した色調を再現するには、適切なエナメル層と中間層の層構造及び色調設計が規定された歯科切削加工用セラミックスブランクが求められていた。
本発明は、上下表層に彩度が最も低いE層(L,C)と彩度が最も高いC層(L,C)がそれぞれ平行に配置され、且つそれら2層の中間にM層(L,C)が平行に位置する4層以上の層構造からなる歯科切削加工用セラミックスブランクであって、それぞれの層における明度L*及び彩度C*が以下の関係を満足する歯科切削加工用セラミックスブランクを提供する。
=(L+L)/2×0.97〜1.03
=(C+C)/2×0.93〜1.07
>C>C
本発明は、前記歯科切削加工用セラミックスブランクにおいて、E層のL*a*b*表色系による色度(L,a,b)が以下の範囲にある歯科切削加工用セラミックスブランクを提供する。
65.0≦L≦82.0
−4.0≦a≦2.0
0.0≦b≦20.0
本発明は、前記歯科切削加工用セラミックスブランクにおいて、E層はE層表層から15%以上〜30%以下の範囲にあり、またM層はE層表層を基点にした15%よりも大きく40%以下の範囲にある歯科切削加工用セラミックスブランクを提供する。
本発明は、前記歯科切削加工用セラミックスブランクにおいて、M層がE層と隣接している歯科切削加工用セラミックスブランクを提供する。
本発明は、前記歯科切削加工用セラミックスブランクが800℃〜1200℃で焼成することにより製造されたジルコニア仮焼体である歯科切削加工用セラミックスブランクを提供する。
本発明は、前記歯科切削加工用セラミックスブランクが1350℃〜1600℃で焼結することにより製造されたジルコニア焼結体である歯科切削加工用セラミックスブランクを提供する。
本発明は、前記いずれかの歯科切削加工用セラミックスブランクを用いてCAD/CAMシステムにより切削加工して作製された、または切削加工後に焼結して作製された歯科用補綴装置である。
本発明の歯科用切削加工用セラミックスブランクは、中間層の色調設計を明確にしていることにより、切削加工した歯科用補綴装置の色調が、天然歯の色調をより的確に再現することに適していることを見出した。
更にエナメル層の厚みを規定し、中間層の位置関係及び色調設計を明確し積層した成形体を焼成していることから、切削加工し焼結することで歯科用補綴装置の色調が天然歯の色調を再現することに適していることを見出した。
本発明は、上下表層に彩度が最も低いE層(L,C)と彩度が最も高いC層(L,C)がそれぞれ平行に配置され、且つそれら2層の中間にM層(L,C)が平行に位置する4層以上の層構造からなる歯科切削加工用セラミックスブランクであって、それぞれの層における明度L*及び彩度C*が、
=(L+L)/2×0.97〜1.03
=(C+C)/2×0.93〜1.07
>C>C
の関係を満足しており、好ましくは、
=(L+L)/2×0.99〜1.01
=(C+C)/2×0.95〜1.05
>C>C
を満足していることである。
また、前記歯科切削加工用セラミックスブランクにおいて、E層のL*a*b*表色系による色度(L,a,b)が、
65.0≦L≦82.0
−4.0≦a≦2.0
0.0≦b≦20.0
の範囲にあり、より好ましくは、
69.0≦L≦80.0
−3.0≦a≦1.0
2.0≦b≦15.0
の範囲にあることである。
本発明の歯科切削加工用セラミックスブランクにおける各層の色度(L*a*b*表色系)は以下の方法で測定することができる。各層の成形体を作製後、その両面を研磨加工(#800)したものを試験体(厚み:1.2mm)とする。その試験体を白バック上において測色することにより色度(L*値、a*値、b*値)を求める。
なお本発明の歯科切削加工用セラミックスブランクにおける各層の光透過性は特に制限はないが、それぞれの層の光透過性をコントラスト比で表したとき、いずれの層においても0.55〜0.90の範囲にあることが望ましく、より好ましくは、0.65〜0.90の範囲にあることである。コントラスト比は、以下の方法で測定することができる。各層の成形体を作製後、その両面を研磨加工(#800)したものを試験体(厚み:1.0mm)とする。その試験体を白バック及び黒バック上において測色し、測定したそれぞれのY値(白バック上で測色したY値をYW、黒バック上で測色したY値をYBとする)を用いて、
(コントラスト比)=YB/YW
の式からコントラスト比を算出する。
また前記歯科切削加工用セラミックスブランクにおいて、M層のL*a*b*表色系による色度(L,a,b)は、C層及びE層のL*a*b*表色系による色度を踏まえた前述の式を満足していれば特に制限はないが、
67.0≦L≦78.0
−2.5≦a≦1.0
5.0≦b≦15.0
の範囲にあることが好ましい。
前記歯科切削加工用セラミックスブランクにおいて、E層はE層表層から15%以上〜30%以下の範囲にあり、好ましくはE層表層から20以上〜30%以下の範囲にあることである。またM層はE層表層を基点にした15%よりも大きく40%以下の範囲にあり、好ましくは、E層表層を基点にした25%よりも大きく40%以下の範囲にあることである。すなわちブランク全体の厚みに占めるM層自体の厚みは、最大で25%となる。好ましいブランク全体の厚みに占めるM層自体の厚みは、10〜15%である。
本発明は4層以上の層構造からなる歯科切削加工用セラミックスブランクであるため、E層、M層、C層の他に1層以上の中間層を含む。1層以上の中間層はE層とM層の間に配置してもよく、M層とC層との間に配置してもよい。好ましくはE層とM層は隣接し、M層とC層の間に1層以上の中間層を配置することである。
例えば、4層の歯科切削加工用セラミックスブランクであれば、M層とC層の間には1層配置されることがある。また5層の歯科切削加工用セラミックスブランクであれば、M層とC層の間には2層の色調の異なる層が介在することがある。層の数が多いほど色のグラデーションが視覚的に美しくなるが、天然歯の色調再現には全体で4層〜7層、好ましくは4層〜5層で積層されたブランクで審美的に十分に良好な色調再現性が得られる。
M層とC層の間に配置された中間層の厚み及びC層の厚みは限定されるものではない。E層及びM層の厚みおよび中間層の厚みから鑑み、C層はE層表層から50%〜100%の範囲にあることが望ましく、更に好ましくはE層表層から60%〜100%の範囲にあることである。すなわちブランク全体の厚みに占めるC層自体の厚みは、最大50%となる。好ましいブランク全体の厚みに占めるC層自体の厚みは、30〜40%である。
本発明の4層以上の層を含む歯科切削加工用セラミックスブランクのE層とC層は、ブランクの上下表層に最も彩度C*が低いE層と最も彩度C*が高いC層がそれぞれ平行に配置される。E層〜C層の一辺が歯冠長方向に適応するという前提より、E層〜C層にかけての層構造は、歯冠切端部より歯頸部にかけての層構造と想定することができる。一方、天然歯は構造上、切端部はエナメル質のみで構成されるためエナメル色を呈し、歯頸部に向かうにしたがってエナメル質が薄くなるため、歯頸部色が濃くなっていく。これにより、本発明の歯科切削加工用セラミックスブランクにおけるE層をエナメル色に、C層を歯頸部色に設計することができる。
各層の彩度C*の関係は、E層は最も彩度C*が低く、C層は最も彩度C*が高く、そしてM層の彩度Cが、(C+C)/2×0.93〜1.07であるため、C>C>Cの関係となる。またM層とC層の間に中間層M2を配置する場合はC≧CM2≧C>Cの関係が基本となるが、これに限定されるものではない。更にM層とC層の間の層が2層、3層と増えると複雑な色調設計となるが、彩度C*が順序だてられても、一部逆転していても問題はない。但し、M層とC層の間の中間層の彩度C*の関係が順序だてられた方が好ましい。
本発明の歯科切削加工用セラミックスブランクは、ジルコニア、アルミナ、二ケイ酸リチウムガラス、アルミノシリケートガラスなどいずれの素材でも用いることができる。その中でも素材としてジルコニアを用いることが好ましい。
本発明の歯科切削加工用セラミックスブランクの素材としてジルコニアを選択した場合について具体的に記載するが、これに限定されるものではない。
ジルコニア製の前記ブランクは特性的な改良のために第二の元素を含んだジルコニア粉末や成形性のために二次加工されたジルコニア等、いずれのジルコニア粉末を用いても製造することができる。例えばプレス成形に適したバインダーが付与され顆粒状のジルコニア粉末やスリップキャスト法により製造することができるバインダーが無添加のジルコニア粉末等が挙げられる。
またジルコニア粉末組成に安定化剤としてイットリア(酸化イットリウム)、セリア(酸化セリウム)、カルシア(酸化カルシウム)、マグネシア(酸化マグネシウム)などの酸化物が添加されたものを用いても何等制限はない。口腔内で長期的に使用できる強度を確保するために、結晶構造として正方晶系となるよう、安定化剤の量を規定しているものが好ましい。例えば安定化剤としてイットリアを使用している場合、イットリアの含有量は2.5mol%〜6mol%であることが好ましい。また、強度を重視する場合は3mol%を添加、光透過性を重視する場合は4mol%〜6mol%を添加したジルコニア粉末を使用することが好ましい。
さらに焼結性の向上と低温劣化の抑制のために、ジルコニア粉末組成にアルミナ(酸化アルミニウム)を0.01質量%〜0.3質量%添加したものを使用することも好ましい。しかし、アルミナを過剰に添加すると光透過性が低下するため、0.01質量%〜0.25質量%添加したジルコニア粉末を使用するのが好ましい。
またジルコニア粉末組成へのシリカ(酸化ケイ素)の添加は光透過性の低下に影響を及ぼすため、0.05質量%以下の含有率であるジルコニア粉末を使用することが好ましく、0.02質量%以下の含有率のジルコニア粉末を使用するのがより好ましい。
使用するジルコニア粉末は、着色用の顔料成分を含有しても良い。顔料成分としては、酸化鉄、酸化エルビウム、酸化コバルト、酸化マンガン、酸化プラセオジム等が挙げられる。これらの顔料成分を複合的に添加したジルコニア粉末を使用しても良い。
一般的に彩度C*が高いC層は、E層の組成と比較し顔料成分の含有率が高いジルコニア粉末を多く使用する。
本発明の歯科切削加工用セラミックスブランクの製造方法は特に限定されるものではない。ジルコニア粉末のみ、ジルコニア粉末を溶媒に添加したスラリー状、ジルコニア粉末をバインディングしたペースト状等、いずれのものでも用いることができ、それらから所定の形状に成形加工した成形体を製造することができれば何等制限はない。
また成形体を作製する方法は、いずれの成形方法でもよく、例えば、プレス成形、スリップキャスト、射出成形、光造形による成形等が挙げられる。また、多段的な成形例えば、本発明の実施例に記載しているようにプレス成形した後にCIP成形(冷間静水等方圧プレス)を施してもよい。
本発明の歯科切削加工用セラミックスブランクはCAD/CAMシステムを用いた切削加工に用いれるものである。一般的に天然歯の歯冠長は5mm〜15mmであるため、それに対応するように本発明のブランクの厚みとしては10mm〜20mmの範囲にあることが好ましい。また、本発明のブランクの形状は直方体、円柱、ディスク等、いずれの形状でもよく、制限はない。また、CAD/CAMシステムで加工することを考え、把持できるようあらかじめ把持部を付与していてもよい。一例としてブランク厚み方向を側面とした場合、ブランクの上面から見た形状としては、一歯用として12×16mmの直方体である。また、一例としてブランクの上面から見た形状としては、多数歯用としてφ98〜100mmの円である。
本発明の歯科切削加工用セラミックスブランクがジルコニア素材である場合、半焼結体で加工するのが一般的であるため、ブランクのサイズは完全焼結体となった時に生じる約20%の収縮分を加味して拡大されている事が好ましい。よって、ブランクの厚みも約20%大きくなる。ブランクの大きさとしては、CAD/CAMシステムに用いることができる大きさとなる。
本発明の歯科切削加工用セラミックスブランクの仮焼体、焼結体を得る工程で、成形したジルコニア粉末にバインダーが含まれる場合は、脱脂することが望ましい。室温から600℃まで成形体の形状が崩れないよう、時間をかけながら、遅い昇温速度で脱脂されることが望ましい。
本発明の歯科切削加工用セラミックスブランクがジルコニア素材である場合、ジルコニア仮焼体は大気圧で800℃〜1200℃で焼成することにより得ることができる。脱脂と仮焼を一連の工程で行うことも可能である。
本発明の歯科切削加工用セラミックスブランクがジルコニア焼結体の場合は、大気圧で1350℃〜1600℃で焼成することにより得ることができる。この場合、あらかじめ仮焼体となっていた焼成物を大気圧で1350℃〜1600℃で焼結してもよい。
本発明の歯科切削加工用セラミックスブランクがアルミノシリケートガラスや二ケイ酸リチウムガラスの場合、焼成体は大気圧で700℃〜1000℃で焼成することにより得ることができる。
本発明の歯科切削加工用セラミックスブランクは、CAD/CAMシステムにより歯冠形状に切削加工される。切削加工した状態で補綴装置として使用できる材料は、後工程として、形態の微調整、場合によってはステイン材の焼成を行い、グレージング材を焼成し艶出しを行うか、研磨により仕上げられる。歯科切削加工用セラミックスブランクが仮焼体の場合は、歯冠形状に切削加工され、その素材の焼結温度で焼結される。ジルコニアの場合は1350℃〜1600℃で焼結される。焼結後は前述と同様に後工程を行い仕上げられる。
次に本発明の歯科切削加工用セラミックスブランクの製造方法の一例として、ジルコニアブランクを製造する場合について説明する。
白色及び着色ジルコニア粉末を数種類選択し、エナメル色及び歯頸部色となるよう適度な配合比で混合する。エナメル色の配合をE色とすると、例えばE色は白色のジルコニア粉末の比率が高く、酸化鉄や酸化エルビウムを含有する着色ジルコニア粉末の比率は低くなる。歯頸部色の配合をC色とすると歯頸部色は酸化鉄や酸化エルビウムを含有する着色ジルコニア粉末の比率は高くなる。M層はE色とC色の比率が50:50となるよう混合する。M層とC層の間の中間層が1層の場合、その中間層をM2色とすると、例えばM2色はE色とC色の比率が25:75となるよう混合する。
次にE色、M色、M2色、C色を所定の厚みになるよう積層させていく。例えばE色を金型に充填後平坦にならす。一旦軽くプレスを施してもよいし、そのまま所定の厚みになるよう下金型を下げM色を充填してもよい。重量換算で粉末を充填してもよく、体積換算で粉末を充填してもよい。体積換算の場合金型上面ですり切る方法もある。次に前述と同じ方法でM2色及びC色を充填する。全層積層後プレス成形して成形体を得る。成形体はCIP成形(冷間静水等方圧加圧成形)を行ってもよい。
成形体を室温から600℃まで時間をかけて脱脂し、その後800℃〜1200℃で焼成することにより仮焼体が得られる。脱脂工程を削除し、一連の工程で焼成して仮焼体を得てもよい。
この得られた仮焼体をCAD/CAMシステムを用いて歯冠形状に切削加工を行い、1350℃〜1600℃で焼結させ歯科用補綴装置を得ることができる。
1350℃〜1600℃で焼結させた焼結体をCAD/CAMシステムを用いて歯冠形状に切削加工を行った場合は、そのまま歯科用補綴装置を得ることができる。
なお、上記実施形態においては、4層のブランクに基づく仮焼体及び焼結体を例示したが、4層に限定されるものではない。また、M色及び中間層の色調の配合は、E色とC色を混合することに限定されるものではなく、M色や中間層の色調は独自の配合により調合してもよい。
以下、実施例により本発明をより詳細に、且つ具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。本実施例においてはジルコニア粉末を用いた歯科切削加工用セラミックスブランクについて説明する。
(各層におけるジルコニア粉末の調合)
ジルコニア粉末(白色)、ジルコニア粉末(茶褐色)、ジルコニア粉末(ピンク色)、ジルコニア粉末(グレー色)の4種類の粉末を使用した。E層、M層、C層およびM層とC層の間の中間層についてそれぞれ所望の色調及び光透過性(コントラスト比)になるよう混合し、E色、M色、C色およびM2色とした。なお、実施例1〜実施例5、比較例1〜比較例3のE色、M色、C色およびM2色は、使用しているジルコニア粉末又は混合比率は全て異なる。
[実施例1]
実施例1に使用したジルコニア粉末は、イットリア含有量が5.5mol%の粉末を用いた。表中には使用したジルコニア粉末のイットリア含有量としてmol%の数値を記載した。
(色調及びコントラスト比測定用試料の作製)
E色のジルコニア混合粉末をφ20の金型に2g充填後、10kNの圧力で1分間プレス成形を行った。プレス成形を行った後200MPaの圧力で1分間CIP成形を行った。プレス成形体の脱脂は、50℃/時の昇温速度で500℃まで昇温し、2時間係留後、100℃/時の降温速度で室温まで冷却した。脱脂後、100℃/時の昇温速度で1450℃まで昇温し、2時間係留後、炉内放冷をして焼結体を得た。M色、C色も同様の工程で焼結体を作製した。
得られた焼結体は、平面研磨機を用いて厚みの調整を行い、最終#800のダイヤモンド砥石で仕上げ研磨を行った。最終厚さ1.2mm(色調測定用)と最終厚さ1.0mm(コントラスト比測定用試料)の2種類の丸板を作製した
(色調及びコントラスト比測定)
色調の測定は分光測色計(CM−3500d:コニカミノルタ)を用いて、1.2mmの試料を使用し、白バック測色の色度(L*,a*,b*)を測定した。コントラスト比の測定は、厚み1.0mm試料を使用し、白バック上で測色したY値(YW)と黒バック上で測色したY値(YB)を測定し、YB/YWをコントラスト比とした。
各層の色度(L*,a*,b*)から彩度C*を算出し、M層の(L,C)が以下の関係を満足していた場合は「適」、満足しなかった場合は「否」で表した。
=(L+L)/2×0.97〜1.03
=(C+C)/2×0.93〜1.07
>C>C
E層の測色結果より色度(L*,a*,b*)が以下の範囲にある場合は、E層の色度として「適」、範囲外の場合は「否」で表した。
65.0≦L≦82.0
−4.0≦a≦2.0
0.0≦b≦20.0
表1に実施例1のE色、M色、C色の色調の測定結果、色度およびコントラスト比測定結果を示した。また測定結果よりM層の(L,C)およびE層の色度(L*,a*,b*)の適否を示した。
Figure 0006917679
実施例1におけるE色、M色、C色の色調の測定結果より、M層の(L,C)およびE層の色度(L*,a*,b*)が適合していることを確認した。
(歯科切削加工用セラミックスブランクの製作)
実施例1で調合した各層のジルコニア混合粉末を用いて、4層構造のジルコニアブランクの製作を行った。φ20の金型に、まずE色のジルコニア混合粉末をブランク全体の15%の厚みになるよう充填し、1kNの圧力で15秒間プレスを行った。その後、M色のジルコニア混合粉末を25%の厚みになるよう充填し、1kNの圧力で15秒間プレスを行った。M色とC色の間にくる中間層についても同様に充填とプレスを行い、最後にC色のジルコニア混合粉末を35%の厚みになるよう充填し、10kNの圧力で1分間プレス成形を行った。得られた4層構造のプレス成形体は200MPaの圧力で1分間CIP成形を行った。CIP成形後、60℃/時の昇温速度で500℃まで昇温し2時間係留後、60℃/時の昇温速度で1000℃まで昇温し2時間係留後、炉内放冷をしてジルコニア仮焼体を得て、歯科切削加工用セラミックスブランクとした。
実施例および比較例における表中には、歯科切削加工用セラミックスブランクの層の厚みは、ブランク全体の厚みのE層表層を基点にした比率として記載した。E層表層を0%、C層表層を100%とするため、例えばE層の厚みがブランク全体の厚みの30%であれば、E層の厚みは0〜30%と示した。
M層の厚みは、M層の最上面(E層に近い面)および最下面(E層から遠い面)をE層表層を基点にした厚みで表した。実施例1では、M層最上面がE層表層から15%の位置にあり、M層最下面がE層表層から40%にあるため、M層の厚みは15〜40%と示し、その時のM層自体の厚みはブランク全体の25%であった。なお積層した層の数は、層全体の数に示し、実施例1では4層構造のブランクであるため4と示した。
(補綴装置の色調再現性評価)
ジルコニア仮焼体である歯科切削加工用セラミックスブランクに加工用装着ピンを接着させ、歯科用CAD/CAM切削加工機DWX−50(ローランド)により切削加工し、下顎右側第一小臼歯クラウンを作製した。加工後のクラウンを5℃/分の昇温速度で1450℃まで昇温し2時間係留後、炉内放冷し、色調再現性評価の歯科用補綴装置であるクラウンを得た。
作製したクラウンを目視観察し、歯科用補綴装置としての色調再現性(エナメル色、歯頸部色の表現性)の評価を行った。色調再現性評価は、○:色調再現性良好、×:色調再現性不良、で表した。
Figure 0006917679
CAD/CAMシステムにより切削加工され、焼結された歯科用補綴装置は、E層からC層にかけて天然歯と同様の外観を呈し、色調再現性に優れていた。
[実施例2]
実施例2に使用したジルコニア粉末は、イットリア含有量が5.5mol%の粉末を用いた。
色調及びコントラスト比測定用試料の作製と、色調及びコントラスト比測定は実施例1と同様の工程で実施した。
Figure 0006917679
実施例2におけるE色、M色、C色の色調の測定結果より、M層の(L,C)およびE層の色度(L*,a*,b*)が適合していることを確認した。
(歯科切削加工用セラミックスブランクの製作)
実施例1と同じ製作方法で実施したが、E色のジルコニア粉末はブランク全体の30%の厚みになるよう充填し、M色のジルコニア粉末は10%の厚みになるよう充填した。また、M色とC色の間にくる中間層は2層とし、全体で5層構造のジルコニア仮焼体とした。
(補綴装置の色調再現性評価)
評価方法は実施例1と同様の工程で実施した。
Figure 0006917679
CAD/CAMシステムにより切削加工され、焼結された歯科用補綴装置は、E層からC層にかけて天然歯と同様の外観を呈し、色調再現性に優れていた。
[実施例3]
実施例3に使用したジルコニア粉末は、イットリア含有量が5.5mol%の粉末を用いた。
色調及びコントラスト比測定用試料の作製と、色調及びコントラスト比測定は実施例1と同様の工程で実施した。
Figure 0006917679
実施例3におけるE色、M色、C色の色調の測定結果より、M層の(L,C)およびE層の色度(L*,a*,b*)が適合していることを確認した。
(歯科切削加工用セラミックスブランクの製作)
実施例1と同じ製作方法で実施したが、E色のジルコニア粉末はブランク全体の30%の厚みになるよう充填し、M色のジルコニア粉末は10%の厚みになるよう充填した。また、M色とC色の間にくる中間層は2層とし、全体で5層構造のジルコニア仮焼体とした。
(補綴装置の色調再現性評価)
評価方法は実施例1と同様の工程で実施した。
Figure 0006917679
CAD/CAMシステムにより切削加工され、焼結された歯科用補綴装置は、E層からC層にかけて天然歯と同様の外観を呈し、色調再現性に優れていた。実施例2と比較して、E色及びC色の彩度C*が高いためクラウン全体が濃い色調であった。
[実施例4]
実施例4に使用したジルコニア粉末は、イットリア含有量が3.0mol%の粉末を用いた。
色調及びコントラスト比測定用試料の作製と、色調及びコントラスト比測定は実施例1と同様の工程で実施した。
Figure 0006917679
実施例4におけるE色、M色、C色の色調の測定結果より、M層の(L,C)およびE層の色度(L*,a*,b*)が適合していることを確認した。
(歯科切削加工用セラミックスブランクの製作)
実施例1と同じ製作方法で実施した。
(補綴装置の色調再現性評価)
評価方法は実施例1と同様の工程で実施した。
Figure 0006917679
CAD/CAMシステムにより切削加工され、焼結された歯科用補綴装置は、E層からC層にかけて天然歯と同様の外観を呈し、色調再現性に優れていた。実施例1と比較して、E色及びC色のコントラスト比が高いためクラウン全体が実施例1と比較して不透明な色調であった。
[実施例5]
実施例5に使用したジルコニア粉末は、イットリア含有量が3.0mol%の粉末を用いた。
色調及びコントラスト比測定用試料の作製と、色調及びコントラスト比測定は実施例1と同様の工程で実施した。
Figure 0006917679
実施例5におけるE色、M色、C色の色調の測定結果より、M層の(L,C)およびE層の色度(L*,a*,b*)が適合していることを確認した。
(歯科切削加工用セラミックスブランクの製作)
実施例1と同じ製作方法で実施したが、E色のジルコニア粉末はブランク全体の30%の厚みになるよう充填し、M色のジルコニア粉末は10%の厚みになるよう充填した。また、M色とC色の間にくる中間層は2層とし、全体で5層構造のジルコニア仮焼体とした。
(補綴装置の色調再現性評価)
評価方法は実施例1と同様の工程で実施した。
Figure 0006917679
CAD/CAMシステムにより切削加工され、焼結された歯科用補綴装置は、E層からC層にかけて天然歯と同様の外観を呈し、色調再現性に優れていた。実施例1と比較して、E色及びC色のコントラスト比が高いためクラウン全体が実施例1と比較して不透明であり、実施例4より薄い色調であった。
[比較例1]
比較例1に使用したジルコニア粉末は、イットリア含有量が5.5mol%の粉末を用いた。
色調及びコントラスト比測定用試料の作製と、色調及びコントラスト比測定は実施例1と同様の工程で実施した。
Figure 0006917679
比較例1におけるE色、M色、C色の色調の測定結果より、M層のCが小さくC=(C+C)/2×0.93〜1.07を満足できなかった。E層の色度(L*,a*,b*)は適合していることを確認した。
(歯科切削加工用セラミックスブランクの製作)
実施例1と同じ製作方法で実施したが、E色のジルコニア粉末はブランク全体の35%の厚みになるよう充填し、M色のジルコニア粉末は15%の厚みになるよう充填した。また、M色とC色の間にくる中間層は1層とし、全体で4層構造のジルコニア仮焼体とした。
(補綴装置の色調再現性評価)
評価方法は実施例1と同様の工程で実施した。
Figure 0006917679
CAD/CAMシステムにより切削加工され、焼結された歯科用補綴装置は、M層の彩度Cが小さく、(C+C)/2×0.93〜1.07の関係から外れており、かつM層の位置が35%〜50%にあり、小臼歯の咬合面から見た色調が全てエナメル色となり天然歯の色調再現性に劣るものであった。
[比較例2]
比較例2に使用したジルコニア粉末は、イットリア含有量が5.5mol%の粉末を用いた。
色調及びコントラスト比測定用試料の作製と、色調及びコントラスト比測定は実施例1と同様の工程で実施した。
Figure 0006917679
比較例2におけるE色、M色、C色の色調の測定結果より、M層のCが小さくC=(C+C)/2×0.93〜1.07を満足できなかった。E層の色度(L*,a*,b*)は適合していることを確認した。
(歯科切削加工用セラミックスブランクの製作)
実施例1と同じ製作方法で実施したが、E色のジルコニア粉末はブランク全体の25%の厚みになるよう充填し、M色のジルコニア粉末は15%の厚みになるよう充填した。また、M色とC色の間にくる中間層は1層とし、全体で4層構造のジルコニア仮焼体とした。
(補綴装置の色調再現性評価)
評価方法は実施例1と同様の工程で実施した。
Figure 0006917679
CAD/CAMシステムにより切削加工され、焼結された歯科用補綴装置は、M層の彩度Cが小さく、(C+C)/2×0.93〜1.07の関係から外れており、M層の位置が25%〜40%でものの、小臼歯の咬合面から見た色調が全てエナメル色となり天然歯の色調再現性に劣るものであった。
[比較例3]
比較例3に使用したジルコニア粉末は、イットリア含有量が3.0mol%の粉末を用いた。
色調及びコントラスト比測定用試料の作製と色調及びコントラスト比測定の測定は実施例1と同様の工程で実施した。
Figure 0006917679
比較例3におけるE色、M色、C色の色調の測定結果より、M層のCが小さくC=(C+C)/2×0.93〜1.07を満足できなかった。E層の色度(L*,a*,b*)は適合していることを確認した。
(歯科切削加工用セラミックスブランクの製作)
実施例1と同じ製作方法で実施したが、E色のジルコニア粉末はブランク全体の30%の厚みになるよう充填し、M色のジルコニア粉末は10%の厚みになるよう充填した。また、M色とC色の間にくる中間層は2層とし、全体で5層構造のジルコニア仮焼体とした。
(補綴装置の色調再現性評価)
評価方法は実施例1と同様の工程で実施した。
Figure 0006917679
CAD/CAMシステムにより切削加工され、焼結された歯科用補綴装置は、M層の彩度Cが小さく、(C+C)/2×0.93〜1.07の関係から外れていたため、小臼歯の咬合面から見た色調が全てエナメル色となり天然歯の色調再現性に劣るものであった。
本発明は歯科分野においてCAD/CAMシステムによる切削加工に用いられる4層以上の多層構造で、且つその層構造における特徴的な色調分布を有した歯科切削加工用セラミックスブランクであって、それを応用したジルコニア仮焼体・焼結体、及びそれらを用いて切削加工した歯科用補綴装置を作製するためのブロックやディスクに利用することができる。


Claims (5)

  1. 上下表層に彩度が最も低いE層(L,C)と彩度が最も高いC層(L,C)がそれぞれ平行に配置され、且つそれら2層の中間にM層(L,C)が平行に位置する4層以上の層構造からなる歯科切削加工用セラミックスブランクであって、それぞれの層における明度L*及び彩度C*が以下の関係を満足し、M層がE層と隣接し、E層はE層表層から15%以上〜30%以下の範囲にあり、またM層はE層表層を基点にした15%よりも大きく40%以下の範囲にあり、
    =(L+L)/2×0.97〜1.03
    =(C+C)/2×0.93〜1.07
    >C>C
    M層のL*a*b*表色系による色度(LM,aM,bM)が以下の範囲にあることを特徴とする歯科切削加工用セラミックスブランク。
    67.0≦LM≦78.0
    −2.5≦aM≦1.0
    5.0≦bM≦15.0
  2. 請求項1記載の歯科切削加工用セラミックスブランクにおいて、E層のL*a*b*表色系による色度(LE,aE,bE)が以下の範囲にあることを特徴とする歯科切削加工用セラミックスブランク。
    65.0≦LE≦82.0
    −4.0≦aE≦2.0
    0.0≦bE≦20.0
  3. 請求項1〜2記載のいずれかの歯科切削加工用セラミックスブランクが800℃〜1200℃で焼成することにより製造されたジルコニア仮焼体であることを特徴とする歯科切削加工用セラミックスブランク。
  4. 請求項1〜3記載のいずれかの歯科切削加工用セラミックスブランクが1350℃〜1600℃で焼結することにより製造されたジルコニア焼結体であることを特徴とする歯科切削加工用セラミックスブランク。
  5. 請求項1〜4記載のいずれかの歯科切削加工用セラミックスブランクを用いてCAD/CAMシステムにより切削加工して作製された、または切削加工後に焼結して作製されたことを特徴とする歯科用補綴装置。
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