JP2018002610A - 歯科用レジン硬化体の製造方法 - Google Patents

歯科用レジン硬化体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 CAD/CAM装置による切削加工で歯科補綴物を作製する際に用いる気泡や色むらのない均質な歯科用レジン硬化体を得ることができる製造方法を提供する。【解決手段】 形状を切り出す前の歯科用レジン硬化体となるペースト状の硬化前の材料を凹型容器に注入及び攪拌する工程と、前記凹型容器とともに前記硬化前の材料を90℃以上の雰囲気中で加熱し、硬化させる工程と、を含み、前記攪拌が、前記凹型容器に少なくとも斜め上方に向かう傾斜軸線を中心とした自転を与えることにより行われる攪拌であることを特徴とする。【選択図】 図3

Description

この発明は、歯科用レジン硬化体の製造方法に関するものである。さらに詳しくは、この発明は、インレー、アンレー、クラウン、ブリッジ、臼歯/前歯ベニア、インプラント上部構造体等の歯科補綴物をCAD/CAM装置による切削加工で作製する際に用いる歯科用レジン硬化体の製造方法に関するものである。
歯科技工士が手作業で作製するインレー等の歯科補綴物は、歯科技工士の技能、熟練度等によってできあがった歯科補綴物の品質にばらつき等が生じることがある。歯科技工士が手作業で歯科補綴物を作製することに代え、ブロック状等の歯科用レジン硬化体をCAD/CAM装置を用いて歯科補綴物に切削加工することが行われてきており、これによって、品質にばらつき等がなく、患者に適した歯科補綴物が迅速に提供できることになる。
特許文献1に、ポリプロピレン製等の凹型に歯科用レジンブロックとなるペースト状の硬化前の材料を注入し、凹型とともに硬化前の材料を全体的に所定の圧力とすることが可能な容器に入れ、1.0MPa以上で加圧し、その状態で60℃以上で加熱して重合硬化させることで、亀裂や気泡が少ないCAD/CAM装置によって切削加工可能な歯科用レジンブロックを製造する方法が提案されている。
特開2015−97854号公報
この方法によれば、亀裂や気泡の少ない歯科用レジンブロックを得ることはできるものの、歯科補綴物の審美性に関わる色むらについては解決し得ていない。
このようなペースト状の硬化前の材料は、(メタ)アクリレート系重合性モノマーを液成分とし、無機質フィラーを粉成分(無機質充填材)とするものであり、無機質フィラーは液成分に覆われた状態にあり、注入される際のペースト状の硬化前の材料は、液成分と無機質フィラーとが均一に混合している内側と、液成分が滲出した状態となったペースト状の硬化前の材料を包む膜状の表面を形成する。
かなりの量のペースト状の硬化前の材料を受容できるサイズの凹型に注入する際には、ペースト状の硬化前の材料の注入に伴い、注入されるペースト状の硬化前の材料が凹型内で折り重なったり、横方向に広がったり、さらにその上に注入されたりしながら、所定の量に達するまで順次注入される。このとき、前述の通り注入される際のペースト状の硬化前の材料が、液成分と無機質フィラーとが均一に混合している内側と、液成分が滲出した状態となったペースト状の硬化前の材料を包む膜状の表面を形成しているため、注入の複雑な痕跡(すなわち、液成分と無機質フィラーの不均一な箇所)として残り、ひいては、これが歯科用レジン硬化体の色むらに繋がると考えられる。このことは、無機質フィラーがペースト状の硬化前の材料にチキソトロピー性を与える場合には、より顕著に発現し得る。
従って、CAD/CAM装置による切削加工で歯科補綴物を作製する際に用いる歯科用レジン硬化体には、気泡や色むらのない均質なものが希求されている。
この発明は、上記のような実情に鑑み鋭意研究の結果創案されたものであり、気泡や色むらのない均質な歯科用レジン硬化体を得ることができる製造方法を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、この発明は、(1)形状を切り出す前の歯科用レジン硬化体を製造する方法であって、前記歯科用レジン硬化体となるペースト状の硬化前の材料を凹型容器に注入及び攪拌する工程と、前記凹型容器とともに前記硬化前の材料を90℃以上の雰囲気中で加熱し、硬化させる工程と、を含み、前記攪拌が、前記凹型容器に少なくとも斜め上方に向かう傾斜軸線を中心とした自転を与えることにより行われる攪拌であることを特徴とする。
(2)前記(1)において、前記歯科用レジン硬化体となるペースト状の硬化前の材料を凹型容器に注入及び攪拌する工程が、前記硬化前の材料を前記凹型容器に注入しながら攪拌する工程であってもよい。
ここで、「硬化前の材料を前記凹型容器に注入しながら攪拌する」とは、硬化前の材料の注入と攪拌とが同時に開始され注入完了後にも攪拌が継続すること、硬化前の材料の注入の途中から攪拌が開始され注入完了後にも攪拌が継続すること等を意味する。
(3)前記(1)において、前記歯科用レジン硬化体となるペースト状の硬化前の材料を凹型容器に注入及び攪拌する工程が、前記硬化前の材料を前記凹型容器に注入し、注入完了後に攪拌する工程であってもよい。
(4)前記(3)において、前記攪拌が、前記凹型容器に自転と公転を与えることにより行われる攪拌であることが好ましい。
(5)前記(1)、(2)、(3)または(4)において、前記凹型容器が、ディスク状の歯科用レジン硬化体成型用の有底の円筒型容器であることが好ましい。
なお、ここでの「ディスク状の歯科用レジン硬化体」とは、ディスク状の形態のまま、CAD/CAM装置によって多数の歯科補綴物を切削加工することができるサイズのものを意味する。
この発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
すなわち、歯科用レジン硬化体となるペースト状の硬化前の材料を凹型容器に注入及び攪拌する工程において、攪拌を凹型容器に少なくとも斜め上方に向かう傾斜軸線を中心とした自転を与えることによって行うようにしたことから、注入に伴う気泡の巻き込みや色むらが発生したとしても、攪拌によって巻き込まれた気泡が脱泡作用をうけ、色むらが解消されることになり、凹型容器とともに硬化前の材料を90℃以上の雰囲気中で加熱し、硬化させることで、気泡や色むらのない均質な歯科用レジン硬化体を迅速、確実かつ容易に得ることができる。
色むらのある歯科用レジン硬化体は、審美性に劣るものであることはもちろん、気泡の残存は、審美性を損なうことになるだけでなく、強度の低下等を招くが、この発明によれば、均質であって、気泡や色むらがなく、高強度の歯科用レジン硬化体が得られることになる。
より具体的に説明するに、気泡が残存した歯科用レジン硬化体は、強度の低下等を招き歯科補綴物にとって必要な強度が得られず、また、CAD/CAM装置によって切削加工する際、チッピングや割れの原因となり、切削加工された歯科補綴物を口腔内で使用すると欠けや破折の原因となるが、この発明によって得られた歯科用レジン硬化体は、気泡が残存しないことから、歯科補綴物にとっての必要な強度が得られ、CAD/CAM装置によって切削加工してもチッピングや割れが生じたりせず、従って、切削加工された歯科補綴物を口腔内で使用しても長期にわたり欠けたり破折したりしない。
また、色むらの存在する歯科用レジン硬化体は、歯科補綴物とした際、審美性が劣ることになることはもちろん、気泡の残存も歯科補綴物とした際の審美性を損なうが、この発明によって得られた歯科用レジン硬化体は、色むら、気泡がなく均質なことから、審美性も良好な歯科補綴物を得ることができる。
この発明における撹拌方式の一例を示す概念図であって、(a)は凹型容器が斜め上方に向かう傾斜軸線を中心に自転することでペースト状の硬化前の材料が攪拌されることの説明であり、(b)は凹型容器の開口側からの説明である。 この発明のおける攪拌方式の他例を示す概念図であって、(a)は凹型容器が斜め上方に向かう傾斜軸線を中心に自転するとともに公転することでペースト状の硬化前の材料が攪拌されることの説明であり、(b)は凹型容器の開口側からの説明である。 この発明の実施例、比較例において使用する凹型容器を斜め上方に向かう傾斜軸線を中心に自転するとともに公転する自転公転式攪拌機に装着するため、凹型容器を下側アダプターと上側アダプターの間に組み込み、その状態で装着しペースト状の硬化前の材料が攪拌されることを説明する概念図である。
以下、この発明を実施するための形態を更に詳細に説明する。もちろんこの発明は以下の実施の形態によって限定されるものではない。
歯科用レジン硬化体となるペースト状の硬化前の材料には、従来から歯科用材料に多く用いられてきたメタクリレート化合物またはアクリレート化合物が使用できる(以下、これらを「液成分」または「モノマー」ということがある。)。
メタクリレート化合物又はアクリレート化合物としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジメタクリロキシプロパン、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、2,2−ビス(メタクリロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシプロポキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、トリメチロールメタントリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジ−2−メタクリロキシエチル−2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジカルバメート、1,3,5−トリス[1,3−ビス(メタクリロイルオキシ)−2−プロポキシカルボニルアミノヘキサン]−1,3,5−(1H,3H,5H)トリアジン−2,4,6−トリオン及びこれらのアクリレートを例示できる。これらのメタクリレート及びアクリレートは必要に応じて単独であるいは混合して使用することができる。
また、前記化合物を重合させるための触媒は、有機過酸化物やアゾ化合物等が使用できる。
具体的には、ベンゾイルパーオキサイド、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネート、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、4,4’−アゾビス−4−シアノバレリック酸、1,1’−アゾビス−1−シクロヘキサンカーボニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチラート、2,2’−アゾビス−(2−アミノプロパン)ジヒドロクロライド等が挙げられ、これらは単独若しくは混合して利用できる。
ペースト状の硬化前の材料には、充填材が配合されることが好ましい。充填材としては、平均粒径が0.01μm以上2μm以下の無機質充填材が採用できる。平均粒径が0.01μm以上0.04μm以下の無機質充填材としてはコロイダルシリカが一般的であり、例えば日本アエロジル株式会社のアエロジルOX−50(平均粒径0.04μm)、アエロジルR−972(平均粒径0.016μm)等が使用できる。平均粒径が0.04μm以上2μm以下の無機質充填材としてはシリカビーズや粉砕されたガラス粉末が一般的であり、その組成は特に限定されるものではないが、石英ガラス、アルミノシリケートガラス、X線造影性を有するガラスであるカルシウム、ストロンチウム、バリウム等のアルカリ土類金属原子を含むガラス、亜鉛ガラス、鉛ガラス等が好適である。これらの無機質充填材は表面をシラン処理して使用することが望ましく、通常、表面処理剤としてγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の有機ケイ素化合物を用いて通常の方法によりシラン化して用いられる。
平均粒径が0.01μm以上0.04μm以下の無機質充填材の含有量は、液成分100重量部に対し0.1重量部〜2重量部が好ましい。0.1重量部未満では、十分な増粘効果が得られ難く、2重量部を超えると歯科用レジン硬化体作製時のペースト状の硬化前の材料が硬くなり、歯科用レジン硬化体に気泡が混入し易くなり好ましくない。平均粒径が0.04μm以上2μm以下の無機質充填材の含有量は、液成分100重量部に対し1重量部〜400重量部が好ましい。1重量部未満では十分な耐摩耗強度が得られ難く、400重量部を超えると歯科用レジン硬化体作製時のペースト状の硬化前の材料が硬くなり、歯科用レジン硬化体に気泡が混入しやすくなり好ましくない。
ペースト状の硬化前の材料には、平均粒径が0.01μm以上2μm以下の無機質充填材を少なくとも1個の不飽和二重結合を持つメタクリレート又はアクリレートのモノマーと混合し硬化させ粉砕させて平均粒径5μm以上50μm以下に調整した有機無機複合充填材を前記した無機質充填材の一部に代え含有させることができる。
有機無機複合充填材を含有させる場合の含有量は、液成分100重量部に対し1重量部〜67重量部が好ましい。1重量部未満では表面滑沢性や耐摩耗性の向上効果が認められず、67重量部を超えると機械的強度が低下してくることから好ましくない。
なお、ここにおける平均粒径は、株式会社堀場製作所製のレーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(商品名;Partica LA−950V2)によって測定したものである。
その他、必要に応じて紫外線吸収剤、着色剤、重合禁止剤等が微量使用されてもよい。
ペースト状の硬化前の材料を攪拌するための凹型容器としては、斜め上方に向かう傾斜軸線を中心に自転すること等に支障がなく、凹型容器内でペースト状の硬化前の材料が円滑に攪拌でき、攪拌後、凹型容器内でペースト状の硬化前の材料が重合硬化し、歯科用レジン硬化体が得られるようなものであることが好ましく、有底の円筒型容器が例示されるが、これに限定されるものではない。
凹型容器は蓋がなく上方に開放されたものであっても、蓋ができるようになっているものであってもよい。
凹型容器としては、凹型容器内でペースト状の硬化前の材料が重合硬化し、ディスク状の歯科用レジン硬化体が得られるサイズであることが好ましい。
ディスク状の歯科用レジン硬化体によれば、ディスク状の形態のまま、CAD/CAM装置によって多数の歯科補綴物を連続して切削加工することができ、生産性が向上する等といった利点がある。
凹型容器の材料としては、熱可塑性樹脂、シリコーン樹脂が採用できる。もちろん、金属であってもよい。
ペースト状の硬化前の材料を凹型容器で攪拌するには、例えば、図1(a)に示されるような凹型容器1に斜め上方に向かう傾斜軸線2を中心とした自転を与える方式が採用できる。
これによれば、凹型容器1に上方に向かう傾斜軸線2を中心とした自転を与えると、図1(b)に示されるように、凹型容器1の自転に伴って下方の滞留部から凹型容器1の内面に沿って上方に持ち上げられ、一部は途中から自重によって下方の滞留部に向かって矢印Aに示されるように下降し、残りは凹型容器1の自転につれられて矢印Bに示されるように滞留部に戻ることで、ペースト状の硬化前の材料3は攪拌される。これによって、注入に伴ってペースト状の硬化前の材料における液成分と無機質充填材の不均一箇所が消失して色むらが解消されるとともに、巻き込まれた気泡が表面あるいは凹型容器壁面で破泡して消失して、ペースト状の硬化前の材料の均質化がはかられる。
凹型容器1を斜め上方に向かう傾斜軸線2を中心にモーター等によって自転させる装置としては、例えば、アズワン株式会社製のチューブローテーターを採用し、その回転軸に凹型容器1を取り付けるようにすればよい。
凹型容器1を斜め上方に向かう傾斜軸線を中心に自転させるのを手動によって行うようにしてもよいことはいうまでもない。
図1に示すような斜め上方に向かう傾斜軸線2を中心とした自転を凹型容器1に与える方式によれば、ペースト状の硬化前の材料を凹型容器1に注入しながら攪拌することができる。
斜め上方に向かう傾斜軸線2の角度は、ペースト状の硬化前の材料が、凹型容器1内で重力により容易に下降運動するように45〜80゜であることが好ましい。
凹型容器1の自転速度は、10〜60rpmであることが好ましい。
なお、自転による攪拌は、減圧下で行ってもよい。
ペースト状の硬化前の材料を凹型容器で攪拌するには、図2(a)に示されるような凹型容器11に斜め上方に向かう傾斜軸線12を中心とした自転を与えるとともに、凹型容器11を公転させる方式を採用してもよい。
これによれば、凹型容器11に上方に向かう傾斜軸線12を中心とした自転を与えるとともに凹型容器11を公転させると、ペースト状の硬化前の材料13には、凹型容器11の自転に伴って生ずる遠心力、公転に伴って生ずる遠心力が働き、図2(a)に示すように凹型容器11の壁面に沿って下降する流動と傾斜軸線方向に沿った底部から上部への流動により上下の対流Cが生じるとともに、図2(b)に示すように渦流動Eも発生し、ペースト状の硬化前の材料が効率的に攪拌される。これによって、注入に伴って生じたペースト状の硬化前の材料における液成分と無機質充填材の不均一箇所が消失して色むらが解消されるとともに、巻き込まれた気泡が表面あるいは凹型容器壁面で破泡して消失して、ペースト状の硬化前の材料の均質化がはかられる。
なお、自転公転による攪拌も、減圧下で行ってもよい。
凹型容器を斜め上方に向かう傾斜軸線を中心にモーター等によって自転させるとともに、公転させる装置としては、例えば、株式会社スギノマシン製の自転公転式攪拌機(商品名;ハイマージャシリーズ)等が採用できる。
凹型容器を斜め上方に向かう傾斜軸線を中心に自転させるとともに、公転させるのを手動によって行うようにしてもよいことはいうまでもない。
斜め上方に向かう傾斜軸線12の角度、凹型容器11の自転速度および公転速度は、ペースト状の硬化前の材料の注入量や粘性等、あるいは公転半径等により適宜選択されるが、傾斜軸の角度は40〜50゜、自転速度300〜1000rpm、公転速度700〜1200rpmであることが好ましい。
攪拌が終了した後、凹型容器とともにペースト状の硬化前の材料を90℃以上の雰囲気中で加熱し、硬化させることで気泡や色むらのない均質な歯科用レジン硬化体を得ることができる。
加熱温度が90℃未満では、重合速度が著しく低下するため未重合モノマーが残存しやすく、所望の機械的強度が得られないことから好ましくない。
重合時間を短くして生産性を向上させるには、100℃以上で加熱することが好ましい。
加熱雰囲気としては、大気圧下での加熱雰囲気でもよいが、大気圧を超える加圧下での加熱雰囲気でもよい。
大気圧下で加熱するには、恒温器、電気炉、乾燥器等が採用できる。
大気圧を超える加圧下で加熱するには、オートクレーブ等が採用できる。
さらに大気圧下では雰囲気制御可能な電気炉等、あるいは大気圧を超える圧力下ではオートクレーブ等を採用し、加熱雰囲気の酸素濃度を著しく低くして100℃以上の加熱雰囲気でペースト状の硬化前の材料を重合硬化させると、酸素による重合阻害が起こらないため未重合モノマーの残存をより少なくすることができる。
次に、実施例を比較例とともに示しさらに詳しく説明する。もちろんこの発明は、以下の実施例によって限定されるものではない。
(実施例1)
厚さ1mmのポリプロピレンシートを真空成型して得た直径100mm、深さ30mmの凹型容器にウレタンジメタクリレート(UDMA)50重量%、2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン(Bis−MEPP)30重量%、トリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)20重量%からなるモノマー、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド(BPO)、無機質充填材としてγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランで処理した平均粒径0.7μmのガラスフィラーを用い、モノマー100重量部、重合開始剤0.4重量部、無機質充填材200重量部に調製したペースト状の硬化前の材料を250g注入した。
ここにおけるガラスフィラーの平均粒径は、株式会社堀場製作所製のレーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(商品名;Partica LA−950V2)によって測定したものである。
凹型容器に注入されたペースト状の硬化前の材料を上から目視で観察したところ、気泡と色むらが認められた。
図3に示すようにペースト状の硬化前の材料20が注入された凹型容器21を下側アダプター22、上側アダプター23の間に組み込み、この状態で、株式会社スギノマシン製の自転公転式攪拌機に装着し、公転速度1090rpm、自転速度970rpmでペースト状の硬化前の材料を120秒間攪拌した。
下側アダプター22、上側アダプター23は、ポリプロピレン製である。
攪拌終了後のペースト状の硬化前の材料を上から目視で観察したところ、気泡も色むらも認められなかった。
攪拌終了後、上側アダプターを取り外し、下側アダプターからペースト状の硬化前の材料が収容された凹型容器を取り出した。
図3に示す凹型容器の場合は上側アダプター、下側アダプターが採用されるが、図2に示す凹型容器の場合は、必ずしも、上側アダプター、下側アダプターは必要とされるものではない。
凹型容器とともに攪拌されたペースト状の硬化前の材料を株式会社協真エンジニアリング製のオートクレーブ内に設置し、濃度99.9%の窒素で炉内の圧力を4.0MPaまで昇圧し、炉内の温度を120℃まで昇温させ60分保持して重合硬化させた。その後、炉内温度を45℃以下まで低下させ、圧力を大気圧まで降下させ、オートクレーブから凹型容器ごと硬化体を取り出した後、凹型容器から硬化体を抜き取った。得られた硬化体は、直径100mm、厚さ16mmのディスク状をしていた。
なお、得られた硬化体は、株式会社ジーシー製の歯科用ミリングマシンに把持できる厚さ14mm、把持部直径98mmの歯科用CAD/CAMディスク形状に、NC旋盤を用いて加工することができた。
(実施例2)
実施例1において重合硬化に要する機器をヤマト科学株式会社製の送風定温乾燥機とし、重合硬化させる雰囲気を空気、圧力を大気圧としたこと以外は、実施例1と同じ条件で硬化体を作製した。得られた硬化体は、直径100mm、厚さ16mmのディスク状をしていた。
(比較例1)
実施例1において攪拌工程を行わなかったこと以外は、実施例1と同じ条件で硬化体を作製した。得られた硬化体は、直径100mm、厚さ16mmのディスク状をしていた。
(比較例2)
実施例1において重合温度を80℃としたこと以外は、実施例1と同じ条件で硬化体を作製した。得られた硬化体は、直径100mm、厚さ16mmのディスク状をしていた。
以上の実施例、比較例の製造条件を表1に示す。
Figure 2018002610
実施例、比較例で得られた硬化体に対し以下の試験を行った。
<色むら、気泡>
凹型容器から取り出した硬化体の表面の色むら、気泡の有無を目視で観察した。
<曲げ強度>
JIS T6120に準拠し、硬化体を14mm×4mm×1.2mmに切り出し、その表面を#1000のSiC研磨紙で研磨して試験片を得、オートグラフ(型式;AG−5KNXplus、株式会社島津製作所製)を用いて支点間距離12mm、クロスヘッドスピード1mm/分で3点曲げ試験を行った。
曲げ試験における試験片のサンプル数は5とし、強度は平均値とした。
結果は表2に示すとおりである。
Figure 2018002610
1、11、21 凹型容器

Claims (5)

  1. 形状を切り出す前の歯科用レジン硬化体を製造する方法であって、
    前記歯科用レジン硬化体となるペースト状の硬化前の材料を凹型容器に注入及び攪拌する工程と、
    前記凹型容器とともに前記硬化前の材料を90℃以上の雰囲気中で加熱し、硬化させる工程と、
    を含み、
    前記攪拌が、前記凹型容器に少なくとも斜め上方に向かう傾斜軸線を中心とした自転を与えることにより行われる攪拌であることを特徴とする歯科用レジン硬化体の製造方法。
  2. 前記歯科用レジン硬化体となるペースト状の硬化前の材料を凹型容器に注入及び攪拌する工程が、前記硬化前の材料を前記凹型容器に注入しながら攪拌する工程であること特徴とする請求項1記載の歯科用レジン硬化体の製造方法。
  3. 前記歯科用レジン硬化体となるペースト状の硬化前の材料を凹型容器に注入及び攪拌する工程が、前記硬化前の材料を前記凹型容器に注入し、注入完了後に攪拌する工程であることを特徴とする請求項1記載の歯科用レジン硬化体の製造方法。
  4. 前記攪拌が、前記凹型容器に自転と公転を与えることにより行われる攪拌であることを特徴とする請求項3記載の歯科用レジン硬化体の製造方法。
  5. 前記凹型容器が、ディスク状の歯科用レジン硬化体成型用の有底の円筒型容器であることを特徴とする請求項1、2、3または4記載の歯科用レジン硬化体の製造方法。
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